JPH1056777A - フライバック型多出力dc−dcコンバータ - Google Patents

フライバック型多出力dc−dcコンバータ

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JPH1056777A
JPH1056777A JP21159996A JP21159996A JPH1056777A JP H1056777 A JPH1056777 A JP H1056777A JP 21159996 A JP21159996 A JP 21159996A JP 21159996 A JP21159996 A JP 21159996A JP H1056777 A JPH1056777 A JP H1056777A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で過大電流による重大事故に対す
る安全性をより向上させる。 【解決手段】 DC−DCコンバータ10のトランス1
4のフライバック巻線からなる2次巻線N1〜N3であ
って、フィードバック系出力回路1の2次巻線N1を除
く2次巻線N2,N3のうち、例えば電力容量の小さい
2次巻線N3を1次巻線Npと同一巻方向のフォーワー
ド巻線にする。その結果、トランス14のコアに対する
電流I3による起磁力の影響がフライバック巻線の時よ
り大きくなり、過大電流によってコアが飽和し易くな
る。トランス14のコアが飽和すると、1次巻線Npと
トランジスタQとの直列回路に流れる電流が急増してト
ランジスタQが破壊され、スイッチングが停止して感
電,火災等の重大事故を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はフライバックトラ
ンスを用いた多出力DC−DCコンバータに関り、特に
過負荷に起因するトランスの過熱による事故を防止する
手段を備えたフライバック型多出力DC−DCコンバー
タに関する。
【0002】
【従来の技術】各種の電子機器の電源装置として、電力
容量に比べて安価で小型軽量であり、電力変換効率が高
いため電力損失とそれに伴う発熱が少なく、定電圧制御
機能も備えているDC−DCコンバータが広く用いられ
ている。ここで、DC−DCコンバータに入力する1次
直流電力が、商用の交流電源から独立した電源、例えば
太陽電池,燃料電池,蓄電池等から供給されている場合
は全く問題がない。
【0003】実際問題としては、交流電源から入力する
交流電力を整流平滑した1次直流電力が供給される場合
が多いため、DC−DCコンバータは、1次直流電力が
入力する1次側と負荷が接続される2次側との間を、ト
ランスによって絶縁しているから、通常ならば誤まって
DC−DCコンバータと負荷とを結ぶ接続ケーブルや、
負荷の内部回路の絶縁されていない裸の部分に触れて
も、ショックを受けたり感電等の事故が生じないように
配慮されている。
【0004】図4は、従来のフライバック型多出力DC
−DCコンバータの基本的な構成の一例を示す回路図で
ある。図4に示したDC−DCコンバータ30は、交流
電源7から入力する交流電力をダイオードブリッジ8と
コンデンサC0とにより整流平滑した1次直流電力を、
フライバックトランス(以下単に「トランス」ともい
う)34の1次巻線NpとトランジスタQとの直列回路
に入力し、トランジスタQにより1次巻線Npに流れる
電流をスイッチングする。
【0005】トランス34は、トランジスタQがオンの
時に励起されて磁気エネルギを蓄積し、トランジスタQ
がオフの時に2次巻線N1〜N3に誘起される磁気エネ
ルギが再変換された電流を、それぞれ出力回路31〜3
3に供給する。それぞれトランジスタQがオフの時に電
流を流すダイオードと平滑用のコンデンサからなる出力
回路31〜33は、供給される電流を平滑してコンデン
サに充電した2次直流電力を、各正負の出力端子を介し
て負荷に出力する。
【0006】スイッチング制御回路(SWC)35は、
フィードバック系の出力回路31の出力電圧を検出し
て、その出力電圧が予め設定された電圧になるようにト
ランジスタQのスイッチングを制御することにより、出
力回路31を定電圧制御すると共に、出力回路32,3
3もそれぞれ略定電圧になる。通常のフォーワード型D
C−DCコンバータの基本的構成は、2次巻線N1〜N
3の巻方向が1次巻線Npと同方向であり、トランジス
タQがオンの時に出力回路31〜33に電力が供給され
る点が異なる以外は同様である。
【0007】しかしながら、フォーワード型でもフライ
バック型でも、基本的な構成のみからなるDC−DCコ
ンバータは、誤まって出力端子間をショートしたり、内
部でショートしている負荷を知らずに接続して過負荷状
態になると、定電圧制御を行なっているために、かえっ
てDC−DCコンバータの内部に過大電流が流れて、ト
ランスの過熱により1次2次間の絶縁が破壊されて感電
する危険が生じたり、発煙,発火等の重大事故が発生す
る恐れがあった。
【0008】したがって、このような過大電流による事
故を防止するため、図4に示した交流電源7とダイオー
ドブリッジ8との間の交流ライン、又はダイオードブリ
ッジ8とコンデンサC0の両端子間を結ぶ直流ラインの
いずれかに定格出力時の入力電流に応じた電流容量の電
源側のヒューズを設けるか、あるいは複数の出力回路3
1〜33毎にその定格出力電流に応じた電流容量の出力
側のヒューズを設けて、過大電流が流れた時にその電流
を遮断する方法が用いられていた。
【0009】あるいは、トランス34の内部にサーマル
ヒューズ又は感温素子を設け、過大電流によるトランス
の温度の異常上昇を検出して電流を遮断するか、又はス
イッチング制御回路35がトランジスタQに出力する駆
動パルスを抑制して、トランジスタQのスイッチングを
停止させることにより、トランス34の2次側への電力
供給を遮断する等の方法も用いられていた。
【0010】さらに温度検出の感度を高めるため、例え
ば特開昭52−40764号(特公昭59−28976
号)公報に示されたように、低温軟化絶縁銅線を用いた
巻線に温度検知遮断部を直列に設け、過電流によって巻
線の内部温度が上昇すると、絶縁が破れてレアショート
が発生し、レアショートにより発生する大量の熱によっ
て温度検知遮断部が電流を遮断するという提案があっ
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
52−40764号公報に示された提案を含めてトラン
スの温度上昇を検出する方法は、コストアップを招き易
いという問題がある。さらに、電源側に設けたヒューズ
と同様に、複数の出力回路のうち大容量の出力回路にお
ける過負荷に対しては応答し易いが、小容量の出力回路
の場合は定格の例えば10倍以上の過負荷が発生しても
応答しないため、その部分でトランスの絶縁が破壊され
たり、発煙,発火が発生する恐れがある。
【0012】そのため、複数の出力回路毎にその定格出
力電流に応じた出力側のヒューズを設ければ、出力回路
の容量に関係なく過負荷に応答して電流が遮断されるか
ら、安全性の点では問題がない。しかしながら、ヒュー
ズの数が増えて装置を小型化し難いことと、保守の点か
ら見て多種類のヒューズを用意しなければならず、誤っ
て小容量の出力回路に大容量のヒューズを用いれば、出
力回路毎にヒューズを設けた効果はゼロになってしまう
という問題がある。
【0013】このように、各過大電流防止手段は、それ
ぞれ一長一短があるため、いずれか1つだけでは安全上
問題が残るから、実際に用いられるDC−DCコンバー
タにおいては、複数の過大電流防止手段を併用して安全
性を高めているのが実情である。そのため、安全性を高
めれば高めるほど、コストの急激な上昇が避けられない
という課題があった。
【0014】この発明は上記の点に鑑みてなされたもの
であり、何等のコストアップを招くことなく安全性をよ
り向上させることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の目的を
達成するため、互いに絶縁された1次巻線と複数のフラ
イバック巻線からなる2次巻線とを有するフライバック
トランスと、該フライバックトランスの複数の2次巻線
にそれぞれ接続された複数の出力回路と、フライバック
トランスの1次巻線と直列に接続したスイッチング素子
とを備え、1次巻線とスイッチング素子との直列回路に
1次直流電力を入力し、スイッチング素子をスイッチン
グすることによりフライバックトランスの複数の2次巻
線に誘起される2次交流電力を、それぞれの出力回路が
整流平滑して2次直流電力を負荷に出力すると共に、複
数の出力回路のうちの1つをフィードバック系出力回路
としてその出力電圧を検出し、該出力電圧が予め設定さ
れた電圧になるようにスイッチング素子のスイッチング
を制御するフライバック型多出力DC−DCコンバータ
において、フィードバック系出力回路に接続された2次
巻線を除く他の2次巻線のうちの1つの巻方向を1次巻
線の巻方向と同じにしたものである。
【0016】上記のフライバック型多出力DC−DCコ
ンバータにおいて、1次巻線と巻方向を同じにした2次
巻線を、フィードバック系出力回路に接続された2次巻
線を除く他の2次巻線のうち最も電力容量の小さい2次
巻線とするとよい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面と実施の形態を参照して具体的に説明する。図1は、
この発明の一実施形態であるフライバック型多出力DC
−DCコンバータの基本的な構成の一例を示す回路図で
ある。
【0018】図1に示したDC−DCコンバータ10が
図4に示したDC−DCコンバータ30と異なる所は、
DC−DCコンバータ30に用いた(フライバック)ト
ランス34の2次巻線N1〜N3がすべてフライバック
巻線であるのに対して、DC−DCコンバータ10に用
いたトランス14の2次巻線N3のみを、その巻方向が
1次巻線Npの巻方向と同じフォーワード巻線としたこ
とであり、その他の部分は(符号が異なる点を除いて)
全く同様である。
【0019】図1に示したDC−DCコンバータ10
は、1次巻線Npとフライバック巻線からなる2次巻線
N1,N2とフォーワード巻線からなる2次巻線N3と
を有するフライバックトランス14と、その1次巻線N
pに直列に接続されたスイッチング素子であるトランジ
スタ(FETでもよい)Qと、それぞれ整流用のダイオ
ードD1〜D3及び平滑用のコンデンサC1〜C3から
なり2次巻線N1〜N3に接続された出力回路1〜3
と、フィードバック系出力回路である出力回路1の出力
電圧を検出してトランジスタQに駆動パルスを出力する
スイッチング制御回路(SWC)5とにより構成されて
いる。
【0020】トランス14の1次巻線Npとトランジス
タQとの直列回路には、交流電源7から入力する交流電
力をダイオードブリッジ8とコンデンサC0とにより全
波整流平滑した1次直流電力が入力する。1次巻線Np
に流れる1次直流電力の電流は、スイッチング制御回路
5から入力する駆動パルスに応じてスイッチングするト
ランジスタQによりオン・オフされる。
【0021】トランジスタQがオンの時に1次巻線Np
に流れる電流により、その電力の一部は2次巻線N3に
誘起される上端が正である起電力になり、電流I3はダ
イオードD3を介してコンデンサC3を充電し、平滑さ
れて出力回路3の2次直流電力になる。2次巻線N1,
N2に誘起される起電力は、上端が負になるから電流I
1,I2はダイオードD1,D2に遮ぎられるため、残
りの電力はトランス14を励起する、すなわち磁気エネ
ルギとして蓄積される。
【0022】トランジスタQがオフになると、2次巻線
N1〜N3に誘起される起電力の極性がそれぞれ反転す
るから、2次巻線N3に誘起された起電力による電流I
3はダイオードD3に遮ぎられてコンデンサC3に流れ
ず、トランス14に蓄積された磁気エネルギが再変換さ
れた電流は、2次巻線N1,N2からそれぞれ電流I
1,I2となってダイオードD1,D2を介してコンデ
ンサC1,C2に流れ、平滑されて出力回路1,2の2
次直流電力として負荷に出力される。
【0023】スイッチング制御回路(SWC)5は、フ
ィードバック系出力回路である出力回路1の出力電圧
(コンデンサC1の端子間電圧)を検出して、検出され
た出力電圧が予め設定された設定電圧より高ければ、ト
ランジスタQのオン時間を減らすように、設定電圧より
低ければオン時間を増すように、それぞれ駆動パルスを
出力することにより、交流電源7の電圧変動や負荷変動
があっても、出力回路1の出力電圧が設定電圧を保持す
るように定電圧制御するが、同時に出力回路2,3の出
力電圧もそれぞれ略定電圧に維持される。
【0024】図2は、DC−DCコンバータ10のトラ
ンス14(従来例のトランス34も同様)の起磁力Em
とインダクタンスLとの関係の一例を示す線図である。
インダクタンスLの単位はいうまでもなくヘンリである
が、トランスのコアのサイズによって値が異ってくるか
ら、ここでは相対的な%で示している。起磁力Emの単
位はAT(アンペア・ターン)であり、数1に示すよう
に巻線に流れる電流Iと巻線Nとの積であり、複数の巻
線があれば各巻線毎の積に和になる。
【0025】
【数1】
【0026】図2に示したように、起磁力Emが小さい
間はインダクタンスLは一定の値すなわち100%を示
しているが、起磁力Emが或る値を超えるとインダクタ
ンスLが急に低下する傾向が現われる。一般に、インダ
クタンスLが90%になった時の起持力Emを限界値E
msとして、それ以下を不飽和領域、限界値Emsを超
えると飽和領域としている。
【0027】図3は、図2に示したコアの飽和の一例
を、磁界の強さHと磁束密度Bとの関係で示す線図であ
る。磁界の強さHは起磁力Emを磁路の長さで割った値
すなわち磁路の単位長当りの起磁力であり、その単位は
AT/mである。磁束密度Bは磁界の強さHと眞空の透
磁率μ0 との積であり、磁束Φを磁路の断面積で割った
値でもある。
【0028】図3に示したように、磁界の強さHが小さ
い間は、磁束密度Bが磁界の強さHに比例して増加して
ゆくが、磁界の強さHが或る値Hsを超えると、磁束密
度Bはそれ以上増えない最大磁束密度Bmになる。すな
わち、飽和領域に入ったことにより、このコアを用いた
トランスのインダクタンスLは、図2に示したように急
に低下し始める。
【0029】図1に示したこの発明の一実施形態である
DC−DCコンバータ10と、図4に示した従来のDC
−DCコンバータ30とは、それぞれ各部の作用が殆ん
ど同様であり、回路図上ではトランス14とトランス3
4の各2次巻線N3の巻方向が互いに逆である点が異な
るだけである。
【0030】しかしながら、トランジスタQがオンの時
にトランス14の2次巻線N3に流れる電流I3をIf
wとし、トランジスタQがオフの時にトランス34の2
次巻線N3に流れる電流I3をIfbとすれば、フォー
ワード巻線に流れる電流Ifwは、フライバック巻線に
流れる電流Ifbに比べて、そのピーク電流が数倍程度
大きくなるから、出力回路3と出力回路33の出力電圧
と出力電流とを同じにするためには、トランス14とト
ランス34の各2次巻線N3の巻数を変えなければなら
ない。
【0031】すなわち、図1に示したDC−DCコンバ
ータ10の一実施例として、出力回路1,2の出力容量
が共に電圧24V,電流4Aであり、出力回路3の出力
容量が電圧15V,電流0.1Aであるとすると、トラ
ンス14の2次巻線N1,N2の巻数N1,N2が共に
12T(ターン)、フォーワード2次巻線N3の巻数N
fwは3Tになる。
【0032】一方、図4に示した従来例のDC−DCコ
ンバータ30の各出力回路31〜33の出力容量を、そ
れぞれDC−DCコンバータ10の各出力回路1〜3の
出力容量と同じにするためには、トランス34の2次巻
線N1,N2の巻数N1,N2は共に12Tと同じでよ
いが、フライバック2次巻線N3の巻数Nfbは9Tに
なって、巻数Nfwの3倍なければならない。逆にいえ
ば、実施例に用いたトランス14は、2次巻線N3をフ
ォーワード巻線にしたために、巻数は1/3に減少した
ことになる。
【0033】数1に示した起磁力Emの式において、ト
ランス14とトランス34の各2次巻線N1,N2に流
れる電流I1,I2とその巻数N1,N2とがそれぞれ
同じくI1=I2=4A,N1=N2=12Tであるか
ら、起磁力Em全体に占める2次巻線N1,N2による
部分、すなわち(4A×12T)×2=96ATは同じ
であり、それぞれの2次巻線N3による部分だけが異な
ることになる。
【0034】トランス(インダクタも同様)のコアは、
それぞれの形状やサイズ及びギャップがあればその形状
やサイズによって決定される固有のインダクション係数
Kを有するが、トランス14とトランス34のコアは互
いに同じ形状,サイズからなっていることを前提とし
て、両者のインダクション係数Kも同じである。一般に
インダクタンスLは、数2に示すように、インダクショ
ン係数Kと巻数Nとの積になる。
【0035】
【数2】
【0036】トランス14及びトランス34における各
2次巻線N3によるインダクタンスLを、それぞれLf
w及びLfbとすれば、数2に示した巻線Nにそれぞれ
Nfw=3及びNfb=9を代入すればよいから、各イ
ンダクタンスLは数3に示すように、Lfw=9K及び
Lfb=81Kになる。したがって、トランス14及び
トランス34の各2次巻線N3にそれぞれ流れる電流I
3のピーク値で比較すると、電流IはインダクタンスL
に反比例するから、これも数3に示すように、トランス
14における電流Ifwがトランス34における電流I
fbの9倍になる。
【0037】
【数3】
【0038】トランス14及びトランス34の互いに同
じ形状,サイズからなるコアの飽和は、各2次巻線N
1,N2及びN3に流れる電流のそれぞれピーク値で考
えなければならないから、数3に示したIfbをI3p
とし、電流I1,I2のピーク値をそれぞれI1p,I
2pとすれば、トランス14における起磁力Em(f
w)p及びトランス34における起磁力Em(fb)p
は、それぞれ数4に示す式で求めることが出来る。
【0039】
【数4】
【0040】数4から明らかなように、トランス14に
おける起磁力Em(fw)p及びトランス34における
起磁力Em(fb)pは、電流I1p,I2pによる起
磁力Emは全く同じであるが、電流I3pによる起磁力
Emだけが異なっている。なお、ピーク電流I1p〜I
3pは、それぞれの巻線N1〜N3に流れる電流I1〜
I3に比例すると考えてよいから、数4に示したI1p
〜I3pをそれぞれI1〜I3に置き換えた時には、数
5に示すように、ピーク電流値でなく普通の電流値I1
〜I3による起磁力Em(fw)及びEm(fb)を求
める式が得られる。
【0041】
【数5】
【0042】各2次巻線N1〜N3にそれぞれ定格電流
を流した時の起磁力Emは、数5に示した式にそれぞれ
I1=I2=4(A),I3=0.1(A)を代入すれ
ば、それぞれ実施例のトランス14ではEm(fw)=
98.7AT、従来例のトランス34ではEm(fb)
=96.9ATになる。
【0043】トランス14及びトランス34のコアの起
磁力の限界値Emsを、それぞれ上記の値に設定してお
けば、各出力回路1〜3及び31〜33が定格電流を出
力している時に、いずれかの出力回路が過負荷になって
定格電流より大きな過大電流が流れると、コアが飽和領
域(図2)に入ってインダクタンスLが減少するから、
1次巻線NpとトランジスタQとの直列回路には、過大
電流を含んだ全出力電流に対応する1次電流よりも遥か
に大きな電流が流れる。
【0044】そのため、トランス14又はトランス34
が過大電流によって温度が異常に上昇する前に、その1
次側回路すなわち1次巻線NpとトランジスタQとの直
列回路に流れる電流が、トランジスタQの最大定格電流
を遥かに超えて、トランジスタQが瞬時に破壊されるか
ら、スイッチングが停止してトランスの絶縁破壊による
感電や発火等の重大事故を未然に防止することが出来
る。
【0045】
【表1】
【0046】実際問題としては、コアの起磁力の限界値
Emsを、定格電流が流れている時の起磁力Em(f
w)又はEm(fb)よりも余裕をもって高めに設定す
る。表1は、例えば起磁力の限界値をEms=120A
Tに設定した場合において、実施例及び従来例の各数値
を対比して示す表であり、それぞれ定格電流を流した時
の起磁力Emが98.7AT又は96.9ATである実
施例又は従来例の限界値Emsに対する起磁力の余裕分
は表1に示したように21.3AT又は23.1ATに
なる。
【0047】したがって、出力電流I1又はI2のいず
れか、あるいはその和が、それぞれ数5に示した係数1
2(T)によって起磁力の余裕分の1/12、すなわち
実施例又は従来例において定格電流(4Aあるいは8
A)より1.775A又は1.925Aだけ超えた時
に、設定した限界値Emsである120ATに達する。
定格電流(4A)に対する比率でいえば、それぞれ44
%又は48%オーバの状態である。
【0048】一方、出力電流I3について同様に計算す
ると、実施例又は従来例において、それぞれ数5に示し
た係数27(T)又は9(T)によって起磁力の余裕分
の1/27又は1/9すなわち定格電流(0.1)より
0.789A又は2.567Aだけ超えた時に限界値E
msに達する。これは比率でいえばそれぞれ790%又
は2570%オーバの状態、すなわち定格電流の8.9
倍又は26.7倍の過大電流が流れると、コアが飽和す
ることになる。
【0049】このように、定格出力電流(又は電力)の
小さい出力回路ほど過大電流の検出感度が低くなる傾向
は各出力回路毎にその定格電流に応じた容量のヒューズ
を設けるという保守上煩雑な手段以外には、交流電源入
力側にヒューズを設けるにしても、トランスの温度の異
常上昇を検出して回路を遮断するにしても、避けられな
い問題である。
【0050】しかしながら、図1に示したこの発明の一
実施形態であるDC−DCコンバータ10は、そのトラ
ンス14の2次巻線N3の巻方向を、従来DC−DCコ
ンバータ30(図4)のトランス34のフライバック巻
線からなる2次巻線N3とは逆に、1次巻線Npと同方
向のフォーワード巻線としたことにより、実施例の出力
回路3と従来例の出力回路33とを同一出力容量(15
V,0.1A)にした場合に2次巻線N3の巻数が、そ
れぞれ3Tと9Tになった。
【0051】すなわち、実施例の巻数は従来例に比べて
1/3である。その結果、数1に示したように、従来例
では出力電流I3が定格電流(0.1A)の27倍を超
える過大電流が流れた時にトランジスタQが破壊されて
スイッチングが停止し、重大事故を防止するのに対し
て、実施例では過大電流が9倍を超えるとスイッチング
が停止するから、過大電流検出感度は略3倍に改善され
たことになる。
【0052】一般に、2次巻線をフライバック巻線から
フォーワード巻線に変えた時に巻数が1/Mになったと
すれば、それぞれ数3に示したように、インダクタンス
Lは1/M2 に減少し、インダクタンスLに反比例する
電流IはM2 倍になる。数4及び数5に示した起磁力E
mの式のピーク電流I3p又は電流I3の係数は、電流
と巻数との積であるから、フォーワード巻線の場合の係
数はフライバック巻線に比べてM倍になる。
【0053】したがって、表1に示した定格時の起磁力
Emの僅かな違い(1.8AT)を無視して、起磁力E
mの余裕分が同じであるとすれば、DC−DCコンバー
タ10のトランス14のコアは、DC−DCコンバータ
30のトランス34のコアに比べて、電流I3の定格電
流に対する超過分が1/Mで飽和に達するから、検出感
度はM倍になり、それだけ過大電流による重大事故に対
する安全性が向上している。
【0054】以上説明した効果は、この発明をフィード
バック系出力回路1以外の他のいずれかの出力回路(2
又は3)に接続する2次巻線(N2又はN3)に適用し
ても同様に得られるが、DC−DCコンバータ10のよ
うに他の2次巻線のうち最も電力容量の小さい(通常は
最も電流容量の小さい)2次巻線N3に適用した方が大
きな効果が得られることは明らかである。
【0055】もし、2次巻線N3より電力容量の遥かに
大きい2次巻線N2に適用すると、表1からも容易に推
定できるように、過大電流の検出感度が上がり過ぎて、
僅かな過大電流でもトランジスタQが破壊してしまい、
実用上問題である。しかしながら、出力回路の数がもっ
と多いDC−DCコンバータの場合は、フォーワード巻
線に変換する2次巻線は1個に限定されるものではな
く、電力容量の小さい出力回路から順に2個以上の2次
巻線をフォーワード巻線にしてもよいことはいうまでも
ない。
【0056】あるいは、出力回路の数がもっと多いDC
−DCコンバータであって、その各出力回路の電力容量
(又は電流容量)が同じである場合には、過大電流の検
出感度が上がり過ぎない範囲で出力回路の数に応じて1
個又はそれ以上の2次巻線をフォーワード巻線に変換す
ることも可能である。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によるフ
ライバック型多出力DC−DCコンバータは、何等のコ
ストアップを招くことなく、安全性を向上させることが
出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態であるフライバック型多
出力DC−DCコンバータの構成の一例を示す回路図で
ある。
【図2】DC−DCコンバータに使用されるフライバッ
クトランスの起磁力とインダクタンスとの関係の一例を
示す線図である。
【図3】DC−DCコンバータに使用されるフライバッ
クトランスの磁界の強さと磁束密度との関係の一例を示
す線図である。
【図4】従来のフライバック型多出力DC−DCコンバ
ータの構成の一例を示す回路図である。
【符号の説明】 1:出力回路(フィードバック系出力回路) 2,3:出力回路 5:スイッチング制御回路 10:DC−DCコンバータ 14:トランス(フライバックトランス) N1〜N3:2次巻線 Np:1次巻線 Q:トランジスタ(スイッチング素子)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに絶縁された1次巻線と複数のフラ
    イバック巻線からなる2次巻線とを有するフライバック
    トランスと、該フライバックトランスの複数の2次巻線
    にそれぞれ接続された複数の出力回路と、前記フライバ
    ックトランスの1次巻線と直列に接続したスイッチング
    素子とを備え、 前記1次巻線とスイッチング素子との直列回路に1次直
    流電力を入力し、前記スイッチング素子をスイッチング
    することにより前記フライバックトランスの複数の2次
    巻線に誘起される2次交流電力を、それぞれ前記複数の
    出力回路が整流平滑して2次直流電力を負荷に出力する
    と共に、前記複数の出力回路のうちの1つをフィードバ
    ック系出力回路としてその出力電圧を検出し、該出力電
    圧が予め設定された電圧になるように前記スイッチング
    素子のスイッチングを制御するフライバック型多出力D
    C−DCコンバータにおいて、 前記フィードバック系出力回路に接続された2次巻線を
    除く他の2次巻線のうちの1つの巻方向を前記1次巻線
    の巻方向と同じにしたことを特徴とするフライバック型
    多出力DC−DCコンバータ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフライバック型多出力D
    C−DCコンバータにおいて、 前記1次巻線と巻方向を同じにした2次巻線が、前記フ
    ィードバック系出力回路に接続された2次巻線を除く他
    の2次巻線のうち最も電力容量の小さい2次巻線である
    ことを特徴とするフライバック型多出力DC−DCコン
    バータ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006109627A (ja) * 2004-10-06 2006-04-20 Mitsubishi Electric Corp 無瞬断電源装置
JP2007181263A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Kyocera Corp 充電装置
CN109950937A (zh) * 2019-04-16 2019-06-28 诺丁汉(余姚)智能电气化研究院有限公司 一种驱动交流负载的分布隔离式功率变换器的拓扑结构
JP2020018037A (ja) * 2018-07-23 2020-01-30 株式会社デンソー パワー素子駆動装置

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