JPH1096469A - ロックアップクラッチ付自動変速機の制御装置 - Google Patents

ロックアップクラッチ付自動変速機の制御装置

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JPH1096469A
JPH1096469A JP25092496A JP25092496A JPH1096469A JP H1096469 A JPH1096469 A JP H1096469A JP 25092496 A JP25092496 A JP 25092496A JP 25092496 A JP25092496 A JP 25092496A JP H1096469 A JPH1096469 A JP H1096469A
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JP
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lock
clutch
speed
vehicle speed
control
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JP25092496A
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English (en)
Inventor
Tadashi Tamura
忠司 田村
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ABSを有効に利用してエンジンストールを
防止しつつ燃費の向上を図る。 【解決手段】 入力部材と出力部材とを機械的に連結し
かつ所定の下限車速より低車速では解放されるロックア
ップクラッチを内蔵した流体継手を備えた車両のロック
アップクラッチ付自動変速機の制御装置であって、制動
時に車輪のロックを防止するよう車輪の制動力を制御す
るアンチロック機能がある場合には無い場合よりも前記
ロックアップクラッチを解放する前記下限車速を低車速
に設定するロックアップ制御手段(ステップ2,3)を
備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、トルクコンバー
タなどの流体継手にロックアップクラッチを内蔵してあ
る自動変速機の制御装置に関し、特に制動時に車輪のロ
ックを防止するアンチロック制御と関連してロックアッ
プクラッチの解放を制御する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両の自動変速機は、発進加速時にトル
クの増大機能を生じさせ、また停車時には断続操作を不
要とするなどのために、流体継手であるトルクコンバー
タが使用されている。トルクコンバータは流体を介して
トルクを伝達するために、トルクの増大機能や振動の遮
断機能などの有利な点が多いが、その半面、入力部材で
あるポンプインペラと出力部材であるタービンランナと
の間に不可避的な滑りが生じるために、動力の伝達効率
が悪く、車両の燃費の向上に反する要因にもなってい
る。そこで従来では、トルクコンバータの入力側の部材
と出力側の部材とを直接機械的に連結するロックアップ
クラッチを設けることが広く行われている。
【0003】ロックアップクラッチを係合させた場合、
動力の伝達ロスによる燃費の悪化を抑制できるが、エン
ジンの振動を直接、自動変速機側に伝達してしまう不都
合がある。またコースト状態では、ロックアップクラッ
チを係合させることによって自動変速機側から入力され
るトルクでエンジンを強制的に回転させることができる
ので、燃料の遮断(フューエルカット)による燃費の向
上を図ることができるが、その半面、エンジンストール
の要因になる場合もある。
【0004】上述したロックアップクラッチを係合させ
ておくことに伴う不都合は、主に、エンジン回転数が低
回転数になった場合に生じる。そこで従来では、ロック
アップクラッチを係合させる車速や変速段に制限を設
け、車速については所定の下限速度以上の領域でロック
アップクラッチを係合させることとしている。しかしな
がらロックアップクラッチの解放制御には不可避的な遅
れがあるため、制動操作を行った場合の制動力が大きけ
れば、車速がロックアップクラッチの係合下限速度に低
下した時点で解放制御を行っても、ロックアップクラッ
チの解放の遅れによってエンジン回転数が大きく低下し
てしまい、極端な場合には、エンジンストールに至る可
能性がある。そこで特開平5−141526号公報に記
載された発明では、ロックアップクラッチを係合させた
状態でブレーキ信号が検出された場合には、直ちにロッ
クアップクラッチを解放させることとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の公
報に記載された発明におけるように、ブレーキ信号の検
出と同時にロックアップクラッチを解放するとすれば、
エンジンの回転数が直ちにアイドリング回転数にまで低
下してしまうので、エンジンの回転を維持するために燃
料の供給を継続する必要があり、燃費を向上させること
ができなくなる。
【0006】特に制動時に車輪のロックを防止するよう
に制動力を制御するアンチロック・ブレーキ・システム
(ABS)を搭載している車両では、大きくブレーキペ
ダルを踏み込んだ場合であっても車輪の回転を維持でき
るが、その際に敢えてロックアップクラッチを解放する
とすれば、自動変速機からエンジンに向けたトルクの伝
達を遮断してしまい、エンジンの回転数を低下させるこ
とになる。そのためエンジンの回転を維持するために燃
料の供給を継続する必要があり、燃費の向上を図れなく
なる。
【0007】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、車輪のロックを防止する機能とロック
アップクラッチとの制御を有機的に関連させることによ
ってエンジンストールを防止することのできる装置を提
供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1に記載した発明は、入力
部材と出力部材とを機械的に連結しかつ所定の下限車速
より低車速では解放されるロックアップクラッチを内蔵
した流体継手を備えた車両のロックアップクラッチ付自
動変速機の制御装置において、制動時に車輪のロックを
防止するよう車輪の制動力を制御するアンチロック機能
がある場合には無い場合よりも前記ロックアップクラッ
チを解放する前記下限車速を低車速に設定するロックア
ップ制御手段を備えていることを特徴とするものであ
る。
【0009】したがって請求項1の発明では、車輪のア
ンチロック機能のある車両では、その機能の無い車両よ
りも低車速までロックアップクラッチが係合状態に維持
される。そのため制動時(コースト時)には、自動変速
機から伝達されるトルクによってエンジンの回転数が高
い回転数に維持され、燃料の供給を遮断してもエンジン
の回転を維持でき、制動時もしくはコースト時にこのよ
うな制御を併せて行うことにより、燃費を向上させるこ
とができる。またアンチロック機能の無い場合には、相
対的に高い車速でロックアップクラッチが解放されるの
で、車輪のロックに伴ってエンジンの回転数が強制的に
低回転数にまで低下させられることがなく、その結果、
車輪のロックあるいはこれに近い状態になることに起因
するエンジンストールを未然に防止することができる。
なお、この発明で、アンチロック機能が無い場合とは、
制動時に車輪のロックを防止するよう制動力を制御する
手段もしくは装置を備えていない場合と、この種の手段
あるいは装置がフェールによって機能していない場合と
を含む。
【0010】また請求項2に記載した発明は、入力部材
と出力部材とを機械的に連結しかつ所定の下限車速より
低車速では解放されるロックアップクラッチを内蔵した
流体継手を備えた車両のロックアップクラッチ付自動変
速機の制御装置において、制動操作されたことを検出す
る制動検出手段と、制動時に車輪のロックを防止するよ
うに車輪の制動力を制御するアンチロック機能が無い場
合には車速が前記下限車速より低車速になった場合もし
くは前記制動検出手段が制動操作を検出した場合に前記
ロックアップクラッチを解放し、かつ制動時に車輪のロ
ックを防止するよう車輪の制動力を制御するアンチロッ
ク機能が有る場合には、前記制動検出手段による制動操
作の検出に拘わらず車速が前記下限車速より低車速にな
った場合に前記ロックアップクラッチを解放するロック
アップ制御手段とを備えていることを特徴とするもので
ある。
【0011】したがって請求項2の発明では、制動時に
車輪のロックを防止するように制御するアンチロック機
能がない場合には、制動操作が検出されることに基づい
てロックアップクラッチが解放させられる。したがって
その制動操作に伴って車輪がたとえロックしてもエンジ
ン回転数が強制的に低回転数にまで低下させられないの
で、エンジンストールを防止できる。これに対してアン
チロック機能がある場合には、たとえ制動操作が検出さ
れても、それをもって直ちにロックアップクラッチが解
放されることがなく、車速が所定の下限車速にまで低下
した場合にロックアップクラッチが解放される。したが
ってアンチロック機能が有る場合には、低車速までロッ
クアップクラッチが係合されて自動変速機から伝達され
るトルクによってエンジン回転数を高い回転数に維持
し、その間に燃料の供給を遮断できるので、燃費を向上
させることができ、また当然、エンジンストールを回避
することができる。なお、この発明で、アンチロック機
能が無い場合は、制動時に車輪のロックを防止するよう
制御する手段もしくは装置を備えていない場合と、この
種の手段あるいは装置がフェールによって機能していな
い場合とを含む。
【0012】さらに請求項3に記載した発明は、制動時
に車輪のロックを防止するよう制動力を制御するアンチ
ロック制御装置を備えるとともに、入力部材と出力部材
とを機械的に連結しかつ所定の条件が満たされた場合に
解放されるロックアップクラッチを内蔵した流体継手を
備えた車両のロックアップクラッチ付自動変速機の制御
装置において、前記アンチロック制御装置が動作して制
動力の制御を開始した時点からの経過時間を検出するア
ンチロック制御検出手段と、前記アンチロック制御装置
による制動力の制御の開始からの経過時間が予め設定し
た基準時間に達したことを前記アンチロック制御検出手
段が検出した場合に前記ロックアップクラッチの解放制
御を行うロックアップ制御手段とを備えていることを特
徴とするものである。
【0013】したがって請求項3の発明によれば、アン
チロック制御装置が動作して車輪がロックしないように
制動力を制御し、かつロックアップクラッチを解放する
べき状態の場合、制動力の変化に応じて車輪の回転数お
よびこれにロックアップクラッチを介して連結されてい
るエンジンの回転数が増減しつつ全体として次第に低下
するが、制動力の制御開始直後にエンジン回転数が低下
している状態のときにはロックアップクラッチが係合さ
せられ、それに続く上昇傾向のときにロックアップクラ
ッチが解放されることになる。すなわちロックアップク
ラッチは、アンチロック制御装置による制動力の制御の
開始と同時に解放されずに、慣性力がエンジンの回転数
を増大させる方向に作用しているときに解放させられる
ので、エンジンストールを未然に防止することができ
る。またロックアップクラッチを係合させてエンジン回
転数を所定の回転数以上に維持する時間が長くなるの
で、それと併せて行う燃料の供給停止の時間を長くし
て、燃費の向上を図ることが可能になる。
【0014】そして請求項4に記載した発明は、制動時
に車輪のロックを防止するよう制動力を制御するアンチ
ロック制御装置を備えるとともに、入力部材と出力部材
とを機械的に連結しかつ所定の条件が満たされた場合に
解放されるロックアップクラッチを内蔵した流体継手を
備えた車両のロックアップクラッチ付自動変速機の制御
装置において、前記アンチロック制御装置の動作中の車
輪速度と該車輪速度から求められる車体速度との差の変
化状態を検出する速度偏差検出手段と、前記車輪速度と
車体速度との差が小さくなる状態で前記ロックアップク
ラッチを解放させるロックアップ制御手段とを備えてい
ることを特徴とするものである。
【0015】したがって請求項4に記載した発明によれ
ば、アンチロック制御装置が動作して車輪がロックしな
いように制動力を制御し、かつロックアップクラッチを
解放するべき状態の場合、制動力の変化に応じて車輪の
回転数およびこれにロックアップクラッチを介して連結
されているエンジンの回転数が増減しつつ全体として次
第に低下するが、ロックアップクラッチは、車輪速度が
車体速度に近付く場合すなわちエンジン回転数が上昇傾
向にあるときに解放させられることになる。すなわちア
ンチロック制御装置が動作している際にロックアップク
ラッチを解放する場合、慣性力がエンジンの回転数を増
大させる方向に作用しているときにロックアップクラッ
チを解放させることになり、エンジンストールを未然に
防止することができる。またロックアップクラッチを係
合させてエンジン回転数を所定の回転数以上に維持する
時間を長くして、燃費の向上を図ることが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図面を参照して
具体的に説明する。先ずこの発明で対象とする車両の全
体的な制御系統を簡単に説明すると、図11に示す例
は、電子制御式の自動変速機1とアンチロック・ブレー
キ・システム(ABS)2とを搭載した車両である。そ
の自動変速機1は、エンジン3の出力側に連結されてお
り、トルクコンバータ4を介して入力したトルクを、遊
星歯車機構を主体とする歯車変速機構(図示せず)によ
って複数の変速段に変速して出力する公知の構造のもの
である。またそのトルクコンバータ4は、エンジン3に
よって回転させられるポンプインペラ5を入力部材と
し、このポンプインペラ5で生じさせたフルードの螺旋
流を出力部材であるタービンランナ6に与えてトルクを
伝達し、またその入力部材と出力部材との間で直接トル
クを伝達するロックアップクラッチ7を内蔵した公知の
構造のものである。
【0017】上記の自動変速機1は、ロックアップクラ
ッチ7の係合・解放の制御および変速制御を油圧によっ
て行うように構成されている。そのための油圧制御装置
8は、複数のソレノイドバルブ(図示せず)を含み、ソ
レノイドバルブの切換動作によって油圧の供給・排出の
経路を変更してロックアップクラッチ7の係合・解放の
制御および変速ならびに変速時の過渡油圧などを制御す
るように構成されている。
【0018】さらにこの油圧制御装置8にロックアップ
クラッチ7や変速の制御のための信号を出力する電子制
御装置(T−ECU)9が設けられている。この電子制
御装置9は、中央演算処理装置(CPU)および記憶装
置(ROM,RAM)ならびに入出力インターフェース
を主体として構成されており、制御データとして車速V
およびスロットル開度θならびにシフトポジション、ブ
レーキ信号などが入力されている。そしてこの電子制御
装置9は、これらの入力データおよび予め記憶している
変速マップなどに基づいて変速段やロックアップクラッ
チ7の係合・解放を判断し、その判断結果に基づいて油
圧制御装置8に制御信号を出力するように構成されてい
る。
【0019】ここでロックアップクラッチ7の係合・解
放および変速段の制御のためのマップの一例を示せば、
図12のとおりである。このマップは、車速Vとスロッ
トル開度θとをパラメータとしてロックアップクラッチ
7の係合領域および解放領域を定め、また各変速段領域
を定めたものであり、太い実線が前進第3速もしくは第
4速でロックアップクラッチ7を解放状態(OFF)か
ら係合状態(ON)に切り換えるいわゆる係合線を示
し、また太い破線が前進第3速もしくは第4速でロック
アップクラッチ7を係合状態(ON)から解放状態(O
FF)に切り換えるいわゆる解放線を示している。さら
に細い実線がアップシフト線、細い破線がダウンシフト
線をそれぞれ示している。
【0020】したがって係合線を横切るように車速Vが
増大し、あるいはスロットル開度θが低下すれば、ロッ
クアップクラッチ7が係合させられ、また反対に解放線
を横切るように車速Vが低下し、あるいはスロットル開
度θが増大すれば、ロックアップクラッチ7が解放させ
られる。またアップシフト線を横切るように車速Vが増
大し、あるいはスロットル開度θが低下すれば、アップ
シフトが実行され、これとは反対にダウンシフト線を横
切るように車速Vが低下し、あるいはスロットル開度θ
が増大すれば、ダウンシフトが実行される。
【0021】つぎにアンチロック・ブレーキ・システム
2について説明すると、これは、制動時に車輪がロック
しないように制動力を制御する装置であって、前後四輪
それぞれの回転速度すなわち車輪速を検出するために、
各車輪Fr ,Fl ,Rr ,Rl のそれぞれに回転数セン
サ10,11,12,13が取り付けられており、これ
らの回転数センサ10,11,12,13が電子制御装
置(ABS−ECU)14に電気的に接続されている。
この電子制御装置14は、中央演算処理装置(CPU)
および記憶装置(ROM,RAM)ならびに入出力イン
ターフェースを主体として構成されており、各回転数セ
ンサ10,11,12,13から入力された信号に基づ
いて車輪速を検出するとともにその入力信号および減速
度などに基づいて車両の対地速度すなわち車体速を検出
し、さらにこれらの車輪速および車体速から車輪Fr ,
Fl ,Rr ,Rl のロックを判断し、ロックの可能性の
ある車輪についての制動力を一時的に低下させる制御信
号を出力するよう構成されている。また上記の各電子制
御装置9,14が相互にデータ通信可能に電気的に接続
されている。
【0022】ブレーキペダル15によって動作させられ
るブレーキマスタシリンダ16が、比例弁17に接続さ
れるとともに、この比例弁17が電気的に制御されるア
クチュエータ18に接続されている。そしてこのアクチ
ュエータ18から各車輪Fr,Fl ,Rr ,Rl のブレ
ーキシリンダ19,20,21,22に油圧を供給する
ようになっている。アクチュエータ18は、3ポジショ
ンソレノイドバルブなどのソレノイドバルブと油圧ポン
プとリザーバとを主体として構成されており、前記電子
制御装置14からの出力信号によってソレノイドバルブ
を切り換え動作させることにより、各車輪の制動力を低
下させ、あるいは制動力を保持させ、さらには制動力を
ポンプからの油圧で増大させるように選択的に制御す
る。なお、このアンチロック・ブレーキ・システム2と
しては、従来知られている装置を使用することができ
る。
【0023】上述したようにアンチロック・ブレーキ・
システム2は、制動に伴って車輪速が車体速に対して低
下し、車輪がロックするような状況が検出された場合
に、その車輪に対する制動力すなわちその車輪のブレー
キトルクを低下させて車輪のロックを回避し、路面との
間の摩擦力を維持する。したがってアンチロック・ブレ
ーキ・システム2が正常に機能している状態では、ブレ
ーキペダル15を大きく踏み込んで制動を行った場合で
あっても車輪の回転を維持できる。したがって低車速ま
でロックアップクラッチ7を係合させておいても、自動
変速機1側からエンジン3に入力されるトルクによって
エンジン回転数を高く維持できるので、エンジンストー
ルを招くおそれがない。これに対してアンチロック・ブ
レーキ・システム2が正常に機能していない場合、もし
くはこのシステムを備えていない車両では、制動力が大
きい場合には、車輪がロックする。その際にロックアッ
プクラッチ7を係合させていれば、エンジン回転数が強
制的に低下させられ、これを避けるために直ちにロック
アップクラッチ7を解放する制御を実行しても、制御の
応答遅れでエンジン回転数が更に低下する。したがって
低車速までロックアップクラッチ7を係合させていた場
合には、車輪のロックおよびロックアップクラッチ7の
解放制御の遅れによってエンジンストールが生じる可能
性がある。
【0024】そこでこの発明にかかる制御装置では、ア
ンチロック・ブレーキ・システム2の有無もしくはその
機能の有無に応じてロックアップクラッチ7を係合させ
る最低速度すなわち係合下限速度Vmin を以下のように
制御する。図1はその制御の一例を示しており、先ず、
車輪のロックを防止するよう制動力を制御するアンチロ
ック機能(ABS)の有無を判断する(ステップ1)。
これは前述したアンチロック・ブレーキ・システム2が
正常に機能していること、およびフェールもしくはスイ
ッチが遮断されることにより正常に機能していないこと
の判断の他に、そのシステムを備えていないことの判断
を含む。
【0025】そしてアンチロック機能が正常に機能する
状態あるいはアンチロック機能を有していれば、ステッ
プ2に進んでロックアップクラッチ7の係合下限速度V
minを比較的小さい値である所定値αに設定する。これ
に対してステップ1においてアンチロック機能が正常に
機能していない状態あるいはアンチロック機能が無いと
判断された場合には、ステップ3に進んでロックアップ
クラッチ7の係合下限速度Vmin として、前記の値αよ
り大きい値β(>α)を設定する。これらステップ2お
よびステップ3が請求項1の発明におけるロックアップ
制御手段に相当する。
【0026】したがってアンチロック・ブレーキ・シス
テム2を備えていてこれが正常に機能している場合に
は、ロックアップクラッチ7が低車速まで係合状態に維
持される。これは、具体的には、図12を参照して説明
したマップを変更することによって実施することができ
る。そして制動状態あるいはコースト状態では、エンジ
ン3がアイドリング状態であるにも拘わらず、ロックア
ップクラッチ7が係合させられていてエンジン3が自動
変速機1側から入力されるトルクで強制的に回転させら
れるので、低車速までエンジン回転数を比較的高い回転
数に維持できる。したがってその際にエンジン3に対す
る燃料の供給を停止してもエンジンストールが生じず、
燃費を向上させることができる。
【0027】これに対してアンチロック機能が無い場合
もしくはアンチロック機能が正常に動作していない場
合、上記の場合より相対的に高車速の状態でロックアッ
プクラッチ7が解放される。これは、具体的には、予め
そのようなマップを用意し、アンチロック・ブレーキ・
システム2が装着されていない場合や正常に機能してい
ないことが検出された場合に、そのマップを読み込みか
つそのマップに基づいて制御することによって実施でき
る。したがって制動に伴って車速が低下し、ロックアッ
プクラッチ7の係合下限車速に達すると、ロックアップ
クラッチ7が解放させられる。その際に車輪のロックが
生じるとともに、ロックアップクラッチ7の解放制御の
応答遅れによってエンジン回転数が更に低下しても、エ
ンジン回転数が比較的高い状態にあるためにエンジンス
トールに至ることはない。
【0028】なお、車速Vは、基本的には車輪の回転速
度に基づいて検出するが、車輪がロックした場合やロッ
クを回避するべくアンチロック・ブレーキ・システム2
が動作した場合には、車両の実際の対地速度を反映しな
くなる。そこで正確に車速を検出するために、アンチロ
ック・ブレーキ・システム2を搭載しかつ正常に機能し
ている場合には、アイドリング時もしくは制動時に車速
Vとして車体速を採用し、制御を行う。図2は、その車
速の選択の制御例を示しており、アイドリング時か否か
を判断し(ステップ11)、肯定判断された場合には車
速Vとして車体速VB を採用し(ステップ12)、これ
とは反対に否定判断された場合には車速Vとして車輪速
VW を採用する(ステップ13)。
【0029】車体速VB を車速Vとして採用するのは、
制動に伴って車輪速が車体速と一致しなくなる場合があ
るからであり、したがってその前提として制動状態の検
出を行ってもよく、したがって上記のステップ11はブ
レーキ信号の有無を検出するステップに置き換えてもよ
い。あるいはアイドリング状態をアイドルスイッチの出
力信号に基づいて判断するとともにブレーキスイッチの
出力信号に基づいて制動状態を検出するステップに置き
換えてもよい。
【0030】前述したように従来ではロックアップクラ
ッチを係合した状態でブレーキ操作された場合には、直
ちにロックアップクラッチを解放するように制御してい
るが、この発明の制御装置では、ロックアップクラッチ
7の係合下限車速以上であれば、ブレーキ操作が検出さ
れた場合であってもロックアップクラッチ7を係合状態
に維持する。図3はその制御例を示しており、車速Vと
ロックアップクラッチ7の係合下限車速Vmin とを比較
し(ステップ21)、車速Vがこの係合下限車速Vmin
以上であれば、ステップ22に進んで車輪のロックを防
止するように制動力を制御するアンチロック機能(AB
S)の有無を判断する。このステップ22は、前述した
図1に示すステップ1と同様な判断ステップである。
【0031】ステップ22でアンチロック機能が有ると
判断された場合、あるいはアンチロック・ブレーキ・シ
ステム2を備えていてこれが正常に機能していると判断
された場合には、ステップ23に進んでロックアップク
ラッチ7を係合(ON)させる制御信号(L/C O
N)を出力する。これに対してステップ22でアンチロ
ック機能が無いと判断された場合、あるいはアンチロッ
ク・ブレーキ・システム2が正常に動作していないと判
断された場合には、ステップ24に進んでブレーキ操作
されたか否かを判断する。このステップ24が請求項2
の発明の制動検出手段に相当する。
【0032】ブレーキ操作されていない場合すなわちブ
レーキOFFであれば、ステップ23に進んでロックア
ップクラッチ7を係合状態に維持する。またブレーキ操
作されたことすなわちブレーキONが検出された場合に
は、ステップ25に進んでロックアップクラッチ7を解
放(OFF)する制御信号(L/C OFF)を出力す
る。これらステップ23およびステップ25が請求項2
の発明におけるロックアップ制御手段に相当する。
【0033】したがってアンチロック機能が正常に働い
ていれば、車速が係合下限速度に低下するまでロックア
ップクラッチ7を係合させておくことになるので、エン
ジン3をアイドリング回転数より高い回転数に維持で
き、その結果、燃料の遮断(フューエルカット)を長い
時間に亘って行うことが可能になり、燃費を向上させる
ことができる。
【0034】ところで圧雪路などの路面摩擦係数の小さ
い道路を走行中にブレーキペダル15を踏み込んだ場
合、比較的容易に車輪がロックする。このような場合、
車体の姿勢を保持しつつ可及的速やかに停止するのが通
常であるから、アンチロック・ブレーキ・システム2が
動作したことに基づいてロックアップクラッチ7を解放
させるよう制御することも可能である。その場合の制御
例を図4に示してある。
【0035】この制御例では、凍結路面などの路面摩擦
係数が小さい状態を想定しており、したがって車速Vと
しては車体速VB を採用する。先ず、車速VB とロック
アップクラッチ7の係合下限速度Vmin とを比較する
(ステップ31)。車速VB が大きい場合には、アンチ
ロック・ブレーキ・システム2が動作しているか否かを
判断する(ステップ32)。これは前述したアクチュエ
ータ18に信号が出力されているか否かによって判断す
ることができる。
【0036】アンチロック・ブレーキ・システム2が動
作している場合に、ステップ33に進んでその動作開始
からの経過時間Tと予め定めた基準時間TA とを比較す
る。この基準時間TA は、図5に示すように、制動力が
減じられて車輪速VW が上昇傾向にある状態における所
定の時点までの時間であり、車速や変速段あるいはブレ
ーキ力、車体速と車輪速との最大偏差などに基づいて予
め定められた値である。したがってステップ33が請求
項3の発明におけるアンチロック制御手段に相当する。
【0037】アンチロック・ブレーキ・システム2の動
作開始からの経過時間Tがこの基準時間TA に至らない
場合には、その時点の制御状態を継続する(ステップ3
4)。具体的にはロックアップクラッチ7を係合させ、
またアンチロック・ブレーキ・システム2による制動力
の制御を継続する。これに対して前記経過時間Tが基準
時間TA に達した場合には、ロックアップクラッチ7を
解放(OFF)する制御信号(L/C OFF)を出力
する(ステップ35)。なお、その場合の変速制御は通
常と同様に行う。このステップ35が請求項3の発明に
おけるロックアップ制御手段に相当する。
【0038】したがって図4に示す制御によれば、アン
チロック・ブレーキ・システム2が動作して制動力を制
御している状態では、車輪速VW が増大傾向にある時点
すなわちエンジン回転数が高くなりつつある時点でロッ
クアップクラッチ7が解放させられる。そのためエンジ
ン3などの回転要素の慣性力が、その回転数を増大させ
るように作用している状態で自動変速機1側からのトル
クの伝達が遮断されるため、エンジン3の回転数が少な
くとも下降傾向にはならず、その結果、エンジンストー
ルを未然に防止することができる。このように図4に示
す制御例では、エンジンストールし難くなるので、ロッ
クアップクラッチ7の係合下限車速を低車速側に引き下
げることが可能になり、そのようにすれば、ロックアッ
プクラッチ7の係合領域を拡大してフューエルカット時
間を長くし、燃費を向上させることが可能になる。
【0039】なお、ステップ31で車速VB と係合下限
車速Vmin とを比較した結果、車速VB が下限車速Vmi
n 以下であった場合には、直ちにステップ35に進んで
ロックアップクラッチ7を解放する制御信号を出力す
る。またアンチロック・ブレーキ・システム2が動作し
ていないことによりステップ32で否定判断された場合
には、図12に示すマップに基づいて通常の制御を実行
する(ステップ36)。
【0040】上述したエンジン回転数の増大時にロック
アップクラッチ7を解放させる制御の他の例を次に説明
する。図6および図7に示す例は、車輪速VW および車
体速VB から車輪のロックが生じるような制動状態を検
出するとともに、エンジン回転数の増大状態を検出して
ロックアップクラッチ7を解放させるよう制御する例で
ある。
【0041】図6は制動を行うことによって実行される
ルーチンであって、先ず、フラグF1 について判断する
(ステップ41)。このフラグF1 は、車輪のロックが
生じる程度の制動状態が検出された場合に“1”にセッ
トされ、アイドル・オフ状態が検出されることによりゼ
ロリセットされるフラグであり、当初は“0”であるか
らステップ42に進む。このステップ42では、車体速
VB と車輪速VW との偏差VS (=VB −VW )を所定
の基準値VS1と比較する。
【0042】図7に示すように、制動操作を行うことに
伴ってアンチロック・ブレーキ・システム2が動作する
と、車体速VB が次第に低下する一方、車輪速VW が車
体速VB より低速の状態で増大と減少とを繰り返す。し
たがってその車体速VB と車輪速VW との偏差VS は、
図7の中段に示すように、増減を繰り返し、次第にゼロ
に近付くように変化する。その間に所定の基準値VS1を
横切る。なお、図7では正負を上下反転して記載してあ
り、“0”の線より上が負、下が正である。すなわち偏
差VS が基準値VS1より大きい場合には、車輪速VW が
車体速VB から大きく離れ、車輪がロックに近い状態に
あることになる。
【0043】そこで、ステップ42において偏差VS が
基準値VS1より大きいことが判断された場合には、ステ
ップ43に進んで偏差VS の単位時間当たりの変化率d
VS(VS ドット)を基準値dVS1(VS1ドット)と比
較する。この偏差VS の変化率dVS の変化を図7に曲
線で示してあり、前記基準値dVS1は正の値として設定
してある。したがって偏差VS の変化率dVS が基準値
dVS1より大きければ、車輪速VW が車体速VW から急
激に離れる状態、すなわち車輪速VW が急激に低下して
いる状態である。
【0044】したがってステップ42で偏差VS が基準
値VS1より大きいことが判断され、かつステップ43で
偏差VS の変化率dVS が基準値dVS1より大きいこと
が判断された場合には、車輪速VW が低下傾向にあるこ
とになる。すなわち車輪がロックする傾向にあることに
なり、この場合、フラグF1 を“1”にセットする(ス
テップ44)。ついで車輪速VW とロックアップクラッ
チ7の係合下限速度Vmin とを比較する(ステップ4
5)。
【0045】これに対して前記偏差VS が基準値VS1以
下の場合には、直ちにステップ45に進む。また同様
に、偏差VS の変化率dVS がその基準値dVS1以下の
場合には直ちにステップ45に進む。
【0046】一方、制動が開始された後、時間が経過し
て既にフラグF1 が“1”にセットされている場合、す
なわち車輪速VW が大きく低下しつつあってステップ1
でフラグF1 が“1”であることが判断された場合に
は、ステップ42に替えてステップ46に進む。このス
テップ46では、前記偏差VS の変化率dVS を第2の
基準値dVS2(VS2ドット)と比較する。この第2の基
準値dVS2は、図7に示すように負の値として設定して
あり、したがって偏差VS の変化率dVS がこの第2の
基準値dVS2より小さければ、偏差VS が急激に小さく
なっていること、すなわち車輪速VW が車体速VB に近
づきつつあることになる。
【0047】そこで変化率dVS が第2の基準値dVS2
より小さい場合には、ステップ47に進んで偏差VS が
偏差についての第2の基準値VS2より小さいか否かを判
断する。この偏差についての第2の基準値VS2は、図7
に示すように、前述した第1の基準値VS1より大きい値
である。したがってこのステップ47において偏差VS
が第2の基準値VS2より小さいと判断された場合には、
ステップ46において変化率dVS が第2の基準値dV
S2以下であることと相まって、車輪速VW が極小値を過
ぎて増大傾向にあることになり、そこでこの場合はフラ
グF2 を“1”にセットし(ステップ48)、ステップ
45に進む。
【0048】これに対してステップ46において変化率
dVS がその第2の基準値dVS2以上であると判断され
た場合、およびステップ47において偏差VS がその第
2の基準値VS2以上であると判断された場合には、それ
ぞれ直ちにステップ45に進む。
【0049】ステップ45で車輪速VW について判断
し、車輪速VW がロックアップクラッチ7の係合下限速
度Vmin より低車速であれば、第1のフラグF1 が
“1”か否かを判断する(ステップ49)。前述したよ
うにこの第1のフラグF1 は、車輪がロックする傾向に
ある場合に“1”にセットされるから、ステップ49に
おいて第1のフラグF1 が“0”であると判断された場
合には、車両がゆっくり減速されたことになり、したが
ってこの場合は、車輪速VW と車体速VB とがほぼ一致
していることになるので、ロックアップクラッチ7を解
放する制御信号(L/C OFF)を出力する(ステッ
プ50)。
【0050】これに対して第1のフラグF1 が“1”に
セットされていることがステップ49で判断された場合
には、ブレーキペダル15が大きく踏み込まれて車輪が
ロックする傾向にあることになり、アンチロック機能が
有効に作用していれば、制動力の制御が行われている。
そこでこの場合は、ステップ51に進んで第2のフラグ
F2 について判断する。
【0051】前述したようにこの第2のフラグF2 は、
制動力が制御されて車輪速VW が車体速VB に近付くよ
うに増大傾向にある場合に“1”にセットされるから、
ステップ51において第2のフラグF2 が“1”である
ことが判断された場合には、ステップ50に進んでロッ
クアップクラッチ7を解放する制御信号(L/C OF
F)を出力する。また第2のフラグF2 が“0”である
ことがステップ51で判断された場合には、リターンす
る。
【0052】なお、車輪速VW が係合下限速度Vmin 以
上であることがステップ45で判断された場合には、直
ちにステップ51に進み、上述したように第2のフラグ
F2の状態に応じてロックアップクラッチ7を制御す
る。すなわち第2のフラグF2が“1”にセットされて
いて車輪速VW が上昇傾向にあれば、ロックアップクラ
ッチ7を解放する。
【0053】すなわち図6に示す制御例では、各フラグ
F1 ,F2 が共に“1”にセットされることによってロ
ックアップクラッチ7の解放信号が出力されることにな
り、これを図7にタイムチャートとして示してある。こ
の図7からも判るように、制動力を制御している状態で
のロックアップクラッチ7の解放は、車輪速VW が増大
傾向にある場合、すなわちエンジン回転数が増大しつつ
ある状態で実行され、その結果、慣性力がエンジン3の
回転数を増大させる方向に作用しているので、エンジン
ストールを防止することができる。このように図6に示
す制御例では、エンジンストールし難くなるので、ロッ
クアップクラッチ7の係合下限車速を低車速側に引き下
げることが可能になり、そのようにすれば、ロックアッ
プクラッチ7の係合領域を拡大してフューエルカット時
間を長くし、燃費を向上させることが可能になる。
【0054】なお、上記のステップ46,47が請求項
4の発明における速度偏差検出手段に相当し、またステ
ップ50,51が請求項4の発明におけるロックアップ
制御手段に相当する。
【0055】上記の図6に示す例では、車体速VB およ
び車輪速VW に基づいて車輪のロック状態およびアンチ
ロック制御の状態を判断してロックアップクラッチ7の
解放制御を行うが、アンチロック・ブレーキ・システム
2が動作していることはその出力信号によって判断する
ことができるので、その信号を利用して図6と同様に制
御することができる。
【0056】図8はその制御例を示しており、先ずアン
チロック・ブレーキ・システム2が動作中か否かを判断
する(ステップ61)。これは前述したアクチュエータ
18に制御信号が出力されているか否かによって判断す
ることができ、肯定判断された場合には、いずれかの車
輪がロックする傾向が検出されてその制動力が制御され
ていることになる。そこでこの場合はステップ62に進
んで偏差VS の変化率dVS が予め設定してある基準値
dVS3(VS3ドット)と比較される。
【0057】この変化率についての第3の基準値dVS3
は図9に示すように、負の値として設定してあり、これ
は前述した変化率についての第2の基準値dVS2と同様
であって、変化率dVS がこの第3の基準値dVS3より
小さければ、車輪速VW が車体速VB に接近するよう急
速に増大していることになる。したがって変化率dVS
が第3の基準値dVS3より小さいことがステップ62で
判断された場合には、偏差VS とこれについての第3の
基準値VS3とを比較する(ステップ63)。
【0058】この偏差についての第3の基準値VS3は、
前述した偏差についての第2の基準値VS2と同様に、正
の値として設定されており、したがってステップ63に
おいて偏差VS が第3の基準値VS3より小さいと判断さ
れた場合には、車輪速VW が増大して車体速VB に接近
していることになり、そこでフラグF3 を“1”にセッ
トする(ステップ64)。ついで車体速VB がロックア
ップクラッチ7の係合下限速度Vmin と比較される(ス
テップ65)。
【0059】なお、アンチロック・ブレーキ・システム
2が動作していないことによりステップ61で否定判断
された場合には、フラグF3 をゼロリセット(ステップ
66)した後、ステップ65に進む。またアンチロック
・ブレーキ・システム2が動作中であっても変化率dV
S がその第3の基準値dVS3以上である場合あるいは偏
差VS がその第3の基準値VS3以上である場合には、い
ずれかの車輪がロックに近い状態にあることになるの
で、直ちにステップ65に進んで車体速VB と係合下限
速度Vmin とを比較する。
【0060】ステップ65において車体速VB が係合下
限速度Vmin より高速であることが判断された場合に
は、フラグF3 について判断する(ステップ67)。こ
のフラグF3 が“1”にセットされていれば、上述した
ように、車輪の回転数すなわちエンジン回転数が増大傾
向にある状態であるから、ロックアップクラッチ7を解
放する制御信号(L/C OFF)を出力する(ステッ
プ68)。したがって車輪がロックしないように制動力
を制御している状態でロックアップクラッチ7を解放す
る場合、車輪および実質的にこれと一体となっているエ
ンジン3の回転数が上昇しているときにロックアップク
ラッチ7を解放することになる。これは図9のタイムチ
ャートからも知ることができ、ロックアップクラッチ7
の解放をこのようにして行うことにより、慣性力をエン
ジン回転数の増大方向に作用させることができ、その結
果、エンジンストールを有効に防止することができる。
【0061】なお、ステップ65において車体速VB が
係合下限速度Vmin 以下であることが判断された場合に
は、直ちにステップ68に進んでロックアップクラッチ
7の解放信号を出力する。エンジンストールを防止する
ためである。またステップ67でフラグF3 が“0”で
あることが判断された場合には、アンチロック・ブレー
キ・システム2が動作していず、あるいは動作していて
も車輪がロックするような状況にあることになるので、
ロックアップクラッチ7を解放せずにリターンする。上
記のステップ62,63が請求項4の発明における速度
偏差検出手段に相当し、またステップ67,68が請求
項4の発明におけるロックアップ制御手段に相当する。
【0062】ロックアップクラッチ7を係合させておけ
ば、エンジン3と車輪とを実質的に一体に連結した状態
になるので、コースト時にはアイドリング状態であって
もエンジン回転数を高く維持でき、その際にエンジン3
に対する燃料供給を遮断して燃費を向上させることがで
きることは前述したとおりである。そこでその燃料遮断
(フューエルカット)の制御ルーチンの一例を簡単に説
明すると、図10のとおりである。
【0063】図10において、先ずエンジン3がアイド
ルリング状態か否かを判断する(ステップ71)。これ
は車両に通常設けられているアイドルスイッチのON/
OFF状態に基づいて判断することができる。アイドリ
ング状態であることによりステップ71で肯定判断され
た場合には、フューエルカットフラグF/CがONか否
かを判断する(ステップ72)。
【0064】フューエルカットが未だ実行されいないこ
とによりステップ72においてフューエルカットフラグ
F/CがOFFであると判断された場合には、エンジン
回転数Ne がフューエルカット下限回転数Nc と比較さ
れる(ステップ73)。このフューエルカット下限回転
数Nc は、フューエルカットを実行する下限のエンジン
回転数であり、この下限回転数以上の状態で所定の条件
が満たされた場合にフューエルカットを行う基準回転数
である。したがってエンジン回転数Ne がフューエルカ
ット下限回転数Nc 以上であれば、フューエルカットフ
ラグF/CをONにする(ステップ74)。その結果、
図示しないエンジン用電子制御装置によってエンジン3
に対する燃料の供給あるいは燃料噴射が遮断される。こ
れに対してエンジン回転数Ne がフューエルカット下限
回転数Nc より低回転数であれば、特に制御を行うこと
なくリターンする。
【0065】また一方、既にフューエルカットが行われ
ていてステップ71においてフューエルカットフラグF
/CがONであることが判断された場合には、エンジン
回転数Ne がフューエルカット復帰回転数NRTと比較さ
れる(ステップ75)。このフューエルカット復帰回転
数NRTは、エンジン3での燃料の供給もしくは噴射を再
開する基準回転数であり、エンジン回転数Ne がこのフ
ューエルカット復帰回転数NRTを下回った場合に燃料の
供給もしくは噴射が再開される。したがってステップ7
5においてエンジン回転数Ne がフューエルカット復帰
回転数NRT以上であることが判断された場合には、特に
制御を行うことなくリターンし、これとは反対にエンジ
ン回転数Ne がフューエルカット復帰回転数NRTより低
回転数であれば、フューエルカットフラグF/Cを0F
Fにセットする(ステップ76)。それに伴って図示し
ないエンジン用電子制御装置によってエンジン3に対す
る燃料の供給もしくは燃料噴射が再開される。
【0066】上記のフューエルカット復帰回転数NRT
は、燃料の供給を停止し続けるとエンジンストールに至
ってしまう下限回転数に設定されるが、前述したように
アンチロック機能が有効に機能していれば、制動時であ
っても車輪の回転が維持されて変速機側からエンジンに
入力されるトルクによってエンジンの回転が維持される
ので、燃料の供給を停止してもエンジンストールに至ら
ない下限回転数が低くなる。これに対してアンチロック
機能がない場合や有効に機能していない場合には、制動
時に車輪がロックしやすく、したがって変速機側から入
力されるトルクによってエンジンの回転を維持すること
が期待できないから、燃料の供給を停止し続けることに
よりエンジンストールに至ってしまう下限回転数が高く
なる。したがってこの発明においては、アンチロック機
能のある車両での減速時のフューエルカット復帰回転数
を、アンチロック機能のない車両もしくはアンチロック
機能が正常に動作していない車両より低く設定すること
としてもよい。このようにすれば、アンチロック機能を
車両の挙動の安定化制御と併せて、フューエルカットに
よる燃費の向上制御に有効に機能させることができる。
【0067】なお、請求項1および請求項2の発明で
は、アンチロック機能のある車両のいわゆるロックアッ
プ下限車速を、アンチロック機能のない車両のロックア
ップ下限車速より低車速としたが、ここでアンチロック
機能のある車両とは、アンチロック機能を装着していな
い車両をベース車両とし、これにアンチロック機能を搭
載したものを意味している。そして、動力伝達上の特性
あるいはエンジン、自動変速機、減速比などのいわゆる
パワープラントやパワートレーン系統の構成や特性、も
しくはエンジンや自動変速機がほぼ一致していれば、こ
れらアンチロック機能のある車両とない車両とのベース
車両が同一である、として差し支えない。
【0068】またこの発明でロックアップクラッチを半
係合状態すなわちスリップ制御することも可能であり、
この発明の制御装置は、ロックアップクラッチをスリッ
プ制御から解放する場合の制御に適用することができ
る。その場合、ロックアップクラッチをスリップ制御す
れば、ロックアップ下限車速を、係合状態での下限車速
より低車速とすることができ、これに加えてこの発明の
制御装置では、スリップ制御時の下限車速を更に下げる
ことが可能であるから、より一層燃費を向上させること
ができる。
【0069】そしてまたこの発明は、上述した具体例に
限定されないのであって、アンチロック・ブレーキ・シ
ステムは4センサ4チャンネルあるいは4センサ3チャ
ンネルなど適宜の構成のものを使用することができる。
また制御に使用される各種の基準となる回転数や速度
は、一定値である必要はなく、車両の状態に応じて変え
られる変数であってもよい。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
る制御装置によれば、車輪のアンチロック機能のある車
両では、その機能の無い車両よりも低車速までロックア
ップクラッチが係合状態に維持される。そのため制動時
(コースト時)には、自動変速機から伝達されるトルク
によってエンジンの回転数が高い回転数に維持され、燃
料の供給を遮断してもエンジンの回転を維持でき、この
ような制御を制動時もしくはコースト時に併せて行うこ
とにより、燃費を向上させることができる。またアンチ
ロック機能の無い場合には、相対的に高い車速でロック
アップクラッチが解放されるので、ロックアップクラッ
チの解放制御に応答遅れがあっても、車輪のロックに伴
ってエンジンの回転数が強制的に低回転数にまで低下さ
せられることがなく、その結果、車輪のロックあるいは
これに近い状態になることに起因するエンジンストール
を未然に防止することができる。
【0071】また請求項2の発明によれば、制動時に車
輪のロックを防止するように制御するアンチロック機能
がない場合には、制動操作が検出されることに基づいて
ロックアップクラッチが解放させられる。したがってそ
の制動操作に伴って車輪がたとえロックしてもエンジン
回転数が強制的に低回転数にまで低下させられないの
で、エンジンストールを防止できる。これに対してアン
チロック機能がある場合には、たとえ制動操作が検出さ
れても、それをもって直ちにロックアップクラッチが解
放されることがなく、車速が所定の下限車速にまで低下
した場合にロックアップクラッチが解放される。したが
ってアンチロック機能が有る場合には、低車速までロッ
クアップクラッチが係合されて自動変速機から伝達され
るトルクによってエンジン回転数を高い回転数に維持
し、その間に燃料の供給を遮断できるので、燃費を向上
させることができ、また当然、エンジンストールを回避
することができる。
【0072】さらに請求項3の発明によれば、アンチロ
ック制御装置が動作して車輪がロックしないように制動
力を制御し、かつロックアップクラッチを解放するべき
状態の場合、制動力の変化に応じて車輪の回転数および
これにロックアップクラッチを介して連結されているエ
ンジンの回転数が増減しつつ全体として次第に低下する
が、制動力の制御開始直後にエンジン回転数が低下して
いるときにはロックアップクラッチが係合させられ、そ
れに続く上昇傾向のときにロックアップクラッチが解放
されることになる。すなわちロックアップクラッチは、
アンチロック制御装置による制動力の制御の開始と同時
に解放されずに、慣性力がエンジンの回転数を増大させ
る方向に作用しているときに解放させられるので、エン
ジンストールを未然に防止することができる。またロッ
クアップクラッチを係合させてエンジン回転数を所定の
回転数以上に維持する時間が長くなるので、それと併せ
て行う燃料の供給停止の時間を長くすれば、燃費の向上
を図ることが可能になる。
【0073】そして請求項4の発明によれば、アンチロ
ック制御装置が動作して車輪がロックしないように制動
力を制御し、かつロックアップクラッチを解放するべき
状態の場合、制動力の変化に応じて車輪の回転数および
これにロックアップクラッチを介して連結されているエ
ンジンの回転数が増減しつつ全体として次第に低下する
が、ロックアップクラッチは、車輪速度が車体速度に近
付く場合すなわちエンジン回転数が上昇傾向にあるとき
に解放させられることになる。すなわちアンチロック制
御装置が動作している際にロックアップクラッチを解放
する場合、慣性力がエンジンの回転数を増大させる方向
に作用しているときにロックアップクラッチを解放させ
ることになり、エンジンストールを未然に防止すること
ができる。またロックアップクラッチを係合させてエン
ジン回転数を所定の回転数以上に維持する時間を長くで
きるので、それと併せて行う燃料の供給停止の時間を長
くすれば、燃費の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アンチロック・ブレーキ・システムもしくはそ
の機能の有無に応じてロックアップクラッチの係合下限
速度を変更する制御例を説明するためのフローチャート
である。
【図2】アイドリング状態と非アイドリング状態とで車
速として採用するデータを変更する制御例を説明するた
めのフローチャートである。
【図3】アンチロック・ブレーキ・システムもしくはそ
の機能の有無に応じてロックアップクラッチの解放のタ
イミングを変更する制御例を説明するためのフローチャ
ートである。
【図4】車輪速が上昇傾向にあるときにロックアップク
ラッチを解放させる制御をタイマ制御で実行する制御例
を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4に示す制御を行った場合のロックアップク
ラッチの解放タイミングを示すタイムチャートである。
【図6】車輪速が上昇傾向にあるときにロックアップク
ラッチを解放させる制御を車輪速および車体速に基づい
て実行する制御例を説明するためのフローチャートであ
る。
【図7】図6に示す制御を行った場合のロックアップク
ラッチの解放タイミングを示すタイムチャートである。
【図8】車輪速が上昇傾向にあるときにロックアップク
ラッチを解放させる制御をアンチロック・ブレーキ・シ
ステムの動作信号および車輪速ならびに車体速に基づい
て実行する制御例を説明するためのフローチャートであ
る。
【図9】図8に示す制御を行った場合のロックアップク
ラッチの解放タイミングを示すタイムチャートである。
【図10】フューエルカットの制御を概略的に説明する
ためのフローチャートである。
【図11】この発明で対象とする車両の制御系統の一例
を模式的に示す図である。
【図12】この発明で対象とする車両における変速およ
びロックアップクラッチの係合・解放の制御のためのマ
ップの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 自動変速機 2 アンチロック・ブレーキ・システム 3 エンジン 4 トルクコンバータ 5 ポンプインペラ 6 タービンランナ 7 ロックアップクラッチ 9 自動変速機用電子制御装置 14 アンチロック・ブレーキ・システム用電子制御装
置 15 ブレーキペダル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力部材と出力部材とを機械的に連結し
    かつ所定の下限車速より低車速では解放されるロックア
    ップクラッチを内蔵した流体継手を備えた車両のロック
    アップクラッチ付自動変速機の制御装置において、 制動時に車輪のロックを防止するよう車輪の制動力を制
    御するアンチロック機能がある場合には無い場合よりも
    前記ロックアップクラッチを解放する前記下限車速を低
    車速に設定するロックアップ制御手段を備えていること
    を特徴とするロックアップクラッチ付自動変速機の制御
    装置。
  2. 【請求項2】 入力部材と出力部材とを機械的に連結し
    かつ所定の下限車速より低車速では解放されるロックア
    ップクラッチを内蔵した流体継手を備えた車両のロック
    アップクラッチ付自動変速機の制御装置において、 制動操作されたことを検出する制動検出手段と、 制動時に車輪のロックを防止するように車輪の制動力を
    制御するアンチロック機能が無い場合には車速が前記下
    限車速より低車速になった場合もしくは前記制動検出手
    段が制動操作を検出した場合に前記ロックアップクラッ
    チを解放し、かつ制動時に車輪のロックを防止するよう
    に車輪の制動力を制御するアンチロック機能が有る場合
    には、前記制動検出手段による制動操作の検出に拘わら
    ず車速が前記下限車速より低車速になった場合に前記ロ
    ックアップクラッチを解放するロックアップ制御手段と
    を備えていることを特徴とするロックアップクラッチ付
    自動変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 制動時に車輪のロックを防止するよう制
    動力を制御するアンチロック制御装置を備えるととも
    に、入力部材と出力部材とを機械的に連結しかつ所定の
    条件が満たされた場合に解放されるロックアップクラッ
    チを内蔵した流体継手を備えた車両のロックアップクラ
    ッチ付自動変速機の制御装置において、 前記アンチロック制御装置が動作して制動力の制御を開
    始した時点からの経過時間を検出するアンチロック制御
    検出手段と、 前記アンチロック制御装置による制動力の制御の開始か
    らの経過時間が予め設定した基準時間に達したことを前
    記アンチロック制御検出手段が検出した場合に前記ロッ
    クアップクラッチの解放制御を行うロックアップ制御手
    段とを備えていることを特徴とするロックアップクラッ
    チ付自動変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 制動時に車輪のロックを防止するよう制
    動力を制御するアンチロック制御装置を備えるととも
    に、入力部材と出力部材とを機械的に連結しかつ所定の
    条件が満たされた場合に解放されるロックアップクラッ
    チを内蔵した流体継手を備えた車両のロックアップクラ
    ッチ付自動変速機の制御装置において、 前記アンチロック制御装置の動作中の車輪速度と該車輪
    速度から求められる車体速度との差の変化状態を検出す
    る速度偏差検出手段と、 前記車輪速度と車体速度との差が小さくなる状態で前記
    ロックアップクラッチを解放させるロックアップ制御手
    段とを備えていることを特徴とするロックアップクラッ
    チ付自動変速機の制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010096164A (ja) * 2008-10-20 2010-04-30 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の制御装置
JP2016013762A (ja) * 2014-07-02 2016-01-28 富士重工業株式会社 自動変速機の制御装置
JP2018112296A (ja) * 2017-01-13 2018-07-19 本田技研工業株式会社 制御装置

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