JPH1112690A - 電子銃用素板とその製造方法 - Google Patents
電子銃用素板とその製造方法Info
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- JPH1112690A JPH1112690A JP16676397A JP16676397A JPH1112690A JP H1112690 A JPH1112690 A JP H1112690A JP 16676397 A JP16676397 A JP 16676397A JP 16676397 A JP16676397 A JP 16676397A JP H1112690 A JPH1112690 A JP H1112690A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 電子銃用、特にその制御格子を得るために用
いるバリの発生が少なく打ち抜き加工性に優れた素板と
その製造方法を提供する。 【解決手段】非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼か
らなり、Mnを1.2〜2.0%及びSを0.003〜
0.015%添加してMnSの結晶粒を生成した打ち抜
き加工性に優れた電子銃用素板1。また、焼鈍により上
記MnSの結晶粒径を40μm以下とし、且つ表面研磨
等により表層に薄い硬化層を形成する素板1とその製造
方法も含まれる。
いるバリの発生が少なく打ち抜き加工性に優れた素板と
その製造方法を提供する。 【解決手段】非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼か
らなり、Mnを1.2〜2.0%及びSを0.003〜
0.015%添加してMnSの結晶粒を生成した打ち抜
き加工性に優れた電子銃用素板1。また、焼鈍により上
記MnSの結晶粒径を40μm以下とし、且つ表面研磨
等により表層に薄い硬化層を形成する素板1とその製造
方法も含まれる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビジョンや各
種ディスプレイ等におけるブラウン管の電子銃を制作す
るために用いられるプレス等の打ち抜き加工性に優れた
電子銃用素板とその製造方法に関する。
種ディスプレイ等におけるブラウン管の電子銃を制作す
るために用いられるプレス等の打ち抜き加工性に優れた
電子銃用素板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ブラウン管の電子銃を構成する制御格子
10は、図9(A)に示すように、長方形状の本体12に
R(赤)G(緑)B(青)からなる光の3原色の電子線に対応
して明けられた3個の貫通孔14が明けられている。又
は、図9(B)に示すように、絞り加工によって直方体状
に成形された本体16を有し、その頂面17に同様の貫
通孔18を3個明けた制御格子15が用いられている。
これらの各貫通孔14,18は主にプレスによる打ち抜
き加工によって形成される。
10は、図9(A)に示すように、長方形状の本体12に
R(赤)G(緑)B(青)からなる光の3原色の電子線に対応
して明けられた3個の貫通孔14が明けられている。又
は、図9(B)に示すように、絞り加工によって直方体状
に成形された本体16を有し、その頂面17に同様の貫
通孔18を3個明けた制御格子15が用いられている。
これらの各貫通孔14,18は主にプレスによる打ち抜
き加工によって形成される。
【0003】ところが、係る打ち抜き加工の際に、各貫
通孔14,18内にバリが生じていると、これらを通過
すべき上記電子線の進行が妨害されるため、鮮明な映像
が得られない場合がある。このため、係るバリを極力減
らすことが必要である。しかしながら、上記制御格子1
0,15に現在用いられている非磁性のステンレス鋼等
の材料では、上記バリを低く抑えることが十分ではな
い。このため、貫通孔14,18が打ち抜き加工された
制御格子10,15に対し、バレル研磨や化学研磨を施
してバリを除去している。従って、研磨精度がばら付い
たり、加工工数が増えてコスト高になるという問題があ
った。
通孔14,18内にバリが生じていると、これらを通過
すべき上記電子線の進行が妨害されるため、鮮明な映像
が得られない場合がある。このため、係るバリを極力減
らすことが必要である。しかしながら、上記制御格子1
0,15に現在用いられている非磁性のステンレス鋼等
の材料では、上記バリを低く抑えることが十分ではな
い。このため、貫通孔14,18が打ち抜き加工された
制御格子10,15に対し、バレル研磨や化学研磨を施
してバリを除去している。従って、研磨精度がばら付い
たり、加工工数が増えてコスト高になるという問題があ
った。
【0004】更に、上記制御格子15のように、本体1
6を絞り加工によって成形する場合、係る成形性を上げ
るためその素板の強度や靱性を高めると、その後の打ち
抜き加工では逆にバリが多く発生するという問題もあっ
た。一方、上記素板に先に打ち抜き加工して貫通孔18
を明けてから、本体16を得るよう絞り加工しようとす
ると、上記貫通孔18や頂面17の形状が歪むという問
題点があった。
6を絞り加工によって成形する場合、係る成形性を上げ
るためその素板の強度や靱性を高めると、その後の打ち
抜き加工では逆にバリが多く発生するという問題もあっ
た。一方、上記素板に先に打ち抜き加工して貫通孔18
を明けてから、本体16を得るよう絞り加工しようとす
ると、上記貫通孔18や頂面17の形状が歪むという問
題点があった。
【0005】
【発明が解決すべき課題】本発明は、以上の従来の技術
における問題点を解決し、打ち抜き加工によりバリの少
ない正確な貫通孔を容易に形成し得る電子銃用、特に制
御格子に用いる素板とその製造方法を提供することを目
的とする。
における問題点を解決し、打ち抜き加工によりバリの少
ない正確な貫通孔を容易に形成し得る電子銃用、特に制
御格子に用いる素板とその製造方法を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するため、素板中にMnSの結晶粒を生成させて剪
断加工の初期段階から素板の厚さ方向に沿うクラックを
誘発することに着想して成されたものである。即ち、本
発明の電子銃用素板は、非磁性のオーステナイト系ステ
ンレス鋼からなり、Mnを1.2〜2.0%及びSを0.
003〜0.015%添加してMnSの結晶粒を生成し
た打ち抜き加工性に優れたことを特徴とする。上記生成
したMnSの結晶粒により、打ち抜き加工に伴う剪断加
工の初期段階から素板の厚さ方向に沿ってクラックを発
生させ、加工終了時にまで係るクラックを継続させるこ
とにより、素板に形成される貫通孔にダレやバリの発生
を抑制することが可能となる。尚、上記MnとSの各下
限値はMnSを結晶粒として十分に生成させるためのも
のであり、且つ各上限値は熱間圧延時の割れを防止する
ためのものである。また、本明細書において、成分につ
いての%は全て重量%を示す。
解決するため、素板中にMnSの結晶粒を生成させて剪
断加工の初期段階から素板の厚さ方向に沿うクラックを
誘発することに着想して成されたものである。即ち、本
発明の電子銃用素板は、非磁性のオーステナイト系ステ
ンレス鋼からなり、Mnを1.2〜2.0%及びSを0.
003〜0.015%添加してMnSの結晶粒を生成し
た打ち抜き加工性に優れたことを特徴とする。上記生成
したMnSの結晶粒により、打ち抜き加工に伴う剪断加
工の初期段階から素板の厚さ方向に沿ってクラックを発
生させ、加工終了時にまで係るクラックを継続させるこ
とにより、素板に形成される貫通孔にダレやバリの発生
を抑制することが可能となる。尚、上記MnとSの各下
限値はMnSを結晶粒として十分に生成させるためのも
のであり、且つ各上限値は熱間圧延時の割れを防止する
ためのものである。また、本明細書において、成分につ
いての%は全て重量%を示す。
【0007】また、本発明の他の電子銃用素板は、上記
MnSの結晶粒径を40μm以下とし、表層に薄い硬化
層を形成した打ち抜き加工性に優れたことを特徴とす
る。係るMnSの結晶粒の微細化と、表層の薄い硬化層
を併有することにより、素板の強度と靱性を高めて絞り
加工のような成形度の高い加工を可能とすると共に、打
ち抜き加工によるバリ、ダレの発生も抑制することが可
能となる。上記MnSの結晶粒径を40μm以下とした
のは、これを超えるサイズでは素板の強度と靱性を十分
に高められないためである。また、係るMnSの結晶粒
の微細化に伴いバリが生じ易くなるため、素板の表面か
ら数10μm程度の極薄い表層で表面加工によりHvで
100以上硬くした硬化層を形成したものである。
MnSの結晶粒径を40μm以下とし、表層に薄い硬化
層を形成した打ち抜き加工性に優れたことを特徴とす
る。係るMnSの結晶粒の微細化と、表層の薄い硬化層
を併有することにより、素板の強度と靱性を高めて絞り
加工のような成形度の高い加工を可能とすると共に、打
ち抜き加工によるバリ、ダレの発生も抑制することが可
能となる。上記MnSの結晶粒径を40μm以下とした
のは、これを超えるサイズでは素板の強度と靱性を十分
に高められないためである。また、係るMnSの結晶粒
の微細化に伴いバリが生じ易くなるため、素板の表面か
ら数10μm程度の極薄い表層で表面加工によりHvで
100以上硬くした硬化層を形成したものである。
【0008】更に、上記ステンレス鋼が、更にC:0.02
〜0.06%、Si:0.4〜1.0%、P:0.025%以
下、Ni:13.5〜15%、Cr:5〜17%、及びN:
0.03〜0.06%を含む打ち抜き加工性に優れた電子
銃用素板も含まれる。上記NiとCrはオーステナイト
系ステンレス鋼となす基本成分であり、CとSiとNは
靱性を損なわない程度に強度と硬度を与えるため上記の
範囲が添加され、Pは延性と割れを防ぐため上記範囲に
抑制される。尚、上記ステンレス鋼には、更にCu,M
o,Al、及びTiのうち1種又2種以上を0.05%
以下含んだものを用いることもできる。
〜0.06%、Si:0.4〜1.0%、P:0.025%以
下、Ni:13.5〜15%、Cr:5〜17%、及びN:
0.03〜0.06%を含む打ち抜き加工性に優れた電子
銃用素板も含まれる。上記NiとCrはオーステナイト
系ステンレス鋼となす基本成分であり、CとSiとNは
靱性を損なわない程度に強度と硬度を与えるため上記の
範囲が添加され、Pは延性と割れを防ぐため上記範囲に
抑制される。尚、上記ステンレス鋼には、更にCu,M
o,Al、及びTiのうち1種又2種以上を0.05%
以下含んだものを用いることもできる。
【0009】一方、本発明の電子銃用素板の製造方法
は、前記ステンレス鋼の素板を焼鈍して前記MnSの結
晶粒を40μm以下とする工程と、その後この素板に対
しレベラー矯正、スキンパス圧延、表面ブラッシング、
表面ブラスト加工、又は表面研磨を施して表層を薄く加
工硬化させる工程と、を有する打ち抜き加工性に優れた
ことを特徴とする。上記焼鈍によりMnSの結晶粒を4
0μm以下に微細化して素板の強度と靱性を高めると共
に、上記の表面加工により表層を薄く加工硬化して硬化
層を形成することにより、打ち抜き加工によるバリ等の
発生を抑制することが可能となる。尚、本発明の素板
は、電子銃における制御格子の他、例えば加速格子や集
束格子等にも使用することが可能である。また、その板
厚は0.1〜1.0mmである。
は、前記ステンレス鋼の素板を焼鈍して前記MnSの結
晶粒を40μm以下とする工程と、その後この素板に対
しレベラー矯正、スキンパス圧延、表面ブラッシング、
表面ブラスト加工、又は表面研磨を施して表層を薄く加
工硬化させる工程と、を有する打ち抜き加工性に優れた
ことを特徴とする。上記焼鈍によりMnSの結晶粒を4
0μm以下に微細化して素板の強度と靱性を高めると共
に、上記の表面加工により表層を薄く加工硬化して硬化
層を形成することにより、打ち抜き加工によるバリ等の
発生を抑制することが可能となる。尚、本発明の素板
は、電子銃における制御格子の他、例えば加速格子や集
束格子等にも使用することが可能である。また、その板
厚は0.1〜1.0mmである。
【0010】
【実施の形態】以下において本発明の実施に好適な形態
を説明する。表1に示す各成分を有する発明例1〜3と
比較例1,2の材料について、それぞれ真空溶解して3
0kgのインゴットを得た。各インゴットを約1100
℃において熱間鍛造して、厚さ20mm、幅70mmの短尺
な厚板とした。更に、各厚板を酸洗して表面に付着した
酸化スケールを除去した後、1100℃に加熱して熱間
圧延を行い、厚さ3mm、幅75mmの長尺な薄板にした。
係る各薄板を再度酸洗して脱スケールした後、圧下率約
15〜40%の冷間圧延と連続焼鈍を複数回繰り返して
行い、厚さ0.4mmの素板1を得た。尚、上記焼鈍は真空
中において800℃〜1200℃で5分間保持するもの
である。係る焼鈍のうち、最後に行う焼鈍が生成される
MnSの結晶粒の微細化を可能とする。
を説明する。表1に示す各成分を有する発明例1〜3と
比較例1,2の材料について、それぞれ真空溶解して3
0kgのインゴットを得た。各インゴットを約1100
℃において熱間鍛造して、厚さ20mm、幅70mmの短尺
な厚板とした。更に、各厚板を酸洗して表面に付着した
酸化スケールを除去した後、1100℃に加熱して熱間
圧延を行い、厚さ3mm、幅75mmの長尺な薄板にした。
係る各薄板を再度酸洗して脱スケールした後、圧下率約
15〜40%の冷間圧延と連続焼鈍を複数回繰り返して
行い、厚さ0.4mmの素板1を得た。尚、上記焼鈍は真空
中において800℃〜1200℃で5分間保持するもの
である。係る焼鈍のうち、最後に行う焼鈍が生成される
MnSの結晶粒の微細化を可能とする。
【0011】
【表1】
【0012】表1中の比較例1,2はSの含有量が過少
か過剰であるため、生成されるMnS量(比)もこれらに
対応している。また、比較例2は過剰なSによって前記
熱間鍛造及び熱間圧延の際に割れを生じていた。尚、表
1中のMnS量は、比較例1の生成量を1とした場合の
比によって示した。各発明例1〜3の素板1と比較例
1,2の素板に対し、図1に示す長円形の貫通孔2をプ
レスにより打ち抜き加工して形成し、各貫通孔2の図示
で左右両側の半円部分4において発生したバリをレーザ
ー顕微鏡により測定し、更に画像処理を施して各バリの
体積を求めた。その結果を図2のグラフに示す。
か過剰であるため、生成されるMnS量(比)もこれらに
対応している。また、比較例2は過剰なSによって前記
熱間鍛造及び熱間圧延の際に割れを生じていた。尚、表
1中のMnS量は、比較例1の生成量を1とした場合の
比によって示した。各発明例1〜3の素板1と比較例
1,2の素板に対し、図1に示す長円形の貫通孔2をプ
レスにより打ち抜き加工して形成し、各貫通孔2の図示
で左右両側の半円部分4において発生したバリをレーザ
ー顕微鏡により測定し、更に画像処理を施して各バリの
体積を求めた。その結果を図2のグラフに示す。
【0013】発明例1〜3の素板1及び比較例1,2の
素板を通じて、S含有量、即ちMnSの生成量に略反比
例てバリの体積が減少していた。従って、バリの発生を
抑制するには、S及びMnの含有量を増やしMnSの生
成量を増加させることが望ましいことが判る。しかし、
比較例2のように過剰なSによって前記割れを生じるこ
とは生産性等の点から好ましくない。そこで、比較例1
のように多くのバリを発生させず、しかも比較例2のよ
うに前記熱間鍛造及び熱間圧延の際に厚板等に割れが生
じることを防ぐため、 発明例1〜3の各S含有量は、前
記0.003〜0.015%と規定した範囲内で選定さ
れている。
素板を通じて、S含有量、即ちMnSの生成量に略反比
例てバリの体積が減少していた。従って、バリの発生を
抑制するには、S及びMnの含有量を増やしMnSの生
成量を増加させることが望ましいことが判る。しかし、
比較例2のように過剰なSによって前記割れを生じるこ
とは生産性等の点から好ましくない。そこで、比較例1
のように多くのバリを発生させず、しかも比較例2のよ
うに前記熱間鍛造及び熱間圧延の際に厚板等に割れが生
じることを防ぐため、 発明例1〜3の各S含有量は、前
記0.003〜0.015%と規定した範囲内で選定さ
れている。
【0014】次に、上記発明例2の素板1から6枚の試
験片(200×80mm)を切り出した。それぞれ焼鈍温度
を変化させて5分間保持する焼鈍を行い、生成されるM
nSの結晶粒の粒径を光学顕微鏡により測定した。その
結果図3のグラフに示す。このグラフから、焼鈍温度が
低くなるに連れてMnSの結晶粒径が微細になる傾向が
判る。また、これらの異なる温度で焼鈍された6枚の試
験片について、2分割しそれぞれについて硬度(Hv)と
伸び(%)をビッカース硬度計と引張り試験機により測定
した。その結果を硬度は図4のグラフに、伸びは図5の
グラフに示した。
験片(200×80mm)を切り出した。それぞれ焼鈍温度
を変化させて5分間保持する焼鈍を行い、生成されるM
nSの結晶粒の粒径を光学顕微鏡により測定した。その
結果図3のグラフに示す。このグラフから、焼鈍温度が
低くなるに連れてMnSの結晶粒径が微細になる傾向が
判る。また、これらの異なる温度で焼鈍された6枚の試
験片について、2分割しそれぞれについて硬度(Hv)と
伸び(%)をビッカース硬度計と引張り試験機により測定
した。その結果を硬度は図4のグラフに、伸びは図5の
グラフに示した。
【0015】図4のグラフから焼鈍温度が低くなるに連
れて硬くなり、逆に焼鈍温度が高くなるに連れて硬度が
低下していることが判る。この硬度の傾向から、前記M
nSの結晶粒の微細化が進むに連れて、硬くなることが
理解される。また、図5のグラフから、焼鈍温度が低い
ほど伸び率が高く、焼鈍温度が高くなるほど伸び率が低
下することが判る。係る傾向から前記MnSの結晶粒が
微細化するに連れ、伸び易くなることが理解できる。従
って、図4,5の両グラフから、最後に行う焼鈍の温度
を低くしMnSの結晶粒の微細化することによって、素
板1の強度と靱性の双方を高めることが可能となること
も容易に理解される。
れて硬くなり、逆に焼鈍温度が高くなるに連れて硬度が
低下していることが判る。この硬度の傾向から、前記M
nSの結晶粒の微細化が進むに連れて、硬くなることが
理解される。また、図5のグラフから、焼鈍温度が低い
ほど伸び率が高く、焼鈍温度が高くなるほど伸び率が低
下することが判る。係る傾向から前記MnSの結晶粒が
微細化するに連れ、伸び易くなることが理解できる。従
って、図4,5の両グラフから、最後に行う焼鈍の温度
を低くしMnSの結晶粒の微細化することによって、素
板1の強度と靱性の双方を高めることが可能となること
も容易に理解される。
【0016】また、上記発明例2の異なる温度で焼鈍さ
れた6枚の素板1の各試験片について、前記図1で示し
た貫通孔2をプレスによって打ち抜き加工して形成し、
前記と同じ位置に発生するバリの体積を同様にレーザー
顕微鏡と画像処理により測定した。併せて、前記比較例
1の素板についても同様に焼鈍温度を変化させた6枚の
試験片を用意し、同じ打ち抜き加工を行って発生したバ
リの体積を測定した。その結果を示す図6のグラフか
ら、焼鈍温度が高くなるに連れて、発生するバリが少な
くなること、及び発明例2の方が比較例1よりも全体と
してバリが少ないことが判る。この結果から、MnSを
十分に生成させ、且つその結晶粒を微細にしない方が、
バリの発生を抑制できることが理解される。
れた6枚の素板1の各試験片について、前記図1で示し
た貫通孔2をプレスによって打ち抜き加工して形成し、
前記と同じ位置に発生するバリの体積を同様にレーザー
顕微鏡と画像処理により測定した。併せて、前記比較例
1の素板についても同様に焼鈍温度を変化させた6枚の
試験片を用意し、同じ打ち抜き加工を行って発生したバ
リの体積を測定した。その結果を示す図6のグラフか
ら、焼鈍温度が高くなるに連れて、発生するバリが少な
くなること、及び発明例2の方が比較例1よりも全体と
してバリが少ないことが判る。この結果から、MnSを
十分に生成させ、且つその結晶粒を微細にしない方が、
バリの発生を抑制できることが理解される。
【0017】これら図3〜6の各グラフに示された結果
から、焼鈍温度を低くしてMnSの結晶粒を微細化する
と、強度や靱性が高められる反面、打ち抜き加工におい
てバリが発生し易くなるという矛盾した傾向が生じたこ
とが理解される。そこで、前記発明例2の素板1につい
て、上記と同様に焼鈍温度を変化させた6種類の試験片
(200×80mm)を用意し、各試験片に対して表層を加
工硬化させるためフラップ研磨を行った。このフラップ
研磨は、直径150mmのドラムの周面上に放射方向に長
さ50mmで細径の硬化用ワイヤーからなる翼状のブラシ
を複数個等間隔に植設した研磨治具(図示せず)を各試験
片の表面に対向させ、各ブラシのワイヤー先端部が試験
片の表面に対し約20mm程度重複する位置とし、ドラム
を回転させつつ5メートル/分の速度で各試験片の表面に沿
って移動させるものである。
から、焼鈍温度を低くしてMnSの結晶粒を微細化する
と、強度や靱性が高められる反面、打ち抜き加工におい
てバリが発生し易くなるという矛盾した傾向が生じたこ
とが理解される。そこで、前記発明例2の素板1につい
て、上記と同様に焼鈍温度を変化させた6種類の試験片
(200×80mm)を用意し、各試験片に対して表層を加
工硬化させるためフラップ研磨を行った。このフラップ
研磨は、直径150mmのドラムの周面上に放射方向に長
さ50mmで細径の硬化用ワイヤーからなる翼状のブラシ
を複数個等間隔に植設した研磨治具(図示せず)を各試験
片の表面に対向させ、各ブラシのワイヤー先端部が試験
片の表面に対し約20mm程度重複する位置とし、ドラム
を回転させつつ5メートル/分の速度で各試験片の表面に沿
って移動させるものである。
【0018】係る表面研磨によって表層に約30μm程
の薄い硬化層が形成された各試験片について、前記図1
で示した貫通孔2をプレスによって打ち抜き加工して形
成し、前記と同じ位置に発生するバリの体積を同様にレ
ーザー顕微鏡と画像処理により測定した。その結果を図
7のグラフに示した。図7のグラフから焼鈍温度が低い
程バリが多く発生したが、前記表面研磨を施さなかった
図6の各試験片の同じ焼鈍温度のもの(破線にて示す)に
比べ、上記表面研磨を施した各試験片はそれぞれ約10
00μm3程度バリの体積が低下した。これは、剪断加工
の初期と終期において表層の薄い硬化層によりクラック
が厚さ方向に沿って誘発され、バリやダレの発生を抑え
たものと思われる。
の薄い硬化層が形成された各試験片について、前記図1
で示した貫通孔2をプレスによって打ち抜き加工して形
成し、前記と同じ位置に発生するバリの体積を同様にレ
ーザー顕微鏡と画像処理により測定した。その結果を図
7のグラフに示した。図7のグラフから焼鈍温度が低い
程バリが多く発生したが、前記表面研磨を施さなかった
図6の各試験片の同じ焼鈍温度のもの(破線にて示す)に
比べ、上記表面研磨を施した各試験片はそれぞれ約10
00μm3程度バリの体積が低下した。これは、剪断加工
の初期と終期において表層の薄い硬化層によりクラック
が厚さ方向に沿って誘発され、バリやダレの発生を抑え
たものと思われる。
【0019】また、図7における焼鈍温度800℃の試
験片について、上記表面研磨後における硬度を測定し
た。この場合、荷重を高めてビッカースの圧痕を深くす
ると、素板の表層のみの硬度が測定できないので、10
0g以下の荷重をも用いて極く表層の硬度を測定した。
その結果を示す図8のグラフから、前記表面研磨をしな
かった試験片(Hv;約160、図4参照)に比べ、図示で
左端側に示す表層側においてHvで約100以上硬化し
得たことが判明した。これらの結果から、焼鈍温度を比
較的低温側としてMnSの結晶粒を微細化し素板1全体
の強度と靱性を高めると共に、その表層に表面研磨によ
り薄い硬化層を形成してバリの発生を抑制することが可
能であることが理解される。
験片について、上記表面研磨後における硬度を測定し
た。この場合、荷重を高めてビッカースの圧痕を深くす
ると、素板の表層のみの硬度が測定できないので、10
0g以下の荷重をも用いて極く表層の硬度を測定した。
その結果を示す図8のグラフから、前記表面研磨をしな
かった試験片(Hv;約160、図4参照)に比べ、図示で
左端側に示す表層側においてHvで約100以上硬化し
得たことが判明した。これらの結果から、焼鈍温度を比
較的低温側としてMnSの結晶粒を微細化し素板1全体
の強度と靱性を高めると共に、その表層に表面研磨によ
り薄い硬化層を形成してバリの発生を抑制することが可
能であることが理解される。
【0020】従って、上記の表面研磨を施した素板1を
用いると正確な成形とバリの少ない打ち抜き加工を行う
ことができるので、前記図9(B)で示した絞り加工によ
り本体16を直方体の箱状に成形し、その頂面17にプ
レスで貫通孔18を孔明けする制御格子15を製造する
場合には特に好適である。尚、上記フラップ研磨の他、
素板を複数組みのロール間に波状に通すレベラー矯正方
法、軽い圧下を与えるスキンパス圧延、回転するワイヤ
ーブラシを表面に軽く押圧する表面ブラッシング、或い
は微細なショット等を表面に軽く吹き付ける表面ブラス
ト加工を用いることでも、上記同様の薄い硬化層を素板
1の表層に形成することが可能である。
用いると正確な成形とバリの少ない打ち抜き加工を行う
ことができるので、前記図9(B)で示した絞り加工によ
り本体16を直方体の箱状に成形し、その頂面17にプ
レスで貫通孔18を孔明けする制御格子15を製造する
場合には特に好適である。尚、上記フラップ研磨の他、
素板を複数組みのロール間に波状に通すレベラー矯正方
法、軽い圧下を与えるスキンパス圧延、回転するワイヤ
ーブラシを表面に軽く押圧する表面ブラッシング、或い
は微細なショット等を表面に軽く吹き付ける表面ブラス
ト加工を用いることでも、上記同様の薄い硬化層を素板
1の表層に形成することが可能である。
【0021】本発明は以上において説明した各形態に限
定されるものではない。例えば、上記の表層に薄い硬化
層を設けない本発明の素板1は、前記図9(A)に示した
平坦な本体12の制御格子10に対して使用すると、バ
リの少ない貫通孔14を打ち抜くことが可能となる。ま
た、前記MnSの結晶粒を微細にする焼鈍は、焼鈍温度
を選択してその直前に行った冷間圧延による素板1の内
部歪みを除去するものと兼用させても良い。更に、係る
焼鈍温度は各グラフで示した低温側の700℃を下回っ
ても良いが、少なくとも600℃以上で、且つ上温側を
1000℃未満とする範囲において適宜選択することが
望ましい。また、前記表層の薄い硬化層は、素板1の全
面に形成せず、前記貫通孔14,18を打ち抜き加工す
る部分の付近にのみ選択的に形成しても良い。
定されるものではない。例えば、上記の表層に薄い硬化
層を設けない本発明の素板1は、前記図9(A)に示した
平坦な本体12の制御格子10に対して使用すると、バ
リの少ない貫通孔14を打ち抜くことが可能となる。ま
た、前記MnSの結晶粒を微細にする焼鈍は、焼鈍温度
を選択してその直前に行った冷間圧延による素板1の内
部歪みを除去するものと兼用させても良い。更に、係る
焼鈍温度は各グラフで示した低温側の700℃を下回っ
ても良いが、少なくとも600℃以上で、且つ上温側を
1000℃未満とする範囲において適宜選択することが
望ましい。また、前記表層の薄い硬化層は、素板1の全
面に形成せず、前記貫通孔14,18を打ち抜き加工す
る部分の付近にのみ選択的に形成しても良い。
【0022】
【発明の効果】以上において説明した本発明の電子銃用
素板によれば、MnSの結晶粒を生成させたことによ
り、プレス等による打ち抜き加工に伴って発生するバリ
やダレを低減でき、例えば前記制御格子の貫通孔を正確
に形成でき、鮮明な映像を提供することに寄与すること
ができる。しかも、本発明の素板は電子銃の前記制御格
子、加速格子、集束格子等の構成部品の外形を打ち抜く
際にも、バリやダレの少ない正確な形状と寸法の外形状
とすることもできる。
素板によれば、MnSの結晶粒を生成させたことによ
り、プレス等による打ち抜き加工に伴って発生するバリ
やダレを低減でき、例えば前記制御格子の貫通孔を正確
に形成でき、鮮明な映像を提供することに寄与すること
ができる。しかも、本発明の素板は電子銃の前記制御格
子、加速格子、集束格子等の構成部品の外形を打ち抜く
際にも、バリやダレの少ない正確な形状と寸法の外形状
とすることもできる。
【0023】また、請求項2の電子銃用素板によれば、
絞り加工等の成形性を高めると共に、打ち抜き加工時の
バリ等の発生を抑制することが可能になる。且つ、素板
の強度と靱性を高めるので、その板厚自体を薄肉なもの
にでき軽量化にも寄与する。更に、本発明の製造方法に
よれば、高い強度と靱性を有し、且つ表層に薄い硬化層
を有する電子銃用素板を少ない工程と通常の設備とで、
確実に提供することが可能となる。
絞り加工等の成形性を高めると共に、打ち抜き加工時の
バリ等の発生を抑制することが可能になる。且つ、素板
の強度と靱性を高めるので、その板厚自体を薄肉なもの
にでき軽量化にも寄与する。更に、本発明の製造方法に
よれば、高い強度と靱性を有し、且つ表層に薄い硬化層
を有する電子銃用素板を少ない工程と通常の設備とで、
確実に提供することが可能となる。
【図1】本発明の素板に打ち抜く長円形の貫通孔を示す
部分正面図。
部分正面図。
【図2】各発明例と比較例のバリの体積を示すグラフ。
【図3】発明例の素板における焼鈍温度とMnS結晶粒
の粒径との関係を示すグラフ。
の粒径との関係を示すグラフ。
【図4】発明例の素板における焼鈍温度と硬度との関係
を示すグラフ。
を示すグラフ。
【図5】発明例の素板における焼鈍温度と伸びとの関係
を示すグラフ。
を示すグラフ。
【図6】発明例と比較例における焼鈍温度とバリの体積
との関係を示すグラフ。
との関係を示すグラフ。
【図7】表面研磨された素板における焼鈍温度とバリの
体積との関係を示すグラフ。
体積との関係を示すグラフ。
【図8】発明例の表面研磨された素板における硬度と荷
重との関係を示すグラフ。
重との関係を示すグラフ。
【図9】(A)及び(B)は共に電子銃の一般的な形態を示
す斜視図。
す斜視図。
1……素板
Claims (4)
- 【請求項1】非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼か
らなり、 Mnを1.2〜2.0%及びSを0.003〜0.015%
添加してMnSの結晶粒を生成した打ち抜き加工性に優
れたことを特徴とする電子銃用素板。 - 【請求項2】前記MnSの結晶粒径を40μm以下と
し、且つ表層に薄い硬化層を形成した打ち抜き加工性に
優れたことを特徴とする請求項1に記載の電子銃用素
板。 - 【請求項3】前記ステンレス鋼が、更にC:0.02〜
0.06%、Si:0.4〜1.0%、P:0.025%以
下、Ni:13.5〜15%、Cr:5〜17%、及び
N:0.03〜0.06%を含む打ち抜き加工性に優れた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子銃用素
板。 - 【請求項4】請求項1又は請求項3に記載の前記ステン
レス鋼の素板を焼鈍して前記MnSの結晶粒を40μm
以下とする工程と、その後この素板に対しレベラー矯
正、スキンパス圧延、表面ブラッシング、表面ブラスト
加工、又は表面研磨を施して表層を薄く加工硬化させる
工程と、を有する打ち抜き加工性に優れたことを特徴と
する電子銃用素板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP16676397A JPH1112690A (ja) | 1997-06-24 | 1997-06-24 | 電子銃用素板とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP16676397A JPH1112690A (ja) | 1997-06-24 | 1997-06-24 | 電子銃用素板とその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1112690A true JPH1112690A (ja) | 1999-01-19 |
Family
ID=15837264
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP16676397A Withdrawn JPH1112690A (ja) | 1997-06-24 | 1997-06-24 | 電子銃用素板とその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH1112690A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6459195B1 (en) | 1999-09-28 | 2002-10-01 | Nippon Mining & Metals Co., Ltd. | Fe-Cr-Ni alloy electron gun electroded and Fe-Cr-Ni alloy sheet for electron gun electrodes |
| KR100467720B1 (ko) * | 2000-12-16 | 2005-01-24 | 주식회사 포스코 | 표면품질이 개선된 전자부품용 비자성 스테인레스강 |
| KR100711433B1 (ko) * | 1999-09-29 | 2007-04-24 | 닛코킨조쿠 가부시키가이샤 | 프레스성이 양호한 전자총전극용 Fe-Cr-Ni계합금스트립 |
-
1997
- 1997-06-24 JP JP16676397A patent/JPH1112690A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6459195B1 (en) | 1999-09-28 | 2002-10-01 | Nippon Mining & Metals Co., Ltd. | Fe-Cr-Ni alloy electron gun electroded and Fe-Cr-Ni alloy sheet for electron gun electrodes |
| KR100711433B1 (ko) * | 1999-09-29 | 2007-04-24 | 닛코킨조쿠 가부시키가이샤 | 프레스성이 양호한 전자총전극용 Fe-Cr-Ni계합금스트립 |
| KR100467720B1 (ko) * | 2000-12-16 | 2005-01-24 | 주식회사 포스코 | 표면품질이 개선된 전자부품용 비자성 스테인레스강 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20040907 |