JPH1068086A - 溶射被膜の封孔処理剤および封孔処理方法 - Google Patents

溶射被膜の封孔処理剤および封孔処理方法

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JPH1068086A
JPH1068086A JP22820596A JP22820596A JPH1068086A JP H1068086 A JPH1068086 A JP H1068086A JP 22820596 A JP22820596 A JP 22820596A JP 22820596 A JP22820596 A JP 22820596A JP H1068086 A JPH1068086 A JP H1068086A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱炉等の装置を必要とせず、手軽に処理で
き、また、溶射皮膜に対する浸透性が優れ、防食性を大
幅に向上させることができる溶射被膜の封孔処理剤を提
供する。 【解決手段】 有機溶剤にフッ素系界面活性剤およびパ
ーフルオロ基含有有機ケイ素化合物からなる群から選ば
れた少なくとも1種の含フッ素化合物を溶解させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶射被膜を封孔処
理するための処理剤および処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼等の基地金属の表面に金属またはセラ
ミックスを溶射し、耐熱性、耐摩性、または耐食性を高
める技術が広く用いられている。しかしながら、溶射被
膜は一般には多孔質であるため、その気孔構造によって
気体や液体が素地まで拡散したり透過したりするため、
溶射材自身の有する性能、特に防食性が劣る傾向にあ
る。そこで、溶射被膜を形成した後、何らかの封孔処理
が行なわれる。それは、一般的な防食溶射である亜鉛溶
射被膜、亜鉛・アルミニウム合金溶射被膜、アルミニウ
ム溶射被膜の場合も同様である。これらの溶射材は後処
理がなくとも鉄鋼に対して卑なことから、犠牲防食効果
はあるが、耐用年数延長および信頼性向上のため、この
場合も封孔処理が行なわれる。
【0003】封孔処理の方法として、従来から次のよう
な方法が知られている。その一つとして、自溶性合金を
用い溶射後、被膜を加熱・溶融する方法がある。文字ど
おりself−flux(自溶)性を利用した巧みな方
法であり、溶射時に発生した気孔を加熱・溶融により低
減できるという利点を持つ反面、溶射後加熱炉において
再溶融の工程を付加する必要があり、その場合製品に熱
変形を生じる欠点がある。また、真空式電子ビームやレ
ーザービームを用い、溶射被膜を再溶融する方法がある
(特開昭61−104062号公報)。この方法は、溶
射材自体の持つ耐熱性を損なわない点で優れるが、装置
上、処理できる製品の形状や大きさに制約がある。
【0004】従来から使われている最も一般的な封孔処
理方法は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹
脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等の合成樹脂を有機溶
剤に溶解させた封孔処理剤を溶射被膜に塗布する方法で
ある。しかし、この方法では、合成樹脂は溶射被膜表面
に塗布されるだけで細孔の底部までは浸透しない。従っ
て、溶射被膜の防食性は悪いものであった。
【0005】一方、プラスチック材料や無機材料、特に
ガラス表面のコーティング剤として含フッ素シラザン化
合物が知られている(特公平3−19276号公報、特
開平3−290437号公報)。含フッ素シラザン化合
物がこれらの基材に対し、耐候性に優れた撥水・撥油
性、離型性等を有するコーティング膜を形成することは
開示されている。しかし、基材が鋼等の金属の場合の防
食効果については全く言及されていない。
【0006】また、含フッ素シラザン化合物と同様に含
フッ素シラン化合物も、撥水・撥油性、離型性や潤滑性
等の付与を目的とするコーティング剤として知られてい
る。シラン化合物は、ガラス表面のSi−OHと化学的
に反応するため、特に、窓ガラスやレンズ等のコーティ
ング剤として古くから種々の提案がなされている。しか
し、水だけでなくイオンやガス等の透過も関与する防食
作用に対しては何ら知見は開示されておらず、溶射皮膜
へのこれらのコーティング剤の適用も知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、加熱炉等の
装置を必要とせず、手軽に処理できる溶射被膜の封孔処
理剤および封孔処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、溶射被膜に対し浸透性に優れ、防食性を大幅
に向上させる封孔処理剤および封孔処理方法を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、フッ素系界面
活性剤およびパーフルオロ基含有有機ケイ素化合物から
なる群から選ばれた少なくとも1種を含有することを特
徴とする溶射被膜の封孔処理剤に関する。本発明は、鋼
等の基地金属の表面に形成された溶射被膜に対し、上記
封孔処理剤を塗布することにより封孔処理を施すことを
特徴とする溶射被膜の封孔処理方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】封孔処理剤 本発明の封孔処理剤は、溶射被膜、特に鋼等の基地金属
の表面にアルミニウム、亜鉛・アルミニウム、亜鉛等の
金属またはセラミックスを溶射してなる溶射被膜に塗布
することにより封孔処理を施すことができる。本発明の
溶射被膜の封孔処理剤はフッ素系界面活性剤およびパー
フルオロ基含有有機ケイ素化合物からなる群から選ばれ
た少なくとも1種を含有する。
【0010】(1)フッ素系界面活性剤 フッ素系界面活性剤としては、それ自体公知のアニオン
性、カチオン性、ノニオン性及び両性のフッ素系界面活
性剤を使用できる。フッ素系界面活性剤は1種を単独で
または2種以上を混合して使用することができる。アニ
オン性界面活性剤には、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホ
ン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル等が
ある。カチオン性界面活性剤には、アミノハロゲン塩、
第四級アンモニウム塩等がある。ノニオン性界面活性剤
には、ポリオキシエチレンエーテル型、ポリオキシエチ
レンエステル型、ソルビタンエステル型等がある。両性
フッ素系界面活性剤には、ベタイン型、イミダゾリン型
等がある。
【0011】本発明で用いるフッ素系界面活性剤として
は、アニオン性のフッ素系界面活性剤、特にリン酸塩、
ホスホン酸塩が好ましく、具体的には、例えば、以下の
式で表される含フッ素ホスホン酸塩を使用できる。
【0012】
【化1】
【0013】フッ素系界面活性剤としては、パーフルオ
ロ基を含有する界面活性剤が好ましく、具体的には以下
のパーフルオロ基を含有する界面活性剤を使用できる。
Rfはパーフルオロアルキル基またはパーフルオロアル
ケニル基を示す。Mは一価の金属、例えばアルカリ金属
を示す。
【0014】アニオン性フッ素系界面活性剤 RfCOOH RfCOOM Rf(CH2CF2nCH2COOH Rf(CH2nCOONa RfCH=CH(CH2nCOONa RfO(CH2)COOH RfCH2CH2OCH2CH2COOH RfOC64COONa
【0015】RfCH2CH2SCH2CH2COONa RfCONH(CH25COONa RfSO2NH(CH23N(CH2COONa)2 RfSO3H Cn2n+1SO3N(C254n2n+1CH2CH2SO3NH4n2n+1(CH2nSO3Na Cn2n+164SO3H Cn2n+1OC64SO3
【0016】(Cn2n+13OC(CH23SO3K (CF32C=C(CF3)OC64SO3Na C3n6n-1OC64SO3K RfCONR(CH2)SO3Na RfCH2OSO3Na CF3(CF2nCH2CH2OP(O)(OH)2613CH=C(CF3)OPO(OH)2 F−(−CF(CF3)CFO−)n−CF(CF)CH
2CH2CH2SO3
【0017】カチオン性フッ素系界面活性剤 Cn2n+1CH2CH2+(CH3225-n2n+1CH2NH(CH22+(CH33Cl- (CF32CF(CF26CH2CH(OH)CH2+
(CH33- RfCONH(CH23+(CH3)l- RfSO2NH(CH23+(CH33-n2n+1SO2O(CH2)N+(CH33-n2n+1(CH2n+(CH33Br-
【0018】ノニオン性フッ素系界面活性剤 CF3(CF2nCH2O(CH2CH2O)mH RfCOOCH2C(CH2OH)3 CF3CF2(CF2CF2mCH2CH2O(CH2CH2
O)nH (CF32CFO(CH26O(CH2CH2O)nH CF3CHFCF2CH2O〔CH(CH3)CH2O〕mH Cn2n+1CH2CH(OH)CH2OC25
【0019】Cn2n+124SO2NH〔CH2CH
(CH2OH)O〕nH C65(OCH2CH210OH Cn2n+1CONH(CH2CH2O)mH Cn2n+1CONH(CH23N(CH2CH2OH)2n2n+1CH2CON(CH2CH2O)mCH22n2n+1CH2CH2SO2N(CH3)CH2CH2OH
【0020】両性フッ素系界面活性剤 RfOC64CH2+(CH32/CH2COO- RfCH2CH(OCOCH3)CH2+(CH32CH
2COO-
【0021】(2)パーフルオロ基含有有機ケイ素化合
物 パーフルオロ基含有有機ケイ素化合物としては、それ自
体公知の含フッ素シラザン化合物または含フッ素シラン
化合物を使用できる。パーフルオロ基含有有機ケイ素化
合物は1種を単独で又は2種以上を混合して使用するこ
とができる。
【0022】〔含フッ素シラザン化合物〕含フッ素シラ
ザン化合物としては下記一般式(I)で表されるパーフ
ルオロ基を含有するシラザン化合物を使用できる。
【0023】 [(RfQ)aSi(R1b(NR22-0.5a-0.5bn (I) 一般式(I)において、R1は、それぞれ同一でも異な
っていてもよく、水素原子または非置換もしくは置換の
一価炭化水素基であり、好ましくは炭素原子数1〜1
0、より好ましくは炭素原子数1〜6の非置換または置
換の一価炭化水素基である。R1に該当する非置換もし
くは置換の一価炭化水素基は、例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル
基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル
基、トリル基等のアリール基;シクロヘキシル基等のシ
クロアルキル基;これらの炭化水素基の炭素原子に結合
した水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換
されたハロゲン化炭化水素基等である。
【0024】R2は、それぞれ同一でも異なっていても
よく、水素原子またはアルキル基であり、好ましくは水
素原子である。R2に該当するアルキル基は、例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基等の炭素原子数1〜6のアルキル基である。Rfは、
それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜
20のパーフルオロアルキル基または炭素原子数5〜3
2のパーフルオロアルキルエーテル基である。Rfは、
例えばCi2i+1−で表されるパーフルオロアルキル
基;F−(−CF(CF3)CF2O−)j−CF(C
3)−で表されるパーフルオロエーテル基である。i
は1〜20の整数、jは1〜10の整数である。
【0025】Qは、−Cm2m−または−SO2
(R3)Cl2l−で表される二価の有機基である。mは
2〜4の整数、lは1〜4の整数、R3は炭素原子数1
〜4のアルキル基である。Qに該当する二価の有機基
は、例えば、−CH2CH2−基、−CH2CH2CH2
基等のアルキレン基;−SO2N(C37)CH2CH2
CH2−基である。aは1〜3の整数であり、bは0〜
2の整数であり、かつ、a+bは1〜3の整数である。
nは1以上の整数、通常は2〜100の整数である。
【0026】一般式(I)で表される含フッ素シラザン
化合物は、特公平3−19276号公報や特開平3−2
90437号公報に示されるように、シラン化合物とア
ンモニアまたは第一アミンとを反応させる方法によって
製造することができる。
【0027】〔オルガノポリシロキサン共重合含フッ素
シラザン化合物〕本発明では、必要に応じて、オルガノ
ポリシロキサン、例えば、以下の式で表されるオルガノ
シロキサンと共重合した含フッ素シラザン化合物も使用
できる。
【0028】
【化2】
【0029】ここで、R1は、それぞれ同一でも異なっ
ていてもよく、水素原子または非置換もしくは置換の一
価炭化水素基であり、好ましくは炭素原子数1〜10、
より好ましくは炭素原子数1〜6の非置換または置換の
一価炭化水素基である。R1に該当する非置換もしくは
置換の1価炭化水素基は、例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル
基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル
基、トリル基等のアリール基;シクロヘキシル基等のシ
クロアルキル基;これらの炭化水素基の炭素原子に結合
した水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換
されたハロゲン化炭化水素基等である。
【0030】Rfは、それぞれ同一でも異なっていても
よく、炭素原子数1〜20のパーフルオロアルキル基ま
たは炭素原子数5〜32のパーフルオロアルキルエーテ
ル基である。Rfは、例えば、Ci2i+1−で表される
パーフルオロアルキル基;F−(−CF(CF3)CF2
O−)j−CF(CF3)−で表されるパーフルオロエー
テル基である。iは1〜20の整数、jは1〜10の整
数である。Qは、−Cm2m−または−SO2N(R3
l2l−で表される二価の有機基である。mは2〜4
の整数、lは1〜4の整数、R3は炭素原子数1〜4の
アルキル基である。Qに該当する二価の有機基は、例え
ば、−CH2CH2−基、−CH2CH2CH2−基等のア
ルキレン基;−SO2N(C37)CH2CH2CH2−基
である。p及びqは、それぞれ0〜200の整数であ
る。
【0031】〔含フッ素シラン化合物〕含フッ素シラザ
ン化合物としては下記一般式(II)で表されるパーフ
ルオロ基を含有するシラン化合物を使用できる。
【0032】(RfQ)aSiR(R44-a (II) 一般式(II)において、R4は、それぞれ同一でも異
なっていてもよく、−H、−CH3、−OCH3、−OC
25、−Clのいずれかである。Rfは、それぞれ同一
でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜20のパーフ
ルオロアルキル基または炭素原子数5〜32のパーフル
オロアルキルエーテル基である。Rfは、例えば、Ci
2i+1−で表されるパーフルオロエーテル基;F−(−
CF(CF3)CF2O−)j−CF(CF3)−で表され
るパーフルオロエーテル基である。ここで、iは1〜2
0の整数、jは1〜10の整数である。
【0033】Qは、−Cm2m−または−SO2
(R3)Cl2l−で表される二価の有機基である。mは
2〜4の整数、lは1〜4の整数、R3は炭素原子数1
〜4のアルキル基である。Qに該当する二価の有機基
は、例えば、−CH2CH2−基、−CH2CH2CH2
基等のアルキレン基;−SO2N(C37)CH2CH2
CH2−基である。aは1〜3の整数である。一般式
(II)で表される含フッ素シラン化合物の具体的な例
としては、以下の含フッ素シラン化合物が例示される。
【0034】n−C613CH2CH2Si(OCH33 CF3CF2CF2C(CF32CH2CH2CH2Si(C
32Cl n−C817−SO2N(C37)CH2CH2CH2Si
(OCH33 F−(−CF(CF3)CF2O−)2−CF(CF3)C
2CH2Si(C25)Cl
【0035】クロロシラン系の含フッ素シラン化合物を
含有する封孔処理剤を用いる場合には、塗布作業時およ
び塗布後の自然乾燥時にクロロシラン系の含フッ素化合
物が水分等と反応して塩化水素を発生するため、塩化水
素の発生が好ましくない場合には、アルコキシシラン系
の含フッ素化合物を用いることにより、塩化水素の発生
を防止できる。
【0036】封孔処理剤の製造方法 本発明の封孔処理剤は、フッ素系界面活性剤およびパー
フルオロ基含有有機ケイ素化合物からなる群から選ばれ
た少なくとも1種の含フッ素化合物を有機溶剤に溶解さ
せることにより製造できる。有機溶剤としては、含フッ
素化合物が溶解し、かつ、封孔処理剤を溶射被膜に塗布
した後に、揮発して含フッ素化合物を残存させることが
できる有機化合物を使用できる。
【0037】含フッ素化合物を有機溶剤に完全に溶解さ
せることにより、溶射被膜中の細孔への浸透性が良好な
封孔処理剤を製造できる。溶解性の良い有機溶剤の1種
または2種以上の混合溶剤を適宜選択して用いることに
より、含フッ素化合物が完全に溶解した封孔処理剤を製
造することができる。有機溶剤としては、例えば、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール
類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類;ベンゾトリフロリド、
メタ(又はパラ)キシレンヘキサフルオリド等のフッ素
系溶剤を使用できる。
【0038】本発明の封孔処理剤中の含フッ素化合物の
濃度は、基地金属や溶射材の種類、溶射方法、溶射被膜
の膜厚、気孔率等の諸条件により異なるが、通常、0.
1〜30重量%、好ましくは0.5〜10重量%が目安
となる。本発明の封孔処理剤には、更に必要に応じ、封
孔処理剤が溶射被膜の表面に形成する膜を強固にする目
的でエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の
合成樹脂を添加することもできる。また、着色の目的で
有機溶剤に可溶な染料を添加したり、あるいは、他の添
加剤を配合することもできる。
【0039】封孔処理方法 溶射被膜に対し、本発明の封孔処理剤を塗布することに
より封孔処理を施すことができる。公知の塗布方法、例
えば、スプレーガンによる吹き付け、刷毛塗りまたは浸
漬等によって、封孔処理剤を溶射被膜に塗布することが
できる。溶射被膜は、一般の安定した金属と異なり、不
安定粒子が積層して形成された被膜であり、被膜形成の
直後から大気中の環境条件の影響を受けて、時々刻々に
変化し、徐々に活性を失っていく。従って、溶射被膜の
封孔処理を溶射後できる限り早く行うことにより、溶射
被膜の活性の喪失を抑制できる。
【0040】
【作用】本発明の封孔処理剤は、浸透性に優れ、溶射被
膜内部の細孔表面を効率よく外的環境から遮断し、防食
効果を向上させ、被膜寿命を大幅に延長させることがで
きる。特に、本発明の封孔処理剤を、鋼等の基地金属の
表面に形成した犠牲防食効果を有する金属溶射被膜の封
孔処理に用いることにより、溶射被膜の耐用年数を延長
させ、信頼性を向上させることができる。本発明の封孔
処理方法は、加熱装置等が不用であり、作業が簡便であ
る。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例で説明する。
【0042】実施例1 〔封孔処理剤の調製〕以下の式で表される含フッ素ホス
ホン酸亜鉛塩1gをメタキシレンヘキサフルオリド99
gに溶解し、1重量%の封孔処理剤を調製した。
【0043】
【化3】
【0044】〔封孔処理サンプル板の作成〕150×5
0×3mmの鋼板を母材とし、ブラスト処理した後、ア
ルミニウムを120μの膜厚に溶射し、速やかに、上記
封孔処理剤を刷毛塗りし、封孔処理を施した。
【0045】〔塩水噴霧試験〕作製した封孔処理サンプ
ル板を用い、JIS Z2371に規定されている方法
に従い、1000時間の塩水噴霧試験を行った。サンプ
ル表面には、アルミニウムの犠牲防食作用による白錆の
発生はほとんどなく良好であった。結果を表1に示す。
【0046】実施例2 封孔処理剤の濃度を10重量%とする以外は、実施例1
と同様にして封孔処理サンプル板の作製及び塩水噴霧試
験を行った。結果を表1に示す。
【0047】実施例3 アニオン部分の構造が実施例1と同様の含フッ素ホスホ
ン酸カリウム塩を用い、イソプロパノールに溶解し、1
重量%の封孔処理剤を調製した。当該封孔処理剤を用い
た以外は実施例1と同様にして封孔処理サンプルの作製
および塩水噴霧試験を行った。結果を表1に示す。
【0048】実施例4 撹拌機、還流冷却管、温度計を付けた反応容器中に、n
−C17CH2CH2SiCl315g、トリクロロト
リフルオロエタン200gを仕込んだ後、氷浴で5℃ま
で冷却して撹拌下に乾燥したアンモニアガスを、液温2
0℃以下に保つよう徐々に4時間かけて吹き込んだ。つ
いで、アンモニアガスの吹き込みを止め、30分間加熱
還流し、溶存しているアンモニアガスを除去し、冷却後
副生した塩化アンモニウムを濾別し、濾液から溶媒をエ
バポレーターにて留去したところ、11gの白色固体が
得られた。
【0049】得られた白色固体をメタキシレンヘキサフ
ルオリドで1重量%となるよう希釈し、封孔処理剤を調
整した。当該封孔処理剤を用いた以外は実施例1と同様
にして封孔処理サンプル板の作製及び塩水噴霧試験を行
った。サンプル表面には、アルミニウムの犠牲防食作用
による白錆の発生はほとんどなく良好であった。結果を
表1に示す。
【0050】実施例5 封孔処理剤の濃度を10重量%とする以外は、実施例4
と同様の方法にて封孔処理サンプル板の作製及び塩水噴
霧試験を行った。結果を表1に示す。
【0051】実施例6817SO2N(C25)CH2CH2CH2Si(OC
33で表される含フッ素シラン化合物をトルエンに希
釈し、1重量%の封孔処理剤を調整した。当該封孔処理
剤を用いた以外は実施例1と同様にして封孔処理サンプ
ル板の作製および塩水噴霧試験を行った。結果を表1に
示す。
【0052】比較例1 実施例1と同様にして、アルミニウム溶射板を作製し、
封孔処理を施さず、塩水噴霧試験にかけた。その結果、
サンプル表面は、全面白錆が発生し、明らかに犠牲防食
作用によるアルミニウム溶射被膜の損耗は激しかった。
結果を表1に示す。
【0053】比較例2 第一メテコ(株)製の溶射被膜専用封孔剤「スーパーシ
ール21」(アクリル系2液硬化タイプ)を用い、実施
例1と同様にして作製したアルミニウム溶射板を封孔処
理後、更に乾燥器中、80℃で2時間硬化を行って封孔
処理サンプル板を作製した。作製した封孔処理サンプル
板を用い、実施例1と同様にして塩水噴霧試験を行っ
た。無封孔処理(比較例1)と同程度の白錆が発生し
た。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】 封孔処理剤 結果 実施例1 1%−含フッ素ホスホン酸亜鉛塩溶液 殆ど白錆なく良好 実施例2 10%−含フッ素ホスホン酸亜鉛塩溶液 殆ど白錆なく良好実施例3 1%−含フッ素ホスホン酸カリウム塩溶液 殆ど白錆なく良好 実施例4 1%−含フッ素シラザン化合物溶液 殆ど白錆なく良好 実施例5 10%−含フッ素シラザン化合物溶液 殆ど白錆なく良好実施例6 1%−含フッ素シラン化合物溶液 殆ど白錆なく良好 比較例3 未処理 全面に白錆発生比較例2 アクリル系2液硬化タイプ溶射皮膜専用封孔剤 全面に白錆発生

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素系界面活性剤およびパーフルオロ
    基含有有機ケイ素化合物からなる群から選ばれた少なく
    とも1種の含フッ素化合物を含有することを特徴とする
    溶射被膜の封孔処理剤。
  2. 【請求項2】 フッ素系界面活性剤としてパーフルオロ
    基を含有する界面活性剤を含有する請求項1に記載の溶
    射被膜の封孔処理剤。
  3. 【請求項3】 パーフルオロ基含有有機ケイ素化合物と
    してシラザン化合物を含有する請求項1に記載の溶射皮
    膜の封孔処理剤。
  4. 【請求項4】 シラザン化合物が、下記一般式(I)で
    表される含フッ素シラザン化合物である請求項3に記載
    の封孔処理剤。 [(RfQ)aSi(R1b(NR22-0.5a-0.5bn (I) 一般式(I)において、R1は、それぞれ同一でも異な
    っていてもよく、水素原子または非置換もしくは置換の
    一価炭化水素基であり;R2は、それぞれ同一でも異な
    っていてもよく、水素原子またはアルキル基であり;R
    fは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素原子
    数1〜20のパーフルオロアルキル基または炭素原子数
    5〜32のパーフルオロアルキルエーテル基であり;Q
    は、−Cm2m−又は−SO2N(R3)Cl2l−で表さ
    れる二価の有機基であり、mは2〜4の整数、lは1〜
    4の整数、R3は炭素原子数1〜4のアルキル基であ
    り;aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であ
    り、かつ、a+bは1〜3の整数であり;nは1以上の
    整数である。
  5. 【請求項5】 パーフルオロ基含有有機ケイ素化合物と
    してシラン化合物を含有する請求項1に記載の溶射皮膜
    の封孔処理剤。
  6. 【請求項6】 シラン化合物が、下記一般式(II)で
    表される含フッ素シラン化合物である請求項5に記載の
    封孔処理剤。 (RfQ)aSi(R44-a (II) 一般式(II)において、R4は、それぞれ同一でも異
    なっていてもよく、−H、−CH3、−OCH3、−OC
    25、−Clのいずれかであり;Rfは、それぞれ同一
    でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜20のパーフ
    ルオロアルキル基もしくは炭素原子数5〜32のパーフ
    ルオロアルキルエーテル基であり;Qは、−Cm2m
    又は−SO2N(R3)Cl2l−で表される二価の有機
    基であり、mは2〜4の整数、lは1〜4の整数、R3
    は炭素原子数1〜4のアルキル基であり;aは1〜3の
    整数である。
  7. 【請求項7】 基地金属の表面に形成された溶射被膜に
    対し、請求項1〜6のいずれかに記載の封孔処理剤を塗
    布することにより封孔処理を施すことを特徴とする溶射
    被膜の封孔処理方法。
  8. 【請求項8】 基地金属が鋼である請求項7に記載の封
    孔処理方法。
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