JPH11180891A - 抗細胞死剤 - Google Patents

抗細胞死剤

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JPH11180891A
JPH11180891A JP9356757A JP35675797A JPH11180891A JP H11180891 A JPH11180891 A JP H11180891A JP 9356757 A JP9356757 A JP 9356757A JP 35675797 A JP35675797 A JP 35675797A JP H11180891 A JPH11180891 A JP H11180891A
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JP
Japan
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cell death
caspase
agent
human caspase
aspartic acid
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JP9356757A
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Atsushi Suzuki
敦 鈴木
Nobuhiko Wagai
信彦 和賀井
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Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 ヒト キャスペースまたは/およびヒト キャスペース
活性誘導因子を阻害する物質を含有する抗細胞死剤に関
する。本願発明の抗細胞死剤により、細胞死に起因する
疾病の治療が可能となる。 【課題】 細胞死に起因する、肝炎、虚血性脳疾患、ア
ルツハイマー氏病及び抗腫瘍剤投与による副作用などを
治療する抗細胞死剤を提供する。 【解決手段】 ヒト キャスペースまたは/およびヒト
キャスペース活性誘導因子を阻害すること、特に、活
性型蛋白質となる過程におけるプロセシング過程を阻害
することで、効率よくその作用効果を発揮できる、アル
デヒド化した蛋白質などを抗細胞死剤として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、作用としてある種
のシステインプロテアーゼ等を阻害する機能を有する、
この阻害する物質を含有する抗細胞死剤、および抗細胞
死剤を有効成分とする細胞死に起因する疾病の治療薬に
関する。
【0002】
【従来技術】細胞死は、細胞増殖と共に生体の恒常性に
重要な生命現象である。細胞死には2種類の過程がある
とされ、それぞれアポトーシス性細胞死(apoptotic ce
ll death)と壊死性細胞死(necrotic cell death )と
呼ばれている。アポトーシス性細胞死は、その特異形態
として細胞質および細胞膜の分断化や染色体DNAの断
片化が見られ、発生過程や生殖器官系および免疫系など
で観察されている。また、壊死性細胞死は、熱ショック
や裂傷等物理的刺激によりおこるもので壊死として観察
される。近ごろ細胞死、中でも主にアポトーシス性細胞
死が肝炎や自己免疫疾患等の疾患に密接な関係を持つこ
とが明らかにされ、その分子機構の解明が医学分野で重
要視されている。
【0003】線虫を使ったアポトーシス性細胞死関連因
子の探索研究から、CED−3と呼ばれるシステインプ
ロテアーゼが単離された。CED−3と高い相同性を示
す因子を動物細胞で検索したところCED−3は、イン
ターロイキン−1β変換酵素(ICE)と高い相同性を
示した。また、分化抗原CD4およびICEの培養細胞
への遺伝子導入試験から、両因子とも単独でアポトーシ
ス性細胞死を誘起し、ICE/CED−3の活性化がア
ポトーシス性細胞死信号伝達において重要な働きをして
いることが明らかになった。既にアポトーシス性細胞死
のレセプターとして単離されていたFasやタイプ1腫
瘍壊死因子レセプターも、各々のリガンドであるFas
リガンドや腫瘍壊死因子α(TNF−α)との結合によ
りICE/CED−3を活性化させる。
【0004】現在ヒトでは、10種類のICE/CED
−3ファミリー・システインプロテアーゼが単離されて
おり、これらはさらにICE、CPP32及びICHの
3種のサブファミリーに分類される。現在、ICEサブ
ファミリー・システインプロテアーゼによる活性化がC
PP32サブファミリー・システインプロテアーゼを活
性化させるというICEカスケード(Enali, et al.,Na
ture Vol.380, p723-726, 1996 )やCPP32サブフ
ァミリー単独でのアポトーシス信号伝達系(apoptotic d
eath signaling) 誘起(Hasegawa J., et al., Cancer
Res. vol.56, p1713-1718, 1996 )が報告されている。
【0005】最近、ヒトのICE/CED−3ファミリ
ー・システインプロテアーゼの名前を「キャスペース(C
aspese) 」ファミリーという名称で統一しようとする提
案(Emad S. Alnemri et al., Cell, Vol.87 p171,199
6)がある。この名称では、ヒト キャスペース−1
(Caspase−1)がICEに対応し、ヒト キャ
スペース−3(Caspase−3)がCPP32、Y
amaおよびアポパイン(apopain )に対応する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、細胞死に関連
し、詳細なアポトーシス性細胞死信号伝達機構が解明さ
れつつあるが、知られている経路の他、抗腫瘍剤のよう
な薬剤によっても誘起される。ヒトにおけるICE/C
ED−3相同体(Homolog) は、このような薬剤誘導性細
胞死にも密接に関与し、様々な報告がなされており(Ma
shima, et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun., Vol.20
9, p907-915, 1995; Suzuki and Kato, Exp.Cell Res.
Vol.227, p154-159, 1996 )、例えば、病因、薬効お
よび薬物の副作用に関係している。発明者は、ICE/
CED−3相同体の制御は疾患や副作用の抑制に大きく
貢献すると考えている。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで発明者は、ヒト
キャスペース(Caspase)または/およびヒトキ
ャスペース(Caspase)活性誘導因子の阻害作用
を有するものについて検討を進め、この一例として抗細
胞死活性を有する治療剤の可能性を明らかにし、発明を
完成した。
【0008】今まで知られていないアポトーシス阻害剤
として、キャスペース−3(CPP32サブファミリー
の1つであるCPP32/Yama)のN末端切断部の
一部分である配列、つまり、アミノ酸配列がグルタミン
酸−セリン−メチオニン−アスパラギン酸で示される蛋
白質のアルデヒドで修飾した蛋白質(ESMD−CH
O)を作製した。
【0009】キャスペース 3(CPP32/Yam
a)は、分子量32Kdの酵素前駆体(Zymogen) から分子
量29Kdの活性型蛋白質への変換を司る。この29Kdの
キャスペース−3は、それ自身でアポトーシス性細胞死
を誘導することが可能で、Fas等の刺激によりわずか
1分で活性型となる。よって、キャスペース−3のN末
端切断部の一部であるアルデヒド修飾した蛋白質である
ESMD−CHOは、未知のキャスペース−3活性誘導
因子を阻害できると考えた。つまり、活性型蛋白質の生
成を阻害してやれば細胞死シグナルの伝達を確実に止め
ることができ、引いては細胞死に起因する疾病の治療薬
の利用が可能と考えた。
【0010】そこで、ESMD−CHOの抑制能、つま
りキャスペース−3活性抑制能を測定すればその阻害活
性を調べることができる。
【0011】ヒト キャスペース−1、ヒト キャスペ
ース−3(Caspase−3)活性誘導因子などにつ
いても同様に考え、阻害効果を有する抗細胞死剤を設計
すれば良い。ここに挙げたキャスペース−1、キャスペ
ース−3やキャスペース−3誘導因子の活性型の阻害効
果は、細胞死・シグナルカスケードの上流で特異的に阻
害効果をすることになり、より効果的にシグナル伝達を
阻止し、細胞死に起因する種々の疾患を治療できる。
【0012】
【発明の構成】本発明は、ヒト キャスペース(Cas
pase)または/およびヒト キャスペース(Cas
pase)活性誘導因子の阻害作用を有する薬品に関す
る。
【0013】また、本発明は、ヒト キャスペース−1
(Caspase−1)または/およびヒト キャスペ
ース−3(Caspase−3)の阻害作用を有する薬
品に関する。前述したように、ICE/CED−3の遺
伝子導入実験から、両者がアポトーシス死シグナルに重
要な意味を持っていることが明らかとなった。その後、
数多くのICE/CED−3関連の遺伝子が単離され、
これらをICE/CED−3相同体(Homolog) と称する
ようになっている。
【0014】ICE/CED−3相同体としては、IC
E、CPP32、Yama、アポパインなどを挙げるこ
とができる。キャスペースの名称では、前述のようにヒ
トキャスペース−1(Caspase−1)がICEに
対応し、ヒト キャスペース−3(Caspase−
3)がCPP32、Yamaおよびアポパインに対応す
る。
【0015】薬品とは、人体にとって有用な作用を利用
して、疾病の治療・予防が行える化学物質等の総称であ
る。上述した阻害作用を有するものならば、薬品となる
可能性がある。
【0016】本発明は、ヒト キャスペースまたは/お
よびヒト キャススペース(Caspase)活性誘導
因子を阻害する物質を含有する抗細胞死剤に関する。
【0017】また更に、ヒト キャスペース−1(Ca
spase−1)または/およびヒト キャスペース−
3(Caspase−3)を阻害する物質を含有する抗
細胞死剤に関する。
【0018】抗細胞死剤とは、細胞死という現象を何ら
かの作用により阻止または現象出現の低減が図れるもの
を言う。効果を示すこの作用として、ヒト キャスペー
ス−1(Caspase−1)または/およびヒト キ
ャスペース−3(Caspase−3)を阻害すること
が望ましい。これらは、細胞死信号伝達機構の細胞内カ
スケードの初期の出来事に関与していると考えられ、カ
スケードの終わりあたりの出来事などの作用を阻害する
よりも、より効果的に阻害効果を示すと考えられる。こ
の効果を示すものとして、ヒト キャスペース(Cas
pase)または/およびヒト キャスペース(Cas
pase)活性誘導因子の阻害作用が、ヒト キャスペ
ースまたは/およびヒト キャスペース活性誘導因子の
活性型と成る過程における脱プロセシングによるもので
あればよい。また、ヒト キャスペース−1(Casp
ase−1)または/およびヒト キャスペース−3
(Caspase−3)の阻害作用が、ヒト キャスペ
ース−1(Caspase−1)または/およびヒト
キャスペース−3(Caspase−3)の活性型と成
る過程における脱プロセシングによるものであればよ
い。
【0019】脱プロセシングは、キャスペースのプロセ
シング部位アミノ酸配列を含む蛋白質の修飾体であれ
ば、キャスペースをプロセシングし、活性化する酵素を
阻害でき、引いてはキャスペースの活性を阻害できる。
【0020】つまり、キャスペースのプロセシング部位
アミノ酸配列を含む蛋白質の修飾体であれば抗細胞死剤
としての利用が可能である。
【0021】更に詳しくは、 以下のアミノ酸配列の群
より選ばれる1つ以上の蛋白質のアルデヒド化された蛋
白質を含有する抗細胞死剤に関する。
【0022】チロシン−バリン−アラニン−アスパラギ
ン酸、アスパラギン酸−グルタミン酸−バリン−アスパ
ラギン酸、およびグルタミン酸−セリン−メチオニン−
アスパラギン酸。
【0023】この群の中で好ましくは、アミノ酸配列
が、グルタミン酸−セリン−メチオニン−アスパラギン
酸である蛋白質のアルデヒド化された蛋白質である。
【0024】これらのアミノ酸配列は、ヒト由来のキャ
スペ−スのプロセシング部位アミノ酸配列を含んでいた
り、部位近傍の配列を含むと考えられるものである。
【0025】この作用を有する修飾された蛋白質であれ
ば、本発明の効果は達成される。蛋白質としては、プロ
セシング酵素の基質結合部位に結合するが、その酵素作
用を受けずに結合部位に留まっていることで、阻害活性
を示すものが望ましい。このような阻害活性を有するも
のとして修飾された蛋白質が挙げられ、その修飾方法
は、蛋白質の空間形態を大きく変化させずに、修飾され
た蛋白質が安定に存在できるものであれば良く、具体的
には、アルデヒド化、アミド化、アミノ酸側鎖へ糖類の
付加及びリン酸化などが挙げられ、これらの内、好まし
くは、アルデヒド化が挙げられる。また、修飾される蛋
白質はその長さ(大きさ)が長い(大きい)必要はな
く、効果を達成できれば良く、具体的には、アミノ酸の
数にして2から10であれば良く、好ましくは3から5
であり、特に好ましくは4である。
【0026】さらに、上記作用を有するものは、蛋白質
の構造を有していなくてもよい。化学合成等で得られる
化合物も、作用を有するアルデヒド化蛋白質のアミノ酸
残基を考慮した空間配位を参考に設計し、合成が可能で
ある。
【0027】本発明では、例として、ICE/CED−
3相同体の蛋白質生成過程における、翻訳後の制御の段
階を阻害し、その活性出現を阻止している。更に詳しく
は、アルデヒド化されたチロシン−バリン−アラニン−
アスパラギン酸、アルデヒド化されたアスパラギン酸−
グルタミン酸−バリン−アスパラギン酸、およびアルデ
ヒド化されたグルタミン酸−セリン−メチオニン−アス
パラギン酸のアミノ酸配列は、蛋白質のプロセシングに
おけるプロセス近傍の配列の一部である。修飾されたこ
れらの配列の蛋白質をプロセシング過程に共存させるこ
とにより、プロセシング酵素の認識・結合を狂わせ、酵
素作用を減少ないし阻止し阻害効果を達成するものであ
る。
【0028】本発明は、前述の抗細胞死剤を含有する、
細胞死に起因する疾病の治療剤にも関する。
【0029】本発明は、細胞死に起因する疾病の中で
も、肝炎、虚血性脳疾患、アルツハイマー氏病、抗腫瘍
剤投与による副作用である骨髄毒性及び下痢から選ばれ
るものである疾病の治療剤に関する。細胞死に起因する
疾病の中でも、肝炎の治療剤に関する。
【0030】また、本発明は、アミノ酸配列が、グルタ
ミン酸−セリン−メチオニン−アスパラギン酸である蛋
白質のアルデヒド化された蛋白質を含有する、細胞死に
起因する肝炎の治療剤に関する。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の阻害剤の効果は、以下の
ようにして調べることができる。 1.Fas抗体誘導細胞死抑効果の検討 1)急性のFas媒介アポトーシスのin vitro(試験管
内)モデル細胞であるD98AH2−Fas細胞[ヒト
子宮頸ガン細胞であるヒラ細胞(Hela cell) にインヒビ
ター・ドメインを欠損したヒトFas変異体FD−5を
遺伝子導入し作製した細胞]を用い、ESMD−CHO
処理または未処理によりヒトFas抗体(Fas A
b)誘導細胞死の抑制をMTTアッセイ(Suzuki and K
ato, Exp.Cell Res. Vol.227, p154-159, 1996)および
ヘキスト33342染色法により検討する。
【0032】2)ESMD−CHO処理または未処理の
D98AH2−Fas細胞をFasAbで処理し、細胞
質中のCPP32/Yama活性をDEVD−MCA
(Hasegawa J., et al., Cancer Res. vol.56, p1713-1
718, 1996 )を基質とし蛍光分光光度計で測定する。
【0033】3)上記処理の細胞から抽出した細胞質性
蛋白質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によ
り分離し、抗ヒトCPP32抗体を用いた免疫ブロッテ
ィング法を行う。この実験によりCPP32/Yama
のFas Abによる分子シフトに対するESMD−C
HOの効果を検討する。
【0034】2.ICE/CED−3関連因子阻害剤の
劇症肝炎モデルマウスへの効果検討 ESMD−CHOについては、上記実験法によりそのC
PP32/Yama活性阻害能を検討した後、これに既
知のICE/CED−3相同体の阻害剤であるアミノ酸
配列が、チロシン−バリン−アラニン−アスパラギン酸
で示される蛋白質のアルデヒドで修飾した蛋白質[YV
AD−CHO(ICEサブファミリー阻害剤)]および
アミノ酸配列がアスパラギン酸−グルタミン酸−バリン
−アスパラギン酸のアルデヒドで修飾した蛋白質[DE
VD−CHO(CPP32サブファミリー阻害剤)]を
加えた3種類の抗ICE/CED−3相同体合成ペプチ
ドのin vitro外挿性について以下の実験により検討すれ
ばよい。
【0035】1)抗マウスFas抗体(Jo2クロー
ン)のマウスへの尾静脈内投与は、劇症肝炎のモデルと
して確立されている(Lacronique, V., et al. Nature
Med. vol.2, p80-86,1996 ; Rodrigues, I., et al. J.
Exp.Med. vol.183, p1031-1036,1996 )。これは、肝細
胞表面に発現しているFasがFas Abの刺激によ
りアポトーシス性細胞死伝達を誘起した結果起こる肝細
胞死である(Ogasawara,J., et al. Nature vol.364,p8
06-809, 1993 )。このモデルを用い、マウスの生死、
血液生化学検査、染色体DNA検査および組織学的検査
を指標とし、抗ICE/CED−3相同体合成ペプチド
のin vitroでのアポトーシス抑制能の有無について検討
すればよい。
【0036】3.効果の確認から治療応用へ 検討した結果から効果を確認し、更に、以下に述べる考
え方から治療方法での応用が可能となる。In vitroから
の結果がほとんどであるが、ウイルス性肝炎において以
下のような見解が示されている。
【0037】通常肝細胞は、Fasを発現している。こ
れがウイルスの感染により細胞膜表面にウイルスの感染
を表わす抗原が発現する。細胞障害性T細胞(Cytotoxi
c Tlymphocyte;CTL) は、この抗原を認識しウイル
ス感染肝細胞と接触する。この接触により、CTL上の
FasリガンドとFasが結合し、肝細胞をアポトーシ
ス性細胞死により除去する。この結果感染した大量の肝
細胞の死により肝炎というかたちで症状が現われるとい
うものである。
【0038】また、抗体の投与と同様に肝障害を誘起す
るLPS(リポポリサッカリド)の投与に対し、ICE
ノックアウト・マウスは抵抗性を示したことから、やは
りICE/CED−3相同体の直接関与がうかがえる
(Li , et al. Cell Vol.80,p401-411, 1995 )。これ
より、Fas媒介アポトーシスにおいてはICE/CE
D−3相同体の活性化が必須であると考えている。
【0039】上記のウイルス性劇症肝炎モデルは、アポ
トーシス抑制効果をもつ癌遺伝子bcl−2の遺伝子導
入(transgene)によっても抑制される。Bcl−2はI
CE/CED−3相同体活性化の前段階を抑制すると考
えられており(Simizu, S.,et al. Oncogene vol.13, p
21-29, 1996)、この結果からアポトーシス性細胞死抑
制つまりICE/CED−3相同体の活性抑制が肝炎に
対し有効であることが明らかであると考える。
【0040】アポトーシスのメカニズムは、進化の過程
で保存されていると考えられる。特に、哺乳類では種を
越えて同じものと考えられ、上記のマウス等の実験結果
は、ヒトも同様なメカニズムでアポトーシスが起こると
考えてよい。
【0041】現在、アポトーシス性細胞死が主要因とな
って起こる疾患として上述の各種肝炎、虚血性脳疾患、
アルツハイマー氏病等が、また薬物投与による副作用と
して抗腫瘍剤投与による骨髄毒性、下痢等が考えられ
る。これらは、本来生きているべき細胞が突然死んでし
まったために起こる現象である。発明者は、このような
不慮の死から細胞を守ることが上記疾患や副作用に対す
る治療法になりうると考えている。
【0042】なお、上記治療薬として本願発明の化合物
の投与量は、後に述べる効果の点から、0.02から1g/
kgである。その投与形態は、静脈注射が望ましい。
【0043】本願発明の化合物は、固相法による蛋白質
の製造法(Merrifield, R.B., J.Am.Chem.Soc., vol.8
5, 2149, 1963)などで所望のアミノ酸配列を有する蛋
白質を製造後、常法により、アルデヒド化などの修飾を
施せば良い。本願化合物の誘導体である、アミノ酸の側
鎖およびアルデヒドを保護した誘導体からは、強酸など
で側鎖保護基を、次いで、アルデヒド保護基のセミカル
バゾンなどをホルムアルデヒド・酢酸・メタノ−ル混液
などにて除去する。得られた脱保護体は、逆相のHPL
Cなどで精製を行い、本願化合物として利用できる。
【0044】以下に、本発明を実施例にて説明を行う。
本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではな
い。
【0045】
【実施例】(実施例1) アルデヒドで修飾された蛋白
質の細胞死阻害実験 1)Fas抗体での細胞死誘導および阻害剤の静脈注射 雄性Slc/ddy マウス5週令(静岡実験動物)を、1群1
6匹として用いた。抗マウスFas抗体(Jo2クロー
ン)(Pharmingen社製)は、リン酸緩衝生理食塩液(P
BS)で希釈した。10μgのFas抗体を静脈注射
し、対照としてPBSで希釈したハムスターIgGを同
時に静脈注射した。
【0046】注射後経過を観察し、各時間ごとに肺、心
臓、肝臓および甲状腺を分離し、染色体DNA分析、組
織学的分析およびCPP32サブファミリー活性の測定
に用いた。
【0047】CPP32サブファミリーの阻害剤、DE
VD−CHO(Peptide Lab.社製)は、ジメチルスルホ
キシド(DMSO)で溶解した。さらに、PBS(リン
酸緩衝生理食塩液)に溶解(DMSOの最終濃度で1
%)し、0.1〜0.5mgのDEVD−CHOを静脈
注射した。FAS抗体の静脈注射は2時間後に行った。
【0048】それぞれの実験は、3回繰り返した。
【0049】2)染色体DNAの分析 Fas抗体注入により、それぞれの組織でアポトーシス
を誘導したか否かを決めるため、染色体DNAの断片化
を公知方法(Suzuki A., et al., EMBO J. Vol.15, p21
1-215, 1996 )で分析した。
【0050】組織はLysis Buffer(100mM NaCl、25mM E
DTA 、100mM Tris-HCl pH8.0、0.5%SDSおよび0.3mg/ml
プロテイナーゼK )で50。C、15時間消化した。試
料をフェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール
(25:24:1)液で3回抽出し、クロロホルムで1
回抽出した。同量のイソプロパノールを水層に加え、D
NAを−20。Cで1時間沈殿させた。DNAを10mM T
ris-HCl pH8.0 - 10mMEDTA に溶解し、50μgRNア
ーゼで37。C1時間処理した。
【0051】蛋白質の分離処理を行い、DNAを前述の
ように沈殿させた。精製したDNAはA260/A28
0比を分光光度計により測定し、濃度を算出した。
【0052】約1μgのDNAを2%アガロースゲルを
用い、電気泳動用トリス−ホウ酸緩衝液中で、100V
/時間で電気泳動を行い分離した。泳動後、ゲルを5μ
g/mlのエチジウムブロミドで5分間染色し、蒸留水
でリンス後、紫外線照射によりその泳動像を観察した。
【0053】3)組織化学的分析 マウス組織は、ホルマリンで固定し、パラフィン包埋
後、8μmで連続切片を作成した。切片はデラフィード
のヘマトキシリンおよびエオジンか、ヘキスト3334
2で染色した。ヘキスト33342染色は、常法を修飾
したものを用いた。
【0054】切片はキシレンとエタノールで処理し、P
BSで洗浄した。洗浄後、1μMのヘキスト33342
で18時間反応させた。
【0055】4)蛋白質の抽出およびCPP32サブフ
ァミリー活性の測定 蛋白質の抽出と酵素アッセイは、常法(Hasegawa J., e
t al., Cancer Res. vol.56, p1713-1718, 1996 )を用
いた。組織を分離後、PBSで洗浄後、1mM EDTA 含有
PBS中で切り刻む。これに、最終濃度10μMジギト
ニン(Sigma 社製)となるように添加し、30分37。
Cでインキュベートする。さらに、15000rpm、
5分の遠心分離操作で沈殿を集めアッセイ試料とした。
【0056】試料は、DC蛋白質アッセイ・キット(Bi
o Rad 社製)を用いて測定した。
【0057】CPP32サブファミリー活性は、各試料
に10μlの50μMのDEVD−MCA(Peptide La
b.社製)を加えインキュベートし、アミノ−4−メチル
クマリンの放出を分光光度計でモニターした。
【0058】これらの実験の結果、Fas抗体投与によ
って肝臓及び肺臓で、CPP32サブファミリーの活性
が急激に起こることが解った。
【0059】更に、図1に示されるように、DEVD−
CHOは細胞死を阻害し、個体の生存率を著しく高め
た。
【0060】
【発明の効果】本願発明の抗細胞死剤により、アポト−
シス由来の細胞死を阻害することができ、細胞死に由来
する肝炎などの治療薬となり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 DEVD−CHOにより、細胞死が阻害でき
ることを示した、経過時間時の生存率を表す図である。
【配列表】配列番号:1 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド ハイポセティカル配列:Yes 起源:化学合成 配列の特長 他の情報:C末端Asp がアルデヒドで修飾されている。 配列 Tyr Val Ala Asp 配列番号:2 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド ハイポセティカル配列:Yes 起源:化学合成 配列の特長 他の情報:C末端Asp がアルデヒドで修飾されている。 配列 Asp Glu Val Asp 配列番号:3 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド ハイポセティカル配列:Yes 起源:化学合成 配列の特長 他の情報:C末端Asp がアルデヒドで修飾されている。 配列 Glu Ser Met Asp
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 38/55 ACS A61K 37/64 ABR AED ABS 45/00 ACJ C07K 5/107 ZNA ACS 5/113 AED

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト キャスペース(Caspase)
    または/およびヒトキャスペース(Caspase)活
    性誘導因子を阻害する物質を含有する抗細胞死剤。
  2. 【請求項2】 ヒト キャスペース−1(Caspas
    e−1)、ヒト キャスペース−3(Caspase−
    3)およびヒト キャスペース−3活性誘導因子のうち
    少なくとも1つを阻害する物質を含有する抗細胞死剤。
  3. 【請求項3】 ヒト キャスペース(Caspase)
    または/およびヒトキャスペース(Caspase)活
    性誘導因子の阻害が、ヒト キャスペースまたは/およ
    びヒト キャスペース活性誘導因子の活性型と成る過程
    における脱プロセシングによるものである、阻害する物
    質を含有する抗細胞死剤。
  4. 【請求項4】 ヒト キャスペース−3(Caspas
    e−3)活性誘導因子の阻害が、ヒト キャスペース−
    3(Caspase−3)活性誘導因子の活性型と成る
    過程における脱プロセシングによるものである、阻害す
    る物質を含有する抗細胞死剤。
  5. 【請求項5】 キャスペースのプロセシング部位近傍の
    アミノ酸配列を含む蛋白質の修飾体を含有する抗細胞死
    剤。
  6. 【請求項6】 以下のアミノ酸配列の群より選ばれる1
    つ以上の蛋白質のアルデヒド化された蛋白質を含有する
    抗細胞死剤。チロシン−バリン−アラニン−アスパラギ
    ン酸、 アスパラギン酸−グルタミン酸−バリン−アスパラギン
    酸、およびグルタミン酸−セリン−メチオニン−アスパ
    ラギン酸。
  7. 【請求項7】 アミノ酸配列が、グルタミン酸−セリン
    −メチオニン−アスパラギン酸である蛋白質のアルデヒ
    ド化された蛋白質を含有する抗細胞死剤。
  8. 【請求項8】 請求項1から7のいずれか1項に記載の
    抗細胞死剤を有効成分とする、細胞死に起因する疾病の
    治療薬。
  9. 【請求項9】 細胞死に起因する疾病が、肝炎、虚血性
    脳疾患、アルツハイマー氏病、抗腫瘍剤投与による副作
    用である骨髄毒性および下痢からなる群から選ばれるも
    のである請求項8に記載の細胞死に起因する疾病の治療
    薬。
  10. 【請求項10】 請求項1から7のいずれか1項に記載
    の抗細胞死剤を有効成分とする、細胞死に起因する肝炎
    の治療薬。
  11. 【請求項11】 アミノ酸配列が、グルタミン酸−セリ
    ン−メチオニン−アスパラギン酸である蛋白質のアルデ
    ヒド化された蛋白質を含有する、細胞死に起因する肝炎
    の治療薬。
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