JPH1060152A - ゲル系電解質および電気化学素子の製造方法 - Google Patents

ゲル系電解質および電気化学素子の製造方法

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JPH1060152A
JPH1060152A JP8275859A JP27585996A JPH1060152A JP H1060152 A JPH1060152 A JP H1060152A JP 8275859 A JP8275859 A JP 8275859A JP 27585996 A JP27585996 A JP 27585996A JP H1060152 A JPH1060152 A JP H1060152A
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electrolyte
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soln
sheet
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解質溶液の含浸前後での寸法変化が小さく
強度の大きい、イオン伝導度の高いゲル系電解質および
これを用いた電池等の電気化学素子を、安全、且つ容易
に製造する方法を提供する。 【解決手段】 電解質溶液に膨潤可能な架橋ポリマーか
らなる多孔質樹脂成形体に、実質的に電解質溶液で膨潤
しない温度で電解質溶液を含浸させた後、余分な電解質
溶液が存在しないようにし、膨潤する温度で加熱するこ
とでゲル系電解質を製造する。また加熱前に電極を積層
することで電気化学素子を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はゲル系電解質および
電気化学素子の製造方法に関する。さらに詳しくは固体
電解質の一形態であるゲル系電解質およびこれを用いた
電池等の電気化学素子の製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、携帯電話やパソコン等の小型化、
軽量化のために高エネルギー密度の電池が要求され、こ
れに対応する電池としてリチウムイオン電池が開発さ
れ、工業化されている。この電池の正極および負極の電
極間のイオン移動媒体として、貫通孔を持つ多孔質高分
子セパレーターに電解質溶液を含浸した形態が用いられ
ており、セパレーターに含浸させた電解質溶液の漏出を
防ぐため、電池構造体全体を重厚な金属容器でパッケー
ジされたものが製品化されている。
【0003】一方、固体電解質をイオン移動媒体として
構成した固体電池は、液漏れがないため電池の信頼性、
安全性が向上するとともに、薄膜化や積層体形成、パッ
ケージの簡略化、軽量化が期待されている。特にイオン
伝導性高分子を用いた高分子固体電解質は、加工柔軟性
を有するため電池との積層構造体形成、電極のイオン吸
蔵放出による体積変化に追随した界面保持ができるなど
好ましい性質を有すると期待されている。
【0004】このような高分子固体電解質の試みとして
は、Wrightによりポリエチレンオキシドのアルカ
リ金属塩複合体が、British Polymer
Journal,7 p.319(1975)に報告さ
れて以来、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンオ
キシドなどのポリアルキレンエーテル系材料をはじめポ
リアクリロニトリル、ポリホスファゼン、ポリシロキサ
ンなどを骨格とした高分子固体電解質材料が活発に研究
されている。このような高分子固体電解質は、通常は高
分子中に電解質が均一固溶した形態をとり、ドライ系高
分子固体電解質として知られているが、そのイオン伝導
度は電解質溶液に比較して著しく低く、これを用いて構
成した電池は充放電電流密度が限定され、電池抵抗が高
いなどの問題を有していた。
【0005】そのためより電解質溶液に近い状態を形成
させることでイオン伝導度を向上させようとする試みが
種々提案されている。例えば、電解質の解離度を向上し
たり、高分子の分子運動を促進してイオン伝導度を向上
させる目的で電解質溶媒等の可塑剤を添加したゲル系電
解質が知られている(特開昭56−143356号公報
等)。このようなゲル系電解質を用いて電池を製造する
場合、まず膨潤ポリマーからなるゲル系電解質を製造
し、その後に電池を組み立てるという方法が一般的であ
る。このようなゲル系電解質の母体高分子としては架橋
ポリマーを用いることができるが、一方、未架橋のポリ
マーと電解質と可塑剤とを低沸点溶媒に溶かした溶液を
電極上に塗布し、該低沸点溶媒のみを揮発除去すること
でゲル系電解質層を形成する電池の製造方法も知られて
いる(米国特許第5296318号明細書)。
【0006】一方、液体状イオン伝導体を多孔質膜の空
孔内に充填し、毛管作用を利用して保持することで電解
質の漏出を防ぐ試みも提案されており、例えば0.1μ
m以下の貫通孔径を有する、ポリオレフィンのような高
強度の材料の微多孔質膜にイオン移動媒体を充填してな
る電解質薄膜が作成されている(特開平1−15805
1号公報)。
【0007】しかしながら上記のゲル系電解質はそのも
のが既に膨潤ポリマーからなっているために強度が著し
く低く、電池として積層するための取扱いは容易なもの
ではなかった。特に高いエネルギー密度を得るための薄
膜化は著しく困難なものであった。また、電極上にポリ
マーと電解質の溶液を塗布する方法では取扱いは容易な
がら、THFのような可燃性の低沸点溶媒を使用するた
めに安全上好ましいものではなかった。さらにこの場
合、溶液とするために未架橋のポリマーを用いているこ
とから高温では溶解や溶融による短絡の恐れがあった。
一方、多孔質膜の空孔内に電解質溶液を充填したものの
場合は、強度は大きいものの、多数の孔が複雑に交錯し
て迷路状になった電解質溶液相をイオンが通るためにイ
オン伝導度が大きく低下する欠点を有していた。従っ
て、電解質溶液を含んだときのイオン伝導度が高いゲル
系電解質を用いた電池等の電気化学素子を、安全且つ容
易に製造する方法は未だ報告されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電解質溶液
の膨潤前後での寸法変化が小さく強度の大きい、高いイ
オン伝導度を有するゲル系電解質およびこれを用いた電
池等の電気化学素子を安全且つ容易に製造する方法を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の従来
技術の問題点に鑑み、検討を重ね本発明に至った。すな
わち、本発明は下記のとおりである。 (1) 電解質溶液に膨潤可能な架橋ポリマーからなる
多孔質樹脂成形体に、実質的に上記電解質溶液に膨潤し
ない温度で該電解質溶液を含浸させた後、余分な電解質
溶液が存在しないようにし、その後に膨潤する温度で加
熱することを特徴とするゲル系電解質の製造方法。 (2) 電解質溶液に膨潤可能な架橋ポリマーからなる
多孔質樹脂成形体に、実質的に上記電解質溶液に膨潤し
ない温度で電解質溶液を含浸させた後に余分な電解質溶
液が存在しないようにし、その後に電極を積層してなる
積層体を膨潤する温度で加熱することを特徴とする電気
化学素子の製造方法。 (3) 電解質溶液に膨潤可能な架橋ポリマーからなる
多孔質樹脂成形体に電極を積層し、次に実質的に上記電
解質溶液に膨潤しない温度で該積層体に電解質溶液を含
浸させ、余分な電解質溶液が存在しないようにした後に
該積層体を膨潤する温度で加熱することを特徴とする電
気化学素子の製造方法。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
方法で製造されるのはゲル系電解質および電気化学素子
である。ここでいうゲル系電解質とは、高沸点溶媒を流
動性のある溶液までには至らない範囲で大量に含んだ高
分子固体電解質で、ゲル状の様相を示す状態のものをい
う。本発明の製造方法に従えば、まず多孔質樹脂成形体
に、実質的に該電解質溶液で膨潤しない温度で電解質溶
液を含浸させる。この段階では架橋ポリマーは膨潤して
おらず、該多孔質樹脂成形体は充分に強度が高く、また
ほとんど変形することもないので比較的自由に取り扱う
ことができる。次にこの状態で該電解質溶液から引き上
げることで余分な電解質溶液を除去する。必要により表
面を拭き取るなどしてさらに余分な液を除去するが、こ
の状態でのイオン伝導度は充分に高いものではない。し
かるに、このままの状態あるいは電極を積層した状態で
該含浸成形体を加熱し、架橋ポリマーを電解質溶液で膨
潤させると、強度の低い膨潤状態での取扱いを極力避け
つつ高い伝導度を有するゲル系電解質を容易に得ること
ができる。
【0011】一般に架橋ポリマーを液中で自由に膨潤さ
せると平衡に達するまで大きな変形を伴い、また変形を
抑制するために膨潤する液量を平衡量以下にコントロー
ルすることも著しく困難である。しかしながら、本発明
の方法に従えば膨潤に使われる液量は空隙率により限定
されることから膨潤率も限られ、膨潤による大きな変形
を避けることができ、強度低下も抑制される。したがっ
て、本発明の方法は、強度の高い状態で電極を積層で
き、電解質層の変形が小さいという点で電解質溶液を含
浸させる前か後の、いずれにせよ加熱する前に電極を積
層した場合に特に有用である。膨潤後には多孔質の空孔
内に電解質溶液は残っていても残っていなくてもよい。
【0012】本発明でいう多孔質樹脂成形体は成形体内
部に空孔を有するものであればよく、空孔は連続孔であ
っても独立泡であってもよく、それらが混在していても
よい。また該多孔質樹脂成形体の空隙率は10〜95%
の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは20〜
95%、特に好ましくは40〜95%である。10%未
満では電解質を形成したときのイオン伝導度が充分に高
くなく、また95%を越えると膨潤後に充分な強度が得
られにくい。
【0013】多孔質樹脂成形体の形状は使用する目的に
より異なるので一概には限定されないが、例えば電池の
電極間の電解質として用いる場合にはシート状、織布
状、不織布状が好ましい。この場合の膜厚は、一般的に
は1〜500μm程度のものが用いられる。1μm未満
では強度が不足し、電極間でショートしやすくなり、5
00μmを越える膜厚では膜全体の実効電気抵抗が高く
なりすぎる。この成形体加工方法として、架橋構造形成
に先だって成形した後架橋させる方法、架橋体を所望形
状に成形する方法いずれも使用可能である。
【0014】本発明で用いる多孔質樹脂成形体の製造法
は特に限定されないが、連続孔からなる多孔質樹脂の製
造方法としては、マイクロフィルターやウルトラフィル
ターを製造する方法を利用することができ、例えば特開
平3−215535号公報に記載の方法や特公昭61−
38207号公報に記載の方法、特開昭54−1638
2号公報に記載の方法を利用することができる。簡単に
述べれば、具体的には溶融法や湿式法が挙げられ、溶融
法は重合体を可塑剤や無機粉体等と共に溶融後、平膜状
に成形し、その後に可塑剤や無機粉体等を抽出除去する
ものである。また湿式法は重合体を界面活性剤や添加剤
等と共に溶媒に溶解しておき、これを液膜状で非溶媒中
に浸漬することで凝固させ、溶媒や界面活性剤や添加剤
等は洗浄除去するものである。
【0015】また、独立泡からなる発泡体の製造方法で
あればバルク状のポリマー成形体に発泡剤を拡散させた
後、加熱や減圧によって発泡体を形成する方法等が利用
できる。本発明において、電解質溶液に膨潤可能な架橋
ポリマ−とは、加熱処理温度と同じ温度の電解質溶液中
に浸漬した際に大きな変形を起こす架橋ポリマーであっ
て、実際上は長さ方向で20%を越える変形を伴うもの
をいう。多孔質樹脂成形体をなすポリマー種は用いる電
解質溶液に膨潤可能なものであればかまわないが、電気
化学的に安定なものが好ましく、またイオン伝導性を有
するポリマー種が好ましい。このようなものとして具体
的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキ
サイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリ
ル、ポリ(メタ)アクリル酸オリゴエチレンオキサイ
ド、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンスルフィド、
オリゴエチレンオキサイドを側鎖に有するポリホスファ
ゼンやポリシロキサン、ナフィオンやフレミオン等の分
子内にイオン性基を有する高分子等を挙げることができ
る。またこれらを主として含む共重合体、例えばフッ化
ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ
化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、アクリ
ロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等も
また用いることができる。多孔質樹脂成形体をなすポリ
マー種として分子内にイオン性基を有する高分子をリチ
ウム電池に利用する場合にはイオン性基はリチウム塩で
あることが望ましい。
【0016】これらのポリマーの架橋構造は重合時、多
孔質樹脂成形体の製造前、製造後のどの段階でも導入す
ることができる。この架橋の方法としては重合時に多官
能のモノマーを用いる方法、重合後に電子線、γ線、X
線、紫外線等の輻射エネルギーを照射する方法、やはり
重合後にラジカル開始剤を含有させて熱や輻射エネルギ
ー照射により反応させる方法等を用いることができる。
重合後に架橋構造を導入する場合、新たに単官能または
/および多官能のモノマー成分を共存させておくことも
できる。
【0017】この架橋構造形成の確認は、未架橋ポリマ
ーを溶解する溶剤への溶解性により確認することができ
る。即ち、架橋による3次元網目構造を有する重合体は
可溶性溶剤に溶解しない成分を有し、均一溶解しないこ
とから架橋構造形成を判別することができる。本発明の
製造方法で用いられるポリマー種は用いる電解質溶液と
の組み合わせにより異なり、また逆に用いる電解質溶液
の種類もまた用いるポリマーの種類により異なることに
なるが、電解質溶液としては一般には以下のようなもの
が用いられる。
【0018】まず、溶液中に含まれる電解質化合物とし
ては無機塩、有機塩、無機酸、有機酸のいずれも使用可
能である。この例として、たとえばテトラフルオロホウ
酸、ヘキサフルオロリン酸、過塩素酸、ヘキサフルオロ
砒素酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、塩酸、臭化水素
酸、ヨウ化水素酸素などの無機酸、トリフルオロメタン
スルホン酸、ヘプタフルオロプロピルスルホン酸、ビス
(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸、酢酸、ト
リフルオロ酢酸、プロピオン酸などの有機酸、およびこ
れら無機酸、有機酸の塩が挙げられる。さらにこれらの
無機酸、有機酸、およびこれらの塩の混合物も使用可能
である。この塩型の電解質化合物のカチオンとしてアル
カリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属な
どの単独または混合状態で用いることができる。このカ
チオン種は使用する用途によって好ましい種が異なる。
たとえば、本発明の方法を用いてリチウム電池を製造す
る場合は、添加する電解質化合物としてリチウム塩を用
いることが好ましい。特に、リチウム二次電池を製造す
る場合、広い電位領域を使用するため、電解質化合物と
して電気化学的に安定なリチウム塩が好ましく、この例
として、CF3 SO 3 Li、C4 9 SO3 Liなどの
フルオロアルキルスルホン酸リチウム塩、(CF3 SO
2 2 NLi等のスルホニルイミドリチウム塩、LiB
4 、LiPF6 、LiClO4 、LiAsF6 を挙げ
ることができる。これらの電解質化合物の溶液中におけ
る適正な濃度は使用する目的により異なるが、一般には
0.1mol/リットル〜飽和溶解度の範囲で用いら
れ、好ましくは0.5〜5mol/リットル、さらに好
ましくは0.5〜2mol/リットルの範囲で用いられ
る。
【0019】次にこれらの電解質化合物を溶解する溶媒
としては、水、アルコール等、化学的に安定で電解質化
合物を溶解するものであればよいが、特にリチウム電池
のように非水系電解液として使用する場合には、エチレ
ンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカ
ーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカー
ボネート等のカーボネート化合物、テトラヒドロフラ
ン、ジメトキシエタン、ジグライム、テトラグライム、
オリゴエチレンオキシド等のエーテル化合物、ブチロラ
クトン、プロピロラクトン等のラクトン化合物、アセト
ニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物等を挙
げることができる。
【0020】以上挙げた中で、用いるポリマーと電解質
溶液の組み合わせはポリマーが電解質溶液で膨潤する組
み合わせであればよく、電解質化合物を溶解する溶媒の
沸点以下で膨潤する組み合わせ、即ち常圧で膨潤する組
み合わせが好ましく、電解質化合物を溶解する溶媒の沸
点以下で膨潤するが、室温では実質的に膨潤しない組み
合わせが特に好ましい。このような組み合わせの一例と
しては、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネー
ト等のカーボネート系の溶剤を電解質の溶媒として用い
た場合のポリマーとしてポリフッ化ビニリデンやフッ化
ビニリデンを含む共重合体、ポリアクリロニトリル等の
組み合わせを挙げることができる。
【0021】本発明の製造方法に従えば、まず架橋ポリ
マーからなる多孔質樹脂成形体に、用いる電解質溶液が
実質的に該樹脂成形体に膨潤しない温度で該電解質溶液
を含浸させる。ここで実質的に膨潤しない温度について
説明すると、一般にポリマーが溶媒や溶液で膨潤した場
合大幅な体積増加を伴い、サイズが変化する。多くの場
合は全ての方向に膨張するが、延伸などで応力がかかっ
ていた場合には応力が緩和され、方向によっては縮小す
ることもあるが、いずれにしても膨潤した場合には変形
が起こる。一方、多孔質体に溶媒や溶液が含浸してもポ
リマーが膨潤していなければ変形はほとんど起こらず、
実質的に膨潤しないとは多孔質樹脂成形体がほとんど変
形しないことを意味する。実際上、本発明においては該
多孔質樹脂成形体を液中で自由に含浸させたときに、変
形が長さ方向で10%以内、好ましくは5%以内であれ
ば実質的に電解質溶液で膨潤しないとする。
【0022】本発明におけるポリマーと電解質溶液の組
み合わせでは最終的には膨潤する必要がある。実際には
膨潤するかしないかは温度により区別され、ある温度以
下では実質的に膨潤しないということになる。実用上、
実質的に膨潤しない温度は室温付近であることが好まし
い。尚、付け加えるならば、膨潤するかしないかはポリ
マーと電解質溶液が接触している時間にも左右される
が、ここでは1時間程度の接触でほとんど変形しなけれ
ば実質的に膨潤していないものとみなす。
【0023】逆にポリマーが電解質溶液で膨潤している
ことは、所定の温度で該電解質溶液に浸漬したときの変
形から確認することができる。従って、加熱して膨潤す
るために必要な最低温度は、やはりポリマー種や電解質
溶液の組み合わせによって異なるものの、外観的にはサ
イズの変形から確認することができる。この場合、電極
を積層した後では変形の確認は困難なので、別途膨潤温
度は確認しておくことが好ましい。この温度は室温より
高い温度で、かつ電解質溶液中の溶媒の沸点以下の温度
であることが好ましく、室温より20度以上高い温度で
あることがさらに好ましい。また、電極を積層してから
加熱する場合は電極材料の活性が低下し始める温度以下
であることが好ましい。加熱する時間は温度や伝熱の状
態にもよるので一概には決められないが、一般には10
分間以上、好ましくは30分間以上、さらに好ましくは
1時間以上加熱することが望ましい。なお、膨潤するた
めに必要な最低温度よりも充分高い温度であれば10分
間程度の加熱で充分である。
【0024】本発明において余分な電解質溶液が存在し
ないようにするとは、電解質溶液から多孔質樹脂成形体
を引き上げ、電解質溶液のしずくを切った後に、必要に
より表面を拭き取るなどして余分な電解質溶液を除去す
ることをいう。電極を積層後に電解質溶液を含浸させた
場合は、積層体に対して同様の操作を行えばよい。上記
の本発明のゲル系電解質の製造方法を用いて電池等の電
気化学素子を製造する方法としては、まず多孔質樹脂成
形体に電解質溶液を含浸させ、その後に電極を積層して
から加熱する方法、多孔質樹脂成形体に電極を積層して
から電解質溶液を含浸させ、その後に加熱する方法があ
り、そのどちらも採用することができる。特に後者の場
合は集電体にメッシュ状のものを用いることにより効率
よく液を含浸させることができる。また電極積層体の形
状としてはシート状やロール状、折りたたみ構造やシー
トの積層体とすることができる。
【0025】本発明の電気化学素子を製造する方法にお
いて、用いられる電極材料は製造される電気化学素子の
種類により異なるが、例えば電気化学素子がリチウム電
池の場合、正極および負極としてリチウムの吸蔵放出が
可能な物質が用いられる。この正極物質として、負極に
対し高い電位を有する材料を選ぶ。この例として、Li
1-x CoO2 、Li1-x NiO2 、Li1-x Mn
2 4 、Li1-x MO2 (0<x<1)(MはCo、N
i、Mn、Feの混合体)、Li2-y Mn2 4 (0<
y<2)、Li1-x 2 5 、Li2-y 2 5 (0<
y<2)、Li1.2-x'Nb2 5 (0<x’<1.2)
などの酸化物、Li1-x TiS2 、Li1-x MoS2
Li3-z NbSe3 (0<z<3)、などの金属カルコ
ゲナイド、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリ
ン、ポリアセン誘導体、ポリアセチレン、ポリチエニレ
ンビニレン、ポリアリレンビニレン、ジチオール誘導
体、ジスルフィド誘導体などの有機化合物を挙げること
ができる。
【0026】また負極として、上記正極に対して低い電
位を有する材料を用いる。この例として、金属リチウ
ム、アルミニウム・リチウム合金、マグネシウム・アル
ミニウム・リチウム合金などの金属リチウム、グラファ
イト、コークス、低温焼成高分子などの炭素系材料、酸
化チタン、酸化鉄などの金属酸化物にリチウム固溶体な
どのセラミックス等が挙げられる。ただし、リチウムイ
オンを負極で還元して金属リチウムとして利用する場合
は、導電性を有する材料であればよいので上記に限定さ
れない。
【0027】このような正極及び負極は上記の材料を所
定の形状に成形加工する。電極の形態として、連続体ま
たは粉末材料のバインダー分散体のいずれも使用可能で
ある。前者の連続体の成形方法として、電解、蒸着、ス
パッタリング、CVD、溶融加工、焼結、圧縮などが用
いられる。また、後者の方法は、粉末状の電極材料をバ
インダーとともに混合して成形する。このバインダー材
料としてポリフッ化ビニリデン等のイオン伝導性高分
子、スチレン・ブタジエン系ラテックス、テフロン系ラ
テックス等の非イオン伝導性高分子、金属などが用いら
れる。また、重合性モノマーや架橋剤を添加しておき、
成形後に重合、架橋させることもできる。さらにバイン
ダーの強度向上、変性等の目的で電子線、γ線、紫外線
等の輻射エネルギーを照射することもできる。また、正
極または負極材料の電子移動を行うために電極に電気抵
抗の低い材料で集電体を設けることができ、集電体を基
板に上記の方法で形成した電極とすることができる。
【0028】電極を積層する場合には、電極に電解質溶
液や電解質を含むポリマー等をあらかじめ含ませておい
てもよい。本発明の方法で製造される電気化学素子は、
リチウム電池をはじめとする一次電池や二次電池の他、
光電気化学デバイスや電気化学センサー等種々の電気化
学素子を挙げることができる。
【0029】以上のように、本発明のゲル系電解質およ
び電気化学素子の製造方法によれば、高いイオン伝導度
を有し、強度も大きく、電解質溶液の含浸前後での寸法
変化も小さいゲル系電解質、およびこれを用いた電池等
の電気化学素子を安全且つ容易に製造することができ
る。
【0030】
【発明の実施の形態】以下実施例によって本発明をさら
に詳細に説明する。
【0031】
【実施例1】フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(ヘキサフルオロプロピレン5重量%)1
7.3重量部、平均分子量200のポリエチレングリコ
ール11.5重量部、ジメチルアセトアミド71.2重
量部からなる溶液を作り、この溶液100gに対してポ
リオキシエチレンソルビタンモノオレエート(花王アト
ラス(株)製、商品名Tween80)を0.8ml加
え、均一な溶液とした。その後に該溶液を室温で、ガラ
ス板上に液膜が100μmとなるようにキャストした。
直ちに70℃の水中に浸漬し、水、アルコールで洗浄後
乾燥して膜厚25μm、空隙率73%の多孔質シートを
作成した。さらに該多孔質シートに電子線照射(照射量
15Mrad)し、架橋したシートを作成した。
【0032】イオン伝導度の測定は、電解質溶液を含浸
した多孔質シートを金属電極で挟み込むことで電気化学
セルを構成し、電極間に交流を印可して抵抗成分を測定
する交流インピーダンス法を用いて行い、コールコール
プロットの実数インピーダンス切片から計算した。まず
上記架橋多孔質シートを、LiBF4 のエチレンカーボ
ネート/プロピレンカーボネートの1:1混合溶媒の1
mol/リットル溶液に室温で浸漬したところ、直ちに
容易に溶液が含浸した透明シートが得られた。含浸され
なかった過剰の溶液は拭き取って除去した。このとき含
浸によるサイズの変化は認められなかった。該シートを
2枚のステンレスシートで挟み込み、ステンレスシート
を電極としてインピーダンス測定(EG&G社、389
型インピーダンスメーター)を行った結果、室温におけ
るイオン伝導度は0.25mS/cmであった。次に該
電気化学セルを100℃で1時間保持した後、室温まで
放冷し、再度インピーダンス測定を行ったところ室温に
おけるイオン伝導度は1.1mS/cmであった。
【0033】同様に室温で電解質溶液を含浸した15m
m角の架橋多孔質シートを2枚のスライドガラスで挟み
込み、100℃のオーブンで1時間保持したが、長さ方
向の変化は1mm以下であった。該シートはピンセット
で容易に取り扱うことができた。一方、該架橋多孔質シ
ートを同じ電解質溶液に100℃で10分間浸漬したと
ころ、15mm角であったものが20mm角となってお
り、形状は保持していたが、ピンセットでつまむと破れ
やすいものであった。
【0034】
【比較例1】実施例1において作製した架橋前の多孔質
シートを用い、実施例1と同様に電解質溶液を含浸した
電気化学セルを作製し、100℃で1時間保持した後、
室温まで放冷し、再度インピーダンス測定を行ったとこ
ろ短絡していた。また、該多孔質シートを同じ電解質溶
液に90℃で浸漬したところ、4分で溶解した。
【0035】
【実施例2〜3】ポリアクリロニトリル17重量部、ジ
メチルスルホキシド83重量部からなる溶液を作成し、
該溶液を室温(実施例2)または60℃(実施例3)で
ガラス板上に液膜が100μmとなるようにキャストし
た後、直ちに室温(実施例2)または70℃(実施例
3)の水中に浸漬し、水、アルコールで洗浄後、乾燥し
て膜厚がそれぞれ95μm、76μm、空隙率がそれぞ
れ78%、81%の多孔質シートを作成した。次いでこ
のシートに電子線を30Mrad照射し、架橋したシー
トを作成した。該シートが架橋していることはエチレン
カーボネート/プロピレンカーボネート1:1混合溶液
に不溶であったことから確認した。
【0036】次に、それぞれのシートを、LiBF4
エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート1:1
混合溶媒の1mol/リットル溶液に室温で30分間浸
漬し、溶液が含浸した透明シートを得た。膜厚はそれぞ
れ103μm、85μmであり、また含浸前後で面積は
変化しなかった。シート表面の過剰の溶液は拭き取って
除去した。該シートをステンレスシートで挟み込み、イ
ンピーダンス測定を行なったところ、室温におけるイオ
ン伝導度はそれぞれ0.3mS/cm、0.4mS/c
mであった。次に該電気化学セルを100℃で1時間保
持した後、室温まで放冷し、再度インピーダンス測定を
行ったところ室温におけるイオン伝導度はそれぞれ1.
2mS/cm(実施例2)、1.4mS/cm(実施例
3)であった。このとき、加熱前に対してシートのサイ
ズ変化は認められなかった。
【0037】尚、該シートを同じ電解質溶液に100℃
で1時間浸漬したところ、該溶液に膨潤した透明シート
が得られ、膨潤後の面積はそれぞれ膨潤前の350%、
290%であった。
【0038】
【実施例4および比較例2】水酸化リチウム、酸化コバ
ルトを所定量混合した後、750℃で5時間加熱して平
均粒径10μmのLiCoO2 粉末を合成した。該粉末
とカーボンブラックを、ポリフッ化ビニリデン(呉羽化
学工業(株)製、KF1100)のN−メチルピロリド
ン溶液(5重量%)に混合分散してスラリーを作製し
た。なお、スラリー中の固形分重量組成は、LiCoO
2 (85%)、カーボンブラック(8%)、ポリマー
(7%)とした。このスラリーをアルミ箔上にドクター
ブレード法で塗布乾燥して膜厚110μmのシートを作
製した。
【0039】次に平均粒径10μmのニードルコークス
粉末に、上記と同じポリフッ化ビニリデンのN−メチル
ピロリドン溶液(5重量%)を混合してスラリーを作製
した(乾燥重量混合比:ニードルコークス(92%)、
ポリマー(8%))。該スラリーを金属銅シートにドク
ターブレード法で塗布して乾燥膜厚120μmでフィル
ム(電極層)を形成した。
【0040】LiCoO2 電極シート、ニードルコーク
ス電極シートをそれぞれ2cm角に切断し、実施例1と
同様に室温で電解質溶液を含浸した架橋多孔質シート
(含浸シート)を2.3cm角に切断して、2枚の電極
シートが該シートを挟むように積層してニードルコーク
ス(負極)/含浸シート/LiCoO2 (正極)で接合
した電池を形成した。ついで該電池の正極、負極にステ
ンレス端子を取り付け、ガラスセルの端子にそれぞれ接
続してアルゴン雰囲気中で封入した。
【0041】該電池を2個作製し、一方は100℃で2
時間保持した後室温まで放冷してから(実施例4)、も
う一方はそのままで(比較例2)、以下のインピーダン
ス測定および充放電を行った。インピーダンス測定では
比較例2の電池の内部抵抗は80Ωであったが実施例4
の電池では30Ωであった。さらにそれぞれの電池を充
放電機(北斗電工製101SM6)を用い電流密度3m
A/cm2 の電流密度で充放電を行った。ともに充電後
の電極間電位は4.2V(定電流後4.2V定電位充
電)であり充電が確認できた。また放電はカットオフ電
圧2.7V定電流放電で行った結果、初回充放電効率8
0%以上、2回目以降の充放電効率は99%以上で繰り
返し充放電が可能であり、二次電池として作動すること
が確認できたが、実施例4では過電圧が50mVであっ
たものが比較例2では100mVであり容量が低いもの
であった。
【0042】
【実施例5】実施例1で作製した架橋シートを実施例4
と同様の電極シートで挟み込み、積層体を作製した。該
積層体をLiBF4 のエチレンカーボネート/プロピレ
ンカーボネート1:1混合溶媒の1mol/リットル溶
液に室温で1時間浸漬し、電解質溶液が含浸した電池を
作製した。積層体表面の過剰の溶液は拭き取って除去し
た。ついで該電池の正極、負極にステンレス端子を取り
付け、ガラスセルの端子にそれぞれ接続してアルゴン雰
囲気中で封入した。該電池を100℃で2時間保持した
後室温まで放冷してから実施例4と同様にインピーダン
ス測定および充放電を行ったところ、インピーダンス測
定では電池の内部抵抗は30Ωであった。また充放電の
結果、充電後の電極間電位は4.2V(定電流後4.2
V定電位充電)であり充電が確認できた。また放電はカ
ットオフ電圧2.7V定電流放電で行った結果、初回充
放電効率80%以上、2回目以降の充放電効率は99%
以上で繰り返し充放電が可能であり、二次電池として作
動することが確認できた。このときの過電圧は30mV
であった。
【0043】
【発明の効果】本発明の製造方法を用いることにより、
イオン伝導度の高いゲル系電解質およびこれを用いた電
池等の電気化学素子を、安全且つ容易に製造することが
できる。さらに、電解質溶液の膨潤前後での寸法変化が
小さく、強度が大きなゲル系電解質の製造方法を提供す
ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質溶液に膨潤可能な架橋ポリマーか
    らなる多孔質樹脂成形体に、実質的に上記電解質溶液に
    膨潤しない温度で該電解質溶液を含浸させた後、余分な
    電解質溶液が存在しないようにし、その後に膨潤する温
    度で加熱することを特徴とするゲル系電解質の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 電解質溶液に膨潤可能な架橋ポリマーか
    らなる多孔質樹脂成形体に、実質的に上記電解質溶液に
    膨潤しない温度で電解質溶液を含浸させた後に余分な電
    解質溶液が存在しないようにし、その後にこの多孔質樹
    脂成形体を挟んで正極及び負極を積層してなる積層体を
    膨潤する温度で加熱することを特徴とする電気化学素子
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 電解質溶液に膨潤可能な架橋ポリマーか
    らなる多孔質樹脂成形体を挟んで正極及び負極を積層し
    てなる積層体に、実質的に膨潤しない温度で上記電解質
    溶液を含浸させた後に余分な電解質溶液が存在しないよ
    うにし、その後にこの積層体を膨潤する温度で加熱する
    ことを特徴とする電気化学素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH103945A (ja) * 1996-06-15 1998-01-06 Sony Corp 難燃性ゲル電解質及びそれを用いた電池
JP2002535137A (ja) * 1999-01-29 2002-10-22 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 多孔性で高度にフッ素化された酸性ポリマー触媒およびその調製のための方法
WO2014034409A1 (ja) * 2012-08-28 2014-03-06 住友電気工業株式会社 溶融塩電池およびその製造方法ならびに溶融塩電池用電池要素の製造装置
CN114243070A (zh) * 2021-12-15 2022-03-25 中国科学院大连化学物理研究所 一种耦合导电高分子的质子交换复合膜及制备方法

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