JPH1087401A - 遺体保全処置法及び排出液の処理法 - Google Patents

遺体保全処置法及び排出液の処理法

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JPH1087401A
JPH1087401A JP26355496A JP26355496A JPH1087401A JP H1087401 A JPH1087401 A JP H1087401A JP 26355496 A JP26355496 A JP 26355496A JP 26355496 A JP26355496 A JP 26355496A JP H1087401 A JPH1087401 A JP H1087401A
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treatment
corpse
absorbent resin
remains
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JP26355496A
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English (en)
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Shigeru Ito
茂 伊藤
Yoji Fujiura
洋二 藤浦
Yukio Zenitani
幸雄 銭谷
Haruo Noda
晴生 野田
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Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 事件、事故、災害等による遺体には、現場
で大量の薬効液をふりかけて納体袋等でくるみ、棺に入
れて移送されることが一般にあるが、血液等の体液や、
薬効液の洩れが発生し、汚染、臭いの問題がある。包装
を幾重にもすると棺に入りきらない。 【解決手段】 遺体に薬効液をふりかけ、納体袋にくる
む際、納体袋の内部に、水溶性フィルムもしくは水崩壊
性の紙に包まれた水膨潤性吸水性樹脂粉末を散布した上
で納体袋でくるむ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遺体保全処置法及び排
出液の処理法に関する。更に詳しくは、エンバーミング
といわれる遺体衛生保全や、事件、事故、災害や葬儀の
際等における遺体の保全処置において、遺体からの体液
や遺体処置後の排出液による汚染、臭い、処理等の問題
を改善する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、解剖遺体から発生する廃
体液のゲル化のため、吸水性樹脂を水溶性フィルム又は
水崩壊性の紙に包んだものを用いることを従来提案(特
公平7−3073号公報参照)し、この技術は普及が進
行している。
【0003】一方、遺体に防腐処置や化粧を施し、生前
状態を復元する技術は、欧米ではエンバーミング(遺体
衛生保全)と呼ばれており、このエンバーミングは欧米
では普及率90%を超える周知技術であるが、日本では
近年大手葬儀業者、法医学者が、実施基準の作成や、技
術者養成を目的にした社団法人の設立について、厚生省
へ認可申請したことが報道される等未だ技術普及の準備
段階にある。エンバーミングは遺体をきれいに保存する
ため、血液を排出させ、その代わりに防腐剤を血管に注
入する防腐処理技術である。排出した血液に代えて着色
した防腐液を注入すると、その色で顔もほんのりピンク
色になり、まるで生きているようになるとして、新しい
医学及び葬儀技術として注目されている。
【0004】エンバーミングの際には、通常遺体を殺菌
消毒した後、赤色に着色されたホルマリン希釈固定液等
の防腐液を血管に注入し、注入後、薬剤等を使って顔つ
きを直して化粧が施される。このエンバーミングの際、
体液等による汚染の問題や処理問題等が関与し、対策が
取られている事例を以下に挙げる。 −1切開創部充填(ケース1):血液を排出させ、防
腐液を血管に注入する処置後の表皮切開創部は、従来縫
合する前に、例えば、綿や貝殻粉を水増粘性ポリマーで
練ったような類のシーラントが封入され、縫合されてい
た。 エンバーミング排出液処理:エンバーミングの際に
は、血液と防腐液が混ざった排出液が一体当り20L程
度発生するが、従来は廃水処理プラントで中和等の化学
処理をして処分されていた。
【0005】上記エンバーミングの際以外にも遺体の保
全処置において、従来体液等による汚染の問題が関与
し、対策が取られているため、その事例を以下に挙げ
る。 −2切開創部充填(ケース2):イギリス、シンガポ
ール等では、ペース・メーカー装着遺体の火葬を法律で
禁止しており、日本では法律はないがペース・メーカー
装着遺体の火葬を拒否する施設が多い。そのため病院や
エンバーミング・センターで取り出しが行われる。この
場合も、取り出し処置後の表皮切開創部は、上記ケース
1と同様のシーラントが封入され、縫合されていた。 鼻腔等の充填:葬儀の際、遺体の耳穴、鼻腔、口腔等
のいわば遺体表面凹部からの血液や体液が流出し汚染さ
れる懸念があり、従来この予防のため綿やワセリンが充
填されていた。 外傷修復部充填:外傷により欠損した遺体を修復する
遺体保全処置においては、従来欠損部には石膏や綿が用
いられていた。
【0006】漏出体液汚染防止対策:火傷等の外傷や
浮腫を有する遺体、溺死体、腐敗死体等からは血液等の
体液や排泄物等の流出や漏出が多い。旧来は漏出部位等
にガーゼを用いてテープや包帯等で固定されていたが、
一定量以上の漏出の防止は困難であり、着衣や棺内の布
団等に液体がしみだすことが多かった。特に溺死体や腐
敗死体からは腐敗液等が多量発生し、移送時悪臭を放
つ。そのためこれら遺体の移送のため、大型ビニルシー
トで何重にも遺体をくるむことが必要であった。
【0007】薬効液漏出防止対策:血管系を用いた薬
効液の還流固定が困難な遺体や、災害等により多量に遺
体が発生したときは、遺体に多量の防腐剤等の薬効成分
を含有する液体固定液をふりかけ、納体袋、ビニル・シ
ート、遺体用ビニル・スーツ等の包装材内で遺体と液体
を接触させて腐敗を防止する。液体の漏出や蒸発を防ぐ
ため、従来これら包装材で幾重にも包んでいた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記事例〜
においては、次のように対策が不十分であった。 −1、2切開創部充填:綿や上記シーラントでは体
液、血液をゲル化する機能がないか、不十分であり、体
液、血液の漏出防止効果が不十分であった。 エンバーミング廃出液処理:廃水処理法では処理プラ
ントコストと中和処理薬剤のランニング・コストが重
む。又、処理廃液の一般廃水としての放流は周辺住民感
情は余りよいものではない。 鼻腔等の充填:綿やワセリンの充填では血液、体液の
流出防止効果が不十分であった。
【0009】外傷修復部充填:石膏や綿では漏出液阻
止は困難であり、石膏使用時は火葬後も焼却されず残る
問題が生じた。 漏出体液汚染防止対策:災害、事件、事故等による遺
体は、移送のたびに体液、腐敗液等がこぼれ、周辺を汚
した。移送のためには大型ビニルシートで何重にも遺体
をくるむことが必要であったが、なお腐敗臭の防止、汚
染防止効果は不十分であった。 薬効液漏出防止対策:液体の漏出や蒸発を防ぐため、
包装材で幾重にも包むと棺内に入りきらない問題があ
り、薬効液の漏出防止も未だ不十分であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点に鑑みて鋭意検討した結果、前記遺体解剖時の廃体液
のゲル化用に吸水性樹脂を用いた知見を応用すれば、上
記エンバーミング等の遺体保全処置や排出液の処理にお
いても、上記各事例毎の種々の問題の改善効果が極めて
大きく有用であることを見出し本発明に到達した。即ち
本発明は、下記<1>の遺体保全処置法、<2>、<3
>の排出液の処理法及び<4>〜<6>の遺体保全処置
法である。
【0011】<1> 切開創部充填:遺体の表皮切開部
を通して血管から血液を排出させ、且つ防腐液を血管に
注入して置換する処置(1)又はペース・メーカー装着
遺体の表皮切開部からペース・メーカーを取り出す処置
(2)から選ばれる遺体保全処置の修了時、粉末状又は
粒状の水膨潤性吸水性樹脂(A)からなるゲル化剤を該
切開部内へ充填の上、該切開部を縫合もしくは接合する
遺体保全処置法。
【0012】<2> エンバーミング排出液のゲル化処
理:<1>記載の該処置(1)により、体外へ流出する
血液と該防腐液からなる排出液を、粉末状又は粒状の水
膨潤性吸水性樹脂(A)からなるゲル化剤でゲル化する
遺体保全処置排出液の処理法。
【0013】<3> ゲルの処分:<2>記載の方法で
処理後の該排出液のゲルを焼却処分するか、或は該排出
液のゲルを遺体の棺内に保管して、そのまま火葬又は土
葬に至らせる遺体保全処置排出液の処理法。
【0014】<4> 鼻腔等の充填:遺体表面凹部又は
その奥の体外へ体液が流出する懸念がある部分に粉末状
又は粒状の水膨潤性吸水性樹脂(A)からなるゲル化剤
を充填する遺体保全処置法。
【0015】<5> 外傷修復部充填:外傷により欠損
した遺体を修復する遺体保全処置において、欠損部に粉
末状又は粒状の水膨潤性吸水性樹脂(A)からなるゲル
化剤を充填し、必要により復元レベル迄防腐剤が添加さ
れていてもよい水で膨潤させ、且つ表層を修復する遺体
保全処置法。
【0016】<6> 漏出体液汚染防止対策& 薬効液
漏出防止対策:遺体に防腐剤を含有する薬効液をふりか
けるか又はふりかけず、包装材にくるむ遺体保全処置に
おいて、該包装材の内部に粉末状又は粒状の水膨潤性吸
水性樹脂(A)からなるゲル化剤を散布した上で遺体を
くるむ遺体保全処置法。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明において、水膨潤性吸水性
樹脂(A)としては、例えば、 デンプンまたはセルロース(a)と、カルボキシル基
および/またはスルホン酸基を含有する水溶性単量体お
よび/または加水分解により水溶性となる単量体(b)
と、架橋剤(c)とを必須成分として重合させ、必要に
より加水分解を行うことにより得られる水膨潤性吸水性
樹脂が挙げられる。上記に例示した水膨潤性吸水性樹脂
の製造に用いられる(a)、(b)及び(c)の詳細、
(a)、(b)および(c)の割合、製造法および水膨
潤性吸水性樹脂の具体例は、特開昭52−25886
号、特公昭53−46199号、特公昭53−4620
0号および特公昭55−21041号公報に記載されて
いる。
【0018】上記以外の該吸水性樹脂(A)の例として
は、例えば (a)と(b)とを重合させたもの(デンプン−アク
リロニトリルグラフト重合体の加水分解物、セルロース
−アクリロニトリルグラフト重合物の加水分解物な
ど); (a)の架橋物(カルボキシメチルセルロースの架橋
物など); (b)と(c)との共重合体(架橋ポリアクリルアミ
ドの部分加水分解物、架橋されたアクリル酸−アクリル
アミド共重合体、架橋されたスルホン化ポリスチレン、
特開昭52−14689号および特開昭52−2745
5号公報記載のビニルエステル−不飽和カルボン酸共重
合体ケン化物、架橋されたポリアクリル酸塩、架橋され
たアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、架橋され
たイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、および架橋
されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール);並び
に、 自己架橋性を有する(b)の重合物(自己架橋型ポリ
アクリル酸塩など)が挙げられる。また以上(A)とし
て例示した水膨潤性吸水性樹脂は2種以上併用してもよ
い。
【0019】これらのうち該吸水性樹脂(A)として好
ましいものは、、並びに、のうちの、架橋ポリアク
リルアミドの部分加水分解物、架橋されたアクリル酸−
アクリルアミド共重合体、架橋されたポリアクリル酸
(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重
合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重合
体及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール
である。
【0020】該吸水性樹脂(A)は、純水に対する吸水
性能が少なくとも50ml/g、特に100〜1,00
0ml/gのものが適している。また、該吸水性樹脂
(A)は、通常粉末状または粒子状であり、粒度5mm
以下のものが、吸水表面積が多く、吸水性が高い点で好
ましい。
【0021】該吸水性樹脂(A)は、水溶性フィルム、
水崩壊性の紙又はこれらの積層物に包まれている形態と
するか、或は、水不溶性であっても、該吸水性樹脂
(A)がこぼれないような透水性包装材料(例えば、テ
ィー・バッグに用いられる紙や、ストッキングのような
可伸性繊維メッシュのような類の材質のもの)に包まれ
ている形態とすると、<3>のゲルの処分や、<6>の
漏出液汚染防止対策&薬効液漏出防止対策のような、大
量の液体を処理する場合は好都合である。該吸水性樹脂
(A)が、水溶性フィルム、水崩壊性の紙又はこれらの
積層物に適度のサイズで包まれているものを用いると、
包装部分は短時間に溶解もしくは崩壊し、樹脂は水と接
触するとすぐ膨潤するため、吸水性樹脂の必要な場所へ
の一括投入ができ、樹脂粉末又は粒子がこぼれ散る懸念
がなく、吸水開始も遅れることがない。水不溶性透水性
包装材料を用いる場合は、包装されている該吸水性樹脂
(A)の水膨潤を妨げないようなサイズとする必要があ
る。
【0022】水崩壊性の紙としては、水中で通常5分以
内、好ましくは2分以内、さらに好ましくは1分以内で
崩壊する特殊な紙、例えば、紙のパルプ繊維同士を水溶
性または親水性の糊料、水膨潤性ポリマー等で接着させ
て水との接触によりパルプ繊維同士がバラバラに崩壊す
るようにした紙(三島製紙株式会社製の「ディゾルボW
A」など)、さらにこれにヒートシール剤を併用して成
形加工性(熱接着性)を加味した紙(三島製紙株式会社
製の「ディゾルボWAP」など)などが挙げられる。こ
れらの紙は、吸水により崩壊するスピードが速い特徴を
有する。
【0023】水溶性のフィルムとしては、水溶性ポバー
ルフィルム、デンプンフィルム、カラギーナンフィルム
などが挙げられる。これらのフィルムは、同一の厚みで
比較した場合、上記水崩壊性の紙より水溶解(崩壊)速
度は劣るものの、乾燥状態でのフィルム強度が大きい特
徴を有する。
【0024】また、水崩壊性の紙と水溶性のフィルムを
貼り合わせたラミネートシートとしては、少なくとも1
種以上の、上記水崩壊性の紙および水溶性のフィルムを
接着、ラミネートしたもの(上記「ディゾルボWA」に
ポバールフィルムを貼り合わせた三島製紙株式会社製の
「ディゾルボWAL」など)が挙げられる。これらのラ
ミネートシートは水への溶解(崩壊)性が速くかつフィ
ルム強度も大きいという特徴を有する。これは、紙の強
度の分、貼り合わせる水溶性フィルムの厚みを薄くでき
るため、トータルとして溶解(崩壊)速度とフィルム強
度の両面を向上させることが出来る。これらの中で好ま
しいものは、水崩壊性の紙および上記ラミネートシー
ト、特にラミネートシートである。
【0025】<1>の切開創部充填においては、処置
(1)は、遺体の表皮切開部を通して血管内の血液を排
出させ、且つ着色防腐液を注入して置換するエンバーミ
ングといわれる遺体衛生保全処置であり、処置(2)は
ペース・メーカー装着遺体の表皮切開部からペース・メ
ーカーを取り出す処置であって、何れの場合も、その修
了時に、該吸水性樹脂(A)からなるゲル化剤を該切開
部内へ充填の上、該切開部を縫合もしくは接合する。処
置(1)の場合、遺体表皮の切開する場所は、例えば頸
部に総頸動脈と内頸静脈があるのを利用し、頸部切開部
から、大動脈へ着色防腐液を注入し、上大静脈から血液
を排出させる方法が好便である。着色防腐液としては、
従来から用いられているホルマリンの希釈固定液に血液
と同じような赤色に着色したもの等が使用できる。血液
の置換が進むにつれ、上大静脈より排出してくる液は、
血液と着色防腐液が混ざったような状態で血液濃度が下
がる。一方、遺体の顔等の表面は着色防腐液の作用で生
前の色に復元される。処置(1)の場合はこの置換作業
の修了時、処置(2)ではペース・メーカー取り出し作
業後、各々該切開部から該吸水性樹脂(A)からなるゲ
ル化剤を該切開部内へ充填する。その上で該切開部を縫
合もしくは接合すると、該吸水性樹脂(A)は血液や体
液と接触次第、高吸水倍率で吸収して、吸収しただけ膨
潤するため、封鎖した切開部からの液洩れは簡便且つ効
率よく阻止される。
【0026】<2>の排出液ゲル化処理においては、<
1>と同様のエンバーミングといわれる遺体衛生保全の
処置(1)により、体外へ流出する血液と防腐液からな
る排出液の処理方法である。このエンバーミング処置に
より、一体当り約20Lという大量の排液が発生する。
この排出液が入った開口石油缶等の任意の容器中に、粉
末状又は粒状の水膨潤性吸水性樹脂(A)からなるゲル
化剤を投入し、望ましくは緩く攪拌すると、全体のゲル
化が進行する。ゲル化剤は前記のように、一定量が水溶
性フィルム、水崩壊性の紙又はこれらの積層物に包まれ
ている形態とすると、投入量もすぐ判り好都合である。
ゲル化後の廃液は、焼却処分できるようになるため、本
ゲル化法は、血液、体液、薬剤等で汚染された液の処置
法として好ましい。
【0027】<3>のゲルの処分は、上記<2>記載の
排出液ゲル化処理後の該排出液のゲルを処分する方法で
あり、そのまま焼却処分する場合は、該排出液のゲルを
ビニール袋やダンボール箱等の可燃性包装材料に入れて
焼却処分する。焼却すれば、排出液を構成する血液、薬
液による汚染の懸念が全く解消される利点がある。一
方、該排出液のゲルを、遺体の棺内の例えば、布団、シ
ーツ等の下に置いて葬儀を済ませ、そのまま火葬又は土
葬に至らせる方法によれば、別途の排出液処分作業が割
愛される点で好ましく、特に火葬によれば、排出液を構
成する血液、薬液による汚染の懸念が全く解消される点
でも好ましい。遺体棺内に保管する方法においては、前
記のように、20L程度の排出液がゲル化されている
が、この程度の量は棺内、例えば布団の下に保管するこ
とは十分可能である。該排出液のゲルは、例えば、ビニ
ール袋を内袋とし、ダンボール箱に入れて、棺内に容易
には判らないように入れるような工夫が求められ、容器
重量の追加が小さく、且つ丁寧な方法をとるのが遺族等
の心証上も望ましい。
【0028】<4>の鼻腔等の充填は、葬儀の前等に、
遺体の耳穴、鼻腔、口腔等の遺体表面凹部又は気動、食
道等の奥部の体外へ血液、唾液、排泄物等の体液が流出
する懸念がある部分に該吸水性樹脂(A)からなるゲル
化剤を充填する方法である。該吸水性樹脂(A)は粉末
又は粒状であり、体液と接触次第、高吸水倍率で吸収し
て、吸収しただけ膨潤する作用を有するため、体液の洩
れが効率よく阻止され、葬儀の際汚れることがなく好便
である。
【0029】<5>の外傷修復部充填は、外傷により欠
損した遺体を修復する保全処置において、欠損部位の表
層部の下地として充填もしくは損傷部位への充填に該吸
水性樹脂(A)からなるゲル化剤を使用し、且つ、表層
を修復する方法である。欠損容積が大きい場合は前記の
ような溶解まもしくは崩壊する袋入りの該ゲル化剤を用
いてもよい。該吸水性樹脂(A)は、高吸水倍率で吸水
して吸収しただけ膨潤する作用を有することを活用し、
復元レベル迄防腐剤が添加されていてもよい水で膨潤さ
せることが好ましい。該吸水性樹脂(A)の作用によ
り、縫合、接着等により修復された表層の隙間からの血
液や体液の洩れを効率よく阻止する。
【0030】<6>の漏出体液汚染防止対策&薬効液漏
出防止対策は、薬効液対策の場合、遺体に該薬効液をふ
りかけるが、漏出液対策の場合はふりかけず、包装材に
くるむ遺体保全処置において、該ゲル化剤を利用する方
法で、漏出体液汚染防止対策は、例えば、火傷等の外傷
や浮腫等を有する遺体、溺死体、腐敗死体等血液等の体
液や排泄物等の流出や漏出が多い遺体が対象となる。薬
効液漏出防止対策は、例えば、血管系を用いた薬効液の
還流固定が困難な遺体や、災害等により多量に遺体が発
生したとき等、遺体に多量の防腐剤、殺菌剤等の薬効成
分を含有する薬効剤(液体もしくは固体固定剤)をふり
かけて、包装材内で遺体と液体を接触させて腐敗や細菌
の増殖を防止するが、このように遺体に大量の薬効液を
ふりかけ、包装材にくるむ際が対象となる。何れの対策
の場合も、該包装材としては、納体袋、ビニル・シー
ト、遺体用ビニル・スーツ等が用いられ、この内部に粉
末状又は粒状の水膨潤性吸水性樹脂(A)からなるゲル
化剤を散布した上で遺体をくるむ。
【0031】漏出液汚染防止対策の場合は、血液等の体
液や排泄物等の流出や漏出が多い遺体であっても、多量
の液体をゲル化出来、遺体の保管、移送時の遺体からの
漏出や流出による汚染を効率よく阻止でき、又体液等を
大量吸収して保持するため、腐敗臭や薬品臭も大幅に低
減される。薬効液漏出防止対策の場合は、遺体に大量ふ
りかけられた薬効液を水膨潤性吸水性樹脂(A)が吸収
して保持するうえ、薬効成分を徐放する作用があるた
め、短時間に多数の遺体処置を行うことが可能となり、
大規模災害により多数の遺体が発生したときにも専用の
納体袋を使用することなく、安価な納体袋ビニル・シー
ト、遺体用ビニル・スーツもしくは作業シート等の包装
材を用い、且つ幾重にも包むこともなくても防腐処置さ
れた遺体を棺に入れて保管、移送することが出来る。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 遺体頸部の切開部から総頸動脈へ赤色着色ホルマリンの
希釈固定液を注入し、同じ頸部切開部の内頸静脈から血
液を排出させ、排出液は開口石油缶2缶に分受すること
により、エンバーミングを実施した。この置換作業の修
了時、該切開部から架橋ポリアクリル酸苛性ソーダ部分
中和塩型粉末状吸水性樹脂[サンウエットIM−500
0D、三洋化成工業(株)製]を切開部内へ充填し、そ
の上で切開部を縫合し接着剤で封鎖した。封鎖した切開
部からの液洩れは全くなかった。
【0033】実施例2 水崩壊性の紙に水溶性ポバールフィルムを張り合わせた
ラミネーションフィルム[ディゾルボWAL、三島製紙
(株)製]を25×20cmの長方形に切り、2枚をヒ
ートシールして袋を作り、この中に、サンウエットIM
−5000Dを50g入れてヒートシールにより密封し
て袋入り吸水剤を準備した。実施例1のエンバーミン
グ処置により発生した開口石油缶2缶に分受された計約
20Lの排出液中に、袋入りゲル化剤を計20袋投入
してゆるく攪拌したところ、約3分で全体がゲル化し
た。処置後のゲルは黒色ビニールゴミ袋に入れ、ダンボ
ール箱の中に入れて遺体棺内の布団の下に置いて葬儀を
済ませた。又遺体の耳穴、鼻腔、口腔、気動、食道には
各々少量のサンウエットIM−5000D粉末を挿入し
た。葬儀及び移送の際の体液等の洩れによる汚れや臭い
の問題はなく、そのまま火葬に至らせた。
【0034】実施例3 交通事故により頭部が陥没し欠損した遺体の欠損部に、
サンウエットIM−5000D粉末を適量充填し、その
上にホルマリンの希釈固定液を膨潤の程度を見ながら注
入膨潤させて充填容量を調整後、表皮を縫合・接着して
封鎖した。修復された表層の隙間からの血液や体液の洩
れによる汚れや臭いの問題はなかった。
【0035】実施例4 火災事故現場で火傷を帯び、且つ消火用水でずぶ濡れと
なった遺体を移送するため、上面中央部に縦にチャック
が付いた納体袋に先ず袋入り吸水剤を20個分散させ
て入れ、その上に遺体を乗せ、更に遺体上部にも吸水剤
を10個分散させて入れ、防腐剤、殺菌剤を含有する
液を遺体全体に適量散布後、チャックを閉じ、棺に入れ
搬送車で移送した。遺体からの漏出液による棺内の布団
の汚染はなく、且つ腐敗臭も発生しなかった。
【0036】
【発明の効果】本発明の方法は、水膨潤性吸水性樹脂の
有する下記〜等の諸特性を多角的に活かしたもので
ある:吸水が早くて高い吸水性能、表面はさらさら
とした水不溶性水膨潤ゲルとする性質、吸水しただけ
膨潤する性能、水分保持性能と徐放性、吸水後は膨
潤樹脂中に臭いを発生する物質も閉じ込め、臭いを抑制
する性能 従来、エンバーミング等の遺体保全処置において、体液
の漏出や汚染問題、体液、薬液、腐敗液等の臭いの問
題、処置排出液の後処理、処分の難しさ等液体にまつわ
る問題が多く、従来の対策では未だ問題が多いか不十分
であったところ、水膨潤性吸水性樹脂の有する上記諸特
性を種々の遺体保全処置に活用することにより、大幅に
改善する方法である。即ち、従来から解剖遺体用へのこ
の樹脂の使用は知られているものの、本発明はこの知見
も応用し、この樹脂の有する種々の特性に着目した結
果、意外にも極めて多角的に遺体保全分野へのこの樹脂
の利用の拡大が出来ることを見いだしたものである。本
発明の方法は、上記のような顕著な効果を奏する上、今
後のわが国におけるエンバーミングの普及、事件、事
故、災害等の遺体保全のための緊急時の利用、人類が一
度は通る葬儀に利用されること等を考慮すれば、極めて
有用性が高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野田 晴生 京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋 化成工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遺体の表皮切開部を通して血管から血液
    を排出させ、且つ防腐液を血管に注入して置換する処置
    (1)又はペース・メーカー装着遺体の表皮切開部から
    ペース・メーカーを取り出す処置(2)から選ばれる遺
    体保全処置の修了時、粉末状又は粒状の水膨潤性吸水性
    樹脂(A)からなるゲル化剤を該切開部内へ充填の上、
    該切開部を縫合もしくは接合する遺体保全処置法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の該処置(1)により、体
    外へ流出する血液と該防腐液からなる排出液を、粉末状
    又は粒状の水膨潤性吸水性樹脂(A)からなるゲル化剤
    でゲル化する遺体保全処置排出液の処理法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の方法で処理後の該排出液
    のゲルを焼却処分するか、或は該排出液のゲルを遺体の
    棺内に保管して、そのまま火葬又は土葬に至らせる遺体
    保全処置排出液の処理法。
  4. 【請求項4】 遺体表面凹部又はその奥の体外へ体液が
    流出する懸念がある部分に粉末状又は粒状の水膨潤性吸
    水性樹脂(A)からなるゲル化剤を充填する遺体保全処
    置法。
  5. 【請求項5】 外傷により欠損した遺体を修復する遺体
    保全処置において、欠損部に粉末状又は粒状の水膨潤性
    吸水性樹脂(A)からなるゲル化剤を充填し、必要によ
    り復元レベル迄防腐剤が添加されていてもよい水で膨潤
    させ、且つ表層を修復する遺体保全処置法。
  6. 【請求項6】 遺体に防腐剤を含有する薬効液をふりか
    けるか又はふりかけず、包装材にくるむ遺体保全処置に
    おいて、該包装材の内部に粉末状又は粒状の水膨潤性吸
    水性樹脂(A)からなるゲル化剤を散布した上で遺体を
    くるむ遺体保全処置法。
  7. 【請求項7】 該遺体が、事件、事故もしくは災害によ
    る遺体、焼死体、浮腫を有する遺体、溺死体又は腐敗遺
    体である請求項6記載の処置法。
  8. 【請求項8】 該包装材がビニルシート、遺体用ビニル
    ・スーツ又は納体袋である請求項6又は7記載の処置
    法。
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