JPH11148468A - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機

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JPH11148468A
JPH11148468A JP31484397A JP31484397A JPH11148468A JP H11148468 A JPH11148468 A JP H11148468A JP 31484397 A JP31484397 A JP 31484397A JP 31484397 A JP31484397 A JP 31484397A JP H11148468 A JPH11148468 A JP H11148468A
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pressure
discharge
valve
scroll member
suction
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Isamu Tsubono
勇 坪野
Koichi Sekiguchi
浩一 関口
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】広範囲な圧力運転範囲において、全断熱効率及
び信頼性の高いスクロール圧縮機を提供することを目的
とする。 【解決手段】スクロール圧縮機において、吐出弁を設
け、旋回スクロール背面に吐出圧をかける背面吐出圧領
域の面積を吐出室の軸方向投影面積以下の面積にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スクロール圧縮機
に関わり、広い運転範囲における全断熱効率及び信頼性
を向上させる構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のスクロール圧縮機は、特開昭57−
76291 号公報に記載の公知例のように、吐出圧等の高圧
となっている流体供給部から流体を旋回スクロール部材
の背面に供給し、弁装置を介して吸込系へ逃がす流路を
設けていた。そして、その弁装置として、弁体と押付け
ばねからなる構成を示している。この構成であると、旋
回背面室の圧力は吸込系の圧力よりも弁装置内の押付ば
ねの強さに応じて概略一定値だけ大きくなるべく制御さ
れた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】引き離し力は、圧縮室
部の流体の圧力分布とともに、吐出室の流体の圧力であ
る吐出圧で決まる。圧縮室部の流体の圧力分布は、極端
に大きな内部漏れがない限り、ほぼ吸込圧のみに依存す
る。一方、吐出圧と吸込圧は圧縮機の置かれている使用
環境下の設定により任意に変えることが可能なため、吐
出圧は吸込圧には依存しない。よって、引き離し力は独
立な二個のパラメータである吸込圧と吐出圧に依存す
る。引付力は引き離し力に対抗して両鏡板を引き付ける
ためにかける力であるため、スクロール部材の荷重変形
の観点からいって、その大きさは引き離し力と常にほぼ
同様のレベルであることが望ましい。また、その場合に
はスクロール部材とその支持部材との間に働く付勢力が
小さくなり、これらの間に相対運動がある場合にはそこ
での摩擦損失や摩耗の危険性が低減できるため、引付力
の大きさは常に引き離し力以上であるがほぼ同様のレベ
ルであることが望ましい。
【0004】しかし、実際の場合、スクロール部材には
軸線方向と垂直な方向の流体からの力や遠心力などがか
かるため、引付力はこれらにより発生する傾転モーメン
トにも対抗しなければならない。このため、運転条件毎
に、スクロール部材の鏡板を引き付けることができる大
きさのうちで付勢力が最小になる引付力を発生させる制
御をかけることが理想的となるが、コストを考えると、
特別な場合を除いて現実的には不可能である。
【0005】そのため、実際の引付力付加手段は、引付
力の大きさが、要求される運転範囲全域において引き離
し力の大きさに傾転モーメントに対抗するための上乗せ
分を加えた値を実現するような比較的単純な機構にす
る。前述したように、引き離し力は吸込圧と吐出圧によ
り決まることから、引付力付加手段は吸込圧と吐出圧に
依存した機構としなければならない。
【0006】ところが、前記従来技術では、その引付力
付加手段を実現する方法として吸込圧+一定値(以後過
吸込圧値と記す)という吸込圧だけに依存した圧力を有
する背面過吸込圧領域を設定しているため、広い運転条
件で両鏡板が引き付けられるように前記過吸込圧値を設
定すると、付勢力が過大となる条件が生じ、その条件で
は、スクロール部材の変形による内部漏れの増大や付勢
部の摺動損失の増大による性能低下とともに、摺動部に
おける摩耗の危険性が高くなり信頼性の低下が生じると
いう問題があった。
【0007】本発明の目的は、前記従来技術の問題を解
決し高圧力比運転時の性能の高いスクロール圧縮機を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めの第一の手段として、鏡板とそれに立設する渦巻き状
のスクロールラップを備えそのスクロールラップの立設
する方向である軸線方向に垂直な面内を自転せずに旋回
運動する旋回スクロール部材と、鏡板とそれに立設する
渦巻き状のスクロールラップを備え少なくとも前記軸線
方向に垂直な面内の方向における運動が概略規制される
非旋回スクロール部材を噛み合わせ、それらスクロール
部材の間に概略閉塞して容積が縮小する圧縮室と、その
圧縮室側の流体の圧力による前記両スクロール部材の鏡
板を引き離す向きの引き離し力に対抗して前記両スクロ
ール部材の鏡板を引き付ける向きの引付力を各々の前記
スクロール部材にかける引付力付加手段と、前記引付力
と前記引き離し力のベクトル和である付勢力の反力を各
々の前記スクロール部材に発生させるスクロール支持部
材と、流体を前記圧縮室に導入する吸込系と、前記圧縮
室内で加圧した流体を外部へ導出する吐出系を有し、前
記旋回スクロール部材における前記引付力付加手段の少
なくとも一部は旋回スクロール部材の鏡板の反圧縮室側
の面である旋回背面に前記吸込系内の圧力である吸込圧
よりもその吸込圧の二割程度の誤差内で一定の値だけ大
きい圧力をかけるべく背面過吸込圧領域を設けるととも
に前記吐出圧もしくはほぼ吐出圧をかける背面吐出圧領
域を設けて実現するスクロール圧縮機において、吐出弁
を設け、前記背面吐出圧領域の面積を吐出弁がない場合
に吐出系と連通して前記両鏡板間に挟まれた領域である
吐出室の前記軸線方向から見た投影面積とその吐出室と
それを囲む圧縮室の境界を形成する両スクロールラップ
部の歯先面積の半分を加えた面積の旋回スクロール部材
が一旋回する間の旋回角積分平均よりも小さくした。
【0009】また、前記の目的を達成するための第二の
手段として、鏡板とそれに立設する渦巻き状のスクロー
ルラップを備えそのスクロールラップの立設する方向で
ある軸線方向に垂直な面内を自転せずに旋回運動する旋
回スクロール部材と、鏡板とそれに立設する渦巻き状の
スクロールラップを備え少なくとも前記軸線方向に垂直
な面内の方向における運動が概略規制される非旋回スク
ロール部材を噛み合わせ、それらスクロール部材の間に
概略閉塞して容積が縮小する圧縮室と、その圧縮室側の
流体の圧力による前記両スクロール部材の鏡板を引き離
す向きの引き離し力に対抗して前記両スクロール部材の
鏡板を引き付ける向きの引付力を各々の前記スクロール
部材にかける引付力付加手段と、前記引付力と前記引き
離し力のベクトル和である付勢力の反力を各々の前記ス
クロール部材に発生させるスクロール支持部材と、流体
を前記圧縮室に導入する吸込系と、前記圧縮室内で加圧
した流体を外部へ導出する吐出系を有し、前記非旋回ス
クロール部材のスクロール支持部材を前記旋回スクロー
ル部材とし、前記非旋回スクロール部材における前記引
付力付加手段の少なくとも一部は、前記非旋回スクロー
ル部材の鏡板の反圧縮室側の面である非旋回背面に前記
吸込系内の圧力である吸込圧よりもその吸込圧の二割程
度の誤差内で一定の値だけ大きい圧力をかけるべく背面
過吸込圧領域を設けるとともに前記吐出圧もしくはほぼ
吐出圧をかける背面吐出圧領域を設けて実現するスクロ
ール圧縮機において、吐出弁を設け、前記背面吐出圧領
域の面積を吐出弁がない場合に吐出系と連通して前記両
鏡板間に挟まれた領域である吐出室の前記軸線方向から
見た投影面積とその吐出室とそれを囲む圧縮室の境界を
形成する両スクロールラップ部の歯先面積の半分を加え
た面積の旋回スクロール部材が一旋回する間の旋回角積
分平均よりも小さくした。
【0010】また、前記の目的を達成するための第三の
手段として、前記第一および第二の手段とともに、前記
圧縮室の圧力が前記吐出系内の圧力である吐出圧よりも
高い時に前記圧縮室と前記吐出系を連通する制御バイパ
スを設けた。
【0011】また、前記第三の手段により達成する目的
とともに量産性を向上するための第四の手段として、前
記背面過吸込圧領域の圧力は、前記吐出系とその背面過
吸込圧領域の間に設けた絞りを伴う吐出背面流路とその
背面過吸込圧領域と前記吸込系の間の背面吸込流路とそ
の背面吸込流路中に前記背面過吸込圧領域と吸込圧の圧
力差を制御する圧力差制御手段とした。
【0012】スクロール圧縮機に不足圧縮条件時の吐出
室への吐出ガスの逆流を回避する吐出弁を設けると、そ
の吐出弁の流路抵抗が無視できるほど小さい理想的な場
合、
【0013】
【数1】 (吐出室内ガス圧)≦(吐出圧) …(数1) に保たれる。ここで、不等号は不足圧縮条件時に成立す
る。ここで、
【0014】
【数2】 (ある時刻での吐出室内ガスによる引き離し力)= (吐出室内ガス圧)×(ある時刻での吐出室内ガス圧がかかる軸方向投影面積) …(数2) より、(数1)(数2)から、
【0015】
【数3】 (ある時刻での吐出室内ガスによる引き離し力)≦ (吐出圧)×(ある時刻での吐出室内ガス圧がかかる軸方向投影面積) …(数3) が成り立つ。また、吐出室内ガスによる引き離し力はそ
の旋回スクロール一旋回あたりの時間積分平均値だか
ら、(数3)より、
【0016】
【数4】
【0017】となる。吐出圧が一定より、(数4)の右
辺の積分は、
【0018】
【数5】
【0019】となるため、(数4)(数5)から、
【0020】
【数6】
【0021】となる。スクロール圧縮機は、圧縮に要す
るトルクの変動が小さいため、旋回スクロールの旋回速
度はほぼ一定となる。よって、(数6)の右辺の時間積
分平均は旋回位相角θの積分平均とほぼ等しくなり、以
下の関係が成り立つ。
【0022】
【数7】
【0023】(数6)(数7)より、吐出室内ガスによ
る引き離し力は
【0024】
【数8】
【0025】となる。吐出室とそれを囲む圧縮室の境界
を成すスクロールラップ部の歯先部は吐出室側が吐出室
内ガス圧、圧縮室側が圧縮室の圧力となり、その間の圧
力は吐出室内ガス圧と圧縮室圧力の間を概略直線的に変
化する。よって、この歯先の圧力分布による軸方向引き
離し力の大きさは、歯先面積の半分に吐出室内ガス圧が
かかり、残りの半分に吐出室周囲の圧縮室の圧力がかか
ると考えた場合に等しくなる。よって吐出室内ガス圧の
かかる軸方向投影面積は、吐出室の前記軸線方向から見
た投影面積とその吐出室とそれを囲む圧縮室の境界を形
成する両スクロールラップ部の歯先面積の半分を加えた
面積と等しくなるため、(数8)を変形して、結局以下
のことがいえる。
【0026】不足圧縮条件時の吐出室への吐出ガスの逆
流を回避する吐出弁を設けた場合、
【0027】
【数9】 (吐出室内ガスによる引き離し力)≦ (吐出圧)×(吐出室の前記軸線方向から見た投影面積とその吐出室とそれを 囲む圧縮室の境界を形成する両スクロールラップ部の歯先面積の半分を加えた 面積の旋回スクロール部材が一旋回する間の旋回角積分平均値) …(数9) これは、吐出室内ガスによる引き離し力を打ち消す引付
力を吐出圧で実現するには、吐出圧がかかる領域の面積
を、吐出室の前記軸線方向から見た投影面積とその吐出
室とそれを囲む圧縮室の境界を形成する両スクロールラ
ップ部の歯先面積の半分を加えた面積の旋回スクロール
部材が一旋回する間の旋回角積分平均値以下にしなけれ
ばならないことを意味する。
【0028】前記第一の手段は、前記した従来の技術
に、吐出弁とともに、吐出室の前記軸線方向から見た投
影面積とその吐出室とそれを囲む圧縮室の境界を形成す
る両スクロールラップ部の歯先面積の半分を加えた面積
の旋回スクロール部材が一旋回する間の旋回角積分平均
以下の面積を有する前記背面吐出圧領域を設けている。
【0029】吐出弁を設けているため、不足圧縮時の吐
出室への逆流が回避でき、圧縮動力を低減して効率を向
上できるうえに、吐出弁を設けたために(数9)が成立
することと上記の面積の背面吐出圧領域を設けることに
より、吐出圧に依存する吐出室内ガスによる引き離し力
を吐出圧のみに依存する背面吐出圧領域の引付力で打ち
消すことになるため、広い運転条件下で引き離し力にお
ける吐出圧の影響をなくすことが可能となる。
【0030】この結果、もう一つの引付力発生手段であ
る背面過吸込圧領域は、吸込圧に依存する圧縮室内のガ
スによる引き離し力及び傾転モーメントを打ち消すため
の上乗せ分に対抗する引付力を発生しなければならな
い。このうちで主なものは圧縮室内のガスによる引き離
し力であるから、背面過吸込圧領域は概略吸込圧に依存
する力に対抗しなければならない。背面過吸込圧領域
は、吸込圧+一定値(過吸込圧値)となるべく圧力を制
御した領域であるから、この背面過吸込圧領域によって
発生する引付力は吸込圧のみに依存する。
【0031】これより、概略吸込圧に依存する圧縮室内
のガスによる引き離し力を吸込圧に依存する背面過吸込
圧領域によって発生する引付力で対抗するため、過吸込
圧値を極端に大きくしなくても、広い運転条件下で対抗
可能となる。
【0032】よって、運転範囲全域にわたって引付力が
小さくなり、スクロール部材の変形が抑えられ、圧縮室
のシールの管理が容易になり、内部漏れを抑制して全断
熱効率の向上を実現できるという効果がある。
【0033】また、旋回スクロール部材とその支持部材
が相対運動を有する構成の場合には、摺動部に働く付勢
力が低減するため、そこにおける摺動損失や摩耗の危険
性が低減し、全断熱効率や信頼性の向上を実現できると
いう効果がある。特に、高圧力比運転の時には、吐出弁
の効果により圧縮動力を低減でき、全断熱効率の向上を
実現できるという効果がある。
【0034】前記第二の手段は、前記第一の手段の内容
を、非旋回スクロール部材を軸方向に可動とし非旋回背
面に背面過吸込圧領域を設けて非旋回スクロール部材を
旋回スクロール部材に押し付ける方式のスクロール圧縮
機に適用したものであって、前記第一の手段による効果
と同様の効果を得る。
【0035】前記第三の手段は、前記した従来の技術
に、過圧縮を抑制するための制御バイパスを設けてい
る。このため、過圧縮の圧力条件時に、圧縮室の圧力が
吐出圧よりも高くなるのを抑制でき、指圧線図のふくら
みが縮小して熱流体損失が低減し全断熱効率が向上する
という制御バイパス単独の効果がある。
【0036】さらに、制御バイパスを設けたことによ
り、過圧縮の圧力条件時には、定格条件時と比較して、
必要な引付力は吸込圧の増加倍率よりも低くなる。よっ
て、過吸込圧値は、制御バイパスがない場合と比べて低
く設定できるため、運転範囲全域にわたって引付力が小
さくなり、スクロール部材の変形が抑えられ、圧縮室の
シールの管理が容易になり、内部漏れを抑制して全断熱
効率の向上を実現できるという効果がある。
【0037】また、旋回スクロール部材とその支持部材
が相対運動を有する構成の場合には、摺動部に働く付勢
力が低減するため、そこにおける摺動損失や摩耗の危険
性が低減し、全断熱効率や信頼性の向上を実現できると
いう効果がある。特に、高い全断熱効率や信頼性が要求
される定格条件では、吸込圧が低いため前記背面過吸込
圧領域の圧力が低くなる点が大きく影響して、付勢力は
大幅に小さくなり、全断熱効率や信頼性の一層の向上を
実現できるという効果がある。
【0038】ところで、この制御バイパスは、特開昭58
−128485号公報で示された技術であり、これ自体は新し
いものではない。その効果は、過圧縮の圧力条件時に、
圧縮室の圧力が吐出圧よりも高くなるのを回避できるた
め、指圧線図のふくらみが縮小して熱流体損失が低減し
全断熱効率が向上するというものであり、前記第一の手
段の中でもこれとまったく同じ効果がある。
【0039】しかし、そこでは、引付力発生手段として
背面過吸込圧領域と同時に制御バイパスを設けると、熱
流体損失が低減し全断熱効率が高くなるという単独の効
果以外に、前記したような作用で全断熱効率及び信頼性
が向上するという効果は示していない。
【0040】前記第四の手段は、自らの吐出系から絞り
を伴う吐出背面流路により前記背面過吸込圧領域に圧力
を導入し、その圧力を圧力差制御手段を介して背面吸込
流路により前記吸込系へ排出させるため、外部に圧力源
を設ける必要がなくなる。この結果、前記第一または第
二の手段による効果とともに、外部からの助けを借りな
くても圧縮機単体で運転が可能になるため、使い勝手を
向上できるいう効果がある。ここで、吐出背面流路に絞
りを設けているため、高圧の流体が前記背面過吸込圧領
域に多量に流入することがなくなる。このために、圧縮
機の中で吸込系から吐出系へ短絡的に流れて生じる能力
の低下を回避できる。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明を、非旋回スクロール部材
がケーシングに対して固定された固定スクロール部材と
し、旋回スクロール部材の鏡板の反圧縮室側である旋回
背面に背面過吸込圧領域を設け、要求される運転圧力条
件範囲で旋回スクロール部材のスクロール支持部材を前
記固定スクロール部材とした、すなわち旋回スクロール
部材を前記固定スクロール部材に押し付ける、横置き型
の旋回フロート式スクロール圧縮機に実施した第一の実
施例を、図1ないし図9に基づいて説明する。
【0042】図1は圧縮機の縦断面図、図2は吐出圧の
かかる領域の説明図、図3は固定スクロール部材の反ス
クロールラップ側からの平面図、図4は固定スクロール
部材のスクロールラップ側からの平面図、図5は吐出弁
とバイパス弁を一体にした弁板の平面図、図7,図8は
もう一つの実施例の吐出バイパス一体弁板及びバイパス
弁板の平面図、図9は圧力差制御弁の縦断面図である。
なお、この例は、直径が、10mmから900mm程度のも
のである。
【0043】まず、構造を説明する。
【0044】旋回スクロール部材3は、鏡板3aにスク
ロールラップ3bが立設し、その背面には旋回軸受3w
を挿入した軸受保持部3sと、旋回オルダム溝3g,3
hが設けられる。そして、少なくとも鏡板3aのラップ
側とスクロールラップ3b全域に、潤滑性及びなじみ性
の良い表面処理を施す。
【0045】固定スクロール部材2は、スクロールラッ
プ歯先面と同一面である非旋回基準面2uを設けそこに
周囲溝2cを形成する。そして、歯底には4個のバイパ
ス穴2eと中央近くに吐出穴2dが設けられる。ここで
バイパス穴2eを4個設けた理由は、形成される全ての
圧縮室6に常にバイパス穴を開口させるためである。こ
れらのバイパス穴2eと前記吐出穴2dを覆うようにリ
ード弁板である吐出バイパス一体弁板23bおよびその
弁板23bの開口度を制限するリテーナ23aをバイパ
スねじ50で固定する。
【0046】また、歯底面の外縁側に吸込み掘込み2q
を設け、そこに背面から吸込みパイプ54を挿入するた
めの吸込穴2vを設ける。この吸込穴2vに前記吸込パ
イプ54を挿入するが、そのときに弁体24aと逆止弁
ばね24cを入れ、吸込み側逆止弁24を形成する。さ
らに、固定スクロール部材2の外周に吐出ガスおよび油
を流す複数個の流通溝2rを設ける。
【0047】そして、そのうちの一個にはモータ線77
を通す。反ラップ側から弁穴2fを開け、その底に断面
が半円形となっている円形の弁シール面2jとその中央
に前記弁穴2fと前記周囲溝2cを連通する背面側導通
路2mを設ける。そして、この弁穴2fの側面から吸込
室60と通じている吸込溝2αに吸込側導通路2iを設
ける。
【0048】この弁穴2fに弁穴の直径より少し小さい
直径の弁体100aと差圧弁ばね100cを入れ、前記
差圧弁ばね100cの一端を弁キャップ100fのばね
位置決め突起100hに装着し、他端を前記弁体100
aの浅いばね挿入穴100vに装着した状態で前記弁穴2f
に挿入する。そして、前記弁キャップ100fを前記弁
穴100aよりも直径の大きい弁キャップ挿入部2kに
圧入し、圧力差制御弁100を形成する。
【0049】このとき、前記差圧弁ばね100cは圧縮
され、前記弁体100aを前記弁シール面2jに押し付
ける。この押付力は過吸込圧値を決定するため、これを
決める寸法である前記弁穴2fの深さと前記キャップ挿
入部2kの深さと前記弁体100aの厚さと前記差圧弁
ばね100cのばね定数及び自然長は精度良く管理しな
ければならない。
【0050】また、前記弁キャップ100fの外径を前
記弁キャップ挿入部2kの径よりも小さくし押付力が正
規の値になるところでこの弁キャップ100fを拡管し
て止める方法もある。この方法の場合には、上記した各
部の寸法やばね定数の値を精度良く管理する必要がなく
なるため量産性が向上するという効果がある。
【0051】この時には前記キャップ挿入部2kの直径
を前記弁穴2fの直径と同一とし、前記弁キャップ10
0fが任意の箇所で固定できるようにする。これら二通
りの方法とも組み立て完了時には、前記弁キャップ10
0fの外周部と前記弁キャップ挿入部2kの内周部の間
は完全にシールされている。このシールに、接着や溶接
を行ってもよい。
【0052】ところで、前記差圧弁ばね100cは前記
ばね挿入穴100vに装着されているため、差圧弁ばね
100cの中心軸が前記弁体100aの中心軸からずれ
ることがなくなり、前記差圧弁ばね100cが前記弁体
100aを押す強さが常に一定となって、過吸込圧値が
安定するという特有の効果がある。
【0053】フレーム4は、外周部に前記固定スクロー
ル部材2を取り付ける固定取付け面4b、その内側に旋
回はさみこみ面4dが設けられる。そのさらに内側に
は、オルダムリング5をフレーム4と旋回スクロール部
材3の間に配置するため、フレームオルダム溝4e,4
f(ともに図示せず)を設ける。また、中央部には軸シ
ール4aと主軸受4mを設け、そのスクロール側にシャ
フトを受けるシャフトスラスト面4cを設ける。その軸
シール4aと主軸受4mの間の空間に向かってフレーム
側面から横穴4nが開口している。外周面にはガスおよ
び油の流路となる複数の流通溝4hが設けられる。そし
て、そのうちの一個にはモータ線77を通す。
【0054】オルダムリング5の一面にフレーム突起部
5a,5b(ともに図示せず)が設けられ、もう一方の
面には旋回突起部5c,5dが設けられる。
【0055】シャフト12には内部にシャフト給油孔1
2aと主軸受給油孔12bと軸シール給油孔12cと副
軸受給油孔12iが設けられる。また、その上部には径
の拡大したバランス保持部12hがあり、そこにシャフ
トバランス49が圧入される。さらに偏心部12fが設
けられる。
【0056】ロータ15は積層鋼板15aに未着磁の永
久磁石(図示せず)を内蔵し、両端にロータバランス1
5c,15pを設ける。
【0057】ステータ16は積層鋼板16bの外周部に
圧縮性ガスや油の流路となる複数のステータ溝16cが
設けられている。ところで、このステータ溝16cの代
わりに前記積層鋼板16bの内部に横穴を開けてもよ
い。
【0058】これらの構成要素を以下のように組み立て
る。まず、前記フレーム4の主軸受4aに前記シャフト
バランス49が圧入された前記シャフト12を挿入し、
前記ロータ15を圧入または焼きばめする。さらに、前
記オルダムリング5を、前記フレームオルダム溝4f,
4eに前記オルダムリング5のフレーム突起部5a,5
bを挿入して、前記フレーム4に装着する。さらに、前
記旋回スクロール部材3を、その旋回オルダム溝3g,
3hに前記オルダムリングの旋回突起部5c,5dを挿
入し、旋回軸受3wに前記シャフト12の前記偏心部1
2fを挿入しながら、旋回はさみこみ面4d上に装着す
る。
【0059】この旋回スクロール部材3に前記固定スク
ロール部材2を噛み合わせ、前記シャフト12を廻しな
がら回転トルクの最小となる位置でカバーねじ53によ
り前記フレーム4に前記固定スクロール部材2を固定す
る。この時、前記鏡板3aの厚さが前記旋回はさみこみ
面4dと非旋回基準面2uの間隔よりも0〜10μm程
度小さくなるようにする。
【0060】ここで、前記鏡板3aのラップ側にはなじ
み性の表面処理膜がついているため、運転とともにその
表面処理膜が削れていき、前記旋回はさみこみ面4dと
非旋回基準面2uの間隔と前記鏡板3aの厚さの差が1
0〜20μm程度となる。
【0061】この隙間は適度な大きさであり、これより
狭すぎると運転時に摺動損失が増大して全断熱効率を低
下させ、反対に、これより大きいと起動時に引き離し力
により両スクロール部材がその隙間だけ軸線方向に離れ
引付力を必要な大きさに増大できないため、正常な圧縮
を開始できないという問題が発生する。また、前記旋回
スクロール部材3の背面に背面過吸込圧領域99を設け
る。
【0062】次にあらかじめ前記ステータ16を焼きば
めするとともにガス抜き通路88aを有するガスカバー
88が溶接された前記軸受支持板18をスポット溶接し
た円筒ケーシング31に、上記の組立て部を挿入し前記
フレームの側面にタック溶接を行う。これにより、前記
ロータ12と前記ステータ16によってモータ19を形
成し、前記軸受支持板18と前記フレーム4の間にモー
タ室62を形成する。
【0063】次に前記軸受支持板18の中央部の穴から
出た前記シャフト12の一端が軸受ハウジング70に装
着した球面軸受72の円筒穴に挿入されるように前記軸
受ハウジング70を組み込み、前記シャフト12の回転
トルクを検出しながら軸受ハウジング70の位置を調整
してその回転トルクが最小になる位置で前記軸受ハウジ
ング70を前記軸受支持板18にスポット溶接する。
【0064】そして、給油管71を溶接した給油キャッ
プ90をシール73を挟んで前記軸受ハウジング70に
ねじ込む。ここで、給油管71は給油キャップ90を前
記軸受ハウジング70にねじ込んだ後に下方に曲げる。
そして、前記円筒ケーシング31に吐出管55が上部に
溶接された底ケーシング21を溶接し、貯油室80を形
成する。
【0065】前記軸受ハウジング70は、前記ステータ
16のコイルエンド部16g中央のデッドスペースに配
置したので、貯油室80の容積が広がり、所定の油量を
入れても油面の高さを低く抑えることができるため、吐
出油量の抑制という効果がある。
【0066】また、シャフトを短くできるため、重量が
軽くなるとともに、主軸受4mと副軸受72の間が短く
なり、前記シャフト12や旋回スクロール部材3や前記
ロータ15からなる回転部の固有振動数を高くでき、振
動や騒音の少ない圧縮機を提供できるという効果があ
る。
【0067】また、前記軸受ハウジング70を前記軸受
支持板18に固定するスポット溶接部が前記球面軸受7
2と離れているので、その溶接による球面軸受部の変形
がなくなって球面軸受の隙間が均一となり、球面軸受7
2の信頼性が向上するとともに、高速回転時に前記シャ
フト12が主軸受部を支点とした触れ回りを起こしたと
きにそれを円滑に抑えることが可能となり、その時に球
面軸受部から発生する振動や騒音を低減できるという特
有の効果がある。
【0068】給油管71の先端近くには、マグネット8
9が設けられる。また、前記円筒ケーシング31にハー
メチック端子22が上部に溶接された上ケーシング20
を前記ハーメチック端子22の内部側端子にモータ線7
7を装着して溶接し、固定背面室61を形成する。
【0069】次に動作を説明する。
【0070】前記モータ19が回転することにより、前
記シャフト12が回転し前記旋回スクロール部材3が旋
回運動する。ここで、前記オルダムリング5があるため
に前記旋回スクロール部材3の自転が防止される。この
動作により吸込室60内の圧縮性ガスが両スクロール部
材の間に形成される圧縮室6に入り圧縮されて前記吐出
孔2dから固定背面室61に吐出される。前記固定背面
室61に吐出された圧縮性ガスは前記固定スクロール部
材2および前記フレーム4hの外周にある流通溝2rお
よび4hを通って前記モータ室62に入る。
【0071】そのモータ室に入った圧縮性ガスは前記ス
テータ溝16cを通りながらモータ19を冷却する。そ
の過程で、圧縮性ガスは前記モータ19の各部に衝突し
てその中に含まれている油を分離する。分離された油は
前記モータ室62の下部に落ちる。前記モータ室62に
入った圧縮性ガスは、吐出パイプ55より外部に出る。
【0072】ここで、前記モータ室62内部の圧縮性ガ
スは小さい通気孔18bを通過して前記貯油室80の上
部に流入するため、その流路抵抗により前記貯油室80
の圧力は前記モータ室62の圧力よりも低くなる。よっ
て、前記モータ室62の潤滑油56は導油孔18aを通
って前記貯油室80に流入する。このとき、ガスも同時
に前記貯油室80に流入し、前記貯油室80内の潤滑油
56中を気泡が上昇するが、前記ガス抜き通路88b内
を気泡が上昇するため、前記給油管71には気泡が入ら
ず、軸受の信頼性を向上できるという特有の効果があ
る。
【0073】以上より、前記モータ室62の油面を前記
ロータ15や前記シャフト12へかかることなく、潤滑
油56を小形の圧縮機内部に蓄えることが可能となるた
め、高信頼性の横置き圧縮機を小形で実現できるという
本実施例特有の効果がある。
【0074】ところで、前記旋回スクロール部材3の前
記鏡板3aの厚さが前記旋回はさみこみ面4dと非旋回
基準面2uの間隔よりも、組立時において0〜10μm
程度、前記旋回スクロール部材3の表面処理被膜がなじ
んだ後には10〜20μm程度小さくなるようにし、前
記旋回スクロール部材3と前記固定スクロール部材2の
軸線方向における最大離間距離を規定しているため、モ
ータ起動時には、最大離間距離がこのような大きさであ
ると、起動時に前記旋回スクロール部材3の旋回速度
を、その時に許容される旋回スクロール部材の最高値、
例えば、8000rev/minにすると要求される運転域の
最大の吸込圧まで十分に下げることができ、さらに、吐
出圧を吸込圧+過吸込圧よりも大幅に高く上昇させるこ
とができる。
【0075】この結果、前記モータ室62の圧力が吸込
圧よりも過吸込圧以上に高くなり、この圧力の油及びそ
こに溶けこんでいる圧縮性ガスが前記シャフト給油孔1
2aを経由して、前記旋回軸受3wと前記偏心部12f
の間及び前記主軸受4mと前記シャフト12の間を通っ
て前記旋回スクロール部材3の背面である前記背面過吸
込圧領域99に入り、前記旋回スクロール部材3を固定
スクロール部材2に押し付ける。これにより、スクロー
ルラップの歯先歯底間の隙間が正規の値となり、正常な
圧縮運転を行う。このように、外部の力を借りることな
く圧縮機自ら起動することが可能となるため、使い勝手
が向上するという特有の効果がある。
【0076】このように起動して定常運転に移行した圧
縮機において、前記背面過吸込圧領域99には、前記主
軸受4m及び前記旋回軸受3wから油及び圧縮性ガスが
常に流入してくる。ところで、前記旋回軸受3wと前記
偏心部12fの間及び前記主軸受4mと前記シャフト1
2の間は軸受隙間であるために非常に狭くなっており、
それらの軸受を潤滑して前記過吸込圧領域99に流れ込
む油及びそれに溶け込んでいる圧縮性ガスにとっては、
絞り流路となっている。
【0077】この圧縮性ガスや油は、旋回スクロール部
材3の背面と前記旋回はさみこみ面4dの間を通って、
前記背面側導通路2mが開口している前記周囲溝2cに
流れ込む。そして、この圧縮性ガスや油は、この圧力が
吸込圧よりも前記過吸込圧値だけ高くなったときに、前
記差圧弁ばね100cの押付力に打ち勝って、前記弁体
100aを移動させ、それにより形成された弁シール面
2jとその弁体100aの隙間を通って、前記弁穴2fに流
入し、前記吸込側導通路2i及び前記吸込溝2αを通っ
て前記吸込室60に排出される。これは、圧縮機の中で
吐出系から吸込系へ短絡する流れであり、スクロールラ
ップにおける内部漏れと同じものであるため、極力少な
くすることが必要である。
【0078】今回は前記過吸込圧領域99に圧力を導入
する吐出背面流路が軸受隙間であることから、絞り流路
となっており、この流れ量は非常に小さいため、圧縮機
の性能低下は生じない。また、前記固定スクロール部材
2の鏡板2aには、四個のバイパス穴2eが設けられて
いるが、図13からわかるように、これによって、形成
される全ての圧縮室に常にバイパス穴が開口する。ここ
に前記吐出弁と一体化したバイパス弁板23bが覆うよ
うにバイパスねじ50で固定されてバイパス弁が形成さ
れる。このバイパス弁は、前記圧縮室6の圧力が吐出系
の前記固定背面室61の圧力よりも大きくなると開くこ
とになる。
【0079】これにより、前記固定背面室61の圧力は
吐出圧であるから、このバイパス弁は、前記圧縮室6の
圧力が吐出圧よりも高いときに前記圧縮室6と前記吐出
系を連通することになり、制御バイパスとなっている。
【0080】ところで、前記吸込側導通路2iは前記吸
込室60に直接開口せず、吸込室60とつながる前記吸
込溝2αに開口している。この吸込溝2αは前記吸込室
60から出た細いパイプであるため、その内部の圧力
は、前記旋回スクロール部材3のスクロールラップ3a
の動き等によって生じる吸込室60内の流体の流れの変
動に伴う圧力変動を平均化した値となる。よって、前記
弁穴100c内の圧力は吸込室60内の局部的な変動を
除いた一定値に近い平均的な値となるため、前記弁体1
00aの動作は、前記背面過吸込圧領域99に流入する
油及び圧縮性ガスの量にほぼ依存する。
【0081】この結果、油及び圧縮性ガスの量は、運転
条件が変動しないならばほぼ一定であるため、前記弁体
100aが断続的に動く場合には前記圧力差制御弁10
0が開口する期間はほぼ周期的に出現し、前記弁体10
0aがほぼ常に前記弁シール面2jから離れている場合
には前記弁体100aが動かずに圧力差制御弁100の
開度がほぼ一定となる。このように、前記弁体100a
の動作には不規則性がなくなり、前記背面過吸込圧領域
99の圧力の制御性が向上するという特有の効果があ
る。
【0082】このようにして、前記旋回スクロール部材
3の引付力付加手段として、前記過吸込圧領域99を旋
回背面に設け、制御バイパスも設けたため、過吸込圧値
を小さく設定でき、広い運転範囲で付勢力を小さく設定
できる。この結果、全断熱効率や信頼性を広い運転範囲
で高くできるという効果がある。
【0083】また、前記旋回スクロール部材3の鏡板3
aの背面中央部にある前記軸受保持部3sの底面には、
前記シャフト給油孔12aからの吐出圧の油が入ってく
るため、背面吐出圧領域95となる(ここで、背面吐出
圧領域95は、旋回軸受3wの内径の領域である)。
【0084】しかも、その軸線方向から見た投影面積
は、吐出室の軸線方向からみた投影面積とそれを囲む圧
縮室の境界を形成する両スクロールラップの歯先面積の
半分の和以下となっている。このような面積をもつ前記
背面吐出圧領域95とともにバイパス弁と一体化した吐
出弁を設けているため、引き離し力における吐出圧の寄
与を考慮する必要がなくなる。
【0085】よって、前記背面過吸込圧領域99の圧力
における過吸込圧値をより小さく設定できるため、全断
熱効率及び信頼性を一層向上できるという効果がある。
ここで、投影面積の例を、図2に示す。この図は、最内
の圧縮室であるA1,A2が吐出室A3と連通する瞬間
を示したものである。連通直後とみなすと、 A1+A2+A3+K2+K3+S2+S3+(K1+
S1)/2 が問題としている投影面積の最大値となる。また、連通
直前とみなすと、 A3+(K3+S3)/2 となり、問題としている投影面積の最小値となる。
【0086】ところで、前記圧縮室6と前記固定背面室
61を常につなぐように前記バイパス穴2eを四個設け
たため、液圧縮が生じようとしても圧力が極端に上がる
前に前記バイパス弁が開いて流体は前記固定背面室61
に排出されるため、ラップの損傷の危険性を回避し、信
頼性を向上できるという効果がある。また、同時に過圧
縮が抑制でき、圧力比の低い運転条件でも全断熱効率を
高くできるという効果がある。また、吐出弁を設けたた
め、不足圧縮が回避でき、圧力比の高い運転条件でも全
断熱効率を高くできるという効果がある。
【0087】また、吐出弁板とバイパス弁板を一体化し
た吐出バイパス一体化弁23bを採用したので、位置決
めが一回で済むため取り付けが容易になるとともに、弁
の重なりの危険性を回避できるため、信頼性を高めるこ
とができるという特有の効果がある。図7,図8に示す
ように、弁を分けてもよい。この場合には、弁の形状が
単純となり、弁作成時の歩留まり率が向上するという特
有の効果がある。
【0088】次に、本発明を、非旋回スクロール部材が
ケーシングに対して固定された固定スクロール部材と
し、旋回スクロール部材の鏡板の反圧縮室側である旋回
背面に背面過吸込圧領域を設け、要求される運転圧力条
件範囲で旋回スクロール部材のスクロール支持部材を主
に前記旋回背面に設けたスラスト部材とした、すなわち
旋回スクロール部材を旋回背面のスラスト部材に押し付
けて、そのスラスト部材が軸線方向に可動な、横置き型
のスラストリリース式スクロール圧縮機に実施した第二
の実施例を、図10及び図11に基づいて説明する。図
10は圧縮機の縦断面図、図11は圧力差制御弁の縦断
面図である。
【0089】まず、構造を説明する。モータ室62及び
貯油室80に関しては第一の実施例と同一なので説明は
省略し、残りの部分について説明する。ここで、説明し
ない部分もあるがこれらは第一の実施例と同様である。
【0090】旋回スクロール部材3は、鏡板3aのスク
ロールラップ3bが立設した面に旋回オルダム溝3g,
3h(図示せず)が設けられ、その背面には旋回軸受3
wを挿入した軸受保持部3sが設けられる。また、背面
外周部にはスラスト面3dが配置されている。また、前
記スクロールラップ3bは、中央側端部及び外周側端部
を除いて、中央から外周へ向かうにつれて、厚さが減少
する。
【0091】固定スクロール部材2は、スクロールラッ
プ歯先面と同一面である非旋回基準面2uを設け、歯底
には四個のバイパス穴2eが設けられる。ここでバイパ
ス穴2eを四個設けた理由は、形成される全ての圧縮室
6に常にバイパス穴を開口させるためである。また、中
央近くには吐出穴2dが開口している。このバイパス穴
2eと吐出穴2dには各々バイパス弁と吐出弁が設けら
れている。これらは、一体化した吐出バイパス弁23b
により実現している。
【0092】また、オルダムリング5を前記旋回スクロ
ール部材3と固定スクロール部材2の間に配置するた
め、固定オルダム溝2g,2h(図示せず)を設ける。
また、歯底面の外縁側に吸込み掘込み2qを設け、そこ
に側面から吸込みパイプ54を挿入するための吸込み穴
2vを設ける。
【0093】さらに、固定スクロール部材2の外周に吐
出ガスおよび油を流す複数個の流通溝2rを設ける。前
記吐出バイパス一体弁23bがバイパスねじ50によっ
てねじ止めされ、リテーナの役割を果たす中央カバー3
5が挿入される。
【0094】これには、前記バイパス穴2eから抜けて
きたガス及び吐出ガスの通路である穴が開いている。こ
の中央カバー35は、バイパス弁の開閉時の音を遮断す
る効果がある。そして、そのうえに断熱カバー36がね
じ止めされる。前記固定スクロールラップ2bは、旋回
スクロ−ルラップ3bと同様に、中央から外周へ向かう
につれて、厚さが減少する。
【0095】吸込み側逆止弁24は、弁板24aと弁軸
24cからなり、弁板24aの端部を丸めて軸受部を設
け、その軸受部に弁軸24cを挿入する。その弁軸24
の一端は前記固定スクロール部材2の前記吸込み掘込み
2q内にある穴に圧入または接着固定される。
【0096】スラスト部材9は、滑りスラスト軸受9a
側の面の外縁部にストッパ部9fが突出し、その上面は
非旋回基準面対向面9wとなっている。この結果、前記
スラスト軸受9aと前記非旋回基準面対向面9wが同一
方向に平行に設けられるため、旋盤または研磨機でこの
二面の距離を精度良く管理しながら加工が容易に行える
という特有の効果がある。
【0097】ここで、前記スラスト軸受9aと前記非旋
回基準面対向面9wの距離はスクロールラップの歯先と
歯底の隙間を決める寸法の一つであるが、この寸法の精
度を容易に出せるということより、量産時における性能
や信頼性のばらつきの小さいスクロール流体機械を提供
できるという特有の効果がある。また、その滑りスラス
ト軸受9a上に円形の油溝9gを設け、そこに、スラス
ト部材背面側から掘込んである差圧弁挿入穴9hへ抜け
る吸込側導通路9cを開ける。このスラスト部材9は、
軸方向回りに回転してもよいため、回転止めは不要とな
り、圧縮機の構造は簡単となり加工性が向上するという
効果がある。
【0098】ここで、前記差圧弁挿入穴9hには、以下
に述べる差圧制御弁100を組み込む。まず、前記差圧
弁挿入穴9hの底にあるばね位置決め突起9iに弁体10
0aを装着した差圧弁ばね100cを装着し、弁シール面
100bを有する貫通した弁穴100dを設けた円筒状
の弁ケース100eを前記差圧弁挿入穴9hに圧入また
は接着または溶接し、差圧制御弁100を形成する。
【0099】このとき、前記差圧弁ばね100cは圧縮
され、前記弁体100aを前記弁シール面2jに押し付
ける。この押付力は過吸込圧値を決定するため、これを
決める寸法である前記弁穴2fの深さと前記弁体100
aの厚さと前記差圧弁ばね100cのばね定数及び自然
長は精度良く管理しなければならない。
【0100】また、前記差圧弁挿入穴9hの内径を前記
弁ケース100eの外形よりも大きくし押付力が正規の
値になるところでこの弁ケース100eを接着して止め
る方法もある。この方法の場合には、上記した各部の寸
法やばね定数の値を精度良く管理する必要がなくなるた
め量産性が向上するという効果がある。これら二通りの
方法とも組み立て完了時には、前記差圧弁挿入穴9hと
前記弁ケース100eの間は完全にシールされている。
【0101】スラストシール97は、耐熱性のエンジニ
アリングプラスチックやばね材であるりん青銅板やステ
ンレス板から形成され、前記スラスト部材9を押し上げ
る押し上げ面97aと背面溝97bと外周シール部97
cと内周シール部97dからなる。
【0102】フレーム4は、外周部の前記固定スクロー
ル部材2を取り付ける固定取付け面4bの内周側にスラ
スト溝4kが設けられる。外周面にはガスおよび油の流
路となる複数の流通溝4hが設けられる。また、中央部
には軸シール4aと主軸受4mが設けられ、その主軸受
4mの上端面はシャフトを受けるシャフトスラスト面と
なっている。その軸シール4aと主軸受4mの間の空間
に向かってフレーム側面から横穴4nが開口している。
前記スラスト溝4kの底面からフレーム背面へ開けた圧
力導入路4u,4vが設けられ、そのスラスト溝4kに
前記スラストシール97を挿入する。この結果、前記ス
ラストシール97の背面にシール背面空間73が形成さ
れる。
【0103】オルダムリング5の一面に固定突起部5
a,5b(図示せず)が設けられ、下面には旋回突起部
5c,5d(ともに図示せず)が設けられる。
【0104】シャフト12には内部にシャフト給油孔1
2aと主軸受給油孔12bと軸シール給油孔12cと副
軸受給油孔12iが設けられる。また、その上部には径
の拡大したバランス保持部12hがあり、その外周に円
筒形状の外周部をもつシャフトバランス49が圧入され
る。さらに偏心部12fが設けられる。
【0105】これらの構成要素を以下のように組み立て
る。まず、前記スラスト溝4kに前記スラストシール9
7を挿入した前記フレーム4の主軸受4mに前記シャフ
トバランス49が圧入された前記シャフト12を挿入
し、前記ロータ15を圧入または焼きばめする。さら
に、前記スラスト部材9を前記スラストシール97の前
記押し上げ面97a上に載せて前記フレーム4に装着す
る。
【0106】一方、前記固定スクロール部材2の前記固
定オルダム溝2g,2hに前記オルダムリング5の固定
突起部5a,5bを挿入し、さらに前記オルダムリング
5の旋回突起部5c,5dを前記旋回オルダム溝3g,
3hに挿入させて、前記固定スクロール部材3と前記オ
ルダムリング5と前記旋回スクロール部材3を組み合わ
せる。この組み合わせ部の前記旋回軸受3wに前記シャ
フト12の前記偏心部12fを挿入させながら前記旋回
スクロール部材3を前記スラスト部材9上に載せる。そ
して前記シャフト12を廻しながら回転トルクの最小と
なる位置でカバーねじ53で前記フレーム4に前記固定
スクロール部材2を固定する。
【0107】この時、前記スラスト部材9が前記固定ク
ロール部材2に押し付けられ、前記非旋回基準面2uと
前記非旋回基準面対向面9wが圧接した状態で、フレー
ムスラスト面4rと前記スラスト部材9のスラスト背面
9rの軸線方向の間隔が10〜20μmとなるように設
定することにより、前記旋回スクロール部材3と前記固
定スクロール部材2の軸線方向における最大離間距離を
規定する。また、前記旋回スクロール部材3の背面に旋
回過吸込圧領域99を設ける。その他の部分であるモー
タ室62及び貯油室80及び固定背面室61は、前記し
た第一の実施例と同一であるため説明は省略する。
【0108】次に動作を説明する。正規の圧縮動作時に
おいて、吐出室から固定背面室61へ出た圧縮性ガス及
び油の流れは、前記第一の実施例と同一であるため、ス
クロール部材及びフレーム内における動作を説明し、そ
の他の説明は省略する。
【0109】前記旋回スクロール部材3の背面に配置さ
れた前記スラスト部材9はその背面にある前記スラスト
シール97により前記固定スクロール部材2側に押し付
けられ、前記非旋回基準面対向面9wと前記非旋回基準
面2uが圧接して、前記滑りスラスト軸受9aの位置が
決まっている。そこに、前記旋回スクロール部材3のス
ラスト面3dがのるため、軸線方向における前記旋回ス
クロール部材3の位置が決まる。この位置でスクロール
ラップの歯先歯底間の隙間が決まるため、それが適正に
なるように、前記滑りスラスト軸受9aの位置を決め
る。
【0110】ここで、前記スラストシール97は、その
背面にある前記シール背面空間73内の吐出圧の圧縮性
ガス及び油により、前記スラスト板4を前記固定スクロ
ール部材2側に押す力を得ている。その前記シール背面
空間73内の吐出圧の圧縮性ガス及び油は、前記圧力導
入路4u,4vを通って前記モータ室62から入ってく
る。
【0111】ところで、このスラストシール97はエン
ジニアリングプラスチックやばね材といった剛性の低い
素材でできているため、前記シール背面空間73内の吐
出圧により、前記外周シール部97cや前記内周シール
部97dと前記シール溝4kの側面の隙間や前記押し上
げ面97aと前記スラスト部材9の背面の隙間のシール
性が完全となり、この部分での吐出系から吸込系への漏
れを防止できる。よって、全断熱効率を向上できるとい
う効果がある。
【0112】また、前記圧力導入路4uは下方に設けら
れるため油中に開口し、もう一方の前記圧力導入路4v
は上方に設けられるため圧縮ガス中に開口する。よっ
て、前記圧力導入路4uにより、油が前記シール背面空
間73に入るため、油の表面張力により前記シール溝4
kとの隙間に流入しそこのシール性を向上する効果があ
る。
【0113】一方、不慮の衝撃力による前記スラスト部
材9の前記固定スクロール部材2からの離間が生じ前記
シール背面空間73内の油や圧縮性ガスが外部へ押し出
されても、圧縮性ガスが気体であるために、それが前記
圧力導入路4vから前記シール背面空間73に瞬時に入
る。よって、前記スラスト部材9は短時間で前記固定ス
クロール部材2に再び接触し、両スクロール部材の歯先
歯底間の隙間の拡大は短時間で回避されるため、性能の
高い圧縮機を提供できるという特有の効果がある。
【0114】前記旋回スクロール部材3は、前記スラス
ト部材9の上で、前記シャフト12の回転に伴って旋回
運動する。この時に、前記オルダムリング5により自転
が防止される。この旋回運動により、両スクロール部材
間に圧縮室6を形成し、圧縮運転を行う。ここで、前記
旋回スクロール部材3にかかる引き離し力に対向して、
その背面の前記背面過吸込圧領域99に、吸込圧よりも
一定値だけ高い圧力を導入するとともに、前記軸受保持
部3sの底部の背面吐出圧領域95に、吐出圧を導入し
て、引付力を付加することで、前記背面吐出圧領域95
の面積は、吐出弁がない場合に吐出系と連通して前記両
鏡板間に挟まれた領域である吐出室の前記軸線方向から
見た投影面積とその吐出室とそれを囲む圧縮室の境界を
形成する両スクロールラップ部の歯先面積の半分を加え
た面積の旋回スクロール部材3が一旋回する間の旋回角
積分平均以下となっている。この引付力は、要求される
運転範囲のほぼ全域において、引き離し力よりも小さく
なるように設定する。
【0115】このため、前記旋回スクロール部材3の支
持部材は、その背面の前記スラスト部材9とする。前記
背面吐出圧領域95の吐出圧は、前記シャフト給油孔1
2aによって前記旋回軸受に供給する油により導入され
る。
【0116】一方また、前記固定スクロール部材2の鏡
板2aには、制御バイパスとなるバイパス弁と吐出弁2
3bが設けられる。このようにして、前記旋回スクロー
ル部材3の引付力付加手段として、前記過吸込圧領域9
9及び前記吐出圧領域95を旋回背面に設け、制御バイ
パス及び吐出弁を設けたため、過吸込圧値を小さく設定
でき、広い運転範囲で付勢力を小さく設定できる。この
結果、全断熱効率や信頼性を広い運転範囲で高くできる
という効果がある。
【0117】次に、前記背面過吸込圧領域99内の圧力
の制御法について、以下に述べる。前記背面過吸込圧領
域99には、前記主軸受4m及び前記旋回軸受3wの軸
受隙間を介して吐出空間から油及びそこに溶けこんでい
た圧縮性ガスが流入する。この圧縮性ガスや油は、前記
スラスト部材9が前記固定スクロール部材2に押し付け
られることにより、隙間のあいたスラスト部材背面と前
記フレームスラスト面4rの間を通って、前記圧力差制
御弁100の開口穴である背面側導通路100rに至る。
【0118】前記弁体100aの前記吸込側導通路9c
側の面には吸込圧がかかっているため、この弁体100
aを押し付けている前記差圧弁ばね100cの押付力に
対応した圧力差だけ吸込圧よりも上昇したときに、前記
弁体100aが移動し、前記吸込室60に排出される。
この結果、前記背面過吸込圧領域99と前記吸込室60
の圧力差はほぼ一定となる。また、吐出圧の高い運転時
に前記背面吐出圧領域の面積をもう少し大きくしたい
が、旋回軸受の設計からこれが許されない場合には、前
記差圧弁ばね100cの材質を前記スラスト部材9や前
記弁ケース100eよりも熱膨張率の高い材料としてもよ
い。
【0119】一般的に、圧縮機の温度の高くなる運転条
件では、吐出圧も高くなっているため、その時には、温
度上昇に伴って前記差圧弁ばね100cが伸びようとす
るが、ばねの全長は前記弁ケース100eにより規制さ
れているために、押付力が増大することになる。これに
より、吐出圧の高い運転時のみ過吸込圧値が高くできる
ことになる。よって、過吸込圧値を低く抑えたまま、そ
の値では不足ぎみとなる吐出圧の高い条件時だけ旋回ス
クロール部材3の引付力を増大できるため、大半の条件
における付勢力を低く抑制でき、大半の運転条件におけ
る全断熱効率及び信頼性が向上するという効果がある。
これを第一の実施例に応用しても同様の効果を得る。
【0120】この圧力差制御弁100を通って前記吸込
室6へ流入する圧縮性ガスの流れは、圧縮機の中で吐出
系から吸込系へ短絡する流れであり、スクロールラップ
における内部漏れと同じものであるため、少なくするこ
とが必要である。この例も第一の実施例と同様に、前記
過吸込圧領域99に圧力を導入する吐出背面流路が軸受
隙間であることから、この流量は小さく、圧縮機の性能
低下は生じない。一方、前記圧力差制御弁100から排
出される油は、前記油溝9gに入り前記滑りスラスト軸
受9aと前記スラスト面3dの間を潤滑する役割を持
つ。
【0121】ところで、前記スラスト部材9の軸線方向
における移動可能距離を10〜20μmと設定したた
め、それと同じ距離で、前記旋回スクロール部材3と前
記固定スクロール部材2の軸線方向における最大離間距
離を規定している。モータ起動時に、最大離間距離がこ
のような大きさであると、起動時に前記旋回スクロール
部材3の旋回速度を、その時に許容される旋回スクロー
ル部材の最高値、例えば、8000rev/minにすると要
求される運転域の最大の吸込圧まで十分に下げることが
でき、さらに、吐出圧を吸込圧よりも過吸込圧以上に上
昇させることができる。
【0122】この結果、前記モータ室62から前記圧力
導入路4u,4vを通って吸込圧よりも過吸込圧以上に
高くなった圧縮性ガス及び油が、前記シール背面空間7
3に入ってくるため、前記外周シール部97cと前記内
周シール部97dが広がって前記シール溝4kの側面と
圧接してそこでのシール性を確実にするため、前記スラ
ストシール97は、前記スラスト板4に対して、前記固
定スクロール部材2側に押す方向の力をかける。
【0123】これは、すなわち、前記旋回スクロール部
材3を前記固定スクロール部材2側に押す方向の力であ
る。さらに、第一の実施例と同様にして、前記背面過吸
込圧領域99及び前記背面吐出圧領域95に吸込圧より
も過吸込圧以上に高い圧力の圧縮性ガス及び油が入るた
め、前記旋回スクロール部材3を前記固定スクロール部
材2に引き付ける手段となる。前者のスラストシール9
7を押す力は、前記スラスト部材9の非旋回基準面対向
面9wが前記非旋回基準面2uに圧接している通常の運
転時にはスクロールラップの歯先歯底にはその力は働か
ないから、その圧接を確実にするために通常は必要な大
きさよりもかなり大きめに設定している。
【0124】この結果、前記スラスト部材9は、その非
旋回基準面対向面9wが前記非旋回基準面2uに圧接す
るまで移動し、前記旋回スクロール部材3は前記固定ス
クロール部材2に正規の位置まで近づくことになる。よ
って、圧縮機自ら起動することが可能となり、使い勝手
が向上するという効果がある。
【0125】また、実働時のスクロールラップ変形でス
クロールラップの歯先歯底間が圧接しようとしても、前
記旋回スクロール部材3が前記スラスト部材9とともに
移動するため、歯先歯底間が圧接せず、圧縮機を高信頼
化できるという特有の効果がある。
【0126】また、圧力比が非常に小さく、前記旋回ス
クロール部材3が前記スラスト部材9に与える付勢力が
大きくなり、前記スラスト部材9を押す力と同程度にな
ると、前記スラスト部材9が静止できずに、前記旋回ス
クロール部材3が傾いたり、前記固定スクロール部材2
から離れるが、前記フレームスラスト面4rと前記旋回
スクロール部材3の背面との間隔を10〜20μmとし
て最大距離規定機構を設けたために、その傾き量や離間
量が制限されて、高効率ではないが運転が可能となる運
転を実現する運転条件の範囲を広域化できるという効果
がある。
【0127】また、なじみ性があり母材よりも表面が盛
り上がるような表面被膜を、旋回スクロール部材3や固
定スクロー部材2に被覆した場合でも、軸方向の盛り上
がり量の合計が最大距離規定機構の許す最大距離よりも
小さいときには前記スラスト部材3が部材2から離れる
ことにより組み立てることができるという特有の効果が
ある。
【0128】また、上部の前記圧力導入路4vの前記モ
ータ室62側の口を前記流通溝4hのうちで上部側のガ
スが通るものに開けてもよい。この場合、その前記流通
溝4h前記圧力導入路4vの口を開口した部分のガスの
流速は非常に大きいため前記モータ室62の圧力に比べ
て低くなる。よって、前記圧力導入路4uから前記シー
ル背面空間73に潤滑油が流入し、前記圧力導入路4v
から流出するという油の流れが起こる。このため、旋回
背面空間11とのシールは潤沢に供給される潤滑油によ
り良好に確保され、前記シール背面空間73と吸込系と
の間の漏れが確実になくなり、全断熱効率が向上すると
いう効果がある。
【0129】また、四個の前記バイパス穴2eと吐出弁
2dを設け、それらに吐出バイパス一体弁23bを設け
たので、液圧縮が生じようとしても圧力が極端に上がる
前に前記バイパス弁23が開いて流体は前記固定背面室
61に排出されるため、ラップの損傷の危険性を回避
し、信頼性を向上できるという効果がある。また、同時
に過圧縮や不足圧縮が抑制でき、圧力比によらず全断熱
効率を向上できるという効果がある。
【0130】また、前記シャフトバランス49は外周が
円形状であることから、前記シャフト12の回転に伴う
粘性ロスを低減できるという特有の効果がある。
【0131】また、前記旋回スクロール部材3の前記鏡
板3aの歯底面および前記スクロールラップ3bの全表
面や前記固定スクロール部材2の歯底面および前記スク
ロールラップ2bの全表面に、なじみ性と潤滑性を備え
た表面被膜を設けてもよい。たとえば、浸硫窒化処理や
燐酸マンガン被膜処理による表面被膜が考えられる。こ
れにより、スクロールラップ3b,2bの側面間および
歯先歯底間の隙間を小さくしさらに前記スクロールラッ
プ3b,2bの接触部における摺動性を向上できるの
で、内部漏れが少なく摩擦ロスを小さくできる。この結
果、圧縮機の性能を向上できるという特有の効果があ
る。また、なじむまで性能が若干低くなるため、この期
間が長いと問題となる。
【0132】もしも、このような表面被膜のなじみ前の
厚さを、前記旋回スクロール部材3を前記固定スクロー
ル部材2に押し付けたとき、前記スラスト面3dと前記
非旋回基準面2uの間の距離が前記スラスト部材9の非
旋回基準面対向面9wと滑りスラスト軸受9aの間の距
離よりも大きくし、かつ、仮に表面被膜を取り去った両
スクロール部材2,3を互いに押し付けたとき、前記ス
ラスト面3dと前記非旋回基準面2uの間の距離が前記
スラスト部材9の非旋回基準面対向面9wと滑りスラス
ト軸受9aの間の距離よりも小さくしたときには、なじ
み始めでは、前記非旋回基準面2uと前記非旋回基準面
対向面9wが接触せずに、スクロールラップの歯先と歯
底が圧接することになる。
【0133】そして、この時の力は、前記スラスト部材
9を押し上げる力であるから非常に大きい。よって、な
じみが急激に進行していく。そして、スクロール部材の
母材同士は接触しないため、なじみは最後まで進行す
る。この結果、なじみに要する時間が短時間ですむた
め、性能の低い期間は短く、使い勝手が向上するという
効果がある。
【0134】もしも、表面被膜が、それを付けると元の
母材の表面よりも盛り上がり、かつ、母材自身はそのま
まか侵食されてしまうような性質を持ったものである
と、表面被膜を付けた後の前記旋回スクロール部材3を
表面被膜を付けた後の前記固定スクロール部材2に押し
付けたとき、前記スラスト面3dと前記非旋回基準面2
uの間の距離が前記スラスト部材9の非旋回基準面対向
面9wと滑りスラスト軸受9aの間の距離よりも大きく
し、かつ、表面被膜を付けない前の前記旋回スクロール
部材3を表面被膜を付けない前記固定スクロール部材2
に押し付けたとき、前記スラスト面3dと前記非旋回基
準面2uの間の距離が前記スラスト部材9の非旋回基準
面対向面9wと滑りスラスト軸受9aの間の距離よりも
小さくすれば、このような厚さにおける複雑な条件を満
たすことになるため、寸法の管理をしやすくできるとい
う特有の効果がある。
【0135】なじませた後には、ラップの歯先歯底間に
おいても、そこにある油や母材同士の接触により、付勢
力の一部を受け持つ。このようにすると、摺動損失が多
少増加してもそれ以上に内部漏れが抑制されて熱流体損
失が低減し総合的には全断熱効率が向上するという特有
の効果がある。
【0136】また、前記オルダムリング5と摺動する前
記オルダムリング摺動面2pや前記固定オルダム溝2
g,2hに同様の表面被膜を設けてもよい。これによ
り、前記旋回スクロール部材3と前記オルダムリング5
の間の摩擦ロスも小さくできる。この結果、全断熱効率
を向上できるという特有の効果がある。
【0137】また、前記スラスト部材9の前記スラスト
軸受面9aに潤滑性を備えた表面被膜を設けてもよい。
たとえば、浸硫窒化処理や燐酸マンガン被膜処理による
表面被膜が考えられる。これにより、前記スラスト面と
前記スラスト軸受面間の摺動性を向上できるので、そこ
での摩擦ロスを小さくできる。この結果、全断熱効率を
一層向上できるという特有の効果がある。なじみ性のあ
る表面被膜のときには、被膜厚さを小さくする。たとえ
ば、2〜3μmとする。この結果、スラスト軸受面9a
のなじみがスクロールラップの歯先歯底間のなじみより
も早く完了するため、歯先歯底間のなじみ後の隙間を拡
大することはない。
【0138】また、前記スラスト部材9の前記非旋回基
準面対向面9wになじみ性のある表面被膜を設けてもよ
い。たとえば、浸硫窒化処理や燐酸マンガン被膜処理に
よる表面被膜が考えられる。前記スラスト部材9は回転
可能に設定されているので、起動時等の付勢力が小さい
ときには、前記スラスト部材9がわずかながら回転し
て、前記非旋回基準面対向面9wと前記非旋回基準面2
uの間にわずかな相対運動が生じる。この結果、前記非
旋回基準面対向面9w上の表面被膜が少しずつ削れるた
め、前記スラスト軸受面9aが少しずつ固定スクロール
部材2の方へ近づいていくため、不慮の原因で軸方向に
ラップ同士が圧接し隙間があいても、運転時間の経過と
ともにその隙間が狭くなり、性能が回復するという特有
の効果がある。前記のなじみ性表面被膜の代わりにクリ
ープ性の表面被膜を付けてもよい。その時には、前記ス
ラスト部材が回転しなくても、時間の経過とともにその
表面被膜の厚さが小さくなり、同様の効果が出る。
【0139】また、前記スクロールラップ2b,3bを
インボリュート曲線で形成しても良い。これにより、ス
クロールラップの加工が容易となるので、圧縮機の加工
性を向上できるという特有の効果がある。
【0140】また、前記部材2と前記旋回スクロール部
材3の材質を同様とし、前記ラップ2bの高さを前記旋
回スクロールラップ3bの高さと3μm以内の精度で同
一寸法に加工してもよい。この結果、運転時にスクロー
ル部材2,3やスラスト部材9が変形しないと仮定すれ
ば、旋回スクロール部材3の前記スラスト面3dの位置
における鏡板3aの厚さに対して前記スラスト部材9の
前記スラスト軸受9aと前記非旋回基準面対向面9wの
距離の大きい分だけスクロールラップの旋回歯先と固定
歯底の隙間および旋回歯底と固定歯先の隙間が3μm以
内の精度で同じ寸法だけ確保される。つまり、その分だ
け変形しても歯先と歯底が接触しないということにな
る。
【0141】圧縮機はいろいろな条件下で運転されるた
め、スクロール部材2,3やスラスト部材9の変形量も
一定ではなく、歯先と歯底間に隙間を設ける。部材2と
旋回スクロール部材3が同様の材質である場合には、ス
クロールラップの旋回歯先と固定歯底の隙間および旋回
歯底と固定歯先の隙間の二箇所の隙間は同じ寸法にした
ほうがよいことから、旋回スクロール部材3の前記スラ
スト面3dの位置における鏡板3aの厚さと前記スラス
ト部材9の前記スラスト軸受9aと前記非旋回基準面対
向面9wの距離を測定し、その差がスクロールラップの
歯先歯底間の最適な隙間と同じになるような選択組み合
わせを行うことにより、性能や信頼性のばらつきの少な
い量産が可能となるという特有の効果がある。
【0142】また、前記スラスト部材9に回転止めを設
けてもよい。この場合には、前記差圧制御弁100の位
置が変化しないために、最適な位置に前記差圧制御弁1
00を設けることができる。たとえば、前記背面過吸込
圧領域99に軸受から出た油が溜って前記バランスウエ
イト49による撹拌損失が増大するような場合には、前
記差圧制御弁100を前記給油溝9gの一番下方に設け
る。この結果、前記背面過吸込圧領域99内に流入する
油は重力によりその下方から溜ってくるが、そこに排出
孔である前記差圧制御弁100が開口しているため、効
率的に油を前記背面過吸込圧領域99から排出すること
ができる。よって、前記バランスウエイト49による撹
拌損失は低減され、圧縮機の全断熱効率が向上するとい
う特有の効果がある。
【0143】なお、この実施例では、不慮の現象により
スクロール部材の歯先歯底間が圧接しても旋回スクロー
ル部材の支持部材であるスラスト部材がリリースしてス
クロールラップに大きな損傷を与えないために、スラス
ト部材が接軸線方向に可動なリリース構造としている
が、このスラスト部材がフレームに固定されてリリース
しない構造のときにも、リリース作用による効果以外の
効果は同様である。
【0144】次に、本発明を、非旋回スクロール部材を
軸線方向に可動とし、その鏡板の反圧縮室側に吐出圧を
かけて引付力を与え、その支持部材をフレームに固定さ
れたストッパ部材とし、旋回スクロール部材の鏡板の反
圧縮室側である旋回背面に背面過吸込圧領域を設け、要
求される運転圧力条件範囲で旋回スクロール部材のスク
ロール支持部材を主に前記旋回背面に設けたフレームの
スラスト面とした、すなわち旋回スクロール部材を前記
非旋回スクロール部材に押し付けずに旋回背面で付勢力
を受けた、横置き型の非旋回リリース式スクロール圧縮
機に実施した第三の実施例を、図12ないし図16に基
づいて説明する。図12は圧縮機の縦断面図、図13は
圧力差制御弁の縦断面図、図14は旋回スクロール部材
の斜視図、図15は非旋回スクロール部材の斜視図、図
16はストッパ部材の斜視図である。
【0145】まず、構造を説明する。旋回スクロール部
材3の支持部材が、その背面に固定配置されたフレーム
4となり、その代わりに、非旋回スクロール部材が軸線
方向に可動な構成となった以外は、前記第二の実施例と
同様なので詳細な説明は省略する。
【0146】旋回スクロール部材3は、鏡板3aにスク
ロールラップ3bが立設し、その背面にはボス3cが設
けられる。また、背面外周部にはスラスト面3dが配置
されている。前記鏡板3aの外周部にはオルダム突起部
3e,3fが突出し、そこには旋回オルダム溝3g,3
hが設けられる。さらに、前記鏡板3aの外周部にはオ
ルダム支持突起部3i,3jが設けられる。前記スクロ
ールラップ3bは、中央側及び外周側端部を除いて、中
央から外周へ向かうにつれて、厚さが減少する。また、
前記スクロールラップ3bのバランスを取るために、前
記鏡板3aの上面を直線上に切欠いたバランス切欠き部
3kを設ける。
【0147】ストッパ部材7の一段低くなっている面で
あるストッパ面7fに回転止め溝7a,7bが設けら
れ、その下面側には非旋回オルダム溝7c,7dが設け
られる。この回転止め溝7a,7bと非旋回オルダム溝
7c,7dは共通の側面を持っている。そのストッパ面
を囲むように内周面である非旋回レール面7gが設けら
れる。
【0148】非旋回スクロール部材2は、鏡板2aにス
クロールラップ2bが立設し、その背面の中央部にはシ
ール突起部2cが立設している。この内部には中央付近
に吐出穴2dと複数のバイパス穴2eが開いている。こ
のバイパス穴2e及び吐出穴2dにリード弁板である吐
出バイパス一体弁23bをバイパスねじ50で固定す
る。また前記シール突起部2cの外部には均圧穴2nが
開いている。前記鏡板2aの圧縮室側面には回転止め2
g,2hが突出している。前記スクロールラップ2b
は、中央側及び外周側端部を除いて、中央から外周へ向
かうにつれて厚さが減少する。
【0149】フレーム4は、外周部に前記ストッパ部材
を固定するストッパ取付面4b、その内側には掘り込ま
れたスラスト面4gが設けられる。その側面には、吸込
穴4pが開けられる。そして、スラスト面4gに油溝4
iが設けられ、そこに、モータ室側から掘込んである差
圧弁挿入穴4iへ抜ける吸込側導通路4xを開ける。そ
して、その差圧弁挿入穴4iの側面から旋回背面室側面
4jへ通じる背面側導通路4zが開口している。また、
中央部には軸シール4aと主軸受4mを設け、そのスク
ロール側にシャフトを受けるシャフトスラスト面4cを
設ける。その軸シール4aと主軸受4mの間の空間に向
かってフレーム側面から横穴4nが開口している。外周
面にはガスおよび油の流路となる複数の流通溝4hが設
けられる。そして、そのうちの一個にはモータ線77を
通す。
【0150】ここで、前記差圧弁挿入穴4wには、以下
に述べる差圧制御弁100を組み込む。まず一端に弁体
100aを装着した差圧弁ばね100cの他端を、前記
差圧弁挿入穴4wの底にあるばね位置決め突起4yに圧
入し、弁シール面100bを有する弁掘り込み100g
を設けた円筒状の弁ケース100eを前記差圧弁挿入穴
9hに圧入または接着または溶接する。
【0151】ここで、前記弁掘り込み100gの底から
通じるケース給油孔100hを開口したケース溝100
iが、前記背面側導通路4zの開口部にくる。このよう
にして、圧力差制御弁100を形成する。このとき、前
記差圧弁ばね100cは圧縮され、前記弁体100aを
前記弁シール面100bに押し付ける。この押付力は過
吸込圧値を決定するため、第一及び第二の実施例と同様
の方法で量産性を向上することができる。
【0152】オルダムリング5の一面にストッパ突起部
5a,5bが設けられ、もう一方の面には旋回突起部5
c,5d(ともに図示せず)が設けられる。
【0153】外周カバー25には内周部上部にカバー押
さえ25a,内周部下部にリング溝25bが設けられ
る。このリング溝25には耐熱性で柔軟な材質のシール
リング51を挿入する。
【0154】シャフト12には内部にシャフト給油孔1
2aと主軸受給油孔12bと軸シール給油孔12cと副
軸受給油孔12iが設けられる。また、その上部には径
の拡大した軸受保持部12wがあり、そこには偏心した
位置に旋回軸受12qが圧入される。
【0155】ロータ15は積層鋼板15aに未着磁の永
久磁石15bを内蔵し、上面に上部バランスウエイト1
5cを固定する。ここでこのバランスウエイト15cを
円筒形状にするためバランスウエイト15cよりも比重
の小さい材料でできた上部補正バランスウエイト15e
を上部バランスウエイト15cに固定する。
【0156】また、下面に下部バランスウエイト15p
を固定する。ここでこの下部バランスウエイト15pを
円筒形状にするため下部バランスウエイト15pよりも
比重の小さい材料でできた下部補正バランスウエイト1
5fを下部バランスウエイト15dに固定する。材料と
してバランスウエイト15c,15pを亜鉛または黄
銅、補正バランスウエイト15e,15fをアルミ合金
としてよい。また、補正バランスウエイト15e,15
fを積層鋼板15aに直接固定してもよい。
【0157】ステータ16は積層鋼板16bの外周部に
圧縮性ガスや油の流路となる複数のステータ溝16cが
設けられている。ところで、このステータ溝16cの代
わりに前記積層鋼板16bの内部に横穴を開けてもよ
い。
【0158】これらの構成要素を以下のように組み立て
る。まず、前記フレーム4の主軸受4mにシャフト12
を挿入しロータ15を固定する。次に、前記旋回スクロ
ール部材3を、前記ボス3cを前記旋回軸受12qに挿
入し、前記スラスト面3dをフレーム4の前記スラスト
面4gに載せて、組み込む。この時、旋回スクロール部
材3の背面には背面過吸込圧領域99が形成される。
【0159】次に、前記オルダムリング5を、前記旋回
オルダム溝3g,3hに前記旋回突起部5c,5dを挿
入するようにして、前記鏡板3aのスクロールラップ側
に載せる。次に、前記ストッパ部材7を、前記非旋回オ
ルダム溝7c,7dに前記固定突起部5a,5bを挿入
するようにしてフレーム上面に載せる。この時、旋回ス
クロール部材3の周囲には吸込み室60が形成される。
【0160】さらに、前記非旋回スクロール部材2を、
前記回転止め溝7a,7bに前記回転止め2g,2hを
挿入するようにして、前記ストッパ面7fに載せる。こ
のとき、前記非旋回スクロール部材2の外周と前記非旋
回レール面7gの内周は直径差にして5μm程度の隙間
ばめにする。
【0161】次に、外周カバー25を、前記シール突起
部2cの外周面にリング溝25b内に配置した前記シー
ルリング51が摺動するようにして、前記ストッパ部材
25に載せる。このとき、この外周カバー25の内周部
にある前記カバー押さえ25aは、中央カバー24が前記
シール突起部2cの内周から外れることを防止する。以
上のように各要素を組み込んだ上で、前記シャフト12
か前記ロータ15を回しながら、カバーねじ53により
前記ストッパ部材7及び前記外周カバー25を前記フレ
ーム4に固定する。この時、前記非旋回スクロール部材
3と前記外周カバー25の間に、上面室10が形成され
る。
【0162】次に、予め前記ステータ16が焼きばめま
たは圧入されている前記円筒ケーシング31へ、上記の
組立部を挿入して前記フレーム4の側面にタック溶接を
行う。そして、吸込みパイプ54を前記吸込み穴4pに
挿入し固定する。次に、予めハーメチック端子22が溶
接されている上ケーシング20を、そのハーメチック端
子22の内部側端子へ前記モータ線77を装着して溶接
する。この時、前記外周カバー25の上部には非旋回背
面室61が形成される。
【0163】次に、球面軸受72を装着し給油管71が
溶接されている軸受ハウジング70を軸受支持板18中
央に固定し、前記球面軸受72の円筒穴に前記シャフト
12の端部を挿入するようにして、前記軸受支持板18
を前記円筒ケーシング31に挿入固定する。この時、前
記フレーム4と前記軸受支持板18との間にはモータ室
62が形成される。そして、前記円筒ケーシング31に
吐出管55が上部に溶接された底ケーシング21を溶接
し、貯油室80を形成する。この状態で、前記ステータ
16に電流を流し、前記ロータ15内部の永久磁石15
bを着磁し、モータ19を形成する。最後に、潤滑油5
6を入れる。
【0164】次に動作であるが、圧縮性ガス及び油の流
れは、前記第二の実施例と同一であるため、説明は省略
する。さらに、非旋回スクロール部材がリリースする点
は、第二の実施例におけるスラスト部材がリリースする
動作と同様であるので、これも省略する。
【0165】この例では、前記旋回保持部12fは円筒
形状であることから、前記旋回保持部12fの回転に伴
う粘性ロスを一層低減できるという本実施例特有の効果
がある。
【0166】また、前記中央カバー24および前記外周
カバー25は、その下部にガスの層を形成するため、前
記上面室61内の高温の吐出ガスからの熱が前記圧縮室
6へ伝わることを防止するという本実施例特有の効果が
ある。さらに、前記中央カバー24および前記外周カバ
ー25は、前記吐出リリース一体弁23bの開閉に伴う
衝撃音を遮断するという本実施例特有の効果がある。
【0167】また、前記中央カバー24を鏡板2aの材
質よりも熱膨張率が大きい材質とし、中央カバー24の
外周と前記シール突起部2cの内周を最大10μm程度
の隙間ばめとしてもよい。この場合、運転時の温度上昇
で前記中央カバー24が膨張して、前記シール突起部2
cを拡張する方向に変形する。その結果、前記鏡板2a
の上面がその下面と比較して相対的に伸びるため、鏡板
2aが上に凸の変形を起こす。よって、スクロールラッ
プ中央部の高温によるそこでのラップ歯先歯底間の接触
を回避でき、圧縮機の高効率化,高信頼性化を実現でき
るという特有の効果がある。例えば、前記フロートスク
ロール部材2を鋳鉄製、前記中央カバー24を黄銅製ま
たは亜鉛製またはアルミ合金製特にシリコン含有量の1
0〜30%程度のヤング率の大きいアルミ合金製とすれ
ばよい。
【0168】また、給油パイプ71の先端を導油孔18
aの反対側に設けたため、圧縮ガスが給油パイプ71の
中に入る危険性がなくなるため、信頼性を向上できると
いう効果がある。
【0169】また、吐出管の口を上部に開けたため、貯
油室80内で泡立った油が吐出されるのを抑制し、吐出
油量の少ない信頼性の高い圧縮機を提供できるという効
果がある。
【0170】次に、本発明を、非旋回スクロール部材を
軸線方向に可動とし、その鏡板の反圧縮室側に背面過吸
込圧領域を設けて、要求される運転圧力条件範囲で非旋
回スクロール部材のスクロール支持部材を旋回スクロー
ル部材とした、すなわち非旋回スクロール部材を旋回ス
クロール部材に押し付けた、縦置き型の非旋回フロート
式スクロール圧縮機に実施した第四の実施例を、図17
ないし図22に基づいて説明する。図17は圧縮機の縦
断面図、図18は圧力差制御弁の縦断面図、図19は圧
力隔壁を取り除いた圧縮機上面図、図20は非旋回スク
ロール部材の中央部上面図、図21は吐出弁とバイパス
弁が一体化した吐出バイパス一体弁の平面図、図22は
リテーナの平面図である。
【0171】まず、構造を説明する。
【0172】旋回スクロール部材3は、鏡板3aにスク
ロールラップ3bが立設し、その背面には旋回オルダム
溝3g,3hと旋回軸受3wを圧入した軸受保持部3s
とスラスト面3dが配置されている。
【0173】非旋回スクロール部材2は、鏡板2aにス
クロールラップ2bが立設し、その背面の中央部に中央
台部2wを設け、その上面には吐出穴2dと複数のバイ
パス穴2eが開いている。このバイパス穴2e及び吐出
穴2dにリード弁板である吐出バイパス一体弁23bと
リテーナ23aをバイパスねじ50で固定する。そし
て、その周囲にはシール溝2sを設ける。また、背面外
周近くには外周突起部2tが設けられ、前記中央台部2
wとの間に背面凹部2xを設ける。
【0174】そして、この背面凹部2xの周辺部付近に
差圧挿入穴2zを掘り込み、その底からスクロールラッ
プ側の吸込室となる外周部へ吸込側導通路2yを開け
る。その差圧挿入穴2zの底にはばね位置決め突起2l
を設ける。ここで、前記差圧弁挿入穴2zには、以下に
述べる圧力差制御弁100を組み込む。
【0175】まず、上端に弁体100aを装着した差圧
弁ばね100cを前記差圧弁挿入穴2zの底にあるばね
位置決め突起2lに圧入し、弁シール面100bを有す
る弁掘り込み100gを設けた円筒状の弁ケース100
eを、前記差圧弁挿入穴2zに圧入または接着または溶
接する。このようにして、差圧制御弁100を形成す
る。このとき、前記差圧弁ばね100cは圧縮され、前
記弁体100aを前記弁シール面100bに押し付け
る。この圧力差制御弁の量産性を高めるために、前記し
た第一ないし第三の実施例と同様の方法を用いてもよ
い。
【0176】フレーム4には、外周部に前記非旋回スク
ロール部材2を板状のスクロール取り付けばね75を介
して取り付ける突起した三箇所のスクロール取付部4q
とその内側に滑りスラスト軸受4gとフレームオルダム
溝4e,4fが設けられる。そして、その外周部には、
複数個の吸込溝4rが設けられる。また、滑りスラスト
軸受4gには環状や径方向に直線状の油溝4iが設けら
れる。また、中央部には軸シール4aと主軸受4mを設
け、そのスクロール側にシャフトを受けるシャフトスラ
スト面4cを設ける。このフレーム4の上面の一番低い
部分からフレーム下面に抜ける油排出路4sを設ける。
前記軸シール4aと前記主軸受4mの間の空間に向かっ
てフレーム側面から横穴4nが開口している。
【0177】オルダムリング5の一面にフレーム突起部
5a,5bが設けられ、もう一方の面には旋回突起部5
c,5d(ともに図示せず)が設けられる。
【0178】圧力隔壁74には、中央部に吐出開口部7
4cと内周部下部に内周シール溝74aと下面中央付近
に外周シール溝74bが設けられる。この二個のシール
溝の間の下面と上面を連通する絞りを伴う吐出背面流路
74dを設ける。ここでは、微小な径の穴を有する別ピ
ースを圧入して形成する。
【0179】シャフト12には内部にシャフト給油孔1
2aと主軸受給油孔12bと軸シール給油孔12cと副
軸受給油孔12iが設けられる。また、その上部には径
の拡大した軸受保持部12wがあり、ここに、シャフト
バランス49が圧入される。更にその上部には偏心部1
2fがある。
【0180】ロータ15及びステータ16は、前記第一
の公知例と同一であるため説明は省略する。
【0181】これらの構成要素を以下のように組み立て
る。まず、前記フレーム4の前記主軸受4mに前記シャ
フト12を挿入し前記ロータ15を固定する。次に、前
記オルダムリング5を、前記フレーム4の前記フレーム
オルダム溝4e,4fに前記オルダムリング5の前記フ
レーム突起部5a,5bを挿入するようにして、装着す
る。次に、前記旋回スクロール部材2を、シャフト12
の偏心部12fに前記旋回軸受3wを挿入し、前記オル
ダムリング5の前記旋回突起部5c,5dに前記旋回オ
ルダム溝3g,3hを挿入し、前記フレーム4の前記滑
りスラスト軸受4gに前記スラスト面3dを載せて、組
み込む。
【0182】次に、あらかじめスクロール取り付けばね
75を三本のばね取付ねじ55でねじ止めした前記非旋
回スクロール部材2を、スクロールラップが噛み合わさ
るようにして前記フレーム4のフレーム取付部4qの上
面に載せる。以上のように各要素を組み込んだ上で、前
記シャフト12か前記ロータ15を回しながら、カバー
ねじ53により前記非旋回スクロール部材2を前記フレ
ーム4に固定する。
【0183】次に、予め前記ステータ16が焼きばめま
たは圧入され、前記吸込みパイプ54と前記軸受支持板
18とハーメチック端子22が溶接されている前記円筒
ケーシング31へ、上記の組立部を挿入して前記フレー
ム4の側面にタック溶接を行う。そして、そのハーメチ
ック端子22の内部側端子へ前記モータ線77を装着
し、前記ロータ15と前記ステータ16によってモータ
19を形成する。
【0184】次に前記軸受支持板18の中央部の穴から
出た前記シャフト12の一端が軸受ハウジング70に装
着した球面軸受72の円筒穴に挿入されるように前記軸
受ハウジングを組み込み、前記シャフト12の回転トル
クを検出しながら軸受ハウジング70の位置を調整して
その回転トルクが最小になる位置で前記軸受ハウジング
70を前記軸受支持板18にスポット溶接する。その軸
受ハウジング70の下面に前記シャフト給油孔12aに
給油するように給油ポンプ56が設けられる。また、こ
の時、前記フレーム4と前記軸受支持板18との間には
モータ室62が形成される。そして、前記円筒ケーシン
グ31に底ケーシング21を溶接し、貯油室80を形成
する。
【0185】次に、前記圧力隔壁74の前記内周シール
溝74aと前記外周シール溝74bに各々内周シール5
7と外周シール58を挿入しながら、前記円筒ケーシン
グ31に被せる。この時、前記非旋回スクロール部材2
の上面の前記内周シール57と前記外周シール58の間
に前記非旋回スクロール部材2の背面過吸込圧領域99
が設けられる。そして、吐出管55が上部に溶接された
上ケーシング20を、更にその上に被せて、溶接する。
【0186】この時、前記非旋回スクロール部材2の上
面の前記内周シール57の内側の領域が、前記非旋回ス
クロール部材2の背面吐出圧領域95となる。そしてこ
の面積を、吐出弁がない場合に吐出系と連通して前記両
鏡板間に挟まれた領域である吐出室の前記軸線方向から
見た投影面積とその吐出室とそれを囲む圧縮室の境界を
形成する両スクロールラップ部の歯先面積の半分を加え
た面積の旋回スクロール部材が一旋回する間の旋回角積
分平均よりも小さくする。そして、前記圧力隔壁74と
前記上ケーシング20の間に非旋回背面室61が形成さ
れる。
【0187】次に、球面軸受72を装着している軸受ハ
ウジング70を中央に固定し、前記球面軸受72の円筒
穴に前記シャフト12の端部を挿入するようにして、前
記軸受支持板18を前記円筒ケーシング31に挿入固定
する。この状態で、前記ステータ16に電流を流し、前
記ロータ15内部の永久磁石15bを着磁し、モータ1
9を形成する。最後に、潤滑油を入れる。
【0188】次に、動作を説明する。
【0189】前記吸い込みパイプ54から前記吸込室6
0へ吸い込まれたガスは、前記旋回スクロール部材3の
旋回運動により前記圧縮室6内で圧縮され、前記吐出孔
2dより前記非旋回スクロール部材2の上部の前記非旋
回背面室61に吐出される。そのガスは、一旦前記モー
タ室62に入ってモータ冷却とガス内に含まれる潤滑油
を分離した上で前記吐出パイプ55より圧縮機外部へ出
る。ここで、吐出パイプ55を前記吐出穴2dの軸線か
らずらせた位置に持ってきてもよい。この時には、前記
非旋回背面室に吐出ガスが一旦出るために吐出ガスの吐
出脈動が抑制されるという特有の効果がある。
【0190】前記非旋回スクロール部材2は、前記圧縮
室6内部のガス圧により前記旋回スクロール部材32か
ら離間する方向の引き離し力を受けるが、前記背面過吸
込圧領域99と前記背面吐出圧領域95からの圧力によ
る引付力により、前記旋回スクロール部材3に押し付け
られる。よって、非旋回スクロール部材2の付勢力は前
記旋回スクロール部材から与えられる。一方、前記旋回
スクロール部材3には引付力はなく、旋回背面の滑りス
ラスト軸受により付勢力を得ている。この結果、スクロ
ール部材の歯先と歯底の隙間は拡大せず圧縮動作を持続
することができる。
【0191】ここで、前記背面過吸込圧領域99の圧力
制御法は、まず、絞りを伴う前記吐出背面流路74dに
より吐出系から吐出圧を導入し、前記差圧制御弁100
により、圧力を制御する。これは、前記した第一ないし
第三の実施例で軸受を通ってきた圧縮性ガス及び油によ
り圧力導入を行っていた点が異なるだけである。これに
より、前記過吸込圧領域99への圧力導入のみを考えた
設計ができるため、最適設計が可能となる。また、バイ
パス弁及び吐出弁も前記実施例と同様に設けているた
め、これらの、組み合わせにより、広い運転範囲で全断
熱効率及び信頼性の向上した圧縮機を提供できるという
効果がある。
【0192】圧縮機の底に溜っている油は、前記給油ポ
ンプ56により、前記シャフト給油孔12aを通って前
記旋回軸受12cに給油される。また、前記横給油孔1
2bを経由して前記主軸受4aに給油される。その油
は、前記旋回背圧室11に入った後に、一部は前記油溝
4iを通って滑りスラスト軸受4を潤滑しつつ前記吸込
室60に入り、その他は、前記油排出路4sを通って、
モータ室62に入り、圧縮機の底に戻る。
【0193】また、前記圧力隔壁74は、その下部にガ
スの層を形成するため、前記非旋回背面室61内の高温
の吐出ガスからの熱が前記圧縮室6へ伝わることを防止
するという本実施例特有の効果がある。
【0194】ところで、前記背面過吸込圧領域99への
圧力導入法として、前記吐出背面流路74dを設ける代
わりに、前記内周シール57に微小な溝を設けたりして
シール性を低下させてそこを通る前記非旋回背面室61
からの漏れ込み流れを利用してもよい。また、内周シー
ル57を廃止して、前記内周シール溝74aを微小な隙
間とし、絞り流路としてもよい。
【0195】また、オルダムリング5を前記した第二や
第三の実施例のように、非旋回スクロール部材2と旋回
スクロール部材3の間に設けてもよい。また、給油ポン
プ56でなく、遠心力を用いた給油法でもよい。また、
吐出弁とバイパス弁を別体としてもよい。この時には、
吐出弁とバイパス弁をべつの厚さや材質にできるため、
最適な設定にできるという特有の効果がある。
【0196】次に、本発明を、横置き型の旋回フロート
式スクロール圧縮機に実施した第五の実施例を、図23
に基づいて説明する。圧力差制御弁100の弁キャップ
が弾性を有するばね弁キャップ100yとなり、それを
固定するキャップ押え100xを設ける以外は、第一の実施
例と同一であるため、その箇所以外の説明は省略する。
吐出圧が高い運転時には、弁キャップにばね性を持たせ
たため、ばね弁キャップ100yは押されて弁穴2fの
方へ変位する。
【0197】よって、差圧弁ばね100cが押し縮めら
れて、弁体100aが弁シール面2jへ押し付ける力が
増大する。よって、過吸込圧値が大きくなる。背面吐出
圧領域95の軸線方向における投影面積が、旋回軸受の
設計により、最適な値よりも小さくなるとき、吐出圧の
大きい運転条件では、過吸込圧値を大きくする必要が生
じる。このような、吐出圧の増大につれて過吸込圧値が
大きくなると、吐出圧の小さい条件下でも過大な過吸込
圧値とならず、広い運転範囲において全断熱効率及び信
頼性を一層向上できるという効果がある。
【0198】次に、本発明を、横置き型の旋回フロート
式スクロール圧縮機に実施した第六の実施例を、図24
に基づいて説明する。圧力差制御弁100を、これまで
の実施例と異なり、圧縮機の軸線方向に垂直な方向に設
ける以外は、第一の実施例と同一であるため、その箇所
以外の説明は省略する。横形弁キャップ100qの外周
には導入溝100sを設け、その導入溝100sの位置
で横形弁キャップ100qを貫通する穴と弁シール面の
中央から開いてその貫通穴に交差する穴からなる弁導入
路100rを設ける。この横形弁キャップ100qを弁
穴2fに挿入すると前記導入溝100sの位置に背面導
入路2mがくるため、背面過吸込圧領域の圧力が弁体1
00aにかかることになる。
【0199】また、差圧弁ばね100cの下端を吸込溝
2αに通じるばね掘込み2f2に挿入し、ばねの水平面
内の移動を防止している。このばね掘込み2f2と吸込
溝2αの連通部が第一の実施例の吸込側導通路の役割を
果たす。第一の実施例と比較して、差圧弁ばね100c
の自然長を大きくとれるため、ばね定数を小さくし押縮
め量を大きくとって所定の押付力で弁体100aを弁シ
ール面に押し付けることが可能になる。
【0200】この場合、押縮め量の精度が低くても過吸
込圧値の設定値はその目標値からあまりずれないので、
量産時に過吸込圧値のばらつきを小さくできるため、性
能のばらつきを小さくできるという特有の効果がある。
また、弁体100aが移動して開口しても差圧弁ばねが
押す力はあまり変化しないため、圧力差制御弁100が
開口していても制御の目標値は過吸込圧値に極めて近く
なり、過吸込圧値の制御の精度を高めることができると
いう特有の効果がある。
【0201】次に、本発明を、横置き型の旋回フロート
式スクロール圧縮機に実施した第七の実施例を、図25
及び図26に基づいて説明する。弁体を円筒形の円筒弁
体100mとする以外は、第一ないし第六の実施例と同
一であるため、この円筒弁体100m以外の説明は省略
する。その外周は弁穴の内周と隙間ばめとなっており、
円筒弁体100mは弁穴の軸方向に垂直な軸まわりにほ
ぼ回転不可能となっている。
【0202】よって差圧弁ばね100cはその軸線に沿
って伸び縮みし座屈はおこらないため、精度良く過吸込
圧値を設定できるという特有の効果がある。ここで、前
記円筒弁体100mの外周には複数の外周溝100pが
設けられ、弁シール面を通ったガス及び油の通り道とな
る。この外周溝100pは一本でももちろん良い。
【0203】次に、本発明を、横置き型の旋回フロート
式スクロール圧縮機に実施した第八の実施例を、図27
に基づいて説明する。外周部に外周溝がない円筒形の円
筒弁体100xとし、弁キャップ100qを第一の実施
例のようなプレス成形して作る形とし、吸込側導通路2
iを弁穴の側面部に開口する以外は、第六の実施例と同
一であるため、これらの相違箇所以外の説明は省略す
る。円筒弁体100xの外周は弁穴の内周と隙間ばめと
なっており、円筒弁体100xは弁穴の軸方向に垂直な
軸まわりにほぼ回転不可能となっている。
【0204】よって差圧弁ばね100cはその軸線に沿
って伸び縮みし座屈はおこらないため、精度良く過吸込
圧値を設定できるという特有の効果がある。この圧力差
制御弁の制御を行っている状態は、図27のように円筒
弁体100xの上面が前記吸込側導入路2iの位置にき
たときであり、これまでの実施例と異なり、弁は弁シー
ル面と衝突したりすることはない。
【0205】よって、弁がシール面をたたく時に出る衝
撃音がなく、騒音が小さくなるという特有の効果があ
る。さらに、シール面等の摩耗の問題もなく、信頼性も
高くなる。また、円筒弁体100xの先端に油溜め10
0tを設けたので、円筒弁体100xが前記弁キャップ
100qと衝突する時、例えば、停止時や起動時の不安
定時などにそこの油が衝撃をやわらげる役目を担い、騒
音を低減するという特有の効果がある。また、前記吸込
側導通路2iを加工しやすくするために吸込溝の外周の
角度を斜めにした。
【0206】次に、本発明を、横置き型の旋回フロート
式スクロール圧縮機に実施した第九の実施例を、図28
に基づいて説明する。弁体の上下に差圧弁上ばね100
uと差圧弁下ばね10cを設けた以外は、第八の実施例
と同一であるため、構造の説明は省略する。円筒弁体1
00yの両側にばねがあるため、弁体と弁キャップ10
0qまたは弁穴の底と衝突することはなくなり、弁がシ
ール面をたたく時に出る衝撃音がなく、騒音が小さくな
るという特有の効果がある。
【0207】さらに、シール面等の摩耗の問題もなく、
信頼性も高くなる。さらに、弁体と差圧弁ばねはガス圧
がかからなくても常に押し付けあっているため、弁体と
差圧弁ばねが分離するという危険性がなく信頼性が高く
なるという特有の効果もある。また、この場合、前記差
圧弁上ばね100uと前記差圧弁下ばね100cの巻く
向きを逆にするとよい。つるまきばねは伸び縮みにより
その軸方向においてわずかな回転を生じる。前記円筒弁
体100yが動くとこれらのばねは一方が縮み他方が伸
びるため、巻き方向を逆にすると、つねに同じ向きに回
転しようとするため、弁体をねじるような力が働かず、
前記円筒弁体100yは安定な姿勢を保ったまま回転の
み起こることになる。この回転により、弁体外周に油が
供給され、摺動抵抗を下げるとともに、シール性を向上
するという特有の効果もある。
【0208】最後に、本発明を、横置き型の旋回フロー
ト式スクロール圧縮機に実施した第十の実施例を、固定
スクロール部材の図29に基づいて説明する。吸込側導
通路2iの弁穴側開口部に内周溝2f3を設けた以外
は、第九及び八の実施例と同一であるため、構造の説明
は省略する。これにより、吸込側導通路2iの加工角度
の誤差の影響を受けずに弁体がどこまで下がると圧力差
制御弁が開くかを明確にできるため、過吸込圧値の設定
を精度良く行うことができるという特有の効果がある。
【0209】なお、ここで述べた第五ないし第十の実施
例の内容は、背面過吸込圧領域を設けるスクロール圧縮
機であれば採用できる内容であり、吐出弁やバイパス弁
の有無にかかわらない。
【0210】
【発明の効果】本発明によれば、広範囲な圧力運転範囲
において、全断熱効率及び信頼性が高く、使い勝手の良
いスクロール圧縮機を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施例である圧縮機の縦断面図。
【図2】第一の実施例の吐出圧のかかる領域の説明図。
【図3】第一の実施例の固定スクロール部材の反スクロ
ールラップ側からの平面図。
【図4】第一の実施例の固定スクロール部材のスクロー
ルラップ側からの平面図。
【図5】第一の実施例の吐出弁とバイパス弁が一体とな
った弁板の平面図。
【図6】第一の実施例のバイパス弁板のリテーナの平面
図。
【図7】第一の実施例に類似した実施例の吐出弁とバイ
パス弁が一体となった弁板の平面図。
【図8】第一の実施例に類似した実施例のバイパス弁板
の平面図。
【図9】第一の圧力差制御弁(図1のP部)の縦断面
図。
【図10】第二の実施例の圧縮機の縦断面図。
【図11】第二の実施例の圧力差制御弁(図10のP
部)の縦断面図。
【図12】第三の実施例の圧縮機の縦断面図。
【図13】第三の実施例の圧力差制御弁(図12のP
部)の縦断面図。
【図14】第三の実施例の旋回スクロール部材の斜視
図。
【図15】第三の実施例の非旋回スクロール部材の斜視
図。
【図16】第三の実施例のストッパ部材の斜視図。
【図17】第四の実施例の圧縮機の縦断面図。
【図18】第四の実施例の圧力差制御弁(図17のP
部)の縦断面図。
【図19】第四の実施例の圧力隔壁を取り除いた圧縮機
上面図。
【図20】第四の実施例の非旋回スクロール部材の中央
部上面図。
【図21】第四の実施例のバイパス弁の上面図。
【図22】第四の実施例のリテーナの上面図。
【図23】第五の実施例の圧力差制御弁(図1のP部)
の縦断面図。
【図24】第六の実施例の圧力差制御弁の縦断面図。
【図25】第七の実施例の圧力差制御弁の縦断面図。
【図26】第七の実施例の弁体の斜視図。
【図27】第八の実施例の圧力差制御弁の縦断面図。
【図28】第九の実施例の圧力差制御弁の縦断面図。
【図29】第十の実施例の圧力差制御弁の弁穴の縦断面
図。
【符号の説明】
2…非旋回スクロール部材(固定スクロール部材)、2
e…バイパス穴、3…旋回スクロール部材、4…フレー
ム、9…スラスト部材、23b…吐出バイパス一体弁、
60…吸込室、95…背面吐出圧領域、96…吐出室、
99…背面過吸込圧領域、100…圧力差制御弁。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鏡板とそれに立設する渦巻き状のスクロー
    ルラップを備えそのスクロールラップの立設する方向で
    ある軸線方向に垂直な面内を自転せずに旋回運動する旋
    回スクロール部材と、鏡板とそれに立設する渦巻き状の
    スクロールラップを備え少なくとも前記軸線方向に垂直
    な面内の方向における運動が概略規制される非旋回スク
    ロール部材を噛み合わせ、それらスクロール部材の間に
    概略閉塞して容積が縮小する圧縮室と、その圧縮室側の
    流体の圧力による前記両スクロール部材の鏡板を引き離
    す向きの引き離し力に対抗して前記両スクロール部材の
    鏡板を引き付ける向きの引付力を各々の前記スクロール
    部材にかける引付力付加手段と、前記引付力と前記引き
    離し力のベクトル和である付勢力の反力を各々の前記ス
    クロール部材に発生させるスクロール支持部材と、流体
    を前記圧縮室に導入する吸込系と、前記圧縮室内で加圧
    した流体を外部へ導出する吐出系を有し、前記旋回スク
    ロール部材における前記引付力付加手段の少なくとも一
    部は旋回スクロール部材の鏡板の反圧縮室側の面である
    旋回背面に前記吸込系内の圧力である吸込圧よりもその
    吸込圧の二割程度の誤差内で一定の値だけ大きい圧力を
    かけるべく背面過吸込圧領域を設けるとともに前記吐出
    圧もしくはほぼ吐出圧をかける背面吐出圧領域を設けて
    実現するスクロール圧縮機において、 吐出弁を設け、前記背面吐出圧領域の面積を吐出弁がな
    い場合に吐出系と、連通して前記両鏡板間に挟まれた領
    域である吐出室の前記軸線方向から見た投影面積と、そ
    の吐出室と、それを囲む圧縮室の境界を形成する両スク
    ロールラップ部の歯先面積の半分を加えた面積の旋回ス
    クロール部材が一旋回する間の旋回角積分平均よりも小
    さくすることを特徴とするスクロール圧縮機。
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