JPH11101802A - 特異結合を利用する測定方法 - Google Patents

特異結合を利用する測定方法

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JPH11101802A
JPH11101802A JP26348197A JP26348197A JPH11101802A JP H11101802 A JPH11101802 A JP H11101802A JP 26348197 A JP26348197 A JP 26348197A JP 26348197 A JP26348197 A JP 26348197A JP H11101802 A JPH11101802 A JP H11101802A
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labeling
measurement
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JP26348197A
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Hidechika Hayashi
秀知佳 林
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の担体を用いる免疫測定法等における、非
特異的結合に由来するS/N比の低下を抑制する。 【解決手段】異なる蛍光物質で標識された単一の測定対
象物質に特異的でかつ同時に結合可能な2種類以上のラ
ベル剤と該測定対象物質を溶液中で接触、反応させて反
応液を形成し、反応液中の反応生成物及び/又は未反応
物を1分子ずつ分離した状態で蛍光測定部位において前
記ラベル剤から発せられる蛍光を測定し、該測定結果か
ら該分子を反応生成物及び/又は未反応物に同定、計数
し、かつ、少なくとも一つの同定物についての計数値か
ら測定対象物質の量及び/又は濃度を決定することによ
り、S/N比の低下を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特異結合を利用す
る測定方法に関するものであり、免疫的結合(抗原と抗
体の特異結合)、核酸の相補的結合(DNA及びRNA
を含む核酸の特異結合)、リガンド結合(リガンドとレ
セプターの特異結合)等、種々の特異結合を利用する新
規な測定法である。
【0002】
【従来の技術】免疫測定、核酸プローブ測定、レセプタ
測定等、免疫的結合、核酸の相補的結合或いはリガンド
結合等の特異結合を利用した測定法が広く知られてい
る。これらの測定法は、特異的な結合対を形成する物質
が抗原と抗体であるか、相補的な核酸分子であるか、或
いはリガンドとレセプターであるかの相違のみであり、
基本的な原理は同一である。
【0003】以下、測定対象物質が抗原又はハプテンで
ある、免疫的結合を利用する免疫測定を例として述べ
る。
【0004】抗原性物質を高感度で検出する免疫測定に
は、例えば抗原性物質の異なるエピトープを認識する2
種類の抗体を用いるサンドイッチ測定法がある。該測定
法では、例えば、一方の抗体を不溶性担体に結合し、他
方を光学的に検出可能な標識物質や光学的に検出可能な
物質を生成する反応を触媒する酵素等の標識物質と結合
してラベル化剤(コンジュゲート)とし、使用する。
【0005】抗原性物質の中でもハプテンと呼ばれる低
分子化合物を検出する免疫測定では、例えば、前記担体
と結合した抗体及び標識物質と結合したハプテンを使用
する、いわゆる競合測定法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記したサンドイッチ
測定法では、免疫反応が担体の表面付近で生じるため、
反応速度が液体中で生じる反応と比較して遅いという課
題がある。これを解決するために免疫反応に長い時間を
費やすと単位時間当たりの測定実施数が減少してしま
う。反応速度を増すためにラベル化剤量を増加すると、
担体に非特異的に吸着するラベル化剤量も増加し、測定
感度が悪化するという課題を生じかねない。サンドイッ
チ測定法における他の課題として、測定対象物濃度が高
い場合、いわゆるプロゾーン現象(ハイドースフック効
果)が生じるという課題がある。プロゾーン現象の発生
は、高濃度の測定対象物質が存在するにもかかわらず、
低濃度であるという誤った測定結果を生じかねない。プ
ロゾーン減少を避けるにはラベル化剤量を増加すること
が効果的であるが、この場合、前記同様にラベル化剤の
非特異的吸着が増加し、測定感度が悪化するという課題
を生じかねない。
【0007】前記した競合測定法においても、免疫反応
は担体の表面付近で生じるため、サンドイッチ測定法同
様の課題がある。また競合測定法では、測定対象物質の
低濃度領域での測定において、測定対象物質が存在しな
い場合に得られる大きなレベルの信号に対し、信号の小
さな変化を検出しなければならないため、低濃度領域で
の測定精度を上げることが困難であるという課題もあ
る。
【0008】従って本発明は、これら課題を解決し、迅
速且つ正確に、しかもいわゆるプロゾーン現象が生じた
場合の誤測定を回避できる測定方法を提供することを目
的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題に
鑑みて鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至っ
た。即ち本発明は、異なる蛍光物質で標識された単一の
測定対象物質に特異的かつ同時に結合可能な2種類以上
のラベル剤と該測定対象物質を溶液中で接触、反応させ
て反応液を形成し、反応液中の反応生成物及び/又は未
反応物を1分子ずつ分離した状態で蛍光測定部位におい
て前記ラベル剤から発せられる蛍光を測定し、該測定結
果から該分子を反応生成物及び/又は未反応物に同定、
計数し、かつ、少なくとも一つの同定物についての計数
値から測定対象物質の量及び/又は濃度を決定する、測
定方法である。
【0010】また本発明は、蛍光物質で予め標識された
測定対象物質、該蛍光物質とは異なる蛍光物質で標識さ
れた測定対象物質に結合可能なラベル剤及び測定対象物
質を溶液中で接触、反応させて反応液を形成し、反応液
中の反応生成物及び/又は未反応物を1分子ずつ分離し
た状態で蛍光測定部位において前記ラベル剤から発せら
れる蛍光を測定し、該測定結果か該分子を反応生成物及
び/又は未反応物に同定、計数し、かつ、少なくとも一
つの同定物についての計数値から測定対象物質の量及び
/又は濃度を決定する、測定方法である。以下、本発明
を詳細に説明する。
【0011】本発明では、測定対象物質に特異的に結合
可能なラベル剤を使用する。ここでラベル剤は、蛍光物
質で標識された測定対象物質と特異的に結合可能な物
質、即ち、蛍光物質及び測定対象物質に特異的に結合可
能な物質(以下、特異結合物質と略する)から構成され
る。本発明においては、測定対象物質とラベル剤中の特
異結合物質の組み合わせは任意に選択することが可能で
ある。例えば測定対象物質が抗原や抗体である場合、特
異結合物質として抗体や抗原を用いることで、免疫的結
合を利用する測定法を実施することが可能である。例え
ば測定対象物質がDNAやRNA等の核酸である場合、
特異結合物質として抗体や相補的核酸(断片)を用いる
ことで、前者であれば免疫的結合を利用する測定法を、
後者であれば核酸の相補的結合を利用する測定法を実施
することが可能である。例えば測定対象物質がリガンド
や該リガンドのレセプターである場合、特異結合物質と
してリガンドレセプターやリガンドを用いることで、リ
ガンド結合を利用する測定法を実施可能である。
【0012】なお、ラベル剤を構成する特異結合物質
は、天然に存在する形態であっても良いし、前記結合能
力を保持している限り、人工的に断片化等されていても
良い。例えば抗体を用いる場合、天然型(インタクト
型)はもちろん、Fab'型等の断片化された抗体であって
も良い。通常、測定対象物質との特異的結合に関与する
部分以外を除去した抗体断片等は、天然型のものに比較
して、測定対象物質との結合の際のラベル剤同士の立体
的障害や非特異的結合が小さく、好ましい。更に特異結
合物質は、測定対象物質と直接、特異的に結合するもの
であっても、あるいは測定対象物質と特異的に結合する
物質を介して間接に、特異的に結合するものであって
も、特に制限はない。前者の例としては測定対象物質で
ある抗原に特異的に結合可能な抗体を、後者の例として
は測定対象物質である抗原に特異的に結合可能な抗体に
対して特異的に結合可能な抗体が例示できる。本明細書
において特に断らない限り、特異結合物質には直接測定
対象物質と結合可能なものと、間接的に測定対象物質と
結合可能なものの両者を含む。
【0013】本発明では、ラベル剤を構成する蛍光物質
として2種以上の蛍光物質を使用する。蛍光物質として
は、例えば蛍光寿命、励起スペクトル、蛍光スペクトル
等により光学的に相互区別可能な標識を使用する。具体
的な蛍光物質として、例えば、DNAの塩基配列決定の
際に使用される、異なる波長特性を有する蛍光物質から
適宜選択して使用することが例示できる。また他の蛍光
物質の例として、例えば組織の多色染色で使用される、
異なる波長特性を有する蛍光物質であるFITC、テキ
サスレッド、Cy5等から適宜選択して使用することも
例示できる。なお蛍光物質は、上記光学的特性のいずれ
か一つ以上の特性において区別可能であれば良く、例え
ば2以上の特性を比較してはじめて区別されるものであ
っても良い。測定対象物質が蛋白質である場合、紫外線
の照射により測定対象物質自体が蛍光を発することか
ら、350nm以上の波長で励起される蛍光物質を使用
することが好ましい。なお本発明においては、単一の測
定対象物質に複数の同一の特異結合物質が結合し得る場
合であっても、それを標識する蛍光物質が異なれば、異
なる種類のラベル剤である。
【0014】ラベル剤は、蛍光物質を前記した特異結合
物質と結合することにより調製する。調製方法として
は、二官能性の架橋剤を使用する方法をはじめ、従来か
ら知られている方法を使用することができるが、調製操
作を行った後に例えば液体クロマトグラフィーにより分
離等を行い、未反応蛍光物質やラベル剤同士が凝集した
凝集体を除去する精製を行っておくことが好ましい。
【0015】その製造方法や精製方法によっては、特異
結合物質に対して1個又はそれ以上の決まった数の蛍光
物質が結合した均一なラベル剤はもとより、特異結合物
質に対して不定数の蛍光物質が結合した不均一なラベル
剤も調製される。前者の均一なラベル剤は、同じ分子種
であればほぼ一定強度の蛍光を得ることができるため、
比較的弱い蛍光信号においても誤って同定されることを
避けることが可能である点で好ましい。また、各分子種
の蛍光強度分布が小さければ、その強度情報を利用して
分子種を同定することも可能になる。更に蛍光物質の分
子数が少なければ、ラベル剤の全体としてのサイズを小
さくすることができ、結果的に測定対象物質への結合時
に立体障害を起こす可能性を低減できる。
【0016】一方、後者の不均一なラベル剤は、調製が
容易であり、多数の蛍光物質が結合していることから容
易に強い蛍光信号を得ることができる点で好ましい。本
発明においては、いずれのラベル剤であっても使用可能
である。
【0017】以下、本発明が提供する第一の測定方法に
ついて、免疫的結合を利用する抗原物質の測定を例に説
明する。この測定方法では、抗原分子に対し、同時に結
合可能な2種類以上のラベル剤を使用するが、抗原分子
が同一のエピトープをラベル剤の種類の数以上有するも
のである場合には、特異結合物質として同一のモノクロ
ーナル抗体をも使用することができる。むろん、ラベル
剤の種類ごとに異なるモノクローナル抗体を使用した
り、モノクローナル抗体ではなく、ポリクローナル抗体
を使用することもできる。
【0018】使用するラベル剤の種類は、抗原物質のエ
ピトープの数等に応じて適宜選択すれば良く、2種類以
上であれば測定には十分であるが、バックグランドを小
さくしたり、プロゾーン現象を判定するためには3種類
のラベル剤を使用することが特に好ましい。
【0019】まず、免疫反応を生じさせるのに適当な溶
液中で、抗原分子を含有する、例えばヒト血清等の検体
試料と2種以上のラベル剤を接触、反応させて反応液を
形成する。ラベル剤は一度に試料と接触させても良い
し、1種類ずつ、順に接触させても良い。
【0020】反応液の形成後、免疫反応が生じるのに適
当な条件下に放置するが、反応温度等は通常の範囲で良
く、また、緩やかな撹拌等を行っても良い。本発明にお
ける免疫反応は液体反応であるため、放置する時間は従
来の担体を使用する方法に比較して短時間で良く、一例
を示せば3〜10分で良い。
【0021】上記反応により、反応液中には、測定対象
物質である抗原分子と結合していないラベル剤と(以
下、未反応物と略する)、該抗原分子と結合したラベル
剤(以下、反応生成物と略する)が出現するが、試料中
の抗原分子の量や、接触させるラベル剤の量等との関係
により、反応生成物が出現しない場合や未反応物が残存
しない場合もあり得る。なお、実際の反応液中には、ラ
ベル剤と結合していない抗原分子等やその他の夾雑分子
も存在し得、これらは厳密な意味では未反応物である
が、後の蛍光物質の測定段階で測定されないことから本
発明では未反応物としては特に記載しない。例えば異な
る2種のラベル剤A及びBを用いた場合、蛍光測定によ
り同定されるのは蛍光物質としてAのみを含む分子(ラ
ベル剤Aのみ又は複合体)、Bのみを含む分子(ラベル
剤Bのみ又は複合体)、そしてA及びBの両方を含む分
子(ラベル剤A及びBを含む複合体)である。例えば異
なる3種のラベル剤A、B及びCを用いた場合、蛍光測
定により同定されるのはAのみを含む分子(ラベル剤A
のみ又は複合体)、Bのみを含む分子(ラベル剤Bのみ
又は複合体)、Cのみを含む分子(ラベル剤Cのみ又は
複合体)、AとBを含む分子(複合体)、BとCを含む
分子(複合体)、AとCを含む分子(複合体)、そして
A、B及びCの全てを含む分子(複合体)である。
【0022】次に、反応液中の反応生成物及び/又は未
反応物を、1分子ずつ分離した状態で蛍光測定部位にお
いて測定する。本発明において1分子ずつ分離とは、時
間的又は空間的に1分子ずつ測定可能な状態にすること
を意味し、またここで、1分子ずつとは「未反応のラベ
ル剤分子ごと」、「抗原分子等とラベル剤を含む分子
(複合体)ごと」を意味する。
【0023】1分子ずつ分離した状態を実現するには、
例えば、従来のフローサイトメトリー法等で使用されて
いるシースフローを利用することが例示できる。具体的
には、後の図1に例示したように、外管の内側に先端を
切った細管を外管と同心に配置し、細管から反応液を流
すと共に、細管外壁と外管内壁の間にシース液を流せば
良い。細管の先端下流の位置で外管の内径は絞られてお
り、細管の開口での反応液の線速に比較してシース液の
線速が大きくされていることと相まって、反応液はミク
ロンオーダーの太さの中心流をもつ流れ(シースフロ
ー)を形成するのである。シースフローの流速及び中心
流の太さは、細管中での反応液の流速、シース液の流速
そして細管の内外径、外管の内径等に依存するため、こ
れらを調整して蛍光測定部位における蛍光測定対象体積
中に一時に1分子の未反応物や反応生成物が存在し得る
ようにすれば良い。なお、反応生成物等を1分子ずつ分
離した状態で測定するためには、免疫反応等の終了後、
反応液を十分に希釈することが効果的であり、好まし
い。希釈により、2以上の分子が同時に検出部を通過す
る確率を減少することができるからである。
【0024】上記の場合の蛍光測定部位における蛍光測
定対象体積は、蛍光測定に用いる検出器の光源光ビーム
の太さと蛍光検出系の視野の広さに依存するが、1分子
ごとの測定を行うために該体積は小さい方が好ましいた
め、例えばコヒーレンス性の高いレーザ光源を用いてビ
ームウェストでミクロンオーダーのサイズまで絞り込む
ことが好ましい。蛍光測定対象体積を小さくすること
で、溶媒等によるバックグラウンド蛍光や散乱光による
影響を減少することも可能である。蛍光測定部位は、反
応液中の反応生成物又は未反応生成物が1分子ずつ分離
された状態となる部分に配置されれば良い。例えば、前
記したシースフローを形成するための外管の全部又は一
部を光透過性とし、当該部分で蛍光測定を行えば良い。
【0025】ラベル剤を構成する蛍光物質によっては、
反応液を粘性の高いマトリクスに埋め込んだり、疎水性
環境のマトリクスに閉じこめたり、或いはシースフロー
を凍らせて分子運動を制限することで蛍光量子収率を高
めることができる。反応液を粘性の高いマトリクスに埋
め込んだり、或いは疎水性環境のマトリクスに閉じこめ
たりするには、測定対象物質とラベル剤との反応後、反
応液に粘性を高める試薬等を混合したり、反応液を細管
に導入する直前でこれら試薬を混合したり、或いはシー
ス液中にこれら試薬を混合しておけば良い。
【0026】検出器は、例えば図1に例示したように、
光源、励起集光系、測定部、蛍光集光系、検出素子、検
出された信号を増幅するための増幅回路及び判定回路等
から構成することができる。光源は、蛍光物質を蛍光励
起するのに必要な波長の光を、十分な強度で供給できれ
ば、パルス光源や連続光源等、特に制限なく使用でき
る。該波長は、使用するラベル剤中の蛍光物質の全てを
蛍光励起することができれば良いが、一つの波長では蛍
光物質の全てを蛍光励起できない場合には、複数波長の
光を同時に放射可能な光源を用いたり、複数の光源を用
いてそれらの放射光を混合したり、極めて短い時間内に
光源を切り替え、結果的に1分子の反応生成物又は未反
応物が蛍光測定部位を通過する間に全ての蛍光物質の蛍
光を測定し得るように構成する。また光源が不用な波長
の光を含む場合には、例えば回折格子、プリズム又はフ
ィルター等を用いてこれを除去すれば良い。レーザ光源
は、前記した理由に加え、コヒーレンス性の高い励起光
を得られることから、微少部分に強力な光を集中できる
等、特に好ましい光源として例示できる。例えばアルゴ
ンクリプトンレーザーは、前述したFITC、テキサス
レッド及びCy5を励起するのに必要な3種類の波長の
連続光を含んでいる。また、モードロック連続レーザー
光は、通常、50から80MHzの周波数でパルス発振
するため、1分子が蛍光測定部位を通過する時間、例え
ば1msの間におよそ5×104回程度、励起光を分子
に照射することができる。従って、モードロック連続レ
ーザ光を用い、標識として使用した蛍光物質の性質にも
よるが、数%程度の確率で放射された蛍光を検出できれ
ば、十分な精度で蛍光信号を得ることができる。
【0027】検出素子には、高感度な蛍光検出が可能な
フォトマルやチャンネルプレートを利用することが好ま
しく、フォトンカウンティング法と組み合わせて用いる
ことができる。また、例えばストリークカメラやフォト
マルアレイを用いても良い。より具体的には、モードロ
ック連続レーザを光源として用い、フォトマルを高速に
スイッチングすることによって、励起光のレーリー散乱
やラマン散乱に起因するバックグラウンドを低減するこ
とができる。また例えばラベル剤の蛍光寿命を測定する
場合には、モードロックレーザを光源とし、ストリーク
カメラを検出素子とするか、フォトマルにTAC(Time
to Amplitude Converter )とMCA(Multi Channel
Analyzer)を組み合わせて時間分解蛍光測定をすること
が例示できる。また例えばラベル剤のスペクトルを測定
する場合は、回折格子、プリズム又はフィルターと、チ
ャンネルプレートや複数のフォトマル或いはフォトマル
アレイを組み合わせて測定することが例示できる。更に
例えばバックグラウンドを低減するために偏光を利用す
る場合には、偏光子を用いて測定することが例示でき
る。なお、ラベル剤の同定に際しては、例えば異なる波
長の蛍光を測定する等、使用するラベル剤の種類の数と
同数以上の条件の蛍光測定を行なうことで同定が可能で
あるが、同定精度を向上するために、適宜他の蛍光特性
に関する測定等を組み合わせることができる。またラベ
ル剤が均一である場合には、蛍光強度情報を用いること
によって蛍光測定条件の数を減らすこともできる。
【0028】上記した、本発明を実施するための装置に
ついては、より具体的に、例えば特表平8−50666
4号公報に開示された装置等を例示できるが、ラベル剤
中の蛍光物質の量(数)を増加すれば(例えば1の抗体
や核酸に対して、複数の蛍光物質を結合させる等)、従
来からフローサイトメトリーの分野で使用されているフ
ローサイトメーターを流用することも可能である。ここ
で、蛍光顕微鏡のステージ上にフローサイトメトリー用
の測定セルを載置して、本発明を実施するためのフロー
サイトメーターとして使用することもできる。なお、例
えば1の抗体や核酸に複数の蛍光物質を結合させるに
は、いわゆるクリスマスツリー法等を利用したり、カス
ケードポリマー等を利用すれば良い。
【0029】上記したフローサイトメーターを使用する
以外に、例えば、蛍光顕微鏡を用いて空間的(二次元
的)に分離した状態で蛍光測定を行うことも例示でき
る。この場合、例えばスライドガラスとカバーガラスの
間に薄いパッキングを挟んで扁平な測定セルを形成し、
ここに形成した反応液を導入して測定することを例示で
きる。かかる測定セルに反応液の入り口と出口を設けれ
ば、フローセルとして蛍光測定を効率化することも容易
である。
【0030】かかる構成の蛍光測定部位を用いる場合に
は、レーザー光を顕微鏡に置かれた前記のような測定セ
ルに収束させ、蛍光の二次元像を観察したり、或いは蛍
光をダイクロックミラーやフィルター等を通過させるこ
とで波長分離してラベルごとに蛍光の二次元像を観察、
測定するのである。蛍光の二次元像をイメージインテン
シファイア付CCDカメラ等を用いて電気信号に変換
し、コンピューターに取り込めば、通常の画像解析技術
を用いて蛍光ラベルの位置を特定することができる。な
お、広い範囲を観察するためには、顕微鏡のステージを
ステップ的に駆動し、駆動を停止する毎に画像を取り込
む等すれば良い。
【0031】従来から蛍光ラベルとして使用されている
フルオレッセイン(FITC、励起波長500nm・蛍
光波長520nm)、テキサスレッド(Texas R
ed、励起波長550nm・蛍光波長615nm)、C
y5(励起波長650nm・蛍光波長670nm)を用
い、顕微鏡で蛍光測定を行う場合について具体例を示せ
ば、それぞれの励起波長の混じったアルゴンクリプトン
混合レーザー光を照射し、得られる蛍光をダイクロック
ミラーで3成分に分離し、各成分について520、61
5又は670nmのフィルターを通過させて各ラベル物
質の蛍光のみを選択することが例示できる。かかる例の
場合、励起光の波長と蛍光の波長が互いにずれているた
め、同時に3波長を含むレーザー光を照射して蛍光を測
定することが例示できる。
【0032】なお、使用する複数種の蛍光物質を同時に
励起することが困難な場合には、これらを別個に励起可
能な複数波長の励起光を短時間に切り換えて照射するこ
とも例示できる。より具体的には、複数のモードロック
レーザーを交互に同期して発振させ、それぞれのレーザ
ー光パルスで複数の色素レーザーを励起し、複数の波長
のレーザー光を交互に発振させ、これらをビームミキサ
ーやダイクロイックミラーを用いて混合し、測定部位に
導くことが例示できる。また例えば、一つのモードロッ
クレーザーを励起させ、レーザー光パルスを光偏向素子
で複数の方向に分け、それぞれの方向に配置した色素レ
ーザーを励起し、これらを前記同様にして混合しても良
い。これらの他にも、例えば、複数のフィルターを配置
した円盤を回転する等しても良い。
【0033】2種類のラベル剤A及びBを用いた場合、
同定されるのはA又はBのみを含む分子と(それぞれA
群又はB群と略する)、A及びBを含む分子(AB群と
略する)の3群である。A群には、抗原分子とラベル剤
Aを含む分子と、未反応のラベル剤A(非特異的結合に
より測定対象物質である抗原分子以外の分子と結合した
分子を含む)が含まれる。B群には、抗原分子とラベル
剤Bを含む分子と、未反応のラベル剤B(非特異的結合
により測定対象物質である抗原分子以外の分子と結合し
た分子を含む)が含まれる。そしてAB群には、抗原分
子と両ラベル剤を含む分子と、非特異結合による、抗原
分子を含まない分子が含まれる。更に、AB群にはラベ
ル剤Aとラベル剤Bが結合していないが、両者が同時に
蛍光測定部位に存在したためにAB群と同定された分子
をも含む。ここで、一般にAB群中の、ラベル剤Aとラ
ベル剤Bが抗原分子とは無関係に、非特異的に結合した
分子(複合体)の量は、抗原分子と両ラベル剤を含む分
子(複合体)の量に比べて無視できるようにラベル剤を
調製することが好ましい。また、反応液を十分に希釈す
ることによって、結合していないラベル剤Aとラベル剤
Bが同時に蛍光測定部位に存在する確立を小さくするこ
とができる。従って、AB群に属する分子の数から直
接、又はAB群に属する分子の数をAB群に属する分子
の数とA群に属する分子の数の和で割った値や、AB群
に属する分子の数をAB群に属する分子の数とB群に属
する分子の数の和で割った値を、既知濃度の抗原分子に
ついて同様の操作を行って作成した検量線に適用するこ
とで、測定対象物質である抗原分子の量や濃度を知るこ
とができる。
【0034】これに対して、3種類のラベル剤A、B及
びCを用いた場合、同定されるのはA、B又はCのみを
含む分子(それぞれA、B群又はC群と略する)、A及
びBを含む分子(AB群と略する)、A及びCを含む分
子(AC群と略する)、B及びCを含む分子(BC群と
略する)及びA、B及びCを含む分子(ABC群と略す
る)の7群であり、各群に含まれるものは前記と同様で
ある。ここで、ラベル剤を構成する特異結合物質の性質
からいって、一般に、AB群、BC群又はAC群中の非
特異的結合により生じた分子(複合体)の量は、抗原分
子の低濃度領域では、抗原分子の量に比べて必ずしも無
視できるとは限らない。しかし、ABC群中の非特異的
結合により生じた分子(複合体)の量は、前記AB群、
BC群又はAC群中の非特異的結合により生じた分子
(複合体)の量と比較して微量であり、無視できる程度
のものである。従って、ABC群に属する分子の数から
直接、又はABC群に属する分子の数をAを含む全ての
群に属する分子の数の和で割った値や、ABC群に属す
る分子の数をBを含む全ての群に属する分子の数の和で
割った値、更にはABC群に属する分子の数をCを含む
全ての群に属する分子の数の和で割った値等を、既知濃
度の抗原分子について同様の操作を行って作成した検量
線に適用することで、測定対象物質である抗原分子の量
や濃度を知ることができる。
【0035】3種類(又はそれ以上)のラベル剤を用い
た場合であって、免疫反応においてプロゾーン現象が生
じると、前記のように同定される各群の間では、AB
群、AC群及びBC群の量に比較してABC群の量が小
さくなる。従って、この関係を用いて免疫的結合を利用
する測定においてはプロゾーン現象が生じたか否かを判
定することも可能になる。また更に、例えプロゾーン現
象が生じた場合でも、例えばABC群に属する分子の数
[ABC]を分母として、AB群に属する分子の数[A
B]、AC群に属する分子の数[AC]及びBC群に属
する分子の数[BC]の和を割ったり、AB群に属する
分子の数[AB]とAC群に属する分子の数[AC]の
和を割ったり、AB群に属する分子の数[AB]を割っ
たり、AC群に属する分子の数[AC]を割ったり、或
いはBC群に属する分子の数[BC]を割った値等によ
り、通常の測定域及び高濃度領域における検量線を別個
に作成しておけば、測定対象物質である抗原分子の定量
を行うことができる。
【0036】なお、例えば([A]+[B]+[C])
/[ABC]、[A]/[ABC]、[B]/[AB
C]、[C]/[ABC]、([A]+[B])/[A
BC]、([B]+[C])/[ABC]、([A]+
[C])/[ABC]等により上記定量を行うこともで
きる。
【0037】本発明が提供する第二の測定方法につい
て、以下に免疫的結合を利用する抗原物質の測定を例に
説明する。この測定方法では、蛍光物質で予め標識され
た測定対象物質(ラベル剤)、即ち標識された抗原分子
と、該ラベル剤中の蛍光物質とは異なる蛍光物質で標識
されたラベル剤を使用するものである。ここで、蛍光物
質自体はこれまで説明したようなものを使用することが
できる。また、蛍光物質による抗原分子の標識は、例え
ば競合測定法等で通常実施されるように行えば良い。こ
こで、抗原分子に対するラベル剤は、例えば蛍光物質の
みを含み、蛍光物質が直接抗原分子と化学的に結合して
いても良いし、例えば抗原分子と特異的に結合する物質
を含み、該物質を介して抗原分子と結合していても良
い。
【0038】ラベル剤及び検体試料を接触、反応させて
反応液を形成し、反応液中の反応生成物及び/又は未反
応物を1分子ずつ分離する操作も前記同様に行えば良
い。この場合、同定されるのは、標識された抗原分子で
あるラベル剤をA、他のラベル剤をBとすると、A又は
Bのみを含む分子(それぞれA群又はB群と略する)、
A及びBを含む分子(AB群と略する)の3群である。
A群には、未反応のラベル剤Aが含まれる。B群には、
抗原分子と結合したラベル剤Bと、未反応のラベル剤B
(非特異的結合により測定対象物質である抗原分子以外
の分子と結合した分子を含む)が含まれる。そしてAB
群には、ラベル剤A、即ち標識された抗原分子とラベル
剤Bが結合した分子が含まれる。従って、AB群に属す
る分子の数、A群に属する分子の数又はB群に属する分
子の数から直接、あるいはAB群に属する分子の数をA
B群に属する分子の数とA群に属する分子の数の和で割
った値や、AB群に属する分子の数をAB群に属する分
子とB群に属する分子の数の和で割った値等を、既知濃
度の抗原分子について同様の操作を行って作成した検量
線に適用することで、測定対象物質である抗原分子の量
や濃度を知ることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づき更に
詳細に説明する。図1は、本発明を実施するための装置
の概略を示すものである。図中、1は光源、2はレンズ
(励起光集光系)、3はシースフローを形成するための
内管、4はシースフローを形成するための外管、5は1
分子ずつ分離された反応生成物(未反応生成物)、6は
レンズ(蛍光集光系)、7は蛍光検出器、8は蛍光検出
器の測定結果を増幅するための増幅器、そして9は蛍光
測定結果から反応生成物等を同定等するための判別手段
である。内管3から、好ましくは希釈された反応液が流
出し、内管3と外管4の空隙からはシース液が供給され
る。なお、本例では装置の概略を示したが、例えば励起
光集光系及び/又は蛍光集光系には、必要に応じて光源
や蛍光の波長を選択するためのフィルターや、後述する
ダイクロイックミラー等の光学部品を任意に追加するこ
とができる。
【0040】図2は、ラベル剤Aとして第一の蛍光物質
と抗体の結合物、ラベル剤Bとして第二の蛍光物質と抗
体の結合物を用いる場合の、各ラベル剤中の蛍光物質
(それぞれA、Bで示す)の一例を示すものである。本
例では、蛍光スペクトルが異なる蛍光物質A及びBを利
用した例を示してある。このようなラベル剤を用いる場
合、前記図1における蛍光検出器は、例えば各分子から
放射された蛍光を波長により透過率と反射率が異なるダ
イクロイックミラーで分割し、分割された各蛍光をそれ
ぞれフォトマルチプライヤーで検出する等の構成とする
ことが例示できる。 図3は、異なる蛍光物質で標識さ
れた、単一の測定対象抗原Dに特異的でかつ同時に結合
可能な2種類の抗体からなるラベル剤A及びBを用いる
本発明の方法を説明するための図である。これらを溶液
中で一度に又は順次、接触、反応させて得られる反応液
中では、図に示したように、測定対象抗原とラベル剤A
及びBの三者を含む分子(反応生成物)1、ラベル剤A
のみを含む分子(反応生成物)2、ラベル剤Bのみを含
む分子(反応生成物)3及び他の分子(未反応生成物、
4から8、なお6から8は、非特異的反応により分子
(複合体)が形成された場合である)が生じる。未反応
生成物は、ラベル剤A又はBが遊離状態のまま存在する
分子(4及び5)、ラベル剤A又はBが測定対象抗原D
以外の物質と非特異的に結合した分子(6及び7)そし
てラベル剤A及びBが非特異的に結合した分子8であ
る。
【0041】図4は、図3のような反応液について、ラ
ベル剤A、ラベル剤B及び抗原Dを反応させた場合の生
成物の濃度を抗原Dの濃度に対して計算した結果を示す
ものである。計算の条件は以下の(1)と(2)であ
り、反応物の濃度を抗原、抗体(ラベル剤)の濃度の関
数(表1)として表し、ラベル剤の濃度はそれぞれ異な
るとして計算した(ただし、ラベル剤Aの濃度<ラベル
剤Bの濃度)。なお表1中、xは抗原Dの濃度、Aはラ
ベル剤Aの濃度、Bはラベル剤Bの濃度、[ABD]等
はラベル剤A及びBを含む反応生成物濃度をそれぞれ示
すが、[A]と[AD]、[B]と[BD]は蛍光測定
の結果からは区別できず、[D]は蛍光測定によっては
検出できない。
【0042】
【表1】
【0043】(1)抗原と抗体は100%結合する。抗
原の量が抗体の量より少ないときは、全ての抗原は抗体
と結合し、余った抗体は未反応である。抗体の量が抗原
の量より少ないときは、全ての抗体は抗原と結合し、余
った抗原は未反応である。なお、この条件は、実際の測
定においても抗原と抗体の親和性が十分に高く、かつ十
分に長い時間反応させれば成立する条件である。
【0044】(2)抗原の複数の抗体結合部位(抗原決
定基)は互いに独立である。特定の抗原結合部位に抗体
が結合することにより、他の結合部位に対する抗体の結
合が影響を受けることはない。この条件は、ある抗体の
結合により他の抗体の結合に際して立体障害が生じた
り、抗体が結合することにより抗原の構造が変化したり
しない限り、成立する。
【0045】上記のように、ラベル剤Aと抗原D、ラベ
ル剤Bと抗原Dは100%反応し、それぞれ他方の反応
性に干渉しないと仮定した。即ち、ラベル剤Aと抗原D
の反応性は、抗原Dにラベル剤Bが結合することにより
変化しないとした。またラベル剤Aの濃度を1.4、ラ
ベル剤Bの濃度を2として計算したが、濃度の単位は任
意である。
【0046】図4中、Aは、本発明の方法により得られ
る測定結果中、ラベル剤A及びBを同時に含む分子の濃
度についての結果を示す。また、図の横軸は測定対象抗
原Dの濃度、縦軸は測定により得られる濃度をそれぞれ
示す。
【0047】図4に示すように、本発明の方法で従来の
固相を用いたサンドイッチ法と同じ応答曲線を得ること
ができる。本発明の方法では、従来法における担体へ
の、蛍光物質で標識した抗体の非特異的結合が生じない
ため、測定対象抗原Dの濃度がゼロの場合、従来法に比
較して低い測定値を得ることが可能になる。なお、本発
明の方法においても、僅かながらラベル剤A及びBが非
特異的に結合した分子(図3中の8)が生じ、これは必
ずしも無視できないため、測定対象抗原Dの濃度がゼロ
の場合に測定値は常にゼロになるとは限らない。なお本
例ではラベル剤A及びBを含む分子の濃度について示し
たが、他の、例えばラベル剤A及びBを含む分子の濃度
を、同値にラベル剤Aのみを含む分子の濃度を加えた値
で割った値等を使用することもできる。
【0048】実際の定量に当たっては、既知濃度の測定
対象抗原を含む標準試料について測定を行い、いわゆる
キャリブレーションカーブ(検量線)を作成し、未知試
料についての測定結果を比較すれば良い。
【0049】図5は、異なる蛍光物質で標識された、単
一の測定対象抗原Dに特異的でかつ同時に結合可能な3
種類の抗体からなるラベル剤A、B及びCを用いる本発
明の方法を説明するための図である。これらを溶液中で
一度に又は順次、接触、反応させて得られる反応液中で
は、図に示したように、測定対象抗原Dとラベル剤A、
B及びCの三者を含む分子(反応生成物)1、測定対象
抗原Dとラベル剤A及びBのみを含む分子(反応生成
物)2、測定対象抗原Dとラベル剤A及びCのみを含む
分子(反応生成物)3、測定対象抗原Dとラベル剤B及
びCのみを含む分子(反応生成物)4、測定対象抗原D
とラベル剤Aのみを含む分子(反応生成物)5、測定対
象抗原Dとラベル剤Bのみを含む分子(反応生成物)
6、測定対象抗原Dとラベル剤Cのみを含む分子(反応
生成物)7と、他の分子(未反応生成物、8から17、
なお11から17は、非特異的反応により分子(複合
体)が形成された場合である)が生じる。未反応生成物
は、ラベル剤A、B又はCが遊離状態のまま存在する分
子(8から10)、ラベル剤A、B又はCが測定対象抗
原D以外の物質E、F及びGと非特異的に結合した分子
(11から13)、そしてラベル剤A、B及びCの2つ
以上が非特異的に結合した分子(14から16)であ
る。これ以外にも、例えば、物質E、F又はGと2以上
のラベル剤が非特異的に結合した分子等も生じ得る。
【0050】図6は、図5のような反応液について、ラ
ベル剤A、ラベル剤B、ラベル剤C及び抗原Dを反応さ
せた場合の生成物の濃度、濃度の比を抗原Dの濃度に対
して計算した結果を示すものである。計算の条件は以下
の(1)と(2)であり、反応物の濃度を抗原、抗体
(ラベル剤)の濃度の関数(表2)として表し、ラベル
剤の濃度はそれぞれ異なるとして計算した(ただし、ラ
ベル剤Aの濃度<ラベル剤Bの濃度<ラベル剤Cの濃
度)。なお表2中、xは抗原Dの濃度、Aはラベル剤A
の濃度、Bはラベル剤Bの濃度、Cはラベル剤Cの濃
度、[ABD]等はラベル剤A及びBを含む反応生成物
濃度をそれぞれ示すが、[A]と[AD]、[B]と
[BD]、[C]と[CD]は蛍光測定の結果からは区
別できず、[D]は蛍光測定によっては検出できない。
またx^xはxのx乗を示す。
【0051】
【表2】
【0052】(1)抗原と抗体は100%結合する。抗
原の量が抗体の量より少ないときは、全ての抗原は抗体
と結合し、余った抗体は未反応である。抗体の量が抗原
の量より少ないときは、全ての抗体は抗原と結合し、余
った抗原は未反応である。なお、この条件は、実際の測
定においても抗原と抗体の親和性が十分に高く、かつ十
分に長い時間反応させれば成立する条件である。
【0053】(2)抗原の複数の抗体結合部位(抗原決
定基)は互いに独立である。特定の抗原結合部位に抗体
が結合することにより、他の結合部位に対する抗体の結
合が影響を受けることはない。この条件は、ある抗体の
結合により他の抗体の結合に際して立体障害が生じた
り、抗体が結合することにより抗原の構造が変化したり
しない限り、成立する。
【0054】上記のように、ラベル剤Aと抗原D、ラベ
ル剤Bと抗原D、ラベル剤Cと抗原Dは100%反応
し、それぞれ他方の反応性に干渉しないと仮定した。即
ち、ラベル剤Aと抗原Dの反応性は、抗原Dにラベル剤
Bが結合することにより変化しないとした。またラベル
剤Aの濃度を1.4、ラベル剤Bの濃度を2、ラベル剤
Cの濃度を3として計算したが、濃度の単位は任意であ
る。
【0055】図6は、図5のような反応液について、本
発明の測定を行った場合の結果を示すものである。図
中、Aは、ラベル剤A、B及びCを含む分子についての
濃度測定結果を示すものであり、Bは、ラベル剤B及び
Cのみを含む分子の濃度測定結果を、ラベル剤A、B及
びCを含む分子についての濃度測定結果で割った値を示
すものであり、Cは、ラベル剤B及びCのみを含む分子
の濃度測定結果を示すものである。なお、本図には測定
により得られる結果のうちの一部を示したが、例えば図
中のBについては、ラベル剤B及びCのみを含む分子の
濃度測定結果に代えてラベル剤A及びBのみを含む分子
の濃度測定結果やラベル剤A及びCのみを含む分子の濃
度測定結果等を用いることもできる。
【0056】実際の定量に当たっては、既知濃度の測定
対象抗原を含む標準試料について測定を行い、いわゆる
キャリブレーションカーブ(検量線)を作成し、未知濃
度の試料についての測定結果を比較すれば良い。
【0057】図6に示したように、本発明の方法では、
Aの値が一定になる測定対象抗原Dの濃度領域から、B
は直線的に立ち上がる。従って、この濃度領域の既知濃
度測定対象抗原Dを含む標準試料について測定を行い、
キャリブレーションカーブ(検量線)を作成し、未知濃
度の試料についての結果を比較するに当たってこれら2
つのキャリブレーションカーブ(検量線)を使い分けれ
ば、広い濃度範囲における定量が可能となる。
【0058】図7は、蛍光物質Aで予め標識された測定
対象物質(ラベル剤)A、該蛍光物質とは異なる蛍光物
質Bで標識された測定対象物質に結合可能なラベル剤B
を用いる本発明の方法を説明するための図である。これ
らを溶液中で一度に又は順次、接触、反応させて得られ
る反応液中では、図に示したように、測定対象抗原Dと
ラベル剤Bを含む分子(反応生成物)1、ラベル剤B及
びAを含む分子(反応生成物)2と、その他の分子(未
反応生成物、3から6、なお6は、非特異的反応により
分子(複合体)が形成された場合である)が生じる。未
反応生成物は、ラベル剤A又はBが遊離状態のまま存在
する分子(4又は5)、ラベル剤Bが測定対象抗原D以
外の物質Eと非特異的に結合した分子(6)である。こ
れ以外にも、測定対象抗原Dがラベル剤Bと結合せず、
遊離状態で存在している場合もあるが、これは本発明に
おける蛍光測定の対象とはならず、未反応生成物に該当
しない。 図8は、図7のような反応液について、ラベ
ル剤A(抗原を標識したもの)又はラベル剤B(抗体を
標識したもの)と抗原Dを同時に反応させた場合の生成
物の濃度、濃度の比を抗原Dの濃度に対して計算した結
果を示すものである。計算の条件は以下の(1)と
(2)であり、反応物の濃度を抗原(ハプテン)の濃度
の関数(表3)として表し、ラベル剤の濃度はそれぞれ
異なるとして計算した (ただし、ラベル剤Aの濃度<
ラベル剤Bの濃度)。なお表3中、xは抗原Dの濃度、
Aはラベル剤Aの濃度、Bはラベル剤Bの濃度、[A
B]等はラベル剤A及びBを含む反応生成物濃度をそれ
ぞれ示す。またy=A/(A+x)は、通常の競合法の
Logit−Log検量線作成に用いる抗原を含む試料
で得られる信号を、抗原を含まない信号で割った値を意
味する。
【0059】
【表3】
【0060】(1)抗原と抗体は100%結合する。抗
原の量が抗体の量より少ないときは、全ての抗原は抗体
と結合し、余った抗体は未反応である。抗体の量が抗原
の量より少ないときは、全ての抗体は抗原と結合し、余
った抗原は未反応である。なお、この条件は、実際の測
定においても抗原と抗体の親和性が十分に高く、かつ十
分に長い時間反応させれば成立する条件である。
【0061】(2)抗原と抗体の反応性は、抗原に蛍光
物質等を標識することによって変化しない。この条件
は、標識することにより抗体の結合に際して立体障害が
生じたり、標識することにより抗原の構造が変化しない
限り成立する。
【0062】上記のように、ラベル剤Bはラベル剤Aと
抗原Dの一方と反応し、ラベル剤Bとラベル剤Aの反応
生成物の濃度と、ラベル剤Bと抗原Dの反応生成物の濃
度の比はラベル剤Aとラベル剤Bの濃度の比に等しいと
した。またラベル剤Aの濃度を2、ラベル剤Bの濃度を
1.5として計算したが、濃度の単位は任意である。図
8は、図7のような反応液について、本発明の測定を行
った場合の結果を示すものである。図中、Aはラベル剤
A及びラベル剤Bを含む分子の量を示し、Cは、ラベル
剤A及びラベル剤Bを含む分子とラベル剤Bのみを含む
分子の合計量を示し、Bは、AをCで割った値を示す。
【0063】実際の定量に当たっては、既知濃度の測定
対象抗原を含む標準試料について測定を行い、いわゆる
キャリブレーションカーブ(検量線)を作成し、未知試
料の試料についての測定結果を比較すれば良い。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、担体を利用した従来の
免疫的結合(抗原と抗体の特異結合)、核酸の相補的結
合(DNA及びRNAを含む核酸の特異結合)、リガン
ド結合(リガンドとレセプターの特異結合)等、種々の
特異結合を利用する測定法における、非特異的結合に起
因するS/N比の低下を抑制することが可能である。即
ち、ラベル剤(蛍光物質)の担体への非特異的結合を生
じることがないから、担体を使用する測定法に比較して
非特異的結合に由来するバックグラウンド(ノイズ)を
低減でき、その結果、特に低濃度の測定対象物質につい
て高感度かつ高精度の測定が可能になる。
【0065】この結果、低濃度の測定対象物質であって
も、より正確に定量等することができる。このように、
非特異的結合を低減することにより、本発明は、測定対
象物質の微量分析を可能とするものである。しかも、測
定対象物質は、担体(担体に結合した、測定対象物質に
特異的に結合可能な物質)と反応するのではなく、液相
中に存在するラベル剤(可溶状態で存在するラベル剤)
と反応することになるため、反応速度を向上することも
可能である。これにより、測定操作に要する時間を短縮
することもできる。更に本発明では、通常の免疫測定等
におけるB/F分離を行なう必要がないため、測定工程
を簡便にすることができると共に、B/F分離操作又は
B/F分離装置の不具合に起因する測定結果のばらつき
や異常を排除し得、日内再現性及び日差再現性等の向上
も期待できる。
【0066】本発明の第一の測定方法において、特に、
好ましく3種類のラベル剤を用いた場合には、従来の測
定法において課題であったプロゾーン現象が生じたか否
かを知ることも可能であり、しかも、プロゾーン現象が
生じている領域における測定結果からであっても、測定
対象物質の測定が可能である。一方で本発明の方法で
は、従来の測定方法ではラベル剤の非特異的結合が生じ
得るような、大量のラベル剤を反応に供することが可能
となり、液相中で反応を生じさせることに加え、大量の
ラベル剤を使用することで更に測定対象物質との反応速
度を向上させ、結果的に測定操作に要する時間を更に短
縮することができる。従って3種類以上のラベル剤を用
いた場合には、2種類のラベル剤を用いる場合に比べて
更に高感度かつ高精度の測定が可能である。
【0067】通常の競合測定方法においては、未知濃度
の測定対象物質を含む試料を用いて測定した蛍光強度を
測定対象物質がゼロ濃度の時の蛍光強度で割った値を測
定対象物質の濃度に対してプロットし、検量線を作成す
る。ここで、未知濃度についての蛍光強度測定と測定対
象物質がゼロ濃度の時の蛍光強度測定を同時に実施する
ことはできないため、別々に実施される。測定毎の測定
値の変動は避けられないため、測定対象物質がゼロ濃度
の時の蛍光強度の推定値には誤差を伴うため、低濃度の
測定対象物質について高精度の測定を行うのは困難であ
る。これに対して本発明の第二の測定方法では、未知濃
度の測定対象物質の蛍光強度に対応する量はAB群に属
する分子の数として、測定対象物質がゼロの時の蛍光強
度に対応する量はAB群とA群に属する分子の数の和又
はAB群とB群に属する分子の数の和として把握される
ことから、未知濃度の測定対象物質を含む試料について
の蛍光強度に対応する量と測定対象物質がゼロ濃度の時
の蛍光強度に対応する量を同一の測定で求めることが可
能となり、この結果、低濃度の測定対象物質を高精度で
測定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の測定方法を実施するための装
置の概要を示すものである。
【図2】図2は、ラベル剤に使用する蛍光物質の蛍光ス
ペクトルの一例を示すものである。
【図3】図3は、2種類のラベル剤を用いる本発明の測
定方法を説明するための図である。
【図4】図4は、2種類のラベル剤を用いる本発明の測
定方法を説明するための図である。
【図5】図5は、3種類のラベル剤を用いる本発明の測
定方法を説明するための図である。
【図6】図6は、3種類のラベル剤を用いる本発明の測
定方法を説明するための図である。
【図7】図7は、2種類のラベル剤を用いる本発明の測
定方法の他の態様を説明するための図である。
【図8】図8は、2種類のラベル剤を用いる本発明の測
定方法の他の態様を説明するための図である。
【符合の説明】
1 光源 2 レンズ(励起光集光系) 3 シースフローを形成するための内管 4 シースフローを形成するための外管 5 分離された分子 6 レンズ(蛍光集光系) 7 蛍光検出器 8 増幅器 9 判別手段

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】異なる蛍光物質で標識された単一の測定対
    象物質に特異的でかつ同時に結合可能な2種類以上のラ
    ベル剤と該測定対象物質を溶液中で接触、反応させて反
    応液を形成し、反応液中の反応生成物及び/又は未反応
    物を1分子ずつ分離した状態で蛍光測定部位において前
    記ラベル剤から発せられる蛍光を測定し、該測定結果か
    ら該分子を反応生成物及び/又は未反応物に同定、計数
    し、かつ、少なくとも一つの同定物についての計数値か
    ら測定対象物質の量及び/又は濃度を決定する、測定方
    法。
  2. 【請求項2】外管の内側に先端を切った細管を外管と概
    ね同心に配置し、細管から反応液を流すと共に細管外壁
    と外管内壁の間にシース液を流すことにより反応液中の
    反応生成物及び未反応物を1分子ずつ分離し同定を行な
    うことを特徴とする請求項1の測定方法。
  3. 【請求項3】2種類以上のラベル剤が、その蛍光寿命、
    励起スペクトル又は蛍光スペクトルのいずれか1つ以上
    の蛍光特性により相互に区別可能な2種類以上の蛍光物
    質でそれぞれ標識されていることを特徴とする請求項1
    の測定方法。
  4. 【請求項4】2種類の異なる蛍光物質で標識された単一
    の測定対象物質に特異的かつ同時に結合可能な2種類の
    ラベル剤を用いる請求項1に記載の免疫測定法であっ
    て、同定の際に少なくとも該2種類の異なるラベル剤を
    同時に含む分子が同定されることを特徴とする請求項1
    〜3いずれかの測定法。
  5. 【請求項5】2種類の異なるラベル剤を同時に含む分子
    の計数値といずれか1種類のラベル剤を含む分子の計数
    値の比、及び、測定対象物質の量又は濃度から検量線を
    作成し、測定対象物質の量及び/又は濃度を決定するこ
    とを特徴とする請求項4の測定法。
  6. 【請求項6】3種類の異なる蛍光物質で標識された単一
    の測定対象物質に特異的かつ同時に結合可能な3種類の
    ラベル剤を用いる請求項1に記載の免疫測定法であっ
    て、同定の際に少なくとも該3種類の異なるラベル剤を
    同時に含む分子が同定されることを特徴とする請求項1
    〜3いずれかの測定法。
  7. 【請求項7】3種類の異なるラベル剤を同時に含む分子
    の計数値と少なくともいずれか2種類のラベル剤を同時
    に含む分子の計数値の比、及び、測定対象物質の量又は
    濃度から検量線を作成し、測定対象物質の量及び/又は
    濃度を決定することを特徴とする請求項6の測定法。
  8. 【請求項8】3種類の異なるラベル剤を同時に含む分子
    の計数値と少なくともいずれかのラベル剤を含む分子の
    計数値の比、及び、測定対象物質の量又は濃度から検量
    線を作成し、測定対象物質の量及び/又は濃度を決定す
    ることを特徴とする請求項6の測定法。
  9. 【請求項9】いわゆるプロゾーン現象が生じたか否かを
    判定することを特徴とする請求項7又は8の測定法。
  10. 【請求項10】3種類の異なるラベル剤を同時に含む分
    子の計数値と少なくともいずれか2種類のラベル剤を含
    む分子の計数値の比、及び、測定対象物質の量又は濃度
    について検量線を作成し、いわゆるプロゾーン現象が生
    じる領域の一部で測定対象物質を定量することを特徴と
    する請求項7又は8の測定法。
  11. 【請求項11】蛍光物質で予め標識された測定対象物質
    (ラベル剤)、該蛍光物質とは異なる蛍光物質で標識さ
    れた測定対象物質に結合可能なラベル剤及び測定対象物
    質を溶液中で接触、反応させて反応液を形成し、反応液
    中の反応生成物及び/又は未反応物を1分子ずつ分離し
    た状態で蛍光測定部位において前記ラベル剤から発せら
    れる蛍光を測定し、該測定結果から該分子を反応生成物
    及び/又は未反応物に同定、計数し、かつ、少なくとも
    一つの同定物についての計数値から測定対象物質の量及
    び/又は濃度を決定する、測定方法。
  12. 【請求項12】外管の内側に先端を切った細管を外管と
    概ね同心に配置し、細管から反応液を流すと共に細管外
    壁と外管内壁の間にシース液を流すことにより反応液中
    の反応生成物及び未反応物を1分子ずつ分離することを
    特徴とする請求項11の測定方法。
  13. 【請求項13】前記ラベル剤が、その蛍光寿命、励起ス
    ペクトル又は蛍光スペクトルのいずれか1つ以上の蛍光
    特性により相互に区別可能であることを特徴とする請求
    項11の測定方法。
  14. 【請求項14】請求項11に記載の免疫測定法であっ
    て、同定の際に少なくとも該2種類の異なるラベル剤を
    同時に含む分子が同定されることを特徴とする請求項1
    1〜14いずれかの測定法。
  15. 【請求項15】2種類の異なるラベル剤を同時に含む分
    子の計数値と少なくともいずれか1種類のラベル剤を含
    む分子の計数値の比、及び、測定対象物質の量又は濃度
    から検量線を作成し、測定対象物質の量及び/又は濃度
    を決定することを特徴とする請求項14の測定法。
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