JPH1072280A - 液相エピタキシャル法による酸化物単結晶膜の製造装置およびそれを用いた酸化物単結晶膜の製造方法 - Google Patents

液相エピタキシャル法による酸化物単結晶膜の製造装置およびそれを用いた酸化物単結晶膜の製造方法

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JPH1072280A
JPH1072280A JP24898996A JP24898996A JPH1072280A JP H1072280 A JPH1072280 A JP H1072280A JP 24898996 A JP24898996 A JP 24898996A JP 24898996 A JP24898996 A JP 24898996A JP H1072280 A JPH1072280 A JP H1072280A
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wire
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oxide single
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Mikio Shimokata
方 幹 生 下
Takashi Fujii
井 高 志 藤
Hiroshi Takagi
木 洋 鷹
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化物単結晶膜を成長させようとする基板が
実際に受けている実効的な液相の温度状態を正確に、か
つ、有効にモニターすることができる、液相エピタキシ
ャル法による酸化物単結晶膜の製造装置およびそれを用
いた酸化物単結晶膜の製造方法を得る。 【解決手段】 保持治具12のGGG基板と接触してい
る近傍には、13%Rh−Pt合金で形成された第1の
線材16の一端部が溶接され、溶接された部分が第1の
接点18となる。第1の線材16の他端部は、炉の外へ
と引き出される。また、保持治具12には、第2の線材
20の一端部が溶接される。第2の線材20は、保持治
具12と同じ100%Ptで形成される。第2の線材2
0の他端部は、炉の外へ引き出される。そして、第1の
線材16の他端部と第2の線材20の他端部とが溶接さ
れ、溶接された部分が第2の接点22となる。さらに、
第2の線材20の中間に電圧計24が接続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子デバイス、
光デバイス等に用いられる酸化物単結晶膜の製造装置及
び製造方法に関し、特に、液相エピタキシャル法による
酸化物単結晶膜の製造装置及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆる液相エピタキシャル法とは、過
飽和状態の液相に単結晶基板を浸漬し、その単結晶基板
表面に液相中に溶解している成分をエピタキシャル成長
させて、酸化物単結晶膜を得る方法である。この方法に
よれば、下地基板として完全性の高い単結晶基板を併用
することにより、高品質のエピタキシャル膜を得ること
ができる。この特徴から、液相エピタキシャル法は、現
在、GaAsエピタキシャル膜、ガーネット系エピタキ
シャル膜などの製造に利用されている。液相エピタキシ
ャル法としては、基板の浸漬方法によりTipping
法,Flipping法,およびDipping法の3
方法が知られており、用途により使い分けられている。
このうち酸化物単結晶膜の製造にはDipping法が
用いられている。この方法は単純な装置構造で実施可能
であるにもかかわらず、比較的欠陥の少ないエピタキシ
ャル膜が得られる点で有効な方法であると考えられてい
る。Dipping法によって、酸化物単結晶膜として
のY3 Fe5 12(以下YIGという)薄膜を得る例を
以下に説明する。
【0003】図3はこの発明の背景となる液相エピタキ
シャル法による酸化物単結晶膜の製造装置を示す図解図
である。この製造装置10は、単結晶基板を保持するた
めの貴金属製の保持治具12を含む。単結晶基板として
は、通常はGd3 Ga5 12(以下GGGと称す)から
なる単結晶基板がよく使われる。保持治具12は、たと
えばPtで形成される。保持治具12は、たとえば3本
の保持爪を有し、それぞれの保持爪の略先端部におい
て、円盤状の単結晶基板を支持する。また、保持治具1
2は、保持爪の反対側において、管部材14に連結され
る。管部材14は、たとえば高純度アルミナを焼結して
形成される。この製造装置10は、管部材14を後述す
る坩堝に対して上下動させて、保持治具12および保持
された単結晶基板3を液相に浸漬させたり取り出した
り、液相中における位置を変更できるよう構成されてい
る。また、管部材14および保持治具12は、管部材1
4の中心を通る回転軸を中心にして回転,反転ないし振
動するように形成されている。また、この製造装置10
は、加熱炉26を含む。加熱炉26の内部には、YIG
薄膜の成分を溶解させた液相を収納するための坩堝28
が載置される。液相としては、たとえば、Fe2 3
よびY2 3 を溶解させたPbO−B2 3 系フラック
スがよく用いられる。坩堝28の周囲には、坩堝28を
加熱するための発熱体30が配置される。発熱体30と
しては、たとえば抵抗加熱方式のものでもよく、高周波
加熱方式のものでもよい。発熱体30により、坩堝28
内の液相温度が制御される。
【0004】保持治具12に保持された単結晶基板を、
坩堝28内の液相中に浸漬することにより、単結晶基板
表面に酸化物単結晶膜としてのYIG薄膜をエピタキシ
ャル成長させる。一定時間成長させた後、単結晶基板を
液相外に取り出して、YIG薄膜の成長を停止させる。
従来、YIG薄膜成長中の液相温度は、あらかじめ形成
した熱電対を坩堝28の外壁に接触させたり、液相の一
部分に浸漬することにより測定している。そのため、Y
IG薄膜成長中に単結晶基板近傍の温度がどのように変
化しているのかを正確に測定することができなかった。
一般に、YIG薄膜の成長を支配しているのは液相の過
飽和度と拡散層の厚みであるといわれており、均質な成
長のためには液相温度を高精度に制御する必要がある。
また、Dipping法では、単結晶基板に常に同じ拡
散層厚みを持たせるために、保持治具を回転、振動させ
ながらYIG薄膜を成長させるのが一般的である。この
時の回転数、反転の有無、振動の周波数なども高精度な
制御が必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな微妙な成長条件設定が必要とされるにもかかわら
ず、従来は、酸化物単結晶膜を成長させようとする基板
が実際に受けている実効的な液相の温度状態を正確に、
かつ、有効にモニターし、それをその時の成長条件にフ
ィードバックすることが行われなかった。そのため、成
長条件設定に時間がかかるという問題があった。また、
成長条件の制御が不十分になるために、得られるエピタ
キシャル膜が不安定で、歩留まりが悪いという問題があ
った。それゆえに、この発明の主たる目的は、酸化物単
結晶膜を成長させようとする基板が実際に受けている実
効的な液相の温度状態を正確に、かつ、有効にモニター
することができる、液相エピタキシャル法による酸化物
単結晶膜の製造装置およびそれを用いた酸化物単結晶膜
の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、貴金属にて
形成され、液相エピタキシャル法により酸化物単結晶膜
を成長させようとする基板を保持するための保持治具
と、酸化物単結晶膜の成長時の液相温度をゼーベック効
果により測定するため、保持治具とは異なる貴金属にて
形成され、保持治具の液相中に浸漬される部分に接続さ
れる線材とを含む、液相エピタキシャル法による酸化物
単結晶膜の製造装置である。
【0007】また、この発明は、貴金属にて形成され、
液相エピタキシャル法により酸化物単結晶膜を成長させ
ようとする基板を保持するための保持治具と、保持治具
とは異なる貴金属にて形成され、一端部が保持治具の液
相中に浸漬される部分に接続される第1の線材と、保持
治具と同じ貴金属にて形成され、一端部が保持治具に接
続され、他端部が第1の線材に接続される第2の線材
と、第1の線材または第2の線材の中間に設けられ、ゼ
ーベック効果により生じる熱起電力を測定するための電
位差測定手段とを含む、液相エピタキシャル法による酸
化物単結晶膜の製造装置である。
【0008】さらに、この発明は、貴金属にて形成さ
れ、液相エピタキシャル法により酸化物単結晶膜を成長
させようとする基板を保持するための保持治具と、保持
治具とは異なる貴金属にて形成され、一端部が保持治具
の液相中に浸漬される部分に接続される第1の線材と、
保持治具とは異なる貴金属にて形成され、一端部が保持
治具の液相中に浸漬される他の部分に接続される第2の
線材と、第1の線材の他端部と第2の線材の他端部との
間に設けられ、ゼーベック効果により生じる熱起電力を
測定するための電位差測定手段とを含む、液相エピタキ
シャル法による酸化物単結晶膜の製造装置である。
【0009】また、上述の保持治具または線材は、P
t,Rh,Ir,Pd,Ru,Os,Auの中から選択
される一種の金属または2種以上の金属の合金で形成さ
れることが好ましい。
【0010】さらに、この発明は、上述の製造装置を用
いた液相エピタキシャル法による酸化物単結晶膜の製造
方法であって、測定された液相温度を成長条件にフィー
ドバックさせながら酸化物単結晶膜を成長させることを
特徴とする、液相エピタキシャル法による酸化物単結晶
膜の製造方法である。
【0011】
【作用】この発明では、保持治具と異なる貴金属からな
る線材が、保持治具の液相中に浸漬される部分に接続さ
れ、その部分がゼーベック接点となる。そのため、あら
かじめ形成した熱電対を坩堝の外壁に接触させたり、液
相の一部分に浸漬するだけでは判らない基板が実際に受
ける液相の正確な温度状態をモニターすることができ
る。
【0012】また、この発明において、第1の線材と保
持治具とを異なる貴金属で形成し、第2の線材と保持治
具とを同じ貴金属で形成した場合には、第1の線材と保
持治具との接続部分が第1の接点(測温接点)になり、
第1の線材と第2の線材との接続部分が第2の接点(冷
接点)になる。第1の接点は、液相中に浸漬される。そ
して、ゼーベック効果により、第1の接点と第2の接点
との間の温度差に応じて両者の間に起電力が生じる。こ
の起電力を電位差測定手段で測定し、測定された電圧を
温度に換算することにより、基板近傍の液相の正確な温
度状態をモニターすることができる。
【0013】さらに、この発明において、第1の線材お
よび第2の線材と保持治具とを異なる貴金属で形成した
場合には、第1の線材と基板近傍の保持治具との接続部
分が第1の接点になり、第2の線材と基板近傍の保持治
具との接続部分が第2の接点になる。第1および第2の
接点は、液相中に浸漬される。そして、ゼーベック効果
により、第1の接点と第2の接点との間の温度差に応じ
て、両者の間に起電力が生じる。この起電力を電位差測
定手段で測定し、その電圧を温度に換算することによ
り、第1の接点と第2の接点との間の相対温度を知るこ
とができ、基板近傍の正確な温度状態をモニターするこ
とができる。
【0014】また、保持治具または線材をPt,Rh,
Ir,Pd,Ru,Os,Auの中から選択される一種
の金属または2種以上の金属の合金で形成した場合に
は、使用する液相の化学成分によって浸食されないか、
または浸食の度合いが少なくなる。
【0015】さらに、こうして得られた液相の温度状態
を成長条件にフィードバックさせながら酸化物単結晶膜
を液相エピタキシャル成長させることにより、良質なエ
ピタキシャル膜が得られ、かつ、歩留まりも向上する。
【0016】
【発明の効果】この発明によれば、酸化物単結晶膜を成
長させようとする基板が実際に受けている実効的な液相
の温度状態を正確に、かつ、有効にモニターすることが
できる。そして、得られた液相温度を成長条件にフィー
ドバックさせながら酸化物単結晶膜を液相エピタキシャ
ル成長させることにより、良質なエピタキシャル膜が得
られ、かつ、歩留まりも向上する。
【0017】この発明の上述の目的,その他の目的,特
徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施
の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0018】
【発明の実施の形態】この発明の製造装置に用いられる
保持治具を形成するための貴金属としては、使用する液
相の化学成分によって浸食されないか浸食されてもその
度合いが少ないものであれば何れのものでも良い。この
ような材料としては、たとえば、Pt、Pt/Rhなど
のPt系合金、Ir、Pd、Ru、Osなどの白金族、
Auなどが挙げられる。このうち耐食性の点でPtまた
はPt系合金が好ましい。また、高温での強度を増加さ
せるため僅かに酸化物などの異種粒子を上述の貴金属に
分散させたものを用いても良い。さらに、金属の上に貴
金属をメッキ法などで被覆したものを用いても良い。ま
た、この発明の製造装置に用いられる線材は、保持治具
との間でゼーベック効果の得られる材質であれば良く、
保持治具とは異なる貴金属で、液相に浸食されにくいも
のにて形成すればよい。この貴金属としては、上に列記
したものの中から選択できる。線材は、保持治具に溶接
で接続することが好ましい。
【0019】ゼーベック効果による出力値を取り出す方
法としては、たとえば2つの方法が考えられる。第1の
方法は、保持治具と異なる種類の貴金属からなる第1の
線材と、保持治具と同じ種類の貴金属からなる第2の線
材を準備する。そして、第1の線材の一端部を保持治具
の液相に浸漬される一部分に溶接して第1の接点(測温
接点)とし、他端部を加熱炉外に引き出す。また、第2
の線材の一端部を保持治具の他の部分に溶接し、他端部
を加熱炉外に引き出す。そして、第1および第2の線材
の他端部同士を接続して第2の接点(冷接点)とする。
すると、ゼーベック効果により、第1の接点と第2の接
点との間の温度差により起電力が生じ、液相温度に換算
できる電圧V1 を取り出すことができる。この電圧V1
を取り出すためには、第1の線材または第2の線材の中
間に電位差測定手段を接続すればよい。この第1の方法
では、第2の接点を基準温度に保つことにより、その基
準温度に対する第2の接点の温度を知ることができる。
第2の方法は、保持治具と異なる種類の貴金属からなる
第1の線材および第2の線材を準備する。そして、第1
の線材の一端部を保持治具の液相に浸漬される一部分に
溶接して第1の接点とし、他端部を加熱炉外に引き出
す。また、第2の線材の一端部を保持治具の液相に浸漬
される他の部分に溶接して第2の接点とし、他端部を加
熱炉外に引き出す。すると、ゼーベック効果により、第
1の接点と第2の接点との間の相対的な温度差により起
電力が生じ、液相温度に換算できる電圧V2 を取り出す
ことができる。この電圧V2 を取り出すためには、第1
の線材の他端部と第2の線材の他端部との間に電位差測
定手段を接続すればよい。第2の方法では、取り出され
た電圧V2 は、第1の接点と第2の接点との相対温度に
換算することができる。なお、第1の方法と第2の方法
とを組み合わせて同時に行うようにしてもよい。その場
合には、加熱炉外に設けられる基準ゼーベック接点に対
する液相温度を知ることができるとともに、液相中に浸
漬された複数のゼーベック接点間の相対温度を知ること
ができる。
【0020】また、ゼーベック接点(測温接点)を形成
するために、線材を保持治具に接続する位置は、酸化物
単結晶膜の成長時に液相中となる位置で、かつ、なるべ
く基板に近い位置が好ましい。たとえば、保持治具が基
板を保持するための保持爪を有する場合は、保持爪の基
板に接する部分などが挙げられる。つまり、本発明の特
徴は、保持治具の一部にゼーベック接点を設けることに
ある。本発明によれば、熱電対を坩堝の外壁に接触させ
たり、液相の一部分に浸漬して測温するだけでは判らな
い、基板が実際に受ける液相の温度状態をモニターでき
る。さらに、本発明でいう成長条件は人為的に設定でき
る条件全てを言い、たとえば、抵抗加熱方式での電流出
力、高周波加熱方式での高周波出力、基板保持治具の液
相中での位置、基板の回転数、反転時間、振動を与える
加振機の加振周波数、加熱炉内の圧力などが挙げられる
がこれらに限られるものではない。また、フィードバッ
クする信号は、測定電圧を直接用いても良いし、温度に
換算して用いても良い。さらに、数値の時間微分値、積
分値、過去の一定時間のフーリエ変換したデータのピー
ク値などの変形した数値を用いても良い。計算はコンピ
ュータを用いて行い、得られた出力値を該成長条件にフ
ィードバックするのが適当である。以下に本発明のより
具体的な実施例を示す。
【0021】
【実施例】
(実施例1)図1は、この発明の製造装置に用いられる
保持治具の一実施例を示す図解図である。この実施例の
製造装置10は、保持治具12以外の部分の構成は、図
3を参照しながら説明した上述の製造装置と同様であ
る。この製造装置10の保持治具12は、100%Pt
で形成される。保持治具12は、たとえば3本の純白金
製の保持爪12aを有する。保持爪12aは、図1図示
下方へ延び出し形成され、それぞれの保持爪12aの略
先端部において、円盤状の(111)GGG基板を支持
できるよう構成されている。また、保持治具12の図1
図示上端部は、管部材14に連結される。管部材14
は、高純度アルミナ焼結管で形成される。
【0022】保持爪12aのGGG基板と接触している
近傍には、13%Rh−Pt合金で形成された第1の線
材16の一端部が溶接され、溶接された部分が第1の接
点18となる。第1の接点18は、測温接点として用い
られる。第1の線材16の他端部は、治具12および管
部材14の内部を通って、加熱炉26の外へと引き出さ
れる。
【0023】さらに、保持治具12には、第2の線材2
0の一端部が溶接される。第2の線材20は、保持治具
12と同じ100%Ptで形成される。第2の線材20
の他端部は、加熱炉26の外へ引き出される。そして、
第1の線材16の他端部と第2の線材20の他端部とが
溶接され、溶接された部分が第2の接点22となる。第
2の接点22は、冷接点として用いられる。そして、第
2の線材20の中間に電位差測定手段としての電圧計2
4が接続される。電圧計24により測定された電圧V1
を温度に換算することにより、第1の接点18(測温接
点)の温度をモニターすることができる。
【0024】この保持治具12を用いてDipping
法でYIG薄膜をエピタキシャル成長させるために、B
lankらが提唱するRパラメータ〔J.Cryst.
Growth,17,p302,(1972)〕がR1
=20、R3=15、R4=0.1になるように99.
99%以上の高純度原料を用いて調製した液相を坩堝2
8内に準備した。そして、保持治具12でGGG基板を
保持しながら液相中に浸漬して、GGG基板表面にYI
G薄膜を903℃で等温成長させた。なお、液相温度の
データを得るために、電圧計24で得られる電圧V
1 は、あらかじめ高温の加熱炉26内でR型熱電対にて
補正を行なって温度に変換してデータとした。
【0025】坩堝28は抵抗加熱方式で温度制御されて
おり、液面から坩堝28底にかけて約5℃の温度勾配が
常に同じ状態で付いている。この温度分布はあらかじめ
測定したところ、温度の絶対値は変動するが、温度勾配
はほぼ一定していることが確かめられた。この時の液面
からの深さをx(mm)、Tをx位置での温度、T1は
坩堝28底の実測温度とすると式(1)で近似すること
ができた。 T=T1−(50−x)×0.06(℃)・・・(1) 上述の電圧V1 をフィードバックし式(1)を用いて、
常にT=903.0℃となるように保持治具12が上下
するようなプログラムを組んで制御を行い、YIG薄膜
の成長実験を10回繰り返して行った。成長時間は20
分とした。ただし、毎回、エピタキシャル膜の重量から
換算されるFe2 3 およびY2 3 を補充し、また、
坩堝28の重量の減少量からエピタキシャル膜重量を引
いた重量に相当するPbOの補充を行った。実験の結
果、坩堝28底の温度は906℃の設定にもかかわら
ず、液相温度は、904〜908℃までの変動があっ
た。しかし、上述のプログラムにより上下動している保
持治具12から得られた出力値は10回全ての成長の
間、902.5℃〜903.5℃で1℃範囲に入った。
その結果、YIGのエピタキシャル膜の非常に安定した
成長が達成された。得られたエピタキシャル膜全てにつ
いて、中央部分の膜厚を光干渉法で測定した結果、1
1.3±0.2μmであり再現性に優れていた。また、
4結晶X線ロッキングカーブを測定したところ、10サ
ンプル全ての半価幅がGGG基板のそれと同じ30秒で
あり、高品質のエピタキシャル膜が得られた。
【0026】(実施例2)実施例1と同じ保持治具12
を用い、Sm、Ga固溶YIG薄膜を(111)GGG
基板に成長させた。RパラメータはR1=25、R2=
6.7、R3=15.5、R4=0.09を使い、成長
温度は896℃、成長時間は50分とした。この実施例
の製造装置10は、基本的には図3を参照しながら説明
した上述の製造装置と同様であるが、加熱炉26は高周
波誘導加熱方式を用い、保持治具12はドリルチャック
に固定し、エピタキシャル膜成長中に回転及び反転がで
きるようにした。高周波の出力は保持治具12からの温
度を制御温度とし、PID制御でP,I,D値を適当に
選ぶことで、896±1℃に保持することができた。さ
らに、初期反転周期(RP)を30秒とし、過去1分間
の温度をフーリエ変換することで得られる温度揺らぎの
周期(P)と同じ値になるようにPR値を制御した。な
お、回転数は80rpm一定にした。エピタキシャル成
長実験の結果、ランダムに測定した35点の2インチ基
板面内の標準偏差が、膜厚に関して0.05μm、4π
Ms(飽和磁化)に関して6ガウスとなった。これは、
反転を30秒のまま同一時間に固定した場合、それぞれ
0.15μm、21ガウスであったのに比べて飛躍的に
面内均一性が改善されている。
【0027】(実施例3)図2は、この発明の製造装置
に用いられる保持治具の他の実施例を示す図解図であ
る。この実施例の製造装置10は、保持治具12および
坩堝28の加熱装置以外の部分の構成は、図3を参照し
ながら説明した上述の製造装置と同様である。この製造
装置10の保持治具12は、ZrO2 を分散強化した強
化白金で形成される。保持治具12は、たとえば3本の
保持爪12aを有する。保持爪12aは、図1図示下方
へ延び出し形成され、それぞれの保持爪12aの略先端
部および中間部において、円盤状の(111)GGG基
板をたとえば2枚支持できるよう構成されている。ま
た、保持治具12の図1図示上端部は、管部材14に連
結される。管部材14は、高純度アルミナ焼結管で形成
される。
【0028】保持爪12aの略先端部の一枚目のGGG
基板と接触している近傍には、13%Rh−Pt合金で
形成された第1の線材16の一端部が溶接され、溶接さ
れた部分が第1の接点18となる。第1の線材16の他
端部は、治具12および管部材14の内部を通って、炉
の外へと引き出される。さらに、保持爪12aの中間部
の二枚目のGGG基板と接触している近傍には、13%
Rh−Pt合金で形成された第2の線材20の一端部が
溶接され、溶接された部分が第2の接点22となる。第
2の線材20の他端部も、第1の線材16と接触しない
よう保護管29を介して保持治具12および管部材14
の内部を通って、炉の外へと引き出される。
【0029】そして、第1の線材16の他端部と第2の
線材20の他端部との間に電位差測定手段としての電圧
計24が接続される。電圧計24により測定された第1
の接点18および第2の接点22間の電圧V2 を温度に
換算することにより、第1の接点18と第2の接点22
との相対温度をモニターすることができる。
【0030】図2に示す保持治具12を用いて、同時に
2枚のGGG基板上にYIG薄膜をエピタキシャル成長
させた。また、この製造装置10では、坩堝28の上
部、下部2点に発熱体を設置した加熱炉26を用い、温
度設定は両者を独立に設定できるようにした。そして、
エピタキシャル膜の成長中、出力電圧V2 が0となるよ
うに2つの発熱体の設定温度をフィードバック制御しな
がら、2枚のGGG基板上にYIG薄膜を成長させる実
験を行った。なお、液相組成、成長温度、成長時間は実
施例1と同一条件で行った。得られた2枚の基板膜厚を
測定したところ、10.9μm、11.0μmとなって
おり2枚ともほぼ同じエピタキシャル膜が得られたこと
が確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の製造装置に用いられる保持治具の一
例を示す図解図である。
【図2】この発明の製造装置に用いられる保持治具の他
の例を示す図解図である。
【図3】この発明の背景となる液相エピタキシャル法に
よる酸化物単結晶膜の製造装置を示す図解図である。
【符号の説明】
10 製造装置 12 保持治具 12a 保持爪 14 管部材 16 第1の線材 18 第1の接点 20 第2の線材 22 第2の接点 24 電圧計 26 加熱炉 28 坩堝 30 発熱体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貴金属にて形成され、液相エピタキシャ
    ル法により酸化物単結晶膜を成長させようとする基板を
    保持するための保持治具、および酸化物単結晶膜の成長
    時の液相温度をゼーベック効果により測定するため、前
    記保持治具とは異なる貴金属にて形成され、前記保持治
    具の液相中に浸漬される部分に接続される線材を含む、
    液相エピタキシャル法による酸化物単結晶膜の製造装
    置。
  2. 【請求項2】 貴金属にて形成され、液相エピタキシャ
    ル法により酸化物単結晶膜を成長させようとする基板を
    保持するための保持治具、 前記保持治具とは異なる貴金属にて形成され、一端部が
    前記保持治具の液相中に浸漬される部分に接続される第
    1の線材、 前記保持治具と同じ貴金属にて形成され、一端部が前記
    保持治具に接続され、他端部が前記第1の線材に接続さ
    れる第2の線材、および前記第1の線材または前記第2
    の線材の中間に設けられ、ゼーベック効果により生じる
    熱起電力を測定するための電位差測定手段を含む、液相
    エピタキシャル法による酸化物単結晶膜の製造装置。
  3. 【請求項3】 貴金属にて形成され、液相エピタキシャ
    ル法により酸化物単結晶膜を成長させようとする基板を
    保持するための保持治具、 前記保持治具とは異なる貴金属にて形成され、一端部が
    前記保持治具の液相中に浸漬される部分に接続される第
    1の線材、 前記保持治具とは異なる貴金属にて形成され、一端部が
    前記保持治具の液相中に浸漬される他の部分に接続され
    る第2の線材、および前記第1の線材の他端部と前記第
    2の線材の他端部との間に設けられ、ゼーベック効果に
    より生じる熱起電力を測定するための電位差測定手段を
    含む、液相エピタキシャル法による酸化物単結晶膜の製
    造装置。
  4. 【請求項4】 前記保持治具または前記線材は、Pt,
    Rh,Ir,Pd,Ru,Os,Auの中から選択され
    る一種の金属または2種以上の金属の合金で形成され
    る、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液相エ
    ピタキシャル法による酸化物単結晶膜の製造装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載の製造装置を用いた液相エピタキシャル法による酸化
    物単結晶膜の製造方法であって、 前記製造装置により測定された液相温度を成長条件にフ
    ィードバックさせながら酸化物単結晶膜を成長させるこ
    とを特徴とする、液相エピタキシャル法による酸化物単
    結晶膜の製造方法。
JP24898996A 1996-08-30 1996-08-30 液相エピタキシャル法による酸化物単結晶膜の製造装置およびそれを用いた酸化物単結晶膜の製造方法 Pending JPH1072280A (ja)

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