JPH111747A - 超微細粒を有する延性、靱性、耐疲労特性および強度−伸びバランスに優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

超微細粒を有する延性、靱性、耐疲労特性および強度−伸びバランスに優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法

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JPH111747A
JPH111747A JP14930097A JP14930097A JPH111747A JP H111747 A JPH111747 A JP H111747A JP 14930097 A JP14930097 A JP 14930097A JP 14930097 A JP14930097 A JP 14930097A JP H111747 A JPH111747 A JP H111747A
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strength
less
grains
toughness
steel sheet
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JP14930097A
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Inventor
Yoichi Tominaga
陽一 冨永
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】C:0.05〜0.30wt%、 Si:0.30〜2.0
wt%、 Mn:1.0 〜2.5 wt%、Al:0.003 〜0.100 wt
%、Nb:0.05〜0.50wt%を含有し、残部はFeおよび不可
避的不純物の組成にすると共に、残留オーステナイトが
5〜20 vol%で、残部は主にポリゴナルフェライトから
なる鋼組織とし、しかも該ポリゴナルフェライト粒のう
ち、個数比率で85%以上が粒径:8μm 以下で、かつ平
均粒径が5μm 以下の超微細粒とする。 【効果】 熱間圧延ままで、延性はもとより、靱性、疲
労特性および強度−伸びバランスに優れた(具体的に
は、TS×El≧26000 MPa ・%、FL/TS≧0.58、TS×λ≧
3000 MPa・%)高張力熱延鋼板を安定して得ることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、熱延のままで、
自動車用材、構造用材およびパイプ用材等の用途に供し
て好適な、超微細粒を有する延性、靱性、耐疲労特性、
強度−伸びバランスに優れた高張力熱延鋼板およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼材の機械的性質を高める手段として、
組織の微細化が有効であることはすでに良く知られてい
る。そのため、従来から、微細組織を得るための方法が
数多く模索されてきた。特に、最近では、低コスト化の
ために高張力鋼板が多用されるようになり、高張力化に
伴う延性、加工性、靱性などの劣化を抑える目的で、高
張力鋼における組織の微細化が重要な課題となってい
る。
【0003】従来、組織の微細化手段としては、制御圧
延法、制御冷却法および大圧下圧延法などが知られてい
る。これらのうち、高張力化と組織の微細化とを同時に
達成する方法として、広く用いられてきたのは、NbやTi
を含む高張力熱延鋼板に応用された制御圧延法である。
この方法が広く用いられてきた背景としては、これら鋼
板に含有されるNbやTiの析出強化作用によって高張力化
が容易に図れるだけでなく、Nb, Tiのオーステナイト粒
の再結晶制御作用により、低温圧延を施した時にγ→α
への歪誘起変態が促進されるため、フェライト粒の微細
化も併せて達成されることが挙げられる。
【0004】しかしながら、この方法で製造された高張
力鋼板の難点は、機械的性質の異方性が大きいことであ
る。例えば、プレス成形用の自動車用鋼板などでは、成
形限界は最も延性が劣る方向での特性水準によって決ま
るため、異方性が大きい鋼板では高いプレス成形性を確
保することが難しくなる。また、構造用材あるいはパイ
プ用材においても、靱性や疲労強度などの異方性が大き
いということは設計上、使用上の問題につながる。
【0005】一方、大圧下圧延法による組織微細化方法
は、たとえば特開昭58−123823号公報や特開昭59−2294
13号公報に開示されている。この方法における微細化機
構の要点は、オーステナイト粒に大圧下を加えることに
より、γ→αへの歪誘起変態を促進することにある。上
記したNb, Tiを含有する高張力熱延鋼板に応用された制
御圧延法との違いは、制御圧延方法がNb, Tiのオーステ
ナイト粒の再結晶抑制効果を利用するのに対し、大圧下
圧延法では、Nb, Tiを含有させなくても結晶粒の微細化
が可能である点にある。しかしながら、1パスあたりの
圧下率を40%以上にする必要があるなど、一般的なホッ
トストリップミルでは難しいところが難点である。
【0006】その他、高張力鋼板において強度と加工性
を両立させたものとして、残留オーステナイトのTRI
P効果(Transformation Induced Plasticity:変態誘起
塑性)を利用した鋼板が提案されている。例えば、特開
昭60-43425号公報には、熱間圧延後、鋼板を 450〜650
℃の温度範囲で4〜20秒保持し、ついで 350℃以下で巻
き取ることからなる、残留オーステナイトを有する鋼板
の製造方法が提案されている。しかしながら、この方法
では、所定の温度での保定という特殊な冷却制御を必要
とするため、安定して均一な材質が得難いところに問題
を残していた。
【0007】この点、発明者らは、先に、上記の問題を
解決するものとして、TiCまたは(TiC+NbC)を利用
して、熱間圧延開始前すなわちスラブ加熱段階における
初期オーステナイト粒を微細化し、ひいては製品板にお
いても平均結晶粒径:10μm未満のフェライト粒が75 vo
l%以上という超微細組織を実現する技術を開発し、特
開平9-87798号公報において開示した。この技術の開発
により、従来よりも、延性、靱性、耐疲労特性および強
度−伸びバランス等が格段に改善され、自動車用材など
の用途において大きな期待が寄せられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記した
微細化技術の改良に係り、とくに強度−伸びバランス、
耐久比および穴拡げ加工性の一層の向上を図った(具体
的には、TS×El≧26000MPa ・%、FL/TS≧0.58、TS×
λ≧4500 MPa・%)ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述したとおり、従来は
炭化物としてTiCや(TiC+NbC)を利用することによ
って、スラブ加熱段階における初期オーステナイト粒を
微細化し、その後の圧延−動的再結晶を経て製品板にお
ける結晶粒の微細化を図っていた。発明者らは、上記し
た微細粒よりも1ランク上の超微細組織を得て、特性の
一層の向上を図るべく、さらに研究を重ねた。その結
果、炭化物として従来使用していたTiCや(TiC+Nb
C)に代えて、NbCを利用することによって、スラブ加
熱段階における初期オーステナイト粒ひいては製品板に
おける結晶粒を従来に比べてさらに微細化することがで
き、かくして、従来よりも一段と優れた強度−伸びバラ
ンス、耐久比および穴拡げ加工性等を得ることができた
のである。この発明は、上記の知見に立脚するものであ
る。
【0010】すなわち、この発明の要旨構成は次のとお
りである。 1. C:0.05〜0.30wt%、Si:0.30〜2.0 wt%、Mn:
1.0 〜2.5 wt%、Al:0.003 〜0.100 wt%、Nb:0.05〜
0.50wt%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組
成になり、また残留オーステナイトが5〜20 vol%で、
残部は主にポリゴナルフェライトからなる鋼組織を有
し、該ポリゴナルフェライト粒のうち、粒径:8μm 以
下の微細粒が個数比率で全体の85%以上を占め、かつ平
均粒径が5μm 以下であることを特徴とする超微細粒を
有する延性、靱性、耐疲労特性および強度−伸びバラン
スに優れた高張力熱延鋼板。
【0011】2. C:0.05〜0.30wt%、Si:0.30〜2.
0 wt%、Mn:1.0 〜2.5 wt%、Al:0.003 〜0.100 wt
%、Nb:0.05〜0.50wt%を含み、かつNi:2.5 wt%以
下、Cr:2.5 wt%以下、Mo:2.5 wt%以下、Cu:2.5 wt
%以下のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、
残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、また残留
オーステナイトが5〜20 vol%で、残部は主にポリゴナ
ルフェライトからなる鋼組織を有し、該ポリゴナルフェ
ライト粒のうち、粒径:8μm 以下の微細粒が個数比率
で全体の85%以上を占め、かつ平均粒径が5μm 以下で
あることを特徴とする超微細粒を有する延性、靱性、耐
疲労特性および強度−伸びバランスに優れた高張力熱延
鋼板。
【0012】3. C:0.05〜0.30wt%、Si:0.30〜2.
0 wt%、Mn:1.0 〜2.5 wt%、Al:0.003 〜0.100 wt
%、Nb:0.05〜0.50wt%を含有する組成になる鋼スラブ
を、 950℃以上1100℃以下の温度に加熱後、1パス当た
りの圧下率が20%以上となる粗圧延を少なくとも2回行
うと共に、仕上温度:Ar3変態点以上の条件で熱間仕上
圧延を終了したのち、20℃/秒以上の冷却速度で冷却
し、 350〜550 ℃の温度範囲で巻き取ることを特徴とす
る超微細粒を有する延性、靱性、耐疲労特性、強度−伸
びバランスに優れた高張力熱延鋼板の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明において鋼板の成
分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。 C:0.05〜0.30wt% Cは、必要な強度を得るためおよび組織微細化に重要な
加熱段階でのNbCを十分な量を確保するために、少なく
とも0.05wt%を必要とする。一方、0.30wt%を超えると
パーライト相の比率が高くなり、延性および靱性が劣化
するだけでなく、溶接性も劣化する。従って、C含有量
は0.05〜0.30wt%の範囲に限定した。特に好ましい範囲
は0.05〜0.20wt%である。
【0014】Si:0.30〜2.0 wt% Siは、固溶強化により伸びの著しい低下を伴わずに強度
を高めるだけでなく、フェライト変態を促進させる有用
元素である。また、フェライト変態の促進により残留オ
ーステナイトを含む組織を得やすくする効果も有してい
る。このような効果を十分に発揮させるためには0.30wt
%以上の添加が必要であが、一方で、Siの多量添加は、
熱延時に脱スケール性の悪いスケールが生成して製品の
表面性状に悪影響を及ぼす。この発明では、超微細組織
を得るため加熱温度を低温域に設定するので、上記した
表面状態を悪化させるSi量の上限は、通常に比べると高
くできるけれども、 2.0wt%を超えるとその悪影響が顕
在化するので、上限は 2.0wt%とした。なお、フェライ
ト変態を促進させる点では、0.50〜2.0 wt%がより好適
である。
【0015】Mn:1.0 〜2.5 wt% Mnは、強度向上に有効な元素であり、この目的のために
はMn単独では 1.0wt%以上の添加が必要である。しかし
ながら、2.5 wt%を超えるとフェライト変態が著しく遅
延し、この発明で所期した量のフェライト組織が得難く
なるので、Mn量は 1.0〜2.5 wt%の範囲に限定した。
【0016】Al:0.003 〜0.100 wt% Alは、脱酸に極めて有効に作用する元素であるが、0.00
3 wt%未満ではその効果が得られず、一方 0.100wt%を
超えると結晶粒の粗大化および介在物による内部欠陥を
もたらす。そのため、Al量は 0.003〜0.100 wt%の範囲
に限定した。結晶粒微細化のためには 0.010〜0.060 wt
%が好ましい。
【0017】Nb:0.05〜0.50wt% Nbは、NbCとして、スラブ加熱段階における初期オース
テナイト粒を微細化させ、圧延過程での動的再結晶を生
じさせるために、不可欠の元素である。オーステナイト
粒微細化に必要なNbCを得るためには、少なくとも0.05
%の添加が必要であるが、0.50%を超えるとNbCによる
微細化効果は飽和に達するので、Nb量は0.05〜0.50wt%
の範囲に限定した。
【0018】以上、基本成分について説明したが、この
発明では強度改善成分としてさらにNi、Cr、MoおよびCu
等を以下の範囲で適宜添加することができる。 Ni:2.5 wt%以下、Cr:2.5 wt%以下、Mo:2.5 wt%以
下、Cu:2.5 wt%以下 Ni、Cr、MoおよびCuはいずれも、強度向上に有用な元素
である。強度以外にも耐食性や溶接性等の改善にも有効
に寄与する。添加量は、強度や要求される特性により選
択できるが、いずれの元素も 2.5wt%を超えると、フェ
ライト変態が著しく遅延し、所望のフェライト量が得難
くなるので、 2.5wt%以下で含有させるものとした。好
ましくは、フェライト変態を著しく遅らせないために、
Ni、Cr、MoおよびCuとも 1.5wt%以下が望ましい。
【0019】なお、不可避的不純物として、PやS、N
等は少ないほど好ましいが、経済性を考慮すると、O:
0.008 wt%以下、N:0.006 wt%以下、P:0.020 wt%
以下、S:0.010 wt%以下とするのが望ましい。
【0020】次に、鋼組織およびポリゴナルフェライト
の粒径を前記の範囲に限定した理由について説明する。 残留オーステナイト量:5〜20 vol% 残留オーステナイトは、5〜20 vol%の範囲で残留させ
る必要がある。図1に、残留オーステナイト量とシャル
ピー衝撃試験における破面遷移温度( Vrs)、両振り
平面曲げ疲労試験における耐疲労限と引張強さの比(FL
/TS)および強度−伸びバランス(TS×El)との関係に
ついて調べた結果を示したが、同図から明らかなよう
に、残留オーステナイト量が5 vol%未満では、靱性、
耐疲労特性および強度−伸びバランスとも低く、一方20
vol%を超える残留オーステナイトを確保することは難
しいので、残留オーステナイト量は5〜20 vol%の範囲
とした。この発明の主要な要件の1つである残留オース
テナイトが安定して存在することが、高張力化しても延
性、靱性、耐疲労特性、強度−伸びバランスを安定して
確保できる要因の1つである。
【0021】上記した残留オーステナイト以外は、でき
るだけポリゴナルフェライトとする(好ましくは 80vol
%以上)必要がある。というのは、ポリゴナルフェライ
トは、延性・靱性を確保しつつ、高張力化を達成するた
めに極めて有用だからである、この点、ポリゴナルフェ
ライト以外のベイナイトやマルテンサイトが増すと強度
は増加するけれども、延性、靱性は劣化する。そのた
め、可能な限り、組織はフェライトそれもポリゴナルフ
ェライトとすることが望ましい。図2に、ポリゴナルフ
ェライト量と、 vrs、FL/TSおよびTS×Elとの関係に
ついて調べた結果を示す。同図に示したとおり、ポリゴ
ナルフェライト量が多いほど特に80 vol%以上の範囲で
高い靱性、高い耐疲労限と引張強さの比、高い強度−伸
びバランスが得られている。なお、ポリゴナルフェライ
トとは、ここでは、結晶粒の圧延方向と直角方向の粒径
比が 1.0〜1.3 の範囲にあるものをいう。
【0022】ポリゴナルフェライト粒径:8μm 以下の
微細粒の個数比率が85%以上で、かつ平均結晶粒径:5
μm 以下 従来よりも格段に優れた諸特性を得るためには、上記の
ような超微細組織とすることが不可欠だからであり、ポ
リゴナルフェライト粒径:8μm 以下の微細粒の個数比
率が85%に満たなかったり、平均結晶粒径が5μm 超の
場合には、この発明で所期したほど良好な延性、靱性、
耐疲労特性および強度−伸びバランス等が得られないか
らである。なお、かかる超微細組織は、現有の圧延設備
では、この発明に従って炭化物としてNbCを活用しては
じめて得られるものであり、これ以上微細な組織とする
ためには、熱延設備の大幅な改造が必要である。
【0023】図3に、ポリゴナルフェライトの平均粒径
vrs、FL/TSおよびTS×Elとの関係について調べた
結果を示す。同図に示したとおり、平均粒径が小さくな
るほど特に平均粒径≦5μm の範囲で高い靱性、高い耐
疲労限と引張強さの比、高い強度−伸びバランスが得ら
れている。
【0024】次に、この発明に従う具体的な製造工程に
ついて説明する。この発明における溶製方法は、通常の
方法で良く、特に限定しない。転炉または電気炉で溶製
し、取鍋精錬、脱ガス処理等を施し、連鋳法あるいは造
塊法によってスラブまたは鋼塊とし、鋼塊は分塊圧延を
経てスラブとしたのち、熱間圧延により、熱延鋼板とす
る。熱間圧延前にスラブの幅圧下を施しても良い。
【0025】次に、熱間圧延条件について説明する。 スラブ加熱温度:950 〜1100℃ この発明の最も重要なポイントは、初期オーステナイト
粒を微細化するため、NbCの析出を利用するところにあ
る。このため、スラブの加熱温度を 950〜1100℃の範囲
に限定した。というのは 950℃未満では、仕上圧延をオ
ーステナイト領域で終了することが難しくなるため、目
的とするポリゴナルフェライト組織を得ることおよび延
性、靱性、耐疲労特性、強度−伸びバランス等の機械的
性質の確保、とくに延性の確保が難しくなるからであ
る。また、1100℃を超えるとNbCの溶解が増し、NbCに
よるオーステナイト粒を微細化する効果が失われると共
に、固溶Nbの増加により熱間圧延時の動的再結晶が生じ
難くなることなどにより、残留オーステナイトを含みか
つ超微細なポリゴナルフェライト組織を得ることが難し
くなるからである。
【0026】1パス当たりの圧下率:20%以上の圧下を
少なくとも2回 この発明の重要なポイントのもう1つは、オーステナイ
ト粒を動的再結晶により微細化することにある。オース
テナイト粒が動的再結晶を起こすためには、上記した初
期オーステナイト粒の微細化と、さらに圧延条件を適切
にする必要がある。圧延条件として、少なくとも2回以
上1パス当たりの圧下率を20%以上とする必要がある。
というのは、20%未満では、動的再結晶による微細化が
生じ難いからである。オーステナイトの微細化の観点か
らは、圧下率は大きい方が好ましいが、実際的には圧延
機の能力、生産性から限界があるので、20%から50%程
度とするのが好ましい。1パス当たりの圧下率が20%以
上となるパスの回数は、少なくとも2回を必要とする。
それは、動的再結晶を起こさせる回数が多くなるほど微
細化が進展するのでパス回数が重要だからである。パス
回数が2回に満たない場合にはこの発明の目的とする平
均粒径:5μm 以下の超微細フェライトが得られなくな
る。この発明では、仕上圧延後の段階ではオーステナイ
ト粒はほぼ等軸粒で微細化している。そのまま、γ→α
変態を完了させれば、微細なポリゴナルフェライト粒に
なる。
【0027】熱間圧延仕上温度:Ar3変態点以上 熱間圧延仕上温度をAr3変態点以上とした理由は、十分
な量のポリゴナルフェライトを安定して得るためであ
り、Ar3変態点未満で圧延した場合には、ポリゴナルフ
ェライトによる良加工性(延性、伸びフランジ性)が得
られないからである。
【0028】圧延後の冷却速度:20℃/秒以上 冷却速度が20℃/秒未満では、高温で生成するフェライ
ト粒の粒成長が進行し、微細なポリゴナルフェライト粒
の形成が難しくなるため、圧延後の冷却は20℃/秒以上
の速度で行うものとした。フェライト粒微細化の点から
は、圧延後の冷却速度は速ければ速いほどよく、冷却速
度の上限は特に規定しないけれども、鋼板の平坦度を良
好に保つためには 100℃/秒以下程度とするのが好まし
い。
【0029】巻取温度:350 〜550 ℃ 圧延、冷却後、コイルに巻き取られるが、巻き取り温度
は、 350〜550 ℃の範囲とする必要がある。というの
は、 550℃を超えると残留オーステナイトの形成が少な
くなる他、巻き取り後の自己焼鈍によりフェライト粒が
成長することなど好ましくない結果が生じ、一方 350℃
未満ではマルテンサイト量が増し、残留オーステナイト
量が減少し、特性バランスの劣化および鋼板の平坦度の
低下が生じるからである。
【0030】
【実施例】表1に示す成分組成になる鋼を、転炉−連鋳
法で溶製し、220 mm厚のスラブとした。ついで、表2に
示す圧延条件で3.0mm 厚の熱延鋼板とした。得られた各
熱延鋼板について、ポリゴナルフェライトの体積率、8
μm 以下の微細粒の個数比率および平均結晶粒径を、画
像処理装置を用いて測定した。フェライト結晶粒径は
0.1×0.1 mmの視野で10箇所測定し、その平均値を表示
した。また、残留オーステナイト量をX線回折で測定し
た。得られた結果を表2に併記する。さらに、JIS 5号
試験片による引張特性、周波数:20Hzの両振り平面曲げ
試験法による疲労限、2mmVノッチシャルピー衝撃試験
片による延性−脆性遷移速度( vT rs)について調査
し、その結果を表3に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】さらに、得られたデータを整理して、結晶
粒径とTS×λとの関係、結晶粒径と Vrsとの関係、結
晶粒径とFL/TSとの関係、結晶粒径とTS×Elとの関係お
よびTS×ElとFL/TSとの関係にまとめた結果を、それぞ
れ図4、図5、図6、図7および図8に示す。
【0035】図4〜7に示したとおり、この発明に従い
ポリゴナルフェライト粒の結晶粒径を5μm 以下(d
-1/2で示す場合は14.1以上)とすることにより、TS×λ
をはじめとして、 Vrs、FL/TSおよびTS×Elとも格段
に改善され、従ってこの発明によれば、図8に示したと
おり、TS×Elが 26000 MPa・%以上でかつFL/TSが0.58
以上の優れた強度−伸びバランスおよび疲労試験におけ
る耐疲労限と引張強さの比を得ることができた。
【0036】
【発明の効果】かくして、この発明に従い、NbCの存在
下に、圧延−動的再結晶を利用することによって、超微
細なポリゴナルフェライト粒を得ると共に、適当量の残
留オーステナイトを残存させることにより、延性はもと
より、靱性、耐疲労特性および強度−伸びバランスに優
れた高張力熱延鋼板を安定して得ることができる。ま
た、この発明の鋼板を用いて製品を製造する際には、作
業性、生産性および歩留り等の向上が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】残留オーステナイトと Vrs、FL/TSおよびTS
×Elとの関係を示したグラフである。
【図2】ポリゴナルフェライト量と vrs、FL/TSおよ
びTS×Elとの関係を示したグラフである。
【図3】ポリゴナルフェライトの平均粒径と vrs、FL
/TSおよびTS×Elとの関係を示したグラフである。
【図4】結晶粒径とTS×λとの関係を示したグラフであ
る。
【図5】結晶粒径と Vrsとの関係を示したグラフであ
る。
【図6】結晶粒径とFL/TSとの関係を示したグラフであ
る。
【図7】結晶粒径とTS×Elとの関係を示したグラフであ
る。
【図8】TS×ElとFL/TSとの関係を示したグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/58 C22C 38/58

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.05〜0.30wt%、 Si:0.30〜2.0 wt%、 Mn:1.0 〜2.5 wt%、 Al:0.003 〜0.100 wt%、 Nb:0.05〜0.50wt% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成にな
    り、また残留オーステナイトが5〜20 vol%で、残部は
    主にポリゴナルフェライトからなる鋼組織を有し、該ポ
    リゴナルフェライト粒のうち、粒径:8μm 以下の微細
    粒が個数比率で全体の85%以上を占め、かつ平均粒径が
    5μm 以下であることを特徴とする超微細粒を有する延
    性、靱性、耐疲労特性および強度−伸びバランスに優れ
    た高張力熱延鋼板。
  2. 【請求項2】C:0.05〜0.30wt%、 Si:0.30〜2.0 wt%、 Mn:1.0 〜2.5 wt%、 Al:0.003 〜0.100 wt%、 Nb:0.05〜0.50wt% を含み、かつ Ni:2.5 wt%以下、 Cr:2.5 wt%以下、 Mo:2.5 wt%以下、 Cu:2.5 wt%以下 のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、残部は
    Feおよび不可避的不純物の組成になり、また残留オース
    テナイトが5〜20 vol%で、残部は主にポリゴナルフェ
    ライトからなる鋼組織を有し、該ポリゴナルフェライト
    粒のうち、粒径:8μm 以下の微細粒が個数比率で全体
    の85%以上を占め、かつ平均粒径が5μm以下であるこ
    とを特徴とする超微細粒を有する延性、靱性、耐疲労特
    性および強度−伸びバランスに優れた高張力熱延鋼板。
  3. 【請求項3】C:0.05〜0.30wt%、 Si:0.30〜2.0 wt%、 Mn:1.0 〜2.5 wt%、 Al:0.003 〜0.100 wt%、 Nb:0.05〜0.50wt% を含有する組成になる鋼スラブを、 950℃以上1100℃以
    下の温度に加熱後、1パス当たりの圧下率が20%以上と
    なる圧延を少なくとも2回行うと共に、仕上温度:Ar3
    変態点以上の条件で熱間仕上圧延を終了したのち、20℃
    /秒以上の冷却速度で冷却し、 350〜550 ℃の温度範囲
    で巻き取ることを特徴とする超微細粒を有する延性、靱
    性、耐疲労特性、強度−伸びバランスに優れた高張力熱
    延鋼板の製造方法。
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