JPH11113425A - 農業用マルチシート - Google Patents

農業用マルチシート

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JPH11113425A
JPH11113425A JP9323713A JP32371397A JPH11113425A JP H11113425 A JPH11113425 A JP H11113425A JP 9323713 A JP9323713 A JP 9323713A JP 32371397 A JP32371397 A JP 32371397A JP H11113425 A JPH11113425 A JP H11113425A
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sheet
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transparent film
film layer
layer
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Yukio Maenishi
征雄 前西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】野菜の栽培において、マルチシート敷設前に播
種を可能にし、発芽直後の芽の低温障害を防止出来しか
も、光合成に必要な可視光線を透過しさらに、圃場から
マルチシートの基材を除去せずにそのまま耕起する事が
出来るマルチシートを提供する事を目的とする。 【解決手段】木材パルプまたはその他の天然セルロース
繊維を原料とする紙からなる基材に、マルチシートの長
手方向に長い形状の可視光線を透過する透光部を設け、
透明フィルム層によって該透光部を覆いかつ、透明フィ
ルム層を基材に接着させ、後に透明フィルム層を基材か
ら完全に除去出来る事を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の栽培におい
て、発芽を促進しかつ、発芽直後の芽の低温障害を防止
出来る、圃場の土壌を覆う様に敷設して用いる農業用マ
ルチシート(以後はマルチシートと称す)に関し、特に
マルチシートを敷設する前に播種が可能でかつ、風によ
るマルチシートの保温性の低下を低減しかつ、透明フィ
ルム層を基材から容易にかつ完全に剥離又は除去する事
で、圃場からマルチシートの基材を回収せずに耕起が出
来るマルチシートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年の野菜栽培において、野菜の発芽条
件を整えたり、適正な生育環境を作り出すために、各種
のマルチシートが使用されている。しかし、それらのマ
ルチシートには色々な問題点があった。
【0003】例えば、ポリエチレンフィルム製のマルチ
シートは、極めて堅牢なため、土壌菌、微生物および太
陽光線に含まれる紫外線でも分解出来ず、長期にわたり
圃場に残留してしまうため、圃場に放置する事ができ
ず、耕起の前に、多大の労力をかけて圃場から回収しな
ければならないという問題点があった。
【0004】そこで、これらの問題点を解決するため
に、マルチシートの基材に生分解性フィルムを使用する
事が提案された。しかし、生分解性フィルムといえど
も、完全に分解する事は容易ではなく、冬季に敷設した
場合等は、生分解性フィルムが充分に分解されないた
め、生分解性フィルムごと耕起すると、フィルムが紐状
に撚れて、耕うん機の回転部分に絡みつき、耕うん機を
破損させるという事故が発生した。そればかりか、一度
紐状に撚れた生分解性フィルムは分解が非常に困難にな
るため、圃場にいつまでも紐状のまま残り、農作業の邪
魔になるばかりか農作業上非常に危険であった。生分解
性フィルムであっても、気象条件によっては、多大の労
力をかけて圃場から回収しなければならないという問題
点があった。
【0005】近年、これらの問題を解決するために、紙
を用いたマルチシート(特開平6−62680号公報参
照、特開平6−62681号公報参照)、紙に生分解性
樹脂を施したマルチシート(特開平7−123876号
公報参照)等が提案された。しかし、上記した紙を用い
たマルチシートも、紙に生分解性樹脂を施したマルチシ
ートも、材質が不透明なため、植物が光合成を行うため
に不可欠な可視光線を遮断してしまい、雑草の繁茂の抑
制にはなるが、栽培目的の植物の生育を阻害するという
大きな問題が生じた。
【0006】材質が不透明なマルチシートの場合、植物
に可視光線を供給するためにはマルチシートの基材に所
定の大きさの開孔部を設けて透光部分を形成しなければ
ならない。しかし、マルチシートに開孔部を設けると、
発芽直後の芽は外気と直接触れる事になり、抵抗力の乏
しい発芽直後の芽は、寒気や霜による低温障害を受けや
すいという大きな難点があった。
【0007】例えば、低温感応性植物の一種である大根
などは、発芽から2週間位の間に5℃以下の寒気にある
一定時間以上触れると低温障害を起こすと言われてい
る。発芽直後に低温障害を起こした大根は、外見からは
見分けが困難で、数カ月後の収穫まじかの頃に抽台にな
った事で、発芽直後に低温障害を起こした事が判明す
る。抽台した大根は、中央に固い芯が存在し、商品価値
が著しく低下する。早春の播種の場合、発芽直後の突然
の寒気や季節外れの霜によって、圃場の大根が全て抽台
してしまう事もまれな事ではなかった。
【0008】そこで、上記の問題点を解決するために、
マルチシートの基材に設けらた開孔部に、接着させる保
護フィルム(特開平7−111834号公報参照)が提
案された。しかし、上記の保護フィルムを接着したマル
チシートを播種後に敷設すると、播種した種子の位置と
マルチシートの開孔部の位置を完全に合わせる事は困難
なため、発芽した芽は基材によって伸長が妨げられると
言う問題が発生した。よって、マルチシートの基材を圃
場に敷設後、マルチシートに設けられた開孔部を介して
播種し、その後に圃場にて保護フィルムをマルチシート
の基材に接着すると言う煩雑な作業が必要であった。さ
らに、マルチシートの基材は、土壌菌や土壌の微生物に
よって分解される物質を用いてはいないため、耕起前に
は圃場から回収しなくてはならなかった。
【0009】そこで、上記の問題点を解決するために、
透明フィルムを接着したマルチシートとその敷設法(実
開平7−39379号公報参照)が提案された。しか
し、上記の透明フィルムを接着したマルチシートは、播
種した種子の位置とマルチシートの開孔部の位置を合わ
せるために、特殊な装置を用い播種とマルチシートの敷
設を同時に行なったが、敷設時のマルチシートの伸びの
ために種子の位置とマルチシートの開孔部の位置を完全
に合わせる事は容易な事でな無かった。さらに、植物の
芽が生長すると、透明フィルムを透明フィルムに設けら
れたミシン目から切断て除去するため、マルチシートの
基材に、接着剤されたままの透明フィルムの一部が残さ
れる事になり、マルチシートの基材に接着されたままの
透明フィルムは土壌菌や土壌の微生物によって分解され
る事はないので、やはりマルチシートの基材を、多大な
労力を費やして圃場から回収しなければならないという
問題点が残った。つまり、圃場に敷設したマルチシート
の基材を耕起前に回収しなければならない点は、ポリエ
チレンフィルム製のマルチシートや、分解が不充分な生
分解性フィルム製のマルチシートと同様である。
【0010】つまり、発芽直後の芽に可視光線を供給し
つつ、低温障害や霜害から保護し、マルチシートを圃場
から回収せずに耕起しても、圃場に分解不可能なフィル
ムが残留しないマルチシートは、農業従事者の間で長い
間切望されてきたが、未だかつて存在しなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は以
前にマルチシートにおける上記の問題点を解決するため
に、開孔部が設けられた紙からなる基材に、透明フィル
ム層を疑似接着さた農業用マルチシート(特願平9−1
14987号参照)を発明して、発芽の促進、雑草の繁
茂の抑制に加え、発芽直後の芽に光合成に必要な可視光
線を供給しつつ、低温障害を防止しさらに、マルチシー
トの基材から透明フィルム層を容易にかつ完全に剥離す
る事で、圃場からマルチシートの基材を除去せずに耕起
出来るマルチシートを提供したが、更に改良を加えてマ
ルチシートを圃場に敷設する前に播種しても、播種され
た種子の位置からずれた開孔部の数を大幅に減少させた
事で播種作業の効率化と、風による保温性能の低下を低
減した事でより優れた発芽の促進と低温障害の防止を可
能にしたマルチシートを提供する事を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明(請求項1)は、紙からなる基材と、基材
の上面に形成された透明フィルム層とを具備するマルチ
シートにおいて、基材は、マルチシートの長手方向に沿
った切れ目によって、幅方向に分割されかつ、分割され
た基材と基材の間は植物の延出用に適度な間隔が設けら
れかつ、透明フィルム層は、分割された基材と基材の間
隔を覆うとともに、幅方向の端部が基材の幅方向の端部
よりマルチシートの中央側になるように形成されかつ、
透明フィルム層は、分割された両方の基材に接着されて
いる事を特徴とするマルチシートを提供する。
【0013】また、本発明(請求項2)は、開孔部が設
けられた紙からなる基材と、基材の上面に形成された透
明フィルム層とを具備するマルチシートにおいて、開孔
部はマルチシートの長手方向に長い楕円形または長方形
の形状でかつ、マルチシートの長手方向に連続して配置
されておりかつ、開孔部と開孔部の距離は、開孔部にお
けるマルチシートの幅方向の長さよりも狭く形成されて
おりかつ、透明フィルム層は、開孔部を覆うとともに、
幅方向の端部が基材の幅方向の端部より農業用マルチシ
ートの中央側になるように形成されておりかつ、透明フ
ィルム層は、基材に接着されている事を特徴とするマル
チシートを提供する。
【0014】また、本発明(請求項3)は、請求項1ま
たは2のマルチシートにおいて、透明フィルム層の引っ
張り破断強度をA、透明フィルム層と基材の間の剥離強
度をB、基材の層間剥離強度をCかつ、基材の引き裂き
強度をDとすると、A>Bまたは、A>Cまたは、A>
Dである事を特徴とするマルチシートを提供する。
【0015】また、本発明(請求項4)は、請求項1、
2または3のマルチシートにおいて、透明フィルム層と
基材の間の全面あるいは一部分に接着層を設けた事を特
徴とするマルチシートを提供する。
【0016】また、本発明(請求項5)は、請求項4の
マルチシートにおいて、接着層と基材の間の全面あるい
は一部分に接着力調整層を設けた事を特徴とするマルチ
シートを提供する。
【0017】また、本発明(請求項6)は、請求項1、
2または3のマルチシートにおいて、透明フィルム層と
基材の間の全面あるいは一部分に接着阻害層を設けた事
を特徴とするマルチシートを提供する。
【0018】また、本発明(請求項7)は、請求項1、
2または3のマルチシートにおいて、透明フィルム層と
基材の間の全面あるいは一部分に貼着層を設けかつ、透
明フィルム層と該貼着層の間の全面あるいは一部分に剥
離層を設けた事を特徴とするマルチシートを提供する。
【0019】また、本発明(請求項8)は、請求項1、
2または3のマルチシートにおいて、透明フィルム層と
基材の間の全面あるいは一部分に貼着層を設けかつ、該
貼着層と基材の間の全面あるいは一部分に剥離層を設け
かつ、該剥離層と基材の間の全面あるいは一部分に接着
阻害層を設けた事を特徴とするマルチシートを提供す
る。
【0020】また、本発明(請求項9)は、請求項1、
2、3、4、5、6、7または8のマルチシートにおい
て、透明フィルム層と基材が、縫着、鋲着または融着さ
れている事を特徴とするマルチシートを提供する。
【0021】また、本発明(請求項10)は、請求項
1、2、3、4、5、6、7、8又は9のマルチシート
において、透明フィルム層は、380〜780nmの波
長の太陽光線の透過率が、25%以上である事を特徴と
するマルチシートを提供する。
【0022】また、本発明(請求項11)は、請求項
1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のマル
チシートにおいて、透明フィルム層の、分割された基材
と基材の間隔を覆っている部分または、基材に施された
開孔部を覆っている部分には、通気孔が施されている事
を特徴とするマルチシートを提供する。
【0023】また、本発明(請求項12)は、請求項
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11
のマルチシートにおいて、基材の、380〜780nm
の波長の太陽光線の透過率が、25%以下であることを
特徴とするマルチシートを提供する。
【0024】また、本発明(請求項13)は、請求項
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11また
は12のマルチシートにおいて、基材の、350〜21
00nmの波長の太陽光線の反射率が、50%以下であ
る事を特徴とするマルチシートを提供する。
【0025】また、本発明(請求項14)は、請求項
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、1
2または13のマルチシートにおいて、透明フィルム層
の幅方向の端部と農業用マルチートの幅方向の端部の間
の基材に、マルチートの長手方向に沿って連続したミシ
ン目を施した事を特徴とするマルチシートを提供する。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明において、マルチシートの基
材は、木材パルプまたはその他の天然セルロース繊維を
原料とする紙からなり、土壌菌または微生物等によって
分解可能である物質からなっている。例えば、上質紙、
中質紙、更、クレイコート紙、グラビア紙、純白ロール
紙、クラフト紙、模造紙、薄葉紙、加工紙、ライナー紙
または和紙等を用いる事が出来、紙の厚さは20〜50
0μm位が好ましい。圃場にて分解可能な紙ならば基材
として使用出来、上記の紙の種類は本発明を何ら限定す
るものではないが、圃場の畝に敷設する際、畝の土壌表
面に馴染み易くするために柔軟性に富んだクレープ加工
紙や表面に凹凸が施されたエンボス加工紙等が好適であ
る。
【0027】マルチシートの基材に設けられた基材と基
材の間隔を1つ形成する場合は、マルチシートの幅方向
のほぼ中央付近にマルチシートの長手方向に沿って形成
される事が好ましい。基材と基材の間隔は、栽培植物の
種類、播種の時期、圃場の状態等によって一慨に規定出
来る物ではないが、例えば青首大根を栽培する場合、基
材と基材の間は、10〜15cm位が好ましい。ただ
し、上記の例は本発明を何ら限定するものでは無い。ま
た、農作業を効率的に行うために、マルチシートの基材
に設けられた基材と基材の間隔は、複数形成する事も可
能である。
【0028】一方、マルチシートの基材に設けられた開
孔部を1列形成する場合は、マルチシートの幅方向のほ
ぼ中央付近にマルチシートの長手方向に沿って列状に連
続して形成される事が好ましく、マルチシートの幅方向
の開孔部の幅は、栽培植物の種類、播種の時期、圃場の
状態等によって設定される。例えば青首大根を栽培する
場合等は、開孔部の幅は10〜15cm位が好ましい。
開孔部のマルチシートの長手方向の長さは30cm〜数
m位、開孔部と開孔部のマルチシートの長手方向の距離
は1〜10cm位が好ましい。ただし、上記の例は本発
明を何ら限定するものでは無い。例えば、マルチシート
を敷設する前にシードテープ等を用い播種した場合、マ
ルチシートの長手方向の開孔部の長さを充分長く設定す
る事と、開孔部と開孔部の距離を極力狭くする事は、発
芽した芽の生長を基材によって妨げられる確率を減少さ
せるためには非常に有効である。また、農作業を効率的
に行うために、マルチシートの基材に設けられた開孔部
の列は、複数形成する事も可能である。
【0029】ここで言うシードテープは、紙またはオブ
ラート等の圃場にて短期間で分解可能な物質にて、テー
プ状または撚紐状の形状を成し、種子を一定の間隔で包
含した、種子の運搬及び播種作業用の農業資材である。
シードテープによる播種は、従来の播種作業を著しく効
率的にしたが、播種後に円形の開孔部を有したマルチシ
ートを敷設した場合、播種した種子の位置とマルチシー
トの開孔部の位置がずれてしまい、発芽した植物が、基
材によって生長出来ないと言う問題点があった。よっ
て、マルチシートの長手方向の開孔部の長さを充分長く
及び、開孔部と開孔部の距離を極力狭くする事で、発芽
した植物がマルチシートの基材により生長が妨げられる
確立を減少させる事が可能である。
【0030】マルチシートの基材上面に形成されている
透明フィルム層は、分割された基材と基材の間隔およ
び、基材に設けられた開孔部を覆いさらに、幅方向の端
部が基材の幅方向の端部よりマルチシートの中央側にな
るように形成されている。透明フィルム層の幅方向の端
部が、基材の幅方向の端部よりマルチシートの中央側に
なっている事で、マルチシートを圃場に敷設した際、透
明フィルム層は、マルチシートの端部といっしょに土壌
に埋設される事がないので、透明フィルム層をマルチシ
ートから剥離または除去する際に、透明フィルム層の端
部が、土壌に埋没される事によって引きちぎられて切れ
端が土壌に残留する事が無い。よって、透明フィルム層
の幅方向の端部は、基材の幅方向の端部より、マルチシ
ートを土壌に埋設する深さよりも中央側に設定する事が
好ましく、概ね20cm以上中央側に形成する事が効果
的である。
【0031】例えば、透明フィルム層としては、ポリエ
ステル系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、塩化ビ
ニル系、セロハン系、アセテート系、ポリスチレン系、
ポリカーボネイト系またはポリアミド系等のフィルムを
用いる事が出来、透明フィルム層の厚さは10〜500
μm位が望ましい。380〜780nmの波長の太陽光
線(以後は可視光線と称す)を透過するフィルムなら該
透明フィルム層として使用出来、上記のフィルム層の種
類は本発明を何ら限定するものではない。
【0032】マルチシートの基材を圃場から回収せず
に、そのまま耕起するためには、透明フィルム層を、マ
ルチシートの基材から完全に除去する事が望ましい。透
明フィルム層をマルチシートの基材から完全に除去する
ためには、透明フィルム層を基材から剥離させるか、基
材を破壊して透明フィルム層を基材から除去する方法を
選択する事ができる。
【0033】透明フィルム層をマルチシートの基材から
剥離するには、透明フィルム層の引っ張り破断強度、基
材の層間剥離強度および、基材の引き裂き強度の3つの
いずれよりも透明フィルム層と基材との間の剥離強度を
軽微に設定して剥離し易くするいわゆる疑似接着にする
事が望ましい。ここで、透明フィルム層の引っ張り破断
強度とは、透明フィルム層を基材から剥離する際に透明
フィルム層を引っ張って破断した強度を、透明フィルム
層と基材の間の剥離強度とは、透明フィルム層および基
材を著しく破損せずに、透明フィルム層を基材から剥離
した際の強度を、基材の層間剥離強度とは、透明フィル
ム層を基材から剥離する際に基材の紙の繊維と繊維の層
の間で剥離した強度を、基材の引き裂き強度とは、透明
フィルム層を基材から剥離する際に基材を引っ張る事で
基材が引き裂かれた強度を意味する。また、透明フィル
ム層を基材から剥離した際、透明フィルム層の若干の伸
びまたは、カール、マルチシートの形状を維持する事に
支障が無い程度の基材表面の軽微な破損および限定され
た場所に発生した傷や破れは、上記の著しい破損とは見
なさない。
【0034】基材を破壊して透明フィルム層を基材から
除去するには、透明フィルム層の引っ張り破断強度およ
び、透明フィルム層と基材との間の剥離強さよりも、基
材の層間剥離強度または、基材の引き裂き強度が弱い紙
を基材として選定する事が望ましい。
【0035】透明フィルム層を基材に接着する方法とし
て、熱により溶融された樹脂を押し出し機によって基材
表面に直接展着しながら急激に冷却する事によって、基
材の上面に透明フィルム層を形成する樹脂押し出し法
や、溶剤により溶解された樹脂を基材表面に直接塗布後
乾燥して、基材の上面に透明フィルム層を形成する樹脂
塗工法等が選択出来る。ここで、図1に該構成を示す。
樹脂押し出し法の場合、樹脂の種類、溶融樹脂の温度、
冷却温度、基材表面の粗さ等によって接着力を制御する
事が出来る。例えば、樹脂押し出し法の場合、樹脂温度
を高くすれば比較的強い接着力を得る事が出来る、逆に
樹脂温度を低くすれば疑似接着になる。樹脂塗工法の場
合、樹脂の種類、溶剤の種類、溶剤により溶解された樹
脂の粘度、乾燥温度、基材表面の粗さ等によって接着力
を制御する事が出来る。例えば、樹脂塗工法の場合、溶
剤により溶解された樹脂の粘度を低くすれば比較的強い
接着力を得る事が出来る、逆に粘度を高くすれば疑似接
着になる。
【0036】また、透明フィルム層と基材の接着力が不
足している場合や、不安定の場合には、図2が示すよう
に、透明フィルム層と基材の間に接着層を設ける事でよ
り安定した接着力を得る事が出来る。前記の樹脂押し出
し法の場合、透明フィルム層を形成するための樹脂と基
材との間に、接着層となる樹脂を熱溶融して、透明フィ
ルム層と同時に押し出し、基材に展着させる事により、
透明フィルム層と基材の間に接着層を設ける事が出来
る。接着層となる樹脂は、透明フィルム層を形成するた
めの樹脂より低融点の樹脂で、厚さは5〜50μm位が
望ましい。例えば、透明フィルム層にポリアミド系樹脂
用いる場合は、ポリエチレン系樹脂を接着層として用い
る事が出来る。また、透明フィルム層に既に成型済の透
明フィルムを用いた場合も該透明フィルムと基材の間
に、押し出し機によって熱溶融させた樹脂を施し、接着
層として用いる事が出来る。また、接着層となる樹脂を
部分的に設ける事で、接着力を調整する事が可能であ
る。
【0037】また、既に成型済の透明フィルムを基材に
接着する場合には、透明フィルム表面にコーティング法
等によって粘着剤または接着剤を塗布して接着層とし、
基材と接着する貼り合わせ法を用いる事も有効である。
粘着剤としては、主成分がアクリル系、ウレタン系、ゴ
ム系、デンプン系、または酢酸ビニル系等の粘着剤を用
いる事が出来、乾燥膜厚は、5〜50μm位が望まし
い。また、接着剤としては、主成分がエポキシ系、フェ
ノール系、メラミン系、ウレタン系、ポリエスル系、ア
クリル系またはビニル系等の接着剤を用いる事が出来、
硬化膜厚は、0.1〜10μm位が望ましい。その際、
粘着剤または接着剤にシリカ粒子、シリコーンパウダ
ー、シリコーンオイルまたはイソシア系硬化剤等を適量
添加して接着力を調整する事が出来る。シリカ粒子、シ
リコーンパウダー、シリコーンオイルまたはイソシア系
硬化剤等の添加量は、透明フィルム、基材、接着剤また
は粘着剤の種類によっても異なるが、接着剤や粘着剤の
コーティング後の乾燥重量または硬化重量に対し重量比
で0.1〜70%が適量である。また、貼り合わせ法の
場合も、押し出し法の場合と同様に、接着層を透明フィ
ルムと基材の間に、部分的に設ける事で、接着力を調整
する事が出来る。また、接着層として、前記の粘着剤ま
たは接着剤を主成分とした、両面粘着テープや両面接着
テープを用いる事も出来る。
【0038】図3が示す様に、接着層と基材の間に接着
力調整層を設ける事で接着力をさらに調整する事が可能
である。前記の樹脂押し出し法の場合や樹脂塗工法の場
合には、透明フィルム層を接着させる基材の表面に油脂
類、シリカ粒子の分散液、シリコーンパウダーの分散
液、シリコーンオイルまたはシリコーン樹脂等を塗布す
る事で接着力調整層を設ける事が出来る。油脂類の塗布
量は、1〜5g/m位、シリカ粒子、シリコーンパウ
ダー、シリコーンオイルまたはシリコーン樹脂の場合は
乾燥重量で0.1〜5g/mが適量である。また、既
に成型済の透明フィルムを用い、貼り合わせ法にて接着
する場合も、押し出し法や樹脂塗工法の場合と同様に、
基材表面に油脂類、シリカ粒子の分散液、シリコーンパ
ウダーの分散液、シリコーンオイルまたはシリコーン樹
脂等を塗布する事で、接着力調整層を設ける事が出来
る。この場合、透明フィルム層を剥離した後、基材表面
に接着力調整層が残留する可能性が有るため、接着力調
整層にシリコーン系物質を用いる場合は、圃場で分解し
易いシロキサン結合のシリコーン樹脂が好ましい。ま
た、接着力調整層を接着層と基材の間に部分的に設ける
事で、接着力の微調整が可能である。
【0039】また、図4が示す構成の様に、透明フィル
ム層と基材の間に接着阻害層を設ける方法は、前記の樹
脂押し出し法や樹脂塗工法において、最も簡便に接着力
を調整する方法である。前記の樹脂押し出し法や樹脂塗
工法において、透明フィルム層と基材との接着力は、溶
融または溶解した樹脂が、基材表面の凹凸や基材の紙の
繊維間の隙間に浸透した後、冷却または、溶剤が乾燥し
て固化した事による投錨効果に起因するところが大き
い。よって、基材の表面に表面粗さ調整効果を有する接
着阻害層を設ける事で、基材表面の凹凸や紙の繊維間の
隙間を減少させる事により、接着力を軽減させる事が出
来る。表面粗さ調整効果を有する接着阻害層を設ける方
法として、クレイコート、顔料インキの印刷またはシリ
カ粒子の分散液の塗布等が簡便である。その他、基材表
面に油脂類、シリコーンパウダーの分散液、シリコーン
オイルまたはシリコーン樹脂等を塗布しても接着阻害層
を設ける事が出来る。シリコーン系物質を用いる場合
は、圃場で分解し易いシロキサン結合のシリコーン樹脂
が好ましい。
【0040】また、図5が示す様に、既に成型された透
明フィルムと基材の間に貼着層を設けかつ、透明フィル
ムと該貼着層との間に剥離層を設ける事で接着力を調整
する事が出来る。貼着層は前記の粘着剤または接着剤等
から選定する事が出来る。剥離層にはセルロース系、シ
リコーン系、ウレタン系、酢酸ビニル系の樹脂またはそ
れらの樹脂の混合物または合成物が使用出来る。剥離層
の乾燥後の塗布膜厚は1.0〜10.0μm位が好まし
い。剥離層と透明フィルム層の接着力は、剥離層と貼着
層の接着力および貼着層と基材の接着力よりも軽微な力
で接着されているため、透明フィルム層は剥離層の界面
から容易に剥離する事が出来る。ただし、上記構成のマ
ルチシートの場合、透明フィルム層を基材から剥離する
と、剥離層と貼着層が基材上に残留するため、剥離層お
よび貼着層には、圃場を汚染しずらい物質を選択する事
が好ましい。よって、剥離層には、セルロース系かシロ
キサン結合のシリコーン系の樹脂が、貼着層には、天然
ゴム系かデンプン系の粘着剤等が好適である。
【0041】また、図6が示す様に、既に成型された透
明フィルムと基材の間に貼着層を設けかつ、該貼着層と
基材との間に剥離層を設けかつ、剥離層と基材の間に接
着阻害層を設ける事で接着力を調整する事が出来る。貼
着層には前記の粘着剤または接着剤等から選定する事が
出来る。剥離層には前記のセルロース系、シリコーン
系、ウレタン系、酢酸ビニル系の樹脂またはそれらの樹
脂の混合物または合成物が使用出来る。接着阻害層には
前記のクレイコート剤、顔料インキ、シリカ粒子、油脂
類、シリコーンパウダー、シリコーンオイルまたはシリ
コーン樹脂等が使用出来る。シリコーン系物質を用いる
場合は、圃場で分解し易いシロキサン結合のシリコーン
樹脂が好ましい。
【0042】上記の諸々の方法により、透明フィルムと
基材を接着しかつ、接着力の調整を行う事が可能であ
る。因みに、透明フィルム層を基材から剥離するため
に、透明フィルム層と基材の間を疑似接着する場合は、
透明フィルム層を基材から剥離する際の剥離力を、3〜
500gf/25mm位に設定する事が農作業を行う上
で都合がよい。剥離強度が3gf/25mmを下まわる
と、マルチシートの敷設後に圃場における風雨の影響で
透明フィルムが剥離する恐れが増大する。逆に、剥離強
度が500gf/25mmを超えると、透明フィルム層
を基材から剥離する際、基材自体が土壌から引き抜かれ
る恐れが増大する。また、剥離強度が強くなれば、剥離
作業に労力が多く必要となる。よって、剥離強度は、透
明フィルム層の引っ張り破断強度、基材の層間剥離強度
および、基材の引き裂き強度より弱く設定しかつ、農作
業の環境に合わせて適時調整すべきである。
【0043】因みに、基材を破壊する事で、透明フィル
ム層をマルチシートから完全に除去する場合は、透明フ
ィルム層を基材から剥離する際の剥離力は、基材の層間
剥離強度または、基材の引き裂き強度より強く設定する
事が望ましい。但し、この場合は透明フィルムの引っ張
り破断強度が、基材の層間剥離強度または基材の引き裂
き強度より強い事が望ましい。
【0044】ここで、剥離強度の測定方法を記す。測定
環境は標準状態とし、25mm幅の短冊状に張り合わせ
られたサンプルを180度の方向に、300mm/分の
速度で剥離した場合の荷重を測定した。圃場に敷設した
マルチシートの透明フィルム層と基材の接着力および基
材の強度は風雨や紫外線の影響により敷設前より変化し
ているために、測定用のサンプルは、実際に圃場に敷設
したマルチシートを用いた。
【0045】また、透明フィルム層と基材を接着する方
法として、ステープルやピン等で止める鋲着法、糸で部
分的に縫合する縫着法、加熱したローラーや押し鏝によ
って透明フィルム層を溶融させて基材に貼り付ける融着
法等が選択出来る。鋲着法を用いた場合はステープルの
ピンの向きや間隔、縫着法を用いた場合は糸で縫合する
場合の運針および、融着法を用いた場合は加熱したロー
ラーや押し鏝の温度や融着部分の面積によって、透明フ
ィルム層と基材の接着力を制御する事が可能である。例
えば、ステープルによって、基材と透明フィルム層を鋲
着した実験では、ステープルを、マルチシートの長手方
向に沿って約20cmの間隔で、透明フィルム層の幅方
向の両端に、ステープルの針の向きがマルチシートの長
手方向と直角になる様に施すと、剥離強度は充分得られ
たにもかかわらず、透明フィルム層を剥離する際、基材
の破損が非常に軽微であった。また、上記の鋲着法、縫
着法、融着法等は、経時で接着力が変化しにくいため、
前記の樹脂押し出し法、脂塗工法および、貼り合わせ法
等と同時に使用すると非常に安定した接着力が得られ
る。
【0046】さらに、透明フィルム層を、基材を破壊し
ながらマルチシートの基材から確実に除去するために
は、マルチシートの基材に、マルチシートの長手方向に
沿ってミシン目を施すことが、簡便かつ有効である。ミ
シン目の位置は、透明フィルム層の幅方向の端部よりマ
ルチシートの端部側でかつ、マルチシートの幅方向の端
部よりマルチシートの中央側の基材部分が望ましい。
【0047】一般的に、植物が発芽するまでは土壌温度
が重要な要素であるが、発芽後は芽の周囲の気温が生育
状態に大きく影響を及ぼすと言われている。発芽したば
かりの芽は周囲の環境に影響され易く、特に早春や晩秋
に発芽した芽は低温障害や霜害を受けやすい。例えば、
麦類は発芽から、穂先の長さが10cm位までの幼穂形
成期の間が低温障害や霜害を受け易いし、桑や茶などは
種子の時より発芽以後低温に対する抵抗力が低下して3
〜4葉の展開期の頃が最も低温障害や霜害を受けやす
く、5〜6葉の展開期以後は寒さへの抵抗力が増大す
る。つまり、低温障害を防止するためには、発芽直後の
芽を1〜2週間の間寒気や霜から守ってやる事が非常に
有効である。そこで、発芽直後の芽が寒気や霜に直接触
れない様に、本発明のマルチシートは、基材に設けられ
た基材と基材の間隔または、基材に設けられた開孔部
を、透明フィルム層で覆った。
【0048】本発明のマルチシートを用いる場合、先ず
圃場の畝に、植物が発芽後1〜2週間で伸長する背丈よ
り若干深い播種用の凹溝を、畝の長手方向に沿って構築
し、その最深部に播種し少量の土で被覆する。播種後、
播種用の凹溝の位置と、透明フィルム層で覆われたマル
チシートの基材と基材の間隔または基材に施された開孔
部の連続した列の位置を合わせながら、マルチシートを
圃場の畝の上に敷き、マルチシートの幅方向の端部を圃
場に埋設して敷設する。
【0049】円形の開孔部が一定の間隔で施されている
従来のマルチシートの場合、播種後にマルチシートを圃
場に敷設すると、敷設時のマルチシートの伸びのため、
圃場の畝が長くなればなる程、播種した種子の位置とマ
ルチシートの開孔部の位置にずれが生じるが、本発明の
マルチシートの場合は、播種した凹溝と、基材と基材の
間隔および基材に施されたマルチシートの長手方向に長
い開孔部の連続した列を一致させる事で、発芽して伸長
した植物の芽の生育を、基材によって阻害すると言う問
題は、ほとんど発生しない。例えば、円形の開孔部を有
するマルチシートの場合、開孔部の直径を15cm開孔
部の中心と中心のマルチシートの長手方向の距離を20
cmに設定し、マルチシートの長手方向に長い形状の開
孔部を有するマルチシートの場合、開孔部の幅を15c
m、開孔部の長さを2m、開孔部と開孔部の距離を5c
mに設定して、約20cmの間隔で播種した際、マルチ
シート敷設の際のマルチシートの長手方向の伸びが約5
〜6%だったため、円形の開孔部を有するマルチシート
の伸長阻害率は約50〜75%位になったが、マルチシ
ートの長手方向に長い形状の開孔部を有するマルチシー
トの伸長阻害率は約5%位でおさまった。ここで、発芽
した芽の伸長を、開孔部の周囲の基材によって阻害され
る割合を伸長阻害率と称する。またここでは、発芽した
芽が、マルチシートの基材を押し退けながら、斜めに伸
長し場合も、伸長阻害と見なした。
【0050】播種後、数日で発芽した芽は、マルチシー
トに施された透明フィルム層と、圃場の土壌に包囲さ
れ、低温障害ならびに霜害から保護されながら、寒気に
対する抵抗力が増大するまでの1〜2週間の間生育され
る。透明フィルム層は太陽光を透過させるため、太陽の
放射エネルギーは基材と基材の間隔または開孔部の、直
下の土壌表面に到達し、一時的に土壌に吸収されるが、
2100〜10000nmの波長のふく射熱となって、
再び放射され透明フィルム層と土壌に包囲された空間の
空気の熱エネルギー量を増大させる。かつ、透明フィル
ム層と土壌に包囲された空間の空気は、外気と遮断され
ているため、風による熱の乱流拡散がなく、透明フィル
ム層と土壌に包囲された空間の空気から、大気に散逸す
る熱エネルギー量は、太陽光から供給される熱エネルギ
ー量より少ないため、透明フィルム層と土壌に包囲され
た空間の空気の温度は上昇し、外気より高温になる。加
えて、透光部真下の土壌の地温も、太陽の放射エネルギ
ーおよび透明フィルム層と土壌に包囲された空間の空気
の温度の上昇により、徐々に上昇する。さらに、透明フ
ィルム層によって、夜間及び早朝は、霜害も回避する事
が可能である。
【0051】この透明フィルム層の可視光線透過率は2
5%以上である事が望ましい。透明フィルム層の可視光
線透過率が25%以上であれば、透明フィルム層と土壌
に包囲された空間の空気の温度の上昇に効果的である。
かつ、透明フィルム層の可視光線透過率が25%以上で
あれば、発芽直後の植物の光合成を停止させる事はな
い。植物の光合成に必要な可視光線の量は、植物の生育
程度、気温、二酸化炭素濃度によって異なるが、発芽後
1〜2週間位の幼葉期ならば可視光線透過率が25%以
上であれば、生育を停止させる事はない。ただし、透明
フィルム層を基材に接着させる際、透明フィルム層の透
光部に、接着層、接着力調整層、接着阻害層、貼着層ま
たは剥離層が施されている場合は、透明フィルム層と、
接着層、接着力調整層、接着阻害層、貼着層または剥離
層を含む可視光線透過率が25%以上である事が好まし
い。
【0052】発芽した芽は、基材と基材の間隔または基
材に設けられた開孔部を覆っている透明フィルム層を透
過した可視光線によって光合成を行いつつ、透明フィル
ム層と圃場の土壌に包囲され寒気や霜から保護されなが
ら、低温障害に対する抵抗力が増大するまでの1〜2週
間の間生育される。芽が、低温障害に対する抵抗力が増
大し、背丈が透明フィルム層に接触間近かの頃、本発明
のマルチシートの基材に接着されている透明フィルム層
に、芽が伸長するための延出孔を設けるかまたは、基材
から透明フィルム層を剥離するかを選択する事が出来
る。
【0053】マルチシートの基材を分離して、基材と基
材の間隔に、透明フィルム層を施したマルチシートの場
合は、芽の背丈が透明フィルム層に接触間近かの頃、透
明フィルム層に芽が生長するための延出孔を設ける事が
望ましい。透明フィルム層に延出孔を設けた後は、植物
の芽はその延出孔から伸長して行く事が出来る。収穫
後、透明フィルム層は、マルチシートの基材から剥離す
るか、基材を破壊しながら巻き取る事で、完全に圃場か
ら回収する事が出来る。圃場に残されたマルチシートの
基材は、主成分が紙であるため、マルチシートを圃場か
ら掘り起こしながら回収せずに、マルチシートごと耕起
する事が可能である。従来のポリエチレンフィルム製の
マルチシートは、圃場から回収する際、土壌に埋設され
ている幅方向の端部が引き裂かれ、土壌に埋設されたま
まに成り易く、土壌に残留したポリエチレンフィルムの
切れ端は、手作業で1枚1枚掘り起こしながら回収しな
ければならなかった。
【0054】マルチシートの基材に開孔部を設けたマル
チシートの場合は、芽の背丈が透明フィルム層に接触間
近かの頃、芽が生長するための延出孔を透明フィルム層
に設ける方法も選択出来るが、前もって基材と透明フィ
ルム層を疑似接着させておく事で、透明フィルム層をマ
ルチシートの長手方向に沿って容易に剥離しながら巻き
取る方法が好ましい。透明フィルム層に延出孔を設けた
かまたは、透明フィルムを基材から剥離した後は、植物
は基材に施された開孔部から伸長して行く事が出来る。
収穫後、透明フィルム層が、マルチシートの基材に接着
されている場合は、透明フィルム層を基材から剥離また
は基材を破壊しながら巻き取る作業が必要であるが、既
に透明フィルム層が剥離されている場合は、圃場に残さ
れたマルチシートの基材は、紙から作られているため、
マルチシートを圃場から掘り起こしながら回収する作業
無しに、マルチシートごと耕起する事が可能である。
【0055】透明フィルム層の、分割された基材と基材
の間隔または基材に設けられた開孔部を、覆っている部
分には、通気孔を施す事で、適度な空気の交換が出来る
ため、光合成に必要な二酸化炭素の供給が容易になるば
かりか、透明フィルム層と圃場の土壌に包囲された空間
の温度が上昇した際、土壌から発生する水蒸気によって
透明フィルム層の内側がくもって太陽光線の透過率が低
下する事を防止する事も出来る。通気孔の大きさや数
は、栽培植物、播種の時期および圃場環境によって適時
選来るが、100mm以下の通気面積の通気孔が好ま
しくかつ、通気孔の通気面積と通気孔の数を乗じた合計
通気面積は、10000mm/m以下が好ましい。
【0056】マルチシートの基材と基材の間の間隔また
はマルチシートの基材にマルチシートの長手方向に長く
開孔部を設けた事で、播種後にマルチシートを圃場に敷
設しても、発芽した植物の芽がマルチシートの基材によ
り生長が妨げられる確率が減少したので、本発明者が以
前に提案した農業用マルチシート(特願平9−1149
87号参照)に記載の、マルチシート敷設後に、播種す
るための交差した切れ目を、透明フィルム層の、開孔部
を覆っている部分に施す必要がなくなった。透明フィル
ム層の開孔部を覆っている部分に、播種用の交差した切
れ目が無くなった事で、透明フィルム層と土壌に包囲さ
れた空間の空気の温度上昇に著しく有利となった。透明
フィルム層の開孔部を覆っている部分に、播種用の交差
した切れ目が施されていると、風の影響で交差した切れ
目が捲れ上がり、透明フィルム層と土壌に包囲された空
間の温かい空気と、外気との間で熱の乱流拡散が生じ、
透明フィルム層と土壌に包囲された空間の温かい空気は
急激な温度低下を招く。本発明のマルチシートは、外気
と遮断されているため、風の影響による温度低下が非常
に少なくなった。
【0057】本発明のマルチシートは、基材の可視光線
透過率を25%以下にする事で、マルチシートの基材下
部からの雑草の繁茂を抑制出来る。一般的に、植物は発
芽直後は、光合成に大量の可視光線を必要としないた
め、マルチシートの基材下部の雑草も一時的に発芽及び
生長する種類もあるが、基材の可視光線透過率が25%
以下だから、生長につれて光合性に必要な可視光線が不
足して、経時的に生長が阻害され、最終的には生長が停
止するため雑草の繁茂を抑制する事が出来る。可視光線
透過率が25%を超える基材の場合は、印刷法等により
基材表面に着色層またはコート層を施こすかまたは、染
料にて染色する方法を用いる事が出来る。ここで、着色
剤、コート剤、染料およびそれらを施す方法は本発明を
何ら制限するものでは無いが、着色剤としては印刷イン
キや、カーボンブラックの分散液、コート剤としてはク
レイコート剤、染料としては水性または溶剤系染料を用
いる事が出来る。
【0058】表1に可視光線透過率と雑草の繁茂状態の
実測データを記す。実測には可視光線透過率5%、25
%、50%および70%の4種類の基材を圃場に敷設し
て、雑草の繁茂状態を比較した。表1中の×の記号は雑
草が発芽していない状態、△の記号は発芽しても生育が
停滞している状態、□の記号は生育途中の状態、○の記
号は雑草が繁茂している状態を表す。実測は、平成9年
4月20日から平成9年7月20日までの3ケ月の期間
宮城県加美郡小野田町の圃場にて実施した。可視光線の
透過率が25%以下ならば、充分に雑草の繁茂を防止出
来る事を圃場にて確認した。
【0059】
【表1】
【0060】本発明のマルチシートは、基材における3
50〜2100nmの波長の太陽光線の反射率を50%
以下にする事で、圃場の土壌温度を上昇させる効果を得
た。実際、地上に到達する太陽光線は、ほとんどが35
0〜2100nmの波長の光であるので、土壌の温度を
上昇させるために、上記の波長の光に対する、基材の反
射率を限定した。通常の黒色土壌の太陽光線の反射率は
10〜20%位であるが、マルチシートを土壌に敷設す
る事で、風による土壌表面の熱エネルギーの乱流拡散が
減少するため、マルチシートの基材の太陽光線の反射率
は50%以下ならば、土壌温度の上昇に効果があった。
基材の太陽光線反射率を50%以下にする方法は、印刷
法等により基材表面に着色層を施す方法が簡便である。
着色剤としては、カーボンブラックを分散させた水性エ
マルジョン液等が使用出来る。ここで、着色剤および着
色方法は本発明を何ら制限するものでは無い。
【0061】
【実施例】以下に本発明の実施例を具体的に説明する。
基材として、60g/mのクレープ天然クラフト紙
(試作品、旭紙工株式会社)を選択して、紙幅は約11
0cmと約140cmの2種類を準備した。該クレープ
天然クラフト紙の可視光線透過率は25%以下であるた
め、雑草の繁茂は防止出来るが、さらに、太陽光線の反
射率を低減して、太陽光線の熱エネルギーの放出を抑制
するために、カーボンブラック水性エマルジョン液を用
い、印刷法にて基材を黒色に着色して、太陽光線の反射
率を50%以下に設定した。カーボンブラック水性エマ
ルジョン液は、DCブラック7100(商品名、大日精
化工業株式会社製)を用い、乾燥塗布量を0.5〜2.
0g/mになる様に塗布した。
【0062】次に、黒色に着色された110cm幅の基
材に、基材の幅方向の両端部からそれぞれ50cmの位
置に、基材の長手方向に沿って2本のスリットを施し、
基材を3つに分割して、基材と基材の間に2つの間隔を
形成した。分割された基材の間隔は15cm、基材の間
隔と間隔の幅方向の距離は10cmとした。ただし、基
材をスリットせずに、幅が50cmおよび10cmの着
色されたクレープ天然クラフト紙を上記実施例の基材と
して用いても何ら支障は無い。
【0063】次に、黒色に着色された140cm幅の基
材の方に、開孔部を設けた。開孔部は、幅15cm、長
さ約2mの角を丸くした長方形とし、基材の開孔部と開
孔部の長手方向の距離を約5cmとした。開孔部は、基
材の長手方向に沿って列状に2列設け、基材の幅方向の
両端部からそれぞれの開孔部までの距離を50cmか
つ、基材の開孔部と開孔部の幅方向の距離を10cmと
した。
【0064】次に、透明フィルム層として、ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム(以後はPETと称す)を選
択した。PETはルミラー(商品名、東レ株式会社製)
のSタイプ、厚さ25μm、可視光線透過率が約85%
のものを選んだ。前記PETには、直径1mmの円形の
通気孔を、約100個/mの割合でほぼ均等の間隔で
設けた。前記PETで、前記の110cm幅の基材を分
割して設けた15cm幅の2つの間隔をそれぞれ覆うと
ともに基材に接着させたマルチシートを、実施例1とし
た。また、前記PETで、前記の140cm幅の基材に
施した開孔部の列をそれぞれ覆うとともに基材に接着さ
せたマルチシートを実施例2および実施例3とした。
【0065】実施例1のマルチシートの場合、PETを
約19cmの幅にスリットし、基材と基材の間隔を1列
毎に覆うとともに、基材とPETの間に接着層を設け接
着した。具体的には、19cm幅のPETの幅方向の両
端部に、約1cmの幅で、マルチシートの長手方向に連
続して、溶剤型アクリル系粘着剤を乾燥塗布量が25〜
30g/mになる様に塗布し、80℃で約2分間乾燥
した後基材に接着した。粘着剤はオリバインBPS51
27(商品名、東洋インキ製造株式会社製)を選択し
た。さらに、マルチシートの幅方向の端部から、マルチ
シートの中央側に約40cmの基材上に、マルチシート
の長手方向に沿ってミシン目を施した。実施例1のマル
チシートを用いて植物を栽培する場合、発芽した植物の
芽が、基材に接着されたPETに接する直前に、芽の真
上のPETに植物の伸長用の延出孔を施す事が望まし
い。収穫後、マルチシートの基材をミシン目から引き裂
きながらPETをマルチシートから除去する。PETが
除去されたマルチシートは、紙からなる基材のみである
から、圃場に残留するマルチシートは、土壌菌やの微生
物によって充分分解されるため、マルチシートを圃場か
ら回収せずにマルチシートごと耕起する事が出来る。収
穫後、マルチシートの基材をミシン目から引き裂きなが
ら、PETをマルチシートから除去している状況を図7
に示す。
【0066】次に、実施例2のマルチシートの場合、P
ETを約19cmの幅にスリットし、基材に施された開
孔部をマルチシートの長手方向に連続して1列毎に覆い
かつ疑似接着した。マルチシートの基材とPETの間に
部分的に接着層を設けかつ、該接着層と基材の間に接着
力調整層を設けて疑似接着した。具体的には、19cm
幅のPETの幅方向の両端部に、約1cmの幅で、マル
チシートの長手方向に連続して、溶剤型アクリル系粘着
剤を乾燥塗布量が15〜20g/mになる様に塗布
し、80℃で約1分間乾燥した。さらに、基材表面の上
記の粘着剤と接する部分に、約2cmの幅で、マルチシ
ートの長手方向に連続して、シリコーン樹脂を乾燥塗布
量が0.8〜1.0g/mになる様に塗布し、120
℃で2分間硬化させた。次に、PET表面の粘着剤と、
基材表面のシリコーン樹脂面が接触する様に合わせて適
度な圧力を加えて疑似接着した。基材の表面に塗布した
シリコーン樹脂の幅を粘着剤の幅より広く設定したのは
PETと基材を貼り合わせる際の、幅方向のずれを考慮
したためである。粘着剤はオリバインBPS5127
(商品名、東洋インキ製造株式会社製)を選択した。シ
リコーン樹脂は、基材表面に残留するから、圃場で分解
し易いシロキサン結合のシリコーン樹脂であるKS77
8(商品名、信越化学工業株式会社製)を選択した。シ
リコーン樹脂の触媒としてはPL−8(商品名、信越化
学工業株式会社製)を、KS778を100重量部に対
し0.1〜10重量部添加した。PETを基材から剥離
した後、基材の強度不足により、基材が幅方向に裂けて
破損する恐れがある場合は、基材の幅方向に補強用の粘
着テープ等を施す事が望ましい。なお、基材が幅方向に
裂けて破損する恐れが無い場合は、これを施す必要はな
い。補強用の粘着テープ等は、圃場で分解可能な紙粘着
テープ等が好ましい。本発明の実施例2のマルチシート
を圃場の畝に敷設後、発芽した芽の背丈がPETに接触
間近になって、PETを接着層と接着力調整層の界面か
ら剥離している状況を図8に示す。
【0067】さらに、実施例2において、PETと基材
の接着方法のみを変更して、PETと基材の間に貼着層
を設けかつ、貼着層と基材の間に剥離層を設けかつ、剥
離層と基材の間に接着阻害層を設けて疑似接着したマル
チシートを実施例3とした。具体的には、19cm幅の
PETの幅方向の両端部に、約1cmの幅で、マルチシ
ートの長手方向に連続して、溶剤型アクリル系粘着剤を
乾燥塗布量が15〜20g/mになる様に塗布し、8
0℃で約1分間乾燥した。さらに、基材表面の上記の粘
着剤と接する部分に、約2cmの幅で、マルチシートの
長手方向に連続して、顔料インキを乾燥塗布量が1〜5
g/mになる様に塗布し、80℃で2分間乾燥させ
た。さらに、前記の顔料インキ層の表面に酢酸ビニル樹
脂を乾燥塗布量が1〜5g/mになる様に塗布し、8
0℃で2分間乾燥させた。次に、PET表面の粘着剤
と、基材表面の酢酸ビニル樹脂面が接触する様に合わせ
て適度な圧力を加えて疑似接着した。基材の表面に塗布
した顔料インキ層および酢酸ビニル樹脂層の幅を粘着剤
の幅より広く設定したのはPETと基材を貼り合わせる
際の、幅方向のずれを考慮したためである。粘着剤はオ
リバインBPS5127(商品名、東洋インキ製造株式
会社製)を選択した。顔料インキは、カーボンブラック
水性エマルジョン液であるDCブラック7100(商品
名、大日精化工業株式会社製)を用いた。PETを基材
から剥離した後、基材の強度不足により、基材が幅方向
に裂けて破損する恐れがある場合は、基材の幅方向に補
強用の粘着テープ等を施す事が望ましい。なお、基材が
幅方向に裂けて破損する恐れが無い場合は、これを施す
必要はない。補強用の粘着テープ等は、圃場で分解可能
な紙粘着テープ等が好ましい。本発明の実施例3のマル
チシートを圃場の畝に敷設後、発芽した芽の背丈がPE
Tに接触間近になって、PETを剥離層と接着阻害層の
界面から剥離している状況を図9に示す。
【0068】次に、前記の140cm幅の着色した基材
に、基材の幅方向の両端部からそれぞれ57.5cmの
位置に中心がくる様に、直径約15cmの円形の開孔部
を、基材の長手方向に沿って連続して列状に2列形成
し、開孔部の中心と中心の基材の長手方向の距離を約2
0cm、幅方向の距離を約25cmとしたマルチシート
を比較品とした。さらに、比較品において、PETは基
材に施された円形の開孔部を覆うとともに、基材に疑似
接着されておりかつ、基材の開孔部を覆っている部分の
PETに約13cmの長さの播種用の交差した切れ目を
施した。比較品は、PETの厚さを25μmから50μ
mへ変更した点と、PETに通気孔を施さなかった点以
外は、実施例2と同方法にて作成した。比較品におい
て、発芽した芽の背丈がPETに接触間近になって、P
ETを基材から剥離する状況を図10に示す。
【0069】
【発明の効果】実際に、本発明のマルチシートを圃場に
敷設して効果の確認を行った。効果の確認は宮城県加美
郡小野田町の圃場にて行った。栽培植物は大根とし、銘
柄はべっぴん(商品名、タキイ種苗株式会社)を選択し
た。播種にはシードテープを用い、種子の間隔は20c
mとした。播種は、平成9年4月から5月にかけて3回
行った。第1回目の播種を平成9年4月20日に、第2
回目の播種を平成9年5月4日に、第3回目の播種は宮
城県加美郡小野田町の圃場で一般的に播種が行われてい
る時期を想定して、平成9年5月20日に行った。ま
た、同一圃場内に対照区として、マルチシートを一切敷
設しない畝を設け、実施例1、実施例2、実施例3およ
び、比較品のマルチシートを敷設した畝と同日に同銘柄
の種子を播種した。
【0070】実施例1、実施例2および実施例3の場合
は、耕起、畝立て、播種用の凹溝の構築を行い、シード
テープによる播種直後に、本発明のマルチシートの端部
を圃場の土壌に約10〜20cm埋設して敷設した。播
種用の凹溝は、幅約15cm、深さ約10cmとし、畝
の長手方向に沿って1畝に2列配し、畝における2列の
凹溝の幅方向の距離は、マルチシートの基材と基材の2
つの間隔および2列の開孔部の幅方向の距離と一致させ
た。
【0071】比較品の場合は、耕起、畝立て、播種用の
凹溝の構築、マルチシートの敷設の直後に播種を行っ
た。シートの開孔部を覆っているPETに設けられた交
差した切れ目に、上部から圧力を加えて押し開き、播種
を行った。播種終了後に圧力を解放すると、押し開かれ
たPETは、PET自体の弾性力にて復元し再び開孔部
を覆った。
【0072】対照区の場合は、耕起、畝立て、播種用の
凹溝の構築後、シードテープによる播種を行った。播種
用の凹溝は、実施例1、実施例2、実施例3および比較
品の場合と同一形状に構築した。
【0073】ここで、PETの可視光線透過率の違いに
よる、PETと土壌に包囲された空間の温度を圃場にて
実測して図11に示す。実測には実施例1のマルチシー
トを用いたが、PETには可視光線透過率85%と25
%の2種類を用い比較した。図11中の○の記号はPE
Tの可視光線透過率が85%場合、△の記号は25%の
場合のPETと土壌に包囲された空間の温度を、×の記
号は気温を表す。実測は、平成9年5月1と5月2日の
2日間、宮城県加美郡小野田町の圃場にて実施した。圃
場における5月1の気象は、晴天、南西の弱風、最高気
温23℃、最低気温4℃であった。また、5月2の気象
は、晴天、南西の弱風、最高気温29℃、最低気温4℃
であった。実施例1のマルチシートに可視光線透過率8
5%のPETを用いた場合、PETと土壌に包囲された
空間の温度は、気温より最大27℃上昇した。
【0074】また、PETの可視光線透過率の違いによ
る、播種から発芽までの日数と発芽後の芽の生育状態を
実測したデータのグラフを図12に記す。実測には実施
例1のマルチシートを用いたが、PETは可視光線透過
率85%、25%および10%の3種類を用い比較し
た。図12中の○の記号はPETの可視光線透過率が8
5%場合、△の記号は25%の場合、□の記号は10%
の場合、×の記号はマルチシートを使用していない場合
である。実測は、平成9年4月20日の播種日から30
日間、宮城県加美郡小野田町の圃場にて実施した。PE
Tにより保温される事で、発芽の促進、発芽後の芽の生
育に著しい効果がある事が確かめられた。かつ、可視光
線の透過率が25%以上あれば、芽の生育に問題が無い
事が確かめられた。
【0075】さらに、マルチシートの基材の太陽光線反
射率の違いによる、播種した種子の位置の地下3cmの
土壌温度の実測データのグラフを図13に記す。実測に
は実施例1のマルチシートを用いたが、着色の程度をか
えて、太陽光線反射率50%および80%の2種類の基
材を用い比較した。図13中の○の記号は基材の太陽光
線反射率が50%の場合、△の記号は80%場合、×の
記号はマルチシートを使用していない場合である。実測
は、平成9年5月1日と5月2日の2日間、宮城県加美
郡小野田町の圃場にて実施した。本発明のマルチシート
において、基材の太陽光線反射率が50%の場合の地中
3cmの土壌温度は、マルチシートを使用していない場
合と比較して、午後から夜間における保温性が著しく優
れている事が確かめられた。
【0076】本発明のマルチシートである実施例1と実
施例2および、比較品のPETと土壌に包囲された空間
の温度と気温の実測データを図14に示す。実測は、平
成9年5月1日と5月2日の2日間、宮城県加美郡小野
田町の圃場にて行った。図14中の●の記号は実施例
1、○の記号は実施例2、△の記号は比較品のそれぞれ
のPETと土壌に包囲された空間の温度を、×は気温を
表す。PETと土壌に包囲された空間の最高温度は、比
較品の場合は、風により交差した切れ目が捲れ上がり、
PETと土壌に包囲された空間の空気と外気の間で空気
の対流が活発化するため、外気の最高温度より18℃上
昇したのに止まったが、実施例1と実施例2の場合は、
PETと土壌に包囲された空間の空気と外気との対流が
ほとんどないため、比較品の場合より温度上昇の効果が
著しく、実施例1の場合は気温より最高27℃高温であ
った。
【0077】効果の確認の方法として、栽培した大根の
平均固体重量が1.0Kgになった時点を収穫時期と定
め、播種日毎に、発芽日数、発芽率、収穫日、栽培期
間、抽台率、収穫率および、雑草の繁茂状態について評
価した。発芽日数は、播種した種子の約20%が発芽す
るまでの日数を記した。収穫率は播種数に対し、収穫日
に抽台せずに収穫出来た固体数の割合いとし、固体の形
状または色艶の優劣は考慮しなかった。マルチシートの
種類、マルチシートの有無および、播種日の各水準毎に
評価用の固体数は約100とした。収穫時点での評価を
表2に記す。
【0078】
【表2】
【0079】平成9年4月20日に播種した実施例1、
実施例2または実施例3のマルチシートを敷設した畝
は、播種した8日後に発芽したが、比較品のマルチシー
トを敷設した畝は、それより4日遅れて発芽した。マル
チシートを一切敷設しなかった対照区は、さらに発芽日
が遅れるばかりか発芽率の低下が認められた。実施例
1、実施例2および実施例3のマルチシートを敷設した
畝で発芽した芽は、発芽後約8日間位で、芽が約9〜1
0cmに伸長したので、マルチシートの基材に施された
PETに植物の伸長用の延出孔を施した。実施例1の場
合は、芽の真上のPETに、直径約13cmの円形の延
出孔を施した。また、実施例2および実施例3の場合
は、基材に疑似接着させたPETを基材から剥離する事
で延出孔を形成した。実施例2および実施例3の場合、
PETは、基材に対し約60〜170゜の剥離角度で、
マルチシートの長手方向に、巻取りながら容易にかつ完
全に基材から剥離出来た。比較品の場合は、発芽後約1
5日間位で、芽が約9〜10cmに伸長したので、マル
チシートの基材に施されたPETを剥離して、植物の伸
長用の延出孔を施した。
【0080】本発明のマルチシートを用いた場合、開孔
部を有するマルチシートでありながら、シードテープに
よる播種が可能になったため、播種作業の能率が著しく
向上した。対照区において、4月20日および5月4日
に播種した大根はほとんど抽台してしまったの対し、本
発明のマルチシートを用いた畝の大根は、4月20日に
播種したものも抽台せずに収穫が出来た。本発明のマル
チシートを用いた場合、4月20日に播種し6月26日
にほとんど抽台無に収穫出来たのに比べ、マルチシート
を用いない場合は、5月20日に播種し7月26日やっ
と収穫出来た事より、本発明のマルチシートを用いた場
合は、マルチシートを用いない場合より、約1ケ月位早
く収穫する事が可能となった。加えて、本発明のマルチ
シートを用いた場合、雑草の繁茂が抑制されたため、除
草作業が不要になり農作業の労力削減および、除草剤を
必要としない事による環境衛生の改善がなされた。本発
明のマルチシートを用いた場合、収穫後にマルチシート
の基材ごと耕起をする事が可能なため、耕起作業の能率
が著しく向上した。耕起によって小片となり圃場の土壌
に埋没した基材は、約3ケ月後には、土壌と見分けが困
難になる程度まで分解が進行した。
【0081】つまり、本発明のマルチシートは、播種作
業の効率化、発芽率の向上、栽培期間の短縮、抽台率の
減少、除草作業の不要化および耕起作業の能率向上を実
現した。さらに、本発明のマルチシートは、播種から幼
葉形成までの期間の保温性に優れているため、高緯度地
方や山間部または早春期の播種の場合に、実施例以外の
他の植物対しても、幼葉期の低温障害および霜害の防止
や、栽培期間の短縮に効果が期待出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマルチシートの、層構成の例を示す、
基材と基材の間隔または開孔部を含む幅方向の断面図。
【図2】本発明のマルチシートの、接着層を設けた層構
成の例を示す、基材と基材の間隔または開孔部を含む幅
方向の断面図。
【図3】本発明のマルチシートの、接着層と接着力調整
層を設けた層構成の例を示す、基材と基材の間隔または
開孔部を含む幅方向の断面図。
【図4】本発明のマルチシートの、接着阻害層を設けた
層構成の例を示す、基材と基材の間隔または開孔部を含
む幅方向の断面図。
【図5】本発明のマルチシートの、剥離層と貼着層を設
けた層構成の例を示す、基材と基材の間隔または開孔部
を含む幅方向の断面図。
【図6】本発明のマルチシートの、貼着層、剥離層およ
び接着阻害層を設けた層構成の例を示す、基材と基材の
間隔または開孔部を含む幅方向の断面図。
【図7】本発明のマルチシートの実施例1における、基
材のミシン目から透明フィルム層を除去する状況の斜視
図。
【図8】本発明のマルチシートの実施例2における、透
明フィルム層を剥離する状況の斜視図。
【図9】本発明のマルチシートの実施例3における、透
明フィルム層を剥離する状況の斜視図。
【図10】比較品のマルチシートにおける、透明フィル
ム層を剥離する状況の斜視図。
【図11】本発明のマルチシートにおける、透明フィル
ム層の可視光線透過率の違いによる、透明フィルム層と
土壌に包囲された空間の温度上昇グラフ。
【図12】本発明のマルチシートにおける、透明フィル
ム層の可視光線透過率の違いによる、発芽までの日数と
発芽後の芽の生育状態のグラフ。
【図13】本発明のマルチシートにおける、基材の太陽
光線の反射率の違いによる、土壌の温度上昇グラフ。
【図14】本発明のマルチシートの実施例1と実施例2
および、比較品のマルチシートにおける、透明フィルム
層と土壌に包囲された空間の温度上昇グラフ。
【符号の説明】
1・・・基材、2・・・透明フィルム層またはPET、
3・・・基材と基材の間隔または開孔部、4・・・畝、
5・・・凹溝、6・・・芽、7・・・通気孔、8・・・
接着層、9・・・接着力調整層、10・・・接着阻害
層、11・・・貼着層、12・・・剥離層、13・・・
ミシン目、14・・・延出孔、15・・・交差した切れ
目、16・・・凹部。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紙からなる基材と、該基材の上面に形成さ
    れた透明フィルム層とを具備する農業用マルチシートに
    おいて、前記の基材は、該農業用マルチシートの長手方
    向に沿った切れ目によって、幅方向に分割されかつ、分
    割された基材と基材の間は植物の延出用に適度な間隔が
    設けられかつ、該透明フィルム層は、前記の分割された
    基材と基材の間隔を覆うとともに、幅方向の端部が前記
    基材の幅方向の端部より前記の農業用マルチシートの中
    央側になるように形成されかつ、前記の透明フィルム層
    は、前記の分割された両方の基材に接着されている事を
    特徴とする農業用マルチシート。
  2. 【請求項2】開孔部が設けられた紙からなる基材と、該
    基材の上面に形成された透明フィルム層とを具備する農
    業用マルチシートにおいて、該開孔部は、該農業用マル
    チシートの長手方向に長い楕円形または長方形の形状で
    かつ、前記の農業用マルチシートの長手方向に連続して
    配置されておりかつ、前記の開孔部と開孔部の距離は、
    開孔部における前記農業用マルチシートの幅方向の長さ
    よりも狭く形成されておりかつ、該透明フィルム層は、
    前記の開孔部を覆うとともに、幅方向の端部が基材の幅
    方向の端部より前記農業用マルチシートの中央側になる
    ように形成されておりかつ、前記の透明フィルム層は、
    前記の基材に接着されている事を特徴とする農業用マル
    チシート。
  3. 【請求項3】前記透明フィルム層の引っ張り破断強度を
    A、前記透明フィルム層と前記基材の間の剥離強度を
    B、前記基材の層間剥離強度をCかつ、前記基材の引き
    裂き強度をDとすると、A>Bまたは、A>Cまたは、
    A>Dである事を特徴とする請求項1または2の農業用
    マルチシート。
  4. 【請求項4】前記の透明フィルム層と前記の基材の間の
    全面あるいは一部分に接着層を設けた事を特徴とする請
    求項1、2または3の農業用マルチシート。
  5. 【請求項5】前記の接着層と前記の基材の間の全面ある
    いは一部分に接着力調整層を設けた事を特徴とする請求
    項4の農業用マルチシート。
  6. 【請求項6】前記の透明フィルム層と前記の基材の間の
    全面あるいは一部分に接着阻害層を設けた事を特徴とす
    る請求項1、2または3の農業用マルチシート。
  7. 【請求項7】前記の透明フィルム層と前記の基材の間の
    全面あるいは一部分に貼着層を設けかつ、前記の透明フ
    ィルム層と該貼着層の間の全面あるいは一部分に剥離層
    を設けた事を特徴とする請求項1、2または3の農業用
    マルチシート。
  8. 【請求項8】前記の透明フィルム層と前記の基材の間の
    全面あるいは一部分に貼着層を設けかつ、該貼着層と前
    記の基材との間の全面あるいは一部分に剥離層を設けか
    つ、該剥離層と前記の基材との間の全面あるいは一部分
    に接着阻害層を設けた事を特徴とする請求項1、2また
    は3の農業用マルチシート。
  9. 【請求項9】前記の透明フィルム層と前記の基材が、縫
    着、鋲着または融着されている事を特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7または8の農業用マルチシ
    ート。
  10. 【請求項10】前記の透明フィルム層は、380〜78
    0nmの波長の太陽光線の透過率が、25%以上である
    事を特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8
    または9の農業用マルチシート。
  11. 【請求項11】前記の透明フィルム層の、前記の分割さ
    れた基材と基材の間隔または、前記の基材に施された開
    孔部を覆っている部分には、通気孔が施されている事を
    特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9
    または10の農業用マルチシート。
  12. 【請求項12】前記の基材は、380〜780nmの波
    長の太陽光線の透過率が、25%以下である事を特徴と
    する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10
    または11の農業用マルチシート。
  13. 【請求項13】前記の基材は、350〜2100nmの
    波長の太陽光線の反射率が、50%以下である事を特徴
    とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、1
    0、11または12の農業用マルチシート。
  14. 【請求項14】前記の透明フィルム層の幅方向の端部
    と、前記の農業用マルチートの幅方向の端部との間の前
    記の基材に、前記の農業用マルチートの長手方向に沿っ
    て連続したミシン目を施した事を特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ま
    たは13の農業用マルチシート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007329461A (ja) * 2006-05-01 2007-12-20 Bridgestone Corp 光透過性電磁波シールド性窓材の製造方法、及び光透過性電磁波シールド性窓材、

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JP2007329461A (ja) * 2006-05-01 2007-12-20 Bridgestone Corp 光透過性電磁波シールド性窓材の製造方法、及び光透過性電磁波シールド性窓材、

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