JPH1072258A - 誘電体セラミック組成物 - Google Patents

誘電体セラミック組成物

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JPH1072258A
JPH1072258A JP9052441A JP5244197A JPH1072258A JP H1072258 A JPH1072258 A JP H1072258A JP 9052441 A JP9052441 A JP 9052441A JP 5244197 A JP5244197 A JP 5244197A JP H1072258 A JPH1072258 A JP H1072258A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 今まで開発された誘電体の誘電特性を少なく
ともそのまま保持しながら、優れた焼結特性と簡単な組
成をもって製造工程上の利点があるマイクロ波誘電体セ
ラミック組成物を提供すること。 【解決手段】 本発明のマイクロ波用誘電体セラミック
組成物は、第一に、一般式B′B 26(B′はMg、
Ca、Co、Mn、Ni、Znの中から選ばれた少なく
ともいずれか一種の金属、B″はNb、Taの中から選
ばれたいずれか一種の金属)で表わされることを特徴と
し、第二に、B′Nb26とB′Ta26(B′はM
g、Ca、Co、Mn、Ni、Znの中から選ばれた少
なくともいずれか一種の金属)が所定のモル比で混合さ
れた固溶体からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマイクロ波用誘電体
セラミック組成物に関し、より詳しくは、例えば、マイ
クロ波帯域で作動する誘電体共振器のようなマイクロ波
デバイス用誘電体セラミック組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、移動通信や衛生放送などの情報通
信機器の利用拡大によってマイクロ波を用いる誘電体セ
ラミック素子に対する関心が高調している。特に、移動
通信媒体としては自動車電話、無線電話、フェーザ、G
PS(Global PositioningSystem)などを挙げることがで
きるが、マイクロ波用誘電体セラミックはこれらのシス
テムで誘電体共振器として用いられる。誘電体共振器を
マイクロ波領域で使用するためにはデバイスの小型化を
図る高誘電率、高Q値、低共振周波数温度係数などと共
に焼結特性に優れていなければならない。
【0003】このような特性を満足させる誘電体セラミ
ック組成物に対する研究はTiO2に対して最初始まっ
て以来、多くのTiO2系に対して行われた。その結
果、現在用いられているマイクロ波誘電体組成はBa2
Ti920、(Zr、Sn)TiO4、BaO-ReO3-
TiO2(Re:Rare earth)、BaO-Nd23-TiO
2 System(BNT系)などの多くのTiO2系であり、
一方、最近はBa(Mg1/3Ta2/3)O3、Ba(Zn
1/3Ta2/3)O3、Ba(Mg1/3Nb2/3)O3、Sr
(Mg1/3Ta2/3)O3、Sr(Zn1/3Ta2/3)O3
どの複合ペロブスカイト構造を有する誘電体がたくさん
発見されており、且つ2種類のペロブスカイトの固溶体
を用いて新しい誘電体材料を開発しようとする試みが行
われている。
【0004】しかし、BNT系は他のマイクロ波用誘電
体に比べてQ値(Quality-factor、Q×f)が2000(1G
Hz)程度に小さいという短所があり、且つ共振周波数
が1GHz以下に制限されるという問題点がある。そし
て、Nd23は希土類金属であって、他の元素に比べて
高価な元素である。
【0005】一方、(Zr、Sn)TiO4系は高いQ
値と安定な温度特性によって一番広く常用化された材料
であって、誘電率の範囲は30〜40であり、Q値は4
GHzで8000程度であり、共振周波数温度係数(τf)
の範囲は−30〜+30ppm/℃である。しかし、この
系は一般的な固相反応を経て製造される場合、仮焼温度
が1100℃以上であり、焼結調剤の添加無しでは1600℃以
下で焼結し難い難焼結性物質として知られている。従っ
て、焼結温度を低くするためにCuO、Co23、Zn
Oなどの焼結調剤を使用するが、焼結調剤の添加が組成
物自体の物性を低下させることが知られている。このた
め、一番経済的な固相法に代えて、Sol−Gelまた
はアルコキシド法や共沈法などのような液相法を用いた
粉末合成が試みられている。しかし、このような方法は
工程が複雑であるばかりでなく、製造コストの上昇を招
くという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】Ba(Zn1/3
2/3)O3で代表される複合ペロブスカイト系誘電体も
やはり焼結温度が1550℃を越える難焼結性物質であって
焼結が難しいという短所を有しており、よって、焼結温
度を低くするために添加される元素や化合物(BaZr
3、Mnなど)まで勘案すると、6〜8種類以上の成
分が含まれるので、工程因子を制御し難いという問題点
を抱えている。
【0007】さらに、最近は電子機器の小型化に伴っ
て、例えば移動通信に用いられる誘電体フィルターなど
の誘電体デバイスを小型化するために素子の積層化が試
みられている。積層化のためには電極との同時焼成が必
要であり、この場合、廉価のAgやCu電極を使用する
ためには焼結特性に優れた誘電体が要求される。従っ
て、現在まで開発されたマイクロ波用誘電特性を少なく
ともほとんどそのまま保持しながら焼結特性に優れてお
り且つ簡単な組成を有する、新しい誘電体セラミック組
成物の開発に対する必要性は依然として要求されてい
る。
【0008】本発明者はこのような点に着眼して、現在
広く常用されているABO3形の立方(Cubic)の複合ペロ
ブスカイト構造を有する化合物のBサイト(site)のイオ
ンからなる2元系材料に対して研究を重ねた結果、誘電
率やQ値などの誘電特性は複合ペロブスカイト構造の化
合物とほぼ同一の水準を保持しながら、焼結はこれより
低い温度で可能であるという事実を発見して本発明を完
成した。
【0009】従って、本発明の目的は、今まで開発され
た誘電体の誘電特性を少なくともそのまま保持しなが
ら、優れた焼結特性と簡単な組成をもって製造工程上の
利点があるマイクロ波誘電体セラミック組成物を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のマイクロ波用誘電体セラミック組成物は、一般式
B′B″26(B′はMg、Ca、Co、Mn、Ni、
Znの中から選ばれた少なくともいずれか一種の金属、
B″はNb、Taの中から選ばれたいずれか一種の金
属)で表わされることを特徴とする。
【0011】また、上記目的を達成する本発明のマイク
ロ波用誘電体セラミック組成物は、B′Nb26とB′
Ta26(B′はMg、Ca、Co、Mn、Ni、Zn
の中から選ばれた少なくともいずれか一種の金属)が所
定のモル比で混合された固溶体からなることを特徴とす
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0013】誘電体材料を実際に応用するためには、誘
電率εが大きければ大きいほど、そして共振周波数温度
係数が0に近い値を持ちながら正、負(+、−)で調節
できれば良いと知られている。しかし、大部分の場合、
単一の誘電体セラミック組成物のみでは共振周波数温度
係数が0に近い値を持たないために、これら相互間の固
溶体(Solid solution)を形成することにより、その値を
調節しようとするのが一般的である。
【0014】本発明によるB′B″26誘電体セラミッ
ク組成物もやはり後述の表1及び2から分かるように、
B′Ta26系の場合には共振周波数温度係数が(+)
値を有するが、B′Nb26系の場合には(−)値を有
すると確認された。従って、B′Nb26系とB′Ta
26系の誘電体セラミック組成物を適当なモル比で互い
に固溶させて固溶体を形成することにより、共振周波数
温度係数を0に近い値で(+)(−)によって調節可能
であるという事実を発見した。
【0015】一方、誘電体セラミック組成物の誘電特性
を向上させるか、或いは焼結温度を低める目的でいろん
な酸化物を燃焼調剤として添加するのが一般的である。
例えば、誘電体組成物の誘電特性を向上させるためには
MnCO3、MgO、SrCO3、またはZnOなどの酸
化物を添加し、焼結温度を低めるためにはガラスやP
b、Bi又はV系酸化物のような低融点の物質を添加し
て、液相で焼結がなされるようにしている。
【0016】本発明で添加される酸化物添加剤の適切な
含量は誘電体セラミック組成物の全体重量の0.05〜2.0
重量%であるが、添加剤の含量が0.05重量%未満の場合
には添加剤の添加効果を期待することができなく、2.0
重量%を超過する場合には第2相(Second Phase)の出現
で誘電特性が低下する虞がある。
【0017】本発明者は前記の様々な燃焼調剤を本発明
の誘電体セラミック組成物に添加して誘電特性の向上及
び焼結温度の低下を図ろうとするものである。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0019】(第1実施例)高純度のN 25またはT
25と、B′O(B′=Mg、Zn、Co、Niの中
のいずれか一種)Mn34またはCaCO3粉末を定量
に秤量(Weighing)し、これらを蒸留水でジルコニアボー
ル(ZrO2 Ball)を用いて24時間混合した。その後、比
重差による分級を抑制するためにスプレーを用いてホッ
トプレート(Hot Plate)上に噴射して急速乾燥を行っ
た。乾燥された粉末を900〜1050℃の温度で2時間アル
ミナ炉で仮焼(Calcination)してB′Nb26または
B′Ta26粉末を合成した。仮焼粉末を粉砕してジル
コニアボール(ZrO2Ball)及び蒸留水と一緒に24時間
ボールミル(ball mill)した。粉砕粉末を100℃のオーブ
ンで適切な水分量に乾燥した後、1000Kg/cm2 の圧力で直
径10mm×厚さ約3〜4mmの円周形状に圧縮加圧成形し
た。前記試片を1150〜1600℃の温度で2時間焼結した。
仮焼または焼結時の昇温速度は5℃/minであり、その
後炉冷した。このようにして得た焼結試片のQ値、共振
周波数温度係数(τf)、誘電率εを10GHzでネッ
トワーク分析器(HP8510)を用いてハキー−コル
マン(Hakki-Coleman)のポストレゾナイト法(Post reso
nator method)で測定し、更にQ値が高い試片は空洞共
振器法(Cavity法)で測定した。
【0020】一方、Q値は焼結温度によって異なるの
で、相違した焼結温度でQ値を繰り返し測定して一番優
秀な値を示す温度を焼結温度とし、誘電率εは焼結温度
による差があまり無いので、一つの焼結温度で測定し
た。
【0021】以上の結果を表1及び表2に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】以上の結果からB′Nb26系の誘電率は
20〜25程度と低いが、ZnNb26またはMgNb
26の場合、複合ペロブスカイトに比肩すべきQ値(Q
×f)を示している。また、複合ペロブスカイトの場
合、焼結温度が1400〜1500℃であるに比べて、この場合
には1100〜1300℃と一層低い値を示している。特に、Z
nNb26の場合は、誘電率が25でありQ値が83700
(10Ghz)であって、優れた誘電特性を示し、かつ
焼結温度が1150℃と低いので、低温焼結形マイクロ波用
誘電体として有用に活用することができる。
【0025】また、B′Ta26系はB′Nb26系に
比べて焼結温度が高く、Q値がやや小さいが、誘電率が
少し高い。ZnTa26の場合をみれば、誘電率が約3
8でありQ値が65000(10GHz)程度であり、従来
の(Zr、Sn)TiO4より優れた誘電特性を示し、
且つ焼結温度も1350℃とやや低い。そして、(Zr、S
n)TiO4の場合には他の焼結調剤の添加やSol-G
elなどの複雑な工程を経た場合の焼結温度なので、
(Zr、Sn)TiO4を充分代替し得る組成を有す
る。
【0026】(第2実施例)第1実施例と同様の方法で
B′Nb26系とB′Ta26系の粉末を合成してか
ら、それぞれの仮焼粉末を粉砕した後、これらを適切な
モル比で秤量してジルコニアボール(ZrO2 Ball)及び蒸
留水と共に24時間ボールミルした。粉砕粉末を100℃
のオーブンで適切な水分量に乾燥した後、1000Kg/cm2
圧力で直径10mm×厚さ約3〜4mmの円周形状に圧縮加
圧成形した。前記試片を1200〜1400℃の温度で2時間焼
結した。仮焼または焼結時の昇温速度は5℃/minであ
り、その後炉冷した。
【0027】このようにして得た焼結試片のQ値、共振
周波数温度係数(τf)、誘電率εを10GHzのネッ
トワーク分析器(HP8510)を用いてハキー−コル
マン(Hakki-Coleman)のポストレゾナイト法(Post reso
nator method)で測定し、更にQ値の高い試片は空洞共
振器法(Cavity法)で測定した。
【0028】一方、Q値は焼結温度によって異なるの
で、相異した焼結温度でQ値を繰り返し測定して一番優
秀な値を示す温度を焼結温度として設定し、その範囲は
1250〜1350℃であり、Ta量に応じて焼結温度が増加し
た。
【0029】以上の結果を表3及び表4に示した。
【0030】
【表3】
【表4】
【0031】表3の固溶体組成物はB′NbTa系の固
溶体でB′が単一金属である場合を示し、表4の固溶体
組成物はB′が2種の金属である場合を示す。
【0032】以上の結果からZnNbTa系の固溶体と
NiNbTa系の固溶体の場合、共振周波数温度係数が
±10の範囲内に収まることが分かる。特に、Zn(N
0.4Ta0.626の場合、誘電率が急激に減少するこ
とが分かるが、これは結晶構造の遷移が発生するためで
あると確認された。つまり、0.5のTaモル比を有する
領域における結晶構造変化が誘電率と共振周波数温度係
数に大きい影響を及ぼすと把握される。しかし、この場
合にもQ値の変化はほとんど無い。
【0033】(第3実施例)第1実施例及び第2実施例
と同一の方法で誘電体セラミック組成物を粉末形態で合
成した後、La23、Sb25、Bi23、CuO、Z
nO、MgO、SrCO3、MnCO3、WO3及びV2
5の中から一種類以上の酸化物を0.1〜2.0重量%添加し
た。この混合粉末を蒸留水と1:1の比率で混ぜてジル
コニアボールミルで24時間混合した後、急速乾燥を行
った。その後、900〜1050℃の温度範囲で2時間アルミ
ナ炉で仮焼し、仮焼粉末を24時間ボールミルして噴霧
乾燥した後、1000Kg/cm2の圧力で直径10mm×厚さ約3m
mの円周形状に圧縮加圧成形した。この試片を1150〜140
0℃で2〜6時間焼結し、仮焼や焼結時の昇温速度は5
℃/minであり、その後炉冷した。
【0034】このようにして得た焼結試片のQ値、共振
周波数温度係数、誘電率εを10GHzでネットワーク
分析器(HP8510)を用いてハキー−コルマン(Ha
kki-Coleman)のポストレゾナイト法(Post resonator me
thod)で測定し、更にQ値の高い試片は共空洞共振器法
(Cavity法)で測定した。
【0035】以上の結果を表5に示した。
【表5】
【0036】表5に示すように、1150℃と焼結温度が一
番低かったZnNb26又はZn(Nb、Ta)26固溶
体組成物にCuO、V25、Bi23、Sb25など焼
結調剤の添加によって焼結温度を更に900℃以下まで低
くすることができ、この時のQ値は約20,000程度であっ
て、従来のどの低温焼結組成よりも優れた特性を示し
た。
【0037】参考に、今まで報告された低温焼結用誘電
体セラミック組成を見ると、BaO-PbO-Nd23-
TiO2系(焼結温度1300℃)誘電体にガラスを添加し
て焼結温度を900℃に低くし、その特性は誘電率が6
7、Q×fが2900(5.1GHz)、そして共振周波数温
度係数が20ppm/℃である。また、CaZrO3系(焼
結温度1350℃)誘電体に硼珪酸ガラス(borosilicate gl
ass)を添加して焼結温度を980℃まで低くし、その特性
は誘電率が25、Q×fが3500(5GHz)、そして共
振周波数温度係数が±10ppm/℃である。そして、B
i自体の低い融点(825℃)のためにBi系の誘電体を
合成しようとする試みが多数の研究者によって行われ、
その結果BiNbO4系にCuOとV25を添加して焼
結温度を875℃まで低めることに成功した。この時のマ
イクロ波誘電特性は誘電率が43、Q値が10000(4.3
GHz)、そして共振周波数温度係数が38程度であ
る。
【0038】しかも、本発明のZn(Nb、Ta)26
の固溶体にMnCO3、MgO、ZnOなどの添加によ
ってQ値を増加させることができたが、この結果は現在
一番広く用いられている(Zr、Sn)TiO4系の誘
電特性より一層優れた特性を示している。
【0039】このように焼結調剤を添加して焼結温度を
900℃以下に低くすることにより、安いAg又はCu電
極を用いる積層工程が可能になる。従って、最近電子機
器が回路素子の小型化に応じる積層形誘電体への使用も
可能になる。
【0040】
【発明の効果】本発明による誘電体セラミック組成物
は、複合ペロブスカイト構造の誘電体を始めとした従来
のマイクロ波用誘電体セラミック組成物に比べて、品質
係数(Q値)などの誘電特性はほぼ同一の水準を示しな
がら、比較的低温でも焼結が容易に行われ、そして組成
も簡単であって製造工程上の経済的利点がある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年3月5日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 誘電体セラミック組成物
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマイクロ波用誘電体
セラミック組成物に関し、より詳しくは、例えば、マイ
クロ波帯域で作動する誘電体共振器のようなマイクロ波
デバイス用誘電体セラミック組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、移動通信や衛生放送などの情報通
信機器の利用拡大によってマイクロ波を用いる誘電体セ
ラミック素子に対する関心が高調している。特に、移動
通信媒体としては自動車電話、無線電話、フェーザ、G
PS(Global PositioningSystem)などを挙げることがで
きるが、マイクロ波用誘電体セラミックはこれらのシス
テムで誘電体共振器として用いられる。誘電体共振器を
マイクロ波領域で使用するためにはデバイスの小型化を
図る高誘電率、高Q値、低共振周波数温度係数などと共
に焼結特性に優れていなければならない。
【0003】このような特性を満足させる誘電体セラミ
ック組成物に対する研究はTiO2に対して最初始まっ
て以来、多くのTiO2系に対して行われた。その結
果、現在用いられているマイクロ波誘電体組成はBa2
Ti920、(Zr、Sn)TiO4、BaO-Re23-
TiO2(Re:Rare earth)、BaO-Nd23-TiO
2 System(BNT系)などの多くのTiO2系であり、
一方、最近はBa(Mg1/3Ta2/3)O3、Ba(Zn
1/3Ta2/3)O3、Ba(Mg1/3Nb2/3)O3、Sr
(Mg1/3Ta2/3)O3、Sr(Zn1/3Ta2/3)O3
どの複合ペロブスカイト構造を有する誘電体がたくさん
発見されており、且つ2種類のペロブスカイトの固溶体
を用いて新しい誘電体材料を開発しようとする試みが行
われている。
【0004】しかし、BNT系は他のマイクロ波用誘電
体に比べてQ値(Quality-factor、Q×f)が2000(1G
Hz)程度に小さいという短所があり、且つ共振周波数
が1GHz以下に制限されるという問題点がある。そし
て、Nd23は希土類金属であって、他の元素に比べて
高価な元素である。
【0005】一方、(Zr、Sn)TiO4系は高いQ
値と安定な温度特性によって一番広く常用化された材料
であって、誘電率の範囲は30〜40であり、Q値は4
GHzで8000程度であり、共振周波数温度係数(τf)
の範囲は−30〜+30ppm/℃である。しかし、この
系は一般的な固相反応を経て製造される場合、仮焼温度
が1100℃以上であり、焼結調剤の添加無しでは1600℃以
下で焼結し難い難焼結性物質として知られている。従っ
て、焼結温度を低くするためにCuO、Co23、Zn
Oなどの焼結調剤を使用するが、焼結調剤の添加が組成
物自体の物性を低下させることが知られている。このた
め、一番経済的な固相法に代えて、Sol−Gelまた
はアルコキシド法や共沈法などのような液相法を用いた
粉末合成が試みられている。しかし、このような方法は
工程が複雑であるばかりでなく、製造コストの上昇を招
くという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】Ba(Zn1/3
2/3)O3で代表される複合ペロブスカイト系誘電体も
やはり焼結温度が1550℃を越える難焼結性物質であって
焼結が難しいという短所を有しており、よって、焼結温
度を低くするために添加される元素や化合物(BaZr
3、Mnなど)まで勘案すると、6〜8種類以上の成
分が含まれるので、工程因子を制御し難いという問題点
を抱えている。
【0007】さらに、最近は電子機器の小型化に伴っ
て、例えば移動通信に用いられる誘電体フィルターなど
の誘電体デバイスを小型化するために素子の積層化が試
みられている。積層化のためには電極との同時焼成が必
要であり、この場合、廉価のAgやCu電極を使用する
ためには焼結特性に優れた誘電体が要求される。従っ
て、現在まで開発されたマイクロ波用誘電特性を少なく
ともほとんどそのまま保持しながら焼結特性に優れてお
り且つ簡単な組成を有する、新しい誘電体セラミック組
成物の開発に対する必要性は依然として要求されてい
る。
【0008】本発明者はこのような点に着眼して、現在
広く常用されているABO3形の立方(Cubic)の複合ペロ
ブスカイト構造を有する化合物のBサイト(site)のイオ
ンからなる2元系材料に対して研究を重ねた結果、誘電
率やQ値などの誘電特性は複合ペロブスカイト構造の化
合物とほぼ同一の水準を保持しながら、焼結はこれより
低い温度で可能であるという事実を発見して本発明を完
成した。
【0009】従って、本発明の目的は、今まで開発され
た誘電体の誘電特性を少なくともそのまま保持しなが
ら、優れた焼結特性と簡単な組成をもって製造工程上の
利点があるマイクロ波誘電体セラミック組成物を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のマイクロ波用誘電体セラミック組成物は、一般式
B′B″26(B′はMg、Ca、Co、Mn、Ni、
Znの中から選ばれた少なくともいずれか一種の金属、
B″はNb、Taの中から選ばれたいずれか一種の金
属)で表わされることを特徴とする。
【0011】また、上記目的を達成する本発明のマイク
ロ波用誘電体セラミック組成物は、B′Nb26とB′
Ta26(B′はMg、Ca、Co、Mn、Ni、Zn
の中から選ばれた少なくともいずれか一種の金属)が所
定のモル比で混合された固溶体からなることを特徴とす
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0013】誘電体材料を実際に応用するためには、誘
電率εが大きければ大きいほど、そして共振周波数温度
係数が0に近い値を持ちながら正、負(+、−)で調節
できれば良いと知られている。しかし、大部分の場合、
単一の誘電体セラミック組成物のみでは共振周波数温度
係数が0に近い値を持たないために、これら相互間の固
溶体(Solid solution)を形成することにより、その値を
調節しようとするのが一般的である。
【0014】本発明によるB′B″26誘電体セラミッ
ク組成物もやはり後述の表1及び2から分かるように、
B′Ta26系の場合には共振周波数温度係数が(+)
値を有するが、B′Nb26系の場合には(−)値を有
すると確認された。従って、B′Nb26系とB′Ta
26系の誘電体セラミック組成物を適当なモル比で互い
に固溶させて固溶体を形成することにより、共振周波数
温度係数を0に近い値で(+)(−)によって調節可能
であるという事実を発見した。
【0015】一方、誘電体セラミック組成物の誘電特性
を向上させるか、或いは焼結温度を低くする目的でいろ
んな酸化物を燃焼調剤として添加するのが一般的であ
る。例えば、誘電体組成物の誘電特性を向上させるため
にはMnCO3、MgO、SrCO3、またはZnOなど
の酸化物を添加し、焼結温度を低くするためにはガラス
やPb、Bi又はV系酸化物のような低融点の物質を添
加して、液相で焼結がなされるようにしている。
【0016】本発明で添加される酸化物添加剤の適切な
含量は誘電体セラミック組成物の全体重量の0.05〜2.0
重量%であるが、添加剤の含量が0.05重量%未満の場合
には添加剤の添加効果を期待することができなく、2.0
重量%を超過する場合には第2相(Second Phase)の出現
で誘電特性が低下する虞がある。
【0017】本発明者は前記の様々な燃焼調剤を本発明
の誘電体セラミック組成物に添加して誘電特性の向上及
び焼結温度の低下を図ろうとするものである。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0019】(第1実施例)高純度のN 25またはT
25と、B′O(B′=Mg、Zn、Co、Niの中
のいずれか一種)Mn34またはCaCO3粉末を定量
に秤量(Weighing)し、これらを蒸留水でジルコニアボー
ル(ZrO2 Ball)を用いて24時間混合した。その後、比
重差による分級を抑制するためにスプレーを用いてホッ
トプレート(Hot Plate)上に噴射して急速乾燥を行っ
た。乾燥された粉末を900〜1050℃の温度で2時間アル
ミナ炉で仮焼(Calcination)してB′Nb26または
B′Ta26粉末を合成した。仮焼粉末を粉砕してジル
コニアボール(ZrO2Ball)及び蒸留水と一緒に24時間
ボールミル(ball mill)した。粉砕粉末を100℃のオーブ
ンで適切な水分量に乾燥した後、1000Kg/cm2 の圧力で直
径10mm×厚さ約3〜4mmの円周形状に圧縮加圧成形し
た。前記試片を1150〜1600℃の温度で2時間焼結した。
仮焼または焼結時の昇温速度は5℃/minであり、その
後炉冷した。このようにして得た焼結試片のQ値、共振
周波数温度係数(τf)、誘電率εを10GHzでネッ
トワーク分析器(HP8510)を用いてハキー−コル
マン(Hakki-Coleman)のポストレゾナイト法(Post reso
nator method)で測定し、更にQ値が高い試片は空洞共
振器法(Cavity法)で測定した。
【0020】一方、Q値は焼結温度によって異なるの
で、相違した焼結温度でQ値を繰り返し測定して一番優
秀な値を示す温度を焼結温度とし、誘電率εは焼結温度
による差があまり無いので、一つの焼結温度で測定し
た。
【0021】以上の結果を表1及び表2に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】以上の結果からB′Nb26系の誘電率は
20〜25程度と低いが、ZnNb26またはMgNb
26の場合、複合ペロブスカイトに比肩すべきQ値(Q
×f)を示している。また、複合ペロブスカイトの場
合、焼結温度が1400〜1500℃であるのに比べて、この場
合には1100〜1300℃と一層低い値を示している。特に、
ZnNb26の場合は、誘電率が25でありQ値が8370
0(10Ghz)であって、優れた誘電特性を示し、か
つ焼結温度が1150℃と低いので、低温焼結形マイクロ波
用誘電体として有用に活用することができる。
【0025】また、B′Ta26系はB′Nb26系に
比べて焼結温度が高く、Q値がやや小さいが、誘電率が
少し高い。ZnTa26の場合をみれば、誘電率が約3
8でありQ値が65000(10GHz)程度であり、従来
の(Zr、Sn)TiO4より優れた誘電特性を示し、
且つ焼結温度も1350℃とやや低い。そして、(Zr、S
n)TiO4の場合には他の焼結調剤の添加やSol-G
elなどの複雑な工程を経た場合の焼結温度なので、
(Zr、Sn)TiO4を充分代替し得る組成を有す
る。
【0026】(第2実施例)第1実施例と同様の方法で
B′Nb26系とB′Ta26系の粉末を合成してか
ら、それぞれの仮焼粉末を粉砕した後、これらを適切な
モル比で秤量してジルコニアボール(ZrO2 Ball)及び蒸
留水と共に24時間ボールミルした。粉砕粉末を100℃
のオーブンで適切な水分量に乾燥した後、1000Kg/cm2
圧力で直径10mm×厚さ約3〜4mmの円周形状に圧縮加
圧成形した。前記試片を1200〜1400℃の温度で2時間焼
結した。仮焼または焼結時の昇温速度は5℃/minであ
り、その後炉冷した。
【0027】このようにして得た焼結試片のQ値、共振
周波数温度係数(τf)、誘電率εを10GHzのネッ
トワーク分析器(HP8510)を用いてハキー−コル
マン(Hakki-Coleman)のポストレゾナイト法(Post reso
nator method)で測定し、更にQ値の高い試片は空洞共
振器法(Cavity法)で測定した。
【0028】一方、Q値は焼結温度によって異なるの
で、相異した焼結温度でQ値を繰り返し測定して一番優
秀な値を示す温度を焼結温度として設定し、その範囲は
1250〜1350℃であり、Ta量に応じて焼結温度が増加し
た。
【0029】以上の結果を表3及び表4に示した。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】表3の固溶体組成物はB′NbTa系の固
溶体でB′が単一金属である場合を示し、表4の固溶体
組成物はB′が2種の金属である場合を示す。
【0033】以上の結果からZnNbTa系の固溶体と
NiNbTa系の固溶体の場合、共振周波数温度係数が
±10の範囲内に収まることが分かる。特に、Zn(N
0.4Ta0.626の場合、誘電率が急激に減少するこ
とが分かるが、これは結晶構造の遷移が発生するためで
あると確認された。つまり、0.5のTaモル比を有する
領域における結晶構造変化が誘電率と共振周波数温度係
数に大きい影響を及ぼすと把握される。しかし、この場
合にもQ値の変化はほとんど無い。
【0034】(第3実施例)第1実施例及び第2実施例
と同一の方法で誘電体セラミック組成物を粉末形態で合
成した後、La23、Sb25、Bi23、CuO、Z
nO、MgO、SrCO3、MnCO3、WO3及びV2
5の中から一種類以上の酸化物を0.1〜2.0重量%添加し
た。この混合粉末を蒸留水と1:1の比率で混ぜてジル
コニアボールミルで24時間混合した後、急速乾燥を行
った。その後、900〜1050℃の温度範囲で2時間アルミ
ナ炉で仮焼し、仮焼粉末を24時間ボールミルして噴霧
乾燥した後、1000Kg/cm2の圧力で直径10mm×厚さ約3m
mの円周形状に圧縮加圧成形した。この試片を1150〜140
0℃で2〜6時間焼結し、仮焼や焼結時の昇温速度は5
℃/minであり、その後炉冷した。
【0035】このようにして得た焼結試片のQ値、共振
周波数温度係数、誘電率εを10GHzでネットワーク
分析器(HP8510)を用いてハキー−コルマン(Ha
kki-Coleman)のポストレゾナイト法(Post resonator me
thod)で測定し、更にQ値の高い試片は空洞共振器法(Ca
vity法)で測定した。
【0036】以上の結果を表5に示した。
【表5】
【0037】表5に示すように、1150℃と焼結温度が一
番低かったZnNb26又はZn(Nb、Ta)26固溶
体組成物にCuO、V25、Bi23、Sb25など焼
結調剤の添加によって焼結温度を更に900℃以下まで低
くすることができ、この時のQ値は約20,000程度であっ
て、従来のどの低温焼結組成よりも優れた特性を示し
た。
【0038】参考に、今まで報告された低温焼結用誘電
体セラミック組成を見ると、BaO-PbO-Nd23-
TiO2系(焼結温度1300℃)誘電体にガラスを添加し
て焼結温度を900℃に低くし、その特性は誘電率が6
7、Q×fが2900(5.1GHz)、そして共振周波数温
度係数が20ppm/℃である。また、CaZrO3系(焼
結温度1350℃)誘電体に硼珪酸ガラス(borosilicate gl
ass)を添加して焼結温度を980℃まで低くし、その特性
は誘電率が25、Q×fが3500(5GHz)、そして共
振周波数温度係数が±10ppm/℃である。そして、B
i自体の低い融点(825℃)のためにBi系の誘電体を
合成しようとする試みが多数の研究者によって行われ、
その結果BiNbO4系にCuOとV25を添加して焼
結温度を875℃まで低くすることに成功した。この時の
マイクロ波誘電特性は誘電率が43、Q値が10000(4.
3GHz)、そして共振周波数温度係数が38程度であ
る。
【0039】しかも、本発明のZn(Nb、Ta)26
の固溶体にMnCO3、MgO、ZnOなどの添加によ
ってQ値を増加させることができたが、この結果は現在
一番広く用いられている(Zr、Sn)TiO4系の誘
電特性より一層優れた特性を示している。
【0040】このように焼結調剤を添加して焼結温度を
900℃以下に低くすることにより、安いAg又はCu電
極を用いる積層工程が可能になる。従って、最近電子機
器が回路素子の小型化に応じる積層形誘電体への使用も
可能になる。
【0041】
【発明の効果】本発明による誘電体セラミック組成物
は、複合ペロブスカイト構造の誘電体を始めとした従来
のマイクロ波用誘電体セラミック組成物に比べて、品質
係数(Q値)などの誘電特性はほぼ同一の水準を示しな
がら、比較的低温でも焼結が容易に行われ、そして組成
も簡単であって製造工程上の経済的利点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01P 7/10 H01P 7/10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式B′B 26(B′はMg、Ca、
    Co、Mn、Ni、Znの中から選ばれた少なくともい
    ずれか一種の金属、B″はNb、Taの中から選ばれた
    いずれか一種の金属)で表わされることを特徴とするマ
    イクロ波用誘電体セラミック組成物。
  2. 【請求項2】前記誘電体セラミック組成物にCuO、V
    2 5、La23、Sb25、WO3、MnCO3、Mg
    O、SrCO3、ZnO、Bi23の中から選ばれる少
    なくとも一種の添加剤を添加することを特徴とする請求
    項1記載のマイクロ波用誘電体セラミック組成物。
  3. 【請求項3】前記添加剤の添加量が誘電体セラミック組
    成物の全体重量の0.05〜2.0重量%であることを特徴と
    する請求項2記載のマイクロ波用誘電体セラミック組成
    物。
  4. 【請求項4】B′Nb26とB′Ta26(B′はM
    g、Ca、Co、Mn、Ni、Znの中から選ばれた少
    なくともいずれか一種の金属)が所定のモル比で混合さ
    れた固溶体からなることを特徴とするマイクロ波用誘電
    体セラミック組成物。
  5. 【請求項5】前記誘電体セラミック組成物にCuO、V
    25、La23、Sb25、WO3、MnCO3、Mg
    O、SrCO3、ZnO、Bi23の中から選ばれる少
    なくとも一種の添加剤を添加することを特徴とする請求
    項4記載のマイクロ波用誘電体セラミック組成物。
  6. 【請求項6】前記添加剤の添加量が誘電体セラミック組
    成物の全体重量の0.05〜2.0重量%であることを特徴と
    する請求項5記載のマイクロ波用誘電体セラミック組成
    物。
  7. 【請求項7】B′がZnであることを特徴とする請求項
    4、5又は6記載のマイクロ波用誘電体セラミック組成
    物。
  8. 【請求項8】ZnNb26のモル分率が0.2〜0.5の範囲
    内にあることを特徴とする請求項7記載のマイクロ波用
    誘電体セラミック組成物。
  9. 【請求項9】B′がMgであることを特徴とする請求項
    4、5又は6記載のマイクロ波用誘電体セラミック組成
    物。
  10. 【請求項10】MgNb26のモル分率が0.1未満であ
    ることを特徴とする請求項9記載のマイクロ波用誘電体
    セラミック組成物。
  11. 【請求項11】B′がZnとMgの2種金属であること
    を特徴とする請求項4、5又は6記載のマイクロ波用誘
    電体セラミック組成物。
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