JPH10505238A - 中枢神経系の再生に関する栄養因子 - Google Patents
中枢神経系の再生に関する栄養因子Info
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- JPH10505238A JPH10505238A JP8508862A JP50886296A JPH10505238A JP H10505238 A JPH10505238 A JP H10505238A JP 8508862 A JP8508862 A JP 8508862A JP 50886296 A JP50886296 A JP 50886296A JP H10505238 A JPH10505238 A JP H10505238A
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Abstract
(57)【要約】
網膜の神経細胞を、明確に規定された無血清状態で維持する細胞培養条件が明らかになった。これらのニューロンからの軸索の再生を刺激する分子因子が特性付けされた。視神経の軸索を取り囲むグリア有鞘細胞は、神経再生の引き金となり、しかも神経再生を持続させる2種類の分子を放出する。1つの分子は軸索形成因子1(axogenesis factor1:AF−1)と呼ばれ、大きさが1000ダルトンの範囲にある低分子量ポリペプチド(質量分光分析法で約707ダルトンであることが判明した)である。2番目の分子のAF−2は大きさが約12,000ダルトンの大型のタンパク質である。本研究から、これらの因子はCNS再生に強く関与しており、それゆえ脊髄や他の神経組織の損傷を治療するのに有効であることが示される。
Description
【発明の詳細な説明】
中枢神経系の再生に関する栄養因子
本発明の背景
本発明は、一般的に、中枢神経系損傷の治療法、及び特に脊髄再生に関する栄
養因子の使用の分野に関する。
幼児期を過ぎて、中枢神経系(CNS)に損傷を受けると、たいてい不可逆的であ
る機能的障害が起こる。脳又は脊髄中に、病気、外傷又は他の原因によって損傷
が生じると、認識機能、知覚機能及び運動機能、さらには生命機能の維持に関す
る終生の障害が起こる。損傷部位の近くでは、限られた量の局所的なシナプスの
再編成が起こるが、損傷した神経細胞は取り替えられないし、予備の神経細胞は
厳密な接合を再生し得ない。現在、損傷した機能の治療は不可能である。
CNS が再生されないのには、幾つかの要因、例えば、軸索成長を抑制するグリ
ア細胞の表面上の阻害分子の存在、成長を促進するラミニンのような適当な基質
分子の欠損、並びに細胞の生存及び分化に要求される遺伝子発現のプログラムを
活性化するのに必要とされる適当な栄養因子の欠損、が挙げられる。
それとは対照的に、末梢神経系中では、損傷した神経繊維が遠距離にわたって
再生でき、結果として機能の優れた回復を伴う。この15年間で、神経科学者は、
これが末梢神経系と中枢神経系との神経細胞の本質的な相違によるものでないこ
とを認識するようになった。注目すべきことに、PNS(例えば、座骨神経)の移植
片を通して成長する機会が与えられると、CNS のニューロンは非常に遠距離にわ
たってその軸索を伸長させる。従って、CNS のニューロンは、細胞外の環境から
の適当なシグナルが与えられると、成長する能力を保持する。CNS 及びPNS の異
なる成長潜在能力に関与する因子としては、例えば、CNS 中の神経繊維を囲む稀
突起神経膠細胞の表面上に存在するが、PNS に匹敵する細胞群(シュワン細胞)
中ではあまり豊富に存在しない、部分的に特性付けされた成長阻害分子、PNS 中
では成長を促進するがCNS(例えば、ラミニン)中では欠損している、基底膜の分
子及び他の表面の分子、並びに細胞の生存及び分化の基礎となる遺伝子発現のプ
ログラムを活性化する可溶性ポリペプチドである栄養因子、がある。このような
栄養因子は、神経細胞の生存及び分化を維持するために必要不可欠であると考え
られているが、CNS 中の軸索の再生を誘発する原因となる特定の栄養因子は不確
定のままである。
ヒト及びその他の高等脊椎動物とは対照的に、下等脊椎動物は、損傷したCNS
経路を一生を通じて再生できる(Sperry,R.W.(1944),J.Neurophysiol.,7:57-69;S
perry,R.W.(1963),Proc.Nat.Acad.Sci.USA,50:703-710)。金魚においては、網膜
神経節細胞の95% は、視神経が損傷しても生存し(Meyerら,(1985),J.Comp.Neuro
l.,239:27-43)、視覚蓋及びその他の標的領域の細胞との、形態学的に組織化し
た機能的な接合を1から2カ月以内に再生する(Grafstein,(1986),再生する器官
である網膜,R.Adler及びB.D.Farber編,網膜: A Model for Cell Biology Stud
ies Part II,Academic Press,New York,275-335; Jacobson,(1991),Developm
ent Neurobiology,第3版(Plenum Publishing Co.,New York)参照)。このプロセ
スに付随する細胞変化及び分子変化は詳細に研究されている。網膜神経節細胞は
、広範な代謝変化及び形態変化(例えば、仁の劇的な増大、遊離リボソームの増
殖、及び細胞直径の増加)を受ける(Murray & Grafstein,(1969),Exp.Neurol.,
23:544-560; Murray & Forman,(1971),Brain Res.,32:287-298)。細胞骨格の一
定の構成要素(Burrellら.,(1978),J.Neurochem.,31:289-298; Heacock & Agrano
ff,(1982),Neurochem.Res.,7:771-788; Giulianら.,(1980),J.Biol.Chem.,255
:6494-6501; Quitschke & Schechter,(1983),Brain Res.,258:69-78;Glasgowら
.,(1994)EMBO J.,13:297-305; Glasgowら.(1992)Neuron,9:373-381)、細胞表面
接着分子(Vielmetter ら.,(1991)J.Neurosci,11:3581-3593; Bastmeyer ら.,(19
90)Development,108:299-311;Paschkeら.,(1992)J.Cell Biol.,117:863-875;Bla
ugrund ら.,1990; Battistiら.,(1992)J.Neurocytol.,21:557-73)、及び成長す
る神経末端膜中へ組み込まれる数種のタンパク質、特にGAP-43(Benowitz ら.,(1
981)J.Neurosci.,1:300-307: Heacock & Agranoff,(1982); Perrone-Bizzozero
ら.,(1987),J.Neurochem.,48:644-652; Perryら.,(1987),J.Neurosci.,7:792-
806; LaBate & Skene,(1989),Neuron,3:299-310; Wilmotら.,(1993),J. Neuros
ci.,13:387-401)をコードする遺伝子の発現が大量に増加する現象が観察
される。同様の変化のうちの幾つかは、他の種の視神経の発達及び再生と関連し
ている(Skene & Willard,(1981),J.Cell Biol.,89:86-95 J.Cell.Biol.,89:96-1
03; Moyaら.,(1988),J.Neurosci.,8:4445-4454; Dosterら.,(1991),Neuron,6:6
35-647)。
一般に、損傷後に軸索を再生するニューロンの能力は、周囲の非ニューロン性
要素によって強く影響を受ける(Aguayo ら.,(1991)Phil.Trans.Royal Soc.Londo
n,Series B,331:337-343)。金魚の網膜剥離後の経過において、視神経のグリア
有鞘細胞は、軸索伸長に高度に促進的な環境を提供すると考えられる(Bastmeyer
ら.,(1993)Glia,8:1-11;Bastmeyerら.,(1991)J.Neurosci,11:626-640)。部分的
に、これは、特定の細胞表面タンパク質及び細胞外マトリックスタンパク質、例
えば、L1様細胞接着分子(Blaugrundら.,(1990)Brain Res.,530:239-244; Bastme
yerら.,(1993); Bastmeyer ら.(1991); Vielmetter ら.,1991; Battistiら.,199
2)、ラミニン(Hopkinsら.,(1985)J.Neurosci.,5:3030-3038)、及びコンドロイチ
ンサルフェートプロテオグリカン(Battisti ら.,1992)の発現によるものである
と考えられる。同時に、金魚の視神経グリアは、哺乳動物CNS 稀突起神経膠細胞
よりも低レベルに成長阻害タンパク質を表面に発現すると考えられる(Caroni &
Schwab,(1988)J.Cell Biol.,106:1281-1288; Schwab & Caroni,(1988)J.Neurosc
i.,8:2381-2393; Bastmeyer ら.,1991; Sivronら.,(1994),魚類視神経ミエリン
の成長阻害物質の存在:損傷後の変化.J.Comp.Neurol.,343:237-246)。
細胞表面成分に加えて、金魚視神経細胞は、金魚の網膜外植片(Mizrachi ら.,
(1986)J.Neurochem.,46:1675-1682)、胎児哺乳動物ニューロン(Finkelsteinら.,
(1987)Brain Res.,413:267-274; Cadayら.,1989)、及び成熟ウサギ網膜(Schwart
z ら.,(1985)Science,228:600-603)由来の軸索の伸長を促進する可溶性因子を分
泌する。視神経のグリア及びマイクロファージによって分泌されるタンパク質に
は、例えば、アポリポタンパク質A(Harelら.,(1989)J.Neurochem.,52:1218-122
8)、プラスミノーゲン活性化物質(Salles ら.,(1990)EMBO J.,9:2471-2477)、イ
ンターロイキン-2(Eitanら.,1992)、トランスグルタミナーゼ(Eitan及びSchwart
z,(1993)Science,261:106-108)、及び血小板誘導成長因子(Eitanら.
,(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:5442-5446)がある。
これらの知見にもかかわらず、軸索が網膜神経節細胞から伸長を開始する原因
となる因子は、不確定のままである。この点に関する研究は、一般的に、in viv
o で行なわれるか、又は損傷という条件を設けることによってin vivo で既に再
生が誘発された動物に由来する網膜の外植片を用いて行なわれる(Landreth 及び
Agranoff(1976)Brain Res.,118:299-303; Landreth 及びAgranoff(1979)Brain R
es.,161:39-53; Turner ら.,(1981)Brain Res.,204:283-294; Turner ら.,(1982
)Dev.Brain Res.,4:59-66; Schwartz ら.,1985; Yip & Grafstein,(1982)Brain
Res.,238:329-339; Hopkinsら.,1985; Limaら.,(1989)Int.J.Devl.Neuros cienc
e,7:375-382)。in vivo で既に再生プロセスが開始されていなければ、種々の薬
品を用いても伸長を促進することができないという事実によって、再生を開始す
るために必要とされる因子は、外植片培養物中には存在しない源、例えば、視神
経グリア、循環系、又はその他の脳組織、に由来することが示唆される(Johnson
及びTurner,(1982)J.Neurosci.Res.,8:315-329)。栄養因子は、一般的には、Dev
elopmental Neurobiology,M.Jacobson(第3版、Plenum Publ.Co.,NY 1991,第
8章及び第11章);Molecular Neurobiology,Z.Hall編(Sinauer Publ.Co.,Sunde
rland,MA 1992,第11章及び第12章)に概説されている。
従って、本発明の目的は、哺乳動物において神経接合の再生を開始させる分子
シグナルを得るための方法を提供することである。
また、本発明の目的は、哺乳動物において神経組織の再生を開始させる因子を
提供することである。
さらに、本発明の目的は、脊髄又はその他の中枢神経系組織の損傷を治療する
方法を提供することである。
本発明の要旨
網膜の神経細胞を、明確に規定された無血清状態で維持する細胞培養条件が明
らかになった。軸索の再生を刺激する分子因子は、神経繊維を取り囲むグリア細
胞から放出される。金魚のニューロン及び、哺乳類の中枢神経系(CNS)由来のグ
リア細胞から単離したこれらの因子が特性付けされた。金魚の視神経の軸索を取
り囲むグリア有鞘細胞は、神経再生を引き起こして維持する二つの分子を放出す
る。その二つのうちの一つは軸索形成因子1(AF-1)と呼ばれ、1000ダルトンの範
囲の大きさを持つ低分子親水性ポリペプチドであって、質量分光分析法によって
707 ダルトンの質量を持つことが示されている。二番目の分子のAF-2はおよそ12
,000ダルトンの大きさを持つ、より大きなタンパク質である。AF-1の濃度は、視
神経ホモジェネート中よりもCM中の方がかなり高く、それが活発に分泌される
ことを示唆している。AF-2は細胞の内外において、同じような濃度を持つ。
これらの因子はCNS 再生に強く関わっており、従って、視神経、脳、脊髄及び
その他の神経組織の損傷を治療するのに有用であろうことが、研究により示され
ている。例えば、解離した細胞培養物中では、金魚の網膜神経節細胞は、視神経
の有鞘細胞からの二つの因子に応答して、それらの軸索を再生する。生体染料で
ある5,6-カルボキシフルオレセインジアセテート(5,6-CFDA)を使用した視覚的
観察によれば、これらの因子が存在しないときは、解離した網膜細胞は少なくと
も1週間は、無血清の規定培地中で生存能力を維持するが、殆ど伸長を示さない
。AF-1を加えることにより、培養物中の25%までの細胞は、6日間で長さにし
て75μm 以上に、突起を伸長させた。AF-2はAF-1程ではないが、高度に顕著な
効果を持っていた。神経突起が網膜神経節細胞それ自体から伸長していることを
確かめるために、視蓋に脂肪親和性染料である4-Di-10-ASP を加え、網膜を培養
する前に数日間、それを視神経に拡散させた。細胞の個体群の全てに渡って観察
されるよりも、遙かに多くの割合の染料含有細胞が軸索の伸長を示したが、これ
は、神経節細胞が前記因子の選択性標的であることを示唆している。AF-1又はAF
-2の効果は、高まった生存能力に二次的に起因するものではない、というのは、
6日後の培養物中に残っている、全ての細胞の生存も網膜神経節細胞の数も、前
記因子の存在の影響を受けないからである。AF-1及びAF-2の活性は、神経成長因
子、
BDNF、NT-3、CNTF、タウリン、レチン酸、酸性及び塩基性繊維芽細胞成長因子を
含む、広範な濃度範囲に渡って試験された、幾つかの既知因子には似ていない。
金魚の細胞由来のAF-1は、前記の割合の網膜神経節細胞及び哺乳類の脊髄のニュ
ーロンの培養物で試験すると、活性であった。新生児のラットの脳から単離され
たAF-1は、同様にアッセイしたとき金魚の細胞から単離されたAF-1と同じような
活性を示した。
図面の簡単な説明
図1aは神経突起の伸長の計測のヒストグラムである。軸索長分布は、神経細
胞を、0%、5%、10% 及び15% という図中に示された濃度のCMと共に培養した5
日後に測定した。長さにして1〜5細胞直径分突起を伸長している細胞の数(斜
線なし)。長さにして5細胞直径より大きな突起を伸長している細胞の数(斜線
)。数字はそれぞれのCM濃度の4つのウェルからの平均値を表す。誤差線は、
平均の標準誤差(SEM)を示す。
図1bは二つの別々の実験の用量反応曲線であり、CMの濃度の増加(0%,5%,1
0%,そして15%)に応答する神経突起の伸長(5細胞直径より大きな軸索を持つ細
胞の割合)を示す。データは、図1a中のヒストグラムのデータに基づいて選択
したカットオフ点である長さにして5細胞直径より大きな突起を有する細胞の百
分率を表す。どちらの実験においても、濃度10%のCM(即ち、全タンパク質
濃度が約10μg/ml)に応答して最大伸長が見られる。誤差が1%未満のときは
、誤差線は記さない。
図1cは二つの独立した実験における、CM濃度の関数としての細胞生存のグ
ラフである。(14の連続した顕微鏡視野中でカウントした、5,6-CFDAでラベルさ
れた細胞。4つのウェルの平均を取り、L-15対照値により規格化した。)
図2a,2bはCMのサイズフラクションに対する神経突起促進活性のグラフ
である。図2aは、あらかじめ無傷な視神経(0日)又は、3日若しくは7日前
に傷つけた視神経から得た、限外濾過(3,000 Da カットオフ)により高分子量と
低分子量のフラクションに分けたCMである。全ての場合において、低分子量(
斜線なし)と高分子量(斜線)両方のフラクションで、高いレベルの神経突起
促進活性が見られた。図2bでは、対照とCM及び、分子量1,000 Daで分離した
CMとを比較した。
図2cはサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(280 nmにおける光学濃度、
O.D.)によって分離したCMの高分子量フラクションのクロマトグラムである。
高分子量フラクションは70倍に濃縮し、1mlのフラクション(数字付きの線)
に分離した。矢印は分子量較正標準の保持時間を示す(BSA、ウシ血清アルブミ
ン ;Ova、卵白アルブミン ;Cyto C、シトクロム C)。
図2dは濃度25%(出発物質に基づいて計算した)においてアッセイしたカ
ラムフラクションに応答する神経突起伸長のグラフである。フラクションはまず
最初に二つ一組でバイオアッセイし、活性があれば個別に再試験し、活性がなけ
れば二つ一組で再試験した。12と13のフラクションだけが顕著な神経突起促
進活性を有していた。
図3は神経突起伸長のグラフであって、低分子量因子、AF-1は二相溶媒抽出系
を使って単離できることを示している。陰性対照は培養培地のみである。陽性対
照(第2レーン)は、グリア有鞘細胞から培養培地に分泌される分子の低分子量
フラクションである3,000 Da未満のCMであり、これは高レベルの軸索伸長を誘
発する。この物質をpH7.5 で有機溶媒イソブタノールと混合すると、水相(p
H7.5 の水相)にはほとんど活性は残らない。そして、その有機相をpHの低い
緩衝液(pH2の水相)と混合すると、生物学的に活性な分子が水相に移動し、
有機相(pH2の有機相)には何も残らない。
図4は神経突起伸長のグラフであって、低分子量の栄養因子AF-1を含む、部分
的に精製した抽出物を逆相HPLCによって分離すると、活性な成分が特定のカ
ラムフラクション(FC,FD,FE)に現れるということを示す。図3と同様
に、陰性対照(L-15)は組織培養培地のみである。陽性対照は、視神経グリアから
分泌される分子の、分画化されていない低分子量成分(3,000 Da未満の1CM、
10% 濃度)である。FA〜FIは高速液体クロマトグラフィー分離からのカラム
フラクションを示す。
図5a及び5cは、対照及び、神経基底(Neurobasal)培地(図5a)又は血清
を補充したダルベッコ最小必須培地(図5c)の中で培養した、15日齢ラット胎
児の脊髄由来の解離したニューロンをAF-1で処理したものに関する、10細胞直径
より大きな軸索を有する細胞の比率のグラフである。図5b及び5dは、対照及
び、神経基底培地(図5b)又は血清を補充したダルベッコ最小必須培地(図5
d)の中で培養した、15日齢ラット胎児の脊髄由来の解離したニューロンをAF-1
で処理したものに関する、カラム1顕微鏡視野幅×1ウェル半径中の、生存能力
のある細胞のグラフである。実験は見分けのつかない4通りのサンプルに対して
行った。線は平均±平均のの標準誤差(SEM)を示す。
図6aは、神経突起伸長を示すグラフであり、2%のMEM 又はGCM-D 中でAF-1
と共にインキュベートしたラットの網膜神経節細胞に関する、表示した長さ(細
胞直径単位)の軸索を有する細胞の比率を示す。図6bは、細胞の生存能力を示
すグラフであり、2%のMEM 又はGCM-D 中でAF-1と共にインキュベートしたラッ
トの網膜神経節細胞に関する、14の顕微鏡視野中の生存細胞を示す。実験は見分
けのつかない4通りのサンプルに対して行った。線は平均士平均のの標準誤差(S
EM)を示す。
図7は哺乳類のグリア細胞がAF-1様因子を分泌する事を示すグラフであり、金
魚網膜神経節細胞培養物から得た対照グリア培養物、及び、血清含有培地中でほ
ぼ密集するまで成長させた、新生児ラット脳の培養物由来の、部分的に分画化し
たグリアならし培地とともにインキュベートした培養物("MGCM")について、長さ
にして5細胞直径より大きな軸索を有する細胞の百分率として、神経突起伸長を
示す。MGCMを限外濾過によって高分子量及び低分子量成分に分離し、1,000 D 未
満の分子量を持つフラクション(MGCM<1kDa(20%))をアッセイした。疎水性の逆相
C-18カラムに結合しない、前記成分のサブフラクション(フラクション4,5 及び
6,7 )もアッセイした。陽性対照には、金魚由来のAF-1を含む高度に活性なサン
プルを用いた。発明の詳細な説明
I.神経再生を開始させる分子シグナルの発見
損傷した視神経を再成長させ得る下等脊椎動物の能力は、CNSの発生および
柔軟性の理解を目標とする多数の研究の主題になっている。網膜神経節細胞をそ
の軸索を再生するよう誘導する、内在性因子の特性化するため、血清を含まない
所定の培地で培養した、キンギョ網膜の解離モデルが開発されている。これらの
条件下で、網膜神経節細胞は、キンギョ視神経細胞を起源とする2種類の可溶性
因子に応答して、長い、軸索様突起を延伸する。その一方は、軸索形成因子1(
AF−1)と呼ばれ、1kDa のカットオフフィルターを通過する、小型で熱に安
定なプロテアーゼ感受性分子であり、質量分光測定によって、707ダルトンの
質量を有することが決定され、他方、すなわちAF−2は、12kDa と推定され
る大きさの、熱に不安定なタンパク質である。
これらの研究は、下記のとおり実施した。眼窩の奥の視神経を破砕して3日後
に、視神経および視路を取り出し、0.5〜1mmの小片に裁断し、HEPES緩
衝L15培地中で3〜4時間インキュベートした。この調整培地を濾過し、イオ
ン交換、HPLC逆相およびサイズ排除クロマトグラフィーに付して、培養物中
の解離した網膜ニューロンからの、軸索の伸長を誘導する因子を精製した。培養
物は、正常なキンギョから網膜を切り出し、パパインで45分間処理し、静かに
摩砕し、組織の大片を沈降させることによって得た。伸長は、培養して5日後に
細胞径の5倍またはそれ以上軸索を延伸した、大型の生存細胞の分画に基づき、
1条件につき3〜6ウエルで、盲検で採点し、生存率は、5(6)−カルボキシ
フルオレセインジアセテートを用いて評価した。
トリプシン感受性の、熱に安定な、Mr =10〜15kDa の塩基性タンパク質
によって、軸索の伸長の数倍の増大が誘導された。軸索促進活性の第二の明確な
ピークは、1000 kDa未満のMr を有する。これらの研究は、キンギョの視神経は
、軸先の伸長に明確に寄与し得る多様な栄養因子を分泌することを示す。
本明細書に記載したとおり、基線条件下では、細胞は、生体染料である5,6
−カルボキシフルオレセインジアセテート(5,6−CFDA)を用いて評価し
た限りで、少なくとも1週間生存し続けたが、僅かな伸長を示したにすぎなかっ
た。視神経の支持細胞が分泌する分子(AF−1および/またはAF−2)を含
有する調整培地(CM)の添加は、5〜6日後には、長さが細胞径の5倍または
それ以上の突起を延伸するよう、最高25%のニューロンを誘導した。ある場合
には、この成長は300μm を上回った。この伸長が網膜神経節細胞(RGC)
それ自体からであることを検証するため、網膜を切り出す5〜7日前に、親油性
染料の4−ジ−10ASPを視蓋に塗布した。培養6日後に、4−ジ−10AS
Pで逆行的に標識された細胞は、集団全体より2倍もの軸索の伸長を示し、CM
がRGCに選択的に作用することを示した。全集団中の4−ジ−10ASP標識
細胞の百分率、および細胞全体の生存率のいずれも、CMの存在に影響されなか
ったことから、CMの効果は、生存率の上昇に二次的ではないことが示された。
AF−1およびAF−2は、キンギョ視神経からのCM中で以前に同定された
分子のいずれにも符合しないと思われる。Mizrachiら(1986)は、中性のpHでD
EAEに結合し、ポリリシン基質に吸着される、視神経CM中の10kDa のタン
パク質を記載した。このタンパク質は、生体内でその軸索を再生させ始めた網膜
外植片で軸索の伸長を促進したが、始動されなかった網膜からの伸長は、誘導し
なかった。AF−2は、始動されなかった網膜神経節細胞からの伸長を誘導する
ばかりでなく、pH8.4でさえDEAEに結合せず、基質にも吸着されない。や
はりここに記載されたものとは異なるCMのその他の成分は、ヘパリン硫酸プロ
テオグリカンに結合し、脂質輸送に寄与すると思われる、28kDa のタンパク質
であるアポリポタンパク質A[Harel ら(1989)];細胞外基質のタンパク質分
解に関与し、それによって軸索の成長を増進させると思われる、60〜65kDa
のプラスミノーゲン活性化因子[Sallesら(1990)];インターロイキン2に似
た28kDa のタンパク質[IL−2;Eitan ら(1992)];IL−2の二量化に
寄与し、それを希突起神経膠細胞に有毒にさせると思われるトランスグルタミナ
ーゼ[Eitan およびSchwartz(1993)];血小板由来成長因子[Eitan ら(1992
)];ポリリシン基質に結合し、長い、分岐しない軸索を延伸するよう、哺乳類
の胚ニューロンを誘導する26kDa の酸性タンパク質[Caday ら(1989)、Mol
.BrainRes.、5:45〜50];およびラミニン、すなわち細胞外基質の主要成分
である106kDa の糖タンパク質[Hopkins ら(1985);Battistiら(1992
);Reichardt およびTomaselli(1991)、Ann.Rev.Neurosci.、14:531 〜7
0]を包含し;Giulian ら(1986a)[J.Cell Biol.、102 :803〜811];Giul
ian およびYoung(1986b)[J.Cell Biol.、102 :812 〜820]は、視神経の
損傷後に視蓋によって分泌され、神経の特定の大神経膠細胞集団の増殖に寄与す
る、3、6、9および125kDa のポリペプチドを記載している。最後に、脈絡
膜叢[Thormodsson ら(1992)、Exp.Neurol.、118 :275 〜283]および上衣
下層[Shashoua(1985)、Cell.Mol.Neurobiol.、5:183 〜207]の細胞が
分泌する、37kDa またはそれ以上の分子量を有する一群の糖タンパク質(エペ
ンジミンまたはX−GP類)が、始動された外植片での軸索の伸長を促進するこ
とが示されている[Schmidt ら(1991)]。本明細書に記載の系では、これらの
特性に見合う分子が活性であると判明しなかったという事実は、(a)RGCに
対するそれらの効果は、あまりにも希薄なためにそのアッセイでは検出されない
こと、(b)それらは、初めに生体内で始動されていたRGCでのみ作用するに
すぎない可能性があること、または(c)それらの第一義的な効果は、RGCに
二次的に作用するもう一つの細胞型に対するものであることのいずれかを示唆す
る。
II.栄養因子の特性解析
サイズ分離の研究は、CMが2種類の活性成分を含有することを明らかにした
。第一の分子は、軸索形成因子1(AF−1)と呼ばれ、1kDa のカットオフフ
ィルターを通過する。耐熱性であるが、プロテイナーゼKによる消化に感受性で
ある。第二の分子、すなわちAF−2は、12kDa の大きさを有し、熱に不安定
であり、トリプシン感受性である。AF−1は、視神経ホモジネートよりCM中
で著しく濃縮されるので、能動的に分泌されることを示唆するが、AF−2は、
細胞内と細胞外とで類似の濃度を有する。
両因子は、再生応答が、開始病変によって生体内で始動されたか否かとは無関
係に、RGCからの活発な軸索伸長を誘導する。その上、条件設定病変によって
増殖するよう始動された神経節細胞は、両因子の不在下では、基本的に伸長を全
く示さない。したがって、ここに用いられた実験条件下では、AF−1および/
またはAF−2は、軸索の再生を誘導かつ維持するのに必要である。
キンギョの視神経は、希突起神経膠細胞、星状神経膠細胞、マクロファージ、
小神経膠細胞および上皮細胞など、いくつかの細胞型よりなる[Battistiら(19
92)]。栄養因子は、これらのいずれからも分泌され得るか、これに代えて、培
養中の神経の破砕または切断によって損傷された細胞の細胞質からのみ放出され
得るにすぎないかであると思われる。この問題に取り組むため、調整培地(CM
)中と、視神経ホモジネートから調製した細胞質ゾル分画中との両因子の濃度を
比較した。AF−1は、視神経細胞質ゾルよりCM中で有意に高い濃度で存在す
ることが判明し、能動的に分泌されることを示唆した。一方、AF−2は、細胞
内と細胞外とで類似の濃度で存在した。CM中のタンパク質の大部分が細胞溶解
の結果であるならば、細胞内と細胞外とで等濃度で存在するタンパク質は、生理
的には、神経損傷後に依然として細胞外に出現し得るものの、通常は、細胞内に
のみ存在し得ると思われる。しかし、細胞外に存在するタンパク質の大部分が、
能動的な分泌機序に由来するならば、AF−2は、通常は、生理的に分泌され得
ると思われる。C.Stormier 博士(ドイツ国Constants 大学)と共同して実施し
た研究は、解離させたキンギョ視神経膠細胞から分泌された因子を含有する培地
は、認識し得るレベルの3000ダルトン未満の栄養因子、およびより低いレベルの
3000ダルトンより大きいそれを含有することを示した。これらの知見は、AF−
1およびAF−2の発生源であるのは、視神経の神経膠細胞であって、損傷した
軸索または血液ではないことを示した。後者の発生源は、他の様々な組織によっ
て条件設定された培地での軸索促進活性の不在によっても、可能性がないと考え
られた。
AF−1およびAF−2の特性解析
初めに、物質を分子量フィルター、または特定分子量のふるいを通過させた後
に、栄養活性の存在を決定することによって、AF−1およびAF−2を特性記
述した。いくつかの方法を用いて、活性因子の大きさを決定した。初めに、10
、100および1000 kDaの分子量分離限界を有するフィルターを用いて、遠心限
外濾過によってCMを分離した。濾液および滞留物をバイオアッセイで試験した
。
次いで、CMを6000ダルトンの脱塩カラムを通過させ、分画を、280nmでの吸
光度(タンパク質について)、および導電率の測定(塩類を含有する低分子量分
画について)によって監視した。高分子量および低分子量の成分を含有する分画
を、バイオアッセイによって評価し、双方とも活性であることが判明した。6000
ダルトンより大きい分画を貯留し、3000ダルトンの分離限界を有するフィルター
を用いて、10〜100倍に濃縮し、次いで、高性能液体クロマトグラフィー(
HPLC)によって分離した。6000ダルトン未満の低分子量物質を、1000ダルト
ンの分子量分離限界を有するフィルターを通過させることによって、更に特性解
析を行った。
次いで、例えばジエチルアミノエチルセルロースカラムでの、栄養因子の陰イ
オン交換クロマトグラフィーを実施した。初めに、カラムを25mMのHEPES
で洗浄し、次いで、25mMのHEPESへの0.1、0.2、0.5および1.
0モルNaClで段階的に溶出させた。
本明細書に記載したとおりの、分子量と陰イオン交換クロマトグラフィーとに
基づくAF−1およびAF−2の精製は、アミノ酸配列を得るのに充分であって
、それを用いて、栄養因子をコードしているクローンについて遺伝子ライブラリ
ーをふるい分けるための、オリゴヌクレオチドプローブを生成する。
例えば、精製されたAF−1の試料を、質量分光測定によって、最低料金でア
ミノ酸組成、および厳密な分子量を決定するために、ハーバード大学微量化学施
設に提出した。この施設は、最低料金でポリペプチドを微量配列決定することが
できる。精製された分画は遊離アミノ酸を含有することから、それらを分析以前
に除去するのが好ましい。子供病院(Children's Hospital )は、ペプチド配列
をコードしている何通りものオリゴヌクレオチドを、遺伝暗号の縮重を許しつつ
生成できる施設を有する。これらのオリゴヌクレオチドは、放射能標識し、AF
−の起源となるポリペプチドをコードしている遺伝子を単離するためのcDNA
ライブラリーをふるい分けるのに用いることになる。次いで、AF−1について
の正しいアミノ酸配列をコードしているか否かを決定するために、これを配列決
定することになる。
配列決定さえしたならば、細胞培養体での組換え配列の発現、天然に産する栄
養因子の単離、またはAF−1の場合に好ましくは、合成という手段によって、
タンパク質を製造することができる。これらの方法は、当業者には公知である。
一例は、米国特許第4,792,525 号明細書に用いられ、米国特許第4,244,946 号明
細書に記載された、保護されたαアミノ酸を適切な樹脂とカップリングさせて、
ペプチドのC末端から出発してペプチドの合成を始動する、J.Merrifield、J.
Am.Chem.Soc.、85:2149(1964)によって記載された固相合成である。別の
合成方法は、米国特許第4,305,872 号および第4,316,891 号明細書に記載されて
いる。これらの方法は、本明細書に記載の栄養因子と同一の配列、またはアミノ
酸の置換もしくは付加を有する、上記および以下の実施例に記載のとおり、活性
についてふるい分けできるペプチドを合成するのに用いることができる。
III.診断、スクリーニングおよび単離における栄養因子の用途
他の栄養因子の進化論的保存および単離
過去10年前後にわたる研究は、神経系の発生および機能発揮に潜在する分子
的要素は、生理学的に古く、脊椎動物の進化を通じて終始高度に保存されたこと
を明確に示している。遺伝子発現のプログラムを制御する転写因子、公知の栄養
因子、細胞認識分子、伝達物質およびそれらの受容体のような分子は、過去数億
年にわたって顕著に不変のままであり、そのため、AF−1およびAF−2の相
同な等価体が、ヒトなどの高等脊椎動物の神経系に存在し、本明細書に初めて記
載された魚類やラットの栄養因子の類似の構造および配列に基づいて同定できる
ことが予測され得る。その上、これらの分子は視覚系で研究されたものの、網膜
および視神経は、個体発生上は、中脳の延長として発生し、基本的には、中枢神
経系のその他の部分と同一である。したがって、AF−1およびAF−2は、哺
乳類の網膜神経節細胞に加えて、ニューロンのその他の集団、特に脊髄および大
脳皮質にも作用することが期待される。このことは、以下の例によって立証され
る。大脳皮質でのニューロンに対する損傷は、卒中の際の主要な要因であるが、
損傷した軸索を脊髄ニューロンが再生できないことは、事故に起因する多くの類
型の麻痺における主な要因である。
この因子の広範囲の特異性の確認を、例えば、G.Banker およびK.Goslin 編
、
Culturing Nerve Cells(MIT Press,1991)に記載されたとおり、ラット脊髄か
らの解離したニューロンの一次培養系を用いて、確定した。この系は、AF−1
またはAF−2が培養体中の細胞型のすべてからの軸索の伸長に影響を及ぼすか
否かを、基本的には、網膜神経節細胞を用いる以下の実施例に用いた方策に平行
して、研究を行うためにも用いることができる。
これらの結果の確認は、AF−1およびAF−2の効果を調べる生体内モデル
、例えば哺乳類の脊髄損傷モデルを用いて得ることができる。脊髄を脊柱ごと横
に切断し、その後に、AF−1またはAF−2を、ミニポンプの使用、またはよ
り詳しくは以下に記載のとおり、それらを徐放性カプセルに埋め込むことのいず
れかによって、送達した。
本明細書に用いられる限りで、別途特定して記述されない限り、用語「AF−
1」および「AF−2」は、本明細書に記載のとおり精製されたそれぞれのタン
パク質およびその変性した変種、ならびに他の生物種、特にヒトその他の哺乳類
を起源とするその等価物はもとより、上記に特性記述した神経栄養因子の機能的
活性を著しく変化させない、アミノ酸の付加、欠失および置換を有する機能的に
等価の変種を意味する。
診断およびスクリーニングへの適用
本明細書に記載の栄養因子の構造および機能はもとより、これらのタンパク質
をコードしているcDNA、およびそれらと免疫反応する抗体の理解は、多様な
用途を有する。特に、該タンパク質とそれらのDNAとは、下記のような患者の
治療ばかりでなく、栄養因子の活性および/または発現を調整する薬物のスクリ
ーニング、ならびに機能的な栄養因子の存在についての患者試料のスクリーニン
グ;ヒトの等価物など、その他の栄養因子についてライブラリーをふるい分ける
ためのプローブを構成するためのcDNA、ならびにこれらおよびその他の栄養
因子の発現を制御する調節配列の用途にも用いることができる。
例えば、707ダルトン(AF−1)および12000 ダルトン(AF−2)の栄
養因子をコードするとして本明細書で同定したヌクレオチド配列は、関連する栄
養因子の存在についてライブラリーをふるい分けるためのプローブとして役立つ
。
ライブラリーは、望みの種の細胞または組織、例えばヒトの脳から構成し、次い
で、これらを、AF−1またはAF−2のいずれかをコードしているヌクレオチ
ド配列の全部もしくは一部でふるい分ける。問題とされる特定の領域は、ヌクレ
オチド配列の、異なる栄養因子間;異なる種からの同じ栄養因子間;および該栄
養因子の別個の領域内で保存されているタンパク質の領域をコードしている部分
である。これらの領域は、当業者には定型的に利用できる方法を用いた、構造的
解析によって同定される。これらの方法は、電気泳動による分析、ならびに予測
されたアミノ酸配列に基づく構造の、電子顕微鏡およびコンピューターに支援さ
れる分析を包含する。
アミノ酸配列、および該アミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列は、
ゲノムに存在する、神経栄養因子が細胞内で発現される程度を制御する調節配列
の単離と特性解析、および栄養因子の発現を変化させる薬物のスクリーニングに
も用いることができる。
栄養因子の発現についての患者試料のスクリーニング
本明細書に開示されたタンパク質をコードしている配列は、血液や組織などの
患者試料のハイブリダイゼーションアッセイを用いる、栄養因子の存在について
の患者試料のスクリーニングに役立つ。スクリーニングは、代表的には蛍光、放
射性標識か、または酵素による、標識で標識した抗体を用いるか、あるいは標的
細胞の単離、および結合活性のスクリーニングによって、当業者には公知の方法
を用いて実施できる。代表的には、定性的または定量的のいずれかの基盤での発
現について、および機能的な栄養因子の発現についてふるい分けることになると
思われる。
ハイブリダイゼーションプローブ
ヌクレオチド配列に対するオリゴヌクレオチドのプローブまたはプライマーの
ハイブリダイゼーションのための反応条件は、オリゴヌクレオチドごとに異なり
、オリゴヌクレオチドの長さ、GおよびCヌクレオチドの数、ならびにハイブリ
ダイゼーション反応に用いられる緩衝液の組成に依存する。適度にストリンジェ
ン
トなハイブリダイゼーション条件は、一般に、完全に塩基対合した二本鎖DNA
の融解温度より約25℃低い条件として、当業者に理解されている。より高い特
異性は、一般的には、より高い温度を有するインキュベーション条件、換言すれ
ば、よりストリンジェントな条件を用いることによって、達成される。一般に、
配列が長いか、またはGおよびC含量が高ければそれだけ、必要な温度および/
または塩濃度も高い。Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、
第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1990)(
本明細書中に参考として包含される)という周知の研究室手引書の第11章は、
必要とされる要因、および特異性を有するハイブリダイゼーションを保証するの
に必要なストリンジェンシーの水準の説明など、オリゴヌクレオチドのプローブ
やプライマーのためのハイブリダイゼーション条件を非常に詳細に記載している
。
ハイブリダイゼーションプローブの好適な大きさは、長さが10〜10000 ヌク
レオチドである。10ヌクレオチド未満では、ハイブリダイズさせる系が安定で
はなく、20℃を越えると変性し始めることになる。10000 ヌクレオチドより大
では、ハイブリダイゼーション(復元)が、はるかに遅く、かつ不完全な過程に
なることが判明し、それは、Molecular Genetics、G.S.StentおよびR.Calende
r、213 〜219 ページ(1971)に記載されたとおりである。理想的には、プロー
ブは20〜10000 ヌクレオチドでなければならない。より小さいヌクレオチド配
列(20〜100)は、自動化された有機合成手法による生産に役立つ。100
〜10000 ヌクレオチドの配列は、適切な制限エンドヌクレアーゼ処理から得るこ
とができる。より小さいプローブを比較的大型の化学発光部分で標識することは
、場合によっては、ハイブリダイゼーション過程に干渉する可能性がある。
AF−1またはAF−2に対する抗体の生産
マウスのような動物は、免疫応答を生じるのに有効な、ある量の免疫原の投与
によって免疫し得る。該タンパク質が、代表的には高度の進化論的保存を示すこ
とから、進化論的に最も保存された領域に対して免疫反応性である抗体を探して
、抗体を試験または使用しようとする種とは異なる起源の種のタンパク質に対す
る抗体を生成することが、好都合であり得る。
必要とされる方法は、当業者には公知である。例えば、マウスの背中に100
μg の抗原を皮下注射し、次いで、3週後に、100μg のコカインである免疫
原をアジュバント、最も好ましくはフロインドの完全アジュバントとともに腹腔
内注射する。マウスの血中に適正な抗体価が達成されるまでは、アジュバント、
好ましくはフロインドの不完全アジュバントとともに追加の腹腔内注射が、2週
間ごとに必要とされ得る。マウスを融合およびハイブリドーマ形成に用いるには
、少なくとも1:5000の抗体価が好ましく、1:100000またはそれ以上の抗体価
が最も好ましい。
タンパク質が、良好な免疫原でない場合は、当業者に公知の方法によって、免
疫応答を誘発するための哺乳類への注射に適した担体と接合することができる。
好適な担体は、アルブミン、ジフテリア類毒素および破傷風類毒素を包含するが
、他の適切な担体も当業者は容易に決定し得る。
ヒトリンパ球の生体外免疫化の手法は、非常に様々なヒトのモノクローナル抗
体を生成するために頻用される。例えば、本明細書中に参考として包含される、
T.Inai ら(1993年5月)、Histochemistry(ドイツ国)、99(5):335 〜36
2 ;A.Mulder ら(1993年3月)、Hum.Immunol.、36(3):186 〜192 ;H
.Haradaら(1993年4月)、J.Oral Pathol.Med.(デンマーク国)、22(4
):145 〜152 ;N.Stauberら(1993年5月26日)、J.Immunol.Methods(オ
ランダ国)、161(2):157 〜168 ;およびS.Venkateswaranら(1992年12月
)、Hybridoma、11(6):729 〜739を参照されたい。
AF−1またはAF−2のいずれかと免疫反応性であるMAbを得るには、モ
ノクローナル抗体の技術を用いることができ、これらは、栄養因子の精製に役立
ち得る。モノクローナル抗体を製造する方法は、当業者にとって今や定型的であ
る。例えば、本明細書中に参考として包含される、G.Galfre およびC.Milstei
n(1981)、Methods Enzymol.、73:3 〜46を参照されたい。略述すると、特定
の栄養因子で免疫したマウスからの脾臓細胞を用いて、ハイブリドーマを形成す
る。免疫した各マウスの脾臓細胞を、例えばG.Galfre およびC.Milstein(198
1)、Methods Enzymol.、73:3 〜46のポリエチレングリコール融合法を用いて
、マウス骨髄腫のSp2/0細胞と融合させる。ハイブリドーマの成長、HAT
培
地での淘汰、抗原に対するクローンのクローニングおよびスクリーニングは、標
準的方法[G.Galfre およびC.Milstein(1981)、Methods Enzymol.、73:3
〜46]を用いて実施する。
HATで淘汰したクローンは、G.Galfre およびC.Milstein(1981)、Metho
ds Enzymol.、73:3 〜46に記載されたとおり、マウスに注射して腹水中に大量
のMAbを生産し、プロテインAのカラムクロマトグラフィー(BioRad、米国カ
リフォルニア州Hercules)を用いて、精製することができる。MAbは、それら
の(a)特定のタンパク質に対する特異性、(b)高い結合親和性、(c)イソ
タイプ、および(d)安定性に基づいて淘汰する。MAbは、ウエスタンブロッ
ト法[E.Korenら(1986)、Biochim.Biophys.Acta、876 :91〜100 ]および
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)[E.Korenら(1986)、Biochim.Bio
phys.Acta、876 :91〜100]などの様々な標準的手法のいずれを用いても、特
異性についてふるい分けまたは試験できる。
組換え栄養因子の発現
本明細書に記載したとおり、栄養因子は、天然に産するタンパク質の単離によ
って得ることができる。しかし、適当な組換え宿主系、例えば哺乳類、酵母、細
菌または昆虫の細胞での発現によって、タンパク質、特に、より大きいタンパク
質であるAF−2を発現させるのが好ましい。単離は、組換えタンパク質に対す
る抗体を製造し、次いで、上記のとおり、追加の栄養因子の精製に用いるための
基質に固定化することによって、促進することができる。適切なベクターおよび
発現系が、例えばInvitrogenおよびStratageneから、商業的に入手できる。
場合によっては、エンハンサー、または調節配列もしくはタンパク質コード化
配列の多重コピーを発現系に挿入して、発現の操作、およびタンパク質の発現の
方法ならびに試薬のスクリーニングを促進するのが好都合であり得る。
栄養因子の機能または発現の程度を変更または変化させる薬物のスクリーニング
栄養因子は、これらの因子の発現を開始するか、停止するか、または別途に調
節する化合物に対する標的として役立つ。上記のアッセイは、明らかに、化合物
を神経栄養活性について試験できる、定型的な方法論的体系を提供する。そうし
て、動物試験によって、神経栄養活性を有すると思われる化合物の生体外での研
究が確認される。該分子は、進化論的に保存されているものと期待されることか
ら、ラットのような実験動物で研究を実施して、ヒトにおける効果を予測するこ
とができる。最初のデータは、AF−1が、ラットのニューロン(網膜神経節細
胞)からの軸索の伸長を促進することを確認する。
あるいはまた、該アッセイは、栄養因子をコードしている遺伝子配列、好まし
くは、栄養因子の発現を支配する調節配列との相互作用に基づくことができる。
例えば、充分に分化した成熟細胞での栄養因子の発現を妨げる、調節配列に結合
するアンチセンスオリゴヌクレオチドが、標準的なオリゴヌクレオチド合成化学
を用いて合成できる。アンチセンスは、標準的な方法論的体系(リポソームまた
は微小球への封入;分解に耐性である修飾されたヌクレオチド、またはエンドヌ
クレアーゼに対する耐性を増大させる基、例えばチオリン酸塩およびメチル化の
導入)を用いて、製剤の用途に向けて安定化し、そうして、栄養因子活性の変化
について、初めに、栄養因子を発現する、核酸移入されたか、または天然に産す
る細胞で、次いで実験動物での生体内でふるい分けることができる。代表的には
、アンチセンスは、合成を「停止する」配列を遮断することによって、発現を開
始するものと思われる。
生体内での遺伝子発現を調節するには、栄養因子遺伝子の5’調節配列を含む
核酸分子を用いることができる。特定の組換え5’フランキング領域−遺伝子構
成体を細胞で、熟練した実践者の選好および判断に応じて発現するには、プラス
ミドおよび真核ウイルスベクターなどのベクターを用い得る(例えば、Sambrook
ら、第16章を参照されたい)。更に、本明細書中に参考として包含される、Mu
lligan(1993)、Science 、260 :926 〜932 ;米国特許第4,980,286 号明細書
;米国特許第4,868,116 号明細書に記載のとおり、生体内での核酸配列の導入を
可能にする多数のウイルスおよび非ウイルス性ベクターが開発されつつある。哺
乳類に静脈内またはCNS液に注入できる、陽イオン性リポソームに核酸を封入
する送達系が開発されている。この系は、本明細書中に参考として包含されるZh
u ら(1993)、Science 、261 :209 〜211 に記載のとおり、成体マウスの、内
皮および骨髄などの多数の組織の細胞にDNAを導入するのに用いられている。
オリゴヌクレオチドは、自動化された合成装置(例えばMilligen-Biosearch、米
国マサチューセッツ州Burlingtonのモデル8700自動化合成装置またはABI
モデル380B)で合成することができる。加えて、アンチセンスデオキシオリ
ゴヌクレオチドは、遺伝子転写およびウイルス複製を阻害するのに効果的である
ことが、Zamecnikら(1978)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、75:280 〜284 ;
Zamecnikら(1986)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、83:4143〜4146;Wickstro
m ら(1988)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:1028〜1032;Crooke(1993)
、FASEB J.、7:533 〜539 によって示されている。最近の研究は、本明細書中
に参考として包含される、Offenspergerら(1993)、EMBO J.、12:1257〜1262
(アンチセンスチオリン酸オリゴデオキシヌクレオチドによる、アヒル肝炎Bウ
イルス複製および遺伝子発現の生体内での阻害);Rosenberg ら、国際公開特許
第93/01286号公報(チオ硫酸オリゴヌクレオチドの合成);Agrawal ら(1988)
、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:7079〜7083(ヒト免疫不全ウイルス−1の
複製を阻害するためのアンチセンスアミドリン酸およびチオリン酸オリゴヌクレ
オチドの合成);Sarin ら(1989)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:7448〜
7794(アンチセンスメチルホスホン酸オリゴヌクレオチドの合成);Shawら(19
91)、Nucleic Acids Res.、19:747 〜750(3’末端アミドリン酸修飾を有す
るエキソヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチドの合成)によって報告されたとお
り、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、修飾されたヌクレオチドを含むならば
、改良された結果を得ることができることを示している。標的配列の特異性を確
保するには、オリゴヌクレオチドは、一般的には、長さが14ヌクレオチドより
大でなければならない[Maher ら(1989);Grigoriev ら(1992)]。多くの細
胞は、長さが50ヌクレオチド未満であるオリゴヌクレオチドを貧欲に取り込む
[Orson ら(1991);Holtら(1988)、Mol.Cell.Biol.、8:963 〜973 ;Wi
ckstrom ら(1988)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:1028〜1032]。例えば
3’エキソヌクレアーゼによる、細胞内分解に対する感受性を低下させるには、
オリゴヌクレオチドの3’末端ヒドロキシル基に遊離アミンを、配列結合特異性
を失うことなく導入できる[Orson ら(1991)]。更に、やはり配列結合特異性
を失うことなしに、オリゴヌクレオチド中に存在し得るいかなるシトシンもメチ
ル化するならば、また挿入剤、例えばアクリジン誘導体を5’リン酸に(ペンタ
メチレン架橋を介して)共有結合させるならば、より安定な三重らせんが形成さ
れる[Maher ら(1989);Grigoriev ら(1992)]。
オリゴヌクレオチドを生成または合成する方法は、当技術に周知である。その
ような方法は、例えばSambrookら、第5、6章に記載されたとおりの、標準的な
酵素消化後のヌクレオチドフラグメントの単離から、例えば、MilligenまたはBe
ckman システム1プラスDNA合成装置を用いるアミドリン酸シアノエチル法に
よる、純粋に合成的な方法までにわたることができる[Ikuta ら(1984)、Ann
.Rev.Biochem.、53:323 〜356(ホスホトリエステルおよび亜リン酸トリエス
テル法);Narangら(1980)、Methods Enzymol.、65:610 〜620(ホスホトリ
エステル法)も参照されたい]。
IV.神経系の損傷および障害の治療
栄養因子は、神経組織の再成長および/または再生を刺激するために使用する
ことができる。近年の研究により、栄養因子とCNS稀突起膠細胞の表面上にあ
る成長阻害タンパク質をブロックする抗体との組み合わせが、成体の哺乳類にお
いて増強された神経突起の伸長を促進することが示された(Schnell ら、(1994
)Nature,367:170-173 )。したがって、ラザロイド(LaZaroid)などの遊離ラジ
カルの生成を防止する薬剤、21−アミノステロイド、またはフェニルブチルニト
ロンおよびその誘導体などの遊離ラジカル捕捉剤、並びに逆成長阻害分子ととも
に使用される、AF−1およびAF−2、またはそれらのヒト相同体は、臨床に
おいて重要なはずである。
神経系の損傷および障害
神経細胞、またはニューロンは、典型的には、核と多くのオルガネラを含む細
胞体;刺激を受けるプロセスである樹状突起;神経刺激を発生させ、または筋肉
、腺または他のニューロンなどの他の細胞に送るプロセスである軸索からなる。
神経繊維は、特別な細胞の鞘で包まれた軸索である。神経繊維の群は脳、脊髄、
および末梢神経を形成する。成熟した神経組織中の多くの軸索の有鞘細胞は、末
梢神経におけるシュワン細胞であり、中枢神経繊維における稀突起膠細胞である
。直径の小さい軸索は通常、鞘を持たず、無髄神経繊維と呼ばれる。細胞の鞘に
包まれた太い軸索は、有髄神経繊維と呼ばれる。末梢神経系において、神経繊維
が束ねられ、神経を形成する。ほとんどの末梢神経は有髄神経繊維を包んでいる
。
中枢神経系(脳及び脊髄)における神経プロセスは、細胞体が生きている限り
、細胞体の合成活性を介して狭い範囲内で再生することができる。しかし、重要
な問題は、このプロセスは通常、大グリア瘢痕組織によるブロックを避けるのに
十分な速さでは再生できないことである。かくして、再生は、再生が起こり得る
前に物理的障壁によってブロックされるかもしれない。末梢神経系における各種
プロセスもまた、この細胞体が生きているかぎり、再生し得る。退行段階および
再生段階は記載されているものの、十分には理解されていない。末梢神経が切断
された場合には、切断部に近位の軸索部分は、切断部に遠位の軸索セグメントを
既
に包んでいるミエリン鞘の方向に成長する。その鞘にうまく適合した軸索のみが
再生してエフェクター細胞に到達するだろう。かくして、瘢痕組織形成の前にプ
ロセスの成長が起こると、さらに良好な再生が生じる。
軸索の退行または軸索の欠失(loss)は、中毒性疾患、遺伝性疾患、外傷性疾
患、虚血性疾患において、最も普通に起こる。これは脱髄性疾患と関連して生じ
る可能性があり、またこれらは遺伝性または自己免疫性炎症性疾患であるかもし
れない。軸索の欠損を生じながら退行と脱髄とが混在する病像は、例えば、糖尿
病で生じる。
外傷による神経プロセス、特に軸索に対する損傷は、脳、脳神経、脊髄、およ
び末梢神経を含む、中枢神経系および末梢神経系で生じ得る。外傷に起因する損
傷の型には、直接的な切断、腫れおよび圧迫、挫傷など、影響を受けた軸索の全
部分の欠損が生じ得る全ての損傷が含まれる。外傷はまた、微生物および空気の
進入路を形成し、神経への血液の供給を断ち切る。神経の軸索の破壊によって機
能が損なわれるエフェクター細胞には、骨格筋、血管およびリンパ管の平滑筋、
主要器官系の平滑筋が含まれ、呼吸器、泌尿器、および消化器;内分泌腺および
外分泌腺細胞;並びに他の神経細胞をも含む。かくして、生体内における実質的
にいかなる系の生理学的機能も、軸索の欠失に伴う神経の供給への損傷によって
変化し得る。
外傷性の損傷の例は、骨格筋に至る運動神経の切断である。切断部に遠位の軸
索は、数日経過後に退行する。神経系との接続を断たれた筋肉繊維は、他の神経
支配が存在するか否かによって、束収縮、その後の根深い神経除去無栄養症を起
こす。このような筋肉は、その神経支配の再生が生じない限り、無機能となる。
脱鞘性の疾患はまた、軸索の欠失と関連している。このような疾患は、自己免
疫および/またはウイルス感染および遺伝的に決定される欠陥に起因するかもし
れず、そして、多発性硬化症、急性播種性脳脊髄炎、および急性壊死性出血性脳
脊髄炎(acute necrotizing hemorrhagic encepharomelitis)などが含まれる。
脱鞘および軸索の欠失はまた、一酸化炭素などの毒素によって起こり得る。
軸索はまた、神経系の退化性疾患を介して、例えば、筋萎縮性側索硬化症およ
び進行性脊髄筋萎縮症(progressive spinal muscular atrophy);他の運動神
経障害;急性、慢性脱鞘、および、大量の砒素による中毒、ウイルス感染(ギヤ
ン−バレー(Guillain-Barre)症候群、ヘルペス、サイトメガロウイルス、エプ
スタイン−バー)、外科手術による外傷、リンパ腫、狼瘡、糖尿病、異常タンパ
ク質血症、および寒冷傷害(cold injury)などに起因する他の型の多発性神経
障害において欠失され得る。
軸索の退化後の再生は、重篤度および回復すべき距離によって、2ヶ月〜1年
以上を要する。
医薬組成物
タンパク質を、無機酸(例えば、塩酸、臭素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン
酸、硫酸、およびリン酸)と有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリ
コール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、お
よびフマル酸)とを反応させることによって、または無機塩基(例えば、水酸化
ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム)と有機塩基(例えば、モノ
アルキル−、ジアルキル−、トリアルキルおよびアリールアミン並びに置換され
たエタノールアミン)とを反応させることによって生成される、製剤学的に許容
される酸−または塩基−付加塩として投与できる。
栄養因子は、アミノ酸を化学的に修飾するかまたは担体分子もしくは不活性基
質に接着させることによって、in vivoの半減期を長くすることができる。例え
ば、このペプチドを、キーホールリンペットヘモシアニンなどの担体タンパク質
に、ピアースケミカル社製の市販のInject kitなどの標準的な方法を用いて、そ
のN-末端のシステインで結合させるか、または融合タンパク質として発現させる
ことができ、この融合タンパク質はin vivoにおける効力が増強され、半減期が
長くなっている。
シクロプロピルアミノ酸、または同様な様式に誘導体化されたアミノ酸を含む
ペプチドもまた、使用することができる。これらのペプチドは、それらの本来の
活性を保持しているが、in vivoでの半減期が長くなっている。アミノ酸を修飾
する方法およびそれらの使用は、例えば、Stammerらの方法について米国特許請
求番号第4,629,784に記載されているように、当業者には公知である。
患者への投与
in vitroの研究に基づくと、神経の伸長に影響を与えるか、または増強するた
めに必要とされる用量であるIC50は、通常、ピコモルとなる。この用量は、1以
上のタンパク質が投与されるか否かに、部分的に依存する。
栄養因子は、好ましくは、製剤学的に許容されるビヒクル(vehicle)中で投与
される。製剤学的に好適なビヒクルは当業者には公知である。例えば、この化合
物は、通常、滅菌水または生理食塩水に溶解されるか、または懸濁される。この
化合物はまた、溶液の局所適用によって、局所的に投与することができる。
また、この化合物は、リポソームまたはマイクロスフェア(または微粒子)中
で投与され得る。患者に投与するためのリポソームまたはマイクロスフェアの製
造方法は、当業者には公知である。
米国特許公報第4,789,734号には、リポソーム中への生体物質の封入方法が記
載されている。すなわち、この物質を水性溶液に溶解し、適当なリン脂質と脂質
とを、必要に応じて界面活性剤とともに添加し、そして、必要に応じてこの物質
を透析するか超音波処理する。公知の方法の総説としては、GregoriadisによるD rug Carriers in Biology and Medicin
eの第14章「リポソーム」、287〜341頁(
Academic Press,1979)がある。
ポリマーまたはタンパク質で形成されたマイクロスフェアは、当業者に公知で
ある。マイクロスフェアまたは、マイクロスフェアの複合体は、一定期間、すな
わち数日から数ヶ月にわたる緩やかな放出のために埋め込まれる。例えば、米国
特許公報第4,906,474、4,925,673および3,625,214を参照せよ。
重合デバイス(polymeric device)は、例えば、溶媒流延長、スプレー乾燥ま
たはホットメルトなどのデバイスを通して、または圧縮成型によって麻酔薬を均
一に分散させる方法を用いて好適に製造される。デバイスは、マイクロスフェア
およびマイクロカプセルを含めた、平板、ビーズ、ペレット、微粒子として形成
することができ、またはペースト状に形成することができる。微粒子、マイクロ
スフェア、およびマイクロカプセルは、ここでは総括的に「微粒子」と呼ばれる
。このデバイスを、別のポリマーまたは他の物質で被覆して、放出特性を変化さ
せ
るか、または生体適合性を向上させることができる。微粒子は、懸濁液としても
しくはゼラチンカプセル内のデバイスとして投与することができ、または例えば
、ペーストを作るために使用することができる。
好適な実施例においては、デバイスは微粒子の形態中に存在する。所望の放出
プロファイルは、例えば、1日、3日、および1週間の間にポリマーを放出する
、異なる放出率を有するポリマーからなる微粒子の混合物を用いて達成すること
ができるため、各ポリマーそれ自体は同じ期間中に線形の放出をしない場合でも
線形の放出が達成される。
リポソーム、微粒子または平板(Slab)の好適な投与方法においては、デバイス
は、効果が達成される部位に注射することによって投与することができる。また
、このデバイスは、その部位に外科的に埋め込むことができる。デバイスの埋め
込みは、外科的な場を介してまたは針を経由して臨床治療で行われる。
制御された放出はまた、例えば、硬膜上を経由して痛みに対する薬物療法を行
うために使用される型のミニポンプによる連続注入によっても行われ得る。
本発明は、下記に示す、限定的なものではない実施例を参照することによって
、さらに理解されるだろう。
実施例1:内因性神経栄養因子を同定するためのモデルの開発
視神経の再生を誘導する内因性の因子を同定することができる実験モデルを開
発した。低密度で維持された網膜の神経節細胞に富む細胞培養系を樹立し、目的
とする神経突起の伸長の定量を行い、そして他の型の細胞によって仲介される間
接的な影響を最小限にすることが最終目標であり;さらに、血清の非存在下で培
養される「自然のままの」動物の網膜を用いて、伸長を開始させる因子を同定す
ることが重要である。
結果から、分離された網膜の神経節細胞は、ここで定義され、確立された無血
清コンディション中で十分に生存するが、金魚の視神経のグリア細胞によって分
泌される2つの因子のうちの1つと接触しない限り、軸索の伸長はほとんど示さ
ないことが証明された。これらの因子は、(a)1キロダルトンより小さいと思わ
れるプロテアーゼ−感受性の耐熱性分子、および(b)8〜15kDaの熱感受性かつプ
ロテアーゼ−感受性の分子である。逆行標識実験(retrograde labeling experi
ments)より、網膜の神経節細胞がこれらの因子の主要な標的であり、これらの
分子がin vivoにおける視神経の再生を開始させる上で、主要な役割を果たすと
いう見込みが強いことが示された。方法
馴らし培地
コメット(Comet)金魚(体長3〜4インチ、Mt.Parnell Fisheries,Ft.Lo
udon,PA)を馴らし培地(CM)の調製に使用し、網膜培養物を分離した。動物
を4℃に冷して眠らせ、ついで、頸部を切断した。視神経(ONs)および視神
経路は、2段階で骨と結合組織から切り離した:眼球から視神経と神経路を得る
ために、2倍拡大下で肉眼的解剖を行うが、かなりの結合組織と骨とがまだつい
ており、その後第二段階では、卓上用解剖用顕微鏡(Wild)を用いて12倍拡大下
で行う。Schwartzら(1985)によって記載され、Finkelsteinら(1987)によっ
て改良された以下の方法は、6個のONsを3mLのHEPES緩衝Liebovitz L-15培
地(Gibco/BRL,Gaithersburg,MD)中に入れ、1〜2mmの切片に切断した。こ
れらを、5%CO2中、37℃にて3〜4時間インキュベートし、ついで、0.2μm孔
の低タンパク質−結合シリンジフィルターで濾過滅菌した(Acrodisc,Gelman S
ciences,Ann Arbor,MI)。調製後、通常、CMをアリコートに分け、−80℃で
速やかに凍結した。しかし、いくつかの実験では、分画前またはバイオアッセイ
に使用する前に1〜5日間4℃で保存した。タンパク定量(Bradford kit,BSA
standard; BioRad,Richmond,CA)は、約100μg/mLの濃度を示す数バッチのC
Mについて行った。
視神経手術を解剖前に行う場合は、動物を0.5mg/mLの3-アミノ安息香酸エチル
エステル(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)で麻酔し、頭部の位置を固定
して、えらに一定量の空気を吹き込んだタンクの水を送るPlexiglassTMホルダー
中に置いた。眼窩の上側の縁に3mm間隔で2つの切り込みを入れ、骨蓋を引っ込
ませ、眼窩の軟組織と外膜とを摘出して視神経を露出させた。4号先丸(jewele
r's)ピンセットを用いて、眼の1〜2mm後ろの神経を左右対称に押しつぶした
。
眼窩の出血または神経の横断面は、この研究から動物を排除するための根拠とし
て考慮した。
分離した網膜の培養
LandrethおよびAgranoff(1976,1979)、およびDowlingら(1985)Brain Res.,3
60:331-338によって記載された技術を改良して培養物の製造を行った。金魚は屠
殺前に少なくとも30分間、覆いをしたタンクに入れて暗順応させた。眼を速やか
に摘出し、滅菌したL-15、70%エタノール、およびL-15で間を置かずに洗浄し
た。水晶体、角膜、および虹彩を虹彩用鋏を用いて摘出した。網膜をミクロ解剖
鋏と先丸ピンセットとを用いて、25倍拡大下で細切した。4つの網膜を層流フー
ド内の5mLの滅菌消化液中に入れ、ここで、培養物の残りを処理した。消化液を
調製するために、100単位のパパイン(Worthington)と2.5mgのL-システイン(S
igma)とを5mLのHEPES緩衝L-15に添加してNaOHを用いてpHを7.4にし、濾過滅菌
した。45分後に、消化液を5mLの滅菌L-15と交換し、組織をそっと5回つぶして
壊し、網膜を小片にした。溶液を、再び5mLの滅菌L-15と交換し、分離した網膜
を細かい断片にし、光受容体細胞を除去しつつ、組織を5回激しくつぶした。こ
の工程を新鮮なL-15中で繰り返し、単細胞懸濁液を作製した。連続的なつぶし工
程で、ほとんどの光受容体細胞および間葉細胞が除去されるため、神経節細胞の
濃度が高くなる。
細胞を、ポリ−L−リシン(分子量300,000以上、Sigma)で被覆した24ウェル
組織培養ディッシュ(Costar,Cambridge,MA)にプレートした。最初に、各ウ
ェルに200μLの2×E培地を入れた。この培地は、Bottenstein(1983)In: Curre
nt Methods in Cellular Neurology,vol.IV: Model System.J.L.BarkerとJ
.F.McKelvy,編、107〜130(John Wiley & Sons,New York); Dichter Brain.
Res.,149:279-293(1978); Walickeら、J.Neurosci.,6:114-121(1986);およびA
izenmanとdeVellis Brain Res.,406:32-42(1987)といった刊行物に基づいて開
発した。E培地は、終濃度、20nMのヒドロコルチゾン、1mMのカイヌリネート(
kinurinate)、100μMのプトレッシン、20nMのプロゲステロン、30nMのセレン
、0.3 Mの3,3',5-トリヨード−L−チロシン、50μg/mLのトランスフェリ
ン、150U/mLのカタラーゼ、60U/mLのスーパーオキシドディスミューターゼ、
1%のBSA、10μg/mLのゲンタマイシン、5μg/mLのインスリン、および15m
MのHEPES(すべての試薬はSigmaより購入した)を含む。E培地をpH7.4にし、
培養プレートに添加する前に濾過滅菌した。調製を促進し、再生産性を向上させ
るために、最初の6個の成分を一緒に調製し、25倍濃度で、0.5mLのアリコート
で−20℃にて保存した。E培地を添加した後、各ウェルに50μLの細胞懸濁液を
添加し、ついで、実験サンプルまたは対照サンプルを添加してL-15で150μLと
した。他に記載がない限り、実験サンプルは、研究室の他のメンバーによって盲
検ランダム様式でセットしたので、検査者はウェル中に存在している条件を知ら
なかった。所定の実験の範囲内で、各実験条件について4〜8ウェルを当てた;
すべての実験には、少なくとも4ウェルの陽性対照(すでに5〜15%濃度で確認
されたCM)と、少なくとも4ウェルのL-15とE培地とを陰性対照として含む。
評価前に、プレートを5〜6日間、室温にて暗くした加湿タンク内でインキュベ
ートした。多くの実験を、2〜5に分けた調製物からの材料を用いて繰り返した
。データは、4〜8の繰り返し実験について、平均±標準偏差で表した。幾つか
の実験では、陰性対照における伸長を差し引き、ついで、陽性対照の正味の伸長
で割って標準化した。
神経突起伸長アッセイ
神経突起伸長アッセイは、5日または6日後に定量した。0.1mg/mLの5,6-カル
ボキシフルオレセインジアセテート(CFDA:Sigma)を含むリン酸緩衝生理
食塩水(PBS)で培地を交換し、室温で10分間インキュベートした。生細胞染
料であるCFDAは、生細胞に取込まれ、代謝されて細胞全体に分布する蛍光物
質を産生し、細胞の生存率と神経突起伸長とを評価可能にする。培養は、緑色の
バリヤフィルターを用いて、100倍の倍率で、蛍光発光を調べた(Nikon AF-BS倒
立顕微鏡)。14個の連続する顕微鏡視野(すなわち、1個のウェルの半径)での
生細胞の総数をウェルの先頭から記録した。網膜の神経節細胞(RGCs)の形
態学的基準と合致する細胞を、逆行標識実験で記載したように(すなわち、プロ
セスの大きさおよび数)、それらの神経突起の長さ(すなわち、1〜5細胞直径
、
5〜10細胞直径、10〜20細胞直径、および20細胞直径を超える長さ、に伸長して
いる細胞)によって点数付けした。しかしながら、ほとんどの例では、最後の3
つのビンが潰れて神経突起の伸長の単一の測定、すなわち、([細胞の5直径よ
り大きな神経突起を有する細胞の数]+[生存細胞の総数]×100)を与えた。
網膜の神経節細胞の同定
魚を麻酔し、眼蓋上の骨の構造によって定義される頭蓋の領域内で小刀による
一連の切開を行った。骨蓋を引っ込ませ、親油性染料である、4-(4-ジドデシル
アミノスチリル)−N−メチルピリジニウムヨージド(4−ジ10 ASP:Molec
ular Probes,Inc,Portland,OR)を視蓋上に直接置いた。骨蓋を交換し、アロ
ンアルファ(Ted Pella,Inc.)で密着させた。取込まれた細胞が神経節細胞中
に戻るまで5〜9日間おき、網膜を摘出して上記のように10%CMまたは陽性対
照培地の存在下に培養した。培養6日後、神経突起の伸長を4−ジ−10 ASP
で逆行的に標識された細胞を蛍光顕微鏡で定量した。神経節細胞自体における神
経突起の伸長についての情報に加えて、これらの研究は、標準的な異種起源のR
GCs基準の確立を助けるものであった。
実施例2:栄養因子の源の定量
栄養因子の源
栄養因子が、摘出の間に傷つけられた視神経細胞から能動的に分泌されたもの
なのか、単に放出されたものなのかを調べるために、CMおよび視神経細胞質の
高分子量および低分子量画分の活性を比較した。細胞質画分は、10個の視神経を
25mMのHEPES、pH7.4またはL-15中でホモジナイズして調製した。この抽出物の高
速上清を、BioRadTMのタンパク質アッセイを用いて、全CMにタンパク質濃度を
合せた。ついで、視神経の細胞質およびCMをCentriprep-3TMフィルターを用い
て高分子量および低分子量画分に分離した。画分をバイオアッセイでスクリーニ
ングした。前記因子はまた、視神経によって選択的に分泌されるかどうかを、標
準CMと他の金魚組織によって分泌された因子で馴らした培地とを比較すること
により、試験して定量した。3mLのCMを調製するために必要な視神経をミンス
する前に秤量した。等容の金魚の骨格筋、肝、およびえらの各組織を使用して、
上記のように馴らし培地を調製した。
網膜の移植培養における成長に影響を与えることがすでに見出された分子の効
果を評価するために、10-9〜10-3Mのタウリン(Sigma)、レチノイン酸(10-9
〜10-4M:Sigma)、およびNGF(β−サブユニット、100nM: Collaborative R
esearch,Bedford,MA)をバイオアッセイで試験した。CMに対するRGCsの
応答が培養中にプレートされた密度に依存するか否かを調べるために、別の実験
を行なった。研究全体を通して使用された標準的な細胞密度に加えて、この密度
の1/3、1/9および1/27の細胞をプレートした。最後に、「プライム」さ
れた網膜の神経節細胞(この細胞はin vivoでそれらの軸索を再生し始めている
)の軸索の伸長と、すでにそのままの金魚から摘出した「自然のままの」網膜の
それとを比較するために、実験が行なわれた。網膜は、in vivoで解離とプレー
ティングに先立って再生プロセスを10日間進めることにより、プライムした。こ
の期間は、網膜移植および一瞬で破壊された神経における軸索伸長を最大限に増
強することがすでに知られており(Landreth及びAgranoff,1976)、in vivoで
の再生を可能にした(McQuarrie及びGrafstein,(1981)Brain Research,216:25
3-264)。条件の間でなされた比較は、両側T検定に基づくものである。
結果
分離された網膜細胞の、視神経由来の因子に対する応答
分離された網膜の、視神経によって分泌された因子に対する応答を、染料5,6-
CFDAを用いて定量した。ベースラインの条件以下では、細胞は生存している
が、ほとんど伸長しない。視神経によって分泌された因子を含むCMの添加とと
もに、10〜17μm幅の細胞は、1つまたは2つの均一に薄いキャリバー(calibe
r)の長いプロセスを伸ばし、このキャリバーはしばしば顕著な成長の円錐体で
終わる。より大きな、多角形の細胞は神経突起の伸長の定量においては見られな
い。
L-15とE培地のみと播種した6日後に、網膜細胞は生存していたが、ほとんど
伸長を示さなかった。5,6-CDFAによる染色で約70個/mm2であることが明らか
になった。14個の顕微鏡の視野(すなわち、1ウェル半径)を計数したところ、
200〜300個/mLであった。視神経によって分泌された因子で馴らした培地を追加
すると、軸索に似ている長い神経突起を伸長させるように細胞が誘導された。
濃度依存的特性
CM濃度の増加に対する網膜細胞の応答を図1に示した。図1aは、示された
濃度でCMとともに培養した5日後の軸索長の分布の棒グラフである。プロセス
を1〜5細胞直径分の長さに伸長させている細胞の数はCMの濃度が上昇しても
ほとんど変らないが、プロセスを5細胞直径の長さより大きく伸長させている細
胞の数は著しく増加した。図1bは、CMの濃度上昇に応答する神経突起の伸長
を示す2つの別々の実験の濃度依存曲線である。データは、5細胞直径の長さよ
り大きなプロセスを有する細胞のパーセンテージであり、カットオフ点は図1a
の棒グラフに基づいて選択した。双方の実験で、極大伸長は10%濃度のCMに応
答して生じた(すなわち、総タンパク質濃度は約10μg/mL)。図1cは、2つの
独立した実験におけるCM濃度の関数としての細胞の生存のグラフである。
図1aの棒グラフに示したように、CMが存在しないと、4%の細胞が1〜5
細胞直径の範囲内の神経突起を有し、1%未満の細胞がこれよりも長いプロセス
を有していた。5%濃度のCMを添加すると、プロセスの長さの分布は顕著に変
化した:7%の細胞が5〜10細胞直径の長さの神経突起を有し、2%の細胞はさ
らに長いプロセスを有していた。より高濃度(15%)のCMでは、1〜5細胞直
径の軸索を有する細胞はごくわずかであった。引続く実験すべてのように、結果
は各サンプルについて4ウェル以上の平均値±S.E.Mで示した。ここで見出され
た分布パターンに基づいて、その後の多くの結果を5細胞直径より長い軸索を有
する細胞のパーセンテージとして示した。カットオフ点で応答群と非応答群とが
よく区別された。
図1bは、異なるCMと網膜の調製物とを使用した2つの連続する実験の濃度
依存曲線を示す。10%までのCM濃度では5細胞直径の長さよりも長い軸索を有
する細胞が増加し、ついで、レベルが低下した(5%CM対L-15+E培地のみに
対する応答における伸長、いずれの実験においてもp<0.001;10%CMでの伸
長対5%CMでの伸長、いずれの実験においてもp<0.02;1%未満のエラーバ
ーは示していない;これら2つの実験は、この研究の初期に行なわれ、盲検は行
なわなかった)。応答している細胞の最大数は2つの実験の間で幾分相違があり
、おそらく2つの調製物中のRGCsのパーセンテージの相違を反映している。
挿入図は、CMが細胞の生存率に影響しないことを証明した。2つの実験から得
られたこれらのデータは、14個の連続する顕微鏡の視野(すなわち1ウェルの直
径)で計数し、各条件について4ウェル以上を平均した生細胞の数を、CMの濃
度上昇で示す。データを陰性対照(2つの実験における播種密度における相違を
説明するための)における生細胞の数で標準化した。生細胞数は1つの実験で15
%CMに応答して上昇するように思われるが、これは統計的に有意ではなく(15
%CM対L-15、p=0.21)、別の実験ではこれは見られなかった。
網膜の神経節細胞の同定
逆行標識を、網膜の神経節細胞自体における伸長を調べるために使用した。4
−ジ−10 ASPを視蓋の小さな領域へ適用すると、培養物中の生細胞の4〜5
%の逆行標識が生じた。これらの細胞は楕円形で、8〜10×16〜18μmの大きさ
であり、SchwartzおよびAgranoff(1981)Brain Res.,206:331-343によって報
告されたRGCsの特質と類似している。4−ジ−10 ASPで標識された細胞
は、L-15とE培地のみの存在下においては自発的な伸長をほとんど示さなかった
;しかしながら、10%CMへの応答では、これらの細胞はすべての細胞集団で観
察された神経突起の伸長の2倍のレベルを示した。RGCsの生存率はCMによ
って影響されなかった。網膜のいずれのセットについても、培養物物中における
逆行的に標識された細胞数(生細胞の総数によって割った)は、CMの存在また
は非存在に関わらず4〜5%である。RGCsにおける伸長対総細胞の伸長は、
いずれの網膜のセットについてもp<0.005であった。
親油性の染料4−ジ−10 ASPを視蓋に培養7日前に適用することにより網
膜の神経節細胞を標識した。6日後培地中で、標識細胞がCMに応答して1また
は2のプロセスを伸長させた。これらの細胞は、一般的に1または2の、長く、
薄いプロセスを形成した。網膜のいずれのセットでも、逆行標識された細胞の全
細胞集団に対する生存率は、CMを添加しても変化しなかった。こうして、CM
はRGCsからの神経突起の伸長を選択的に刺激し、そしてこの効果はこの細胞
型の生存率を増強するという結果ではない。この研究はまた、混合された、5,6-
CFDA染色培養物中の神経節細胞を区別するための基準(直径、プロセスの数
)を提供する。混合培養物中では、神経突起の伸長を、RGCsのための基準に
合致する細胞のみを計数し、全集団の15〜25%が5細胞直径より長い神経突起を
伸長させたということが明らかになった。RGCsとして同定された神経細胞の
1/3がこれらの条件下で大きく成長しているということが逆行標識の研究から
決定されたことから、RGCsは混合培養物中の細胞の45〜75%を構成すること
につながる。
馴らし培地の組織特異性
金魚の視神経によって馴らした培地とことなり、等容の金魚の骨格筋、えら、
または肝で馴らした培地は神経突起の促進活性をほとんど示さなかった(全サン
プルが視神経CMとはp<0.01で相違した;実験は盲検としていない)。
実施例3: 神経栄養因子の分離および特徴付け
視神経CMは2つの栄養因子を含有する。
限外濾過により実施された予備分離では、すべての栄養活性が分子量カットオ
フ100kDaおよび1000kDaで限外濾過装置を通過し、また、多量の活
性が10,000および3,000Daのカットオフでフィルタを通過すること
がわかった。分子量カットオフが6kDaのサイズ排除カラム(すなわち、脱塩
カラム;Bio−Rad)では、神経突起促進活性が、タンパク質を含有する画
分(O.D.280で分光分析により評価)と低分子量の画分(塩を含有、伝導度
の測定により評価)の両方に存在することがわかった。こうした観察に基づき、
正常な金魚または両眼の視神経挫傷後3乃至7日の動物のいずれかより切開した
視神経から調整培地を調製した後、限外濾過を行い、CMサンプルを3,000
Da未満のサイズの画分と3,000Daより大きなサイズの画分に分離した。
無傷視神経または損傷視神経のいずれかより得られたCMにより、高分子量の神
経突起促進因子と低分子量の神経突起促進因子の両方が得られた(全サンプルは
p<0.002の水準でL−15対照よりも高い増殖を示す)。図を単純化する
ため、まず培地EおよびL−15のみで増殖した陰性対照の増殖水準を引き(こ
の特別実験において3±0.2%[平均±S.E.M.])、次に非分画CMで
処理した陽性対照における正味増殖で標準化する(この場合には21.3±2.
3%)ことにより、データが表されている。図2aにおけるデータは、非分画C
Mにおけるほとんどの活性が小さな因子に帰するが、これは損傷後3日で集めら
れた物質においては明らかではないことを示す。質的には、高分子量の栄養因子
および低分子量の栄養因子の存在が、無傷視神経または損傷視神経のいずかによ
り調製されたCMにおいて繰り返し観察されている。
サイズ分画
いくつかの方法を用いて、活性因子のサイズを測定した。まず、分子量カット
オフが10、100および1000kDaのフィルタ(Amicon、Beve
rly、MA)を用いた遠心限外濾過によりCMを分離した。濾液および保持液
をバイオアッセイで試験した。次に、CMを6kDa脱塩カラム(BioRa
d)に通し、画分を(タンパク質について)280nmでの吸光度により、また
(塩を含有する低分子量の画分について)伝導度を測定することによりモニター
した。高分子量および低分子量の成分を含有する画分をバイオアッセイにより評
価し、図2aに示すように両方が活性であることがわかった。6kDよりも大き
な画分をプールし、3kDaカットオフのCentriprep−3TMフィルタ
(Amicon)を用いて10−100倍に濃縮した。次にこの材料をBios
ep SecTM−S3000 Nキャップ結合シリカカラム(Phenomen
ex、Torrance、CA)を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPL
C、Beckman Instruments)により分離した。図2cに示す
ように、カラム画分をバイオアッセイでスクリーニングした。さらに、低分子量
の材料(6kDa未満)の特徴を、Centriprep−3TMフィルタ(Am
icon)または1kDaカットオフのMicrosepTM(Filtron、
Northborough、MA)に通過させることにより明らかにした。さら
に、凍結乾燥で15倍に濃縮後、サイズ排除HPLC(BiosepTM Sec
S−2000、Phenomenex)により分析した。いくつかの小さなペ
プチド(ロイ−エンケファリン[Leu、MW=556]、met−エンケファ
リン[met、MW 877]、アンジオテンシンI[angio、MW=12
97]、すべてSigma製)の溶出時間に基づき、活性因子のサイズは600
〜900Da(ダルトン)であるとみられる。
加熱およびプロテアーゼ処理
CM中の神経突起促進因子がポリペプチドであるかどうかを決定するため、高
分子量および低分子量の画分を15分間95℃に加熱または0.1%トリプシン
に曝露した。0.125%の大豆トリプシン阻害剤を、トリプシンといっしょに
、またはトリプシンで1乃至2時間のインキュベーション後に添加した。次にバ
イオアッセイでサンプルをスクリーニングした。また、3kDa未満の画分を1
0U/mlで8時間(49℃)プロナーゼ(Sigma)、またはプロテイナー
ゼK(PK、Boehringer Mannheim、Indianapol
is、IN: 50μg/ml、56℃、1時間)に曝露した。インキュベーシ
ョ
ン後、Centriprep−3TMフィルタを用いて低分子量の成分から酵素を
分離し、濾液のバイオアッセイを行った。対照として、酵素なしで活性画分を加
熱し、熱自体では不活性化を引き起こさないことを確認し、56℃で1時間、単
独で酵素をインキュベートし、濾過し、さらに3kDa未満の画分に濾液を添加
し、プロテアーゼが細胞の増殖に影響を及ぼすような自己融解フラグメントを生
成していないことを確認した。
熱およびプロテアーゼに対する2つの因子の感度は、両方の因子がポリペプチ
ドであることを示した。95℃で15分間加熱後、非分画CM(5%)はその活
性の半分を喪失し、高分子量の画分は、単独で(濃度20%)ほぼすべての活性
を喪失した。56℃で1時間または95℃で15分間単独で処理した低分子量因
子の活性喪失は、わずか30%であった。
1時間または2時間のトリプシンへの曝露により、非分画CMの活性は約60
%減少したが、単独での低分子量画分の活性喪失は、トリプシン消化後にはほと
んど認められなかった。対照において、トリプシンと同時に添加された大豆トリ
プシン阻害剤により、活性は喪失されなかった。さらに、プロナーゼ処理(8時
間、40℃)またはプロテイナーゼK処理(1時間、56℃)により、プロテア
ーゼに対する低分子量因子の感度を検査した。インキュベーション後、限外濾過
により酵素から低分子量成分を分離し、バイオアッセイで試験した。対照は酵素
の非存在下にインキュベートした。
プロナーゼは、トリプシンと同様、低分子量因子の活性に対する影響をほとん
ど示さなかった。しかし、プロテイナーゼKは、低分子量因子の活性を80%減
少させた(p=0.004で有意なプロテイナーゼKの存在下および非存在下に
56℃で処理)。このため、大きな因子と小さな因子はいずれもポリペプチドで
あるとみられる。
陰イオン交換クロマトグラフィー
ジエチルアミノエチルセルロースカラム(DE−52、Whatman、Hi
llsboro、OR)で陰イオン交換クロマトグラフィーを行った。pH8.
4の25mM HEPESでDE−52ビーズを平衡化した後、0.5mlの割
合で水和ビーズ、10ml CM(6kDaカットオフのサイズ排除カラムを用
いて脱塩されていた)を添加した。一夜インキュベート(4℃)後、混合液をピ
ペッドで5mm I.D.、ガラスEcono−カラム(BioRad)内に採
取した。結合されていない画分および25mM HEPESによるカラムの最初
のリンス液をプールした。次に、連続的に3mlきざみで25mM HEPES
中の0.1、0.2、0.5および1.0M NaClで結合タンパク質を溶出
した。それぞれの画分をアリコートに分け、バイオアッセイのために−80℃で
保存した。pH10でCMの高分子量画分について、イオン交換クロマトグラフ
ィーも行った。
小さな栄養因子は1,000Daフィルターを通過する。
さらに、1,000DaカットオフのMicrosepTMフィルタを用いたC
Mの分画により、図2bにより示される通り、濾液中に高レベルの活性が得られ
、1,000Da未満の画分対L−15対照、p=0.01、1,000Da未
満の画分対総CM、p=0.06となる。しかし、分子がこの細孔サイズを通過
できるかどうかは、分子の形状およびそのサイズによって決まるため、これは絶
対的にサイズの決定因ではない。さらに、HPLCによる試験により、因子のサ
イズは600乃至900Da(ダルトン)であることがわかった。
ハーバード微量化学施設により実施された質量分光分析では、ペプチドは遊離
アミノ酸汚染物を有し、質量が約707Da(ダルトン)であることが測定され
ている。アミノ酸分析により、疎水性残留物が存在しないことがわかり、これは
HPLCで観察された親水性反応と一致する。
大きな栄養因子のサイズ評価
図2cは、サイズ排除HPLCで分離した際のCMの高分子量画分の溶出を示
すグラフである。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Caday,et
al.、1989)および今回のクロマトグラムによりわかる通り、CMはタ
ンパク質の複合混合物を含有している。画分のバイオアッセイを最初は2群で行
い、プールした画分が活性を示した場合は、それぞれを個別に再スクリーニング
し、活性を示さなかった場合は、ペアで再スクリーニングした。一次スクリーニ
ングおよび二次スクリーニングの両方で画分12および13に高レベルの活性が
観察された(図2d;画分12対L−15、p=0.01;画分13対L−15
、p=0.053;ほかのすべては有意性なし)。活性因子はシトクロムC(1
2kDa;図2d)とほぼ同じ保持時間を示すため、サイズの範囲は8,000
〜15,000Daであると推定される。
一部の実験では、70,000乃至100,000Daで活性の追加ピークが
観察されているが、これは再現性が示されていない。この大きな分子は不安定で
あり、変性して12,000Daの因子を形成するとみられ、またはある実験条
件下に解離するマルティマーの複合体(multimeric complex)であるとみられる。
電荷および基質結合
イオン交換クロマトグラフィーを用いて、さらに大きな因子を精製した。DE
AE−陰イオン交換クロマトグラフィーによるCMの高分子量成分の分離を行っ
た。pH8.4では神経突起促進活性が結合されていない画分で回収されたのに
対し、pH10では活性因子はカラムに結合され、0.2M NaClで溶出さ
れた。CMのいずれの成分も基質結合栄養因子として作用しない。限外濾過(3
,000Daカットオフ)により、CMを高分子量画分と低分子量画分に分離し
た。大きなタンパク質を上昇させたpHに長く曝露させると、その活性が大幅に
低下するように思われる。
CMの高分子量画分または低分子量画分のいずれかを用いて、最高強度または
1:10希釈のいずれかでポリリシン被覆プレートを一夜インキュベートした。
ウェルをリンスし、結合されていない材料を除去した後、L−15によるプレー
トのリンス後には神経突起促進活性は保持されなかった。このため、大きな因子
も小さな因子も基質結合増殖因子として作用しない。
CMの2相抽出
図3は、低分子量因子のAF−1が2相溶媒抽出系を用いて単離できることを
示す神経突起伸長のグラフである。陰性対照は培養培地のみであり、陽性対照の
レーン2はグリア有鞘細胞により培養培地に分泌された分子の低分子量画分であ
り、高レベルの軸索伸長を誘発する3,000Da未満のCMである。この材料
をpH7.5の有機溶媒、イソブタノールと混合すると、水相(pH7.5水)
にはほとんど活性が残らない。次に有機相を低pH緩衝液(pH2水)と混合す
ると、生物学的に活性な分子が水相に移り、有機相(pH2有機)には何も残ら
ない。これにより、低分子量栄養因子AF−1の一次精製の簡単な方法が提供さ
れる。
図4は、低分子量栄養因子のAF−1を含有する部分的に精製された抽出物を
逆相HPLCにより分離すると、FC、FD、およびFEで示したカラム画分に
活性成分が出現することを示す神経突起伸長のグラフである。上述した通り、陰
性対照(L−15)は組織培養培地のみであり、陽性対照は視神経グリアにより
分泌された分子の分画されていない低分子量成分(3,000Da未満の1CM
、10%濃度)であり、FA−FIは高速液体クロマトグラフィー分離からのカ
ラム画分を示す。
2つの因子の細胞内および細胞外の濃度
次に、CMおよび視神経ホモジネートの高速上清画分におけるそれぞれの活性
を比較することにより、2つの神経突起促進因子が活発に分泌されるかどうかを
測定した。サンプルを用いて濃度10%および20%でバイオアッセイを行い、
視神経サイトゾルのタンパク質濃度を調整し、CMのタンパク質濃度に適合させ
た(すなわち、10%濃度はそれぞれについて約10μg/mlの限外濾過前の
タンパク質濃度と同等である。これは、CMにおいて認められるほとんどのタン
パク質が細胞溶解から生じ、活性分泌によっては生じないという仮説に基づくも
のである)。
低分子量因子は、ON Cyto(p=0.002)内に比べ、CM中で遥か
に高い濃度を示している。更に2回の実験において反復されたこれらのデータは
、より小さい分子が活発に分泌されることを示唆している。より大きな因子は、
細胞内及び細胞外で等しい濃度で存在している。
視神経に対する傷害の影響
栄養因子の発現が視神経傷害の後で変化するか否かを調査するため、0.5mg
/mlの3−アミノ安息香酸エチルエステル(Sigma Chemical C
o.,St.Louis、MO)の中で金魚に麻酔をかけて、頭の位置を固定し
曝気されたタンクの定常水流が口及び鰓を通って流れるようにするプレキシグラ
スホルダーの中にこの金魚を入れた。視神経を露呈させるため眼窩の上縁内で3
mm離して2回の切開を施し、骨の鰓蓋(bone flap)を収縮させ、眼窩柔軟組織及
び外膜を切除し、湾曲した4”の宝石商鉗子を用いて眼の後ろで視神経を両側で
1〜2mm破砕した。神経が破断されていたり、重大な出血があった場合には、被
験動物を除去した。
両眼視神経破砕の3日後又は7日後に、正常な金魚又は動物から切除した視神
経からCMを調製し、その後、6kDa未満の及び6kDa以上の分画へと試料
を分離させるために選別カラムを用いた。無傷の視神経は又傷害のある視神経の
いずれかから得られたCMは、高分子量及び低分子量の両方の神経突起促進因子
を生成した。(全ての試料はp<0.002レベルでL−15の対照より大きい
伸長を示している)。データは、分画化されなかったCM内の活性の大部分はよ
り小さい因子に起因するとすることができるということを示している。分画化の
時点で、視蓋からのCMが、各々視神経調整培地内にみられるレベルの約3分の
1のレベルで、高分子量及び低分子量の両方の栄養因子を内含することが発見さ
れた。
細胞密度の影響
細胞密度が、CMに対する網膜神経節細胞の応答に影響を及ぼすか否かを見極
めるため、これらの研究全体を通して使用された標準密度(約70細胞/mm2)
か、又は益々低くなる密度のいずれかで、網膜を平板固定した。RGCが、CM
の直接的標的であるもう1つのタイプの細胞によって放出された二次的因子に応
答している場合、これらのその他の細胞の数及び二次的因子の濃度が減少するに
つれて、より低い細胞密度でRGCの応答の低減を発見することになるというこ
とが予想される。標準細胞密度の3分の1(約25細胞/mm2)で、網膜神経細
胞は、標準密度(NS)に比べて僅かに高いCMに対する応答を持つように思わ
れ、もう1つの3倍希釈の場合、伸長は、正常の平板固定密度の場合よりもわず
か30%低いだけであった(P=0.18、有意ではない)。標準密度の1/2
7では、伸長は有意な減少を示さなかった(p=0.05)。
プライミング効果の欠如。
それまで無傷であった魚又は、再生応答を開始させるべく14日前に視神経手
術を受けた魚のいずれかから切除した網膜を、対照(L−15)培地単独、分画
化されていない10%濃度のCM、又は10%濃度のCMの低分子量分画の存在
下で解離、培養させた。全てのケースにおいて、RGCの応答は、「プライミン
グ」病巣によって影響されなかった。
これは、CM中の視神経突起促進因子により、「特定の投薬を受けたことのな
い(naive)」網膜視神経節細胞が、インビボで再生プロセスが開始された「プラ
イムされた(primed)」細胞と同じ程度まで成長できるようになるか否かを見極め
るために行ったものである。それまで無傷であった魚からの4つの網膜を、10
日前に両側視神経手術を受けた魚から4つの網膜と同様にプールした。「特定の
投薬を受けたことのない」網膜視神経節細胞と同様に、「プライムされた」RG
Cは、対照培地内で自然発生的伸長を殆ど示さなかった。全(非分画化)CM又
は低分子量分画単独(3kDa未満)の存在下で、「特定の投薬を受けていない
」網膜及び「プライムされた」網膜は、同一レベルの神経突起伸長を示した。
実施例3: 解離された網膜培養上のその他の分子の活性
網膜外殖培養の伸長特性を変えるものとして報告されたその他の分子がこの系
の中で活性であるか否かを、次に決定した。その他の因子が、CM中に見いださ
れる活性を疑似するか否かを調査するために、「プライムされた」網膜培養内の
伸長を変調させるものとして報告された2つの小さな分子を、幾つかの巨大分子
成長因子と共に試験した。
タウリン、レチノイン酸及びNGFは全て、網膜外殖体からの神経突起伸長に
影響を及ぼすものとして報告されている。Lima et al.(1989)
は、ラミニンの存在下でタウリンが、インビボで再生するようプライムされた網
膜外殖体からの神経突起伸長を増大させるものの、それまで無傷だった網膜に対
しては殆ど影響を及ぼさないということを報告した。タウリンは同様に、棒細胞
の分化にも貢献する(Altschuler et al.(1993)Dev
elopment,119;1317−1328)。
細胞分化における傑出した因子であるレチノイン酸(RA)は、それ自体伸長
に影響を及ぼすことなく金魚網膜外殖体内での中間フィラメントタンパク質ON1
(ゲフィルチン)及びON2の発現を高めるものであることが分かっている(H
all et al.、1990)。
NGF活性は、金魚の脳の中で実証され(Benowitz & Green
e,(1979)Brain Res.、162:164−168)、視神経C
M内のNGF様分子の存在は、マウスNGFに対する活性がβ−NGF単量体の
予想サイズである12〜13kDaのタンパク質と交差反応することを示す予備
的ウエスタンブロット研究によっても裏付けられている。低い濃度(即ち5ng/
ml)では、哺乳動物のNGFのβ−サブユニットは、in vivo で成長するプライ
ムされた金魚の網膜外殖体からの神経突起の伸長を増大させ、一方、NGFに対
する抗体は、血清の存在下に維持されたプライムされた網膜外殖体からの伸長を
抑制させる(Turner et al.、1982)。しかしながら、NGF
は、プライムされていない網膜の外殖体に対して(Turner et al.
、1982)も、又in vivo での軸索伸長速度に対して(Yip & Gras
fstein、1982)も殆ど影響を及ぼさない。従って、NGFはこの系に
おいてモジュレータの役目を果たす可能性が高いものの、軸索伸長を直接誘発す
るとは思われない。NGFは、グリア細胞を刺激して、それ自体神経細胞に作用
する因子を放出することができる。
生物検定では、脳誘導神経栄養因子(BDNF)、神経栄養因子3(NT−3
)、NT−4−5、繊毛神経細胞栄養因子(CNTF;全て、1〜100ng/ml
でテスト、Regeneran,Tarrytown,NYからのもの)、酸性
繊維芽細胞増殖因子(aFGF、R&D Systems、Minneapol
is、MN、1〜100ng/ml)及び塩基性繊維芽細胞増殖因子(Patric
ia D’Amore博士より寄贈、1〜100ng/ml)も試験した。
この細胞系においては、1μm〜10mMの間の濃度のタウリンは、全く効果を
持たず、10-9と10-4の間の濃度のレチオニン酸も全く効果を示さなかった。
予備的実験は、50nMで解離された網膜細胞神経に対するNGFの効果を全く見
い出せず、500nMで弱い刺激が発見された。結果をみると、プライムされた外
殖培養内で軸索伸長を増大させる用量の20倍である100nMで、NGF活性が
存在しないことが分かる(Turner et Al.、1982)。
神経成長因子(NFG)は、これらの培養内で神経突起の伸長を惹起すること
ができなかったものの、それでも、間接的に視神経の再生に貢献する可能性があ
る。
その他のニューロトロフィンは同様に、広い濃度範囲にわたって伸長を誘発す
ることができなかった:10pg/mlと100ng/mlの間でBDNF、NT−3及
びNT−4/5を試験したが、全て軸索伸長を全く惹起できなかった。1〜10
0ng/mlの間で試験された非ニューロトロフィン成長因子は、酸性及び塩基性の
繊維芽細胞増殖因子及び繊毛神経栄養因子を含んでいた。これらも同様に全く効
果を示さなかった。
実施例4: 調整培地の組織特異性
活性因子が視神経に対して特異的だったか否かを、その他の金魚組織により分
泌された因子を含有する培地と標準CMを比較することによって検討した。3ml
のCMを調製するのに必要とされる視神経を、切り刻む前に秤量した。金魚の肝
臓、鰓及び骨格筋からの組織を等質量用いてその他の調整培地を調製した。その
他の脳組織を評価するために、金魚の視蓋を6つ用いて調整培地を調製した。視
蓋調整培地のタンパク質濃度を標準の視神経調整培地のものに符合させて、生物
検定を行った。
金魚の視神経で調整された培地とは異なり等質量の金魚の骨格筋、鰓又は肝臓
によって調整された培地は、神経突起促進活性を殆ど示さなかった。全ての試料
はp<0.01で視神経CMと異なっている。視蓋により調整された培地は、視
神経CMにタンパク質濃度を符合させられた場合(即ちc.タンパク質10μg
/ml)、視神経調整培地の活性の約3分の1を示した。
2つの因子間の相互関係は、この時点で明確に理解されていない。
AF−1及びAF−2は、各々これらの検定おいて独立して神経突起伸長を誘
発することができ、それらの効果は相乗的であるとは思われない。それでもin v
ivo では、これらが相補的に機能することが可能である。同様に、AF−1がA
F−2の分解から誘導される可能性もある。培養には様々な細胞型が内含されて
いることから、AF−1及びAF−2が網膜神経節細胞に直接作用せず、むしろ
媒介としてもう1つの細胞型に対し作用し得るという可能も尚存在している。S
chwartz & Agranoff(1981)が観察しているとおり、R
GCは、上述のように調製された解離した金魚網膜培養内で優性な細胞型であり
、支持細胞は豊富でない。かくして、支持細胞の増殖を抑制するのではなく、C
Mの濃度を一定に保ちながらもう1つの細胞型により放出され得るあらゆる二次
的因子の濃度を低下させるべく系統的に細胞密度を低減させた。細胞濃度の9分
の1の減少全体にわたって神経突起の伸長は著しく減退しなかったことから、R
GCはCMに対し直接応答していると思われる。しかしながら約3細胞/mm2の
細胞密度では、伸長は正に著しい減退を示した。これは、培養内のもう1つの細
胞型又はRGC自体から放出された栄養因子の濃度の低下の結果であると考えら
れ、これは、CMに応答できる状態に細胞を維持するのに必要とされることであ
る。
これらの発見事実は、RGCからの軸索伸長を誘発する上でのAF−1及びA
F−2の特異性に対する更なる裏付けを与えている。
実施例5: 魚由来のAF−1は、哺乳動物の網膜神経節細胞の軸索再生を刺激
する。
金魚の神経細胞からの軸索伸長を刺激する低分子量ペプチドが哺乳動物の網膜
神経節細胞(即ち網膜の主要突出神経細胞)からの軸索再生をも刺激するか否か
を見極めるために研究を行った。
胎生15日の脊髄からの解離された神経細胞を、神経基本培地か又は血清で補
足されたダルベッコの最小必須培地(DMEM)のいずれかの中で培養した。
図5a−dに示されているとおり、一定数のブラインド実験において、軸索誘
発因子1(AF−1)が、生後10日目のラットから誘導された網膜の解離培養
内で著しいレベルの軸索伸長を誘発することが繰り返し発見された。神経基本培
地内では、AF−1を添加することにより、全体的神経突起伸長が約2.5倍増
大し(図5a)、細胞の生存は75%増大した(図5b)。全体的な細胞の生存
を改善させた条件下では、AF−1は、細胞の生存度に対してもはや影響を持た
なかったが、神経突起伸長における約2.5倍の増大をなおも引き起こした(図
5c及び5d)。
結果は、神経突起伸長に対するAF−1の影響が、特定の細胞下位母集団を生
存させたか又は全体的細胞の生存度を改善したことの単なる帰結ではないという
ことを立証している。
実施例6: ラットの網膜神経節細胞に対する金魚から誘導されたAF−1の効
果
金魚由来のAF−1が同様に、培養中に軸索を伸長させるよう哺乳動物の脊髄
の神経細胞をも刺激するか否かを知るために研究を行った。これらの研究におい
ては、胎児性ラット脊髄から神経細胞を誘導した。G.Banker及びK.G
eslin.eds.神経細胞培養(MITプレス、1991)によって記述さ
れているラット脊髄からの解離された神経細胞の一時的培養系を用いて、因子の
広い特異性を確認した。この系は、AF−1又はAF−2が培養中の細胞型全て
からの軸索の伸長に影響を及ぼすか否かを研究するためにも使用することができ
る。
生後7日目〜10日目のラットの網膜をDMEM内で解離、培養した。顆粒状
ブルーで視神経の軸索を予め標識付けし、色素が網膜へ逆行的に輸送されるよう
3日間放置することによって、神経節細胞を同定した。
AF−1が無い状態で、約5%の網膜神経節細胞が、軸索の長さを細胞直径の
5倍から10倍にまで拡張し、わずか1%がこれより長く軸索を拡張した。低い
ナノモル範囲内のAF−1の添加により、細胞直径の5〜10倍の軸索を持つ細
胞の数は倍増し、細胞直径の10倍以上の大きい軸索を持つ細胞数はほぼ10倍
増大した。細胞の生存にはいかなる効果もみられなかった。
結果は図6a〜6dに示されている。図6a及び6bに示されている研究にお
いては、細胞の生存及び軸索外殖の両方に対するAF−1の効果を実証するため
に培地を用いた。図6c及び6dに示された研究においては、培地条件を変更し
た。生存効果は全く明白ではなかったが、AF−1がなおも軸索外殖における大
きな増大を引き起こすことが分かった。
実施例7: 哺乳動物のCNSから誘導されたグリア細胞の培地内に存在する金
魚由来のAF−1に比較できる因子の同定
哺乳動物のCNSから誘導されたグリア細胞が、そのサイズ及び生物活性につ
いて、金魚から誘導されたAF−1に似ている因子を分泌することを実証するた
めの研究が行われた。
血清含有培地内で、真正ラットの脳のグリア培養をほぼ周密性にまで成長させ
た。24時間グリアにより分泌された因子を収集するするため、培地を規定の血
清無しの培地に変えた。グリア調整培地(「MGCM」)を限外濾過により高分
子量と低分子量の成分に分離し、1000D未満の分子量を持つ画分を標準金魚
検定において活性について検定した。この成分のサブ画分を、逆相高圧液体クロ
マトグラフィ(HPLC)によって得た。疎水性逆相C−18カラムに結合しな
かったサブ画分(画分4.5及び6.7)も同様に検定した。
図7は、哺乳動物のグリア細胞がAF−1に類似した因子を分泌することを示
すグラフであり、様々な画分について長さが細胞直径の5倍以上である軸索を持
つ神経突起伸長の細胞の割合をグラフに表している。1000ダルトン以下の分
子量を持つ画分及びHPLC溶離液からの画分の両方は、金魚から誘導された化
合物に対しほぼ同等の活性を有していた。
これらの研究は、全て考え合わせると(a)AF−1が下等脊椎動物からの神
経細胞に対してと同様に哺乳動物の神経細胞に対しても作用すること、(b)A
F−1が、網膜神経節細胞に加えて神経系のその他の細胞をもターゲティングす
ること、及び(c)哺乳動物のグリア細胞によって、比較可能な分子が生成され
ること、を立証している。
─────────────────────────────────────────────────────
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(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12P 21/02 C12P 21/08
C12Q 1/68 A61K 37/24 AAA
// C12P 21/08 ABL
(72)発明者 アーウィン,カーリーン エイ.
アメリカ合衆国 02167 マサチューセッ
ツ州 ニュートン,ブルックリン ストリ
ート 105番地
(72)発明者 ジャクソン,ポール
アメリカ合衆国 02146 マサチューセッ
ツ州 ブルックリン,ナンバー5,ワシン
トン ストリート 471番地
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.グリア有鞘細胞を培養した培地から分子量分離、2相抽出および逆相高速液 体クロマトグラフィーにより単離することができ、95℃で15分加熱後に活性 を保持し、プロナーゼおよびトリプシンによる消化後に活性を保持し、かつ親水 性である、質量分光分析法で分子量約700ダルトンのポリペプチド、およびグ リア有鞘細胞を培養した培地から分子量分離およびアニオン交換クロマトグラフ ィー(その場合、下記タンパク質はpH10でカラムに結合するがpH8.4で は結合せず、0.2M NaCl で溶出可能である)により単離することができ、95℃ で15分加熱後に失活し、かつトリプシンまたはプロテイナーゼKによる消化後 に失活する、分子量約12,000ダルトンのタンパク質、よりなるタンパク質 群から選ばれる神経栄養ポリペプチド。 2.動物への投与に適した製剤学的担体をさらに含む、請求項1に記載のポリペ プチド。 3.担体がリポソーム、微小粒子、ポリマースラブ、およびポンプよりなる群か ら選ばれる持続放出デバイスである、請求項2に記載のポリペプチド。 4.フリーラジカルの生成を防止する薬剤、フリーラジカル捕捉剤、および逆成 長(counter growth)阻害分子の群から選ばれる化合物をさらに含む、請求項2に 記載のポリペプチド。 5.動物への投与に適した製剤学的担体中の有効量の神経栄養タンパク質に神経 細胞をさらすことを含んでなる軸索伸長を誘導する方法であって、該神経栄養タ ンパク質が、グリア有鞘細胞を培養した培地から分子量分離、2相抽出および逆 相高速液体クロマトグラフィーにより単離することができ、95℃で15分加熱 後に活性を保持し、プロナーゼおよびトリプシンによる消化後に活性を保持し、 かつ親水性である、質量分光分析法で分子量約700ダルトンのポリペプチド、 およびグリア有鞘細胞を培養した培地から分子量分離およびアニオン交換クロマ トグラフィー(その場合、下記タンパク質はpH10でカラムに結合するがpH 8.4では結合せず、0.2M NaCl で溶出可能である)により単離することができ 、95℃で15分加熱後に失活し、かつトリプシンまたはプ ロテイナーゼKによる消化後に失活する、分子量約12,000ダルトンのタン パク質、よりなるタンパク質群から選ばれる、上記の方法。 6.担体がリポソーム、微小粒子、ポリマースラブ、およびポンプよりなる群か ら選ばれる持続放出デバイスである、請求項5に記載の方法。 7.フリーラジカルの生成を防止する薬剤、フリーラジカル捕捉剤、および逆成 長阻害分子の群から選ばれる化合物を神経栄養タンパク質とともに投与すること をさらに含む、請求項5に記載の方法。 8.グリア有鞘細胞を培養した培地から分子量分離、2相抽出および逆相高速液 体クロマトグラフィーにより単離することができ、95℃で15分加熱後に活性 を保持し、プロナーゼおよびトリプシンによる消化後に活性を保持し、かつ親水 性である、質量分光分析法で分子量約700ダルトンのポリペプチドをコードす る配列、およびグリア有鞘細胞を培養した培地から分子量分離およびアニオン交 換クロマトグラフィー(その場合、下記タンパク質はpH10でカラムに結合す るがpH8.4では結合せず、0.2M NaCl で溶出可能である)により単離するこ とができ、95℃で15分加熱後に失活し、かつトリプシンまたはプロテイナー ゼKによる消化後に失活する、分子量約12,000ダルトンのタンパク質をコ ードする配列、よりなる群から選はれるヌクレオチド配列。 9.グリア有鞘細胞を培養した培地から分子量分離、2相抽出および逆相高速液 体クロマトグラフィーにより単離することができ、95℃で15分加熱後に活性 を保持し、プロナーゼおよびトリプシンによる消化後に活性を保持し、かつ親水 性である、質量分光分析法で分子量約700ダルトンのポリペプチド、およびグ リア有鞘細胞を培養した培地から分子量分離およびアニオン交換クロマトグラフ ィー(その場合、下記タンパク質はpH10でカラムに結合するがpH8.4で は結合せず、0.2M NaCl で溶出可能である)により単離することができ、95℃ で15分加熱後に失活し、かつトリプシンまたはプロテイナーゼKによる消化後 に失活する、分子量約12,000ダルトンのタンパク質、よりなるタンパク質 群から選ばれる神経栄養タンパク質と免疫反応性の抗体。
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