JPH10511958A - アンドロゲン過剰症の治療 - Google Patents

アンドロゲン過剰症の治療

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JPH10511958A JP8521289A JP52128996A JPH10511958A JP H10511958 A JPH10511958 A JP H10511958A JP 8521289 A JP8521289 A JP 8521289A JP 52128996 A JP52128996 A JP 52128996A JP H10511958 A JPH10511958 A JP H10511958A
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Abstract

(57)【要約】 この発明は、1,2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザステロイド、及び5α−レダクターゼ酵素のピリジン−ヌクレオチド補酵素(NADPH)から、機構に基づく新規な不可逆的ヒト5α−レダクターゼ酵素阻害剤を形成することによる、ヒトのアンドロゲン過剰症の治療に関する。

Description

【発明の詳細な説明】発明の名称 アンドロゲン過剰症の治療発明の要旨 本発明は、1,2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザステロイド、及び 5α−レダクターゼ酵素のピリジン−ヌクレオチド補酵素(NADPH)から、 機構に基づく新規な不可逆的ヒト5α−レダクターゼ酵素阻害剤を形成すること による、ヒトのアンドロゲン過剰症(hyperandrogenic cond itions)の治療に関する。本発明はさらに、単離された阻害剤−補酵素複 合体に関する。発明の背景 尋常性アクネ、脂漏症、女性の多毛症、女性及び男性のパターン禿頭症を含む 男性ホルモン性脱毛症、並びに良性の前立腺過形成のようなある種の望ましくな い生理現象は、代謝系におけるテストステロン(「T」)又はそれに類似の男性 ホルモンの過剰な蓄積に起因するアンドロゲン過剰刺激により生じる。男性ホル モン性脱毛症は雄核発生性脱毛症としても知られている。アンドロゲン過剰によ る有害な結果に対抗する化学療法剤を提供しようとする初期の試 みにより、それ自体望ましくないホルモン活性を有する数種のステロイド系抗男 性モルホン物質が見出された。例えば、エストロゲンは、アンドロゲンの作用を 抑制するだけでなく、女性化作用をも有する。非ステロイド系抗男性ホルモン物 質、例えば、4′−ニトロ−3′−トリフルオロメチル−イソブチルアニリドも 開発された〔Neriら,Endocrinol.1972,91(2)参照〕 。しかし、これらの生成物は、ホルモン作用を欠いているとはいえ、レセプター 部位に対して全ての天然アンドロゲンと競合し、それによって、男性宿主、若し くは女性宿主の男性胎児、を女性化したり、及び/又は精巣の過剰刺激を起こす フィードバック作用を開始させたりする傾向がある。 ある種の標的臓器例えば前立腺における男性ホルモン活性の主要メディエータ ーは、テストステロン−5α−レダクターゼの作用により標的臓器で局所的に形 成される5α−ジヒドロテストステロン(「DHT」)である。テストステロン −5α−レダクターゼ阻害剤は、これらの臓器におけるアンドロゲン過剰刺激の 症状を防止又は軽減する働きをする。 酵素5α−レダタターゼは、以下に示されているように、 テストステロンからより強力なアンドロゲンであるジヒドロテストステロンへの 還元を触媒する: 以下に示されているフィナステライド(finasteride)〔17β− (N−t−ブチルカルバモイル)−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト −1−エン−3−オン〕は、ヒト前立腺酵素の強力な阻害剤である。 アンドロゲン過剰症の治療に有用であることが知られている(例えば、USP4 ,760,071号参照)。現在、フィナステライドは、55歳以上の男性の殆 どがある程度 罹患している良性の前立腺過形成(BPH)の治療用に処方されている。男性ホ ルモン性脱毛症及び前立腺ガンの治療におけるフィナステライドの有用性は以下 の文献にも開示されている:1988年10月5日公開のEP0,285,38 2号;1988年10月5日公開のEP0285,383号;カナダ特許第1, 302,277号;及びカナダ特許第1,302,276号。 ヒト5α−レダクターゼには2種のアイソザイムが存在する。1方のアイソザ イム(1型)は顔や皮膚の組織の皮脂腺に多く、フィナステライドに対して比較 的非感受性であるが、他方(2型)は前立腺に多く、フィナステライドによって 強力に阻害される。 フィナステライドは、当初、ヒト前立腺酵素の単純で迅速に作用する可逆的阻 害剤(Ki=26nM)であると考えられていたが、臨床試験において、フィナ ステライドの効能は、前立腺酵素に対して認知されていたその効力に基づく予測 をはるかに超えるものであった。例えば、このKiと同程度の循環濃度のフィナ ステライドは、実際にジヒドロテストステロンのレベルを前立腺アイソザイムを 欠く個体に一般に認められるものに近い値まで低下させ、フィ ナステライドを中断した後でジヒドロステロンが基準レベルに戻るまでには少な くとも2週間を要した〔Stoner,J.,Steroid.Biochem .Molec.Biol.37:375−378(1990)及びGormle yら,J.Clin.Endocrinol.Metabol.70:1136 −1141(1990)〕。フィナステライドとヒト前立腺(2型)アイソザイ ムの相互作用をより厳密に評価することにより、フィナステライド及びその特定 のアナログは、それらの効力が標準的な固定時間アッセイでは誤って過小評価さ れてしまうほど遅結合性(slow−binding)の阻害剤であることが判 明した〔Harrisら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A .,89:10787−10791(1992)〕。Fallerらも独自に不 整合性を認めた。最近、Fallerらは、フィナステライドの遅結合性挙動を 詳細に記載しており、その中で、フィナステライドがヒト前立腺アイソザイムに 2.7×105M-1s-1の速度定数で結合して、 Ki<<1nMの実質的に不可 逆的な酵素−阻害剤複合体を形成するとの結論を得たと述べている〔Falle rら,Biochemistry 3 2:5705−5710(1993)〕。 フィナステライドは、BPHの治療に用いられる用量ではヒト皮膚(1型)ア イソザイムの有効な阻害剤ではないが、該アイソザイムと比較的高親和性の複合 体をゆっくり形成する。Tianら,Biochemistry 33:229 1−2296(1994)により測定されたように、この複合体形成の二次速度 定数は4.0×103M-1s-1であり、これは前立腺アイソザイムに対する速度 定数の約1%である。Tianらは、見かけの不可逆的阻害及び構造−活性の考 察に基づき、フィナステライドがマイケル受容体として酵素に共有結合すると述 べている。 本発明は、当業界における予測とは対照的に、フィナステライド及び1,2− 二重結合を有する他の3−オキソ−4−アザステロイドが5α−レダタターゼの 機構に基づく新規な不可逆的阻害剤であることを証明する。1,2−二重結合を 有するこれらの3−オキソ−4−アザステロイドは、ヒト5α−レダクターゼの 1型及び2型酵素により基質として認識され、酵素的還元の間に、ピリジン−ヌ クレオチド補酵素(NADPH)との共有結合付加物を形成する。ジヒドロフィ ナステライドカチオンと酸化ニコチンア ミド補酵素とにより形成された阻害剤−補酵素複合体は、Ki<3×10-13Mの 強力な集取生成物阻害剤(collected−product inhibit or)として前記酵素と結合する。 Kaplanら〔Everseら,Bioorganic Chem.1:2 07−233(1971)〕は、ピリジン−ヌクレオチド結合デヒドロケナーゼ を用いた実験で、数種のピリジン−ヌクレオチド結合デヒドロゲナーゼ、特に乳 酸デヒドロゲナーゼにより自発的に(逆方向で)形成された類似の高親和性不全 性三元複合体を同定した。乳酸デヒドロゲナーゼは、誤ってNDA+にピルビン 酸を付加し、以下に示す阻害剤を形成する: 〔式中、B-は酵素活性部位上の塩基性基を表し、ADPRはアデノシン−ジホ スホ−リボースを表す〕。 1,2−二重結合をステロイドアナログに挿入する方法 は、米国特許第5,084,574号及び同第5,021,571号に記載され ている。1,2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザステロイドの製造は、 以下の刊行物に記載されている:Rasmussonら,J.Med.Chem .29:2298−2315(1986)。発明の詳細な説明 機構に基づく新規な不可逆的ヒト5α−レダクターゼ阻害剤は、1,2−二重 結合を有する3−オキソ−4−アザステロイド、及び5α−レダクターゼ酵素の ピリジン−ヌクレオチド補酵素(NADPH)から形成される。実質的に純粋な 形態で単離された共有結合NADP−阻害剤複合体の構造を、以下に構造式(I )として表す: 〔式中、(P)ADPRは2−ホスホ−アデノシン−ジホスホ−リボースを表す 〕。 当業者には公知のように、構造式(I)の共有結合付加 物は、4−窒素での置換が存在せず且つ3−オキソ位置が保護されている限り、 任意に修飾し得る。特に好ましいのは、アザステロイド環の以下の位置のいずれ かで置換された化合物である:ヒトに投与される1,2−二重結合を有する3− オキソ−4−アザステロイドの構造に応じて、7、15、16及び17位。 5α−レダクターゼ酵素の阻害機構を図式1に示す。天然基質のテストステロ ンの還元と、1,2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザステロイドの還元 とは極めて類似している。というのは、どちらもほぼ同一の高エネルギーエノラ ートを介して進められるからである。テストステロンの場合、水素化物イオンが C−5に移動することにより3,4−エノラートが得られ、プロトンがC−4に 移動することにより還元が完了してジヒドロテストステロンへの互変異性化が可 能になる。1,2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザステロイド阻害剤の 場合には、水素化物イオンがC−1に移動することにより代わりに2,3−エノ ラートが得られる。この水素化物の移動は、実質的に高親和性の複合体を形成し て完了する。というのは、酵素−阻害剤複合体が変性すると、1,2−二重結合 を有する 非転換3−オキソ−4−アザステロイド阻害剤は回収されないからである。この 時点で酵素は捕獲状態になり、プロトンをC−2に移動させて還元を完了させる 用意ができない。エノラート/カルバニオンは、プロトンを見つけることができ ずに、正電荷のピリジニウムイオンをアタックして、酵素が強固に結合した共有 結合付加物を生成する。 酵素−阻害剤複合体は、約1ヶ月の半減期で自発的に分解し、回収されるのは 、ジヒドロ−3−オキソ−4−アザステロイド阻害剤のみである。 図式1: 〔式中、AH及びBHは、酵素活性部位におけるプロトン供与体を表し、(P) ADPRは、2−ホスホ−アデノシン−ジホスホ−リボースを表す〕。 1,2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザステロイド(△1NH−アザ ステロイドとも称される)は、酵素5α−レダクターゼにより選択的に活性化さ れ、構造式(I)の、補酵素NADPHとの新規な共有結合付加物を形成する。 本発明に有用な特に好ましい1,2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザ ステロイドは、以下の構造式(II)の化合物である: 1,2−二重結合を3−オキソ−4−アザステロイドに 挿入する方法は、米国特許第5,084,574号及び同第5,021,571 号に記載されている。構造式(II)のアザステロイドは任意に置換し得る。特に 、構造式(II)のアザステロイドは、17位で、PCT公開WO93/2304 0号に記載のようにエーテル若しくはチオエーテルで;例えばPCT公開WO9 4/07861号に記載のようにアニリドで;PCT公開WO93/23038 号、同WO93/23051号、同WO93/23420号及び米国特許第4, 220,775号、同第4,760,071号、同第4,845,104号、同 第5,237,067号、同第5,091,380号、同第5,061,801 号、同第5,215,894号に記載のように非置換、モノ置換若しくはジ置換 アミドで;米国特許第4,220,775号、同第4,377,584号に記載 のようにオキソで;米国特許第4,220,775号及び同第4,377,58 4号に記載のようにヒドロキシで;米国特許第4,220,775号に記載のよ うにシアノで;米国特許第4,220,775号に記載のようにテトラゾリルで ;米国特許第4,377,584号に記載のようにアリールアルキルカルボニル オキシアルキルで;米国特許第4,377, 584号に記載のようにシクロアルキルアリールカルボニルオキシアルキルで; 米国特許第4,377,584号に記載のようにベンゾイルオキシアルキルで; 米国特許第5,049,562号、同第5,138,063号、同第5,151 ,429号、同第5,237,061号、同第5,120,742号、同第5, 162,332号、同第5,061,802号、同第5,098,908号、同 第5,196,411号、同第5,075,450号、同第5,061,803 号、同第5,324,734号に記載のように置換若しくは非置換アシルで;米 国特許第5,151,430号に記載のようにチオベンゾイルで;米国特許第5 ,162,322号に記載のようにポリアロイルで;米国特許第5,091,5 34号及びPCT公開WO93/23041号、同WO93/23040号に記 載のようにエステルで;PCT公開WO93/23050号、同WO93/23 419号、同WO93/23051号に記載のように置換若しくは非置換アルキ ルで;PCT公開WO93/23048号に記載のように尿素、チオ尿素、カル バメート若しくはチオカルバメートで;又はPCT公開WO93/23041号 、同WO93/23040号に記載のよう にチオエステルで任意(optionally)に置換し得る。 さらに構造式(II)のアザステロイドは、16位で、PCT公開93/230 39号及び米国特許第5,049,562号、同第5,138,063号、同第 5,278,159号及び同第4,377,584号に記載のように低級アルキ ルで;又は米国特許第5,278,159号及び同第4,377,584号に記 載のようにヒドロキシルで任意に置換し得る。 構造式(II)のアザステロイドは、さらに、15位で、PCT公開WO94/ 20104号に記載のようにアルキルオキシ、アルキル又はシアノで任意に置換 し得る。 さらに、構造式(II)のアザステロイドは、米国特許第4,220,775号 に記載のように、7位を低級アルキル基で置換し得る。7−β結合の形成は、米 国特許第5,237,064号に記載されている。 当業界では公知のように、別の置換を含み得ないA環を除き、アザステロイド 上では別の置換も許容される。 5α−レダクターゼ2型酵素との結合を促進するためには、17位を疎水基で 置換するのが好ましい。特に好ま しいのは、17位にアミド又はアニリド置換を有する化合物である。 5α−レダクターゼ1型酵素に対して選択されるアザステロイドは、PCT公 開WO93/23420号に記載されている。 5α−レダクターゼ1型及び2型酵素のどちらに対しても選択されるアザステ ロイドは、PCT公開WO93/23050号に記載されている。 より特定的に言えば、本発明は、ヒト5α−レダクターゼ酵素を共有結合によ り修飾せずにヒト5α−レダクターゼ酵素を不可逆的に阻害することにより、ア ンドロゲン過剰症の治療を要するヒトの該症状を治療する方法に関する。該方法 は、そのような治療を要するヒトに、1,2−二重結合を有する3−オキソ−4 −アザステロイドを投与することを含む。1,2−二重結合を有する3−オキソ −4−アザステロイドを5α−レダタターゼにより選択的に活性化して構造式( I)の補酵素NADPHとの共有結合付加物を生成させる。 この共有結合付加物は、5α−レダクターゼ酵素から極めてゆっくり遊離する ので、該酵素の阻害は実施的に不可逆的となる。 本発明の方法は、酵素を共有結合により修飾せずに自殺阻害剤特性を示す阻害 剤を提供する。一般に「自殺阻害剤」とは、酵素タンパク質を共有結合修飾して 酵素を失活させる阻害剤である。そのような「自殺阻害剤」は医薬としては好ま しくない。何故ならば、共有結合修飾された酵素は、治療を受ける生物の免疫系 により異物として認識され、望ましくない免疫応答を引き起こし得るからである 。本発明の非タンパク質結合付加物は、そのような望ましくない免疫応答の可能 性を排除する。 本発明の持続性酵素結合3−オキソ−4−アザステロイド−NADP付加物は 、臨床面でさらなる利点を提供する。本発明の方法は、投薬計画が中断されたり 、患者が薬剤を服用しそこなったりして1,2−二重結合を有する3−オキソ− 4−アサステロイド剤のレベルが低下したとき でさえ、5α−レダクターゼを持続的に阻害する。この投薬中断の場合、それま で阻害されていた5α−レダクターゼは阻害状態から回復することはできず、新 たに患者によって合成された5α−レダクターゼを阻害するためだけに追加の薬 剤が必要となる。 本発明の方法により治療し得るアンドロゲン過剰症には、良性の前立腺過形成 、男性ホルモン性脱毛症、尋常性アクネ、脂漏症、女性の多毛症及び前立腺ガン が含まれる。 本発明に有用な1,2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザステロイドは 、典型的には、意図する投与形態、即ち、経口投与用の錠剤、カプセル剤、エリ キシル剤、シロップ剤などに関して適当に選択された適当な医薬稀釈剤、賦形剤 又は担体(本明細書では総称して「担体」物質という)と混合し、慣用の医薬実 施に従って、経口投与又は静脈若しくは筋肉注射により全身的に、あるいは局所 的に投与し得る。 例えば、錠剤又はカプセル剤の形態で経口投与する場合、有効薬剤成分は、エ タノール、グリセロール、水などのような経口の医薬上許容し得る無毒性の不活 性担体と組み合わせることができる。本発明の生成物を含むカプセル剤は、 本発明の有効成分をラクトース及びステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カ ルシウム、スターチ、タルク又は他の担体と混合し、混合物をゼラチンカプセル に入れることにより製造し得る。 錠剤は、有効成分を、リン酸カルシウム、ラクトース、コーンスターチ又はス テアリン酸マグネシウムのような慣用の錠剤化成分と混合することにより製造し 得る。さらに、所望又は必要なら、混合物に、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤及 び着色剤を混和してもよい。適当な結合剤には、スターチ、ゼラチン、天然糖類 (例えば、グルコース又はβ−ラクトース)、コーン甘味剤、天然及び合成ガム 類(例えば、アカシア、トラガカント又はアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメ チルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどが含まれる。これらの剤形 に用いられる滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム 、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナト リウムなどが挙げられる。崩壊剤には、スターチ、メチルセルロース、寒天、ベ ントナイト、キサンタンガムなどが含まれるが、それらには限定されない。 液剤は、合成及び天然ガム類、例えば、トラガカント、 アカシア、メチルセルロースなどのような適当に着香した懸濁剤又は分散剤中で 形成する。用い得る他の分散剤にはグリセリンなどが含まれる。非経口投与には 、滅菌懸濁剤及び溶剤が望ましい。静脈内投与が望ましい場合には、一般に適当 な保存剤を含む等張製剤を用いる。 局所用医薬組成物は、例えば、皮膚に適用するように適合された、溶剤、クリ ーム、軟膏、ゲル、ローション、シャンプー又はエアゾール剤の形態であってよ い。本発明の治療法に有用な局所用医薬組成物は、医薬上許容し得る担体と混合 した、約0.001〜0.1%の有効成分を含み得る。 有効薬剤成分を含む局所用製剤は、当業界で周知の多様な担体物質、例えば、 アルコール類、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンA及びE 油、鉱油、プロピレングリコール、PPG2ミリスチルプロピオネートなどと混 合して、例えば、アルコール溶液、局所用洗浄剤、クレンジングクリーム、スキ ンゲル、スキンローション、及びクリーム又はゲル状シャンプー剤を形成するこ とができる(例えば、EP0285382号参照)。 本発明の化合物は、小型の単ラメラ小胞、大型の単ラメ ラ小胞及び多重ラメラ小胞のようなリポソーム送達系形態で投与することもでき る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリ ンのような多様なリン脂質から形成し得る。 本発明の化合物は、化合物分子が結合した個別の担体としてモノクローナル抗 体を用いて送達することもできる。本発明の化合物は、標的薬剤担体として可溶 性ポリマーと結合させてもよい。そのようなポリマーは、ポリビニルピロリドン 、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポ リヒドロキシエチルアスパルタミド−フェノール、又はパルミトイル残基で置換 されたポリエチレンオキシドポリリシン、を包含し得る。さらに、本発明の化合 物は、薬剤の制御放出に有用な生分解性ポリマー群、例えば、ポリ乳酸、ポリイ プシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセ タール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋 若しくは両親媒性ブロックコポリマー、に結合し得る。 本発明の有効物質は、1日当たり1回の投薬、又は1日当たりの全用量を1日 に2、3及び4回に分割して投薬す るのが有利である。本発明の化合物は、適当な経鼻ビヒクルを局所的に使用して 経鼻投与するか、又は当業者には周知の経皮パッチ形態を用いて経皮経路で投与 することができる。経皮送達系形態で投与するためには、投薬計画を通して間欠 的にではなく連続的に投薬を行うのは当然である。本発明の化合物は、ココアバ ター、グリセリン処理のゼラチン、水素化植物油、種々の分子量のポリエチレン グリコールの混合物及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルのような基材 を用いて座薬として送達してもよい。 本発明の化合物を用いる投薬計画は、患者の体型、人種、年齢、体重、性別及 び医学的症状;治療を受ける症状の重篤度;投与経路;患者の腎臓及び肝臓機能 ;並びに用いられる特定の化合物を含む多様な要素に応じて選択する。通常の技 術を有する医師又は獣医であれば、症状の進行を予防、抑制、阻止又は好転させ るのに必要な薬剤の有効量を容易に決定・処方し得るであろう。最適な精度で毒 性なしに効能を生じる範囲内の薬剤濃度を得るには、標的部位に対する薬剤利用 性の動力学に基づく投薬計画が必要である。 これには、薬剤の分布、平衡及び排泄についての考慮も含まれる。本発明の方法 に有用な、1,2−二重結合を有す る3−オキソ−4−アザステロイドの用量は、1日当たり0.01〜50mgの 範囲が好ましく、本発明の利点として示されているように、うっかり服用し損な うことがあっても治療効果が弱まることはない。1日当たり0.1〜10mgの 用量範囲が最も好ましい。 本発明の3−オキソ−4−アザステロイドは周期的な投薬計画に基づいて投与 し得る。効果的な投薬計画の詳細は、投与される特定の3−オキソ−4−アザス テロイドに依存する。フィナステライドのような物質の場合、クリアランスのt1/2 が4時間であるのに対して酵素の再貯留のt1/2が恐らく2日(10倍の長さ )であるとすれば、該物質は、1,2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザ ステロイド以外の同じクリアランス能力を有する古典的薬剤の10倍も有利であ る。「古典的薬剤」という用語は、不可逆的阻害剤としては機能しない医薬上有 効な物質を指す。 本発明の1,2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザステロイドは、医薬 上許容し得る塩の形態で投与し得る。 「医薬上許容し得る塩」という用語は、溶解度若しくは加水分解度を変えるため の剤形として用い得るか、又は徐放 製剤若しくはプロドラッグ製剤として用い得る、塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩 、パノ酸塩(panoate)などのような許容し得る塩を全て包含するものと する。1,2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザステロイドの動力学モデル フィナステライドとヒト5α−レダクターゼとの相互作用を適切に説明する、 機構に基づく阻害の動力学モデルを以下に示す。 公式の動力学機構は、二分子(bi)、二分子(bi)に規律されていること が示されており、テストステロンの付加は二次であり、ジヒドロテストステロン の離脱は一次である。簡明にするために、ニコチンアミド補酵素は省いた。該モ デルは、競合的阻害剤が迅速且つ可逆的に基質のミカエリス複合体に類似した酵 素との弱い複合体を形成することを提示している。酵素は触媒作用を開始し、そ のプロセス中に高親和性酵素−阻害剤複合体(EX)を形成する反応性中間体を 生成する。結局、この複合体が代謝回転して、転換された阻害剤(I*)が遊離 するか、又は(少なくとも変性して)共有結合中間体(X)が遊離し、該中間体 が溶液中でゆっくりI*に分解する。高親和性酵素−阻害剤複合体の形成(k2) 及び代謝回転(k4)は実質的に不可逆的であると考えられる。実際、酵素−阻 害剤複合体の半減期は非常に長いので、阻害は事実上不可逆的であり、阻害剤の 遊離は、触媒作用によりコンピテント酵素を再生させる代謝回転によるよりも酵 素の死によって起こると考えられる。 該モデルは、多くの態様において、遅結合性可逆的阻害剤にも機構に基づく不 可逆的阻害剤にも適用される。標準 的アッセイ条件下では、テストステロンに対するバキュロウイルス発現酵素のKm は、pH7.2、37℃では24.6±0.7nMであることが知見された。 このKm値は、中性pHでの天然ヒト前立腺酵素ついてFallerら,Bio chemistry 32:5705−5710(1993)によって測定され た値(Km=20±3nM)と一致する。NADPHのKmは、該アッセイ条件及 び10×Kmテストステロン下には〜1μMであることが知見された。代謝回転 数は、フィナステライドを用いた滴定により測定すると、pH7.2、37℃で 、kcat=0.075±0.006s-1であった。これらの動力学定数から、kc at /Km=2.99±0.32×106M-1s-1である。[3H]フィナステライ ドを用いた以下の実験において、これらの触媒定数から計算した酵素濃度を用い て化学量論量を予測したが、概して首尾一貫した結果が得られることが知見され た。構造−活性相関 遅結合性で且つ(推論による)機構に基づく阻害を付与する、1,2−二重結 合を有する3−オキソ−4−アザステロイドの構造特性は、実施例8のデータに 示されている。 これらのデータを古いものから順に検討することにより、1,2−二重結合を有 する3−オキソ−4−アザステロイドが機構に基づく阻害剤であり得るという最 初の示唆が得られた。フィナステライドの次の3種の修飾:Δ1,2二重結合の還 元、3−オキソ−4−アザ基のメチル化及び17位での置換を検討した。遅結合 性であると知見された阻害剤について二次速度定数を得、古典的な可逆的阻害剤 であると確認されたものについてのk1値を得る。結論は明らかであり、即ち: (1)1,2−二重結合は機構に基づく阻害に不可欠であり;(2)4−NH− 基を4−N(CH3)−に変換すると機構に基づく阻害は無効になり;(3)機 構に基づく阻害剤では、シクロヘキシル−又はアダマンチル−のような大きな疎 水性置換基が二次速度定数kinac/Kiをテストステロンの代謝回転のkcat/Km に近いレベルに増大させる。機構に基づかないアナログでは、これらの基は可 逆的結合のKiを平行減少させるが、これは、機構に基づく系において該基が結 合には影響を及ぼすが触媒作用には影響を及ぼさないことを示している。一般法 標識[1,2−3H]フィナステライドは比活性が23. 35dpm/fmol(10.52Ci/mmol)であり;[t−ブチル−14 C]フィナステライドは、比活性が25.66dpm/pmol(11.56C i/mol)であり、(14C)−1−ブタノールから調製した。逆相高速液体ク ロマトグラフィーにかけて調べると、放射性標識した化合物はどちらも>97% の純度を有していた。基質(7−3H)テストステロンは、24.6Ci/mm olの比活性を有し、New England Nuclearから購入した。アッセイ 標準アッセイは、総容量100μl中、0.1M MOPS、1mM EDTA 及び0.1%BSAからなる緩衝液中の25nM[3H]テストステロン(13 9,000dpm、無担体)及び500μM NADPHの溶液に、pH7.2 0、37℃で懸濁した100pM 膜結合酵素を含んでいた。阻害剤導入用のビ ヒクルとして1%の最終濃度のエタノールを含んでいた。[3H]ジヒドロテス トステロンの生成速度は、2時間まで又は基質を10%消費するまではほぼ一定 であった。酵素活性単位は、1pmolの生成物/分と定義され、これらの条件 下では444fmol 酵素に等しかった。 1%トリフルオロ酢酸を含む等量又はそれ以上の水を加えて反応をクエンチし た後、反応体を、(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)40%水及び60%メタ ノールからなる等張系中1ml/分で稼働する逆相C−18カラム(Vydac ,4.6×250mm,300Å,5ミクロン)上に直接注入して、[3H]ジ ヒドロテストステロンを分離した。組織抽出物が酵素源である場合、分析前に、 クエンチした反応体を10,000×gで遠心して清澄化した。保持時間はテス トステロンの場合は〜13分、ジヒドロテストステロンの場合は〜20分であっ た。[3H]ジヒドロテストステロンピーク(6ml)を含む流出液を液体シン チレーションバイアルに補集し、効率0.309のAQUASOL 2(14m l,New England Nuclear)を用いて計数した。ZYMARK ロボット及び付属装置にインターフェースしたSUN SPARKSTATIO N 2コンピューターを用い、アッセイを完全に自動化した。 指示された場合には、この酵素について、より伝統的に用いられている条件、 pH5.50及び37℃下での測定 も行った。酵素の調製 天然のヒト酵素は、前立腺(2型)又は頭皮(1型)組織由来であり、組換え ヒト酵素は、Anderssonらのバキュロウイルス発現系(Chan,H. K.,Geissler,W.M.,Andersson,S.,Sex Ho rmones and Antihormonesin Endocrine De pendent Pathology:Basic and Clinical A spects,M.Motta及びM.Serio編,Elsevier Sc ience,1994)により産生させた。最近、同じようなバキュロウイルス 発現系がTianらによって、Biochemistry,33:2291−2 296(1994)にも記載された。酵素濃度は、フィナステライド又は[3H ]フィナステライドを用いた滴定によるか、又は後述のようなkcat及びKm値を 用いる触媒活性から測定した。分子量は、酵素純度の予測から約30,000で あると判明した。 酵素は、粗細胞ホモジネートとしてそのまま用いるか、あるいは、分画遠心法 によりミクロソーム懸濁液として分 離した。一般に、組織又は細胞のペレットは、等量の緩衝液と合わせ、高せん断 力ホモジナイザー(POLYTRON,高速)を用い、10℃以下の氷浴中に数 分間分散させた。この手順は、均一に分散された調製液を得るのに効果的であり 、ホモジナイゼーションを延長(10分)しても酵素活性に悪影響を与えなかっ た。酵素安定性を高めるために、通常、飽和レベルの補因子が含まれた。 組換え前立腺(2型)アイソザイムを用いて得られた以下の結果は典型的なも のであった。バキュロウイルス発現系から、1〜2μMの酵素を含む細胞ペレッ トを得たが、そのうち、酵素は全タンパク質の〜0.2%を占めていたた。金属 キレート剤の不在下に37℃では、濃縮ホモジネート中の酵素の半減期は数分の 長さであったので、強力なメタロプロテアーゼによる汚染があると考えられた。 核エンベロープと結合した天然5α−レダクターゼが膜中に局在化するという報 告に符合して、該酵素は、広範囲の遠心力にわたって沈降した。例えば、0.1 M MOPS、1Mスクロース、10mM EDTA及び100μM NADPH からなる等量の緩衝液中、pH7.2で細胞ペレットを破壊して、1,436単 位の酵素/ml及び10.5mg のタンパク質/mlを含む懸濁液を得た。この懸濁液を分別して、以下のように 分配された酵素を得た:活性の25%は1,000g×30分で、16%は10 ,000g×30分で、15%は100,000g×30分で沈降し、8%は1 00,000g×60分では懸濁したままであった。ホモジネート中の活性の約 36%は遠心後に計測されなかった。1,000〜100,000×gで沈降し た最も比活性の高い画分は比活性が2倍未満増大していた。従って、個々の実験 に要求される条件に応じて、種々の画分を変更可能に用いた。これらの濃縮懸濁 液中で、酵素は、−80℃で凍結しても安定であり、凍結−解凍を繰り返しても 、酵素活性の損失は極くわずかであった。酵素源 この実験にはヒトアイソザイムのみを用いた。天然アイソザイムは頭皮(1型 )又は前立腺(2型)組織由来であり、組換え形態は、バキュロウイルス発現系 により産生させた。特に明記されていない限り、全てのデータは、フィナステラ イドの主要標的である前立腺(2型)アイソザイムに関する。本明細書に記載さ れている全ての実験については、平行実験として又は確認のために、組換え1型 アイ ソザイムを用いた実験も行った。方法及び結果は動力学及び阻害定数値以外は同 一であったので、混乱や反復を避けるために詳細な記載は省く。天然及び組換え 酵素は、テストステロンのKm値及びフィナステライドによる阻害の二次速度定 数については同等の値を有するようであり、交換可能であると判断された。酵素 は、精製処理しにくいことが証明されているので、膜に結合した粗調製物として 用いた。後述するように、フィナステライドを用いた滴定によれば、酵素は、天 然のヒト前立腺組織調製物中のタンパク質の〜0.0001%を構成し、バキュ ロウイルス中では平均〜0.1%を構成していた。 実施例1 酵素−阻害剤複合体の解離速度定数 酵素−阻害剤複合体の解離速度定数は、100倍過剰の非標識フィナステライ ドの存在下の酵素−[3H]フィナステライド複合体からの放射能の放出速度か ら決定した。酵素−[3H]フィナステライド複合体は、総容量3.50ml中 、pH7.2、37℃で、0.1M MOPS、0.1% BSA及び10mM EDTAからなる緩衝液中の過剰な酵素:21.9nM 酵素(比較的ホモジニ アスな10 0,000×g上清画分から得た、〜0.04%純度の6mgのタンパク質)、 9.33nM [3H]フィナステライド(0.343uCi)及び466μM NADPHを含む溶液中で形成した。これらの条件下の[3H]フィナステライ ドの消費について予測された初期半減期は2分であり、反応は1時間で完了する ものと予測された(36%阻害)。2時間後、(1%エタノールを含む)非標識 フィナステライドの933nM溶液を調製して交換を開始した。溶液をアリコー ト(100μl)に分け、これを37℃でインキュベートし、毎日試料を取り出 して、次ステップの結合及び遊離阻害剤の測定のために−80℃で凍結した。 実施例2 結合及び遊離阻害剤の測定 4℃で数時間遠心した、10,000Da カットオフ膜(AMICON,C entricon−10)上の限外濾過により、結合及び遊離放射能の濃度を測 定した。典型的には、限外濾過の前に、100μlの試料を水で1mlに稀釈し 、総溶液と濾液の一部分を、1部の水性試料から20部のAquasol 2( 効率=0.494)までを含むカクテル中で計数した。これらの測定値の標準誤 差は± 5%であった。 添加順序を逆にし、先ず酵素を添加する前に酵素を過剰な非標識阻害剤でブロ ックし、非特異的結合を評価した。これらの対照は、16±2%の見かけ(非特 異的)結合を示した。あるいは、上記の酵素−[3H]フィナステライド複合体 を熱変性させて、13±2%という匹敵し得る値の見かけ残留結合を得たが、こ れは、添加酵素の不在下に認められた[3H]フィナステライドの非特異的結合 12±2%と実質的に同一であった。これらの対照を基にして、観察された遊離 濃度を、16%非特異的結合について式free=freeobs/(1−0.1 6)に従って補正した。非特異的結合(±2%)は、7M 塩酸グアニジンを用 いた変性実験で生起した。この低分子量のリガンドの遊離を確認する方法の証拠 として、7M 塩酸グアニジン中の炭酸脱水素酵素(30,000 Da)及びシ トクロム c(12,400 Da)の各溶液は、これらの膜上で>96%の保持 率を示し続けた。 実施例3 ジヒドロフィナステライドの精製 質量スペクトルの分析に十分な転換阻害剤を得るため に、1,000〜100,000×gで沈降する全てのタンパク質からなるバキ ュロウイルス発現酵素調製物を用いた。総容量13.1ml中、0.1M MO PS、1M スクロース及び10mM EDTAからなる緩衝液中1.39μM 酵 素(41,000単位、141mg タンパク質)、1.14μM 非標識フィナ ステライド(15.0nmol)、0.0113 μM トレーサー[3H]フィナス テライド(1.56μCi)及び573μM NADPHを含む溶液中、pH7 .20で、酵素−[3H]フィナステライド複合体を形成した。ダウンス(do unce)(ホモジナイザー)により該溶液に酵素を分散し、45分間攪拌して 室温に温め、73%阻害を得た。次いで、14,000Daのカットオフ透析チ ューブ(SPECTRAPOR 2)中、1mM MOPS及び1mM EDTA、 pH7.20を含む4Lの水を2回変え、溶液を4℃で一晩透析し、放射能の8 8%を得た。(透析によって損失した放射能をクロマトグラフィーにかけて分析 すると、62%が[3H]ジヒドロフィナステライドとして分離し、残りは[3H ]フィナステライドであった。これは、[3H]ジヒドロフィナステライドとし ての全出発放射能の8%の損失に相当し、 この場合、1.08の分配比を意味する。) 沸騰水浴中で20分間熱変性させて酵素−阻害剤複合体から結合放射能を放出 させ、100,000×gで90分間遠心して沈降したタンパク質を除去し、上 清中で結合放射能の90%を回収した。この溶液を10,000 Daのカット オフ膜(AMICON,YM−10)を介した限外濾過によりさらに清澄化し、 放射能の84%を回収した。 次いで、逆相高速液体クロマトグラフィーにより放射性種を精製した。5ml 試料ループを用いる多重注入により、0.1%トリフルオロ酢酸を含む水で平衡 にしておいた、アッセイに用いたものと同じ分析用C−18カラム(VYDAC 、4.6×250mm、300Å、5ミクロン、流速=1ml/分)上に溶液( 21.8ml)をロードした。適用中及びその後水で20分間洗浄している間に 流出液中に1%未満の適用放射能が検出された。次いで、40分かけて0→10 0%の線形勾配のメタノールで溶離し、93%メタノールの公称濃度で表れた単 一のシャープなピークとして放射性成分を得た。適用放射能の回収率はわずか3 7%であり(その理由は後で明らかになった)、全回収率は、透析した酵素−阻 害剤複合体中の3H含量の28% であった。この調製物に関する質量スペクトルを記録した。 実施例4 ジヒドロフィナステライドの同定 酵素−[3H]フィナステライド複合体(〜1pmol,25,000dpm )を沸騰水浴中で変性させ、0.5当量の新鮮な[3H]フィナステライドと合 わせ、酵素アッセイの場合と同じ条件下に逆相カラム上のクロマトグラフィーに かけた。これと、類似のクロマトグラムからのデータとから、酵素−阻害剤複合 体から1種の放射性標識化合物が遊離し(回収率:〜45%)、該化合物が[3 H]フィナステライドとは異なることが示された。A210でモニターして非標識 フィナステライド混合物(3mmol)と標準ジヒドロフィナステライド(10 mmol)の保持時間を比較し、未知物質を暫定的にジヒドロフィナステライド と同定した。 実施例5 NADP−ジヒドロフィナステライド付加物の精製 酵素−阻害剤複合体を調製するために、(2μM 組換えヒト前立腺5α−レ ダクターゼを含む)バキュロウイルス発現系からの凍結細胞ペレット22.5g を0.1M M OPS緩衝液とpH7.20で合わせ、100μM NADPH及び2μM(14 C)フィナステライド(2.84×106dpm,酵素の2倍過剰)を含む懸濁 液を調製した。この溶液を上述のようにホモジナイズし、次いで、室温で〜2時 間攪拌した。複合体が形成された後、SPECTRAPOR−2透析チューブ( 14,000 Daカットオフ)中の2×4,000mlの0.001M MOP S、0.001M EDTA、pH7.2に対して4℃で3日間透析して過剰な [14C]フィナステライドを除去した。442nM 酵素[14C]阻害剤複合体 を含む100.6mlが回収されたが、これは、全放射性標識の40%に相当し た。 この後で、Ryersonら、Biochemistry,21:1144− 1151(1982)により[4−3H]NADHの製造に用いられた方法に従 い、重炭酸アンモニウムを含む全溶液をアンモニア水でpH9に調整して遊離付 加物を緩衝化した。透析した酵素−[14C]フィナステライド複合体(95.6 ml,1.085×106dpm)を、2mlの1M 重炭酸ナトリウム、pH9 .0を含む95.6mlの95%エタノールと混合して変性させた。懸濁液を室 温で30分間攪拌し、次いで、10,0 00×gで45分間遠心して、殆どの不溶性物質を除去した。上清は93%の放 射能を含んでいた。 Pharmacia Fast Q−50アニオン交換マトリックス(5mlカ ラム容量,150×7mm)上、室温で予備精製を行った。遠心したエタノール 水溶液(1.007×106dpm又は224nM [14C]付加物を含む175 ml)をカラム(0.01M 重炭酸アンモニウム、pH9に平衡にしたHCO3 - 形)にかけ、0.05Mで出発し、0.05Mずつ段階的に増大させて0.3 5Mが最終となる増大濃度の重炭酸アンモニウム(pH9.0)50mlずつを用 いてカラムを展開させた。付加物を、0.20M及び0.25M 重炭酸アンモニ ウム画分中で溶離し、適用した14C−標識の68%を得た。素通り(flow− through)画分は放射性標識の3%を含み、他の画分はそれぞれ≦0.5 %を含んでいたが、残りのものは溶出しなかった。0.20Mと0.25Mの重 炭酸アンモニウム画分をプールし、暗所で一晩凍結乾燥し、白い羽毛状のタンパ ク質残留物を2.0mlの0.01M 重炭酸アンモニウム(pH9)に溶解し た。この時点までの回収率は、透析した酵素−阻害剤複合体の14C含量の63% であっ た。 溶液を遠心し、リンスして、Pharmacia Mono Qアニオン交換カ ラム(0.01M 重炭酸アンモニウム、pH9、及び50%メタノールに平衡 にしたHCO3 -形)にかけた。付加物を、1ml/分の流速で、50分かけて、 0→0.5M勾配の重炭酸アンモニウム(pH9)で溶離した。メタノール含量は 常に50%に保持した。0.266M 重炭酸塩の公称濃度で単一のシャープな ピークとして付加物が溶出したが、これは適用した放射能の98%であった。ピ ーク14C画分をプールし、メタノールをアルゴンで吹き飛ばし、次いで、溶液を 暗所で凍結乾燥して透明なガラス体を得た。精製した付加物(672,000d pm)を400μlの0.1M 重炭酸アンモニウム、pH9に溶解し、透析し た酵素−阻害剤複合体からの62%という総回収率にあたる65.4μM 溶液 を得た。この溶液のスペクトルを記録した。 該付加物は、そのNAD−ピルビン酸対応物よりも酸化に対してより安定なよ うであり、解離に対しては確実により安定である。[14C]−ジヒドロフィナス テライドを形成する能力と定義される、NADP−[14C]ジヒドロフ ィナステライド付加物の完全性を、60%水性メタノール中の逆相カラム(VY DAC,4.6×250mm,300Å,5ミクロン,流速=1ml/分)上の 高速液体クロマトグラフィーにかけて測定した。同時注入して測定すると、保持 時間は約14分であり、[3H]フィナステライドより常に1.4分長かった。 反応は酸触媒性であることが知見された。0.1M ギ酸アンモニウム緩衝液中 、pH4.00、100℃での分解の半減期は〜1分であり、これらの条件下に 無限時間での[14C]−ジヒドロフィナステライドへの転換率は88%であった 。このように分析すると、付加物は、重炭酸アンモニウム緩衝液中、pH9、− 75℃で貯蔵(又は該緩衝液から凍結乾燥)した数ヶ月の間安定なようであった 。陽性対照として、0.001M メト硫酸フェナジンで、中性、室温下に1時間 酸化すると、[14C]−ジヒドロフィナステライドへの解離能が完全になくなっ た。 該付加物は、その両親媒性構造を示すものとして、いくつかのクロマトグラフ マトリックス上で異常な挙動を示す。酸性条件下の60%水性メタノール中の逆 相クロマトグラフィーでは[14C]−ジヒドロフィナステライドのみが溶 出し、中性条件下には、付加物は貫流交換容量(breakthrough v olume)で溶出し、次いで正常時間に[14C]−ジヒドロフィナステライド が溶出する。また、50%メタノールの不在下の任意の重炭酸塩濃度のMono Qカラムからは付加物が全く溶出しないであろう。 全ての証拠は、阻害剤と補酵素の共有結合付加物を示唆している。(1)吸収 及び蛍光スペクトルは、NAD(P)H、NAD−ピルビン酸複合体及びアナロ グ、並びにKaplanらにより記載されたNAD−シアン化物付加複合体のも のと類似している。(2)加熱すると、該化合物は、水中、中性pH及び100 ℃で〜6×10-4s-1の速度定数及び20分の半減期で(14C)ジヒドロフィナス テライドに分解する(これで、上述の熱変性実験におけるジヒドロフィナステラ イドの回収率の理由が明らかになる)。(3)ジヒドロピリジン環の選択的酸化 剤であるメト硫酸ピラジンで処理すると[14C]ジヒドロフィナステライドに分 解されなくなった。(4)その質量スペクトルにおける最も大きな親イオンピー クが、1116Daという正しい電荷/質量比を有していたことで、該付加物の 同定が確実になった。質量分析法 加熱ネブライザーインターフェース及び正イオン検出器を用い、SCIEX API III質量分析計上のLC/MS/MSにより、熱変性させた酵素−[3H ]フィナステライド複合体から精製した[3H]ジヒドロフィナステライドの質 量スペクトルを記録した。5mM 酢酸アンモニウム及び0.05%トリフルオ ロ酢酸を含む50%水性アセトニトリルの移動相に試料を直接注入して分析を行 った。2,000 Daまでのスキャン中に、375 Daにたった1つの顕著な 分子イオン(M+1)が検出され、該イオンから、以下の図7に示されているよ うな、標準ジヒドロフィナステライドと同じ娘イオンスペクトルを得た。標準と してジヒドロフィナステライドを用いた定量分析により、娘イオンのピーク強度 は、出発[3H]フィナステライドの比放射能から予測されたものと同じか、又 はそれより強い(180%)ものであることが示されたが、これは、[3H]ジ ヒドロフィナステライドが未知試料中では唯一の有意な成分であったことを示唆 している。 該付加物の吸収及び蛍光スペクトルをNADPHと比較した。該付加物は、14 C−含量に基づく最大吸収が26 0nm及び325nmであり、吸光係数がそれぞれ3.13×104及び5.8 8×103M-1cm-1であり、最大蛍光放出は441nmであった。0.1M 重 炭酸アンモニウム、pH9中でスペクトルを得たが、蛍光は、個々の長波長の吸 収最大のところで励起した。260nmでの異常に高い吸光係数は、調製物中の 残留不純物により生じたものと思われる。 熱変性させた酵素−阻害剤複合体から遊離した推定[3H]フィナステライド を28%の総回収率で精製した。質量分析法により分析すると、(M+1)=3 75の単一の顕著な分子イオンが示され、これは、ジヒドロフィナステライドと 一致した。 この分子イオンにも、標準ジヒドロフィナステライドの分子イオンにも同一の 娘イオンフラグメンテイションパターンが認められ、帰属が確実になった。計算 FORTRAN 77コンピュータープログラムの最小二乗Marquard tアルゴリズムを用い、非線形回帰により、データを適切なモデル及び速度式に 当てはめた。 遅結合性阻害のデータを、Morrisonら,Adv. Enzymol.61:201−301(1988)により検討された方法で分 析した。動力学モデルは発明の詳細な説明に示されている。Aが生成物濃度、v0 が初速度、vsが無限時間速度、kobsが2つの平衡状態間の酵素の一次反応速 度定数である、積分一次反応速度式(式1)に時間経過を当てはめた。無限時間 における速度は実質的にゼロであった。 A=vst+(v0−vs)(1−e-kobst)/kobs+Ao 式1 固定時間アッセイを用い、フィナステライドがテストステロンと競合すること は既に証明されているので、この態様は記載せず、単にテストステロン濃度(S )をKmで一定に保った。式2に当てはめて計算した初速度v0の非線形回帰によ り、弱い可逆性酵素−阻害剤複合体の定常解離定数Kiを得た。その関係は、古 典的競合阻害剤について予測されたものと同一である。 v0=kcat(E) (S)/(Km(1+(1/Ki))+S) 式2 これもKiの関数である式3への非線形回帰により、低親和性複合体から高親 和性複合体への転換の速度定数k2を得た。該式は、代謝回転はしないがフィナ ステライドに最も類似した可逆的で機構に基づかない阻害剤にぴったり 当てはまる。酵素−阻害剤複合体から検出可能な[3H]フィナステライドの交 換が不在であることから、高親和性複合体の形成は不可逆的であると考えられる ので、逆反応速度定数k-2はゼロとした。 kobs=k-2+k2[(I/Ki)/(1+(S/Km)+(I/Ki)] 式3 フィナステライドによる前立腺(2型)アイソザイムの阻害の場合、これらの 適合(fit)が分母項のI/Kiに比較的影響を受けないということは、この 複合体のKiがアクセス可能な阻害剤濃度範囲より大きいことを示している。従 って、二次速度定数(k2/Ki)のみが確実にわかる。これは、この複合体が動 力学的に有意であり、Ki=360nM(Tianら,前掲)を有していた皮膚 (1型)アイソザイムには当てはまらない。非共有結合 高親和性複合体は、フィナステライドと酵素との共有結合は含まないようであ る。このことは、結合体と遊離体とを定義付けるための、10,000 Da膜上 の限外濾過を用いる、いくつかの酵素−[3H]フィナステライド複合体の変性 法により証明される。該方法のうち、沸騰水浴中で2分間熱変性させると放射性 標識の>96%が遊離し、 45%エタノール水溶液に懸濁すると>77%が遊離し、7M 塩酸グアニジン に溶解すると>99%が遊離した。ジヒドロフィナステライドの同定 酵素−[3H]フィナステライド複合体から自発的に放出された放射性種を、 逆相カラム上の同時クロマトグラフィーにより、暫定的に還元生成物、[3H] −1,2−ジヒドロフィナステライドと同定した。参照標準としての[3H]フィ ナステライド(1当量)と熱変性させた[3H]フィナステライド−酵素複合体 (2当量)の溶液とを同時注入すると、このラジオクロマトグラムが認められた 。最初に示したように、基準の非標識化合物の保持時間と比較して、未知のピー クを暫定的に1,2−ジヒドロフィナステライドと同定した。 実施例6 フィナステライドとの酵素−阻害剤複合体形成の速度定数 フィナステライドの効力は、フィナステライドの最低実質濃度(2nM)にお いてさえ見られた無限時間でのほぼ完全な活性の抑制から明らかである。これは 、全平衡定数(Ki *)が<100pMであることを意味している。天然酵素の場 合、遅結合性阻害の時間経過は、pH5.5、3 7℃での伝統的なアッセイ条件下に測定した遊離酵素及び阻害剤からの高親和性 複合体形成の二次速度定数、kon=k2/Ki=2.53±0.03×105M-1 s-1に対応する。組換え酵素を用い、pH7.2、37℃の標準アッセイ条件下 に、実質的に同じ速度定数、kon=3×105m-1s-1を得た。 理論線(theoretical line)の初速度はフィナステライドの 濃度とは無関係であり、これは、酵素が有意なモル分率でこの濃度範囲では初期 複合体(preliminary complex)として存在しないことを示し ている。同様に、時間経過を示す一次速度定数は、動力学的に有意な初期複合体 の不在下に予測されたように、阻害剤濃度にほぼ線形に依存していた。該理論線 は、初期複合体についてはKi=100nMに対応し、これは、アクセス可能な 阻害剤濃度範囲を十分上回るものである。Kiがこの最小値であるとすれば、提 示されたゆるい可逆的複合体から高親和性複合体への転換は速度定数k2>=0 .025s-1で生起し、半減期は≦30秒である。 これらの結論及び動力学定数は、kon=2.7×105M-1s-1であり、フィ ナステライドによる天然ヒト前立 腺酵素の阻害の解離定数(Ki)がpH7.0では150nMより大きいとの結 論を下した最近のFallerらの研究(10)と一致する。 実施例7 酵素−フィナステライド複合体の解離速度定数及び分配比の測定 阻害進行の時間経過は、稀釈、透析又はテストステロンとの競合により起こり 得る酵素−阻害剤複合体の解離を酵素活性の回収とみなすのは馬鹿げたことであ ることを証明した。Ki *<100pMとすると、結合の速度定数から、酵素−阻 害剤複合体の解離(又は代謝回転)の半減期は37℃で>6時間であると予測さ れる。これは、補酵素の不在下には37℃で4.66±0.41時間であったこ れらの粗膜調製物中の遊離酵素の半減期より長い。従って、活性酵素は、解離中 には蓄積されないと考えられるし、実際にフィナステライドによる阻害は不可逆 的なようである。 酵素−阻害剤複合体の安定性は、予想される交換を推進する非標識フィナステ ライドの存在下に測定された、予備形成された酵素−[3H]フィナステライド 複合体からの[3H]阻害剤の遊離速度から測定した。交換溶液は、9. 33nM 予備形成膜結合酵素−[3H]フィナステライド複合体及び100倍過 剰の非標識フィナステライドを含み、解離はpH7.2、37℃でモニターした 。一般法の章に記載したように、結合及び遊離放射性標識の濃度は、10,00 0 Daカットオフ膜を介した限外濾過により測定した。遊離[3H]阻害剤の出 現の時間経過を3週間にわたって測定した。これらのデータは、酵素−阻害剤複 合体の一次崩壊は、31.2±0.4日の半減期に相当する、速度定数koff= 2.57±0.03×10-7s-1で生起することを示している。粗な膜結合状態 の酵素であるとすれば、酵素と膜のゆっくりした分解は部分的に又は全体的に、 観察された遊離速度に十分影響し得、酵素−阻害剤複合体の真の解離速度定数は この値より小さい可能性さえある。分配比 機構に基づく阻害剤の特性は、該阻害剤が、いったん酵素により活性化される と、遊離溶液への無害な解離と、酵素の致死的失活という2つの道に分配され得 ることである。Walsh(13)により示されたように、失活の速度定数に対 する全消費の速度定数の比、即ち分配比は、そのよ うな阻害剤の効率の重要な尺度となる。即ち、分配比が小さければ小さいほど、 標的酵素の阻害に必要な薬剤分子が少なくなる。フィナステライドの分配比は、 <=1.07であると考えられる。これは、オフレイト(off−rate)実 験(上述)及び一般法の章に記載した酵素−阻害剤複合体の調製から証明される 。この基準からすれば、フィナステライドは、機構に基づく格別に有効な阻害剤 である。 解離速度定数の測定中の1ヶ月間に蓄積された遊離[3H]阻害剤の場合、[3 H]H2Oは全く認められず、[3H]−1,2−ジヒドロフィナステライドの回 収率は、[3H]フィナステライド−酵素複合体から放出された遊離トリチウム の>95%にのぼった。非標識フィナステライドプールとの逆交換の可能性にも 拘わらず、非転換[3H]フィナステライドが全く検出されなかったということ は、高親和性酵素−阻害剤複合体の形成が実質的に不可逆的であることを示唆し ている。 1,2−[3H]ジヒドロフィナステライドとして転換された阻害剤の帰属を 質量分析法で確認した。精製については一般法の章に詳細に記載されている。膜 に結合した酵 素−[3H]フィナステライド複合体から阻害剤を遊離させるには熱変性を用い 、遠心(回収率90%)、限外濾過(回収率84%)及び逆相高速液体クロマトグ ラフィー(回収率37%)により放射性成分を精製した。精製された放射性成分か ら、ジヒドロフィナステライドと合致する375 Daの主要分子イオンを得た 。その娘イオンスペクトルを標準ジヒドロフィナステライドのものと比較して、 帰属についての明白な証拠を得た。共有結合中間体 結局、ジヒドロフィナステライドは、酵素−阻害剤複合体の変性により遊離す る中間生成物ではないことが明らかになった。いくつかの証拠から、はるかに極 性の[3H]標識成分が遊離することが示された。なかでも、逆相カラム上での [3H]ジヒドロフィナステライドの回収率は、熱変性させた酵素−阻害剤複合 体から遊離した放射能の35〜45%に過ぎず、残りは(酸性条件下には)決し て溶出されないという事実には当惑させられた。さらに、塩酸グアニジンを用い た変性により遊離した放射能の<5%は、極性が[3H]ジヒドロフィナステラ イドと全く異なるクロロホルムに分配されることが知見された。この極性中間 体は、いずれの変性法によっても遊離する放射能の殆ど又は全てを占め、クロマ トグラフィーでは異常な挙動を示し、熱変性中に不可逆的に[3H]ジヒドロフ ィナステライドに転換されることは明らかである。NADP−ジヒドロフィナステライド付加物の分解 酵素動力学定数に用いたものと同じ条件下に、共有結合中間体からNADP+ 及びジヒドロフィナステライドへの非酵素的分解の速度定数を測定した。実施例 5参照。pH7.2、37℃での定数kx=7.21+0.27×10-7s-1及 び11.1±0.4日の半減期を計算した。[14C]ジヒドロフィナステライド の形成は無限時間では75%完了したが、これは恐らくジヒドロピリジン環の酸 化のような競合する副反応によるものと考えられる。対照的に、NAD−ピルビ ン酸付加物は、非常に不安定なために正常な反応速度測定ができない。 実施例8 NADP−ジヒドロフィナステライド付加物による5α−レダクターゼの阻害 遊離NADP−ジヒドロフィナステライド複合体と酵素との結合の速度定数を 、フィナステライドによる遅結合 性阻害について記載したものと類似の時間経過から測定した。1,2−二重結合 を有するこの3−オキソ−4−アザステロイド阻害剤の場合、結合は第1基質( NADPH)と競合的であり、第2基質(テストステロン)の飽和濃度には無関 係であった。このパターンは、酵素のE−NADP+形態及び遊離E形態の両方 との阻害剤の結合と一致し、集取生成物阻害剤について予想されたパターンと合 致する。k=kobs *(1+(NADPH)/Km)であるから、ゼロのピリジン −クレオチド補酵素濃度に対して外挿すると、付加物と遊離酵素との結合の速度 定数は、k-3=〜1×106M-1s-1となる。これは、フィナステライドが正方 向で高親和性複合体を形成する速度定数よりわずかに速く、該酵素によるテスト ステロンの全代謝回転の二次速度定数kcat/Kmに近い。 正方向では、コンピテント酵素からの(無傷又は恐らく遊離ジヒドロフィナス テライドとしての)付加物の遊離速度定数は、酵素−[3H]フィナステライド 複合体の[3H]ジヒドロフィナステライドへの崩壊に認められる速度定数(3 ×10-7s-1)以下でなければならない。従って、これらの速度定数の比から、 酵素からのNADP−ジ ヒドロフィナステライド複合体の解離定数は、Ki x<3×10-13Mとなる。 単離された複合体のNADP+及び[14C]ジヒドロフィナステライドへの崩 壊を時間の関数として測定し、NADP−ジヒドロフィナステライドの非酵素的 分解の速度定数を決定した。該複合体(235nM)を、0.1M MOPS、 0.1% BSA及び1mM EDTA中、pH7.2、37℃でインキュベート し、毎日、画分を取り出し、−75℃で貯蔵した。該画分を後で、逆相クロマト グラフィーにより、60%メタノールの中性等張系を用いるアッセイ(この場合 、[14C]ジヒドロフィナステライドの保持時間は14分である)について記載 の方法で分析した。y軸は、注入された各試料(2,410dpm)中の総14C −標識に関して表した。100℃で加熱して測定すると、反応は、無限時間で0 .753完了した。非線形回帰により測定すると、該結果は一次崩壊に一致し、 速度定数はkx=7.21+0.27×10-7s-1、無限時間での転化率は0. 754±0.015である。 実施例9 NADP−ステロイド付加物形成の構造要件 フィナステライドに対する3種の構造的変化の置き換えを、時間依存性阻害を 無効にするフィナステライドの能力についてテストした。全化合物をpH5.5 、37℃での該化合物の見かけIC50値でテストした。遅結合性阻害を示すもの は、上記フィナステライドについて記載のように測定したkon値により同定する 。時間依存性阻害が検出されなかったものは見かけKi値により同定する。該デ ータは、1,2−不飽和及び遊離−4−NH−部分が遅結合性で且つ(推論によ り)類似のNADP−ステロイド複合体の形成を介した高親和性の阻害に不可欠 であることを示している。 これらの結果は、3−オキソ−4−アザステロイドによる時間依存性阻害には 、A環の不飽和が必要ではあるが十分ではないことを証明している。この阻害機 構は、A環の不飽和とNH−アザステロイドの両方を必要とする。 実施例10 ヒト皮膚アイソザイムの阻害 組換えヒト皮膚(1型)アイソザイムを用いた平行実験により、フィナステラ イド及び1,2−二重結合を有する他の3−オキソ−4−アザステロイドは、該 酵素に対して同じ阻害機構を有するが、特にフィナステライドは、はるかに小さ い二次速度定数、kon=〜3×103M-1s-1で結合することが示される。この 速度定数は、前立腺(2型)アイソザイムに対しては〜1%であり、そのために 前 立腺形態に対してはフィナステライドが選択される。付加物の形成は、それより 効率が低く、〜2の分配比で生起する。酵素−[3H]フィナステライド複合体 を変性させると、同じ共有結合NADPH−[3H]ジヒドロフィナステライド 付加物が遊離した。[3H]阻害剤(組成は測定せず)がこの複合体の膜結合調 製物から自発的に遊離する速度定数は、37℃でkoff=〜6×10-7s-1であ り、これは、酵素−阻害剤複合体の2週間の半減期に対応する。これらの速度定 数の比から≦200pMという定常状態のKi *が予測される。 実施例11 1型及び2型ヒト酵素の阻害活性の比較 実施例9の手順に従い、以下の化合物をそれぞれヒト1型及び2型酵素でテス トした。結果を以下に示す。 表2及び表3に示されているデータによれば、該化合物は以下の選択性を有し ている: 本明細書は本発明の原理を教示し、実施例は例示のために提供されているが、 本発明の実施には、本明細書に記載 されている手順及びプロトコルについて、以下の請求の範囲及びその均等物の範 囲内のその時々の変更、適合、改変、削除又は追加の全てが包含されるものとす る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U G),UA(AZ,BY,KZ,RU,TJ,TM),A L,AM,AU,AZ,BB,BG,BR,BY,CA ,CN,CZ,EE,FI,GE,HU,IS,JP, KG,KR,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,M G,MK,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU ,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA, US,UZ,VN (72)発明者 ハリス,ジヨージアナ・エス アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・ 07065、ローウエイ、イースト・リンカー ン・アベニユー・126

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 5α−レダクターゼ酵素により1,2−二重結合を有する3−オキソ−4 −アザステロイドを活性化することにより1,2−二重結合を有する3−オキソ −4−アザステロイド及び補酵素NADPHから形成された共有結合付加物であ る化合物であって、但し、1,2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザステ ロイドが: ではない前記化合物。 2. 1,2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザステロイドが: (ここで、RはH又は低級アルキルであり、Arは任意に置換されたアリール又 はヘテロアリールである)、又は (ここで、R1及びR2は独立にH及び低級アルキルから選択される) ではない、請求項1に記載の化合物。 3. 構造式(I): (ここで、該化合物のステロイド部分は17、16、15 及び7位の1つ以上の位置で任意に置換される) を有する、請求項1に記載の化合物。 4. 構造式(I): (ここで、該化合物のステロイド部分は、17、16、15及び7位の1つ以上 の位置で任意に置換される) を有する、実質的に純粋な形態の化合物。 5. 以下の構造式: を有する、請求項4に記載の化合物。 6. 5α−レダクターゼ酵素により1,2−二重結合を有する3−オキソ−4 −アザステロイドを活性化することにより1,2−二重結合を有する3−オキソ −4−アザス テロイド及び補酵素NADPHから形成された共有結合付加物である化合物を含 む医薬組成物。 7. 共有結合付加物が、構造式(I): を有する、請求項6に記載の医薬組成物。 8. 共有結合付加物が、以下の構造式: を有する、請求項6に記載の医薬組成物。 9. ヒト5α−レダクターゼ酵素を共有結合により修飾せずに該5α−レダク ターゼ酵素を不可逆的に阻害することによりヒトのアンドロゲン過剰症を治療す るのに有用な医薬品を製造するための、1,2−二重結合を有する3−オキソ− 4−アザステロイドの使用であって、但し、1, 2−二重結合を有する3−オキソ−4−アザステロイドが: ではない前記使用。 10. ヒト5α−レダクターゼ酵素を共有結合により修飾せずに該5α−レダ クターゼ酵素を不可逆的に阻害することによりヒトのアンドロゲン過剰症を治療 するのに有用な医薬品を製造するための、1,2−二重結合を有する3−オキソ −4−アザステロイドの使用であって、但し、1,2−二重結合を有する3−オ キソ−4−アザステロイドが: (ここで、RはH又は低級アルキルであり、Arは任意に置換されたアリール又 はヘテロアリールである)、又は (ここで、R1及びR2は独立にH及び低級アルキルから選択される) ではない前記使用。
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