【発明の詳細な説明】
レーザ増幅器として使用可能な半導体ダイオードレーザ及びその製造方法
本発明は、半導体ダイオードレーザ、特に、基板及びこの基板上に形成された
半導体層構造を有するIII −V族半導体材料から造られた半導体本体を具え、前
記半導体層構造には少なくとも第1の導電型の第1のクラッド層と、これとは反
対の導電型の第2のクラッド層と、これら第1及び第2のクラッド層の間に挟ま
れた活性層と、第1及び第2のクラッド層への電流供給手段とを設け、前記第1
及び第2のクラッド層はPN接合を形成し、このPN接合順方向に十分大きな電
流を流すことにより、2つの平行な端面間に形成された共振空洞内に存在し、か
つ活性層の一部を構成しているストリップ形状の活性領域において、電磁波の生
成と増幅を行うように構成され、また、前記共振空洞の縦軸線が前記端面の垂線
と小角をなすとともに、前記ストリップ形状の活性領域は、前記端面に近接した
少なくとも一つの端部を有し、この端部を好ましくは電流阻止層である第3のク
ラッド層によって前記端面から分離し、前記活性領域の端部にはテーパー部を設
け、その第1の側面を前記ストリップ形状の活性領域のテーパー部以外の部分の
側面と一致させ、第2の側面を前記端面の垂線に対して鋭角状とした半導体ダイ
オードレーザ増幅器(以下、単にレーザと呼ぶ)に関する。本発明のレーザは、
オプティカル・レジストレーション・システム又はガラスファイバー通信システ
ムにおける、光源又は増幅器として使用することができる。本明細書中における
レーザとは、広義に解釈して、レーザ増幅器をも含むものである。本発明におけ
るレーザの発信波長は、約 0.5〜1.5 μmである。また、本発明は、これらレー
ザの製造方法にも関する。
上述した構成のレーザは、公開日本特許出願の特開平5-175611号公報の英文抄
録No.62,E 1452(Vol.17,No.17,No.583,1993年10月22日発行)に記載されて
いる。この抄録はレーザ増幅器に関するものである。本抄録に記載されたレーザ
増幅器は、増幅すべき電磁波あるいは増幅された電磁波の共振器端面における反
射を減少させるために、共振器内部のストリップ形状の活性領域が前記共振器端
面と小角をなしており、さらに好ましくは、前記共振器端面に反射防止層を有し
た構造となっている。さらに、同じく前記共振器端面における反射を減少させる
ために、前記ストリップ形状の活性領域は、クラッド層によって前記共振器端面
から分離され、前記共振器端面からある程度離れて存在している。増幅すべき電
磁波あるいは増幅された電磁波を、簡易にガラスファイバーに導入するためには
、前記電磁波と前記共振器端面とのなす角度がほぼ90°でなければならない。こ
の目的のために、前記ストリップ形状の活性領域にはテーパー部を設け、その第
1の側面を前記ストリップ形状の活性領域のテーパー部以外の部分の側面と一致
させ、かつ他の側面が前記共振器端面の垂線と約90〜60°の角度をなすように構
成されている。この角度は、前記ストリップ形状の活性領域の縦軸と前記共振器
端面の垂線とのなす角度、及び前記ストリップ形状の活性領域と前記(第3の)
クラッド層の屈折率差に依存する。前記ストリップ形状の活性領域の縦軸線と、
前記共振器端面の垂線とのなす角度が約0°であると、前記ストリップ形状の活
性領域におけるテーパー部の側面と、前記共振器端面の垂線とがなす前記角度は
約90°になる。同様に、前記ストリップ形状の活性領域の縦軸線と、前記共振器
端面の垂線とのなす前記角度が約20°(この角度は、実際の装置における上限値
である)の場合は、前記ストリップ形状の活性領域のテーパー部の側面と、前記
共振器端面の垂線とがなす前記角度は約60°である。
既知のレーザにおける欠点は、増幅率の変動が非常に大きいこと、すなわち、
増幅すべき電磁波の波長が僅かに変化すると一様に増幅することができないとい
う欠点を有する。これは望ましくないことである。
本発明は、上述のような欠点のない、又は上述した欠点が極めて少ないレーザ
、すなわち、実質上、増幅率の変動が生じないレーザを提供するものである。ま
た、本発明は、このようなレーザの製造方法を提供するものである。
すなわち、本発明は、明細書前文に記載したようなレーザにおいて、前記スト
リップ形状の活性領域におけるテーパー部の第2の側面が、前記共振空洞の端面
の垂線と0〜30°の角度をなすことを特徴とするものである。本発明は、第1に
、増幅率の変動が、共振器端面の極めて高い反射率と密接に関係するという認識
に基づいてなされたものである。第2に、本発明は、活性領域と第3のクラッド
層間で生じる反射を減少させることにより、前記共振器端面での反射を低く押さ
えることができるという認識に基づいてなされたものである。すなわち、本発明
のレーザは、ストリップ形状の活性領域におけるテーパー部の第2の側面を、共
振空洞端面の垂線に対して0〜30°の角度にして、活性層中のテーパー部分を増
大させるものであり、これにより、活性領域と第3のクラッド層間の実屈折率差
、すなわち、これらの層間における反射を減少させることが可能となるものであ
る。前記ストリップ形状の活性領域におけるテーパー部の第2の側面と、共振空
洞端面の垂線とのなす角は、好ましくは0〜10°であり、さらに好ましくは約0
°である。これにより前記反射は著しく減少する。入力あるいは出力される電磁
波は、本発明のレーザの場合、もはや共振空洞端面に対して垂直ではないが、こ
の欠点は、ガラスファイバーを共振空洞端面に対して約35°の角度に取り付ける
ことによって、容易に取り除くことができる。ガラスファイバーをこのように取
り付けることにより、事実上、十分大きな結合効率が得られる。本発明のレーザ
におけるさらなる重要点は、活性領域のテーパー部における第1及び第2の側面
が互いに、さらには、共振空洞端面と非常に小さい角度をなしていることである
。
ることができる。したがって、このように配向が異なる表面に III−V族半導体
を成長させた場合は、配向の相違のために幾分か異なった成長過程を示す。本発
明のレーザは、第1及び第2の側面が実質的に同じ方向を向いているため、前記
のような差が生じることはない。本発明のレーザは、いわゆる埋込みヘテロ型の
レーザに対して特に適している。この型の場合、(電流阻止)クラッド層は、活
性領域と共振空洞端面間のみならず、活性領域の両側にも存在する。
本発明の実施例では、ストリップ形状の活性領域が、ストリップ形状のメサ構
造の一部を構成している。このメサ構造は、第1のクラッド層、第2のクラッド
層、及び前記ストリップ形状の活性領域からなる活性層を具えており、さらに、
電流阻止層である追加のクラッド層によって側面を囲まれている。このレーザは
、いわゆる半絶縁性平坦埋込みヘテロ型(SIPNH type:Insulating Planar Burie
d Hetero tvpe)であり、ガラスファイバー伝達システムに対して特に適してい
る。
レーザ製作にあたっては、有機金属気相成長法(MOVPE:Metal Organic Vaper Ph
ase Epitaxy)を用いることによって、比較的簡単に製造することができる。こ
の有機金属気相成長法は極めて魅力的な技術である。
本実施例においては、ストリップ形状のメサ構造の両側に、電流阻止層として
の第4のクラップ層を設け、側面が前記ストリップ形状の活性領域におけるテー
パー部の第2の側面と同一であり、かつ第3のクラッド層で囲まれた追加のスト
リップ形状のメサを形成している。追加のストリップ形状のメサを形成するに際
しては、ストリップ形状のメサ側面に、第3のクラッド層を直接設けるよりも数
多くの工程が必要となるが、反面、追加のストリップ形状のメサを形成すること
は、非常に有効である。ストリップ形状の活性領域におけるテーパー部のエッチ
ング不十分や、先端が丸くなるという現象は、第2の側面をエッチングによって
形成するストリップ形状の構造の側面(すなわち、ストリップ形状の活性領域の
側面)に設けられた第4のクラッド層によって、防ぐことができるか、あるいは
抑制することができる。実際に、第4のクラッド層を設けることによってエッチ
ングにより先端が丸くなるという現象は、この第4のクラッド層においてのみ生
じるようになる。エッチングの際に使用し、さらに、第3のクラッド層を形成す
る際にも使用するマスクが、メサ構造の上面から出っ張るような場合において、
第3のクラッド層を形成すると種々の問題が生じる。例えば、第3のクラッド層
に使用している III−V族材料の結晶中に空洞のような欠陥が発生する。しかし
ながら、メサ構造によって十分広く形成された導波路中には、このような欠陥は
存在しない。したがって、本発明の導波路パターンは最適な状態となり、何ら妨
害も受けることがない。以上のことについては、以下に示す本発明に関わるレー
ザ製造方法の説明において詳細に論じる。好ましくは、追加のストリップ形状の
メサの幅は、両側を第4のクラッド層によって囲まれたメサの幅の1〜10倍であ
る。このようにすると、第3のクラッド層を基板上の広範囲に形成することがで
きる。したがって、第3のクラッド層を制御しやすい方法で形成することができ
、また、結晶性及び平坦性も良好なものとなる。
本発明においては、ストリップ形状の活性領域の縦軸と共振空洞端面の垂線と
のなす角度が、好ましくは0〜20°であり、さらに好ましくは約0°である。こ
れにより、共振空洞端面での反射は極めて低くなり、電磁波を有効に取り出すこ
とが可能となる。
好ましくは、本発明のレーザをInP/InGaAsP 材料系の半導体本体で構成し、共
振空洞端面には、反射防止層を形成する。本発明のレーザは、1〜1.6 μmの波
長窓を有する光伝達システムの増幅器として特に適している。
本発明の半導体ダイオードレーザの製造方法は以下に示すとおりである。すな
わち、基板上に、少なくとも第1のクラッド層、活性層、及び第1の導電型の第
1のクラッド層と異なる導電型の第2のクラッド層を積層し、さらに、この第1
及び第2のクラッド層に電流を流すための電流供給手段を設けるとともに、縦軸
線が共振空洞端面の垂線と小角をなし、さらに、前記活性層の少なくとも一端が
第3のクラッド層によって共振空洞端面から分離するとともに、前記活性領域の
端部にはテーパー部を設け、その第1の側面を前記ストリップ形状の活性領域の
テーパー部以外の部分の側面と一致させ、第2の側面を共振空洞端面の垂線と一
定の角度をなすようにしたストリップ形状の活性領域を前記活性層中に形成する
方法において、前記ストリップ形状の活性領域におけるテーパー部の第2の側面
と共振空洞端面の垂線とのなす角を大きくとも30°、好ましくは大きくとも10°
、さらに好ましくは約0°にしたことを特徴とするものである。本発明のレーザ
は、簡易な方法によって得ることができる。
本発明に関わる製造方法の好ましい態様としては、最初の工程においてストリ
ップ形状の活性層中に形成し、次の工程において、マスクを用いたエッチング処
理を施すことにより、テーパー部を有するストリップ形状の活性領域を形成する
。しかしながら、最初の工程においてエッチング処理を施し、テーパー部を有す
るストリップ形状の活性領域を形成することもできる。また、湿式のエッチング
法を用いる代わりに蒸着を選択的に施すことにより、テーパー部を有するストリ
ップ形状の活性領域を形成することもできる。しかしながら、前記の2段階工程
でエッチングを実施することにより、ストリップ形状の活性領域のテーパー部を
、非常に平坦な側面と鋭利な先端とを有するように形成することができる。これ
に対して、1段階工程においてエッチングを行うと、エッチング不十分のために
、ストリップ形状の活性領域におけるテーパー部の側面が曲がった形態になると
と
もに、その先端も丸くなってきてしまう。このような状態でメサ上にマスクを設
けると、前記の部分からはマスクが若干突き出た状態となってしまう。これは、
メサ構造に対してさらなる成長を行う際に、前記のような不利益を伴う。
本発明の構造方法に対する重要な変更としては、ストリップ形状のメサを以下
に示すような半導体層構造中に形成する。すなわち、ストリップ形状のメサの両
側に電流阻止層である第4のクラッド層を設け、これによって前記ストリップ形
状のメサと、第4のクラッド層とからなる追加のメサを形成し、このメサに対し
てマスクを用いたエッチング処理を施すことにより、追加のストリップ形状のメ
サにおける第1の側面が前記ストリップ形状のメサの側面と同一になり、かつ第
2の側面が共振空洞の端面の垂線方向に平行であって、さらに、追加のストリッ
プ形状のメサ周囲に第3のクラッド層を設けた半導体層構造を形成する。このよ
うに、追加のストリップ形状のメサを形成することにより、上述のようにエッチ
ングが不十分てことに起因して生じる現象を抑制することができる。したがって
、ストリップ形状の活性領域におけるテーパー部の第2の側面を極めて平坦にす
ることができる。また、たとえエッチング不十分な部分が生じたとしても、それ
は光導波路の外において生じることになる。以上より、本発明のレーザの製造方
法を用いることにより、最適なレーザを製造することができる。
以下、本発明を図面とともに実施例に則して詳細に説明する。
第1図は、本発明に係わるレーザダイオードの斜視図である。
第2図は、第1図におけるレーザダイオードのII−II線断面図である。
第3図は、第1図におけるレーザダイオードの III−III 線断面図である。
第4図は、第1図におけるレーザダイオードのIV−IV線断面図である。
第5図から第10図は、本発明に係わる製造方法の製造工程を連続的に示した
斜視図である。
これらの図は、あくまでも図面としての役割を果たすものであり、スケール的
に正確なものではない。また、その構成を明確に示すために、膜厚方向の大きさ
は、特に誇張して描かれている。各図面において、同一の部分は可能な限り同一
の符号を用いて表した。
第1図は、増幅器として構成された本発明に係わる半導体ダイオードレーザの
斜視図を示したものである。第2図、第3図、及び第4図は、それぞれ第1図に
おけるレーザダイオードのII−II線、及びIV−IV線断面図である。本発明のレー
ザは、厚さが約 100μmであり、かつドープ量が5×1018S原子/cm3であって
、さらに(001)配向したN型InP 基板1を有する半導体本体10を具える(
第2図参照)。基板1における 1.5μmの厚さを有する層2は、0.1 μmの厚さ
のIn0.57Ga0.43As0.91P0.09(波長1.55μm)からなるストリップ形状の活性領
域4Aを有する活性層4に対して、第1のクラッド層として作用する。また、ド
ープ量が5×1017Zn 原子/cm3であり、厚さが約1μmのp型InP からなる層3
は、同様に、第2のクラッド層として作用する。クラッド層2、3の間に形成さ
れたPN接合部に順方向の電流を流すことにより、電磁波は、ストリップ形状の活
性領域4A内において生成及び増幅される。このため、通常は電極11及び12
が設けられており、本実施例のようなInP クラッド層/InGaAsP 活性層の構成に
おいては、通常、電極11、12として金属層が用いられる。ストリップ形状の
活性領域4Aは、2つの平行な端面50、51の間に形成された共振空洞内に位
置し(第4図参照)、また、その縦軸線は端面50、51の垂線方向からわずか
に傾いた状態となっている。さらに、ストリップ形状の活性領域4Aは、半絶縁
性InP で形成され、かつ厚さは約2.2 μmの第3の電流阻止クラッド層5によっ
て、端面50、51から分離されている。また、ストリップ形状の活性領域4A
には、テーパー部40が設けられ、その第1の側面がストリップ形状の活性領域
4Aのテーパー部以外の部分の側面42と一致し、第2の側面43が端面50、
51の垂線方向と鋭角状をなしている。
本発明において、ストリップ形状の活性領域4Aのテーパー部40における第
2の側面43は、端面50、51の垂線方向と0〜30°の角度をなしていること
が必要であり、好ましくは0〜10°、さらに好ましくは約0°である。したがっ
て、ストリップ形状の活性領域4Aは、比較的大きなテーパー部を有することに
なる。この結果、ストリップ形状の活性領域4Aと第3のクラッド層5間の実効
屈折率差が減少するため、その層間における反射も大きく減少する。テーパー部
40の第2の側面43と、端面50、51の垂線とのなす角度が約0°である場
合は、前記の反射が最も低くなるためにリップルも最低となり、最も好ましい状
態を呈する。この場合、レーザに入力する電磁波又はレーザから出力される電磁
波は、端面50、51に対して約35°の角度をなして射出されるが、この角度で
も、ガラスファイバー(図示せず)と連結することは十分可能である。本発明の
レーザは、光伝達システム用レーザとして特に適したものである。ストリップ形
状の活性領域4A及びテーパー部40の第1の側面42及び第2の側面43は、
InGaAsP 結晶の〈011〉方向とほぼ平行であるため、これらの側面に対してさ
らに成長させた場合は、極めて均一なものが得られる。したがって、埋込みヘテ
ロ型のレーザの場合においては、第2の側面43がこのように均一な状態を呈す
ると、レーザの利得及び特性が著しく向上する。
最初に述べたような、半絶縁性平坦埋込みヘテロ型のレーザにおけるストリッ
プ形状の活性領域4Aは、第2図に見られるように、2つのクラッド層2、3を
具えたストリップ形状のメサ20における層構造の一部を構成するとともに、厚
さが2μmを超える半絶縁性のInP からなる第4のクラッド層6によって囲まれ
た状態となっており、結果として、ストリップ形状のメサ20は、第2の側面4
3と一致した側面を有し、第3のクラッド層5に囲まれた追加のストリップ形状
のメサ21を形成する。本実施例では、第3及び第4のクラッド層5、6は、約
0.3 μm厚の比較的薄いN 型InP 層を具えている。また、0.5 μm厚のP型InP
からなる第5のクラッド層7が、レーザの全体に亘って形成されている。さらに
、膜厚が0.5 μmであって、ドープ量が1×1019Zn原子/cm3であるP型のIn0.5 7
Ga0.43As0.91P0.09からなるコンタクト層8が、第5のクラッド層7上に形成さ
れている。
メサ20及び21の長さはともに820 μmであり、メサ20の幅は2〜3μm
、メサ21の幅は10μmである。半導体本体10の大きさは、850 ×300 ×100
μmである。ストリップ形状の活性領域4Aの縦軸方向と端面50、51とがな
す角度は0〜20°、好ましくは約10°である。この場合、ストリップ形状の活性
領域4Aのテーパー部40における第2の側面43の長さは、メサ20の幅の値
に依存して11.5〜17.5μmの範囲で変化する。また、端面50、51上には、屈
折率が1.78である酸窒化シリコンの1/4波長反射防止層(図示せず)が形成さ
れている。
第5図から第10図は、本発明に係わるレーザダイオードの製造工程を連続的
に示した斜視図である。最初に、約350 μm厚の(001)配向基板1とクラッ
ド層2及び3、さらに、クラッド層2及び3に挟まれた活性層4を有する半導体
本体10を形成する(第5図参照)。この場合において、第1のクラッド層2は
基板1の上層部で形成する。第2のクラッド層3及び活性層4は有機金属気相成
長法により形成する。各層の材料、膜厚、ドープ量、及び組成は、第1図から第
4図において説明したとおりである。
半導体本体10を反応容器から取り出した後、ストリップ形状のメサ20を、
例えば、SiO2製のストリップ形状のマスク(図示せず)を用いたエッチング処理
により形成する。すなわち、このエッチング工程において、メサ20を、マスク
と同じ形状、かつInGaAsP 結晶の〈011〉方向と10°の角度をなすように、
基板1表面全体に亘って形成する(第6図参照)。エッチング処理条件は、米国
特許第5,266,518 号に記載されている。このエッチング処理により、メサ20の
層構造の一部を構成するストリップ形状の活性領域4Aを得ることができる。次
に、反応容器中で原料ガスを反応させることにより、メサ20の両側に第4のク
ラッド層6及び6Aを選択的に形成する(第7図参照)。半導体本体10を反応
容器から取り出した後、再度、例えば、SiO2製のストリップ形状のマスク(図示
せず)を用いてエッチング処理を施すことにより、メサ20をマスクと同じ形状
に形成し、最終的な形態としてのストリップ形状の活性領域4Aを得ることがで
きる(第8図参照)。このエッチング処理条件についても、上述した米国特許第
5,266,518 号に記載されている。マスクの作製にあたっては、ストリップ形状の
活性領域4Aがテーパー部40を具え、その第1の側面42とストリップ形状の
活性領域4Aのテーパー部以外の部分の側面42とが一致し、かつ第2の側面4
3と端面50、51の垂線とが鋭角状をなすようにマスク形状を設計する。
本発明においては、テーパー部40の第2の側面43と端面50、51の垂線
方向とのなす角度が0〜30°であることが必要であり、好ましくは0〜10°、さ
らに好ましくは約0°である。ストリップ形状の活性領域4Aの形成にあたって
は、本実施例に示すように、2段階で実施することが好ましい。すなわち、第1
段階として、メサ20の形成過程において、活性層4中に、ストリップ形状の活
性領域4Bを、その縦軸方向が切断されないように基板1の全体に亘って形成し
(第6図参照)、第2段階において、ストリップ形状の活性領域4Bに対してエ
ッチング処理を施すことにより、テーパー部40を具えるストリップ形状の活性
領域4Aを形成する(第8図参照)。このような2段階の工程を経てストリップ
形状の活性領域4Aを形成すると、1段階の工程でストリップ形状の活性領域4
Aを形成する場合に生じる、エッチングが不十分なためにテーパー部40の先端
が丸くなってしまうという現象を防ぐことができる。本発明のように、尖った先
端を有するテーパー部40を形成する場合には、このような2段階工程と1段階
工程との違いから生じる現象は特に顕著になる。ストリップ形状の活性領域4A
の両側に存在している第4のクラッド層6も、テーパー部40の第2の側面43
を形成する際、エッチング不十分によって、テーパー部40の先端が丸くなると
いう現象を防止する効果がある(第7図及び第8図参照)。したがって、メサ2
1上にマスクを設けた場合に、それがメサ21から極端にはみ出すということが
なくなる。したがって、メサ21に対して、さらにある材料を成長させた場合に
、材料中に欠陥が発生するのを防止することができる。欠陥が存在するとしても
、第4のクラッド層6の部分に集中し、ストリップ形状の活性領域4A、すなわ
ち、導波路中には存在しない。
次に、半導体本体10を反応容器から取り出し、メサ20、21を形成する際
に使用したマスクを取り外す。その後、最終の層形成工程において、第5のクラ
ッド層7及びコンタクト層8を形成する。さらに、基板1を厚さが約100 μmに
なるまで研磨し、金属層を形成する。端面50、51を繰り返しのへき開によっ
て形成し、さらに端面50、51上に反射防止膜を形成する。本実施例において
ながら、端面50、51の縦軸方向を〈011〉方向となるようにしても、好ま
しい結果を得ることができる。以上の工程を経ることにより、本発明に係わるレ
ーザを、実際に使用可能な形態に作製することができる。共振空洞内のストリッ
プ形状の活性領域4A近傍に回折格子を設けると、分布帰還型(DFB type :Dist
ributed Feed Back type)のレーザを得ることができる。
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、この
実施例に対しさらなる変更と変形を行うことが可能である。例えば、各層の厚さ
、半導体材料、組成、及び導電型として前記実施例で述べた以外のものを使用す
ることもできる。また、半絶縁性の基板を使用することもできる。特に、本発明
の半導体材料としては、実施例で述べた外、GaAs/AlGaAs、InGaP/InAlGaP、及び
InP/AlGaInAsを使用することもできる。また、上述した実施例では、メサ構造を
総てエッチングにより形成したが、エッチングに代わる、他の選択的な成長工程
により形成することもできる。
さらに、本実施例におけるメサ構造の形成工程を簡略化して行うこともできる
。この簡略化した工程を実施することによって、多くの製造工程を省くことがで
き、レーザの作製を簡易に行うことができるようになる。しかしながら、本発明
のストリップ形状の活性領域4Aを、好ましくは、2段階工程でメサを形成する
ことにより、前記したような利点を得ることができる。
本発明は、上述したようなSIPBH 型のレーザに限定されるものではない。電流
阻止クラッド層として本実施例に記載した以外の他の材料を使用することもでき
る。例えば、半絶縁性層の代わりにPNP 3層構造を用いることもできる。このPN
P 3層構造は電流阻止PN接合を具え、いわゆる逆バイアスの状態となる。本発明
は、好ましくは埋込み構造である、リッジ型レーザのような屈折率導波型レーザ
に対しても使用することもできる。同様に、酸化物ストリップ型又はプロトン衝
撃型レーザのような利得導波型のレーザにも使用することもできる。
さらに、本発明に係わるレーザの製造に際しては、有機金属気相成長法の外に
、液相成長法(LPE:Liquid Phase Epitaxy)、気相成長法(VPE:Vaper Phase Epi
taxy)、及び分子ビーム成長法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)を用いることがで
き、さらにこれらを組み合わせて使用することもできる。また、本実施例のよう
な湿式のエッチング法の代わりに、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion
Etching)を用いることもできる。
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フロントページの続き
(72)発明者 テイス ペトルス ヨハネス アドリアヌ
ス
オランダ国 5656 アーアー アインドー
フェン プロフ ホルストラーン 6
【要約の続き】
好ましい。本発明における活性領域(4A)周囲の成長
は極めて均一であるため、利得や特性の良好なレーザを
得ることができる。本発明のレーザは、反射を減少させ
るために、端面(50,51)に反射防止層を設けた構
成とすることが好ましい。また、本発明は、目的とする
レーザを簡易な方法で製造することができる製造方法に
関する。