JPH11183693A - 除染方法およびその装置 - Google Patents

除染方法およびその装置

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JPH11183693A
JPH11183693A JP36713597A JP36713597A JPH11183693A JP H11183693 A JPH11183693 A JP H11183693A JP 36713597 A JP36713597 A JP 36713597A JP 36713597 A JP36713597 A JP 36713597A JP H11183693 A JPH11183693 A JP H11183693A
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Japan
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laser
decontamination
irradiation
head unit
radioactive
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Application number
JP36713597A
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English (en)
Inventor
Tadashi Fukushima
正 福島
Kouichi Nitsutou
光一 日塔
Takuji Fukazawa
拓司 深澤
Yutaka Okamoto
裕 岡本
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Toshiba Engineering Corp
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Engineering Corp
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射性流体と接触する構造材や機器の表面
を、レーザー照射により、放射性付着物の飛散を防止し
ながら除染するとともに、除染後の放射能の再付着を抑
制または低減する。 【解決手段】 本発明の方法では、除染対象物の表面の
広い範囲に、均一化された低いエネルギー密度でレーザ
ーを照射し、表面に付着した放射性物質を剥離させて除
去するとともに、母材表面を改質して放射性物質の再付
着を抑制する。レーザー照射は、水中または酸化剤や還
元剤のような薬剤を含む液中で行なうことができ、それ
により、剥離した放射性物質の気中への拡散放出を防ぐ
ことができるうえに、母材表面の改質を促進することが
できる。また、ダブルパルスレーザーまたは2波以上の
レーザーを使用し、除染および表面改質で、各レーザー
の照射のタイミングおよび照射時間を調整して行なうこ
ともできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザーによる除
染方法およびその装置に係わり、さらに詳しくは、原子
力発電プラント等の放射能取り扱い施設において、放射
性流体と接触する構造材や機器に付着している放射性物
質を、レーザーの照射により剥離除去して除染するとと
もに、表面を改質し放射性物質の再付着を抑制する方
法、およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電プラントや使用済み燃料再処
理プラントのような放射能取り扱い施設において、放射
能を有する流体(液体)の流路を構成する配管や、流路
に設置された機器等の表面には、金属酸化物等の皮膜が
形成され、そこに放射性物質が取り込まれている。そし
て、このようなプラントでは、配管等の構造材あるいは
機器の保守・管理のための分解点検時に、作業員が被曝
することを防ぐために、付着した放射能を有する金属酸
化物皮膜を事前に除去(除染)することが重要になって
いる。
【0003】原子力発電プラント等において、系統全体
を除染する場合は、除染剤を循環させて酸化皮膜を化学
的に溶解する化学除染法を採ることが望ましいが、短い
配管やポンプ、バルブのような構造材の小さな範囲また
は機器単体を除染する場合には、化学除染法では、各機
器等に循環系を作るための仕切りや、除染剤を出し入れ
するための除染座等を設置することが必要であり、作業
員の被曝低減のためにかえって被曝を招き、除染効率が
悪いという問題があった。そのため実際は、これらの構
造材や機器の表面に付着した金属酸化物皮膜を、ウエス
やブラシで拭きとるなどの機械的除染を実施しているの
が現状であった。
【0004】そこで、ポンプ、バルブ等の機器単体ある
いは構造材の小さな範囲の除染を、簡便に短期間で実施
する方法として、レーザーの照射による除染方法が提案
されている。例えば、特公平 1-45039号公報には、反射
ミラーによりレーザーを走査し、この走査されたレーザ
ービームスポットを原子炉内に照射して酸化皮膜を除去
する方法が開示されており、特開平4-168400号公報に
は、円形断面のレーザービームをシリンドリカルレンズ
により1軸方向に集光し、この細長い線状のビームスポ
ットを照射して除染する方法が開示されている。また、
特開平7-225300号公報には、パルスレーザーを線状に集
光するとともに、レーザー照射前または照射中に、表面
の付着物に除去促進液(水、洗剤、錆落とし剤、有機溶
剤等)を噴霧する除染方法が開示されている。さらに、
特開平8-110396号公報には、ドライな環境下で第1のレ
ーザーの照射による除染を行なった後、第2のレーザー
の照射と酸化剤などの改質剤の供給により、表面改質層
を形成する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来からの除染方法においては、以下に示す問題があっ
た。すなわち、高出力のレーザーを点状あるいは線状に
集光し、そのようなレーザービームを除染対象部材の表
面に均一なエネルギー密度で走査する方法では、精密な
走査制御機構を必要とするため、制御が十分でない場合
に、付着物が除去された後の機器等の表面に高出力のレ
ーザーが照射されることがあり、機器自体に損傷を与え
るおそれがあった。また、従来の除染方法は、いずれも
レーザーを気中で照射しているため、剥離され除去され
た付着物が飛散し、作業員の被曝の原因になったり、あ
るいはレンズや周囲の機器に付着して新たな汚染を発生
させるという問題があった。さらに、除染後、機器等の
表面に放射性物質が再び付着するおそれがあった。
【0006】本発明はこれらの問題を解決するためにな
されたもので、放射性流体と接触する構造材や機器の表
面を、放射性付着物の飛散を防止しながら除染するとと
もに、除染後の放射能の再付着を抑制・低減する、レー
ザーによる除染方法およびその装置を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の除染方法は、放
射性流体と接触する構造材または機器の表面に、制御さ
れたエネルギー密度のレーザーを照射し、前記構造材ま
たは機器の表面に付着した放射性物質を剥離し除去する
とともに、前記放射性物質の付着が抑制された表面改質
層を形成することを特徴とする。
【0008】また、本発明の除染装置は、放射性流体と
接触する構造材または機器の表面に、制御されたエネル
ギー密度のレーザーを照射し、前記構造材または機器の
表面に付着した放射性物質を剥離し除去するとともに、
前記放射性物質の付着が抑制された表面改質層を形成す
る除染装置であり、レーザー発振部と、前記発振部から
発振されたレーザーを伝送する光学伝送系と、前記光学
伝送系により伝送されたレーザーを平行ビームに整形し
て照射する光学照射系とを備えたことを特徴とする。
【0009】本発明では、原子力発電プラントのような
放射能取り扱い施設において、放射性流体と接触する配
管等の構造材やバルブ等の機器の表面に、レーザー光
を、比較的広い面積で均一化された低いエネルギー密度
で照射することにより、母材の基本的特性を変えること
なく、表面に付着した放射能を有する酸化物皮膜を、ア
ブレーションにより剥離し除去するとともに、金属母材
の表面を平滑化し、あるいは表面を熱的に溶融またはア
モルファス化することにより、放射性物質の再付着が抑
えられた表面改質層を形成することができる。
【0010】本発明の除染方法および除染装置におい
て、レーザーの照射は、気中で行なう他に、水中または
所望の薬剤を含む液中で行なうことができる。水中また
は薬剤を含む液中でレーザーを照射することにより、除
染対象の構造材または機器(以下、除染対象部材と示
す。)の表面から剥離した放射能を有する金属酸化物
が、水中または薬剤を含む液中に拡散され保持されるた
め、放射能汚染物の空気中への拡散放出を防ぐことがで
きる。また、このようにレーザーを水中または薬剤を含
む液中で照射した場合には、アブレーション効果に加え
て、照射面での金属母材と水または薬剤との相互作用に
より、母材表面の改質が促進される。薬剤としては、酸
化剤である過マンガン酸また過酸化水素や、還元剤であ
るシュウ酸を使用することができる。
【0011】本発明において照射するレーザーとして
は、Nd:YAG、Er:YAG、アレキサンドライ
ト、ルビー、ガラス等の固体素子から発振される固体レ
ーザーや、励起状態のArF、KrFまたはXeCl分
子を発振体としたエキシマレーザー、あるいは半導体レ
ーザーを用いることができる。
【0012】また、これらのレーザーうちで2波以上の
レーザーを組み合わせ、すなわち放射性酸化物の除去に
適したレーザーと、表面改質層の形成に適したレーザー
を組み合わせて照射し、それらの照射の相乗効果により
除染および表面改質をより効率的に行なうことができ
る。さらに、連続発振のレーザーではなくパルス発振の
レーザーを使用し、このパルスレーザーをタイミングお
よび間隔を調節して発振し照射することもできる。また
さらに、このようなダブルパルスレーザーまたは前記し
た2波以上のレーザーの照射においては、それぞれのレ
ーザーの照射時間を調整しながら除染および表面改質を
行なうことで、除染および表面改質をより効率的に行な
うことができる。
【0013】本発明の除染装置は、レーザー発振部と光
学伝送系と光学照射系とを備えており、レーザーを伝送
する光学伝送系としては、マルチバンドルファイバのよ
うな光ファイバを用いることができる。また、光学照射
系には、光学伝送系等で絞り込まれたレーザービームを
再び拡げて平行ビームに整形し、エネルギー密度をガウ
ス形状(正規分布)に近い滑らかな分布、またはフラッ
トトップ形状に近い分布に調整する光学素子が内蔵され
ている。
【0014】本発明では、このような光学照射系によ
り、照射されるレーザーのエネルギー密度が、均一で低
いレベルに制御されることにより、精密な走査制御を必
要とせず、ラフな走査制御により、対象部材表面の広い
範囲に亘って均一な除染および表面改質を行なうことが
できる。
【0015】
【発明の実態の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。
【0016】図1は、本発明に係わる除染装置の第1の
実施例を、概略的に示す図である。なお、この除染装置
は、原子力発電プラントの配管内に設置されたバルブの
汚染部を除染する装置であり、バルブは、蓋、ハンドル
およびシャフトがそれぞれ外された状態で図示されてい
る。
【0017】第1の実施例の除染装置は、図1に示すよ
うに、Nd:YAGレーザーのようなレーザーの発振器
と真空ユニット、電源ユニットおよびコントロールユニ
ットをそれぞれ内蔵したレーザー発振ユニット1と、こ
のレーザー発振ユニット1に接続された接続ホース部
2、およびこの接続ホース部2の他端部に接続された照
射ヘッドユニット3とから構成され、プラントの配管内
に固定された除染対象物(バルブ)4に対して、移動自
在に設置され、水または薬剤を含む液(例えば水溶液)
5中でレーザー6を照射するように構成されている。な
お、薬剤としては、過マンガン酸また過酸化水素水のよ
うな酸化剤や、シュウ酸のような還元剤が使用される。
【0018】接続ホース部2には、光ファイバと電源ケ
ーブルとが内蔵されており、レーザー発振ユニット1か
ら発振されたレーザーが、光ファイバにより照射ヘッド
ユニット3に伝送されるようになっている。光ファイバ
としては、多数の光ファイバエレメントを集束したマル
チバンドルタイプの光ファイバ(マルチバンドルファイ
バ)が使用されている。マルチバンドルファイバでは、
ファイバ1本当たりの伝送エネルギーを小さくすること
で、ファイバの損傷防止が図られている。
【0019】また、レーザー発振ユニット1から発振さ
れたレーザーを、このようなマルチバンドルファイバに
効率よく入射させるために、複数のレンズを組み合わせ
たマルチレンズ(図示を省略。)が、光ファイバの入射
端部に設けられており、出射端部では、レーザーのビー
ム形状を整形しやすくするために、集束された光ファイ
バエレメントが、長円、線形、矩形等の細長い断面形状
を呈するように並べ換えられている。なお、このように
光ファイバエレメントを並べ換える代りに、光ファイバ
の出射端部に、レーザー光軸と垂直に複数のレンズを配
置したマルチレンズ、またはプリズムとミラーとを組み
合わせたホモナイザ等を設置し、レーザービームを整形
するようにしても良い。
【0020】照射へッドユニット3は照射光学系7を内
蔵し、この照射光学系7により、レーザーを拡げて平行
ビームとして、除染対象物4に照射するようになってい
る。ここで照射光学系7は、ユニット内部に挿入された
1枚の光学レンズ、あるいは2枚の光学レンズを組み合
わせたもので形成され、この照射光学系7をコントロー
ルすることで、照射されるレーザーのエネルギー密度が
調整できるように構成することもできる。
【0021】本発明の除染方法の第1の実施例では、前
記した除染装置の照射へッドユニット3から照射される
制御されたエネルギー密度を有するレーザー6を、除染
対象物4であるバルブの内表面に照射する。レーザー6
の照射により、バルブの内表面に付着していた汚染物、
すなわち放射能を含む金属酸化物の皮膜は、レーザーの
熱あるいは衝撃振動のエネルギーによりアブレーション
(溶撥)を生じ、微粒子状態で剥離・除去される。この
とき、汚染された金属酸化物皮膜の剥離除去と同時に、
除染対象物の母材の表面が平滑化され、あるいは母材表
面が熱的に溶融またはアモルファス化され、放射能の再
付着が抑えられた表面改質層が形成される。
【0022】次に、本発明の除染装置の別の実施例を、
図2乃至図5にそれぞれ示す。これらの図において、図
1と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略す
る。
【0023】第2の実施例の除染装置では、図2に示す
ように、レーザー発振器がそれぞれ内蔵された2基のレ
ーザー発振ユニット1a、1bが並列に設けられ、これ
らのユニットが、それぞれ光ファイバを内蔵した接続ホ
ース2a、2bを介して、1つの照射ヘッドユニット3
に接続されている。そして、照射ヘッドユニット3内に
は、各々のレーザー発振器から発信された2つのレーザ
ー(パルスレーザー)6を、交互に選択して照射する機
構(図示を省略。)が内蔵されている。
【0024】このような除染装置を使用した本発明の除
染方法の第2の実施例では、除染および表面改質層の形
成に最も効果的なレーザーが選択されて、対象物への照
射が行なわれるので、除染並びに表面改質をいずれも最
も効率的に行なうことができる。
【0025】第3の実施例の除染装置では、図3に示す
ように、レーザー発振ユニット1から発振されたレーザ
ーの伝送手段として、光ファイバに代わって複数のミラ
−8が使用されており、これら複数のミラ−8はいずれ
も可動アームカバ−9内に設置されている。そして、そ
れ自体移動が可能な可動アームカバ−9により、除染対
象物4に対する照射ヘッドユニット3の移動が可能にな
っている。
【0026】照射ヘッドユニット3は、図4に拡大して
示すように、複数の可動ミラ−10を備え、内部が水密
に構成されている。また、照射ヘッドユニット3の前面
には、ガラスのような透明材料から成るレーザー透過窓
11が形成されている。
【0027】このような除染装置を使用した本発明の第
3の実施例では、照射ヘッドユニット3に内蔵された可
動ミラ−10のレーザー光軸に対する角度を調整するこ
とにより、照射ヘッドユニット3全体を動かすことな
く、除染対象物4表面の一定の領域にレーザー6を照射
することができる。また、この照射ヘッドユニット3
が、水密構造を有し前面にレーザー透過窓11を備えて
いるので、照射ヘッドユニット3を水または薬剤を含む
液5中に浸漬した状態でも、レーザー照射を行なうこと
ができる。
【0028】第4の実施例の除染装置では、図5に示す
ように、循環ポンプ12を有する循環ライン13を備え
ており、除染対象物4付近の水または薬剤を含む液5
が、循環ポンプ12により吸引されて循環ライン13を
循環するように構成されている。また、除染効率の向上
を図るために、循環ライン13には、循環液中の浮遊物
等を除去するための浄化フィルタ−14が介挿されてい
る。さらに、このような循環ポンプ12および浄化フィ
ルタ−14を備えた循環ライン13が、照射ヘッドユニ
ット3と連動して動くように構成されている。
【0029】このような除染装置を使用した本発明の第
4の実施例では、照射ヘッドユニット3からのレ−ザー
6の照射により、除染対象物4の表面から剥離された放
射能を含む金属酸化物の皮膜(図示を省略。)が、水ま
たは薬剤を含む液5中に浮遊した状態で強制的に循環さ
れ、循環ライン13において浄化フィルタ−14により
除去される。したがって、このような汚染された浮遊物
がレーザー照射の妨げになることがなく、効率的なレー
ザー照射を連続的に行なうことができる。
【0030】なお、このような第4の実施例では、レ−
ザー照射場付近の水または薬剤を含む液5を、循環ポン
プ12により吸引して循環させる構成について説明した
が、循環ポンプ12による循環方向を逆にし、循環ライ
ン13を循環した水または薬剤を含む液5を除染対象物
4付近に吹き出すように構成しても良い。
【0031】さらに、除染対象物が構造材または機器の
本体から取り外し可能な場合には、前記した実施例の除
染装置を使用し、以下に示すようにして除染および表面
改質を行なうことができる。
【0032】すなわち、図6に示すように、固定された
照射ヘッドユニット3に対向して、水または薬剤を含む
液5を満たしたガラス水槽15を設置し、機器本体等か
ら取り外されたバルブのような除染対象物4を、駆動機
構を備えた吊下ハンドル16によりガラス水槽15内に
吊り下げ、水または薬剤を含む液5中に浸漬する。そし
て、発振ユニット1からのレーザー発振に連動させて吊
下ハンドル16を駆動しながら、照射ヘッドユニット3
からのレーザー照射を行なう。こうして、除染対象物4
の全面に効率的にレーザー6を照射し、除染および表面
改質を行なうことができる。
【0033】なお、以上の実施例では、汚染された対象
物表面にレーザーを照射することにより、除染を行なう
とともに、表面改質層を形成して除染後の放射能の再付
着を抑制する方法および装置について説明したが、プラ
ント運転前に、放射性流体と接触する構造材や機器の表
面にレーザーを照射し、除染に関係なく母材表面を改質
して、新規使用時の放射能付着を抑制乃至低減すること
も可能である。
【0034】次に、本発明の除染方法の具体的実施例と
して、SUS304鋼から成る試験片を用いて、レーザー照射
による除染を行なった。
【0035】実施例1、2 まず、実機を摸擬した予備酸化皮膜の形成を、高温高圧
ル−プ試験装置によるBWRの1次系通常水質条件(温
度 285℃、溶存酸素濃度200ppb)下に 500時間浸漬する
ことにより、実施した。
【0036】こうして予備酸化皮膜が形成された試験片
の表面に、Nd:YAGレーザーの2倍波(波長 532n
m)を、従来に比べて低いエネルギー密度となる条件
(レーザーの出力強度 132mJ/pulse、ビーム直径 5mm、
走査速度25mm/s)で、気中および水中でそれぞれ照射
し、酸化皮膜を除去した。
【0037】次いで、除染後の試験片を、BWRの水素
注入水質条件(温度 285℃、溶存酸素濃度 10ppb、溶存
水素濃度 50ppb)下で、 Co-60濃度 0.02Bq/mlに調整さ
れた水中に 500時間浸漬した後、試験片への放射能( C
o-60)付着量をGe検出器により測定した。また、比較
のために、SUS304鋼試験片の表面に形成された酸化皮膜
を、エメリー 500番により機械的に除染した後、除染後
の試験片への Co-60の放射能付着量を実施例と同様にし
て測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0038】
【表1】 表から明らかなように、除染後の試験片への放射能付着
量を、機械的に除染を行なった比較例の場合を1として
比較すると、気中でレーザー処理を行なった実施例1で
は0.51、水中でレーザー処理を行なった実施例2では0.
46となり、実施例においては、除染効果とともに除染後
の放射能付着を抑制する効果があることが確認された。
【0039】また、放射能再付着試験後の試験片の外観
を肉眼で観察したところ、レーザー処理を行なわなかっ
た比較例では、表面全体が黒色の酸化皮膜で覆われてい
るのに対して、水中でレーザー処理を行なった実施例2
では、酸化皮膜の付着がなく、金属光沢を呈しているこ
とがわかった。さらに、これらの試験片表面の電子顕微
鏡による写真(SEM写真)をそれぞれ撮影した。実施
例2の表面SEM写真を図7に、比較例の表面SEM写
真を図8にそれぞれ示す。
【0040】これらの写真から明らかなように、比較例
で得られた試験片は、 1μm 以上に成長したスピネル型
酸化物であるマグネタイトの結晶で、表面がびっしりと
覆われているのに対して、実施例2で得られた試験片で
は、これらの酸化物結晶の付着がほとんどなく、結晶の
発生および成長が大幅に抑えられていることが確認され
た。
【0041】
【発明の効果】以上の記載から明らかなように、本発明
においては、除染対象物表面の広い範囲に均一化された
比較的低いエネルギー密度のレーザーを照射するので、
精密な走査制御を必要とせずかつ除染対象物の母材の特
性に悪影響を与えることなく、除染を行なうことがで
き、同時に表面を改質し、除染後の放射能の付着を抑制
することができる。
【0042】また、系統化学除染のように大規模な装置
を使うことがなく、ポンプ、バルブ等の機器単体を、簡
便かつ効率的に除染することができる。
【0043】さらに、水または薬剤を含む液中でレーザ
ーを照射することにより、剥離した放射性物質の空気中
への拡散による汚染を防止するとともに、除染対象物表
面の改質を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる除染装置の第1の実施例を示す
概略構成図。
【図2】本発明に係わる除染装置の第2の実施例を示す
概略構成図。
【図3】本発明に係わる除染装置の第3の実施例を示す
概略構成図。
【図4】第3の実施例において、照射ヘッドユニットの
構造を拡大して示す図。
【図5】本発明に係わる除染装置の第4の実施例を示す
概略構成図。
【図6】本発明の除染方法の第5の実施例の概略構成を
示す図。
【図7】実施例2の試験片の放射能再付着試験後の表面
SEM写真。
【図8】比較例の試験片の放射能再付着試験後の表面S
EM写真。
【符号の説明】
1………レーザー発振ユニット 2………接続ホース部 3………照射ヘッドユニット 4………除染対象物 5………水または薬剤を含む液 6………レーザー 7………照射光学系 8………ミラ− 9………可動アームカバ− 10………可動ミラ− 11………レーザー透過窓 12………循環ポンプ 13………循環ライン 14………浄化フィルタ− 15………ガラス水槽 16………吊下ハンドル
フロントページの続き (72)発明者 深澤 拓司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 岡本 裕 神奈川県川崎市幸区堀川町66番2 東芝エ ンジニアリング株式会社内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射性流体と接触する構造材または機器
    の表面に、制御されたエネルギー密度のレーザーを照射
    し、前記構造材または機器の表面に付着した放射性物質
    を剥離し除去するとともに、前記放射性物質の付着が抑
    制された表面改質層を形成することを特徴とする除染方
    法。
  2. 【請求項2】 前記構造材または機器の表面へのレーザ
    ー照射を、水中または薬剤を含む液中で行なうことを特
    徴とする請求項1記載の除染方法。
  3. 【請求項3】 前記薬剤が、酸化剤である過マンガン酸
    また過酸化水素水であることを特徴とする請求項2記載
    の除染方法。
  4. 【請求項4】 前記薬剤が、還元剤であるシュウ酸であ
    ることを特徴とする請求項2記載の除染方法。
  5. 【請求項5】 前記レーザーが、固体素子から発振され
    た固体レーザーであることを特徴とする請求項1または
    2記載の除染方法。
  6. 【請求項6】 前記レーザーが、励起状態のArF、K
    rFまたはXeCl分子を発振体としたエキシマレーザ
    ーであることを特徴とする請求項1または2記載の除染
    方法。
  7. 【請求項7】 前記レーザーが、半導体レーザーである
    ことを特徴とする請求項1または2記載の除染方法。
  8. 【請求項8】 前記構造材または機器の表面に、2波以
    上のレーザーを照射することを特徴とする請求項1また
    は2記載の除染方法。
  9. 【請求項9】 前記レーザーがパルスレーザーであり、
    このパルスレーザーの照射のタイミングおよび間隔をそ
    れぞれ調節することを特徴とする請求項1または2記載
    の除染方法。
  10. 【請求項10】 ダブルパルスレーザーまたは2波以上
    のレーザーの照射において、各レーザーの照射時間を変
    えて、前記放射性物質の剥離除去および表面改質層の形
    成をそれぞれ行なうことを特徴とする請求項8または9
    記載の除染方法。
  11. 【請求項11】 前記表面改質層が、表面粗さが低減さ
    れ平滑化された層であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の除染方法。
  12. 【請求項12】 前記表面改質層が、金属層の表面が熱
    的に溶融またはアモルファス化された層であることを特
    徴とする請求項1または2記載の除染方法。
  13. 【請求項13】 放射性流体と接触する構造材または機
    器の表面に、制御されたエネルギー密度のレーザーを照
    射し、前記構造材または機器の表面に付着した放射性物
    質を剥離し除去するとともに、前記放射性物質の付着が
    抑制された表面改質層を形成する除染装置であり、 レーザー発振部と、前記発振部から発振されたレーザー
    を伝送する光学伝送系と、前記光学伝送系により伝送さ
    れたレーザーを平行ビームに整形して照射する光学照射
    系とを備えたことを特徴とする除染装置。
  14. 【請求項14】 前記レーザー発振部が、固体レーザー
    を発振する固体素子を備えたことを特徴とする請求項1
    3記載の除染装置。
  15. 【請求項15】 前記固体素子が、ネオジウムイオンを
    ドープしたイットリウム・アルミニウムのガーネット結
    晶(Nd:YAG)、エルビウムイオンをドープしたY
    AG(Er:YAG)、アレキサンドライト、ルビーま
    たはガラスから選ばれた固体材料から成るロッドである
    ことを特徴とする請求項14記載の除染装置。
  16. 【請求項16】 前記光学伝送系が光ファイバを備え、
    かつ該光ファイバの入射端部および出射端部に、複数の
    レンズをレーザー光軸に対して垂直に配置したマルチレ
    ンズをそれぞれ備えたことを特徴とする請求項13乃至
    15のいずれか1項記載の除染装置。
  17. 【請求項17】 光学照射系が、レーザーのビーム形状
    を整形し、エネルギー密度をガウス形状に近い滑らかな
    分布、またはフラットトップ形状に近い分布に調整する
    光学素子を備えたことを特徴とする請求項13記載の除
    染装置。
  18. 【請求項18】 前記光学照射系が、レーザー照射手段
    を備えたヘッドユニット内に組み込まれていることを特
    徴とする請求項13または17記載の除染装置。
  19. 【請求項19】 前記ヘッドユニット内に駆動機能を備
    えたミラーが設けられ、固定されたヘッドユニットによ
    り、一定エリアへのレーザー照射が可能に構成されたこ
    とを特徴とする請求項18記載の除染装置。
  20. 【請求項20】 前記ヘッドユニットが水密構造を有
    し、該ヘッドユニットからのレーザーの照射が、水中ま
    たは薬剤を含む液中で行なわれるように構成したことを
    特徴とする請求項18または19記載の除染装置。
  21. 【請求項21】 前記レーザーが照射される照射場付近
    の水または薬剤を含む液を吸引して循環させる循環機
    構、あるいは前記照射場付近に水または薬剤を含む液を
    噴出して循環させる循環機構を備えたことを特徴とする
    請求項20記載の除染装置。
  22. 【請求項22】 前記循環機構が、浮遊物の浄化装置を
    備えていることを特徴とする請求項21記載の除染装
    置。
  23. 【請求項23】 前記ヘッドユニットを駆動する機構を
    備え、この駆動機構で前記ヘッドユニットを駆動するこ
    とにより、前記レーザーを走査するように構成したこと
    を特徴とする請求項18乃至22のいずれか1項記載の
    除染装置。
  24. 【請求項24】 取り外された前記構造材または機器
    を、水または薬剤を含む液中に浸漬した状態で駆動する
    機構を備え、この駆動機構により駆動された前記構造材
    または機器の表面に、固定された前記ヘッドユニットか
    らレーザーを照射するように構成したことを特徴とする
    請求項18乃至22のいずれか1項記載の除染装置。
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