JPH1075795A - イノシトールの製造法 - Google Patents

イノシトールの製造法

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JPH1075795A JP23446996A JP23446996A JPH1075795A JP H1075795 A JPH1075795 A JP H1075795A JP 23446996 A JP23446996 A JP 23446996A JP 23446996 A JP23446996 A JP 23446996A JP H1075795 A JPH1075795 A JP H1075795A
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康雅 石井
Shinichi Doi
伸一 土井
Makoto Tanaka
田中  誠
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禮一郎 阪本
Naoto Arai
直人 新井
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 フィチン酸および/またはフィチン酸の
塩類をリン酸加水分解酵素で加水分解してイノシトール
を生成させ、得られたイノシトール含有液を低阻止逆浸
透膜で濾過することにより、透過液中にイノシトールを
得ることを特徴とするイノシトールの製造法。 【効果】 本発明によれば、高純度のイノシトールを経
済的に有利に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィチン酸または
その塩類から高純度のイノシトールを製造する方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】イノシトールはシクロヘキサンの6つの
炭素の有する水素がそれぞれ1個の水酸基で置換された
化合物であり、9種の立体異性体が存在するが、本明細
書における「イノシトール」とは、「ミオイノシトー
ル」と呼ばれる天然型のイノシトールを意味するものと
する。イノシトールは、高等動物にとってビタミンの一
種として重要な物質であり、脂肪、コレステロールの代
謝に重要な役割をつとめ、抗脂肝作用を有し、肝硬変
症、過コレステロール血症等に有効とされている。この
ため、近年では栄養食品、飼料添加物、医薬品などにも
利用され、注目を浴びつつある。
【0003】イノシトールの製造には、脱脂米糠やコー
ンスチープリカーなどの原料から無機あるいは有機の酸
類を用いてフィチン酸のカルシウム、マグネシウム複合
塩であるフィチンを抽出し、次いで抽出液中の蛋白質、
炭水化物等を除去するために、一旦フィチンを沈澱させ
て分別、分離した後に高温高圧下、フィチンを加水分解
してイノシトールを得る方法が一般的に用いられてい
る。
【0004】しかしながらこの方法では、フィチンと不
純物とを十分に分離することは極めて困難である。例え
ば、米糠から酸抽出した抽出液に、アルカリ剤、例えば
水酸化ナトリウム、アンモニア水、水酸化カルシウム等
を加えて濾別する方法では、フィチンの沈殿物がコロイ
ダルなペースト状を呈するため、その分別濾過は非常に
難しく、また蛋白系の不純物が多量に共沈するため、そ
の除去が極めて困難である。
【0005】そのため、フィチン分離工程後におけるフ
ィチンの加水分解では、共存する蛋白質や糖の分解をも
生じ、そのまま濃縮、結晶化してもイノシトールが結晶
として得られず、精製する場合には、その精製に用いる
イオン交換樹脂、活性炭等への負荷は多大なものとな
る。また、同時に副産物として発生するリン酸カルシウ
ムの量はイノシトールの数倍にも及び、しかも結晶が細
かいためイノシトールとの分別も難しく、イノシトール
製造上の大きな障害となっている。さらに、高温高圧下
での加水分解は、特殊な装置や大量のエネルギーを必要
とするため、経済的に不利である。
【0006】ところで、フィターゼ(ミオイノシトール
ヘキサリン酸ホスホヒドロラーゼ:EC3.1.3.8)は、フ
ィチン酸またはその塩類を加水分解してミオイノシトー
ルと無機リン酸塩を生成するリン酸加水分解酵素であ
る。フィターゼは、1907年に米糠中に存在することが明
らかにされており(Suzukiら,Bull.Coll.Agr.Tokio Im
p.Univ. 7,495(1907))、そして1911年にはアスペルギ
ルス種から得られている(Dox and Golden,J.Biol.Che
m.10,183-186(1911))。さらに、フィターゼは小麦のふ
すま、植物の種子、動物の腸および微生物にも見出され
ている。
【0007】フィチン酸またはその塩類にフィターゼを
作用させてイノシトールを生産する方法は既に検討され
ており、この目的に用いるフィターゼとして、アスペル
ギルス属、リゾプス属、サッカロミセス属、ムコール属
等に属する、各種フィターゼ生産能を有する菌株がスク
リーニングされている。さらにこれらの微生物の中で
も、特にアスペルギルス・フィクウム(Aspergillus fi
cuum)が好ましいことが述べられている(Enzyme Micro
b.Thechnol.,5巻377-379(1983)及びAppl.Microbiol.,16
巻 1348-1351(1968))。
【0008】フィターゼとともにフィチン酸またはその
塩類を加水分解する酵素として、酸性ホスファターゼ
(オルトホスフォリック モノエステル ホスホヒドラ
ーゼE.C.3.1.3.2)が知られている。酸性ホスファター
ゼは、植物材料、飼料、食品等に含まれるフィチンに対
しては活性を示さないが、フィターゼと一緒に加える
と、両酵素間の相乗作用により、フィターゼのフィチン
分解活性が向上することが知られている(特開平4-3654
89号公報)。
【0009】このように、フィチン酸またはその塩類に
リン酸加水分解酵素を作用させることによるイノシトー
ルの製法は、無機・有機酸類を用いてフィチンを抽出
し、沈澱・分離した後に加水分解する方法における問題
を解決する有効な手段である。しかしながら、加水分解
した後、イノシトール含有液からイノシトールを効率良
く分離する方法がなく、イノシトールの効率的な分離法
が求められていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、フィ
チン酸またはその塩類をリン酸加水分解酵素で加水分解
してイノシトールを生成させた後、イノシトール含有液
からイノシトールを効率良く分離して、高純度のイノシ
トールを経済的に製造する方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、フィチン酸および/またはフィ
チン酸の塩類をリン酸加水分解酵素で加水分解して得ら
れたイノシトール含有液を低阻止逆浸透膜で処理するこ
とにより、イノシトールを高純度で分離できることを見
出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、フ
ィチン酸および/またはフィチン酸の塩類をリン酸加水
分解酵素で加水分解してイノシトールを生成させ、得ら
れたイノシトール含有液を低阻止逆浸透膜で濾過するこ
とにより、透過液中にイノシトールを得ることを特徴と
するイノシトールの製造法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法では、まずフィチン酸もしくはフィチン酸
の塩類またはそれらの混合物をリン酸加水分解酵素で加
水分解し、イノシトールを生成させる。イノシトールの
原科であるフィチン酸またはその塩は、種子や穀類に多
く含有されているが、フィチン酸は、遊離状態で種子や
穀類に存往することはほとんど無く、多くの場合は、カ
ルシウム・マグネシウム複合塩であるフィチンとして存
在する。即ち、フィチン酸の塩類としては、フィチン酸
の重金属塩やアルカリ土類金属などが挙げられる。
【0013】この加水分解は、フィチン酸および/また
はフィチン酸の塩類の溶液に対して直接リン酸加水分解
酵素を作用させる他、フィチン酸および/またはフィチ
ン酸の塩類を含有する液を酵素反応の基質としてリン酸
加水分解酵素を作用させることによって行うことができ
る。フィチン酸および/またはフィチン酸の塩類を含有
する液としては、例えばコーンスチープリカー、脱脂米
糠の酸抽出液等が挙げられ、これらに適宜精製・濃縮そ
の他の処理を施したものを使用してもよいし、コーンス
チープリカーと脱脂米糠抽出液とを混合して使用しても
よい。
【0014】コーンスチープリカーはとうもろこしの亜
硫酸浸漬液であり、フィチン酸またはその塩類の酸抽出
液であって、イノシトールの工業的製造に常用される原
料である。コーンスチープリカーには通常、およそ2%
(対固形分)のイノシトールに相当するフィチン酸また
はその塩が含まれている。脱脂米糠もイノシトール製造
に好適な原料であり、これを、例えば1%硫酸水溶液で
抽出して、残渣を除いたものを用いることができる。本
発明で用いるリン酸加水分解酵素としては、フィチン酸
またはその塩類を加水分解して、ミオイノシトールと無
機リン酸塩を生成するものであればいかなる酵素であっ
てもよく、例えば、フィターゼを使用することができ
る。
【0015】フィターゼは、いかなるものを由来として
もよいが、例えば米糠、小麦のふすま、植物の種子、動
物の腸、微生物等から得ることができる。微生物として
は、フィターゼ生産能を有するアスペルギルス属、リゾ
プス属、サッカロミセス属、ムコール属等に属する菌を
例示することができる。フィターゼは単独で使用するこ
ともできるが、フィターゼとともに酸性ホスファターゼ
を使用すると、フィターゼのフィチン分解活性を向上さ
せることができるため、フィターゼと酸性フォスファタ
ーゼとを組み合わせて使用するのが好ましい。この場
合、両者を共存させて加水分解を行ってもよいし、先に
フィターゼを作用させた後、次いで酸性ホスファターゼ
を作用させてもよい。
【0016】植物や微生物のなかにはフィターゼと酸性
ホスファターゼの両方を備えるものがあり、例えばアス
ペルギルス・フィクウム(Aspergillus ficuum)(T.R.Sh
iehら :J.Bacteriology,vol.100, p.1161-1165(1969))
やマング・ビーン(N.C.Mandelら :Phytochemistry,vo
l.11, p.495-502(1972))などが挙げられる。なお、こ
れらの酵素は必ずしも精製されたものでなくてもよく、
例えば微生物由来の酵素の場合は、部分精製酵素、培養
液、微生物菌体などを用いることも可能である。
【0017】加水分解は、フィチン酸および/またはフ
ィチン酸の塩類をpH3〜6に調整してリン酸加水分解
酵素を添加し、温度を40〜60℃に保持することにより好
ましく行うことができる。圧力は特に限定されず、常圧
で行うことができる。pHの調整には、アルカリとして
は水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシ
ウム等のアルカリ土類金属溶液を用いることができ、酸
としては塩酸、硫酸、フィチン酸などを用いることがで
きるが、これらに限定されるものではない。なお、コー
ンスチープリカーは、通常pHが3〜6の範囲にあるた
め、そのまま加水分解に供することができる。
【0018】フィチン酸および/またはフィチン酸塩の
溶液、あるいはフィチン酸および/またはフィチン酸の
塩類を含有する液をリン酸加水分解酵素で加水分解する
と、イノシトールを含有する液(イノシトール含有液)
が得られる。このイノシトール含有液には、イノシトー
ルの他、未分解のフィチン酸およびその塩類、加水分解
により生じたリン酸塩などが含まれる。特に、酵素基質
としてコーンスチープリカーや米糠の酸抽出液を使用し
た場合には、更に蛋白質、炭水化物などが不純物として
混在する。
【0019】従って、イノシトール含有液をそのまま濃
縮、結晶化してもイノシトールを結晶として得ることは
できない。イオン交換樹脂、活性炭等でイノシトール含
有液を精製するとしても、それらに対する負荷は多大な
ものとなる。また、同時に副産物として発生するリン酸
カルシウムの量はイノシトールの数倍にも及び、しかも
結晶が細かいためイノシトールとの分別も難しい。
【0020】これらの問題を解決するために、本発明で
は、イノシトール含有液を低阻止逆浸透膜で処理する。
即ち、フィチン酸および/またはフィチン酸塩の溶液、
あるいはフィチン酸および/またはフィチン酸の塩類を
含有する液をリン酸加水分解酵素で加水分解し、得られ
たイノシトール含有液を低阻止逆浸透膜で濾過すること
により、イノシトール含有液に含まれる未分解のフィチ
ン酸およびその塩類や、加水分解によって生じたリン酸
塩等の不純物とイノシトールとを分離して、透過液中に
イノシトールを得る。
【0021】コーンスチープリカーや米糠の酸抽出液を
加水分解して得られたイノシトール含有液には、上記不
純物の他に蛋白質、炭水化物などが含まれ、低阻止逆浸
透膜で濾過することにより、これらの不純物とイノシト
ールとを分離して透過液中にイノシトールを得ることが
できる。低阻止逆浸透膜とは、一般に限外濾過膜と逆浸
透膜の中間的領域の性質を有する膜であり、本発明で
は、分子量数百程度の物質の一部を通過させるポアサイ
ズを有する、食塩阻止率が10〜60%の低阻止逆浸透膜を
使用するのが好ましい。ポアサイズが大き過ぎるとフィ
チン酸およびその塩類、リン酸塩、蛋白質、糖類等が膜
に阻止されずに通過し、他方、ポアサイズがあまりに小
さいとイノシトールの通過量が少なく、実用的でない。
【0022】低阻止逆浸透膜の素材としては、ポリスル
ホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポ
リアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、その他公知の
重合体、またはそれらの混合物のいずれであってもよ
い。また、低阻止逆浸透膜の形状は、平膜、中空糸状、
スパイラル状、管状などのいずれであってもよい。本発
明に適合する市販の低阻止逆浸透膜としては、例えば、
日東電工(株)製NTR−7410(食塩阻止率10%)、
NTR−7430(食塩阻止率30%)、NTR−745
0(食塩阻止率50%)、東レ(株)製SU−220S(食
塩阻止率60%)、SU−620(食塩阻止率55%)など
が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0023】低阻止逆浸透膜による処理は、加水分解に
より一旦イノシトールを生成させた後、得られたイノシ
トール含有液に対して行ってもよいし、リン酸加水分解
酵素を作用させるのと並行且つ同時に行ってもよい。加
水分解と低阻止逆浸透膜による処理を並行且つ同時に行
うには、例えば低阻止逆浸透膜を備えた膜濾過装置を使
用する。即ち、pH、温度を調整したフィチン酸および
/またはフィチン酸の塩類の水溶液、あるいはフィチン
酸および/またはフィチン酸の塩類を含有する液に、リ
ン酸加水分解酵素を加えて加水分解反応を行いながら、
加水分解反応液を低阻止逆浸透膜に供給、循環させつ
つ、濾過圧力を徐々に加圧、具体的には、0〜30Kg/cm
2・hで加圧する。このような処理を行うことにより、
加水分解反応で生成したイノシトールが低阻止逆浸透膜
により反応系から逐次除去され、リン酸加水分解酵素に
よるイノシトールの生成を促進することができる。
【0024】以上のようにしてイノシトール含有液を低
阻止逆浸透膜で処理することより、イノシトールを効率
良く高純度で分離することができる。即ち、未分解のフ
ィチン酸またはその塩や、リン酸塩、蛋白質、炭水化物
の大部分は低阻止逆浸透膜を透過しないため、透過液と
して得られるイノシトール液にはリン酸塩や蛋白質、炭
水化物等の不純物はほとんど含まれない。
【0025】また、従来大量に生成し、イノシトール製
造上の障害となっていたリン酸塩は低阻止逆浸透膜に阻
止されるため、イノシトール液中のリン酸塩含量は極め
て少なくなる。なお、低阻止逆浸透膜に阻止されたリン
酸塩は、コーンスチープリカー、脱脂米糠濃縮液などに
含まれることとなり、従来よりも吸収性、分解性の高い
リンを含む飼料または肥料として有用なものとなる。こ
のようにして得られたイノシトール液は、そのままで、
あるいはイオン交換樹脂で処理した後、濃縮、結晶化の
工程を経て、製品としてのイノシトールとすることがで
きる。イオン交換樹脂による処理や、濃縮、結晶化は常
法によって行えばよい。
【0026】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるも
のではない。 〔実施例1〕フィチン酸カルシウム(イノシトール含有
量:4.05g,和光純薬工業(株)製)20gに蒸留水を加
え、次いでフィチン酸溶液(50%フィチン酸溶液,和光
純薬工業(株)製)でpHを5に調整した後、さらに蒸留
水で全量を1000gとした(総イノシトール含有量:4.32
g)。これに、フィターゼ(アスペルギルス・フィクウ
ム由来,1500単位/g,シグマ社製)2000単位を加えて50
℃で一晩加水分解した。得られたイノシトール含有液
を、低阻止逆浸透膜(日東電工(株)製NTR−745
0,食塩阻止率50%)によって処理した。処理条件とし
ては、濾過圧力30Kg/cm2、液温40℃、濃縮倍率4倍であ
った。透過液を濃縮、結晶化してイノシトールの結晶1.
83gを得た。得られたイノシトールの純度は98%以上、
収率は42%であった。
【0027】〔実施例2〕フィチン酸カルシウム(イノ
シトール含有量:4.05g,和光純薬工業(株)製)20gに
蒸留水を加え、次いでフィチン酸溶液(50%フィチン酸
溶液,和光純薬工業(株)製)でpHを5に調整した後、
さらに蒸留水で全量を1000gとした(総イノシトール含
有量:4.32g)。これに、フィターゼ(アスペルギルス
・フィクウム由来,1500単位/g,シグマ社製)2000単位
および酸性ホスファターゼ(小麦胚芽由来,400単位/
g,シグマ社製)400 単位を加えて50℃で一晩加水分解
した。得られたイノシトール含有液を、低阻止逆浸透膜
(日東電工(株)製NTR−7450,食塩阻止率50%)
によって処理した。処理条件としては、濾過圧力30Kg/c
m2、液温40℃、濃縮倍率4倍であった。透過液を濃縮、
結晶化してイノシトールの結晶2.47gを得た。得られた
イノシトールの純度は98%以上、収率は56%であった。
【0028】〔実施例3〕コーンスチープリカー(pH
3.8 ,固形分11%,イノシトール含有量:2.62g)1リ
ットルに、フィターゼ(アスペルギルス・フィクウム由
来,1500単位/g,シグマ社製)1000単位を添加して50℃
で一晩加水分解した。得られたイノシトール含有液を、
低阻止逆浸透膜(日東電工(株)製NTR−7410,食
塩阻止率10%)によって処理した。処理条件としては、
濾過圧力30Kg/cm2、液温40℃、濃縮倍率4倍であった。
透過液をイオン交換樹脂(カチオン交換樹脂 SK-1B,ア
ニオン交換樹脂PA-408,三菱化学(株))で処理した後、
活性炭で脱色し、濃縮、結晶化してイノシトールの結晶
0.82gを得た。得られたイノシトールの純度は98%以
上、収率は31%であった。
【0029】〔実施例4〕コーンスチープリカー(pH
3.8 ,固形分11%,イノシトール含有量:52.4g)20リ
ットルを低阻止逆浸透膜(日東電工(株)製NTR−74
10HG,高温用,食塩阻止率10%)を備えた膜濾過装
置の供給槽に入れ、温度を50℃に調整した。これにフィ
ターゼ(アスペルギルス・フィクウム由来,1500単位/
g,シグマ社製)20000 単位および酸性ホスファターゼ
(小麦胚芽由来,400単位/g,シグマ社製)4000単位を
加えた。酵素による加水分解を開始すると同時に、膜濾
過供給槽から酵素反応液を低阻止逆浸透膜に供給して濾
過を開始し、酵素反応液を循環させながら、低阻止逆浸
透膜の濾過圧力を0から30Kg/cm2まで8時間かけて徐々
に上げ、4倍濃縮まで処理した。透過液をイオン交換樹
脂(カチオン交換樹脂 SK-1B,アニオン交換樹脂PA-40
8,三菱化学(株))で処理した後、濃縮、結晶化してイ
ノシトールの結晶18.2gを得た。得られたイノシトール
の純度は98%以上、収率は34%であった。
【0030】〔比較例1〕フィチン酸カルシウム(イノ
シトール含有量:4.05g,和光純薬工業(株)製)20gに
蒸留水を加え、次いでフィチン酸溶液(50%フィチン酸
溶液,和光純薬工業(株)製)でpHを5に調整した後、
さらに蒸留水で全量を1000gとした(総イノシトール含
有量:4.32g)。これに、フィターゼ(アスペルギルス
・フィクウム由来,1500単位/g,シグマ社製)2000単位
を加えて50℃で一晩加水分解した。得られたイノシトー
ル含有液を濃縮、結晶化したが、イノシトールの結晶は
得られなかった。
【0031】〔比較例2〕コーンスチープリカー(pH
3.8 ,固形分11%,イノシトール含有量:2.62g)1リ
ットルに、フィターゼ(アスペルギルス・フィクウム由
来,1500単位/g,シグマ社製)1000単位を添加して50℃
で一晩加水分解した。得られたイノシトール含有液をイ
オン交換樹脂(カチオン交換樹脂 SK-1B,アニオン交換
樹脂PA-408,三菱化学(株))で処理した後、活性炭で脱
色し、濃縮、結晶化してイノシトールの結晶0.29gを得
た。得られたイノシトールの純度は84%、収率は9.2 %
であった。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、高純度のイノシトール
を経済的に有利に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪本 禮一郎 千葉県市原市八幡海岸通9番地 王子コー ンスターチ株式会社開発研究所内 (72)発明者 新井 直人 千葉県市原市八幡海岸通9番地 王子コー ンスターチ株式会社開発研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィチン酸および/またはフィチン酸の
    塩類をリン酸加水分解酵素で加水分解してイノシトール
    を生成させ、得られたイノシトール含有液を低阻止逆浸
    透膜で濾過することにより、透過液中にイノシトールを
    得ることを特徴とするイノシトールの製造法。
  2. 【請求項2】 前記リン酸加水分解酵素として、フィタ
    ーゼまたはフィターゼおよび酸性フォスファターゼを用
    いることを特徴とする請求項1記載のイノシトール製造
    法。
  3. 【請求項3】 前記低阻止逆浸透膜の食塩阻止率が10〜
    60%であることを特徴とする請求項1または2記載のイ
    ノシトールの製造法。
  4. 【請求項4】 前記リン酸加水分解酵素による加水分解
    と、前記低阻止逆浸透膜による濾過とを、並行且つ同時
    に行うことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載
    のイノシトールの製造法。
  5. 【請求項5】 前記フィチン酸および/またはフィチン
    酸の塩類が、コーンスチープリカーおよび脱脂米糠抽出
    液から選ばれる少なくとも1種に含まれるフィチン酸お
    よび/またはフィチン酸の塩類であることを特徴とする
    請求項1ないし4いずれか記載のイノシトールの製造
    法。
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