【発明の詳細な説明】
リューマチ性関節炎の診断用組換え抗原
発明の背景
本発明はリューマチ性関節炎の診断方法に関する。より具体的には、本発明は
組換え抗原と反応する患者血清中のリューマチ性関節炎関連抗体の存在または不
存在の定量によるリューマチ性関節炎の客観的な診断方法に関する。さらに、本
発明は組換え抗原およびその遺伝子の分子クローンに関する。
リューマチ性関節炎は人口のかなりのパーセントで影響を与える慢性的な全身
性リューマチ疾患である。慣習的に、患者による臨床的な観察または主訴により
主観的に診断されてきた(P.Llpsky,Rheumatoid Arthritis,Harrison's Prin
ciples of Internal Medicine 1423(1987))。よって、リューマチ性関節炎の臨
床的な診断は診断医の技能および患者の疾患の症状の重篤度に委ねられている。
リューマチ性関節炎の客観的な診断に関して、リューマチ性関節炎患者の血清
中のリューマチ因子(Rf)の存在がルーチン的に測定されている。RfはIg
G免疫グロブリン不変部領域に結合する自己抗体である。血液中のRfの存在を
測定する標準的な試験は、RfがIgGの凝集を引き起こす凝集試験である。R
fは、リュー
マチ性関節炎の臨床的症状を示す約70%の患者で検出されてきた。よって、こ
れらの患者は「血清陽性」と称される。残りの30%は「血清陰性」リューマチ
性関節炎を有すると分類される。リューマチ性関節炎以外に多くの疾患がリュー
マチ因子の存在に関連する。したがって、Rfの存在に基づいてリューマチ性関
節炎の決定的な診断が確立されることはない。実施するのに迅速で容易であり、
放射性同位元素をともなわず、または患者を冒すことがなく侵襲的でない、血清
中のRfの存在よりも、臨床的な診断により密接に関連するリューマチ性関節炎
の客観的な診断方法が必要とされている。
多様な自己免疫リューマチ疾患を有する患者からの血清は、細胞の主に核成分
に対する循環性の自己抗体を含有する(E.Tan,33 Advances in Immunology 16
7-240(1982))。これらの抗体は抗核抗体(ANA)と称され、それらの各自己
免疫疾患に特異的であり、臨床医学における診断用補助物として有用である。こ
れらの抗体に対する抗原の一部はバイオテクノロジーの方法により作られ、各自
己免疫疾患の診断に用いられている(R.Michael および J.Keene,Molecular
Biology of Nuclear Autoantigen,18 Rheumatoid Disease Clinics of North A
merica 283-310(D.Pisetsky,編,1992))。これらの自己免疫疾患に対する
診断試験の開発の成功は、同様なアプローチがリューマチ性関節炎に対して有益
であることを示唆する。
リューマチ性関節炎患者からの血清も細胞の成分に対する抗体を含有すること
が発見された。寒天ゲル拡散試験で、リューマチ性関節炎患者からの血清と、あ
る種のエプスタイン・バーウイルスでトランスフォームされたヒトBリンパ球細
胞系、例えばWIL−2やRaji細胞系からの抽出物とを隣接するウェルに置
くと、沈降素のラインが形成される(M.Alspaugh および E.Tan,19 Arthriti
s and Rheumatism 711-19(1976))。この沈殿の原因となる抗体はIgGタイプ
であり、それが反応する抗原は核抗原である。よって、この抗原は「リューマチ
性関節炎核抗原(rheumatoid arthritis nuclear antigen)」または「RANA
」と称されている。
RANAの存在に基づく診断試験を開発可能とする前にいくつかの問題を克服
する必要がある。この抗原の同一性(identity)は知られていない。かりにそれ
が知られていたとしても、細胞中に小量しか存在していないので、均質な程度に
まで精製することは困難である。このような純度が必要とされるが、その理由と
しては小量の抗原を検出するように工夫された血清学的試験の極端な感度の場合
、夾雑物がRANAとともに精製されると偽陽性を生じることがあるためである
。
これらの理由から、本発明はリューマチ性関節炎の定量的検出に対する異なる
アプローチを開示する。このアプローチは組換えDNA技術による組換え抗原の
生産、およびこの新規な抗原に対するリューマチ性関節炎関連
抗体の患者血清中における検出をともなうものである。この組換え抗原は市販の
抗RANA抗体とは反応しない。
発明の目的と要約
本発明の一つの目的は、リューマチ性関節炎の診断方法を提供することにある
。
本発明の別の目的は、患者血清の血清学的分析、例えばELISA分析による
リューマチ性関節炎の診断方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、リューマチ性関節炎関連抗体により検出可能な組換
え抗原の発現を指令することのできる核酸を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、リューマチ性関節炎関連抗体により検出可能な
組換え抗原を提供することにある。
これらの目的と他の目的は、配列番号3およびそれと実質的に相同的な配列か
らなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドからなる、リューマチ性
関節炎の診断用抗原を提供することにより達成され、前記の抗原はリューマチ性
関節炎関連抗体に対して反応性を有するものである。この抗原は原核または真核
の宿主細胞で発現させることができ、または化学的に合成することができる。こ
れらのリューマチ性関節炎関連抗体はIgMサブタイプである。
また、本発明は、天然のRAMAタンパク質の一次構
造コンフォメーションの少なくとも一部と抗原活性とを有するペプチドの宿主細
胞での発現を確実とするのに使用される精製され単離されたDNAを包含し、該
DNAは、
(a)配列番号2、
(b)配列番号2とハイブリダイズするDNAまたはその断片、および
(c)遺伝子コードの縮退以外は(a)および(b)で定義されたDNAとハ
イブリダイズするDNAからなる群から選択される。さらに、この精製され単離
されたDNAは宿主のトランスフォームに適したベクターを含むことができ、該
ベクターはプラスミド、コスミド、ファージミド、ファージ、ウイルス等からな
る群から選択される。宿主は大腸菌(E.coli )等の原核細胞でも真核細胞でも
よい。
図面の簡単な説明
図1は、健康人(H)からの血清、リューマチ性関節炎(RA)の血清および
全身性エリテマトーデス(SLE)の血清の本発明によるELISA試験結果を
示すグラフである。
詳細な説明
本発明の組換え抗原および分子的にクローニングされたその遺伝子を開示し、
記載する前に、ここに開示され
た特定の方法の工程と材料とは若干変更してもよいので、本発明はそのような方
法の工程と材料とに限定されるものではないことを理解されたい。また、本発明
の範囲は添付の請求の範囲とその均等物によってのみ限定されるものであって、
ここで使用される用語は特定の実施態様を説明する目的のためにだけに用いられ
るもので、限定することを意味するものではない。
本明細書および添付の請求の範囲で用いられる単数形("a"、"an"および"the"
の単数形)はその文脈が明らかに示さない場合は複数形のものを包含する。よっ
て、例えば「ペプチド」("a peptide" )を含有する抗原と称した場合は2種類
以上のペプチドの混合物を包含し、「宿主細胞」("a host cell" )と称した場
合は1種類以上のそのような宿主細胞を包含し、「プラスミド」("a plasmid"
)と称する場合は2種類以上のプラスミドの混合物を包含するものである。
本発明を説明し、特許請求する際に、以下の用語を以下に示す定義にしたがっ
て用いることにする。
ここに用いられる「RAMA」は、ATCC 69605として寄託されてい
るプラスミドによりコードされる本発明のリューマチ性関節炎IgM関連抗原を
意味する。
ここに用いられる「ペプチド」は、どのような長さのペプチドをも意味し、ま
たタンパク質を包含する。「ポリペプチド」および「オリゴペプチド」という用
語は特
定の大きさが示されない限り、特定の大きさを意図するという限定をすることな
しにここで用いられる。
ここに用いられる「DNA」は、DNA、および遺伝情報を保存することがで
きる他の核酸を意味する。例えば、RAMA遺伝子のインビトロ転写により得ら
れるRNAはDNAという用語の範囲に含まれる。
ここに用いられる「ベクター」は、宿主細胞中で複製することができ、かつベ
クターに挿入される外来核酸を保有することのできる遺伝子要素を意味する。本
発明の範囲内で用いることができるベクターとしては、プラスミド、コスミド、
ファージミド、ファージ、ウイルス等が例示される。
ここに用いられる「実質的に相同的な」は、比較されるポリヌクレオチドおよ
びポリペプチドとは一次構造が異なるにもかかわらず機能性を保持するポリヌク
レオチドおよびポリペプチドを意味する。例えば、配列番号2に実質的に相同的
なポリヌクレオチドは、配列番号3のアミノ酸配列を有する天然タンパク質の一
次構造コンフォメーションの少なくとも一部と抗原活性とを有するポリペプチド
産物の宿主細胞における発現を確保することができるものであり、該ポリヌクレ
オチドは、(a)配列番号2とハイブリダイズするポリヌクレオチドまたはその
断片、および(b)遺伝子コードの縮退以外は配列番号2および(a)とに定義
したポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドから選択される。
さ
らに具体例として、配列番号3に実質的に相同的なポリペプチドはリューマチ性
関節炎関連抗体と反応性のある抗原としての機能を保持するものであるが、該ポ
リペプチドはさらに余分なアミノ酸残基を有していてもよく、または配列番号3
のトランケートされた変異体、欠損変異体、または置換変異体であってもよい。
置換変異体は、1個以上のアミノ酸残基の保存的な置換を含有するものである。
保存的な置換とは、ペプチドの機能(この場合はリューマチ性関節炎関連抗体と
反応性のある抗原としての機能)を保持しながらあるアミノ酸残基が別のものに
置換されたものである。ある種の保存的な置換基に属するアミノ酸残基はしばし
ば同じグループ内の別のアミノ酸残基と置換することができる。そのような一つ
のグループは、Pro; Ala, Gly; Ser, Thr; Asn, Gln; Asp; Glu; His; Lys, Arg
; Cys; Ile, Leu, Met, Val; およびPhe, Trp, Tyrである(M. Jimenez-Montan
o および L. Zamora-Cortina 、アミノ酸配列の生成の進化モデルおよびその哺
乳類α−ヘモグロビン鎖の研究への応用、Proc. VII th Int'l Biophysics Cong
ress, Mexico City(1981))。実質的に相同的であると思われる他の変異として
は、天然Lアミノ酸に対するDアミノ酸置換、例えば付加側鎖を有するようなア
ミノ酸誘導体の置換、および非標準的なアミノ酸(すなわち、タンパク質中では
稀であるかまたは存在しないα−アミノ酸)の置換が挙げられる。実質的に相同
的なポリペプチドの一次構造は機能
によってのみ限定される。
新規な抗原(「RAMA」)をコードする遺伝子は、ここで文献の援用として
挙げる1993年2月19日に出願された同時係属中の米国特許出願第08/0
19,780号に記載のように、分子的にクローニングされ、細菌および真核タ
ンパク質発現システムで発現される。RAMA抗原のクローニングと発現にとも
なうステップを簡単に記載すれば以下の通りである。ポリアデニル化mRNAを
約1×108個のヒトRaji細胞(ATCC No.CCL 86)から「フ
ァーストトラック(FAST TRACK)」mRNA単離用キット(Invitrogen、サンデ
ィエゴ、カリフォルニア州、米国)を用いて単離した。細胞を溶解し、ホモゲナ
イズし、プロテアーゼとともにインキュベートし、次にオリゴ(dT)セルロー
スクロマトグラフィーにかけた。得られたポリアデニル化RNAを次に鋳型材料
として用い、市販のキット(λライブラリアン(λ Librarian)、Invitrogen
)を用いて2本鎖cDNAを調製した。このキットで用いられる方法はOkayama
とBerg(2 Molecular and Cellular Biology 161(1982))およびGublerとHoffma
n(25 Gene 263(1983))によって記載された方法である。cDNAの両末端をT
4ポリメラーゼで処理し平滑化した。EcoRIリンカーをこの平滑化cDNA
にT4 DNAリガーゼを用いて連結した。このリンカーは次の配列を有する。
このリンカーを構成する短い方のオリゴマーの5’末端はリン酸化を行ったが
、長い方のオリゴマー(配列番号1)の5’末端はリン酸化しなかった。いった
んリンカーを付加してから、cDNAをT4ポリヌクレオチドキナーゼで処理し
て、EcoRIリンカーの突出5’末端をリン酸化した。これらの方法から得ら
れる2本鎖CDNAは、多様な長さの分布を示すcDNAならびに過剰の未反応
のリンカーを有していた。この未反応リンカーを除去して、アガロースゲル電気
泳動によりcDNAを分画することにより1〜5kbpの範囲のcDNAを選択
した。分画完了後、ゲルをゲル装置から取出し、cDNAを臭化エチジウムによ
り可視化し、cDNAレーンのスライスを1〜5kbpの所望の大きさに対応す
るように切断した。このcDNAをすぐに電気溶出した。
次に、サイズで選択されたこの2本鎖cDNAをファージλgt11クローン
グベクター中でクローニングした(R. Young および R. Davis, 80 Proc. Nat'l
Acad.Sci USA 1194-98(1983); T. Hyynh ら, 1 DNA Cloning: A Practical Ap
proach 49-78(D. Glover, ed, IRL Press, Oxford, 1985))。このベクターの
EcoRIクローニングサイトは、λgt11ベクターを作る際にファージλD
NAに挿入されている大腸菌(E. coli)
lacZ遺伝子内に位置している。このlacZ遺伝子は酵素β−ガラクトシダ
ーゼをコードする。EcoRIサイトでのクローニングによりこの遺伝子に挿入
されたDNA断片は、lacプロモーターの制御下で不活性な組換えβ−ガラク
トシダーゼ酵素を作る融合遺伝子をもたらす。組換えファージは、ラクトース類
似体の5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(X−
gal)を含有するインディケータープレート上で青色のプラークを形成できな
いので、これらのファージを認識し、選択することができる。λgt11ファー
ジはlac+であるために、無色のX−galを代謝物質に切断することができ
、該代謝物質は自己構築して青色インドール化合物となる。EcoRIで消化さ
れ、脱リン酸化されたλgt11DNAをInvitrogenから得た。
連結されたDNAを次に Promega社(ウィスコンシン州、マジソン)から市販
され入手した「パッケジーン(PACKAGENE )」ファージλパッケージングシステ
ムでパッケージし、組換えファージの力価を供給会社の指示書にしたがって測定
した。
組換え抗原は Promega社からの「プロトブロット(PROTOBLOT )」免疫スクリ
ーニングシステムに関する技術マニュアルに記載された非放射活性免疫ブロット
技術を用いて単離した。Y1090宿主細胞を、λgt11ライブラリーからの
3×104個のプラーク形成単位(P
FU)の組換えファージに感染させ、次にこれを寒天プレートに塗布した。プレ
ートに、10mMのIPTGで前もって飽和しておいた乾いたニトロセルロース
フィルターを重ねて37℃でインキュベートした。インキュベーション中、溶菌
的に感染した細胞から放出されるファージとタンパク質はフィルターに付着した
。フィルターをプレートから除去し、ブロックして他のタンパク質がプレートへ
付着するのを防止した。次に、リューマチ性関節炎を有すると臨床的に決定され
た患者の血清(TBST緩衝液:10mMトリス塩酸、pH8.0、1mM E
DTA、0.05%「トゥイーン(TWEEN )−20」、により1:20に希釈)
をフィルターとともにインキュベートした。次に、フィルターをTBSTで洗浄
し、非特異的に結合した抗体を除去した。次に、フィルターを抗IgM抗体−ア
ルカリホスファターゼ複合体(Kirkegaard & Perry Laboratories, Inc.、ガイ
セルブルク、メリーランド州; TBSTにより1:100に希釈)とともにイ
ンキュベートした。次に、フィルターを再び洗浄し、顕色基質であるニトロブル
ーテトラゾリウム(NBT)および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホ
スフェート(BCIP)を加えた。陽性プラークはアルカリホスファターゼの活
性の結果として暗い紫色を生じた。陽性プラークを再試験し、試験プレート上の
すべてのプラークが陽性シグナルを生じるまでリプレートを行うことにより精製
した。
精製された賜性の組換えλgt11ファージの溶原菌(lysogen )を Promega
社の技術解説書No.006にしたがって作った。T. Maniatisらにより記載の
アルカリ溶解ミニプレップ・プロトコール(Molecular Cloning: A Laboratory
Manual (Cold Spring Harbor Laboratories, Cold Spring Harbor, New York, 1
982))を用いて、組換えファージDNAをλgt11溶原菌から単離した。この
DNAをEcoRIで消化し、得られたDNA断片を0.7%低融点アガロース
ゲルによる電気泳動で分画した。臭化エチジウム染色および紫外線照射により、
特異な2600bpのバンドが明らかとなった。このバンドをゲルからスライス
状に切り出し、そのアガロースを70℃でメルトした。次に、DNAをフェノー
ル抽出し、そしてアルコールで沈殿させた。
次に、標準的な方法(例えばJ. Sambrook ら, Molecular Cloning: A Laborat
ory Manual(第2版,1989); T. Maniatisら, Molecular Cloning: A Laboratory
Manual(1982); F. Ausubel ら, Current Protocols in Molecular Biology(198
7))を用いて、Invitrogenから得られたプラスミド発現ベクター「pTrcHis C」
のEcoRIサイトで前記の2600bpのEcoRI断片を再クローン化した
。このベクターはλgt11と同じリーディングフレームを有し、かつ大腸菌(
E. coli )で高いレベルのタンパク質発現を得るためのすべてのDNA配列を有
し、さらに6個の連続したヒスチジン残基をコード
する配列を有しており、発現されたタンパク質は該ヒスチジン残基によりNi荷
電の「プロバンド(PROBOND)」樹脂(Invitrogen)に結合するので、この組換
えタンパク質は1ステップ精製で容易に精製することができる。前記の2600
bp断片を有するpTrcHis Cプラスミドで大腸菌(E. coli )株Top10(Inv
itrogenより入手)をトランスフォームした。
組換えタンパク質の発現はウエスタンブロッティング分析により示された。ト
ランスフォーム体はLuriaブロス(LB)で37℃にてOD600が0.5に
なるまで増殖させた。次に、lacオペロンの誘導物質であるイソプロピルチオ
−β−D−ガラクトシド(IPTG)を1mMの最終濃度まで加えて組換えタン
パク質の発現を誘導した。誘導後、トランスフォーム体をさらに3時間30℃で
成長させた。次に、約200μlの培養物を遠心チューブに入れ、軽く遠心して
細胞をペレット状にした。培養液(ブロス)は除去して捨て、ペレットをSDS
含有緩衝液に再懸濁した(上記のT.Maniatisら)。この試料を2時間沸騰湯浴
中で加熱し、10%SDSポリアクリルアミドゲルにかけ、70ボルトで一晩電
気泳動した(上記のT.Maniatisら)。「ポリブロット(POLYBLOT)」エレクト
ロトランスファーシステム(Americal Bionetics社、ヘイワード、カリフォルニ
ア州)を用い、同社の指示マニュアルにしたがって、タンパク質を電気泳動によ
りニトロセルロースメンブレンに移した。
移した後、メンブレンを取出し、次にブロックしてタンパク質の非特異的な結合
を防いだ。リューマチ性関節炎の患者の血清(1:21に希釈)をメンブレンに
加えて1時間インキュベートした。次にこのメンブレンをTBSTで洗浄した。
次に、プラークスクリーニング法と同じように、このメンブレンを抗IgM抗体
−アルカリホスファターゼ複合体(Kirkegard & Perry)とともにインキュベー
トした。次に、このメンブレンをTBSTで洗浄し、NBTとBCIPを加える
ことで顕色させた。
これらの試験で、リファレンス血清と反応する約48kDのタンパク質に対応
する単一バンドが明らかとなった。約4kDのタンパク質配列はプラスミドベク
ターに由来するもので、発現ベクターにより作られた残りの44kDのタンパク
質がリューマチ性関節炎患者の血清と反応する抗原に由来するものであることを
示唆している。組換え抗原遺伝子の配列決定
クローニングしたcDNAをF.Sangerらの方法(DNA Sequencing with Chain-
Terminating Inhibitors, 74Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 5463(1977))による
塩基配列の分析に供した。993bpセグメントのDNAからなるオープンリー
ディングフレームが明らにされた。このオープンリーディングフレーム(配列番
号2)は、本発明の組換えRAMA抗原を構成する331アミノ酸のタンパク質
(配列番号3)をコードする。組換え抗原の細菌からの精製
細菌プラスミド発現ベクターにより発現される組換えRAMAタンパク質は、
Invitrogenの「プロボンド(PROBOND )」カラムを用い、該カラムとともに提供
される同社の指示書にしたがって精製した。発現プラスミドを含有するBL21
細胞(F’ompT hsdSB[rB -mB -dcm])(プロテアーゼ-株、Nova
gen 、マジソン、ウィスコンシン州)の一晩培養した培養物10mlを、グルコ
ースと50μg/mlのアンピシリンとを含有する約1リットルのLBに接種し
た。この細胞を2.5時間成長させ、この間にIPTGを1mMの最終濃度まで
加えて、組換えRAMAタンパク質の発現を誘導した。誘導後、細胞をさらに3
時間37℃でインキュベートした。次に、細胞を遠心により集め、再懸濁し、リ
ゾチームおよび超音波により溶解した。次に細胞を10,000rpmで遠心し
た。組換えRAMAタンパク質は可溶性であり、上清中にとどまった。
組換えRAMAタンパク質の発現をウエスタンブロッティング分析により確認
した。組換えRAMAタンパク質試料をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ
、ニトロセルロースメンブレンへ電気泳動により移した後、タンパク質の非特異
的な結合をブロックした。リューマチ性関節炎患者の血清をメンブレンに結合し
ているタンパク質に1:21の希釈度で加え、1時間インキュベートした。次に
、このメンブレンを洗浄し、抗ヒトIgM−アルカリホスファターゼ複合体とと
もにインキュベート
した。顕色基質溶液を加える前にメンブレンを再び洗浄した。約41,000の
Mrを有する単一のタンパク質バンドがリューマチ性関節炎患者の血清と反応し
た。これは、その配列に基づくRAMAタンパク質(約34kd)の予想された
サイズとかなり良好な一致を示している。真核細胞における組換えRAMAの発現
RAMA遺伝子を含有する2600bpのDNA断片を、標準的な方法により
pBlueBacHis C バキュロウイルスベクター(Invitrogen)で再びクローニングし
た。RAMA遺伝子を有するこのpBlueBacHis C ベクターを「バキュロゴールド
(BACULOGOLD)」(Pharmingen、サンディエゴ、カリフォルニア州)バキュロウ
イルスDNAとともに Spodoptera frugiperda Sf9細胞にコートランスフェ
クトした。これらのDNA間の相同組換えの結果、ウイルスのポリヘドリンエン
ハンサー/プロモーターエレメントの制御下で発現されるRAMA遺伝子を有す
る組換えウイルスが得られた。この組換えウイルスをSf9昆虫細胞で作らせ、
Invitrogenのマニュアルに記載されているようにして精製した。次に、Invitrog
enのマニュアルにしたがって組換えウイルスのプラーク精製のために、このウイ
ルス保存物を用いて10倍希釈物を調製した。
pBlueBacHis C でのRAMA遺伝子の発現はウエスタンブロッティング分析に
より確認した。約1mlのSf
9昆虫細胞に組換えプラスミドを有するウイルスを感染させ、その3日後にこの
細胞をペレット化し、100μlのLaemmli緩衝液に溶解した(U. Laemmli, 227
Nature 680-85(1970))。この試料を2時間沸騰し、次に上記のように7.5
%SDS−ポリアクリルアミドゲルに負荷し、70ボルトで一晩電気泳動した。
上記のように、タンパク質を電気泳動によりニトロセルロースメンブレンに移し
、タンパク質の非特異的な結合をブロックした。リューマチ性関節炎患者の血清
を1:21の希釈度でメンブレン結合タンパク質に加え、1時間インキュベート
した。次に、このメンブレンをTBSTで洗浄し、抗ヒトIgM−アルカリホス
ファターゼ複合体とともに30分間インキュベートした。顕色基質溶液を加える
前にこのメンブレンを再びTBSTで洗浄した。約100,000のMrを有す
る単一のタンパク質バンドがリューマチ性関節炎患者からの血清と反応した。細
菌で発現されたRAMAタンパク質と真核細胞で発現されたRAMAタンパク質
のMrの違いは、真核細胞中の発現タンパク質のグリコシル化および恐らくはそ
れ以外の修飾によるものと思われる。この真核細胞システムでの発現により作ら
れた組換えRAMAタンパク質を上記のようにNi荷電「プロボンド(PROBOND
)」カラムで精製した。約1.5mgのタンパク質を50mlの培養物から精製
した。組換えRAMAタンパク質のELISA試験
大腸菌(E. coli )系での発現により作られ、「プロボンド(PROBOND )」カ
ラムで精製された約100μlの組換えRAMAタンパク質溶液(PBS緩衝液
(pH7.4)中の1μg/mlの精製組換えタンパク質)をポリスチレン製マ
イクロタイタープレート(高結合(High binding)96ウェルコーニング(Corn
ing)プレート)のウェルに入れ、4℃で一晩インキュベートした。このプレー
トを洗浄し、次に4℃で一晩ブロックして非特異的な結合を防いだ。1:21で
希釈された100μlの血清をウェルに入れ、1時間インキュベートし、次にウ
ェルを洗浄した。アルカリホフファターゼ複合化抗ヒトIgM(Kirkegaard & P
erry)の100μlをウェルに入れ、1時間インキュベートし、次にウエルを再
び洗浄した。次に、5mgのp−ニトロフェノールホスフェートと1mlの5X
ジエタノールアミン緩衝液(Kirkegaard & Perryより供給されたもの)とを4m
lの蒸留水に加えて調製した100μlのアルカリホスファターゼ基質をウェル
に加えて37℃で15分間インキュベートした。次に、その光学濃度を405n
mにて測定した。
リューマチ性関節炎の臨床的症状を有する患者60名(Rfに関して35名は
血清陽性であり、25名は血清陰性である)、SLEに関する抗DNA疾患マー
カーに対して血清陽性である20名、および健康人20名からの血清を既に概略
した方法により調べた。これらの試験の結果を図1と下記の表に要約する。
すべての健康被験者の血清は0.250以下のELISA値を示した。よって
、0.250の読みは陽性反応を決定するためのカットオフ値とみなされた。血
清陽性のリューマチ性関節炎患者の35血清のうち34血清(すなわち97%)
が0.250以上のELISA値を示したために、これらは陽性反応を示してい
るとみなされた。血清陰性のリューマチ性関節炎患者からの25血清のうち、1
1(すなわち44%)が0.250以上のELISA値を示したために、これら
は陽性反応を示しているとみなされた。対照の抗DNA+20血清のうち3血清
も陽性反応を示した。したがって、これらの結果はほとんどすべての血清陽性の
リューマチ性関節炎患者がこのELISA試験の助けによる診断で、RAMA組
換え抗原に対する、血清中の抗体の存在を検出することができたことを示してい
る。さらに、血清陰性のリューマチ性関節炎患者のほぼ半数も同様に診断するこ
とができた。これらの結果は、標準的なRf試験を用いた場合が約70%にすぎ
ないのに比較して約85%のリューマ
チ性関節炎のケースが本発明を用いて診断することができることを示唆している
。
RAMAがRfではないことを示すために、さらに別の試験を行った。組換え
RAMAタンパク質を用いる標準的なRf凝集試験を行うために独立した対照実
験室と契約した。IgGの凝集は形成されなかった。これは、Rfを陽性の対照
として同じように検定した場合には凝集が形成したために陰性の結果である。さ
らに、組換えRAMA抗原をマイクロタイタープレートのウェルに付着させ、結
台したRAMA抗原を次に酵素複合体化IgG抗体にさらした。酵素活性の比色
定量アッセイを上記のように行った。酵素活性は検出されず、IgG抗体がRA
MAタンパク質と結合しないことを示している。最後に、Rfとの反応に関して
ELISAにより試験された場合に陽性の結果を示した7名の臨床的に正常な被
験者(すなわちすべての7名の被験者がRfに関して血清陽性である)を一次抗
原としてRAMAを用いるELISAを用いて調べた。7名全員がRAMAとの
反応で血清陰性であった。これらの結果は本発明の主題である組換えRAMAタ
ンパク質がRfではないことを示している。RAMA活性を有するペプチド
本発明の範囲はRAMAペプチドの活性を有するものであればいかなるペプチ
ドも包含するものである。そのようなペプチドは配列番号3としての組換えRA
MAお
よびそれと実質的に相同的なペプチドを包含し得る。天然のRAMAに実質的に
相同的なペプチドの具体例は、6個のヒスチジン残基が付加されて、金属含有樹
脂を用いるアフィニティークロマトグラフィーによる精製が容易となった上記の
組換えRAMAである。6個のヒスチジン残基の付加にもかかわらず、組換えR
AMAはリューマチ性関節炎関連IgM抗体に対して反応性があった。RAMA
に実質的に相同的なペプチドは既に詳しく説明したように宿主細胞による発現に
よるか、または化学合成によって合成することができる。
リューマチ性関節炎関連抗体を検出するための短いペプチドは以下のように同
定し、調製することができる。エンドプロテイナーゼ−lys C(Boehringer
Mannheim)を同社の指示にしたがって用いることでRAMAタンパク質をペプ
チド断片に消化した。これらの断片をHPLCで分画して、その配列をN. Legen
dre およびP.T. Matsudairaの方法にしたがって決定した(Gel Electrophoresis
, A Practical Guide to Protein and Peptide Purification for Microsequenc
ing 52-66(P.T. Matsudaira編, 1989 ))。さらに別の断片をRAMAのプロテ
イナーゼ消化とポリアクリルアミドゲルによる分離により調製する(J. Sambroo
kら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第2版, 1989))。これらの断
片をウエスタンブロッティングに供して(H. Towbinら,Electrophoretic Trans
fer of Proteins from Polyacryl
amide Gels to Nitrocellulose Sheets: Procedure and Some Applications, 76
Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 4350(1979))、リューマチ性関節炎関連抗体が結
合した断片を同定した。抗体と反応するペプチドの配列決定を行う。リューマチ
性関節炎関連抗体により認識されるエピトープを有するRAMAの単一または複
数の断片の同定後、プロティナーゼによる消化、ウエスタンブロッティングおよ
び配列決定のプロセスを、さらに小さいペプチド作る異なるプロテイナーゼを用
いて繰り返した。この方法により抗体により認識される配列の同定ができる。こ
れらのデータから、類似の配列を有するオリゴペプチドを化学合成(ここで文献
の援用として挙げる B.Merrifield, 85 J. Am. Chem. Soc. 2149-2156(1963);
B. Merrifieldら,21 Biochemistry 5020-31(1982); Houghten, 82 Proc. Nat'
l Acad. Sci. USA 5131-35(1985))によるか、またはバイオテクノロジーによ
る方法(J. Sambrookら,Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第2版,
1989))により合成され、リューマチ性関節炎関連抗体に対する反応性について
調べた。酵素のいくつかのペプチド擬似(peptidomimetic)阻害剤がこれらの技
術を用いて記載されている(A. Smithら,Design and Synthesis of Peptidomim
etic Inhibitors of HIV-1 Protease and Renin: Evidence for Improved Tran
sport, 37 J. Med. Chem.215(1994); S. Francisら,Molecular Characteriza
tion and Inhibition of a
Plasmodium falciparum Aspartic Hemoglobinase,13 EMBO J. 306(1994); A. G
arciaら,Peptidomimetic Inhibitors of Ras Farnesylation and Function in
Whole Cells,268 J. Biol. Chem. 18415(1993))。微生物材料の寄託
ここに記載され、リューマチ性関節炎を診断するために用いられる組換えRA
MA抗原をコードする遺伝子を有するプラスミドを含有する大腸菌(E. coli )
株寄託物は1994年4月13日に国際寄託機関であるアメリカンタイプカルチ
ャーコレクション(ATCC)、12301パークローンドライブ、ロックビル
、メリーランド州 20852 米国に寄託されている。寄託された株の寄託番
号はATCC 69605である。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12N 5/10 C12P 19/34
15/09 ZNA 21/02 C
C12P 19/34 C12N 15/00 ZNAA
21/02 5/00 B
//(C12N 1/21
C12R 1:19)
(C12N 15/09 ZNA
C12R 1:91)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),AL,AM,AT,AU,BB,BG,BR,B
Y,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES
,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,
KP,KR,KZ,LK,LR,LS,LT,LU,L
V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ
,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,
SK,TJ,TM,TT,UA,UG,UZ,VN