JPH1072689A - 低水素過電圧陰極およびその製造方法 - Google Patents
低水素過電圧陰極およびその製造方法Info
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- JPH1072689A JPH1072689A JP8274712A JP27471296A JPH1072689A JP H1072689 A JPH1072689 A JP H1072689A JP 8274712 A JP8274712 A JP 8274712A JP 27471296 A JP27471296 A JP 27471296A JP H1072689 A JPH1072689 A JP H1072689A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水の電気分解または食塩などのアルカリ金属塩
化物の水溶液電気分解に使用する場合、水素過電圧が十
分に低い陰極。 【解決手段】ニッケル含有量が35〜90重量%、モリ
ブデン含有量が10〜65重量%であり、かつCuKα
線によるX線回折において、角度42〜45度の間に主
ピークがあり、その半値幅が0.4〜7度である合金層
からなる、導電性基材上に、ニッケルと、モリブデンを
含む合金層を被覆した低水素過電圧陰極。
化物の水溶液電気分解に使用する場合、水素過電圧が十
分に低い陰極。 【解決手段】ニッケル含有量が35〜90重量%、モリ
ブデン含有量が10〜65重量%であり、かつCuKα
線によるX線回折において、角度42〜45度の間に主
ピークがあり、その半値幅が0.4〜7度である合金層
からなる、導電性基材上に、ニッケルと、モリブデンを
含む合金層を被覆した低水素過電圧陰極。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水の電気分解または
食塩などのアルカリ金属塩化物の水溶液電気分解に使用
する低水素過電圧陰極とその製造方法に関するものであ
る。
食塩などのアルカリ金属塩化物の水溶液電気分解に使用
する低水素過電圧陰極とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】水またはアルカリ金属塩化物水溶液電解
工業は多電力消費型産業であり、省エネルギーのための
様々な技術開発が進められている。省エネルギーの手段
とは、理論分解電圧、溶液抵抗、隔膜抵抗、陽極過電
圧、陰極過電圧などで構成される電解電圧を実質的に低
減することであり、特に過電圧に関してはその特性が電
極の材料や表面形態に著しく左右されることから、多く
の研究者の興味を引き、開発がなされてきた。イオン交
換膜法食塩電解においては、とりわけ陽極過電圧の低減
にその注目が集まり、精力的な研究開発が行われてきた
結果、耐久性に優れ、ほとんど陽極過電圧の問題となら
ない電極が完成し、既に工業的に広く利用されてきてい
る。
工業は多電力消費型産業であり、省エネルギーのための
様々な技術開発が進められている。省エネルギーの手段
とは、理論分解電圧、溶液抵抗、隔膜抵抗、陽極過電
圧、陰極過電圧などで構成される電解電圧を実質的に低
減することであり、特に過電圧に関してはその特性が電
極の材料や表面形態に著しく左右されることから、多く
の研究者の興味を引き、開発がなされてきた。イオン交
換膜法食塩電解においては、とりわけ陽極過電圧の低減
にその注目が集まり、精力的な研究開発が行われてきた
結果、耐久性に優れ、ほとんど陽極過電圧の問題となら
ない電極が完成し、既に工業的に広く利用されてきてい
る。
【0003】一方、陰極過電圧を低減するための低水素
過電圧電極、いわゆる活性陰極に関してもこれまで多く
の提案がなされている。水素過電圧400mVという鉄
陰極に対して、200〜250mVの電圧低減が可能な
電極、例えば特開昭59−25940号あるいは特開平
6−146046号明細書に示されるように電極基材表
面に水素吸蔵合金や白金族酸化物を付着させたもの、特
公昭40−9130号に示されるように電極基材表面に
鉄、コバルト、ニッケル等の遷移金属とタングステン、
モリブデンとの合金層を被覆したものなどが開示されて
いる。しかし、前者の水素吸蔵合金や白金族酸化物を付
着させた電極は、比較的材料が高価なため製作コストが
高く、後者の特許による合金被覆は、製作コストは安い
が、水素過電圧を低減する効果が不十分なことなど、両
者共問題点を抱えている。
過電圧電極、いわゆる活性陰極に関してもこれまで多く
の提案がなされている。水素過電圧400mVという鉄
陰極に対して、200〜250mVの電圧低減が可能な
電極、例えば特開昭59−25940号あるいは特開平
6−146046号明細書に示されるように電極基材表
面に水素吸蔵合金や白金族酸化物を付着させたもの、特
公昭40−9130号に示されるように電極基材表面に
鉄、コバルト、ニッケル等の遷移金属とタングステン、
モリブデンとの合金層を被覆したものなどが開示されて
いる。しかし、前者の水素吸蔵合金や白金族酸化物を付
着させた電極は、比較的材料が高価なため製作コストが
高く、後者の特許による合金被覆は、製作コストは安い
が、水素過電圧を低減する効果が不十分なことなど、両
者共問題点を抱えている。
【0004】鉄、コバルトおよびニッケルとモリブデン
の合金メッキに於ける上記の問題点に対し、特開昭55
−65376号では、合金メッキ浴槽に水溶性ポリアミ
ンを添加して改良を図っているが、ポリアミンの溶解p
H領域が狭いため工業的なメッキ浴管理の面でやや困難
であり、また、低水素過電圧特性が十分でないなどの問
題点を抱えている。
の合金メッキに於ける上記の問題点に対し、特開昭55
−65376号では、合金メッキ浴槽に水溶性ポリアミ
ンを添加して改良を図っているが、ポリアミンの溶解p
H領域が狭いため工業的なメッキ浴管理の面でやや困難
であり、また、低水素過電圧特性が十分でないなどの問
題点を抱えている。
【0005】このようにこれまで開示されている多くの
活性陰極は、電極基材とその上に被覆された低水素過電
圧を示す特定組成の触媒物質層とで構成されたものであ
り、その被覆方法も様々である。例えば、上記特許の例
のように活性物質を分散させた浴や金属塩を溶解させた
浴等から触媒物質を電析させる湿式メッキによる方法、
例えば特開昭61−41786号に示されるように、溶
融状態の触媒物質金属を基材に直接溶射する方法、また
は特開昭61−295386号に開示されているよう
に、金属塩溶液を基材上に塗布し、乾燥、還元処理等を
施して触媒物質層を得る方法等がある。しかし、前者の
湿式メッキ法では、電析電位の差等により被覆出来る合
金組成が限定される。また、メッキ浴中の活性物質や金
属成分等の組成がメッキ時間と共に変化し易く、均質な
合金層を常に安定に得るためには十分な浴管理が必要で
ある等の問題点がある。一方後者の2つの方法では、被
覆時に高温熱処理を行うので蒸気圧の差が大きい元素間
の合金化は困難である。また、高温処理により結晶化が
促進されるので、性能が優れているアモルファスもしく
は微結晶の構造が得にくい等の問題点がある。この内、
結晶化を避ける方法として、例えば特開平7−2686
76号に記載されているスパッター法等が試みられてい
るが、製膜速度が遅い等、依然として問題点を抱えてい
る。
活性陰極は、電極基材とその上に被覆された低水素過電
圧を示す特定組成の触媒物質層とで構成されたものであ
り、その被覆方法も様々である。例えば、上記特許の例
のように活性物質を分散させた浴や金属塩を溶解させた
浴等から触媒物質を電析させる湿式メッキによる方法、
例えば特開昭61−41786号に示されるように、溶
融状態の触媒物質金属を基材に直接溶射する方法、また
は特開昭61−295386号に開示されているよう
に、金属塩溶液を基材上に塗布し、乾燥、還元処理等を
施して触媒物質層を得る方法等がある。しかし、前者の
湿式メッキ法では、電析電位の差等により被覆出来る合
金組成が限定される。また、メッキ浴中の活性物質や金
属成分等の組成がメッキ時間と共に変化し易く、均質な
合金層を常に安定に得るためには十分な浴管理が必要で
ある等の問題点がある。一方後者の2つの方法では、被
覆時に高温熱処理を行うので蒸気圧の差が大きい元素間
の合金化は困難である。また、高温処理により結晶化が
促進されるので、性能が優れているアモルファスもしく
は微結晶の構造が得にくい等の問題点がある。この内、
結晶化を避ける方法として、例えば特開平7−2686
76号に記載されているスパッター法等が試みられてい
るが、製膜速度が遅い等、依然として問題点を抱えてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水の
電気分解または食塩等のアルカリ金属塩化物の水溶液電
気分解に使用する場合、水素過電圧が十分に低い陰極お
よびその製造方法を提供することにある。
電気分解または食塩等のアルカリ金属塩化物の水溶液電
気分解に使用する場合、水素過電圧が十分に低い陰極お
よびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記問題点
を解決するため鋭意検討した結果、ターゲット構成原子
をアーク放電により蒸発、イオン化し、基材上に触媒物
質を被覆するアーク放電型イオンプレーティング法で作
製した陰極が優れた低水素過電圧を示すことを見いだし
た。また、湿式メッキ法で、従来のメッキ浴に添加剤を
加えて系を複雑にすることなく、浴組成とpHを特定の
領域に制御することにより、低コストで低水素過電圧性
能に優れた組成と構造の皮膜で被覆された電極を製作で
きることも見いだした。
を解決するため鋭意検討した結果、ターゲット構成原子
をアーク放電により蒸発、イオン化し、基材上に触媒物
質を被覆するアーク放電型イオンプレーティング法で作
製した陰極が優れた低水素過電圧を示すことを見いだし
た。また、湿式メッキ法で、従来のメッキ浴に添加剤を
加えて系を複雑にすることなく、浴組成とpHを特定の
領域に制御することにより、低コストで低水素過電圧性
能に優れた組成と構造の皮膜で被覆された電極を製作で
きることも見いだした。
【0008】すなわち、本発明の低水素過電圧陰極は、
導電性基材上に、ニッケルとモリブデンを含む合金層を
被覆した低水素過電圧陰極であって、ニッケル含有量が
35〜90重量%、モリブデン含有量が10〜65重量
%であり、かつCuKα線によるX線回折において、角
度42〜45度の間に主ピークがあり、その半値幅が
0.4〜7度である合金層からなる低水素過電圧陰極で
ある。
導電性基材上に、ニッケルとモリブデンを含む合金層を
被覆した低水素過電圧陰極であって、ニッケル含有量が
35〜90重量%、モリブデン含有量が10〜65重量
%であり、かつCuKα線によるX線回折において、角
度42〜45度の間に主ピークがあり、その半値幅が
0.4〜7度である合金層からなる低水素過電圧陰極で
ある。
【0009】また、この合金層には、ニッケル及びモリ
ブデン以外に4d遷移金属、貴金属及びランタノイドの
少なくとも一元素を0.1〜10重量%含むことが好ま
しい。
ブデン以外に4d遷移金属、貴金属及びランタノイドの
少なくとも一元素を0.1〜10重量%含むことが好ま
しい。
【0010】本発明の低水素過電圧陰極を製造する一つ
の方法は、ニッケル35〜90重量%、モリブデン10
〜65重量%を含むターゲット又はニッケル及びモリブ
デン以外に4d遷移金属、貴金属及びランタノイドの少
なくとも一元素を0.1〜10重量%含むターゲットを
使用し、かつ導電性基材の電位を−100〜50Vと
し、反応ガスとして水素、炭素、窒素、酸素の少なくと
も一種を含むガスを導入し、アーク放電型イオンプレー
ティング法にて導電性基材上に製膜することを特徴とす
る製造方法である。
の方法は、ニッケル35〜90重量%、モリブデン10
〜65重量%を含むターゲット又はニッケル及びモリブ
デン以外に4d遷移金属、貴金属及びランタノイドの少
なくとも一元素を0.1〜10重量%含むターゲットを
使用し、かつ導電性基材の電位を−100〜50Vと
し、反応ガスとして水素、炭素、窒素、酸素の少なくと
も一種を含むガスを導入し、アーク放電型イオンプレー
ティング法にて導電性基材上に製膜することを特徴とす
る製造方法である。
【0011】本発明の低水素過電圧陰極を製造する他の
方法は、ニッケルイオンとモリブデン酸イオンと錯化剤
を含むメッキ浴で、該メッキ浴中のニッケルイオンとモ
リブデン酸イオンのモル比がMo/(Ni+Mo)=5
〜20モル%で、かつ該メッキ浴中のニッケルイオンと
モリブデン酸イオンの合計濃度が0.1〜0.5モル/
リットルの範囲で存在し、更に該メッキ浴のpHが7〜
9であるメッキ浴を用いて、少なくともニッケルおよび
モリブデンを導電性基材上に共電着させることを特徴と
する製造方法である。
方法は、ニッケルイオンとモリブデン酸イオンと錯化剤
を含むメッキ浴で、該メッキ浴中のニッケルイオンとモ
リブデン酸イオンのモル比がMo/(Ni+Mo)=5
〜20モル%で、かつ該メッキ浴中のニッケルイオンと
モリブデン酸イオンの合計濃度が0.1〜0.5モル/
リットルの範囲で存在し、更に該メッキ浴のpHが7〜
9であるメッキ浴を用いて、少なくともニッケルおよび
モリブデンを導電性基材上に共電着させることを特徴と
する製造方法である。
【0012】合金層を被覆する導電性基材は、例えば、
ニッケル、鉄、銅、チタンやステンレス合金鋼等で、特
に苛性アルカリに対して耐食性の優れたものであれば使
用できる。導電性基材の形状は、特に限定されるもので
はなく、一般に電解槽の陰極に合わせた形状のもの、例
えば平板状、曲板状、エキスパンドメタル状、パンチメ
タル状、網状、多孔板状等が使用される。
ニッケル、鉄、銅、チタンやステンレス合金鋼等で、特
に苛性アルカリに対して耐食性の優れたものであれば使
用できる。導電性基材の形状は、特に限定されるもので
はなく、一般に電解槽の陰極に合わせた形状のもの、例
えば平板状、曲板状、エキスパンドメタル状、パンチメ
タル状、網状、多孔板状等が使用される。
【0013】このような導電性基材表面に合金層を被覆
する前に、予め、脱脂、真空加熱、イオンボンバードメ
ント等の一般的な前処理を行うことが好ましい。また、
導電性基材に適当なニッケル合金メッキを行ったり、カ
ーボンや白金族金属等の導電性微粒子等を付着させるこ
とにより、基材表面の凹凸度を高め、基材と合金層の密
着性を強固にすることも有効である。また、合金層の厚
みは、薄すぎると水素過電圧の高い基材の影響を受けて
水素過電圧が高くなり、厚すぎると剥離しやすいので、
5〜500μmが適当である。
する前に、予め、脱脂、真空加熱、イオンボンバードメ
ント等の一般的な前処理を行うことが好ましい。また、
導電性基材に適当なニッケル合金メッキを行ったり、カ
ーボンや白金族金属等の導電性微粒子等を付着させるこ
とにより、基材表面の凹凸度を高め、基材と合金層の密
着性を強固にすることも有効である。また、合金層の厚
みは、薄すぎると水素過電圧の高い基材の影響を受けて
水素過電圧が高くなり、厚すぎると剥離しやすいので、
5〜500μmが適当である。
【0014】以下に、アーク放電型イオンプレーティン
グ法(AIP法)、次いで湿式メッキ法の順で、本発明
の組成と構造の合金層を得るための方法を具体的に記述
する。
グ法(AIP法)、次いで湿式メッキ法の順で、本発明
の組成と構造の合金層を得るための方法を具体的に記述
する。
【0015】まずAIP法について説明する。AIP法
に使用するターゲットは、一般的にイオンプレーティン
グ法で使用するターゲットと同様の方法で作製される。
すなわち、ターゲット構成元素を、ボールミル等で物理
混合した後、CIP(冷間静水圧プレス)、HIP(熱
間静水圧プレス)等により加圧成形して作製するが、特
にその方法は限定されるものではなく、ターゲット構成
元素が均一に混合されており緻密なものを使用する。ま
た、ターゲット作製時において、必ずしも合金化されて
いる必要はない。
に使用するターゲットは、一般的にイオンプレーティン
グ法で使用するターゲットと同様の方法で作製される。
すなわち、ターゲット構成元素を、ボールミル等で物理
混合した後、CIP(冷間静水圧プレス)、HIP(熱
間静水圧プレス)等により加圧成形して作製するが、特
にその方法は限定されるものではなく、ターゲット構成
元素が均一に混合されており緻密なものを使用する。ま
た、ターゲット作製時において、必ずしも合金化されて
いる必要はない。
【0016】AIP法では、原理的に皮膜合金の組成は
ほぼターゲットの組成と等しくなるので、ターゲットの
組成を制御することで、容易に任意の組成の皮膜を得る
ことが出来る。また、ニッケルとモリブデンとでは蒸気
圧の差が大きいので、高温処理を必要とする溶射法等で
は製膜が困難であるが、本発明の方法によれば、ターゲ
ット原子をアーク放電を用いて比較的低温で蒸発させる
ので、蒸気圧の差が大きく溶射法等では作製が困難な元
素間の合金化も容易である。
ほぼターゲットの組成と等しくなるので、ターゲットの
組成を制御することで、容易に任意の組成の皮膜を得る
ことが出来る。また、ニッケルとモリブデンとでは蒸気
圧の差が大きいので、高温処理を必要とする溶射法等で
は製膜が困難であるが、本発明の方法によれば、ターゲ
ット原子をアーク放電を用いて比較的低温で蒸発させる
ので、蒸気圧の差が大きく溶射法等では作製が困難な元
素間の合金化も容易である。
【0017】合金層の厚さは、成膜時間により容易に制
御出来る。ニッケルとモリブデンの合金の場合、製膜速
度は数μm/10分程度だが、複数のターゲットを同時
に使用することで製膜速度を上げることが可能であり、
他のイオンプレーティング法あるいはスパッタリング法
等では困難な厚膜化も容易である。
御出来る。ニッケルとモリブデンの合金の場合、製膜速
度は数μm/10分程度だが、複数のターゲットを同時
に使用することで製膜速度を上げることが可能であり、
他のイオンプレーティング法あるいはスパッタリング法
等では困難な厚膜化も容易である。
【0018】AIP法で、本発明における組成と構造の
合金層を得るには、ターゲット組成および製膜条件を制
御すればよい。すなわち、ニッケル35〜90重量%、
モリブデン10〜65重量%を含むターゲットを使用
し、基材に−100〜50Vの電位をかけて製膜を行
う。
合金層を得るには、ターゲット組成および製膜条件を制
御すればよい。すなわち、ニッケル35〜90重量%、
モリブデン10〜65重量%を含むターゲットを使用
し、基材に−100〜50Vの電位をかけて製膜を行
う。
【0019】合金層にニッケル及びモリブデン以外の4
d遷移金属、貴金属及びランタノイドの少なくとも一元
素を含有させる場合には、ニッケル及びモリブデン以外
に当該元素を0.1〜10重量%含むターゲットを使用
する。
d遷移金属、貴金属及びランタノイドの少なくとも一元
素を含有させる場合には、ニッケル及びモリブデン以外
に当該元素を0.1〜10重量%含むターゲットを使用
する。
【0020】また、反応ガスとして、水素、炭素、窒
素、酸素の少なくとも一種を含むガスを導入して製膜を
実施する。水素含有ガスとは、例えばH2 、H2 Oのよ
うに、ガス成分中に水素原子を含むガスのことである。
炭素含有ガスとしては、例えばCH4 、C2 H6 等が、
窒素含有ガスとしては、例えばN2 、NH3 等が、酸素
含有ガスとしては、例えばO2 、CO等があるが、反応
ガスはここに例示したガスに限定されるものではない。
上記条件でアーク放電型イオンプレーティングを行うこ
とにより、合金層中のニッケル含有量が35〜90重量
%、モリブデン含有量が10〜65重量%であり、かつ
CuKα線によるX線回折において、角度42〜45度
の間に主ピークがあり、その半値幅が0.4〜7度であ
る合金層からなる低水素過電圧陰極が得られる。
素、酸素の少なくとも一種を含むガスを導入して製膜を
実施する。水素含有ガスとは、例えばH2 、H2 Oのよ
うに、ガス成分中に水素原子を含むガスのことである。
炭素含有ガスとしては、例えばCH4 、C2 H6 等が、
窒素含有ガスとしては、例えばN2 、NH3 等が、酸素
含有ガスとしては、例えばO2 、CO等があるが、反応
ガスはここに例示したガスに限定されるものではない。
上記条件でアーク放電型イオンプレーティングを行うこ
とにより、合金層中のニッケル含有量が35〜90重量
%、モリブデン含有量が10〜65重量%であり、かつ
CuKα線によるX線回折において、角度42〜45度
の間に主ピークがあり、その半値幅が0.4〜7度であ
る合金層からなる低水素過電圧陰極が得られる。
【0021】基材の電位としては、−60〜30Vがよ
り好ましい。イオンプレーティング法では、ターゲット
構成原子をイオン化して基材に被覆するが、基材の電位
が請求の範囲を逸脱すると、被覆するイオンの運動エネ
ルギーが過大となるため基材との衝突により基材の温度
が著しく上昇し、請求項に記載した結晶構造の皮膜を得
ることが出来ない。また、基材の電位の絶対値が大きく
なると、皮膜組成とターゲット組成とのずれが大きくな
り、目的の組成の合金層が得られない。
り好ましい。イオンプレーティング法では、ターゲット
構成原子をイオン化して基材に被覆するが、基材の電位
が請求の範囲を逸脱すると、被覆するイオンの運動エネ
ルギーが過大となるため基材との衝突により基材の温度
が著しく上昇し、請求項に記載した結晶構造の皮膜を得
ることが出来ない。また、基材の電位の絶対値が大きく
なると、皮膜組成とターゲット組成とのずれが大きくな
り、目的の組成の合金層が得られない。
【0022】次に湿式メッキ法について説明する。湿式
メッキ法では、メッキに使用する対極の種類は特に制限
はないが、ニッケル板などの溶性電極や白金板や白金を
コートしたチタン板などの不溶性電極等が使用できる。
メッキ法では、メッキに使用する対極の種類は特に制限
はないが、ニッケル板などの溶性電極や白金板や白金を
コートしたチタン板などの不溶性電極等が使用できる。
【0023】本発明における組成と構造の合金層を製作
するためには、湿式メッキで使用するメッキ浴組成は特
定の濃度領域に制御されなければならない。即ち、メッ
キ浴中にニッケルイオンとモリブデン酸イオンと錯化剤
を含むメッキ浴で、該メッキ浴中のニッケルイオンとモ
リブデン酸イオンのモル比がMo/(Ni+Mo)=5
〜20モル%で、かつ該メッキ浴中のニッケルイオンと
モリブデン酸イオンの合計濃度が0.1〜0.5モル/
リットルの範囲で存在するメッキ浴を用いることであ
る。ニッケル源、モリブデン源としては特に制限されな
いが、前者は一般に用いられる硫酸ニッケル、塩化ニッ
ケルなどのニッケル塩を単独または混合して使用すれば
良く、後者はモリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カ
リウムやモリブデン酸アンモニウムなどを使用すれば良
い。メッキ浴中に加えられる錯化剤としては特に制限は
ないが、ニッケルイオンと錯形成し易い錯化剤であれば
良く、例えばクエン酸、酒石酸、ピロリン酸などが用い
られる。また、錯化剤の使用量も特に制限されるもので
はないが、一般的にメッキ浴中のニッケルイオンとモリ
ブデン酸イオンの合計濃度に対して0.1〜2倍モル量
程度であれば良い。
するためには、湿式メッキで使用するメッキ浴組成は特
定の濃度領域に制御されなければならない。即ち、メッ
キ浴中にニッケルイオンとモリブデン酸イオンと錯化剤
を含むメッキ浴で、該メッキ浴中のニッケルイオンとモ
リブデン酸イオンのモル比がMo/(Ni+Mo)=5
〜20モル%で、かつ該メッキ浴中のニッケルイオンと
モリブデン酸イオンの合計濃度が0.1〜0.5モル/
リットルの範囲で存在するメッキ浴を用いることであ
る。ニッケル源、モリブデン源としては特に制限されな
いが、前者は一般に用いられる硫酸ニッケル、塩化ニッ
ケルなどのニッケル塩を単独または混合して使用すれば
良く、後者はモリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カ
リウムやモリブデン酸アンモニウムなどを使用すれば良
い。メッキ浴中に加えられる錯化剤としては特に制限は
ないが、ニッケルイオンと錯形成し易い錯化剤であれば
良く、例えばクエン酸、酒石酸、ピロリン酸などが用い
られる。また、錯化剤の使用量も特に制限されるもので
はないが、一般的にメッキ浴中のニッケルイオンとモリ
ブデン酸イオンの合計濃度に対して0.1〜2倍モル量
程度であれば良い。
【0024】さらに、本発明における組成と構造の合金
層を製作するためには、メッキ浴pHを特定の領域に制
御しなければならない。即ち、pHが7〜9のメッキ浴
を用いれば良く、このpHの調整に使用する薬剤として
は特に制限はないが、硫酸や塩酸などの無機酸や水酸化
ナトリウムやアンモニア水等の無機塩基を使用すれば良
い。
層を製作するためには、メッキ浴pHを特定の領域に制
御しなければならない。即ち、pHが7〜9のメッキ浴
を用いれば良く、このpHの調整に使用する薬剤として
は特に制限はないが、硫酸や塩酸などの無機酸や水酸化
ナトリウムやアンモニア水等の無機塩基を使用すれば良
い。
【0025】本発明における合金層の組成と構造は、メ
ッキ浴の温度、メッキ電流密度によっても影響を受ける
が、これらは、例えば特公昭40−9130号や特開昭
55−65376号の実施例に示されるような一般的な
条件範囲を選択することによって維持することができ
る。即ち、メッキ浴の温度としては、20℃〜70℃の
範囲を選択すれば良く、これより低い温度ではメッキ効
率が低いため経済性に難があり、これより高い温度では
合金層の皮膜が脆くなるという問題が生じる。また、メ
ッキ電流密度としては、2〜20A/dm2 の範囲を選
択すれば良く、これより低いメッキ電流密度では、合金
層のモリブデン含有率が本発明の範囲より低くなるため
に陰極過電圧が高い電極しか得られず、これより高い電
流密度ではメッキ効率が低いために経済性が悪い。
ッキ浴の温度、メッキ電流密度によっても影響を受ける
が、これらは、例えば特公昭40−9130号や特開昭
55−65376号の実施例に示されるような一般的な
条件範囲を選択することによって維持することができ
る。即ち、メッキ浴の温度としては、20℃〜70℃の
範囲を選択すれば良く、これより低い温度ではメッキ効
率が低いため経済性に難があり、これより高い温度では
合金層の皮膜が脆くなるという問題が生じる。また、メ
ッキ電流密度としては、2〜20A/dm2 の範囲を選
択すれば良く、これより低いメッキ電流密度では、合金
層のモリブデン含有率が本発明の範囲より低くなるため
に陰極過電圧が高い電極しか得られず、これより高い電
流密度ではメッキ効率が低いために経済性が悪い。
【0026】本発明の導電性基材表面に被覆される合金
層は、少なくともニッケルおよびモリブデンからなる合
金層であって、X線回折においてその半値幅が0.4〜
7度であるピークを示す合金層に制御されなければなら
ない。その半値幅の制御のためには、合金層の製作時お
よび製作後の温度が非常に重要である。即ち、150℃
以上の加熱処理操作により結晶性が高くなり、上記半値
幅の範囲からはずれる。例えば、特開昭55−1009
88号明細書に記載されるようなニッケル−モリブデン
陰極においては、炎吹き付け方法によって製作されるた
め、非常に高温の加熱操作を伴い、半値幅が本発明の請
求の範囲内であるピークを示す合金層は得られない。こ
のように製作時または製作後に150℃以上の何らかの
加熱操作が含まれる場合、本発明に記載の半値幅を示す
結晶構造は得られないか、又は崩壊し、陰極過電圧が極
めて高い電極しか得られない。従って、メッキ後の加熱
処理を実施しない方が良い。特に150℃以上の加熱処
理によって、X線回折ピークがシャープとなり、更にM
o単結晶やNiとMoの金属間化合物の結晶等が生成し
て結晶構造に変化が観測され、陰極過電圧が顕著に高く
なる。
層は、少なくともニッケルおよびモリブデンからなる合
金層であって、X線回折においてその半値幅が0.4〜
7度であるピークを示す合金層に制御されなければなら
ない。その半値幅の制御のためには、合金層の製作時お
よび製作後の温度が非常に重要である。即ち、150℃
以上の加熱処理操作により結晶性が高くなり、上記半値
幅の範囲からはずれる。例えば、特開昭55−1009
88号明細書に記載されるようなニッケル−モリブデン
陰極においては、炎吹き付け方法によって製作されるた
め、非常に高温の加熱操作を伴い、半値幅が本発明の請
求の範囲内であるピークを示す合金層は得られない。こ
のように製作時または製作後に150℃以上の何らかの
加熱操作が含まれる場合、本発明に記載の半値幅を示す
結晶構造は得られないか、又は崩壊し、陰極過電圧が極
めて高い電極しか得られない。従って、メッキ後の加熱
処理を実施しない方が良い。特に150℃以上の加熱処
理によって、X線回折ピークがシャープとなり、更にM
o単結晶やNiとMoの金属間化合物の結晶等が生成し
て結晶構造に変化が観測され、陰極過電圧が顕著に高く
なる。
【0027】皮膜組成としては、ニッケル40〜85重
量%、モリブデン15〜60重量%がより好ましく、さ
らに好ましくはニッケル45〜80重量%、モリブデン
20〜55重量%である。ニッケルあるいはモリブデン
含有量が特許請求の範囲を逸脱すると、ニッケルあるい
はモリブデン金属単独の領域が皮膜中で増加し、ニッケ
ルとモリブデンの合金層が得られず過電圧は著しく上昇
する。また、ニッケルおよびモリブデン含有量が特許請
求の範囲内であっても、ピーク位置あるいは半値幅が特
許請求の範囲外であると、結晶構造が低水素過電圧を示
す結晶構造とは異なるため過電圧は高い。
量%、モリブデン15〜60重量%がより好ましく、さ
らに好ましくはニッケル45〜80重量%、モリブデン
20〜55重量%である。ニッケルあるいはモリブデン
含有量が特許請求の範囲を逸脱すると、ニッケルあるい
はモリブデン金属単独の領域が皮膜中で増加し、ニッケ
ルとモリブデンの合金層が得られず過電圧は著しく上昇
する。また、ニッケルおよびモリブデン含有量が特許請
求の範囲内であっても、ピーク位置あるいは半値幅が特
許請求の範囲外であると、結晶構造が低水素過電圧を示
す結晶構造とは異なるため過電圧は高い。
【0028】この合金層に、ニッケル及びモリブデン以
外に4d遷移金属、貴金属及びランタノイドの少なくと
も一元素を0.1〜10重量%含むと、さらに水素過電
圧が低くなり好ましい。
外に4d遷移金属、貴金属及びランタノイドの少なくと
も一元素を0.1〜10重量%含むと、さらに水素過電
圧が低くなり好ましい。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例により何等限定されるものではない。
れらの実施例により何等限定されるものではない。
【0030】実施例1〜7 60wt%Ni−40wt%Mo(50at%Ni−5
0at%Mo)の組成を有するターゲットを使用してア
ーク放電型イオンプレーティングを行い、実施例1〜7
の試料を得た。基材は、脱脂等を施して表面を清浄にし
たニッケル板(40×50mm2 )を用いた。アーク放
電型イオンプレーティングは(株)昭和真空製(型式:
SIA−400T)イオンプレーティング装置を用いて
行った。1×10-3Torrの真空下、アーク電流10
0Aで50分間製膜を行い、基材上にNi−Mo合金層
が約20〜30μmの厚さで被覆された電極を作製し
た。各皮膜の製膜条件を表1に、得られた皮膜の特性を
表2に示す。
0at%Mo)の組成を有するターゲットを使用してア
ーク放電型イオンプレーティングを行い、実施例1〜7
の試料を得た。基材は、脱脂等を施して表面を清浄にし
たニッケル板(40×50mm2 )を用いた。アーク放
電型イオンプレーティングは(株)昭和真空製(型式:
SIA−400T)イオンプレーティング装置を用いて
行った。1×10-3Torrの真空下、アーク電流10
0Aで50分間製膜を行い、基材上にNi−Mo合金層
が約20〜30μmの厚さで被覆された電極を作製し
た。各皮膜の製膜条件を表1に、得られた皮膜の特性を
表2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】皮膜の合金組成はX線マイクロアナライザ
ーで分析し、Ni濃度+Mo濃度=100として換算し
た値を示す。主ピークの位置および半値幅は、CuKα
線によるX線回折図形から求めた。また、水素過電圧は
90℃、32.5%の苛性ソーダ液中にて、40A/d
m2 の電流密度でカレントインタラプター法により測定
した。図1および図2にそれぞれ実施例3および実施例
6で得られた皮膜のX線回折図形を示す。
ーで分析し、Ni濃度+Mo濃度=100として換算し
た値を示す。主ピークの位置および半値幅は、CuKα
線によるX線回折図形から求めた。また、水素過電圧は
90℃、32.5%の苛性ソーダ液中にて、40A/d
m2 の電流密度でカレントインタラプター法により測定
した。図1および図2にそれぞれ実施例3および実施例
6で得られた皮膜のX線回折図形を示す。
【0034】比較例1〜2 基材の電位を−300Vとする以外は実施例1と同様の
条件で製膜を実施した。製膜の条件および得られた皮膜
の性能をそれぞれ表1および表2に示す。得られた皮膜
の半値幅が特許請求の範囲外であるため、過電圧は28
0〜320mV程度と高い値を示す。図3に比較例2で
得られた皮膜のX線回折図形を示す。
条件で製膜を実施した。製膜の条件および得られた皮膜
の性能をそれぞれ表1および表2に示す。得られた皮膜
の半値幅が特許請求の範囲外であるため、過電圧は28
0〜320mV程度と高い値を示す。図3に比較例2で
得られた皮膜のX線回折図形を示す。
【0035】実施例8〜10 60wt%Ni−40wt%Moの組成のターゲット、
及びこの組成に5wt%のAg又はLaを添加したター
ゲットを使用して、アーク放電型イオンプレーティング
を行い実施例8〜10の試料を得た。各皮膜の製膜条件
を表3に、得られた結果を表4に示す。
及びこの組成に5wt%のAg又はLaを添加したター
ゲットを使用して、アーク放電型イオンプレーティング
を行い実施例8〜10の試料を得た。各皮膜の製膜条件
を表3に、得られた結果を表4に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】実施例11〜14 残部はNiでMo濃度が10〜65wt%の間の4種類
の組成のターゲットを使用し、1×10-3Torrの真
空下、アーク電流100Aで50分間、表5に示す条件
で製膜を行った。得られた皮膜の性能を表6に示す。
の組成のターゲットを使用し、1×10-3Torrの真
空下、アーク電流100Aで50分間、表5に示す条件
で製膜を行った。得られた皮膜の性能を表6に示す。
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】比較例3〜4 比較例3および比較例4は、それぞれ組成比95wt%
Ni−5wt%Moおよび25wt%Ni−75wt%
Moのターゲットを使用し、実施例11と同様の条件で
製膜を実施した。製膜条件および得られた皮膜の特性を
それぞれ表5および表6に示す。比較例3ではNiおよ
びMo含有量が、比較例4ではNiおよびMo含有量と
ピーク位置が特許請求の範囲外であるため、過電圧は高
い。図4に比較例4で得られた皮膜のX線回折図形を示
す。
Ni−5wt%Moおよび25wt%Ni−75wt%
Moのターゲットを使用し、実施例11と同様の条件で
製膜を実施した。製膜条件および得られた皮膜の特性を
それぞれ表5および表6に示す。比較例3ではNiおよ
びMo含有量が、比較例4ではNiおよびMo含有量と
ピーク位置が特許請求の範囲外であるため、過電圧は高
い。図4に比較例4で得られた皮膜のX線回折図形を示
す。
【0042】実施例15 硫酸ニッケル(6水和物)0.228モル/リットル、
モリブデン酸ナトリウム(2水和物)0.012モル/
リットルおよびクエン酸三ナトリウム(2水和物)0.
344モル/リットルを溶解し、メッキ浴を調製した。
この浴に28%アンモニア水を添加し、pH8.0とし
た。電極基材として予めアルコール脱脂、硝酸エッチン
グを施したニッケルディスク板(電極面積78.5mm
2 )を、対極材としてニッケル板を用いた。
モリブデン酸ナトリウム(2水和物)0.012モル/
リットルおよびクエン酸三ナトリウム(2水和物)0.
344モル/リットルを溶解し、メッキ浴を調製した。
この浴に28%アンモニア水を添加し、pH8.0とし
た。電極基材として予めアルコール脱脂、硝酸エッチン
グを施したニッケルディスク板(電極面積78.5mm
2 )を、対極材としてニッケル板を用いた。
【0043】メッキ浴を50℃にコントロールしながら
電流密度5A/dm2 で24分間メッキを行い、電極基
材上にニッケル−モリブデン合金層を析出させた電極を
作製した。合金層をX線マイクロアナライザーで測定し
たところ、モリブデン濃度は39.0wt%であり、C
uKα線によるX線回折測定における主ピークの位置
は、43.7度、半値幅は5.3度であった。
電流密度5A/dm2 で24分間メッキを行い、電極基
材上にニッケル−モリブデン合金層を析出させた電極を
作製した。合金層をX線マイクロアナライザーで測定し
たところ、モリブデン濃度は39.0wt%であり、C
uKα線によるX線回折測定における主ピークの位置
は、43.7度、半値幅は5.3度であった。
【0044】この電極を用いて、90℃にて32.5%
の苛性ソーダ液中で水素過電圧を測定したところ、40
A/dm2 の電流密度で108mVであった。
の苛性ソーダ液中で水素過電圧を測定したところ、40
A/dm2 の電流密度で108mVであった。
【0045】実施例16〜22および比較例5〜13 ニッケル源、モリブデン源、錯化剤種、電極基材および
電極基材前処理、対極、合金層のモリブデン濃度測定方
法、X線回折測定方法および水素過電圧測定条件を実施
例15と同じにして、以下の実施例および比較例を実施
した。
電極基材前処理、対極、合金層のモリブデン濃度測定方
法、X線回折測定方法および水素過電圧測定条件を実施
例15と同じにして、以下の実施例および比較例を実施
した。
【0046】実施例16〜17及び比較例5〜6では、
メッキ浴中のMo/(Ni+Mo)モル比を変化させて
合金層を作製した。表7に得られた合金層のモリブデン
濃度と主ピークの位置と半値幅および得られた電極の水
素過電圧を示す。
メッキ浴中のMo/(Ni+Mo)モル比を変化させて
合金層を作製した。表7に得られた合金層のモリブデン
濃度と主ピークの位置と半値幅および得られた電極の水
素過電圧を示す。
【0047】
【表7】
【0048】この表から明らかなように、比較例5およ
び比較例6では、Mo/(Ni+Mo)モル比が特許請
求の範囲外であるため過電圧が高くなった。
び比較例6では、Mo/(Ni+Mo)モル比が特許請
求の範囲外であるため過電圧が高くなった。
【0049】同様に、実施例18〜19及び比較例7〜
8において、メッキ浴中のNi+Mo合計濃度を変化さ
せて合金層を作製した。表8に合金層のモリブデン濃
度、主ピークの位置、半値幅および得られた電極の水素
過電圧を示す。
8において、メッキ浴中のNi+Mo合計濃度を変化さ
せて合金層を作製した。表8に合金層のモリブデン濃
度、主ピークの位置、半値幅および得られた電極の水素
過電圧を示す。
【0050】
【表8】
【0051】実施例20〜22及び比較例9〜10にお
いて、メッキ浴のpH条件を変化させて製作し、表9に
合金層のモリブデン濃度、主ピークの位置、半値幅およ
び得られた電極の水素過電圧を示す。
いて、メッキ浴のpH条件を変化させて製作し、表9に
合金層のモリブデン濃度、主ピークの位置、半値幅およ
び得られた電極の水素過電圧を示す。
【0052】
【表9】
【0053】これらの表8及び表9から明らかなよう
に、比較例7および比較例8では、Ni+Mo合計濃度
が特許請求の範囲外であるため過電圧が高くなり、比較
例9および比較例10では、メッキ浴のpHが特許請求
の範囲外であるため過電圧が高くなった。
に、比較例7および比較例8では、Ni+Mo合計濃度
が特許請求の範囲外であるため過電圧が高くなり、比較
例9および比較例10では、メッキ浴のpHが特許請求
の範囲外であるため過電圧が高くなった。
【0054】比較例11〜13において、メッキ後に空
気中で1時間、150℃の加熱処理を行った際の合金層
の主ピークの位置と半値幅、他にX線回折測定で同定さ
れた結晶構造および水素過電圧の例を表10に示す。
気中で1時間、150℃の加熱処理を行った際の合金層
の主ピークの位置と半値幅、他にX線回折測定で同定さ
れた結晶構造および水素過電圧の例を表10に示す。
【0055】
【表10】
【0056】この表から明らかなように、150℃の熱
処理により半値幅が狭くなると共に、新たに金属間化合
物Ni4 Moのピークが観察され、過電圧が高くなっ
た。
処理により半値幅が狭くなると共に、新たに金属間化合
物Ni4 Moのピークが観察され、過電圧が高くなっ
た。
【0057】X線回折図形の例として、実施例16、比
較例5および比較例11での回折図形を図5、図6およ
び図7に示す。
較例5および比較例11での回折図形を図5、図6およ
び図7に示す。
【0058】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られる活性陰
極を90℃、32.5%の苛性ソーダ液中にて、40A
/dm2 の電流密度で電解すると、水素過電圧が80〜
150mVと低く、本発明により得られる陰極は、非常
に優れた陰極性能を有することが明らかとなった。この
陰極性能は、少なくともニッケルおよびモリブデンから
なる合金層が導電性基材表面に被覆された電極であっ
て、その合金層のモリブデン含有量が10〜65重量%
の範囲で、かつ合金層のCuKα線によるX線回折測定
において、主ピークの位置が42〜45度の間にあり、
半値幅の値が0.4〜7度である回折ピークしか示さな
いように制御することにより得られるものである。
極を90℃、32.5%の苛性ソーダ液中にて、40A
/dm2 の電流密度で電解すると、水素過電圧が80〜
150mVと低く、本発明により得られる陰極は、非常
に優れた陰極性能を有することが明らかとなった。この
陰極性能は、少なくともニッケルおよびモリブデンから
なる合金層が導電性基材表面に被覆された電極であっ
て、その合金層のモリブデン含有量が10〜65重量%
の範囲で、かつ合金層のCuKα線によるX線回折測定
において、主ピークの位置が42〜45度の間にあり、
半値幅の値が0.4〜7度である回折ピークしか示さな
いように制御することにより得られるものである。
【0059】この陰極をアルカリ金属塩化物水溶液電解
に適用すると、消費電力のセービングが可能となり、ク
ロルアルカリ工業における省エネルギーに対する寄与は
大きい。
に適用すると、消費電力のセービングが可能となり、ク
ロルアルカリ工業における省エネルギーに対する寄与は
大きい。
【図1】実施例3で得られた合金層のX線回折図形であ
る。
る。
【図2】実施例6で得られた合金層のX線回折図形であ
る。
る。
【図3】比較例2で得られた合金層のX線回折図形であ
る。
る。
【図4】比較例4で得られた合金層のX線回折図形であ
る。
る。
【図5】実施例16で得られた合金層のX線回折図形で
ある。
ある。
【図6】比較例5で得られた合金層のX線回折図形であ
る。
る。
【図7】比較例11で得られた合金層のX線回折図形で
ある。
ある。
Claims (5)
- 【請求項1】導電性基材上に、ニッケルとモリブデンを
含む合金層を被覆した低水素過電圧陰極であって、ニッ
ケル含有量が35〜90重量%、モリブデン含有量が1
0〜65重量%であり、かつCuKα線によるX線回折
において、角度42〜45度の間に主ピークがあり、そ
の半値幅が0.4〜7度である合金層からなる低水素過
電圧陰極。 - 【請求項2】請求項1に記載の低水素過電圧陰極におい
て、合金層にニッケル及びモリブデン以外に、4d遷移
金属、貴金属及びランタノイドの少なくとも一元素を
0.1〜10重量%含む低水素過電圧陰極。 - 【請求項3】ニッケル35〜90重量%、モリブデン1
0〜65重量%を含むターゲットを使用し、又は、ニッ
ケル及びモリブデン以外に4d遷移金属、貴金属及びラ
ンタノイドの少なくとも一元素を0.1〜10重量%含
むターゲットを使用し、かつ導電性基材の電位を−10
0〜50Vとし、反応ガスとして水素、炭素、窒素、酸
素の少なくとも一種を含むガスを導入し、アーク放電型
イオンプレーティング法にて導電性基材上に製造するこ
とを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の低水素過
電圧陰極の製造方法。 - 【請求項4】ニッケルイオンとモリブデン酸イオンと錯
化剤を含むメッキ浴で、該メッキ浴中のニッケルイオン
とモリブデン酸イオンのモル比がMo/(Ni+Mo)
=5〜20モル%で、かつ該メッキ浴中のニッケルイオ
ンとモリブデン酸イオンの合計濃度が0.1〜0.5モ
ル/リットルの範囲で存在し、更に該メッキ浴のpHが
7〜9であるメッキ浴を用いて、少なくともニッケルお
よびモリブデンを導電性基材上に共電着させることを特
徴とする請求項1及び請求項2に記載の低水素過電圧陰
極の製造方法。 - 【請求項5】ニッケル35〜90重量%、モリブデン1
0〜65重量%を含むターゲットを使用し、かつ導電性
基材の電位を−100〜50Vとし、反応ガスとして水
素、炭素、窒素、酸素の少なくとも一種を含むガスを導
入し、アーク放電型イオンプレーティング法にて製造し
て得た請求項1及び請求項2に記載の低水素過電圧陰
極。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27471296A JP3358465B2 (ja) | 1995-10-18 | 1996-10-17 | 低水素過電圧陰極およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (7)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7-269761 | 1995-10-18 | ||
| JP26976195 | 1995-10-18 | ||
| JP29869495 | 1995-11-16 | ||
| JP7-298694 | 1995-11-16 | ||
| JP16770196 | 1996-06-27 | ||
| JP8-167701 | 1996-06-27 | ||
| JP27471296A JP3358465B2 (ja) | 1995-10-18 | 1996-10-17 | 低水素過電圧陰極およびその製造方法 |
Related Child Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002212970A Division JP3723898B2 (ja) | 1995-10-18 | 2002-07-22 | 低水素過電圧陰極 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1072689A true JPH1072689A (ja) | 1998-03-17 |
| JP3358465B2 JP3358465B2 (ja) | 2002-12-16 |
Family
ID=27474147
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP27471296A Expired - Fee Related JP3358465B2 (ja) | 1995-10-18 | 1996-10-17 | 低水素過電圧陰極およびその製造方法 |
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| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3358465B2 (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2005082856A (ja) * | 2003-09-08 | 2005-03-31 | Osaka Prefecture | ニッケル−モリブデン合金めっき液とそのめっき皮膜及びめっき物品 |
| US7604717B2 (en) | 1999-05-20 | 2009-10-20 | Saint-Gobain Glass France | Electrochemical device |
| CN112813393A (zh) * | 2020-12-31 | 2021-05-18 | 金堆城钼业股份有限公司 | 一种钼镍合金靶材及其制备方法 |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1739208B1 (en) | 2004-04-23 | 2018-08-15 | Tosoh Corporation | Electrode for hydrogen generation, process for producing the same and method of electrolysis therewith |
-
1996
- 1996-10-17 JP JP27471296A patent/JP3358465B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7604717B2 (en) | 1999-05-20 | 2009-10-20 | Saint-Gobain Glass France | Electrochemical device |
| JP2005082856A (ja) * | 2003-09-08 | 2005-03-31 | Osaka Prefecture | ニッケル−モリブデン合金めっき液とそのめっき皮膜及びめっき物品 |
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