JPH1060666A - 多極端子用錫又は錫合金めっき銅合金及びその製造方法 - Google Patents

多極端子用錫又は錫合金めっき銅合金及びその製造方法

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JPH1060666A JP24138796A JP24138796A JPH1060666A JP H1060666 A JPH1060666 A JP H1060666A JP 24138796 A JP24138796 A JP 24138796A JP 24138796 A JP24138796 A JP 24138796A JP H1060666 A JPH1060666 A JP H1060666A
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誠昭 磯野
Takahiro Manako
隆弘 真名子
Yasuhiro Shintani
康弘 真谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車用の多極端子の挿入力を低減し、自動
車を組み立てる際の作業者の疲労、作業性の低下を少な
くする。 【解決手段】 厚さが0.1〜0.4μmの銅と錫の金
属間化合物又はニッケルと錫の金属間化合物からなる第
1層と、さらにその上に、0.1〜1.2μmの錫又は
錫合金めっき層を有し、かつ、これらの同材の間の動摩
擦係数が0.3以下であることを特徴とする多極端子用
錫又は錫合金めっき銅合金。このめっき材から得られた
端子は摩擦係数が小さく、端子の挿入力が低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多極端子用錫又は
錫合金めっき銅合金、特に、自動車用の多極端子用錫め
っき銅合金に関わる。
【0002】
【従来の技術】自動車用端子・コネクターには、錫めっ
き銅合金が用いられている。錫めっきの目的は、一般
に、良好な電気接点を得ること、耐食性を付与するこ
と、はんだ付け性の向上等である。
【0003】一方、昨今、自動車の電装化が進むにつれ
て、端子を集合させて形成する多極コネクターの極数、
すなわち、端子の数が増加している。このように極数が
増加すると、コネクターを嵌合する際の挿入力が大きく
なり、これが、自動車を組み立てる際の作業者の疲労、
作業性の低下の原因となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この挿入力が大きいこ
とによる上記問題点を解決する手段として、メス端子の
接圧力を低減する、あるいはタブクリアランスを大きく
する等の端子設計側の対策が考えられるが、これらは、
いずれも、端子本来の目的である電気的接点の安定性を
損なう恐れがある。そこで、本発明は、電気的接点の信
頼性を損なうことなしに端子の挿入力を低下せしめるこ
とにより、上記問題点を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、端子を形
成する錫又は錫合金めっき銅合金の摩擦係数を低くすれ
ば、接点の信頼性を損なうことなく端子の挿入力を低減
できることに想到し、さらに研究を重ねた結果、銅と錫
の金属間化合物又はニッケルと錫の金属間化合物からな
る高硬度の金属間化合物を錫又は錫合金めっき層の下に
形成することによって、低摩擦係数で端子の挿入力が小
さくて済む錫又は錫合金めっき銅合金を得ることができ
ることを見い出した。
【0006】本発明は、この知見に基づいてなされたも
ので、銅と錫の金属間化合物又はニッケルと錫の金属間
化合物からなる第1層と、さらにその上に、0.3〜
1.2μmの錫又は錫合金めっき層を有し、かつ、これ
らの同材の間の動摩擦係数が0.3以下であることを特
徴とする多極端子用錫又は錫合金めっき銅合金に関す
る。後述するように、金属間化合物の第1層の厚さは、
下地の拡散を抑制し成形性を良好に保つためには、0.
1〜0.4μmとする必要がある。なお、本発明の多極
端子用錫又は錫合金めっき銅合金は、ヌープ硬さ(Hk
25gf)が95〜220であることが好ましい。この
銅合金は、通常板又は条の形で供給されプレス加工によ
り端子に成形される。
【0007】また、上記の多極端子用錫又は錫合金めっ
き銅合金は、板又は条等の形の銅合金上に0.05〜
0.2μmの銅めっき、又は0.08〜0.25μmの
ニッケルめっきを施し、さらに、その上に錫又は錫合金
めっきを施した後に、リフロー処理(錫又は錫合金めっ
き層をその融点以上で溶解させる)を行うことによっ
て、銅めっき又はニッケルめっきを全て銅と錫の金属間
化合物又はニッケルと錫の金属間化合物に変化させるこ
とを特徴とする。
【0008】錫又は錫合金めっき銅合金材の摩擦係数、
ひいては錫又は錫合金めっき端子の挿入力は、めっき皮
膜の変形抵抗と剪断抵抗によって決定される。本発明で
は、錫めっき層のような柔らかい層の下に高硬度の金属
間化合物層を有することにより、柔らかい錫めっき層が
潤滑作用を生み出し、摩擦係数は小さくなると考えられ
る。そして、その錫めっき層の厚さは、薄い方が小さな
摩擦係数を有する。つまり、本発明は、錫又は錫合金め
っき層の下に金属間化合物層を形成し、同時に錫又は錫
合金めっき層の厚さを制限することによって、端子の挿
入力を左右する材料の動摩擦係数の値を低く抑制し、多
極端子用として優れた錫又は錫合金めっき銅合金を得よ
うというものである。
【0009】ところで、端子の接点の電気的特性は、そ
れらが実装される自動車の使用される間十分に安定でな
ければならない。錫めっき層はCuやNiの高速拡散媒
体であることがすでに知られており、これらの元素は、
室温付近の温度でも、錫めっき層中に拡散し、金属間化
合物を形成する。そして、例えば、10年間の間のこれ
ら元素の錫めっき層中への拡散が起こっても、接点の電
気的特性が損なわれないだけの十分な厚さの錫又は錫合
金めっき層が必要である。しかし、錫又は錫合金めっき
層を厚くすると、摩擦係数が大きくなり、接点の安定性
が確保できても、実装の際の挿入力が低く作業性にすぐ
れた多極端子を製造することが困難となる。従って、本
発明では、めっき厚さを従来より薄くしても信頼性を落
とさないように、錫めっき層中への拡散を抑制する適切
な厚さの金属間化合物層を下地に設けた。
【0010】また、従来は、錫又は錫合金めっき皮膜の
厚さは、はんだ濡れ性を良好に保つためには厚い方がよ
いとされてきた。しかし、最近の自動車用の端子には、
信頼性の観点等から、はんだ付けに代わってカシメによ
るワイヤーの結線方法を用いるようになっており、この
ような結線方法を用いる場合、従来のようなはんだ濡れ
性の観点からめっき皮膜の厚さを厚くしておく必要がな
い。むしろ、本発明では従来と反対に、錫又は錫合金め
っき皮膜を一定の厚さ以下にすることによって摩擦係数
を低く制御し、端子の挿入力を低減している。従って、
本発明は、はんだ付けを行わず、かつ、挿入力を低く抑
えたい多極端子用に特に適するということができる。し
かし、本発明ははんだ付けを行わない多極端子のみに限
定されるわけではない。
【0011】なお、錫めっき層中へのCuやNiの拡散
を抑制し、長期にわたって、錫めっき材のはんだ濡れ性
等を良好に保つことを目的として、錫めっき層の下部に
金属間化合物層を設け、これにより錫中への元素の拡散
を抑制し錫めっき層を長期にわたって保つ技術は、特開
平4−235292号公報や特開平4−329891号
公報にすでに開示されている。これに対し、本発明は、
先にも述べたように、金属間化合物層の上の錫又は錫合
金めっき層の厚さを制限することによって、端子の挿入
力を左右する材料の動摩擦係数の値を低く抑制し、特に
多極端子用として優れた錫又は錫合金めっき銅合金を得
ようというものである。
【0012】
【発明の実施の形態】ここで、銅と錫又はニッケルと錫
の金属間化合物層の厚さを0.1−0.4μmとした理
由を説明する。厚さを0.1μm以上としたのは、銅合
金からの錫めっき層への元素の拡散を抑制するには少な
くとも0.1μm以上の厚さが必要だからである。一
方、金属間化合物層の厚さの上限を0.4μm以下とし
たのは、厚さがこれを越えると端子の成型加工時にめっ
き皮膜にクラックが入り、耐食性を低下させたり、割れ
の原因になったりする恐れがあり、また、プレス加工時
のカスの発生が多くなるという弊害がでるためである。
【0013】錫又は錫合金めっき厚さに関しては、薄い
方が摩擦係数が低下し挿入力が小さくてすむ。しかし、
0.1μm未満であると、めっき皮膜の欠陥や母材から
の銅元素のめっき皮膜中への拡散により、下地に拡散を
抑制する金属間化合物層を設けたとしても、自動車の寿
命以上に要求される接点の接触抵抗の安定性を確保する
ことが困難になるからである。従って、めっき厚さとし
ては、0.1μm以上必要である。一方、めっき厚さの
上限は1.2μmとした。これは、これを越える厚さに
なると摩擦係数が上昇するためである。上記範囲内では
0.3〜0.8μmが端子の挿入力及び接触抵抗値の長
期にわたる安定化のために好ましい。
【0014】ヌープ硬さに関しては、これが大きいほど
めっき材の摩擦係数が小さくなり、挿入力が小さくなる
傾向にある。従って、Hk25gfの値が95以上が望
ましく、上限は加工時に表面クラックが入るのを防止す
る観点から220以下にするのが望ましい。このヌープ
硬さの条件は、錫又は錫合金めっき厚さ0.3〜0.8
μmの範囲で得ることができる。
【0015】また、本発明方法では、銅合金上に0.0
5〜0.2μmの銅めっき又は0.08〜0.25μm
のニッケルめっきを施し、その上に錫又は錫合金めっき
を施した後に、このめっき層を溶融するリフロー処理を
行い、銅めっき又はニッケルめっき層を金属間化合物層
に変化させるが、0.1〜0.4μmの厚さの金属間化
合物層を得るには、銅めっき層の場合0.05〜0.2
μm、ニッケルめっき層の場合0.08〜0.25μm
の厚さが必要である。なお、この金属間化合物層は、リ
フロー処理の他に、錫又は錫合金めっきを行った後に低
温焼鈍することによっても形成することができる。ま
た、錫又は錫合金めっきは電解、無電解のいずれの方法
でもよく、さらに、めっき層の厚さを制御することが難
しいが、溶融錫めっきにより形成してもよい。また、錫
合金めっきとしては、例えば錫−鉛(はんだ)、錫−亜
鉛、錫−ニッケル等の合金が挙げられる。
【0016】
【実施例】0.25mmのCu−6wt%Sn−0.0
45wt%Pからなるりん青銅板に表1に示すめっき条
件でめっきを施し、リフロー処理により金属間化合物層
を形成した。銅と錫の金属間化合物層を設けた場合の実
施例を表2に、ニッケルと錫の金属間化合物層を設けた
場合の実施例を表3にまとめた。表2又は表3におい
て、リフロー処理を行う前の初期Cuめっき、初期Ni
めっき、初期Snめっきの厚さは、いずれも、それぞれ
のめっきを実施例と同じ条件でりん青銅の表面に直接め
っきし、蛍光X線膜厚計でめっき厚さを求め、これを各
実施例のそれぞれのめっき厚さとしたものである。ま
た、金属間化合物層の厚さ及びSnめっきの厚さ(リフ
ロー処理後)は、めっき層の断面をミクロトームにより
切断した後、SEM像から求めたものである。
【0017】摩擦係数は、作成した試験材同士(同じ錫
めっきりん青銅板)を一定面積接するようにして、オー
トグラフを用いて測定した。すなわち、図1に模式的に
示すように、面積1cm2の試験材1を荷重(N)1k
gfのブロック2をその重心が試験材1と合うように張
り付け、それを他方の試験材3の表面で移動速度0.3
8mm/secで滑らせ、その水平方向にかかる力
(F)から動摩擦係数(μ)を次式により計算した。 μ=F/N なお、図1において、4は試験材を引っ張るワイヤー
(弾性の少ないもの)、5はプーリー、6はロードセル
である。また、錫めっき材の摩擦面に潤滑油などは一切
塗布していない。
【0018】接触抵抗値は、端面を防水塗装した後、温
度40℃、湿度85%の雰囲気に24時間放置した錫め
っき材を用いて、四端子法により、開放電圧20mV、
電流10mA、摺動加重100gfで測定した値であ
る。W曲げ加工性は、幅10mmの試験片(JISZ2
204の4号試験片)を、JISH3110に規定する
W曲げ試験方法に準拠し、曲げ半径0.5mm、線圧1
00kgf/mmで曲げた後、曲げ部を実体顕微鏡で4
0倍に拡大して観察し、評価した。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】表2に示すように、No.1〜8の初期の
銅めっき厚さが0.05〜0.2μmのものは、リフロ
ー処理後の金属間化合物層の厚さが0.1〜0.4μm
となった。金属間化合物層の厚さが0.1〜0.4μm
であり、錫めっき層の厚さが0.1〜1.2μmの範囲
にあるNo.1〜8の場合、摩擦係数は0.3以下とな
り、かつ、湿潤試験後の接触抵抗値も2.2mΩ以下と
低い値を維持している。一方、金属間化合物層の厚さが
0.4μmを越えるNo.9では、動摩擦係数及び接触
抵抗値はよいが、曲げ加工後にめっき層にクラックが入
る。また、錫めっき層が2.2μmのNo.10では、
摩擦係数が0.35と大きくなる。
【0023】表3に示すように初期のニッケルめっき厚
さが0.08〜0.25μmの場合にリフロー処理後の
金属間化合物層の厚さが0.1〜0.4μmになった。
金属間化合物層の厚さが0.1〜0.4μmであり、錫
めっき層の厚さが0.1〜1.2μmの範囲内にあるN
o.1〜8の場合、摩擦係数は0.3以下となり、か
つ、湿潤試験後の接触抵抗値も2.4mΩ以下と低い値
を維持している。一方、金属間化合物層の厚さが0.4
μmを越えるNo.9では、動摩擦係数及び接触抵抗値
はよいが、曲げ試験によりめっき皮膜にクラックが入っ
た。錫めっき厚さが2.2μmのNo.10では、摩擦
係数が0.38と大きくなった。
【0024】
【発明の効果】本発明により、従来よりも摩擦係数の低
い錫めっき又は錫合金めっき銅合金条を得ることがで
き、そのめっき材を用いた端子は挿入力を低くすること
が可能となり、多極端子、特に多ピン化した自動車用多
極コネクターの用途に適する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における摩擦係数の測定方法を模式的に
表した図である。
【符号の説明】
1、3 錫めっき試験材 2 荷重用のブロック

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅と錫の金属間化合物又はニッケルと錫
    の金属間化合物からなる第1層と、さらにその上に、
    0.1〜1.2μmの錫又は錫合金めっき層を有し、か
    つ、これらの同材の間の動摩擦係数が0.3以下である
    ことを特徴とする多極端子用錫又は錫合金めっき銅合
    金。
  2. 【請求項2】 厚さが0.1〜0.4μmの銅と錫の金
    属間化合物又はニッケルと錫の金属間化合物からなる第
    1層と、さらにその上に、0.1〜1.2μmの錫又は
    錫合金めっき層を有し、かつ、これらの同材の間の動摩
    擦係数が0.3以下であることを特徴とする多極端子用
    錫又は錫合金めっき銅合金。
  3. 【請求項3】 銅合金上に0.05〜0.2μmの銅め
    っき、又は0.08〜0.25μmのニッケルめっきを
    施し、さらに、その上に錫又は錫合金めっきを施した後
    に、リフロー処理を行うことによって、銅めっき又はニ
    ッケルめっきを全て銅と錫の金属間化合物又はニッケル
    と錫の金属間化合物に変化させることを特徴とする請求
    項2に記載された多極端子用錫又は錫合金めっき銅合金
    の製造方法。
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