JPH10504308A - 腫瘍細胞の選択的な破壊方法 - Google Patents

腫瘍細胞の選択的な破壊方法

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JPH10504308A JP8507577A JP50757796A JPH10504308A JP H10504308 A JPH10504308 A JP H10504308A JP 8507577 A JP8507577 A JP 8507577A JP 50757796 A JP50757796 A JP 50757796A JP H10504308 A JPH10504308 A JP H10504308A
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Abstract

(57)【要約】 神経系および末梢の腫瘍細胞を選択的に死滅させる方法を提供する。ウイルスベクターを腫瘍細胞中でシトクロムP450遺伝子を選択的に発現させるために用い、該遺伝子の産物は該細胞を化学療法剤に対して感受性にすることにより該細胞を選択的な死滅の標的とさせる。

Description

【発明の詳細な説明】 腫瘍細胞の選択的な破壊方法 連邦後援の研究および開発の下でなされた発明の権利に関する陳述 米国政府は本発明において支払い済みの認可および、国立衛生保健機関によっ て付与された認可番号NS−24279およびCA−49248の条件によって 提供されたように、合理的な条件他人に認可を与えるため特許権者に必要な限定 条件における権利を有する。 発明の背景 発明の技術分野 本発明はウイルスベクターを利用した腫瘍細胞の破壊に関する。より詳しくは 、本発明は薬剤−条件的な『殺害』機能を有する遺伝子を運搬するウイルスベク ターを利用した腫瘍細胞の破壊に関する。 関連技術の記載 新生(Neoplasia)は細胞の増殖および分化を調節する正常の制御メカニズム が損なわれることによって増殖が亢進する作用である。この制御の欠如は腫瘍を 亢進的に増殖させ、大きくしついで身体の活力ある部分に場所を占めるようにさ せる。もし該腫瘍が周囲の組織を侵し、離れた部位に転移されるなら、この腫瘍 の傾向が固体の死という結果となるであろう。 米国の全ての人の3分の1が癌になるであろう(1990年のアメリカン・キ ャンサー・ソサイエティー・イヤーリー・アウトルック(American Cancer S ociety Outlook))。これらの患者の5年生存率は、該疾患の進歩的そして初 期の診断および治療法の結果、殆ど50%にまで上昇した(1990年のアメリ カン・キャンサー・ソサイエティー・イヤーリー・アウトルック)。しかしなが ら、癌は、いまだこの国における死因として、心臓疾患に続く第2位のままであ る(1990年のアメリカン・キャンサー・ソサイエティー・イヤーリー・アウ トルック)。今年亡くなるであろう全ての米国人のうちの殆ど20%が癌で死亡 するで あろう(1990年のアメリカン・キャンサー・ソサイエティー・イヤーリー・ アウトルック)。これらの死のうちの半分は3つの最もありふれたタイプの癌; 肺癌、乳癌および結腸癌によるであろう。 近年、癌治療法の急速な発展がある。たとえ新治療法が開発されるとしても、 必要性はなお、癌のたいていのタイプの改良された治療法のために存在する。 正常細胞に有害な効果を及ぼさずに癌細胞を優先的に殺すことが癌治療におけ る望ましい目的である。過去に、これは多様な手法を用いて果たされている。こ れらの手法には化学薬品の投与、化学療法、放射線、放射線療法および外科手術 を含む。 放射線療法は局部癌の制御に使用される治療法の局部形態である(デビタ(D evita,V.T.)、ハリソンズ・プリンシプルズ・オブ・インターナル・メディ シン(Harrison's Principles of Internal Medicine)中、ブラウンオルド (Braunwald)ら、編、マックグロウ・ヒル・インク(McGraw-Hill Inc.) 、ニューヨーク、1987、431−446ページ参照)。放射線療法はいくら かの悪性疾患が放射線照射によって損傷を一層受け易いという事実に依存してい る。この受け易さにおける相違は、腫瘍細胞より正常細胞が細胞内修復の高い能 力を有することおよび正常な器官が部分的に損傷を受ける場合、該器官のうまく 機能し続ける能力に依存する。周辺組織が所定の腫瘍の照射量の2倍を耐えるこ とができるならば、該腫瘍は放射線感受性である。他方、腫瘍のうちの幾分かは 放射線療法で治療することができない。両肺に広範にかかわる癌は、周辺の肺組 織の一層高い放射線感受性のために。放射線療法で効果的に治療されることがで きない(デビタ、ハリソンズ・プリンシプルズ・オブ・インターナル・メディシ ン中、ブラウンォルド(Braunwald)ら、編、マックグロウ・ヒル・インク、ニ ューヨーク、1987、431−446ページ参照)。 外科手術は最も初期の癌の主な治療法であるといまなお考えられている(上記) 。しかしながら、殆どの癌は手術可能ではあるが、完全には切除できない。切除 可能なようにみえる腫瘍のいくらかは腫瘍範囲外に微小転移(micrometastatic )疾患を有する。この結果により、該癌の最初の発生部位の近くに再発する。転 移 のレベルを示す癌は、効果的には外科手術によって治療されることはできない。 局所療法(全身的ではない)の他のタイプが調査されている。これらの局所的 な低温(サロマン(Saloman)ら、J.Neuro-Oncol.1:225−236( 1983))、光熱動学療法(photodynamic therapy)(チェン(Cheng)ら、 Surg.Neurol.25:423−435(1986))および組織内照射(inte rstitial radiation)(グチン(Gutin)ら、J.Neurosurgery 67:864 −873(1987))を含む。現在まで、これらの療法は制限されて成功して いる。 放射線療法および外科手術は、外科手術の技術または放射線療法の高投与によ って利用することができる身体の特定の領域にある腫瘍の大きさを減じる方法を 提供する。殆どの癌患者において特徴的に存在する広く分布するかまたは循環す る腫瘍細胞の破壊に応用できるものはない。これは化学療法などの癌の身体的な 治療法の発展の刺激である。 癌化学療法剤の使用は、たとえ広く使用されていても、殆どのタイプの癌の治 療に限られた効果を提供する。いくらかの特殊なタイプの腫瘍(例えば、幼年性 白血病)の治療において顕著な成功が従来の化学療法で達成されているが、固形 腫瘍の治療においてはより限られた成功しか得られない。この失敗は、主に多く の抗癌剤の低い治療指針のため、ならびに腫瘍細胞をしばしば特徴付ける本来の また後天的な薬剤耐性のためである。他の癌治療のための細胞毒性薬剤の使用に おける欠点は、それらの深刻な副作用である。これには、悪心、嘔吐、CNS抑 圧、局所痛、骨髄抑圧、出血、腎障害、低および高血糖症および過敏性反応(hy persensitivity reactions)を含む。他の欠点は、それらが急速に分裂する細胞 に対してのみ有効であるということである。 器官依存性化学療法は延長された期間、一層高い濃度である薬剤を運搬するた め複数モデルの治療法の構成要素として約束守る。しかしながら、現在、このよ うな持続的な抗癌剤の静脈注射は何の明らかな利益も示さない。 一層現代的な化学療法のアプローチは癌細胞自身に対して毒性の薬剤に向けら れる。これは化学療法剤を抗体または正常細胞より腫瘍細胞に高いアフィニティ ーを有する毒性分子に結合させることによって実験的に達成される。これらの指 示された毒性の小球はなお開発の初期臨床段階にあり、市販されていない。 明らかに、新しいアプローチが化学療法剤が悪性腫瘍細胞を殺すことができ、 同時に全身的毒性を回避することができる効果を増強するために必要である。 あるタイプの癌(例えば、ヒト脳において発生する最も一般的な主な腫瘍であ る神経膠腫)は現在の治療様式を受けつけない。外科手術、化学療法および放射 線療法にもかかわらず、神経膠腫の最もありふれたものである多形性膠芽腫は殆 ど例外なく致命的である(ショーエンバーグ(Shoenberg,B.S.)、『オンコ ロジー・オブ・ザ・ナーバス・システム(Oncology of the Nervous System )』中の『ザ・エピデミオロジー・オブ・ナーバス・システム・チューマーズ( The epidemiology of nervous system tumors)』、ウォーカー(M.D.Walker )、編、ボストン、マサチューセッツ、マルチナス・ニジョフ(Martinus Nij hoff)(1983);レビン(Levin)ら、『ネオプラズムズ・オブ・ザ・セン トラル・ナーバス・システム(Neoplasms of the Central Nervous System )、第46章、キャンサー(Cancer):プリンシプルズ・アンド・プラクティ ス・オブ・オンコロジー(Principles and Practice of Oncology)、第2巻 、第3版、デ・ビタ(De Vita)ら、編、リピンコット・プレス(Lippincott Press)、フィラデルフィア(1989)、1557−1611ページ)。 神経膠腫はすべての原発的脳腫瘍のほぼ40%を代表し、多形性膠芽腫は最も 悪性の形態を構築する(ショーエンバーグ、『オンコロジー・オブ・ザ・ナーバ ス・システム』中の『ザ・エピデミオロジー・オブ・ナーバス・システム・チュ ーマーズ』、ウォーカー、編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー (Cold Spring Harbor Laboratory)、コールド・スプリング・ハーバー、ニ ューヨーク(1983))。この高いグレードのタイプのアストロサイトーマを 有する人の5年生存率は、外科手術、放射線療法、および/または化学療法の現 在の治療様式を与えられた5%より低い(マハリー(Mahaley)ら、Neurosurg ery 71:826−836(1989):ショーエンバーグ、『オンコロジー・ オブ・ザ・ナーバス・システム』中の『ザ・エピデミオロジー・オブ・ナーバス ・ システム・チューマーズ』、ウォーカー、編、コールド・スプリング・ハーバー ・ラボラトリー、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1983) ;キム(Kim)ら、J.Neurosurg.74:27−37(1991)、ダウマス ・デュポート(Daumas-Duport)ら、Cancer 62:2152−2165(1 988))。 神経膠細胞の現在の化学療法に対する抵抗性は、この腫瘍のタイプの増殖の特 徴を反映していてよく、低いグレードのアストロサイトーマおよび中枢神経系( CNS)における他のタイプの転移性腫瘍の間に存在する(ナガシマ(Nagashim a)およびホシノ(Hoshino)、Acta Neuropathol.66:12−17(198 5))。ブロモデオキシウリジン標識指針(任意の与えられた瞬間にS期にある細 胞のパーセントを測定する)は膠芽腫において7.3%であり、低いグレードの アストロサイトーマにおいてより2から7倍高く、転移性腫瘍においてよりは低 い(ナガシマおよびホシノ、上記)。 現在の治療様式に対する相対的な膠芽腫の抵抗性を評価するのに有用である関 連媒介変数は成長分画、または任意の時点で腫瘍において増殖している細胞の相 対的な比率である。この腫瘍のタイプにおける成長分画は30%にすぎず、残り の細胞の70%はGo、休息期(Go期におる細胞は死んでいるか、活性細胞周期 に再び入るかもしれない;ヨシイ(Yoshii)ら、J.Neurosurg.65:659 −663(1986))にある一方、活発に分裂している膠芽腫細胞の30%は この腫瘍の致死への進行に貢献し、活動していない70%は、活発に増殖してい る細胞を標的化する複数の化学療法剤に対するこれらの腫瘍の抵抗性を担ってい る。 さらに、膠芽腫の外科手術様式は、腫瘍とその周辺実質の間の顕著な境界の欠 如および初期の部位から進展する白質索(tracts)における腫瘍細胞の転移によ って妨害され(バーガー(Burger)ら、J.Neurosurg.58:159−16 0(1983))、その完全な除去を不可能にする。 放射線療法はまた、これらの腫瘍における低い増殖分画ならびに近隣の正常組 織の放射線感受性のために限られた成功しか有さなかった(ウォウラ(Wowra) ら、Acta Neurochir.(ウイーン(Wien)99:104−108(1989 ));ザモラノ(Zamorano)ら、Acta Neurochir.Suppl.(ウイーン46: 90−93(1989))。 新しいアプローチが脳腫瘍を治療するのに必要である。 薬剤条件的な(drug-conditional)『殺す』機能を有する遺伝子を腫瘍治療す るのに使用するという提案がある。これは共に出願中の米国特許第07/895 ,364の内容であり、その全体を参照のため本明細書に包含する。特に、単純 ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)遺伝子の増殖細胞内での 発現は、デオキシヌクレオシド類似体、ガンシクロビル(ganciclovir)のため に、細胞の感受性を敏感にさせるという提案がある(ムールテン(Moolten)ら 、Cancer Res.46:5276−5281(1986);ムールテンら、Hum .Gene Ther.1:125−134(1990);ムールテンら、J.Natl.C ancer Inst.82:297−300(1990);ショート(Short)ら、J.N eurosci.Res.27:427−433(1990);エッゼジン(Ezzedine) ら、New Biol.3:608−614(1991);フリーマン(Freeman)ら 、J.Cell Biochem.16F:47(1992);クルバー(Culver)ら、 Science 256:1550−1552(1992);タカミヤ(Takamiya)ら 、J.Neurosci.Res.33:493−503(1992);ヤマダ(Yamada )ら、J.Cancer Res.83:1244−1247(1992);ラム(Ram )ら、Cancer Res.53:83−88(1993);オールドフィールド(O ldfield)ら、Hum.Gene Ther.4:39−69(1993);タカミヤら 、J.Neurosurg.79:104−110(1993);カルソ(Caruso)ら 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:7024−7028(1993) ;ボヴァイアツシス(Boviatsis)ら、Hum.Gene Ther.5:183−19 1(1994);チオッカ(Chiocca)ら、『ジーン・セラピューティックス( Gene Therapeutics)中、『バイラス−メディエーティッド・ジェネティック ・トリートメント・オブ・ローデント・グリオーマズ(Virus-Mediated Gene tic Treatment of Rodent Gliomas)』、ウォルフ(Wolff,J.A.)、編 、ビルク ハウザー・パブリッシャーズ(Birkhauser Publishers)、ボストン、マサチ ューセッツ(1994)、245−262ページ)。HSV−TKは細胞周期の 中でのDNA複製(S期)の間に、鎖の終結および細胞死に導く、DNA鎖へ組 み込まれるガンシクロビルのリン酸化を媒体する(エリオン(Elion,G.B.)、 J.Antimicr.Chemother.12,sup.B:9−17(1983)。 しかしながら、効果的ではあるが、薬剤にさらしている間のDNA複製への遺 伝子療法のこのタイプの依存性は、潜在的にその治療効果を制限してよい。例え ば、ヒト悪性脳腫瘍における細胞の多数は任意の一時にGo(休息期)にある( ナガシマら、Acta Neuropathol.66:12−17(1985):ヨシイら、 J.Neurosurg.65:659−663(1986))。さらに、ガンシクロビ ルはもともとはヘルペスウイルス感染の臨床治療に導入された(スミス(Smith )ら、Antimicrob.Agents Chemother.22:55−61(1982);ス ミー(Smee)ら、Antimicrob.Agents Chemother.23:676−682( 1980);それゆえ、癌治療におけるガンシクロビルの応用に関する詳細な生 化学的または薬理学的な研究が殆どない。 薬剤条件的な『殺す』機能を有する遺伝子の第2の例は、細菌シトシンデアミ ナーゼ遺伝子であり、相対的に非毒性5−蛍光ウラシル前駆体5−蛍光シトシン に化学的感受性を与える(ミュレン(Mullen)ら、Proc.Natl.Acad.Sci .USA 89:33−37(1992);フーバー(Huber)ら、Cancer R es.53:4619−4626(1993);ミュレンら、Cancer Res.54 :1503−1506(1994))。5−蛍光シトシンは、潜在的には癌遺伝 子療法に有用であるが、抗菌剤である(ベネット(Bennett,J.E.)、『グッ ドマン・アンド・ギルマンズ・ザ・ファーマコロジカル・ベーシス・オブ・セラ ピューティックス(Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics)中の『アンチミクロバイアル・エージェンツ(Antimicrobial Agents):アンチフュンガル・エージェンツ(Antifungal Agents)』、ギ ルマンら、編、第8巻、ペルガモン・プレス(Pergamon Press)、ニューヨー ク(1990)、1165−1181ページ)。従って、癌治療におけるこの薬 剤の適 用に関しての詳細な薬理学的な研究は殆ど報告されていない。 シクロホスファミド(CPA)およびそのイソ型類似体イフォスファミド(if osphamide)(IFA)はいくつかのタイプの腫瘍の癌化学療法の大黒柱である (コルビン(Colvin,O.M.)、『キャンサー・メディシン』中の『アルキレー ティング・エージェンツ・アンド・プラチナム・コンパウンズ(Alkylating A gents and Plutinum Compounds)、ホランド(Holland)ら、リー・アンド・ フェビガー・(Lea and Febiger)、フィラデルフィア、ペンシルベニア(1 993)、733−734ページ)。これらの治療学的に不活性なプロドラッグ はシトクロムP450ファミリーの肝臓特異的酵素によって生物活性化(bioact ivation)を必要とする。これらの酵素のうちの1つである、シトクロムP45 0 2B1は、フェノバルビタールによって誘発され、CPAおよびIFAを高 い効率で活性化する(クラーク(Clarke)ら、Cancer Res.49:2344 −2350(1989);ウェーバー(Weber)およびワックスマン(Waxman) 、Biochemical Pharmacology 45:1685−1694(1993))。C PAおよびIFAはシトクロムP450によって、それぞれ一次代謝物である4 −ヒドロキシシクロホスファミドまたは4−ヒドロキシイフォスファミドを産生 するようヒドロキシル化される。これらの一次代謝物は不安定で細胞毒性化合物 に自発的に分解される:アクロレイン(acrolein)およびホスホルアミド(また はイフォスホルアミド)マスタード(コルビン(Colvin)ら、Cancer Treat Rep.65:89−95(1981);スラデック(Sladek,N.E.)、『メ タボリズム・アンド・アクション・オブ・アンチキャンサー・ドラッグス(Met abolism and Action of Anticancer Drugs)』中の『オキサザホスホリンズ (Oxazaphosphorines)』、ポウィス(Powis)ら、編、テイラー・アンド・フ ランシス(Taylor and Francis)、ニューヨーク(1987)、48−90ペー ジ)。後者は、細胞周期の時期にかかわらずDNA中で鎖間の架橋を引き起こす 。最大の細胞毒性は、鎖の破壊のため細胞周期の続くS期および分裂期(M)に おいて得られる(コルビンら、(1993)、上記)。これらのオキサザホスホ リン抗癌剤の治療効率は、肝臓において形成された活性化された薬剤代謝物の全 身の分 布から得られる宿主の毒性によって限られる。 残念なことに、シクロホスファミドは主に血液脳関門を通過する活性化された 代謝物の輸送が貧弱なため、中枢神経系および細胞内への腫瘍を治療するには効 果がなく(ジェンカ(Genka)ら、Cancer Chemother.Pharmacol.27:1 −7(1990))、および脳および腫瘍細胞におけるシトクロムP450が非 常に低レベルによって効果が殆どない(ホドグソン(Hodgson)ら、Mol.Cel l.Biochem.120:171−179(1993))。 非CNSの悪性腫瘍の多くの場合(肝臓由来の活性のある薬剤代謝物に容易に 接近できる)でさえ、患者の身体毒性およびおそらくは死を引き起こさずに該腫 瘍を効果的に殺すため十分に高いレベルの薬剤を投与することができない。該化 学療法剤に対する悪性腫瘍の感受性を選択的に増強する新しいアプローチが必要 である。 従って、前記より、その作用が、細胞周期の特異的な時期に限られない、また は該薬剤を活性化させるのに必要である遺伝子産物の低レベルのため限られるこ とができ、正常細胞を節約し、腫瘍細胞を選択的に破壊するために、化学療法剤 に対する悪性腫瘍の感受性を増強する治療方法の必要性がある。 発明の概要 従って、本発明は選択的に神経系の腫瘍細胞を殺す方法を提供することによっ て従来技術の不利な点を克服し、該方法は、 (a)該腫瘍細胞をウイルスベクター(遺伝子産物の発現が該腫瘍細胞を該腫瘍 細胞の細胞周期と独立して化学療法剤に敏感にさせるシトクロムP450遺伝子 を運搬する該ベクター)に感染させ; (b)該腫瘍細胞と薬剤を接触させ; (c)該腫瘍細胞を選択的に殺す、よりなる。 さらに、本発明は末梢腫瘍細胞の選択的な破壊方法を開示し、該方法は、 (a)該腫瘍細胞をウイルスベクター(遺伝子産物の発現が該腫瘍細胞を該腫瘍 細胞の細胞周期と独立して化学療法剤に敏感にさせるシトクロムP450遺伝子 を運搬する該ベクター)に感染させ; (b)腫瘍細胞と該薬剤を接触させ; (c)選択的に該腫瘍細胞を殺す、よりなる。 さらに、本発明は、悪性腫瘍の治療における化学療法剤の治療学的効果を増強 する方法を提供し、該方法は、 (a)悪性腫瘍をシトクロムP450遺伝子を運搬するウイルスベクターに感染 させ、 (b)該腫瘍をシトクロムP450遺伝子産物にさらすと細胞毒性的な代謝物に 活性化されるであろう化学療法剤に接触させ; (c)化学療法剤の治療学的効果を改良するのに十分な腫瘍自身内での高レベル な細胞毒性代謝物を生み出す よりなる。 本発明はまた、該シトクロム遺伝子がP450 2B1、P450 2B6、P 450 2A6、P450 2C6、P450 2C8、P450 2C9、P45 0 2C11またはP450 3A4であり、該化学療法剤がシクロホスファミド またはイフォスファミドである前記方法の好ましい態様もまた提供する。 本発明はまた、該シトクロム遺伝子がP450 2B1であり該化学療法剤が シクロホスファミドである前記方法の特に好ましい態様もまた提供する。 従って、本願発明者らはシトクロムP450遺伝子を腫瘍細胞に導入すること によって、抗癌剤の治療学的に活性な化合物への酵素的変換の細胞のおよび解剖 学的な位置は腫瘍の部位を効果的に制限し、それによって腫瘍細胞が殺され、同 時に正常細胞にとっての望ましくない副作用を最小限にして効果を増強するとい うことを見いだした。 前記の一般的な記述および以下の詳細な記述の両者は模範的および解説的であ ること、およびクレームされている発明のさらなる説明を提供することを意図し ていることを理解しなければならない。 図面の簡単な説明 図1は、ガンシクロビルのイン・ビボ実験を示すグラフである。 図2は、ガンシクロビル感受性アッセイを示すグラフである。 図3は、培養におけるC6−由来細胞のガンシクロビル感受性を示すグラフで ある。ガンシクロビルによるC6VIK、C6VIKWT、C6BU1、C6B AG、C6BBAG、C6BAGWTおよびC6BWT細胞の増殖抑制は、処理 がプレーティングの1日後に開始した時であった。細胞の数はプレーティング4 日後に決定された。細胞の増殖は、処理なし(100%)の細胞の数に比較して 、処理した細胞のパーセントとして表現する。棒は平均の標準誤差を示す。 図4は、培養におけるC6−由来細胞のガンシクロビル感受性を示すグラフで ある。ガンシクロビル処理はコロニー形成のガンシクロビル感受性を決定するた めこれらの同様の細胞株をプレーティングした7日後に開始した。ガンシクロビ ル処理を9−12日間続け、ついでコロニーを染色し、数を数えた。生存コロニ ーを処理なしのコロニーの数(100%)に比較したパーセンテージとして表し ている。実験は3度0.5%の変異性未満で行った。 図5は、C6BAG細胞の、他のC6−由来細胞と遅れて共に培養した後のガ ンシクロビル感受性を示すグラフである。C6BAG細胞受容体がプレーティン グされた数日後に、C6BU1、C6BWT、C6VIKまたはC6VIKWT 細胞(供与体)を1:2の割合でプレーティングした。ガンシクロビル処理を3 日後から開始し、9−12日間続けた。ついで細胞をベータ−ガラクトシダーゼ 活性に関して染色し、陽性コロニーのみを数えた。コロニーの数は、ガンシクロ ビルなしの対応培養に見られる数のパーセントとして表わす。ベータ−ガラクト シダーゼ陽性コロニーの生存コロニーのみを数えた。実験は3度0.5%の変異 性未満で行った。 図6は、C6BAG細胞の、他のC6−由来細胞と遅れて共に培養した後のガ ンシクロビル感受性を示すグラフである。この分析をC6BBAG(内在性のT Kを欠如しており、C6BAGの代わりに使用した)を除いて図5同様に行った 。実験は3度、0.5%の変異性未満で行った。 図7は、C6BAG細胞の、他のC6−由来細胞と同時に共に培養した後のガ ンシクロビル感受性を示すグラフである。受容体としてC6BAG細胞と供与体 (1:100)としてのC6VIKおよびC6VIKWT細胞を同時に共に培養 する実験を行った。ガンシクロビル処理をプレーティング7日後から開始し、1 4日間続けた。ベータ−ガラクトシダーゼ陽性コロニーのみを数えた(図5およ び図6参照)。実験は3度、0.5%の変異性未満で行った。 図8は、C6BAG細胞の、他のC6−由来細胞と同時に共に培養した後のガ ンシクロビル感受性を示すグラフである。C6BBAG細胞と同時に共に培養す る実験を図7におけるように行った。実験は3度、0.5%の変異性未満で行っ た。 図9は、受容体細胞C6BAGに対する供与体C6VIKWTの割合を変化さ せての同時に共に培養する実験を示すグラフである。実験を図7および8の説明 文に記載されたように行った。実験は3度、0.5%の変異性未満で行った。 図10は、ヌードマウスにおける皮下性C6VIKWT腫瘍の増殖を示すグラ フである。処理を腫瘍の大きさが直径1cm(0日)に達した後に開始し、14 日間持続した。腫瘍増殖割合(%)を最初の容量(0日で100%)と比較して 計算した。腫瘍をPBS(実線)または50mg/kg/日のガンシクロビル( 点線)で処理した。棒線は平均の標準誤差を示す。 図11は、ヌードマウスにおける腫瘍細胞の組合せの増殖を示すグラフである 。腫瘍細胞を1から10の割合(受容体(C6BAG)対供与体C6BU1(n =9)、C6VIK(n=9)またはC6VIKWT(n=7))で種々の組合 せで同時に接種した。腫瘍の直径が1cmに達した後、動物をPBSで14日間 処理し、ついでさらに4日間無処理で維持した。棒線は平均の標準誤差を示す。 図12は、ヌードマウスにおける腫瘍細胞の組合せの増殖を示すグラフである 。図11同様の細胞の組合せを14日間、50mg/kg/日のガンシクロビル 処理と同時に行った。*=p<0.01である。棒線は平均の標準誤差を示す。 図13は、腫瘍細胞へのC6VIKWTの効果を示す模式図である。成体脳に おいて、最も正常な細胞は分裂しておらず、従ってレトロウイルスの組み込みお よび毒性ガンシクロビル代謝物に抵抗性である。分裂している腫瘍細胞への移植 されたC6VIKWT細胞の毒性効果には:1)野生型MoMLV(ヘキサゴン )の複製感染の衰弱させる効果(〜>);2)細胞へのウイルス抗原(†)(宿 主の抗体または他の免疫機構(λ)による拒絶を誘発する)の発現;3)HSV −TK遺伝子を産生するレトロウイルスベクター(△)の組み込みおよびガンシ クロビル(G)のDNA複製を企てる細胞を殺す毒性代謝物(X)への変換;お よび4)細胞接触により感染腫瘍細胞から非感染腫瘍細胞へのXの移転、を含む 。 図14は、シトクロムP450 2B1遺伝子をラットC6神経膠腫細胞にト ランスフェクションした後のCPAの感受性の獲得を示すグラフである。 増殖の割合は各細胞株に関して、CPAなしで生存した細胞の数によって分割 された決められたCPA濃度で生存した細胞の数である。 図15は、CPA感受性C450−8およびCPA非感受性C6、CNEO− 1およびC450−19におけるシトクロムP450 2B1酵素の免疫細胞化 学分析の写真である。 免疫応答性タンパク質はC450−8細胞(図15a)においてレースのよう なパターンにおいて黒い沈澱として出現するが、CNEO−1細胞(図15b) において染色は存在していない。 図16はC450−8細胞からのミクロソーム分画(20μgタンパク質/レ ーン)のウエスタンブロット分析である。ウエスタンブロットはシトクロムP4 50 2B1(シトクロムP450 2B1と称する)に対応する単一の免疫応答 種(レーン5)の存在を確証する。フェノビタール誘発ラット肝臓から単離した 肝臓ミクロソーム(PB肝臓、2μgタンパク質/レーン)をレーン1および6 におけるポジティブコントロールとして含む。C6(レーン2)、CNEO−1 (レーン3)およびC450−19細胞(レーン4)からのミクロソーム分画を ネガティブコントロールとして含んだ。 図17は、CPA療法を行ったおよび行っていないヌードマウスにおけるC6 およびC450−8腫瘍の皮下の増殖を示すグラフである。 C6またはC450−8細胞(200μl中106細胞)をヌードマウスの脇 腹に皮下注射した。腫瘍(1群当たり5動物)を生理食塩水(図17A)または CPA(図17B)と共に3日および14日で注射した。平均的な腫瘍容量およ び標準偏差を各群に関して示す。Y軸の目盛りが図AとBで異なることに注意。 図18は、レトロウイルスプロデューサー線維芽細胞およびCPAを注入した マウス脳におけるC6神経膠腫の髄膜新生を示す写真である。 図18aは、ラットC6神経膠腫細胞を播種し、ついでCPAの腫瘍内投与が 続く脳および髄膜領域にlacZ-発現マウス細胞(CRELacZ)の定位注入によ る処理を行ったコントロールヌードマウスの脳からの組織病理学的冠状断切片を 示す。髄膜への腫瘍組織の広範な浸潤を黒い矢印で示す。図18bは、ラットC 6神経膠腫細胞を播種し、ついでCPAの腫瘍内投与が続く脳および髄膜領域に シトクロムP450 2B−1発現マウス細胞(R450−2)の定位注入によ る処理を行ったヌードマウスの脳からの組織病理学的冠状断切片を示す。 図19は、CRELacZまたはR450−2細胞を、ついで続いてCPAの脊髄内 /腫瘍内投与と共に移植した動物からの実質脳腫瘍を示す顕微鏡写真である。 図19aは、CRE−LacZ細胞、ついでCPAで処理したマウスの脳腫瘍 からの冠状断切片を示す。この特定の切片は顕微鏡写真の左側にある正常脳と右 側にある腫瘍(T)との間に余白を示す。図19bは、R450−2細胞、つい でCPAで処理したマウスの脳腫瘍からの冠状断切片を示す。この特定の切片は 顕微鏡写真の左側にある正常脳と右側にある空洞(その砕け易さにために固定で きなかった壊死性腫瘍をもともと含む)との間に余白を示す。壊死性腫瘍細胞( 広範な核分断を示す)の中には、正常脳の近隣になお見ることができるものがあ る。倍率は100×である。 図20は、C6、C6−NeoおよびC6−P450の細胞増殖アッセイを示 すグラフである。パネルAにおいて、C6、C6−NeoおよびC6−P450 の細胞の増殖の割合を10日コースを越え、CPAの不在下で示す。パネルBで は、CPA(0.5mM)の存在下で同様の実験を行った。空白の四角:C6− P450細胞;中心部に点のある四角:C6細胞;塗りつぶした三角:C6−N eo細胞である。2×105 C6またはC450−8細胞を10cmの皿それぞ れ3枚ずつにプレーティングした。翌日に、すべての皿に0.5mM CPAまた は培地を添加した。各回に示すように、細胞をトリプシン処理し、数えた。平均 細胞数が得られた(平均±SEM)。 図21は、分泌効果を示す棒線グラフである。パネルAには、C6細胞(3. 5×105細胞)を、0.5mM CPAの存在下で0.45μフィルター(FAL CONによる『インサート(insert)』系)によって分離された皿上にC6(3 .5×105細胞;塗りつぶした棒;カラム1)、C6−Neo(3.5×105細 胞;縞の棒;カラム2)またはC6−P450(3.5×105細胞;斜線の棒; カラム3)と共に培養した。5日後、C6細胞の数をクルターカウンティング( Coulter counting)によって決定した。パネルBには、以前の実験で生存して いるC6細胞をトリプシン処理し、ついで1皿当たり2×105細胞の密度で再 びプレーティングした。ついで9日後にC6の細胞数を数えた。 図22は、CPA処理したC6−P450細胞のヌクレオソームのラダリング (laddering)を表わす1% アガロースゲル電気泳動の写真である。CPAにさ らしたC6−P450(パネルA)またはC6(パネルB)細胞からのゲノムD NA(1μg)を指示された時間で精製し、ついで電気泳動によって1% アガ ロースゲル上で単離した。 図23は、細胞媒体効果を示す棒グラフである。パネルAにおいて、C6細胞 の増殖を、細胞の0、10、50、90および100%がP450 2B1遺伝 子を含む場合に、0.5mM CPAの存在下でアッセイした。実験の出発時点で 、皿当たりの細胞総数は2×106細胞であった。各皿からの細胞を5日後に数 えた。最終の値を3つのプレートからの平均で表わす(平均±SE)。パネルB において、C6細胞をそれだけで(2×106細胞)(バー1)、Neo遺伝子を 発現するC6細胞(バー2)と、放射線照射したC6細胞(バー3)と、放射線 照射したC6−Neo細胞(バー4)と、P450遺伝子を発現する放射線照射し たC6細胞(バー5)と一緒に培養した。全ての場合において、1皿当たりの総 数は2×106であり、C6細胞は実験の出発点で皿にある細胞の90%を占め た。全ての細胞は4日間0.5mM CPAの存在下で増殖した。 図24は、細胞媒体と分泌効果の間の効率を殺す比較を示す棒グラフである。 図23Aに示される各4日齢の共培養アッセイから条件付けされた培地を回収し 、濾過し、ついで2×106 C6細胞に添加した。ついで5日後に、C6細胞の 数を測定した。その数は3枚のプレートからの平均(±SE)を表わす。 図25は、安定にシトクロムP450を発現する親株9L細胞および9L細胞 におけるシトクロムP450 2B1のウエスタンブロット分析である。培養し た細胞(20μgタンパク質/レーン)から調製したミクロソームタンパク質を 10% SDS/ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動し、ニトロセルロースに トランスファーし、ついで方法に記載したようにウサギポリクローナル抗シトク ロムP450 2B1抗体でプローブ化した。9L−ZP1(レーン2)は9L −ZPとしての同様の選択から由来した第2クローンに対応する。それはシトク ロムP450 2B1を発現しついで9L−ZPと非常に類似したオキサザホス ホリン感受性を示す。フェノバルビタール誘発ラット肝臓ミクロソーム(それぞ れ0.5または1μg、レーン5および6)をシトクロムP450 2B1(レー ン5および6における二重の低い方のバンド)の基準として使用した。 図26は、シトクロムP450 2B1ネガティブ細胞(親株9Lおよび9L −Z)およびシトクロムP450 2B1−ポジティブ細胞(9L−ZPおよび L450−2)に対するオキサザホスホリンの細胞毒性を示すグラフである。3 0mmの組織培養皿2枚ずつプレーティングした細胞(1×105)を指示され た濃度のシクロホスファミド(CPA)、イフォスファミド(IFA)または4 −ヒドロペルオキシシクロホスファミド(4HC)(それぞれパネルA−C)で 処理した。方法に記載したように薬剤処理を開始してから5日後に生存細胞を数 えた。細胞生存に及ぼす薬剤の効果を増殖の割合(%)(すなわち、薬剤なしの コントロールに対応するパーセントとして、薬剤を含むプレートにおける細胞数 (平均±2つの決定要因の範囲))として表わす。薬剤なしのコントロールにお ける最終細胞数(×104)は、140±8(9L)、135±7(9L−Z) 、140±10(9L−ZP)、130±6(L450−2)(それぞれ指示さ れた細胞株)である。 図27は、シトクロムP450 2B1酵素インヒビターメチラポン(MTP )は、シクロホスファミド(CPA)およびイフォスファミド(IFA)(4− ヒドロペルオキシシクロスファミド(4HC)を除く)のP450 2B1発現 細胞に関して細胞毒性効果を阻害することを棒グラフで示す。9L−Zおよび9 L−ZP細胞(1×105)を指示どおり、10μMのメチラポンの存在下また は不在下で1mM シクロホスファミド、2mM イフォスファミドまたは10μ M 4−ヒドロペルオキシシクロホスファミドで処理した。コントロールは薬剤 処理を全く受けなかった。細胞数は薬剤処理を開始してから5日後に決定した。 データ(平均±2つの決定要因の範囲)を薬剤なしのコントロールに比較して増 殖の割合として表す。 図28は9Lおよび9L−ZP細胞の混合培養に対するオキサザホスホリンの 毒性を示す棒グラフである。同数の親株9L細胞と9L−ZP細胞を混合した( 最初の総細胞数=1×105/30mm組織培養皿)。10μM メチラポン(M TP)の存在または不在下で、指示どおり、細胞を1mM シクロホスファミド (CPA)か2mM イフォスファミドなどの処理するかまたはしなかった。細 胞の数を薬剤処理を開始した5日後に決定した。データ(平均±2つずつの範囲 )を薬剤なしのコントロールに比較しての増殖の割合(%)として表わす。コン トロール実験において、シクロホスファミドは9Lおよび9L−Z細胞の混合培 養に対する細胞毒性を何ら示さなかった(データ示さず)。 図29は、混合細胞集団におけるlac ZでマークしたシトクロムP450 2 B1ポジティブ細胞およびマークしていないシトクロムP450 2B1ネガテ ィブ細胞の組織化学分析である。同数の親株9L細胞(1×105)とlac Zマ ークしたシトクロムP450 2B1発現9L−ZP細胞(『9L/lacZ/2B I』)(パネルA)と混合し、シクロホスファミド(CPA)(パネルB)また はメチラポン(MTP)を有するシクロホスファミド(パネルC)の生存細胞に 及ぼす効果を図23においてのようにアッセイした。細胞を薬剤処理開始5日間 0.5%グルタルアルデヒドに固定し、9L−ZP細胞を可視化するために4時 間X-galで染色し、ここには暗染色で示している。 図30は、シトクロムP450 2B1−ネガティブ細胞に対するシクロホス ファミドの傍観者的な細胞毒性に関与する可溶性要因を示す2つのグラフよりな る。パネルAにおいて、親株9L細胞(1×105)を30mmの培養皿の底の ウエルにおいてプレーティングした。ファルコン(Falcon)培養インサートの 上部のチャンバー(Chamber)に指示どおり、9L−Zまたは9L−ZP細胞( 1×106)を播種した。従って、0.45μmの細穴サイズのメンブレン(2つ の細胞集団の直接の接触を防ぐ)によって2つの細胞集団を分離した。細胞を1 0μM メチラポン(MTP)とともにまたはなしで1mM シクロホスファミド (CPA)で処理するか、またはコントロールとして薬剤処理を全くしなかった 。細胞数を処理を開始してから5日後に決定した。パネルBにおいて、実験系は 上部のチャンバー(X軸に示す)における9L−ZP細胞の最初の数が104〜 106(すなわち底のチャンバーにおける9L細胞の最初の数に比較して0.1〜 10の割合)であるのを除いてパネルAと同様である。y軸には1mM シクロ ホスファミドの存在下で増殖5日後の底のチャンバーにおける9L細胞の最終の 数を示す。データ(平均±2つの範囲)を薬剤なしのコントロールに比較しての 増殖の割合(%)として示す。 図31は、イン・ビボにおいて増殖した9L−Zおよび9L−ZP腫瘍に対す るシクロホスファミドの増殖抑制効果を示すグラフである。メスフィッシャー( Fisher)344ラットに2×106 9L−Zまたは9L−ZP細胞を大腿部外 側に(9L−Z細胞を右大腿におよび9L−ZP細胞を左大腿に)皮下注射する ことによって接種した。腫瘍移植の7日後に各ラットは1回のシクロホスファミ ド(100mg/kg体重)の腹腔内投与またはコントロールとして生理食塩水 の腹腔内投与を受けた。腫瘍領域をラットがと殺されるまで測定した。示すデー タは1群当たりn=5腫瘍に関して平均±SEMである。 図32は、培養におけるシクロホスファミドに対する6つのシトクロムP45 0 2B1−発現 MCF−7ヒト乳癌細胞株の敏感性を示すグラフである。実験 計画は図26に記載したのと同様である。 図33は、4つのP450 MCF−7発現腫瘍(P3、P2、P9およびP 26)で得られたイン・ビボにおける腫瘍細胞破壊をベータガラクトシダーゼを 発現するコントロール腫瘍 MCF−7 Z3と比較したグラフである。メスホモ 接合性ヌードアシミック(athymic)スイス・マウス(nu+/nu+)、20−25gに 図32に示すMCF−7またはシトクロムP450 2B1発現腫瘍の個々それ ぞれを大腿部外側に、1×107細胞を皮下注入によって接種した。0日および 2日で腹腔内注射によって、シクロホスファミド(CPA)の100mg/kg 体重×2で与えられたシクロホスファミドで処理した動物において増殖した腫瘍 に及ぼす効果を示す。 好ましい態様の記載 本発明は腫瘍細胞の選択的な破壊、とりわけ神経系の選択的な破壊に関する。 遺伝子産物が選択的な細胞死に関して腫瘍細胞を標的化することができる遺伝子 を運搬するウイルスベクターを利用する。 腫瘍細胞は分裂細胞、通常は急速に分裂する細胞を意図する。本発明の目的の ため、腫瘍細胞は、腫瘍、悪性新生物、癌、肉腫、白血病、リンパ腫などのよう なものの細胞を含む。とりわけ興味深いのは神経系の腫瘍である。これらにはア ストロサイトーマ、乏突起膠腫、髄膜腫、神経線維腫、脳室上衣腫、シュワノー マ(Schwannoma)、神経線維肉腫、膠芽腫などを含む。本発明に特に関係のあ る腫瘍細胞は脳腫瘍の細胞である。成体脳腫瘍は本質的に分裂しない細胞の背景 内で分裂する細胞の集団を形成する点で独特である。それゆえ、本発明は腫瘍細 胞の選択的な破壊への標的化したアプローチの開発のためにこれらの代謝の相違 を利用する。 本発明はまた、末梢ならびに脳における良性および悪性腫瘍細胞両者を選択的 に破壊するために利用することができる。本明細書で使用する末梢という語は、 脳以外の身体の他の部分すべてを意味する。従って、末梢の腫瘍は脳以外の身体 の部分の腫瘍を意味する。 ウイルスベクターとはDNAウイルス(アデノ関連ウイルス、アデノウイルス 、単純ヘルペスウイルスおよびエプスタイン・バールウイルスなどのヘルペスウ イルス、MoMLVなどのレトロウイルスなど)を意味する。利益的には、本発 明 のレトロウイルスベクターは分裂細胞のゲノムにのみ組み込むことができる。従 って、該ベクターは分裂細胞の選択的な標的化に関する有用なビヒクルを提供す る。レトロウイルスベクターはさらに宿主の範囲に制限がなく、これらのベクタ ーはすでに多くの種々のタイプの細胞を上手に感染させるのに使用されていると いうような利点を提供する。例えば、セプコ(Cepco,C.)Neuromethods 1 6中、『リーニエッジ・アナリシス・アンド・イモータライゼーション・オブ・ ニュートラル・セルズ・ビア・レトロウイルス・ベクターズ(Lineage analysi s and immortalization of neutral cells via retrovirus vectors)』、ザ・ ヒューマン・プレス(The Human Press)、クリフトン、ニュージャージー( 1989)、177−219ページ;ギボア(Giboa,E.)、BioEssays 5( 6):252−257(1987);フリードマン(Friedman,T.)、Scien ce 244:1275−1281(1989)を参照。しかしながらレトロウイ ルスベクターの1つの欠点は、該レトロウイルスの産生力価が低いことである。 概して、レトロウイルスベクターは当該技術分野においてよく知られている。 ブレックフィールド(Breakfield)ら、Molec.Neuro.Biol.1:339( 1987)およびシー(Shih)ら、Vaccines 85中、コールド・スプリング ・ハーバー・プレス(Cold Spring Harbor Press)、コールド・スプリング ・ハーバー、ニューヨーク(1985)177−180ページ。さらに共に出願 中である米国特許出願第07/304,619号および07/508,731号は 単純ヘルペスウイルス発現ベクターに関する。これらの出願の開示を参照のため 本明細書に包含する。これらの出願はさらにレトロウイルスベクターの構築およ び使用に関する情報を提供する。 上記に示したように、一般的に、本発明のレトロウイルスベクターは複製が不 完全であり、自身のRNAをパッケージすることができないレトロウイルスRN Aのパッケージングに必要なタンパク質をコードするレトロウイルス配列を含む 、トランスフェクションした細胞株によって、感染性のレトロウイルス粒子にパ ッケージされる。マン(Mann)ら、Cell 33:153−159(1983) ;ダノス(Danos)およびミュリガン(Mulligan)、Proc.Natl.Acad.S ci. USA 85:6460−6464(1988)。レトロウイルスおよびそれら 由来のベクターは宿主細胞のゲノムを組み込むので、該配列は全ての娘細胞に伝 授される。このレトロウイルスの特徴は将来、例えば、神経系における細胞株を 追跡することにうまく使用される(プリンスら(Prince)、Proc.Natl.Ac ad.Sci.USA84:156−160(1987);ラスキン(Luskin)ら 、Neuron 1:635−647(1988);ウォルシュ(Walsch)およびセ プコ、Science 241:1342−1345(1988))。 レトロウイルスベクターによる腫瘍細胞へのトランスファーに関する遺伝子は 、宿主の腫瘍細胞における遺伝子産物の発現によって通常宿主細胞を標的化する ものから選択される。『遺伝子産物』とは、特定の遺伝子によってコードされる タンパク質に広くあてはまる。しかしながら、本発明の目的のため、遺伝子産物 は該遺伝子の転写産物、特にアンチセンスRNAとして使用するものを含む。本 ベクターによって標的化される宿主は、ウイルスが所望の遺伝子産物を感染し発 現するものである。従って、該宿主細胞はレトロウイルスベクターによって感染 された腫瘍細胞を構築する。 遺伝子産物が宿主細胞を同定するために機能する遺伝子を選択し、宿主を化学 療法剤により一層敏感にするために、および/または該産物が細胞死に関する宿 主を標的化するため、細胞増殖をゆっくりにさせるか一時的に刺激する。細胞死 は遺伝子産物を含む宿主細胞と続く処理(物理的または化学的処理)とを接触さ せることによって達成されることができる。別法として遺伝子産物自身は宿主細 胞を殺すかまたは細胞増殖をゆっくりにするのに役立ってもよい。例えば、一時 的に細胞増殖を刺激する遺伝子産物には、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF )などの成長因子を含む。 この点において、有用な遺伝子産物の1つの例は、腫瘍部位の特定に使用し得 るイメージング化合物を包含する。レトロウイルスは、新生物の増殖の部位と程 度を診断する手段として用いられる。例えば、Glatsteinら,Int.J.Radiat.O ncol.Biol.Phys.,11:299−314(1985)を参照されたい。 また、その遺伝子産物自身が選択的に細胞を殺傷するような遺伝子も選択され る。例えば、この遺伝子産物は、必須の細胞タンパク質、例えば複製タンパク質 に対するアンチセンス核酸を包含する。このようなアンチセンス核酸は、宿主細 胞のさらなる増殖や分裂を不可能にする。アンチセンス調節については、Rosenb ergら,Nature,313:703-706(1985);Preissら,Nature,313:27-32(1985 );Melton,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:144−148(1985);Izant及びW eintraub,Science,229: 345−352(1985);Kim及びWald,Cell,42:129− 138(1985);Pestkaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:7525−7528(1984 );Colemanら,Cell,37:683−691(1984);及びMcGarry及びLindquist,Pro c.Natl.Acad.Sci.USA,83:399−403(1986)に記載されている。 細胞増殖を遅らせるために使用される他の遺伝子には、腫瘍抑制遺伝子、細胞 増殖を抑制する複製因子をコードする遺伝子、細胞によって放出される毒性タン パク質などが含まれる。例えば、EGFリガンドに結合した毒物を有する融合タ ンパク質について記載しているHeinbrookら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87 :4697(1990)を参照されたい。毒性遺伝子は、例えば、Barkerら,Gene,86: 285−290(1990);Itoら,Microb.Pathog.,8:47-60,(1990);Gannonら, J.Gen.Microbiol,136:1125−1136(1990)にも記載されている。細胞増殖の 特徴を変化させたり、細胞増殖を調節し得る遺伝子を挿入することもできる。例 えば、網膜芽腫におけるRb遺伝子(Bakerら,Science,242:1563−1566(1988 ))又は結腸癌におけるp53遺伝子(Bakerら,Science,249:912−915(198 0))等の腫瘍抑制遺伝子であるが、その他の抑制又は調節遺伝子もまた使用し 得る。 その遺伝子産物が宿主細胞をより抗原性にするような遺伝子もまた、本発明で 使用し得る。この抗原性作用は、新規の抗原を、宿主細胞の表面に導入すること によって達成し得、このようにして、腫瘍を外来体として認識する免疫系を増強 する。新規の抗原の宿主細胞表面への導入は、細胞の異種化と呼ばれている(Au stinら,Ad.in Cancer Res.,30:301−345(1979);Kobayashiら,Ad.in Ca ncer Res.,30:279−299(1979))。Arakiら,Gene,89:195−202(1990);Ta kleら,Mol.Biochem.Parasitol.,37:57−64(1989);Raneyら,J.Virol. ,63:3919−3925(1989);Tondravi,M.M.,Curr.Genet.,14:617−626 (1988);及びMiyanoharaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80:1-5(1983) に記載されている抗原を含むいづれの非ヒト表面抗原も使用し得る。 腫瘍細胞における非ヒト又は特異な表面抗原の発現もまた、標識した抗体をそ の後で結合させることにより、このような腫瘍細胞の部位を特定するのに使用で きる。例えば、Le Doussalら,Cancer Res.,50:3445−3452(1990);Palabrc aら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:1036−1040(1989);Berendsら,Canc er Immunol.Immunother.,26:243−249,(1988);及びWeltら,Proc.Natl .Acad.Sci.USA,84:4200−4204(1987)を参照されたい。 別の態様では、その遺伝子産物が分裂する細胞に対する条件的殺傷機構をもた らす様な、遺伝子又はコード配列を選択し得る。この方法では、特定のタンパク 質の発現、それに続く処置は、腫瘍細胞の殺傷に効果的である。その後の処置は 、化学的及び物理的処置を包含する。化学的処置のための試薬は、宿主細胞を殺 傷するために遺伝子産物と反応する酵素又は他の化合物の使用を包含する。物理 的処置は、細胞を紫外線等の放射線に付することである。 例えば、単純ヘルペスウイルスI型(HSV−I)チミジンキナーゼ(TK) 遺伝子は、分裂する細胞に対するこのような条件的殺傷機構をもたらす。HSV −I−TKの使用を選択する利点は、哺乳類TKに比べて、その酵素が、アシク ロビル、ガンシクロビル、及びFIAU等のある種のヌクレオシドアナログに対 する高い親和性を有することによる(McLarenら,in Herpes Virus and Virus C hemotherapy,R.Kono編,Elsevier,Amassterdam,(1985),pp.57−61)。 これらの薬物をヌクレオチド様前駆体に変換し、複製細胞のDNAに組み入れる ことによって、ゲノムの完全性を破壊し、結果的に細胞死に導く。幾つかの研究 は、トランスジェニックマウスの開発研究において(Borrelliら,Nature,339 :538−541(1989);Heymanら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:2698−2702 (1989))、培養細胞における非ホモローガスな組み換え現象に対する選択可能 なマーカーとして(Capecchi,M.R.,Trends in Genetics 5(3):70−76(19 89))、野生型ヘルペスウイルスを含んでいる細胞を殺傷するために(Coreyら ,N.Engl.J.Med.,314:686-691(1986):Coreyら,N.Engl.J.Med.,3 14:749−756(1986)及びTK活性を欠くヘルペスウイルス変異体の選択におい て(Coenら,Science,234:53−59(1986))、TKの条件的毒性をうまく使用 してきた。 好ましい態様において、シトクロムP450遺伝子を、1又はそれ以上のシト クロムP450遺伝子によって活性化される化学治療用試薬の細胞毒性効果に対 して腫瘍細胞を感受性にするのに使用する。本明細書におけるシトクロムP45 0なる語は、P450 2B1、P450 2B6、P450 2A6、P450 2C6、P450 2C8、P450 2C9、P450 2C11、又はP45 0 3A4等の哺乳類シトクロムP450遺伝子を意味する。これら遺伝子はそ れぞれ、抗癌剤シクロホスホファミド又はイホスファミドの活性化に関連してお り(Clarkeら,Cancer Res.49:2344-2350(1989); Changら,Cancer Res.53:56 29-5637(1993);WeberおよびWaxman,Biochemical Pharmacology 45:1685-1694(1 993))、これら遺伝子のcDNA配列もまた頒布されている(Nelsonら,DNA and Cell Biology 12:1-51(1993)及びその参考文献; Yamanoら,Biochem.29:1322- 1329(1990); Yamanoら,Biochem.28:7340-7348(1989))。当業者は、シトクロム P450酵素群のいづれかによって活性化される多数の他の抗癌剤とともに((Le BlancおよびWaxman,Drug Metab.Rev.20:395-439(1989))、並びにシトクロム P450 2B1、P450 2B6、P450 2A6、P450 2C6、P4 50 2C8、P450 2C9、P450 2C11、又はP450 3A4とホ モローガスであり、そのcDNA配列が既知の、他の種(例えば、マウス、ウサ ギ、ハムスター、イヌなど)に由来する薬物−代謝シトクロムP450遺伝子と ともに(Nelsonら,DNA and Cell Biology 12:1-51(1993))本発明の方法を使用 することができる。 特に好ましい態様では、シクロホスファミド(CPA)の細胞毒性作用に対し て中枢神経腫瘍細胞を感受性にするために、シトクロムP450 2B1遺伝子 を使用する。中枢神経系の多くの悪性腫瘍は、化学療法に十分に応答しない。抗 癌剤シクロホスホファミド(CPA)は、そのDNAをアルキル化する細胞毒性 代謝物質への変換が主として肝臓に限定されており、これらの代謝物質は容易に 血液−脳関門を通過しないので、中枢神経系にはほとんど効果がない。不活性な プロドラッグCPAを活性化する働きのある肝酵素シトクロムP450 2B1 の導入により、培養及びイン・ビボの両方において、脳腫瘍細胞を、CPAの細 胞毒性作用に対して、感受性にし得るということが、本発明により証明された。 ラットC6神経膠腫細胞のP4502B1遺伝子による安定なトランスフェクシ ョンにより、この培養腫瘍細胞はCPAに対して感受性となった。さらに、この 遺伝子を有するC6細胞は、無胸腺マウスの横腹で皮下増殖させたとき、CPA の細胞毒性作用に対して母細胞よりも感受性であった。そこで、P450 2B 1をコードしているレトロウイルスベクターを産生し、この酵素を発現するネズ ミ繊維芽細胞を調製し、ラットC6膠腫を接種した無胸腺マウスの脳に移植した 。CPAの鞘内投与は、髄膜新生物の発達を阻止し、実質腫瘍塊の部分的退行を もたらした。これに反して、E.coli lacZ遺伝子を発現する繊維芽細胞に続い てCPAを与えたC6膠腫を有する対照マウスでは、広範な髄膜腫瘍と実質固形 脳腫瘍の両方が現れた。 まとめれば、C6膠腫細胞におけるシトクロムP450 2B1遺伝子の発現 は、培養において及び無胸腺マウスの皮下腫瘍においてCPA処置後、腫瘍細胞 破壊をもたらすことが分かった。さらに、マウスにおける実験的脳腫瘍は、P4 502B1を発現するレトロウイルス産生繊維芽細胞を該腫瘍塊へ移植した後、 CPAに対して感受性となった。過去の報告もまた、シトクロムP450 2B 1遺伝子で安定にトランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣細胞が、 シクロホスファミド、イフォスファミド、及びアフラトキシンB1に対する化学 的感受性を獲得し、これら試薬の毒性に関する分析に使用し得ることを示してい る(Doehmerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5769-5773(1988); Doehmerら, Environ.Health Prospect 88:63-65(1990))。過去の報告はまた、P450遺伝 子を発現するトランスジェニックDroosophila幼態は、シクロホオスファミドに 対して過敏であることを示しており(Jowettら,EMBO J 10:1075-1081(1991))、 シトクロムP450 2B6又はP450 2A6を安定に発現するヒトリンパ芽 球細胞系がシクロホオスファミド及びイフォスファミドに対して化学的感受性で あることを示している(Changら,Cancer Res.53:5629-5637(1993))。本発明者 の発見により、腫瘍遺伝子治療及び負の選択機構が必要とされる様々な方法への 新規な応用によって、シトクロムP450 2B1遺伝子が分裂細胞に対する有 効な薬物条件的殺傷遺伝子であるということがここに示された。 シトクロムP450 2B1によるイン・シツ活性化は、脳腫瘍遺伝子治療だ けでなく、他の特定の細胞集団の負の薬物−条件的選択への新規のアプローチを 提供するものである。したがって、別の好ましい態様では、シトクロムP450 2B1遺伝子を、CPAの細胞毒性作用に対し、末梢性腫瘍を感受性にするの に使用する。 これに関して、本発明は、安定にトランスフェクトしてシトクロムP450 2B1を発現する9L神経膠肉腫細胞を使用して、癌遺伝子治療のためのシトク ロムP450 2B1/オキサザホスフォリン系を評価した。9L細胞の母細胞 のCPA感受性をシトクロムP450 2B1を発現している9L腫瘍細胞のC PA感受性と比較する、イン・ビトロの実験及びイン・ビボの腫瘍増殖実験によ り、腫瘍内プロドラッグ活性化がシトクロムP450 2B1遺伝子の正常な発 現によって達成し得る場合において、皮下の固形腫瘍がオキサザホスフォリン処 置に対して非常に過敏になり得るということが示された。さらに、本発明者は、 トランスフェクトしてシトクロムP450 2B1を発現したMCF−7ヒト乳 癌細胞が、培養及びヌードマウスモデルにおいてシクロホスファミドに対して感 受性にされたということを示した。 本発明の方法により、同じ薬物濃度でのさらに高い腫瘍毒性が可能であり、よ って、正常な細胞に対する毒性を増加させることなく、より高い腫瘍投与量が可 能 となると考えるのが合理的である。さらに、増加した効力という長所によって、 より低い投与量の薬物が可能となり得るので、全身の腫瘍集団の化学治療的処置 もまた、本発明の方法を用いることによって改善し得る。 本発明の遺伝子産物はまた、宿主細胞を放射線感受性にし、その結果放射線に よる殺傷に対してより敏感にする化学物質及びタンパク質をコードするものであ ってよい。従って、その後、放射線に付することによって、宿主細胞が選択的に 殺傷される。例えば、HSV−TK遺伝子とガンシクロビルの組み合わせが使用 し得る。HSV−TK遺伝子を有する細胞は、その代謝物がDNA合成と同じく DNA修復を妨害するので、ガンシクロビルの存在下で放射線に対して増加した 感受性を示す。Snydermanら,Arch.Otolaryngol.Head Neck Surg.112:1147-1 150(1986);およびSealyら,Cancer 54:1535-1540(1984)参照。他の方法には、化 学療法剤の標的化を改善するための腫瘍特異的免疫コンジュゲートの開発と関連 した細胞表面抗原マーカーの選択的転移が含まれる。Reisfeld,R.A.,in Molec ular Probes Technology and Medical Applications,Albertiniら,Raven Pres s,New York(1989)参照。 当業者に既知のいづれの方法によっても、目的の遺伝子を改変し得る。例えば 、遺伝子を、ウイルスプロモーター、腫瘍性細胞若しくは腫瘍に特異的なプロモ ーターの使用を含むヘテロローガスな調節領域又は制御エレメントの制御下に置 くことができる。例えば、ヒトの大多数の乳癌において発現するDF3遺伝子は 、乳癌細胞における“自殺遺伝子”の直接発現に使用できる(Manomeら,Cancer Res.54:5408-5413(1994))。これらの方法は、シトクロムP450 2B1/C PA遺伝子治療の本明細書に開示した例に容易に応用し得る。この方法で、遺伝 子産物をさらに特定の細胞種に標的化する。このような発現ベクターの構築方法 は当業者には、既知である。 一般に、目的の細胞にレトロウイルスを感染させる方法は既知である。ウイル スを、宿主中の新生物増殖の部位又は近傍に導入し得る。多くの場合においては 、ウイルスを標的細胞に感染し殺傷するための治療上効果的な量で与える。一般 に、約101〜約1010プラーク形成単位(PFU)の範囲の濃度でウイルスを 注入 する。一般的には約5×104〜約1×106PFU、さらに一般的には約1×1 05〜約4×105PFUで与えるが、範囲は変えてもよい。しかし、より典型的 には、パッケージング細胞系を腫瘍の近傍又は中へ移植してより長い永続的ウイ ルス源を提供し得る。近年、レトロウイルスベクターが水疱性口内炎ウイルス( VSV)エンベロープタンパク質でパッケージングすることに成功した。これら のベクターはより安定であり、直接導入でき、また高いウイルス力価を達成する (Burnsら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8033-8037(1993))。 レトロウイルスの選択的殺傷及び毒性遺伝子の輸送は、ヘルパーウイルスとの 同時導入により増強することができる。すなわち、ヘルパーウイルスは、遺伝子 輸送を増強する。この方法においては、レトロウイルスベクターのウイルス粒子 をつくるためのパッケージング細胞系がヘルパーと同時に感染し得る。次に、パ ッケージング細胞又はウイルス接種物を、宿主の感染部位又はその近傍に導入す る(Cepko,C.(1989),supra; Rosenbergら,Science 242:1575-1578(1988);及 びMannら,Cell 33:153-159(1983)参照)。このようなヘルパーウイルスには、エ コトロピック(ecotropic)野生型レトロウイルスが含まれる。例えば、MoM LV(Danosら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:6460-6464(1988); Cepko,C., in Neuromethods,vol.16,Molecular Neurobiological Techniques,Boultonら ,eds.,The Humana Press,Inc.,Clifton,NJ(1989);およびMannら,Cell 33: 153-159(1983)参照)である。 ヘルパーウイルスを使用するために、パッケージング系又はレトロウイルスベ クター感染系を培養し、野生型ウイルスにより感染し、これらの細胞を移植し得 る(Rosenbergら,Science 242:1575-1578(1988)およびWolffら,Proc.Natl.Ac ad.Sci.USA 86:9011-9014(1989)参照)。パッケージング細胞は、約0.1〜約 20の範囲のMOIのヘルパーとともに感染する。 毒性試薬に対する腫瘍細胞の感受性は、ヘルパーウイルスを用いることにより 高まる。ヘルパーウイルスはレトロウイルスベクターで感染された細胞をパッケ ージング細胞系に変える。この結果は、ヘルパーウイルスによる同時感染によっ て本発明のレトロウイルスベクターは多くの腫瘍細胞、特に、腫瘍塊から離れた 腫瘍細胞でさえ、標的化できることを示している。さらに、ヘルパーウイルスを 用いた場合、腫瘍細胞はより速く殺傷され、毒性試薬に対するより高い感受性を 示す。 本発明は、神経膠肉腫の治療における特定の使用を提供するものである。神経 膠肉腫は、すべての初期脳腫瘍の約30%又は50%を示し、手術、化学治療、 及び放射線治療にもかかわらず、ほぼ致命的なものである。平均の生存期間は1 年に満たらず、5年生存率は、3%〜5%に過ぎない。処置後、この病気の再発 が、元の部位の2センチメートル以内によくみられる。転移の率は非常に高い; 神経学的な機能障害と死は、局所的成長と脳が侵されることによるものである。 従って、局所的(非全身的)処置の考え得る効能が探求されてきた。これらの内 の2、3には局所的低体温麻酔、光力学療法、及び組織内照射が含まれる。しか し、本発明以前に、悪性神経膠腫を有する患者の成り行きに実質的な劇的効果を 与えた治療様式はなかった。 以下の実施例を、例示のために提示するが、限定を意味するものではない。 実験 実施例1 原発ヒト脳腫瘍(悪性神経膠腫)は被包性ではなく、従って外科的に完全に切 除することは困難である。これらの腫瘍の多くは非転移性であり、この時点では 、組織の周囲2、3センチメートルだけを侵す。しかし、外科手術、放射線療法 及び化学療法は、患者の総罹患率と総死亡率に対する僅かな効果を有するに過ぎ ない。悪性神経膠腫の処置に対する新規の標的化のアプローチは、研究に値する ものである。 脳腫瘍は、本質的に非分裂細胞のバックグランドに分裂細胞の塊を構成する点 において特異なものである。これらの代謝的な相違が、治療のための標的化のア プローチの開発で研究され得る。レトロウイルスベクターは、(1)分裂細胞の ゲノム中へのみ組み込むことができ;(2)宿主の領域内で制限を全く受けず; そして(3)これらのベクターは、すでに多くの様々な細胞種の感染の使用に成 功している(Cepko,C.,in Neuromethods,vol.16,Molecular Neurobiological Techniques,Boultonら,eds.,The Humana Press,Clifton,N.J.(1989),pp. 177-218; Gilboa,E.,BioEssays 5:252-257(1987); Friedmann,T.,Science 2 44:1275-1281(1989)参照)ので、選択的標的化のための有用なビヒクルを提供す るものである。レトロウイルスベクターは複製欠損であり、レトロウイルスRN Aのパッケージングのために必要なタンパク質をコードするレトロウイルス配列 を含んでいるが、それ自身のRNAはパッケージングできないトランスフェクト された細胞系により、感染性のレトロウイルス粒子にパッケージングできる(e.g .,Mannら,Cell 33:153-159(1983)); Danosら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8 5:6460-6464(1988))。レトロウイルス及びそれに由来するベクターは、宿主細胞 ゲノムへ組み込まれるので、その配列はすべての娘細胞に伝達される。レトロウ イルスのこの特徴が、例えば神経系における細胞の連結をたどるためにうまく用 いられてきた(Priceら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:156-160(1987); Luski nら,Neuron 1:635-647(1988);Walshら,Science 241:1342-1345(1988))。 単純ヘルペスウイルスI型(HSV−1)チミジンキナーゼ(TK)遺伝子は 、分裂細胞に対する条件的殺傷機作をもたらす。HSV−1−TKの使用を選択 する利点は、この酵素が、ガンシクロビル等のある種のヌクレオシドアナログに 高い親和性を有するという事実によるものである。これらの薬物をヌクレオチド 様前駆体に変換し、複製を行う細胞のDNAに組み入れ、よって、ゲノムの完全 性を破壊し、結果的に細胞死に導く。 この研究において、ラットC6神経膠腫細胞をモデル原発脳腫瘍タイプとして 使用した。C6細胞は、成体ラットCNS中へ導入後、非被包性、非転移性腫瘍 をすぐに形成する。さらに、外因性TK活性を欠いている細胞系(C6−BUI )又はlacZ遺伝子(C6−BAG)を有する細胞系(C6−BAG)等の、実 験的に有用である誘導細胞系が利用可能である。HSV−1−TK遺伝子が強力 な、構成性レトロウイルスLTRプロモーターによって調節されるレトロウイル スベクターを作成した。C6−BUI細胞をこのベクターで感染させ、HAT培 地における増殖によって、TK活性について選択した。母細胞及び感染細胞を、 ガンシクロビルに対するそれら細胞の薬物依存的な感受性について、培養及びラ ット 腎嚢下への接種後のイン・ビボにおいて試験した。 実験材料及び実験方法 ベクター構築:完全長コード配列を含む2.8kbのBamHI断片と、2k bのHSV−1TK遺伝子(プラスミドpBRTKに由来)の3’−非コード領 域(ポリA付加部位を含んでいる)を、レトロウイルスプラスミドpL(X)R NLのBamHI部位へクローニングした。得られたプラスミドをpLTKRN Lと命名した。pL(X)RNLプラスミドはサルマウス白血病レトロウイルス (MoMLV)及びサルマウス肉腫レトロウイルス(MoMSV)より得られ、 以下のエレメントを含んでいる:レトロウイルスパッケージング配列、psi;ラ ウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターの転写制御下に置かれているトランス ポゾンTn5に由来するネオマイシン耐性(neoR)遺伝子;colE1細菌複製起点 ;及び細菌アンピシリン耐性遺伝子。このプラスミドは、neoRを働かせるために RSVを使用すること以外は、基本的にWolffら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:9011-9014(1989); Shortら,Devel.Neurosci.12:34-45(1990);およびPrice ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:156-160(1987)において報告されているも のと同様である。 BAGレトロウイルスベクターは、レトロウイルスLTRプロモーターの転写 制御下にEscherichia coli lacZ遺伝子を含み、SV40初期プロモータエンハ ンサーエレメントの転写制御下にトランスポゾンTn5neoR遺伝子、そして上記 のその他の特徴を含んでいる(Priceら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:156-16 0(1987))。 培養細胞:マウス繊維芽細胞系より得たエコトロピック(ecotropic)レトロ ウイルスパッケージング系、psi2(Mannら,Cell 33:153-159(1983))を使用した 。使用したC6ラット神経膠腫誘導細胞系は:外因性のチミジンキナーゼ活性の 欠失についてBUdRにおいて選択された細胞系、C6−BUI(Amanoら,Exp .Cell Res.85:399-408(1974))、及びBAGウイルスによる感染後にβ−ガラ クトシダーゼ活性を発現するC6−BUIの誘導体、C6−BUI−BAGであ った。psi2誘導系psi2−BAG−2−14(Shortら,Dev.Neurosci.12:34-4 5(1 990))をBAGウイルスを得るために使用した。細胞系はすべて、10%ウシ胎 児血清(FBSブランド)、ペニシリン100units、及び1mLあたりストレプ トマイシン100μgを含むDulbeccoの修飾Eagle培地(GIBCO)中で培養し た。ネオマイシン耐性細胞を選択し、G418(ネオマイシンアナログ、GIB CO)1mg/mLを添加した同じ培地中に維持した。HSV−1−TKを発現し ている細胞を、培地中にHAT(ヒポキサンチンアミノプテリン−チミジン、G IBCO)を含有させることによって選択した。 トランスフェクション、ウイルス作出及び感染:複製欠損を作出するために、 HSV−1−TKを有するレトロウイルスベクター(v−TK)、pLTKRN LプラスミドDNA10μgを、標準的な方法によるグリセリンストックを用い るリン酸カルシウム共沈殿法によって、psi2細胞中へトランスフェクトした。 トランスフェクトされたpsi2コロニーをG418を含む培地中で選択した。ウ イルスストックを作成するために、培養細胞を、それらが80%集密に達するま でG418を添加した培地中で維持し、次いで、それらにG418を添加してい ない培地を加え、24時間後、ウイルスを含んでいる(“条件的”)培地を除き 、孔サイズ0.45μmのフィルターによって濾過し、−70℃で保存した。 感染はすべて、受容細胞の100mmの組織培養ディッシュの培地をポリブレ ン(Sigma)4μg/mLと種々の量のウイルスストックを含む培地2mLに交換す ることにより行った。 psi2−v−TK系のウイルス力価を、C6−BUI細胞を感染し、ウイルス ストックの単位体積あたり得られたHAT耐性コロニーの数を計測することによ り測定した。2つのHAT耐性コロニー、C6TK−vTK1及び3を、さらな る実験に使用した。psi2−BAG系については、ウイルス力価をNIH3T3 細胞を使用し、G418耐性について選択することにより、同様に測定した。 β−ガラクトシダーゼに関する組織学的染色:β−ガラクトシダーゼ発現を目 視可能にするため、pH7.3の、リン酸で緩衝化した生理食塩水中の0.5% グルタルアルデヒド中、細胞を室温にて5分間固定した後、5−ブロモ−4−ク ロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドで30分〜4時間、37℃にて染 色した。(Turner及びCepko,Nature 328:131−136(1987))。 培養細胞におけるガンシクロビル感受性分析:以下の細胞系:C6、CC6− BUI、C6−VIK1及び3を核酸アナログガンシクロビル(Cytovene、Burr oughs Wellcome)の用量依存的毒性について分析した。細胞を各100mmディ ッシュに100の集密度に培養した。72時間後、ガンシクロビルを各ディッシ ュに種々の濃度で加え、ガンシクロビルを含む培地を3日毎に変えながらインキ ュベーションを9日間継続した。試験したガンシクロビルの濃度は以下の通りで ある:0、3、10、30、100、及び300μm、各3つ一組。9日目に培 地を除き、ディッシュをPBSで洗浄し、100%メタノールで10分間固定し 、さらに蒸留水中の1:10希釈のGiemsa(Fisher)で10分間染色し、水で再び 洗浄した後乾燥した(Freshney,R.I.,Culture of Animal Cells - A Manual of Basic Technique,2nd ed.,New York,Alan R.Liss,Inc.(1987))。コロニー 数を計測し、ガンシクロビルを含まないディッシュ上の数は100%生存とした 。 結果 ベクター構築:プラスミドpLTKRNLにおけるHSV−1TK遺伝子の完 全性と方向性を制限マッピングにより確認した。BamHIによる開裂により、 約2.8kbと6.7kbの2本のバンドが得られ、これはHSV−1TK遺伝 子とpL(X)RNLベクターのそれぞれの大きさから予想されるものに相当す る。HSV−1TK遺伝子の配列(McKnight,S.L.,Nucleic Acids Res.8(24): 5949-5964(1980))に基づき、予想される大きさの断片もまた制限エンドヌクレア ーゼPstI及びSmaIによる開裂により得られた。HSV−1TK遺伝子をpL (X)RNLベクターのBamHI部位へ挿入することによって、MoMLVL TRプロモーターの制御下に置いた。 トランスフェクション、感染:パッケージング系、psi2−TKを104cfu/ mL調製した。このクローンによって産生したヘルパーウイルスは、検出できな かった。psi2−TK由来のウイルスをC6誘導(C6−vTK)細胞系の構築 に使用した。この細胞系は、HAT培地で増殖した。 培養細胞におけるガンシクロビル感受性:感受性分析において比較した細胞系 は、C6、C6−BUI及びC6VIK−1及び−3であった。 イン・ビボにおけるガンシクロビル感受性:9匹のラットの腎嚢下にC6VI K細胞を移植した。この操作で生き残った4匹をさらなる実験に付した。腫瘍は 、移植後5日目に測定された。2匹の動物をガンシクロビル(毎日20mg/k g腹腔内投与)、そして生理食塩水を毎日投与した2匹を試験した。腫瘍の大き さを16日間隔で再評価した。2匹の対照の腫瘍は、4〜12倍に増殖した。反 対に、ガンシクロビルで処置した2匹は、処置した後では以前よりも小さくなっ ていた。 考察 これらの実施例で、HSV−1−TK遺伝子を有するレトロウイルスが、培養 及びイン・ビボで、C6神経膠腫に対する薬物感受性を与えるために使用し得る ということが示された。これは、活性なHSV−1−TK遺伝子を有する、記載 された最初のレトロウイルスベクターである。多くの可能性のある使用があろう 。第一に、以下に詳述するように、選択的にこの“殺傷”遺伝子を脳内の腫瘍細 胞に輸送するのに有用であることが分かるであろう。他の毒性遺伝子産物と比較 したときのHSV−1−TK遺伝子の際立った利点は、細胞死を起こすために、 第2の打撃、即ちヌクレオシドアナログによる処置を要求する点である。さらに 、毒性のためには細胞のDNA複製が必要であるため、分裂する細胞だけを殺傷 し得る。第二に、HSV−1−TK遺伝子を、移植に使用される遺伝的に改変さ れた細胞中へ組み入れるために、このレトロウイルスベクターを使用することも できよう(e.g.,Rosenbergら,Science 242:1575-1578(1988)。そうすれば、周 囲の組織に対するこれらの細胞の効果を評価するために、実験において所定の時 点で移植された細胞の除去が可能となろう。第三に、このベクターは、先祖の胚 細胞を感染させて、後の時期に、発生及び生涯にわたって、その子孫の性質と機 能を評価するのに有用であろう。さらに、このベクターは、培養及びイン・ビボ で分裂細胞を能率的に感染させるための手段及び、薬物の適用により、所定の時 間でそれを殺傷又はその子孫を殺傷するのに使用し得る遺伝子をそのゲノム中へ 挿入するための手段を提供する。 米国では、毎年約12,000人の患者が新たに原発脳腫瘍を患う。原発脳腫 瘍の25%は、利用可能なすべての治療形態に対して一時的に応答性であるか又 は全体的に耐性である神経膠肉腫である。神経膠肉腫は、ほとんど致命的なもの である。治癒率は、診断後5年生存する患者は3%〜5%に過ぎないという逸話 から脱していない。しかし、神経膠肉腫からの転移の率は非常に高い。神経膠肉 腫は局所的な増殖により死をもたらし、多くの場合、照射又は化学療法により処 置され、腫瘍は元の部位の2センチメートル以内に再発する。この発見は、幾つ かの腫瘍は、局所的に、標的化した治療的アプローチで処置し得ることを示唆す るものである。光力学療法(Salcmanら,J.Neuro.Virol.1:225-236(1983))、 局所低体温麻酔(Chengら,Surg.Neurol.28:423-435(1986))、組織内放射性同 位体移植による焦点照射(focal irradiation)(Ortinら,J.Neurosurg.67:864-8 73(1987))を含む局所的治療における様々な試みが行われて来た。現在まで、こ れらの技術はすべて、神経膠肉腫の処置において、限られた成功をみたに過ぎず 、僅かな効果をもたらしたに過ぎない。 この限られた成功のために、レトロウイルスベクターが可能な治療の新たな手 段として研究された。悪性神経膠腫が成体の脳を構成する分裂しない細胞集団内 の分裂細胞集団であるという事実を、レトロウイルスは利用する。したがって、 レトロウイルスは毒性遺伝子を脳腫瘍細胞に輸送することによって、脳腫瘍細胞 に対して選択性の機作を与えるものである。3種類の毒性遺伝子産物が、トラン スジェニックマウスにおいて切除の研究に使用されてきた(BernsteinおよびBrei tman,Mol.Biol.Med.6:523-530(1989))。このうちの2種は、リシンとジフテ リア毒素であるが、神経系に放出されれば脳、血管、骨髄又は他の組織に対して 毒性を引き起こすことがあり、それを含む細胞を不捻にできなくなる。この理由 のために、我々は、それ自身は有害ではないが、ガンシクロビル等の外的に投与 された薬物に対して細胞を感受性にするHSV−1−TK遺伝子の使用という、 腫瘍細胞を破壊する方法を研究のために選択した。この方法においては、細胞の 破壊を制御し得る。 HSV−1−TK遺伝子をラットC6神経膠腫細胞中へ挿入でき、これにより 、これらの細胞をガンシクロビルに対して感受性にするということが示された。 HSV−1−TK遺伝子を発現するC6神経膠腫細胞をイン・ビボで殺傷できる ことを示すために、腫瘍量の直接的な測定が可能で、微小な(1mm未満)量の 変化の検出が可能であり、腫瘍の血管新生が観察可能で、非経口投与された医薬 の導入が可能であるためにラットにおける腎嚢下分析系を使用した。このモデル は、脳内腫瘍移植片の大きさを直接観察できないという問題、無損傷の血液脳関 門を通過するガンシクロビルの輸送についての問題を克服する。この腎嚢下モデ ルについては、腹腔内投与されたガンシクロビルが、増殖するC6神経膠腫を殺 傷し得るということが示された。 実施例2 グリア芽細胞腫(神経膠芽細胞腫)は成人の原発性脳腫瘍の約30%に現れる (Schoenberg,B.S.,in Oncology of the Nervous System,Walker,M .D.,ed.,Martinus Nijhoff,Boston,MA(1983))。グリア芽細胞腫は 侵略的、悪性かつ通常の薬剤処置では治療できないので、実質的に治療不可能だ と考えられている(DeVita et al.,Cancer: Principles and Practice of Oncology,vol.2,3rd ed.,Lippincott Press,Philadelphia(1989); S hapiro et al.,J.Neurosurg.71-: 1-9(1989); Onoyama et al.,Am.J .Roentgenol.126: 481-492(1976); Salazar et al.,Int.J.Rad.Onc ol.Biol.Phys.5: 1733-1740(1979); Walker et al.,N.Engl.J.Me d.303: 1323-1329(1980))。元の部位の2cm内にしばしば再発する(Hochbe rg et al.,Neurol.30: 907-911(1980))。多面的な治療にもかかわらず診断 後1年以下の生存者が半分であり、5年後の生存患者は5%しかない(Mahaley et al.,J.Neurosurg.71: 826-836(1989); Schoenberg,B.S.,in Onc ology of the Nervous System,Walker,M.D.ed.,Boston,MA: Mart inus Nijhoff(1983); Kim et al.,J.Neurosurg.(in press); Daumas-D uport et al.,Cancer 62: 2152-2165(1988))。新規な治療法に対する要請は 誇張されたものでない。 1つの方法はグリオーマ細胞を破壊するように調節された外来遺伝子を送達す るウイルス性ベクターの使用である。レトロウイルスのみが分裂細胞中のゲノム 中に集積することができ、ほとんどの成人脳細胞は細胞成長の静止および非受容 的段階にあるから、レトロウイルスは成人脳中の腫瘍細胞に選択的に感染する強 力な手段である(レトロウイルスの概説に関して、Vaumus,H.,Science 240 :1427-1435(1988)参照)。これらのRNAウイルスは培養および胎芽中の分裂 細胞に遺伝子を送達するためのベクターとして広く用いられてきた(概説に関し て、Cepko,C.,in Neuromethods,vol.16,Molecular Neurobiological Techniques,Boulton et al.,eds.,The Humana Press,Clifton,NJ( 1989); Gilboa et al.,Bio Techniques 4: 504-512(1986)参照)。外来の遺 伝子およびプロモーター成分はレトロウイルスゲノムのプラスミドDNA均等物 中に挿入され得、パッケージングシグナル、psiを保持している。ついで、こ れらのプラスミドはパッケージング細胞株に形質転換され、ビリオン粒子中にそ れら自身のRNAのパッケージングに必要なpsi成分を欠いている野生型レト ロウイルスの配列を担持する(Cone et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U SA 81: 6349-6353(1984); Miller et al.,Mol.Cell.Biol.6: 2895-29 02(1986); Mann et al.,Cell 33: 153-159(1983))。パッケージング株は、 外来遺伝子−保持レトロウイルス配列中にコードされたpsi−保持RNAをビ リオン粒子中に挿入することができる。ついで、これらの株は、外来遺伝子配列 および非複製成分ビリオンを含む複製欠陥ビリオンのみを培地中に放出する。こ れらの複製欠陥ビリオンは効果的に他の分裂細胞に感染し、それらのゲノム中に 外来遺伝子を挿入することができる。 組織化学的マーカーである、lacZ(Price et al.,Proc.Natl.Acad. Sci.USA 84: 156-160(1987))、神経成長因子(Wolf et al.,Mol.Bio l.Med.5: 43-59(1988); Rosenberg et al.,Science 242: 1575-1578(1988 ))、チロシンヒドロキシラーゼ(Wolff et al.,Proc.Natl.Acad.Sci .USA 86: 9011-9014(1989); Horellou et al.,Proc.Natl.Acad.Sc i.USA 86: 7233-7237(1989))およびその他の蛋白(Fredericksen et al. , Neuron 1: 439-448(1988); Cepko,C.,in Neuromethods,vol.16,Molec ular Neurobiological Techniques,Boulton et al.,eds.,The Humana Press,Clifton,NJ(1989); Cepko,C.,Ann.Rev.Neurosci.12: 47 -65(1989))、の遺伝子を担持するものを含む多数のレトロウイルスベクターが 神経科学的利用のために開発されてきた。インビボにおけるlacZ保持レトロウ イルス(例えば、BAG)の胎芽組織への直接導入は神経細胞およびそれらの分 化娘細胞、観察されているように、例えば、乳首、網膜および大脳皮質、中に遺 伝子送達を生ぜしめ得る(Gray,G.E.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85: 7356-7360(1988); Turner et al.,Nature(Lond.)328: 131-136(1987); Walsh et al.,Science 241: 1342-1345(1988); Luskin et al.,Neuron 1 : 635-647(1988))。これらの細胞の低い有糸分裂指標およびレトロウイルスの 比較的短い半減期(培地中4時間;Cepko,C.,in Neuromethods,vol.16, Molecular Neurobiological Techniques,Boulton et al.,eds.,The Hu mana Press,Clifton,NJ(1989))から想像されるように、この種のベクタ ーの成人神経組織中の注入についての細胞の標識については報告されていない。 培地中の分裂細胞に感染させ、ついでこれらの遺伝学的に修飾された細胞を脳中 に移植することによって、成熟げっ歯類脳中に間接的な「遺伝子送達」のために これらのレトロウイルスベクターの使用が可能なことは幾つかの研究で示されて いる(Gage et al.,Neuroscience 23: 795-807(1987))。この手法が、移植 ラットC6グリオノーマ細胞および線維芽細胞の運命を観察するためにlacZベ クターに用いられた(Shimohama et al.,Mol.Brain Res,.5: 271-278(1 989))。NGFベクターおよびTH−保持ベクターを感染させたラット線維芽細 胞株、NGFベクターで感染させたラット褐色腫細胞およびTIIベクターで感染 させたマウス下垂体株が、成熟ラット脳の領域に生物学的に活性なNGFおよび /またはL−ドーパおよびドーパミンを送達するのに使用された(Rosenberg e t al.,Science 242: 1575-1578(1988); Wolff et al.,Proc.Natl.Acad .Sci.USA 86: 9011-9014(1989); Horellou et al.,Eur.J.Neurosc i.2: 116-119(1990))。mycおよびSV40T腫瘍遺伝子を保持するレトロ ウ イルスベクターでの感染について幾つかの新規な多能力的神経細胞株が開発され てきた(Snyder et al.,Neurosci.Abst.9: 9(1989); Lendahl et al.,C e11 60: 585-595(1990); Ryder et al.,J.Neurobiol.21: 356-375(1990)) 。 げっ歯類グリオノーマモデルが、インビボにおける腫瘍細胞への外来遺伝子の 送達のためのレトロウイルスベクターの使用の可能性を検討するために使用され た。BAGレトロウイルスベクターが、成熟ラット脳中に移植されたラットグリ オノーマ細胞中にレポーター遺伝子lacZを送達するために使用された。この発 明者らは、BAGレトロウイルスの直接注入またはこのウイルス性ベクターを放 出するpsi2−BAGパッケージング株の移植後の内因性脳細胞およびC6グ リオノーマ細胞の注入を評価した。培養された細胞および組織片は、遺伝子送達 の成功の指標としての細菌性ベータ−ガラクトシダーゼの組織化学的染色によっ て、およびグリオノーマ細胞および星状細胞のマーカーとしてのグリア原線維酸 性蛋白(GFAP)およびS100の免疫染色(Bignami et al.,Brain Res .43: 429-435(1972))、および線維芽細胞−誘導パッケージング株のマーカー としてのフィブロネクチンの免疫染色によって評価した。 材料および方法 細胞培養、レトロウイルス感染およびベータ−ガラクトシダーゼ染色: 自己指向性レトロウイルス産生株、psi2−BAG2−14、をC.セプコ (ハーバード医学校)からM.ローゼンバーグ(UCSD)を通じて得た(Pri ce et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84: 156-160(1987); Short e t al.,Dev.Neurosci.12: 34-45(1990))が、これをダルベコ修正イーグル 培地、10%胎子ウシ血清、ペニシリン100単位/mL、ストレプトマイシン (D10P/S)100μg/mLおよびネオマイシン類似体、G418、50 0μg/mL中で生長させた。培養材料はすべてGIBCOから入手した。ウイ ルスは、ほぼ融合した培養物の上薄層培地をG418を含まない量を減らした新 鮮培地で置換して採取した。ウイルス粒子を含むこの調整培地はを24−28時 間後に除去し、セルロースアセテート膜(孔径0.45μm、Nalgene)で濾過し 、−70℃で保存した。G418の存在下3T3細胞上のコロニー形成単位(c f u)としてウイルス力価を測定した。ウイルス力価は1−3×104cfu/m Lであった。幾つかの例では、ウイルスストックは遠心分離により1−3×105 cfu/mLに濃縮した(Price et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.US A 84: 156-160(1987))。 ラットグリオノーマ細胞株、C6(Benda et al.,Science 161: 370-371(1 968))はD10P/S中で生長させた。C6−BAG株はC6グリオノーマ細胞 をBAGベクターで感染させ、C418選択のもと単一の細胞サブクローンを分 離して調製した。細胞は、組織化学的分析によってベータ−ガラクトシダーゼを 検定した(Price et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84: 156-160(1 987))。少なくとも6継代後99%の細胞がベータ−ガラクトシダーゼ陽性であ るサブクローン(C6−BAG B2−10)を、継代2または3における次の 実験に使用した。 成熟ラット脳中への細胞移植およびレトロウイルス接種: 体重151−175gの成熟フィッシャーラットをエキセシンの腹腔内注射に よって麻酔した(Short,C.,Principles and Practice of Veterinary M edicine,Williams and Wilkins,Baltimore,MD(1987))。各実験群につ きラット2〜5匹を使用し、実験は少なくとも2回行われた。大脳注射の定位座 標は成熟ラットの定位地図から決定した(Paxinos et al.,in Rat Brain in Stereotoxic Coordinates,2nd ed.,Academic Press,New York(1986)) 。細胞およびウイルスは8μg/mLポリブレンで注入するか、または斜めの2 5ゲージ針の10μlハミルトンシリンジを用いて調整媒体で注入した。注入( 5μl)は5分間隔で行われ、針は除去前さらに2分間その場所に保持された。 動物は殆どが外科的手術に耐えたが、ほんの数匹が麻酔中に死亡した。 移植実験では、融合培養物を、Ca++およびMg++を含まないダルベコリン酸− 緩衝食塩水(PBS)で濯ぎ、0.05%トリプシンでインキュベートした。細 胞をD10に懸濁させ、5分間1200×gで遠心分離してペレットにした。細 胞ペレットをPBS中に再懸濁させ、遠心分離により集めた。最終細胞懸濁液を 完全PBS(PBS、このPBSはMgCl2およびCaCl2を各1μg/mL、0 . 1%グルコースおよび5%ラット血清を含む(GIBCO))中密度105細胞 /μlに調整し、移植まで4℃にて保存した。 組織調製: かん流前に、ラットをエキセシンで麻酔した(Short,C.,Principles and Practice of Veterinary Medicine,Williams and Wilkins,Baltimore ,MD(1987))。かん流は、ヘパリンナトリウム10,000単位/mLを含む 冷PBS50mLで、ついでPBS中冷3%パラホルムアルデヒド250mLを 用いて上行大動脈を通過させて行った。4℃にて一夜ポスト固定後、脳は浸漬ま でスクロースのパーセントを増加させながら(15、20、30)4℃にて維持 した。脳をドライアイスで凍結させ、切片にするまで−80℃にて維持した。切 片は凍結ミクロトーム上で40μmに切断し、0.1%アジ化ナトリウムを含む 0.5Mトリス−HCl、pH7.4中、または33%ポリエチレングリコール中で 染色まで維持するか;または、低温槽中で10−15μmに切断し、ゼラチン− 代替スライド(フィッシャー;100ブルーム)上に直接のせ、染色まで乾燥さ せて4℃にて保存するかのいずれかにした。 組織学: 組織のベータ−ガラクトシダーゼについては、ターナーおよびセプコ(Turne r et al.,Nature(London)328: 131-136(1987))の変法を用いた。要約すれば 、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−B−D−ガラクトシド(X−ガル 、ベーリンガー・マンハイム)をDMSO中4%貯蔵液として調製した。浮遊ま たはスライド上の切片(または、組織培養皿上の細胞)を2μM MgCl2、35 μM K3Fe(CN)6、35μM K4Fe(CN)6、0.01%デオキシコリン酸ナ トリウムを含むPBSの溶液中で37℃にてインキュベートしたが、インキュベ ートの直前に0.02%NP4O,pH7.3;0.1%X−ガルを添加した。37 ℃にて一夜インキュベートした後、培養された細胞を直接観察し、切片をPBS で濯ぎ、代替スライド上にのせ、ついでヘマトキシリンおよびエオシンまたは中 性レッドでカウンター染色した。ついで、水で濯ぎ、濃度を高くしながらアルコ ールに通し、水中に放置して、水性カバー液、クリスタルマウント(バイオメ ディア)、でカバースリップするか、またはキシレン中に放置して、パーマウン ト(フィッシャー)でカバースリップした。 切片の幾つかはGFAP、S100またはフィブロネクチンを同定するために 免疫細胞化学的に染色された。これらの切片はPBS中で濯ぎ、30分間ブロッ キング血清でインキュベートし、ついで、室温で一夜下記の抗体とともにインキ ュベートした:ヒトGFAPに対するマウスモノクローナル抗体(ベーリンガー ・マンハイム)、1:3希釈;ウシS100に対するウサギポリクローナル抗体 (デイコ)、1:750希釈;または、ヒトフィブロネクチンに対するマウスモ ノクローナル抗体(カペル)、1:80希釈;これらすべてはそれぞれのラット の抗原と交差反応する。抗体を、0.9%NaCl、0.25%トリトン−X−10 0および3%ブロッキング血清を含む10μMリン酸緩衝液、pH7.4で希釈し た。完全に濯いだ後、切片をビオチニル化ウマ抗マウスIgG、ビオチニル化ヤ ギ抗ウサギIgG、またはウサギ抗ヤギIgG(ベクタステイン)、1:200同 緩衝液希釈、のいずれかとともに2時間インキュベートし、その後、PBSで数 回濯いだ。ついで、切片をアビジンとビオチニル化セイヨウワサビペルオキシダ ーゼの複合体(ベクタステイン、ABCエリートキット)、1.5:100同緩 衝液希釈、とともに30分間インキュベートした。このペルオキシダーゼを、5 0μMトリス−HCl、pH7.3、中0.05%3,3−ジアミノベンジジンテト ラヒドロクロリド、0.04%NiCl2および0.01%H22とともに5−10 分間室温にて反応させて可視化した。幾つかの例では、切片を最初にベータ−ガ ラクトシダーゼ活性について組織化学的に染色し、ついで、GFAPについて免 疫染色した。別の例では、一連の切片を別法にベータ−ガラクトシダーゼおよび GFAPまたはS100について染色した。結果 培養物中のpsi 2−BAG細胞の組織化学的染色では、採用した中性条件下、 ベータ−ガラクトシダーゼに対してほぼ100%が染色陽性であり、GFAPに 対しては染色されず、一方、C6細胞の大多数がGFAP抗原に対して陽性に染 色され、全部がベータ−ガラクトシダーゼに対して陰性であった。psi 2−BA G細胞の、C6細胞に感染し得るBAGウイルス放出能力はこれら2つの細胞型 のそれぞれを含有するカバースリップ(coverslip)を同じ培養皿内の離れた位置 に置くことにより証明された。psi 2−BAG細胞の存在下、C6細胞を担持す るカバースリップ上で常に増える細胞部分は(パーセンテージ)は、96時間にわ たってベータ−ガラクトシダーゼに対して陽性に染色された。基本的には、グリ オーマカバースリップ上の全細胞がGFAPにも陽性であった。これはpsi2− BAG細胞によって放出されたBAGウイルスがグリオーマ細胞ゲノムに成功裏 に組み込まれたことと一致する。 インビボでの内因性脳細胞への遺伝子転移の効率を、5μlのBAGレトロウ イルスベクター(90−900cfu)を成熟ラット海馬又は尾状核に直接接種する ことにより試験した。対照動物には同時に完全PBSを接種した。動物を注射後 7日目に殺した。ウイルスを直接注射された動物では、対照動物でおけると同様 、実質中に、ベータ−ガラクトシダーゼに対して陽性に染色される細胞は認めな かった。以前に知られているように(Shimohama et al.,Mol.Brain Res.,5: 2 71-278(1989))、両群からの幾つかの切片(セクション)では、脈絡膜叢内でベー タ−ガラクトシダーゼに対する僅かな陽性染色が認められた。これらの対照切片 では、陽性に染色される細胞が腫瘍塊中に存在する動物の場合と、染色は質的に 異なっていた。(下記参照) グリオーマ細胞には、接種後の増殖ラグがあるかもしれず、従って最初はウイ ルスの組み込みに適した、細胞分割段階でないかもしれないと仮定して、腫瘍細 胞の脳への直接注射の効率を、C6細胞の移植からウイルス注射までの間隔を様 々に変化させて試験した。移植及び感染の部位は右前頭葉である。グリオーマ細 胞とBAGウイルスの同時注射のために、C6細胞(5x105)をウイルスス トック(90−900cfu)5μlに懸濁した。他の動物は、既にC6細胞が移 植された部位に、遅れてウイルスストック注射を受けた。ウイルスストック5μ lづつを、3及び5日前に、それを用いてC6細胞を移植した定位固定性(立体 空間的)コオーディネート(stereostatic coordinate)と同じものを用いて注射し た。対照動物にはウイルス不在で、C6又はC6−BAG細胞を移植した。最後 のウイルス注射から7〜10日後に全動物を殺した。C6細胞とBAGウイルス の同時注射では、数個の腫瘍細胞(0.1%以下)のみがベータ−ガラクトシダ ーゼ活性に関して染色された。染色された内皮細胞が、腫瘍塊の内部又は周囲の 血管内にも認められる例もあった。腫瘍移植から遅延してウイルス注射された動 物の場合にも、少しの細胞のみが陽性であった。ウイルス注射を遅れさせた動物 と、C6とBAGウイルスを同時注射した動物において、陽性に染色された細胞 の数には注目すべき差はなかった。C6及びC6BAG細胞の注射で、同様の大 きさの腫瘍が発現した。ウイルス不在でのC6細胞注射では、青色細胞(blue ce lls)は認められなかった。C6BAG注射では、既知のごとく(Shimohama et a l.,Mol.Brain Res.,5: 271-278(1989))、全腫瘍細胞がベータ−ガラクトシダ ーゼ陽性であった。 psi 2−BAGパッケージング細胞の移植片の運命を調べるために、動物の右 前頭葉にpsi2−BAG細胞(5x105細胞)を注射し、対照として、同じ数の psi2細胞を左前頭葉に注射した。移植後の様々な時期に動物を殺した。1日後 、右前頭葉の注射部位に、ベータ−ガラクトシダーゼ陽性細胞がぎっしり詰まっ た塊が見られた。第1日には、左前頭葉には陽性に染色される細胞は見られず、 移植後、第5、9、14及び21日後に殺された動物から得た切片には、どちら の側にも陽性に染色された細胞は見られなかった。この期間を通して、脳におけ る腫瘍の形成又は他の破壊的変化の証拠はなかった。 次いで、パッケージングライン、psi2−BAGの共−移植(co-graft)による 、lacZ遺伝子のC6へのin situ遺伝子転移の効率を試験した。同時の共-移植 のための細胞懸濁液は、psi 2−BAG細胞5個に対してC6細胞1個の細胞混 合物を含有していた。移植の部位は、再び右前頭葉であった。遅延注射のために は、動物にC6細胞(2×105細胞)を1日目に与え、次いでpsi2−BAG細 胞(5×105細胞)5μlを第3及び7日目に注射した。全ての場合、psi2− BAG細胞の移植の7日後に動物を殺した。対照として他の動物にpsi2−BA G及びC6単独を並行して注射した。C6及びpsi2−BAG細胞の同時共−移 植を受けた動物由来の組織学的に染色された切片には、青色及び非−青色細胞の 両方が腫瘍塊中に認められた。これらのベータ−ガラクトシダーゼ陽性細胞のあ るものは、GFAP又はS100に対して共−染色され、それらがC6グリオー マ細胞であることを示していた。腫瘍細胞塊内には、ベータ−ガラクトシダーゼ 陽性でない、GFAP又はS100陽性細胞も多数存在した。他のベータ−ガラ クトシダーゼ陽性細胞のあるものは、GFAP、又はS100を発現しないか、 発現が低いC6細胞かもしれない。実際、脳に単独で移植されたC6細胞の内、 得られた腫瘍塊中の約半数の細胞のみが、S100陽性であり、さらに少数がG FAP陽性であった。幾つかのベータ−ガラクトシダーゼ陽性細胞も、脳実質に 比較して腫瘍塊中でより長く生存しうる、psi2−BAG細胞かもしれない。し かしながら、フィブロネクチンに対する免疫染色で、7日目の共−移植片中には psi2−BAG細胞が無いことが分かった。これら腫瘍の連続的な切片を検査し 、多くの切片がベータ−ガラクトシダーゼ陽性細胞を含まず、psi2−BAG細 胞とC6細胞とを同時に注射された動物で、腫瘍中の高々約1%の細胞が、lac Z遺伝子を発現したと見積ることができた。対照的に、パッケージングラインの 腫瘍塊への遅れた注射を受けた動物から得た切片は、腫瘍全体を通した切片の全 てにベータ−ガラクトシダーゼに対して陽性に染色される多数の細胞を含んでお り、10%もの細胞が陽性であり、大多数の陽性細胞は腫瘍周辺にあった。グリ ア特異的抗原S100とベータ−ガラクトシダーゼに対する共−染色で、腫瘍内 の多くの細胞がグリアから誘導され、ベータ−ガラクトシダーゼ活性に陽性の細 胞もあることが分かった。このように、腫瘍細胞は、腫瘍とパッケージングライ ンを同時に注射した場合よりも、腫瘍細胞の樹立後にパッケージングラインを移 植した場合の方が、効率よく感染されるようである。注射間の遅延が3日の場合 には、7日の場合と対照的に、動物間になんらの有意な差異はないと思われる。考察 この研究では、我々はリポーター遺伝子、lacZの、培養物中及びラット脳内 の、ラットグリオーマ細胞へのデリバリー(到達)おける、複製欠如(replicati on defective)−レトロウイルスベクターの有効性を証明した。培養物中では、p si2−BAG細胞から放出されたBAGレトロウイルスベクターは成功裏に、 同一皿内のC6細胞に感染し、それはベータ−ガラクトシダーゼ活性に対する染 色により証明された。形態学とGFAPとの免疫反応性によりベータ−ガラクト シダーゼ陽性細胞をグリオーマ細胞である同定した。次いで、lacZ遺伝子の内 因性脳細胞又はC6細胞へのインビボ転移の効率を、2つの方法で比較した:B AGウイルスの直接注射又はウイルスを放出するパッケージングラインの移植で ある。インビボでの最高効率はレトロウイルスパッケージングラインのC6腫瘍 細胞の樹立されたベッドへの移植により得られた。 ウイルスを正常な成熟ラットの脳の実質に直接注射することでリポーター遺伝 子を到達させる当初の試みでは、実質上、ベータ−ガラクトシダーゼ陽性細胞は 得られなかった。これらの動物では、完全なPBSを接種された対照におけると 同様、実質でなく脈絡膜叢内に僅かに陽性の染色が認められた。このリソソーム ベータ−ガラクトシダーゼの内因性陽性染色は以前に報告されており(Shimoham a et al.,Mol.Brain Res.,5: 271-278(1989))、切片をニュートラルレッドで 対比染色するとマスクされた。成熟ラット、及び出生直後の若い動物でさえ、に おける細胞の大多数が後期−有糸分裂(post mitotic)であり、レトロウイルスの 組み込みには細胞分裂が必要であるという理由から、ウイルスベクターによる直 接到達の失敗は驚くべきことではない。接種部位としての海馬は、該領域の細胞 において出生後の分割が最後に終わるとの理由で、組み込みの成功の可能性を増 すために選択された(Das et al.,Brain Research 22: 122-127(1970))。グリオ ーマ細胞と一緒に、又はグリオーマ移植の後遅れて、BAGウイルスを接種され た動物では、ごく僅かの単離された腫瘍細胞が感染した。これは、多分、レトロ ウイルスのインビボでの半減期がかなり短いこと、及びグリオーマ細胞の分裂状 態を反映している。僅かのベータ−ガラクトシダーゼ陽性細胞の大部分が有糸分 裂活性が最も高いと考えられている腫瘍の端の部分で見出された。時たま染色さ れた内皮細胞が観察されたが、これは、内皮細胞は血管や脳、特に血管形成した 腫瘍ベッドで連続的に分裂するので、予想しうることである。 ウイルス力価及び接種物の容量の両方が、直接的なウイルス注射を用いてより 高い組み込み成功率を達成することを大きく制限している。遠心によりウイルス 力価を増大する試みでは、力価は10−100倍にしか増大しなかった。5μl の104−106cfu/mlのレトロウイルスストックと一緒にグリア腫瘍を接種( 約105細胞から始める)すると、ウイルスの細胞に対する割合は1:1よりも はるかに低い(感染の多重度MOI≦0.01)。我々の側では、培養中で迅速 に分裂しているC6細胞のBAGレトロウイルスベクターによる感染効率はMO I3で約30%であった。このように、インビボでの腫瘍の直接接種が非効率的 であることは、驚くことではない。 パッケージングラインの移植により、長期間にわたって腫瘍内にウイルスを放 出することによる直接接種における制限の幾つかが克服されるように思える。こ の実施例は、パッケージングライン、psi 2−BAG及びグリオーマ細胞の共− 移植(co-grafting)で、直接的なウイルス接種よりも、リセプター遺伝子、lacZ をこれら腫瘍細胞に効率よく到達させることを示す。これら2つの細胞型を同時 に移植する場合に比較して、psi2−BAG細胞の移植の3日又は7日前にグリ オーマ細胞を移植された動物では、一層効率が高かった。遅れた注射を受けた動 物の脳の切片の組織化学的な分析により、腫瘍が広範囲に感染されたことが分か った。psi2−BAG細胞を単独で移植した別の実験では5日後に検出されなか ったので、psi2−BAG移植の1週間後に脳を検査した。さらに、7日後に共 −移植片を免疫染色すると、フィブロネクチン陽性の細胞は認められなかった。 このことは、psi2−BAG移植片が、ラット系統の相違により免疫的に拒絶さ れたか、又はもし存在するとすれば、レトロウイルスにコードされている遺伝子 が発現されなかったかのいずれかであることを示唆している(Plamer et al.,pe rsonal communication)。免疫細胞化学により、我々は、ベータ−ガラクトシダ ーゼ活性及びGFAPの両者又はS100抗原に染色する腫瘍内の細胞のあるも のを樹立し、psi2−BAG細胞から放出されたBAGウイルスにグリオーマ細 胞が成功裏に感染したことを確認した。しかしながら、腫瘍内にはベータ−ガラ クトシダーゼ陰性であってGFAP−及びS100陽性の細胞があり、腫瘍細胞 の感染が不完全であることを示唆していた。 脳内のグリオーマ細胞の、レトロウイルスパッケージングラインの共−移植に よる感染効率を増大する幾つかの方法が考えられる。1つの方法は、長期間にわ たって腫瘍ベッド内にウイルスを放出する細胞の数を増加するためにパッケージ ングラインを連続的に注射することにより行われる。他のレトロウイルス放出の 量と期間を増加する方法は、宿主と免疫適合性であり、移植後長期間生存しうる パッケージングラインを開発することである。腫瘍周辺の脳実質を含む広範な領 域への放出も、星状細胞から導かれたパッケージングラインを用いて達成するこ とができるだろう。移植された新生の、又は胚性星状細胞はそれが注射された元 の位置から5mmも移動することができることが知られており、グリア腫瘍細胞に 到達し侵入することでは線維芽細胞よりも優れていることが示唆されている(Jaq ue et al.,Dev.Neurosci.8:142-149(1986); Zhou et al.,J.Comp.Neurol.29 2:320-330(1990); Hatton et al.,Soc.for Neurosci.Abstracts 15:1369(198 9))。加えて、内因性脳細胞であるグリアから誘導されたグリア-誘導パッケージ ングラインは生存性が高く、in situ の合図に対してより高い反応性を有するか もしれない。突発性脳腫瘍の場合、腫瘍塊が除去されて、その部位に幾つかの腫 瘍細胞が残存しており、そしてパッケージングラインを患部に直接移植するとい う構図を想像することができる。これは、移植されうるパッケージング細胞の数 を増加し、腫瘍細胞に対するパッケージング細胞の数を増加し、かくして腫瘍細 胞への感染の能力を増加することになる。 本実施例は、治療能力を有する遺伝子を中枢神経系(CNS)の悪性グリア腫 瘍へのデリバリーに有用なモデル系を表しており、現時点で腫瘍学におけるユニ ーク取り組みを提示している。腫瘍細胞は正常な脳内に浸潤しているので、外科 的な完全摘出は不可能である。正常な脳の照射損傷に対する感受性から、放射線 照射療法には限界がある。化学療法は血液脳関門の存在で、この関門を横切って 浸潤性腫瘍細胞に到達しえない薬物の有用性を減少することにより妨げられてい る。レトロウイルスは腫瘍細胞に遺伝的な感受性を与える潜在的治療剤である。 1例として単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−TK)遺伝子を含 有するビリオンを放出するレトロウイルスパッケージングラインがある(Moolte n et al.,J.Natl.Cancer Inst.82:297-300(1990))。HSV−TK遺伝子は、 哺乳動物の細胞ゲノムに取り込まれると、ヌクレオシド類似体、acyclovir、gan ciclovir、FIAUのような化学療法剤に対する感受性を付与する。細胞培養研究に より、このレトロウイルスに感染したC6グリオーマ細胞及び他の細胞は、非感 染細胞を殺すのに必要なganciclovir量の100分の1の濃度で死滅することが 示された(Moolten et al.,J.Natl.Cancer Inst.82:297-300(1990))。 後のHSV−TKウイルスパッケージングラインの共-移植し、動物をヌクレ オシド類似体で処理することによってもC6グリオーマ細胞を殺すことは可能か もしれない。さらに、腫瘍血管をHSV−TK遺伝子を用いる提案の死滅系の標 的としてもよい。 実施例3 レトロウイルスベクターを、遺伝子を分裂中の細胞のゲノムに転移するために 用いることができる。遺伝子デリバリー及びganciclovirによる死滅の効率を高 めるために、C6VIK細胞に外生の野生型レトロウイルス(MoMLV)を感 染させることにより、新しいパッケージングライン(C6VIK−WT)が開発 された。Mann et al.,Cell 33:153-159(1993); Price et al.,Proc.Natl.Aca d.Sci.USA 84:156-160(1987); 及びCepko,C.,in Neuromethods,vol.16,Molec ular Neurobiological Techniques,Boulton et al.,eds.,The Humana Press ,Clifton,NJ(1989),pp.177-219参照。腫瘍細胞は脳実質深くに移行しうるの で、それらは腫瘍塊から離れた腫瘍細胞にベクターをデリバリーできなければな らない。培養中では、50%のC6VIK−WT細胞が0.024μM GCV で死滅したが、50%のC6VIK細胞を死滅させるには7.3μM GCVが 必要であった。これは、C6VIK−WT細胞が、HSV−TK遺伝子の複数の 組み込みにより、又はC6VIK−WT細胞のGCV毒性産物への感受性が増大 していることにより、C6VIK細胞よりもHSV−TK活性が高いことを示し ている。C6BAG細胞(lacZ遺伝子で標識されており、従ってベータガラク トシダーゼで組織化学的検出可能)と、C6VIK細胞及びC6VIK−WT細 胞を培養し、次いでGCV処理すると、C6VIK細胞よりもC6VIK−WT 細胞と一緒に培養した場合の方が、実質上、より多くのC6BAG細胞が死 滅した。恐らくC6VIK−WT細胞は野生型レトロウイルスとHSV−TK遺 伝子を含有するレトロウイルスベクターの両方(そのいずれもC6VIK細胞に より産生されない)を産生し、C6BAG細胞の死は、レトロウイルス感染及び /又は自己生成したGCV毒性生産物を介するのかもしれない。C6VIK−W T細胞の皮下接種、又はC6VIK−WT細胞とC6BAG細胞の同時皮下接種 (C6BAG細胞単独でなく)を受けたヌードマウスの大多数が、インビボのG CV処理で腫瘍の緩解を示した。これらの所見は、レトロウイルスを介する遺伝 子デリバリーの効率及び腫瘍細胞の毒性物質への感受性が、レトロウイルスベク ターに感染した細胞をパッケージングセルラインに変化させるヘルパーウイルス を用いることで、増大されることを示している。 遺伝子デリバリーにおけるレトロウイルスベクターの使用は必ずしも腫瘍破壊 のために設計された遺伝子系に限定されない。腫瘍発生又は腫瘍調節に関連した 遺伝子デリバリーは、探求する上で有用な戦略でもある。グリア腫瘍内での、第 17及び10染色体、及びあまり一般的でないが、第22染色体上のDNAマー カーに関する異型接合性の欠如は、腫瘍サプレッサー遺伝子がこれらの染色体領 域に存在することを示唆している(Bigner et al.,Hereditas 101: 103-113(19 84); Bigner et al.,Cancer Res.88: 405-411(1988); James et al.,Cancer R es.48:5546-5551(1988);El-Azouzi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7186 -7190(1989)。網膜芽腫遺伝子機能の回復により、培養中の網膜芽腫及び骨肉腫 細胞の増殖が阻害されることが示された(Huang et al.,Science 242:1563-1566 (1988))。 実施例4 受容腫瘍細胞に、治療上有用なレベルで化学感受性を移すために、野生型Molo ney ネズミ白血病ウイルス(WT MoMLV)を感染したC6VIKグリオーマ ラインをベクター生産セルライン又は「ドナー」セルラインとして用いた。グリ オーマ細胞は、新生物性なので、インビボで長期間持続し他の腫瘍細胞と混じる 。さらに、欠損ヘルパーよりも、野生型ヘルパーウイルスの方が、VIKベクタ ーを用いる「受容(recipient)」腫瘍細胞のより広範な感染を仲介する。感染 したセルライン(C6BVIKWT)は複製欠失VIKベクターと野生型ウイル スの両方を放出する。C6BVIKWT細胞は、受容C6BAG腫瘍細胞を培養 中及びインビボの両方で、ganciclvir治療感受性にする。方法 レトロウイルス:VIKレトロウイルスベクターは、レトロウイルスプラスミ ドpLRNLのBamHI部位にクローンされたHSV−TK遺伝子の全コード配 列と2kbの3'非コード領域(polyA付加部位を含む)を含む2.8kb BamHIフラ グメントを含有する(Ezzedine et al.,New Biol.3:608-614,1991)。BAGレ トロウイルスベクターは5'LTRから転写されたlacZ及びSV40プロモータ ー−エンハンサーエレメントから転写されたneoR遺伝子を担持している(Pric e et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:156-160(1987))。感染性野生型MoM LVを放出するプロデューサーセルライン「sup」を用いた(Reik et al.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 82:1141-1145(1985))。 細胞培養及び感染:ラットC6グリオーマラインをニトロソメチルウレアで誘 発した脳腫瘍(Benda et al.,Science 161:370-371 1969)から誘導した。C6B AGセルラインは、C6グリオーマ細胞(Bendaら、1969)にBAGレトロウイ ルスを感染し、G418選択の下でクローニングすることで生成させた(以下参 照)。このクローン中の細胞は均一にE.coliベータガラクトシダーゼを発現す る(Shimohama et al.,Mol.Brain.Res.5:271-278,1989)。 C6BU1セルラインはラットC6グリオーマ細胞から、突然変異誘発及びブ ロモデオキシウリジン中で内因性TK活性の喪失に関して選択することにより誘 導された(Amano et al.,Exp.Cell.Res.85:399-408,1974)。C6BU1細胞を 、レトロウイルスベクター、VIK(Ezzedine et al.,New Biol.3:608-614,1 991)、又はpsi-2プロデューサーラインにより、生産されたレトロウイルスベク ター、BAG(Price et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:156-160、1987)のい ずれかに感染させ、それぞれ、HAT(10mMヒポキサンチンナトリウム、4 0μMアミノプテリン、及び116mMチミジン、GIBCO)又はネオマイシ ン類似体、G418(1mg/ml、GIBCO)の存在下、選択してクローニング し、ラインC6BVIK及びC6BBAGを得た。C6BUI及びC6VIK細 胞をプロデューサーライン「sup」から放出された野生型MoMLVウイルス( WT)に感染し、それぞれ、C6BWT及びC6VIKWT細胞を製造した。研 究に用いた他のセルラインはNIH3T3及びTK−陰性NIH3T3である。 全セルラインを10%ウシ胎児血清(GIBCO)、100units/mlペニシリン、及 び100μg/mlストレプトマイシンを含有するダルベッコの改良イーグル培地 (320−1965、GIBCO)中で培養した。全感染はポリブレン(Sigma )の存在下、記載に従って行った(Mann et al.,Cell 33:153-159(1983))。 ウイルスストックは、選択培地でほぼ80%全面成長した培養物から得、次い でG418又はHATを含有しない培地で24時間維持した。培養培地を除き、 0.45μmフィルター(Nalgene)でろ過し、−70℃で保存した(ウイルスストッ ク)。 プロデューサーセルラインのウイルス力価を、NIH3T3(TK−)又はN IH3T3細胞にウイルスストックを感染させ、それぞれ、ストック単位量当た りのHAT耐性又はG418耐性細胞の数を決定することで、測定した。C6V IK細胞からの培養培地は、ここで用いたと同じ経過で、ヘルパーウイルス活性 を持たないことが示された(Ezzedine et al.,New Biol.3:608-614,1991)。 培養中でのganciclovir感受性アッセイ:単離した細胞の感受性を測定するた めに、細胞を24−ウエルプレートに104細胞/ウエルの密度でプレートした 。翌日、培地を種々の濃度(0−1μM)(4重)のganciclovir(Cytovene,B urroughs Wellcome)を含有する培地で置換した。4日後、細胞をトリプシンで 収穫し、セルカウンター(Coulter Electronics Ltd.,Luton,英国)により計数 した。未処理細胞の数(100%)に対する細胞の割合(%)で細胞増殖を表した 。 コロニー形成におけるganciclovir感受性を測定するために、細胞を25cm2培 養フラスコ当たり500細胞の密度で、細胞をプレートした(2重)。7日後、種 々の濃度(0,0.1,0.5,1,10,50,100,300μM)のganciclovirを 加え(4重)、3−5日ごとに培地を交換しながら、9−12日間インキュベー トした。次いで、細胞を100%メタノールで固定化し、Giemsa(Freshney,R.I. ,”Culture of Animal Cells”in; A Manual of Bssic Techniques,2d.ed.,N ew York,Alan R.Liss,170-171(1987)、及び直径が≧2mmであるコロニーを数 えた。 共−培養実験:遅延的共培養実験のために2組、C6BAGまたはC6BBA G細胞(受容体)を、25cm2培養フラスコ当り103細胞の密度で植え付け、7 日間培養し、その時点でサンプリングすると細胞数が、フラスコ当り5×104 細胞に増加していた。供給体C6VIKまたはC6VIKWT細胞を培地に1: 2の比率(5×104受容体細胞:105供給体細胞)で加える。対照培地は、C 6BAGまたはC6BBAG細胞のみ、または、上記のように遅延させた後、“ 供給体”C6BU1またはC6BWT細胞と共に植えたC6BAGまたはC6B BAG細胞で形成していた。10日後ガンシクロビルを種々の濃度(0−300 μM)で加え、そして細胞を薬剤と共にさらに9−12日間インキュベートする 。次いで、(Price et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:1141−1145( 1987))記載のように、細胞を0.5%グルタルアルデヒドで固定し、β−ガラク トシダーゼ活性のために組織化学的に染色し、コロニーを計数した。 同時的共−培養実験のために2組、103受容体細胞C6BAGまたはC6B BAGを105供給体細胞C6VIKまたはC6VIKWTと共に植えた。対照 は同じ比率(1:100)でC6BU1細胞と共に植えたC6BAGまたはC6 BBAGであった。7日後、ガンシクロビルを種々の濃度(0−300μM)で 加え、培養を上記のように進行せしめた。受容体細胞に対する供給体細胞の比率 効果を検定するために、同時的共培養実験も受容体細胞C6BAGに対する供給 体細胞C6VIKWTの比率を0.1−100で変えて行われた。 毒性検定:ガンシクロビルで処置したHSV−TK遺伝子を有する細胞からの 自然型ウイルスおよび/または毒性代謝体で感染せしめた供給体細胞からの分散 型サイトトキシンの世代について検定するために、培地をC6BAGおよびC6 VIKWT細胞の共培養から、7日間のガンシクロビル300μM処置の前と間 に取得した。対照培地はC6BAG細胞から取得した。培地物を濾過し(上記の ように)、2組の25cm2培養フラスコ当り104細胞で植えた純真C6BU1細 胞に対する細胞毒性を検定した。培地の容積は、全量4mL/フラスコにおいて 0.1−1mLの範囲にあった。7日後、細胞を100%メタノールで固定し、ギ エムサ染色を行い、コロニーを計数した。 インビボでの腫瘍のガンシクロビル感受性:C6VIKWT細胞(200μl 培地中5×105細胞)を雌ヌードマウスの腹部に皮下注射した(NCr/Sed, nu/nu;MGH breeding colony)(Ezzedine et al.,New Biol.3:608 −614(1991))。3処置群であった;25mg/kgガンシクロビル腹腔内 1日 2回、14日間、n=5;25mg/kg ガンシクロビル腹腔内 1日1回、14 日間、n=4;12.5mg/kg ガンシクロビル腹腔内 1日2回、14日間、n =4。ガンシクロビル治療は、14日間の1日25mg/kgまでの腹腔内注射によ り、カリパスで測定して腫瘍の大きさが直径1cmに達したときに、開始した。対 照群には、14日間、リン酸緩衝液(PBS,310−4200AJ,GIBC O)を同様の量で腹腔内投与された。腫瘍の容量は24日を越える処置期間中、 隔週ごとに測定され、処置が開始された時点での容量と比較した%で表された。 同じ注射場所で106C6BU1細胞、C6VIK細胞またはC6VIKWT 細胞投与後直ちに105C6BAG細胞を注射することが各組合せで上記20匹 用いたように行われた。腫瘍が直径1cmに達した後、ガンシクロビル処置が始ま り、14日間、各群の半分は25mg/kg1日2回腹腔内投与、他の半分は対照と してPBSが腹腔内された。腫瘍容積は、17日間を通して、処置開始時の容積 より増加した%として検定された。 結果 1.培養研究 ガンシクロビル感受性:ガンシクロビルに対する種々の細胞系の用量依存感受 性を細胞増殖およびコロニー形成検定で調べた。2つのHSV−TK保持系につ いて、C6VIKWT細胞は増殖検定において、C6VIKよりもガンシクロビ ルに対して感受性が高かった(図3)。4日間以上の50%生長抑制は、C6V IK細胞は10nMで、C6VIKWT細胞は0.3nMで認められた。C6BU 1(HSV−TKマイナス)、C6BAG、C6BWT、C6BBAGまたはC 6BAGWT細胞では、1000nMガンシクロビルにおいても、実質的な生長 抑制が見られなかった。コロニーの生存については、薬物療法が植え込み後7日 で始まり、7−12日後に生存コロニーを計数した。細胞系C6VIKWTは、 50%生存コロニーのレベルで検定したとき、親系C6VIKよりもガンシクロ ビルの毒性効力に対して300倍感受性が高かった(図4)。C6VIK細胞に 比してC6VIKWTの非常に大きい感受性は、HSV−TK遺伝子の存在に関 係する。何故なら、C6BAGWTとC6BWT系の感受性において、自然型ウ イルスに同様に感染せしめ、非感染のC6BAGおよびC6BU1細胞と比較し たとき、顕著な差異がないからである(図4)。 共培養実験は、HSV−TK遺伝子を保有するガンシクロビル感受性“供給体 ”細胞がHSV−TKマイナス“受容体”細胞に薬剤感受性を転移できるかどう かを決定するために行われた。受容体細胞の感受性は、C6VIKまたはC6V IKWTとの共培養(比率1:2)後に認められたが(図5)、後者がより効果 的であり、生存β−ガラクトシダーゼ−ポジティブコロニーの%での検定による と、受容体細胞のほとんど完全な剥離となった。平行した対照実験において、C 6BAG細胞をC6BU1またはC6BWTのいずれかの細胞と共培養(比率1 :2)したとき、ガンシクロビルに対する顕著な感受性は認められなかった。同 様の実験で、受容体C6BBAG細胞は、C6VIKWT細胞と共培養したとき C6VIK細胞に比して、比較的より高いガンシクロビル感受性を示した。しか し、C6BBAG細胞によるコロニー形成を抑制するのに要するガンシクロビル の量は、C6BAG細胞よりも高かった(図6)。例えば、C6VIKWT細胞 との共培養において、ガンシクロビル3μMの存在でC6BAG細胞の50%が 生長し、一方、ガンシクロビル30μMで50%のC6BBAG細胞が生長した 。 このC6BAG細胞のより高い感受性はチミジンキナーゼ活性によるものであり 、これはC6BBAG細胞では欠けている。 受容体C6BAG細胞(図7)またはC6BBAG細胞(図8)を供給体C6 VIKまたはC6VIKWT細胞と同時に植えた共培養実験(比率1:100) において、ガンシクロビルに対してC6BAG細胞のより大きい感受性がC6V IKWT細胞の存在でC6VIK細胞に比して認められた(図7)。これらの同 時に植えた共培養においてC6BAG細胞のガンシクロビル感受性は、遅延的共 培養におけるよりも10倍大きいようである。これは、受容体細胞に対する供給 体細胞の比率が50倍大きいことを反映しているのかも知れない。細胞比率効果 は受容体細胞(C6BAG)に対する供給体細胞(C6VIKWT)の割合を変 えることにより検討された。比率0.1および1における100μMガンシクロ ビルでは、C6BAG細胞のガンシクロビル感受性は、C6BAG細胞単独培養 に比して顕著な差異がなかった。比率10および100においては、C6VIK WT細胞数の増加と共にC6BAG細胞の100μMガンシクロビルに対するよ り大きい感受性の“用量依存”曲線があった(図9)。連続インビボ実験におい て、供給体細胞:受容体細胞について、比率10:1が用いられた。 遺伝子転移検定:自然型−感染系、C6VIKWTからの培地をHSV−TK 遺伝子のNIH3T3(TK-)細胞への転移およびネオR遺伝子のNIH3T3 細胞への転移を測定するために用いた。G418抵抗力価は、NIH3T3細胞 で5×105cfu/mLであった。LMTK細胞のHAT抵抗により検定でTK遺 伝子転移力価は3.2×103cfu/mLであった。ベクターが生じるG418抵抗 のより高い力価は、HAT抵抗の力価に比して、この検定のより大きい感受性お よび/またはネオR遺伝子のより大きい発現を反映している。この高い力価は、 直接的には検定しなかったWTウイルスがC6VIKWT細胞中で複製していた ことを示唆している。 毒性試験:C6VIKWTの培養から得られた条件付培地を300μMガンシ クロビル処置の前および間に、純真C6BU1細胞でコロニー生存方法により検 定した。明らかな生長抑制は認められず、もし毒性物質が培地中に放出されてい ても、これらの純真細胞に対して効果がないことを示唆している。 2.インビトロの実験 C6VIKWTのガンシクロビル感受性:C6VIKWT細胞のヌードマウス への側面への皮下注入は、24日の期間の間に平均して27倍以上体積が増加す る腫瘍塊を生成した(図10)。増殖速度は感染していないC6VIK細胞につい て以前に観測されたものより、野性型のウイルスの感染した細胞の場合遅かった (Ezzedine等、New Biol.3:608-614(1991))。腫瘍が直径1cmの大きさに達 した後に始まる、C6VIKWT腫瘍のガンシクロビルによる14日間の処理は 、その後の増殖を完全に抑制した(図10)。試験した3つのガンシクロビルのレ ジメ、すなわち、1日当たり2回注入における50mg/kg/日ガンシクロビ ル、1日当たり1回注入における50mg/kg/日、または1日当たり2回注 入における25mg/kg/日、において抑制動力学に明らかな相違はなかった (データ示さず)。ガンシクロビル処置を14日後中止したすべての13匹の動物 において、腫瘍のゆっくりした再増殖が次の2週間にわたって起こった(データ 示さず)。 異なった組み合わせの細胞を試験した場合、C6BAGおよびC6BU1細胞 、またはC6BAGおよびC6VIK細胞を、PBSによる14日の処置の間に 受けた動物において腫瘍体積の有意な相異はなかった(図11)。しかしながらC 6BAGおよびC6VIKWT細胞の組み合わせ(1:10)を表す腫瘍はこの 期間中のすべての時点でより小さかった。平行してそのような腫瘍を有する動物 は14日のコースのガンシクロビル処置を受けた。この期間にわたってC6BA GおよびC6BU1細胞を含むものと比べて、C6BAGおよびC6BVIK細 胞よりなるものの腫瘍体積の有意な減少があり、C6BAGおよびC6VIKW T腫瘍の大きさにより大きい減少があった(図12)。17日目における後の腫瘍 の組織学的検査により広範な壊死が明らかとなり、残存している腫瘍細胞の同一 性を決定することは不可能であった。後の2週間の期間にわたってこの後者の腫 瘍細胞の組み合わせのゆっくりした再増殖があり、この再増殖はもう2週間のガ ンシクロビル治療により防止されなかった。生き残った腫瘍は、HSV−TK 遺伝子を受け取らなかったC6BAG細胞、またはその発現が「シャットアウト 」されたこの遺伝子を有するC6由来細胞よりなるかもしれない。 議論 レトロウイルス媒介遺伝子移入の有効性およびヌクレオシドアナログ、ガンシ クロビルの化学感受性は、HSV−TK遺伝子を有するレトロウイルスベクター および野性型のMoMLVの組み合わせた感染により、グリオーム細胞中で増加 させ得ることが示された。この処置は培養およびインビボの両方で腫瘍細胞を殺 すのに効果的である。 遺伝子治療は、癌及び他の障害の処置への、新しい力強いアプローチである( Gansbacher等、Cancer Res.50:7820-7825(1990);Rosenberg、Cancer R es.51:5074s-5079(1991);Gilboa,E.,“Retroviral Gene Transfer:A pplications to Human Therapy”、Biology of Hematopoiesis中、Wiley- Liss Inc.301-311頁(1990))。HSV−TK遺伝子を有するレトロウイルスベ クターに感染した腫瘍細胞はガンシクロビルの投与により根絶できる(Mooten 、Cancer Res.46:5276-5281(1986));Moolten等、Human Gene Ther.1 :125-134(1990);MoolteおよびWells、J.Natl.Cancer Inst.82:297- 300(1990);Plautz等、New Biol.3:709-715(1991))。レトロウイルス感染 は細胞分裂を必要とし、正常な成体CNSにおける標的細胞はグリアおよび内皮 細胞であると報告されている(Kay等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88 :1281-1285(1991))。ニューロンは神経芽細胞が活発に分裂する、出生前の時期 に感染できるのみである(Sharpe等、Nature 346:181-183(1990))。脳の腫瘍 は、大部分は非分裂の宿主細胞のバックグラウンド内部で分裂細胞の塊を構成し 、レトロウイルスベクターによる標的遺伝子治療の理想的な候補者であろう。類 似のレトロウイルスベクター、VIKを用いる、培養およびインビボにおけるラ ットのグリオーム細胞の選択的な化学的増感が報告されている(Ezzedine等、N ew Biol.3:608-614(1991))。このベクターが感染し、培養C6VIK細胞に クローンしたラットC6グリオーム細胞をヌードマウス中に皮下で導入した。そ の動物のガンシクロビルによる後の処理によりC6VIKの腫瘍増殖は抑止され たが、 親のC6細胞の腫瘍増殖に影響しなかった。 ヌクレオシドアナログ、ガンシクロビルに対する化学感受性は、グリオーム細 胞において、HSV−TK遺伝子を有するレトロウイルスとの、および野性型M oMLVと組み合わせた感染により増加させることができることが示された。こ の処置は培養およびインビボの両方でC6腫瘍細胞を殺すのに効果的であった。 より著しいのはこの効果を「ナイーブ」な(すなわち感染していない)C6グリ オーム細胞に移すことができることである。 実際の腫瘍を処置するためには、遺伝子の移入はインビボで起こる必要がある 。以前、レポーターレトロウイルスベクター、BAGを放出するプロデューサー セルライン(マウス繊維芽細胞由来)を成体のラット脳中のC6グリオーム細胞 の腫瘍床の近くに移植した。これは約10%の腫瘍細胞への遺伝子移入レベルを 生じた。しかしながら遺伝子運搬の期間はベクター産生ラインの免疫拒絶により 短縮された。 腫瘍細胞へのベクター媒介遺伝子運搬の期間は2つの方法で延長された。第1 に、C6VIKグリオーム細胞を「ヘルパー」野性型MoMLVで重感染させた 。これらのC6VIKWT細胞は、野性型ウイルスおよびHSV−TK遺伝子を 含む複製欠陥のあるウイルスベクターの両方を放出し、後者が増殖的に活性であ るなら、この両者は近隣の腫瘍細胞に感染できる。増殖はレトロウイルス組み込 みの必要条件である(Miller等、Mol.Cell Biol.10:4239-4242(1990))。 近隣の細胞がそのベクターまたは野性型ベクターに連続的にまたは同時に感染 した場合、それらは、更なる細胞に野性型ウイルスおよびそのベクターの両方を 放出できる「プロデューサー」細胞となることができる。これらは脳において腫 瘍細胞を分裂させることによりベクター生産の拡張を可能にし、レトロウイルス DNAをゲノム中に組み込むことができる。これらのグリオーム由来「プロデュ ーサー」細胞は、グリオーム細胞(Burger等、J.Neurosurg.58:159-169(1 983))及び星状細胞(Jacque等、Dev.Neurosci,8:142-149(1986);Zhou等 、J.Comp.Newrol.292:320-330(1990);Hatton等、Soc.for Neurosci .Abstracts 15:1369(1989))と同様、成体の脳中で移動し、他の腫瘍細胞と 混合させることができる。 グリア細胞への遺伝子移入の効率を改良する他の方法は、腫瘍が移植され、ま たは発生した同じ株からのグリア由来パッケジングラインの発生を含む。そのよ うな細胞はCNS内部の寿命を増加させ、WTウイルスの必要をなくであろう。 WTウイルスの欠如は治療の安全性を増加させるであろう。それはベクターによ る受容細胞の一般的な感染に対する可能性のある障壁を除去するであろう。何故 なら野性型ウイルスの感染した細胞は、それらの表面におけるエンベロープグリ コプロテインの発現により、野性型ウイルスまたはそのベクターのいずれかによ る後の感染に対して耐性であるからである(Kabat,D.,Curr.Top.Microb iol.Immunol.148:1-42(1989))。 C6VIKWT細胞(HSV−TK遺伝子を有するC6グリオーム細胞、Mo MLVウイルスが重感染)は、親のC6VIK細胞よりガンシクロビルに対し有 意に感受性であった。この効果はHSV−TK遺伝子の存在に特異的である。何 故ならMoMLVの感染したC6BU1細胞は、親のセルライン、C6BU1よ り大きい感受性を示さなかったからである。C6VIKおよびC6VIKWT細 胞間の感受性におけるこの相違はコロニー分析により評価した場合より大きい。 これらの2つの分析を用いて認められる感受性の相違は、コロニー中の細胞と比 較して、単離した細胞のより低い感受性を表す。コロニーにおける細胞内部の密 接な細胞接触はHSV−TK遺伝子の移入を増加させ、細胞あたりの多数の組込 みを可能にし、またはガンシクロビルまたはそれに由来する毒性の代謝産物の細 胞内濃度を増加させ得る。C6VIKWT細胞の有効性は、ガンシクロビルに対 して受容細胞を感受性にするそれらの能力においても明らかであり、lacZ遺伝 子で標識した受容細胞を、C6BAGまたはC6BBAG細胞、および供与細胞 C6VIKまたはC6VIKWTと共培養することにより証明される。C6BU IおよびC6BWT細胞のガンシクロビル感受性に有意な相違はなかったので、 野性型ウイルス単独ではなく、野性型ウイルスの存在下でのHSV−TK遺伝子 の移入がこの殺生効果の原因である。しかしながら受容細胞へのガンシクロビル 感受性のある移転はC6VIKドナーにおいて(すなわちWTウイルス不存在下 においてさえ)見られた。結果として、いくつかの分析を行って、ガンシクロビ ルに対する受容細胞の感受性の増加が、TK遺伝子の移入、野性型レトロウイル の感染および/または毒性の代謝産物の放出によるかどうか決定した。共培養か らの培地をVIKレトロウイルについて力価測定し、ナイーブ細胞に対する毒性 を試験した。C6VIKWT細胞から培地により媒介される遺伝子移入について の分析はネオマイシン耐性遺伝子およびTK遺伝子を有するベクターの存在を証 明した。ナイーブC6BU1細胞を、ガンシクロビル処理のある場合またはない 場合、C6VIKWT細胞の培養物からの培地にさらした場合、毒性は認められ なかった。これはWTウイルス不存在下の感受性が、供与細胞による受容細胞へ の細胞−細胞接触による直接移転により媒介されるという可能性を排除せず、こ れらの代謝産物は培地を介して交換されないということを示唆する。 ガンシクロビルに対するC6VIKWT細胞の異常な化学感受性は、培養中と 同様インビボンでも明らかであった。皮下のC6VIKWT腫瘍のガンシクロビ ルによる処理が腫瘍増殖を完全に抑制したので、野性型ウイルスの存在はこれら の細胞の感受性に寄与し、一方、以前の研究においてガンシクロビルで処理した C6VIK腫瘍は低速度で増殖し続けた(Ezzedine等、New Biol.3:608-614 (1991))。C6VIKWT腫瘍はC6VIK腫瘍よりゆっくり増殖し、野性型レ トロウイル自体が腫瘍細胞の増殖のじゃまをし得ることを示唆する。しかしなが ら、WTMoMLVの皮下のC6腫瘍への注入は腫瘍増殖に効果を有しないらし い(Y.Takamiya,未公開データ)。野性型レトロウイルス感染は培養されたヒトの グリオームセルラインの分化した表現型に影響し得ることが示されたが(Macchi 等、Acta Neuropathol.81:670-674(1991))、これがこれらの細胞の腫瘍形成 性を変化させるかどうか明らかでない。C6BAGおよびC6VIKWT細胞の 共注入とその後のガンシクロビルによる処理により、C6BAGと、C6BU1 またはC6VIK細胞との組合せと比較して、腫瘍増殖速度の著しい減少が明ら かとなり、残存腫瘍細胞は治療後組織学的に見られなかった。この結果は、隣接 C6VIKWT細胞によるVIKベクターの産生により媒介されるHSV−TK 遺伝子の受容C6BAG腫瘍への移転と矛盾しない。 野性型のMoMLVは若いマウスにおいて白血病およびニューロパシー効果を 起こすが(Sharpe等、Nature 346:181-183(1990);Kay等、Proc.Natl.A cad.Sci.USA 88:1281-1285(1991))、免疫応答性の成体マウスは、このウ イルスの病原性に対し全く抵抗性である。ここに報告した現在のin vivoデータ は、免疫無防備状態であるヌードマウスを用いて得られたが(Gullino等、Inst itute Lab Animal Resources(ILAR)News 19:M1-M20(1976))、この 研究では動物におけるすべての病原性は脳における腫瘍増殖に関係するようであ った。 HSV−TK遺伝子を有するレトロウイルスベクターおよび野性型MoMLV ウイルの両方の感染したグリオーム細胞のガンシクロビル感受性、並びにそれら の近辺において「ナイーブ」細胞へ感受性を移転するそれらの能力は、図13に 図式化するいくつかの要因により媒介され得るであろう。これらには、野性型レ トロウイルス感染の細胞性の衰弱させる効果;ウイルスおよび腫瘍抗原に応答し た抗体の宿主産生(免疫応答性動物の場合);細胞がガンシクロビルから毒性の 代謝産物を作り出すことを可能にする、腫瘍細胞におけるHSV−TK遺伝子の 組込みと発現;および、これらの毒性の代謝産物の隣接細胞への可能性のある移 転がある。したがってこのシステムを用いる遺伝子治療戦略は、腫瘍細胞を殺す 4つの別の、そして更なる手段を提供し、そのすべては内生の脳細胞に影響を及 ぼさない。HSV−TK遺伝子を有する細胞は、ガンシクロビルの存在下に放射 に対する感受性を増す。何故ならその代謝産物がDNA修復およびDNA合成の じゃまをするであろうからである。殺生の更なる拡張は、腫瘍細胞の増殖を選択 的に殺しまたは阻害する分泌可能なタンパク質についての遺伝子、または腫瘍細 胞の免疫拒絶を刺激する表面タンパク質についての遺伝子を有するベクターを作 ることにより達成し得る。このように、いくつかの異なったベクターを、より伝 統的な治療と協力し、組合わせて用いることができるであろう。 実施例5方法 プラスミドの構築:ラットシトクロムP4502B1の全長コーディング配列 を含むラットcDNAを、NcoIおよびEcoRIで切断することによって、プラ スミドpSR−P450ヴァレットらNucl.Acid.Res.,17:723ー733(1989)](N YUメディカル・スクールのミルトン・アデスニック博士の提供による)から単 離した。この断片をMoMLV LTRの下流においてpMFGプラスミド[ド ラノフらProc.Natl.Acad.Sci.USA,90:3539ー3543(1993)](MITのリチャード ・ミュリガン博士の提供による)に挿入し、次いでEcoRI−BamHIダプター (ニュー・イングランド・バイオラブズ製)を用いてNcoIおよびBamHIで切 断した。得られるプラスミドはpM450である。 細胞の培養、トランスフェクションおよびシトクロムP4502B発現細胞の 単離:5%CO2インキュベーターにおいて、高グルコースのダルベッコの最小 必須培地(DMEM)(カタログ番号10−013−LM、CELLGRO)に 、10%ウシ胎児血清、100,000U/Lのペニシリンおよび10mg/Lの ストレプトマイシン(シグマ製)を加えて細胞を成長させた。説明書(ギブコ) にしたがってLIPOFECTINを用いて、10:1のモル比で、pM450 構築物をラットC6グリオームおよびΨCRE細胞[ダノスらProc.Natl.Acad.S ci.USA,85:6460ー6464(1988)]の両方にpRSVneo(ネオマイシン耐性遺伝子 をコードするプラスミドである)(MGHのマイケル・コーム博士のご提供によ る)とともにトランスフェクトした。安定なトランスフェクション物を1mg/mL のG418(ギブコ製)における選択下においてクローニングした。100mmデ ィッシュ当たり2×105細胞の密度で植えた24時間後に、500μMのシク ロホスファミド(CPA)を加え、その存在下における成長によって、ネオマイ シン耐性C6グリオームおよびCRE細胞クローンのシトクロムP4502B1 活性を評価した。4日後、ひとつのC6誘導クローン(C450−8)およびひ とつのΨCRE誘導クローン(R450−2)において、この濃度のプロドラッ グで完全に破壊された。これらのクローンを用いてさらに実験を行った。他のC PA 耐性クローン、CNEO−1およびC450−19をコントロールとして用いた 。レトロウイルス上清[オースベルら編、セプコ,Cのカレント・プロトコル・ イン・モレキュラー・バイオロジー,9.11.1ー9.11.12,ウイリー・アンド・サン ズ,ニューヨーク(1992)]に感染させた後に薬物耐性クローンを計数する ことによって予め力価決定されたMFGレトロウイルスベクター中に選択可能な マーカーが欠けているために、レトロウイルス産生の力価は決定されなかった。 予備実験から、レトロウイルスの力価が、未経験細胞をR450−2上清にさら すことによりCPA感受性が獲得されることを利用することによって定量できる ことが示唆された。 シクロホスファミド用量−応答アッセイ:用量−応答曲線を得るために、10 0mmディッシュ(コーニング製)当たり2×105細胞の密度で、5倍数で細胞 を植えた。2日後、最終濃度0〜1000μMになるようにCPAを加えた。植 えてから5日後、死亡細胞を除去するために、ハンクの緩衝生理的食塩水(ギブ コ製)で単層を2回濯いだ。該単層をトリプシン−EDTA(ギブコ製)を用い て分散し、クールター・カウンター(クールター・エレクトロニクス・インコー ポレイテッド製)で細胞数を定量した。 免疫細胞化学およびウエスタン・ブロッティング:ラットP4502B1に接 触させたウサギポリクローナル抗血清[ワックスマン,D.J.,J.Biol.Chem.,2 59:15481-15490(1984);ワックスマンらのJ.Biol.Chem.,257:10446-10457(1982) ]を用い、ベクタスタチン試薬キット(ネクター・ラボラトリーズ、バーリンガ ム、カリフォルニア)を使用して、アルカリホスファターゼ法による免疫細胞化 学的研究を行った。ウエスタン・ブロッティング分析は、培養細胞:C450− 8、C6、CNEO−1およびC450−19から単離したミクロソーム画分( 20μgタンパク質/レーン)において行った。フェノバルビタール誘発ラット 肝臓から単離した肝臓ミクロソーム(2μg/レーン)では、正の調節が起こっ た。タンパク質を、10%SDS/ポリアクリルアミドゲル上での電気泳動によ って分解し、ニトロセルロースに移し、ウサギ抗P4502B1抗体(ワックス マン,D.J.(1984),上記)でプローブした。 シトクロムP4502B1活性の測定:ワックスマンD.J.のメソッズ・イン ・エンザイモロジー,206:249ー267(1991);ワックスマンらのJ.Biol.Chem.,258: 11937ー11947(1983)の記載にしたがって、[4−14C]アンドロステンジオン( 6mCi/ミリモル:アマーシャム製)の16β−ヒドロキシル化をアッセイする ことによって、各クローン系において酵素活性を測定した。簡述すると、まず、 単層上で成長させた細胞を採取し、ミクロソームを調製するまで細胞ペレットを −80℃で貯蔵した。酵素アッセイは、総量200μl中、100mM HEPE S、pH7.4、0.1mM EDTA、50AM14C標識アンドロステンジオ ン、100μgのミクロソームタンパク質および1mM NADPHにて、37 ℃で30分間行った。混合物を酢酸エチルで2回抽出し、シリカゲルの薄層クロ マトグラフィープレートに載せ、マルチ溶媒系[ワックスマン,D.J.(19 91),上記]で順次展開した。代謝物をオートラジオグラフィーにて局在化し 、次いで、液体シンチレーションカウンターにて定量した。 動物実験:動物に注射するために、増殖期の培養細胞を再度植えてから24時 間後に採取し、トリプシン処理し、低速度で遠心分離し、ハンクの緩衝生理的食 塩水に再懸濁させることにより1回洗浄し、遠心分離し、次いで無血清DMEM に5×106細胞/mLの密度で再懸濁させた。200μl中の106のC450 −8またはC6細胞を無胸腺マウス[NCY/Sed,nu/nu;MGHブリ ーディングコロニー;1グループ5匹]の側腹に皮下注射で注入した。3日後、 腫瘍は約0.01cm3になり(外用キャリパーで測定)[リーらのNeueosurger y,26:598-605(1990)]、14日後に、CPA(シグマ)20mg/食塩水mlを 100μlあるいは食塩水100μlのいずれかを、腫瘍塊に直接再注射した。1 7日目に動物を安楽死により屠殺した。 大脳内注射を行うために、マウスにケタミン(100mg/体重kg)(アル ケ・デイビス,ニュージャージー)およびキシラジン(20mg/体重kg)( モベイ・コーポレイション、KS)の腹腔内注射を行って麻酔した。外科手術は 滅菌状態で行った。定位装置(Kopf)に該動物を固定した後、頭蓋上の皮膚 を小さく切開した。ハミルトンシリンジにて、およそブレグマの前面0.5mm お よび右側部0.5mmの位置に、C6グリオーム細胞(103細胞/2μl)を定 位的に接種した。接種時間は針を引き抜く時間2分間を含めて5分間であった。 3日後、同じ頭蓋穴に、DMEM25μl中の5×106個のCRELacZ細胞 (MITのR.ミュリガン博士のご提供による細胞系)または5×106個のR 450−2細胞を定位移植した。4日、8日および11日後に、この最後の注射 、CPA(3mg/5μl)を同じ頭蓋開口部からCRELacZとR450− 2グループの両方のマウスの腫瘍と脳髄膜間に定位的に投与した。注射は針を引 き抜く時間5分間を含めて10分間、定位的に行った。最後のドラッグ投与から 10日後に、pH7.3、0.9%塩化ナトリウム中の100mMリン酸ナトリ ウム約3〜5ml、次いでpH7.3、100mMリン酸ナトリウム中の4%パ ラホルムアルデヒドで左心室を灌流して動物を屠殺した。動物の頭蓋および顎か ら脳を注意深く切除した後、pH7.3、100mMリン酸ナトリウム中の4% パラホルムアルデヒドに一夜漬けた。低温保存するために、pH7.3、100 mMリン酸ナトリウム中の20%グリセロール/10%ジメチルスルホキシドの 溶液に脳を浸し、次いで鋭いミクロトームで50ミクロンの切片に切断した。す べて6番目の切片をゼラチン塗布スライドに載せ、クレジルバイオレットで染色 した。脳腫瘍の体積を測定するために、コンピューター化したイメージアナライ ザーを用いて各切片の腫瘍領域を走査した。この分析はブラインド様式で行った 。正常脳細胞から腫瘍を区別するのは、手動的あるいは自動的手順で行った。す べての脳切片の平均腫瘍領域に、各切片間の距離(0.3mm)を掛けることに よって腫瘍の体積を得た。結果 培養におけるC6グリオーム細胞のシクロホスファミド感受性:ラットP45 02B1(バレットら、前述)のcDNAをMFGレトロウイルスベクター(ド ラノフら、前述)のプラスミド配列に挿入した。次いで、得られるプラスミド( M450)を、ラットC6グリオーム細胞[ベンダらのJ.Neurosurg.34:310-323 (1971)]に、ネオマイシン(neo)耐性遺伝子を産生する発現ベクターとともに トランスフェクトした。2つの安定にトランスフェクトされたネオマイシン耐性 ク ローンを次なる実験のために選択した。すなわち、1)C450−8細胞(CP Aに対する最大の感受性を示す)および2)CNEO−1細胞(親のC6細胞と 同様に、比較的この薬物に対して不感性であるのようにおもわれる)である。細 胞増殖アッセイにおける用量−応答曲線から、27μMのCPAが、C450− 8細胞の吸うを50%まで減少させることが示された(図14)。逆にいうと、 少なくとも80%のC6およびCNEO−1細胞が、1mM以下のCPAととも にインキュベートしても生き残ることになる。したがって、プロドラッグCPA に対する化学的感受性をC6グリオーム細胞が獲得するのは、シトクロムP45 02B1発現プラスミドによってトランスフェクトされた後であった。 C450−8細胞におけるシトクロムP4502B1の発現およびミクロソー ム的位置:シトクロムP4502B1は、肝細胞小胞体の膜内在性タンパク質で ある[モニアらのJ.Cell.Biol.、107:457−470(1988)]。シトクロムP4502 B1[ワックスマン,D.J.(4984),前述]に接触させたウサギポリクロ ーナル抗血清を用いて、CPA感受性の獲得がP4502B1の発現に関連する かどうかを確認した。免疫応答性タンパク質は、C450−8には存在した(図 15a)が、CNEO−1細胞(図15b)には存在しなかった。C450−8 細胞におけるレース様の網目パターンから、この免疫応答性タンパク質が正確に 小胞体に関連することを示唆された[モニアら、前述]。さらに、ウエスタンブ ロット分析によって、C450−8から調製されたミクロソーム画分中には単一 の免疫応答性タンパク質が存在するが、C6あるいはCNEO−1細胞には存在 しないことが確認された(図16)。 酵素シトクロムP4502B1に対して特異的なNADPH依存性アンドロス テンジオン16β−ヒドロキシラーゼ活性[ワックスマン、D.J.,(1991) 、前述]を、これらの細胞のミクロソーム調製物において試験した。この活性は C6および/またはCNEO−1細胞では検出できなかったが、C450−8細 胞では、このP450体を非常に多く含むフェノバルビタール誘発ラット肝臓ミ クロソーム(図16参照)の活性は約1%であった(表1)。外来性の精製NA DPH−P450レダクターゼ[ワックスマンら(1982),前述]に加えて 、 NADPHからすべてのミクロソームP450酵素への不可避電子伝達を触媒す るミクロソームフラボノエンザイムが、C450−8細胞における酵素活性を約 2倍に増加した。これらの結果から、C450−8細胞が、小胞体内に存在する とおもわれる酵素的に活性なシトクロムP4502B1を発現したことが示され る。 皮下C6グリオーム腫瘍のシクロホスファミド感受性:ヌードマウスの側腹に おける皮下成長によって、C6またはC450−8細胞によって形成された腫瘍 のCPA感受性を評価した(図17)。皮下腫瘍の創設の3日および14日後に 、動物の腫瘍に生理的食塩水または2mgのCPAを注射した。最後の投与から 3日後(腫瘍の創設から17日後)、食塩水で処理したC6およびC450−8 腫瘍の体積には統計的に有意な差異は現れなかった(C6腫瘍=0.747±0 .325cm3;C450−8腫瘍=0.447±0.213cm3;p>0.1 )。それとは逆に、CPAで処理したC6およびC450−8腫瘍の体積には統 計的に有意な差異が認められた(C6腫瘍=0.093±0.035cm3;C 450−8腫瘍=0.016±0.003cm3;p>0.01)。生理的食塩 水処理したC450−8腫瘍に対してCPA処理腫瘍を平均体積について比較し たときの差異も有意である(0.124対0.035;p<0.05)。C6腫 瘍よりもC450−8腫瘍の方がCPAに対する感受性が増加することは、CP Aが腫瘍内部の活性代謝物ならびに肝臓による活性代謝物に変換されたことを示 唆する。 インビボにおける脳腫瘍によるシクロホスファミド感受性の獲得:マウスΨC RE繊維芽細胞をプラスミドpM450およびpPSVneoの両方にトランス フェクトさせた。R450−2と称するひとつのネオ耐性クローンを、そのCP Aに対する化学感受性および親のΨCRE繊維芽細胞と比較して高いP4502 B1依存性アンドロステンジオン16β−ヒドロキシラーゼ活性に基づいて選択 した[ワックスマン、D.J.,(1991),前述;ワックスマンら(1982) ,前述)](表1)。次いで、これらの細胞を脳腫瘍モデルにおいて試験した。 C6グリオーム細胞を無胸腺マウスに定位的に接種し、3日後、大腸菌のCR ELacZ細胞由来のlacZ遺伝子を発現しているマウス繊維芽細胞またはR 450−2細胞を定位的に接種した。4日、8日または11日後、同じ頭蓋開口 部を介して、CRELacZおよびR450−2グループの両方に、CPAを腫 瘍と脳髄膜間隙に注入した。プロドラッグの最後の投与注射から10日後に動物 を屠殺した。C6+CRELacZ細胞を注射され、次いでCPAを投与された 8匹の動物の全部の脳の脳髄膜に、広範囲にわたる脆い腫瘍が、認められた(図 18a)。動物の頭蓋およびあごから腫瘍を切除することは困難であったので、 脳髄膜腫瘍の量を測定することはできなかった。組織の切片作成/顕微鏡検査を 行ったところ、脳髄膜腫瘍組織が脆いための損失が多かった。対照的に、C6+ R450−2細胞を注射され、次いでCPAを投与された動物8匹のうち7匹に おいては、脳髄膜腫瘍は現れず(図18b)、1匹において小さな残留塊が認め られた。この結果は、隣接する繊維芽細胞による、およびおそらくP4502B 1レトロウイルスベクターに感染した腫瘍細胞による、常温常圧におけるCPA のその活性代謝物への変換が、プロドラッグをクモ膜下的/腫瘍内に投与するこ とによって、脳髄膜腫瘍の拡張が劇的に阻害されたことを示している。 前記C6腫瘍細胞の定位的注射もまた、脳内質に硬質腫瘍を形成した。各グル ープからの6つの脳の組織病原分析によって、コントロール、CRELacZ処 理動物においては腫瘍性壊死が本質的に発生しない(図19a)が、R450− 2繊維芽細胞を処置されたグループの6個のうち3個の脳には広範囲にわたる腫 瘍性壊死がみられることがわかった(図19b)。腫瘍性退化の範囲の定量的な 結果を得るために、コンピューター化イメージ分析法を用いて、一連の組織切片 から脳内質の硬質C6グリオームの体積を計算した。表IIは、R450−2レ トロウイルスプロデューサー細胞を処置された3匹の動物の脳腫瘍の体積が、l acZレトロウイルスプロデューサー細胞を処置されたラットの平均脳腫瘍の体 積の1/20,1/5および1/2であることを示している。他の3匹のR45 0−2処置動物は、コントロール動物と同じ大きさの範囲内の腫瘍ができた。こ の結果から、シトクロムP4502B1発現プロデューサー細胞とクモ膜下/腫 瘍内CPA投与の組み合わせもまた、脳腫瘍の脳内質硬質部分の減少に効果があ ることが示唆される。 検討 ここ2,3年の間に行われた治療的遺伝子の発現を含む幾つかの実験的アプロ ーチが、インビボにおける実験的脳腫瘍の退行を媒介することがわかった[モー ルテンらCancer.Res.46:5276-5281(1986);モールテンらのHum.Gene.Ther.1:125- 134(1990);モールテンらのJ,Natl.Cancer.Inst.82:297-300(1990);ショートらの J.Neurosci.Res.27:427-423(1990);エッツエダインらのNew.Biol.3:608-614(199 1);カルバーらのScience256:1550-1552(1992);タカミヤらのJ.Neurosci.Res.33: 493-503(1992);ヤマダらのJ.Cancer.Res.83:1244-1247(1992);ラムらのCancer.R es.53:83-88(1993);オールドフィールドらのHum.Gene.Ther.4:39-69(1993);タカ ミヤらのJ.Neurosurg.79:104-110(1993);カルソらのProc.Natl.Acad.Sci.USA90: 702-7028(1993);ボビアスチスらのHum.Gene.Ther.5:183-191(1994);キオッカら の「Virus-mediated Genetic Treatment of Rodent Gliomas」,Gene Therapeutics ,Wolff,J.A.編,バークホイザー・パブリッシャーズ、ボストンMA(1994),pp245-2 62;トロージャンらのScience259:94-97(1993);ユーらのCancer.Res.53:3125-312 8(1993)]。 本実施例では、発明者らは、中枢神経系の新生物の遺伝子治療のために、CP Aに対する細胞感受性をもつキラー遺伝子、すなわちシトクロムP4502B1 を用いた。P4502B1の薬物調節性破壊作用は、必ずしも中枢神経系の新生 物の遺伝子治療に限定されるとはかぎらず、培養あるいはインビボにおける他の 細胞集団の負の選択にも適用できる。さらに、ここで提示される治療例がCPA を伴ったシトクロムP4502B1遺伝子の用途と制限するものではない。この ようなアプローチは、他の化学治療剤による生体形質転換に関係する他のシトク ロムP450酵素にも適用できる[ルブランクおよびワックスマンDrug Metab.R ev.20:395-439(1989)]。 P4502B1/CPA遺伝子治療アプローチは、シクロホスファミドの薬理 学的類縁体である4−ヒドロキシペルオキシシクロホスファミド(4−HC)を 利用する現在行われている治療アプローチよりも、より大きな利点があるという 特徴をもつように思われる。 この類縁体は自発的に分解して4−ヒドロキシシクロホスファミドになり、次 いで、酵素による生体活性化を必要とすることなくホスホルアミドマスタード( PM)を製造する[ピーターらのCan.Treat.Rep.60:429-435(1976);コルビンら の(1981)前述;フリードマンらのCancer Res.46:2827-2833(1986);スラデク,K.E. ,前述;フリードマンらのCancer Res.48:4189-4195(1988)]。4−HCは、脳髄 膜新生物の動物モデル[アーンツらのCancer Res.47:5932ー5934(1987);フッチ スらのCancer Res.50:1954−1959(1990);フィリップスらのCancer Res.52:6168- 6174(1992);フリードマンらのProc.Amer.Assoc.Cancer Res.34:269(1993)]およ び脳内質硬質脳腫瘍[シャスターらのCancer Res.53:2338ー2343(1993a);シャス ターらのProc.Amer.Assoc.Cancer Res.34:269(1993b)]において治療上の効果性 を示すけれども、その細胞毒性代謝物への変換が解剖学的または細胞学的選択性 をもたないので、それに付随する神経毒性も高い[シャスターらの(1993aおよび b),前述]。 対照的に、ここで記載した治療処方では、その強力な抗ガン効果を作動させる ために酵素的変換を必要とする安定で不活性な、親油性プロドラッグ(CPA) を用いる。P4502B1遺伝子の腫瘍細胞への導入を介して、CPAの酵素的 変換の細胞的および解剖学的位置が、新生物を効果的に制限し、それによって脳 および末梢神経の正常細胞に対する望ましくない副作用を最小にするであろうと いう仮説を立てることができる。 この実施例記載したアプローチにおいては、遺伝子的に加工処理された細胞を 使用するということは、BCNUおよび4−HCなどの活性化された抗ガン剤の デリバリーを位置的にコントロールするための生体分解性移植可能ポリマーの使 用に類似した特徴をもっている[ブレムらのJ.Neurosurg.80:283-290(1994);ビ ュアヒンらのPolymer.Adv.Tech,3:311-316(1992);タマーゴらのCancer Res.53:3 29-333(1933)]。該ポリマー法および遺伝子加工細胞法は、両者とも、全身的お よびCNS毒性を最小化しつつ、腫瘍内に、徐放性、高活性および局在的に活性 化薬物濃度を維持する。さらに、遺伝子加工細胞由来のレトロウイルスベクター の産生は、化学治療剤に対する感受性をもつ腫瘍細胞の解剖学的範囲を広げるこ とにより、移植可能なポリマーアプローチと比べてさらなる治療的促進効果を提 供する。他の遺伝子の授与する薬物調節的致死性(すなわち、HSV−TK遺伝 子、大腸菌サイトカインデアミナーゼ遺伝子)[ミュレンらのProc.Natl.Aca.Sc i.USA89:33-37(1992);ヒューバーらのCancer Res.53:4619-4626(1993)]および 大腸菌gpt遺伝子[ムロツらのHum.Gene.Ther.4:589-595(1993)])と比べて、P4 502B1遺伝子による腫瘍殺傷は、DNA内でのインターストランド架橋によ る活性CPA誘導代謝物である“マーク”細胞なので、細胞周期相を考慮しなく てもよい。最大細胞毒性は、マークされた腫瘍細胞がそのDNAを複製するとき に生じ、それは薬物処置時あるいはそれに続いて発生する。このことは、細胞毒 性の影響によるDNA鎖の複製をともなわなければならない代謝物を用いる遺伝 子治療例と比べて、利点を提供する。たとえば、HSV−TKは、ヌクレオチド 類縁体として作用し、DNA鎖複製を伴うホスホリル化ガンシクロビル(または アシクロビル)分子を生産する[ファイフらのJ.Biol.Chem.253:8721-8727(1978 )]。これらのヌクレオチドは、相対的に短い半減期をもつので、細胞周期のS 期に発生した腫瘍細胞に対して最も効果的である[エリオン,G.B.,前述] 。悪性脳腫瘍における細胞の大部分は、S期ではなく[ナガシマら,前述;ヨシ イら、前述]、したがってHSV−TK/ガンシクロビル遺伝子治療の理想的な 標的にはならない。シトクロムP450遺伝子が、DNAに対して強く結合する CPAのその代謝物において“記憶”要素をもち、薬物処置後の後日に該遺伝子 が複製 をしようとするときにすべてが死亡するであろうということも考えられる。さら に、細胞破壊のP450/CPAメカニズムは、HSV−TK/ガンシクロビル および他の治療遺伝子のメカニズムとは異なっているので[トロージャンら,前 述;ユーら,前述]、これらを組み合わせて付加的効果が得られる可能性がある 。別の手段として、遺伝子発現においてDNAの複製を要求しないウイルスベク ターを使用しても、活発には分裂しない脳腫瘍細胞を感染させることができる。 腫瘍内への複数の化学感受性遺伝子のデリバリーによる治療について、現在のヒ ト腫瘍に対する化学療法の臨床処方には、さらになお改良を加える余地がある。 我々の実験に用いたマウスの繊維芽細胞系(R450−2)はP4502B1 活性を発現する。該細胞が、シトクロムP4502B1遺伝子を産生する不完全 なレトロウイルスベクターを生み出すことも想定される。腫瘍内へのこれらの細 胞の移植による腫瘍退化が、P4502B1発現繊維芽細胞由来の毒性CPA代 謝物の放出によって起こるかどうか、および/または隣接する腫瘍細胞へのレト ロウイルス媒介性P4502B1遺伝子伝達によって起こるかどうかはこの時点 では、明確ではない。おそらく、腫瘍細胞は、活性代謝物の取り込みあるいはこ れらの代謝物の細胞内産生のいずれかによって殺されるのであろう。いずれの場 合においても、ウイルスおよび非ウイルスベクター両方の使用によって種々の末 梢神経および大脳腫瘍へシトクロムP4502B1遺伝子を伝達することが可能 である[ショートら,前述;ボバイアチスら,前述;キオッカら,前述]。CP A活性代謝物の細胞内産生は、非常に活性のある腫瘍“破壊”効果を生み出すと 考えられる;HSV−TKにみられる“傍観者(バイスタンダー)”効果と類似 した仕方において、P4502B1発現細胞内におけるCPAの活性化が、細胞 毒性を隣接する細胞に伝達しうることは、実施例5において説明したとおりであ る[モールテンら,(1990),前述;エツエダインら,前述;タカミヤら, (1992),前述;フリーマンらJ.Biochem.16F:47(1992)およびフリーマンら Cacer Res.53:5274-5283(1993):カルバーら,前述;リ・ビらHum.Gene.Ther.4:725 -731(1933)]。 マウス脳においては、脳内質グリオーム腫瘍にシトクロムP4502B1遺伝 子を発現する繊維芽細胞を導入することが、脳髄膜新生物に対して最も効果的で あった。末端器官(黒色腫、肺および乳癌)、血液(白血病)およびグリア(脳 室上衣細胞腫およびグリア芽細胞腫)などの腫瘍細胞が脳髄膜に拡散すると、急 速な致死性の癌、いわゆる脳髄膜新生物および/または癌腫症になる[ビアマン ,W.F.JAMA,58:1437-1439(1912);オルソンらArch.Neurol.30:122-137(1974)] 。脳内質硬質腫瘍の成長は、外科手術および/または放射線治療によって一時的 に縮減することができるが、脳髄膜への腫瘍の拡散は、これらの治療方式では充 分にコントロールすることはできない。組織および中枢神経系毒性、血液脳関門 および細胞耐性の進行のために、薬物療法の成功にも限界がある[ヘンセンら「 脳髄膜癌腫症」,Cancer Medicine,ホランドら編,リー・アンド・フェビガー,フ ィラデルフィア,ペンシルバニア(1993),2268-2286]。無胸腺マウスの脳内質へ 単独で移植されたCRELacZ繊維芽細胞が腫瘍を形成しない(未公表結果) という理由から、動物モデルにおいて発達した脳腫瘍を、第1にC6グリオーム からなる我々の実験で用いた。我々の実験における、CPAの、脳内質脳腫瘍の 退化能力と比べた場合の、脳髄膜腫瘍の退化能力における相対的差異は、おそら く次の2つのファクターによるものであろう。すなわち、1)脳を覆っている軟 膜、クモ膜および2層の脳髄膜に包含される液体充満および解放空間が、繊維芽 細胞を含む腫瘍細胞、レトロウイルスベクター、CPA,および/または分泌さ れたシクロホスファミド代謝物間に、より効果的な相互作用を起こさせること; および2)上昇した脳内質脳腫瘍内の間隙圧が、プロデューサー細胞およびプロ ドラッグのデリバリーを妨害することである。動脈経由投与などの方法で、交互 モードでCPAを投与すると、より効果的な脳内質硬質脳腫瘍の治療結果が得ら れる。腫瘍細胞とプロデューサー細胞の、よりよい“混合”は、硬質腫瘍塊の外 科的縮減あるいはウイルスベクターの対流デリバリーによって達成される。 癌の遺伝子療法における調節性キラー遺伝子としてシトクロムP4502B1 遺伝子を使用することは、腫瘍細胞内で生産される細胞毒性代謝物を高濃度にし 、他の細胞内で生産される細胞毒性代謝物を最小にすることになり、それによっ てCPAの治療効果が強化される。このアプローチは、患者がプロドラッグ代謝 物の全身的毒性さらされるのを最小化するように、肝臓シトクロムP450が触 媒するCPA活性化の阻害と組み合わせることができる。さらに、治療時に分割 されない腫瘍細胞を殺すことにおいて、現在使用されているHSV−TK遺伝子 よりも有効である。 実施例6 この実施例では、プログラムされた細胞死(PCD)およびCPA/シトクロ ムP4502b1遺伝子で処理された培養C6グリオーム細胞における付加的細 胞毒性効果の範囲の関係という治療例を評価した。結果から、CPAがシトクロ ムP4502B1遺伝子を発現する細胞のPCDを導くことが示される。毒性は 、CPA活性化P4502B1遺伝子産物を発現しない隣接するC6グリオーム 細胞にも生じる。この細胞毒性“バイスタンダー”効果は、2つのメカニズムに 起因するものである。すなわち、1)P450発現細胞とナイーブ腫瘍細胞の近 接性を必要としない“細胞媒介”メカニズム;および2)P450発現細胞から ナイーブ腫瘍細胞へ媒体を介して伝達される“分泌”メカニズムである。 さらに、ホスホルアミド・マスタード(PM)またはアクロレインのいずれか に変換されるCPAの薬理学的類縁体を使用することによって、PM産生経路が 、細胞近接性によって媒介される細胞毒性の主たる貢献者であり、一方、アクロ レイン産生経路は、媒体への分泌によって媒介される細胞毒性に対して一次的に 応答可能あることがわかった。実験材料および方法 薬品および細胞系:シクロホスファミド(CPA)はシグマ社から購入した。 CPA類縁体、トランス−4−フェニルシクロホスファミド(T4P)およびジ デクロロホスファミド(DCPA)[コックスらBiochem.Pharmacol.628:2045-2 049(1979);プローチャークらToxicol.Appl.Pharmacol.107:472-481(1991)]はス ーザン・エム・フードマン博士(ジョンズ・ホプキンス・オンコロジー・センタ ー,バルチモア,メリーランド)のご提供であった。細胞系、C6−Neo(実 施例5においてCNEO−1と称したもの)およびC6−P450(実施例5に おいてC450−8と称したもの)は、実施例5で述べたように、ラットC6グ リオーム細胞[ベンダらScience,161:370-371(1969)]に、ネオマイシンホスホ トランスフェラーゼ遺伝子およびラットシトクロムP4502B1のcDNAを もつプラスミドをトランスフェクトさせて作成した。このシトクロムP450は 、試験した11種の他のラット肝臓P450のなかで、酵素CPAの代謝活性が 最も高い[クラークらCancer Res.49:2344-2350(1989)]。細胞は、5%CO2イ ンキュベーター中にて、10%ウシ胎児血清、100,000U.L.のペニシ リンおよび100mg/Lのストレプトマイシン(シグマ製)を含む高濃度グル コース(カタログ番号10−013−LM,CELLGRO登録商標)を加えた ダルベッコの最小必須培地(DMEM)にて成長させた。 コロニー形成アッセイ:コロニー形成アッセイを行うために、細胞を1000 個の細胞/10cm皿の密度で3個ずつ植えた。クローニング形成効率はコント ロール培養物に対して約25%であった。翌日0.5mMのCPAを加え、6日 間インキュベートした。次いで、細胞を一度ハンクス緩衝生理的食塩水(ギブコ )で濯ぎ、Giemsa(Fisher Diagnostics)で染色し、直径1mm以上の大 きさのコロニーを計数した。 細胞増殖アッセイ:細胞増殖アッセイを行うために、細胞を10cmの皿に植 えた(他に特記されない限り、2×105個/皿の密度)。24時間後、CPA 、T4PあるいはDCPAを最終濃度が0.5mMになるように加えた。4日間 インキュベートし、トリプシンEDTA中で採取して、細胞数をクールター・カ ウンター(クールター・エレクトロニクス・インコーポレイテッド製)を用いて アッセイした。 トリプシン処理および再コロニー形成アッセイ:CPA媒介性細胞毒の一時的 動力学を測定するために、2×106個の細胞を10cmの皿に植えた。24時 間後、0.5mMのCPAを加え、細胞を各図面に示す時間だけインキュベート した。次いで、細胞とトリプシン処理し、2×105細胞/10cm皿の密度で 再度植えた。9日後、細胞数をクールター・カウンターで計数した。 分泌効果アッセイ:調整培地の効果を評価するために、“挿入”システム(フ ァルコン)を用いて細胞を皿中で共培養した。これは、上部室と下部室に植えら れた細胞集団を物理的に分離するが、培地成分の交換は行われるような微孔膜( 孔径=0.45μm)を含む組織培養皿(直径3.5cm)から構成される。培 地の総体積が5mLとなるようにして、C6細胞(3.4×105個の細胞)を 底室に植え、C6−P450(3.4×105個の細胞)あるいはC6−Neo 細胞(3.4×105個の細胞)を上部室(フィルターの頂上)に植えた。一夜 インキュベートした後、0.5mMのCPAをこの培地に加えた。4日後、C6 −P450あるいはC6−Neo細胞が成長した膜を除去し、次いで下部室にお けるC6グリオーム細胞の数をクールター・カウンターで計数した。次いで、生 残しているC6細胞を2×105個の細胞/10cm皿の密度でCPAなしで再 度植えた。9日後、これらの細胞をトリプシン処理し、クールター・カウンター で計数した。 共培養アッセイ:細胞の総数が2×106個/10cm皿となるように、C6 −P450とC6細胞を異なる割合[0,10,50,90および100%のC 6−P450細胞]で3個ずつ共培養した。24時間後、0.5mMのC6−P 450を加え、4日後、細胞数を前述の方法で計数した。細胞接触によって達成 された細胞破壊と、調整培地への曝露によって得られた細胞破壊を比較するため に、各共培養物から上清を採取し、0.45μm膜フィルターで濾過し、新鮮な 5mLの培地とともに1:1の比率で混合し、C6細胞の一夜培養物に加えた( 2×106細胞/10cm皿,3個ずつ)。4日後、C6細胞を洗浄し、採取し 、計数した。共培養アッセイから得られた細胞媒介性細胞破壊効果の特異性を測 定するために、C6細胞を、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(C 6−Neo)を発現するC6細胞、放射線処理C6細胞、放射線処理C6−Ne oおよび放射線処理C6−P450細胞とともに一夜インキュベートした。γ線 照射は、51クロミウム源から放射される総量6000ラドの放射線に細胞をさら す ことによって行った。このレベルの放射線に曝露された細胞は、増殖しないが、 7日間組織培養皿に付着残存した後に脱離して死滅した。 ゲノムDNA分析:市販の適当なキット(Nucleon登録商標,Scot Lab)を用 いて、種々の時間CPA処理をしたC6およびC6−P450細胞からゲノムD NAを抽出した。付着する細胞ならびに死滅した細胞からDNAを単離し、上清 に浮かべた。各時点のDNA(1μg)を1%寒天ゲル上での電気泳動によって 分析した。 統計試験:すべての試験の有意性はシグマスタット・ソフトウエア(ジャンデ ル・コーポレイション,サンラファエル、カリフォルニア)を用いて行った。結果 シトクロムP4502B1遺伝子を発現するC6細胞の増殖におけるCPAの 効果:細胞系C6−P450(前記C450−8)およびC6−Neo(前記C Neo−1)の作成が記載されている[ワイらのHum.Gene Ther.5:969ー978(199 4)]。これらの細胞系は、ラットシトクロムP4502B1遺伝子およネオマイ シンホスホトランスフェラーゼ遺伝子をそれぞれ安定にトランスフェクトされた C6グリオーム細胞から誘導した。図20Aは、C6,C6−P450およびC 6−Neoグリオーム細胞が、CPAがない条件下では、同じような割合で増殖 することを示している。しかし、0.5mMのCPAが存在すると、10日間に わたるC6−P450の選択的完全成長阻害が現れた。 シトクロムP4502B1遺伝子を発現する細胞の死亡がCPAの接触時間中 に起こる:CPAの細胞破壊作用の時間経過を研究するために、トリプシン処理 および再コロニー形成アッセイを行った。2×106個の細胞を、時間を変えて 0.5mMCPAで処理した。次いで、細胞を洗浄し、トリプシン処理してプロ ドラッグおよび/または代謝物を除去し、2×105細胞/10cm皿の密度で 再度植えた。表IIIは、再コロニー形成したC6−P450細胞の成長を完全 に阻害するためには、3時間CPAで処理すればよいことを示している。再度植 えられた親のC6グリオーム細胞の増殖は、96時間のCPA処理の後でさえも 、影響を受けなかった。細胞におけるCPAの細胞破壊効果が3時間以内に完了 す るというこの事実は、CPAがC6−P450内で急速にその細胞毒性代謝物に 変換されることを示している。 C6−P450細胞から採取された培地を介するナイーブC6細胞への細胞毒 性代謝物の伝達:毒性代謝物の生成は、隣接する細胞に細胞毒性効果をもたらす 。したがって、発明者らは、C6−P450細胞によって親のC6細胞に代謝さ れたCPAの細胞毒性効果を調整培地が伝達しうるかどうかを決定しようとした 。表IVに示した時間だけCPA処理を行ったC6またはC6−P450細胞か ら調整培地を採取し、次いで、C6グリオーム細胞に加えてそれらのコロニー形 成能力を評価した。表IVの結果は、C6細胞を加えたときに、そのクローニン グ効率をおよそ45%に減少させる調整培地を作成するには、C6−P450細 胞をCPAで3時間処理することで十分であることを示している。この調整培地 の阻害能力は、C6−P450をCPAに接触させる時間にともなって増加する 。CPAに24時間接触させたC6−P450細胞から採取した培地とともにイ ンキュベートすることによって、C6細胞のコロニー形成の完全な阻害が達成さ れた(表IV)。これは、CPA処理C6−P450細胞が、培地に蓄積される 可溶性の毒性代謝物を分泌することを示している。CPA代謝物であるPMの細 胞膜を通る拡散は、効率的ではないので[ゲンカらCancer Chemother.Pharmanol .27:1-7(1990)]、この調整培地中の活性代謝物は拡散可能な代謝物、すなわち 4−CHCPAおよび/またはアクロレインであると思われる。CPA処理C6 −P450細胞によって調整された培地によるC6細胞の細胞破壊作用をここで “分泌効果”と称する。 分泌された細胞毒性代謝物の存在をさらに明らかにするために、C6およびC 6−P450細胞(1:1の比率)を、微孔フィルターを使用することによって 2種類の細胞が物理的に分離されるが、その上清の拡散は行えるという、ファル コン共培養インサートを用いて培養した。コントロールとしてC6およびC6− Neo細胞(1:1の比率)を用いて同様に培養した。培養培地にCPAを加え 、下部培養室におけるC6細胞の数を4日後に測定した。このような培養条件下 では、CPAの存在下でC6−P450細胞と共培養されたC6細胞の数におい て、CPA不在下でC6−P450と共培養されたC6細胞あるいはC6−Ne o細胞と共培養されたC6細胞と比べたとき、およそ50%減少した。このよう なC6細胞をトリプシン処理および再コロニー形成によって増殖を刺激したとき 、C6−P450細胞によって生産されたCPA代謝物の毒性効果は、強化され 、結果的に約90%のC6細胞数の減少がみられる。したがって、小さい可溶性 細胞毒ファクターあるいは代謝物は、P450ポジティブからP450ネガティ ブ腫瘍細胞へ、培養培地を介して伝達されうる。 CPA処理されたC6−P450細胞におけるエンドヌクレオ分解的切断:本 発明者らは、次に、プログラム細胞死(PCD)が、CPA/シトクロムP45 02B1遺伝子療法の成長阻害効果に寄与するかどうかを決定しようとした。P CDの証拠のひとつは、染色体DNAのエンドヌクレオ分解的切断である[ワイ ル,A.H.Nature284:555-556(1980)]。種々の時間においてCPA処理された C6またはC6−P450細胞からゲノムDNAを単離した。図22Aは、CP A処理の72時間後に、C6−P450細胞由来のDNAが、PCDに特徴的な ヌクレオソームラダリングを呈したことを示す。それとは対照的に、C6細胞由 来のゲノムDNAは、CPA処理の4日後でさえも、完全なままであった。した がって、PCDは、CPA/シトクロムP4502B1遺伝子療法に見られる細 胞死に関連すると考えられる。 細胞媒介性効果もまた細胞毒性に寄与する:本発明者らは、細胞媒介性効果が CPA/シトクロムP4502B1遺伝子療法に寄与するかどうかの決定を試み た。図23Aは、皿上の細胞の10%がP450遺伝子を発現するように、C6 およびC6−P450細胞を共培養したときに、4日間のCPA処理に応答して 、C6細胞の増殖が75%減少(28×106個から8×106個へ)したことを 示す。P450遺伝子を含む共培養細胞の数を50%増加したとき、それに比例 して、CPAに応答してC6細胞の増殖が低下し、約85%になった(28×1 06個から2×106個)。C6−P450細胞の数を、皿上の90%になるよう にさらに増加すると、CPAで4日間処理した後のC6細胞の増殖は完全に阻止 された。本発明者らは、互いに隣接状態において2つの細胞集団を成長させるこ とが、CPA/シトクロムP4502B1遺伝子療法における細胞間毒性の強力 な媒介因子であると結論する。 コントロール実験において、皿注のC6細胞は90%を占めたが、残りの10 %の細胞は、a)C6−Neo細胞、b)放射線処理C6細胞、c)放射線処理 C6−Neo細胞、またはd)放射線処理C6−P450細胞からなるものであ った(図23B)。C6−Neo細胞とともに共培養しても、C6細胞の増殖が 影響を受けないことは明らかであった(コラム2)、放射線照射によってC6細 胞を破壊すると、残りのナイーブC6細胞上に毒性が媒介されないことも明らか であった。放射線処理C6−Neo細胞とともに共培養されたC6細胞の増殖に おいて、小さく、統計的には有意ではない減少がみとめられた(p>0.1,シ スチューデントt試験)(コラム4)。しかし、放射線処理C6−P450細胞 とともに共培養されたC6細胞の増殖において、統計的に有意な減少がみとめら れた(30%)(p<0.01,スチューデントt試験)(コラム5)。この結 果は、放射線処理C6−P450細胞が、隣接C6細胞へ毒性を媒介するに十分 な濃度までCPAを活性化しうることを示唆する。 細胞媒介性破壊が行われた上清は毒性がある:図23Aに示した共培養物の培 地に毒性代謝物が存在するかどうかを調べるために、各共培養物由来の上清を、 CPA処理の4日後に採取し、ナイーブC6細胞(2×106個の細胞)に加え た。図24は、0,5または50%の細胞がP4502B1遺伝子を含む共培養 アッセイから採取した調整培地で処理されたC6細胞の増殖において阻害が見ら れなかったことを示す。90または100%の細胞がP450遺伝子を含むアッ セイから採取された調整培地で処理されたC6細胞の増殖において約30%の減 少があった(p<0.05),スチューデントt試験。これらの発見は、C6− P450細胞が大部分を占める共培養アッセイ培地中に細胞毒性因子が存在し、 かつ、CPA処理の4日後に、分泌された細胞毒性代謝物が、細胞媒介性のC6 細胞死に寄与していたことを示す。一方、皿上の細胞の90%がC6−P450 細胞である場合のみにこの培地が毒性をもつという発見は、2つの細胞集団を隣 接状態で4日間成長させると、ナイーブC6細胞のCPA媒介性細胞破壊の効率 が、より良くなることを示す。表IVおよび図21の結果と比較して、図24の 結果に述べられた分泌効果の成長−阻害強度における変動は、培地中に分泌され る4−HCPAおよびアクロレインの相対的不安定度によって、説明することが できる。表IVおよび図21に示した実験においては、これらの代謝物は、P4 502B1ポジティブ腫瘍細胞によって新たに生産され、調整培地は、P450 2B1ネガティブ腫瘍細胞に対して、より大きな毒性を提供するようであった。 このパラグラフで述べた実験においては、調整培地は4日間培養物から採取した ものであり、大部分の代謝物は、おそらく分解されており、分泌効果の及ぶ範囲 は縮小されていると考えられる。 個となるCPA生体活性化経路の特徴:シトクロムP4502B1によるCP Aの生体活性化によって、親の薬物よりも親油性の低い不安定な化合物である4 −ヒドロキシシクロホスファミド(4−HCPA)が生産される。次いで、4− HCPAが分解してアクロレインとホスホルアミド・マスタード(PM)が生成 される。CPA細胞媒介性毒性および分泌毒性におけるアクロレインおよびPM 生産経路の相対的寄与を調査するために、我々は、生体活性化して、ただひとつ 、あるいは他の毒性代謝物を生産するCPA類縁体を用いた。T4Pは、アクロ レインを形成することなくPMに代謝されるが、一方PCPAはPMを形成する ことなくアクロレインに変換される[コックス,P.J.Biochem.Pharmacol.28 :2045-2049(1979);プロウチャークおよびマチソンTaxicol.Appl.Pharmacol.107: 472ー481(1991)]。細胞増殖アッセイにおいて、T4PはC6グリオーム細胞に 細胞毒性を与えた(非処理C6細胞と比べて細胞増殖を20%阻害;表V−A欄 ; p<0.05,スチューデントt試験)が、一方CPAおよびDCPAは、C6 細胞の増殖に影響を与えなかった。ところが、T4PはC6−p450細胞に対 し、一層大きな影響を与え、未処理C6−P450細胞と比べて、それらの増殖 を79%阻害した(p<0.001,スチューデントt試験)。DCPAはC6 −P450細胞の増殖に影響を与えなかったが、CPAは、細胞増殖を完全に阻 害したわけではないが、細胞数を実質的に減少させ、より大きな影響を与えた( 2×106個から1.15×106個へ)。 T4PおよびCPAの成長阻害効果をさらに確認するために、トリプシン処理 および再コロニー形成アッセイを行った(表V−B欄)。これらの化合物で処理 したC6細胞の増殖には有意な差異は認められなかった。この結果とは対照的に 、CPAあるいはT4Pで処理したC6−P450細胞の増殖は完全に阻害され た。DCPAはこのような条件下では効果はなかった。 コロニー形成アッセイを利用して分泌効果を調べた(表V−C欄)。各処理グ ループから得た調整培地(表V−A欄)をC6細胞に加えた。9日後、C6コロ ニーの数を数えると、DCPAまたはCPAで処理したC6−P450細胞から 採取した調整培地がC6細胞の成長において毒性が高いことがわかった。この結 果とは対照的に、T4Pで処理したC6−P450細胞から採取した調整培地は 、C6細胞のコロニー形成において最小の影響しか与えなかった。これらの結果 から、まず分泌効果においてアクロレイン生成経路(DCPAで代表される)が 関与し、PM生成経路(T4Pで代表される)は最小のかかわりしかないことが 示される。ところが、細胞間がコロニー形成アッセイよりも、より接近している 細胞増殖アッセイにおいては、PM活性化経路が、成長阻害の作動メカニズムに おいて、より有意に関係する。このことは、後者の経路が、CPAの細胞媒介性 細胞毒性において重要な関与因子であることを示唆する。 検討 癌のためのシトクロムP450 2B/CPA遺伝子療法 : 本発明者らは、ラットシトクロムP450 2B1導入遺伝子を腫瘍細胞中に 挿入することにより該細胞をシクロホスファミドの抗腫瘍作用に対して感受性に させることが、腫瘍に対する新たな治療戦略として有望であることを見いだした 。実施例5は、上記遺伝子を有するレトロウイルスベクターを産生すべく遺伝子 操作した線維芽細胞が末梢および脳腫瘍の動物モデルにおいて腫瘍寛解を引き起 こすであろうことを示す。 この実施例において本発明者らは、この遺伝子療法戦略の有効性を担う細胞毒 性メカニズムを解明しようとした。この研究の主要な目的は、(a)P450 2B1陽性の腫瘍細胞のシクロホスファミド誘発毒性がプログラミングされた細 胞死と関連があるかどうかを決定すること、(b)腫瘍細胞におけるP450 2B1遺伝子の発現がP450 2B1陰性の腫瘍細胞をもシクロホスファミド に対して感受性にするか否かを評価すること(「傍観者(bystander)」効果) 、および(c)この「傍観者」感作を担うCPA活性化経路を特徴付けることで あった。その結果は、細胞毒性がならし培地(「分泌」効果)および近接増殖( 「細胞媒体」効果)の両経路で未感受の(naive)腫瘍細胞に移されること、お よび該毒性が究極的にPCDと関連していることを示している。近年の遺伝子療 法技術は治療遺伝子をすべての腫瘍細胞中に導入することはできないので、この 報告の知見はシトクロムP450 2B1/CPAパラダイムを用いた遺伝子療 法の支持を付与するものである。 これらメカニズムを解明するために3つの細胞増殖アッセイ、すなわち細胞増 殖アッセィ、コロニー形成アッセイ、およびトリプシン処理再プレーティングア ッセイを使用した。第一のアッセイは、おそらく最も感度が低いであろう。とい うのは腫瘍細胞を比較的高密度でプレーティングし、2〜4日以内にコンフルエ ンシーに達し、細胞毒性能が細胞分裂の間に示される薬剤に対して有効な抗腫瘍 作用を付与する時間をほとんど与えないからである。第二のアッセイはもっと感 度が高いが、それは細胞を極めて低密度(10cmディッシュ当たり1000細 胞) でプレーティングし、コロニーを形成するために個々の細胞が薬剤の細胞毒性作 用に抗して数日間増殖および抵抗しなければならないからである。第三のアッセ イでは細胞をプロドラッグに短時間さらし、ついで該プロドラッグの不在下で低 密度で再プレーティングすることにより、処理細胞が薬剤の細胞毒性作用から回 復する能力を測定できるようにする。細胞媒体毒性 : CPAの毒性は細胞接触(細胞媒体効果)および培地(分泌効果)の両者によ りシトクロムP450 2B1を発現しない腫瘍細胞に移され得る。細胞媒体効 果とは、未感受腫瘍細胞をプロドラッグ代謝性の細胞と近接させて増殖させたと きに得られる死滅効果として定義される。分泌効果とは、未感受腫瘍細胞の純粋 な集団をプロドラッグ代謝性の細胞によってならされた培地にさらすことによっ て得られる死滅効果として定義される。 幾つかの特性が細胞媒体効果を規定すると思われる。この効果はシトクロムP 450 2B1遺伝子の発現を必要とするが、それは放射線処理したC6または C6−Neo細胞をCPAの存在下で同時培養しても細胞毒性は伝達されないか らである。細胞媒体効果は、シトクロムP450 2B1遺伝子を発現する細胞 のパーセントを増加させることによって細胞増殖を完全に抑制し腫瘍細胞数を減 少することができる点で増大性(incremental)である。この効果はまた、短い パルスのCPAを与えた後に洗浄および再プレーティングして過剰のプロドラッ グを除去しても細胞が死滅し続けるという点で不可逆的である。分泌効果 : 分泌効果の存在は、ガンシクロビル/単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ (HSV−TK)遺伝子療法戦略(ムールテン(Moolten,F.L.)、Cancer Res.46:5257−5281(1986);フリーマン(Freeman)ら、Ca ncer Res.53:5247−5282(1993);エッゼディン(Ezzeddine )ら、New Biol.3:608−614(1991))などの他のタイプのもの からCPA/シトクロムP450 2B1遺伝子療法パラダイムを違ったものに している。後者の遺伝子療法戦略の場合では、毒性の代謝産物は細胞接触によっ て は伝達されるものの(リ・ビ(Li Bi)ら、Hum.Gene Ther.4:725−7 31(1993))、HSV−TK遺伝子を含有するガンシクロビル処理腫瘍細 胞からのならし培地は未処理の未感受腫瘍細胞に対して細胞毒性を示さない(タ カミヤ(Takamiya)ら、J.Neurosci.Res.33:493−450(1992 ))。本発明者らはCPA/シトクロムP450 2B1遺伝子療法における分 泌された細胞毒性代謝産物の形成が腫瘍に対する治療学的後押しを提供するであ ろうと仮定している。分泌された代謝産物は正常な細胞に対しても若干の望まし くない毒性を引き起こしはするであろうが、指定された遺伝子送達によって毒性 を腫瘍細胞内のみに生じさせることは腫瘍細胞の死滅を最大にするとともに正常 細胞に対する有害作用を最小にするに違いない。細胞媒体効果と分泌効果との比較 : 分泌効果は細胞媒体効果の細胞毒性に一部寄与することが明らかである。後者 は10%の腫瘍細胞がP450 2B1遺伝子を含有するときに高密度同時培養 において活性であるのに対し、前者は殆どの腫瘍細胞がP450 2B1遺伝子 を発現する場合に培地中で明らかとなる。細胞媒体効果は、わずか3時間CPA にさらした後でさえも(表III参照)細胞増殖アッセイにおいて細胞増殖の完全 な抑制をもたらす(図20Bおよび表V(A)参照)。分泌効果は一層感度の高 いコロニー形成アッセイにおいてのみ明らかであり、細胞増殖の完全な抑制はC PA処理したC6−P450細胞からの培地に細胞を24時間以上さらすことに よって達成することができる(表IV参照)。さらに、C6細胞とC6−P450 細胞とをフィルターで分離した環境中で同時培養することによってならし培地に 対する暴露を最大にした場合でさえも、4日間にわたるC6細胞の増殖において 50%の抑制しか認められなかった(図21A参照)。細胞媒体効果は腫瘍細胞 死滅のより一般的なメカニズムであり、分泌効果はこの細胞媒体された細胞毒性 効果に部分的に貢献するものと結論された。 最終的に、プロドラッグの活性な薬剤への細胞内変換を可能とする遺伝子の送 達により腫瘍学的化学療法を促進しうることは、腫瘍細胞に対しては最大の細胞 毒性を得、正常細胞に対しては最小の効果とする目的を達成するに違いない。異 なる作用様式の幾つかのプロドラッグ−遺伝子療法システム(たとえば、S−相 にあるガンシクロビル/HSV−TK標的細胞、シクロホスファミド/シトクロ ムP450 2B1標的細胞では全ての相のもの)、並びにインターロイキン− 4(ユー(Yu)ら、Cancer Res.53:3125−3128(1993))、 GM−CSF(ドラノフ(Dranoff)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA90 :3539−3543(1993))などの免疫応答を拡張するサイトカインの 発現、および腫瘍細胞の代謝を変えてしまうIGF−2(トロジャン(Trojan )ら、Science259:94−97(1993))などのアンチセンスRNAの 組み合わせは、癌遺伝子療法の抗腫瘍効果を拡張するに違いない。 実施例7 この実施例では、シトクロムP450 2B1を安定に発現するようにトラン スフェクションしたラット9L腫瘍細胞のシクロホスファミド(CPA)感受性 を培地中で調べ、皮下移植の後にはフィッシャーラットの外大腿部での固形腫瘍 の増殖をも調べた。シトクロムP450 2B1を発現する腫瘍をCPA処理す ると腫瘍増殖が完全に抑制された。この結果は、シトクロムP450 2B1遺 伝子の腫瘍発現によって腫瘍内プロドラッグ活性化が達成される場合には末梢で 増殖している全身性の固形腫瘍がオキサザホスホリン(oxazaphosphorine)処理 に対してインビボで高度に感受性にされ得ることを示している。材料および方法 略語 : 9L−Z:大腸菌β−ガラクトシダーゼを安定に発現する9L細胞;9L−Z P:大腸菌βガラクトシダーゼおよびラットシトクロムP450 2B1を安定 に発現する9L細胞;L450−2:ラットシトクロムP450 2B1を安定 に発現する9L細胞。化学物質 : シクロホスファミドおよびイホスファミド(ifosphamide)はナショナル・キ ャンサー・インスティチュート(National Cancer Institute)(ベセスダ、 メリーランド)の医薬合成および化学部から得た。4−ヒドロペルオキシシクロ ホ スファミドはノバ・ファーマシューティカル・コーポレーション(Nova Pharm aceutical Corporation)(ボルチモア、メリーランド)から得た。メチラポン はアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical Co.)(ミルウォーキー、ウ イスコンシン)から購入した。9L細胞の安定なトランスフェクション : ラット9L神経膠肉腫細胞(バーカー(Barker)ら、Cancer Res.33:9 76−986(1973))を、10%ウシ胎児血清、10単位/mLペニシリ ンおよび10mg/mLストレプトマイシンを含有するアルファ最小必須培地( GIBCO/BRL,Inc.)中で増殖させた。細胞を5%CO2/95%空気の 湿潤雰囲気下に維持した。9L細胞を製造業者の指示に従ってリポフェクチン( GIBCO/BRL,Inc.)を用い、ラットシトクロムP450 2B1発現プ ラスミド(NYUメディカルスクールのミルトン・アデスニク(Miton Adesni k)およびアリソン・レイス(Allison Reiss)両博士により提供されたpMT 2−cytochromeP450 2B1)およびプラスミドpCMV−βgal.Neo (ダナ・ファーバー・キャンサー・インスティチュート(Dana Farber Cance r Institute)のリー(H.Li)博士より贈呈)で1:10の比率にてコトラン スフェクションした。プラスミドpCMV−βgal.NEOは、ネオマイシン ホスホトランスフェラーゼ遺伝子(G418に対する耐性を付与する)および大 腸菌のlacZ(β−ガラクトシダーゼ)遺伝子(コントロールとして働き、都 合のよい細胞マーカーを付与する)を含有する。安定なトランスフェクション体 を1mg/mL G418(GIBCO/BRL,Inc.)中での選択下でクロー ニングした。G418に耐性の細胞株をクローニングし、増殖させ、評価した。 他のシトクロムP450 2B1発現性の9L神経膠肉腫由来細胞株であるL4 50−2も同様の方法で調製した。 薬剤感受性を試験するため、1×105細胞を30mm組織培養プレート(フ ァルコン3046)中に2つずつプレーティングした。播種の18〜24時間後 に薬剤を加えた。薬剤処理の5日後までの時間範囲にわたり細胞を増殖させ、つ いで最終の細胞数を決定した。細胞をリン酸緩衝食塩水かまたはハンクの緩衝食 塩 水で濯ぎ、トリプシン−EDTA(GIBCO/BRL,Inc.)を用いて分散さ せ、ついで赤血球計を用いてカウントした。結果を増殖比、すなわち対応する薬 剤不含の対照のパーセントとしての薬剤含有プレート中での細胞数(2つの測定 の平均±範囲)として表した。同時培養実験 : 親の9L細胞を培養プレート(ファルコン3502)の底部ウエルにプレーテ ィングし、シトクロムP450 2B1陰性の細胞またはシトクロムP450 2 B1陽性の細胞を25mm細胞培養インサート(0.45μm孔径、ファルコン 3090)中にプレーティングした。培地を18〜24時間後に吸引除去した。 薬剤なしの培地(1.0mL)を底部ウエルに加え、薬剤を含有する1.0mLの 培地を上部細胞培養インサートに加えた。5日後に細胞数を上記のようにして決 定した。腫瘍増殖の遅延研究 : 9L細胞を固形腫瘍として雌フィッシャー344ラット中で皮下(s.c.)増殖 させた。成体雌フィッシャー344ラット(120〜150g)に2×106細 胞/皮下部位を接種した;シトクロムP450 2B1陰性の細胞(親の9L細 胞または9L−Z細胞)を一方の大腿部に注入し、シトクロムP450 2B1 陽性の細胞(9L−ZP細胞またはL450−2細胞)を他方の大腿部に注入し た。このような方法を採用したのは、9L腫瘍の皮下増殖が肝臓のシトクロムP 450依存性のシクロホスファミド活性化作用を有するという潜在的な効果を制 御するためであった。薬剤処理は腫瘍移植の7日後に開始した。ラットを無作為 化し、2つのグループに分けた。一つのグループは100mg/kg体重のシク ロホスファミドで1回の腹腔内注射することにより処理した。他のグループは対 照として食塩水を注射した。腫瘍のサイズを7〜8週までの時間範囲でカリパス 測定によりモニターし、この時点で動物を屠殺した。ウエスタンブロットおよびシトクロムP450 2B1活性分析 : 培養した9L細胞から分別遠心分離により調製したミクロソームタンパク質を 10%ドデシル硫酸ナトリウム/ポリアクリルアミドゲルによる電気泳動にかけ (20μgタンパク質/レーン)、ニトロセルロースに移し、ついでポリクロー ナルウサギ抗シトクロムP450 2B1抗体(ワックスマン(Waxman)および ウォルシュ(Walsh)、J.Biol.Chem.257:10446−10457(1 982);ワックスマン(Waxman,D.J.)、Methods Enzymol.206:24 9−267(1991))でプローブした。フェノバルビタール誘発した肝臓ミ クロソーム(1μg)を正の対照として用いた。単離した9Lミクロソームフラ クション中の7−エトキシクマリンのO−脱エチル化(ワックスマンおよびウォ ルシュ、Biochemistry22:4846−4855(1983))およびテスト ステロンの16βヒドロキシル化(ワックスマン、Methods Enzymol.206: 249−267(1991))をモニターすることにより、シトクロムP450 2B1依存性の酵素活性を測定した。結果 9L神経膠肉腫細胞でのシトクロムP450 2B1遺伝子の安定な発現 : 9L細胞をラットシトクロムP450 2B1をコードする発現プラスミドお よびネオマイシン耐性遺伝子を含有するβ−ガラクトシダーゼ発現プラスミドで 10:1のモル比にてコトランスフェクションした。G418に耐性の細胞株を 選択し、クローニングした。シトクロムP450 2B1に特異的なウサギポリ クローナル抗体を用いた単離9L細胞ミクロソームのウエスタンブロット分析は 、9L−ZPおよびL450−2と称するクローニング細胞株から調製した試料 において精製シトクロムP450 2B1の分子量に対応する約52kDの単一 のタンパク質バンドを示した。親の9L細胞または9L−Z細胞ではシトクロム P450 2B1タンパク質は検出されず、これら細胞はβ−ガラクトシダーゼ を発現したが(x−gal染色)シトクロムP450 2B1は発現しなかった (図25)。これらクローニング細胞株9L、9L−Z、9L−ZPおよびL4 50−2をさらに研究するために用いた。シトクロムP450 2B1依存性の 酵素活性の分析(方法を参照)により、シトクロムP450 2B1形質転換体 9L−ZPおよびL450−2はともにシトクロムP450 2B1を酵素的に 活性な形態にてフェノバルビタール誘発ラット肝臓の〜1−2%に対応するレベ ルで 発現したが、親の9L細胞または9L−Z細胞ではシトクロムP450 2B1 活性(テストステロンの16βヒドロキシル化)は検出できないことが確かめら れた。培養した9L細胞および9L−Z細胞に対するオキサザホスホリンの効果 : 本発明者らは、まず、シトクロムP450 2B1を発現する9L細胞がシク ロホスファミドおよびイホスファミドの細胞毒性効果に対して感受性か否かを試 験した。シトクロムP450 2B1陽性の細胞(9L−ZPおよびL450− 2)およびシトクロムP450 2B1陰性の細胞(親の9Lおよび9L−Z) を種々の濃度のシクロホスファミドおよびイホスファミドとともに培養した。つ いで、薬剤処理の5日後に存在する生存細胞数を決定した。図26Aに示すよう に、シクロホスファミドはシトクロムP450 2B1陽性細胞の増殖を濃度に 依存した仕方で抑制した(IC50〜70μM)。シトクロムP450 2B1陽 性細胞の増殖はまたイホスファミドによっても抑制されたが、この場合は若干高 濃度(IC50〜145μM)の薬剤を必要とした(図26B)。これら知見は、 シトクロムP450 2B1がイホスファミドをシクロホスファミドに比べて3 〜4倍低い効率(Vmax/Km)で活性化するという以前の観察と一致するも のである(ウェーバー(Weber)およびワックスマン、Biochem.Pharmacol.4 5:1685−94(1993))。対照的に、親の9L細胞および9L−Z細 胞はミリモル濃度のシクロホスファミドまたはイホスファミドの存在下で増殖さ せた場合でも有害作用を示さなかった。対照実験においてシトクロムP450 2B1陽性細胞およびシトクロムP450 2B1陰性細胞はともに活性化シク ロホスファミド(これは、4−ヒドロペルオキシシクロホスファミドの形態で細 胞上に提示される)に対して本来感受性であることが確立された(図26C)。シトクロムP450 2B1陽性の9L細胞のオキサザホスホリン感受性に対す るP450酵素抑制の効果 : シトクロムP450 2B1の発現それ自体がシトクロムP450 2B1陽性 細胞のシクロホスファミドおよびイホスファミドに対する化学療法剤感受性の原 因であることを確かめるため、シトクロムP450 2B1に選択的な酵素阻害 剤であるメチラポン(ワックスマンおよびウォルシュ、Biochemistry22:4 846−4855(1983))を用いて細胞性のシトクロムP450 2B1 活性を抑制させた。10μMメチラポンの存在下では9L−ZP細胞に対するシ クロホスファミドおよびイホスファミドの細胞毒性効果はほとんど除かれた(図 27)。対照的に、メチラポンは化学的に活性な誘導体である4−ヒドロペルオ キシシクロホスファミドの細胞毒性は阻止しなかったが(図27)、これはシト クロムP450 2B1により触媒されたオキサザホスホリン活性化の抑制によ るメチラポン保護と一致する知見である。それゆえ、シクロホスファミドおよび イホスファミドに対するシトクロムP450 2B1発現細胞の化学療法剤感受 性は、これら細胞内の機能性のシトクロムP450 2B1酵素の存在に依存す る。「傍観者」細胞毒性効果の分析 : 本発明者らは、つぎに、シトクロムP450 2B1陰性の9L細胞をシトク ロムP450 2B1発現腫瘍細胞とともに同時培養したときにシクロホスファ ミド細胞毒性に感受性とされ得るか否かを調べた。これらの実験には親の9L細 胞およびシトクロムP450 2B1陽性9L−ZP細胞を用いたが、それは、 これら細胞が培養において同様の倍加時間を有するからである。等しい細胞数の 9L細胞および9L−ZP細胞を混合し、ついで混合した培養液をシクロホスフ ァミドで処理した。もしもシクロホスファミド細胞毒性がシトクロムP450 2B1陽性の細胞に限られるものであるならば、混合した細胞集団の半分を占め る9L−ZP細胞に対するシクロホスファミドの細胞毒性が選択的だが殆ど完全 (>90%)であることから予測されるように、全細胞数は薬剤不含の対照に比 べて約50%減少するであろうと思われた。一方、もしもシトクロムP450 2B1陽性細胞が近接するシトクロムP450 2B1陰性細胞を化学療法剤に 対して感受性にするならば、シクロホスファミドとの同時培養の後に両方の細胞 型が排除されるに違いない。 図28に示すように、混合培養液をシクロホスファミドで処理したときに全細 胞集団の80%近くが根絶された。さらに、シトクロムP450 2B1酵素阻 害剤であるメチラポンは、この効果を殆ど排除することができた。混合培養液中 の細胞は、若干高い薬剤濃度においてではあるもののイホスファミドに対して同 様の感受性パターンを示した。対照的に、9L−Z細胞を親の9L細胞と混合し た場合には、いずれの細胞集団においても死滅は認められなかった。これら研究 は、シトクロムP450 2B1陽性細胞がシトクロムP450 2B1酵素活性 が関与するメカニズムにより近接するシトクロムP450 2B1陰性細胞に傍 観者殺傷効果を付与することを示している。 つぎに、混合細胞集団内でのシトクロムP450 2B1陽性細胞およびシト クロムP450 2B1陰性細胞の両者に対するシクロホスファミド処理の効果 をモニターした。培養中の2つのタイプの細胞を識別するため、lacZ遺伝子 (β−ガラクトシダーゼ)でマーキングした細胞を用いた(この細胞はβ−ガラ クトシダーゼの基質であるx−galで培養液を染色したときに青色の細胞とし て同定できる)。等しい細胞数の親9L細胞をlacZ−マーキングしたシトク ロムP450 2B1陽性細胞、9L−ZPと混合した。シクロホスファミド処 理後、細胞を固定し、x−galで染色してこれら2つの細胞集団に対するシク ロホスファミドの細胞毒性を明らかにした。図29に示すように、シクロホスフ ァミドはシトクロムP450 2B1陽性細胞(青く染まった細胞)の増殖を劇 的に抑制した。シトクロムP450 2B1陰性細胞(染まらなかった細胞)の増 殖も若干低いものの実質的な抑制が観察された。幾つかの残留細胞が顕著な形態 学的異常を示し、これら残留細胞の生存性は疑問であった。シトクロムP450 2B1阻害剤であるメチラポンは両タイプの細胞をシクロホスファミド死滅か ら保護した。しかしながら、顕微鏡観察では幾つかのシトクロムP450 2B 1陽性細胞では形態学的な歪曲が明らかとなったが、シトクロムP450 2B 1陰性細胞では観察されなかった。これら知見は、シトクロムP450 2B1 を発現する9L細胞が腫瘍細胞内で起こるプロドラッグ活性化の結果としてシク ロホスファミド細胞毒性に対して一層感受性であるが、近接するシトクロムP4 50 2B1陰性細胞に対する実質的な細胞毒性もまた生じることを示している 。 つぎに、本発明者らは、HSK−TK陽性並びにHSK−TK陰性腫瘍細胞お よびガンシクロビル処理の場合(ラム(Ram)ら、Cancer Res.53:83− 88(1993);カルバー(Culver)ら、Science256:1550−15 52(1992);フリーマン(Freeman)ら、Cancer Res.53:5274 −5283(1993);ビー(Bi)ら、Human Gene Therapy4:725− 731(1993))から類推されるように、このような近接シトクロムP45 0 2B1陽性細胞によるシトクロムP450 2B1陰性細胞の傍観者死滅が直 接的な細胞−細胞接触を必要とするのか否かを評価した。これら実験のため、親 の9L細胞をファルコン同時培養インサートの底部チャンバ中に播種し、シトク ロムP450 2B1陽性細胞(9L−ZP)かまたはシトクロムP450 2B 1陰性細胞(9L−Z)のいずれかを該同時培養インサートの上部チャンバに入 れた。これら2つの細胞集団を同時培養系において物理的に隔離したが、同じ培 地を使用した。 図30Aに示すように、5日間シクロホスファミド処理すると上部チャンバ中 のシトクロムP450 2B1陽性の9L細胞のみならず底部チャンバ中で培養 した親9L細胞も死滅した。両細胞集団の死滅はシトクロムP450 2B1阻 害剤であるメチラポンにより有効に阻止できる。対照的に、9L−Z細胞を親9 L細胞と同時培養した場合にはいずれの細胞集団も死滅しなかった。 同時培養したシトクロムP450 2B1陰性細胞の傍観者死滅が同時培養し たシトクロムP450 2B1陽性細胞の細胞数に依存するか否かを評価するた め、種々の数の9L−ZP細胞(104から106細胞の範囲)をファルコン細胞 インサートに入れ、105の親9L細胞とともに同時培養した。図30Bは、底 部培養チャンバ中の9L細胞に対するシクロホスファミドの細胞毒性(y軸上に 示す)が上部チャンバ中の9L−ZP細胞の初期細胞数(x軸)と正の相関関係 を有することを示している。それゆえ、シトクロムP450 2B1/シクロホ スファミドの場合には、傍観者死滅効果は少なくとも一部は、シトクロムP45 0 2B1により触媒された薬剤代謝により生成された可溶性の細胞毒性代謝産 物のシトクロムP450非発現細胞への移動によるものである。それゆえ、この 傍観者効果は、傍観者細胞毒性を生じるためには緊密な細胞−細胞接触が必要な HSK−TK/ガンシクロビル系のもの(フリーマンら、Cancer Res.53: 5274−5283(1993);ビーら、Human Gene Therapy4:725 −731(1993))とは区別されるものである。インビボでの9L腫瘍のシクロホスファミド感受性に対するシトクロムP450 2B1発現の効果 : 上記に記載した研究は、シトクロムP450 2B1を発現するように安定に トランスフェクションした9L神経膠肉腫細胞がシクロホスファミドおよびイホ スファミドの細胞毒性に対して高度に感受性となることを確立するものである。 本発明者らは、つぎに、これら細胞をエクスビボ遺伝子移動モデルとして用い、 シトクロムP450 2B1/オキサザホスホリン系を癌遺伝子療法に使用する ことのインビボでの実行可能性を評価した。シトクロムP450 2B1発現9 L腫瘍のシクロホスファミド感受性に対するシトクロムP450 2B1陰性9 L腫瘍のシクロホスファミド感受性を比較するためにインビボ腫瘍増殖遅延研究 を行った。シトクロムP450 2B1陰性細胞(9Lおよび9L−Z)および シトクロムP450 2B1発現細胞(9L−ZPおよびL450−2)を雌フ ィッシャー344ラットで固形腫瘍として皮下増殖させた。シトクロムP450 2B1発現腫瘍をシクロホスファミド処理すると腫瘍増殖が完全に抑制された (表VIおよび図31)。9L腫瘍はシクロホスファミド処理後に若干の増殖遅延 を示したが、この抗腫瘍効果は短時間のものであり、最終的に攻撃的な腫瘍増殖 が復帰した。この親9L腫瘍の一時的な増殖遅延は肝臓中に存在するシトクロム P450によるシクロホスファミドの活性化によるものであり、これは成体雌ラ ットの場合には主としてシトクロムP450形2C6によって触媒される(クラ ーク(Clarke)およびワックスマン、Cancer Res.49:2344−50(1 989))。これらインビボ腫瘍モデル研究は、シトクロムP450 2B1遺 伝子の腫瘍内での発現、およびそれに伴うプロドラッグの腫瘍内活性化が末梢固 形腫瘍をオキサザホスホリンのインビボ処理に対して高度に感受性にしうること を確立するものである。 検討 公知の確立された癌化学療法剤を活性化する薬剤代謝性酵素の遺伝子を導入す ることによる腫瘍の化学療法剤感受性付与パラダイムとしてのシトクロムP45 0遺伝子移動の有用性を評価するためのモデルとしてラット9L神経膠肉腫細胞 を用いた。9L細胞はラット脳腫瘍に由来するが(バーカーら、Cancer Res. 33:976−986(1973))、培地で増殖させることができ、フィッシ ャー344ラットに皮下または頭蓋内のいずれかに移植することができる。9L 細胞はシトクロムP450レダクターゼ(すべてのミクロソームシトクロムP4 50依存性酵素反応に必要な電子を伝達する)を発現するが、内生のP450酵 素活性は殆どまたは全く含まず、このことが9L細胞をしてシトクロムP450 遺 伝子移動を含む実験のための受容細胞株として充分に適したものとしている。本 研究の主要な目的は、(a)この腫瘍細胞株におけるシトクロムP450 2B 1の発現がオキサザホスホリンに対して腫瘍細胞を感受性にするか否かを評価す ること、(b)近接するシトクロムP450 2B1不含腫瘍細胞が「傍観者効 果」によって薬剤感受性となるか否かを確立すること、および(c)このインビ トロでの化学療法剤感受性付与が、末梢腫瘍の場合に完全な肝臓系(腫瘍自体の ものを大きく上回る速度にてオキサザホスホリン活性化を触媒する)の文脈にお いてインビボで治療学的利点となり得るか否かを確かめることにあった。オキサ ザホスホリンを活性化するシトクロムP450 2B1遺伝子の9L腫瘍細胞中 への導入は、インビトロおよびインビボの両方において実際に該細胞をシクロホ スファミドおよびイホスファミドに対して優先的に感受性とし、それゆえ癌療法 に適用するのが有用であると思われる。 HSV−TK/ガンシクロビル系のインビトロおよびインビボ研究は、HSV −TK形質導入されガンシクロビル処理した細胞が該細胞に接触したHSV−T K未形質導入細胞を「傍観者死滅」させることを示している(ラムら、Cancer Res.53:83−88(1993);カルバーら、Science256:1550 −1552(1992);フリーマンら、Cancer Res.53:5274−52 83(1993);ビーら、Human Gene Therapy4:725−731(19 93))。この傍観者死滅効果の正確なメカニズムの基礎は未だ不明であるが、 活性化されたガンシクロビルの代謝産物または他の毒性物質が細胞−細胞接触に より伝達されることが関与していると思われる。この傍観者効果は治療学的に極 めて意義が大きいが、それは腫瘍細胞集団の亜集団のみが薬剤感受性遺伝子で有 効に形質導入された場合でさえも原則として腫瘍を撲滅することが可能であるこ とを示しているからである。 従って、シトクロムP450遺伝子移動が傍観者効果を伴うか否か、すなわち シトクロムP450発現腫瘍細胞がシクロホスファミドに対して近接腫瘍細胞を 感受性にさせるか否かを決定するために実験を行った。シトクロムP450 2 B1陽性細胞は酵素的に活性なシトクロムP450 2B1を必要とするメカニ ズムによりシトクロムP450 2B1陰性細胞の傍観者死滅を付与することが 観察された。9L−ZP細胞から親9L細胞への化学療法剤に対する感受性の付 与がこれら2つの細胞集団間での接触が妨げられた場合でさえも行われたことに より示されるように、この傍観者死滅効果には、少なくとも部分的に、細胞間で の可溶性の細胞毒性代謝産物の移動が関与している。考えられるところでは、こ の観察された傍観者死滅には細胞−細胞接触メカニズムも同様に関与している。 シトクロムP450 2B1により生成した4−ヒドロキシシクロホスファミド は細胞膜を容易に拡散しうると思われ(スラデク(Sladek,N.E.)、Pharmac olo Ther.37:301−355(1988))、この主要な代謝産物、または おそらくその細胞毒性分解産物であるホスホラミドマスタードおよびアクロレイ ンが隣接シトクロムP450 2B1陰性細胞に対するシクロホスファミドの致 死作用をもたらしていると思われる。死につつある9L−ZP細胞から9L細胞 へのアポトーシス(apoptotic)シグナルの伝達もまた何らかの役割を果たして いるかもしれない。 シトクロムP450 2B1/シクロホスファミド傍観者細胞毒性を達成する のに細胞−細胞接触を必要としないことは、活性化薬剤の腫瘍塊内での一層広範 な分布をもたらすことにより、HSV−TK/ガンシクロビル系に比べてシトク ロムP450遺伝子療法の重要な治療学的利点である。さらに、細胞毒性が細胞 周期のDNA合成期(S相)にある細胞に限られる活性化代謝産物を生成するH SV−TK/ガンシクロビルとは異なり、シトクロムP450 2B1/オキサ ザホスホリン系では細胞周期に依存しない仕方で腫瘍細胞を有効に死滅させる代 謝産物を生成する。それゆえ、腫瘍細胞に対するホスホラミドマスタード由来の 鎖間DNA架橋の毒性は腫瘍細胞が増殖を開始するあらゆる時点で明白となり、 その結果、一層高いフラクションの腫瘍細胞が死滅することになる。 シトクロムP450ベースの癌遺伝子療法の他の可能な利点は、全身的なプロ ドラッグ活性化に関与する肝臓シトクロムP450酵素の選択的な阻害とあいま って、シトクロムP450遺伝子移動により、薬剤の局所的抗腫瘍作用が増大す る可能性があることである。ヒト肝臓におけるオキサザホスホリン活性化のシト ク ロムP450触媒(チャング(Chang)ら、Cancer Res.53:5629−5 637(1993))はラットシトクロムP450 2B1とは生化学的に異な るので、適当なシトクロムP450イソ形に選択的な阻害剤を用いることによっ て肝臓シトクロムP450を阻害することが可能である(チャングら、Cancer Res.53:5629−5637(1993);グエンゲリッチ(Guengerich) ら、Chem.Res.Toxicol.4:391−407(1991);チャングら、Arc h.Biochem.Biophy.311:437−442(1994))。このことは、活 性化代謝産物に肝臓シトクロムP450を介して全身的にさらされることからく る宿主組織の毒性(従来の化学療法では必ず生じる)を最小にすることにより、 有意な治療学的利点を提供するものである。 一つの重要な知見は、シトクロムP450 2B1/シクロホスファミドが末 梢部に増殖する固形腫瘍の場合にインビボでの化学療法的可能性に関して非常に 有効であり、それゆえ癌遺伝子療法の標的としてさらなる前臨床開発のための優 れた候補であることである。シトクロムP450 2B1の腫瘍内発現によりも たらされる衝撃的な治療学的利点(図31および表VI)は幾つかの理由で驚くべ きことであり、本願出願中いたるところで引用した脳腫瘍遺伝子療法研究の知見 からは予測しえなかったことである。 第一に、シクロホスファミド代謝において活性な内生のシトクロムP450酵 素はすでに肝臓組織において高レベルで発現されている。さらに、腫瘍移植の7 日後というシクロホスファミド治療の時点では、本研究の9L腫瘍はやっと触診 しうる程度であり、それゆえ肝臓に比べるとサイズが小さかった。加えて、シト クロムP450 2B1トランスフェクションした腫瘍細胞中のシトクロムP4 50タンパク質の特定含量は肝臓に比べて低い(図25参照)。それゆえ、9L −ZPおよびL450−2腫瘍を有するラットで循環している活性化シクロホス ファミドの大部分は疑いもなく腫瘍由来ではなく肝臓由来である。にもかかわら ず、シクロホスファミド処置後の完全な腫瘍寛解がこれら9L/シトクロムP4 50 2B1腫瘍の両者において観察されたが、シトクロムP450 2B1陰性 の9Lおよび9L−Z腫瘍では観察されなかった。このことは、腫瘍内シクロホ スファミド活性化の場合には非常に実質的な「近接効果」が存在するかもしれな いことを示している。このことは、主要な代謝産物である4−ヒドロキシシクロ ホスファミド/アルドホスファミドあるいはおそらくその血漿タンパク質安定化 スルフヒドロ付加物(ホホースト(Hohorst)ら、Adv.Enzyme Regul.25: 99−122(1986))が、以前の研究(スラデク、Pharmacolo Ther.3 7:301−355(1988);ホング(Hong)ら、Drug Metab.Dispos. 19:1−7(1991))に基づいて予想されるよりも腫瘍脈管構造に接近し にくいか、または肝臓で生成したときに細胞膜透過性が一層低いことを示してい るかもしれない。さらに考えられることは、4−ヒドロキシシクロホスファミド の本来の半減期が短いため[t1/2=ラットおよびヒトでそれぞれ5.2分および 3.3分;上掲文献]、この主要な代謝産物が肝臓での生成部位から腫瘍に到達 する前にかなり分解されてしまうのかもしれない。それゆえ、これらラットにお いて肝臓の方が本来的に代謝能がはるかに高いにもかかわらず、アルキル化代謝 産物の有効な腫瘍内濃度はシトクロムP450 2B1非発現性の9L腫瘍の場 合に比べてシトクロムP450 2B1発現性の9L腫瘍の場合の方が実質的に 高いのかもしれない。 別の可能性としては、シトクロムP450 2B1発現性9L腫瘍に対するシ クロホスファミドの実質的に促進された細胞毒性が、タンパク質アルキル化代謝 産物であるアクロレインによるホスホラミドマスタード、主要なDNAアルキル 化代謝産物に対して腫瘍細胞が感受性になる結果であることが挙げられる。4− ヒドロキシシクロホスファミド/アルドホスファミドから化学的分解によって生 じるアクロレインはホスホラミドマスタードと等量で生成し、シクロホスファミ ド処置後の血清テストステロンレベルの枯渇や肝臓シトクロムP450およびス テロイド代謝性酵素プロフィルの変調によって示されるように(チャングおよび ワックスマン、Cancer Res.53:2490−2497(1993))、シク ロホスファミドに付随する心臓毒性(フリードマン(Friedman)ら、Cancer Res.50:2455−2462(1990))やシクロホスファミドが有しう る内分泌毒性に貢献する重要な因子である。肝臓のシクロホスファミド活性化か ら生じるアクロレインは親薬剤の抗腫瘍活性を媒体はしないが(スラデク(19 88)、上掲文献)、本発明者らのシトクロムP450遺伝子移動/腫瘍内シク ロホスファミド活性化モデルにおいては、生成したアクロレインがおそらくグル タチオン枯渇メカニズムによってホスホラミドマスタードの細胞毒性作用を局所 的に高めることが考えられる(フリードマンら、Cancer Res.50:2455 −2462(1990);ガートゥー(Gurtoo)ら、Cancer Res.41:35 84−3591(1981)参照)。 結論として、本実施例は、オキサザホスホリンを活性化するシトクロムP45 0遺伝子を末梢腫瘍細胞中に導入することの治療学的有用性を示すものである。 これら研究は、腫瘍細胞集団の亜集団のみが薬剤活性化シトクロムP450遺伝 子で有効にトランスフェクションされた場合であっても末梢腫瘍細胞の死滅が効 率的な仕方で進行しうることを示す。それゆえ、シクロホスファミドまたはイホ スファミド並びにN,N',N"−トリエチレンチオホスホラミド(チオ−TEPA )、プロカルバジン、ダカルバジンおよびこのシトクロムP450遺伝子や他の シトクロムP450遺伝子により活性化される他の抗腫瘍剤(ルブランク(Le Blanc)およびワックスマン、Drug Metab.Rev.20:395−439(19 89);ング(Ng)およびワックスマン、International Journal of Oncol ogy2:731−738(1993);ングおよびワックスマン、Cancer Res. 51:2340−2345(1991);ングおよびワックスマン、Cancer R esearch 50:464−471(1990))をシトクロムP450遺伝子移動 と組み合わせた場合には、これら薬剤の末梢腫瘍に対する治療学的活性の実質的 な改善が期待される。このことは、ウイルスベクターや腫瘍特異的なプロモータ ーDNA配列の使用を含む他の新規な遺伝子移動法を用いることによって達成し うるシトクロムP450遺伝子移動の効率が腫瘍細胞における遺伝子形質導入に 関して100%未満である場合であっても予想される。それゆえ、本発明の有用 性には、これら薬剤の使用に際して従来付随していた全身的な毒性を最小にしな がら、抗癌剤の特異性および選択性を高めることによって一層最適な薬剤効能を 達成することが含まれる。 最後に、本発明において展開した化学療法剤/遺伝子療法の概念および戦略は 、おそらく、他の確立された癌化学療法剤(ルブランクおよびワックスマン、D rug Metab.Rev.20:395−439(1989);ングおよびワックスマン 、International Journal of Oncology2:731−738(1993);ン グおよびワックスマン、Cancer Res.51:2340−2345(1991) ;ングおよびワックスマン、Cancer Research 50:464−471(199 0))や他のシトクロムP450遺伝子(ネルソンら、DNA Cell Biol.1 2:1−51(1993))に対しても拡張しうる。 実施例8 ラット9L神経膠肉腫細胞の場合にシトクロムP450 2B1遺伝子発現に よって付与されるシクロホスファミドに対する感受性が他の腫瘍細胞型において も治療学的活性の増大となるか否かを決定するため、シトクロムP450 2B 1を安定に発現するMCF−7ヒト乳癌細胞株のパネルを調製し、ついでヌード マウスモデルを用いてインビトロおよびインビボの両方においてシクロホスファ ミドに対する感受性を評価した。方法 MCF−7は、閉経後の未経産婦人の胸膜滲出液から開始したヒト乳癌細胞株 である。このヒト腫瘍細胞株は細胞培養およびヌードマウス中(固形腫瘍として 増殖する)の両方で増殖および継代することができる。これはヒト乳癌のために 広く研究されたモデルであり、当業者にはよく知られている(スール(Soule) ら、J.Natl.Cancer Inst.51:1409−1413(1973))。 MCF−7細胞を、10%熱不活化ウシ胎児血清、100単位のペニシリン/ mL、100μgのストレプトマイシン/mL、2mML−グルタミンおよび0 .25単位のインスリン/mLを含むダルベッコ変性イーグル培地中で単層とし て増殖させた。 シトクロムP450 2B1発現プラスミドによるMCF−7細胞のトランス フェクション、ネオマイシン耐性クローンの選択、発現されたシトクロムP45 0 2B1タンパク質の特徴付け、および薬剤に対する細胞株の感受性を、9L シトクロムP450 2B1発現細胞株についての実施例7の記載と同様にして 行った。 雌ホモ接合(nu+\nu+)ヌード無胸腺スイスマウス(スールら、Cancer Let ters10:177−189(1980))(20−25g)をタコニック(Tac onic Inc.)(ジャーマンタウン、ニューヨーク)から得た。 MCF−7細胞またはシトクロムP450 2B1もしくは大腸菌β−ガラク トシダーゼ(lacZ)を発現する安定なMCF−7細胞形質転換体を細胞培養 にて増殖させた。対数期にある細胞を回収し、ついでヌードマウスの脇腹に皮下 注射した(0.2mL中に1×107細胞)。腫瘍を接種する1日前に単一の17 β−エストラジオールペレット(1.7mgホルモン/60日放出ペレット、イ ノバティブ・リサーチ(Innovative Research)、トレド、オハイオ)を移植 した。腫瘍接種の1カ月後、ノギスを使って各腫瘍のサイズを測定した。 ついで、ヌードマウスに0日目および2日目に再び腹腔内注射により100m g/kg体重×2にてシクロホスファミド処理した。ついで、再びノギスを用い て腫瘍サイズの測定を行い、最初のシクロホスファミド(CPA)注射の0日目 からの腫瘍サイズの比としてデータを表してある。結果 図32は、親のMCF−7細胞および細菌酵素β−ガラクトシダーゼを発現す るMCF−7トランスフェクション対照細胞株MCF−7−Z3がともに高濃度 のシクロホスファミドに対して非感受性であることを示している。対照的に、シ トクロムP450 2B1を発現する6つの個々のMCF−7細胞株(P2、P 3、P5、P8、P9およびP26と称する)は、それぞれシクロホスファミド 細胞毒性に対して高度に感受性であった。さらに、シトクロムP450 2B1 発現性のMCF−7細胞をヌードマウス腫瘍モデルにおいて皮下でインビボ増殖 させたところ、P450発現細胞はシクロホスファミド処理の後に優先的に死滅 した。 図33は、4つのP450発現性MCF−7腫瘍(P3、P2、P9およびP 26と称する)で得られたインビボ腫瘍細胞死滅を、親MCF−7腫瘍のものと は区別できない穏やかなシクロホスファミド感受性のみを示した対照の腫瘍MC F−7Z3のインビボ腫瘍細胞死滅と比較したものである。検討 これら実験は、シトクロムP450 2B1遺伝子移動の治療学的利点が9L またはC6モデル系に限られるものではなく、非中枢神経系由来の他の腫瘍にお いても観察されることを確立するものである。さらに、この実施例における結果 は、シトクロムP450/CPA癌療法パラダイムを用いて観察される細胞毒性 効果が齧歯類の腫瘍で観察されるのみならずインビボで増殖したヒト腫瘍におい ても観察されるものであることを示している。最後に、これら実験はまた、シト クロムP450/CPA系が中枢神経系腫瘍のみならず末梢腫瘍または末梢転移 腫瘍に対しても癌遺伝子療法に使用できることを示している。 医学、分子生物学、免疫学、ハイブリドーマ法、薬学および/または関連分野 における当業者に明らかな本発明を行うに際しての上記態様の変更は下記請求の 範囲内に包含されることを意図するものである。 本明細書中に引用したすべての刊行物および特許出願は、本発明が関連する当 業者のレベルを示すものである。すべての刊行物および特許出願は、各個々の刊 行物または特許出願がそれぞれ詳細にかつ個別に参照のために引用されるのと同 じ程度に本明細書中に参照のために引用される。 上記発明を理解されやすくするために説明および実施例により若干詳細に記載 したが、添付の請求の範囲の範囲内である種の改変ないし変更を行うことができ ることが明らかであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),CA,JP (71)出願人 ダナ−ファーバー・キャンサー・インステ ィテュート アメリカ合衆国02115マサチューセッツ州 ボストン、ビニー・ストリート44番 (72)発明者 チオッカ,イー・アントニオ アメリカ合衆国02114マサチューセッツ州 ボストン、ホーソン・プレイス・5ジー 9番 (72)発明者 ワックスマン,デイビッド・ジェイ アメリカ合衆国02159マサチューセッツ州 ニュートン・センター、グラント・アベ ニュー160番 (72)発明者 ウェイ,ミン・エックス アメリカ合衆国02144マサチューセッツ州 サマービル、ローデン・アベニュー58番 (72)発明者 ブレイクフィールド,サンドラ・オー アメリカ合衆国02159マサチューセッツ州 ニュートン、ホーマー・ストリート127 番 (72)発明者 チェン,リン アメリカ合衆国02146マサチューセッツ州 ブルックリン、ネーザーランズ・ロード 8エヌ番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.中枢神経系腫瘍細胞を選択的に死滅させる方法であって、 (a)該腫瘍細胞をシトクロムP450遺伝子を含むウイルスベクターに感染さ せ、その際、その遺伝子産物の発現は該腫瘍細胞を該腫瘍細胞の細胞周期に依存 することなく化学療法剤に感受性にさせ、 (b)該腫瘍細胞を該化学療法剤と接触させ、ついで (c)該腫瘍細胞を選択的に死滅させる ことを特徴とする方法。 2.該シトクロム遺伝子が、P450 2B1、P450 2B6、P450 2A6、P450 2C6、P450 2C8、P450 2C9、P450 2C 11、またはP450 3A4である請求項1に記載の方法。 3.該シトクロム遺伝子が、P450 2B1である請求項2に記載の方法。 4.該化学療法剤がシクロホスファミドまたはイホスファミドである請求項1 に記載の方法。 5.該化学療法剤がシクロホスファミドまたはイホスファミドである請求項2 に記載の方法。 6.該化学療法剤がシクロホスファミドまたはイホスファミドである請求項3 に記載の方法。 7.該中枢神経系腫瘍細胞が、星状細胞腫、寡突起膠腫、髄膜腫、神経線維腫 、神経膠芽腫、上衣腫、神経鞘腫、および神経線維肉腫である請求項1に記載の 方法。 8.該中枢神経系腫瘍細胞が、星状細胞腫、寡突起膠腫、髄膜腫、神経線維腫 、神経膠芽腫、上衣腫、神経鞘腫、および神経線維肉腫である請求項5に記載の 方法。 9.該ウイルスベクターがレトロウイルスである請求項2に記載の方法。 10.該ウイルスベクターがレトロウイルスである請求項5に記載の方法。 11.悪性腫瘍の治療における化学療法剤の効能を増大させる方法であって、 (a)該悪性腫瘍をシトクロムP450遺伝子を含むウイルスベクターに感染さ せ、 (b)該腫瘍を、シトクロムP450遺伝子産物にさらされると細胞毒性の代謝 産物に活性化される化学療法剤と接触させ、ついで (c)該化学療法剤の治療学的有効性を改善にするに充分高いレベルの細胞毒性 代謝産物を該腫瘍自体の中に生成させる ことを特徴とする方法。 12.該シトクロム遺伝子が、P450 2B1、P450 2B6、P450 2A6、P450 2C6、P450 2C8、P450 2C9、P450 2 C11、またはP450 3A4である請求項11に記載の方法。 13.該シトクロム遺伝子が、P450 2B1である請求項12に記載の方 法。 14.該化学療法剤がシクロホスファミドまたはイホスファミドである請求項 11に記載の方法。 15.該化学療法剤がシクロホスファミドまたはイホスファミドである請求項 12に記載の方法。 16.該化学療法剤がシクロホスファミドまたはイホスファミドである請求項 13に記載の方法。 17.該悪性腫瘍が中枢神経系に位置する請求項11に記載の方法。 18.該悪性腫瘍が中枢神経系に位置する請求項16に記載の方法。 19.該ウイルスベクターがレトロウイルスである請求項11に記載の方法。 20.中枢神経系腫瘍細胞を選択的に死滅させる方法であって、 (a)該腫瘍細胞をシトクロムP450 2B1遺伝子を含むウイルスベクター に感染させ、その際、その遺伝子産物の発現は該腫瘍細胞を該腫瘍細胞の細胞周 期に依存することなくシクロホスファミドに感受性にさせ、 (b)該腫瘍細胞を該シクロホスファミドと接触させ、ついで (c)該腫瘍細胞を選択的に死滅させる ことを特徴とする方法。 21.悪性腫瘍の治療における化学療法剤の効能を増大させる方法であって、 (a)該悪性腫瘍をシトクロムP450 2B1遺伝子を含むウイルスベクター に感染させ、 (b)該腫瘍を、シトクロムP450 2B1遺伝子産物にさらされると細胞毒 性の代謝産物に活性化されるシクロホスファミドと接触させ、ついで (c)該シクロホスファミドの治療学的有効性を改善にするに充分高いレベルの 細胞毒性代謝産物を該腫瘍自体の中に生成させる ことを特徴とする方法。 22.末梢腫瘍細胞を選択的に死滅させる方法であって、 (a)該腫瘍細胞をシトクロムP450遺伝子を含むウイルスベクターに感染さ せ、その際、その遺伝子産物の発現は該腫瘍細胞を該腫瘍細胞の細胞周期に依存 することなく化学療法剤に感受性にさせ、 (b)該腫瘍細胞を該化学療法剤と接触させ、ついで (c)該腫瘍細胞を選択的に死滅させる ことを特徴とする方法。 23.該シトクロム遺伝子が、P450 2B1、P450 2B6、P450 2A6、P450 2C6、P450 2C8、P450 2C9、P450 2 C11、またはP450 3A4である請求項22に記載の方法。 24.該シトクロム遺伝子が、P450 2B1である請求項23に記載の方 法。 25.該化学療法剤がシクロホスファミドまたはイホスファミドである請求項 22に記載の方法。 26.該化学療法剤がシクロホスファミドまたはイホスファミドである請求項 23に記載の方法。 27.該化学療法剤がシクロホスファミドまたはイホスファミドである請求項 24に記載の方法。 28.該化学療法剤がシクロホスファミドである請求項27に記載の方法。 29.該ウイルスベクターがレトロウイルスである請求項23に記載の方法。 30.該ウイルスベクターがレトロウイルスである請求項26に記載の方法。 31.該末梢腫瘍細胞が乳腫瘍細胞である請求項22に記載の方法。 32.該末梢腫瘍細胞が乳腫瘍細胞である請求項23に記載の方法。 33.該末梢腫瘍細胞が乳腫瘍細胞である請求項24に記載の方法。 34.該末梢腫瘍細胞が乳腫瘍細胞である請求項25に記載の方法。 35.該末梢腫瘍細胞が乳腫瘍細胞である請求項26に記載の方法。 36.該末梢腫瘍細胞が乳腫瘍細胞である請求項27に記載の方法。 37.該末梢腫瘍細胞が乳腫瘍細胞である請求項28に記載の方法。
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