【発明の詳細な説明】
剪断安定性を有する潤滑組成物技術分野
本発明は、剪断安定性を有する潤滑組成物、特にガソリン及びディーゼルエン
ジンのクランクケース潤滑用のマルチグレードオイルに関する。背景技術
ガソリン及びディーゼルエンジンのクランクケースに使用する潤滑油は、天然
及び/又は合成のベースストックであって、該潤滑油に所望の特性を付与する1
種以上の添加剤を含有するものを含む。そのような添加剤には一般に、無灰分散
剤、金属清浄剤、酸化防止剤及び耐摩耗成分が含まれており、これらは清浄剤防
止剤(又はDI)パッケージと呼ばれることのあるパッケージとして組み合わさ
れていてもよい。そのようなパッケージ状の添加剤は機能化ポリマーを含んでい
てよいが、該ポリマーは比較的短い鎖を有し、一般には数平均分子量Mnが7000
以下である。
マルチグレードオイルは、通常更に、長鎖のポリマーである1種以上の粘度改
良剤(VM)を含有する。該粘度改良剤が多機能VM類(又はMFVM類)とし
て知られる場合には、該ポリマーが機能化され他の特性が付与されていてもよい
。但し、主として作動範囲にわたりオイルの粘度特性を改良するように作用する
。従って、VMは、高温での粘度を上昇させることにより、高速においてエンジ
ンに一層の保護を与える一方で、低温での粘度を著しく上昇させることはないた
め、冷えたエンジンが始動するのが困難となることはない。高温性能は通常100
℃での動粘度(kV)により測定されるのに対し(ASTM D445)、低温性能はコ
ールドクランキングシミュレーター(CCS)粘度により測定される(ASTM D26
02の見直しであるASTM D5293)
粘度グレードは、SAE分類システムにより、これら2種類の温度測定に従っ
て定義されている。SAE J300は次のグレードを定義している:
SAE粘度グレード
マルチグレードオイルは、低温性能及び高温性能の両方の要求を満たしており
、両方が関連するグレードに対して特定される。例えば、5W30マルチグレー
ドオイルは、5W及び30の粘度グレード要求の両方を満たす粘度特性を有して
いる。即ち、最大CCS粘度は、−25℃において3500・10-3Pa・sであり、最
小kV100℃は、9.3mm2/s及び最大kV100℃は、<12.5mm2/sである。
粘度改良剤は、20,000より大きいMnを有するポリマーを含む。取扱いを容易
にするため、粘度改良剤は通常そのようなポリマーのオイル溶液として使用され
る。エンジンに使用する場合、オイルは、ベアリング、ポンプ及びギア等におい
て高い機械的剪断を受け、あるいは酸化等の化学的攻撃を受けるため、粘度改良
剤の比較的長いポリマー鎖が破壊され、粘度性能に対する該粘度改良剤の寄与が
低下する。
剪断安定性は、高剪断下での永久粘性損失に対するオイルの耐性の尺度である
。即ち、オイルが剪断安定であるほど、剪断を受けた場合の粘性損失は小さい。
k
V100℃に著しく寄与する高分子粘度改良剤は、完全に剪断安定であるとはいえ
ない。
粘度改良剤又は粘度改良剤を含有するオイルの剪断安定性は、カート−オーバ
ーン(Kurt-Orbahn)ディーゼル燃料インジェクター試験(CEC-L-14-A-88)を含
む多数の方法により測定することができる。オイル剪断安定性は、試験中のkV
100℃の%損失で表される。VM剪断安定性は、剪断安定性指数、即ちSSIで表さ
れる。SSIは、5mm2/s希釈オイルによるVMの14mm2/s溶液による試
験中のkV100℃の損失であって、未剪断のVMポリマーのkV100℃の寄与の%
として表される。未剪断のVMポリマーのkV100℃の寄与は、希釈オイルのk
V100℃をポリマーが存在する場合としない場合とで比較することにより決定で
きる。即ち:
SSI=(ηi−ηf)/(ηi−ηo)・100
(式中、ηiは希釈オイルによるVMの溶液の粘度であり、ηoはVMが存在しな
い場合の希釈オイルの粘度であり、ηfは剪断されたVM溶液の粘度である。)
潤滑剤の仕様は、粘度の最大損失及び/又は剪断後粘度の最小限界により設定
されることがある。現時点でのオイル剪断安定性に関する最も厳しい要求は、オ
イルがVW500.00仕様及び提案されているACEA仕様を満たすことであり、これらの
仕様は、剪断試験後にオイルのkV100℃がグレード(SAE J300による)内にあ
り、かつカート−オーバーンディーゼル燃料インジェクター試験でのkV100℃
の粘度損失が15%を超えないことを要求している。従って、SAE J300の40グ
レードの要求を満たすマルチグレードオイル(例えば15W/40又は10W/40オイ
ル)の場合、該オイルは、試験後の最小kV100℃が12.5mm2/sであり、かつ
最大kV100℃粘度損失が15%でなければならない。
オレフィンコポリマー等の経済的なVMは、剪断安定性が劣る(SSIが高い)
。SSIの低いVMを使用するのは費用がかかる。機能化された形状で分散剤とし
て使用される従来の短鎖のポリマーは、はるかに剪断安定であるが、kV100℃
に僅かに寄与するのみである。従って、米国特許第4,234,435号明細書等に記載
のポリイソブテニルスクシンイミドによるkV100℃への寄与は、限定的なもの
である。更に、従来の分散剤の量は、その大部分がスラッジ及びワニスの制御の
要
求により決定されるが、これは主として無灰分散剤の機能である。
従って、マルチグレードオイルは、SSIの低い高価なVMを使用しない限り、
剪断安定性が劣る。剪断安定性が劣ることにより、該オイルを高い初期kV100
℃にブレンドする必要が生ずるが、その結果燃料経済性が低くなる。乗用車エン
ジンオイルに関するILSAC GF-2仕様についての提案は、ASTM連続VIAエンジン試
験中での燃料経済性能の例証を要求している。更に、高性能の用途についての非
常に高レベルの剪断安定性を達成することは不可能である。
メタロセン触媒系を使用して合成されるポリマーに基づいて、機能化した及び
/又は誘導体化したオレフィンポリマーを含む新規クラスの無灰分散剤が、米国
特許第5,128,056号、5,151,204号、5,200,103号、5,225,092号、5,266,223号、5
,334,775号明細書;国際公開第94/19436号、94/13709号公報;及び欧州特許公開
440506号、513157号、513211号公報に記載されている。これらの分散剤は、CC
S粘度とkV100℃との比で表される、優れた粘度特性を有していることが記載
されている。発明の開示
あるマルチグレードクランクケースオイルとこの新規クラスの分散剤とを配合
して、より良好な燃料経済性及びより良好な低温始動性を提供できることを見出
した。更に経済的なマルチグレードクランクケースオイルに、広範囲のポリマー
の使用の可能性をもって、更に比較的剪断安定性の低いVMをブレンドして経済
性を向上させてもよい。ターボチャージャー付きエンジン及びレース用エンジン
等の高性能が要求される最も要求の高い用途の場合には、極めて良好なオイル剪
断安定性を有するオイルをブレンドして、オイルの機械的劣化を低減してもよい
。
従って、一つの観点において、本発明は、SAE J300粘度グレードについての最
小高温粘度より上で、初期の(未剪断の)kV100℃が1.5mm2/s以下であり
、カート−オーバーン試験により測定したオイル剪断安定性が15%未満である
マルチグレードクランクケース潤滑オイルであって、
a)ベースストック、
b)潤滑オイル添加剤の清浄剤防止剤パッケージであって、該パッケージは、Mn
が7000より大きいポリマーから誘導された添加剤が実質的に存在しない場合には
、潤滑オイルの初期kV100℃の4.5mm2/s以上の寄与をし、官能基を有する
油溶性高分子炭化水素主鎖を含む無灰分散剤を含有し、該炭化水素主鎖が、500
〜7000のMnを有するエチレンα−オレフィン(EAO)コポリマー又はα−オ
レフィンホモ−又はコポリマーから誘導される、前記パッケージ、及び
c)20,000より大きいMnを有する1種以上のポリマー添加剤を含む粘度改良剤
を含む、前記オイルを提供する。
該オイルは、好ましくはSAE J300粘度グレードについての最小高温粘度より上
で初期kV100℃が1.25mm2/s以下、更に好ましくは1mm2/s以下であり
、望ましくはカート−オーバーン試験により測定したオイル剪断安定性が10%
未満、好ましくは8%未満である。清浄剤防止剤パッケージは、好ましくは潤滑
オイルの初期kV100℃の5mm2/s以上、更に好ましくは6mm2/s以上の
寄与をする。
潤滑オイルの初期kV100℃に対する清浄剤防止剤パッケージの寄与は、オイ
ルにパッケージをブレンドしたものとしないものを調製し、kV100℃の差を測
定することにより決定することができる。このkV100℃に対する寄与は、いか
なる長鎖ポリマー材料の寄与をも除外しているが、これは通常単独のVM成分又
はVMとともに導入される流動点降下剤等の他の長鎖添加剤としてのみ導入され
るものである。そのような流動点降下剤が清浄剤パッケージ中に含まれる場合に
は、そのkV100℃に対する寄与は、清浄剤防止剤パッケージの寄与としては含
まれない。
さらなる観点において、本発明は、SAE J300粘度グレードについての高温粘度
要求を満たす最終の(剪断後の)kV100℃を有し、カート−オーバーン試験に
より測定したオイル剪断安定性が15%未満であるマルチグレードクランクケー
ス潤滑オイルであって、
a)ベースストック、
b)Mnが7000より大きいポリマーから誘導された添加剤が実質的に存在しない
潤滑オイル添加剤の清浄剤防止剤パッケージであって、該パッケージは、官能
基を有する油溶性高分子炭化水素主鎖を含む無灰分散剤を含有し、該炭化水素主
鎖が、500〜7000のMnを有するエチレンα−オレフィン(EAO)コポリマー又
はα−オレフィンホモ−又はコポリマーから誘導される、前記パッケージ、及び
c)剪断安定性指数が30より大きく、20,000より大きいMnを有する1種以上
のポリマー添加剤を含む、粘度改良剤
を含む、前記オイルを提供する。
本発明は、更に、カート−オーバーン試験により測定したオイル剪断安定性が
1.75%未満であるマルチグレードクランクケース潤滑オイルであって、
a)ベースストック、
b)潤滑オイル添加剤の清浄剤防止剤パッケージであって、官能基を有する油溶
性高分子炭化水素主鎖を含む無灰分散剤を含有し、該炭化水素主鎖が、500〜700
0のMnを有するエチレンα−オレフィン(EAO)コポリマー又はα−オレフィ
ンホモ−又はコポリマーから誘導され、Mnが7000より大きいポリマーが実質的
に存在しない、前記パッケージ、及び
c)20,000より大きいMnを有する1種以上のポリマー添加剤を含む、粘度改良
剤
を含む、前記オイルを提供する。
本発明のこの観点の好ましい態様においては、カート−オーバーン試験により
測定したオイル剪断安定性は1%未満、更に好ましくは0.5%未満である。
好ましくは、本発明の各観点において、エチレンα−オレフィン(EAO)コ
ポリマー又はα−オレフィンホモ−又はコポリマーは、>30%の末端ビニリデン
不飽和を有するものである。
本発明はまた、マルチグレードクランクケース潤滑オイルへの、官能基を有す
る油溶性高分子炭化水素主鎖を含む無灰分散剤の使用であって、該炭化水素主鎖
が、>30%の末端ビニリデン不飽和を有しかつ500〜7000のMnを有するエチレン
α−オレフィン(EAO)コポリマー又はα−オレフィンホモ−又はコポリマー
から誘導され、前記オイルの燃料経済性能を向上させる、前記使用にも及ぶ。本
発明は更に、ガソリン又はディーゼルエンジンの燃料経済性を改善する方法で
あって、該エンジンが官能基を有する油溶性高分子炭化水素主鎖を含む無灰分散
剤を含有するマルチグレードクランクケースオイルにより滑らかにされ、該炭化
水素主鎖が>30%末端ビニリデン不飽和及び500〜7000のMnを有するエチレンα
−オレフィン(EAO)コポリマー又はα−オレフィンホモ−又はコポリマーか
ら誘導される、前記方法を提供する。
SSIが30未満である比較的剪断安定なVMを使用する場合には、良好な剪断
安定性を有するオイルに使用する場合に燃料経済上の利点が得られうるのに対し
、本発明によれば、SSIが30以上である比較的剪断安定性の劣るVMを使用す
る場合であっても、燃料経済上の利点が得られうる。発明を実施するための最良の形態
詳細な説明
A.ベースストック
潤滑オイルに使用するベースストックは、スパーク点火及び圧縮点火エンジン
用クランクケース潤滑オイルに使用する、任意の合成又は天然オイルから選ぶこ
とができる。潤滑オイルベースストックは、100℃において、2.5〜12mm2/s
、より好ましくは2.5〜9mm2/sの粘度を有するものが好適である。所望によ
り、合成及び天然のベースオイルの混合物を使用できる。
B.無灰分散剤
無灰分散剤は、分散される粒子と会合できる官能基を有する、油溶性高分子炭
化水素主鎖を含有する。一般的に、該分散剤は、多くの場合結合基を介して高分
子主鎖に結合しているアミン、アルコール、アミド又はエステル極性基を含有す
る。無灰分散剤は、例えば、長鎖炭化水素置換モノ及びジカルボン酸又はそれら
の無水物の、油溶性塩類、エステル類、アミノ−エステル類、アミド類、イミド
類、及びオキサゾリン類;長鎖炭化水素のチオカルボキシレート誘導体;直接結
合しているポリアミンを有する長鎖脂肪族炭化水素;及び長鎖置換フェノールと
ホルムアルデヒド及びポリアルキレンポリアミンとを縮合することにより形成さ
れるマンニッヒ縮合生成物から選ぶことができる。
清浄剤防止剤パッケージ中の無灰分散剤に使用する油溶性高分子炭化水素主鎖
は、新しいメタロセン触媒化学を使用することにより製造できるような、エチレ
ンα−オレフィン(EAO)コポリマー及びα−オレフィンホモ−及びコポリマ
ーから選ばれる。これらは高度の、即ち>30%の末端ビニリデン不飽和を有する
ことができる。本明細書において、用語α−オレフィンは、次式のオレフィンを
いう。
式中、R’は、C1−C18アルキル基であるのが好ましい。末端ビニリデン不飽
和の要件は、次の構造がポリマー中に存在することである。
式中、Polyは、ポリマー鎖であり、Rは、一般に、C1−C18アルキル基で
あり、一般的には、メチル又はエチルである。該ポリマーは、好ましくは少なく
とも50%、最も好ましくは少なくとも60%の、末端ビニリデン不飽和を有するポ
リマー鎖を有する。国際公開第94/19426号公報に示されているように、エチレン
/1−ブテンコポリマーは、一般的に、鎖の約10%に末端ビニル基を有し、鎖の
残部に内部モノ不飽和を有する。不飽和の性質は、FTIR分光分析、滴定又は
C−13NMRにより測定することができる。
油溶性高分子炭化水素主鎖は、ホモポリマー(例えば、ポリプロピレン)又は
2以上のそのようなオレフィンのコポリマー(例えば、エチレンと、プロピレン
もしくはブチレン等のα−オレフィンとのコポリマー、又は2種の異なるα−オ
レフィンのコポリマー)であってよい。他のコポリマーとしては、少ないモル量
、例えば1〜10モル%のコポリマーモノマーが、C3−C22の非共役ジオレフ
ィン等のα,ω−ジエンであるもの(例えば、イソブチレンとブタジエンとのコ
ポリマー、又はエチレン、プロピレンと1,4−ヘキサジエン又は5−エチリデ
ン
−2−ノルボルネンとのコポリマー)が挙げられる。欧州特許公開第490454号公
報に記載されているように、一般的に700〜5000のMnを有するアタクティックプ
ロピレンオリゴマーも、ポリエポキシド等のヘテロポリマーと同様に、使用する
ことができる。
オレフィンポリマーの一つの好ましいクラスの一つは、C4製油所流の重合に
より製造できるような、ポリブテン類、特に、ポリ−n−ブテン類である。オレ
フィンポリマーの他の好ましいクラスは、好ましくはエチレンを1〜50モル%、
より好ましくはエチレンを5〜48モル%含有するEAOコポリマーである。その
ようなポリマーは、1種以上のα−オレフィンを含有することができ、及び1種
以上のC3−C22ジオレフィンを含有することができる。さらに有用なのは、様
々なエチレン含有量のEAOの混合物である。種々のポリマータイプ、例えばE
AO並びにMnの異なるポリマー群をまた、混合又は混和することができ;これ
らから誘導される成分をまた、混合又は混和することができる。
オレフィンポリマー及びコポリマーは、700〜5000のMnを有するのが好ましく
、2000〜5000がより好ましい。ポリマー分子量、特にMnを、種々の公知技術に
より測定することができる。好適な方法の一つは、ゲル濾過クロマトグラフィー
(GPC)であり、これにより、さらに分子量分布情報が提供される(W.W.Ya
u,J.J.Kirkland and D.D.Bly,“Modern Size Exclusion Liquid Chromato
graphy”,John Wiley and Sons,New York,1979を参照のこと)。特に低分子
量ポリマーに有用な別の方法は、蒸気圧浸透圧法である(例えばASTM D3592を参
照のこと)。
ポリマーの重合度Dpは、
Dp=Σ{(Mn×モノマーiのモル%)/(100×モノマーiのモル重量)}
i
であり、2つのモノマーのコポリマーのDpは、次式により計算できる。
DP=(Mn×モノマーlのモル%)/(100×モノマーlのモル重量)
+(Mn×モノマー2のモル%)/(100×モノマー2のモル重量)
本発明の好ましい観点において、本発明において使用されるポリマー主鎖の重
合度は、少なくとも45、一般的には50〜165、より好ましくは55〜140である。
特に好ましいコポリマーは、エチレンブテンコポリマーである。
本発明の好ましい観点において、オレフィンポリマー及びコポリマーを、メタ
ロセン触媒を用いる種々の触媒重合方法により製造できる。該触媒は、例えば、
次式で表されるかさ高いリガンド遷移金属化合物である。
〔L〕mM〔A〕n
式中、Lは、かさ高いリガンドであり;Aは脱離基であり、Mは遷移金属であり
、及びm及びnは、全リガンド価が遷移金属の原子価に対応するようなものであ
る。該触媒は、化合物がイオン化して1+価の状態になることができる4配位で
あるのが好ましい。
リガンドL及びAは互いに結合していてもよく、2つのリガンドA及び/又は
Lが存在するとき、それらは結合していてもよい。メタロセン化合物は、シクロ
ペンタジエニルリガンド又はシクロペンタジエニル誘導リガンドでありうる、2
つ以上のリガンドLを有するフルサンドイッチ化合物でありうるか又は該リガン
ドLを一つ有するハーフサンドイッチ化合物でありうる。リガンドは、単環式も
しくは多環式であるか又は遷移金属に対してη−5結合することができるあらゆ
る他のリガンドでありうる。
1種以上のリガンドは、遷移金属原子にπ−結合することができ、該原子は4
、5又は6族の遷移金属及び/又はランタノイド又はアクチノイド遷移金属であ
りうる。ジルコニウム、チタン及びハフニウムが特に好ましい。
リガンドは、置換又は無置換であってよく、及びシクロペンタジエニル環のモ
ノ−、ジ−、トリ−、テトラ−及びペンタ−置換が可能である。任意に、置換基
(群)は、リガンド及び/又は脱離基及び/又は遷移金属間で一以上の結合とし
て作用することができる。そのような結合は、一般的に、一以上の炭素、ゲルマ
ニウム、シリコン、リン又は窒素原子−含有基を含有し、及び好ましくは該結合
が、被結合物間に1原子結合を配置するが、その原子は他の置換基を有すること
12ができ、かつしばしば有する。
メタロセンはまた、さらに置換可能なリガンド、好ましくは助触媒−脱離基−
により置換したリガンドを含むことができる。該助触媒は一般的に、広範囲のヒ
ドロカルビル基及びハロゲンから選ばれる。
そのような重合、触媒、及び助触媒又は活性剤は、例えば、米国特許第453091
4号、4665208号、4808561号、4871705号、4897455号、4937299号、4952716号、5
017714号、5055438号、5057475号、5064802号、5096867号、5120867号、5124418
号、5153157号、5198401号、5227440号、5241025号明細書;欧州特許公開第1293
68号、277003号、277004号、420436号、520732号公報;及び国際公開第91/04257
号、92/00333号、93/08199号、93/08221号、94/07928号及び94/13715号公報に記
載されている。
油溶性高分子炭化水素主鎖を機能化して、官能基を、ポリマーの主鎖に、又は
ポリマー主鎖から垂れ下がっている一以上の基として含ませることができる。官
能基は、一般的に、極性であり、かつP、O、S、N、ハロゲン、又はホウ素等
の一以上のヘテロ原子を含む。該官能基を、置換反応を介して油溶性高分子炭化
水素主鎖の飽和炭化水素部に、又は付加もしくは環付加反応を介してオレフィン
部に結合することができる。又、該官能基を、ポリマー鎖末端の酸化又は開裂に
よりポリマーに含ませることができる(例えば、オゾノリシス(ozonolysis)によ
る)。
有用な機能化反応としては、以下のものが挙げられる:オレフィン結合におけ
るポリマーのハロゲン化及び続いて起こる、そのハロゲン化したポリマーと、エ
チレン性不飽和官能化合物との反応(例えば、ポリマーとマレイン酸又は無水物
とが反応するマレエート化);ハロゲン化を伴わない“エン(ene)”反応による
、ポリマーと不飽和官能化合物との反応;ポリマーと少なくとも1種のフェノー
ル基との反応(これにより、マンニッヒ塩基タイプ縮合において誘導体化ができ
る);コッホタイプ反応を用いる、不飽和点におけるポリマーと一酸化炭素との
、イソ又はネオ位にカルボニル基を導入する反応;遊離基触媒を用いる遊離基付
加による、ポリマーと機能化する化合物との反応;チオカルボン酸誘導体との反
応;及びポリマーの空気酸化法、エポキシ化、クロロアミン化、又はオゾノリシ
スに
よるポリマーの反応。
次に、機能化した油溶性高分子炭化水素主鎖を、アミン、アミノアルコール、
アルコール、金属化合物又はそれらの混合物等の求核反応体によりさらに誘導し
て、対応する誘導体を形成する。機能化したポリマーを誘導するのに有用なアミ
ン化合物は、少なくとも一種のアミンを含有し、及び一種以上のアミン又は他の
反応基又は極性基をさらに含有することができる。これらのアミン類は、ヒドロ
カルビルアミン類であるか、又はヒドロカルビル基が、他の基、例えば、ヒドロ
キシ基、アルコキシ基、アミド基、ニトリル、イミダゾリン基等を含む、主とし
てヒドロカルビルのアミンであってよい。特に有用なアミン化合物としては、モ
ノ−及びポリアミン、例えば、分子内の全炭素数が、約2〜60、一般的には2
〜40(例えば、3〜20)及び窒素原子数が、約1〜12、一般的には3〜1
2、及び好ましくは3〜9のポリアルキレン及びポリオキシアルキレンポリアミ
ン類が挙げられる。アルキレンジハライドとアンモニアとの反応により製造され
るようなアミン化合物の混合物を、有利に使用することができる。好ましいアミ
ンは、例えば、1,2−ジアミノエタン;1,3−ジアミノプロパン;1,4−
ジアミノブタン;1,6−ジアミノヘキサン;ジエチレントリアミン、トリエチ
レンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン等のポリエチレンアミン;並び
に1,2−プロピレンジアミン及びジ−(1,2−プロピレン)トリアミン等の
ポリプロピレンアミンを含む脂肪族飽和アミンである。
他の有用なアミン化合物としては、以下のものが挙げられる:1,4−ジ(ア
ミノメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジアミン類、及びイミダゾリン等の複素
環式窒素化合物。特に有用なクラスのアミン類は、米国特許第4,857,217号;4,9
56,107号;4,963,275号及び5,229,022号明細書に開示されているポリアミド及び
関連するアミド−アミン類である。米国特許第4,102,798号;4,113,639号;4,11
6,876号明細書;及び英国特許第989,409号公報に記載されているトリス(ヒドロ
キシメチル)アミノメタン(THAM)もまた有用である。デンドリマー、星状
アミン類、及び櫛形アミン類もまた使用することができる。同様に、米国特許第
5,053,152号明細書に開示されている縮合アミンを使用することができる。機能
化したポリマーとアミン化合物とを、欧州特許公開第208,560号公報
;米国特許第4,234,435号及び5,229,022号明細書に記載されている従来技術に従
って反応させる。
機能化した油溶性高分子炭化水素主鎖をまた、一価及び多価アルコール等のヒ
ドロキシ化合物又はフェノール類及びナフトール類等の芳香族化合物により誘導
することができる。多価アルコールとしては、例えば、アルキレン基が炭素原子
を2〜8個含有するアルキレングリコール類が好ましい。他の有用な多価アルコ
ールとしては、グリセロール、グリセロールのモノ−オレエート、グリセロール
のモノステアレート、グリセロールのモノメチルエーテル、ペンタエリトリトー
ル、ジペンタエリトリトール及びそれらの混合物が挙げられる。エステル分散剤
はまた、アリルアルコール、シンナミルアルコール、プロパルギルアルコール、
1−シクロヘキサン−3−オール、及びオレイルアルコール等の不飽和アルコー
ルから誘導される。無灰分散剤を得ることができるアルコールの他のクラスは、
例えば、オキシ−アルキレン、オキシアリーレンを含むエーテル−アルコールを
含む。それらは、150個までオキシ−アルキレン基を有するエーテル−アルコー
ルにより例示することができ、該アルキレン基は炭素原子を1〜8個含有する。
エステル分散剤は、コハク酸のジ−エステル又は酸性エステル、即ち、部分的に
エステル化したコハク酸;並びに部分的にエステル化した多価アルコール類又は
フェノール類、即ち、遊離アルコール又はフェノール性ヒドロキシ基を有するエ
ステルであってよい。エステル分散剤は、例えば米国特許第3,381,022号明細書
に具体的に示されているような数種の公知方法の一つにより製造できる。
無灰分散剤の好ましい基としては、コハク酸無水物基で置換し、ポリエチレン
アミン類(例えばテトラエチレンペンタアミン)、トリスメチロアミノメタン等
のアミノアルコール並びにアルコール及び反応性金属、(例えばペンタエリトリ
トール、及びそれらを組み合わせたもの)等の任意の追加反応体と反応させたも
のが挙げられる。米国特許第3,275,554号及び3,565,804号明細書に示されている
方法により、ポリアミンを主鎖に直接結合した分散剤もまた有用であり、この場
合、ハロゲン化炭化水素上のハロゲン基は、種々のアルキレンポリアミン類で置
換されている。
無灰分散剤の別のクラスは、マンニッヒ塩基縮合生成物を含有する。一般的に
、
これらは、アルキル−置換モノ−又はポリヒドロキシベンゼンの約1モルと、カ
ルボニル化合物(例えば、ホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒド)の約1
〜2.5モル及び例えば米国特許第3,442,808号明細書に開示されている、ポリアル
キレンポリアミンの約0.5〜2モルとを縮合させることにより製造される。その
ようなマンニッヒ縮合生成物は、ベンゼン基上の置換基としてメタロセン触媒重
合のポリマー生成物を含むことができ、又は米国特許第3,442,808号明細書に示
されているのと類似の方法で、コハク酸無水物上で置換した該ポリマーを含有す
る化合物と反応させることができる。
メタロセン触媒系を用いて合成されるポリマーに基づいて機能化した及び/又
は誘導したオレフィンポリマーの例としては、上記の刊行物に記載されているも
のが挙げられる。
米国特許第3,087,936号及び3,254,025号明細書に一般的に教示されているよう
な、ホウ酸塩化(boration)等の種々の従来の後処理法により、分散剤をさらに
後処理することができる。これは、アシル窒素含有分散剤を、アシル化窒素組成
物1モル当たり約0.1原子比のホウ素〜アシル化窒素組成物の窒素の1原子比当
たり約20原子比のホウ素となる量の、酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸及
びホウ酸のエステルからなる群から選ばれるホウ素化合物で処理することにより
容易に行うことができる。。分散剤は、ホウ酸塩化アシル窒素化合物の全重量を
基準として、約0.05〜2.0重量%、例えば、0.05〜0.7重量%のホウ素を含有する
のが有用である。ホウ素は、脱水したホウ酸ポリマーの生成物(主に(HBO2)3
)として生成物中に現れ、例えば、ジイミドのメタボラート塩のようなアミン塩
として、分散剤イミド類及びジイミド類に結合すると思われる。ホウ酸塩化は、
ホウ素化合物、好ましくはホウ酸の約0.05〜4重量%、例えば、1〜3重量%(
アシル窒素化合物の重量を基準とする)を、通常はスラリーとしてアシル窒素化
合物に添加し、135℃〜190℃、例えば、140℃〜170℃まで、1〜5時間攪拌しな
がら加熱し、その後窒素を除去することにより容易に実施される。又、ジカルボ
ン酸材料とアミンとの加熱反応混合物に、水を除去しながらホウ酸を添加するこ
とにより、ホウ素処理を行うことができる。
C.粘度改良剤
本発明で使用する粘度改良剤は、潤滑オイルに高温及び低温作動性を付与する
働きをする。使用するVMは、その機能のみを有していてもよく、又は多機能で
あってもよい。
分散剤としても働く多機能粘度改良剤はまた、公知であり、及び無灰分散剤に
について上に記載されているように製造することができる。油溶性高分子炭化水
素主鎖は、通常、20,000から、より一般的には20,000から500,000まで又はそれ
以上のMnを有する。一般的に、これらの分散剤粘度改良剤は、機能化されたポ
リマー(例えば、マレイン酸無水物等の活性モノマーで後からグラフトしたエチ
レン−プロピレンのインターポリマー)であり、次に、例えばアルコール又はア
ミンで誘導体化したものである。
単機能粘度改良剤として使用するのに適切な化合物群は、一般的に、高分子量
の炭化水素ポリマーであり、ポリエステル類が含まれる。油溶性粘度改良ポリマ
ーは、一般的に、約10,000〜1,000,000、好ましくは20,000〜500,000の重量平均
分子量を有し、その分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィーにより(上に記載し
たように)又は光散乱により測定することができる。
適切な粘度改良剤の例としては、ポリイソブチレン、エチレンとプロピレン及
び更に分子量の大きいα−オレフィンとのコポリマー、ポリメタクリレート、ポ
リアルキルメタクリレート、メタクリレートコポリマー、不飽和ジカルボン酸と
ビニル化合物とのコポリマー、スチレンとアクリルエステルとのインターポリマ
ー、並びにスチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエン、及びイソプレン/ブ
タジエンの部分的に水素化したコポリマー、並びにブタジエン及びイソプレン及
びイソプレン/ジビニルベンゼンの部分的に水素化したホモポリマーが挙げられ
る。
本発明の第1の観点において、粘度改良剤は、添加剤の上記カテゴリーから、
本発明のオイルのマルチグレード粘度要求を得られるような量で、本発明の他の
制限の範囲内で任意に選ぶことができる。本発明の第2の観点のオイルの場合、
粘度改良剤は比較的高いSSIを有し、そのような粘度改良剤は、特に経済的及び
効果的であるとの理由から、ポリイソブチレン又はエチレンとプロピレン又は分
子量の大きいα−オレフィンとのコポリマーであるのが好ましい。本発明の第3
の観点においては、特に高い剪断安定性を有するオイルに、5以下のSSIを有
する、非常に剪断安定な粘度改良剤をブレンドすることができ、そのような粘度
改良剤には、特に水素化したポリイソプレンスターポリマー及び水素化したスチ
レン−イソプレンブロックコポリマーが含まれる。このタイプの商業的に入手で
きる粘度改良剤の例には、Shell International Chemical社から、シェルビス(S
hellvis)(商標)200シリーズとして市販されている系統の製品がある。
本発明のあらゆる観点において使用する粘度改良剤は、必要な粘度特性を得る
量で使用される。一般的には、オイル溶液の形態で使用されるため、使用する添
加剤の量は、添加剤を含有するオイル溶液中のポリマー濃度に依存する。しかし
ながら、実例として、VMとして使用するポリマーの典型的なオイル溶液は、混
和したオイルの1〜30%の量で使用される。オイルの活性成分としてのVMの量
は、一般的に0.01〜6重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。
他の清浄剤防止剤パッケージ添加剤
追加の添加剤は、一般的に、本発明の組成物に含まれる。そのような添加剤の
例としては、金属又は灰含有清浄剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、摩擦改良剤、防錆
剤、起泡抑制剤、乳化破壊剤、及び流動点降下剤が挙げられる。
金属−含有又は灰−形成清浄剤は、沈積物を低減させるか又は除去するための
清浄剤として及び酸中和剤又は防錆剤の両方として働き、それにより、摩耗及び
腐食を低減して、エンジンの寿命を長くする。清浄剤は、一般的に、長い疎水性
末端を有する極性頭部を含有し、該極性頭部は酸性有機化合物の金属塩を含有す
る。該塩は、実質的に金属の化学量論量を含有することができ、その場合、通常
、普通の又は中性塩として記載されており、及び一般的に、0〜80の全塩基数即
ちTBN(ASTM D2896により測定することができる)を有することができる。酸
化物又は水酸化物等の過剰の金属化合物と、一酸化炭素等の酸性ガスとを反応さ
せることによる多量の金属塩基を含むことができる。得られる過塩基化清浄剤は
、金属塩基(例えば、炭酸塩)ミセルの外層として中和した清浄剤を含有する。
そのような過塩基化清浄剤は、150以上、及び一般的には250〜450又はそれ以上
のTBNを有することができる。
使用することができる清浄剤としては、油溶性中性及び過塩基化スルホネート
類、フェナート類、硫化フェナート類、チオホスホネート類、サリチレート類、
及びナフテネート類並びに金属、特にアルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、
ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、及びマグネシウムの、他の油溶
性カルボキシレート類が挙げられる。最も一般的に使用されている金属は、両方
とも潤滑剤中で使用されている清浄剤に存在することができるカルシウムとマグ
ネシウム、及びカルシウム及び/又はマグネシウムとナトリウムとの混合物であ
る。特に便利な金属清浄剤は、20〜450 TBNのTBNを有する中性及び過塩基
化カルシウムスルホネート類、及び50〜450のTBNを有する中性及び過塩基化
カルシウムフェナート類及び硫化フェナート類である。
スルホネート類は、石油の分別物により、又は芳香族炭化水素のアルキル化に
より得られるもののようなアルキル置換芳香族炭化水素をスルホン化することに
より、一般的に得られるスルホン酸から製造することができる。例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニル又は、クロロベンゼン、クロ
ロトルエン及びクロロナフタレン等のそれらのハロゲン誘導体をアルキル化する
ことにより得られるものが挙げられる。アルキル化は、触媒の存在下、炭素数が
約3〜70を超すアルキル化剤により行うことができる。アルカリールスルホネー
トは、通常、アルキル置換芳香族基当たり、約9〜約80又はそれ以上の炭素原子
を、好ましくは約16〜約60個の炭素原子を含有する。
油溶性スルホネート類又はアルカリールスルホン酸は、金属の酸化物、水酸化
物、アルコキシド、カルボネート、カルボキシレート、スルフィド、ヒドロスル
フィド、ニトレート、ボラート及びエーテルにより中和することができる。金属
化合物の量は、最終生成物の所望のTBNに関して選ばれるが、一般的には、化
学量論的に要求される量の約100〜220重量%(好ましくは少なくとも125重量%
)の範囲である。
フェノール類及び硫化フェノール類の金属塩を、酸化物又は水酸化物等の適切
な金属化合物との反応により製造することができ、及び中性又は過塩基化生成物
は、当該分野において周知の方法により得ることができる。硫化フェノール類は
、
フェノールと、硫黄又は硫化水素、一ハロゲン化硫黄又は二ハロゲン化硫黄等の
硫黄含有化合物とを反応させ、一般的に、2以上のフェノール類が硫黄含有結合
により結合している化合物の混合物である生成物を形成することにより製造する
ことができる。
ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩は、しばしば、耐摩耗剤及び酸化防止剤
として使用される。金属は、アルカリもしくはアルカリ土類金属、又はアルミニ
ウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケルもしくは銅であってよい。亜
鉛塩は、潤滑オイル組成物の全重量を基準として、0.1〜10重量%、好ましくは0
.2〜2重量%の量で、最も一般的に、潤滑オイル中で使用されている。該塩を、
公知技術に従って製造することができ、まず、通常は、1種以上のアルコール又
はフェノールとP2S5とを反応させることによりジヒドロカルビルジチオリン酸(
DDPA)を形成し、次に、形成したDDPAを亜鉛化合物により中和する。例
えば、ジチオリン酸は、第一及び第二アルコールの混合物を反応させることによ
り製造することができる。又、あるもののヒドロカルビル基は完全に二級の性質
であり、他のもののヒドロカルビル基は完全に一級の性質である、多数のジチオ
リン酸を製造することができる。亜鉛塩を、塩基性又は中性にするために、亜鉛
化合物を使用することができるが、酸化物、水酸化物及び炭酸塩が最も一般的に
使用されている。市販の添加剤は、しばしば、中和反応において過剰の塩基性亜
鉛化合物を使用するために、過剰の亜鉛を含んでいる。
好ましいジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジチオカルビルジチオリン酸
の油溶性塩であり、次式で表すことができる。
式中、R及びR’は、同じか又は異なるヒドロカルビル基でよく、炭素原子を1
〜18、好ましくは2〜12個含有し、アルキル、アルケニル、アリール、アリ
ールアルキル、アルカリール及び脂環式基を含む。R及びR’基として特に好ま
しいのは、炭素数2〜8のアルキル基である。このように、基は、例えば、エチ
ル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec-ブチル、アミ
ル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、オクタデ
シル、2−エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メチ
ルシクロペンチル、プロペニル、ブテニルであってよい。油溶性となるように、
ジチオリン酸の全炭素数(即ちR及びR’)は、一般的に約5以上とする。それ
故、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有
することができる。ヒドロカルビル基をジチオリン酸に導入するために使用され
る、少なくとも50(モル)%のアルコールは、都合のよいことに、第二アルコー
ルである。
酸化防止剤又は抗酸化剤により、使用により鉱物オイルが劣化する傾向を低減
させるが、そのような劣化は、金属表面上のスラッジ及びワニス状沈積物等の酸
化生成物により、及び粘度増加により明らかとなり得る。そのような酸化防止剤
には、ヒンダードフェノール類、好ましくはC5−C12アルキル側鎖を有するア
ルキルフェノールチオエステル類のアルカリ土類金属塩、カルシウムノニルフェ
ノールスルフィド、無灰油溶性フェナート類及び硫化フェナート類、リン硫化(p
hosphosulfurized)又は硫化炭化水素、リン酸エステル類、金属チオカルバメー
ト、米国特許第4,867,890号明細書に記載されているような油溶性銅化合物、及
びモリブデン含有化合物が含まれる。
1つのアミン窒素に直接結合している少なくとも2つの芳香族基を有する一般
的な油溶性芳香族アミンは、炭素原子を6〜16個含有する。アミン類は、3個
以上の芳香族基を含有することができる。全部で少なくとも3つの芳香族基を有
する化合物であって、2つの芳香族基は共有結合により又は原子もしくは基(例
えば、酸素もしくは硫黄原子、又は−CO−、−SO2−もしくはアルキレン基
)により結合しており、及び2つが1つのアミン窒素に直接結合しているものも
、芳香族アミンとみなされる。芳香環は、一般的に、アルキル、シクロアルキル
、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アシルアミノ、ヒドロキシ及びニトロ
基から選ばれる1種以上の置換基により置換されている。
摩擦改良剤を含ませて、燃料経済性を向上させることができる。油溶性アルコ
シキル化モノ−及びジアミン類は、境界層潤滑を向上させることがよく知られて
いる。該アミン類を、そのまま、又は酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、メタボラ
ート、ホウ酸又はモノ−、ジ−もしくはトリアルキルボラート等のホウ素化合物
による付加物又は反応生成物のような形態で使用することができる。
他の摩擦改良剤が知られているが、これらの中でカルボン酸及び無水物とアル
カノールとを反応させることにより形成されるエステルがある。他の従来の摩擦
改良剤は、一般的に、親油性炭化水素鎖に共有結合している極性末端基(例えば
、カルボキシ又はヒドロキシ)を含む。カルボン酸及び無水物とアルカノールと
のエステルは、米国特許第4,702,850号明細書に記載されている。他の従来の摩
擦改良剤の例としては、M.Belzer著、“Journal of Tribology”(1992),Vol.
114,pp.675-682及びM.Belzer and S.Jahanmir著“Lubrication Science”(19
88),Vol.1,pp.3-26に記載されているものがあげられる。
非イオン性ポリオキシアルキレンポリオール類及びそれらのエステル類、ポリ
オキシアルキレンフェノール類、及び陰イオン性アルキルスルホン酸からなる群
から選ばれる防錆剤を使用することができる。
銅及び鉛を有する腐食抑制剤を使用することができるが、一般的には、本発明
の配合に必要ではない。一般的にそのような化合物群は、炭素数5〜50のチアジ
アゾールポリスルフィド類、それらの誘導体及びそれらのポリマーである。米国
特許第2,719,125号;2,719,126号及び3,087,932号明細書に記載されているよう
な1,3,4−チアジアゾール類が一般的である。他の同様な化合物は、米国特
許第3,821,236号;3,904,537号;4,097,387号;4,107,059号;4,136,043号;4,1
88,299号;及び4,193,882号明細書に記載されている。他の添加剤は、英国特許
明細書第1,560,830号に記載されているようなチアジアゾールのチオ及びポリチ
オスルフェンアミド類である。ベンゾチアゾール誘導体はまた添加剤のこのクラ
スに分類される。これらの化合物群が潤滑組成物に含まれるとき、それらは、0.
2重量%活性成分を超えない量で存在するのが好ましい。
少量の乳化破壊成分を使用することができる。好ましい乳化破壊成分は、欧州
特許330,522号公報に記載されている。該成分は、アルキレンオキシドと、ビス
エポキシドと多価アルコールとを反応させることにより得られる付加物とを反応
させることにより得られる。乳化破壊剤は、0.1重量%活性成分を超えない値で
使用すべきである。処理割合0.001〜0.05重量%活性成分が都合がよい。
流動点降下剤は、或いは潤滑オイル流動性向上剤として知られており、該流体
が流動するか又は注ぐことができる最低温度を低くする。そのような添加剤は周
知である。流体の低温流動性を向上させる典型的な添加剤としては、炭素数8〜
18のジアルキルフマレート/ビニルアセテートコポリマー、及びポリアルキルメ
タクリレートが挙げられる。
起泡制御は、シリコンオイル又はポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン
タイプの起泡抑制剤を含む多くの化合物により提供することができる。
上記添加剤の幾つかは、複数の効果を提供することができる;したがって、例
えば、単一の添加剤が分散剤−酸化防止剤として作用することができる。このア
プローチは、周知のものであり、かつ本明細書中にさらに詳しく述べる必要がな
い。
潤滑組成物が一種以上の上記添加剤を含有するとき、各添加剤は、一般的に、
添加剤が所望の機能を提供できるような量でベースオイルに混合される。クラン
クケース潤滑オイルに使用した場合の、そのような添加剤の効果的な量の例は、
以下のようである。ここで、全ての値は有効成分の重量%として示されている。
成分を任意の便利な方法でベースオイルに含ませることができる。このように
、所望の濃度でオイルに分散させるか又は溶解させることにより、各成分をオイ
ルに直接添加することができる。そのような混合は、室温又は高温下で行うこと
ができる。
粘度改良剤及び流動点降下剤を除く全ての添加剤をブレンドして、濃厚物又は
清浄剤抑制剤パッケージとして本明細書に記載した添加剤パッケージとし、これ
を、続いてベースストックに混合して最終潤滑剤を製造する。そのような濃厚物
を使用することが便利である。該濃厚物は、一般的に、該濃厚物と所定量のベー
ス潤滑剤とを組み合わせたときに、最終的な配合物において所望の濃度を提供す
るのに適切な量で添加剤(群)を含有するように配合する。
濃厚物は、米国特許第4,938,880号明細書に記載されている方法に従って製造
するのが好ましい。その特許には、約100℃以上の温度で前混合して、無灰分散
剤と金属清浄剤とのプレミックスを調製することが記載されている。その後、プ
レミックスを85℃以下まで冷却して、追加成分を添加する。
最終配合は、濃厚物又は添加剤パッケージが、2〜15重量%、好ましくは5〜
10重量%、一般的には約7〜8重量%であり、残部がベースオイルであってよい
。
以下の実施例により、本発明を具体的に説明する。実施例において、他に具体
的に説明しない限り、全添加剤の全処理割合は、重量%活性成分として記載した
。実施例 実施例1〜5及び比較例1
API SH/CD規格に適合する一連の15W/40マルチグレードクランクケ
ース潤滑オイルを、鉱物ベースストック、無灰分散剤、ZDDP、酸化防止剤、
金属−含有清浄剤、摩擦改良剤、乳化破壊剤、及び起泡抑制剤を含有する清浄剤
防止剤パッケージ(DIパッケージ)及びこれらとは分けた25SSIを有するエ
チレン−プロピレンコポリマーのオイル溶液である粘度改良剤から、様々な処理
割合を用いて製造した。比較例1では、従来のホウ酸塩化ポリイソブテニルスク
シンイミド分散剤(PIBSA/PAM)を使用したが、実施例1〜4では、コ
ッホ反応によりカルボニル基を導入することにより機能化した、エチレン/ブテ
ンコポリマー主鎖(GPCにより測定したMnは2400であり、エチレン含有量は3
9モル%、末端ビニリデンは64%である)であって、ポリアミンによる反応及び
ホウ酸塩化(EBCO/PAM)を行ったものを有する無灰分散剤を使用した。
そのような無灰分散剤の製造は、国際公開第94/13709号公報に記載されている。
様々な無灰分散剤を異なる処理割合で使用した。各オイルについてのkV100℃
を測定し、次いでカート−オーバーン試験を行ってオイル剪断安定性を決定した
。結果を次の表(表1)に示す。
比較例1から、従来のPIBSA/PAM分散剤を使用した場合、剪断後の粘
度が12.5mm2/sより大となることを確実とするためには、初期kV100℃が14mm2
/sより大きくなるようオイルにSSIが25のオレフィンコポリマーVMをブレン
ドする必要があることが示される。実施例1は、同一の処理割合を使用して
いるが、EBCO/PAM分散剤を、著しく減量したVMと組み合わせて使用し
ており、本発明により優れたオイル剪断安定性が得られることを示している。得
られた結果は、VMの量を更に減少させて初期kV100℃を低下させることが可
能であることを示しており、その結果燃料経済性が非常に向上したオイルを得る
ことが可能となる。実施例1はまた、比較例1よりも高いMnのポリマーから分
散剤を製造したにもかかわらず、得られるオイルの剪断安定性を改良することが
可能であることを示している。実施例1のオイルは、剪断後においてSAE 40Eグ
レードの要求を満たしている。実施例2、3及び5は、多数の異なる分散剤を使
用した、剪断後においてSAE 40グレードの要求を満たす、高い剪断安定性を有す
るオイルの更なる例である。
実施例4は、極めて良好なオイル剪断安定性を有するオイルであって、剪断前
は40グレードの粘度限界に近く、カート−オーバーン試験における剪断の間の
kV100℃の損失はわずかに3.4%である。VMの量を少し増加させることにより
、初期粘度を比較例1の場合の14mm2/s程度まで上げることなく、剪断後に該
オイルがSAE 40グレードの要求を満たすようにすることが可能であると考えられ
る。
比較例1及び実施例5を、特にオイルの分散性能を測定し、それによりオイル
内の分散剤系の有効性を測定する連続VEエンジン試験(ASTM STP 315)におい
て試験した。主要な測定はスラッジ及びワニスの制御である。API SH性能を達成
することを目的とするVEエンジンにおける合格基準は、スラッジが9.0又はそ
れ以上であること及びワニスが5.0又はそれ以上であることである。得られた結
果を次の表(表2)に示す。
結果から、本発明のオイルは、無灰分散剤のレベルが比較的低いにもかかわら
ず優れた分散性を有するのに対し、比較例1のオイルはスラッジ又はワニスのい
ずれの評価についてもVE試験に合格しないことが示されている。実施例6 − オイル剪断安定性が非常に高いオイル
10W/40マルチグレードクランクケース潤滑オイルを、鉱物ベースストック、
水素化分解した鉱物ベースストック、無灰分散剤、ZDDP、酸化防止剤、金属
−含有清浄剤、摩擦改良剤、乳化破壊剤、及び起泡抑制剤を含有する清浄剤防止
剤パッケージ(DIパッケージ)及びこれらとは分けた、Shell International
Chemical社から、シェルビス(Shellvis)(商標)201として入手可能な水素化し
たポリイソプレンスターポリマーのオイル溶液である粘度改良剤を用いて、ブレ
ンドした。オイルのkV100℃粘度を測定し、次いでカート−オーバーン試験を
行ってオイル剪断安定性を決定した。結果を次の表(表3)に示す。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C10N 30:04
40:25
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),AU,CA,JP,SG
(72)発明者 アダムス ディヴィッド ロバート
イギリス オックスフォードシャー エス
エヌ7 8アールエヌ ファーリングドン
ヒントン ウォールドリスト ハイ ス
トリート コーナーストーンズ (番地な
し)
(72)発明者 ブライス ポール
イギリス オックスフォードシャー オー
エックス14 3アールティー アービング
ドン ガーリー フィールド 22