JPH11152246A - 芳香族カルボン酸の製造方法 - Google Patents

芳香族カルボン酸の製造方法

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JPH11152246A
JPH11152246A JP10240614A JP24061498A JPH11152246A JP H11152246 A JPH11152246 A JP H11152246A JP 10240614 A JP10240614 A JP 10240614A JP 24061498 A JP24061498 A JP 24061498A JP H11152246 A JPH11152246 A JP H11152246A
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carboxylic acid
mother liquor
bromine
aromatic carboxylic
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Hideaki Fujita
英明 藤田
Masami Matsumoto
正美 松本
Fumiya Arima
文哉 在間
Masahito Inari
雅人 稲荷
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低級脂肪族カルボン酸を溶媒として重金属化合
物及び臭素化合物からなる触媒の存在下にアルキル置換
芳香族化合物を液相酸化して得られる芳香族カルボン酸
を連続的に製造する方法において、当量以上の補助剤や
多大な労力を費やすことなしに、触媒成分を効率的に回
収することができる方法を提供する。 【解決手段】液相酸化反応液から結晶を分離して得られ
た重金属イオン及び臭素イオンを含有する酸化反応母液
を陰イオン交換型のキレート樹脂と接触させて触媒成分
を回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族カルボン酸を
製造する方法に関し、詳しくはアルキル置換芳香族化合
物の液相酸化により芳香族カルボン酸、特に2,6−ナフ
タレンジカルボン酸を製造するプロセスにおいて、液相
酸化反応液より結晶を分離して得られた酸化反応母液か
ら触媒成分を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族カルボン酸、特にテレフタル酸や
2,6-ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸
及びそのエステルは、繊維や樹脂に用いられるポリエス
テルの原料として有用な物質である。従来、芳香族カル
ボン酸は重金属触媒の存在下にアルキル置換芳香族化合
物を液相酸化することにより製造される。このような方
法として、低級脂肪族カルボン酸を含む溶媒中でコバル
トやマンガンなどの重金属、及び臭素を含む触媒を用い
て酸化し、芳香族ジカルボン酸を得る方法が、例えば、
特公昭34-2666 号や特公昭56-3337 号などの各公報に提
案されている。
【0003】上記のような方法においては、液相酸化後
の反応生成物は固形物を含むスラリーとして得られ、芳
香族カルボン酸は固液分離した結晶から得られる。この
際の濾液として得られた反応母液中には、コバルト、マ
ンガン等の高価な重金属成分及び臭素化合物などの有用
な触媒成分を含んでおり、これらを有効に活用するため
にはこれらの触媒成分を循環使用することが必要であ
る。最も簡便な循環使用法は、得られた反応母液をその
まま再使用することであるが、反応母液中には反応で副
生した様々な有機不純物や装置材質から漏れ出す無機成
分などが存在する。これらは反応系に循環されることで
濃縮され、時に酸化反応に深刻な悪影響を与える。
【0004】そのため反応母液の循環使用には限度があ
り、循環使用できない触媒成分の母液からの回収が必要
になる。母液を循環使用することにより再利用される触
媒以外の触媒成分の回収には従来様々な方法が提案され
ている。例えば、酸化母液から溶媒を回収した後の残査
に水とアルカリ金属炭酸塩を添加し、金属触媒成分を炭
酸塩として沈殿させ酢酸中に再溶解して回収する方法
(特開昭48-66090号公報)、循環使用しない母液中に蓚
酸を添加し金属成分を蓚酸塩として回収する方法(特開
平2-203939号公報)などが知られている。また循環使用
しない母液から陰イオン交換樹脂を用いて金属成分を回
収する方法が知られており、この方法として、特開昭53
-133574号公報には強塩基性アニオン交換樹脂を用い、
母液中の臭素/コバルト比を特定範囲として吸着を行
い、含水酢酸を用いてコバルトおよび臭素を溶離させる
ことによりコバルト触媒有機物を回収する方法が記載さ
れており、特開昭53-104590号公報には母液を先ず臭素
イオン形にした陰イオン交換樹脂と接触させて重金属イ
オンを吸着し溶離回収した後、次に弱塩基性陰イオン交
換樹脂と接触させて臭素イオン等を吸着し溶離回収する
ことが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法のうち、炭
酸塩や蓚酸塩として回収する方法では金属に対し当量以
上のアルカリ金属炭酸塩や蓚酸などの補助剤が必要とな
り経済的でない。また炭酸塩や蓚酸塩として回収するに
は、金属塩の中和・沈殿・分離等の複雑な操作が必要で
あり、煩雑な操作、多くの労力を必要とする。陰イオン
交換樹脂を用いる方法はこのような試薬が必要でないの
で優れた方法ではあるが、重金属を完全に吸着しようと
する場合と吸着時に重金属成分に対し概ね2倍モル以上
の臭素イオンが必要となる。回収時には臭素イオンも同
時に回収されるため、自動的に酸化反応での触媒中の臭
素イオンと重金属成分との比は制約を受け、臭素イオン
比率の高い酸化反応が行われることになる。一方、酸化
反応において臭素と重金属の比は一定レベルは必要であ
るが、ある程度以上になると反応改善には寄与しなくな
り、むしろオフガス中への有機臭素化合物として系外に
排出される量が増えるため臭素の損失が増える上、腐食
面で危険性を増すことになる。従って反応触媒中の臭素
イオンと重金属の比が高く推移しなければならないこと
は、液相酸化反応にとって好ましくない。
【0006】また、前記炭酸塩法や蓚酸法では金属成分
が固体にまで濃縮されるのに比べ、陰イオン交換樹脂に
吸着した金属は水を多く含む酢酸で溶離させ回収するた
め、この時の濃度によって濃縮率が決まり、場合によっ
ては濃縮率が不十分なケースが生じる。このような場
合、回収した触媒をそのまま反応に戻すと反応器の水濃
度が上昇し反応に悪影響を及ぼすため、反応器に返す前
に水をある程度除去するなどの操作が必要となり、この
ためのエネルギーを消費することになる。本発明は上記
のような従来技術の欠点を改良したものである。すなわ
ち、本発明の目的は、低級脂肪族カルボン酸を溶媒とし
て重金属化合物及び臭素化合物からなる触媒の存在下に
アルキル置換芳香族化合物を液相酸化して得られる芳香
族カルボン酸を連続的に製造する方法において、当量以
上の補助剤を用いることなく、また煩雑な操作を必要と
せず、多大な労力を費やすことなしに、陰イオン交換樹
脂を用いて効率的に回収することができる方法を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは芳香族カル
ボン酸の製造に於ける以上如きの課題について鋭意検討
を重ねた結果、陰イオン交換樹脂の中でも陰イオン型の
キレート樹脂を用いることで吸着時の臭素イオンと重金
属イオンの比に関わり無くその性能を発揮でき、上記の
如き臭素イオン比率の高い酸化反応を行う操作や、水を
分離するための操作を行うことなしに、触媒成分を効率
的に回収して液相酸化を有利に行うことができることを
見出し、本発明に到達した。即ち本発明は、アルキル置
換芳香族化合物を低級脂肪族カルボン酸を含む溶媒中で
重金属化合物及び臭素化合物からなる触媒の存在下に分
子状酸素ガスを用いて液相酸化して芳香族カルボン酸を
連続的に製造する方法において、液相酸化反応液から結
晶を分離して得られた、触媒成分である重金属イオン及
び臭素イオンを含有する酸化反応母液を陰イオン交換型
のキレート樹脂と接触させた後、溶離液を用いて該触媒
成分を回収することを特徴とする芳香族カルボン酸の製
造方法である。
【0008】更に本発明者らは、上記発明において、特
に次の実施形態により触媒成分を効率的に回収すること
ができることを見出した。 (1) 陰イオン交換型のキレート樹脂と接触させる際の酸
化反応母液の温度を50〜120 ℃とし、溶離液の温度を20
〜60℃とする。 (2) 酸化反応母液を陰イオン交換型のキレート樹脂と接
触して触媒成分である重金属イオン及び臭素イオンを吸
着させた後、前記酸化反応母液と対向方向に溶離液を通
過させる。 (3) 酸化反応母液を陰イオン交換型のキレート樹脂と接
触して重金属イオン及び臭素イオンを吸着させた後、該
キレート樹脂層に残存する液を不活性ガスと置換する。
【0009】なお、特に2,6-ナフタレンジカルボン酸の
製造では、酸化反応母液中の重金属イオン濃度が比較的
高いので、炭酸塩や蓚酸塩として金属成分を回収する場
合には、アルカリ金属炭酸塩や蓚酸などの補助剤の使用
量が多いので、陰イオン交換樹脂が有効に用いられ、
(1)および (2)を組み合わせることにより触媒成分を効
率的に回収することができる。即ち本発明は、2,6−ジ
アルキルナフタレンを低級脂肪族カルボン酸を含む溶媒
中で重金属化合物及び臭素化合物からなる触媒の存在下
に分子状酸素ガスを用いて液相酸化して2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸を連続的に製造する方法において、液相
酸化反応液から結晶を分離して得られた、触媒成分であ
る重金属イオン及び臭素イオンを含有する酸化反応母液
を50〜120 ℃で陰イオン交換型樹脂と接触させた後、前
記酸化反応母液と対向方向に溶離液を20〜60℃で通過さ
せることにより該触媒成分を回収するすることを特徴と
する芳香族カルボン酸の製造方法でもある。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において酸化原料として用
いられるアルキル置換芳香族化合物としては、トルエ
ン、パラキシレン、メタキシレン、プソイドキュメン、
2,6-ジメチルナフタレン、2,6-ジエチルナフタレン、2,
6-ジイソプロピルナフタレンなどが挙げられ、対応する
芳香族カルボン酸、すなわち安息香酸、テレフタル酸、
イソフタル酸、トリメリット酸、2,6-ナフタレンジカル
ボン酸などが製造される。本発明の方法は、このうち特
に2,6-ナフタレンジカルボン酸の製造で上記理由により
好適に用いられる。本発明で酸化反応溶媒に使用される
低級脂肪族カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオ
ン酸、酪酸等、あるいはこれらの混合物が挙げられる
が、これらのうち熱安定性の点で酢酸が最も好ましい。
溶媒には水が含有されていてもよく、その含有量は30重
量%以下であることが好ましい。また溶媒の使用量は酸
化反応原料のアルキル置換芳香族化合物に対して 1〜20
重量倍、好ましくは 2〜10重量倍である。溶媒の使用量
が少なすぎると反応生成物であるスラリーの取扱が困難
となることがあり、多すぎると生成物当たりの燃焼量が
増し、不経済となることがある。
【0011】本発明で用いられる酸化触媒には重金属化
合物及び臭素化合物が用いられる。重金属化合物にはコ
バルト化合物及びマンガン化合物の少なくとも一種が含
まれ、必要に応じて更にニッケル、セリウム、ジルコニ
ウムなどが添加される。これらのコバルト、マンガン及
びその他の重金属化合物としては、各々その有機酸塩、
水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩などが例示されるが、
特に酢酸塩及び臭化物が好適に用いられる。また臭素化
合物としては、反応系で溶解し、臭素イオンを発生する
ものであれば如何なるものでもよく、臭化水素、臭化ナ
トリウム、臭化コバルトなどの無機臭素化物、及びブロ
モ酢酸、テトラブロモエタンなどの有機臭素化物が例示
され、特に臭化水素、臭化コバルトまたは臭化マンガン
が好適に用いられる。
【0012】重金属触媒の使用量は、コバルト化合物お
よび/またはマンガン化合物については、溶媒中の各金
属原子の合計量としての濃度が0.01〜1.5 重量%となる
ように添加される。重金属触媒量が上記の範囲よりも少
量であると十分な活性が得られない場合があり、また多
量に使用される場合には、生成する芳香族ジカルボン酸
結晶に同伴する触媒量が増加し、触媒費用が嵩み工業的
に不利である。また臭素については、全重金属触媒量に
対する原子比で 0.1〜10、好ましくは0.5〜5 となるよ
うに添加される。臭素量が上記の範囲よりも少量である
と十分な活性が得られない場合があり、また上記範囲よ
り臭素化合物を多量に使用する場合にはオフガス中への
有機臭素化合物として系外に排出される量が増えるため
臭素の損失が増えるのみならず、腐食面で危険性を増す
という意味で好ましくない。
【0013】本発明ではアルキル置換芳香族化合物を分
子状酸素により酸化する。このため用いられる酸素含有
ガスとしては、酸素ガスや酸素を窒素、アルゴンなどの
不活性ガスと混合したガスが用いられるが、空気が最も
一般的である。酸化反応に用いられる反応器としては撹
拌槽や気泡塔などが用いられるが、反応器内の撹拌を充
分に行うために撹拌槽が好適に使用される。反応は連続
式製造装置で実施される。また、反応は一段の酸化反応
で完結させても良いが、反応収率を高めるために、複数
の反応器を直列に連結させて実施することが好ましい。
【0014】本発明における液相酸化の反応温度は 170
〜250 ℃、好ましくは 180〜240 ℃の範囲である。反応
温度が低すぎる場合には反応中間体が多量に生成物中に
残存することになり、反応温度が高すぎる場合には溶媒
の燃焼損失が大きくなる。反応器の圧力は、反応温度に
おいて反応系が液相を保持できる圧力であれば良いが、
通常 5〜40 kg/cm2 G 、好ましくは10〜30 kg/cm2 G で
ある。酸化反応では酸素含有ガスを反応器に連続的に供
給し、反応後のガスはオフガスとして連続的に反応器外
へ抜き出される。反応器には還流冷却器が設けられ、オ
フガスに同伴される多量の溶媒及び酸化反応で生成する
水を凝縮させる。凝縮した溶媒及び水は通常、反応器に
還流されるが、反応器内の水分濃度を調節するためにそ
の一部を反応系外に抜き出すことも行われる。
【0015】本発明の方法においては、反応器から排出
されるオフガス中の酸素濃度が水や溶媒を凝縮させた残
りの乾燥ガスベースで 0.5〜5 容量%の範囲内になるよ
うに、酸素含有ガスの供給量を調節する。オフガス中の
酸素濃度が低すぎる場合には反応中間体が増加し、また
得られる芳香族ジカルボン酸が着色するなどの好ましく
ない現象が生ずる場合がある。反対にオフガス中の酸素
濃度が高すぎると、溶媒の低級脂肪族カルボン酸の酸化
による損失量が増えると共に、空気圧縮機などに要する
費用が不必要に嵩むことになる。
【0016】酸化反応器で生成した芳香族カルボン酸結
晶を含む流出物は、好ましくは直列に連結された次の酸
化反応器へ送られて、更に酸素含有ガスによって仕上げ
の酸化反応を経た後、必要に応じて直列に連結された一
段以上の晶析槽を経由して落圧、冷却されて次の固液分
離工程へ送られる。固液分離工程では、酸化反応で生成
した芳香族カルボン酸を含むスラリーが固液分離器によ
って結晶と母液に分離される。結晶の分離は通常大気圧
下で行われる。分離温度に特段の制約はないが、通常は
大気圧下に於ける溶媒の沸点より低い温度、例えば約50
〜110 ℃の範囲で行われる。固液分離器の形式としては
遠心沈降器、遠心濾過器、真空濾過器などが挙げられ
る。
【0017】本発明の製造方法においては、上記方法に
より液相酸化反応液から結晶を分離して得られたコバル
ト、マンガン等の重金属及び臭素イオンを含有する酸化
反応母液をイオン交換塔に通液し陰イオン交換樹脂と接
触させ、更に溶離液を用いて触媒成分を回収する。酸化
反応母液はその一部を直接酸化反応器に戻すこともで
き、必要に応じてその一部または全量を陰イオン交換樹
脂で処理することもできる。なお、固液分離器によって
分離された結晶を水もしくは含水酢酸により洗浄し、そ
の洗浄液を酸化反応母液に加えてイオン交換樹脂塔に通
液しても良い。
【0018】本発明においてイオン交換塔で処理される
酸化反応母液(以下、被処理液ともいう)は、芳香族カ
ルボン酸、溶媒、触媒の他未反応物、反応中間体、反応
副生物等の種々の有機化合物及び反応生成物である相当
量の水の混合体である。被処理液中の微細結晶含有率は
1.0重量%以下、好ましくは 0.1重量%以下であり、こ
のような範囲となるように固液分離操作が行われる。
【0019】本発明の製造方法においては陰イオン交換
樹脂として特に陰イオン交換型のキレート樹脂を使用す
ることが好ましい。キレート樹脂とはキレート結合によ
り特定の金属イオンに対し高い選択性を持つイオン交換
樹脂である。陰イオン交換型のキレート樹脂としては、
ピコリルアミン型、ポリアミン型、ピリジン型等がある
がいずれも使用可能であり、例えばユニッセレックUR-3
300S (ユニチカ製、商標名)、ダイヤイオンCR20(三菱
化学製、商標名)、スミキレートCR-2(住友化学製、商
標名)、DOWEX,XFS,4195(Dow Chemical製、商標名)等
が挙げられる。
【0020】本発明においては、陰イオン交換樹脂の中
でも特に陰イオン交換型のキレート樹脂を使用すること
が、本発明の特徴である。通常の陰イオン交換樹脂で重
金属を吸着する場合、重金属に数個の臭素が配位した形
で吸着する。すなわち配位する臭素が少ないと不安定な
ため重金属が吸着されない。そのため被処理液の重金属
触媒に対する臭素イオンの比(以下ブロム比と称する)
を概ね2以上とする必要がある。それに対し本発明に特
徴的に用いる陰イオン交換型のキレート樹脂では、この
ようなブロム比を規制しない。その理由としては配位
子として臭素以外の配位子(たとえばアセテートイオ
ン、水酸イオン等)を選び得ることと、或いは金属イ
オンが樹脂にイオン交換された二つ以上の臭素を配位す
る形で吸着されることが考えられる。キレート樹脂の特
性として、通常のイオン交換樹脂のように単座で被吸着
イオンを吸着するのでなく、被吸着イオンが二つ以上の
配位原子を含む多座配位子との環状体すなわちキレート
化合物を形成することが挙げられることから後者の理由
による可能性が高いと見られる。
【0021】酸化反応母液をこのように陰イオン交換樹
脂に通液することにより、触媒成分のコバルト、マンガ
ン及び臭素が選択的に吸着される。他の金属不純物は上
記イオン交換樹脂にほとんど吸着されないため、溶離液
を通液することにより触媒成分のコバルト、マンガン及
び臭素が同時に回収され、酸化反応用の触媒として再使
用される。これらの陰イオン交換樹脂は前処理無しで被
処理液を通液しても良いが、あらかじめ臭素イオンを含
む酢酸溶液等に接触させて臭素型にしたものを用いるこ
とが好ましい。陰イオン交換樹脂を臭素型にするには、
例えば、臭化ナトリウム、臭化水素酸等の臭素イオンを
含む水又は酢酸溶液を用いて洗浄した後、酢酸もしくは
15重量%以上の水分濃度の含水酢酸を用いて過剰の臭素
を洗浄する。この洗浄液には被処理液である反応母液中
の水分濃度より低い水分にした酢酸を用いることが好ま
しい。
【0022】本発明においてイオン交換塔に通液する被
処理液の水分濃度は 0〜15重量%、好ましくは 5〜12重
量%である。一般に、酸化反応母液は通常 5〜10重量%
の水分を含有しており、イオン交換塔に供給する際、特
に水分濃度の調整は必要無い場合が多い。前述のように
結晶を洗浄した液を供給する際、その液の水分濃度が上
記範囲を超える場合には蒸留等により水分濃度を所定の
範囲に調整する。イオン交換樹脂に吸着した金属を溶出
させ回収させるための溶離液は、水ないしは水を含んだ
脂肪族カルボン酸を用いることが好ましい。この場合、
酸化反応の溶媒と同種の溶剤が用いられ、通常は酢酸が
用いられる。酢酸中の水分濃度は、15重量%以上、好ま
しくは25重量%以上である。酸化反応器の還流器から分
離された凝縮液を溶離液として用いることもできる。
【0023】陰イオン交換樹脂と接触させる際の被処理
液の温度は、50℃から120 ℃までの範囲であり、好まし
くは70〜110 ℃である。高温部は陰イオン交換樹脂の耐
熱性や溶媒(酢酸)の沸点から規定され、温度が低すぎ
ると陰イオン交換樹脂の吸着活性が低下することがあ
る。また触媒成分の回収を行う際の溶離液の温度は20〜
60℃の範囲で選ばれ、より好ましくは30〜50℃である。
この範囲より高い温度では樹脂の吸着活性が高いので逆
に溶離の効率が低下することがある。またこの範囲より
低温で過度に冷却するには冷却のコストがかかり好まし
くない。
【0024】本発明においては、このように陰イオン交
換樹脂と接触させる際の酸化反応母液の温度を50〜120
℃、更に70〜110 ℃と比較的高い温度にし、且つ触媒成
分の回収を行う溶離液の温度を20〜60℃、更に30〜50℃
と比較的低い温度にすることが更に効率的な触媒成分の
回収を可能とする上で好ましく、これは本発明者らが見
出した本発明の特徴の1つである。これは吸着する陰イ
オン交換樹脂と溶液にある金属の濃度の平衡が温度によ
って大きく変化することに起因する。つまり環境の温度
が高いとき陰イオン交換樹脂の吸着活性が高くなり、環
境の温度が低いときには吸着活性が低くなり相対的に溶
離にとっては有利な条件となることを利用したものであ
る。陰イオン交換樹脂を用いるシステムは、基本的には
溶媒中の水濃度を変化させ被吸着物の安定性を変えるこ
とで吸着溶離を繰り返すシステムであるが、このような
温度のスイングは特にキレート樹脂では有効な方法であ
る。温度を吸着と溶離(脱離)で変化させるシステム
は、従来の吸着剤では圧力スイングシステムと共に温度
をスイングして吸着脱離を繰り返すシステムとしてよく
知られているが、イオン交換樹脂を用いるプロセスでは
一般的ではない。
【0025】本システムを更に効果的に機能させるた
め、本発明においては酸化反応母液を陰イオン交換樹脂
と接触させて重金属イオン及び臭素イオンを吸着させた
後、該酸化反応母液の通液方向と逆方向に溶離液を通過
させることにより触媒回収することが有効である。特に
酸化反応母液をイオン交換塔上部から下方向に通液し、
溶離液の通液方向を上方向にするのがより好ましい。こ
のように陰イオン交換樹脂への酸化反応母液の通液方向
と溶離液の通液方向を逆にすることは、本発明者らが見
出した本発明の特徴の1つである。従来の技術として記
載した特開昭53-104590 号による陰イオン交換樹脂を用
いる触媒回収法では、イオン交換塔上部に液相酸化反応
母液を供給して触媒成分の吸着を行った後、同上部から
溶離液を供給して該触媒金属を回収しているが、この方
法ではまず低濃度の触媒成分が溶離回収され、次第にそ
の濃度が高くなる傾向がある。これに対して本発明では
酸化反応母液の供給方向に対して逆方向に溶離液を通過
させるので、最初から高濃度の触媒成分が溶離回収され
ることになり、同一時間の回収率を比較すれば明らかに
本発明の方法の方が高い触媒の回収率を得ることができ
ることがわかる。
【0026】本発明においては、酸化反応母液はイオン
交換塔上部から下方向に通液し、溶離液の通液方向を上
方向にすることが好ましい。これによりイオン交換樹脂
塔の上部に高濃度に吸着している触媒成分の溶離回収が
最初に行われるので、溶離液を下方向に通液した場合の
溶離回収に比べて効率的に触媒回収操作を行うことがで
きる。更にこのように酸化反応母液をイオン交換塔上部
から下方向に通液し、溶離液の通液方向を上方向にする
ことにより、固液分離時にリーク若しくは酸化反応母液
の温度低下によって析出してくる芳香族カルボン酸結晶
及び有機不純物は溶離時にイオン交換塔上部から排出さ
れるため、塔内に堆積することが避けられる。従ってこ
のように通液することにより、堆積に伴う差圧上昇によ
る運転トラブルや、上記結晶及び有機不純物がイオン交
換樹脂表面に付着することに起因する交換能力の低下、
更に混入結晶による樹脂内部の偏流がもたらす吸着能力
の低下等の問題を避けることができる。また溶離時の通
液方向を上方向にすることは、圧密状態になったイオン
交換樹脂をほぐす作用もある。
【0027】溶離液をイオン交換樹脂塔の下部から上方
向に通液する場合、樹脂の破砕を防止するために、低空
間速度(SV)での運転とするか、若しくは樹脂層上部
にストッパー状物を設ける等の処置が採られる。吸着操
作と溶離操作の間に、水分濃度が該反応母液中の水分と
同じかあるいはそれより低い酢酸を樹脂上部若しくは下
部より流す操作を行うと、樹脂中に付着残留する有機不
純物を予め除去する効果があり、また各触媒成分の回収
率を向上させることができる。
【0028】次に概略フロー図を用いて本発明を更に具
体的に説明する。図1は酸化反応母液をイオン交換塔の
上部から下方向に通液し、溶離液の通液方向を上方向に
する場合の一例である。図1において原料混合物7 が液
相酸化反応器1 に送られ反応が行われる。液相酸化反応
液は生成物の芳香族ジカルボン酸を含むスラリー状物で
あり、これを固液分離機2で固液分離して粗芳香族ジカ
ルボン酸の結晶ケーキ8を得る。イオン交換塔の吸着工
程では、分離された反応母液はイオン交換塔3の上部9
より通液される。イオン交換塔3では供給された反応母
液は溶離液の温度が外部の温度の影響で変化しないよう
に充分に保温されている。イオン交換塔3で反応母液に
含まれるコバルト、マンガン、臭素の各イオンが同時に
吸着分離される。吸着されない有機不純物等の有機化合
物及びコバルト、マンガン以外の金属不純物は、酸化反
応液と共に塔下部からの流路10よりパージされる。イオ
ン交換塔の溶離工程では、塔下部より溶離液槽5からの
酢酸水溶液等の溶離液6 を通液して吸着したコバルト、
マンガン、臭素を同時に溶離する。塔上部から溶離され
たコバルト、マンガン、臭素を含む酢酸水溶液は、中間
槽4に集められ液相酸化反応用触媒として再使用され
る。
【0029】また本発明においては吸着完了後にイオン
交換樹脂層に残存する液を不活性ガスで置換することも
好適に行われる。不活性ガスとしては窒素や炭酸ガス等
が挙げられるが、酸化反応より排出される排ガスも好適
に使用される。不活性ガスで置換された後溶離工程へ移
行するが、この時供給する溶離液は、下部から上向き流
れにするのがより好ましい。すなわち空隙を持った樹脂
層へ液を供給する際、上部より供給すると気泡を巻き込
む恐れがあるが、上向き流れの場合この懸念はない。
【0030】このように酸化反応母液を陰イオン交換型
のキレート樹脂と接触して重金属イオン及び臭素イオン
を吸着させた後、該イオン交換樹脂層に残存する液を不
活性ガスと置換することも、本発明者らが見出した本発
明の特徴の1つである。吸着終了直後の樹脂層に残る液
は吸着完了した母液で、当然金属濃度、水濃度の低い液
であるため、吸着終了と同時に溶離に切り替わると、当
該母液が溶離液として回収され後から流れ出る溶離液を
薄めるのみならず、樹脂層内液が溶離に好ましい水分濃
度に達するのに遅れを生じるため触媒成分の濃縮という
点では不都合な結果となる。
【0031】これに対して吸着終了と溶離液受入のタイ
ミングをずらす方法もあるが、上記の如く溶離初期の溶
離液は特に触媒濃度が高く、また逆混合による溶離液と
当該母液の混合は完全には防ぐことはできないため、当
該母液のパージには自ずと限界がある。従って、上記の
如く樹脂層に残る母液を窒素などの不活性ガスで系外に
排出し、しかる後に溶離を開始すれば、樹脂層に残存す
る母液の置換は完全に行われ、濃縮度の高い溶離液が得
られる。
【0032】
【実施例】次に実施例により本発明を更に具体的に説明
する。ただし、本発明は以下の実施例により制限される
ものではない。なお、以下の実施例及び比較例におい
て、イオン交換塔は陰イオン交換樹脂 150mlを二重管ガ
ラス管に充填し、供給される液が外気温によって温度変
化を起こさないようにジャケットに供給液と同じ温度の
水を循環させて保温した。また、実施例1〜6では、イ
オン交換樹脂は臭化水素酸10重量% を含む酢酸溶液 200
mlを通液して樹脂を臭素イオン型にした後、更に水分20
重量% を含む酢酸水溶液を流して過剰の臭化水素酸を洗
い流す前処理を行った。溶離液には、50重量% の水を含
む酢酸を用いた。
【0033】実施例1 酢酸溶媒中でパラキシレンを液相酸化した反応生成物を
80℃まで降温した後、真空濾過器にて固液分離して酸化
反応母液を得た。この母液を80℃に保ったまま、次の回
収工程に供する原料液とした。この原料液はコバルト70
0ppm、マンガン400ppmを含有し、ブロム比[=Br/(Co+M
n)] は0.67であった。上記の前処理を行った陰イオン交
換型のキレート樹脂(住友化学製CR-2)150mlを充填した
イオン交換塔のジャケットに、80℃に調節された熱水を
循環し、原料液をイオン交換塔の上部から下向きに 150
0g導入した。イオン交換塔内を通過した被処理液は廃液
槽に排出した。その後、イオン交換塔のジャケットに、
30℃に調節された熱水を循環し、同じく30℃に調節され
た上記の溶離液をイオン交換塔内を下部から上方向に、
イオン交換塔出口でコバルト濃度が 10ppm以下になるま
で供給した。その結果、コバルトの回収率は 99.5%、マ
ンガンの回収率は 80%であり、溶離に要した液量は450g
であった。
【0034】実施例2 実施例1において溶離時のジャケット温度を60℃のまま
維持して溶離を行った以外は、同様の操作を行った。実
施例1と同様の回収率を得るために要した溶離液量は50
0gであった。
【0035】実施例3 実施例1において溶離時のジャケット温度を80℃のまま
維持して溶離を行った以外は、同様の操作を行った。実
施例1と同様の回収率を得るために要した溶離液量は75
0gであった。
【0036】実施例4 実施例1において吸着時の液流れ方向を溶離時と同様上
向きにした以外は、同様の操作を行った。実施例1と同
様の回収率を得るために要した溶離液量は910gであっ
た。
【0037】実施例5 実施例1において吸着後にイオン交換塔内部の液を窒素
で系外に除去し、しかる後に溶離液を上向きに供給する
以外は、同様の操作を行った。実施例1と同様の回収率
を得るために要した溶離液量は400gまで減少した。
【0038】実施例6 酢酸溶媒中にて2,6-ジメチルナフタレンを液相酸化した
反応生成物を80℃まで降温した後、デカンター型遠心分
離器にて固液分離して酸化反応母液を得た。この母液を
80℃に保ったまま、次の回収工程に供する原料液とし
た。この原料液はコバルト 1600ppm、マンガン 1000ppm
を含有し、ブロム比は0.83であった。前述の前処理を行
った陰イオン交換型のキレート樹脂(住友化学製CR-2)1
50mlを充填したイオン交換塔のジャケットに、80℃に調
節された熱水を循環し、原料液をイオン交換塔の上部か
ら下向きに600g導入した。イオン交換塔内を通過した被
処理液は廃液槽に排出した。吸着後にイオン交換塔内部
の液を窒素で系外に除去した後、イオン交換塔のジャケ
ットに、30℃に調節された熱水を循環し、前述の溶離液
をイオン交換塔内を下部から上向き方向に、イオン交換
塔出口でコバルト濃度が 10ppm以下になるまで供給し
た。その結果、コバルトの回収率は 99.3%、マンガンの
回収率は 80%であり、溶離に要した溶離液の量は400gで
あった。
【0039】実施例7 酢酸溶媒中にて2,6-ジメチルナフタレンを液相酸化した
反応生成物を80℃まで降温した後、デカンター型遠心
分離機にて固液分離して得られた酸化反応母液に臭化水
素酸を加えてブロム比を 1.2とし、イオン交換塔に供す
る被処理液を調製した。組成を表1に示す。この被処理
液を80℃に保ったまま、次の触媒回収工程に供した。
上記の前処理を行った強塩基性イオン交換樹脂(オルガ
ノ社製、IRA−900)150mlを充填したイオン
交換塔のジャケットに80℃に調節された熱水を循環
し、以下の方法で270分の吸着工程と90分の溶離工
程を連続的に繰り返した。 吸着工程:原料液をイオン交換塔の上部より下向きに毎
時400mlで270分間導入した。イオン交換塔内を
通過した被処理液は廃液槽に排出した。 溶離工程:溶離液として酸化反応器の還流冷却器から分
離された凝縮液 (約30重量% を含む酢酸) を用い、イオ
ン交換塔内を下部より上向き方向に毎時400mlで9
0分間導入した。イオン交換塔内を通過した回収液は回
収液槽に排出した。以上の操作を連続的に90日間行な
った。各工程は順調に行われ、実験を開始してから3日
目と90日目に於ける各成分の回収率は次の通りであっ
た。
【0040】
【表1】 被処理液組成 回収率 (ppm) (3日目) (90日目) コバルト 680 97% 95% マンガン 2380 51% 45% 臭素 5250 95% 94%
【0041】実施例8 酢酸溶媒中にて2,6-ジメチルナフタレンを液相酸化した
実施例7と同様の反応生成物を100℃まで降温した
後、デカンター型遠心分離機にて固液分離して得られた
酸化反応母液に臭化水素酸を加えて被処理液を調整し
た。この原料液を100℃に保ったまま、次の触媒回収
工程に供した。実施例7と同様の前処理を行った弱塩基
性イオン交換樹脂(オルガノ社製、IRA−96SB)
150mlを充填したイオン交換塔のジャケットに97
℃に調節された熱水を循環し、以下の方法で270分の
吸着工程と90分の溶離工程を連続的に繰り返した。 吸着工程:被処理液をイオン交換塔の上部より下向きに
毎時400mlで270分間導入した。イオン交換塔内
を通過した被処理液は廃液槽に排出した。 溶離工程:実施例7と同様の溶離液をイオン交換塔内を
下部より上向き方向に毎時400mlで90分間導入し
た。イオン交換塔内を通過した回収液は回収液槽に排出
した。 以上の操作を連続的に90日間行なった。各工程は順調
に行われ、実験を開始してから3日目と90日目に於け
る各成分の回収率は次の通りであった。
【0042】
【表2】回収率 (3日目) (90日目) コバルト 99% 98% マンガン 54% 51% 臭素 96% 93%
【0043】比較例1 実施例7において溶離工程の溶離液を吸着工程と同じ下
向き方向に導入した。つまり、実施例7及び実施例8で
は吸着工程と溶離工程の液流れが逆方向であるが、本比
較例では吸着工程と溶離工程の液流れを同じ方向とし
た。運転を開始してからしばらくして原料液中に析出し
ていた微細結晶がイオン交換樹脂上に蓄積する現象が観
察された。そして運転開始後2日目で樹脂層の差圧が上
昇して運転不能となった。
【0044】比較例2 ジャケットに循環する水の温度を25℃に変えて実施例
7と同様の操作を3日間行い、各成分の回収率を求め
た。結果を表3に示す。
【表3】回収率 (3日目) コバルト 55% マンガン 13% 臭素 37%
【0045】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明によって陰イオン交換型のキレート樹脂を用いるこ
とにより、アルキル置換芳香族化合物の液相酸化プロセ
スにおいて有価な成分であるコバルト、マンガンを効率
的に回収し、再使用することができる。本発明は触媒金
属成分の回収法として次のような特徴があり、工業的に
有利に触媒金属成分の回収を行うことができる。 (1) 炭酸塩や蓚酸塩として回収する場合のようなアルカ
リ金属炭酸塩や蓚酸が不要であり、中和・沈殿・分離な
どの複雑な操作を必要としない。 (2) ブロム比[=Br/(Co+Mn)] を必要以上に高める必要が
無いので、臭素化合物の損失量が減少すると共に、腐食
面での危険性が低下する。 (3) 触媒成分の吸着を行う液の温度と触媒成分の回収を
行う溶離液の温度を変えることや、陰イオン交換樹脂へ
の酸化反応母液の通液と溶離時の通液方向を逆向きにす
ること、および溶離開始時に樹脂層に残る母液を窒素な
どの不活性ガスで系外に排出することによって、濃縮度
の高い回収液が得られ、触媒金属成分を効率的に回収す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の芳香族カルボン酸の製造方法の
一例を示す概略フロー図である。すなわち、酸化反応母
液をイオン交換樹脂塔の上部から下方向に通液し、溶離
液の通液方向を上方向にする場合のフロー図である。
【符号の説明】
1 液相酸化反応器 2 固液分離機 3 イオン交換塔 4 中間槽 5 溶離液槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 63/26 C07C 63/26 E 63/38 63/38 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 稲荷 雅人 岡山県倉敷市水島海岸通り3丁目10番地 三菱瓦斯化学株式会社水島工場内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルキル置換芳香族化合物を低級脂肪族カ
    ルボン酸を含む溶媒中で重金属化合物及び臭素化合物か
    らなる触媒の存在下に分子状酸素ガスを用いて液相酸化
    して芳香族カルボン酸を連続的に製造する方法におい
    て、液相酸化反応液から結晶を分離して得られた、触媒
    成分である重金属イオン及び臭素イオンを含有する酸化
    反応母液を陰イオン交換型のキレート樹脂と接触させた
    後、溶離液を用いて該触媒成分を回収することを特徴と
    する芳香族カルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】陰イオン交換型のキレート樹脂と接触させ
    る際の酸化反応母液の温度を50〜120 ℃とし、溶離液の
    温度を20〜60℃とする請求項1記載の芳香族カルボン酸
    の製造方法。
  3. 【請求項3】イオン交換塔で酸化反応母液を陰イオン交
    換型のキレート樹脂と接触して触媒成分である重金属イ
    オン及び臭素イオンを吸着させた後、前記酸化反応母液
    と対向方向に溶離液を通過させることにより該触媒成分
    を回収する請求項1記載の芳香族カルボン酸の製造方
    法。
  4. 【請求項4】酸化反応母液をイオン交換塔上部より下方
    向に通液して前記キレート樹脂に前記重金属イオン及び
    臭素イオンを吸着した後、同下部より上方向に溶離液を
    通液して上記触媒成分を回収する請求項3記載の芳香族
    カルボン酸の製造方法。
  5. 【請求項5】酸化反応母液を陰イオン交換型のキレート
    樹脂と接触して重金属イオン及び臭素イオンを吸着させ
    た後、該キレート樹脂層に残存する液を不活性ガスと置
    換する請求項1記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  6. 【請求項6】溶離液が15重量%以上の水を含む酢酸溶
    液である請求項1記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  7. 【請求項7】溶離液として、液相酸化反応を行う酸化反
    応器の還流冷却器から分離された凝縮液を使用する請求
    項1記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  8. 【請求項8】アルキル置換芳香族化合物が2,6−ジアル
    キルナフタレンであり、生成物の芳香族カルボン酸が2,
    6−ナフタレンジカルボン酸である請求項1記載の芳香
    族カルボン酸の製造方法。
  9. 【請求項9】2,6−ジアルキルナフタレンを低級脂肪族
    カルボン酸を含む溶媒中で重金属化合物及び臭素化合物
    からなる触媒の存在下に分子状酸素ガスを用いて液相酸
    化して2,6−ナフタレンジカルボン酸を連続的に製造す
    る方法において、液相酸化反応液から結晶を分離して得
    られた、触媒成分である重金属イオン及び臭素イオンを
    含有する酸化反応母液を50〜120 ℃で陰イオン交換型樹
    脂と接触させた後、前記酸化反応母液と対向方向に溶離
    液を20〜60℃で通過させることにより該触媒成分を回収
    することを特徴とする芳香族カルボン酸の製造方法。
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