JPH11100274A - 窒化珪素質焼結体、その製造方法及びそれを用いた回路基板 - Google Patents

窒化珪素質焼結体、その製造方法及びそれを用いた回路基板

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JPH11100274A
JPH11100274A JP9261561A JP26156197A JPH11100274A JP H11100274 A JPH11100274 A JP H11100274A JP 9261561 A JP9261561 A JP 9261561A JP 26156197 A JP26156197 A JP 26156197A JP H11100274 A JPH11100274 A JP H11100274A
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隆一 寺崎
Kazuyuki Hiruta
和幸 蛭田
Hiroshi Yokota
博 横田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】半導体用絶縁基板、或いは自動車、機械装置等
の各種構造部品に適用可能な高熱伝導で高強度を有する
窒化珪素質焼結体を提供する。 【解決手段】イットリウム(Y)及びランタノイド族元
素の1種以上を焼結助剤とし、該焼結体中の酸素量、不
純物量並びに窒化珪素粒子径を特定の値とした、熱伝導
率が70W/(m・K)以上であることを特徴とする窒
化珪素質焼結体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体用基板をは
じめ、自動車、機械装置等の幅広い分野で使用される各
種構造部品の素材として利用でき、強度、破壊靭性等の
機械的特性に優れ且つ熱伝導率等の放熱特性に優れた窒
化珪素質焼結体及びそれを用いた窒化珪素質回路基板に
関する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素質焼結体(以下、単に窒化珪素
セラミックスともいう)は、常温及び高温で化学的に安
定な材料であり、優れた機械的特性を有するので、自動
車用エンジン部材、摺動部材等として適した材料であ
る。また、高い絶縁性を利用して、電気絶縁材料として
も使用されている。
【0003】しかし、窒化珪素は共有結合性の強い物質
であり、優れた高温特性を有する反面、難焼結性の物質
である。この為、窒化珪素セラミックスは、Y2 O3 等
の酸化物を焼結助剤として添加し、焼結性を高めて緻密
化させている。これらの焼結助剤及び原料である窒化珪
素粉末中に含まれるSiO2 が窒化珪素セラミックスの
粒界相を形成し、機械的特性や熱的特性に影響を及ぼ
す。
【0004】従来の窒化珪素セラミックスは、上述した
とおり、窒化珪素粉末に焼結助剤を添加し、成形した
後、得られた成形体を1600℃〜2200℃の高温で
所定時間焼成し、得られた焼結体を所望の形状に研削加
工して製造されている。
【0005】一方、半導体回路用の基板としては、電気
絶縁性に加えて、優れた放熱特性を得ることができるよ
うに高い熱伝導率が要求される。従来からアルミナ(A
l2O3 )焼結体などのように、絶縁性に優れたセラミ
ックス基板の表面に、導電性を有する金属回路層をろう
材で接合し、更に金属回路層の所定位置に半導体素子を
搭載した回路基板が広く普及している。
【0006】近年、回路基板の小型化、半導体素子の高
集積化等が進むに従い、これらの回路基板における絶縁
材料の放熱特性の向上が望まれている。この様な材料と
してはBeOを添加した炭化珪素(SiC)や窒化アル
ミニウム(AlN)等が開発されている。しかし、Si
CやAlNは熱伝導率は高いが、強度や破壊靭性といっ
た機械的特性が低いため、耐熱サイクル特性や取り扱い
時の強度等に問題があった。
【0007】窒化珪素質焼結体は、強度や破壊靭性等の
機械的特性に優れるため、構造材料への適用が進んでい
る材料ではあるが、SiCやAlNに比べて熱伝導率が
低いため、高い放熱特性が要求される電気絶縁基板への
適用は十分にはすすんでいなかった。窒化珪素の熱伝導
率が低い理由は、窒化珪素を緻密化させる為に添加した
焼結助剤成分の一部が、窒化珪素粒内に固溶したり、粒
界に遍在したりするため、フォノン(セラミックス中で
熱を伝達する機構)が散乱されることが原因である。例
えば、一般的な焼結助剤であるY2 O3 とAl2 O3 を
添加した焼結体では、熱伝導率は20W/(m・K)程
度であった。
【0008】窒化珪素粒子内にAl及び酸素が存在する
と局部的にサイアロンを形成し、このサイアロンの熱伝
導率が非常に低いため、Al系の焼結助剤を用いた窒化
珪素焼結体の熱伝導率は低くなってしまう。窒化珪素
は、電気絶縁材料であるため、フォノンにより熱が運ば
れる。フォノンは格子の乱れ、粒界相、気孔等により散
乱されるので、窒化珪素の熱伝導率も、窒化珪素の結晶
構造、焼結助剤の種類、結晶粒内への固溶などの影響を
受ける。窒化珪素の理想的な熱伝導率は、組成、結晶構
造等に基づけば200W/(m・K)以上であると推測
されているが、実際に窒化珪素の単結晶を合成し実用用
途に適用することは難しく、一般には焼結体として製造
されている。
【0009】窒化珪素の焼結は、窒化珪素粒子が焼結助
剤と窒化珪素原料粉末中に含まれるSiO2 成分とから
なる液相に溶解・析出しながら進むので、得られる窒化
珪素焼結体中の個々の窒化珪素粒子は、単結晶に近く、
比較的高い熱伝導率が期待されるのであるが、実際の窒
化珪素焼結体においては、前述した粒界相や窒化珪素粒
内への不純物の固溶の影響のほうが大きく、通常の製造
条件によるならば、理論熱伝導率の1〜2割程度の熱伝
導率しか得られないのが実状である。
【0010】この為、窒化珪素焼結体の高熱伝導化につ
いては、日本セラミックス協会学術論文誌1989年1
月号56〜62頁に記載されているとおりに、Alを含
有する焼結助剤を用いず、Y2 O3 のみを添加してHI
P(熱間等方圧)焼結することにより、熱伝導率が70
W/(m・K)の焼結体を得ている。
【0011】また、特開平4−175268号公報や特
開平4−219371号公報に記載されているとおり
に、焼結体中のAl、酸素含有量を低下させ、Ti、Z
r、Hf等の金属を添加し、場合によってはY2 O3 を
焼結助剤として添加することにより、熱伝導率40W/
(m・K)以上の焼結体を得る方法が知られている。
【0012】更に、日本セラミックス協会学術論文誌1
996年1月号49〜53頁には、焼結助剤として少量
のY2 O3 及びNd2 O3 を用い、2200℃と非常に
高い温度で4時間、HIP焼結することにより、熱伝導
率が100W/(m・K)以上の窒化珪素質焼結体を得
ている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来の電気絶縁性高熱
伝導セラミックスとして知られているSiC、BeO、
AlNは、熱伝導率が100W/(m・K)以上と高
く、放熱特性には優れているが、強度、破壊靭性等の機
械的特性が低い。この為、回路基板等として用いる場
合、実装工程において破損を生じたり、半導体素子の作
動に伴う繰り返し熱サイクルを受けて、金属回路層との
接合部付近のセラミックス基板にクラックが発生し易
く、耐熱サイクル特性及び信頼性が低いという問題があ
った。
【0014】また、従来の窒化珪素セラミックスは、強
度、破壊靭性等の機械的特性は優れているものの、熱伝
導特性に関しては、上記したとおりに、SiC、Be
O、AlNセラミックス等に比べ低いこと、更に、高熱
伝導率を有するものを得ようとすると、Al等の不純物
が少ない高純度の原料粉末を用いて、高温でHIP焼結
等の特殊な焼結法を用いなければならず、得られる焼結
体が非常に高価になってしまい、半導体用回路基板等の
電子材料用途には殆ど実用化されていないのが現状であ
る。
【0015】本発明は、上記の事情に鑑みなされたもの
であって、優れた強度、破壊靭性を有し、機械的特性に
優れているいると共に、優れた熱伝導特性を持つことに
より、放熱特性及び信頼性に優れる半導体用回路基板や
バルブ等の自動車部品の素材として好適な窒化珪素質焼
結体を安価に提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するために、窒化珪素質焼結体を得るための原料粉末
の粉体特性、焼結助剤の組成、量、更には焼結条件等に
関して鋭意検討した結果、強度、破壊靭性等の機械的特
性に優れ且つ従来のものよりも大幅に高い熱伝導率有す
る窒化珪素質焼結体を得て、本発明を完成するに至った
ものである。
【0017】すなわち、本発明の窒化珪素質焼結体は、
窒化珪素(Si3 N4 )90〜99mol%、イットリ
ウム(Y)及びランタノイド族元素からなる群から選ば
れる1種以上を酸化物(Re2 O3 )換算で1〜10m
ol%含有し、焼結体中の全酸素量よりRe2 O3 に帰
属する酸素量を除いた残部をSiO2 とするときに、S
iO2 /(Re2 O3 +SiO2 )のモル比が0.05
〜0.5であり、窒化珪素粒子の平均粒子径(平均短軸
径)が0.5〜3μm、焼結体中のAl、Be及びLi
の含有量の合計が2000ppm以下であり、しかも熱
伝導率が70W/(m・K)以上であることを特徴とす
る窒化珪素質焼結体である。
【0018】また、本発明の窒化珪素質焼結体は、X線
回折による粒界結晶相としてK相(ReSi2 N)、J
相(Re4 Si2 O7 N4 )、H相(Re10Si7 O23
N4)、Re2 Si3 O3 N4 、Re2 SiO5 及びR
e2 O3 の1種以上を含有し、K相、J相、H相、Re
2 Si3 O3 N4 、Re2 SiO5 及びRe2 O3 の各
々のメインピーク強度の合計(IGB)が、β型窒化珪素
の(200)面のピーク強度(ISN)に対し0.03〜
0.20であることを特徴とする前記の窒化珪素質焼結
体である。
【0019】更に本発明は、Al、Be及びLiの合計
含有量が2000ppm以下であり、α率が50%以下
の窒化珪素粉末90〜99mol%に、イットリウム
(Y)及びランタノイド族元素からなる群の1種以上を
酸化物換算で1〜10mol%、窒化珪素粉末中の酸素
量をSiO2 換算したSiO2 量及び添加するSiO2
量の合計が、SiO2 /(Re2 O3 +SiO2 )のモ
ル比が0.05〜0.5となるように添加混合し、1M
Pa未満の窒素加圧雰囲気中、温度1800〜2000
℃で焼成することを特徴とする前記窒化珪素質焼結体の
製造方法である。
【0020】加えて、本発明は、前記窒化珪素質焼結体
を用いてなる回路基板である。
【0021】
【発明の実施の形態】窒化珪素セラミックスは、柱状の
β型窒化珪素粒子が複雑に絡み合った焼結体組織を呈し
ており、この組織が強度、破壊靭性等の機械的特性に大
きく寄与している。また、焼結体中の気孔は、欠陥とし
て作用し強度特性に影響を及ぼす。窒化珪素セラミック
スにおいては、これらの欠陥をも含めた焼結体組織を適
正化することが、強度、破壊靭性等の機械的特性に優れ
た焼結体を得るために重要である。
【0022】しかし、窒化珪素焼結体中の窒化珪素粒子
が相接する時の二粒子界面の厚さは1nm程度であり、
これはフォノンの平均自由工程の1/10以下である。
このことから、窒化珪素焼結体の熱伝導率に関しては、
粒界相の影響よりも窒化珪素粒子内の欠陥によるフォノ
ン散乱の影響の方がより大きな支配因子となっているも
のと考えられる。従って、窒化珪素焼結体の熱伝導率を
向上させるには、窒化珪素粒子内の欠陥を制御すること
が重要であると推測される。
【0023】本発明者らは、上記推察に基づき、窒化珪
素焼結体中の粒内欠陥を低減させ、且つ粒界相を制御す
ることにより、本発明の目的である機械的特性と熱伝導
特性に共に優れた焼結体を得ることができるとの予測に
立ち、鋭意検討を行った結果、本発明に至ったのもので
ある。
【0024】すなわち、本発明の窒化珪素質焼結体は、
窒化珪素(Si3 N4 )90〜99mol%、イットリ
ウム(Y)及びランタノイド族元素からなる群から選ば
れる1種以上を酸化物(Re2 O3 )換算で1〜10m
ol%含有するものである。窒化珪素の焼結助剤として
は、各種の酸化物等が用いられているが、Al2 O3に
例示される窒化珪素と固溶する焼結助剤を用いて得られ
る従来公知の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素粒子内に前
記アルミナ等の焼結助剤が固溶した部分が、欠陥として
存在するために、フォノンを散乱し熱伝導率を低下させ
る。これに対し、本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化珪
素と固溶しないイットリウム(Y)及びランタノイド族
元素からなる群から選ばれる1種以上を酸化物(Re2
O3 )換算で1〜10mol%含有するものであり、好
ましくは2〜5mol%含有するものである。尚、前記
イットリウム及びランタノイド族元素の中で、Yb、E
rなどのイオン半径の小さい元素が好ましい。
【0025】前記イットリウム(Y)及びランタノイド
族元素からなる群から選ばれる1種以上の酸化物換算の
含有量が1mol%未満では、焼結時に生成する液相量
が不足し、十分に緻密化した焼結体が得られなくなる。
一方、希土類元素の含有量が10mol%を越えると、
粒界相の量が多くなり過ぎて粒界相でのフォノンの散乱
による熱伝導率の低下が起こってしまう。また、粒界相
の量が多くなり過ぎると、強度、破壊靭性等の機械的特
性、特に高温強度の低下があるからである。
【0026】また、本発明の窒化珪素質焼結体は、焼結
体中の全酸素量よりイットリウム及びランタノイド族元
素からなる群から選ばれる1種以上を酸化物換算したR
e2O3 に帰属する酸素量を除いた残部をSiO2 とし
たときに、SiO2 /(Re 2 O3 +SiO2 )のモル
比が0.05〜0.5であり、好ましくは、0.1〜
0.4である。窒化珪素の焼結は、添加した焼結助剤と
原料粉末中並びに必要に応じて添加したSiO2 からな
る粒界相(液相)に窒化珪素粒子が溶解−析出しながら
粒成長してゆく。この場合、液相中のSiO2 の量が増
加すると、その一部が液相から析出する窒化珪素粒子中
に固溶して、窒化珪素粒子中の欠陥として存在し、その
結果、フォノンを散乱して熱伝導率を低下させてしま
う。このため、粒界相の組成として、焼結体中の全酸素
量よりイットリウム及びランタノイド族元素からなる群
から選ばれる1種以上を酸化物換算したRe2 O3 に帰
属する酸素量を除いた残部をSiO2としたときに、S
iO2 /(Re2 O3 +SiO2 )のモル比を0.5以
下にすることが熱伝導率向上の面で有効である。
【0027】一方、原料粉末である窒化珪素粉末中には
不可避的に酸素が含まれており、焼結体中には、この酸
素に起因するSiO2 成分が存在する。このため、Si
O2/(Re2 O3 +SiO2 )のモル比を下げるため
には、酸素量の少ない原料粉末を用いるか、前記Re2
O3 量を増加させる必要がある。しかし、原料粉末中の
全酸素量を下げるのには限界があるし、Re2 O3 量を
増加させる場合には粒界相の量が増えてしまい、機械的
特性や熱伝導率等の低下を引き起こす。このような理由
から、SiO2 /(Re2 O3 +SiO2 )のモル比の
下限値については、0.05である。
【0028】また、本発明の窒化珪素質焼結体の密度
は、95%以上であることが好ましく、更に好ましくは
97%以上である。焼結体密度が95%未満では、焼結
体中の気孔量が多くなり過ぎ、これらが欠陥となり強度
の低下をもたらし、十分な強度特性が得られなくなる
し、焼結体中の気孔は、フォノンを散乱し熱伝導率の低
下をも引き起こすからである。
【0029】さらに、本発明の窒化珪素質焼結体は、焼
結体中のAl、Be及びLiの含有量の合計が2000
ppm以下であり、好ましくは500ppm以下であ
る。Al、Be及びLiは焼結時に窒化珪素粒子中に固
溶し、その結果、窒化珪素粒子内に欠陥を形成しフォノ
ンを散乱して、熱伝導率の低下をもたらす。つまり、A
l、Be及びLiの含有量が2000ppmを越える
と、これらの元素の窒化珪素粒子への固溶量が多くなり
過ぎ、その結果、熱伝導率が低下してしまう。
【0030】尚、窒化珪素質焼結体中のイットリウム、
ランタノイド族元素、Al、Be及びLiの含有量は、
焼結体を粉砕した後、原子吸光法で定量することができ
るし、焼結体中の全酸素量については、焼結体を粉砕
し、LECO社製のO/N同時分析計(TC−436)
にて定量することができる。
【0031】更にまた、本発明に係わる窒化珪素質焼結
体中のβ型窒化珪粒子の平均粒子径(短軸径)は、0.
5〜3μmである。熱の伝達機構であるフォノンは、窒
化珪素粒子内では伝搬し易く、粒界相で散乱される。こ
のため、個々の粒子が大きくなると、粒界相によるフォ
ノン散乱の程度が減少し、熱伝導率が向上する。平均粒
子径が0.5μm未満では、粒界相によるフォノン散乱
の寄与が大きくなり十分な熱伝導率が得にくい。一方、
平均粒子径が3μmを越えると、熱伝導率は向上するも
のの、粗大に粒成長した窒化珪素粒子が欠陥となって、
強度等の機械的特性が低下してしまう。
【0032】窒化珪素質焼結体の組織評価に関しては、
窒化珪素質焼結体を研削加工し、更にダイヤモンド砥粒
で鏡面研磨した後、酸素を8%含有するCF4 ガス中で
高周波プラズマによるエッチングを行い、得られた試料
を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察をする。次
に、組織の定量評価については、得られたSEM写真を
用いて、画像解析装置により粒子個数300以上で定量
評価を行った。尚、β型窒化珪素粒子は、形状が六角柱
状であり、平均粒子径としては、短軸側の粒子径の面積
50%に相当する粒子径を平均粒子径とした。
【0033】上記構成を持つ本発明の窒化珪素質焼結体
は、その熱伝導率が70W/(m・K)以上である。熱
伝導率が70W/(m・K)未満では、放熱基板等とし
て用いる場合、十分な放熱特性が得られず、その用途が
限定されるからである。
【0034】また、本発明に係わる窒化珪素質焼結体の
機械的特性は、3点曲げ強さが500MPa以上で、破
壊靭性値が6MPa・m1/2 以上であるものとすること
が好ましい。機械的特性がこれらの値よりも低い場合、
放熱基板やエンジン部品として用いる場合の機械的特性
が不十分となり、高い信頼性を要求される用途に用いる
ことができなくなることがある。
【0035】更に、本発明の窒化珪素質焼結体は、X線
回折による粒界結晶相としてK相(ReSi2 N)、J
相(Re4 Si2 O7 N4 )、H相(Re10Si7 O23
N4)、Re2 Si3 O3 N4 、Re2 SiO5 及びR
e2 O3 の1種以上を含有し、K相、J相、H相、Re
2 Si3 O3 N4 、Re2 SiO5 及びRe2 O3 の各
々のメインピーク強度の合計(IGBB)が、β型窒化珪
素の(200)面のピーク強度(ISN)に対し0.03
〜0.20であることが好ましい。尚、結晶相の同定
は、焼結体を研削加工した後、焼結体のままX線回折装
置で測定することができる。
【0036】窒化珪素質焼結体の熱伝導率は、窒化珪素
粒子内の欠陥及び粒界相によるフォノンの散乱に大きく
支配されている。そこで、粒界相を結晶化することによ
り、熱伝導率を向上することができる。本発明の窒化珪
素質焼結体の粒界結晶相の種類に関しては、K相、J
相、H相、Re2 Si3 O3 N4 、Re2 SiO5 及び
Re2 O3 である。本発明者らの検討によれば、窒化珪
素質焼結体の熱伝導率に関して、窒化珪素粒子が液相に
溶解−析出する際に、酸素が固溶し難い組成の液相(イ
ットリウム及びランタノイド族元素の酸化物の比率が高
い液相)を形成することが有効であること、つまり、X
線回折によって得られる粒界結晶相の組成が、請求項1
の組成(SiO2 /(SiO2 +Re2 O3 ))を満足
する化合物であること、更に窒化珪素がこれらに固溶し
た組成であることが熱伝導率の向上に重要であることを
見出したものである。
【0037】本発明の窒化珪素質焼結体においては、上
記したとおり、粒界相が特定の値以上に結晶化している
ことが特徴であり、その結晶化の程度に関しては、K
相、J相、H相、Re2 Si3 O3 N4 、Re2 SiO
5 及びRe2 O3 の各々のメインピーク強度の合計(I
GB)が、β型窒化珪素の(200)面のピーク強度(I
SN)に対し0.03〜0.20である。IGB/ISNが
0.03未満では、粒界相の結晶化が不十分であり、十
分な熱伝導率が得られなくなることがあるし、高温強度
といった機械的特性も低下してしまうことがある。一
方、IGB/ISNが0.20を越えると、粒界相の量が多
くなり過ぎて、熱伝導率、機械的特性が低下してしまう
ことがある。
【0038】次に、本発明の窒化珪素質焼結体の製造方
法は、Al、Be及びLiの合計含有量が2000pp
m以下であり、α率が50%以下の窒化珪素粉末90〜
99mol%に、イットリウム(Y)及びランタノイド
族元素からなる群から選ばれる1種類以上を酸化物換算
で1〜10mol%、窒化珪素粉末中の酸素量をSiO
2 換算したSiO2 量及び添加するSiO2 量の合計
が、SiO2 /(Re2O3 +SiO2 )のモル比が
0.05〜0.5となるように添加混合し、1MPa以
下の窒素加圧雰囲気中、温度1800〜2000℃で焼
成することを特徴とするものである。
【0039】原料である窒化珪素粉末の不純物として
は、Al、Be及びLiの合計含有量は2000ppm
以下であり、好ましくは500ppm以下である。A
l、Be及びLiはいずれも焼結時に窒化珪素粒子中に
固溶し、その結果、窒化珪素粒子内に欠陥を形成し、そ
の結果、フォノンを散乱して熱伝導率の低下をもたら
す。つまり、原料粉末中のAl、Be及びLiの含有量
が2000ppmを越えると、焼結時にこれらの元素の
窒化珪素粒子への固溶量が多くなり過ぎ、その結果、熱
伝導率が低下してしまう。
【0040】また、窒化珪素粉末のα率は50%以下で
あり、好ましくは30%以下である。α率が50%を超
えると、本発明の助剤組成では充分に緻密な焼結体が得
られず、さらに、得られた焼結体の熱伝導率が低下して
しまうことがある。
【0041】次に、焼結助剤としては、窒化珪素粉90
〜99mol%に対し、イットリウム(Y)及びランタ
ノイド族元素からなる群から選ばれる1種類以上を酸化
物換算で1〜10mol%、好ましくは2〜5mol%
添加する。本発明のイットリウム(Y)及びランタノイ
ド族からなる群から選ばれる1種以上の酸化物は、窒化
珪素と固溶しないので、焼結助剤として用いるとき、得
られる窒化珪素質焼結体の熱伝導率向上に効果がある。
添加量が酸化物換算で1mol%未満では、焼結時に生
成する液相量が不足し、十分に緻密化した焼結体が得ら
れなくなる。一方、添加量が酸化物換算で10mol%
を越えると、粒界相の量が多くなり過ぎて粒界相でのフ
ォノンの散乱による熱伝導率の低下が起こってしまう。
また、粒界相の量が多くなり過ぎると、強度、破壊靭性
等の機械的特性、特に高温強度の低下がある。
【0042】また、窒化珪素粉末中の酸素量をSiO2
換算したSiO2 量及び添加するSiO2 量に関して
は、SiO2 /(Re2 O3 +SiO2 )のモル比が
0.05〜0.5であり、好ましくは、0.1〜0.4
である。窒化珪素の焼結は、添加した焼結助剤と原料粉
末中及び添加したSiO2 からなる粒界相(液相)に窒
化珪素粒子が溶解−析出しながら粒成長してゆく。この
場合、液相中のSiO2 の量が増加すると、その一部が
液相から析出する窒化珪素粒子中に固溶して、その結
果、窒化珪素粒子中の欠陥として存在し、フォノンを散
乱して熱伝導率を低下させてしまう。このため、粒界相
の組成として、焼結体中の酸素量よりイットリウム
(Y)及びランタノイド族元素からなる群から選ばれる
1種以上を酸化物換算したRe2 O3 に帰属する酸素量
を除いた残部をSiO2 とし、SiO2 /(Re2 O3
+SiO2 )のモル比を0.5以下にすることが熱伝導
率向上に有効である。
【0043】一方、窒化珪素粉末中には不可避的に酸素
が含まれており、焼結体中には、この酸素に起因するS
iO2 成分が存在する。このため、SiO2 /(Re2
O3+SiO2 )のモル比を下げるためには、SiO2
の添加量を抑え、酸素量の少ない原料粉末を用いるか、
Re2 O3 量を増加させる必要がある。しかし、原料粉
末中の酸素量を下げるのには限界があり、Re2 O3 量
を増加させると粒界相量が増えてしまい、機械的特性や
熱伝導率等の低下を引き起こす。このため、SiO2 /
(Re2 O3 +SiO2 )のモル比の下限値について
は、0.05である。
【0044】次に、上記の配合物をボールミル等で均一
に混合する。得られた混合粉末は、金型成形後、冷間静
水圧成形(CIP)して成形体とする。成形方法に関し
ては、上記手法以外の泥しょう鋳込成形法、押出成形法
等でも問題ない。また、必要に応じて、分散剤、バイン
ダー等を添加してもよい。
【0045】次に、得られた成形体を、必要に応じて脱
脂後、1MPa以下の窒素加圧雰囲気中、温度1800
〜2000℃で1〜48時間焼成して焼結体を作製す
る。焼成温度に関しては、1800℃以下では緻密化不
足が発生し、2000℃以上では、窒化珪素の分解が起
こると共に粒成長が進みすぎ、得られる焼結体の機械的
特性が低下する。焼結温度に関しては、好ましくは18
50〜1950℃である。焼成時間に関しては、1時間
未満では緻密化不足が発生しやすく、48時間を越える
長時間焼成はコスト的に得策でない。また焼成雰囲気に
関しては、本発明の焼成温度においては、窒化珪素の分
解を押さえる為、窒素加圧が必要となる。窒素加圧の上
限圧力に関しては、得られる焼結体の物性面からは高い
方が好ましい。しかし、窒素加圧が1MPaを超える
と、HIP等の特殊な焼結装置を必要とし、得られる焼
結体のコストが非常に高価になってしまうという問題が
ある。
【0046】また、本発明の窒化珪素質焼結体は、熱伝
導特性、電気絶縁性及び機械的特性が要求される回路基
板等に用いることができる。例えば、パワーモジュール
用の回路基板等では、従来、回路基板に求められていた
電気絶縁性に加え、高い熱伝達性能と機械的特性が要求
されてきている。本発明の窒化珪素回路基板は、ベース
となる窒化珪素質焼結体の強度、破壊靭性等の機械的特
性が優れている為、ヒートサイクル等の熱応力や基板自
体に対する曲げ応力に対し、高い信頼性を有することが
できる。また、窒化珪素自体、高い絶縁抵抗を有するた
め、厳しい使用条件で用いられる回路基板に適してい
る。更に、本発明の窒化珪素質焼結体を用いた窒化珪素
質回路基板は、一般的なセラミックス回路基板であるア
ルミナ回路基板に比べ、機械的特性に優れるだけでな
く、高熱伝導率が要求される回路基板の用途に適してい
る。
【0047】このような回路基板の製造方法としては、
板状の窒化珪素質焼結体又は研削加工等により板状に加
工した窒化珪素質焼結体を金属板と接合した後、エッチ
ング等手法により回路を形成して製造することができ
る。窒化珪素質焼結体と金属板との接合方法に関して
は、例えば窒化珪素質焼結体と金属板とを不活性ガス又
は真空雰囲気中で加熱し、焼結体と金属板を直接接合す
る方法(直接接合法)やTi、Zr等の活性金属と低融
点合金を作るAg、Cu等の金属を混合又は合金とした
ろう材を窒化珪素質焼結体と金属板との間に介在させて
不活性ガス又は真空雰囲気中で加熱圧着する方法(活性
金属法)を利用して製造できる。
【0048】
【実施例】以下、実施例と比較例をあげて、更に本発明
を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【0049】〔実施例1〜17、比較例1〜8〕表1に
示す粉体特性の異なる窒化珪素粉末A〜Eに、表2に示
す組成の酸化物を添加し、更にメタノールを添加して湿
式ボールミルで5時間湿式混合した。次に、これらの混
合粉末を濾過・乾燥後、20MPaの成形圧で金型成形
した後、200MPaの成形圧でCIP成形して、5m
m×30mm×50mmの成形体を得た。得られた成形
体は、窒化ホウ素(BN)製の坩堝に充填し、カーボン
ヒーターの電気炉で表2に示す窒素ガス圧力、焼成温
度、焼成時間の条件で焼結し、焼結体を作製した。ま
た、上記操作で得た各種の焼結体の密度を、アルキメデ
ス法で測定し、その結果を表3に示した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】次に、得られた各種焼結体を#200のダ
イヤモンドホイールで平面研削し、20mm×20mm
×3mmの形状に加工した。実施例1、2、10、16
及び比較例7、8について、これらの加工体を用いX線
回折により結晶相の同定を行った。X線回折の結果を表
4に示す。尚、比較例5については、焼成時の重量減少
が50%以上あり、その後の評価に供することのできる
焼結体が得られなかった。
【0054】
【表4】
【0055】次に、これらの焼結体を研削加工し、熱伝
導率測定用の10mmφ×3mmの円盤及びJIS−R
1601に準じた強度試験体を作製し、熱伝導率と室温
の3点曲げ強さを評価した。尚、熱伝導率測定はレーザ
フラッシュ法により測定した。更に、強度試験体をダイ
ヤモンド砥粒で鏡面研磨し、JIS−R1607に準じ
てIF法による破壊靱性の評価を行った。
【0056】また、鏡面研磨した焼結体を8%の酸素を
含有するCF4 ガス雰囲気中で、80Wの出力で2分
間、高周波プラズマによるエッチングを行った後、SE
Mにより焼結体組織の観察(写真撮影)を行った。次い
で、これらのSEM写真を用いて画像解析装置により焼
結体組織の定量評価を行った。各焼結体組織の定量評価
には、300個以上の窒化珪素粒子のデータを用い、各
焼結体の平均粒子径を測定した。これらの結果を表5に
示した。
【0057】また、強度試験に用いた試験体の一部を窒
化珪素製の乳鉢と乳棒で粉砕し、LECO社O/N同時
分析計(TC−436)による酸素量の評価及び原子吸
光法による金属元素の含有量の定量評価を行った。得ら
れた結果を表3及び表5に示す。
【0058】
【表5】
【0059】〔実施例18〜31〕表6に示す配合品を
実施例1と同じ方法により、混合、成形して、5mm×
30mm×50mmの成形体を得た。得られた成形体
は、窒化ホウ素(BN)製の坩堝に充填し、カーボンヒ
ーターの電気炉で、0.9MPaの窒素加圧雰囲気下、
温度1900℃で8時間焼成し、焼結体を作製した。得
られた焼結体は、実施例1と同じ方法により、焼結体中
の組成、不純物量、焼結体密度、3点曲げ強さ、破壊靭
性、平均粒子径、熱伝導率の評価を行った。得られた結
果を表7及び表8に示す。
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】また、実施例18について、X線回折によ
る結晶相の同定を行った結果、K相(Y4 Si2 O7 N
7 及びYb4 Si2 O7 N7 )、Y2 O3 ・Si
3 N4 、Yb2 O3 ・Si3 N4 が確認でき、IGB/I
SNは0.12であった。
【0064】〔実施例32〕窒化珪素粉末A:97mo
l%に、YF3 :4mol%、Y2 O3 :1mol%及
びSiO2 :3mol%を添加し、実施例1と同じ方法
で、焼結体を作製した。得られた焼結体の密度は、98
%であり、焼結体中の希土類元素量は、酸化物換算で
2.5mol%であった。また、焼結体中の酸素量から
前記の希土類元素量に関与する酸素量を引いた分をSi
O2 量とした場合のSiO2 /(Y2 O 3 +SiO2 )
のモル比は0.23であった。
【0065】更に、得られた焼結体の3点曲げ強さは6
90MPa、破壊靱性値は6.6MPa・m1/2 、熱伝
導率は110W/(m・K)であった。また、平均粒子
径は1.0μmであった。
【0066】〔実施例33、34〕実施例33は実施例
1、実施例34は実施例2のそれぞれの助剤混合粉末を
10MPaの圧力で金型成形した後、200MPaの圧
力でCIP成形して50mm×100mm×8mmの成
形体を得た。これらの成形体は、BN製の容器に充填
し、カーボンヒーターの電気炉で、0.9MPaの窒素
加圧雰囲気下、温度1900℃で8時間焼成して焼結体
を作製した。得られた焼結体は、研削加工により40m
m×80mm×0.6mmの形状の平板とした。得られ
た焼結体の熱伝導率は、実施例33が105W/(m・
K)、実施例34が113W/(m・K)であった。
【0067】次に、前期窒化珪素平板の両面に活性金属
含有ろう材(Ag−Cu−Ti:80−15−5)を3
0μmの厚さでスクリーン印刷し、回路側に0.3mm
厚の銅板及び裏面に0.15mm厚の銅板を載置し、1
0-3Pa台の真空雰囲気下、温度850℃で30分間加
熱した。その後、冷却して複合体を得た。この複合体に
ついて、板厚0.3mmの銅板側を研磨し、パターニン
グ用レジストを印刷し、熱硬化後、塩化第二鉄水溶液に
浸漬エッチングしてパターンを形成した。更に、回路間
に残存する接合材を除くため、銅板部を酸性フッ化アン
モニウム水溶液に浸触させた後、水洗してパターン形成
した回路基板を作製した。
【0068】次に、前記回路基板を、下部スパン30m
mでの3点曲げ強さを測定したところ、実施例33は7
50MPa、実施例34は730MPaであった。ま
た、−40℃から150℃の温度幅で3000回のヒー
トサイクル試験を行った。ヒートサイクル試験後の基板
の3点曲げ強さは、実施例33が700MPa、実施例
34が690MPaであり、ヒートサイクル試験後も回
路間の亀裂や回路の剥離は認められなかった。
【0069】〔実施例35〕実施例33の窒化珪素平板
の両面に、実施例33で用いた板厚の異なる2種類の銅
板を載置し、窒素ガス雰囲気、温度1050℃で5分間
加熱処理し、その後、冷却して複合体を作製した。得ら
れた複合体は、実施例33と同様の手法で回路基板を作
製した。得られた回路基板の3点曲げ強さは730MP
aであり、ヒートサイクル3000回後の3点曲げ強さ
は670MPaであった。また、ヒートサイクル試験後
も回路間の亀裂や回路の剥離は認められなかった。
【0070】〔実施例36〕実施例1の焼結助剤を混合
した粉末に、成形用バインダーとしてセランダー(ユケ
ン工業社製)を20重量部、純水20重量部を添加混合
し、押し出し成形機でシート幅100mm、シート厚
0.8mmのシートを作製した。得られたシートは45
mm×90mmのサイズに裁断し、表面にBN粉を塗布
して10枚積層し、大気中、温度550℃で2時間脱脂
した。次に、得られた脱脂体をBN容器に充填し、カー
ボンヒーターの電気炉で、0.9MPaの窒素加圧雰囲
気下、温度1900℃で8時間焼成して焼結体を作製し
た。得られた焼結体は、#400のアルミナ砥粒を用い
て乾式ホーニングして表面のBN及び変質層等を除去し
た。得られた焼結体の熱伝導率は104W/(m・K)
であった。
【0071】次に、前記窒化珪素平板を用いて、実施例
33と同じ手法で回路基板を作製した。得られた回路基
板の3点曲げ強さは740MPaであり、ヒートサイク
ル3000回後の3点曲げ強さは700MPaであっ
た。また、ヒートサイクル試験後も回路間の基板の亀裂
や回路との基板の剥離は認められなかった。
【0072】
【発明の効果】本発明の窒化珪素質焼結体は、焼結時の
窒化珪素粒子内部への不純物の固溶量を低減し、粒界相
の組成、量、結晶性を制御しているので、強度、破壊靭
性の機械的特性に優れると共に、熱伝導率が70W/
(m・K)以上と高く、半導体用絶縁基板をはじめと
し、自動車、機械装置等の幅広い分野で各種構造部品の
素材として利用することができる。更に、本発明の窒化
珪素質焼結体の製造方法は、HIP等の特殊な焼結方法
を用いないで、前記の熱伝導率と機械的特性に優れた窒
化珪素質焼結体を安価に製造することができる。また、
本発明の窒化珪素回路基板は、熱伝導率が高く、機械的
特性に優れているので、信頼性が要求される輸送機器等
の用途や、パワーモジュール用回路基板等に適した回路
基板である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横田 博 東京都町田市旭町3丁目5番1号 電気化 学工業株式会社総合研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化珪素(Si3 N4 )90〜99mo
    l%、イットリウム(Y)及びランタノイド族元素から
    なる群から選ばれる1種以上を酸化物(Re2O3 )換
    算で1〜10mol%含有し、焼結体中の全酸素量より
    Re2 O3 に帰属する酸素量を除いた残部をSiO2 と
    するときに、SiO2 /(Re2 O3 +SiO2 )のモ
    ル比が0.05〜0.5であり、窒化珪素粒子の平均粒
    子径(平均短軸径)が0.5〜3μm、焼結体中のA
    l、Be及びLiの含有量の合計が2000ppm以下
    であり、しかも熱伝導率が70W/(m・K)以上であ
    ることを特徴とする窒化珪素質焼結体。
  2. 【請求項2】 X線回折による粒界結晶相としてK相
    (ReSi2 N)、J相(Re4 Si2 O7 N4 )、H
    相(Re10Si7 O23N4 )、Re2 Si3 O3N4 、
    Re2 SiO5 及びRe2 O3 の少なくとも1種以上を
    含有し、K相、J相、H相、Re2 Si3 O3 N4 、R
    e2 SiO5 及びRe2 O3 の各々のメインピーク強度
    の合計(IGB)が、β型窒化珪素の(200)面のピー
    ク強度(I SN)に対し、0.03〜0.20であること
    を特徴とする請求項1記載の窒化珪素質焼結体。
  3. 【請求項3】 Al、Be及びLiの合計含有量が20
    00ppm以下であり、α率が50%以下の窒化珪素粉
    末90〜99mol%に、イットリウム(Y)及びラン
    タノイド族元素からなる群から選ばれる1種以上を酸化
    物換算で1〜10mol%、窒化珪素粉末中の酸素量を
    SiO2 換算したSiO2 量及び添加するSiO2 量の
    合計が、SiO2 /(Re2 O3 +SiO2 )のモル比
    が0.05〜0.5となるように添加混合し、1MPa
    未満の窒素加圧雰囲気中、温度1800〜2000℃で
    焼成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の
    窒化珪素質焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は請求項2記載の窒化珪素質
    焼結体を用いてなることを特徴とする窒化珪素質回路基
    板。
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