JPH11117035A - 摺動部材 - Google Patents
摺動部材Info
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- JPH11117035A JPH11117035A JP29323297A JP29323297A JPH11117035A JP H11117035 A JPH11117035 A JP H11117035A JP 29323297 A JP29323297 A JP 29323297A JP 29323297 A JP29323297 A JP 29323297A JP H11117035 A JPH11117035 A JP H11117035A
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- Japan
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- aluminum alloy
- sliding member
- sintered
- sintered aluminum
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-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F04—POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
- F04C—ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
- F04C2230/00—Manufacture
- F04C2230/20—Manufacture essentially without removing material
- F04C2230/22—Manufacture essentially without removing material by sintering
Landscapes
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
- Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 焼き付き現象や凝着摩擦等が低減される焼結
アルミニウム合金を用いた摺動部材を提供する。 【解決手段】 アウターロータ5aおよびインナーロー
タ5bはそれぞれ焼結アルミニウム合金から形成されて
いる。その焼結アルミニウム合金は、0.5〜11重量
%の窒化アルミニウムを含んでいる。アウターロータ5
aの焼結アルミニウム合金の空孔率は、3〜15容積%
である。インナーロータ5bの焼結アルミニウム合金の
空孔率は、2〜10容積%である。アウターロータ5a
およびインナーロータ5bはポンプケース5c内にセッ
トされている。
アルミニウム合金を用いた摺動部材を提供する。 【解決手段】 アウターロータ5aおよびインナーロー
タ5bはそれぞれ焼結アルミニウム合金から形成されて
いる。その焼結アルミニウム合金は、0.5〜11重量
%の窒化アルミニウムを含んでいる。アウターロータ5
aの焼結アルミニウム合金の空孔率は、3〜15容積%
である。インナーロータ5bの焼結アルミニウム合金の
空孔率は、2〜10容積%である。アウターロータ5a
およびインナーロータ5bはポンプケース5c内にセッ
トされている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動部材に関し、
特に、油中で焼結アルミニウム合金部材同士を摩擦摺動
する際に発生する焼き付き現象や凝着摩擦が低減される
焼結アルミニウム合金を用いた摺動部材に関し、エンジ
ン潤滑用、オートマチック・トランスミッション(A
T)用または燃料供給用のオイルポンプに用いられる内
接ギアを含むギアロータセットに適用される摺動部材、
または、油中で焼結アルミニウム合金部材と溶製アルミ
ニウム合金部材とを摩擦摺動する際に発生する焼き付き
現象や凝着摩擦が低減される焼結アルミニウム合金を用
いた摺動部材に関し、オートマチック・トランスミッシ
ョン(AT)、マニュアル・トランスミッション(M
T)またはパワーステアリング等における潤滑油の油圧
循環経路内に用いられる油圧制御バルブや油流量制御用
バルブに適用される摺動部材に関するものである。
特に、油中で焼結アルミニウム合金部材同士を摩擦摺動
する際に発生する焼き付き現象や凝着摩擦が低減される
焼結アルミニウム合金を用いた摺動部材に関し、エンジ
ン潤滑用、オートマチック・トランスミッション(A
T)用または燃料供給用のオイルポンプに用いられる内
接ギアを含むギアロータセットに適用される摺動部材、
または、油中で焼結アルミニウム合金部材と溶製アルミ
ニウム合金部材とを摩擦摺動する際に発生する焼き付き
現象や凝着摩擦が低減される焼結アルミニウム合金を用
いた摺動部材に関し、オートマチック・トランスミッシ
ョン(AT)、マニュアル・トランスミッション(M
T)またはパワーステアリング等における潤滑油の油圧
循環経路内に用いられる油圧制御バルブや油流量制御用
バルブに適用される摺動部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】第1の従来技術として、エンジン潤滑
油、オートマチック・トランスミッション(以下「A
T」と記す)または燃料供給用のオイルポンプに用いら
れるギアロータセットについて説明する。ギアロータセ
ットは、アウターロータとそのアウターロータ内にセッ
トされたインナーロータとを備えている。ギアロータセ
ットは、ポンプケース内にセットされている。アウター
ロータの内側およびインナーロータの外側には、トロコ
イド曲線、インボリュート曲線およびハイポサイクロイ
ド曲線のいずれかを基調とした歯形が形成されている。
油、オートマチック・トランスミッション(以下「A
T」と記す)または燃料供給用のオイルポンプに用いら
れるギアロータセットについて説明する。ギアロータセ
ットは、アウターロータとそのアウターロータ内にセッ
トされたインナーロータとを備えている。ギアロータセ
ットは、ポンプケース内にセットされている。アウター
ロータの内側およびインナーロータの外側には、トロコ
イド曲線、インボリュート曲線およびハイポサイクロイ
ド曲線のいずれかを基調とした歯形が形成されている。
【0003】従来、ポンプケースは鋳鉄から形成され、
ギアロータセットは鉄系焼結体から形成されていた。近
年、軽量化の観点から、アルミニウム合金の適用が検討
されている。ポンプ内部では、温度150℃を超える潤
滑油が循環するため、ポンプ全体の温度が上昇する。こ
のとき、ポンプケースをなす材料の熱膨張率の値とギア
ロータセットをなす材料の熱膨張率の値の差が比較的大
きい場合には、両者のクリアランスが増加し、ポンプの
容積効率が低下する問題が生じる。このため、両者の熱
膨張率の値を近づける観点から、アルミニウム合金をポ
ンプケースに適用する場合には、ギアロータセットにつ
いてもアルミニウム合金を提供する必要がある。
ギアロータセットは鉄系焼結体から形成されていた。近
年、軽量化の観点から、アルミニウム合金の適用が検討
されている。ポンプ内部では、温度150℃を超える潤
滑油が循環するため、ポンプ全体の温度が上昇する。こ
のとき、ポンプケースをなす材料の熱膨張率の値とギア
ロータセットをなす材料の熱膨張率の値の差が比較的大
きい場合には、両者のクリアランスが増加し、ポンプの
容積効率が低下する問題が生じる。このため、両者の熱
膨張率の値を近づける観点から、アルミニウム合金をポ
ンプケースに適用する場合には、ギアロータセットにつ
いてもアルミニウム合金を提供する必要がある。
【0004】たとえば、特開昭60−128983号公
報、特開平2−169881号公報および特開平4−9
9204号公報には、焼結アルミニウム合金を適用した
ギアロータセットおよびその製造方法が開示されてい
る。
報、特開平2−169881号公報および特開平4−9
9204号公報には、焼結アルミニウム合金を適用した
ギアロータセットおよびその製造方法が開示されてい
る。
【0005】次に第2の従来の技術として、AT、MT
またはパワーステアリング等のオイルポンプに用いられ
るアルミニウム合金製の油圧・油流量制御用バルブにつ
いて説明する。バルブは、バルブケースとそのバルブケ
ース内に配設されたバルブスプールとを備えている。バ
ルブスプールは、実質的に円柱形状をなし、その円周方
向に溝が形成されている。バルブスプールは、バルブケ
ースとの間に油を介在させて、バルブスプールの軸方向
に往復摺動する。この往復摺動によって、油圧や油流量
が制御される。
またはパワーステアリング等のオイルポンプに用いられ
るアルミニウム合金製の油圧・油流量制御用バルブにつ
いて説明する。バルブは、バルブケースとそのバルブケ
ース内に配設されたバルブスプールとを備えている。バ
ルブスプールは、実質的に円柱形状をなし、その円周方
向に溝が形成されている。バルブスプールは、バルブケ
ースとの間に油を介在させて、バルブスプールの軸方向
に往復摺動する。この往復摺動によって、油圧や油流量
が制御される。
【0006】従来、バルブスプールは鉄系焼結材あるい
は鋼材から形成され、バルブケースは鋳鉄から形成され
ていた。近年、軽量化の観点から、アルミニウム合金が
バルブスプールおよびバルブケースへ適用され始めた。
しかしながら、鉄系材料を用いたバルブスプールおよび
バルブケースと異なり、アルミニウム合金を適用したバ
ルブスプールおよびバルブケースにおいては、アルミニ
ウム合金同士が摩擦摺動することによって、摩耗損傷や
焼き付き、凝着といった問題が生じやすい。
は鋼材から形成され、バルブケースは鋳鉄から形成され
ていた。近年、軽量化の観点から、アルミニウム合金が
バルブスプールおよびバルブケースへ適用され始めた。
しかしながら、鉄系材料を用いたバルブスプールおよび
バルブケースと異なり、アルミニウム合金を適用したバ
ルブスプールおよびバルブケースにおいては、アルミニ
ウム合金同士が摩擦摺動することによって、摩耗損傷や
焼き付き、凝着といった問題が生じやすい。
【0007】このような問題に対して、たとえば、特開
昭60−209609号公報や、特開平2−17347
2号公報などにおいては、バルブスプールやバルブケー
スの摺動面、または、これらに用いられるアルミニウム
合金の表面にアルマイト処理、タフラム処理またはNi
−Pメッキ等の硬質皮膜処理を施すことを提案してい
る。
昭60−209609号公報や、特開平2−17347
2号公報などにおいては、バルブスプールやバルブケー
スの摺動面、または、これらに用いられるアルミニウム
合金の表面にアルマイト処理、タフラム処理またはNi
−Pメッキ等の硬質皮膜処理を施すことを提案してい
る。
【0008】なお、アルマイト処理とは、アルミニウム
を陽極酸化して皮膜を形成する処理である。タフラム処
理とは、アルマイト処理に加えて、ポリテトラフルオル
エチレン(商品名テフロン)の含浸を行なう処理であ
る。また、Ni−Pメッキは、Ni−Pメッキ液でアル
ミニウム合金の表面にメッキ処理を施すことによって得
られる。
を陽極酸化して皮膜を形成する処理である。タフラム処
理とは、アルマイト処理に加えて、ポリテトラフルオル
エチレン(商品名テフロン)の含浸を行なう処理であ
る。また、Ni−Pメッキは、Ni−Pメッキ液でアル
ミニウム合金の表面にメッキ処理を施すことによって得
られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の
従来の技術のギアロータセットにおいては、次のような
問題が生じた。
従来の技術のギアロータセットにおいては、次のような
問題が生じた。
【0010】まず、特開昭60−128983号公報に
おいては、焼結アルミニウム合金を用いて、インナーロ
ータおよびアウターロータを形成する方法を提案してい
る。なお、ここで示す焼結アルミニウム合金とは、所定
の組成を有するアルミニウム合金粉末を型押成形した後
に、加熱焼結を施したものをいう。あるいは、その焼結
アルミニウム合金に必要に応じてサイジングやコイニン
グ等の再圧縮を施したものを意味している。したがっ
て、熱間鍛造法や熱間押出法による塑性変形加工によっ
て相対密度をできる限り100%に近づけたアルミニウ
ム合金とは区別される。
おいては、焼結アルミニウム合金を用いて、インナーロ
ータおよびアウターロータを形成する方法を提案してい
る。なお、ここで示す焼結アルミニウム合金とは、所定
の組成を有するアルミニウム合金粉末を型押成形した後
に、加熱焼結を施したものをいう。あるいは、その焼結
アルミニウム合金に必要に応じてサイジングやコイニン
グ等の再圧縮を施したものを意味している。したがっ
て、熱間鍛造法や熱間押出法による塑性変形加工によっ
て相対密度をできる限り100%に近づけたアルミニウ
ム合金とは区別される。
【0011】このような焼結アルミニウム合金から形成
されたギアロータセットの場合、エンジン用潤滑ポンプ
のように、比較的低いトルクが作用するポンプへの適用
が可能である。しかしながら、AT用のオイルポンプの
場合では、特に、インナーロータは駆動軸(シャフト)
により回転し、その際に、シャフトと接触するインナー
ロータの内径部分には、シャフトからの高い応力が作用
する。このため、インナーロータには、摩耗損傷を低減
するため高強度および高硬度が要求される。また、特に
アウターロータにおいては、ポンプケースと摺動する外
周面と、インナーロータと摺動する歯形の歯先部とにお
いて、相手材と焼き付き摩耗現象を生じやすい。このた
め、アウターロータには、優れた耐焼き付き性が要求さ
れる。
されたギアロータセットの場合、エンジン用潤滑ポンプ
のように、比較的低いトルクが作用するポンプへの適用
が可能である。しかしながら、AT用のオイルポンプの
場合では、特に、インナーロータは駆動軸(シャフト)
により回転し、その際に、シャフトと接触するインナー
ロータの内径部分には、シャフトからの高い応力が作用
する。このため、インナーロータには、摩耗損傷を低減
するため高強度および高硬度が要求される。また、特に
アウターロータにおいては、ポンプケースと摺動する外
周面と、インナーロータと摺動する歯形の歯先部とにお
いて、相手材と焼き付き摩耗現象を生じやすい。このた
め、アウターロータには、優れた耐焼き付き性が要求さ
れる。
【0012】したがって、強度の低い焼結アルミニウム
合金では、高いトルクが作用するギインナーロータや、
優れた耐焼き付き性が要求されるアウターロータへの適
用は困難となる。
合金では、高いトルクが作用するギインナーロータや、
優れた耐焼き付き性が要求されるアウターロータへの適
用は困難となる。
【0013】一方、熱間鍛造法や熱間押出法等により形
成されたアルミニウム合金粉末は、高い強度を有してい
る。このため、機械的強度の観点から、上述したAT用
オイルポンプのギアロータセットへ、そのアルミニウム
合金粉末を適用することが十分可能である。たとえば、
特開平2−169881号公報、特開平4−99204
号公報などにおいては、その製造方法が提案されてい
る。
成されたアルミニウム合金粉末は、高い強度を有してい
る。このため、機械的強度の観点から、上述したAT用
オイルポンプのギアロータセットへ、そのアルミニウム
合金粉末を適用することが十分可能である。たとえば、
特開平2−169881号公報、特開平4−99204
号公報などにおいては、その製造方法が提案されてい
る。
【0014】しかしながら、熱間鍛造法や熱間押出法を
用いて作製する焼結アルミニウム合金では、十分に高い
寸法精度を有するインナーロータおよびアウターロータ
を形成することは非常に困難である。このため、インナ
ーロータおよびアウターロータの歯形形状のすべては、
切削、研削、エンドミル、放電加工および研摩等の機械
加工によって形成せざるを得ない。その結果、インナー
ロータおよびアウターロータの製造コストが上昇し、経
済性の面において問題が生じた。
用いて作製する焼結アルミニウム合金では、十分に高い
寸法精度を有するインナーロータおよびアウターロータ
を形成することは非常に困難である。このため、インナ
ーロータおよびアウターロータの歯形形状のすべては、
切削、研削、エンドミル、放電加工および研摩等の機械
加工によって形成せざるを得ない。その結果、インナー
ロータおよびアウターロータの製造コストが上昇し、経
済性の面において問題が生じた。
【0015】第2の従来の技術のバルブにおいては次の
ような問題点が生じた。硬質皮膜処理が施されたアルミ
ニウム合金を適用したバルブスプールおよびバルブケー
スにおいては、従来の鉄系材料から形成されたものと比
べて、価格の上昇を誘発し、経済性に問題が生じた。ま
た、バルブスプールの摺動時における硬質皮膜の剥離や
摩擦などの問題も生じた。
ような問題点が生じた。硬質皮膜処理が施されたアルミ
ニウム合金を適用したバルブスプールおよびバルブケー
スにおいては、従来の鉄系材料から形成されたものと比
べて、価格の上昇を誘発し、経済性に問題が生じた。ま
た、バルブスプールの摺動時における硬質皮膜の剥離や
摩擦などの問題も生じた。
【0016】また、アルマイト処理を施したアルミニウ
ム合金製のバルブスプールと鉄系合金製のバルブケース
とを組合せたバルブ、または、鉄系合金製のバルブスプ
ールとアルマイト処理を施したアルミニウム合金製のバ
ルブケースとを組合せたバルブとにおいては、バルブス
プールとバルブケースとの熱膨張率の値の差異に起因し
て、次のような問題が生じた。
ム合金製のバルブスプールと鉄系合金製のバルブケース
とを組合せたバルブ、または、鉄系合金製のバルブスプ
ールとアルマイト処理を施したアルミニウム合金製のバ
ルブケースとを組合せたバルブとにおいては、バルブス
プールとバルブケースとの熱膨張率の値の差異に起因し
て、次のような問題が生じた。
【0017】すなわち、低温時にはバルブスプールとバ
ルブケースとのクリアランスが小さくなるために、バル
ブスプールが摺動不良を起こすスティック現象が生じ
た。また、150〜180℃程度の高温時には、そのク
リアランスが適正値よりも大きくなり、油圧が低下した
り油の流量が増加または変動してオイルポンプの性能が
低下した。
ルブケースとのクリアランスが小さくなるために、バル
ブスプールが摺動不良を起こすスティック現象が生じ
た。また、150〜180℃程度の高温時には、そのク
リアランスが適正値よりも大きくなり、油圧が低下した
り油の流量が増加または変動してオイルポンプの性能が
低下した。
【0018】このような対策として、バルブスプールと
バルブケースの双方の熱膨張率の値をできるだけ近づけ
ることが有効である。このためにも、バルブスプールお
よびバルブケースのアルミニウム合金を適用することが
好ましい。たとえば、特開平2−173472号公報に
おいては、バルブスプールおよびバルブケースの熱膨張
率の値の差異を規定して、性能を確保する方法を提案し
ている。
バルブケースの双方の熱膨張率の値をできるだけ近づけ
ることが有効である。このためにも、バルブスプールお
よびバルブケースのアルミニウム合金を適用することが
好ましい。たとえば、特開平2−173472号公報に
おいては、バルブスプールおよびバルブケースの熱膨張
率の値の差異を規定して、性能を確保する方法を提案し
ている。
【0019】しかしながらこの場合にも、アルミニウム
合金から形成されたバルブスプールとバルブケースとの
凝着摩擦を回避するために、双方にアルマイト処理や樹
脂含浸Ni−Pメッキ処理が施される。このため、上述
したように、経済的な面および信頼性の面に問題が生じ
た。
合金から形成されたバルブスプールとバルブケースとの
凝着摩擦を回避するために、双方にアルマイト処理や樹
脂含浸Ni−Pメッキ処理が施される。このため、上述
したように、経済的な面および信頼性の面に問題が生じ
た。
【0020】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、摩耗損傷、焼き付きおよび凝着を低
減するとともに、加工性に優れた摺動部材を得ることを
目的とする。
されたものであり、摩耗損傷、焼き付きおよび凝着を低
減するとともに、加工性に優れた摺動部材を得ることを
目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の1つの局面にお
ける摺動部材は、一方と他方とが摺動する1対の摺動部
材である。一方の摺動部材は、5〜30重量%のシリコ
ンを含むアルミニウム合金からなる。他方の摺動部材
は、0.1〜3.5重量%の窒素を含む焼結アルミニウ
ム合金からなる。窒素は、窒化アルミニウムとして、焼
結アルミニウム合金中に存在する。
ける摺動部材は、一方と他方とが摺動する1対の摺動部
材である。一方の摺動部材は、5〜30重量%のシリコ
ンを含むアルミニウム合金からなる。他方の摺動部材
は、0.1〜3.5重量%の窒素を含む焼結アルミニウ
ム合金からなる。窒素は、窒化アルミニウムとして、焼
結アルミニウム合金中に存在する。
【0022】この構成によれば、耐摩耗性、耐熱性、耐
焼き付き性および被削性に優れた摺動部材が得られる。
しかしながら、窒素の量が0.1重量%より少ない場合
やシリコンの量が5重量%より少ない場合には、十分な
耐熱性および耐摩耗性等が得られない。一方、窒素の量
が3.5重量%以上よりも多い場合や、シリコンの量が
30重量%より多い場合には、耐摩耗性等は顕著に向上
せず、かえって被削性や靱性が低下したりするなどの問
題が生じたり、または、焼結工程の長時間化といった経
済性の問題が生じる。
焼き付き性および被削性に優れた摺動部材が得られる。
しかしながら、窒素の量が0.1重量%より少ない場合
やシリコンの量が5重量%より少ない場合には、十分な
耐熱性および耐摩耗性等が得られない。一方、窒素の量
が3.5重量%以上よりも多い場合や、シリコンの量が
30重量%より多い場合には、耐摩耗性等は顕著に向上
せず、かえって被削性や靱性が低下したりするなどの問
題が生じたり、または、焼結工程の長時間化といった経
済性の問題が生じる。
【0023】好ましくは、一方の摺動部材をなすアルミ
ニウム合金は、焼結アルミニウム合金である。
ニウム合金は、焼結アルミニウム合金である。
【0024】この場合には、摺動部材の耐摩耗性および
耐熱性等がさらに向上する。また好ましくは、一方の摺
動部材をなすアルミニウム合金は、5〜20重量%のシ
リコンを含む溶製アルミニウム合金である。
耐熱性等がさらに向上する。また好ましくは、一方の摺
動部材をなすアルミニウム合金は、5〜20重量%のシ
リコンを含む溶製アルミニウム合金である。
【0025】この場合には、摺動部材を比較的安価に得
ることができる。シリコンの量が5重量%より少ない場
合には、摺動部材の十分な耐摩耗性および耐焼き付き性
等が得られない。一方、溶製法により作製するアルミニ
ウムシリコン合金においてシリコンの量が20重量%よ
りも多い場合には、200μmを越える粗大なシリコン
晶が生成する。このため、かえって溶製アルミニウム合
金の靱性が低下したり、溶製アルミニウム合金の硬度や
剛性が大きくなりすぎる。その結果、溶製アルミニウム
合金の加工が困難になる。
ることができる。シリコンの量が5重量%より少ない場
合には、摺動部材の十分な耐摩耗性および耐焼き付き性
等が得られない。一方、溶製法により作製するアルミニ
ウムシリコン合金においてシリコンの量が20重量%よ
りも多い場合には、200μmを越える粗大なシリコン
晶が生成する。このため、かえって溶製アルミニウム合
金の靱性が低下したり、溶製アルミニウム合金の硬度や
剛性が大きくなりすぎる。その結果、溶製アルミニウム
合金の加工が困難になる。
【0026】さらに好ましくは、他方の摺動部材をなす
焼結アルミニウム合金は、0.5〜11重量%の窒化ア
ルミニウムを含んでいる。
焼結アルミニウム合金は、0.5〜11重量%の窒化ア
ルミニウムを含んでいる。
【0027】この場合には、焼結アルミニウム合金の耐
摩耗性、耐熱性、耐焼き付き性および被削性がさらに向
上する。しかしながら、窒化アルミニウムの量が0.5
重量%より少ない場合には、十分な耐熱性および耐摩耗
性等が得られない。一方、窒化アルミニウムの量が11
重量%よりも多い場合には、耐摩耗性等は顕著には向上
せず、かえって焼結アルミニウム合金の被削性や靱性が
低下したりするなどの問題が生じる。
摩耗性、耐熱性、耐焼き付き性および被削性がさらに向
上する。しかしながら、窒化アルミニウムの量が0.5
重量%より少ない場合には、十分な耐熱性および耐摩耗
性等が得られない。一方、窒化アルミニウムの量が11
重量%よりも多い場合には、耐摩耗性等は顕著には向上
せず、かえって焼結アルミニウム合金の被削性や靱性が
低下したりするなどの問題が生じる。
【0028】好ましくは、他方の摺動部材をなす焼結ア
ルミニウム合金は、0.05重量%以上のマグネシウム
を含んでいる。
ルミニウム合金は、0.05重量%以上のマグネシウム
を含んでいる。
【0029】マグネシウムは、直接窒化反応を進行させ
て、焼結アルミニウム合金中に窒化アルミニウムを生成
および分散させる働きがある。具体的には、マグネシウ
ムはアルミニウムの粉体を加熱焼結する際に、その表面
に形成される酸化アルミニウムの皮膜を還元反応により
除去する。しかしながら、そのマグネシウムの量が0.
05重量%より少ない場合では、マグネシウムによる還
元反応が十分に作用せず、窒化アルミニウムを焼結アル
ミニウム合金中に均一に生成することができない。
て、焼結アルミニウム合金中に窒化アルミニウムを生成
および分散させる働きがある。具体的には、マグネシウ
ムはアルミニウムの粉体を加熱焼結する際に、その表面
に形成される酸化アルミニウムの皮膜を還元反応により
除去する。しかしながら、そのマグネシウムの量が0.
05重量%より少ない場合では、マグネシウムによる還
元反応が十分に作用せず、窒化アルミニウムを焼結アル
ミニウム合金中に均一に生成することができない。
【0030】また好ましくは、窒化アルミニウムは、繊
維状に一方向に成長している。この場合には、優れた摺
動特性を有する摺動部材を得ることができる。
維状に一方向に成長している。この場合には、優れた摺
動特性を有する摺動部材を得ることができる。
【0031】さらに好ましくは、他方の摺動部材をなす
焼結アルミニウム合金の空孔率は、25容積%以下であ
る。
焼結アルミニウム合金の空孔率は、25容積%以下であ
る。
【0032】この場合、焼結アルミニウム合金の摺動表
面に分散する空孔によって、摺動表面に凹状にピットが
形成される。その部分に潤滑油が保持されて、摺動界面
における油膜切れを防止することができる。その結果、
耐摩耗性および耐焼き付き性を向上させることができ
る。しかしながら、空孔率が25容積%より高い場合に
は、焼結アルミニウム合金の機械的強度が低下する。
面に分散する空孔によって、摺動表面に凹状にピットが
形成される。その部分に潤滑油が保持されて、摺動界面
における油膜切れを防止することができる。その結果、
耐摩耗性および耐焼き付き性を向上させることができ
る。しかしながら、空孔率が25容積%より高い場合に
は、焼結アルミニウム合金の機械的強度が低下する。
【0033】好ましくは、他方の摺動部材をなす焼結ア
ルミニウム合金は、シリコン、鉄、ニッケル、クロム、
チタン、マンガンおよびジルコニウムからなる群から選
ばれる少なくとも1つの元素を含有するとともに、その
含有量が25重量%以下である。
ルミニウム合金は、シリコン、鉄、ニッケル、クロム、
チタン、マンガンおよびジルコニウムからなる群から選
ばれる少なくとも1つの元素を含有するとともに、その
含有量が25重量%以下である。
【0034】この場合、焼結アルミニウム合金の耐摩耗
性、耐焼き付き性、強度および硬度等の機械的特性を向
上させることができる。しかしながら、その含有量が2
5重量%よりも多い場合には、各特性は著しく向上せ
ず、かえって焼結アルミニウム合金の靱性が低下した
り、焼結アルミニウム合金の硬度や剛性が大きくなりす
ぎる。このため、焼結アルミニウム合金の加工が困難に
なる。
性、耐焼き付き性、強度および硬度等の機械的特性を向
上させることができる。しかしながら、その含有量が2
5重量%よりも多い場合には、各特性は著しく向上せ
ず、かえって焼結アルミニウム合金の靱性が低下した
り、焼結アルミニウム合金の硬度や剛性が大きくなりす
ぎる。このため、焼結アルミニウム合金の加工が困難に
なる。
【0035】また好ましくは、他方の摺動部材をなす焼
結アルミニウム合金は、酸化チタン、酸化ジルコニウ
ム、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウ
ムおよび酸化クロムなる群から選ばれる少なくとも1つ
の酸化物を含有するとともに、その含有量が5重量%以
下である。
結アルミニウム合金は、酸化チタン、酸化ジルコニウ
ム、酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウ
ムおよび酸化クロムなる群から選ばれる少なくとも1つ
の酸化物を含有するとともに、その含有量が5重量%以
下である。
【0036】この場合、酸化物粒子が焼結アルミニウム
合金の中に分散し、耐摩耗性および耐焼き付き性が向上
する。しかしながら、その含有量が5重量%よりも多い
場合には、摺動部材の耐摩耗性や耐焼き付き性は顕著に
は向上せず、かえって焼結アルミニウム合金の被削性が
低下したり、焼結アルミニウム合金が相手材を攻撃する
ことがある。
合金の中に分散し、耐摩耗性および耐焼き付き性が向上
する。しかしながら、その含有量が5重量%よりも多い
場合には、摺動部材の耐摩耗性や耐焼き付き性は顕著に
は向上せず、かえって焼結アルミニウム合金の被削性が
低下したり、焼結アルミニウム合金が相手材を攻撃する
ことがある。
【0037】さらに好ましくは、他方の摺動部材をなす
焼結アルミニウム合金は、潤滑成分として、黒鉛、硫化
モリブデン、硫化タングステンおよびフッ化カルシウム
からなる群から選ばれる少なくとも1つの潤滑成分を含
有するとともに、その含有量が5重量%以下である。
焼結アルミニウム合金は、潤滑成分として、黒鉛、硫化
モリブデン、硫化タングステンおよびフッ化カルシウム
からなる群から選ばれる少なくとも1つの潤滑成分を含
有するとともに、その含有量が5重量%以下である。
【0038】この場合、潤滑成分は摺動界面における摩
擦を軽減するとともに、摺動表面に凹状の油溜りを形成
し、油膜切れを防止する。その結果、摺動部材の耐焼き
付き性および耐摩耗性が大幅に向上する。しかしなが
ら、潤滑成分の含有量が5重量%よりも多い場合には、
焼結アルミニウム合金の素地をなすアルミニウム合金粉
末同士の結合強度が低下する。このため、摺動部材とし
ての機械的強度が十分に得られない。
擦を軽減するとともに、摺動表面に凹状の油溜りを形成
し、油膜切れを防止する。その結果、摺動部材の耐焼き
付き性および耐摩耗性が大幅に向上する。しかしなが
ら、潤滑成分の含有量が5重量%よりも多い場合には、
焼結アルミニウム合金の素地をなすアルミニウム合金粉
末同士の結合強度が低下する。このため、摺動部材とし
ての機械的強度が十分に得られない。
【0039】好ましくは、焼結アルミニウム合金からな
る一方の摺動部材は、トロコイド曲線、インボリュート
曲線およびハイポサイクロイド曲線からなる群から選ば
れる1つの曲線を基調とした歯形形状を内周部に有する
アウターロータであり、焼結アルミニウム合金からなる
他方の摺動部材は、アウターロータ内に配設され、トロ
コイド曲線、インボリュート曲線およびハイポサイクロ
イド曲線からなる群から選ばれる1つの曲線を基調とし
た歯形形状を外周部に有するインナーロータであり、ア
ウタロータの歯形形状とインナーロータの歯形形状とが
組み合わされている。
る一方の摺動部材は、トロコイド曲線、インボリュート
曲線およびハイポサイクロイド曲線からなる群から選ば
れる1つの曲線を基調とした歯形形状を内周部に有する
アウターロータであり、焼結アルミニウム合金からなる
他方の摺動部材は、アウターロータ内に配設され、トロ
コイド曲線、インボリュート曲線およびハイポサイクロ
イド曲線からなる群から選ばれる1つの曲線を基調とし
た歯形形状を外周部に有するインナーロータであり、ア
ウタロータの歯形形状とインナーロータの歯形形状とが
組み合わされている。
【0040】この摺動部材によれば、アウターロータ内
にてインナーロータが回転駆動することによって、油の
圧力および油の流量を適正に制御することができる。
にてインナーロータが回転駆動することによって、油の
圧力および油の流量を適正に制御することができる。
【0041】また好ましくは、アウターロータの空孔率
は、3〜15容積%であり、インナーロータの空孔率
は、2〜10容積%である。
は、3〜15容積%であり、インナーロータの空孔率
は、2〜10容積%である。
【0042】この場合、アウターロータおよびインナー
ロータの摺動表面に分散する空孔によって、摺動表面に
凹状にピットが形成される。その部分に潤滑油が保持さ
れて、摺動界面における油膜切れを防止することができ
る。その結果、インナーロータおよびアウターロータの
耐摩耗性および耐焼き付き性を向上させることができ
る。しかしながら、アウターロータの空孔率が3容積%
よりも少ない場合やインナーロータの空孔率が2容積%
よりも少ない場合には、摺動表面に十分に空孔が存在せ
ず、摺動界面における油膜切れを効果的に防止すること
ができない。一方、アウターロータの空孔率が15容積
%よりも高い場合やインナーロータの空孔率が10容積
%よりも高い場合には、アウターロータやインナーロー
タの機械的強度が低下する。
ロータの摺動表面に分散する空孔によって、摺動表面に
凹状にピットが形成される。その部分に潤滑油が保持さ
れて、摺動界面における油膜切れを防止することができ
る。その結果、インナーロータおよびアウターロータの
耐摩耗性および耐焼き付き性を向上させることができ
る。しかしながら、アウターロータの空孔率が3容積%
よりも少ない場合やインナーロータの空孔率が2容積%
よりも少ない場合には、摺動表面に十分に空孔が存在せ
ず、摺動界面における油膜切れを効果的に防止すること
ができない。一方、アウターロータの空孔率が15容積
%よりも高い場合やインナーロータの空孔率が10容積
%よりも高い場合には、アウターロータやインナーロー
タの機械的強度が低下する。
【0043】好ましくは、溶製アルミニウム合金からな
る一方の摺動部材はバルブケースであり、焼結アルミニ
ウム合金からなる他方の摺動部材は、バルブケース内を
往復摺動するバルブスプールである。
る一方の摺動部材はバルブケースであり、焼結アルミニ
ウム合金からなる他方の摺動部材は、バルブケース内を
往復摺動するバルブスプールである。
【0044】この摺動部材によれば、バルブケース内に
てバルブスプールがその軸方向に往復摺動することによ
って、油の圧力および油の流量を適正に制御することが
できる。
てバルブスプールがその軸方向に往復摺動することによ
って、油の圧力および油の流量を適正に制御することが
できる。
【0045】また好ましくは、焼結アルミニウム合金
は、0.5〜6重量%の窒化アルミニウムを含んでい
る。
は、0.5〜6重量%の窒化アルミニウムを含んでい
る。
【0046】この場合、バルブスプールの耐摩耗性、耐
熱性、耐焼き付き性および被削性が向上する。しかしな
がら、窒化アルミニウムの量が0.5重量%より少ない
場合には、十分な耐熱性および耐摩耗性が得られない。
一方、窒化アルミニウムの量が6重量%よりも多い場合
には、耐摩耗性等が顕著には向上せず、かえってバルブ
スプールの被削性や靱性が低下したりするなどの問題が
生じる。
熱性、耐焼き付き性および被削性が向上する。しかしな
がら、窒化アルミニウムの量が0.5重量%より少ない
場合には、十分な耐熱性および耐摩耗性が得られない。
一方、窒化アルミニウムの量が6重量%よりも多い場合
には、耐摩耗性等が顕著には向上せず、かえってバルブ
スプールの被削性や靱性が低下したりするなどの問題が
生じる。
【0047】さらに好ましくは、焼結アルミニウム合金
の熱膨張率をαV とし、溶製アルミニウム合金の熱膨張
率をαC とするときに、−3×10-6/℃≦(αC −α
V )≦3×10-6/℃を満足する。
の熱膨張率をαV とし、溶製アルミニウム合金の熱膨張
率をαC とするときに、−3×10-6/℃≦(αC −α
V )≦3×10-6/℃を満足する。
【0048】この場合には、バルブスプールとバルブケ
ースとのクリアランスの変動が低減し、油圧の低下およ
び油流量の変動を抑制することができる。しかしなが
ら、(αC −αV )の値が3×10-6/℃よりも大きい
場合には、油の温度の上昇によって、クリアランスの増
加が適正値よりも大きくなり、油圧の低下、油流量の増
加または油流量の変動を起こすことがある。一方、(α
C −αV )の値が−3×10-6/℃よりも小さい場合に
は、油の温度が120℃を超えた際に、バルブスプール
の径の増加が顕著となる。その結果、バルブスプールが
バルブケースと接触し、油圧が適正値よりも高くなった
り、油の流量が低下することがある。
ースとのクリアランスの変動が低減し、油圧の低下およ
び油流量の変動を抑制することができる。しかしなが
ら、(αC −αV )の値が3×10-6/℃よりも大きい
場合には、油の温度の上昇によって、クリアランスの増
加が適正値よりも大きくなり、油圧の低下、油流量の増
加または油流量の変動を起こすことがある。一方、(α
C −αV )の値が−3×10-6/℃よりも小さい場合に
は、油の温度が120℃を超えた際に、バルブスプール
の径の増加が顕著となる。その結果、バルブスプールが
バルブケースと接触し、油圧が適正値よりも高くなった
り、油の流量が低下することがある。
【0049】好ましくは、バルブケースの摺動面には、
マイクロビッカース硬さ150以上の硬度を有する硬質
皮膜層が形成されている。
マイクロビッカース硬さ150以上の硬度を有する硬質
皮膜層が形成されている。
【0050】この場合、バルブスプールとバルブケース
との間に異物粒子が入り込んだ場合に、スティック現象
を抑制することができる。しかしながら、その硬質皮膜
層の硬さがマイクロビッカース硬さ150よりも小さい
場合には、異物粒子が入り込んだ際に硬質皮膜層の摩耗
が進み、スティック現象が顕著になる。
との間に異物粒子が入り込んだ場合に、スティック現象
を抑制することができる。しかしながら、その硬質皮膜
層の硬さがマイクロビッカース硬さ150よりも小さい
場合には、異物粒子が入り込んだ際に硬質皮膜層の摩耗
が進み、スティック現象が顕著になる。
【0051】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態に係る摺動部
材としてのギアロータセットまたはバルブスプールに用
いられる焼結アルミニウム合金においては、耐熱性、耐
摩耗性、耐焼き付き性および相手材への攻撃性を向上さ
せる目的から、窒化アルミニウムをアルミニウム合金中
に生成および分散させている。窒化アルミニウムは、5
00℃の高温を超えても熱的に安定である。
材としてのギアロータセットまたはバルブスプールに用
いられる焼結アルミニウム合金においては、耐熱性、耐
摩耗性、耐焼き付き性および相手材への攻撃性を向上さ
せる目的から、窒化アルミニウムをアルミニウム合金中
に生成および分散させている。窒化アルミニウムは、5
00℃の高温を超えても熱的に安定である。
【0052】従来の粉末冶金技術による焼結アルミニウ
ム合金(以下単に「従来の焼結アルミニウム合金」と記
す)では、窒化アルミニウムの粉末(粒子)とアルミニ
ウム合金の粉末とを混合することによって、窒化アルミ
ニウムが焼結アルミニウム合金中に添加された状態で存
在していた。本発明に適用される焼結アルミニウム合金
では、アルミニウム合金粉末中のアルミニウムの成分と
窒素ガスとを反応させることによって、窒化アルミニウ
ムをアルミニウム合金中に生成および分散させている。
ム合金(以下単に「従来の焼結アルミニウム合金」と記
す)では、窒化アルミニウムの粉末(粒子)とアルミニ
ウム合金の粉末とを混合することによって、窒化アルミ
ニウムが焼結アルミニウム合金中に添加された状態で存
在していた。本発明に適用される焼結アルミニウム合金
では、アルミニウム合金粉末中のアルミニウムの成分と
窒素ガスとを反応させることによって、窒化アルミニウ
ムをアルミニウム合金中に生成および分散させている。
【0053】従来の焼結アルミニウム合金では、実施例
の項において説明する図7に示すように、添加された窒
化アルミニウムの粒子とアルミニウム合金の素地との接
触界面には隙間がある。窒化アルミニウムの粒子は、ア
ルミニウム合金中に機械的に拘束された状態であるため
に、耐熱性の改善効果は少ない。また、相手のバルブケ
ースとの摩擦および摺動によって、窒化アルミニウムの
粒子が脱落して硬い摩耗粉となり、焼き付き現象やかじ
り現象を生じていた。
の項において説明する図7に示すように、添加された窒
化アルミニウムの粒子とアルミニウム合金の素地との接
触界面には隙間がある。窒化アルミニウムの粒子は、ア
ルミニウム合金中に機械的に拘束された状態であるため
に、耐熱性の改善効果は少ない。また、相手のバルブケ
ースとの摩擦および摺動によって、窒化アルミニウムの
粒子が脱落して硬い摩耗粉となり、焼き付き現象やかじ
り現象を生じていた。
【0054】これに対して、本発明に係る摺動部材に適
用される焼結アルミニウム合金では、アルミニウム合金
粉末中のアルミニウムと窒素ガスとを反応(以下「直接
窒化反応」と記す)させることによって窒化アルミニウ
ムを生成する。このため、実施例の項において説明する
図6に示すように、窒化アルミニウムとアルミニウム合
金の素地とは結合しており、両者の接触界面には隙間が
なく、窒化アルミニウムの粒子はアルミニウム合金の素
地に強固に密着している。その結果、焼結アルミニウム
合金の耐熱性、耐摩耗性および耐焼き付き性が大幅に向
上する。
用される焼結アルミニウム合金では、アルミニウム合金
粉末中のアルミニウムと窒素ガスとを反応(以下「直接
窒化反応」と記す)させることによって窒化アルミニウ
ムを生成する。このため、実施例の項において説明する
図6に示すように、窒化アルミニウムとアルミニウム合
金の素地とは結合しており、両者の接触界面には隙間が
なく、窒化アルミニウムの粒子はアルミニウム合金の素
地に強固に密着している。その結果、焼結アルミニウム
合金の耐熱性、耐摩耗性および耐焼き付き性が大幅に向
上する。
【0055】発明者らは、これらの特性に加えて、窒化
アルミニウムの粒子がアルミニウム合金の素地と結合し
た構造を有することにより、焼結アルミニウム合金全体
の剛性が顕著に向上することも見出した。そして、この
焼結アルミニウム合金を、高剛性、高硬度が要求される
オイルポンプ用のギアロータセットのインナーロータに
適用できることを見出した。
アルミニウムの粒子がアルミニウム合金の素地と結合し
た構造を有することにより、焼結アルミニウム合金全体
の剛性が顕著に向上することも見出した。そして、この
焼結アルミニウム合金を、高剛性、高硬度が要求される
オイルポンプ用のギアロータセットのインナーロータに
適用できることを見出した。
【0056】オイルポンプのギアロータセットは、イン
ナーロータとアウターロータとを組み合わせることによ
って構成される。すなわち、アウターロータの内周部お
よびインナーロータの外周部には、トロコイド曲線、イ
ンボリュート曲線およびハイポサイクロイド曲線のうち
のいずれかの曲線を基調とした歯形形状がそれぞれ形成
され、そのインナーロータの歯形形状とアウターロータ
の歯形形状とを組み合わせた内接タイプのギアロータセ
ットが、溶製アルミニウム合金のケースにセットされ
る。
ナーロータとアウターロータとを組み合わせることによ
って構成される。すなわち、アウターロータの内周部お
よびインナーロータの外周部には、トロコイド曲線、イ
ンボリュート曲線およびハイポサイクロイド曲線のうち
のいずれかの曲線を基調とした歯形形状がそれぞれ形成
され、そのインナーロータの歯形形状とアウターロータ
の歯形形状とを組み合わせた内接タイプのギアロータセ
ットが、溶製アルミニウム合金のケースにセットされ
る。
【0057】そのインナーロータでは、歯形部を機械加
工を施すことなしにサイジングやコイニングを行なうこ
とができる。その結果、経済的にギアロータセットを得
ることができる。また、要求される強度および剛性がイ
ンナーロータと比べて小さいアウターロータへも、本発
明の焼結アルミニウム合金を適用することができるのは
言うまでもない。
工を施すことなしにサイジングやコイニングを行なうこ
とができる。その結果、経済的にギアロータセットを得
ることができる。また、要求される強度および剛性がイ
ンナーロータと比べて小さいアウターロータへも、本発
明の焼結アルミニウム合金を適用することができるのは
言うまでもない。
【0058】本発明の実施の形態に係るギアロータセッ
トの製造方法としては、まず、油圧プレス、メカプレス
あるいは冷間静水圧プレス等によって、アルミニウム合
金粉末を型押成形して圧粉体を作製する。この圧粉体を
窒素ガス雰囲気中で加熱および焼結することにより得ら
れたアルミニウム合金焼結体の旧粉末粒界に、直接窒化
反応による窒化アルミニウムを生成および分散させる。
そして、必要に応じてサイジングやコイニング等による
金型内における寸法矯正加工を施すことにより、高い寸
法精度を有するギアーロータセットが得られる。
トの製造方法としては、まず、油圧プレス、メカプレス
あるいは冷間静水圧プレス等によって、アルミニウム合
金粉末を型押成形して圧粉体を作製する。この圧粉体を
窒素ガス雰囲気中で加熱および焼結することにより得ら
れたアルミニウム合金焼結体の旧粉末粒界に、直接窒化
反応による窒化アルミニウムを生成および分散させる。
そして、必要に応じてサイジングやコイニング等による
金型内における寸法矯正加工を施すことにより、高い寸
法精度を有するギアーロータセットが得られる。
【0059】上述した製法により得られる焼結アルミニ
ウム合金は窒素を含有している。その窒素は、既に説明
したように、窒化アルミニウムとして存在する。直接窒
化反応により得られる焼結アルミニウム合金において
は、アルミニウム合金中の窒素の含有量と窒化アルミニ
ウムの含有量とはほぼ比例関係ある。ギアロータセット
として要求される所定の硬度、剛性および耐摩耗性を得
るためには、焼結アルミニウム合金の全重量に対して
0.1〜3.5重量%の窒素が必要である。この値は、
焼結アルミニウム合金の全重量に対して、0.5〜11
重量%の窒化アルミニウムの量に相当する。
ウム合金は窒素を含有している。その窒素は、既に説明
したように、窒化アルミニウムとして存在する。直接窒
化反応により得られる焼結アルミニウム合金において
は、アルミニウム合金中の窒素の含有量と窒化アルミニ
ウムの含有量とはほぼ比例関係ある。ギアロータセット
として要求される所定の硬度、剛性および耐摩耗性を得
るためには、焼結アルミニウム合金の全重量に対して
0.1〜3.5重量%の窒素が必要である。この値は、
焼結アルミニウム合金の全重量に対して、0.5〜11
重量%の窒化アルミニウムの量に相当する。
【0060】窒素の量が0.1重量%よりも少ない場
合、すなわち、窒化アルミニウムの量が0.5重量%よ
り少ない場合には、焼結アルミニウム合金の耐熱性およ
び耐摩耗性が得られない。一方、窒素の量が3.5重量
%よりも多い場合、すなわち、窒化アルミニウムの量が
11重量%よりも多い場合には、焼結アルミニウム合金
の耐摩耗性は顕著には向上せず、かえって被削性の低下
や靱性の低下、あるいは焼結アルミニウム合金の焼結工
程の長時間化といった経済性の問題が生じる。
合、すなわち、窒化アルミニウムの量が0.5重量%よ
り少ない場合には、焼結アルミニウム合金の耐熱性およ
び耐摩耗性が得られない。一方、窒素の量が3.5重量
%よりも多い場合、すなわち、窒化アルミニウムの量が
11重量%よりも多い場合には、焼結アルミニウム合金
の耐摩耗性は顕著には向上せず、かえって被削性の低下
や靱性の低下、あるいは焼結アルミニウム合金の焼結工
程の長時間化といった経済性の問題が生じる。
【0061】また、この焼結アルミニウム合金は、耐摩
耗性および耐焼き付き性が要求される油圧および油流量
の制御用バルブスプールにも適用することができる。バ
ルブスプールの製造方法としては、まず、油圧プレスや
冷間静水圧プレス等によって、アルミニウム合金粉末を
型押成形して圧粉体を作製する。この圧粉体を窒素ガス
雰囲気中で加熱および焼結することにより得られたアル
ミニウム合金焼結耐の旧粉末粒界に、直接窒化反応によ
る窒化アルミニウムを生成および分散させる。また、必
要に応じて熱間押出法や熱間鍛造法を施すことで、アル
ミニウム合金焼結体の強度を向上させる。
耗性および耐焼き付き性が要求される油圧および油流量
の制御用バルブスプールにも適用することができる。バ
ルブスプールの製造方法としては、まず、油圧プレスや
冷間静水圧プレス等によって、アルミニウム合金粉末を
型押成形して圧粉体を作製する。この圧粉体を窒素ガス
雰囲気中で加熱および焼結することにより得られたアル
ミニウム合金焼結耐の旧粉末粒界に、直接窒化反応によ
る窒化アルミニウムを生成および分散させる。また、必
要に応じて熱間押出法や熱間鍛造法を施すことで、アル
ミニウム合金焼結体の強度を向上させる。
【0062】上述した製法により得られる焼結アルミニ
ウム合金において、適切な窒化アルミニウムの生成量
は、焼結アルミニウム合金の全重量に対して、0.5〜
6重量%である。耐摩耗性および被削性の観点からは、
窒化アルミニウムの量は1〜4重量%がより好ましい。
窒化アルミニウムの量が0.5重量%より少ない場合に
は、焼結アルミニウム合金の耐熱性および耐摩耗性が得
られない。一方、窒化アルミニウムの量が6重量%より
も多い場合には、バルブスプールとして用いる際の焼結
アルミニウム合金の耐摩耗性は顕著には向上せず、かえ
って被削性の低下や靱性の低下、あるいは焼結アルミニ
ウム合金の焼結工程の長時間化といった経済性の問題が
生じる。
ウム合金において、適切な窒化アルミニウムの生成量
は、焼結アルミニウム合金の全重量に対して、0.5〜
6重量%である。耐摩耗性および被削性の観点からは、
窒化アルミニウムの量は1〜4重量%がより好ましい。
窒化アルミニウムの量が0.5重量%より少ない場合に
は、焼結アルミニウム合金の耐熱性および耐摩耗性が得
られない。一方、窒化アルミニウムの量が6重量%より
も多い場合には、バルブスプールとして用いる際の焼結
アルミニウム合金の耐摩耗性は顕著には向上せず、かえ
って被削性の低下や靱性の低下、あるいは焼結アルミニ
ウム合金の焼結工程の長時間化といった経済性の問題が
生じる。
【0063】適正な量の窒化アルミニウムを生成させる
ためには、焼結アルミニウム合金に、0.1〜2重量%
の窒素を含有させる。発明者らは、直接窒化反応によっ
て形成される焼結アルミニウム合金においては、含有す
る窒素の量が0.1重量%よりも少ない場合には、0.
5重量%以上の窒化アルミニウムを生成することがでぎ
す、一方、窒素の量が2重量%よりも多い場合には、6
重量%を超える窒化アルミニウムが生成されることを確
認している。
ためには、焼結アルミニウム合金に、0.1〜2重量%
の窒素を含有させる。発明者らは、直接窒化反応によっ
て形成される焼結アルミニウム合金においては、含有す
る窒素の量が0.1重量%よりも少ない場合には、0.
5重量%以上の窒化アルミニウムを生成することがでぎ
す、一方、窒素の量が2重量%よりも多い場合には、6
重量%を超える窒化アルミニウムが生成されることを確
認している。
【0064】なお、直接窒化反応によって焼結アルミニ
ウム合金中に窒化アルミニウムを生成および分散させる
ためには、マグネシウムを0.05重量%以上含有する
ことが必要である。マグネシウムは、予めアルミニウム
合金粉末中に含有されている。マグネシウムは、窒素ガ
ス雰囲気中でアルミニウム圧粉体を加熱および焼結する
際に、粉末表面を覆う酸化アルミニウムの皮膜を還元反
応により除去する作用を有している。これにより、窒素
ガスとアルミニウム粉末中のアルミニウムの成分が反応
して、窒化アルミニウムが生成される。このとき、マグ
ネシウムの含有量が0.05重量%より少ない場合に
は、マグネシウムによる還元反応が十分に行なわれない
ために、窒化アルミニウムを均一に生成することができ
ない。
ウム合金中に窒化アルミニウムを生成および分散させる
ためには、マグネシウムを0.05重量%以上含有する
ことが必要である。マグネシウムは、予めアルミニウム
合金粉末中に含有されている。マグネシウムは、窒素ガ
ス雰囲気中でアルミニウム圧粉体を加熱および焼結する
際に、粉末表面を覆う酸化アルミニウムの皮膜を還元反
応により除去する作用を有している。これにより、窒素
ガスとアルミニウム粉末中のアルミニウムの成分が反応
して、窒化アルミニウムが生成される。このとき、マグ
ネシウムの含有量が0.05重量%より少ない場合に
は、マグネシウムによる還元反応が十分に行なわれない
ために、窒化アルミニウムを均一に生成することができ
ない。
【0065】また、直接窒化反応によって焼結アルミニ
ウム合金中に生成した窒化アルミニウムは、圧粉体中の
アルミニウム合金の粉末から一方向に繊維状もしくは樹
枝状に成長している。すなわち、実施例の項において説
明する図3に示すように、窒化アルミニウムは層状の皮
膜として、アルミニウム合金中に生成および分散する。
ウム合金中に生成した窒化アルミニウムは、圧粉体中の
アルミニウム合金の粉末から一方向に繊維状もしくは樹
枝状に成長している。すなわち、実施例の項において説
明する図3に示すように、窒化アルミニウムは層状の皮
膜として、アルミニウム合金中に生成および分散する。
【0066】一方、従来の焼結アルミニウム合金におい
ては、実施例の項において説明する図5に示すように、
単結晶構造を有する窒化アルミニウムの粒子が分散して
存在している。発明者らは、直接窒化反応を利用して焼
結アルミニウム合金中に生成される窒化アルミニウムが
繊維状の構造を有することにより、従来の焼結アルミニ
ウムの場合と比べて、摺動性がより優れていることを見
出した。
ては、実施例の項において説明する図5に示すように、
単結晶構造を有する窒化アルミニウムの粒子が分散して
存在している。発明者らは、直接窒化反応を利用して焼
結アルミニウム合金中に生成される窒化アルミニウムが
繊維状の構造を有することにより、従来の焼結アルミニ
ウムの場合と比べて、摺動性がより優れていることを見
出した。
【0067】ところで、繊維状に成長する方向を窒化ア
ルミニウムの厚さ方向とするとき、直接窒化反応により
生成する窒化アルミニウムの厚さは、2μm以下である
ことが望ましい。より好ましくは1μm以下である。こ
のことは次の理由による。窒化アルミニウムの厚さは、
窒化アルミニウムの生成量にほぼ比例しており、たとえ
ば、窒化アルミニウムの生成量が11重量%の場合に
は、窒化アルミニウムの厚さは約2μmとなる。このた
め、窒化アルミニウムの厚さが2μmを超える場合に
は、窒化アルミニウムの生成量が11重量%を超えるこ
とになる。そのような場合には、特にバルブスプールと
して用いる場合における焼結アルミニウム合金の被削性
や靱性の低下が問題となる。特に、被削性の観点から
は、窒化アルミニウムの厚さは1μm以下であることが
より好ましい。
ルミニウムの厚さ方向とするとき、直接窒化反応により
生成する窒化アルミニウムの厚さは、2μm以下である
ことが望ましい。より好ましくは1μm以下である。こ
のことは次の理由による。窒化アルミニウムの厚さは、
窒化アルミニウムの生成量にほぼ比例しており、たとえ
ば、窒化アルミニウムの生成量が11重量%の場合に
は、窒化アルミニウムの厚さは約2μmとなる。このた
め、窒化アルミニウムの厚さが2μmを超える場合に
は、窒化アルミニウムの生成量が11重量%を超えるこ
とになる。そのような場合には、特にバルブスプールと
して用いる場合における焼結アルミニウム合金の被削性
や靱性の低下が問題となる。特に、被削性の観点から
は、窒化アルミニウムの厚さは1μm以下であることが
より好ましい。
【0068】本発明の実施の形態に係るギアロータセッ
トやバルブに用いられる焼結アルミニウム合金の摺動表
面には、空孔が分散して存在している。その空孔部分が
摺動表面において凹状ピットを形成し、その部分に潤滑
油が保持される。これにより、摺動界面における油膜切
れを防ぎ、優れた耐焼き付き性および耐摩耗性を得るこ
とができる。この場合、焼結アルミニウム合金中の空孔
率は、焼結アルミニウム合金の全容積の25容積%以下
であることが望ましい。焼結アルミニウム合金の空孔率
が、25容積%を超える場合には、焼結アルミニウム合
金の機械的強度が低下する。このため、バルブスプール
に用いる場合には、バルブスプールの内部に金属部品を
圧入する際にバルブスプールが欠損するといった問題が
生じる。なお、焼結アルミニウム合金中の空孔率は、原
料であるアルミニウム合金の粉末を型押成形する際の圧
力や、熱間押出時の押出比(焼結体の塑性加工比)や熱
間鍛造時の圧力によって制御される。
トやバルブに用いられる焼結アルミニウム合金の摺動表
面には、空孔が分散して存在している。その空孔部分が
摺動表面において凹状ピットを形成し、その部分に潤滑
油が保持される。これにより、摺動界面における油膜切
れを防ぎ、優れた耐焼き付き性および耐摩耗性を得るこ
とができる。この場合、焼結アルミニウム合金中の空孔
率は、焼結アルミニウム合金の全容積の25容積%以下
であることが望ましい。焼結アルミニウム合金の空孔率
が、25容積%を超える場合には、焼結アルミニウム合
金の機械的強度が低下する。このため、バルブスプール
に用いる場合には、バルブスプールの内部に金属部品を
圧入する際にバルブスプールが欠損するといった問題が
生じる。なお、焼結アルミニウム合金中の空孔率は、原
料であるアルミニウム合金の粉末を型押成形する際の圧
力や、熱間押出時の押出比(焼結体の塑性加工比)や熱
間鍛造時の圧力によって制御される。
【0069】また、ギアロータセットにおいては、イン
ナーロータに用いられる焼結アルミニウム合金と、アウ
ターロータに用いられる焼結アルミニウム合金とがそれ
ぞれ異なる空孔率の値の範囲を有している。
ナーロータに用いられる焼結アルミニウム合金と、アウ
ターロータに用いられる焼結アルミニウム合金とがそれ
ぞれ異なる空孔率の値の範囲を有している。
【0070】まずインナーロータにおいては、鋼製駆動
軸と接するインナーロータの内径部には最も大きな応力
が作用するので、摩耗や欠損を抑制するために高硬度お
よび高剛性が要求される。このため、適正な空孔率とし
ては、2〜10容積%が望ましい。より望ましくは、2
〜6容積%以下である。空孔率が2容積%よりも小さい
場合には、空孔部に油が十分に保持されないために、摺
動面において焼き付き現象や凝着摩耗が発生する。一
方、空孔率が10容積%よりも大きい場合には、インナ
ーロータの内径部の摩耗や欠損が生じる。
軸と接するインナーロータの内径部には最も大きな応力
が作用するので、摩耗や欠損を抑制するために高硬度お
よび高剛性が要求される。このため、適正な空孔率とし
ては、2〜10容積%が望ましい。より望ましくは、2
〜6容積%以下である。空孔率が2容積%よりも小さい
場合には、空孔部に油が十分に保持されないために、摺
動面において焼き付き現象や凝着摩耗が発生する。一
方、空孔率が10容積%よりも大きい場合には、インナ
ーロータの内径部の摩耗や欠損が生じる。
【0071】アウターロータにおいては、インナーロー
タに作用する応力ほど大きな応力は作用しない。しかし
ながら、ギアロータセットの部位の中で最も高速に摺動
するアウターロータの外周面と、そのアウターロータを
封入したケースの摺動面とに、耐焼き付き性および耐摩
耗性が要求される。このため、アウターロータの焼結ア
ルミニウム合金の空孔率は3〜15容積%以下が望まし
い。より望ましくは、7〜10容積%以下である。空孔
率が3容積%よりも少ない場合には、空孔部による油保
持の効果が十分でないために、ポンプケースとアウター
ロータとの摺動面において、焼き付き(凝着)摩耗が発
生するといった問題が生じる。一方、空孔率が15容積
%よりも多い場合には、焼結アルミニウム合金の機械的
強度が低下する。このため、応力が集中するアウターロ
ータの歯形の谷間の部分に、亀裂や割れが生じる。ま
た、アウターロータを搬送する際に破損したり欠けが発
生するといったハンドリングの問題も生じる。
タに作用する応力ほど大きな応力は作用しない。しかし
ながら、ギアロータセットの部位の中で最も高速に摺動
するアウターロータの外周面と、そのアウターロータを
封入したケースの摺動面とに、耐焼き付き性および耐摩
耗性が要求される。このため、アウターロータの焼結ア
ルミニウム合金の空孔率は3〜15容積%以下が望まし
い。より望ましくは、7〜10容積%以下である。空孔
率が3容積%よりも少ない場合には、空孔部による油保
持の効果が十分でないために、ポンプケースとアウター
ロータとの摺動面において、焼き付き(凝着)摩耗が発
生するといった問題が生じる。一方、空孔率が15容積
%よりも多い場合には、焼結アルミニウム合金の機械的
強度が低下する。このため、応力が集中するアウターロ
ータの歯形の谷間の部分に、亀裂や割れが生じる。ま
た、アウターロータを搬送する際に破損したり欠けが発
生するといったハンドリングの問題も生じる。
【0072】なお、焼結アルミニウム合金中の空孔率は
焼結アルミニウム合金の成形体の密度によって制御する
ことが可能である。また、焼結アルミニウム合金を金型
内で加圧および圧縮によって塑性加工する際の塑性変形
量や加圧力などによって制御することも可能である。
焼結アルミニウム合金の成形体の密度によって制御する
ことが可能である。また、焼結アルミニウム合金を金型
内で加圧および圧縮によって塑性加工する際の塑性変形
量や加圧力などによって制御することも可能である。
【0073】また、アウターロータを封入するポンプケ
ースの材質については、特に、合金組成および機械的特
性上の制約はなく、高圧または低圧アルミニウム鋳造法
などによって製造した溶製アルミニウム合金を用いるこ
とができる。
ースの材質については、特に、合金組成および機械的特
性上の制約はなく、高圧または低圧アルミニウム鋳造法
などによって製造した溶製アルミニウム合金を用いるこ
とができる。
【0074】本発明の実施の形態に係るギアロータセッ
トやバルブスプールに用いられる焼結アルミニウム合金
においては、必要に応じて、シリコン(Si)、鉄(F
e)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(T
i)、ジルコニウム(Zr)およびマンガン(Mn)の
うちから少なくとも1つまたは2つ以上の元素を含有す
る。なお、元素の含有量は25重量%以下であることが
望ましい。もし25重量%よりも多い元素を含む場合に
は、各特性は著しく向上せず、かえって焼結アルミニウ
ム合金の靱性が低下するといった問題が生じたり、ま
た、アルミニウム合金の硬さや剛性が大きくなりすぎる
ために、熱間押出が困難になるという製造上の問題も生
じる。
トやバルブスプールに用いられる焼結アルミニウム合金
においては、必要に応じて、シリコン(Si)、鉄(F
e)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(T
i)、ジルコニウム(Zr)およびマンガン(Mn)の
うちから少なくとも1つまたは2つ以上の元素を含有す
る。なお、元素の含有量は25重量%以下であることが
望ましい。もし25重量%よりも多い元素を含む場合に
は、各特性は著しく向上せず、かえって焼結アルミニウ
ム合金の靱性が低下するといった問題が生じたり、ま
た、アルミニウム合金の硬さや剛性が大きくなりすぎる
ために、熱間押出が困難になるという製造上の問題も生
じる。
【0075】また、上記元素を焼結アルミニウム合金に
添加するには、次のような手段を用いた。まず、必要な
上記元素を含む所定の合金組成を有するアルミニウム合
金溶湯から急冷凝固法により、原料のアルミニウム合金
粉末を作製した。つまり、アルミニウム合金溶湯を噴霧
法(アトマイズ法)により、アルミニウム合金粉末にし
た。そのアルミニウム合金粉末を成形および加熱固化す
ることにより、所定の組成を有する焼結アルミニウム合
金を作製した。
添加するには、次のような手段を用いた。まず、必要な
上記元素を含む所定の合金組成を有するアルミニウム合
金溶湯から急冷凝固法により、原料のアルミニウム合金
粉末を作製した。つまり、アルミニウム合金溶湯を噴霧
法(アトマイズ法)により、アルミニウム合金粉末にし
た。そのアルミニウム合金粉末を成形および加熱固化す
ることにより、所定の組成を有する焼結アルミニウム合
金を作製した。
【0076】上記の元素を含有することにより、次に示
すような効果を得ることができる。まずシリコンを添加
する場合には、シリコンが焼結アルミニウム合金の中に
分散して、焼結アルミニウム合金の耐摩耗性および耐焼
き付き性が向上する。しかしながら、20重量%以上の
シリコンの添加は、かえって焼結アルミニウム合金の靱
性が低下するといった問題が生じる。また、焼結アルミ
ニウム合金の剛性が大きくなるために、熱間押出におい
て押出体を成形する際に高い押出力を必要とし、このた
めに、大型の押出設備が必要となり経済的な問題が生じ
る。
すような効果を得ることができる。まずシリコンを添加
する場合には、シリコンが焼結アルミニウム合金の中に
分散して、焼結アルミニウム合金の耐摩耗性および耐焼
き付き性が向上する。しかしながら、20重量%以上の
シリコンの添加は、かえって焼結アルミニウム合金の靱
性が低下するといった問題が生じる。また、焼結アルミ
ニウム合金の剛性が大きくなるために、熱間押出におい
て押出体を成形する際に高い押出力を必要とし、このた
めに、大型の押出設備が必要となり経済的な問題が生じ
る。
【0077】鉄、ニッケル、クロム、チタンまたはジル
コニウムを含む場合には、これらの金属元素は、アルミ
ニウムと金属間化合物を形成し、アルミニウム合金中に
分散する。これにより、焼結アルミニウム合金の耐熱
性、剛性および硬さが向上する。耐熱性が改善すること
によって、摺動時における焼結アルミニウム合金と相手
材との焼き付きが大幅に抑制される。また、熱的に安定
な金属間化合物が微細かつ均一にアルミニウム合金中に
分散することによって、加熱および焼結時におけるシリ
コン晶の成長を抑制することができる。これにより、焼
結アルミニウム合金の被削性が大幅に向上する。このよ
うな効果を得るためには、各元素をそれぞれ1重量%以
上含有させる必要がある。
コニウムを含む場合には、これらの金属元素は、アルミ
ニウムと金属間化合物を形成し、アルミニウム合金中に
分散する。これにより、焼結アルミニウム合金の耐熱
性、剛性および硬さが向上する。耐熱性が改善すること
によって、摺動時における焼結アルミニウム合金と相手
材との焼き付きが大幅に抑制される。また、熱的に安定
な金属間化合物が微細かつ均一にアルミニウム合金中に
分散することによって、加熱および焼結時におけるシリ
コン晶の成長を抑制することができる。これにより、焼
結アルミニウム合金の被削性が大幅に向上する。このよ
うな効果を得るためには、各元素をそれぞれ1重量%以
上含有させる必要がある。
【0078】一方、これらの元素を適正量より多く添加
した場合には、各元素とアルミニウムとの金属間化合物
が粗大化するために、かえって焼結アルミニウム合金の
靱性や強度を低下させるといった問題が生じる。また、
アルミニウム合金粉末を製造する過程で、アルミニウム
合金溶湯の融点が上昇するために、製造コストが上昇す
る。このため、アルミニウム合金粉末の価格が高くなる
といった経済的な問題が生じる。発明者らは、各元素の
適正な添加量として、鉄1〜8重量%、ニッケル1〜8
重量%、クロム1〜6重量%、チタン1〜4重量%、ジ
ルコニウム1〜4重量%をそれぞれ設定した。
した場合には、各元素とアルミニウムとの金属間化合物
が粗大化するために、かえって焼結アルミニウム合金の
靱性や強度を低下させるといった問題が生じる。また、
アルミニウム合金粉末を製造する過程で、アルミニウム
合金溶湯の融点が上昇するために、製造コストが上昇す
る。このため、アルミニウム合金粉末の価格が高くなる
といった経済的な問題が生じる。発明者らは、各元素の
適正な添加量として、鉄1〜8重量%、ニッケル1〜8
重量%、クロム1〜6重量%、チタン1〜4重量%、ジ
ルコニウム1〜4重量%をそれぞれ設定した。
【0079】マンガンの場合には、マンガンとアルミニ
ウムとの金属間化合物が形成される。その金属間化合物
がアルミニウム合金中に均一に分散することで、アルミ
ニウム合金の機械的強度および摺動時における相手材と
の焼き付き性を向上させる効果がある。これらの効果を
発揮させるためには、マンガンを1重量%以上添加する
必要がある。なお、5重量%を超えるマンガンを添加し
た場合には、各特性は向上せず、かえってアルミニウム
合金の靱性が低下する。
ウムとの金属間化合物が形成される。その金属間化合物
がアルミニウム合金中に均一に分散することで、アルミ
ニウム合金の機械的強度および摺動時における相手材と
の焼き付き性を向上させる効果がある。これらの効果を
発揮させるためには、マンガンを1重量%以上添加する
必要がある。なお、5重量%を超えるマンガンを添加し
た場合には、各特性は向上せず、かえってアルミニウム
合金の靱性が低下する。
【0080】本発明の実施の形態に係るギアロータセッ
トやバルブスプールに用いられる焼結アルミニウム合金
は、必要に応じて、酸化チタン(TiO2 )、酸化ジル
コニウム(ZrO2 )、酸化シリコン(SiO2 )、酸
化マグネシウム(MgO2 )、酸化アルミニウム(Al
2 O3 )および酸化クロム(Cr2 O3 )のうちから少
なくとも1つまたは2つ以上の酸化物を5重量%以下含
有している。これらの酸化物は、球状の硬質粒子であ
る。これらの酸化物は、窒化アルミニウムやシリコンと
同様に、焼結アルミニウム合金中に分散して、ギアロー
タセットやバルブスプールの耐摩耗性および耐焼き付き
性を向上させる。
トやバルブスプールに用いられる焼結アルミニウム合金
は、必要に応じて、酸化チタン(TiO2 )、酸化ジル
コニウム(ZrO2 )、酸化シリコン(SiO2 )、酸
化マグネシウム(MgO2 )、酸化アルミニウム(Al
2 O3 )および酸化クロム(Cr2 O3 )のうちから少
なくとも1つまたは2つ以上の酸化物を5重量%以下含
有している。これらの酸化物は、球状の硬質粒子であ
る。これらの酸化物は、窒化アルミニウムやシリコンと
同様に、焼結アルミニウム合金中に分散して、ギアロー
タセットやバルブスプールの耐摩耗性および耐焼き付き
性を向上させる。
【0081】ただし、酸化物の添加量は、焼結アルミニ
ウム合金の全重量に対して5重量%以下であることが望
ましい。5重量%を超える酸化物を添加した場合には、
焼結アルミニウム合金の耐摩耗性や耐焼き付き性は顕著
に向上することはなく、かえって焼結アルミニウム合金
の被削性が低下したり相手材を攻撃するといった問題が
生じる。発明者らは、焼結アルミニウム合金の耐摩耗性
および被削性の観点から、酸化チタン、酸化シリコン、
酸化マグネシウム、酸化アルミニウムの酸化物の添加が
より効果的であることを見出した。
ウム合金の全重量に対して5重量%以下であることが望
ましい。5重量%を超える酸化物を添加した場合には、
焼結アルミニウム合金の耐摩耗性や耐焼き付き性は顕著
に向上することはなく、かえって焼結アルミニウム合金
の被削性が低下したり相手材を攻撃するといった問題が
生じる。発明者らは、焼結アルミニウム合金の耐摩耗性
および被削性の観点から、酸化チタン、酸化シリコン、
酸化マグネシウム、酸化アルミニウムの酸化物の添加が
より効果的であることを見出した。
【0082】本発明の実施の形態に係るギアロータセッ
トやバルブスプールに用いられる焼結アルミニウム合金
には、黒鉛、硫化モリブデン(MoS2 )、硫化タング
ステン(WS2 )およびフッ化カルシウム(CaF2 )
のうちから少なくとも1つまたは2つ以上の潤滑成分が
添加されている。各潤滑成分は、摺動表面に分散して凹
状の油溜りを形成する。これにより、摺動界面における
油膜切れを防ぎ、優れた焼き付き性および耐摩耗性を得
ることができる。
トやバルブスプールに用いられる焼結アルミニウム合金
には、黒鉛、硫化モリブデン(MoS2 )、硫化タング
ステン(WS2 )およびフッ化カルシウム(CaF2 )
のうちから少なくとも1つまたは2つ以上の潤滑成分が
添加されている。各潤滑成分は、摺動表面に分散して凹
状の油溜りを形成する。これにより、摺動界面における
油膜切れを防ぎ、優れた焼き付き性および耐摩耗性を得
ることができる。
【0083】ただし、これらの潤滑成分の添加量は、焼
結アルミニウム合金の全重量に対して5重量%以下であ
ることが望ましい。より好ましい添加量は、1〜3重量
%である。5重量%を超える潤滑成分を添加する場合に
は、アルミニウム合金粉末同士の結合強度が低下し、焼
結アルミニウム合金の機械的強度が十分に得られない。
結アルミニウム合金の全重量に対して5重量%以下であ
ることが望ましい。より好ましい添加量は、1〜3重量
%である。5重量%を超える潤滑成分を添加する場合に
は、アルミニウム合金粉末同士の結合強度が低下し、焼
結アルミニウム合金の機械的強度が十分に得られない。
【0084】本発明の実施の形態に係るバルブのバルブ
スプールは、焼結アルミニウム合金から形成され、バル
ブケースは、アルミニウム鋳物合金から形成されてい
る。バルブスプールは、バルブケース内にて往復摺動す
る。その往復摺動によって、油の圧力および油の流量が
制御される。その性能は、バルブスプールとバルブケー
スとのクリアランスに大きく依存する。バルブスプール
とバルブケースとのクリアランスが大きくなると、油圧
の低下や油の流量の増加といった問題が生じる。
スプールは、焼結アルミニウム合金から形成され、バル
ブケースは、アルミニウム鋳物合金から形成されてい
る。バルブスプールは、バルブケース内にて往復摺動す
る。その往復摺動によって、油の圧力および油の流量が
制御される。その性能は、バルブスプールとバルブケー
スとのクリアランスに大きく依存する。バルブスプール
とバルブケースとのクリアランスが大きくなると、油圧
の低下や油の流量の増加といった問題が生じる。
【0085】発明者らは、循環する油の温度が120〜
180℃程度に上昇することから、バルブケースとバル
ブスプールとの熱膨張率の値の差異によってクリアラン
スの増加が生じることに着目し、油の圧力および流量を
制御するための適正なそれぞれの熱膨張率の相関を見出
した。すなわち、バルブスプールの焼結アルミニウム合
金の熱膨張率をαV 、バルブケースを構成するアルミニ
ウム鋳物合金の熱膨張率をαC とするとき、−3×10
-6/℃≦(αC −αV )≦3×10-6/℃を満足する場
合に、油の圧力および流量を適正に制御することができ
る。
180℃程度に上昇することから、バルブケースとバル
ブスプールとの熱膨張率の値の差異によってクリアラン
スの増加が生じることに着目し、油の圧力および流量を
制御するための適正なそれぞれの熱膨張率の相関を見出
した。すなわち、バルブスプールの焼結アルミニウム合
金の熱膨張率をαV 、バルブケースを構成するアルミニ
ウム鋳物合金の熱膨張率をαC とするとき、−3×10
-6/℃≦(αC −αV )≦3×10-6/℃を満足する場
合に、油の圧力および流量を適正に制御することができ
る。
【0086】もし、(αC −αV )の値が3×10-6/
℃よりも大きい場合には、油の温度の上昇によってクリ
アランスの増加が適正な値よりも大きくなるために、油
の圧力の低下または油の流量の増加あるは変動を誘発す
る。一方、(αC −αV )の値が−3×10-6/℃より
も小さい場合には、油の温度が120℃を超えた際に、
バルブスプールの径の増加が著しくなり、バルブスプー
ルがバルブケースと接触する。このため、油の圧力が適
正値を超えて上昇したり、油の流量が低下するなどの問
題が生じる。
℃よりも大きい場合には、油の温度の上昇によってクリ
アランスの増加が適正な値よりも大きくなるために、油
の圧力の低下または油の流量の増加あるは変動を誘発す
る。一方、(αC −αV )の値が−3×10-6/℃より
も小さい場合には、油の温度が120℃を超えた際に、
バルブスプールの径の増加が著しくなり、バルブスプー
ルがバルブケースと接触する。このため、油の圧力が適
正値を超えて上昇したり、油の流量が低下するなどの問
題が生じる。
【0087】なお、バルブケースに用いられるアルミニ
ウム鋳物合金としては、経済性および生産性の観点か
ら、たとえば、アルミニウムシリコン系合金(ADC1
2、AC4A、AC8AまたはA390など)が用いら
れる。これらのアルミニウム合金の熱膨張率は、含有す
るシリコンの量によって決まる。
ウム鋳物合金としては、経済性および生産性の観点か
ら、たとえば、アルミニウムシリコン系合金(ADC1
2、AC4A、AC8AまたはA390など)が用いら
れる。これらのアルミニウム合金の熱膨張率は、含有す
るシリコンの量によって決まる。
【0088】一方、バルブスプールの熱膨張率は、焼結
アルミニウム合金中の各元素または化合物の含有量によ
って制御することが可能である。たとえば、窒化アルミ
ニウム、シリコン、鉄、ニッケル等の元素の添加量によ
って、熱膨張率を任意に設定および制御することができ
る。
アルミニウム合金中の各元素または化合物の含有量によ
って制御することが可能である。たとえば、窒化アルミ
ニウム、シリコン、鉄、ニッケル等の元素の添加量によ
って、熱膨張率を任意に設定および制御することができ
る。
【0089】本発明の実施の形態に係るバルブにおいて
は、バルブスプールと接触するバルブケースの摺動表面
には、必要に応じてマイクロビッカース硬さ150以上
の硬度を有するアルマイトの皮膜層、タフラム皮膜層ま
たはこれらに類似した硬質皮膜層が形成されている。特
に、油圧経路内で発生した細かい鉄粉などの異物粒子が
バルブスプールとバルブケースとの間に入った場合に
は、バルブケース側の摺動表面に上述した皮膜処理を形
成することでスティック現象を抑制することができる。
なお、硬質皮膜層の硬さがマイクロビッカース硬さ15
0よりも小さい場合では、バルブスプールとバルブケー
スとの間に異物を挟んだ場合に、硬質皮膜の摩耗が著し
くなりスティック現象が生じる。
は、バルブスプールと接触するバルブケースの摺動表面
には、必要に応じてマイクロビッカース硬さ150以上
の硬度を有するアルマイトの皮膜層、タフラム皮膜層ま
たはこれらに類似した硬質皮膜層が形成されている。特
に、油圧経路内で発生した細かい鉄粉などの異物粒子が
バルブスプールとバルブケースとの間に入った場合に
は、バルブケース側の摺動表面に上述した皮膜処理を形
成することでスティック現象を抑制することができる。
なお、硬質皮膜層の硬さがマイクロビッカース硬さ15
0よりも小さい場合では、バルブスプールとバルブケー
スとの間に異物を挟んだ場合に、硬質皮膜の摩耗が著し
くなりスティック現象が生じる。
【0090】
【実施例】本発明の実施例に係るギアロータセットおよ
びバルブについてそれぞれ図を用いて説明する。まず図
1を参照して、ギアロータセット5は、アウターロータ
5aと、そのアウターロータ5a内にて摺動するインナ
ーロータ5bとを備えている。アウターロータ5aおよ
びインナーロータ5bは、それぞれ焼結アルミニウム合
金から形成されている。インナーロータ5bには、回転
駆動軸6が挿通されている。アウターロータ5aは、ト
ロコイド曲線、インボリュート曲線およびハイポサイク
ロイド曲線のいずれかを基調とした歯形形状を内周面に
有している。インナーロータ5bは、トロコイド曲線、
インボリュート曲線およびハイポサイクロイド曲線のい
ずれかを基調とした歯形形状を外周面に有している。イ
ンナーロータ5bおよびアウターロータ5aは、溶製ア
ルミニウム合金からなるポンプケース5c内にセットさ
れている。
びバルブについてそれぞれ図を用いて説明する。まず図
1を参照して、ギアロータセット5は、アウターロータ
5aと、そのアウターロータ5a内にて摺動するインナ
ーロータ5bとを備えている。アウターロータ5aおよ
びインナーロータ5bは、それぞれ焼結アルミニウム合
金から形成されている。インナーロータ5bには、回転
駆動軸6が挿通されている。アウターロータ5aは、ト
ロコイド曲線、インボリュート曲線およびハイポサイク
ロイド曲線のいずれかを基調とした歯形形状を内周面に
有している。インナーロータ5bは、トロコイド曲線、
インボリュート曲線およびハイポサイクロイド曲線のい
ずれかを基調とした歯形形状を外周面に有している。イ
ンナーロータ5bおよびアウターロータ5aは、溶製ア
ルミニウム合金からなるポンプケース5c内にセットさ
れている。
【0091】次に図2を参照して、バルブ1は、バルブ
ケース1bと、そのバルブケース1b内にて往復摺動A
するバルブスプール1aとを備えている。焼結アルミニ
ウム合金からなるバルブスプール1aは、実質的に円柱
形状をなし、その円周面に溝3を有している。バルブケ
ース1bは、アルミニウム鋳物合金から形成されてい
る。
ケース1bと、そのバルブケース1b内にて往復摺動A
するバルブスプール1aとを備えている。焼結アルミニ
ウム合金からなるバルブスプール1aは、実質的に円柱
形状をなし、その円周面に溝3を有している。バルブケ
ース1bは、アルミニウム鋳物合金から形成されてい
る。
【0092】種々の組成を有する焼結アルミニウム合金
を用いたギアロータセットおよびバルブについて評価を
行なった。これについて以下の各実施例において説明す
る。
を用いたギアロータセットおよびバルブについて評価を
行なった。これについて以下の各実施例において説明す
る。
【0093】実施例1 原料粉末としてアルミニウム合金粉末A(Al−17%
Si−3.5%Cu−1%Mg−0.5%Mn(重量%
表示))と、アルミニウム合金粉末B(Al−12%S
i−5%Fe−6%Ni−1%Cr(重量%表示))を
準備した。歯数10のアウターロータ(外径φ=90m
m、厚さ10mm)には粉末Aを用いた。歯数9のイン
ナーロータ(厚さ10mm)には粉末Bを用いた。な
お、焼結法とサイジング法とを組合せることによりアウ
ターロータを形成した。また、熱間鍛造法と機械加工と
を組合せることによりインナーロータを形成した。
Si−3.5%Cu−1%Mg−0.5%Mn(重量%
表示))と、アルミニウム合金粉末B(Al−12%S
i−5%Fe−6%Ni−1%Cr(重量%表示))を
準備した。歯数10のアウターロータ(外径φ=90m
m、厚さ10mm)には粉末Aを用いた。歯数9のイン
ナーロータ(厚さ10mm)には粉末Bを用いた。な
お、焼結法とサイジング法とを組合せることによりアウ
ターロータを形成した。また、熱間鍛造法と機械加工と
を組合せることによりインナーロータを形成した。
【0094】まず、焼結法とサイジング法とを組合せる
ことによってアウターロータを製造する方法について説
明する。粉末Aを所定の形状を有した成形用金型に給粉
して、面圧7t/cm2 の圧力下で圧粉成形した。その
後、この粉末成形体を窒素雰囲気中において温度540
℃、時間2時間の条件の下で加熱および保持した。得ら
れた焼結アルミニウム合金の空孔率は5%であった。こ
の焼結アルミニウム合金を、不活性ガス雰囲気中で15
0℃に加熱した。その後、所定の寸法形状を有するサイ
ジング用金型(型温=常温)内に挿入し、面圧6t/c
m2 の条件の下で加圧および圧縮させることにより、ア
ウターロータを形成した。なお、サイジング用金型の内
壁には、メタノール溶媒にステアリン酸を溶かした潤滑
剤を塗布した。
ことによってアウターロータを製造する方法について説
明する。粉末Aを所定の形状を有した成形用金型に給粉
して、面圧7t/cm2 の圧力下で圧粉成形した。その
後、この粉末成形体を窒素雰囲気中において温度540
℃、時間2時間の条件の下で加熱および保持した。得ら
れた焼結アルミニウム合金の空孔率は5%であった。こ
の焼結アルミニウム合金を、不活性ガス雰囲気中で15
0℃に加熱した。その後、所定の寸法形状を有するサイ
ジング用金型(型温=常温)内に挿入し、面圧6t/c
m2 の条件の下で加圧および圧縮させることにより、ア
ウターロータを形成した。なお、サイジング用金型の内
壁には、メタノール溶媒にステアリン酸を溶かした潤滑
剤を塗布した。
【0095】次に、熱間鍛造法と機械加工とを組合せた
インナーロータの製造方法について説明する。粉末Bを
所定の形状を有した成形用金型に給粉して、面圧6t/
cm2 の条件の下で圧粉成形する。その後、その粉末成
形体を窒素雰囲気中において、温度530℃、時間30
分の条件の下で加熱および保持する。その後直ちにこの
粉末成形体を所定の寸法形状を有した熱間鍛造用金型
(型温=400℃)内に挿入し、面圧8t/cm2 の条
件の下で加圧および圧縮する。その後、そのアルミニウ
ムの鍛造体素材について歯形形状等の機械加工を施すこ
とにより、インナーロータを作製した。なお、熱間鍛造
時の金型内壁には、水にカーボンを溶かした潤滑剤を塗
布した。
インナーロータの製造方法について説明する。粉末Bを
所定の形状を有した成形用金型に給粉して、面圧6t/
cm2 の条件の下で圧粉成形する。その後、その粉末成
形体を窒素雰囲気中において、温度530℃、時間30
分の条件の下で加熱および保持する。その後直ちにこの
粉末成形体を所定の寸法形状を有した熱間鍛造用金型
(型温=400℃)内に挿入し、面圧8t/cm2 の条
件の下で加圧および圧縮する。その後、そのアルミニウ
ムの鍛造体素材について歯形形状等の機械加工を施すこ
とにより、インナーロータを作製した。なお、熱間鍛造
時の金型内壁には、水にカーボンを溶かした潤滑剤を塗
布した。
【0096】なお、比較のために、上記のアウターロー
タおよびインナーロータと同一寸法および同一形状の、
いずれも焼結アルミニウム合金をサイジング法により加
圧および圧縮して成形したアウターロータおよびインナ
ーロータ(比較例1)と、いずれも熱間鍛造法および機
械加工によって成形したアウターロータおよびインナー
ロータ(比較例2)とを作製した。ただし、サイジング
法や機械加工の条件は、本発明の条件と同一にした。
タおよびインナーロータと同一寸法および同一形状の、
いずれも焼結アルミニウム合金をサイジング法により加
圧および圧縮して成形したアウターロータおよびインナ
ーロータ(比較例1)と、いずれも熱間鍛造法および機
械加工によって成形したアウターロータおよびインナー
ロータ(比較例2)とを作製した。ただし、サイジング
法や機械加工の条件は、本発明の条件と同一にした。
【0097】それぞれのギアロータセットについて、イ
ンナーロータおよびアウターロータの歯先隙間(チップ
クリアランス)を測定した。なおチップクリアランスに
ついては、各歯部についてその歯先隙間を測定し、その
平均値および変動幅(最大値−最小値)を算出した。そ
の結果を下の表1に示す。
ンナーロータおよびアウターロータの歯先隙間(チップ
クリアランス)を測定した。なおチップクリアランスに
ついては、各歯部についてその歯先隙間を測定し、その
平均値および変動幅(最大値−最小値)を算出した。そ
の結果を下の表1に示す。
【0098】表1に示されているように、本発明のギア
ロータセットにおけるチップクリアランスの平均値およ
び変動幅は、比較例1の場合よりも小さいことが判明し
た。またその値は、比較例2の場合と同レベルであるこ
とが判明した。その結果、上述した製造方法を用いるこ
とにより、高い寸法精度を有するギアロータセットを得
ることができることがわかった。
ロータセットにおけるチップクリアランスの平均値およ
び変動幅は、比較例1の場合よりも小さいことが判明し
た。またその値は、比較例2の場合と同レベルであるこ
とが判明した。その結果、上述した製造方法を用いるこ
とにより、高い寸法精度を有するギアロータセットを得
ることができることがわかった。
【0099】
【表1】 実施例2 実施例1において作製した各ギアロータセットを、AD
C12(Al−12重量%Siダイキャスト材)から形
成されたオイルポンプに組込んだ。回転数4500rp
m、油圧1.5MPa、油温120℃(ATF)、時間
連続3時間の条件の下でギアロータセットの性能評価試
験を行なった。その際、性能評価試験前および性能評価
試験後における各ギアロータセットの歯先隙間(平均
値)とポンプの容積効率とを測定した。その結果を下の
表2に示す。
C12(Al−12重量%Siダイキャスト材)から形
成されたオイルポンプに組込んだ。回転数4500rp
m、油圧1.5MPa、油温120℃(ATF)、時間
連続3時間の条件の下でギアロータセットの性能評価試
験を行なった。その際、性能評価試験前および性能評価
試験後における各ギアロータセットの歯先隙間(平均
値)とポンプの容積効率とを測定した。その結果を下の
表2に示す。
【0100】表2に示されているように、本発明のギア
ロータセットにおいては、アウターロータおよびインナ
ーロータの摺動部分においては摩擦損傷は見られなかっ
た。また、性能評価試験の前後における歯先部のチップ
クリアランスの値も大きく変化しなかった。その結果、
ポンプの容積効率も大きく変化せず、75%以上あるこ
とが判明した。
ロータセットにおいては、アウターロータおよびインナ
ーロータの摺動部分においては摩擦損傷は見られなかっ
た。また、性能評価試験の前後における歯先部のチップ
クリアランスの値も大きく変化しなかった。その結果、
ポンプの容積効率も大きく変化せず、75%以上あるこ
とが判明した。
【0101】一方、比較例1においては、性能評価試験
前の状態で歯先部のチップクリアランスが比較的大き
く、また、容積効率は64%であった。さらに、性能評
価試験中にインナーロータの波形部分の摩耗損傷が発生
したために、性能評価試験後の歯先隙間が大きく増加し
た。その結果、容積効率は50%にまで低下したことが
判明した。また、回転駆動軸と接触するインナーロータ
の内径部分では、回転駆動軸からの攻撃により摩耗して
いることが確認された。
前の状態で歯先部のチップクリアランスが比較的大き
く、また、容積効率は64%であった。さらに、性能評
価試験中にインナーロータの波形部分の摩耗損傷が発生
したために、性能評価試験後の歯先隙間が大きく増加し
た。その結果、容積効率は50%にまで低下したことが
判明した。また、回転駆動軸と接触するインナーロータ
の内径部分では、回転駆動軸からの攻撃により摩耗して
いることが確認された。
【0102】比較例2においては、性能評価試験前後で
歯先部のチップクリアランスは大きく変化しなかった。
また、インナーロータおよびアウターロータの摩耗損傷
も発生せず、良好な結果が得られた。
歯先部のチップクリアランスは大きく変化しなかった。
また、インナーロータおよびアウターロータの摩耗損傷
も発生せず、良好な結果が得られた。
【0103】なお、比較例1における摩耗損傷は、焼結
アルミニウム合金からなるインナーロータおよびアウタ
ーロータの強度および硬度が十分ではなかったためと考
えられる。一方、本発明品および比較例2の場合では、
熱間鍛造法によって得られた焼結アルミニウム合金をイ
ンナーロータに適用しているため、インナーロータの強
度および硬度が十分である。その結果、インナーロータ
には、摩耗損傷は生じなかったものと考えられる。した
がって、高い油圧が負荷される場合や回転駆動軸から高
い応力が作用するインナーロータにおいては、サイジン
グ法等の寸法矯正法によって歯部形状を形成したインナ
ーロータを適用することは困難であることがわかった。
アルミニウム合金からなるインナーロータおよびアウタ
ーロータの強度および硬度が十分ではなかったためと考
えられる。一方、本発明品および比較例2の場合では、
熱間鍛造法によって得られた焼結アルミニウム合金をイ
ンナーロータに適用しているため、インナーロータの強
度および硬度が十分である。その結果、インナーロータ
には、摩耗損傷は生じなかったものと考えられる。した
がって、高い油圧が負荷される場合や回転駆動軸から高
い応力が作用するインナーロータにおいては、サイジン
グ法等の寸法矯正法によって歯部形状を形成したインナ
ーロータを適用することは困難であることがわかった。
【0104】
【表2】 実施例3 原料粉末としてアルミニウム合金粉末A(Al−12%
Si−3.5%Cu−1%Mg−0.5%Mn(重量%
表示))と、アルミニウム合金粉末B(Al−12%S
i−5%Fe−6%Ni−1%Cr(重量%表示))と
を準備した。歯数10のアウターロータ(外径φ=90
mm、厚さ10mm)にはアルミニウム合金粉末Aを用
いた。また、歯数9のインナーロータ(厚さ10mm)
にはアルミニウム合金粉末Bを用いた。なお、焼結法と
サイジング法を組合せることにより、アウターロータを
形成した。また、熱間鍛造法と機械加工とを組合せるこ
とにより、インナーロータを形成した。
Si−3.5%Cu−1%Mg−0.5%Mn(重量%
表示))と、アルミニウム合金粉末B(Al−12%S
i−5%Fe−6%Ni−1%Cr(重量%表示))と
を準備した。歯数10のアウターロータ(外径φ=90
mm、厚さ10mm)にはアルミニウム合金粉末Aを用
いた。また、歯数9のインナーロータ(厚さ10mm)
にはアルミニウム合金粉末Bを用いた。なお、焼結法と
サイジング法を組合せることにより、アウターロータを
形成した。また、熱間鍛造法と機械加工とを組合せるこ
とにより、インナーロータを形成した。
【0105】まず、アウターロータの製造において、焼
結アルミニウム合金中の空孔率がサイジング処理後のア
ウターロータの歯形部の寸法精度に及ぼす影響について
検討する。アルミニウム合金粉末Aを所定の形状を有し
た成形用金型に給粉して、面圧5〜10t/cm2 の条
件の下で圧粉成形する。その後、粉末成形体を窒素雰囲
気において、温度540℃、時間2時間の条件の下で加
熱および保持する。得られた焼結アルミニウム合金の平
均空孔率は2〜28容積%であった。その焼結アルミニ
ウム合金を不活性ガス雰囲気中で150℃に加熱した。
その後、その焼結アルミニウム合金を所定の寸法形状を
有したサイジング用金型(型温=常温)内に挿入し、面
圧6t/cm2 の条件の下で加圧および圧縮することに
より、アウターロータを形成した。なお、金型の内壁に
は、メタノール溶媒にステアリン酸を溶かした潤滑剤を
塗布した。
結アルミニウム合金中の空孔率がサイジング処理後のア
ウターロータの歯形部の寸法精度に及ぼす影響について
検討する。アルミニウム合金粉末Aを所定の形状を有し
た成形用金型に給粉して、面圧5〜10t/cm2 の条
件の下で圧粉成形する。その後、粉末成形体を窒素雰囲
気において、温度540℃、時間2時間の条件の下で加
熱および保持する。得られた焼結アルミニウム合金の平
均空孔率は2〜28容積%であった。その焼結アルミニ
ウム合金を不活性ガス雰囲気中で150℃に加熱した。
その後、その焼結アルミニウム合金を所定の寸法形状を
有したサイジング用金型(型温=常温)内に挿入し、面
圧6t/cm2 の条件の下で加圧および圧縮することに
より、アウターロータを形成した。なお、金型の内壁に
は、メタノール溶媒にステアリン酸を溶かした潤滑剤を
塗布した。
【0106】一方、インナーロータを実施例1の場合と
同一条件によって作製した。すなわち、アルミニウム合
金粉末Bを所定の形状を有した成形用金型に給粉して面
圧6t/cm2 の条件の下で圧粉成形した。その後、こ
の粉末成形体を窒素雰囲気中において温度530℃、時
間30分の条件の下で加熱および保持した。その後、ア
ルミニウム合金粉末成形体を所定の寸法形状を有した熱
間鍛造用金型(型温=400℃)内に挿入し、面圧8t
/cm2 の条件の下で加圧および圧縮した。そして、得
られたアルミニウム合金の鍛造体素材について機械加工
を施すことによりインナーロータを作製した。なお、熱
間鍛造時の金型の内壁には、水にカーボンを溶かした潤
滑剤を塗布した。
同一条件によって作製した。すなわち、アルミニウム合
金粉末Bを所定の形状を有した成形用金型に給粉して面
圧6t/cm2 の条件の下で圧粉成形した。その後、こ
の粉末成形体を窒素雰囲気中において温度530℃、時
間30分の条件の下で加熱および保持した。その後、ア
ルミニウム合金粉末成形体を所定の寸法形状を有した熱
間鍛造用金型(型温=400℃)内に挿入し、面圧8t
/cm2 の条件の下で加圧および圧縮した。そして、得
られたアルミニウム合金の鍛造体素材について機械加工
を施すことによりインナーロータを作製した。なお、熱
間鍛造時の金型の内壁には、水にカーボンを溶かした潤
滑剤を塗布した。
【0107】サイジング処理を施す前の焼結アルミニウ
ム合金の素材の空孔率と、サイジング処理後の各ギアロ
ータセットの歯先隙間の測定結果を下の表3に示す。な
お、歯先隙間の値としては、その平均値および変動幅
(最大値−最小値)を算出した。
ム合金の素材の空孔率と、サイジング処理後の各ギアロ
ータセットの歯先隙間の測定結果を下の表3に示す。な
お、歯先隙間の値としては、その平均値および変動幅
(最大値−最小値)を算出した。
【0108】表3に示されているように、サイジング処
理を施す前の焼結アルミニウム合金の素材の空孔率が適
正範囲(15容積%以下)を満足する場合(No.1、
2、3、4)においては、各ギアロータセットの歯先隙
間は比較的小さく約30〜35μmであった。
理を施す前の焼結アルミニウム合金の素材の空孔率が適
正範囲(15容積%以下)を満足する場合(No.1、
2、3、4)においては、各ギアロータセットの歯先隙
間は比較的小さく約30〜35μmであった。
【0109】
【表3】 実施例4 実施例3の表3に示されたNo.2〜5の各ギアロータ
セットを、ADC12(Al−12重量%Siダイキャ
スト材)によって形成されたオイルポンプに組込み、回
転数4500rpm、油圧1.5MPa、油温120℃
(ATF)、時間連続3時間の条件の下で性能評価試験
を行なった。その際、性能評価試験前後における各ギア
ロータセットの歯先隙間(平均値)とポンプの容積効率
とを測定した。その結果を下の表4に示す。なお、表4
において、No.1〜4の各ギアロータセットは、表3
のNo.2〜5の各ギアロータセットにそれぞれ対応す
る。
セットを、ADC12(Al−12重量%Siダイキャ
スト材)によって形成されたオイルポンプに組込み、回
転数4500rpm、油圧1.5MPa、油温120℃
(ATF)、時間連続3時間の条件の下で性能評価試験
を行なった。その際、性能評価試験前後における各ギア
ロータセットの歯先隙間(平均値)とポンプの容積効率
とを測定した。その結果を下の表4に示す。なお、表4
において、No.1〜4の各ギアロータセットは、表3
のNo.2〜5の各ギアロータセットにそれぞれ対応す
る。
【0110】表4に示されているように、No.1、2
および3の各ギアロータセットにおいては、アウターロ
ータおよびインナーロータの摺動部分において、摩耗損
傷は見られなかった。また、性能評価試験前後における
歯先部の歯先隙間も大きく変化しなかった。その結果、
ポンプの容積効率も大きく変化せず、75%以上であっ
た。
および3の各ギアロータセットにおいては、アウターロ
ータおよびインナーロータの摺動部分において、摩耗損
傷は見られなかった。また、性能評価試験前後における
歯先部の歯先隙間も大きく変化しなかった。その結果、
ポンプの容積効率も大きく変化せず、75%以上であっ
た。
【0111】一方、No.4の比較例においては、焼結
アルミニウム合金の素材の空孔率が22%であるので、
サイジング処理により波形部の歯先隙間を比較的小さく
することができ、ギアロータセットとして高い寸法精度
を確保することが可能である。しかしながら、焼結アル
ミニウム合金の素材の強度が十分でないために、性能評
価試験中にアウターロータの歯形部に摩耗損傷が発生し
た。その結果、歯先隙間の増加によるポンプの容積効率
が低下した。
アルミニウム合金の素材の空孔率が22%であるので、
サイジング処理により波形部の歯先隙間を比較的小さく
することができ、ギアロータセットとして高い寸法精度
を確保することが可能である。しかしながら、焼結アル
ミニウム合金の素材の強度が十分でないために、性能評
価試験中にアウターロータの歯形部に摩耗損傷が発生し
た。その結果、歯先隙間の増加によるポンプの容積効率
が低下した。
【0112】
【表4】 実施例5 原料粉末としてアルミニウム合金粉末A(Al−15%
Si−1%Mg(重量%表示))と、アルミニウム合金
粉末B(Al−17%Si−3.5%Cu−1%Mg
(重量%表示))およびアルミニウム合金粉末C(Al
−12%Si−5%Fe−6%Ni−1%Cr(重量%
表示))を準備した。歯数10のアウターロータ(外径
φ=90mm、厚さ10mm)には、アルミニウム合金
粉末A(30重量%)とアルミニウム合金粉末B(70
重量%)とを、重量比率1:1に配合・混合したアルミ
ニウム合金混合粉末を用いた。歯数9のインナーロータ
(厚さ10mm)には、アルミニウム合金粉末Cを用い
た。なお、焼結法およびサイジング法を組合せることに
よりアウターロータを形成した。また、熱間鍛造法と機
械加工とを組合せることによりインナーロータを形成し
た。
Si−1%Mg(重量%表示))と、アルミニウム合金
粉末B(Al−17%Si−3.5%Cu−1%Mg
(重量%表示))およびアルミニウム合金粉末C(Al
−12%Si−5%Fe−6%Ni−1%Cr(重量%
表示))を準備した。歯数10のアウターロータ(外径
φ=90mm、厚さ10mm)には、アルミニウム合金
粉末A(30重量%)とアルミニウム合金粉末B(70
重量%)とを、重量比率1:1に配合・混合したアルミ
ニウム合金混合粉末を用いた。歯数9のインナーロータ
(厚さ10mm)には、アルミニウム合金粉末Cを用い
た。なお、焼結法およびサイジング法を組合せることに
よりアウターロータを形成した。また、熱間鍛造法と機
械加工とを組合せることによりインナーロータを形成し
た。
【0113】まず、アウターロータの製造方法について
説明する。上記のアルミニウム合金混合粉末を所定の形
状を有した成形用金型に給粉して、面圧6.5t/cm
2 の条件の下で圧粉成形する。その後、この圧粉成形体
を窒素雰囲気中において、温度550℃、時間4時間の
条件の下で加熱および保持する。このとき、アルミニウ
ム合金粉末Aの表面において、アルミニウムと窒素ガス
とが反応することにより窒化アルミニウムが生成する。
なお、この条件における窒化アルミニウムの生成量は
3.5重量%であった。また、焼結アルミニウム合金の
空孔率は8容積%であることを確認した。この焼結アル
ミニウム合金を不活性ガス雰囲気中において180℃に
加熱する。その後、その焼結アルミニウム合金を所定の
寸法形状を有したサイジング用金型(型温=130℃)
内に挿入し、面圧6t/cm2 の条件の下で加圧および
圧縮することによりアウターロータを成形した。なお、
金型の内壁には、メタノール溶液にステアリン酸を溶か
した潤滑剤を塗布した。
説明する。上記のアルミニウム合金混合粉末を所定の形
状を有した成形用金型に給粉して、面圧6.5t/cm
2 の条件の下で圧粉成形する。その後、この圧粉成形体
を窒素雰囲気中において、温度550℃、時間4時間の
条件の下で加熱および保持する。このとき、アルミニウ
ム合金粉末Aの表面において、アルミニウムと窒素ガス
とが反応することにより窒化アルミニウムが生成する。
なお、この条件における窒化アルミニウムの生成量は
3.5重量%であった。また、焼結アルミニウム合金の
空孔率は8容積%であることを確認した。この焼結アル
ミニウム合金を不活性ガス雰囲気中において180℃に
加熱する。その後、その焼結アルミニウム合金を所定の
寸法形状を有したサイジング用金型(型温=130℃)
内に挿入し、面圧6t/cm2 の条件の下で加圧および
圧縮することによりアウターロータを成形した。なお、
金型の内壁には、メタノール溶液にステアリン酸を溶か
した潤滑剤を塗布した。
【0114】次に、インナーロータの製造方法について
説明する。アルミニウム合金粉末Cを所定の形状を有し
た成形用金型に給粉して、面圧6t/cm2 の条件の下
で圧粉成形する。次に、このアルミニウム合金粉末成形
体を窒素雰囲気中において、温度530℃、時間30分
の条件の下で加熱および保持する。その後、アルミニウ
ム合金粉末の成形体を所定の寸法形状を有した熱間鍛造
用金型(金温=400℃)内に挿入し、面圧8t/cm
2 の条件の下で加圧および圧縮する。そして、得られた
焼結アルミニウム合金の鍛造体の素材について機械加工
を施すことによりインナーロータを成形した。なお、熱
間鍛造時の金型の内壁には、水にカーボンを溶かした潤
滑剤を塗布した。
説明する。アルミニウム合金粉末Cを所定の形状を有し
た成形用金型に給粉して、面圧6t/cm2 の条件の下
で圧粉成形する。次に、このアルミニウム合金粉末成形
体を窒素雰囲気中において、温度530℃、時間30分
の条件の下で加熱および保持する。その後、アルミニウ
ム合金粉末の成形体を所定の寸法形状を有した熱間鍛造
用金型(金温=400℃)内に挿入し、面圧8t/cm
2 の条件の下で加圧および圧縮する。そして、得られた
焼結アルミニウム合金の鍛造体の素材について機械加工
を施すことによりインナーロータを成形した。なお、熱
間鍛造時の金型の内壁には、水にカーボンを溶かした潤
滑剤を塗布した。
【0115】なお、比較のために、上記アウターロータ
およびインナーロータと同一寸法および同一形状の、サ
イジング法によって形成されたアウターロータおよびイ
ンナーロータ(比較例1)と、熱間鍛造法および機械加
工を組合せることによって形成されたインナーロータお
よびアウターロータ(比較例2)とを作製した。ただ
し、サイジング法、熱間鍛造法および機械加工の条件は
上述した各方法の条件と同じにした。
およびインナーロータと同一寸法および同一形状の、サ
イジング法によって形成されたアウターロータおよびイ
ンナーロータ(比較例1)と、熱間鍛造法および機械加
工を組合せることによって形成されたインナーロータお
よびアウターロータ(比較例2)とを作製した。ただ
し、サイジング法、熱間鍛造法および機械加工の条件は
上述した各方法の条件と同じにした。
【0116】各ギアロータセットについて、その歯先隙
間を測定した。その結果を下の表5に示す。なお、歯先
隙間としては、平均値および変動幅(最大値−最小値)
を用いた。
間を測定した。その結果を下の表5に示す。なお、歯先
隙間としては、平均値および変動幅(最大値−最小値)
を用いた。
【0117】表5に示されているように、本発明のギア
ロータセットにおいては、サイジング処理前の焼結アル
ミニウム合金の素材が硬い粒子である窒化アルミニウム
を含んでいても、得られたギアロータセットにおける歯
先隙間の平均値および変動幅は、比較例1の場合よりも
小さく、比較例2の場合と同レベルであることが判明し
た。その結果、上述した製造方法により、高い寸法精度
を有するギアロータセットを得ることができることがわ
かった。
ロータセットにおいては、サイジング処理前の焼結アル
ミニウム合金の素材が硬い粒子である窒化アルミニウム
を含んでいても、得られたギアロータセットにおける歯
先隙間の平均値および変動幅は、比較例1の場合よりも
小さく、比較例2の場合と同レベルであることが判明し
た。その結果、上述した製造方法により、高い寸法精度
を有するギアロータセットを得ることができることがわ
かった。
【0118】
【表5】 実施例6 原料粉末としてアルミニウム合金粉末A(Al−15%
Si−1%Mg(重量%表示))と、アルミニウム合金
粉末B(Al−12%Si−5%Cu−6%Fe−1%
Cr(重量%表示))とを準備した。歯数10のアウタ
ーロータ(外径φ=90mm、厚さ10mm)には、ア
ルミニウム合金粉末Aを用いた。また歯数9のインナー
ロータ(厚さ10mm)には、アルミニウム合金粉末B
を用いた。なお、焼結法およびサイジング法を組合せる
ことによりアウターロータを形成した。また、熱間鍛造
法および機械加工を組合せることによりインナーロータ
を作製した。
Si−1%Mg(重量%表示))と、アルミニウム合金
粉末B(Al−12%Si−5%Cu−6%Fe−1%
Cr(重量%表示))とを準備した。歯数10のアウタ
ーロータ(外径φ=90mm、厚さ10mm)には、ア
ルミニウム合金粉末Aを用いた。また歯数9のインナー
ロータ(厚さ10mm)には、アルミニウム合金粉末B
を用いた。なお、焼結法およびサイジング法を組合せる
ことによりアウターロータを形成した。また、熱間鍛造
法および機械加工を組合せることによりインナーロータ
を作製した。
【0119】種々の空孔率を有するアウターロータおよ
びインナーロータを作製した。各ギアロータセットにつ
いて、ADC12(Al−12重量%Siダイキャスト
材)製のオイルポンプにそれぞれ組込んだ。回転数45
00rpm、油圧1.5MPa、油温120℃(AT
F)、時間連続3時間の条件の下で性能評価試験を行な
った。その結果を表6に示す。
びインナーロータを作製した。各ギアロータセットにつ
いて、ADC12(Al−12重量%Siダイキャスト
材)製のオイルポンプにそれぞれ組込んだ。回転数45
00rpm、油圧1.5MPa、油温120℃(AT
F)、時間連続3時間の条件の下で性能評価試験を行な
った。その結果を表6に示す。
【0120】表6に示されているように、No.1〜5
の場合では、アウターロータおよびインナーロータの摺
動表面には、摩耗損傷や凝着現象は認められなく、良好
な結果が得られた。
の場合では、アウターロータおよびインナーロータの摺
動表面には、摩耗損傷や凝着現象は認められなく、良好
な結果が得られた。
【0121】一方、比較例においては次のような問題が
生じた。No.6およびNo.7の場合には、インナー
ロータの空孔が比較的多いために強度が低下し、シャフ
ト(回転駆動軸)の攻撃によりインナーロータの内径部
に摩耗が発生した。No.8の場合には、アウターロー
タの空孔が比較的少ないために、十分に潤滑油が保持さ
れず、アウターロータとケースとの凝着摩耗が発生し
た。
生じた。No.6およびNo.7の場合には、インナー
ロータの空孔が比較的多いために強度が低下し、シャフ
ト(回転駆動軸)の攻撃によりインナーロータの内径部
に摩耗が発生した。No.8の場合には、アウターロー
タの空孔が比較的少ないために、十分に潤滑油が保持さ
れず、アウターロータとケースとの凝着摩耗が発生し
た。
【0122】
【表6】 実施例7 発明の実施の形態の項において説明した直接窒化反応に
より作製した熱間押出後の焼結アルミニウム合金(合金
組成Al−12%Si−2%Ni−1%Mg−2%Al
N(重量%))中に生成および分散する窒化アルミニウ
ムの粒子のTEM像を図3に示す。また、そのSIM像
を図4に示す。なお、比較のために従来の焼結アルミニ
ウム合金(上記と同一組成の焼結アルミニウム合金に窒
化アルミニウムの粒子(平均粒径22μm)を添加およ
び混合したものを成形、焼結および熱間押出により作製
した)中に分散する窒化アルミニウムの粒子のSIM像
を図5に示す。
より作製した熱間押出後の焼結アルミニウム合金(合金
組成Al−12%Si−2%Ni−1%Mg−2%Al
N(重量%))中に生成および分散する窒化アルミニウ
ムの粒子のTEM像を図3に示す。また、そのSIM像
を図4に示す。なお、比較のために従来の焼結アルミニ
ウム合金(上記と同一組成の焼結アルミニウム合金に窒
化アルミニウムの粒子(平均粒径22μm)を添加およ
び混合したものを成形、焼結および熱間押出により作製
した)中に分散する窒化アルミニウムの粒子のSIM像
を図5に示す。
【0123】図3および図4に示されているように、直
接窒化反応により生成した窒化アルミニウムは、繊維状
または樹枝状に一方向に成長していることがわかる。ま
た、窒化アルミニウムの生成方向をその厚さとすると、
窒化アルミニウムの厚さは約1μmであることがわか
る。
接窒化反応により生成した窒化アルミニウムは、繊維状
または樹枝状に一方向に成長していることがわかる。ま
た、窒化アルミニウムの生成方向をその厚さとすると、
窒化アルミニウムの厚さは約1μmであることがわか
る。
【0124】一方、図5に示されているように、従来の
製法によって得られた焼結アルミニウム合金において
は、窒化アルミニウムの粒子は、繊維状の構造を有して
おらず、単結晶構造を有していることがわかる。したが
って、直接窒化反応により得られた焼結アルミニウム合
金中の窒化アルミニウムの粒子の構造は、従来の製法に
よって得られた焼結アルミニウム合金中の窒化アルミニ
ウムの粒子の構造とは明らかに異なっていることが判明
した。
製法によって得られた焼結アルミニウム合金において
は、窒化アルミニウムの粒子は、繊維状の構造を有して
おらず、単結晶構造を有していることがわかる。したが
って、直接窒化反応により得られた焼結アルミニウム合
金中の窒化アルミニウムの粒子の構造は、従来の製法に
よって得られた焼結アルミニウム合金中の窒化アルミニ
ウムの粒子の構造とは明らかに異なっていることが判明
した。
【0125】実施例8 発明の実施の形態の項において説明した直接窒化反応に
より作製した熱間押出後の焼結アルミニウム合金の電子
顕微鏡組織写真を図6に示す。なお、焼結アルミニウム
合金の合金組成は、実施例7の場合と同様である。ま
た、比較として、従来の焼結アルミニウム合金の電子顕
微鏡組織写真を図7に示す。
より作製した熱間押出後の焼結アルミニウム合金の電子
顕微鏡組織写真を図6に示す。なお、焼結アルミニウム
合金の合金組成は、実施例7の場合と同様である。ま
た、比較として、従来の焼結アルミニウム合金の電子顕
微鏡組織写真を図7に示す。
【0126】図6に示されているように、直接窒化反応
により生成した窒化アルミニウムの粒子(黒い矢印で示
す部分)とアルミニウム合金のマトリクスとの間には隙
間がなく、両者が結合していることがわかる。
により生成した窒化アルミニウムの粒子(黒い矢印で示
す部分)とアルミニウム合金のマトリクスとの間には隙
間がなく、両者が結合していることがわかる。
【0127】一方、従来の焼結アルミニウム合金におい
ては、図7に示されているように、窒化アルミニウムの
粒子(黒い矢印で示す部分)とアルミニウム合金との間
に隙間(Gap)が存在していることがわかる。
ては、図7に示されているように、窒化アルミニウムの
粒子(黒い矢印で示す部分)とアルミニウム合金との間
に隙間(Gap)が存在していることがわかる。
【0128】実施例9 下の表7の各欄に示された合金組成を有するアルミニウ
ム合金粉末に、必要に応じて酸化物の球状粒子(平均粒
径5〜10μm)および潤滑成分としての潤滑粒子(平
均粒径5〜15μm)を混合したものを原料粉末とし
た。各原料粉末を窒素雰囲気中で加熱および焼結させ、
焼結アルミニウム合金中に窒化アルミニウムを生成させ
た。その焼結アルミニウム合金を熱間押出および機械加
工によりバルブスプール(直径15mm、全長29m
m)を作製した。バルブスプールの空孔率を、成形条件
および押出条件によって、2〜3容積%に調整した。溶
製アルミニウム合金(JIS AC8A材)を用いてバ
ルブケースを作製し、潤滑油(ATF)中におけるバル
ブスプールの焼結アルミニウム合金の耐摩耗性(バルブ
スプールおよびバルブケースの摩耗量)および耐焼き付
き性(焼き付き、凝着の有無)を評価した。
ム合金粉末に、必要に応じて酸化物の球状粒子(平均粒
径5〜10μm)および潤滑成分としての潤滑粒子(平
均粒径5〜15μm)を混合したものを原料粉末とし
た。各原料粉末を窒素雰囲気中で加熱および焼結させ、
焼結アルミニウム合金中に窒化アルミニウムを生成させ
た。その焼結アルミニウム合金を熱間押出および機械加
工によりバルブスプール(直径15mm、全長29m
m)を作製した。バルブスプールの空孔率を、成形条件
および押出条件によって、2〜3容積%に調整した。溶
製アルミニウム合金(JIS AC8A材)を用いてバ
ルブケースを作製し、潤滑油(ATF)中におけるバル
ブスプールの焼結アルミニウム合金の耐摩耗性(バルブ
スプールおよびバルブケースの摩耗量)および耐焼き付
き性(焼き付き、凝着の有無)を評価した。
【0129】その結果を下の表8に示す。摩耗特性は、
チップオンディスク式摩耗試験を用いて評価した。な
お、比較(No.27)として、バルブケースの溶製ア
ルミニウム合金の表面にアルマイトの皮膜処理(マイク
ロビッカース硬さMHv=180)を施したものについ
ても同様の評価を行なった。
チップオンディスク式摩耗試験を用いて評価した。な
お、比較(No.27)として、バルブケースの溶製ア
ルミニウム合金の表面にアルマイトの皮膜処理(マイク
ロビッカース硬さMHv=180)を施したものについ
ても同様の評価を行なった。
【0130】本発明のバルブスプールの焼結アルミニウ
ム合金(No.1〜19)においては、表8に示されて
いるように、焼結アルミニウム合金自身の耐摩耗性およ
び耐焼き付き性が優れている。このため、焼結アルミニ
ウム合金の表面にアルマイトの皮膜処理を施さなくても
摩擦や凝着を生じることがなく、相手材としてのバルブ
ケースへの攻撃も少なく、バルブスプール材として適し
ていることが判明した。
ム合金(No.1〜19)においては、表8に示されて
いるように、焼結アルミニウム合金自身の耐摩耗性およ
び耐焼き付き性が優れている。このため、焼結アルミニ
ウム合金の表面にアルマイトの皮膜処理を施さなくても
摩擦や凝着を生じることがなく、相手材としてのバルブ
ケースへの攻撃も少なく、バルブスプール材として適し
ていることが判明した。
【0131】一方、比較材(No.20〜27)におい
ては、それぞれ次のような問題が確認された。No.2
0の場合には、焼結アルミニウム合金に窒化アルミニウ
ムが含有されていないために、十分な耐摩耗性および相
手材への攻撃性が得られなかった。No.21の場合に
は、焼結アルミニウム合金が含有する窒化アルミニウム
の量が0.3重量%と少ないために、十分な耐摩耗性お
よび相手材への攻撃性が得られなかった。No.22の
場合には、焼結アルミニウム合金の窒化アルミニウムの
含有量が7.3重量%と多いために、相手材への攻撃が
増加し、凝着摩擦が発生した。No.23の場合には、
焼結アルミニウム合金中の合金成分の合計の添加量が2
5重量%を超えるために、相手材を攻撃し、その結果、
相手材の摺動表面において凝着摩耗が発生した。No.
24の場合には、酸化物粒子の含有量が6重量%と多い
ために、相手材への攻撃が増加し、凝着摩耗が発生し
た。No.25の場合には、酸化物粒子の含有量が6重
量%と多いために、相手材への攻撃が増加し、凝着摩耗
が発生した。No.36の場合には、潤滑成分としての
潤滑粒子の含有量が6重量%と多いために、焼結アルミ
ニウム合金の強度が低下し、耐摩耗性が低下した。N
o.27の場合には、溶製アルミニウム合金の摺動面に
アルマイトの皮膜処理を施した場合には、摩擦摺動時に
その皮膜が剥離し、その結果、相手材との焼き付き現象
および凝着摩耗が発生した。
ては、それぞれ次のような問題が確認された。No.2
0の場合には、焼結アルミニウム合金に窒化アルミニウ
ムが含有されていないために、十分な耐摩耗性および相
手材への攻撃性が得られなかった。No.21の場合に
は、焼結アルミニウム合金が含有する窒化アルミニウム
の量が0.3重量%と少ないために、十分な耐摩耗性お
よび相手材への攻撃性が得られなかった。No.22の
場合には、焼結アルミニウム合金の窒化アルミニウムの
含有量が7.3重量%と多いために、相手材への攻撃が
増加し、凝着摩擦が発生した。No.23の場合には、
焼結アルミニウム合金中の合金成分の合計の添加量が2
5重量%を超えるために、相手材を攻撃し、その結果、
相手材の摺動表面において凝着摩耗が発生した。No.
24の場合には、酸化物粒子の含有量が6重量%と多い
ために、相手材への攻撃が増加し、凝着摩耗が発生し
た。No.25の場合には、酸化物粒子の含有量が6重
量%と多いために、相手材への攻撃が増加し、凝着摩耗
が発生した。No.36の場合には、潤滑成分としての
潤滑粒子の含有量が6重量%と多いために、焼結アルミ
ニウム合金の強度が低下し、耐摩耗性が低下した。N
o.27の場合には、溶製アルミニウム合金の摺動面に
アルマイトの皮膜処理を施した場合には、摩擦摺動時に
その皮膜が剥離し、その結果、相手材との焼き付き現象
および凝着摩耗が発生した。
【0132】なお、No.22の場合においては、窒化
アルミニウムの含有量が適正量よりも多いために、ま
た、No.24、25の場合には、酸化物粒子の含有量
が適正量よりも多いために、バルブスプールを加工する
際に、工具の摩耗が他の場合と比べて顕著となり、加工
性に問題があることが判明した。
アルミニウムの含有量が適正量よりも多いために、ま
た、No.24、25の場合には、酸化物粒子の含有量
が適正量よりも多いために、バルブスプールを加工する
際に、工具の摩耗が他の場合と比べて顕著となり、加工
性に問題があることが判明した。
【0133】以上の評価によって、本発明に係るバルブ
に用いられる焼結アルミニウム合金は、アルマイトの皮
膜層等の表面皮膜処理を施さなくともバルブスプールと
しての耐摩耗性および耐焼き付き性を十分に有している
ことが判明した。また、相手材としてのバルブケースの
溶製アルミニウム合金の表面に皮膜処理を施すことなく
焼結アルミニウム合金製バルブスプールを使用すること
ができ、経済性の面においても優れていることが判明し
た。
に用いられる焼結アルミニウム合金は、アルマイトの皮
膜層等の表面皮膜処理を施さなくともバルブスプールと
しての耐摩耗性および耐焼き付き性を十分に有している
ことが判明した。また、相手材としてのバルブケースの
溶製アルミニウム合金の表面に皮膜処理を施すことなく
焼結アルミニウム合金製バルブスプールを使用すること
ができ、経済性の面においても優れていることが判明し
た。
【0134】
【表7】
【0135】
【表8】 実施例10 シリコン12重量%、鉄2重量%、ニッケル10重量%
およびマグネシウム1重量%を含有するアルミニウム合
金粉末に、酸化チタンの粒子(平均粒径5μm)を1.
5重量%添加したアルミニウム合金粉末を成形した。成
形されたアルミニウム合金粉末を温度540℃に制御し
た窒素雰囲気中で3〜5時間加熱および保持させ、4重
量%の窒化アルミニウムを含む焼結アルミニウム合金を
作製した。この焼結アルミニウム合金を熱間押出法によ
り棒状のバルブスプールに形成した。このとき、押出条
件(押出比)を制御することにより、焼結アルミニウム
合金のバルブスプール中の空孔率を変えた。
およびマグネシウム1重量%を含有するアルミニウム合
金粉末に、酸化チタンの粒子(平均粒径5μm)を1.
5重量%添加したアルミニウム合金粉末を成形した。成
形されたアルミニウム合金粉末を温度540℃に制御し
た窒素雰囲気中で3〜5時間加熱および保持させ、4重
量%の窒化アルミニウムを含む焼結アルミニウム合金を
作製した。この焼結アルミニウム合金を熱間押出法によ
り棒状のバルブスプールに形成した。このとき、押出条
件(押出比)を制御することにより、焼結アルミニウム
合金のバルブスプール中の空孔率を変えた。
【0136】得られたバルブスプールの焼結アルミニウ
ム合金の耐摩耗性および耐焼き付き性を評価した。耐摩
耗性の評価については、チップオンディスク式摩耗試験
により、潤滑油(ATF)中の浸漬状態における耐摩耗
性を評価した。チップ側には焼結アルミニウム合金を使
用した。相手材であるディスク側には、溶製アルミニウ
ム合金(JIS AC8A材)を使用した。また、加圧
力100kgf/cm2 、滑り速度1m/s、摺動時間
30分を試験条件とした。なお、比較として、溶製アル
ミニウム合金の表面にアルマイトの皮膜処理(マイクロ
ビッカース硬さMHv=180)を施したチップ材につ
いても同様の評価を行なった。
ム合金の耐摩耗性および耐焼き付き性を評価した。耐摩
耗性の評価については、チップオンディスク式摩耗試験
により、潤滑油(ATF)中の浸漬状態における耐摩耗
性を評価した。チップ側には焼結アルミニウム合金を使
用した。相手材であるディスク側には、溶製アルミニウ
ム合金(JIS AC8A材)を使用した。また、加圧
力100kgf/cm2 、滑り速度1m/s、摺動時間
30分を試験条件とした。なお、比較として、溶製アル
ミニウム合金の表面にアルマイトの皮膜処理(マイクロ
ビッカース硬さMHv=180)を施したチップ材につ
いても同様の評価を行なった。
【0137】その結果を下の表9に示す。表9に示され
ているように、No.1〜5の場合すなわち、所定の範
囲内の空孔率を有する焼結アルミニウム合金の場合に
は、相手材との焼き付き現象や凝着摩擦等が生じなかっ
た。また、これらの焼結アルミニウム合金は、アルマイ
ト皮膜処理を施した溶製アルミニウム合金よりも優れた
耐摩耗性、相手材攻撃性および耐焼き付き性を有してい
ることが判明した。特に、空孔率3〜10重量%の焼結
アルミニウム合金の場合、これらの特性はより優れてい
ることが判明した。
ているように、No.1〜5の場合すなわち、所定の範
囲内の空孔率を有する焼結アルミニウム合金の場合に
は、相手材との焼き付き現象や凝着摩擦等が生じなかっ
た。また、これらの焼結アルミニウム合金は、アルマイ
ト皮膜処理を施した溶製アルミニウム合金よりも優れた
耐摩耗性、相手材攻撃性および耐焼き付き性を有してい
ることが判明した。特に、空孔率3〜10重量%の焼結
アルミニウム合金の場合、これらの特性はより優れてい
ることが判明した。
【0138】一方、比較材においては次のような問題が
確認された。No.6の場合には、空孔率が27容積%
と大きいために焼結アルミニウム合金の強度が十分では
なく、摩耗が生じて摺動面の一部に凝着が発生した。N
o.7の場合には、空孔率が30容積%と大きいために
焼結アルミニウム合金の強度が低下し、摩擦試験におい
て試料が欠損した。また、摺動面全域において凝着が生
じた。摩擦係数は0.1を超える大きな値となった。N
o.8の場合には、摺動面の圧力が高いために溶製アル
ミニウム合金のアルマイト皮膜層が一部剥離した。この
ため、摩耗が生じた。
確認された。No.6の場合には、空孔率が27容積%
と大きいために焼結アルミニウム合金の強度が十分では
なく、摩耗が生じて摺動面の一部に凝着が発生した。N
o.7の場合には、空孔率が30容積%と大きいために
焼結アルミニウム合金の強度が低下し、摩擦試験におい
て試料が欠損した。また、摺動面全域において凝着が生
じた。摩擦係数は0.1を超える大きな値となった。N
o.8の場合には、摺動面の圧力が高いために溶製アル
ミニウム合金のアルマイト皮膜層が一部剥離した。この
ため、摩耗が生じた。
【0139】
【表9】 実施例11 実施例10において作製した焼結アルミニウム合金を用
いて、チップオンディスク式摩擦試験を潤滑油中に試料
を浸漬した状態の下で行なった後の焼結アルミニウム合
金およびその相手材の摺動面の損傷条件を光学顕微鏡に
より観察した。その結果を図8〜図11にそれぞれ示
す。図8は、直接窒化法により作製した焼結アルミニウ
ム合金の損傷状況を示し、図9は、その相手材の損傷状
況を示す。図10は、従来の焼結アルミニウム合金の損
傷状況を示し、図11は、その相手材の損傷状況を示
す。なお、相手材としては、溶製アルミニウム合金(A
DC12材)をそれぞれ用いた。
いて、チップオンディスク式摩擦試験を潤滑油中に試料
を浸漬した状態の下で行なった後の焼結アルミニウム合
金およびその相手材の摺動面の損傷条件を光学顕微鏡に
より観察した。その結果を図8〜図11にそれぞれ示
す。図8は、直接窒化法により作製した焼結アルミニウ
ム合金の損傷状況を示し、図9は、その相手材の損傷状
況を示す。図10は、従来の焼結アルミニウム合金の損
傷状況を示し、図11は、その相手材の損傷状況を示
す。なお、相手材としては、溶製アルミニウム合金(A
DC12材)をそれぞれ用いた。
【0140】図8に示すように、直接窒化法により作製
した焼結アルミニウム合金の摺動面においては、軽微な
擦れ跡が見られる程度で、凝着および焼き付き現象は観
察されなかった。また、窒化アルミニウムの粒子が脱落
した形跡も摺動面には認められなかった。さらに、図9
に示すように、相手材の摺動面においても、同様に凝着
および焼き付き現象は認められず、軽微な擦れ跡が存在
する程度であった。
した焼結アルミニウム合金の摺動面においては、軽微な
擦れ跡が見られる程度で、凝着および焼き付き現象は観
察されなかった。また、窒化アルミニウムの粒子が脱落
した形跡も摺動面には認められなかった。さらに、図9
に示すように、相手材の摺動面においても、同様に凝着
および焼き付き現象は認められず、軽微な擦れ跡が存在
する程度であった。
【0141】一方、図10に示すように、従来の焼結ア
ルミニウム合金の摺動面においては、窒化アルミニウム
の粒子が脱落した孔(Hall)が至るところに存在してお
り、深い摺動傷も観測された。また、図11に示すよう
に、相手材の摺動面においても、脱落した窒化アルミニ
ウムの粒子により攻撃された深い摺動傷および凝着領域
(Seizure )が各所に存在していることが判明した。
ルミニウム合金の摺動面においては、窒化アルミニウム
の粒子が脱落した孔(Hall)が至るところに存在してお
り、深い摺動傷も観測された。また、図11に示すよう
に、相手材の摺動面においても、脱落した窒化アルミニ
ウムの粒子により攻撃された深い摺動傷および凝着領域
(Seizure )が各所に存在していることが判明した。
【0142】直接窒化反応により作製した焼結アルミニ
ウム合金においては、窒化アルミニウムとアルミニウム
合金のマトリクスとの界面には隙間がなく、両者が強固
に結合している。このため、アルミニウム合金が溶製ア
ルミニウム合金を相手材として摩擦および摺動した場合
においても、窒化アルミニウムの粒子が脱落せず、優れ
た耐摩耗性、耐焼き付き性および相手材攻撃性を有して
いることが確認された。
ウム合金においては、窒化アルミニウムとアルミニウム
合金のマトリクスとの界面には隙間がなく、両者が強固
に結合している。このため、アルミニウム合金が溶製ア
ルミニウム合金を相手材として摩擦および摺動した場合
においても、窒化アルミニウムの粒子が脱落せず、優れ
た耐摩耗性、耐焼き付き性および相手材攻撃性を有して
いることが確認された。
【0143】実施例12 種々の熱膨張率αV を有する焼結アルミニウム合金から
成形されたバルブスプール(直径16mm、全長32m
m)と、アルミニウム高圧鋳造法により作製した溶製ア
ルミニウム合金製のバルブケースとを準備した。バルブ
スプールをバルブケース内にセットして、油潤滑した状
態で400時間の連続耐久試験を行なった。その耐久試
験の後、バルブスプールとバルブケースの摺動面の損傷
状況(摩耗損傷、焼き付き、凝着の有無)と油圧の変動
率を評価した。
成形されたバルブスプール(直径16mm、全長32m
m)と、アルミニウム高圧鋳造法により作製した溶製ア
ルミニウム合金製のバルブケースとを準備した。バルブ
スプールをバルブケース内にセットして、油潤滑した状
態で400時間の連続耐久試験を行なった。その耐久試
験の後、バルブスプールとバルブケースの摺動面の損傷
状況(摩耗損傷、焼き付き、凝着の有無)と油圧の変動
率を評価した。
【0144】その結果を下の表10に示す。ここで、油
圧変動率は、耐久試験後の油圧の目標値に対する最大変
動幅の比率(%)を示している。バルブケースに用いた
アルミニウム鋳物合金の組成をAl−17%Si−3%
Cu−1%Mg(重量%表示)とした。また、その熱膨
張率αC を19.5×10-6/℃とした。ただし、この
表に記載された熱膨張率の値は、常温から200℃まで
の値の平均値を示している。
圧変動率は、耐久試験後の油圧の目標値に対する最大変
動幅の比率(%)を示している。バルブケースに用いた
アルミニウム鋳物合金の組成をAl−17%Si−3%
Cu−1%Mg(重量%表示)とした。また、その熱膨
張率αC を19.5×10-6/℃とした。ただし、この
表に記載された熱膨張率の値は、常温から200℃まで
の値の平均値を示している。
【0145】表10に示されているように、No.1〜
6の場合、すなわち熱膨張率が−3×10-6/℃≦(α
C −αV )≦3×10-6/℃という関係式を満足するバ
ルブスプールとバルブケースとの組合せにおいては、そ
れぞれの摺動面に摩耗損傷、焼き付きおよび凝着現象は
認められず、良好な摺動面が確認された。また、油圧変
動率の値は5%以内であり、オイルポンプの性能を損な
わないことが確認された。
6の場合、すなわち熱膨張率が−3×10-6/℃≦(α
C −αV )≦3×10-6/℃という関係式を満足するバ
ルブスプールとバルブケースとの組合せにおいては、そ
れぞれの摺動面に摩耗損傷、焼き付きおよび凝着現象は
認められず、良好な摺動面が確認された。また、油圧変
動率の値は5%以内であり、オイルポンプの性能を損な
わないことが確認された。
【0146】一方、熱膨張率が上記の関係式を満足しな
い場合には、次のような問題が生じることが確認され
た。No.7の場合には、バルブスプールおよびバルブ
ケースの摺動面には摩耗および凝着は発生しなかった
が、バルブスプールとバルブケースとのクリアランスの
増加による油圧の変動率が9.2%となり、オイルポン
プの性能が著しく損なわれた。No.8の場合には、バ
ルブスプールおよびバルブケースの摺動面には摩耗およ
び凝着を発生しなかったが、バルブスプールとバルブケ
ースとのクリアランスの増加による油圧変動率が10.
2%となり、オイルポンプの性能が著しく損なわれた。
No.9の場合には、バルブスプールの熱膨張率が大き
すぎるために、バルブケースとのクリアランスがなくな
り、両者が接触した状態で長時間摺動した。このため、
両者の摺動面において凝着および摩耗が生じクリアラン
スが増加した。その結果、油圧変動率が22.6%とな
り、オイルポンプの性能が著しく損なわれた。
い場合には、次のような問題が生じることが確認され
た。No.7の場合には、バルブスプールおよびバルブ
ケースの摺動面には摩耗および凝着は発生しなかった
が、バルブスプールとバルブケースとのクリアランスの
増加による油圧の変動率が9.2%となり、オイルポン
プの性能が著しく損なわれた。No.8の場合には、バ
ルブスプールおよびバルブケースの摺動面には摩耗およ
び凝着を発生しなかったが、バルブスプールとバルブケ
ースとのクリアランスの増加による油圧変動率が10.
2%となり、オイルポンプの性能が著しく損なわれた。
No.9の場合には、バルブスプールの熱膨張率が大き
すぎるために、バルブケースとのクリアランスがなくな
り、両者が接触した状態で長時間摺動した。このため、
両者の摺動面において凝着および摩耗が生じクリアラン
スが増加した。その結果、油圧変動率が22.6%とな
り、オイルポンプの性能が著しく損なわれた。
【0147】
【表10】 実施例13 種々の熱膨張率αV を有するバルブスプール(直径18
mm、全長27mm)と、アルミニウム低圧鋳造法によ
り作製した溶製アルミニウム合金製のバルブケースとを
準備した。バルブスプールをバルブケース内にセットし
て油潤滑した状態で400時間の連続耐久試験を行なっ
た。その後、バルブスプールとバルブケースの摺動面の
損傷状況(摩耗損傷、焼き付き、凝着の有無)と油圧の
変動率を評価した。ここで、油圧変動率は耐久試験後の
油圧の目標値に対する最大変動幅の比率(%)を示す。
また、バルブケースのアルミニウム合金の組成をAl−
11%Si−3%Cu−1%Mg(重量%表示)とし
た。そのアルミニウム鋳物合金の熱膨張率αC は、2
0.3×10-6/℃である。なお、熱膨張率の値は常温
から200℃までの値の平均値とした。
mm、全長27mm)と、アルミニウム低圧鋳造法によ
り作製した溶製アルミニウム合金製のバルブケースとを
準備した。バルブスプールをバルブケース内にセットし
て油潤滑した状態で400時間の連続耐久試験を行なっ
た。その後、バルブスプールとバルブケースの摺動面の
損傷状況(摩耗損傷、焼き付き、凝着の有無)と油圧の
変動率を評価した。ここで、油圧変動率は耐久試験後の
油圧の目標値に対する最大変動幅の比率(%)を示す。
また、バルブケースのアルミニウム合金の組成をAl−
11%Si−3%Cu−1%Mg(重量%表示)とし
た。そのアルミニウム鋳物合金の熱膨張率αC は、2
0.3×10-6/℃である。なお、熱膨張率の値は常温
から200℃までの値の平均値とした。
【0148】その結果を下の表11に示す。表11に示
すように、No.1〜5の場合、すなわち、熱膨張率
が、−3×10-6/℃≦(αC −αV )≦3×10-6/
℃の関係を満足する場合においては、バルブスプールお
よびバルブケースの摺動面には、摩耗損傷、焼き付き、
凝着現象は認められず、良好な摺動面が確認された。ま
た、油圧変動率の値は5%以内であり、オイルポンプの
性能を損なわないことが確認された。
すように、No.1〜5の場合、すなわち、熱膨張率
が、−3×10-6/℃≦(αC −αV )≦3×10-6/
℃の関係を満足する場合においては、バルブスプールお
よびバルブケースの摺動面には、摩耗損傷、焼き付き、
凝着現象は認められず、良好な摺動面が確認された。ま
た、油圧変動率の値は5%以内であり、オイルポンプの
性能を損なわないことが確認された。
【0149】一方、バルブスプールとバルブケースの熱
膨張率の値が上記の関係を満足しない場合には、次のよ
うな問題が生じることが確認された。すなわち、No.
6の場合には、バルブスプールおよびバルブケースの摺
動面には摩耗および凝着を発生しなかったが、バルブス
プールとバルブケースとのクリアランスの増加に伴う油
圧変動率が10.6%となり、オイルポンプの性能が著
しく損なわれた。No.7の場合には、バルブスプール
およびバルブケースの摺動面には、摩耗および凝着は発
生しなかったが、バルブスプールとバルブケースのクリ
アランスの増加に伴う油圧変動率が10.9%になり、
オイルポンプの性能が著しく損なわれた。
膨張率の値が上記の関係を満足しない場合には、次のよ
うな問題が生じることが確認された。すなわち、No.
6の場合には、バルブスプールおよびバルブケースの摺
動面には摩耗および凝着を発生しなかったが、バルブス
プールとバルブケースとのクリアランスの増加に伴う油
圧変動率が10.6%となり、オイルポンプの性能が著
しく損なわれた。No.7の場合には、バルブスプール
およびバルブケースの摺動面には、摩耗および凝着は発
生しなかったが、バルブスプールとバルブケースのクリ
アランスの増加に伴う油圧変動率が10.9%になり、
オイルポンプの性能が著しく損なわれた。
【0150】
【表11】 実施例14 シリコン16重量%、ニッケル4重量%およびマグネシ
ウム0.5重量%を含有するアルミニウム合金粉末を成
形した。その後、そのアルミニウム合金粉末成形体を温
度550℃の窒素雰囲気中で4時間加熱および保持する
ことにより、3.5重量%の窒化アルミニウムを含む焼
結アルミニウム合金を作製した。この焼結アルミニウム
合金を熱間押出法によって成形するとともに、切削加工
により空孔率3容積%のバルブスプールを作製した。ま
た、バルブケースとして、溶製アルミニウム合金(JI
S AC8A材)を用いた。バルブスプールが摺動する
表面に、種々の硬さのアルマイト皮膜処理を施した。焼
結アルミニウム合金のバルブスプールをバルブケース内
にセットした。
ウム0.5重量%を含有するアルミニウム合金粉末を成
形した。その後、そのアルミニウム合金粉末成形体を温
度550℃の窒素雰囲気中で4時間加熱および保持する
ことにより、3.5重量%の窒化アルミニウムを含む焼
結アルミニウム合金を作製した。この焼結アルミニウム
合金を熱間押出法によって成形するとともに、切削加工
により空孔率3容積%のバルブスプールを作製した。ま
た、バルブケースとして、溶製アルミニウム合金(JI
S AC8A材)を用いた。バルブスプールが摺動する
表面に、種々の硬さのアルマイト皮膜処理を施した。焼
結アルミニウム合金のバルブスプールをバルブケース内
にセットした。
【0151】球径2〜10μmの鉄粉末およびアルミニ
ウム粉末を異物として、潤滑油に添加した。なお、その
添加量は潤滑油に対して0.5重量%とした。その潤滑
油(ATF)をバルブケース内に流入・循環させた状態
で、100時間の連続耐久試験を行なった。その後、バ
ルブスプールおよびバルブケースの摺動面の損傷状況
(摩耗損傷、焼き付き、凝着の有無)を評価した。な
お、比較のために、摺動表面にアルマイト皮膜処理を施
した溶製アルミニウム合金のバルブスプールを準備し、
同様の耐久試験を行なった。アルマイト皮膜処理の硬さ
を、マイクロビッカース硬さMHv=180とした。
ウム粉末を異物として、潤滑油に添加した。なお、その
添加量は潤滑油に対して0.5重量%とした。その潤滑
油(ATF)をバルブケース内に流入・循環させた状態
で、100時間の連続耐久試験を行なった。その後、バ
ルブスプールおよびバルブケースの摺動面の損傷状況
(摩耗損傷、焼き付き、凝着の有無)を評価した。な
お、比較のために、摺動表面にアルマイト皮膜処理を施
した溶製アルミニウム合金のバルブスプールを準備し、
同様の耐久試験を行なった。アルマイト皮膜処理の硬さ
を、マイクロビッカース硬さMHv=180とした。
【0152】その結果を下の表12に示す。表12に示
されているように、所定の硬さを有するアルマイト皮膜
層が形成されたバルブケースの摺動表面には、焼き付き
現象や凝着摩耗等が生じていないことが判明した。
されているように、所定の硬さを有するアルマイト皮膜
層が形成されたバルブケースの摺動表面には、焼き付き
現象や凝着摩耗等が生じていないことが判明した。
【0153】一方、比較材においては次のような問題が
確認された。No.4の場合には、アルマイト皮膜の硬
度が130と小さいために、アルマイト皮膜層が摩耗し
て、バルブケース側に凝着が発生した。No.5の場合
には、バルブケースの摺動面にアルマイト皮膜処理を施
さなかったために、バルブケース側に凝着が発生した。
No.6の場合には、バルブスプール側のアルマイト皮
膜層が剥離したために、バルブスプールおよびバルブケ
ースの双方において凝着が発生した。
確認された。No.4の場合には、アルマイト皮膜の硬
度が130と小さいために、アルマイト皮膜層が摩耗し
て、バルブケース側に凝着が発生した。No.5の場合
には、バルブケースの摺動面にアルマイト皮膜処理を施
さなかったために、バルブケース側に凝着が発生した。
No.6の場合には、バルブスプール側のアルマイト皮
膜層が剥離したために、バルブスプールおよびバルブケ
ースの双方において凝着が発生した。
【0154】なお、バルブケース側に凝着摩擦等が生じ
た場合においても、本発明である焼結アルミニウム合金
のバルブスプールを用いた場合には、焼き付き現象や凝
着摩耗といった問題は生じなかった。したがって本発明
の焼結アルミニウム合金は、バルブスプールとバルブケ
ースとの間に異物粒子が混入した場合においても、優れ
た耐久性および耐摩耗性を有していることが判明した。
た場合においても、本発明である焼結アルミニウム合金
のバルブスプールを用いた場合には、焼き付き現象や凝
着摩耗といった問題は生じなかった。したがって本発明
の焼結アルミニウム合金は、バルブスプールとバルブケ
ースとの間に異物粒子が混入した場合においても、優れ
た耐久性および耐摩耗性を有していることが判明した。
【0155】
【表12】 今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限
的なものではないと考えられるべきである。本発明の範
囲は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によ
って示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲で
のすべての変更が含まれることが意図される。
的なものではないと考えられるべきである。本発明の範
囲は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によ
って示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲で
のすべての変更が含まれることが意図される。
【0156】
【発明の効果】本発明によれば、耐摩耗性、耐熱性、耐
焼き付き性および被削性に優れた摺動部材としてのギア
ロータセットおよびバルブが得られる。
焼き付き性および被削性に優れた摺動部材としてのギア
ロータセットおよびバルブが得られる。
【0157】ギアロータセットの場合には、高剛性、高
硬度特性を生かしてアウターロータのみならずインナー
ロータにも焼結アルミニウム合金を適用できることを見
出した。このとき、適正な空孔を含むことにより耐焼き
付き性に優れるとともに、サイジングやコイニングなど
の塑性加工が容易なアウターロータおよびインナーロー
タを得ることができる。
硬度特性を生かしてアウターロータのみならずインナー
ロータにも焼結アルミニウム合金を適用できることを見
出した。このとき、適正な空孔を含むことにより耐焼き
付き性に優れるとともに、サイジングやコイニングなど
の塑性加工が容易なアウターロータおよびインナーロー
タを得ることができる。
【0158】またバルブでは、バルブスプールとバルブ
ケースとのクリアランスの変動が低下し、油圧の低下や
油の流量の変動を抑制することができる。
ケースとのクリアランスの変動が低下し、油圧の低下や
油の流量の変動を抑制することができる。
【図1】本発明の実施例に係るギアロータセットの一断
面図である。
面図である。
【図2】本発明の実施例に係るバルブの一断面図であ
る。
る。
【図3】直接窒化反応によって形成された焼結アルミニ
ウム合金のTEM写真である。
ウム合金のTEM写真である。
【図4】直接窒化反応によって形成された焼結アルミニ
ウム合金のSIM写真である。
ウム合金のSIM写真である。
【図5】窒化アルミニウム粒子の添加によって形成され
た焼結アルミニウム合金のSIM写真である。
た焼結アルミニウム合金のSIM写真である。
【図6】直接窒化反応によって形成された焼結アルミニ
ウム合金の電子顕微鏡組織写真である。
ウム合金の電子顕微鏡組織写真である。
【図7】窒化アルミニウム粒子の添加によって形成され
た焼結アルミニウム合金の電子顕微鏡組織写真である。
た焼結アルミニウム合金の電子顕微鏡組織写真である。
【図8】直接窒化反応によって形成された焼結アルミニ
ウム合金の摩擦試験後の摺動表面の光学顕微鏡写真であ
る。
ウム合金の摩擦試験後の摺動表面の光学顕微鏡写真であ
る。
【図9】直接窒化反応によって形成された焼結アルミニ
ウム合金の摩擦試験後の相手材の摺動表面の光学顕微鏡
写真である。
ウム合金の摩擦試験後の相手材の摺動表面の光学顕微鏡
写真である。
【図10】窒化アルミニウム粒子の添加によって形成さ
れた焼結アルミニウム合金の摩擦試験後の摺動表面の光
学顕微鏡写真である。
れた焼結アルミニウム合金の摩擦試験後の摺動表面の光
学顕微鏡写真である。
【図11】窒化アルミニウムの粒子の添加によって形成
された焼結アルミニウム合金の摩擦試験後の相手材の摺
動表面の光学顕微鏡写真である。
された焼結アルミニウム合金の摩擦試験後の相手材の摺
動表面の光学顕微鏡写真である。
1 バルブ 1a バルブスプール 1b バルブケース 3 溝 5 ギアロータセット 5a アウターロータ 5b インナーロータ 5c ポンプケース 6 回転駆動軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F16J 10/04 F16J 10/04 F16K 25/00 F16K 25/00
Claims (16)
- 【請求項1】 一方と他方とが摺動する1対の摺動部材
であって、 一方の摺動部材は、5〜30重量%のシリコンを含むア
ルミニウム合金からなり、 他方の摺動部材は、0.1〜3.5重量%の窒素を含む
焼結アルミニウム合金からなり、 前記窒素は、窒化アルミニウムとして、前記焼結アルミ
ニウム合金中に存在する、摺動部材。 - 【請求項2】 前記一方の摺動部材をなす前記アルミニ
ウム合金は、焼結アルミニウム合金である、請求項1記
載の摺動部材。 - 【請求項3】 前記一方の摺動部材をなす前記アルミニ
ウム合金は、5〜20重量%のシリコンを含む溶製アル
ミニウム合金である、請求項1記載の摺動部材。 - 【請求項4】 前記他方の摺動部材をなす前記焼結アル
ミニウム合金は、0.5〜11重量%の窒化アルミニウ
ムを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の摺動部材。 - 【請求項5】 前記他方の摺動部材をなす前記焼結アル
ミニウム合金は、0.05重量%以上のマグネシウムを
含む、請求項1〜4のいずれかに記載の摺動部材。 - 【請求項6】 前記窒化アルミニウムは、繊維状に一方
向に成長している、請求項1〜5のいずれかに記載の摺
動部材。 - 【請求項7】 前記他方の摺動部材をなす前記焼結アル
ミニウム合金の空孔率は、25容積%以下である、請求
項1〜6のいずれかに記載の摺動部材。 - 【請求項8】 前記他方の摺動部材をなす前記焼結アル
ミニウム合金は、シリコン、鉄、ニッケル、クロム、チ
タン、マンガンおよびジルコニウムからなる群から選ば
れる少なくとも1つの元素を含有するとともに、その含
有量が25重量%以下である、請求項1〜7のいずれか
に記載の摺動部材。 - 【請求項9】 前記他方の摺動部材をなす前記焼結アル
ミニウム合金は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化
シリコン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムおよび
酸化クロムからなる群から選ばれる少なくとも1つの酸
化物を含有するとともに、その含有量が5重量%以下で
ある、請求項1〜8のいずれかに記載の摺動部材。 - 【請求項10】 前記他方の摺動部材をなす前記焼結ア
ルミニウム合金は、潤滑成分として、黒鉛、硫化モリブ
デン、硫化タングステンおよびフッ化カルシウムからな
る群から選ばれる少なくとも1つの潤滑成分を含有する
とともに、その含有量が5重量%以下である、請求項1
〜9のいずれかに記載の摺動部材。 - 【請求項11】 前記焼結アルミニウム合金からなる一
方の摺動部材は、トロコイド曲線、インボリュート曲線
およびハイポサイクロイド曲線からなる群から選ばれる
1つの曲線を基調とした歯形形状を内周部に有するアウ
ターロータであり、 前記焼結アルミニウム合金からなる他方の摺動部材は、
前記アウターロータ内に配設され、トロコイド曲線、イ
ンボリュート曲線およびハイポサイクロイド曲線からな
る群から選ばれる1つの曲線を基調とした歯形形状を外
周部に有するインナーロータであり、 前記アウタロータの歯形形状と前記インナーロータの歯
形形状とが組み合わされた、請求項2記載の摺動部材。 - 【請求項12】 前記アウターロータの空孔率は、3〜
15容積%であり、前記インナーロータの空孔率は、2
〜10容積%である、請求項11記載の摺動部材。 - 【請求項13】 前記溶製アルミニウム合金からなる一
方の摺動部材はバルブケースであり、 前記焼結アルミニウム合金からなる他方の摺動部材は、
前記バルブケース内を往復摺動するバルブスプールであ
る、請求項3記載の摺動部材。 - 【請求項14】 前記焼結アルミニウム合金は、0.5
〜6重量%の窒化アルミニウムを含む、請求項13記載
の摺動部材。 - 【請求項15】 前記焼結アルミニウム合金の熱膨張率
をαV とし、前記溶製アルミニウム合金の熱膨張率をα
C とするときに、 −3×10-6/℃≦(αC −αV )≦3×10-6/℃ を満足する、請求項14記載の摺動部材。 - 【請求項16】 前記バルブケースの摺動面には、マイ
クロビッカース硬さ150以上の硬度を有する硬質皮膜
層が形成されている、請求項15記載の摺動部材。
Priority Applications (4)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP29323297A JPH11117035A (ja) | 1997-10-09 | 1997-10-09 | 摺動部材 |
| US09/150,597 US6089843A (en) | 1997-10-03 | 1998-09-10 | Sliding member and oil pump |
| EP98307554A EP0907023B1 (en) | 1997-10-03 | 1998-09-17 | Sliding member made of sintered aluminum alloy and oil pump |
| DE69817115T DE69817115D1 (de) | 1997-10-03 | 1998-09-17 | Gleitstück aus gesinterter Aluminiumlegierung und Ölpumpe |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP29323297A JPH11117035A (ja) | 1997-10-09 | 1997-10-09 | 摺動部材 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11117035A true JPH11117035A (ja) | 1999-04-27 |
Family
ID=17792148
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP29323297A Withdrawn JPH11117035A (ja) | 1997-10-03 | 1997-10-09 | 摺動部材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH11117035A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2004512463A (ja) * | 2000-10-28 | 2004-04-22 | ライボルト ヴァークウム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 機械的動力学的な真空ポンプ |
| CN112728386A (zh) * | 2021-01-06 | 2021-04-30 | 华域皮尔博格泵技术有限公司 | 一种高容积效率的电子油泵 |
| CN116511492A (zh) * | 2023-05-23 | 2023-08-01 | 江西寰球新材料科技有限公司 | 一种铝基复合材料及其制备方法与齿轮 |
| CN116926544A (zh) * | 2018-11-30 | 2023-10-24 | 浦项股份有限公司 | 热成型部件及其制造方法 |
| JP2024521264A (ja) * | 2021-06-11 | 2024-05-30 | ジェネシス アドバンスド テクノロジー インコーポレイテッド | 内トロコイド容積式機械 |
-
1997
- 1997-10-09 JP JP29323297A patent/JPH11117035A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2004512463A (ja) * | 2000-10-28 | 2004-04-22 | ライボルト ヴァークウム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 機械的動力学的な真空ポンプ |
| CN116926544A (zh) * | 2018-11-30 | 2023-10-24 | 浦项股份有限公司 | 热成型部件及其制造方法 |
| CN112728386A (zh) * | 2021-01-06 | 2021-04-30 | 华域皮尔博格泵技术有限公司 | 一种高容积效率的电子油泵 |
| JP2024521264A (ja) * | 2021-06-11 | 2024-05-30 | ジェネシス アドバンスド テクノロジー インコーポレイテッド | 内トロコイド容積式機械 |
| CN116511492A (zh) * | 2023-05-23 | 2023-08-01 | 江西寰球新材料科技有限公司 | 一种铝基复合材料及其制备方法与齿轮 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050104 |