JPH1084195A5 - - Google Patents
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- JPH1084195A5 JPH1084195A5 JP1996237724A JP23772496A JPH1084195A5 JP H1084195 A5 JPH1084195 A5 JP H1084195A5 JP 1996237724 A JP1996237724 A JP 1996237724A JP 23772496 A JP23772496 A JP 23772496A JP H1084195 A5 JPH1084195 A5 JP H1084195A5
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Description
【発明の名称】電磁干渉抑制体
【特許請求の範囲】
【請求項1】軟磁性粉末、及び有機結合剤を含む電磁障害を抑制するための電磁干渉抑制体であって、前記軟磁性粉末は金属軟磁性体であり、前記有機結合剤はガラス転移温度120℃以上の熱可塑性樹脂であることを特徴とする電磁干渉抑制体。
【請求項2】窒化アルミニウム粉末を含み、前記軟磁性体は偏平もしくは針状の鉄アルミ珪素合金もしくは鉄ニッケル合金であって、前記軟磁性体が配向配列されていることを特徴とする請求項1記載の電磁干渉抑制体。
【請求項3】前記有機結合剤は、熱可塑性ポリイミドであることを特徴とする請求項1又は2記載の電磁干渉抑制体。
【請求項4】前記有機結合剤は、液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1又は2記載の電磁干渉抑制体。
【請求項5】導電性支持体の少なくとも一方の面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4に記載のいずれか1項に記載の電磁干渉抑制体。
【0001】
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は主に高耐熱性、高熱伝導性を要求される電子部品に用いられる電磁干渉抑制体に属し、さらには、高周波領域において不要電磁波の干渉によって生じる電磁障害を抑制するために用いられる電磁干渉抑制体に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、過密に実装された電子部品類やプリント配線には、信号処理速度の高速化が図られているため、静電及び電磁結合による線間結合の増大化や放射ノイズによる干渉が生じ、電子機器類の正常な動作を妨げる事態が少なからず生じている。
【0003】
このようないわゆる電磁障害に対して、従来は回路の出力端子毎にローバスフィルタ等を接続し、不要な高周波電流を抑制したり、問題となる回路を遠ざけるような方策を講じる等で電磁障害の原因となる電磁結合、不要輻射や伝導ノイズ等を抑制していた。
【0004】
これら高周波電子機器のさらなる小型、軽量化を実現する具体策として、例えば、一枚のプリント配線基板に異なる回路を混在(例えば、電力回路と小信号回路)させたり、回路ごとに小基板化し、それらを重ね合わせて実装するといった手段が取られることが多くなってきている。
【0005】
しかし、特に、複数の配線基板を重ね合わせて実装する場合においては、部品間や配線基板間の電磁干渉に由来する電磁障害の起こりうる可能性が極めて高くなり、何等かの対策が不可欠となる。これらの配線基板間における干渉の対策手段としては、一般に、導電性のシールド材(銅、アルミニウム等)を配線基板間に挿入することが行われている。上記した配線基板では、部品実装密度が高くなっているために、高周波磁界波はノイズ源に対して低インピーダンスとなっている。
【0006】
しかし、上述した配線基板では、ノイズ源となる一方の配線基板に対向する他方の配線基板に対しての遮蔽効果は期待できるものの、同じ基板面に対しては、不要輻射の反射が生じてしまい、ノイズ源側の同一配線基板内での二次的な電磁結合が助長される。
【0007】
そこで、電磁波の透過に対しては、導電性のシールド材と同等の遮蔽効果をもち、電磁波の反射に対しては、少なくとも反射による電磁結合を助長させることのない複合磁性体を用いた電磁干渉抑制体が特開平7−212079号公報によって提案されている。
【0008】
以下、特開平7−212079号公報によって開示されている従来の複合磁性体を用いた電磁干渉抑制体の一例を説明する。複合磁性体を用いた電磁干渉抑制体は、図4に示すように、導電性支持体10と、この導電性支持体10に設けられた複合磁性体2とを有している。複合磁性体2は扁平状(もしくは針状)の軟磁性粉末3と有機結合剤4とを含む。
【0009】
導電性支持体10は導電体薄板、網目状導電体板、もしくは導電性繊維の織物により構成ほか、軟磁性金属板、網目状軟磁性金属板、もしくは軟磁性金属繊維の織物により構成される。
【0010】
複合磁性体2の形成に用いられる有機結合溶剤4としては、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム等の熱可塑性樹脂或いはそれらの共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂等の熱硬化性樹脂等を採用している。
【0011】
軟磁性粉末3としては、高周波透磁率の大きな鉄アルミ珪素合金(センダスト)、鉄ニッケル合金(パーマロイ)をその代表的素材として挙げることができ、粉末のアスペクト比は十分に大きい(おおよそ10:1以上)ことが望ましい。
【0012】
図5は、電磁干渉抑制体1の応用例を示しており、電磁干渉抑制体1を互いに対向して配置された2つの配線基板21、23間に実装した状態を示している。
【0013】
配線基板21,23には各々複数個の電子部品24、25、26が実装され、配線基板21,23の電子部品24、25、26同士が向かい合うように配線基板21,23同士が対向配置されている。電磁干渉抑制体1は、配線基板21,23の間に挿入される。
【0014】
図6(a)及び図6(b)に電磁干渉抑制体1の特性評価系を示している。図6(a)は、透過レベルの評価系であり、図6(b)は、結合レベルの評価系である。各々の場合とも、電磁界波源用発振器28及び電磁界強度測定器(受信用素子)29には、電磁界送信用微小ループアンテナ31,電磁界受信用微小ループアンテナ32を用いている。透過もしくは結合レベルの測定にはネットワークアナライザ(図示せず)を使用している。
【0015】
導電性支持体10として、120メッシュのステンレス網を用い、この導電性支持体1の両面に乾燥、硬化後の全厚が1.2mmとなるように下記の<組成1>の配合からなる軟磁性体ペーストをドクターブレード法により塗工し、85℃にて24時間キュアリングを行い評価用試料を得る。ここで、得られた評価用試料は振動型磁力径並びに走査型電子顕微鏡を用いた解析により、磁化容易軸及び磁性粒子配向方向が試料面内方向であることが確認されている。
【0016】
<組成>
扁平状軟磁性微粉末 …… 90重量部
組 成:Fe−Al−Si合金
平均粒径:10μm
アスペクト比:>10
ポリウレタン樹脂 …… 8重量部
硬化剤(イソシアネート化合物) …… 2重量部
溶剤(シクロヘキサノンとトルエンとの混合物) …… 40重量部
したがって、例えば図5に示したような複数の電子部品24、25、26を実装する配線基板21、23が重ね合わされるように存在する電子機器等において、各々の配線基板21、23間に電磁干渉抑制体を挿入することで同一配線基板21、23内の結合(クロストーク)を増大化させることなく配線基板21、23間の電磁干渉を抑制することが可能となる。
【0017】
その他の従来技術としては、特開平8−18271号公報、特開平8−56092号公報に、電磁干渉抑制体の応用例が開示されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複合磁性体2の形成に用いる有機結合剤4は、熱によって影響されやすく、変形、劣化等が発生することから発熱が大きな電子部品24、25、26に密着させて用いることができないという問題がある。
【0019】
また、有機結合剤4は熱伝導性の劣ることから、発熱量の大きな電子部品24、25、26からの放熱を妨げるという問題がある。
【0020】
それ故に本発明の課題は、熱による影響を受けにくく、熱放熱性を向上することができる電磁干渉抑制体を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、軟磁性粉末、及び有機結合剤を含む電磁障害を抑制するための電磁干渉抑制体であって、前記軟磁性粉末は金属軟磁性体であり、前記有機結合剤はガラス転移温度120℃以上の熱可塑性樹脂であることを特徴とする電磁干渉抑制体が得られる。
【0022】
また、本発明によれば、窒化アルミニウム粉末を含み、前記軟磁性体は偏平もしくは針状の鉄アルミ珪素合金もしくは鉄ニッケル合金であって、前記軟磁性体が配向配列されていることを特徴とする請求項1記載の電磁干渉抑制体が得られる。
【0023】
また、本発明によれば、前記有機結合剤は、熱可塑性ポリイミドであることを特徴とする電磁干渉抑制体が得られる。
【0024】
また、本発明によれば、前記有機結合剤は、液晶ポリマーであることを特徴とする電磁干渉抑制体が得られる。
【0025】
また、本発明によれば、導電性支持体の少なくとも一方の面に設けられていることを特徴とする電磁干渉抑制体が得られる。
【0026】
【作用】
本発明の電磁干渉抑制体は、例えば、発熱の大きな電子部品の熱放出のためにヒートシンクを使用する場合において、電磁干渉抑制体に高い耐熱性を付与できるとともに、さらに窒化アルムニウムの粉体を添加することで、熱伝導性が良好となることから、発熱性の大きな電子部品に密着させて発熱性の大きな電子部品の熱放出の効率を改善することが可能となる。
【0027】
また、導電性基材を配線基板間に挿入することにより生じる不要輻射の反射による電磁結合の増大化は、軟磁性粉末と有機結合剤からなる軟磁性層により抑制される。この軟磁性層は、本来、導電性物質である軟磁性金属を微細粉末化し、絶縁性の有機結合剤と混練分散されることにより絶縁層としており、軟磁性層面での不要輻射の反射が起こり難い。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の複合磁性体を用いた電磁干渉抑制体の一実施の形態例を図1を参照して説明する。なお、図4及び図5によって説明した部分と同じ部分については同じ符号を付して説明する。
【0029】
図1を参照して、電磁干渉抑制体としての複合磁性体2は、電磁障害を抑制するための扁平状(もしくは針状)の軟磁性粉末3、及びガラス転移温度120℃以上の熱可塑性樹脂である有機結合剤4を含む。
【0030】
なお、複合磁性体2の他の例としては、熱可塑性樹脂に加えて微粉化した窒化アルミニウム粉末11を含む。さらに、有機結合剤4の例としては、熱可塑性ポリイミド、液晶ポリマーのうち少なくとも1種類を選択して採用することが好ましい。
【0031】
軟磁性粉末3としては、高周波透磁率の大きな鉄アルミ珪素合金(センダスト)、鉄ニッケル合金(パーマロイ)をその代表的素材として挙げることができ、粉末のアスペクト比は十分に大きい(おおよそ10:1以上)ことが望ましい。上記熱可塑性樹脂、及び窒化アルミニウム粉末11を併用すると、高耐熱性を有する複合磁性体2が得られる。
【0032】
図2は、配線基板23上に能動素子としての電子部品24を搭載し、この熱発生の大きい電子部品24の熱放出を高めるために、複合磁性体2、及び電子部品24上にヒートシンク8を設けた応用例を示している。このような電子部品24では、熱伝導性に優れた複合磁性体2によって熱放出が高まりヒートシンク8へと熱伝導され放出される。
【0033】
次に、図3を参照して、上記複合磁性体2を用いた電磁干渉抑制体1の他の実施例について説明する。電磁干渉抑制体1は、導電性支持体(もしくは軟磁性を有する導電性軟磁性支持体)10と、導電性支持体10の少なくとも一方面に設けた電磁障害を抑制するための複合磁性体2とを有している。複合磁性体2は、上述した構成の複合磁性体2を採用している。
【0034】
電磁干渉抑制体1においては、導電性支持体10を導電体薄板、網目状導電体板、もしくは導電性繊維の織物により構成したり、軟磁性金属板、網目状軟磁性金属板、もしくは軟磁性金属繊維の織物により構成する。
【0035】
その他の電磁干渉抑制体1の構成については、特開平7−212079号公報に詳細に開示されているため本発明では説明を省略する。
【0036】
本発明の電磁干渉抑制体1を用いた場合には、図5に示したような複数の電子部品24、25、26を実装する配線基板21、23が重ね合わされるように存在する電子機器等において、各々の配線基板21、23間に電磁干渉抑制体1を挿入することで同一配線基板21、23内の結合(クロストーク)を増大化させることなく配線基板21、23間の電磁干渉を抑制することが可能となる。
【0037】
したがって、本発明の複合磁性体2又は電磁干渉抑制体1をヒートシンク8と能動素子(電子部品24)との間に配設することで、導電体であり電気的にはシールド効果を有するヒートシンク8をCPU等の能動素子に密着させた場合に生じる能動素子内部での電磁干渉を抑制できる。
【0038】
【発明の効果】
以上、実施例により説明したように、本発明の複合磁性体によれば、電子部品の熱放出のためのヒートシンクに使用する場合において、複合磁性体に高い耐熱性を付与できると共に、窒化アルムニウムの粉体を添加することで、熱伝導性が良好となることから、発熱 の大きな電子部品に密着させて電子部品の熱放出を良好になすことが可能となる。
【0039】
また、ヒートシンク等の導電体を電子部品に密着させることにより生じる不要輻射の反射による電磁結合の増大化は、軟磁性粉末と有機結合剤からなる複合磁性体の磁気損失により抑制される。
【0040】
また、粉末形状が扁平状ないし針状であり、それが複合磁性体中で配向配列されているために、形状磁気異方性が出現し、高周波領域にて磁気共鳴に基づく複素透磁率の増大化が生じ、不要輻射成分が効率的に吸収、抑制される。
【0041】
さらに、導電性支持体ないし導電性軟磁性支持体上の少なくとも一方の面上に扁平ないし針状の軟磁性体粉末と有機結合剤からなる複合磁性体を設けてなる本発明の電磁干渉抑制体は、導体を挿入したことにより生じる不要輻射の反射を増大化させることなく透過減衰を大きく確保することができ、移動体通信機器をはじめとする高周波電子機器類内、及びそれらに用いられるCPU等の能動素子内部での電磁干渉を抑止することが可能となる。
【0042】
なお、本発明の電磁干渉抑制体は、その構成要素からわかるように容易に製造でき、可撓性を付与することが可能であり、複雑な形状への対応や厳しい耐振動、衝撃要求への対応も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁干渉抑制体の一実施の形態例を示す概略断面図である。
【図2】図1に示した電磁干渉抑制体の適応例を示す側面図である。
【図3】図1に示した電磁干渉抑制体の他の実施例を示す概略断面図である。
【図4】従来の複合磁性体を用いた電磁干渉抑制体を示す概略断面図である。
【図5】従来の複合磁性体を用いた電磁干渉抑制体を配線基板に実装した状態を示す概略断面図である。
【図6】電磁干渉抑制体の特性評価に用いる評価系を示し、(a)は透過レベルを測定するための評価系概略図、(b)は結合レベルを測定するための評価系概略図である。
【符号の説明】
1 電磁干渉抑制体
2 複合磁性体
3 軟磁性粉末
4 有機結合剤
8 ヒートシンク
10 導電性支持体
11 窒化アルミニウム
23 配線基板
24、25、26 電子部品
【特許請求の範囲】
【請求項1】軟磁性粉末、及び有機結合剤を含む電磁障害を抑制するための電磁干渉抑制体であって、前記軟磁性粉末は金属軟磁性体であり、前記有機結合剤はガラス転移温度120℃以上の熱可塑性樹脂であることを特徴とする電磁干渉抑制体。
【請求項2】窒化アルミニウム粉末を含み、前記軟磁性体は偏平もしくは針状の鉄アルミ珪素合金もしくは鉄ニッケル合金であって、前記軟磁性体が配向配列されていることを特徴とする請求項1記載の電磁干渉抑制体。
【請求項3】前記有機結合剤は、熱可塑性ポリイミドであることを特徴とする請求項1又は2記載の電磁干渉抑制体。
【請求項4】前記有機結合剤は、液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1又は2記載の電磁干渉抑制体。
【請求項5】導電性支持体の少なくとも一方の面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4に記載のいずれか1項に記載の電磁干渉抑制体。
【0001】
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は主に高耐熱性、高熱伝導性を要求される電子部品に用いられる電磁干渉抑制体に属し、さらには、高周波領域において不要電磁波の干渉によって生じる電磁障害を抑制するために用いられる電磁干渉抑制体に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、過密に実装された電子部品類やプリント配線には、信号処理速度の高速化が図られているため、静電及び電磁結合による線間結合の増大化や放射ノイズによる干渉が生じ、電子機器類の正常な動作を妨げる事態が少なからず生じている。
【0003】
このようないわゆる電磁障害に対して、従来は回路の出力端子毎にローバスフィルタ等を接続し、不要な高周波電流を抑制したり、問題となる回路を遠ざけるような方策を講じる等で電磁障害の原因となる電磁結合、不要輻射や伝導ノイズ等を抑制していた。
【0004】
これら高周波電子機器のさらなる小型、軽量化を実現する具体策として、例えば、一枚のプリント配線基板に異なる回路を混在(例えば、電力回路と小信号回路)させたり、回路ごとに小基板化し、それらを重ね合わせて実装するといった手段が取られることが多くなってきている。
【0005】
しかし、特に、複数の配線基板を重ね合わせて実装する場合においては、部品間や配線基板間の電磁干渉に由来する電磁障害の起こりうる可能性が極めて高くなり、何等かの対策が不可欠となる。これらの配線基板間における干渉の対策手段としては、一般に、導電性のシールド材(銅、アルミニウム等)を配線基板間に挿入することが行われている。上記した配線基板では、部品実装密度が高くなっているために、高周波磁界波はノイズ源に対して低インピーダンスとなっている。
【0006】
しかし、上述した配線基板では、ノイズ源となる一方の配線基板に対向する他方の配線基板に対しての遮蔽効果は期待できるものの、同じ基板面に対しては、不要輻射の反射が生じてしまい、ノイズ源側の同一配線基板内での二次的な電磁結合が助長される。
【0007】
そこで、電磁波の透過に対しては、導電性のシールド材と同等の遮蔽効果をもち、電磁波の反射に対しては、少なくとも反射による電磁結合を助長させることのない複合磁性体を用いた電磁干渉抑制体が特開平7−212079号公報によって提案されている。
【0008】
以下、特開平7−212079号公報によって開示されている従来の複合磁性体を用いた電磁干渉抑制体の一例を説明する。複合磁性体を用いた電磁干渉抑制体は、図4に示すように、導電性支持体10と、この導電性支持体10に設けられた複合磁性体2とを有している。複合磁性体2は扁平状(もしくは針状)の軟磁性粉末3と有機結合剤4とを含む。
【0009】
導電性支持体10は導電体薄板、網目状導電体板、もしくは導電性繊維の織物により構成ほか、軟磁性金属板、網目状軟磁性金属板、もしくは軟磁性金属繊維の織物により構成される。
【0010】
複合磁性体2の形成に用いられる有機結合溶剤4としては、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム等の熱可塑性樹脂或いはそれらの共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂等の熱硬化性樹脂等を採用している。
【0011】
軟磁性粉末3としては、高周波透磁率の大きな鉄アルミ珪素合金(センダスト)、鉄ニッケル合金(パーマロイ)をその代表的素材として挙げることができ、粉末のアスペクト比は十分に大きい(おおよそ10:1以上)ことが望ましい。
【0012】
図5は、電磁干渉抑制体1の応用例を示しており、電磁干渉抑制体1を互いに対向して配置された2つの配線基板21、23間に実装した状態を示している。
【0013】
配線基板21,23には各々複数個の電子部品24、25、26が実装され、配線基板21,23の電子部品24、25、26同士が向かい合うように配線基板21,23同士が対向配置されている。電磁干渉抑制体1は、配線基板21,23の間に挿入される。
【0014】
図6(a)及び図6(b)に電磁干渉抑制体1の特性評価系を示している。図6(a)は、透過レベルの評価系であり、図6(b)は、結合レベルの評価系である。各々の場合とも、電磁界波源用発振器28及び電磁界強度測定器(受信用素子)29には、電磁界送信用微小ループアンテナ31,電磁界受信用微小ループアンテナ32を用いている。透過もしくは結合レベルの測定にはネットワークアナライザ(図示せず)を使用している。
【0015】
導電性支持体10として、120メッシュのステンレス網を用い、この導電性支持体1の両面に乾燥、硬化後の全厚が1.2mmとなるように下記の<組成1>の配合からなる軟磁性体ペーストをドクターブレード法により塗工し、85℃にて24時間キュアリングを行い評価用試料を得る。ここで、得られた評価用試料は振動型磁力径並びに走査型電子顕微鏡を用いた解析により、磁化容易軸及び磁性粒子配向方向が試料面内方向であることが確認されている。
【0016】
<組成>
扁平状軟磁性微粉末 …… 90重量部
組 成:Fe−Al−Si合金
平均粒径:10μm
アスペクト比:>10
ポリウレタン樹脂 …… 8重量部
硬化剤(イソシアネート化合物) …… 2重量部
溶剤(シクロヘキサノンとトルエンとの混合物) …… 40重量部
したがって、例えば図5に示したような複数の電子部品24、25、26を実装する配線基板21、23が重ね合わされるように存在する電子機器等において、各々の配線基板21、23間に電磁干渉抑制体を挿入することで同一配線基板21、23内の結合(クロストーク)を増大化させることなく配線基板21、23間の電磁干渉を抑制することが可能となる。
【0017】
その他の従来技術としては、特開平8−18271号公報、特開平8−56092号公報に、電磁干渉抑制体の応用例が開示されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複合磁性体2の形成に用いる有機結合剤4は、熱によって影響されやすく、変形、劣化等が発生することから発熱が大きな電子部品24、25、26に密着させて用いることができないという問題がある。
【0019】
また、有機結合剤4は熱伝導性の劣ることから、発熱量の大きな電子部品24、25、26からの放熱を妨げるという問題がある。
【0020】
それ故に本発明の課題は、熱による影響を受けにくく、熱放熱性を向上することができる電磁干渉抑制体を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、軟磁性粉末、及び有機結合剤を含む電磁障害を抑制するための電磁干渉抑制体であって、前記軟磁性粉末は金属軟磁性体であり、前記有機結合剤はガラス転移温度120℃以上の熱可塑性樹脂であることを特徴とする電磁干渉抑制体が得られる。
【0022】
また、本発明によれば、窒化アルミニウム粉末を含み、前記軟磁性体は偏平もしくは針状の鉄アルミ珪素合金もしくは鉄ニッケル合金であって、前記軟磁性体が配向配列されていることを特徴とする請求項1記載の電磁干渉抑制体が得られる。
【0023】
また、本発明によれば、前記有機結合剤は、熱可塑性ポリイミドであることを特徴とする電磁干渉抑制体が得られる。
【0024】
また、本発明によれば、前記有機結合剤は、液晶ポリマーであることを特徴とする電磁干渉抑制体が得られる。
【0025】
また、本発明によれば、導電性支持体の少なくとも一方の面に設けられていることを特徴とする電磁干渉抑制体が得られる。
【0026】
【作用】
本発明の電磁干渉抑制体は、例えば、発熱の大きな電子部品の熱放出のためにヒートシンクを使用する場合において、電磁干渉抑制体に高い耐熱性を付与できるとともに、さらに窒化アルムニウムの粉体を添加することで、熱伝導性が良好となることから、発熱性の大きな電子部品に密着させて発熱性の大きな電子部品の熱放出の効率を改善することが可能となる。
【0027】
また、導電性基材を配線基板間に挿入することにより生じる不要輻射の反射による電磁結合の増大化は、軟磁性粉末と有機結合剤からなる軟磁性層により抑制される。この軟磁性層は、本来、導電性物質である軟磁性金属を微細粉末化し、絶縁性の有機結合剤と混練分散されることにより絶縁層としており、軟磁性層面での不要輻射の反射が起こり難い。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の複合磁性体を用いた電磁干渉抑制体の一実施の形態例を図1を参照して説明する。なお、図4及び図5によって説明した部分と同じ部分については同じ符号を付して説明する。
【0029】
図1を参照して、電磁干渉抑制体としての複合磁性体2は、電磁障害を抑制するための扁平状(もしくは針状)の軟磁性粉末3、及びガラス転移温度120℃以上の熱可塑性樹脂である有機結合剤4を含む。
【0030】
なお、複合磁性体2の他の例としては、熱可塑性樹脂に加えて微粉化した窒化アルミニウム粉末11を含む。さらに、有機結合剤4の例としては、熱可塑性ポリイミド、液晶ポリマーのうち少なくとも1種類を選択して採用することが好ましい。
【0031】
軟磁性粉末3としては、高周波透磁率の大きな鉄アルミ珪素合金(センダスト)、鉄ニッケル合金(パーマロイ)をその代表的素材として挙げることができ、粉末のアスペクト比は十分に大きい(おおよそ10:1以上)ことが望ましい。上記熱可塑性樹脂、及び窒化アルミニウム粉末11を併用すると、高耐熱性を有する複合磁性体2が得られる。
【0032】
図2は、配線基板23上に能動素子としての電子部品24を搭載し、この熱発生の大きい電子部品24の熱放出を高めるために、複合磁性体2、及び電子部品24上にヒートシンク8を設けた応用例を示している。このような電子部品24では、熱伝導性に優れた複合磁性体2によって熱放出が高まりヒートシンク8へと熱伝導され放出される。
【0033】
次に、図3を参照して、上記複合磁性体2を用いた電磁干渉抑制体1の他の実施例について説明する。電磁干渉抑制体1は、導電性支持体(もしくは軟磁性を有する導電性軟磁性支持体)10と、導電性支持体10の少なくとも一方面に設けた電磁障害を抑制するための複合磁性体2とを有している。複合磁性体2は、上述した構成の複合磁性体2を採用している。
【0034】
電磁干渉抑制体1においては、導電性支持体10を導電体薄板、網目状導電体板、もしくは導電性繊維の織物により構成したり、軟磁性金属板、網目状軟磁性金属板、もしくは軟磁性金属繊維の織物により構成する。
【0035】
その他の電磁干渉抑制体1の構成については、特開平7−212079号公報に詳細に開示されているため本発明では説明を省略する。
【0036】
本発明の電磁干渉抑制体1を用いた場合には、図5に示したような複数の電子部品24、25、26を実装する配線基板21、23が重ね合わされるように存在する電子機器等において、各々の配線基板21、23間に電磁干渉抑制体1を挿入することで同一配線基板21、23内の結合(クロストーク)を増大化させることなく配線基板21、23間の電磁干渉を抑制することが可能となる。
【0037】
したがって、本発明の複合磁性体2又は電磁干渉抑制体1をヒートシンク8と能動素子(電子部品24)との間に配設することで、導電体であり電気的にはシールド効果を有するヒートシンク8をCPU等の能動素子に密着させた場合に生じる能動素子内部での電磁干渉を抑制できる。
【0038】
【発明の効果】
以上、実施例により説明したように、本発明の複合磁性体によれば、電子部品の熱放出のためのヒートシンクに使用する場合において、複合磁性体に高い耐熱性を付与できると共に、窒化アルムニウムの粉体を添加することで、熱伝導性が良好となることから、発熱 の大きな電子部品に密着させて電子部品の熱放出を良好になすことが可能となる。
【0039】
また、ヒートシンク等の導電体を電子部品に密着させることにより生じる不要輻射の反射による電磁結合の増大化は、軟磁性粉末と有機結合剤からなる複合磁性体の磁気損失により抑制される。
【0040】
また、粉末形状が扁平状ないし針状であり、それが複合磁性体中で配向配列されているために、形状磁気異方性が出現し、高周波領域にて磁気共鳴に基づく複素透磁率の増大化が生じ、不要輻射成分が効率的に吸収、抑制される。
【0041】
さらに、導電性支持体ないし導電性軟磁性支持体上の少なくとも一方の面上に扁平ないし針状の軟磁性体粉末と有機結合剤からなる複合磁性体を設けてなる本発明の電磁干渉抑制体は、導体を挿入したことにより生じる不要輻射の反射を増大化させることなく透過減衰を大きく確保することができ、移動体通信機器をはじめとする高周波電子機器類内、及びそれらに用いられるCPU等の能動素子内部での電磁干渉を抑止することが可能となる。
【0042】
なお、本発明の電磁干渉抑制体は、その構成要素からわかるように容易に製造でき、可撓性を付与することが可能であり、複雑な形状への対応や厳しい耐振動、衝撃要求への対応も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁干渉抑制体の一実施の形態例を示す概略断面図である。
【図2】図1に示した電磁干渉抑制体の適応例を示す側面図である。
【図3】図1に示した電磁干渉抑制体の他の実施例を示す概略断面図である。
【図4】従来の複合磁性体を用いた電磁干渉抑制体を示す概略断面図である。
【図5】従来の複合磁性体を用いた電磁干渉抑制体を配線基板に実装した状態を示す概略断面図である。
【図6】電磁干渉抑制体の特性評価に用いる評価系を示し、(a)は透過レベルを測定するための評価系概略図、(b)は結合レベルを測定するための評価系概略図である。
【符号の説明】
1 電磁干渉抑制体
2 複合磁性体
3 軟磁性粉末
4 有機結合剤
8 ヒートシンク
10 導電性支持体
11 窒化アルミニウム
23 配線基板
24、25、26 電子部品
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