【発明の詳細な説明】
骨形成の促進および骨再造形の調節のためのIGF/IGFBP複合体 技術分野
本発明は、概してポリペプチド因子ならびに骨成長および成熟におけるその使
用に関する。具体的には、本発明は、骨吸収のインヒビターの存在下または非存
在下でのインスリン様成長因子(IGF)とインスリン様成長因子結合タンパク質
(IGFBP)との複合体の、骨形成を刺激するための使用に関する。背景技術
成長因子は、広範な種々の生物学的応答(例えば、DNA合成、細胞分裂、細胞
分化、特定の遺伝子の発現など)を標的細胞の規定された集団において刺激する
ポリペプチドである。トランスフォーミング成長因子β1(TGF-β1)、TGF-β2
、TGF-β3、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、繊維芽細胞増
殖因子(FGF)、インスリン様成長因子I(IGF-I)、およびIGF-IIを包含する種
々の成長因子が同定されている。
IGF-IおよびIGF-IIは、アミノ酸配列および構造において関連しており、各々
のポリペプチドは約7500ダルトンの分子量を有している。IGF-Iは成長ホルモン
の主要な効果を媒介し、従って生後の骨格成長の主な媒介物質である。IGF-Iは
また、種々の他の成長因子の作用において関連している。なぜなら、このような
成長因子での細胞の処理は、IGF-I産生の増加を導くからである。IGF-IおよびIG
F-IIの両方は、インスリン様活性を有し(それゆえ、この名称を有する)、そし
て骨格組織(例えば、筋肉および骨)ならびに非骨格組織の成長および分化に関
与する種々のタイプの細胞に対してマイトジェン性である(細胞分裂を刺激する
)。
IGFを血清中で測定して、異常成長関連症状(例えば、巨人症、末端肥大症、
小人症、種々の成長ホルモン欠損など)を診断し得る。IGFは多くの組織におい
て産生されるが、大部分の循環IGFは肝臓において合成されると考えられている
。
大部分の成長因子とは異なり、IGFは実質的な量で循環中に存在するが、このI
GFの非常に少ない画分のみが、循環中またはその他の体液中で遊離している。大
部分のIGFは、IGF結合タンパク質と複合体化されている。血中のIGFは、主にIGF
BP-3と複合体化されており、これは、主要な循環IGF結合タンパク質である。ほ
とんどすべてのIGFは、非共有的に会合した、IGF-IまたはIGF-II、IGFBP-3と称
するIGF特異的結合タンパク質、および酸不安定サブユニット(Acid Labile Sub
unit)(ALS)と称するより大きなタンパク質からなる三重複合体中で循環する
。この三重複合体は、等モル量の各々の3つの成分からなる。ALSは直接的なIGF
結合活性を有さず、予め形成されたIGF/IGFBP-3複合体にのみ結合するようであ
る。IGF+IGFBP-3+ALSの三重複合体は、約150,000ダルトンの分子量を有する。
この三重複合体は、循環中において、「遊離IGFの急速な変化を防止するIGF-Iお
よびIGF-IIのための貯蔵物および緩衝物として」機能しているようである。Blum
,W.F.ら、「臨床的指標としての血漿IGFBP-3レベル」、Modern Concepts in In sulin-Like Growth Factors
,E.M.Spencer編、Elsevier,New York、381-393頁
、1991。
大部分の循環IGFを複合体中に有することが有益である。IGFは循環グルコース
レベルに対してインスリン様効果を有するので、過剰の遊離IGFは重篤な低血糖
症を引き起こし得る。遊離IGFおよびIGFBP-3の低レベルとは対照的に、血漿中に
は遊離ALSの実質的なプールが存在し、これは循環に入るIGF/IGFBP-3複合体が、
直ちに三重複合体を形成することを確実にする。IGF 結合タンパク質
IGFBP-3は、循環における最も豊富なIGF結合タンパク質である。近年、Woodら
(Mol .Endocrin. (1988),2:1176-85)およびSprattら(Growth Factors(1990)
,3:63-72)は、ヒトIGFBP-3のクローニングおよび発現を記載した。その構造は
本明細書中に参考として援用される。IGFBP-3に対する遺伝子は291アミノ酸をコ
ードし、その最初の27は特徴的なシグナル配列を表す。従って、成熟タンパク質
は264アミノ酸を含み、そして28,749の推定分子量(グリコシル化またはその他
の翻訳後変化を除く)を有する。ヒトIGFBP-3遺伝子をチャイニーズハムスタ
ー卵巣(「CHO」)細胞において発現させ、馴化培養培地をSDS電気泳動に供し、
そしてリガンド結合分析のためにニトロセルロースメンブランに移した場合、Sp
rattらはタンパク質バンドである「43〜45 kdのダブレット、28 kdのバンドおよ
びマイナーな31 kdのバンドの存在」を報告した(69頁)。このことは翻訳後変
化の存在を示す。並べた(side-by-side)比較により、43〜45 kdのダブレット
はヒト血清においても存在することが示された。
図12〜15は、本発明における種々の形態の使用のために適切な、IGFBP-3のコ
ード配列および推定アミノ酸配列を示す。
どの組織が循環IGFBP-3の1次供給源であるかは明らかではないが、合成は多
数の細胞タイプにおいて示されている。それらは、ヒト繊維芽細胞、肝臓細胞(
おそらくクッパー細胞である)および骨芽細胞を包含する。IGFBP-3 cDNAを含有
するcDNAライブラリーが肝臓およびその他の組織から得られている。血管内皮細
胞はIGFBP-3を産生し、そして全身のIGFBP-3の主要な供給源であり得る。
IGFBP-3は天然の供給源から精製され、そして組換え手段により生産されてい
る。例えば、IGFBP-3は、MartinおよびBaxter(J .Biol.Chem.(1986)261:875
4-60)において示されるプロセスのようなプロセスを用いて、天然供給源から精
製され得る。IGFBP-3はまた、Sommer,A.ら、Modern Concepts of Insulin-Like Growth Factors
,E.M.Spencer編、Elsevier,New York,715-728頁、1991にお
いて論じられる組換え生物により合成され得る。この組換えIGFBP-3はIGF-Iを1
:1のモル化学量論(molar stoichiometry)で結合する。
少なくとも5つの他の異なるIGF結合タンパク質が、種々の組織および体液中
で同定されている。これらすべてのタンパク質はIGFを結合するが、これらは各
々別個の遺伝子から生じており、そしてこれらは異なるアミノ酸配列を有してい
る。従って、これらの結合タンパク質は、共通の前駆体の単なるアナログではな
い。例えば、Sprattらは、IGFBP-1、-2および-3のアミノ酸配列を比較した。成
熟タンパク質における総数264アミノ酸の内、IGFBP-3とIGFBP-1との間では28%
のアミノ酸のみが同一であり、そしてIGFBP-3とIGFBP-2との間では33%のアミノ
酸が同一である。Sprattらは、結合タンパク質の類似の部分がIGFを結合する領
域であると示唆した。IGFBP-3とは異なり、循環中のその他のIGFBPはIGFで
飽和されていない。6つすべての既知のIGFBPは、ShimasakiおよびLing,Prog . Growth Factor Res.
(1991)3:243-66により概説されそして比較されている。
Spencerら、(1991)Bone 12:21-26;およびTobiasら、(1992)Endocrinolog y131
:2387-2392は、IGF-Iによる骨形成の刺激を報告している。
ラットの小柱骨(trabecular bone)は、ヒトの小柱骨のように、骨形成の骨
吸収への連携を示す。その結果、エストロゲン欠損で生じる増加した吸収は、増
加した骨形成を生じる。この骨形成は、骨吸収の阻害により抑制され得る。成人
における形成および吸収のこの連携は、事象の部位特異的連鎖を包含することが
確立されている。この事象の部位特異的連鎖において、骨吸収の後に通常、同じ
部位において、骨形成が続く。Frost(1985)Clin .Orthop.Rel.Res. 200:198
-225。
骨形成が、それ以前の骨吸収なしに、主に骨格の機械的支持についての要求が
増加する情況(造形(modeling))において生じ得るという証拠もまた存在する
。Parfitt,A.M.ら、(1984)Calcif .Tissue Int. 36:5123-5128。
本発明は、IGF/IGFBP複合体の投与を介する、またはIGF/IGFBP複合体および骨
吸収を阻害する薬剤の投与を介する、新たな骨形成を刺激するためのインビボに
おける単一のまたは組み合わせの治療法を提供する。これらの組み合わせは、骨
損失および骨の置換の防止のためのより有効な治療法を提供する。発明の開示
本発明は、IGFおよびその結合タンパク質の、骨形成の開始および促進ならび
に骨再造形の調節のための使用を開示する。IGF/IGFBP-3複合体は、単独で、ま
たは骨吸収のインヒビターとともに使用され得る。
本発明は、骨損失を引き起こす骨髄疾患を有する被験体において骨形成を刺激
するための方法を開示する。この方法は、骨吸収のインヒビターの存在下または
非存在下で、薬学的有効用量のIGF-IおよびIGFBP-3を被験体に投与する工程を包
含する。
別の実施態様において、本発明は、骨損失を引き起こす結合組織疾患を有する
被験体において骨形成を刺激するための方法を開示する。この方法は、薬学的有
効用量のIGF-I/IGFBP-3複合体を被験体に投与する工程を包含する。
別の実施態様において、本発明は、薬物関連骨粗鬆症を有する被験体を処置す
るための方法を開示する。この方法は、薬学的有効用量のIGF-I/IGFBP-3複合体
を被験体に投与する工程を包含する。
別の実施態様において、本発明は、妊娠、授乳、慢性低リン血症、高ホスファ
ターゼ症、インスリン依存性糖尿病、神経性食欲不振、カドミウム中毒、若年性
骨粗鬆症に起因する骨損失を有する被験体において骨形成を刺激する方法を開示
する。この方法は、薬学的有効用量のIGF-I/IGFBP-3複合体を被験体に投与する
工程を包含する。
別の実施態様において、本発明は、歯周骨損失を有する被験体において骨形成
を刺激するための方法を開示する。この方法は、薬学的有効用量のIGF-IおよびI
GFBP-3を被験体に投与する工程を包含する。
別の実施態様において、本発明は、変形性関節症、不使用、または低下した重
力場への長期間の被曝に関連する骨損失を有する被験体において骨形成を刺激す
るための方法を開示する。この方法は、薬学的有効用量のIGF-IおよびIGFBP-3を
被験体に投与する工程を包含する。
別の実施態様において、本発明は、被験体において骨形成を誘導するための組
成物を開示する。この組成物は、薬学的に受容可能な賦形剤中に、IGF-I、IGFBP
-3および骨吸収のインヒビターを含有する。図面の簡単な説明
図1は、本発明を確証するために実施された実験(実施例2)で用いられた実験
デザインの概略図を示す;
図2Aおよび2Bは、8週間の間、rhIGF-IまたはrhIGF1/IGFBP-3複合体を用い
、示されたIGF-I用量で処置した卵巣摘出(OVX)動物の、無処置(無地の棒)および
偽手術コントロール(実線)と比較した平均体重(2A)および脂肪除外体重(2B)の棒
グラフを示す;
図3は、8週間の間、rhIGF-IまたはrhIGF-I/IGFBP-3複合体を用い、示された
IGF-I用量で処置した卵巣摘出(OVX)動物の、無処置(無地の棒)および偽手術コン
トロール(実線)と比較した軟骨内の骨増殖の棒グラフを示す;
図4Aおよび4Bは、8週間の間、rhIGF-IまたはrhIGF-I/IGFBP-3複合体を用い
、示されたIGF-I用量で処置した卵巣摘出(OVX)動物の、無処置(無地の棒)および
偽手術コントロール(実線)と比較した脛骨骨膜の骨形成率(4A)および脛骨皮質
内再吸収(4B)の棒グラフを示す;
図5A〜5CCは、偽手術(5A)、OVX(5B)、およびrhIGFBP-3と複合体化した7.5m
g/kgのrhIGF-Iで処置したOVXラット(5C、5CC)からの、研磨(ground)した40μm
厚の脛骨断面のマッチングUV顕微鏡写真を示し(5A-5C、倍率3×;5CC、5Cで
示される骨膜エンベロープ領域の12×倍率)、ここで骨膜エンベロープ上の新た
な骨形成は矢印で示される;
図6A〜6Dは、偽手術動物(6A)、OVX動物(6B)、およびrhIGFBP-3と複合体化
した7.5mg/kgのrhIGF-Iで処理した動物(6C、6D)からの、未染色の40μm厚の断
面の偏光(polerized)顕微鏡写真を示し(倍率12.5×)、ここで外側のラメラ層は
やじりで示され、そして内側のラメラ層は矢印で示される;
図7A〜7Dは、8週間の間、rhIGF-IまたはrhIGF-I/IGFBP-3複合体を用い、示
されたIGF-I用量で処置した卵巣摘出(OVX)動物の、無処置(無地の棒)および偽手
術コントロール(実線)と比較した、骨幹端(7A)、骨端(7B)、腰椎椎体(7C)お
よび大腿頸部領域(7D)内の網状骨の骨形成率の棒グラフを示し、ここで、アス
タリスクは、OVX群と比較してp< 0.05であることを示す;
図8A〜8Cは、偽手術コントロール(8A)、OVX(8B)および7.5ml/kgのrhIGF-I
/IGFBP-3複合体(8C)処置ラットからの、遠位大腿骨骨端中の網状柱のUV顕微鏡
写真を示し、ここで矢印は再吸収穴(pit)を示し、そしてやじりは新たに形成さ
れた骨を示す;
図9A〜9Cは、偽手術コントロール(9A)OVX(9B)および7.5mg/kgのrhIGF-I/I
GFBP-3複合体処置ラット(9C)からの、von Kossaのミネラル染色法により染色さ
れた遠位大腿骨から採取された4μm切片のマッチング顕微鏡写真(倍率3×)を
示す;
図10A〜10Cは、偽手術コントロール(10A)、OVXラット(10B)およびIGFBP-3と複
合体化した7.5mg/kgのrhIGF-Iで処置したラット(10C)の、大腿中央頸部領域から
採取された切片の断面画像(倍率2.5×)を示す;
図11は、本発明で用いられるヒトIGF-Iのアミノ酸配列(配列番号1)を示す;
図12は、ヒトIGFBP-3のアミノ酸配列(配列番号2)を示し、ここで5位のアス
タリスクは、この配列で天然に生じる異質性によるアラニンのグリシン置換を示
す;
図13は、本発明による使用のための、rhIBFBP-3を産生するために用いるヒトI
GFBP-3のヌクレオチド配列(配列番号3および配列番号4)を示す;
図14は、本発明による使用のための、rhIBFBP-3を産生するために用いる別の
ヌクレオチド配列(配列番号5)を示す;および
図15は、本発明による使用のための、rhIGFBP-3を産生するために用いる第2
の別のヌクレオチド配列(配列番号6および配列番号7)を示す。発明を実施するための態様
A.定義
本明細書および添付の請求の範囲で用いる場合、文脈で明瞭に指定しなければ
、単数形態の「a」、「an」および「the」は、複数の指示物を含むことに注意し
なければならない。
用語「結合組織疾患」は、骨形成不全症、エーラース-ダンロス症候群、マル
ファン症候群、皮膚弛緩症、ホモシスチン尿症、マンケス症候群および壊血病の
ような症状を含む。これらは、骨損失と関連しそして骨損失を引き起こすと報告
されている。
「薬物関連骨粗鬆症」は、同定された唯一の原因が薬物である骨粗鬆症を意味
する。この定義には、骨粗鬆症を引き起こす既知のすべての薬物、および骨粗鬆
症を引き起こすことが後に発見される薬物が含まれる。骨粗鬆症を引き起こすこ
とが知られている薬物の例には、コルチコステロイド、ヘパリン、経口抗凝固剤
、抗痙攣剤、メトトレキセート、甲状腺ホルモン、リチウムおよびゴナドトロピ
ン放出性アナログが含まれる。
「インスリン様成長因子(IGF)」は、IGF-IおよびIGF-IIを含むがこれらに限定
されない因子のファミリーを含む。IGFは、約7500ダルトンの分子量を有するポ
リペプチドである。IGFは、天然の供給源から得られ得、または組換え手段によ
り調製され得る。好ましくは、IGFはヒト供給源由来のIGF-Iである。最も好まし
くは、IGFはヒト供給源由来のIGF-Iである。最も好ましくは、IGFは、本明細書
の実施例3に詳述される方法によるような、組換え手段による作成され、そして
rhIGF-Iと呼ばれるヒトIGF-Iである。
「インスリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP)」は、IGFBP-1、IGFBP-2、IGF
BP-3、IGFBP-4、IGFBP-5およびIGFBP-6を含むが、これらに限定されない結合タ
ンパク質のファミリーを含む。IGFBPの各々は、天然の供給源から得られ得、ま
たは本明細書の実施例4に詳述されるような組換え手段により調製され得る。IG
FBPの少なくとも1つの形態(例えばIGFBP-3)は、IGFとおよびALSとして知られる
第3の分子と複合体化する。IGFBPはまた、6つのIGFBPの任意の組み合わせの混
合物であり得る。このような混合物は、IGF-Iおよび/またはIGF-IIに対する異な
る結合親和性、いくつかのIGFBPの細胞表面に結合する能力、および異なる半減
期を利用し得る。
本明細書で用いる「治療用組成物」は、IGFおよび骨再吸収インヒビターとと
もにIGF結合タンパク質(IGFBP)を含むとして定義される。治療用組成物はまた、
水のような賦型剤、ミネラル、およびタンパク質のようなキャリアを含有し得る
。
本発明の方法は、IGFBPを補充する必要のある被験体を、骨再吸収インヒビタ
ーとともにまたはなしでIGFと組み合わせて局所的骨修復または処置することを
意図する。IGFは任意のIGFファミリーであり得、IGF-IおよびIGF-II、またはこ
れらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。IGF-IとIGF-IIとが組み合わ
される場合、IGF-IのIGF-IIに対する比は、0.01:1から99:1の範囲である。
「IGFBP-1」は、その分子構造が、Brewerら、Biochem .Biophys.Res.Comm.(
1988)152(3):1289-1297により、および1989年9月21日に公開された、Dropらに
よるPCT公開第WO 89/98667号中に開示されたIGF結合タンパク質でありそして本
明細書に参考として援用される。ヒトIGFBP-1は、234のアミノ酸および約28kdの
分子量を有する。
「IGFBP-2」は、289のアミノ酸を含み(ヒト)、そして非還元条件下で36kdの分
子量を有する。ヒトIGFBP-2のアミノ酸配列は、Binkertら、EMBO J.(1989)8:2
493-2502により、ヒト胎児肝臓ライブラリーから単離されたcDNAクローンから決
定され、そして参考として本明細書に援用される。IGFBP-2はまた細胞表面に結
合し得る。IGFBP-2は、IGF-IIに対して選択性を有し、そしてそれ故IGF-IIを含
む処方物に好適である。
「IGFBP-3」は、IGF/IGFBP複合体で好適なIGFBPである。天然および組換えIGF
BP-3、およびいくつかのN末端およびC末端フラグメントは、IGF-IおよびIGF-II
を結合する。ヒトIGFBP-3は、264のアミノ酸を含み、そして3つの可能なN連結
グリコシル化部位を有する。IGFBP-3は血液中の主要なIGFBPである。
血液中のほとんどすべてのIGF-IまたはIGF-IIはIGFBP-3に結合している。IGF/
IGFBP-3複合体は、通常、ヒトおよび他の哺乳動物および鳥類では複合体の形態
で循環する。この複合体は、IGFおよびIGFBP-3の濃度を超えて存在する第3のタ
ンパク(ALS)質と会合している。従って、循環では、ALSは、IGF/IGFBP-3複合体
と会合して、および遊離形態の両方で見い出される。得られる三重複合体は、約
150kDのサイズを有する。天然または組換え供給源のいずれかに由来する、IGFと
IGFBP-3との予備形成された複合体の投与は、通常に過剰なALSとの三重複合体を
形成を生じる。このタイプの処置は、三重複合体から漸次放出される循環性IGF
レベルの長期間の増加を生じるようである。投与のこの様式は、遊離のIGF-Iの
投与にともなう有害な副作用、例えば、低血糖症、成長ホルモンの抑制およびAL
S産生、ならびに内因性IGF-IIの放出を避ける。何故なら、投与された外因性の
遊離のIGF-Iが、通常の循環性のIGF-II/IGFBP-3複合体中の内因性IGF-IIと置き
換わるからである。
「IGFBP-4」および「IGFBP-6」は、身体に広く分布するグルコシル化タンパク
質である。IGFBP-4の一次構造は、Shimasakiら、Mol .Endocrinol.(1990)4:14
51-1458により報告された(本明細書に参考として援用される)。IGFBP-6は、その
cDNAが、Shimasakiら、(Mol .Endocrinol.(1991)5:938-48)により単離されて
おり、IGF-Iに対してよりもIGF-IIに対してかなり大きな親和性を有し、そしてI
GF-IIを含む処方物に好適であり得る。この文献は、本明細書に参考として援用
される。
「IGFBP-5」は、グルコシル化されていない252-アミノ酸のタンパク質である
。
Shimasakiら、(J .Biol.Chem.(1991)266:10646-53)は、ヒト胎盤ライブラリ
ー由来のヒトIGFBP-5 cDNAをクローン化した(本明細書に参考として援用される)
。
IGF/IGFBP複合体処方物に必要とされる、結合、代謝および薬物動力学特性に
依存して、これらの結合タンパク質は、種々の割合で複合体処方物に添加され得
る。これらのIGFBPは、IGF-Iおよび/またはIGF-IIと種々の比率で組み合わされ
得る。
用語「骨再吸収の阻害」は、破骨細胞形成または代謝の直接または間接改変に
よる骨損失の予防、特に無機相および/または有機マトリックス相のいずれかか
らの存在する骨の除去の阻害をいう。従って、本明細書で用いられる用語「骨再
吸収のインヒビター」は、破骨細胞形成または代謝の直接または間接改変による
骨損失を予防する薬剤をいう。
用語「骨再造形」は、骨格を更新し、そして微小損傷が骨格の一体性を損失す
る点まで蓄積する前に、微小損傷を修復するそのプロセスをいう。大部分のヒト
成人の代謝骨疾患は、再造形プロセスの混乱から生じる。個々の再造形パケット
(packet)は「基礎多細胞単位」(BMU)として知られている。BMUで生じる再造形は
、予めプログラムされた順序に従う:活性化→再吸収→形成(ARF)。(Recker,R.R
.、「Bone Histomorphometry: Techniques and Interpretation.」Boca Raton、
FL、1983、37-57頁)。
「骨形成」は、新たな骨を生成するBMU(基礎多細胞単位)の数および/または活
性の増加を含む。このプロセスは、骨格中に任意の場所で生じ得、そして特定の
骨部位が骨格中で有し得る機能的な差異および代謝回転速度にかかわらず、網状
骨および/または皮質骨に影響し得る。(Frost(1986)Intermediary Organization of the Skeleton 、第I巻および第II巻
、CRC Press、Boca Raton、FL.)。
用語「骨形成に有効な」は、成熟骨または初期の骨前駆細胞の形成および分化
に影響する量をいう。本明細書で用いられる骨形成に有効な用量はまた、「薬学
的に有効」である。
本明細書で用いられる用語「被験体」は、処置の必要な、即ち、骨修復または
骨補充の必要な哺乳類または鳥類のような生存する脊椎動物をいう。そのような
必要は、骨形成不全症、エーラース-ダンロス症候群、マルファン症候群、皮膚
弛緩症、ホモシスチン尿症、メンケス症候群および壊血病のような結合組織疾患
;コルチコステロイド、ヘパリン、経口抗凝固剤、抗痙攣剤、メトトレキセート
、甲状腺ホルモン、リチウムおよびゴナドトロピン放出性アナログのような薬物
に関連する骨粗鬆症;妊娠;授乳;慢性低リン血症;高ホスファターゼ症;イン
スリン依存性糖尿病;神経性食欲不振;骨のパジェット病;カドミウム中毒;歯
周病;変形性関節症、長期間の入院、麻痺または半麻痺の間に生じるような筋骨
格系の不使用;および低重力場への長期間曝露で生じる。
本明細書で用いる用語「処置」は、(1)骨損失の進行を防ぐために予防的に作
用するに十分な量の物質を、被験体に提供すること;または(2)骨損失に関連す
る問題を軽減するまたはなくするために十分な量の物質を被験体に提供すること
を意味する。
B. 一般的方法
骨の損失を防止するおよび/または損失した骨を再生する薬物は卵巣摘出ラッ
トを用いて評価されてきた。この動物モデルは当該分野においては十分確立され
ている(例えば、Wronskiら(1985)Calcif .Tissue Int. 37:324〜328;Kimmelら(
1990)Calcif .Tissue Int. 46:101〜110;Durbridgeら(1990)Calcif .Tissue In t.
47:383〜387;およびMillerら(1991)Bone 12:439〜446;これらの参考文献は
本明細書中にそれらの全体が援用される、を参照)。Wronskiらは、卵巣摘出ラッ
トにおける骨損失と骨再造形の関連を記載している((1985)Calcif .Tissue Int.
43:179〜183)。
骨再吸収インヒビターの例には、抱合型エストロゲンのようなエストロゲン、
タモキシフェン、ビスフォスフォネート、カルシトニン、あるいは骨再吸収を阻
害し得る他の小ペプチドまたは分子が包含される。(Turnerら(1987)J .Bone M ineral Res.
2:115〜122;Wronskiら(1988)Endocrinology 128:681〜686;お
よびWronskiら(1989)Endocrinology 125:810〜816;Pfeilshifterら(1987)P roc .Natl.Acad.Sci.U.S.A.
84:2024〜2028;Turnerら(1988)Endocrinolog y
122:1146〜1150)。小ペプチドの例としては、エキスタチンがあり、エキスタ
チンはいくつかの細胞表面接着レセプターによって認識されるアルギニン-グリ
シン-アスパラギン酸(RGD)配列を含有し、そして破骨細胞の相互作用を明らかに
破壊する(Fisherら(1993)Endocrinology 132:1411〜13)。骨再吸収因子の別の
例にはOPFまたは破骨細胞産生因子かある(PCT公開番号WO 93/01827 1993年2月4
日公開)。研究中あるいは骨再吸収を阻害することが提唱されている他の薬剤に
は、ミトラマイシン、硝酸ガリウム、グルココルチコイド、トランスフォーミン
グ成長因子β(TGF-β)、インターフェロンγおよびアミリンがある。(Zaidiら(1
992年10月)Curr .Opin.Therapeutic Patents,1517〜38頁)。
特定のインヒビターの分子全体が使用され得、あるいは必要に応じて、インヒ
ビター分子の機能的部分のみが使用され得る。ビスホスホネートは、パミドロネ
ート酸、アレンドロネート、ティルドロネート、リセドロネート、および他の実
験化合物を包含するがこれらに限定されない。
ある種の成長因子は、骨の再吸収を阻害し得、または抗再吸収的である。その
ような成長因子の例はトランスフォーミング成長因子βを包含するがこれに限定
されない。
本発明の方法に従い、IGFとIGFBPとの複合体を含有する製剤を骨吸収インヒビ
ターと共にまたは無しで投与した。
好ましくは、このIGFは、IGF-IIも使用可能ではあるが、IGF-Iである。好まし
くは、IGFBPはIGFBP-3である。IGFとIGFBP-3は、本来1:1のモル比で結合する
ので、IGFとIGFBP-3との等モル量の組成物が好ましい。それにもかかわらず、こ
の組成物は0.5:1〜1.5:1の範囲のIGF:IGFBP-3モル比で製剤化され得る。さらに
好ましくは、そのモル比は0.9:1〜1.3:1であり;そして最も好ましくは、その組
成物は約1:1のモル比で製剤化される。
本発明の方法に従い、IGFおよびIGFBP-3は、天然または組換え体の供給源から
得られたヒトタンパク質である。最も好ましくは、IGFおよびIGFBP-3は、組換え
手段によって作られ、rhIGF-IおよびrhIGFBP-3とそれぞれ命名された、ヒトIGF-
IおよびヒトIGFBP-3である。rhIGFBP-3はグリコシル化型または非グリコシル化
型であり得る。E.coliは、非グリコシル化型IGFBP-3の供給源である。グリコシ
ル化型IGFBP-3はCHO細胞から得られ得る。
本発明の方法は、当業者に容易に明らかな様式での複合体を製剤化することを
提供する。好ましくは、IGFおよびIGFBP-3は、処置した個体への投与に先立ち、
複合体化される。好ましくは、この複合体は、通常の生理食塩水あるいはリン酸
緩衝化生理食塩水のような、生理学的に適合し得るキャリアに溶解したほぼ等モ
ル量のIGF-IとIGFBP-3を混合することによって形成される。最も好ましくは、rh
IGF-Iの濃縮溶液とIGFBP-3の濃縮溶液とが等モルの複合体を形成するに、十分な
時間、一緒に混合される。
投与用のIGF、IGFBPおよび骨吸収インヒビターを含有する本発明の薬学的組成
物は、薬学的に受容可能な賦形剤に加えて、骨形成を促進するために骨形成に有
効な量のIGFおよびIGFBP、ならびに阻害量の骨再吸収インヒビターを含有する。
適切な賦形剤には、非経口投与用に承認されたほとんどのキャリアーが包含され
、それには、水、生理食塩水、リンガー液、ハンクス液、およびグルコース、ラ
クトース、デキストロース、エタノール、グリセロール、アルブミン溶液、血漿
、他のタンパク質を含有する溶液など、が包含される。これらの組成物は、必要
に応じて、安定剤、抗酸化剤、抗生物質、保存剤、緩衝剤、界面活性剤、そして
その他の補助添加剤を含有し得る。IGF/IGFBP複合体および骨再吸収インヒビタ
ーはまた適切なキャリアーからゆっくりとした放出で送達され得る。
様々なビヒクルが本発明とともに使用され得る。非経口的投与用の適切なビヒ
クルの完全な考察は、E.W.Martin「Remington's Pharmaceutical Sciences」(Ma
ck Pub.Co.、最新刊)中に見出し得る。賦形剤ビヒクルおよび製剤化に関連する
セクションは、本明細書に参考として援用される。そのような製剤は一般的に当
業者には公知であり、全身的な処置を提供するために系統的に投与される。
IGF/IGFBP複合体および骨再吸収を阻害する薬剤は、被験体への単一組成物と
して同時にあるいは継続的に投与され得る。もしも継続的に投与される場合、IG
F/IGFBP複合体投与と骨再吸収インヒビター投与との間の期間は、代表的には、
一日から一年であり、そして好ましくは、一週間から6カ月である。IGF/IGFBP
複合体および骨再吸収を阻害する薬剤が、単一組成物として投与される場合には
、骨再吸収インヒビターに対するIGF/IGFBP複合体のモル比は、骨吸収インヒビ
ターのタイプおよびIGF/IGFBP複合体の製剤に依存して、かなり変化する。ほと
んどの化合物に対する比は約100:1と約1:100との間である。さらに、単一組成物
と
して投与される場合、IGF/IGFBP複合体および骨再吸収インヒビターは組成物内
で別々の分子として投与され得るか、あるいはそれぞれの分子は当業者に周知の
手法に従って接合または融合され得る。
正確な用量は被験体の年齢、サイズ、性別、状態、処置される疾患の性質と重
篤度などの必然の結果として変化する。このように、正確な有効量は前もって、
特定され得ず、介護提供者によって決定されねばならない。しかし、適切な量は
下記の動物モデルを用いたルーチンの実験によって決定され得る。
一般的にいえば、全身処置にはIGF/IGFBP複合体の有効用量は、約1μg〜約10
mg IGF/kg体重の範囲である。骨再吸収インヒビターの有効用量は投与用に選択
された特定のインヒビターに依存する。例えば、エストロゲンの有効用量は約0.
25〜1.5 mg/日である。ビスホスホネートの有効用量は変化するが、一般に約0.0
5μg/kg体重と約15mg/kg体重との間である。カルシトニンの有効用量は、約0.05
IU(International UnitsあるいはMedical Research Council Units)/kg体重〜
約2.5IU/kg体重である。
局所投与の有効量は、約0.01μg〜1mgIGF/IGFBP複合体の範囲である。
本発明の方法および組成物は、骨折、骨の欠陥、および弱った骨を生じる疾患
を治療するために有用である。これらの疾患には、形質細胞障害、白血病、リン
パ腫、全身性肥満細胞症、貧血症、リピドーシス、およびムコ多糖症のような骨
髄疾患;骨形成不全症、エーラース-ダンロス症候群、マルファン症候群、皮膚
弛緩症、ホモシスチン尿症、マンケス症候群、および壊血病のような結合組織疾
患;コルチコステロイド、ヘパリン、経口抗凝固剤、抗痙攣剤、メトトレキセー
ト、甲状腺ホルモン、リチウムおよびゴナドトロピン放出性アナログのような薬
物に関連する骨粗鬆症;妊娠;授乳;慢性低リン血症;高ホスファターゼ症;イ
ンスリン依存性糖尿病;神経性食欲不振;骨のパジェット病;若年性骨粗鬆症;
カドミウム中毒;歯周病;および骨関節炎がある。さらに、本発明の方法および
組成物は、長引いた安静臥床または低下した重力場への曝露の結果として生じる
ような筋骨格系の不使用から生じる弱った骨の治療に有用である。
使用の1つの方法に従って、IGF/IGFBP複合体が局所的に骨成長または修復の
必要な特定の領域に、その部位での骨再吸収インヒビターとの随伴投与、あるい
は別のビヒクルでの骨再吸収インヒビターの投与の、いずれかで、局所投与され
得る。このように、IGF/IGFBP複合体および/または骨再吸収インヒビターは、例
えば、持続-放出キャリアー中の注射または外科的な移植によって、処置される
べき部位に直接移植され得る。適切なキャリアには、ヒドロゲル、制御または持
リックスを包含する。現在、好ましいキャリアは、ヒドロキシアパタイトリン酸
3カルシウム(HA-TCP、Zimmer,Inc.、Warsaw,INから入手可能)と、同種あるい
ollagen Corporation、Palo Alto、Californiaから入手可能)の組み合わせのよ
うな、特定の粒状リン酸カルシウムミネラル成分を含有するアテロペプチドコラ
ーゲンの製剤である。コラーゲン/ミネラル混合物移植物中に、IGF/IGFBP複合体
および/または骨再吸収インヒビターを含有する移植組成物を投与することが現
在好ましい。
持続-放出ビヒクル中で送達されるIGF/IGFBP複合体および/または骨再吸収イ
ンヒビターがまた、移植物固定の改善のために、例えば、関節再構築における金
属義肢、および歯科または成形外科的移植物への新たな骨の内部成長を改善する
ために特に有用である。あるいは、IGF/IGFBP複合体は、別のビヒクル中に送達
されるインヒビターと、移植物中に送達され得、そしてその逆も成り立つ。
歯科のおよび成形外科移植物は骨再吸収インヒビターと組み合わせて、骨への
移植デバイスの接着を増大するために、IGF/IGFBP複合体でコートされ得る。あ
るいは、IGF/IGFBP複合体は移植物をコートするために使用され得、そして骨再
吸収インヒビターは、別のビヒクル中で、随伴して継続的に投与され得、そして
その逆も成り立つ。
一般に、移植デバイスは以下のように、IGF/IGFBP複合体および/または骨再吸
収インヒビターでコートされ得る。IGF/IGFBP複合体(および所望であれば骨再吸
収インヒビター)を、2mg/mlの血清アルブミンを含有するリン酸緩衝化生理食塩
水(PBS)に0.01mg/ml〜200mg/mlの範囲の濃度で溶解する。移植物の多孔性末端を
この溶液中に浸漬し、そして風乾(または凍結乾燥)されるか、あるいは骨部位に
直ちに移植される。所望であれば、コーティング溶液の粘性を、最終濃度0.1mg/
ml〜100mg/mlのヒアルロネートの添加、あるいは他の薬学的に受容可能な賦形剤
の添加によって増加させる。あるいは、IGF/IGFBP複合体含有溶液((および所望
であれば骨再吸収インヒビター)を、コラーゲンゲルまたはヒトコラーゲン(例え
ラーゲン濃度2mg/ml〜100mg/mlに混合してペーストまたはゲルを形成し、次いで
それを、移植デバイスの多孔性末端をコートするために用いる。コートされた移
植デバイスを、移植部位への柔組織の内部成長を最小にする一方、移植部位への
新たな骨形成を最大にする目的で、直ちに骨部位に配置するか、風乾され移植前
にPBSで再び水にもどされる。
C.実施例
以下の実施例は、本発明の組成物および方法の抽出、単離、処方および使用の
仕方の完全な開示および記載を、当業者に提供するために示され、本発明者らが
自己の発明とみなすものの範囲を限定するために意図されない。用いられる数字
(例えば、量、時間、温度など)に関して正確さを保証する努力はなされたが、
いくらかの実験誤差および偏差は、考慮されるべきである。他に示さない限り、
部数は重量部であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧または大気圧付近であり
、そして他のパラメーターは、従来のもので、当業者により通常認められるパラ
メーターに従う。
実施例1
本実施例は、卵巣摘出誘導骨粗鬆症の雌性ラットにおける遊離IGF-IおよびIGF
-I/IGFBP-3複合体の使用を示す。本実験では、ラットをヒト組換えIGF-IおよびI
GFBP-3で処置した。rhIGF-I(Ciba-Geigy)を酵母内で合成し、そして無菌水中
に提供しそして-70℃で保存した。rhIGFBP-3を、実施例4において記載された手
順(Celtrix Pharmaceuticals,Inc.、Santa Clara、CA)に従って生成し、そし
てリン酸緩衝生理食塩水に溶解し、そして使用まで-70℃で保存した。投与の前
に、これらの溶液を解凍し、そして十分な量のIGF-IおよびIGFBP-3を混合して等
モル量の2つのタンパク質を提供した。本実験は、卵巣摘出されたラットにおい
てIGF-I/IGFBP-3複合体が海綿質重量および他のパラメーターを増加させる能力
を実証する。
本実施例では、体重90〜100gの若齢雌性ラットを、背面経路により卵巣摘出
し、そして各8匹のラットの6つの群に分けた。別の群は、8匹のインタクトの
同年齢の偽手術されたコントロールラットからなった。卵巣摘出の6週間後、ビ
ヒクル、または以下のIGF-IとIGFBP-3との組み合わせのうちの1つまたはIGF単
独で、示したように、ラットを処置した。これらの実験では、用いられるIGFお
よびIGFBPの量を計算してモル比1:1のIGF:IGFBPを提供した:
グループ1:偽手術されたコントロール;ビヒクル
グループ2:卵巣摘出されたコントロール;ビヒクル
グループ3:卵巣摘出;IGFBP-3(9.5mg/kg)と複合体化されたIGF-I(2.5mg/
kg)
グループ4:卵巣摘出;IGFBP-3(0.95mg/kg)と複合体化されたIGF-I(0.25m
g/kg)
グループ5:卵巣摘出;IGFBP-3(0.095mg/kg)と複合体化されたIGF-I(0.02
5mg/kg)
グループ6:卵巣摘出;IGF-I(2.5mg/kg)
グループ7:卵巣摘出;IGF-I(0.25mg/kg)
複合体を、等モル量のIGFBP-3(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解、pH6.0
)およびIGF-I(10mm 酢酸ナトリウムに溶解、pH5.5)を、可能な限り最小限の
容量で混合し、そして4℃で一晩、混合物をインキュベートすることにより形成
させた。次いで、混合物を0.1%のラット血清アルブミンを含有するPBS(pH6.0
)で希釈した。溶液を、1日に必要とされる物質量を含有するアリコートに分配
し、そして必要とされるまで-70℃で保存した。コントロールには、希釈緩衝液
を投与した。
ラットを22日間処置した。試験物質を1日1回の皮下注射により、1週間あた
り6回投与した。処置を始める1日前および処置の17日目に、20mg/kgのカルセ
インを腹腔内注射により与えた。カルセインおよびテトラサイクリンは、骨石灰
化のためのマーカーであり、そして投与間の骨形成の量を評価するのに用いられ
る。同様に、10日目に、20mg/kgのデメクロサイクリンを投与した。23日目、最
後の注射の24時間後に、ラットを二酸化炭素での麻酔により屠殺した。
実験を通して、体重を記録した。剖検で、0.1mlの血液を血中グルコースの測
定のために採取した。血清を残りの血液から調製し、そして総血清IGF-Iレベル
をラジオイムノアッセイ(RIA)により測定した。腓腹筋、子宮周囲の脂肪、お
よび子宮を除去し、結合組織から切り離し、そして計量した。
海綿質および皮質の量を、Gunness-Hey((1984)Metab.Bone Dis.& Rel.Res. 5
:177-81)(これは本明細書中で参考として援用される)に従って測定した。簡
単に言えば、大腿骨を、歯科用ノコギリを用いて中間骨幹において半分に切断し
た。近位の半分は捨てた。遠位の半分の骨端をメスを用いて切し離し、そして骨
を矢状の半片に分割した。骨髄を水で洗浄した。歯科用クレットにより、骨幹端
海綿質を両方の皮質外皮から掘り出し、一緒にし、そして5%トリクロロ酢酸(
TCA)の中へ入れた。残りの皮質の2片もまた、一緒にし、5%TCAと共に別のチ
ューブに入れた。この調製物を室温で16時間静置した後、TCA抽出物を、原子吸
光分光法によるカルシウムの測定のために用いた。残りの脱石灰化したマトリッ
クスを、エタノールおよび塩化メチレンで順次洗浄し、そして減圧下で乾燥した
。乾燥重量を測定後、120℃にて5時間、6M HClでマトリックスを加水分解し
た。加水分解液中で、ヒドロキシプロリンを標準比色アッセイ(Jamallら(1981
)Analyt.Biochem. 112:70-75)により測定した。
本実験の結果を表1および表2で詳細に示し、そして以下で要約する。
卵巣摘出された(表中では「Ovx」)コントロールラットを、偽手術されたコ
ントロール動物と比較した場合、皮質重量にもヒドロキシプロリンにも、有意差
は観察されなかった(表2)。しかし、皮質カルシウムは、卵巣摘出されたラッ
トにおいて有意に増加した(7%)。この増加は、骨の縦方向への成長の増加お
よび器官サイズの増加に起因し得る。卵巣摘出されたラットでは、海綿質重量、
カルシウム、およびヒドロキシプロリンは、65%減少した(表1)。
IGF-I単独で処置された卵巣摘出されたラットでは、両方の用量(2.5mg/kgお
よび0.25mg/kg)は、海綿質質量を増加させた;しかし、低い用量は、高い用量
より効果的であった。低い用量は、種々のパラメーターを79%〜118%増加させ
た;一方、高い用量は、種々のパラメーターを57%〜67%増加させた。他のパラ
メーターにわずかな変化があった。
IGF-I/IGFBP-3複合体で処置した卵巣摘出されたラットは、種々の海綿質のパ
ラメーターの増加を示した(表1)。海綿質のカルシウム、乾燥重量、およびヒ
ドロキシプロリンの有意な増加は、12mg/kgのIGF-I/IGFBP-3用量(2.5mg/kg IGF
-Iおよび9.5mg/kg IGFBP-3)で観察された。皮質マトリックスの乾燥重量もまた
、12mg/kgのIGF-I/IGFBP-3複合体での処置により有意に増加した(表2)。
実施例 2
13週齢の雌のSprague Dawleyラット(Charles River Associates)を、卵巣摘
出(OVX)または偽手術(Sham)のいずれかを受ける前に約3週間飼育した。す
べてのOVXは、屠殺の際に測定された子宮重量によって測定されたように成功し
た。手術(0日目とする)の8週間後、ラットは、脊椎L3〜L6の骨無機質密度(
BMD)のベースライン測定のために、二重エネルギーX線吸光分析(Dual Energy
X-ray Absorptometry)(DEXA)脊椎スキャンを受け、そして群に割り当てられた(
下記を参照のこと)。「門外漢」を排除し、そして種々の群間で類似の平均公式
(opine)DMD値および体重を有するための試みを行った。
rhIGF-I/IGFBP-3を、等モル量のrhIGF-IとrhIGFBP-3とを混合することによっ
て調製した。rhIGF-IおよびrhIGF-I/IGFBP-3の両方について用いたビヒクルは、
リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)pH.6.0であった。
処置(毎日の皮下注射)を、ベースラインDEXA脊椎測定の翌日(1日目)に開
始し、そして56日間継続した。ラットの2つの別の「前処置」群(OVXおよび偽
手術)を0日目にベースラインデータを提供するために屠殺した。
ラットを図1で説明する実験範例によって7つの群に分けた:
(1)生理食塩水で処置した偽手術ラット(「偽コントロール」;n=9)。
(2)生理食塩水で処置したOVXラット(「OVXコントロール」;n=11)。
(3)0.9mg/kg/日のrhIGF-Iで処置したOVXラット(n=7)。
(4)2.6mg/kg/日のrhIGF-Iで処置したOVXラット(n=7)。
(5)IGFBP-3と等モル比の、0.9mg/kg/日のrhIGF-Iで処置したOVXラット(n
=8)。
(6)IGFBP-3と等モル比の、2.6mg/kg/日のrhIGF-Iで処置したOVXラット(n
=8)。
(7)IGFBP-3と等モル比の、7.5mg/kg/日のrhIGF-Iで処置したOVXラット(n
=8)。
a.血清測定
22日目に午前7時頃にラットから食物を取り上げ、そして150μlの血液を午前
10時と正午との間にイソフルラン麻酔下で各ラットの尾から得た。血液を収集し
た直後に、各ラットは通常の毎日の処置注射を受け、そして第2の血液サンプル
を、正確に注射の2時間後に得た。食物をこの第2の放血後にのみラットに戻し
た。血漿グルコースレベルを、標準的な比色アッセイによって測定した(表3)
。このアッセイは、当該分野において周知の標準的な手順に従って、グルコース
オキシダーゼで処置した結果としてグルコースから生成されたペルオキシドによ
る、0-ジアニシジンの酸化を包含する。
研究の第7週目の間に、通常のDEXAスキャンの間に、血液を尾から再び得た。
これらのサンプルを、アフィニティークロマトグラフィー手順、具体的には「GL
YCO-TEK」アッセイキット(Helena Laboratories,Beaumont,TX)を用い、溶出
されたヘモグロビンを405nmでそれらの吸光度により検出して、グリコシル化さ
れたヘモグロビンレベルを分析した。
屠殺時に得られた血清を、全IGF-I、rhIGF-I、およびrhIGFBP-3のレベルにつ
いて分析した。血清IGF-Iレベルを2つの別個のアッセイによって測定した。各
アッセイを、全てのサンプルのセットに対して一回行った。
まず、Nichols Institute RIA手順を用いて、内因性ラットIGF-Iおよび注射さ
れたrhIGF-Iの合計濃度を定量した。80μlのサンプルを900μlの87.5% 2N HCl/
12.5% エタノールで抽出し、遠心分離し、次いで200μlの上清を100μlの855mMT
ris緩衝液pH11.0で中和した。この中和された抽出物を-20℃に1時間保ち、遠心
分離し、次いでリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で31倍希釈し、その後50μlをRI
Aによって分析した。予備アッセイにより、下垂体切除されたラット(n=6)
から得られた血清は、検出限界(66ng/ml)を下回る値を与えることが示され、
そしてこのアッセイは、血清の容量が10〜100μlで変化する場合、直線応答を与
えた。
第2のアッセイは、免疫放射線アッセイ(IRMA)によってrhIGF-Iの血清レベ
ルを定量した。このアッセイは製造業者によって提供されるプロトコルに従い、
サンプルサイズは10μlであった。Nichols Institute RIA手順により555ng/mlの
IGF-Iを含有するプールされたラット血清サンプルは、このアッセイの検出限界
(50ng/ml)を下回る値を与えた。さらに、10μlのサンプルについてrhIGFBP-3
の血清レベルをRIAによって測定した。rhIGF-IおよびrhIGFBP-3の両方に対する
アッセイキットおよび手順は、Diagnostic Systems Laboratories(Webster,TX)
から得た。
血清IGF-IおよびIGFBP-3レベルおよび血中のグリコシル化されたヘモグロビン
値を、表4に示す。
b.骨測定
この研究に含められた全ての動物において、活性な無機質化(mineralization
)を受ける骨表面を、蛍光骨マーカーであるデクロマイシンおよびカルセイン(
calcein)を用い、これらのマーカーを、それぞれ、屠殺の9日前および2日前
に注射することによって標識した。
ラットをケタミン/キシラジン麻酔下で放血することによって屠殺した。多数
の軟組織を、組織学的分析のために収集し、そしてこれらの組織のいくつかはま
た、重量測定して組織肥大を調べた。長骨(脛骨および大腿骨)、脊椎、および
大顎は、DEXA、機械的分析、および骨組織形態学的分析のために、以下に詳述す
る手順により固定するかまたは凍結した。
1.DEXA 測定。
脊椎DEXAスキャンを0日目(上記)、14日目、28日目、42日目、および56日目
(屠殺の前日)に行った。身体組成(脂肪の少ない身体塊および脂肪塊)を測定
するためのDEXA全身スキャン(頭と尾は除く)を、7日目、21日目、35日目、お
よび49日目に行った。
DEXA測定を、製造者の提供する説明書に従って、Hologic QDR-1000/W機器を用
いて行った。ラットを、スキャンの間、酸素中2%のイソフルランの気体麻酔薬
で麻酔し、そしてラットを麻酔した間に体重もまた測定した。
DEXA分析の間、脛骨および大腿骨に対して測定したパラメーターとしては、長
さ(mm)、突出面積(「総面積」)(cm2)、総骨無機質含量(BMC)(mg)、全体脊髄
密度(BMD)(mg/cm2)、総骨無機質見かけの密度(全体BMAD=BMCを突出面積で割
り1.5乗する)(mg/cm3)、骨幹端 BMD(met BMD)(mg/cm2)、皮質BMD(mg/cm2)、
および骨端BMD(epiph BMD)(mg/cm2)が挙げられる。結果を表5(脛骨)および
表6(大腿骨)に示す。これらの表では、数字で表した群の名称は、表1に示し
た名称に対応する。群AおよびBは、処置前のベースライン測定値とする。
DEXA骨測定値は、総脛骨BMC値および灰分重量の両方によって測定される脛骨
の無機質含量を比較することによって確認した。DEXA身体組成測定値は、天秤上
の体重測定と全身体塊のDEXA測定の両方により測定される体重変化を比較するこ
とによって確認した。
2.骨組織形態学および骨構造
右大腿骨、脛骨、および腰椎の脊椎体(Lvb;L4-L5)を死体解剖で収集し、軟
組織を洗浄し、70%エタノール中で48時間固定し、濃度を段階的に上げたエタノ
ールによって脱水し、そしてメチルメタクリレート中にカルシウムを除去しない
で包埋した。遠位大腿骨端、骨間端、腰椎の脊椎体の長軸切片、ならびに中央大
腿骨脛部(mid femoral neck)および脛腓接合部に隣接する遠位脛骨骨幹の断面
切片をReichert-Jungスーパーカットミクロトーム(Reichert-Jung,Heidelberg
,Germany)を用いて15μmの厚さに切断した。3つの連続する切片を動的な組織
形態学分析のために染色せずにおき、そして他の3つの切片をvon Kossa法によ
って無機質に対して染色し、トルイジンブルーで対比染色して静的な組織形態学
的パラメーターについて分析した。大腿骨の中軸および中央脛部領域由来の100
μm厚さの断面切片を、精密な低速骨鋸(Isomet,Buehler,Lake Bluff,IL)で
切断し、プラスチックスライドに接着し、約40μmの厚さまでこすって磨き(Eco
met 3,Buehler,Lake Bluff,IL)、そして骨の動的パラメーターについて分析
した。von Kossa法で染色し、そしてカバースリップで覆った後、静的な骨組織
形態学について同じセットのスライドを使用した。骨の動的測定を、UV光線下20
倍の倍率で、Millerら(1989)Bone 7:283-287によって先に記載された「Stereo
logy」と呼ばれる半自動化ソフトウエアプログラム(KSS Computer Engineers,M
agna,UT)を用いることにより行った。静的な骨分析を自動化テレビ顕微鏡画像
解析システムを用いて行い、そして「Image Analysis」ソフトウエア(KSS Comp
uter Engineers,Magna,UT)を用いて解析した。
大腿脛部のみについて、海綿質の内部構造、および内皮質(endocortical)表
面と海綿質網との間の相互接合性、結合性について、「結節(Nodal)」および「
星状体容量(Star volume)」の分析を行った。これらは、MillerおよびWronski(
1993)Anat .Record 236 :433-441およびBagiおよびMiller(1994)Anat .Record 239
:1-12に記載されている。骨髄星状体容量は、海綿質分離の直接的な測定で
あり、一方結節分析は、節および支柱、支柱のタイプ、および海綿質間の結合性
を表す。内皮質表面と海綿質網との間の結合は、皮質(cortical bone)と皮質
とを1つの解剖学的構造機能単位へ連結する骨強度の重要な決定因子である。
内皮質-海綿質結合部の総数が計数され、そして結合しないで終わる海綿質と他
の海綿質および/または内皮質表面と結合した海綿質の割合が計算される。全て
の測定、および骨動力学および骨構造を表す派生するパラメーターは、ASBMR Hi
stomorphometric Committee(Parfittら(1987)J.Bone Min .Res. 2:595-610)
により推奨されるように行った。
3.骨破損強度および内部皮質構造
左大腿骨の軟組織を洗い、そして骨無機質密度(BMD)および骨無機質含量(B
MC)のDEXA測定に使用した。皮質の生体力学的特性を試験するために、それぞれ
の大腿骨の近位末端および遠位末端を、骨の長軸に平行な動きが自由なように設
計した固定具に取り付けた。この固定具をMTS 858 Bionix System(MTS System
Corp.,Minneapolis,MN)にマウントし、そして回転力を、先に記載(van der M
eulen,M.C.H.,「Bone Strength in Young,Suspended Rats」,Stanford Univ
ersity Thesis,1993)のように、外部調節小型トルクトランスディユーサーで
測定した(範囲 0〜50ポンド;Model QWFK-8M/1941,Sensotec,Columbus,O
H)。(機械的試験を、Department of Mechanical Engineering,Stanford Univ
ersity,Stanford,CA;およびRehabilitation Research and Development Cent
er,Palo Alto,CA;およびVA Medical Center,Palo Alto,CAで行った)。機
械的試験の後、同じ標本を濃度を段階的に上げたエタノールで脱水し、メチルメ
タクリレート中に包埋し、そして低速骨鋸(Isomet,Buehler,Lake Bluff,I L
)で約100μmの厚さに切断した。大腿骨基部の中央軸由来の横断面切断(2〜3
)をプラスチックスライドに接着し、そして約40μmの厚さにまでグランドおよ
び磨き、そして皮質内部構造について、偏光下で分析した。測定は、内部および
外部層板骨層の厚さ、および中間にある網状骨の厚さを含めた。これらの測定後
、サンプルをvon Kossa法で染色し、トルイジンブルーで対比染色し、そしてカ
バースリップで覆った、静的な骨分析を行い、これには慣性パラメーターの第2
のモーメントの計算を含めた。
4.骨の細胞分析
右脛骨を10%の中性緩衝化ホルマリンで48時間固定し、Cal-Rite脱石灰溶液(
Richland-Allan Medical,Richland,MI)中で、2週間、脱無機質化し、そして
パラフィン包埋のために加工した。基部の脛骨骨間端に沿った3μm厚の長軸切
片を、ヘマトキシリンおよびエオシン、ならびにゴモリのトリクロームを用いて
染色し、そして骨の細胞分析のために使用した。
5.統計的分析
表3における、0時間と2時間で血漿グルコース値間の差異を、スチューデン
トのT-検定によって分析した。表3では処置群間の差異を比較するために、分散
の2因子分析を用いた。表7〜16または図2a〜b、3、4、7a〜dに示される群
間の差異は、分散の一方向分析における有意差について試験した。分散分析が平
均の間で有意な差異を示した場合、この差異をDunnatのT-検定および多重の比較
についてはFisher's Protected Least Significant Difference法を用いて評価
した(Netterら(1982)「Applied Statistics,」Allyn and Bacon,Boston)。
統計学的有意差をp<0.05で考察し、そして結果を平均±標準誤差(SE)として
表した。
C.結果
データの分析によって、卵巣摘出およびrhIGF-IおよびrhIGF-I/IGFBP-3複合
体を用いた処置に対する皮質および皮質の部位特異的変化が示された。表3に示
すように、2.5mg/kg用量のrhIGF-Iは、いずれの用量のrhIGF-I/IGFBP-3でも生
じなかった急性低血糖症を引き起こした。表4に示すデータは、グリコシル化ヘ
モグロビン値に対して任意の影響を有する処置は存在せず、しかも増加する用量
のrhIGF-IおよびrhIGFBP-3が、全IGF-I、rhIGF-IおよびrhIGFBP-3のより高い血
清レベルを導いたことを示す。rhIGF-IをrhIGFBP-3と組み合わせることによって
、rhIGF-I単独で処置したラットにおいて観察されたよりもより高いこれらの因
子の血清値が得られた。
本研究による脊椎BMDデータを、個体の変化の平均とともに表4Aに示す。予
測されるように、卵巣摘出は、脊髄BMDの減少を導き、これは7.5mg/kg用量のrhI
GF-I/IGFBP-3によって防止された。2つの低容量のrhIGF-I/IGFBP-3でいくらか
の保護が観察されたが、2つの用量のrhIGF-Iでは観察されなかった。摘出され
た脛骨(表5)および大腿骨(表6)に対して得られたDEXAデータは、rhIGF-I
およびrhIGF-I/IGFBP-3の両方について総BMCおよび全体BMDにおいて用量に関連
する増加を示す。
1.皮質の骨
試験された両処方での処置により、処置ラットの体重および脂肪除外体重が用
量依存的に増大を生じた(図2Aおよび2B)。骨膜の骨形成活性は、全ての処置
群においてそして偽またはOVXコントロールに対して測定された全ての部位でよ
り高かった(表7、8、9、11)。しかし、7.5mg/kgのrhIGF-I/IGFBP-3複合体
で処置したラットの群は、骨膜の骨形成速度パラメーターにおいて最も高い増大
を示した(図4Aおよび5C、5CC)。
処置ラットにおける内皮質(endocortical)骨吸収(これは、エストロゲン欠損
女性およびラットにおける皮質骨変化のホールマークである)は、偽opコントロ
ールについて得られる値とは異ならなかった(図4B)。これは、大腿骨頚位で
は、OVXラットに比較して有意に低い値を示す(表11)。また、内皮質包膜での
骨形成は、測定された両方の骨部位で増大した(大腿骨幹、表8)。
内部構造分析は、rhIGF-I/IGFBP-3処理後の両皮質包膜上で形成された骨の正
常な「ラメラ」構造を示した(表9;図6)。骨膜骨包膜および内皮質骨包膜に
おけるモデリング依存性骨形成の増大、および内皮質骨包膜における骨再吸収の
緩和または減少により、処置ラットにおいてより厚い皮質骨を生じさせた(表7
、9、11;図5および6)。皮質厚の増大および新規に形成されたラメラ骨(こ
れは網状骨より機械的に優れる)により、7.5mg/kgのrhIGF-I/IGFBP-3複合体で
処置したラットにおいて、より高い破損トルクおよび極性慣性モーメントのパラ
メーターを生じさせた(表10)。
全ての処置動物は、OVXまたは偽ラットに対して比較される場合、縦方向の骨
成長において同様の増大を示した(図3)。一般に、rhIGF-I/IGFBP-3での処置
により、両包膜上に「ラメラ」骨を加えることによって、皮質骨肥厚が生じた。
脂肪除外体成分の増大は、骨膜上の筋牽引力を増大させることにより、骨膜骨形
成を増強し得た。「ラメラ」構造と皮質厚の増大との両方がrhIGF-I/IGFBP-3処
置後の皮質骨強度を改善した。
2.海綿質の骨
海綿質の骨の力学および構造を、ラット骨格において4つの異なる位置で調べ
た。骨代謝回転速度における異なる位置での差異と、示される位置(遠位大腿骨
端、遠位大腿骨幹端、大腿骨中頚、および腰椎骨部)間の機能解剖学とを測定し
た。rhIGF-I/IGFBP-3での処置は、4つの部位全てで骨形成パラメーターを増大
した(表12、13、14、15;図7および8)。骨形成速度の増大(体積準拠;図7
A〜7D)は、7.5mg/kgのrhIGF-I/IGFBP-3複合体で処置した群において最も高か
った。骨吸収は、OVXラットに比較して同様またはより低い値を有した(表12〜1
5)。このような代謝回転活性によって、処置ラットにおいて測定された全ての
部位(但し、大腿骨幹端を除く)で、小柱厚が増大しおよび小柱数が維持された
。
大腿骨幹端部位での一次および二次海綿状(spongiosa)は、特に、OVXラットで
、およびrhIBFまたはrhIBF-I/IBFBP-3での処置後に、軟骨内骨伸長により非常
に影響を受けた(図9A〜9C)。この骨部位は、最も高い骨代謝回転速度を有す
る。OVXにより、中央骨幹端領域において「代謝」小柱が消失し、機械的値が0
となるが(図9B)、rhIGF-I/IGFBP-3複合体での処置は回復を助けた(図9C)
。
構造的小柱骨分析を、大腿骨頚位で行った。この大腿骨頚位は、ヒトの骨折に
最も関連のある骨部位である(表16、図10A〜10C)。非常に独特な解剖学的構造
を有するほかは、この骨部位は、内皮質表面で相互に連結した皮質骨と海綿質骨
とを併有する。皮質骨厚、海綿質骨量、構造、および内皮質表面と小柱網状構造
との連結性は、大腿骨頚領域における骨強度の全て重要な決定因子である。rhIG
F-I/IGFBP-3での処置は、小柱骨構造および小柱網状構造と内皮質表面との間の
連結性を改善した。一般に、ここで示したデータにより、予め卵巣摘出したラッ
トにおいて、全筋骨格系に対する全身投与のrhIBF-I/IBFBP-3の利点が明らかに
なった。
実施例3
IGF-I の組換え合成
組換えrhIGF-Iを、図11に示す配列(配列番号1)をコードする遺伝子挿入物
を用いて、以下に詳細に記載するように作製した。材料
使用される細菌株は、DE3で溶原化されているEscherichia coli K-12 W3110株
の誘導体である(Studier,F.およびMoffat,B,[1986]J.Mol.Biol. 189:113-130)
。この溶原菌は、lacUV5プロモーターの制御下でT7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有
する。
この宿主株をプラスミドpER10088で形質転換し、テトラサイクリン耐性で選択
した。プラスミドの説明
本研究に使用される3つの発現ベクターは、翻訳カプラーの下流に挿入される
遺伝子がユビキチン-IGFであること以外はpJU1002およびpJU1003(Squires,C.H.
ら、[1988]J.Biol.Chem. 263:16297-16302)と類似である(pER10088)。さらに
、pER10088は、そのプラスミドのtet遺伝子の5'末端に合成16bpアダプター配列
を含まない点でpJU1003と異なる。しかし、pBR322に由来する骨格中の唯一のPvu
II部位でDNA挿入物を有する。pER10088はその位置でリンカー5'...CCTCGAGG...3
'を含む。遺伝子挿入物の説明
本発明を支持するために実施された研究に対して提供されたように、ベクター
pER10088は、(5'から3'の順序で)ATGトリプレット(開始)、酵母ユビキチン
の76個のコドン、成熟ヒトインスリン成長因子Iの70個の合成コドン(図11)、
および終止コドンからなるオープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいた
。この場合、ORFは、Squiresら(上記)により記載されるように、線維芽細胞成
長因子の翻訳カプラーに対して正確に位置している。IGF 精製
IGF-Iを生産するE.coli細胞を、温度を10℃未満に維持しながら、Gaulinミル
またはマイクロフリューダイザー(microfluidizer)を用いて5容量/wt(例え
ば、1L/200g細胞ペースト)の50mM酢酸ナトリウムおよび1mM EDTA(pH5.5)中
で破砕した。溶解物を光学顕微鏡を用いて、破砕されなかったE.coli細胞の存在
を調べた。溶解物に100容量の10%(w/v)ポリエチレンイミン溶液を添加し、次い
で10,000で20分間遠心分離し、ペレットから上清を分離した。ペレットを2.5容
量の20mMリン酸カリウム、20mM DTTおよび2M尿素(pH5.8)でさらに2回再抽出
し、そして上記のように遠心分離した。このペレットをさらなる精製工程に使用
した。
IGFを、6M尿素、40mM DTTおよび1mM EDTAを含有する5容量/wtの20mM Tris
(pH8.0)でペレットから抽出し、そしてザルトリウス(Sartorius)0.8μフィ
ルターを通して濾過した。濾液を同じ緩衝液で3mg/mlの最終タンパク質濃度ま
で希釈し、次いで2容量の20mM Trisおよび1mM EDTA(pH8.0)で希釈した。こ
の混合物を、標準法に従ってプロタミンサルフェートおよびQ-セファロースを用
いてDNA除去工程に供した。ユビキチンタンパク質ペプチダーゼを混合物に添加
し、IGF-IをユビキチンIGF-I融合タンパク質から遊離させ、そしてIGF-Iを室温
で一晩再生させた。代表的な再生反応を、20mM〜50mMの、DTT/シスタミンの比が
1であるTris緩衝液存在下、約1mg/mlのタンパク質濃度で、1.5M〜2Mの尿素お
よびpH範囲8〜9で実施した。上記のように実施した再生により、IGF-Iの初期
量と比較して約40%の正確に再生されたIGF-Iが生じた。
再生IGF-I溶液を澄明にし、緩衝液を限外濾過系を用いて交換し、そして50mM
酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中で平衡化したカチオン交換カラム上にロード
した。IGF-I溶液をカラム上にロードした後、カラムを平衡化緩衝液で洗浄し、
次いで、平衡化緩衝液で始まり、0.25Mまたは0.5Mのいずれかの塩化ナトリウム
で終わる20カラム容量の勾配を適用して精製IGF-Iをカラムから溶出した。純粋
なIGF-Iの適切な画分をプールした。
カチオン交換カラムからプールした画分を、10%トリフルオロ酢酸(TFA)でp
H2.5まで酸性化した。溶液を0.2μmフィルターを通して濾過し、そして0.1% TF
A水溶液中で平衡化したVydac C-4カラム上にロードした。カラムを0.1% TFA存
在下で0%〜40%のアセトニトリルの直線勾配を用いて展開した。精製IGFを含
有する画分をSDS-PAGEによりアッセイし、次いでプールし凍結乾燥した。
実施例4
IGFBP-3 の組換え合成
組換えrhIGFBP-3を、図12に示す配列(配列番号2)をコードする遺伝子挿入
物として用いて、以下に詳細に記載するように作製した。図13〜15は、当該分野
において標準の方法または下記の手法と類似の方法に従って、本発明に使用され
得る別の典型的な遺伝子配列を示す。図13は、本明細書中の実施例に使用される
好適なコード配列である。材料
本発明を支持するために実施した実験で使用した細菌株は、DE3が溶原化したE scherichia
coli K-12 W3110株の誘導体である。(Studier,F.およびMoffat,B.[
1986]J.Mol.Biol. 189:113-130)。この溶原菌は、lacUV5プロモーターの制御下
でT7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有する。この宿主株をプラスミドpDJ12833で形質
転換し、テトラサイクリン耐性で選択した。プラスミドの説明
本研究に使用される3つの発現ベクターは、遺伝子が翻訳カプラーIGFBP-3の
下流に挿入されたこと以外はpJU1002およびpJU1003(Squires,C.H.ら、[1988]J. Biol.Chem.
263:16297-16302、本明細書中に参考として援用される)と類似であ
る(pDJ12833)。さらに、pDJ12833はそのプラスミドのtet遺伝子の5'末端に合
成16bpアダプター配列を含まない点でpJU1003と異なる。しかし、pBR322に由来
する骨格中の唯一のPvuII部位にDNA挿入物を有する。pDJ12833は、pSC101のpar
座を有する385bpのフラグメントを含む(Meacock,P.A.およびCohen,S.N.[1980]C ell
20:529-542)。遺伝子挿入物の説明
pDJ12833は、ATGトリプレット、続いて成熟ヒトIGFBP-3の264個のコドンから
なるORFを含む(図13)。アミノ末端の95個のコドンは合成された;残りはこの
遺伝子に対する天然cDNA由来であった。
この場合、ORFは、Squiresら([1988]J.Biol.Chem. 263:16297-16302、本明細
書中に参考として援用される)により記載されるように、線維芽細胞成長因子の
翻訳カプラーに対して正確に位置している。IGFBP-3 精製
IGFBP-3(「BP-3」)を生産するE.coli細胞を、温度を10℃未満に維持しなが
ら、Gaulinミルまたはマイクロフリューダイザーを用いて6容量/wt(例えば、
1.2l/200g細胞ペースト)の20mM Tris-HClおよび5mM EDTA(pH8)中で破砕した
。溶解物を光学顕微鏡を用いて、破砕されなかったE.coli細胞の存在を調べ、次
いで10,000gで20分間遠心分離し、ペレットから上清を分離した。ペレットを3
容量の20mM Tris-HCl(pH8)中にさらに2回再抽出し、そして上記のように遠
心分離した。得られたペレットをさらなる精製に使用した。
BP-3を、6M GdHCl、25mM DTTおよび5mM EDTAを含有する2.5容量/wtの20mM
Tris(pH8.0)でペレットから抽出し、そしてザルトリウス0.8μフィルターを通
して濾過した。濾液を上記緩衝液で4mg/mlの最終タンパク質濃度まで希釈し、
次いで1容量の20mM Trisおよび5mM EDTA(pH8.0)で希釈した。この混合物を、
当該分野で公知の標準手法に従って、プロタミンサルフェートを用いてDNA除去
工程に供した。プロタミンサルフェート沈殿物を濾過により取り除き、そしてBP
-3を再生反応に供した。代表的な再生反応を、還元剤/酸化剤をモル比1で有す
る20mM〜50mMのTris緩衝液存在下、約0.5mg/ml〜1mg/mlのタンパク質濃度、1.0
M〜1.5MのGdHClおよびpH8〜9で実施した。上記のように実施した再生により、
BP-3の初期量の60%を超える量が生じる。
再生BP-3溶液を澄明にし、緩衝液を限外濾過系を用いて交換し、そして20mM酢
酸ナトリウム緩衝液(pH7)中で平衡化したカチオン交換カラム上にロードした
。BP-3再生後溶液をカチオン交換カラム上にロードした後、カラムを平衡化緩衝
液で洗浄し、次いで精製BP-3を、平衡化緩衝液で始まり0.8Mの塩化ナトリウムで
終わる20カラム容量の勾配の適用によりカラムから溶出した。BP-3の適切な画分
をプールした。
プールしたBP-3含有画分の塩濃度を、硫酸アンモニウムを用いて0.6Mまで増加
させ、次いで5〜6の間のpHを有する酢酸/リン酸緩衝液を含む塩で平衡化した
疎水性相互作用クロマトグラフィーマトリックスカラム上にロードした。BP-3を
、pH5〜6で緩衝化した0%硫酸アンモニウムで終わる直線硫酸アンモニウム勾
配で溶出した。次いで、適切な画分をプールし、そして保存した。
BP-3を含有するプールした画分を、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)に取り、そ
して溶液を0.1% TFA水溶液で平衡化したC4 RP-HPLCカラム上にロードした。カ
ラムを平衡化緩衝液で洗浄し、次いで0.1% TFAを含むアセトニトリルの直線勾
配を用いて溶出した。BP-3を含有する画分をプールし、そして凍結乾燥した。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12P 21/02 C12P 21/02 C
(C12P 21/02 A61K 37/24
C12R 1:19) C12N 15/00 A
C12N 15/09
C12P 21/02
(C12P 21/02
C12R 1:19)
(72)発明者 ブロマージ,ロバート
アメリカ合衆国 カリフォルニア 95051,
サンタ クララ,フローラ ビスタ アベ
ニュー ナンバー508 3775
(72)発明者 ローゼン,デイビッド エム.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 95135,
サン ホセ,リトルワース ウェイ 4142
(72)発明者 アダムス,スティーブン ダブリュー.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 94087,
サニーベール,インバーネス ウェイ
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