JPH1057063A - 新規プリンヌクレオシダーゼ - Google Patents

新規プリンヌクレオシダーゼ

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JPH1057063A
JPH1057063A JP8216421A JP21642196A JPH1057063A JP H1057063 A JPH1057063 A JP H1057063A JP 8216421 A JP8216421 A JP 8216421A JP 21642196 A JP21642196 A JP 21642196A JP H1057063 A JPH1057063 A JP H1057063A
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wort
enzyme
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nucleosidase
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治代 畠中
Toshihiko Ashikari
俊彦 芦刈
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順 小川
Akira Shimizu
昌 清水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なプリンヌクレオシダーゼ及びその利用
法の提供。 【解決手段】 オクトバクトラム属微生物由来の新規プ
リンヌクレオシダーゼ、それをコードする遺伝子系、そ
の利用、特にビール製造におけるその利用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オクロバクトラム
・アンスロピ(Ochrobactrum anthropi)由来のプリンヌ
クレオシダーゼ及びその誘導体に関するものであり、更
に、当該酵素又は当該誘導体をコードするDNA、当該
DNAを有する発現ベクター、当該発現ベクターに形質
転換された組換え宿主細胞、当該組換え宿主細胞を用い
たプリンヌクレオシダーゼ活性を有する蛋白質の製造方
法、プリンヌクレオシダーゼ活性を有する蛋白質を産生
し得るオクロバクトラム(Ochrobactrum)属に属する微
生物を用いた当該蛋白質の製造方法、及び当該蛋白質を
用いたビール又は麦汁の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活の欧米化と過栄養化に伴い
成人男子の血中尿酸値の上昇が認められ、無症候性高尿
酸血症を経た痛風発症の増加が懸念される。食餌中の遊
離プリン塩基、プリンヌクレオシド、プリンヌクレオチ
ドおよび高分子核酸は消化器官中で消化・吸収され、肝
臓中の尿酸サイクルで尿酸に分解される。高尿酸血症や
痛風の原因としてはプリン体高含有食の摂取が原因とす
る疫学的知見が集約されており、摂取プリン体量を減ら
すことが最も重要な高尿酸血症あるいは痛風の予防手段
である。
【0003】プリン体高含有食としては、肉、白子、魚
卵、肝などが挙げられているが、アルコール飲料、特に
ビールのプリン体含量はかなり高い。実際に金子(金子
希代子、日本臨床、Vol.49, No.5, 1108-1115, 1991.)
は各種アルコール飲料中のプリン体含有量を比較し、ビ
ール、清酒、ワインなどの醸造酒がウイスキー、焼酎な
どの蒸留酒に比べ高いプリン体を含むこと、さらに醸造
酒のなかでもとりわけビールのプリン体含量が高いこと
を報告している。ビールのプリン体含量は上記の肉、
卵、肝などに比べれば1/100〜1/10であるが、
摂取量が多いので高尿酸血症や痛風の罹患リスクは大き
いと言わざるを得ない。
【0004】T ofler とWoodings ( O. B. Tofler and
T. L. Woodings, Med. J. Aust., Vol.2, 479-481, 198
1. )は、ビール摂取量別に調査対象集団をグループ分け
して13年間の追跡調査を実施し、ビール摂取量と痛風発
症頻度との間に正の相関があることを指摘した 。この
ように疫学研究上では現在、ビールはアルコール飲料の
中で高尿酸血症や痛風の罹患リスクの最も高い酒類とみ
なされている。しかるに、ビールを含め、食品中のプリ
ン体を減少させるような技術は開発されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】プリン化合物と呼ばれ
るものの中には遊離プリン塩基、プリンヌクレオシド、
プリンヌクレオチド、および高分子核酸が含まれる。ビ
ール製造工程中の各プリン化合物の消長を調べると麦汁
中にはプリンヌクレオチドおよび高分子核酸は全く含ま
れず、遊離プリン塩基とプリンヌクレオシドが多く含ま
れている。発酵中に遊離プリン塩基は酵母によって吸収
・代謝されてほぼなくなる。一方、プリンヌクレオシド
は麦汁中のプリン化合物の大半を占めるが、発酵中も減
少せず、発酵終了後の貯酒工程で温度を0℃に下げるこ
とによってさらに増加する。以上の分析結果より、麦汁
中のプリンヌクレオシドをリボースと遊離プリン塩基に
分解できれば、酵母により遊離プリン塩基が吸収・代謝
されるため、ビール中のプリン化合物含量を減らすこと
が可能である。
【0006】また、ビール以外の発酵食品についても利
用する微生物がプリンヌクレオシドを資化する事はでき
ないが、遊離プリン塩基であれば栄養源として利用でき
る場合には、その発酵原料中のプリンヌクレオシドをリ
ボースと遊離プリン塩基に分解する事により同様にその
発酵食品中のプリン化合物含量を減らすことが可能であ
る。また、ビール醸造においては、麦汁中のアデニン含
量が少ない麦汁では発酵遅延が起こるとの報告(Thomps
on, C.C., Leedham, P.A., and Lawrence, D.R. Am. So
c. Brew. Chem., Proc. 1973, p.137-141)があり、プリ
ンヌクレオシドをリボースと遊離プリン塩基に分解する
ことにより酵母が資化可能な核酸化合物を増やし、酵母
の増殖を良くする効果も期待できる。この効果は他のプ
リンヌクレオシドを資化する事はできないが、遊離プリ
ン塩基であれば栄養源として利用できる微生物を利用す
る発酵食品においても期待される。
【0007】
【課題を解決するための手段】プリンヌクレオシドをリ
ボースと遊離プリン塩基に分解することのできる酵素と
して、プリンヌクレオシダーゼとプリンヌクレオシドフ
ォスフォリラーゼの2つが考えられる。このうち、プリ
ンヌクレオシドフォスフォリラーゼは分解反応と合成反
応の両方、あるいは交換反応を触媒するため、反応液中
のプリンヌクレオシドを完全にリボースと遊離プリン塩
基に分解することは難しい。プリンヌクレオシダーゼは
平衡が分解側に偏っているので、完全にリボースと遊離
プリン塩基に分解することができるが、その基質特異
性、至適pH、至適温度等は様々である。
【0008】ビール製造工程中の麦芽から麦汁を製造す
る仕込み工程において、抽出されたプリンヌクレオシド
を分解するためには、pH5.0 〜5.5 ,50〜80℃、の条
件で、アデノシン、イノシン、グアノシンを基質とでき
るプリンヌクレオシダーゼが必要である。既知のヌクレ
オシダーゼの中で耐熱性があるものとして、アスペルギ
ルス・ニガー(Aspergillus niger )のものやバシルス
・セレウス(Bacilluscereus )のものや、クリシディ
ア・ファシクラタ(Crithidia fasciculata )のものが
あげられる。しかしながら、アスペルギルス・ニガー
(Aspergillus niger )のものは至適pHが 4.0〜4.5
と若干低く、またキサントシンは分解できない。キサン
トシンはビールの場合ほとんど含まれていないが他の発
酵食品に応用する場合にはキサントシンに対する活性も
必要となる可能性がある。バシルス・セレウス(Bacill
us cereus )のものはその至適pHや基質特異性など詳
しく調べられていない。
【0009】本発明者が細胞抽出液で調べたところによ
れば、グアノシンに対する活性は低いようである。クリ
シディア・ファシクラタ(Crithidia fasciculata )の
ものは至適pHが8.5 と高い。また、麦汁中にはさまざ
まな低分子物質や糖、タンパク質などが含まれており、
その中で、既知のヌクレオシダーゼが実際に作用できる
かどうかについては今まで調べられていない。そこで、
pH 5.0〜5.5 ,50〜80℃、の条件で、アデノシン、イ
ノシン、グアノシンを基質とできる微生物起源のプリン
ヌクレオシダーゼを自然界からスクリーニングした。そ
の結果オクロバクトラム・アンスロピの細胞破砕液に高
いプリンヌクレオシダーゼ活性を見いだした。
【0010】従って本発明は、以下の酵素学的性質を有
するプリンヌクレオシダーゼ: (1)基質特異性;プリン化合物に作用する; (2)至適pH;基質として、アデノシンについてはp
H5.0 〜7.5 、グアノシンについてはpH4.0 〜5.5 、
そしてイノシンについてはpH5.5 である; (3)pH安定性;50℃にて60分処理した場合及ではp
H6.5 〜7.0 において90%以上の残存活性を示し、30℃
にて30分処理した場合ではpH6.0 〜7.0 において80%
以上の残存活性を示す; (4)至適温度;アデノシン又はイノシンを基質とした
場合の至適温度は60℃であり、グアノシンを基質とした
場合の至適温度は50℃である; (5)温度安定性;アデノシンを基質とした場合、pH
6.0 、30分処理の場合は40℃まで、pH4.5 、60分処理
した場合は30℃まで安定である; (6)分子量;172000(ゲル濾過クロマトグラフ
ィーによる測定)、43000(サブユニット、SDS
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による測定);を提
供する。
【0011】本発明はまた、配列番号:1に示すアミノ
酸番号1からアミノ酸番号341 までのアミノ酸配列を有
するプリンヌクレオシダーゼ、あるいは該アミノ酸配列
に対して1個〜複数個のアミノ酸の付加、除去及び/又
は他のアミノ酸による置換によって修飾されているアミ
ノ酸配列を有するプリンヌクレオシダーゼ活性を維持し
ている蛋白質を提供する。本発明はまた、配列番号:1
に示すヌクレオチド配列又はその一部分と40℃〜55℃、
6×SSCのハイブリダイゼーション条件下でハイブリ
ダイズすることができるDNAによりコードされてお
り、且つプリンヌクレオシダーゼ活性を有する蛋白質を
提供する。
【0012】本発明はまた、前記の酵素又は蛋白質をコ
ードする遺伝子、該遺伝子を有する発現ベクター、該発
現ベクターにより形質転換された組換え宿主細胞を提供
する。本発明はさらに、上記の組換え宿主細胞を培養
し、当該培養物から、目的の酵素蛋白質を採取すること
を特徴とするプリンヌクレオシダーゼ活性を有する蛋白
質の製造方法を提供する。本発明はまた、プリンヌクレ
オシダーゼを生産することができるオクロバクトラム・
アンスロピ(Ochrobacterum anthropi) 属に属する微生
物を培養し、該培養物から目的とする酵素蛋白質を採取
することを特徴とするプリンヌクレオシダーゼの製造方
法を提供する。
【0013】本発明はまた、前記のプリンヌクレオシダ
ーゼを麦汁に作用させ、麦汁中に含まれるプリンヌクレ
オシドをプリン塩基に分解することにより得られるヌク
レオシド分解汁を用いることを特徴とするビールの製造
方法を提供する。本発明はまた、前記プリンヌクレオシ
ダーゼを麦汁に作用させ、麦汁中に含まれるプリンヌク
レオシドをプリン塩基に分解することによりヌクレオシ
ド分解麦汁を得ることを特徴とする麦汁の製造方法を提
供する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の酵素プリンヌクレオシダ
ーゼの生産のため、又はそれをコードする遺伝子を得る
ための微生物としては、オクロバクトラム・アンスロピ
(Ochrobactrum)属に族し、前記の性質を有するプリン
ヌクレオシダーゼを生産する能力を有するものであれば
よく、例えばオクロバクトラム・アンスロピ(Ochrobac
trum anthropi)種の微生物である。その代表的なものと
して、本発明者らにより分離された新規微生物株である
オクトバクトラム・アンスロピが挙げられる。なお、本
発明において新しく分離されたこの細菌株オクロバクト
ラム・アンスロピ(Ochrobactrum anthropi)は、次の菌
学的性質を有する。
【0015】(a)形態的性質 (イ)細胞の形態:桿菌 (ロ)細胞の多形性の有無:無し (ハ)運動性の有無:有り (ニ)胞子の有無:無し (b)培養的性質 (イ)肉汁寒天平板培養(30℃、2日間培養):コロニ
ーの形状は正円で凸状隆起を呈する。表面は平滑で光沢
がある。
【0016】(c)生理学的性質 (イ)グラム染色性:陰性 (ロ)硝酸塩の還元:陰性 (ハ)脱窒反応:陰性 (ニ)インドールの生成:陰性 (ホ)グルコースからの酸の生成:陰性 (ヘ)ウレアーゼ:陽性 (ト)チトクロームオキシダーゼ:陽性 (チ)カタラーゼ:陽性 (リ)キシロースからの酸の生成:陽性 (ヌ)生育最適温度:28−37℃ (ル)King's B培地での色素の生成:陰性 (ヲ)O−Fテスト(糖:グルコースによる):酸化 (ワ)糖の資化性:
【0017】(1)グルコース:+ (2)アラビノース:+ (3)マンノース:+ (4)マンニトール:− (5)Nアセチルグルコサミン:+ (6)マルトース:+ (7)グルコン酸:− (8)カプリン酸:+ (9)アジピン酸:− (10)リンゴ酸:+ (11)クエン酸:+ (12)フェニル酢酸:−
【0018】(d)その他の諸性質 (イ)エスクリンの加水分解:陰性 (ロ)βガラクトシダーゼ:陰性 (ハ)ゼラチンの加水分解:陰性 (ニ)アルギニン ジハイドロラーゼ:陰性 (ホ)MacConkey 培地での生育:陽性 (ヘ)ポリミキシン感受性:陰性 (ト)アラニンの利用:陽性 (チ)グリシンの利用:陰性
【0019】生理生化学的性質はAPI20NE (BIO MERIEUX
S.A.)を利用して調べた。さらにこれらの結果から、AP
I20NE 用のAnalytical Profile Indexを用いて種名の検
索を行ったところ、硝酸塩の還元とグリシンの利用の有
無はHolmesらの記載(International Journal of Syste
matic Bacteriology, Vol.38, No.4, 1988, p.406-416)
と異なっていたが、Index に従って、この株は、オクロ
バクトラム・アンスロピ(Ochrobactrum anthropi )と
同定された。この菌株は、Ochrobactrum anthropi SAM2
125 と命名され、FERM BP-5377として、工業技術院生命
工学工業技術研究所に平成8年(1996年)1月26日にブ
ダペスト条約に基き国際寄託されている。上記の微生物
SAM2125 株により生産される酵素プリンヌクレオシダー
ゼの性質をまとめると次の通りである。
【0020】(1)基質特異性; プリン化合物、例え
ば、アデノシン、グアノシン、イノシン、キサントシ
ン、2'−アデノシンモノフォスフェイト、3'−アデノシ
ンモノフォスフェイト、5'−アデノシンモノフォスフェ
イト、5'−グアノシンモノフォスフェイト、β−ニコチ
ンアミドアデニンヂヌクレオチドを基質として作用し、
ピリミジンには2'-CMPを除いて作用しない; (2)至適pH; アデノシン、グアノシン、イノシン
を基質としたときの至適pHは、アデノシンについては
pH 5.0−7.5 、グアノシンについてはpH 4.0−5.5
、イノシンについてはpH5.5 である;
【0021】(3)pH安定性; 50℃にて60分処理し
た場合ではpH 6.5−7.0 において90%以上の残存活性
を示し、30℃にて30分処理した場合ではpH 6.0−7.0
において80%以上の残存活性を示す; (4)至適温度; pH5.5 において、アデノシン又は
イノシンを基質とした場合の至適温度は60℃であり、グ
アノシンを基質とした場合の至適温度は50℃である; (5)温度安定性; アデノシンを基質とした場合、p
H6.0 にて30分処理の場合は40℃まで、pH4.5 にて60
分処理した場合は30℃まで安定である;
【0022】(6)分子量; 172000(ゲル濾過
クロマトグラフィー(TSK-G 3000SW)による測定)、4
3000(サブユニット、SDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動による測定); (7)阻害剤の影響; 金属キレーター、亜セレン酸ナ
トリウム、5,5'−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸) 、シ
アン化ナトリウム、フッ化ナトリウム、ナトリウムアザ
イドにより阻害される; (8)金属イオンの影響; 顕著に活性化する金属イオ
ンは見いだせない。また、Zn2+,Cu2+,Mn2+,Hg2+,Ag
+ によって阻害される;
【0023】(9)部分的アミノ酸配列; 以下のアミ
ノ酸配列を有する:Asp-Thr-Glu-Lys-Met-Ile-Ile-Asp-
Thr-Asp-Phe-Ser-Thr-Ile-Gly (N末端)(配列番号:
2) Glu-Phe-Asp-Lys (配列番号:3) Thr-Ala-Phe-His-Arg-Pro-Glu-(Pro)-Thr-(Xxx)-Lys
(配列番号:4) Glu-Thr-Phe-Asp-Arg-Val-Ile-Ala-Gly-Asp-Gly-Pro-Va
l-Gln-Lys (配列番号:5) Xxx-Ile-Val-Tyr-Met-Ala-Gly-Ala-Val-Asp-Val-Lys
(配列番号:6) Asp-Leu-Ile-Ala-Pro-Pro-Asp-Gly-Phe-Ala-Lys (配列
番号:7) Glu-Asp-Ala-Val-Asp-Phe-Ile-Val-Asn-Thr-Val-Lys
(配列番号:8) Val-Gly-Val-Tyr-Ala-Gly-Ala-Asn-Leu-Pro-Leu-Val-Hi
s-Asp-Pro-Arg-Ser-Phe-Glu-(Ser)-Xxx-Arg-Ala-Leu-Ph
e-Gly-Phe-Gly-Glu-(Ser)-Tyr-Lys (配列番号:9) Leu-Phe-Ala-Asp-Ser-Trp-Met-Ala-Glu-Thr-Phe-Ala-Ly
s (配列番号:10)
【0024】本発明はまた、配列番号:1に示すアミノ
酸番号1からアミノ酸番号341 までのアミノ酸配列を有
するプリンヌクレオシダーゼ、あるいは該アミノ酸配列
に対して1個〜複数個のアミノ酸の付加、除去及び/又
は他のアミノ酸による置換によって修飾されているアミ
ノ酸配列を有し、プリンヌクレオシダーゼ活性を維持し
ている蛋白質を提供する。上記の修飾の対象となる複数
のアミノ酸とは、部位特定変量誘発、PCR 法等、遺伝子
操作のための常法に従って修飾可能な程度の数のアミノ
酸を意味する。
【0025】本発明はまた、配列番号:1に示すヌクレ
オチド配列又はその一部分と40℃〜55℃、6×SSCの
ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするこ
とができるDNAによりコードされており、プリンヌク
レオシダーゼ活性を有する蛋白質を提供する。この場
合、プリンヌクレオシダーゼ活性を有する蛋白質をコー
ドするDNAとしては、オクロバクトラム属に属する他
の菌株、さらには、他の属、例えばセラチア(Serrati
a) 属、フラボバクテリウム(Flabobacterium) 属、シ
ュードモナス(Pseudomonas)属、アスペルギルス(Aspe
rgillus)属の微生物、例えばセラチア・マルセセンス
(Serratia marcescens)、フラボバクテリウム・メニン
ゴセプティクム(Flabobacterium meningosepticum) 、
シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluore
scens)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terr
eus)等の微生物から得たcDNAライブラリーやジェノ
ミックDNAライブラリー等を使用することができる。
【0026】本発明においてはまず、前記の本発明の微
生物を常法に従って培養し、細胞破砕液を得る。この細
胞破砕液よりイオン交換カラムやゲルろ過カラムなどの
クロマトグラフィーを行い、プリンヌクレオシダーゼを
単一に精製し、分子量、サブユニット構造、N 末端アミ
ノ酸配列、部分アミノ酸配列等を決定する。また、N末
端アミノ酸配列、部分アミノ酸配列に対応する合成DN
Aプローブを用いてオクロバクトラム・アンスロピのプ
リンヌクレオシダーゼ遺伝子をスクリーニングし、その
全塩基配列を決定する。
【0027】これにより、プリンヌクレオシドが遊離プ
リン塩基に分解された麦汁を製造することが可能にな
り、オクロバクトラム・アンスロピのプリンヌクレオシ
ダーゼを、例えば培養の容易な原核細胞例えば大腸菌
や、真核細胞例えば酵母や動物細胞のような適当な宿主
にて大量に生産することや、プリンヌクレオシダーゼを
遺伝子工学的手法により改良することなどの手段を講じ
ることが可能になった。即ち、本発明はオクロバクトラ
ム属由来のプリンヌクレオシダーゼ活性を有する蛋白質
及びそれをコードする遺伝子を提供するものである。
【0028】本願発明において、プリンヌクレオシダー
ゼ活性を有する蛋白質には、プリンヌクレオシダーゼ活
性を有し、当該酵素蛋白に係るアミノ酸配列が修飾され
ているものも含む。ここで、修飾されているとは、配列
番号:1のアミノ酸配列における1又は複数のアミノ酸
残基が置換、付加及び/又は、欠失されていることを意
味する。本願発明に係るプリンヌクレオシダーゼ活性を
有する蛋白質及びそれをコードする遺伝子を取得するに
は、オクロバクトラム属細菌を用いることができる。例
えば、オクロバクトラム・アンスロピSAM 2125(FERM B
P-5377)を用いることができる。
【0029】その他、オクロバクトラム属由来のプリン
ヌクレオシダーゼと生物学的に同等の活性を有するプリ
ンヌクレオシダーゼを生産する微生物も存在する可能性
があり、そのような微生物から、本発明で明らかになっ
た遺伝子配列を用いて、プリンヌクレオシダーゼ遺伝子
を取得することもできる。上記出発微生物は適当な炭素
源、窒素源及び徴量の金属元素を含む培地中で、培養す
ることができる。得られた培養物を回収し、細胞抽出液
または培養上清から目的の酵素を、沈殿法、吸着法、分
子飾、電気泳動等の公知の方法を組み合わせて精製す
る。
【0030】例えば、DEAE sephacel カラムクロマトグ
ラフィー、硫安沈澱、Phenyl-Sepharose CL-4B、Sephac
ryl S-200HR 、Mono Q HR 5/5 クロマトグラフィーなど
を用いて、プリンヌクレオシダーゼを精製することがで
きる。精製したプリンヌクレオシダーゼからは公知の方
法により、N 末端アミノ酸配列、あるいは部分アミノ酸
配列などを決定することができる。また、上記出発微生
物からの染色体DNAの単離、ジェノミックライブラリ
ーの作成、スクリーニングは公知の方法によって行うこ
とが出来る。そのような方法は、例えばSambfookらのMo
lecular Cloning 第2 版(Cold Spring Harbor.1989)
に記載されている。
【0031】例示のために説明すれば、本発明のプリン
ヌクレオシダーゼ活性を有する蛋白質をコードする遺伝
子は、次のようにして得ることが出来る。オクロバクト
ラム・アンスロピの細胞より染色体DNAを抽出する。
これをSau3AIなどの適当な制限酵素で部分分解してクロ
ーニング用ファージベクター、例えばEMBL3 に組み込み
大腸菌等の宿主を形質転換する。得られたgenomic DN
Aライブラリーをプリンヌクレオシダーゼの部分アミノ
酸配列に対応する合成DNAプローブを用いてスクリー
ニングすることより、目的のプリンヌクレオシダーゼ活
性を有する蛋白質をコードするDNA断片を含む陽性ク
ローンを得ることが出来る。
【0032】そのようなDNAプローブは、オクロバク
トラム属の培養物から目的のプリンヌクレオシダーゼ活
性を有する蛋白質を前述のようにして精製し、そのアミ
ノ酸配列の少なくとも一部分を明らかにし、その配列か
ら推定して合成することが出来る。また、ポリメラーゼ
鎖反応(PCR;Polymerase chain reaction )の手法
を用いることによりさらに長いブロープ断片を調製する
ことも出来る。あるいは、染色体DNAを種々の制限酵
素で完全分解し、アガロースゲル電気泳動を行った後、
ナイロンメンブレンなどのメンブレンにトランスファー
して上述のプローブにてサザンハイブリダイゼーション
を行いハイブリダイズするDNA断片を特定する事がで
きる。
【0033】そしてアガロースゲルよりそのDNA断片
を切り出して回収し、pUC等のクローニング用プラス
ミドに組み込み、大腸菌等の宿主を形質転換する。この
ようなクローンの中から、やはり上述のようにプリンヌ
クレオシダーゼの部分アミノ酸配列に対応する合成DN
Aプローブを用いてスクリーニングすることより目的の
プリンヌクレオシダーゼをコードするDNA断片を含む
陽性クローンを得ることが出来る。これらのクローンの
挿入されたDNAを適当な制限酵素で消化して得られる
DNA断片を、適当なベクター、例えばpUC 18あるいは
pUC19 にサブクローニングして、その挿入DNA断片の
塩基配列をダイデオキジシークエンス法等によって決定
することが出来る。
【0034】ヌクレオシダーゼ活性を有する蛋白質をコ
ードするDNAが得られれば、当業者は当該DNAを有
する発現ベクター、当該発現ベクターに形質転換された
組換え宿主細胞を公知の技術を用いて容易に作製するこ
とができる。即ち、発現ベクターについては大腸菌を宿
主とした場合、pUC 系、pBR 系、pBluescript II、pTrc
99A 、pKK223-3、pPL-Lambda等が挙げられる。プロモー
ターについては当業者が適宜好適のものを選択し得る。
例えば、lac promoter, tac promoter, T7 promoter, T
3 promoter, trc promoter, λ PL promoter等が望まし
い。
【0035】また、GST Gene Fusion Vector (pGEX系な
ど)を用いて、Glutathione S-transferase と融合タン
パク質として発現させ、Glutathione Sepharose 4B等で
精製後、適当な蛋白質分解酵素にてヌクレオシダーゼを
遊離させることもできる。酵母を宿主とした場合は発現
ベクターとしてpYE22m (特開平3-97615), YRp7 (Struh
l, K.et al.Proc.Natl.Sci.USA 76.1035-1039, 1979;S
tinchcomb, D.T.et al., Nature 282, 39-43, 1979), Y
Ip5 (Struhl, K. et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA
76, 1035-1039, 1979), YCp19 (Stinchcomb, D.T. et a
l., J. Mol. Biol. 158, 157-179, 1982)等を用いるこ
とができる。プロモーターとしてはGALl promoter, GAL
7 promoter, GAL10 promoter, ADH2 promoter, GAP pro
moter 等を用いることができる。このほかに枯草菌、糸
状菌や動物細胞を宿主として、当業者が適宜好適のもの
を選択し発現させることもできる。
【0036】本願発明は、プリンヌクレオシダーゼ活性
を有する蛋白質の製造方法にも関するが、上記組換え宿
主細胞が得られれば、培養条件等は当業者が適宜選択し
得るものであるので、培養すること自体に特に困難性は
伴わない。適当な炭素源、窒素源、及び微量の金属元素
等を含む培地中で当該形質転換細胞を培養し、目的の酵
素蛋白又は誘導体蛋白が発現された後は、培養物から、
即ち、培養上清又は培養後の組換え宿主細胞の細胞内か
ら、公知の方法を用いて適宜採取すればよい。例えば、
必要であれば細胞を超音波あるいはダイノミル等で破砕
後、沈殿法、吸着法、分子篩、電気泳動等の公知の方法
を組み合わせて精製する。
【0037】更に、本発明はプリンヌクレオシダーゼ活
性を有する蛋白質の用途をも提供する。即ち、当該蛋白
質を用いたビールの製造方法にも関する。本発明者ら
は、ビール中のプリンヌクレオシド、プリンヌクレオチ
ド、プリン塩基及び高分子核酸量を測定し、これらプリ
ン化合物の濃度を低減させたビールの製造法を提供する
ことを目的とし、種々研究した結果、本発明を完成し
た。プリン塩基とは、プリン(9H−イミダゾ〔4,5
−d〕ピリミジン)の種々の部分が置換された誘導体の
総称であり、アデニン、グアニン、キサンチンがある。
【0038】プリンヌクレオシドとは、プリン塩基と糖
の還元基とがN−グリコシド結合した配糖体化合物の総
称であり、アデノシン、グアノシン、イノシン等があ
る。プリンヌクレオチドとは、プリンヌクレオシドの糖
部分がリン酸とエステルをつくっている化合物の総称で
あり、アデニル酸、グアニル酸、イノシン酸等がある。
プリン化合物とは、上記プリン塩基、プリンヌクレオシ
ド、プリンヌクレオチド等のプリン骨格を含有する化合
物の総称である。本発明者らは、ビール中およびその製
造工程中の各プリン化合物量を測定することにより以下
の点を明らかにした。
【0039】1)各種市販ビール中のプリン化合物は40
〜100mg /lと変動するが、プリンヌクレオシドがプリ
ン塩基の2〜25倍存在する。即ち、ビール中のプリン化
合物の大半はプリンヌクレオシドとして存在する。 2)発酵工程中に、麦汁中のプリン塩基は酵母によって
吸収・代謝されてほぼなくなる。 以上の分析結果を基に、本発明者らはこの問題を解決す
るために鋭意研究を重ねた結果、プリン化合物含量を低
下せしめるビールの製造法を発明するにいたった。
【0040】つまり、通常の酵母は、プリンヌクレオシ
ドを吸収することはできないが、プリン塩基を吸収・代
謝することはできる。そこで、本発明においては、麦汁
に酵素を使用させ、麦汁中に含まれるプリンヌクレオシ
ドをプリン塩基に分解せしめ、ヌクレオシド分解麦汁を
製造し、このヌクレオシド分解麦汁を用いることにより
ビール中のプリン化合物含量を低減することができる。
なお、ヌクレオシド分解麦汁は、麦汁中のプリンヌクレ
オシドの一部または全てが酵素によりプリン塩基に分解
されたものであり、このヌクレオシド分解麦汁中のプリ
ンヌクレオシド含量は、添加する酵素の量、反応時間、
反応温度等により調節することができるが、好ましくは
プリンヌクレオシドの全てがプリン塩基に分解され、プ
リンヌクレオシドを含有していない麦汁がよい。
【0041】この酵素は(1)麦汁製造過程、(2)麦
汁製造後発酵工程前、又は(3)発酵過程において働か
せることができる。麦汁製造過程で酵素を働かせるため
には、麦汁製造(糖化)開始時又は麦汁製造の間の適当
な時点で酵素を添加することができる。発酵工程前に酵
素を働かすためには、麦汁製造過程の麦汁に酵素を添加
し、発酵開始前に所定時間置けばよいが、この中で最も
望ましいのは麦汁製造工程途中の煮沸以前の添加であ
る。なぜならば、煮沸により酵素を失活させることが出
来るので、ビール製品中に活性のある酵素を持ち込み品
質になんらかの影響を与える可能性がないためである。
また、発酵の過程で酵素を働かせるためには、発酵開始
時又は発酵中に酵素を添加する。但し、酵素の作用によ
って生成したプリン塩基は酵母により代謝・消滅させる
必要があるから、酵素は発酵開始時、又は発酵期間の前
半に添加するのが好ましい。
【0042】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。実験の手順は、特に記載しない限り、Sambrookら
のMolecular Clonilg 第2 版(Cold Spring Harbor,198
9)によった。実施例1オクロバクトラム・アンスロピのプリンヌク
レオシダーゼの培養 オクロバクトラム・アンスロピSAM2125 (FERM BP-5377)
を下記培地5ml に1 白金耳植菌し、試験管にて28℃、16
時間振蕩培養した。これを50mlの培地に移し、500ml の
マイヤーにて28℃、25時間振蕩培養した。これをさらに
2lの培地に移し、3lの培養器にて28℃、47時間通気撹拌
培養した。この培養液から遠心分離にて29g の湿菌体を
得た。
【0043】実施例2オクロバクトラム・アンスロピ
のプリンヌクレオシダーゼの精製 20g の湿菌体を40mlの10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4
)(以下バッファーと記す)に懸濁した後、ダイノミ
ルにて4 ℃、10分間破砕した。破砕液を濾過した後、遠
心分離(10,000rpm, 60min)し、上清を無細胞抽出液と
して用いた。無細胞抽出液(250ml )を5Lのバッファー
に対して、12時間透析したのち、バッファーにて平衡化
したDEAE-Sephacel カラム(3 x 30 cm, 200 ml )に供
した。吸着した蛋白質を0 から1.0MのNaClの塩濃度勾配
にて溶出し、活性画分を回収した。
【0044】この時プリンヌクレオシダーゼ活性は2つ
のピークに分かれた(図1)。第一活性画分として46番
から69番まで、第二活性画分として85番から 101番まで
を集めた。第一活性画分と第二活性画分のアデノシン、
イノシン、グアノシンを基質とした時の比活性を表1に
示す。2つの活性画分は温度に対する挙動が異なり、異
種酵素である可能性がある。
【0045】
【表1】
【0046】DEAE-Sephacel カラム クロマトグラフィ
ー (1st)の活性画分(320ml )を5Lのバッファーに対し
て、12時間透析したのち、バッファーにて平衡化したDE
AE-Sephacel カラム(2 x 30 cm, 100 ml )に供した。
吸着した蛋白質を0 から0.35M のNaClの塩濃度勾配にて
溶出し、活性画分を回収した。DEAE-Sephacel カラムク
ロマトグラフィー(2nd) の活性画分(16ml)に硫酸アン
モニウムを80%飽和になるように加え充分撹拌したの
ち、遠心分離(10,000rpm,20min )し上清をえた。
【0047】上清に硫酸アンモニウムを100 %飽和にな
るように加え充分撹拌したのち、遠心分離(10,000rpm,
20min)沈殿を回収した。沈殿を9ml のバッファーに溶
解し、活性画分とした。硫安分画活性画分に4.0Mになる
ようにNaClを加え、4.0MNaClを含むバッファーにて平衡
化したPhenyl-Spharose CL-4B カラム(1 x 7.5 cm,6ml
)に供した。吸着した蛋白質を4.0 から0MのNaClの塩
濃度勾配にて溶出し、活性画分を回収した。Phenyl-Sep
harose CL-4Bカラム クロマトグラフィー 活性画分
(16.5ml)を分画分子量30,000の限外濾過膜にて4ml へ
と濃縮したのち、Sephacryl S-200 HRカラム(1.5 x 80
cm, 140ml)に供した。0.2 MNaClを含むバッファーに
て蛋白質を溶出し、活性画分を回収した。
【0048】Sephacryl S-200 HRカラム クロマトグラ
フィー 活性画分(7.5ml )を5 lのバッファーに対し
て、12時間透析したのち、バッファーにて平衡化したMo
noQHR5/5 カラム(0.5 x 5 cm, 1 ml)に供した。吸着
した蛋白質を0 から0.5MのNaClの塩濃度勾配にて溶出
し、活性画分を回収した。得られた精製酵素はSDS-ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動にて単一なバンドとして検
出された。表2にアテツシンを基質として測定した精製
表を示す。なお、精製表において無細胞抽出液よりもDE
AE-Sephacel カラム クロマトグラフィー後の方が総活
性が高くなっており、無細胞抽出液中にヌクレオシダー
ゼ活性を阻害する物質が含まれている可能性を示唆して
いる。ゲル濾過クロマトグラフィー(TSK-G 3000SW) よ
り分子量172,000 、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳
動よりサブユニット43,000のホモテトラマーであること
が確認された。
【0049】
【表2】
【0050】実施例3プリンヌクレオシダーゼの活性
測定方法 反応液(200 μl )は、基質として0.5mM アデノシンも
しくはイノシンまたは0.25mMグアノシン、50mM酢酸緩衝
液pH4.5 、と適当量の酵素を含む。反応は酵素の添加
により開始し、50℃にて5 分間反応させた。反応の停止
は20μl の15%過塩素酸の添加により行い、遠心分離
(35,000 rpm, 10 min)後、上清を薄層クロマトグラフ
ィー(TLC )にて定性的に、高速液体クロマトグラフィ
ーにて定量的に分析した。分析方法を以下に示す。
【0051】(1)薄層クロマトグラフィー プレート; Kieselgel 60F254 (Merk) 展開液; n- ブタノール / イソプロパノール / H2O /
NH4OH = 1 : 7 : 2 :0.2(v/v/v/v) (基質がアデノシ
ンとグアノシンの場合)、n-ブタノール /酢酸/ H2O =
5 : 1 : 1 (v/v/v) (基質がイノシンの場合) 検出: UV 254 nm (2)高速液体クロマトグラフィー カラム : Cosmosil 5C18 (4.6 x 100 mm) 溶出液 : 0.1 M 塩素酸ナトリウム4 水和物、0.1 %(v
/v) リン酸 流速 : 1.0 ml/min 検出 : UV 260 nm
【0052】実施例4プリンヌクレオシダーゼの基質
特異性 薄層クロマトグラフィー(TLC )にてプリンヌクレオシ
ダーゼの基質特異性を調べた。結果を表3に示す。本酵
素は概してプリン化合物を基質とし、ピリミジンには2'
-CMPを除いて作用しなかった。
【0053】
【表3】
【0054】実施例5プリンヌクレオシダーゼの至適
pH アデノシン、グアノシン及びイノシンを基質としたとき
の至適pHを高速液体クロマトグラフィーにて調べた。
反応液(200 μl )は、基質として0.5mM アデノシンも
しくはイノシンまたは0.25mMグアノシン、50mM下記各緩
衝液、及び適当量の酵素を含み、50℃にて30分反応させ
た。結果を図2,3及び4に示した。 緩衝液 pH1.0-4.0 : 酢酸ナトリウム/ 塩酸 pH4.0-5.5 : 酢酸ナトリウム/ 酢酸 pH5.5-7.5 : リン酸1 カリウム/ リン酸2 カリウム pH7.5-8.5 : トリス/ 塩酸 至適pHはアデノシンについてはpH5.0-7.5 、グアノ
シンについてはpH4.0-5.5 、イノシンについてはpH
5.5 であった。
【0055】実施例6プリンヌクレオシダーゼの至適
温度 アデノシン、グアノシン及びイノシンを基質としたとき
の至適温度を高速液体クロマトグラフィーにて調べた。
反応液(200 μl )は、基質としての0.5mM アデノシン
もしくはイノシンまたは0.25mMグアノシン、50mM酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH4.5 )、または50mMリン酸カリウ
ム緩衝液(pH5.5 )、及び適当量の酵素を含み、各温
度で、20分反応させた。結果を図5及び6に示す。pH
4.5 での至適温度はアデノシン、イノシン、グアノシン
ともに50℃であった。pH5.5 での至適温度はアデノシ
ン、イノシンは60℃、グアノシンは50℃であった。
【0056】実施例7プリンヌクレオシダーゼのpH
安定性 酵素を各pHにて50℃で60分処理した場合と、30℃で30
分処理した場合の残存活性をイノシンを基質として調べ
た。各pHの緩衝液は上記と同じものを用いた。その結
果を図7及び8に示した。50℃、60分処理した場合はp
H 6.5−7.0 で90%以上の残存活性があった。30℃、30
分処理した場合はpH 6.0−7.0 で80%以上の残存活性
があった。
【0057】実施例8プリンヌクレオシダーゼの温度
安定性 酵素を各温度にてpH6.0 にて30分処理した場合と、p
H4.5 にて60分処理した場合の残存活性をアデノシンを
基質として調べた。各pHの緩衝液は上記と同じものを
用いた。その結果を図9及び10に示した。pH6.0 にて
30分処理の場合は40℃まで、pH4.5 にて60分処理した
場合は30℃まで安定であった。
【0058】実施例9プリンヌクレオシダーゼに対す
る阻害剤の影響 活性測定液に各々阻害剤1mM を加えて活性を測定した。
反応はpH4.5 、30℃、20分で行った。その結果を表4
に示す。
【表4】 金属キレーター、亜セレン酸ナトリウム、5,5'- ジチオ
ビス(2- ニトロ安息香酸) 、シアン化ナトリウム、フッ
化ナトリウム、ナトリウムアザイドなどにより阻害され
る。
【0059】実施例10プリンヌクレオシダーゼに対
する金属イオンの影響 活性測定液に各々金属イオンを1mM を加えて活性を測定
した。反応はpH4.5、30℃、40分で行った。その結果
を表5に示す。
【表5】 顕著に活性化する金属イオンは見られなかった。Zn2+,C
u2+ Mn2+,Hg2+ Ag+ によって阻害される。
【0060】実施例11プリンヌクレオシダーゼのN
末端アミノ酸配列の決定 プリンヌクレオシダーゼ蛋白質のアミノ末端からのアミ
ノ酸配列を調べるため、プリンヌクレオシダーゼ蛋白質
を還元カルボキシメチル化したのち逆相HPLCによる
精製を行った。即ち、プリンヌクレオシダーゼ108 mg
(2 .5 μmole)を3 .0ml の変性バッファー(6M Gdn
‐HCl .10mM EDTA ‐2Na を含むTris‐HCl (pH8 .
5 ))に溶解し、50℃で1 時間インキュベートした。14
3 μmole(10μl )の2 一メルカプトエタノールを加
え、反応系を窒素置換したのち、37℃で1 時間インキュ
ベートした。次いで、1Mヨード酢酸ナトリウム(変性バ
ッファーに溶解、0 .207g/ml)150 μl を加え、Na0H
溶液にてpHを8.0-8.5 に調整した。反応系を窒素置換
し、遮光して37℃で1 時間インキュベートした。
【0061】この間反応系のpHを8.0-8.5 に維持し
た。反応後、反応液をH20 に対して充分透析した。透析
内液を以下の条件の逆相HPLCにかけ、蛋白質画分を分取
し、濃縮後凍結乾燥した(逆相HPLC条件、カラム:Zolb
ax Pro10 PROTEIN PLUS20 φ;流速:4 .0ml /min ;
移動相:A =0 .05%TFA in H20、B =CH3CN :A=8:2
(v /v );検出:A280)。蛋白質の回収率は16%であ
った。なお、SDS 一PAGEにより、分子量約4Kの蛋白を蛋
白質画分に確認した。上記のようにして調製した5nmol
の還元カルボキシメチル化プリンヌクレオシダーゼ蛋白
質のN 末端のアミノ酸配列を気相プロテインシークエン
サー(島津製作所製)により分析したところ、以下に示
す配列が確認された。 Asp-Thr-Glu-Lys-Met-Ile-Ile-Asp-Thr-Asp-Phe-Ser-Th
r-Ile-Gly (配列番号:2)
【0062】実施例12プリンヌクレオシダーゼの部
分アミノ酸配列の決定 還元カルポキシメチル化プリンヌクレオシダーゼ48 nmo
le(2.0mg )を100 μl の0.01Mトリス/塩酸緩衝液pH
9.0 に懸濁した。ここにリシルエンドペプチダーゼのl
%溶液(0.1Mトリス/塩酸緩衝液pH9.0 中)2 μl を添
加し、35℃で6時問インキュベートした。液体中の白濁
物は酵素添加後ただちに消え、溶液は透明になった。反
応後、反応液を凍結。乾燥することにより反応を停止し
た。凍結乾燥後、残査を70%蟻酸に溶解しHPLCに供し
た。
【0063】得られたリシルエンドペプチダーゼ消化物
を逆相HPLCにかけ、ペブチドフラグメントを分離した
(逆相HPLC条件、カラム:Bakerbold Widepore C4(35
0 オングストローム)6 φ×250 ;流速:l .0 ml/mi
n ;圧力:80 Kg /cm2 ;温度:Ambient ;移動相:A
=0 .05%TF Ain H20.B =CH3CN :A =8 :2 (v /
v );検出:A220)。得られた各ピークを、逆相HPLCに
よりさらに精製した。精製ペプチドのアミノ酸配列を決
定した。それらの中で、つぎの6 つのペプチドの配列を
気相プロテインシークエンサー(島津製作所製)によ
り、以下のように決定した。
【0064】ペプチド1 :Glu-Phe-Asp-Lys (配列番
号:3) ペプチド2 :Thr-Ala-Phe-His-Arg-Pro-Glu-(Pro)-Thr-
Xxx-Lys (配列番号:4) ペプチド3 :Glu-Thr-Phe-Asp-Arg-Val-Ile-Ala-Gly-As
p-Gly-Pro-Val-Gln-Lys(配列番号:5) ペプチド4 :Xxx-Ile-Val-Tyr-Met-Ala-Gly-Ala-Val-As
p-Val-Lys (配列番号:6) ペプチド5 :Asp-Leu-Ile-Ala-Pro-Pro-Asp-Gly-Phe-Al
a-Lys (配列番号:7)
【0065】ペプチド6 :Glu-Asp-Ala-Val-Asp-Phe-Il
e-Val-Asn-Thr-Val-Lys (配列番号:8) ペプチド7 :Val-Gly-Val-Tyr-Ala-Gly-Ala-Asn-Leu-Pr
o-Leu-Val-His-Asp-Pro-Arg-Ser-Phe-Glu-(Ser)-Xxx-Ar
g-Ala-Leu-Phe-Gly-Phe-Gly-Glu-(Ser)-Tyr-Lys(配列
番号:9) ペプチド8 :Leu-Phe-Ala-Asp-Ser-Trp-Met-Ala-Glu-Th
r-Phe-Ala-Lys (配列番号:10) *()内は不確かなもの * Xxxは解読不可のもの
【0066】実施例13オクロバクトラム・アンスロ
ピのプリンヌクレオシダーゼ遺伝子のクローニング 以下に示した実験は特別に記載のない限り、Sambrook
らのMolecular Cloning 第2 版(Cold Spring Harbor,19
89) に従って行った。 (1)ジェノミックDNAの取得 ジェノミックDNAの調製はMethods in Molecular Bio
logy vol 2,(Humana Press Inc.1984)に準じて行った。
即ち、オクロバクトラム アンスロピ菌体約10g を20ml
のTES バッファー(10mM Tris-HCl (pH8.0 ); 10mM
NaCl;1mM EDTA) に懸濁する。
【0067】200mg のSDS 、1ml の2 %リゾチーム溶
液、1ml の0.5M EDTA を加え、室温で溶菌するまでゆっ
くりと撹拌する。等量のフェノール/ クロロホルムを加
え、ゆっくりと完全に混合する。20,000g 、15分室温で
遠心し、上層を回収する。これを3 回以上繰り返し、上
層と下層の間のタンパク質がほとんどなくなるまで行
う。回収した水層に1/10量の3M 酢酸ナトリウム溶液を
加えて混合し、さらに2 倍量のエタノールをゆっくりと
加えて重層し、界面に現れたDNAをガラス棒に巻きと
る。
【0068】DNAを15mlのTES バッファーに溶解し、
RNase を50μg/mlになるように加え、37℃で1 時間イン
キュベートする。さらにProteinase Kを50μg/mlになる
ように加え、37℃で1 時間インキュベートする。等量の
フェノールを加え、上記と同様に抽出、エタノール沈殿
を行う。回収したDNAは70%エタノール、続いてエタ
ノールでリンスした後、真空デシケーターにて乾燥し、
TEバッファー(10mM Tris-HCl (pH8.0 ); 0.1mM ED
TA) に溶解し、DNAを得た。
【0069】(2)ジェノミックDNAのサザンハイブ
リダイゼーション 得られたジェノミックDNAをEcoRI,EcoRV,HindIII,Ps
tI,HincII,XbaIなどの制限酵素で消化し0.8 %のアガロ
ースゲルにて電気泳動を行った。アガロースゲルを0.25
N 塩酸で20分、1.5M NaCl,0.5M NaOH で30分処理した
後、アガロースゲルからDNAをナイロンメンブレン
(アマシャム)にトランスファーした。トランスファー
はReedとMann(Nucleic Acids Research ,vol3,7207-722
1,1985) の方法に従った。メンブレンは風乾後、Jeffre
y とFlavell (Cell l2 :439 −439,1977)の方法に従
いDNA‐DNAハイブリダイゼーションを行った。
【0070】即ち、DNAを固定したメンブレンフィル
ターを65℃のハイブリダイゼーション溶液(6 ×SSC 、
5 ×デンハルト溶液、0 .5 %SDS 、10μg /mlサケ精
子DNA)に30分間浸した。メンブレンを厚手のナイロ
ン袋に移し、32P で標識したl06 〜l08cpm/μg のプロ
ーブDNAを加えてハイブリダイゼーション溶液中で48
℃、16〜20時間反応させた。ハイブリダイゼーション溶
液を取り除いた後、メンブランフィルターを洗浄用緩衝
液〔2 ×SSC 、0 .l %SDS (W /V )〕中48℃で15分
間の洗浄を4 回行なった。
【0071】このメンブレンフィルターを乾燥した後、
X 線フィルムと増感紙を用いて‐80℃でオートラジオグ
ラフィーを行なった。なお、プローブDNAはN 末端ア
ミノ酸配列に対応する塩基配列からなる合成DNA 5'-
GAPyACIGAPuAAPuATGATIATIGAPyACIGAPyTT-3'(Pyはチミ
ン又はシトシンを表わし、Puはアデニン又はグアニンを
表わす)を用いた。その結果それぞれの制限酵素で消化
したDNAについて異なる長さのポジティブバンドを検
出した。また、この時強くハイブリダイズするバンドの
ほかに、弱くハイブリダイズするバンドも確認された。
【0072】(3)合成DNAを用いたスクリーニング EcoRI 、EcoRV 、HindIII 、PstI、HincII、XbaIなどの
制限酵素で消化したDNAを0.8 %のアガロースゲルに
て電気泳動を行い、上記サザンハイブリダイゼーション
で検出したバンドに対応する長さのDNA断片をアガロ
ースゲルから回収し、抽出した。この断片をそれぞれ適
当な制限酵素で消化したpUC19 とライゲーションして、
大腸菌JM109 株を形質転換した。37℃で培養しコロニー
の直径が1-2mm になったところでプレートを4 ℃に移し
た。プレートにナイロンメンブレン(アマシャム社製)
をおいて注射針で数カ所穴を開けプレートとメンブレン
の相互の位置を決めておく。その後メンブレンをはが
し、ブラーク側を上にして変性溶液(l .5MNaCl.0 .
5MNa0H)に浸した濾紙上において、15分間放置した。
【0073】次に、中和溶液(1.5M NaCl ,0 .5M Tri
s ‐HCl (pH7 .2 )、1mM EDTA)を含む濾紙上にお
き15分間放置した。もう一度中和溶液を含む濾紙上にお
き15分間放置した後風乾した。コロニー側を上にしてUV
トランスイルミネーター上に置き2 −5 分間照射してD
NAを固定した。その後2 ×SSC でメンブレンを洗い細
胞残渣を取り除いた。DNA‐DNAハイブリダイゼー
ションは、Jeffrey とFlavell (Cell l2 :439 −4391
977 )の方法に従い上記と全く同様に行った。
【0074】ハイブリダイゼーション溶液を取り除いた
後、メンブレンフィルターを洗浄用緩衝液〔2 ×SSC 、
0 .l %SDS (W /V )〕中48℃で15分間の洗浄を4 回
行なった。このメンブレンフィルターを乾燥した後、X
線フィルムと増感紙を用いて‐80℃でオートラジオグラ
フィーを行なった。その結呆、EcoRI 断片を挿入したも
のとHindIII 断片を挿入したものから各々数個の陽性ク
ローンが得られた。これらの陽性クローン(E1,E2,E
3:EcoRI 断片を挿入、H1,H2,H3:HindIII 断片を挿
入)からプラスミドDNAを調製しEcoRI,HindIII,EcoR
V などの制限酵素で消化して0.8 %のアガロースゲルに
て電気泳動を行ったところ、E1,E2及びE3とH1,H2及び
H3はそれぞれ同じ制限酵素パターンを示した。また、そ
のアガロースゲルからナイロンメンブレンにDNAをト
ランスファーしてサザンハイブリダイゼーションを行っ
たところ、E1,E2及びE3とH1,H2及びH3はそれぞれ同じ
断片にハイブリダイズした。
【0075】(4)シークエンス 得られた陽性クローン(H1)から調製したプラスミドDN
Aをさまざまな制限酵素で切断し、アガロースゲル電気
泳動を行い、挿入断片の制限酵素地図を作製した。さら
にそのアガロースゲルより各DNA断片を回収、抽出し
てpUC19 にサブクローニングした。これをDNAシーク
エンサー(パーキンエルマーアプライド)を用いてシー
クエンスしたところ、N 末端アミノ酸配列と部分アミノ
酸配列に相当する塩基配列が見つかった。
【0076】(5)塩基配列とアミノ酸配列の比較 ヌクレオシダーゼ染色体DNAの塩基配列中、ヌクレオ
シダーゼをコードしている領域は配列表において開始コ
ドンATG から始まり、終止コドンTGA で終了する 363残
基のアミノ酸配列からなる。実施例11で明らかにしたヌ
クレオシダーゼのアミノ末端からのアミノ酸配列は配列
表中1番目のAsp から始まっており、これ以降15残基目
のGly までの合計15残基のアミノ酸配列はDNAの配列
から推定したアミノ酸配列と完全に一致した。
【0077】また、その他の決定した部分アミノ酸配列
(ペプチド1:317 残基目のGln から320 残基目のLys
まで;ペプチド2:99残基目のThr から109 残基目のLy
s まで;ペプチド3:226 残基目のGlu から240 残基目
のLys まで;ペプチド4:171 残基目のXxx から182 残
基目のLys まで;ペプチド5:110 残基目のAsp から12
0 残基目のLys まで;ペプチド6:127 残基目のGlu か
ら138 残基目のLys まで;ペプチド7:67残基目のVal
から98残基目のLys まで;ペプチド8:241 残基目のLe
u から253 残基目のLys まで)に対応する塩基配列もみ
とめられた。
【0078】以上の結果から、クローン化された染色体
DNAは、ヌクレオシダーゼ遺伝子であると決定した。
塩基配列から明らかとなった開始コドンATG でコードさ
れるMet から22残基目までのペプチド部分は成熟型ヌク
レオシダーゼには存在しない配列であり、この部分はシ
グナルペプチドであるかあるいはpro 配列であるものと
思われる。
【0079】実施例14他のプリンヌクレオシダーゼ
のクローニング 取得した全長のプリンヌクレオシダーゼ遺伝子をプロー
ブとして、オクロバクトラム・アンスロピのgenomic D
NAのサザンハイブリダイゼーションを行ったところ、
実施例13(2)に記載したように弱くハイブリダイズ
する当該プリンヌクレオシダーゼ遺伝子以外の断片が確
認された。この断片から実施例13(3)に示したのと
同様な手法を用いれば、他のプリンヌクレオシダーゼを
クローニングする事ができる。
【0080】また、オクロバクトラム・アンスロピ以外
の生物のプリンヌクレオシダーゼ遺伝子についても同様
の手法で、クローニングすることが可能である。例え
ば、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、
フラボバクテリウム・メニンゴセプティクム(Flabobac
terium meningosepticum) 、シュードモナス・フルオレ
センス(Pseudomonas fluorescens)及びアスペルギルス
・テレウス(Aspergillus terreus)について、取得した
プリンヌクレオシダーゼ遺伝子の一部分をプローブとし
てハイブリダイゼーション(40℃)を行い、ハイブリダ
イズするバンドがあることを確認した。
【0081】実施例15ヌクレオシド分解麦汁の製造 図11に麦汁製造工程における仕込釜および仕込槽の時間
−温度曲線を示す。また、仕込釜及び仕込槽の原料配合
の割合を表6に示す。この製造工程において、仕込槽に
熱処理、塩析、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾
過クロマトグラフィー等で部分精製したオクロバクトラ
ム・アンスロピ(Ochrobactrum anthropi) のヌクレオ
シダーゼ、約20,000u(基質:イノシン、反応温度:60
℃)(1Uは1分間に1μmol のイノシンを分解する酵素
量)を破砕麦芽と共に加えて麦汁製造を行った。酵素を
添加して製造した麦汁と酵素を加えずに製造した麦汁中
のプリン体分析結果を図12に示す。酵素を添加した麦汁
からはプリンヌクレオシドが検出されず、プリン塩基が
増加していた。以下この麦汁をヌクレオシド分解麦汁と
呼ぶ。
【0082】
【表6】
【0083】実施例16ヌクレオシド分解麦汁を用い
たビール醸造 実施例15で製造したヌクレオシド分解麦汁と通常の麦汁
を用いてビール醸造を行った。麦汁2リットルにビール
酵母を湿重量で10.5g懸濁し、12℃で8日発酵した。そ
の後4℃で5日間貯酒した。その発酵中のプリン体の消
長を図13に示す。アデニンは発酵時間内に全て資化され
た。発酵液中のグアニンの量は時間と共に減少し、発酵
終了時には検出されなくなる。
【0084】差し引き約90μMに相当するグアニンが酵
母により資化された。従って、麦汁中の計 260μMに相
当するプリン体が発酵過程で消失する。酵素で処理せず
に製造した麦汁を用いて醸造したビールのプリン体は計
500μMで、酵素処理した麦汁を用いて醸造したビール
のプリン体は計 180μMであるので、計 320μMプリン
体を低減したビールを醸造することが出来た。発酵は酵
母増殖、エキスの消費共に通常の麦汁を用いたものとほ
ぼ変わらず、味覚の面でも大きな差は見られなかった。
【0085】
【発明の効果】本発明によりオクロバクトラム アンス
ロピ由来のヌクレオシダーゼが精製され、その特徴が明
らかにされた。本酵素はpH5.5 の酸性下、60℃におい
てアデノシン、イノシン、グアノシン、キサントシンな
どのプリンヌクレオシドを分解することが可能であり、
この酵素を用いて麦汁製造中にプリンヌクレオシドをプ
リン塩基に分解する事ができる。その結果、製品ビール
中のプリン含有量を低減させることができる。またヌク
レオシダーゼ遺伝子が取得され、その塩基配列及び、ア
ミノ酸配列が明らかにされた。本発明により、オクロバ
クトラム アンスロピ属のヌクレオシダーゼを遺伝子工
学的技術を利用して大量に発現させることや、ヌクレオ
シダーゼを蛋白工学的手法により改良することなどが可
能になった。
【0086】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:1550 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:genomic DNA 配列 TTCTTGTAAC ATGACCACCA TACACTCAAT CAAAAACAGA ATAGAATTTT CGAGTCAATA 60 TGAAACGGTT CATTGATATC AATCGTGATT TCATCAAATA GCCTCCCTAT TTTGGCGACA 120 TAACTGACGC AATGACCCGT TTTTCCTGCC ATGATGAACC ATTTGAATGG CTGGACAAGA 180 GGATTGTCAG TTGTTACGTT TCCAAGATGA ACCGTTTCAT TTCGATAATG TAACATTTTT 240 CTGAAAATAG CGGTTCAGTC TTTGGGAGAA GAGGAGGAGT TTTCG ATG AAA CGA ATT 297 Met Lys Arg Ile -20 TTA GCC GCT GTT TGT ATC GCT GCG AGC ACT TTA CTC GCG CTA CCG GCG 345 Leu Ala Ala Val Cys Ile Ala Ala Ser Thr Leu Leu Ala Leu Pro Ala -15 -10 -5 CAG GCC GAC ACT GAG AAA ATG ATC ATT GAT ACC GAT TTC AGC ACA ATT 393 Gln Ala Asp Thr Glu Lys Met Ile Ile Asp Thr Asp Phe Ser Thr Ile -1 1 5 10 GGT GAT GAT GGT CAG GTC TTG ATC ATG GCC GCA CAG CTC TAC AAA CAA 441 Gly Asp Asp Gly Gln Val Leu Ile Met Ala Ala Gln Leu Tyr Lys Gln 15 20 25 30 GGC GCA ATT GAT CTC CTT GGC GTC ACT GTT GTC ACT GGC AAT AAC TGG 489 Gly Ala Ile Asp Leu Leu Gly Val Thr Val Val Thr Gly Asn Asn Trp 35 40 45
【0087】 CTG AAG CAG GAA GTT GCC GAT GCG CTT CGC GCC GTG GAG CGG TTG GGC 537 Leu Lys Gln Glu Val Ala Asp Ala Leu Arg Ala Val Glu Arg Leu Gly 50 55 60 ATT GAG GAC AAA GTT GGC GTC TAT GCG GGA GCC AAC TTA CCG TTG GTG 585 Ile Glu Asp Lys Val Gly Val Tyr Ala Gly Ala Asn Leu Pro Leu Val 65 70 75 CAT GAT CCC CGC AGC TTT GAA AGC GAG CGA GCG CTG TTC GGT TTT GGC 633 His Asp Pro Arg Ser Phe Glu Ser Glu Arg Ala Leu Phe Gly Phe Gly 80 85 90 GAA AGC TAC AAG ACT GCT TTT CAT CGT CCT GAA CCA ACC GAA AAA GAC 681 Glu Ser Tyr Lys Thr Ala Phe His Arg Pro Glu Pro Thr Glu Lys Asp 95 100 105 110 TTG ATT GCT CCG CCC GAT GGC TTT GCA AAG AAG GCA AAG CTC GAG AAA 729 Leu Ile Ala Pro Pro Asp Gly Phe Ala Lys Lys Ala Lys Leu Glu Lys 115 120 125 GAA GAC GCT GTC GAT TTT ATA GTC AAT ACG GTT AAG GCC AAC CCG AAT 777 Glu Asp Ala Val Asp Phe Ile Val Asn Thr Val Lys Ala Asn Pro Asn 130 135 140 GAA GTA ACG CTT CTG GTT ATT GGA CCT GTC ACG AAT GTC GCT CTC GCC 825 Glu Val Thr Leu Leu Val Ile Gly Pro Val Thr Asn Val Ala Leu Ala 145 150 155 ATC CGC AAG AGC CCA GAA ATC GTG CCG CTT ATC AAG CGT ATC GTC TAC 873 Ile Arg Lys Ser Pro Glu Ile Val Pro Leu Ile Lys Arg Ile Val Tyr 160 165 170 ATG GCG GGT GCT GTC GAT GTC AAA GGC AAC ACG ACA CCT GCA GCA GAA 921 Met Ala Gly Ala Val Asp Val Lys Gly Asn Thr Thr Pro Ala Ala Glu 175 180 185 190
【0088】 ATG AAT GTC TGG GTC GAT CCG GAA GCC GCA CGT ATC GTC ATG CGC GCG 969 Met Asn Val Trp Val Asp Pro Glu Ala Ala Arg Ile Val Met Arg Ala 195 200 205 CCA ATT GAA CAA GCT ATG ATT CCG TTG GAT GTG ACC GAT ATT ACA CAA 1017 Pro Ile Glu Gln Ala Met Ile Pro Leu Asp Val Thr Asp Ile Thr Gln 210 215 220 CTT GAT AAA GAG ACG TTT GAC CGG GTG ATC GCC GGT GAC GGC CCA GTT 1065 Leu Asp Lys Glu Thr Phe Asp Arg Val Ile Ala Gly Asp Gly Pro Val 225 230 235 CAA AAA CTC TTT GCA GAT AGC TGG ATG GCC GAG ACC TTT GCA AAA GAT 1113 Gln Lys Leu Phe Ala Asp Ser Trp Met Ala Glu Thr Phe Ala Lys Asp 240 245 250 CCA AAA GCC GGC GCA AGC GTC TTT GAT ACC CTC GCC CTA GCC TAT GCC 1161 Pro Lys Ala Gly Ala Ser Val Phe Asp Thr Leu Ala Leu Ala Tyr Ala 255 260 265 270 ATC GAC CCA AGT TAC GCA ACA AAA GTG GAC GAT CTC TAT ATG GAC GTC 1209 Ile Asp Pro Ser Tyr Ala Thr Lys Val Asp Asp Leu Tyr Met Asp Val 275 280 285 GAT ATC GCT TTT GGC CCA GGC TAT GGC CGC ACT CTT GGC TAT TGG CAG 1257 Asp Ile Ala Phe Gly Pro Gly Tyr Gly Arg Thr Leu Gly Tyr Trp Gln 290 295 300 AAG CAG CCA ACG CCA CTA TTG CAA AAG ATG AAA GTA GTA AAA GAG TTC 1305 Lys Gln Pro Thr Pro Leu Leu Gln Lys Met Lys Val Val Lys Glu Phe 305 310 315 GAC AAA AAG CGC TTC TTT GAT CTC TAC GTG GAT TTG ATG CAG CGT CCG 1353 Asp Lys Lys Arg Phe Phe Asp Leu Tyr Val Asp Leu Met Gln Arg Pro 320 325 330 GTG CCA ATC AAG TTC GAA AAA TAAAGA TAAAGGCGGC TCCGGTTAAG 1400 Val Pro Ile Lys Phe Glu Lys 335 340 ATTGTATCGC TGGTATCGCC CTATCTATTT GTTTTTACGC ATTATCCAAC AAAAAAACCG 1460 CTTCGTACTT TTGCTGGAAA TGCCTTATTC TCTTGCCTCT CGGGATTTGC CGGGAGGCAA 1520 ATGCAATTTG TGGGGCCAGG CATTAATGGC 1550
【0089】配列番号:2 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Asp Thr Glu Lys Met Ile Ile Asp Thr Asp Phe Ser Thr Ile Gly 1 5 10 15
【0090】配列番号:3 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Glu Phe Asp Lys
【0091】配列番号:4 配列の長さ:11 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0092】配列番号:5 配列の長さ: 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Glu Thr Phe Asp Arg Val Ile Ala Gly Asp Gly Pro Val Gln Lys 1 5 10 15
【0093】配列番号:6 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0094】配列番号:7 配列の長さ:11 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0095】配列番号:8 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0096】配列番号:9 配列の長さ: 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Val Gly Val Tyr Ala Gly Ala Asn Leu Pro Leu Val His Asp Pro Arg 1 5 10 15 Ser Phe Glu Ser Xxx Arg Ala Leu Phe Gly Phe Gly Glu Ser Tyr Lys 20 25 30
【0097】配列番号:10 配列の長さ:13 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Leu Phe Ala Asp Ser Trp Met Ala Glu Thr Phe Ala Lys 1 5 10
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、DEAE Sephacel カラムクロマトグラフ
ィー(1st)の溶出パターンを示す図である。
【図2】図2は、アデノシンを基質とした時の至適pH
を示す図である。
【図3】図3は、グアノシンを基質とした時の至適pH
を示す図である。
【図4】図4は、イノシンを基質とした時の至適pHを
示す図である。
【図5】図5は、pH4.5 における至適温度を示す図で
ある。
【図6】図6は、pH5.5 における至適温度を示す図で
ある。
【図7】図7は、50℃で60分熱処理したときのpH安定
性を示す図である。
【図8】図8は、30℃で30分熱処理したときのpH安定
性を示す図である。
【図9】図9は、pH6.0 で30分熱処理したときの温度
安定性を示す図である。
【図10】図10は、pH4.5 で60分熱処理したときの温
度安定性を示す図である。
【図11】図11は、麦汁製造工程における仕込釜及び仕
込槽の時間温度曲線を示す図である。
【図12】図12は、酵素を添加して製造した麦汁と酵素
を加えずに製造した麦汁中のプリン体分析結果を示すグ
ラフである。
【図13】図13は、実施例16で製造したヌクレオシド分
解麦汁と通常の麦汁を用いた発酵中のプリン体の消長を
示す図である。
【図14】図14は、実施例16で製造したヌクレオシド分
解麦汁と通常の麦汁を用いた発酵中のプリン体の消長を
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:01) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/24 C12R 1:19) (72)発明者 清水 昌 京都府京都市中京区西ノ京伯楽町14

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の酵素学的性質を有するプリンヌク
    レオシダーゼ: (1)基質特異性;プリン化合物に作用する; (2)至適pH;基質として、アデノシンについてはp
    H5.0 〜7.5 、グアノシンについてはpH4.0 〜5.5 、
    そしてイノシンについてはpH5.5 である; (3)pH安定性;50℃、60分処理した場合ではpH6.
    5 〜7.0 において90%以上の残存活性を示し、30℃、30
    分処理した場合ではpH6.0 〜7.0 において80%以上の
    残存活性を示す; (4)至適温度;アデノシン又はイノシンを基質とした
    場合の至適温度は60℃であり、グアノシンを基質とした
    場合の至適温度は50℃である; (5)温度安定性;アデノシンを基質とした場合、pH
    6.0 、30分処理の場合は40℃まで、pH4.5 、60分処理
    した場合は30℃まで安定である; (6)分子量;172000(ゲル濾過クロマトグラフ
    ィーによる測定)、43000(サブユニット、SDS
    −ポリアクリルアミドゲル電気泳動による測定)。
  2. 【請求項2】 配列番号:1に示すアミノ酸番号1から
    アミノ酸番号341 までのアミノ酸配列を有するプリンヌ
    クレオシダーゼ蛋白質、あるいは該アミノ酸配列に対し
    て1個〜複数個のアミノ酸の付加、除去及び/又は他の
    アミノ酸による置換によって修飾されているアミノ酸配
    列を有し、プリンヌクレオシダーゼ活性を維持している
    蛋白質。
  3. 【請求項3】 配列番号:1に示すヌクレオチド配列又
    はその一部分と40℃〜55℃、6×SSCのハイブリダイ
    ゼーション条件下でハイブリダイズすることができるD
    NAによりコードされており、且つプリンヌクレオシダ
    ーゼ活性を有する蛋白質。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の酵
    素、又は蛋白質をコードする遺伝子。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の遺伝子を有する発現ベク
    ター。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の発現ベクターに形質転換
    された組換え宿主細胞。
  7. 【請求項7】 プリンヌクレオシダーゼの製造方法にお
    いて、請求項6記載の組換え宿主細胞を培養し、当該培
    養物から、目的の酵素蛋白を採取することを特徴とする
    当該製造方法。
  8. 【請求項8】 プリンヌクレオシダーゼの製造方法にお
    いて、当該酵素を産生し得るオクロバクトラム・アンス
    ロピ(Ochrobactrum anthropi )属に属する微生物を培
    養し、該培養物から目的の酵素蛋白質を採取することを
    特徴とする製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜3のいずれか1項記載の酵素
    又は蛋白質を麦汁に作用させ、麦汁中に含まれるプリン
    ヌクレオシドをプリン塩基に分解することにより得られ
    たヌクレオシド分解麦汁を用いることを特徴とするビー
    ルの製造方法。
  10. 【請求項10】 発酵前又は発酵中に、麦汁に請求項1
    〜3のいずれか1項記載の酵素又は蛋白質を添加するこ
    とを特徴とする請求項9記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 麦汁製造工程中に、麦汁に請求項1〜
    3のいずれか1項記載の酵素又は蛋白質を添加すること
    を特徴とする請求項9記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜3のいずれか1項記載の酵
    素又は蛋白質を麦汁に作用させ、麦汁中に含まれるプリ
    ンヌクレオシドをプリン塩基に分解することによりヌク
    レオシド分解麦汁を得ることを特徴とする麦汁の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 麦汁製造工程中に、麦汁に請求項1〜
    3のいずれか1項記載の酵素又は蛋白質を添加すること
    を特徴とする請求項12記載の製造方法。
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