JPH11133983A - 能動型騒音振動制御装置 - Google Patents

能動型騒音振動制御装置

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Publication number
JPH11133983A
JPH11133983A JP29840697A JP29840697A JPH11133983A JP H11133983 A JPH11133983 A JP H11133983A JP 29840697 A JP29840697 A JP 29840697A JP 29840697 A JP29840697 A JP 29840697A JP H11133983 A JPH11133983 A JP H11133983A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
control
noise
change
divergence
Prior art date
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Pending
Application number
JP29840697A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Kimura
健 木村
Shigeki Sato
佐藤  茂樹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
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Publication of JPH11133983A publication Critical patent/JPH11133983A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】発散の誤検出の可能性を低減したい。 【解決手段】ステップ201で時刻Tを読み込み、ステ
ップ202で時刻Tから前回読み込んだ時刻Told を差
し引いて経過時間ΔTを演算する。ステップ203で温
度検出信号tを読み込み、ステップ204で温度検出信
号tに基づいて温度重み係数Aを設定する。温度検出信
号tが所定温度よりも高い場合にはA=2とし、所定温
度よりも低い場合にはA=1とする。ステップ205で
経時劣化カウンタCt (=Ct +ΔT・A)を累積し、
ステップ206で最新の経時劣化カウンタCt を不揮発
性メモリに保存し、ステップ207で時刻Tを時刻T
old として記憶する。ステップ208で経時劣化カウン
タCt に基づいて発散しきい値γを設定する。Ct の値
が所定値よりも大きい場合には通常よりも大きな値γ1
に設定する一方、Ct の値が所定値よりも小さい場合に
は通常の値γ2 に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、適応アルゴリズ
ムに従って騒音又は振動の低減制御を実行するようにな
っている能動型騒音振動制御装置に関し、特に、制御の
発散を検出する手段を備えた装置において、その発散の
誤検出の可能性を低減できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の技術としては、本出願人
が先に提案した特開平5−61481号公報に開示され
たものがある。
【0003】かかる公報記載の従来技術は、LMSアル
ゴリズム等の最急降下アルゴリズムを利用した能動型騒
音制御装置に関するものであり、より具体的には、最急
降下アルゴリズムに従って適応ディジタルフィルタのフ
ィルタ係数を更新し、その適応ディジタルフィルタと騒
音の発生状態を表す基準信号とに基づいて駆動信号を生
成して制御音源を駆動するようになっている。
【0004】また、上記従来技術では、発散状態レベル
を検出する手段と、この手段が検出した発散状態レベル
が発散しきい値を越えたときに制御が発散したと判断す
る手段とを備えていて、これにより、仮に制御が発散し
たとしても騒音レベルを却って悪化させるような状況を
招かないようにしていた。発散状態レベルとしては、適
応ディジタルフィルタのフィルタ係数の絶対値の総和、
そのフィルタ係数の自乗値の総和、制御音源に対する駆
動信号のレベル、残留騒音信号のレベル等を適用するこ
とができる。
【0005】そして、上記従来技術では、制御の発散を
判断するための発散しきい値が、騒音制御を行う制御環
境に応じて可変となっていた。このように発散しきい値
を制御環境に応じて可変とすれば、騒音発生状態や車両
の走行状態が変化してもそれら制御環境の変化に応じて
発散しきい値も変化するから、発散を的確に検出するこ
とができ、発散状態に至るのを効果的に防止できる、と
いうものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上述した従来
技術によれば、発散しきい値を制御環境に応じて可変と
しているから、発散しきい値を固定にしてしまった場合
と比較すれば、発散の検出精度は高く、本格的な発散状
態に至るのを効果的に防止することができる。
【0007】しかしながら、本発明者等が鋭意研究した
結果、発散しきい値を制御環境に応じて可変とするだけ
では、発散を誤検出する可能性が多分に残っていた。即
ち、発散状態レベルが発散しきい値を越えると制御が発
散したと判断するのであるから、上記従来技術では、制
御が発散していなくても発散状態レベルが通常よりも高
くなるような制御環境であれば発散しきい値を高めにし
て、発散の誤判断を防止しているのである。しかし、制
御環境が変化していなくても、例えば制御音源としてス
ピーカを用いた場合、そのスピーカの特性が経時劣化に
より当初の状態から変化していると、大きめの駆動信号
でスピーカを駆動しなければ良好なレベルの制御音が発
生しないことが考えられる。すると、騒音低減制御とし
ては良好であっても、駆動信号を大きくすることから発
散状態レベルが大きいと判定され、発散しきい値を越え
て発散状態であると誤検出される可能性があるのであ
る。
【0008】なお、上記のような不具合は、上記従来技
術のような騒音低減装置に限られたものではなく、同様
に適応アルゴリズムを用いて振動低減制御を実行する能
動型振動制御装置にも当てはまるものである。
【0009】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、制御の
発散の誤検出の可能性を低減することができる能動型騒
音振動制御装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明である能動型騒音振動制御装置
は、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干
渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制
御振動源と、前記騒音又は振動の発生状態を表す基準信
号を生成し出力する基準信号生成手段と、前記干渉後の
騒音又は振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号と
して出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段
と、前記基準信号及び前記残留騒音信号又は残留振動信
号に基づき前記制御音源又は制御振動源と前記残留騒音
検出手段又は残留振動検出手段との間の伝達関数を含む
制御アルゴリズムを用いて前記騒音又は振動が低減する
ように前記制御音源又は制御振動源を駆動する能動制御
手段と、制御の発散状態レベルを検出する発散状態レベ
ル検出手段と、前記発散状態レベルが所定の発散しきい
値を越えた場合に制御が発散したと判断する発散判断手
段と、制御系の経時変化を検出する経時変化検出手段
と、この経時変化検出手段が検出した前記経時変化に応
じて前記発散しきい値を設定する発散しきい値設定手段
と、を備えた。
【0011】請求項2に係る発明は、上記請求項1に係
る発明である能動型騒音振動制御装置において、前記経
時変化検出手段は、前記制御音源又は制御振動源の熱被
爆量に基づいて前記制御系の経時変化を検出するように
した。
【0012】また、請求項3に係る発明は、上記請求項
1に係る発明である能動型騒音振動制御装置において、
前記経時変化検出手段は、前記制御音源又は制御振動源
の累積作動時間に基づいて前記制御系の経時変化を検出
するようにした。
【0013】そして、請求項4に係る発明は、上記請求
項1に係る発明である能動型騒音振動制御装置におい
て、 前記伝達関数を同定する伝達関数同定手段を備
え、前記経時変化検出手段は、前記伝達関数のピーク周
波数に基づいて前記制御系の経時変化を検出するように
した。
【0014】さらに、請求項5に係る発明は、上記請求
項1に係る発明である能動型騒音振動制御装置におい
て、前記経時変化検出手段は、前記騒音源又は振動源か
ら騒音又は振動が発せられているが前記制御音源又は制
御振動源からは制御音又は制御振動が発生していないと
きの前記残留騒音信号又は残留振動信号に基づいて、前
記制御系の経時変化を検出するようにした。
【0015】そして、請求項6に係る発明は、上記請求
項1に係る発明である能動型騒音振動制御装置におい
て、前記経時変化検出手段は、前記発散状態レベルが所
定のしきい値を越えたときの前記残留騒音信号又は残留
振動信号の振幅の変化傾向に基づいて前記制御系の経時
変化を検出するようにした。
【0016】また、請求項7に係る発明は、上記請求項
1〜6に係る発明である能動型騒音振動制御装置におい
て、前記経時変化検出手段を、前記制御系の変化が経時
変化であるか否かを検証する経時変化検証手段を含んで
構成した。
【0017】そして、請求項8に係る発明は、上記請求
項7に係る発明である能動型騒音振動制御装置におい
て、前記制御音源又は制御振動源若しくはその周辺の温
度を検出する温度検出手段を備え、前記経時変化検証手
段は、前記温度検出手段が検出した温度に基づいて前記
検証を行うようにした。
【0018】一方、請求項9に係る発明は、上記請求項
1に係る発明である能動型騒音振動制御装置において、
前記伝達関数を同定する伝達関数同定手段と、前記制御
音源又は制御振動源若しくはその周辺の温度を検出する
温度検出手段と、を備え、前記経時変化検出手段は、前
記温度検出手段が検出した温度に基づいて前記制御系の
変化が経時変化であるか否かを検証する経時変化検証手
段を含んで構成されるとともに、前記制御音源又は制御
振動源と前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と
の間の伝達関数のピーク周波数に基づいて前記制御系の
経時変化を検出するようにした。
【0019】これに対し、請求項10に係る発明は、上
記請求項1に係る発明である能動型騒音振動制御装置に
おいて、前記経時変化検出手段は、前記温度検出手段が
検出した温度に基づいて前記制御系の変化が経時変化で
あるか否かを検証する経時変化検証手段を含んで構成さ
れるとともに、前記騒音源又は振動源から騒音又は振動
が発せられているが前記制御音源又は制御振動源からは
制御音又は制御振動が発生していないときの前記残留騒
音信号又は残留振動信号に基づいて、前記制御系の経時
変化を検出するようにした。
【0020】ここで、請求項1に係る発明にあっては、
経時変化検出手段によって制御系の経時変化が検出され
るから、例えば制御音源や制御振動源を構成するアクチ
ュエータに含まれる弾性部材等に経時劣化が生じても、
その経時劣化を認識することができる。そして、制御系
に例えば上記のような経時劣化が生じた後は、それが生
じる前に比べて制御音源や制御振動源の性能が低下する
ことが多く、かかる性能が低下してしまうとそれ以前と
は異なるレベルの駆動信号で駆動しなければ適切な制御
音や制御振動が発生しないことが多い。
【0021】一方、経時変化検出手段の検出結果に応じ
て、発散しきい値設定手段が発散しきい値を設定するか
ら、この発散しきい値設定手段によって設定される発散
しきい値と、経時変化検出手段が検出した経時変化との
関係を予め適切に選定しておけば、新たに設定された発
散しきい値は、経時変化後の制御系の発散を判定するの
に適切な値となる。よって、発散状態レベル検出手段が
検出した発散状態レベルと、上記のように設定された発
散しきい値とに基づいて、発散判断手段が制御の発散を
判断することができる。なお、発散状態レベル検出手段
が検出する発散状態レベルとしては、上記公開公報に開
示された技術と同様のものが適用可能である。
【0022】そして、請求項2に係る発明は、一般的な
機械装置の経時変化が受けた熱によって生じることが多
いという点に着目したものである。即ち、経時変化検出
手段は、制御音源や制御振動源の熱被爆量を求め、その
熱被爆量に基づいて制御系の経時変化(特に、制御音源
や制御振動源の経時変化)を検出する。
【0023】また、請求項3に係る発明は、一般的な機
械装置の経時変化は、累積作動時間によって推定可能で
あるという点に着目したものである。即ち、経時変化検
出手段は、制御音源や制御振動源の累積稼働時間を求
め、その累積稼働時間に基づいて制御系の経時変化(特
に、制御音源や制御振動源の経時変化)を検出する。
【0024】このように、請求項2又は3に係る発明
は、特に制御音源や制御振動源の長期間の使用に伴う経
時変化を、間接的に検出するものである。これに対し、
請求項4、5又は6に係る発明は、制御系の経時変化を
直接的に検出するものである。
【0025】即ち、請求項4に係る発明にあっては、制
御音源と残留騒音検出手段との間の伝達関数(又は制御
振動源と残留振動検出手段との間の伝達関数)が伝達関
数同定手段によって同定されるが、かかる伝達関数は、
制御音源や残留騒音検出手段或いは制御振動源や残留振
動検出手段等に経時変化が生じていなければ、当初の状
態から変化はないはずである。しかし、それらに経時変
化が生じると、伝達関数にも変化が生じる。そして、伝
達関数が変化したか否かは、伝達関数のピーク周波数に
基づいて判断することができる。例えば、制御音源や制
御振動源がゴム等の弾性部材を含んで構成されている場
合、その弾性部材が経時劣化によって固くなるとばね定
数が増大し、伝達関数のピーク周波数が高周波側に移行
することから、当初の状態と比べて伝達関数のピーク周
波数が大きく高周波側に移行したときに制御音源や制御
振動源に経時変化が生じたと判断できるのである。
【0026】また、請求項5に係る発明にあっては、経
時変化検出手段は、所定の条件を満足したときの残留騒
音信号又は残留振動信号に基づいて制御系の経時変化を
検出するのであるが、ここで所定の条件は、騒音源又は
振動源から騒音又は振動が発生しているが、制御音源又
は制御振動源からは制御音又は制御振動が発生していな
い、ということである。
【0027】つまり、上記所定の条件を満足していれ
ば、騒音源又は振動源から発せられた騒音又は振動は、
制御音や制御振動と干渉することなく残留騒音検出手段
又は残留振動検出手段に到達するから、そのときの残留
騒音信号又は残留振動信号に基づけば、騒音源と残留騒
音検出手段との間の騒音伝達系、又は振動源と残留振動
検出手段との間の振動伝達系の経時変化を検出すること
ができる。そして、そのような伝達関数系に経時変化が
生じているということは、制御系に経時変化が生じてい
る可能性が高いと判断できるのである。
【0028】さらに、請求項6に係る発明にあっては、
経時変化検出手段は、発散状態レベル検出手段が検出し
た発散状態レベルと、残留騒音信号又は残留振動信号の
変化傾向(増加傾向、減少傾向)とに基づいて、制御系
の経時変化を検出する。
【0029】つまり、発散状態レベルが所定のしきい値
を越えたとき、制御が発散しつつある状況又は発散して
いる状況であれば、残留騒音信号又は残留振動信号のレ
ベルは、増加傾向にあるか若しくは高いレベルを維持し
ているはずである。
【0030】しかし、発散状態レベルが所定のしきい値
を越えたにも関わらず、残留騒音信号又は残留振動信号
のレベルが減少傾向にあるときには、制御が発散してい
るとは判断できない。むしろ、発散状態レベルが所定の
しきい値を越えたのは、それを越える必要があったから
であり、制御系に経時変化が生じている可能性が高いと
判断できるのである。なお、上記所定のしきい値は、そ
のときの発散しきい値と同じ値でもよいし、発散しきい
値よりも小さい値であってもよい。
【0031】さらに、請求項7に係る発明は、経時変化
検証手段を含んでいるため、制御系の変化が経時変化で
はなく、例えばある程度時間が経過すれば元に戻るよう
な変化である場合に、誤って経時変化であると認定して
しまう可能性が低減する。
【0032】例えば、請求項8に係る発明のように、温
度検出手段を備えれば、経時変化検証手段は、その温度
検出手段が検出した温度に基づいて経時変化の検証を行
うことができる。つまり、制御音源又は制御振動源若し
くはその周辺の温度が極端に低いような場合には、制御
音源又は制御振動源が例えばゴム等の弾性部材等を含ん
で構成されているとその弾性部材のばね定数が変化し、
これを制御系の経時変化として誤検出してしまう可能性
が大きいが、本発明のように温度検出手段の温度検出値
に基づいて経時劣化検証手段が検証を行えば、そのよう
な誤検出の可能性を低減できるのである。
【0033】さらに、請求項9並びに請求項10に係る
発明にあっても、請求項8に係る発明と同様の作用が発
揮される。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、経時変化検出手段と発
散しきい値設定手段とを設けたため、制御系に経時変化
が生じても、発散判断手段が制御の発散の判断に用いる
発散しきい値が経時変化に対応して設定されるため、発
散の誤判断の可能性をさらに低減できるという効果があ
る。
【0035】特に、請求項2〜6に係る発明であれば、
制御系の経時変化をより正確に検出できるから、発散し
きい値を適切に設定でき、本願発明の効果をより確実に
得ることができる。
【0036】また、請求項7〜10に係る発明であれ
ば、経時変化検証手段を設けたため、経時変化の誤検出
の可能性を低減できるから、本願発明の効果がさらに顕
著になる。特に、請求項8〜10に係る発明であれば、
温度検出手段が検出した温度に基づいて経時変化の検証
を行うようにしているから、温度に伴う制御系の変化を
経時変化と誤検出する可能性が低減し、本願発明の効果
がさらに顕著になる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1乃至図5は本発明の第1の
実施の形態を示す図であって、図1は本発明に係る能動
型騒音振動制御装置の一実施形態である能動型振動制御
装置を適用した車両の概略側面図である。
【0038】先ず、構成を説明すると、エンジン30が
駆動信号に応じた能動的な支持力を発生可能な能動型エ
ンジンマウント1を介して、サスペンションメンバ等か
ら構成される車体35に支持されている。なお、実際に
は、エンジン30及び車体35間には、能動型エンジン
マウント1の他に、エンジン30及び車体35間の相対
変位に応じた受動的な支持力を発生する複数のエンジン
マウントも介在している。受動的なエンジンマウントと
しては、例えばゴム状の弾性体で荷重を支持する通常の
エンジンマウントや、ゴム状の弾性体内部に減衰力発生
可能に流体を封入してなる公知の流体封入式のマウント
インシュレータ等が適用できる。
【0039】一方、能動型エンジンマウント1は、例え
ば、図2に示すように構成されている。即ち、この実施
の形態における能動型エンジンマウント1は、エンジン
30への取付け用のボルト2aを上部に一体に備え且つ
内部が空洞で下部が開口したキャップ2を有し、このキ
ャップ2の下部外面には、軸が上下方向を向く内筒3の
上端部がかしめ止めされている。
【0040】内筒3は、下端側の方が縮径した形状とな
っていて、その下端部が内側に水平に折り曲げられて、
ここに円形の開口部3aが形成されている。そして、内
筒3の内側には、キャップ2及び内筒3内部の空間を上
下に二分するように、キャップ2及び内筒3のかしめ止
め部分に一緒に挟み込まれてダイアフラム4が配設され
ている。ダイアフラム4の上側の空間は、キャップ2の
側面に孔を開けることにより大気圧に通じている。
【0041】さらに、内筒3の内側にはオリフィス構成
体5が配設されている。なお、本実施の形態では、内筒
3内面及びオリフィス構成5間には、薄膜状の弾性体
(ダイアフラム4の外周部を延長させたものでもよい)
が介在していて、これにより、オリフィス構成体5は内
筒3内側に強固に嵌め込まれている。
【0042】このオリフィス構成体5は、内筒3の内部
空間に整合して略円柱形に形成されていて、その上面に
は円形の凹部5aが形成されている。そして、その凹部
5aと、底面の開口部3aに対向する部分との間が、オ
リフィス5bを介して連通するようになっている。オリ
フィス5bは、例えば、オリフィス構成体5の外周面に
沿って螺旋状に延びる溝と、その溝の一端部を凹部5a
に連通させる流路と、その溝の他端部を開口部3aに連
通させる流路とで構成される。
【0043】一方、内筒3の外周面には、内周面側が若
干上方に盛り上がった肉厚円筒状の支持弾性体6の内周
面が加硫接着されていて、その支持弾性体6の外周面
は、上端側が拡径した円筒部材としての外筒7の内周面
上部に加硫接着されている。
【0044】そして、外筒7の下端部は上面が開口した
円筒形のアクチュエータケース8の上端部にかしめ止め
されていて、そのアクチュエータケース8の下端面から
は、車体35側への取付け用の取付けボルト9が突出し
ている。取付けボルト9は、その頭部9aが、アクチュ
エータケース8の内底面に張り付いた状態で配設された
平板部材8aの中央の空洞部8bに収容されている。
【0045】さらに、アクチュエータケース8の内側に
は、円筒形の鉄製のヨーク10Aと、このヨーク10A
の中央部に軸を上下に向けて巻き付けられた励磁コイル
10Bと、ヨーク10Aの励磁コイル10Bに包囲され
た部分の上面に極を上下に向けて固定された永久磁石1
0Cと、から構成される電磁アクチュエータ10が配設
されている。
【0046】また、アクチュエータケース8の上端部は
フランジ状に形成されたフランジ部8Aとなっていて、
そのフランジ部8Aに外筒7の下端部がかしめられて両
者が一体となっているのであるが、そのかしめ止め部分
には、円形の金属製の板ばね11の周縁部(端部)が挟
み込まれていて、その板ばね11の中央部の電磁アクチ
ュエータ10側には、リベット11aによって磁化可能
な磁路部材12が固定されている。なお、磁路部材12
はヨーク10Aよりも若干小径の鉄製の円板であって、
その底面が電磁アクチュエータ10に近接するような厚
みに形成されている。
【0047】さらに、上記かしめ止め部分には、フラン
ジ部8Aと板ばね11とに挟まれるように、リング状の
薄膜弾性体13と、力伝達部材14のフランジ部14a
とが支持されている。具体的には、アクチュエータケー
ス8のフランジ部8A上に、薄膜弾性体13と、力伝達
部材14のフランジ部14aと、板ばね11とをこの順
序で重ね合わせるとともに、その重なり合った全体を外
筒7の下端部をかしめて一体としている。
【0048】力伝達部材14は、磁路部材12を包囲す
る短い円筒形の部材であって、その上端部がフランジ部
14aとなっており、その下端部は電磁アクチュエータ
10のヨーク10Aの上面に結合している。具体的に
は、ヨーク10Aの上端面周縁部に形成された円形の溝
に、力伝達部材14の下端部が嵌合して両者が結合され
ている。また、力伝達部材14の弾性変形時のばね定数
は、薄膜弾性体13のばね定数よりも大きい値に設定さ
れている。
【0049】ここで、本実施の形態では、支持弾性体6
の下面及び板ばね11の上面によって画成された部分に
流体室15が形成され、ダイアフラム4及び凹部5aに
よって画成された部分に副流体室16が形成されてい
て、これら流体室15及び副流体室16間が、オリフィ
ス構成体5に形成されたオリフィス5bを介して連通し
ている。なお、これら流体室15,副流体室16及びオ
リフィス5b内には、エチレングリコール等の流体が封
入されている。
【0050】かかるオリフィス5bの流路形状等で決ま
る流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェ
イク発生時、つまり5〜15Hzで能動型エンジンマウン
ト1が加振された場合に高動ばね定数、高減衰力を示す
ように調整されている。
【0051】そして、電磁アクチュエータ10の励磁コ
イル10Bは、コントローラ25からハーネス23aを
通じて供給される電流である駆動信号yに応じて所定の
電磁力を発生するようになっている。コントローラ25
は、マイクロコンピュータ,必要なインタフェース回
路,A/D変換器,D/A変換器,アンプ等を含んで構
成され、エンジンシェイクよりも高周波の振動であるア
イドル振動やこもり音振動・加速時振動が車体35に入
力されている場合には、その振動を低減できる能動的な
支持力が能動型エンジンマウント1に発生するように、
能動型エンジンマウント1に対する駆動信号yを生成し
出力するようになっている。
【0052】ここで、アイドル振動やこもり音振動は、
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分のエンジン振動が車体35に伝達されることが主
な原因であるから、そのエンジン回転2次成分に同期し
て駆動信号yを生成し出力すれば、車体側低減が可能と
なる。そこで、本実施の形態では、燃焼タイミングに同
期するように、エンジン30のクランク軸の回転に同期
した(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、ク
ランク軸が180度回転する度に一つの)インパルス信
号を生成し基準信号xとして出力するパルス信号生成器
26を設けていて、その基準信号xが、エンジン30に
おける振動の発生状態を表す信号としてコントローラ2
5に供給されるようになっている。
【0053】一方、電磁アクチュエータ10のヨーク1
0Aの下端面と、アクチュエータケース8の底面を形成
する平板部材8aの上面との間に挟み込まれるように、
エンジン30から支持弾性体6を通じて伝達する加振力
を検出する荷重センサ22が配設されていて、荷重セン
サ22の検出結果がハーネス23bを通じて残留振動信
号eとしてコントローラ25に供給されるようになって
いる。荷重センサ22としては、具体的には、圧電素
子,磁歪素子,歪ゲージ等が適用可能である。
【0054】そして、コントローラ25は、供給される
残留振動信号e及び基準信号xに基づき、適応アルゴリ
ズムの一つである同期式Filtered−X LMS
アルゴリズムを実行することにより、能動型エンジンマ
ウント1に対する駆動信号yを演算し、その駆動信号y
を能動型エンジンマウント1に出力するようになってい
る。
【0055】具体的には、コントローラ25は、フィル
タ係数Wi (i=0,1,2,…,I−1:Iはタップ
数)可変の適応ディジタルフィルタWを有していて、最
新の基準信号xが入力された時点から所定のサンプリン
グ・クロックの間隔で、その適応ディジタルフィルタW
のフィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力する
一方、基準信号x及び残留振動信号eに基づいて適応デ
ィジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を適宜更新する
処理を実行するようになっている。
【0056】ただし、この実施の形態では、同期式Fi
ltered−X LMSアルゴリズムにおける評価関
数として、下記の(1)式を用いている。 Jm={e(n)}2 +β{y(n)}2 ……(1) つまり、LMSアルゴリズムにあっては評価関数Jmが
小さくなる方向にフィルタ係数Wi が更新されるのであ
るから、上記(1)式の右辺の内容からも明らかなよう
に、フィルタ係数Wi は、残留振動信号eの自乗値が小
さくなるとともに、駆動信号yの自乗値をβ倍した値が
小さくなるように、逐次更新されることになる。そし
て、βは発散抑制係数と称される係数であって、この発
散抑制係数βが大きくなる程、駆動信号yは小さくなる
傾向となる。つまり、発散抑制係数βには制御の発散を
抑制する作用がある。
【0057】そして、収束係数をαとし、上記(1)式
で表される評価関数Jmに基づいてフィルタ係数Wi
更新式を求めると、下記の(2)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)+2αRT e(n)−2βαy(n) ……(2) そこで、この(2)式中の「2α」を新たな収束係数α
とし、「2βα」を新たな発散抑制係数βとすれば、適
応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi の更新式は
下記の(3)式のようになる。
【0058】 Wi (n+1)=Wi (n)+αRT e(n)−βy(n) ……(3) ここで、(n),(n+1)が付く項はサンプリング時
刻n,n+1における値であることを表している。ま
た、更新用基準信号RT は、理論的には、基準信号x
を、能動型エンジンマウント1の電磁アクチュエータ1
0及び荷重センサ22間の伝達関数Cをモデル化した伝
達関数フィルタC^でフィルタ処理した値であるが、基
準信号xの大きさは“1”であるから、伝達関数フィル
タC^のインパルス応答を基準信号xに同期して次々と
生成した場合のそれらインパルス応答波形のサンプリン
グ時刻nにおける和に一致する。
【0059】また、理論的には、基準信号xを適応ディ
ジタルフィルタWでフィルタ処理して駆動信号yを生成
するのであるが、基準信号xの大きさが“1”であるた
め、フィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力し
ても、フィルタ処理の結果を駆動信号yとしたのと同じ
結果になる。
【0060】そして、コントローラ25は、上記のよう
な駆動信号yの出力処理及び適応ディジタルフィルタW
の各フィルタ係数Wi の更新処理からなる振動低減処理
を実行する一方で、制御の発散を検出するための発散検
出処理を実行するようになっている。
【0061】発散検出処理は、本実施の形態では適応デ
ィジタルフィルタWのフィルタ係数Wi の絶対値を求
め、その絶対値に基づいて演算される判定値WH が発散
しきい値γを越えている場合に発散が生じたと判定する
処理であり、この発散検出処理によって発散が生じてい
ると判定された場合には、その発散を抑制するための所
定の発散抑制処理が実行されるようになっている。
【0062】さらに、コントローラ25は、能動型エン
ジンマウント1に経時劣化が生じているか否かを判定
し、その判定結果に応じて上記発散検出処理に用いる発
散しきい値γを設定する処理を実行するようになってい
る。
【0063】そして、能動型エンジンマウント1に経時
劣化が生じているか否かの判定処理は、本実施の形態で
は、出荷された時点から累積される能動型エンジンマウ
ント1の熱被爆量が大量であるか否かによって行われる
ようになっている。かかる判定処理を実行するために、
能動型エンジンマウント1に近接した部位に温度センサ
28が配設されていて、この温度センサ28が測定した
温度検出信号tがコントローラ25に供給されるように
なっている。
【0064】コントローラ25は、供給された温度検出
信号tに基づいて、能動型エンジンマウント1が高温状
態にあるか否かを判定し、高温状態にある場合には温度
重み係数Aを大きく設定する一方、高温状態にない場合
には温度重み係数Aを小さく設定し、このように設定さ
れた温度重み係数Aと、そのような状態の経過時間との
積を経時劣化カウンタCt として累積し、その経時劣化
カウンタCt の値に基づいて能動型エンジンマウント1
の熱被爆量が大量であるか否かを判定し、その結果に従
って発散しきい値γを設定するようになっている。発散
しきい値γは、経時劣化カウンタCt の値が小さい範囲
では通常の値に設定され、経時劣化カウンタCt の値が
大きくなると通常の値よりも大きな値に設定されるよう
になっている。なお、経時劣化カウンタCt は、コント
ローラ25内の不揮発性メモリに逐次記憶され、ステッ
プ101の初期設定の際に読み出されるようになってい
て、これにより車両出荷時点からの熱被爆量が累積され
るようになっている。
【0065】次に、本実施の形態の動作を説明する。即
ち、エンジンシェイク発生時には、オリフィス5aの流
路形状等を適宜選定している結果、この能動型エンジン
マウント1は高動ばね定数,高減衰力の支持装置として
機能するため、エンジン30側で発生したエンジンシェ
イクが能動型エンジンマウント1によって減衰され、車
体35側の振動レベルが低減される。なお、エンジンシ
ェイクに対しては、特に磁路部材12を積極的に変位さ
せる必要はない。
【0066】一方、オリフィス5a内の流体がスティッ
ク状態となり流体室15及び副流体室16間での流体の
移動が不可能になるアイドル振動周波数以上の周波数の
振動が入力された場合には、コントローラ25は、所定
の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ10に駆動信
号yを出力し、能動型エンジンマウント1に振動を低減
し得る能動的な支持力を発生させる。
【0067】これを、アイドル振動,こもり音振動入力
時にコントローラ25内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである図3に従って具体的に説明する。
先ず、そのステップ101において所定の初期設定が行
われた後に、ステップ102に移行し、伝達関数フィル
タC^に基づいて更新用基準信号RT が演算される。な
お、このステップ102では、一周期分の更新用基準信
号RT がまとめて演算される。
【0068】そして、ステップ103に移行しカウンタ
iが零クリアされた後に、ステップ104に移行して、
適応ディジタルフィルタWのi番目のフィルタ係数Wi
が駆動信号yとして出力される。
【0069】ステップ104で駆動信号yを出力した
ら、ステップ105に移行し、残留振動信号eが読み込
まれる。この残留振動信号eは、現在のカウンタiの値
とともに記憶される。
【0070】そして、ステップ106に移行して、カウ
ンタjが零クリアされ、次いでステップ107に移行
し、適応ディジタルフィルタWのj番目のフィルタ係数
j が上記(3)式に従って更新される。
【0071】ステップ107における更新処理が完了し
たら、ステップ108に移行し、次の基準信号xが入力
されているか否かを判定し、ここで基準信号xが入力さ
れていないと判定された場合は、適応ディジタルフィル
タWの次のフィルタ係数の更新又は駆動信号yの出力処
理を実行すべく、ステップ109に移行する。
【0072】ステップ109では、カウンタjが、出力
回数Ty (正確には、カウンタjは0からスタートする
ため、出力回数Ty から1を減じた値)に達しているか
否かを判定する。この判定は、ステップ104で適応デ
ィジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を駆動信号yと
して出力した後に、適応ディジタルフィルタWのフィル
タ係数Wi を、駆動信号yとして必要な数だけ更新した
か否かを判断するためのものである。そこで、このステ
ップ109の判定が「NO」の場合には、ステップ11
0でカウンタjをインクリメントした後に、ステップ1
07に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0073】しかし、ステップ109の判定が「YE
S」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数のうち、駆動信号yとして必要な数のフィルタ係数
の更新処理が完了したと判断できるから、ステップ11
1に移行してカウンタiをインクリメントし、次いで、
ステップ200の経時変化検出処理と、ステップ300
の発散検出処理とを実行する。これら経時変化検出処理
及び発散検出処理の内容は、後述する。
【0074】そして、ステップ300の処理を終えた
ら、上記ステップ104の処理を実行してから所定のサ
ンプリング・クロックの間隔に対応する時間が経過する
まで待機し、サンプリング・クロックに対応する時間が
経過したら、上記ステップ104に戻って上述した処理
を繰り返し実行する。
【0075】一方、ステップ108で基準信号xが入力
されたと判断された場合には、ステップ112に移行
し、カウンタi(正確には、カウンタiが0からスター
トするため、カウンタiに1を加えた値)を最新の出力
回数Ty として保存した後に、ステップ102に戻っ
て、上述した処理を繰り返し実行する。
【0076】このような図3の処理を繰り返し実行する
結果、コントローラ25から能動型エンジンマウント1
の電磁アクチュエータ10に対しては、基準信号xが入
力された時点から、サンプリング・クロックの間隔で、
適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi が順番に
駆動信号yとして供給される。
【0077】この結果、励磁コイル10Bに駆動信号y
に応じた磁力が発生するが、磁路部材12には、既に永
久磁石10Cによる一定の磁力が付与されているから、
その励磁コイル10Bによる磁力は永久磁石10Cの磁
力を強める又は弱めるように作用すると考えることがで
きる。つまり、励磁コイル10Bに駆動信号yが供給さ
れていない状態では、磁路部材12は、板ばね11によ
る支持力と、永久磁石10Cの磁力との釣り合った中立
の位置に変位することになる。そして、この中立の状態
で励磁コイル10Bに駆動信号yが供給されると、その
駆動信号yによって励磁コイル10Bに発生する磁力が
永久磁石10Cの磁力と逆方向であれば、磁路部材12
は電磁アクチュエータ10とのクリアランスが増大する
方向に変位する。逆に、励磁コイル10Bに発生する磁
力が永久磁石10Cの磁力と同じ方向であれば、磁路部
材12は電磁アクチュエータ10とのクリアランスが減
少する方向に変位する。
【0078】このように磁路部材12は正逆両方向に変
位可能であり、磁路部材12が変位すれば主流体室15
の容積が変化し、その容積変化によって支持弾性体6の
拡張ばねが変形するから、この能動型エンジンマウント
1に正逆両方向の能動的な支持力が発生するのである。
【0079】そして、駆動信号yとなる適応ディジタル
フィルタWの各フィルタ係数Wi は、同期式Filte
red−X LMSアルゴリズムに従った上記(3)式
によって逐次更新されるため、ある程度の時間が経過し
て適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi が最
適値に収束した後は、駆動信号yが能動型エンジンマウ
ント1に供給されることによって、エンジン30から能
動型エンジンマウント1を介して車体35側に伝達され
るアイドル振動やこもり音振動が低減されるようになる
のである。
【0080】次に、ステップ200の経時変化検出処理
の具体的な内容を図4に従って説明すると、先ずステッ
プ201において、コントローラ25に内蔵されたタイ
マから時刻Tを読み込み、ステップ202に移行し、そ
の時刻Tから前回読み込んだ時刻Told を差し引いて、
経過時間ΔTを演算する。
【0081】次いで、ステップ203に移行し、温度セ
ンサ28から温度検出信号tを読み込み、ステップ20
4に移行し、その温度検出信号tに基づいて温度重み係
数Aを設定する。ここでは、温度検出信号tが所定温度
よりも高い場合にはA=2とし、所定温度よりも低い場
合にはA=1とする。
【0082】そして、ステップ205に移行し、下記の
(4)式に従って、経時劣化カウンタCt を累積する。 Ct =Ct +ΔT・A ……(4) 次いで、ステップ206に移行し、ステップ205で求
めた最新の経時劣化カウンタCt の値を、不揮発性メモ
リに保存し、ステップ207に移行し、ステップ201
で読み込んだ時刻Tを時刻Told として記憶する。
【0083】そして、ステップ208に移行し、経時劣
化カウンタCt に基づいて発散しきい値γを設定する。
なお、本実施の形態では、後述のように、適応ディジタ
ルフィルタWのフィルタ係数Wi に基づいて発散状態レ
ベルWH を演算し、その発散状態レベルWH と発散しき
い値γとを比較することにより、制御が発散しているか
否かを判定するようになっているから、それに対応した
発散しきい値γとしている。
【0084】ただし、ステップ208では、経時劣化カ
ウンタCt の値が所定値よりも大きい場合には、能動型
エンジンマウント1には経時劣化が生じていると推定
し、通常よりも大きな値γ1 に設定する一方、経時劣化
カウンタCt の値が所定値よりも小さい場合には、能動
型エンジンマウント1には経時劣化は生じていないと推
定し、発散しきい値γを通常の値γ2 (<γ1 )に設定
する。
【0085】ステップ208の処理を終えたら、図3の
処理に復帰し、今度はステップ300の発散検出処理が
実行される。即ち、発散検出処理が実行されると、図4
に示すように、先ずステップ301において、適応ディ
ジタルフィルタWのフィルタ係数Wi の絶対値に基づい
て、発散判定用の発散状態レベルWH を演算する。な
お、発散状態レベルWH は、例えばフィルタ係数Wi
絶対値のうちの最大値としてもよいし、或いは、そのフ
ィルタ係数Wi の絶対値の所定個数の和としてもよい。
【0086】次いで、ステップ302に移行し、その発
散状態レベルWH が発散しきい値γよりも大きいか否か
を判定し、このステップ302の判定が「NO」の場合
には、特に発散状態レベルWH は過大ではなく、従って
その演算根拠であるフィルタ係数Wi は、適切な振動低
減制御実行中に採り得る通常の範囲内に収まっていると
判断できる。そこで、制御には特に発散傾向は認められ
ないと判断して、このまま今回の発散検出処理を終了す
る。
【0087】しかし、ステップ302の判定が「YE
S」の場合には、発散状態レベルWHは過大であり、そ
の演算根拠であるフィルタ係数Wi は、適切な振動低減
制御実行中には採り得ない大きな値に至っていると判断
できる。そこで、振動低減制御は発散傾向にあると判断
し、ステップ303に移行して、発散抑制処理を実行す
る。ステップ303における発散抑制処理は、ここでは
特に限定されるものではないが、例えば、発散抑制係数
βを通常時の値よりも大きな値に変更する、適応ディジ
タルフィルタWの各フィルタ係数Wi を初期値にリセッ
トする、適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数W
i の値を所定比率(例えば50%)で縮小する、適応デ
ィジタルフィルタWをローパスフィルタ処理して高周波
成分を除去する等が考えられる。或いは、発散抑制処理
として、図3に示したような振動低減制御自体を禁止し
て、能動型エンジンマウント1を単なる受動的なエンジ
ンマウントとして機能させるようにする、ということも
考えられる。この振動低減制御を禁止する対処は、他の
発散抑制処理を実行しても繰り返し発散が発生する場合
には有効である。なお、振動低減制御を禁止した場合に
は、それを知らしめるために、例えばダッシュパネルに
設けられた所定のランプを点灯させることが望ましい。
【0088】ステップ303の処理を終えたら、この図
5の処理を終了して図3の処理に復帰する。このよう
に、本実施の形態にあっては、ステップ300の発散検
出処理を実行することにより、制御が発散傾向にあるか
否かを判断して、制御が発散傾向にある場合にはその発
散を抑制する処理を実行するから、制御が本格的な発散
に至ることを防止することができる。
【0089】しかも、本実施の形態にあっては、制御の
発散を判定する際に用いる発散しきい値を、能動型エン
ジンマウント1に経時劣化が生じているか否かによって
異なる値に設定するようになっているから、ステップ3
00の処理において発散の誤検出や見逃しの可能性を低
減できるという利点がある。
【0090】つまり、本実施の形態のような能動型エン
ジンマウント1であると、特に、ゴム状弾性体である支
持弾性体6や金属製の板ばね11を含んだ構成であるた
め、能動型エンジンマウント1の熱被爆量が大量になっ
てそれが経時劣化してしまうと、経時劣化前よりも大き
な駆動信号yでなければ適切な支持力が発生しないこと
が多い。このため、適応ディジタルフィルタWの各フィ
ルタ係数Wi は自然と大きな値になるのであるが、フィ
ルタ係数Wi が大きくなれば、図5のステップ301で
演算される発散状態レベルWH も大きくなるから、ステ
ップ302で制御が発散傾向にあると判定される可能性
が高くなる。しかし、かかる状況では、適応ディジタル
フィルタWの各フィルタ係数Wi は大きくなる必要があ
るから大きくなったのであって、これを発散傾向と判断
してステップ303の処理を実行してしまうと、振動低
減制御を有効に実行する上で妨げになってしまう。
【0091】逆に、発散しきい値γを予め大きな値に設
定してしまうと、ステップ302の判定が「YES」と
なる可能性がそれだけ小さくなるから、制御の発散を見
逃す可能性が高くなってしまうのである。
【0092】よって、本実施の形態のように、能動型エ
ンジンマウント1に経時劣化が生じていると推定される
場合に、発散しきい値γを大きな値に設定すれば、発散
の誤検出や見逃しの可能性を低減でき、良好な振動低減
制御を実行するのに極めて有効なのである。
【0093】さらに、本実施の形態では、タイマの時間
Tから求められる経過時間ΔTと、温度センサ28から
供給される温度検出信号tとの積を累算し、その累算さ
れた値に基づいて経時劣化を判定するようになっている
から、特にコントローラ25の演算負荷を大幅に増大さ
せるようなこともない。
【0094】ここで、本実施の形態では、エンジン30
が振動源に対応し、能動型エンジンマウント1が制御振
動源に対応し、パルス信号生成器26が基準信号生成手
段に対応し、図3のステップ102〜112の処理が能
動制御手段に対応し、荷重センサ22が残留振動検出手
段に対応し、図5のステップ301の処理が発散状態レ
ベル検出手段に対応し、ステップ302の処理が発散判
断手段に対応し、図4のステップ201〜207の処理
が経時変化検出手段に対応し、ステップ208の処理が
発散しきい値設定手段に対応し、温度センサ28が温度
検出手段に対応する。
【0095】図6及び図7は本発明の第2の実施の形態
を示す図であって、図6は、経時変化検出処理の流れを
示すフローチャートである。なお、その他の構成や処理
の内容は上記第1の実施の形態と同様であるため、その
図示及び説明は省略する。
【0096】即ち、図3のステップ200の経時変化検
出処理が実行されると、先ず図6のステップ401にお
いて、伝達関数Cの同定処理が実行される。伝達関数C
の同定処理としては、駆動信号yとして所定周波数の正
弦波状の信号を出力し、そのときの残留振動信号eに基
づいてゲイン及び位相を演算することによりその所定周
波数における伝達関数を求め、これを必要な周波数帯域
に渡って実行して伝達関数Cを求める処理であってもよ
いし、或いは、駆動信号yとしてインパルス信号を出力
し、そのときの残留振動信号eを取り込んでインパルス
応答を求めてこれを伝達関数Cとしてもよい。ただし、
これらの方法を実行する場合には、例えばエンジン始動
時等に限定する必要がある。また、伝達関数Cの同定処
理としてのは、駆動信号yに同定用のホワイトノイズ信
号を重畳し、そのときの残留振動信号eを用いてLMS
アルゴリズムに従って行う処理も考えられる。この方法
であれば、振動低減制御の実行中であっても同定が可能
である。
【0097】伝達関数Cが求められたら、ステップ40
2に移行し、温度センサ28から供給される温度検出信
号tを読み込む。そして、ステップ403に移行し、そ
の読み込んだ温度検出信号tに基づき、能動型エンジン
マウント1が低温状態であるか否かを判定する。
【0098】このステップ403で能動型エンジンマウ
ント1が低温状態であると判定された場合には、ステッ
プ404に移行し、発散しきい値γを、通常の値γ2
設定し、今回のこの図6の処理を終えて図3の処理に復
帰する。
【0099】これに対し、ステップ403の判定が「N
O」の場合には、ステップ405に移行し、ステップ4
01で同定した伝達関数Cに基づいてそのピーク周波数
(ゲインが最大の周波数)fp を求める。ピーク周波数
p は、伝達関数CをFFT処理することにより求める
ことができる。
【0100】そして、ステップ406に移行し、ピーク
周波数fp がしきい値周波数fthよりも高いか否かを判
定する。この判定が「NO」の場合には、ステップ40
4に移行する。
【0101】しかし、ステップ406の判定が「YE
S」の場合には、能動型エンジンマウント1に経時劣化
が発生していると判断してステップ407に移行し、発
散しきい値γを、通常時よりも大きな値γ1 に設定す
る。ステップ407の処理を終えたら、今回のこの図6
の処理を終えて図3の処理に復帰する。
【0102】ここで、能動型エンジンマウント1に経時
劣化が生じているとすると、能動型エンジンマウント1
の支持弾性体6のばね定数が増加するため、図7に示す
ように伝達関数Cのピーク周波数fp は、初期状態のピ
ーク周波数に比べて高周波側に移行する。よって、初期
状態におけるピーク周波数fp よりも若干高い周波数に
しきい値周波数fthを設定しておき、伝達関数Cのピー
ク周波数fp がそのしきい値周波数fthを越えた場合に
は、能動型エンジンマウント1に経時劣化が生じている
可能性が高いと判断できるのである。
【0103】このため、ステップ406の判定結果に応
じて発散しきい値γを設定すれば、その後に上記第1の
実施の形態と同様の発散検出処理を実行することによ
り、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を得ること
ができる。
【0104】しかも、本実施の形態にあっては、ステッ
プ403において能動型エンジンマウント1が低温であ
ると判定された場合には、ステップ405,406の処
理を実行することなく、直ちにステップ404に移行す
るようになっているが、これは、例えば比較的長時間停
止していたエンジン30が始動した直後のように、能動
型エンジンマウント1が低温であると、能動型エンジン
マウント1内の支持弾性体6のばね定数が通常時よりも
増加している可能性が高く、かかる状態では能動型エン
ジンマウント1に経時劣化が生じていないにも関わらず
ステップ406の判定が「YES」となって発散しきい
値γが大きな値に設定される可能性があるからである。
つまり、ステップ403の判定を実行することにより、
能動型エンジンマウント1に経時劣化が生じていないの
にそれを誤検出する可能性を低減することができるので
ある。
【0105】ここで、本実施の形態では、ステップ40
1の処理が伝達関数同定手段に対応し、ステップ40
3,405,406の処理が経時変化検出手段に対応
し、そのうちのステップ403の処理が経時変化検証手
段に対応し、また、ステップ404,407の処理が発
散しきい値設定手段に対応する。
【0106】図8乃至図10は本発明の第3の実施の形
態を示す図であって、図8はコントローラ25内で実行
される処理の全体的な流れを示すフローチャート、図9
は経時変化検出処理の流れを示すフローチャートであ
る。なお、なお、その他の構成や処理の内容は上記第1
の実施の形態と同様であるため、その図示及び説明は省
略するとともに、上記第1の実施の形態と同様の処理に
は、同じステップ番号を付し、その重複する説明は省略
する。
【0107】即ち、本実施の形態では、図8に示すよう
に、ステップ101で初期設定を終えた後に、ステップ
500に移行して経時変化検出処理を実行するととも
に、ステップ111の処理を終えたら、ステップ300
に移行して発散検出処理を実行するようになっている。
【0108】そして、ステップ500に移行したら、図
9に示すように、先ずステップ501において、温度検
出信号tを読み込み、次いでステップ502に移行し、
その温度検出信号tに基づいて能動型エンジンマウント
1が低温状態であるか否かを判定する。このステップ5
02の判定が「YES」の場合には、能動型エンジンマ
ウント1に変化が生じていても、それが経時変化による
ものか否か判定できないと判断し、ステップ503に移
行する。ステップ503では、発散しきい値γを通常の
値γ2 に設定する。
【0109】しかし、ステップ502の判定が「YE
S」の場合には、ステップ504に移行して残留振動信
号eを読み込み、次いでステップ505に移行してその
残留振動信号eの振幅eA を求める。ただし、このステ
ップ505では、ステップ504で読み込んだ残留振動
信号eの最大の振幅eA を検出する。
【0110】次いで、ステップ506に移行し、基準信
号xの入力間隔に基づいてエンジン回転数Nを演算し、
次いでステップ507に移行し、エンジン回転数Nが、
コントローラ25が振動低減制御を実行する周波数帯域
の下限値に対応する所定回転数N1 に達したか否かを判
定する。
【0111】このステップ507の判定が「NO」の場
合には、未だ振動低減制御を実行するエンジン回転数に
は達していないと判断し、ステップ504に戻って上述
した処理を繰り返し実行する。
【0112】つまり、ステップ504、505の処理
は、エンジン30は駆動状態であり従ってエンジン30
で発生した振動は能動型エンジンマウント1に入力され
ているいが、その能動型エンジンマウント1からは制御
振動が発生していない状況下において繰り返し実行され
ることになる。
【0113】そして、ステップ507の判定が「YE
S」となった時点で、ステップ508に移行するが、こ
の時点では、振幅eA として、上記状況下における残留
振動信号eの最大の振幅が記憶されていることになる。
【0114】ステップ508では、振幅eA がしきい値
thよりも大きいか否かを判定し、その判定が「NO」
の場合には、能動型エンジンマウント1には経時劣化が
生じていないと判断してステップ503に移行し、発散
しきい値γを通常の値γ2 に設定する。これに対し、ス
テップ508の判定が「YES」の場合には、能動型エ
ンジンマウント1に経時劣化が生じている可能性が高い
と判断してステップ509に移行し、発散しきい値γを
大きな値γ1 に設定する。ステップ503又は509の
処理を終えたら、今回のこの図9の処理を終了し、図8
の処理に復帰する。
【0115】つまり、コントローラ25は、エンジン3
0の発動時に、能動型エンジンマウント1に経時劣化が
生じているか否かを判断して発散しきい値γを設定する
処理を実行するようになっている。これは、アイドル振
動やこもり音振動が発生する状態には到っていないエン
ジン30の発動時には、コントローラ25は振動低減制
御は実行しないから、電磁アクチュエータ10は非駆動
状態であり制御振動は発生していないため、エンジン3
0での燃焼によって発生する振動は、能動的に低減され
ることなく荷重センサ22に到達するから、振動伝達系
の変化を判断するのに極めて好適だからである。
【0116】そこで、ステップ508における判定に用
いるしきい値ethを、車両の初期状態においてステップ
504〜507の処理を実行した場合に得られる振幅e
A よりも若干大きい値に設定しておけば、ステップ50
8の判定を実行することにより、能動型エンジンマウン
ト1に経時劣化が生じたか否かを判定することができる
のである。つまり、図10に示すように、初期状態であ
れば、支持弾性体6のばね定数は特に増加していないか
ら、残留振動信号eの振幅もそれほど大きくはないが、
経時劣化が生じた後は、支持弾性体6のばね定数が増大
し、残留振動信号eの振幅も大きくなるから、その振幅
に基づけば能動型エンジンマウント1の経時劣化を判断
することができるのである。よって、本実施の形態にあ
っても、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を得る
ことができる。
【0117】また、ステップ502の判定が「YES」
の場合には、無条件にステップ503に移行するように
なっているから、上記第2の実施の形態と同様に、経時
劣化を誤検出する可能性も低くなっている。
【0118】ここで、本実施の形態にあっては、ステッ
プ502の処理が経時劣化検証手段に対応し、ステップ
504〜508の処理が経時変化検出手段に対応する。
図11乃至図14は本発明の第4の実施の形態を示す図
であって、図11はコントローラ25内で実行される処
理の全体的な流れを示すフローチャート、図12は経時
変化検出処理の流れを示すフローチャートである。な
お、なお、その他の構成や処理の内容は上記第1の実施
の形態と同様であるため、その図示及び説明は省略する
とともに、上記第1の実施の形態と同様の処理には、同
じステップ番号を付し、その重複する説明は省略する。
【0119】即ち、本実施の形態では、ステップ105
で残留振動信号eを読み込んだら、ステップ120に移
行し、残留振動信号eの振幅eA を求める。なお、この
ステップ120では、各時点における残留振動信号eの
振幅eA を求めるようになっている。
【0120】一方、ステップ111からステップ600
に移行して経時変化検出処理が実行されると、図12に
示すように、先ずそのステップ601において発散状態
レベルWH が演算される。発散状態レベルWH は、図5
のステップ301の処理と同様に演算される。従って、
ステップ300の発散検出処理において再び発散状態レ
ベルWH を演算する必要はない。
【0121】そして、ステップ602に移行し、発散状
態レベルWH が、しきい値Wthを越えているか否かを判
定する。なお、しきい値Wthは、発散しきい値γの通常
時の値γ2 よりも若干小さい値とする。
【0122】このステップ602の判定が「NO」の場
合は、特に振動レベルは悪化していないから、能動型エ
ンジンマウント1には経時劣化は生じていないと判断
し、ステップ603に移行して発散しきい値γを通常時
の値γ2 とする。
【0123】これに対し、ステップ602の判定が「Y
ES」の場合には、少なくとも適応ディジタルフィルタ
Wのフィルタ係数Wi は大きくなっているから、能動型
エンジンマウント1に経時劣化が生じている可能性があ
ると判断し、ステップ604に移行する。
【0124】そして、ステップ604では、ステップ1
20で求めた振幅eA が減少傾向にあるか否かを判定す
る。このステップ604の判定が「NO」の場合は、適
応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi は大きくな
っているし、且つ、振動レベルも悪化傾向にあると判断
できるから、制御は発散傾向にある可能性が高いと判断
し、ステップ603に移行する。
【0125】しかし、ステップ604の判定が「YE
S」の場合は、確かに適応ディジタルフィルタWのフィ
ルタ係数Wi は大きくなっているが、振動レベルは悪化
傾向になく従って振動低減制御は有効に働いていると判
断でき、かかる場合のフィルタ係数Wi が大きくなって
いるのは、能動型エンジンマウント1に経時劣化が生じ
て伝達関数Cの状態が当初の状態から変化しているから
であると推定できる。
【0126】そこで、ステップ605に移行し、発散し
きい値γを、通常時よりも大きな値γ1 に設定する。そ
して、ステップ603又は605の処理を終えたら、今
回のこの図12の処理を終了し、図11の処理に復帰す
る。
【0127】つまり、図13に示すように、基準信号x
に同期して残留振動信号eは変化するのであるが、その
残留振動信号eの振幅は、振動低減制御が良好に働いて
いれば、通常は減少傾向にあるか、若しくは、低いレベ
ルで安定する。よって、図14に示すように、発散状態
レベルWH がしきい値Wthに達したとしても、残留振動
信号eの振幅eA が減少傾向にあれば、制御は良好に働
いており、発散状態レベルWH が増加しているのは能動
型エンジンマウント1に経時劣化が生じているからであ
ると推定できるのである。よって、本実施の形態にあっ
ても、上記第1の実施の形態と同様の作用効果が得られ
る。
【0128】なお、本実施の形態にあっては、しきい値
thは、発散しきい値γと同じにすることも可能であ
る。その場合、ステップ602の判定と、図5のステッ
プ302の判定とが重複することになるから、これを一
体にして、直接ステップ303に移行するか否かの処理
としてもよい。
【0129】また、上記各実施の形態では、発散しきい
値γを大小2段階に設定するようにしているが、これら
3段階以上であってもよいし、或いは、上記第1の実施
の形態のような場合には経時劣化カウンタCt の値に応
じてリニアに変化させてもよい。そして、発散しきい値
γは、上記公開公報に開示されたように、制御環境にも
応じて変化させるようにしてもよい。
【0130】そして、上記各実施の形態では、残留振動
検出手段として、能動型エンジンマウント1に内蔵され
た荷重センサ22を用いてるから、振動低減制御を実行
した際にはその能動型エンジンマウント1を通じて車体
35側に伝搬される振動を低減することができるが、こ
れに限定されるものではなく、例えば、乗員足元位置に
配設された加速度センサを残留振動検出手段とすれば、
その乗員足元位置に伝搬する振動を低減するように能動
型エンジンマウント1で制御振動を発生させることがで
きるようになる。
【0131】さらに、上記各実施の形態では、本発明に
係る能動型騒音振動制御装置を、エンジン30から車体
35に伝達される振動を低減する車両用の能動型振動制
御装置に適用した場合について説明したが、本発明の適
用対象はこれに限定されるものではなく、例えば騒音源
としてのエンジン30から車室内に伝達される騒音を低
減する能動型騒音制御装置であってもよい。かかる能動
型騒音制御装置とする場合には、車室内に制御音を発生
するための制御音源としてのラウドスピーカと、車室内
の残留騒音を検出する残留騒音検出手段としてのマイク
ロフォンとを設け、上記各実施の形態と同様の演算処理
によって得られる駆動信号yに応じてラウドスピーカを
駆動させるとともに、マイクロフォンの出力を残留騒音
信号eとして適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係
数Wi の更新処理に用い、そして経時変化検出処理,発
散検出処理を実行すれば、上記各実施の形態と同様の作
用効果が得られる。
【0132】また、本発明の適用対象は車両に限定され
るものではなく、エンジン30以外で発生する周期的な
振動や騒音を低減するための能動型振動制御装置,能動
型騒音制御装置や、非周期的な振動や騒音(ランダム・
ノイズ)を低減するための能動型振動制御装置,能動型
騒音制御装置であっても本発明は適用可能であり、適用
対象に関係なく上記各実施の形態と同等の作用効果を奏
することができる。例えば、工作機械からフロアや室内
に伝達される振動や騒音を低減する装置等であっても、
本発明は適用可能である。
【0133】さらに、上記各実施の形態では、適応アル
ゴリズムとして同期式Filtered−X LMSア
ルゴリズムを適用した場合について説明したが、適用可
能な適応アルゴリズムはこれに限定されるものではな
く、例えば、通常のFiltered−X LMSアル
ゴリズム等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す車両の概略側面図であ
る。
【図2】能動型エンジンマウントの一例を示す断面図で
ある。
【図3】振動低減処理の概要を示すフローチャートであ
る。
【図4】経時変化検出処理の概要を示すフローチャート
である。
【図5】発散検出処理の概要を示すフローチャートであ
る。
【図6】第2の実施の形態の経時変化検出処理の概要を
示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態の作用を説明する周波数特性
図である。
【図8】第3の実施の形態の振動低減処理の概要を示す
フローチャートである。
【図9】第3の実施の形態の経時変化検出処理の概要を
示すフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態の作用を説明する波形図で
ある。
【図11】第4の実施の形態の振動低減処理の概要を示
すフローチャートである。
【図12】第4の実施の形態の経時変化検出処理の概要
を示すフローチャートである。
【図13】第4の実施の形態の作用を説明する波形図で
ある。
【図14】第4の実施の形態の作用を説明する波形図で
ある。
【符号の説明】
1 能動型エンジンマウント(制御振動源) 22 荷重センサ(残留振動検出手段) 25 コントローラ 26 パルス信号生成器(基準信号生成手段) 28 温度センサ 30 エンジン(振動源) 35 車体

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音源又は振動源から発せられる騒音又
    は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御
    音源又は制御振動源と、前記騒音又は振動の発生状態を
    表す基準信号を生成し出力する基準信号生成手段と、前
    記干渉後の騒音又は振動を検出し残留騒音信号又は残留
    振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動
    検出手段と、前記基準信号及び前記残留騒音信号又は残
    留振動信号に基づき前記制御音源又は制御振動源と前記
    残留騒音検出手段又は残留振動検出手段との間の伝達関
    数を含む制御アルゴリズムを用いて前記騒音又は振動が
    低減するように前記制御音源又は制御振動源を駆動する
    能動制御手段と、制御の発散状態レベルを検出する発散
    状態レベル検出手段と、前記発散状態レベルが所定の発
    散しきい値を越えた場合に制御が発散したと判断する発
    散判断手段と、制御系の経時変化を検出する経時変化検
    出手段と、この経時変化検出手段が検出した前記経時変
    化に応じて前記発散しきい値を設定する発散しきい値設
    定手段と、を備えたことを特徴とする能動型騒音振動制
    御装置。
  2. 【請求項2】 前記経時変化検出手段は、前記制御音源
    又は制御振動源の熱被爆量に基づいて前記制御系の経時
    変化を検出するようになっている請求項1記載の能動型
    騒音振動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記経時変化検出手段は、前記制御音源
    又は制御振動源の累積作動時間に基づいて前記制御系の
    経時変化を検出するようになっている請求項1記載の能
    動型騒音振動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記伝達関数を同定する伝達関数同定手
    段を備え、前記経時変化検出手段は、前記伝達関数のピ
    ーク周波数に基づいて前記制御系の経時変化を検出する
    ようになっている請求項1記載の能動型騒音振動制御装
    置。
  5. 【請求項5】 前記経時変化検出手段は、前記騒音源又
    は振動源から騒音又は振動が発せられているが前記制御
    音源又は制御振動源からは制御音又は制御振動が発生し
    ていないときの前記残留騒音信号又は残留振動信号に基
    づいて、前記制御系の経時変化を検出するようになって
    いる請求項1記載の能動型騒音振動制御装置。
  6. 【請求項6】 前記経時変化検出手段は、前記発散状態
    レベルが所定のしきい値を越えたときの前記残留騒音信
    号又は残留振動信号の振幅の変化傾向に基づいて前記制
    御系の経時変化を検出するようになっている請求項1記
    載の能動型騒音振動制御装置。
  7. 【請求項7】 前記経時変化検出手段は、前記制御系の
    変化が経時変化であるか否かを検証する経時変化検証手
    段を含んで構成される請求項1乃至請求項6のいずれか
    に記載の能動型騒音振動制御装置。
  8. 【請求項8】 前記制御音源又は制御振動源若しくはそ
    の周辺の温度を検出する温度検出手段を備え、前記経時
    変化検証手段は、前記温度検出手段が検出した温度に基
    づいて前記検証を行うようになっている請求項7記載の
    能動型騒音振動制御装置。
  9. 【請求項9】 前記伝達関数を同定する伝達関数同定手
    段と、前記制御音源又は制御振動源若しくはその周辺の
    温度を検出する温度検出手段と、を備え、前記経時変化
    検出手段は、前記温度検出手段が検出した温度に基づい
    て前記制御系の変化が経時変化であるか否かを検証する
    経時変化検証手段を含んで構成されるとともに、前記制
    御音源又は制御振動源と前記残留騒音検出手段又は残留
    振動検出手段との間の伝達関数のピーク周波数に基づい
    て前記制御系の経時変化を検出するようになっている請
    求項1記載の能動型騒音振動制御装置。
  10. 【請求項10】 前記経時変化検出手段は、前記温度検
    出手段が検出した温度に基づいて前記制御系の変化が経
    時変化であるか否かを検証する経時変化検証手段を含ん
    で構成されるとともに、前記騒音源又は振動源から騒音
    又は振動が発せられているが前記制御音源又は制御振動
    源からは制御音又は制御振動が発生していないときの前
    記残留騒音信号又は残留振動信号に基づいて、前記制御
    系の経時変化を検出するようになっている請求項1記載
    の能動型騒音振動制御装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007287153A (ja) * 2006-04-13 2007-11-01 Fisher Rosemount Syst Inc モデルベース制御技法におけるロバストなプロセスモデルの同定方法及びシステム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007287153A (ja) * 2006-04-13 2007-11-01 Fisher Rosemount Syst Inc モデルベース制御技法におけるロバストなプロセスモデルの同定方法及びシステム
CN105259763A (zh) * 2006-04-13 2016-01-20 费舍-柔斯芒特系统股份有限公司 生成过程模型的模型生成系统

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