JPH11189593A - 2−(ピペリジルアルキルカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体又はその塩 - Google Patents

2−(ピペリジルアルキルカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体又はその塩

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JPH11189593A
JPH11189593A JP36021297A JP36021297A JPH11189593A JP H11189593 A JPH11189593 A JP H11189593A JP 36021297 A JP36021297 A JP 36021297A JP 36021297 A JP36021297 A JP 36021297A JP H11189593 A JPH11189593 A JP H11189593A
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JP36021297A
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English (en)
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Akio Kakefuda
昭夫 掛札
Toshihiro Watanabe
俊博 渡辺
Hideki Kubota
秀樹 久保田
Noriyuki Masuda
典之 増田
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Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 If電流阻害作用に基づく心拍数低下作用を
有し、狭心症(胸部狭心症)や心筋梗塞等の虚血性疾
患、うっ血性心不全及び不整脈(上心性不整脈)等の循
環器系疾患の予防又は治療に有用な化合物の創製。 【解決手段】 下記一般式で示される(I)で2−(ピ
ペリジルアルキルカルボニル)−1,2,3,4−テト
ラヒドロイソキノリン誘導体又はその塩。 【図1】 (上記式中の記号は、それぞれ以下の意味を有する。 R,R:同一又は異なって水素原子若しくは-O-低
級アルキル、又はRとRは一体となって-O-低級ア
ルキレン-O-、 X:O又はS、 A:低級アルキレン、-O-又は-NH-、 A:低級アルキレン、 B:置換されていてもよい炭化水素環又は置換されてい
てもよくベンゼン環で縮合されていてもよいヘテロ環)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬として有用な
新規2−(ピペリジルアルキルカルボニル)−1,2,
3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体又はその塩、
更にそれらの化合物を有効成分とする医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】心拍数低下作用を有する薬剤として、従
来から神経伝達物質受容体およびイオンチャネルへ作用
する薬剤が知られており、前者ではアデノシン受容体作
動薬、Mムスカリニック受容体作動薬およびβアドレ
ナリン作動性受容体拮抗薬等が、また、後者ではカルシ
ウムチャネル抑制薬が代表的なものとして挙げられる。
このような心拍数を低下させる薬剤は、心筋における酸
素の供給と需要との間の平衡失調から生じる種々の臨床
症状、たとえば狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患、
あるいは不整脈、心不全などの循環器疾患の予防および
治療薬として有用であることが確認されている。しかし
ながら、これらの薬剤は心拍数低下作用ばかりでなく、
房室伝導および心臓収縮機能に対する抑制作用、あるい
は血圧低下作用を有しており、時には完全な心停止につ
ながる作用を発現することがあるため、特に心機能が低
下している患者への使用が危惧されていた。
【0003】一方、心臓の生理的ペースメーカー活動を
有する洞房結節や、刺激伝導系を構成する房室結節やヒ
ス束、プルキンエ線維などの細胞では、自発的に電気的
興奮を生じることが知られている。心臓のペースメーカ
ー活動を有する細胞においてナトリウムイオンやカリウ
ムイオン等の陽イオンに対する透過性に選択性が無く、
膜電位の過分極により活性化され、また、β受容体刺激
により活性化されるイオン電流の存在が確認され、If
電流(current If)と名付けられている(Difrancesc
o D. et al. J. Physiol. 377: 61-88, 1986, Irisawa
H, et al. Physiol. Rev. 73:197-227,1993; DiFracesc
o D., Annu. Rev. Physiol., 55: 455-472, 1993)。心
臓においてこのIf電流は、ペースメーカー活動を有す
る細胞の拡張期脱分極の形成に寄与し、心拍数調節を行
う電流であると考えられている。
【0004】従ってこの拡張期脱分極の傾きを規定して
いるIf電流を抑制することによって心拍数を低下させ
る作用が期待される。実際If電流を阻害して心拍数低
下作用を発現する新しいタイプの薬剤が最近報告されて
いる。このようなIf電流阻害薬は、房室伝導および心
臓収縮機能を抑制することなく、心拍数を選択的に低下
させ、そしてまた心筋の酸素消費量を減少させることが
できる。よって、If電流の阻害薬は房室伝導および心
臓収縮機能に対する抑制作用、あるいは心停止作用が無
い点で従来の各種受容体作動薬やカルシウムチャネル抑
制薬等の活性と区別される。ゆえにIf電流阻害薬は副
作用の少ない虚血性心疾患(例えば狭心症、心筋梗塞
等)や循環器系疾患(不整脈、心不全等)の予防および治
療剤になりえるものと期待される。さらに、麻酔を用い
た手術時等において、過度に上昇した心拍数を抑制し、
心拍数を一定の状態に管理する場合においても有用であ
る。
【0005】また、ペースメーカー活動を有する細胞ば
かりでなく通常はペースメーカー活動を有することが無
い固有心筋細胞、即ち心房筋や心室筋細胞にもこのIf
電流の性質(陽イオンに対する透過性に選択性が無く、
過分極により活性化され、β受容体刺激により活性化さ
れる)と類似するイオン電流が存在することが報告され
ている(Hangang Yu, Circ. Res. 72: 232-236, 199
3)。心筋梗塞あるいは高血圧等のある種の病態におい
て固有心筋細胞でも自発的に電気的興奮を生じ、これら
の細胞から活動電位を記録すると活動電位が再分極した
後の電気的拡張期に、膜電位が徐々に脱分極していく拡
張期脱分極が観察される。これらの病態においてIf電
流の増加が確認され、この拡張期脱分極の形成にIf電
流が寄与しており、異常自動能亢進の原因となっている
と予想されている(Elisabetta, C. et al., Circulati
on. 94:1674-1681, 1996; Elisabetta, C. et al., Cir
culation. 95: 568-571, 1997)。従って、If電流阻
害剤はこれらの病態における異常自動亢進の抑制に有用
と考えられている。
【0006】心拍数低下作用を有する化合物として知ら
れるZatebradineはその作用がIf電流阻害作用に基づ
くものであることが知られている。しかしながらZatebr
adineは心拍数低下作用とともに視障害が発現すること
が報告されている (William H. Frishman, J. Am. Col
l. Cardiol, 26: 305-312, 1995; Stephen P. Glassere
t al., The American Journal of Cardiology, 79: 140
1-1405, 1997)。これはIf電流に類似した性質を有す
る電流(Ih電流)が視細胞に存在することが知られてい
るが(Shaul Hestrin, J. Physiol. 390: 319-333, 198
7)、ZatebradineはIf電流と同時にIh
電流をも阻害してしまうためにこのような視障害が発現
するものと予想されている。If電流阻害剤の研究にお
いてはIh電流阻害作用との分離が1つの課題となって
いる。
【0007】他に、心拍数低下作用を有する化合物とし
て、下記一般式で示される置換低級アルキル−1,2,
3,4−テトラヒドロイソキノリン等の誘導体が報告さ
れている(特開平1−45381号;EP29284
0)。しかしながら、If電流阻害作用についての記載
はされていない。
【化2】
【0008】[式中、Aは−CH−、−CH−CH
−、−CH=CH−を表し、Bは−CH−、−CH
−CH−、−CO−又は−CH−CO−、Eは炭
素原子1〜3個を有し、炭素原子1〜3個を有するアル
キルで置換されていてもよい直鎖状のアルキレンであ
り、mは数字1、2、3、4、5または6を表わし、n
は数字0、1、2または3を表わすが、n+mは3、
4、5または6を表さねばならない。他の記号は上記公
報参照]
【0009】また、抗頻脈作用又は血管拡張作用を有す
る化合物として、下記一般式で示されるβアミノ酸アミ
ド誘導体が報告されている(特開平2−138172
号)。しかしながらIf電流阻害作用及び心拍数低下作
用についての記載はされていない。
【0010】
【化3】 (式中、Zは
【化4】 を示し、lは2〜5の整数、mは2〜4の整数、nは0
〜4の整数、他の記号は上記公報参照)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況下、臨床
上、より優れたIf電流抑制作用を有する新規化合物の
提供が切望されている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記に示す
If電流を抑制する薬剤につき鋭意研究を重ねた結果、
下記一般式(I)で示される一連の化合物がIf電流抑
制に基づくと考えられる心拍数低下作用を有することを
知見して、本発明を完成した。即ち、下記一般式で示さ
れる(I)で2−(ピペリジルアルキルカルボニル)−
1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体又は
その塩、及び該誘導体又はその塩を有効成分とする医薬
に関する。
【0013】
【化5】 (上記式中の記号は、それぞれ以下の意味を有する。 R,R:同一又は異なって水素原子若しくは-O-低
級アルキル、又はRとRは一体となって-O-低級ア
ルキレン-O-、 X:O又はS、 A:低級アルキレン、-O-又は-NH-、 A:低級アルキレン、 B:置換されていてもよい炭化水素環又は置換されてい
てもよくベンゼン環で縮合されていてもよいヘテロ環。
以下同様。)
【0014】 〔発明の詳細な説明〕以下に本発明化合物(I)を詳細に
説明する。本発明の一般式の定義において、特に断らな
い限り、「低級」なる用語は炭素数が1乃至6個の直鎖
又は分枝状の炭素鎖を意味する。「低級アルキル」とし
ては、好ましくは炭素数1〜4の低級アルキルであり、
より好ましくは、メチル、エチル、プロピル及びイソプ
ロピルである。「低級アルキレン」としては、好ましく
は一般式中のAの場合はメチレン又はエチレンであ
り、Aの場合はエチレン又はプロピレンである。
【0015】「置換されていてもよい炭化水素環」の炭
化水素環としては飽和若しくは不飽和の、単環若しくは
縮合炭化水素環であり、好ましくは「アリール」又は
「シクロアルキル」である。「アリール」としては、好
ましくは炭素数6乃至14個のアリールであり、アリー
ル基の任意の炭素原子に水素原子が付加されたジヒドロ
体、トリヒドロ体、テトラヒドロ体等も含む。より好ま
しくはフェニル又はナフチルである。「シクロアルキ
ル」としては、好ましくは炭素数が3〜8個のシクロア
ルキルであり、より好ましくはシクロヘキシルである。
「置換されてもよくベンゼン環と縮合していてもよいヘ
テロ環」の「ベンゼン環と縮合していてもよいヘテロ
環」とは、後記ヘテロ環にベンゼン環が縮合した環若し
くは未縮合のヘテロ環である。「ヘテロ環」は、酸素原
子、硫黄原子あるいは窒素原子からなるヘテロ原子を1
〜4個含有するヘテロアリール又は飽和ヘテロ環を意味
し、ヘテロアリールは、5乃至6員単環ヘテロアリール
(フリル、チエニル、ピリジル等)、5乃至6員ヘテロ
アリールが2つ縮合した二環式ヘテロアリール(ナフチ
リジニル等)が挙げられる。飽和へテロ環は、5員乃至
7員の環であり、ピペリジル、ピペラジニルが好まし
い。
【0016】「置換されていてもよい炭化水素環」、
「置換されていてもよく縮合していてもよいヘテロ環」
の置換基としては、通常これらの環に置換しうる基であ
ればいずれでもよい。好ましくはハロゲン原子(F、C
l、Br、I)、低級アルキル、低級アルケニル(ビニ
ル等)、低級アルキニル(エチニル等)、ヒドロキシ、
メルカプト、ハロゲノ低級アルキル(トリフルオロメチ
ル等)、-O-低級アルキル、-S-低級アルキル、-CO-
O-低級アルキル、カルボキシ、スルホニル、スルフィ
ニル、-SO-低級アルキル、-SO-低級アルキル、-
CO-低級アルキル、カルバモイル、-CO-NH-低級ア
ルキル、-CO-N(低級アルキル)、ニトロ、シア
ノ、アミノ、-NH-低級アルキル、-N(低級アルキ
ル)及び-O-低級アルキレン-O-等が挙げられる。こ
れらの置換基は1乃至複数個、好ましくは1乃至3個で
置換されていてもよい。
【0017】本発明化合物(I)は、少なくとも1個の
不斉炭素原子を有し、これに基づく(R)体、(S)体
等の光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー等が存在
する。また、置換基の種類によっては、幾何異性体又は
互変異性体が存在する。本発明は、これらの異性体の分
離されたものあるいは混合物を全て包含する。本発明化
合物(I)は酸と塩を形成する場合がある。かかる塩と
しては塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、
リン酸等との鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュ
ウ酸、マロン酸、コハク酸、フマール酸、マレイン酸、
乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、ピクリン
酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、グルタミン
酸等の有機酸との酸付加塩を挙げることができる。さら
に、本発明には化合物(I)の水和物、エタノール等の
溶媒和物や結晶多形の物質も包含される。
【0018】(製造法)本発明化合物(I)は、種々の
製造法を適用して製造することができる。以下にその代
表的な製造法について説明する。 第一製法
【0019】
【化6】 (式中、A2aは単結合又は炭素数1〜5のアルキレン
を示す。Zはヒドロキシの脱離基[メシル、トシル等]又
はハロゲン原子を示す。)
【0020】本製法は一般式(II)で示されるテトラ
ヒドロイソキノリン化合物より、A法、B法のいずれか
を用いて、本発明化合物(I)を得る方法である。A
法、B法を以下に説明する。 A法 本反応は化合物(III)等の塩基を用いる反応であ
る。本反応は無溶媒若しくは溶媒[反応に有利な溶媒、
若しくは不活性溶媒(テトラヒドロフラン、N,N−ジ
メチルホルムアミド、アセトニトリル等)]中、化合物
(II)、化合物(III)を等モル乃至化合物(II
I)を過剰モル用い、反応温度は反応化合物の種類によ
って異なり適宜設定される。化合物によっては反応に際
し、塩基[有機塩基(トリエチルアミン等)、無機塩基
(炭酸カリウム、水素化ナトリウム等)]の存在下に実
施するのが有利な場合がある。
【0021】B法 本反応は還元的アミノ化反応を用いる反応である。本反
応は化合物(IV)を上記溶媒に適宜溶解させ、化合物
(II)のアミンと反応させ、生成するシッフ塩基を単
離するか、せずして、次いで該シッフ塩基を還元する方
法である。反応は化合物(IV)と化合物(II)を反
応対応量若しくは一方をやや過剰に用い、好ましくはp
−トルエンスルホン酸又は酢酸等の酸触媒の存在下、反
応条件によっては水酸化カリウムやモレキュラーシーブ
スの如き吸湿剤を添加したり、ディーン・スターク(D
ean−Stark)トラップ(共沸脱水装置)を用い
て、生成する水を除去して行うのが有利である。反応温
度は反応化合物の種類によって異なるが、通常室温下、
反応によっては共沸あるいは還流温度下に設定するのが
好ましい。得られたシッフ塩基の還元は、前段の反応液
中に、金属水素化錯体(水素化ホウ素ナトリウム又は水
素化トリアセトキシホウ素ナトリウム等)、あるいはボ
ラン等の還元剤を加えて反応させる。
【0022】第2製法
【化7】 (式中、Yはカルボン酸の脱離基を示し、ハロゲン原
子、-O-低級アルキルを意味する。)
【0023】本製法はヒドロキシピペリジン化合物
(V)と、テトラヒドロイソキノリン化合物(VI)と
をアシル化反応させることにより、本発明化合物(I
a)を得る方法である。本反応は無溶媒若しくは前記溶
媒中、化合物(V)、化合物(VI)を等モル乃至化合
物(VI)を過剰モル用い、反応温度は反応化合物の種
類によって異なり適宜設定される。化合物によっては反
応に際し、前記塩基の存在下に実施するのが有利な場合
がある。
【0024】第3製法
【化8】
【0025】本製法は化合物(VII)と化合物(VI
II)のピペリジン化合物若しくはその誘導体とを常法
に従ってアミド化反応させ、本発明化合物(I)を得る
方法である。アミド化反応は常法のアミド化反応、具体
的には無溶媒若しくは前記溶媒中、化合物(VII)、
化合物(VIII)を等モル乃至化合物(VIII)を
過剰モル用いて行なうことができる。反応温度は反応化
合物の種類によって異なり、適宜設定される。化合物
(VIII)を遊離のカルボン酸で反応させるときは、
縮合剤(ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル
−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミ
ド、1,1’−カルボニルジイミダゾール等)の存在下
に実施するのが有利である。
【0026】(原料化合物の製法) (a)
【化9】 (式中、R’’はアミノ保護基を意味する。) 本製法は化合物(VII)と化合物(IX)のカルボン
酸とを常法に従って1)アミド化反応、更に2)還元反応さ
せ、原料化合物(II)を得る方法である。1)のアミド
化反応は前記第3製法と同様である。溶媒、反応温度等
の条件についても前記第3製法と同様である。2)の還元
反応は常法の還元反応(金属還元、水素添加など)によ
り、行うことができる。
【0027】(b)
【化10】 本製法は化合物(X)のピペリジノールに、前記第1製
法A法、B法のいずれかを用いて、原料化合物(VI)
を得る方法である。溶媒、反応温度等の条件についても
前記第1製法A法、B法と同様である。また、原料化合
物中AがNHで示される化合物はアミノ-1-ベンジル
ピペリジンに前記溶媒中、ホスゲン等の試薬を用い、場
合によっては前記塩基の存在下、ウレア化反応させ、さ
らにベンジルを除去することにより合成することができ
る。
【0028】上記各製造法により得られた反応生成物
は、遊離化合物、その塩あるいは水和物等各種の溶媒和
物として単離・精製される。塩は通常の造塩処理に付す
ことにより製造することができる。単離・精製は抽出、
濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラ
フィー等の通常の化学操作を適用して行われる。各種の
異性体は異性体間の物理学的な差を利用して常法により
単離でき、光学異性体は一般的なラセミ分割法、例えば
分別結晶化又はクロマトグラフィー等により分離でき
る。又、光学異性体は適当な光学活性な原料化合物より
合成することもできる。分別結晶化としては、酒石酸誘
導体、マンデル酸誘導体、カンファースルホン酸誘導体
などの光学活性な有機酸を用いる分別結晶化が好適に行
われる。溶媒には光学分割が効率よく行われる溶媒が適
宜選択される。
【0029】
【発明の効果】本発明化合物はIf電流阻害作用に基づ
くと考えられる心拍数低下作用を有し、心筋の酸素消費
量を減少させる強力で特異的な活性を示すことより、狭
心症や心筋梗塞等の虚血性心疾患、うっ血性心不全や不
整脈等の循環器系疾患の予防・治療剤として有用であ
る。本発明化合物は特に心筋酸素の供給と消費との間か
ら生じる種々の臨床症状、たとえば胸部狭心症、心筋梗
塞及びこれに付随する不整脈の予防又は処置に、及び不
整脈、特に上室性不整脈の予防又は処置に有用性が高
い。
【0030】又、本発明化合物は血管血行動態圧迫を制
限することによって、アテローム硬化症、特に冠状動脈
アテローム硬化症の合併症を減少させる作用が期待され
る。更に本発明化合物は過度に上昇した心拍数を抑制
し、一般の外科手術の際等に心拍数を一定の状態に管理
する場合においても有用な薬剤である。本発明化合物
は、上記心拍数低下作用においてIf電流に対して直接
作用していると考えられ、房室伝導や心臓収縮機能に対
する抑制作用がないこと、及び視障害に対する心拍数低
下作用の選択性も高いことが期待され、副作用の少ない
心拍数低下剤として前記の種々の疾患の予防・治療に有
用であると考えられる。
【0031】本発明化合物における薬理効果は以下に示
す試験方法によって確認される。 (試験方法)
【0032】1.心拍数低下作用試験 重量約250〜350gの雄性ハートレイ系モルモットを頭打
により気絶させた後、放血、致死させ心臓を摘出した。
95%酸素+5%炭酸ガスを十分に通気したKrebs-Henseleit
液中において右心房標本を作製した。標本はステンレス
鋼性フックに装置し、95%酸素+5%炭酸ガスを十分に通
気したKrebs-Henseleit液を満たしたマグヌス管内に負
荷張力0.5gをかけて懸垂し、自発的に振動する心拍数を
記録した。標本を懸垂した後、一時間以上の安定期間を
置いた後、被験化合物を30分間隔で累積的にマグヌス管
内に添加し、物質投与30分後の値から濃度−作用曲線を
求め効果を判定した。心拍数低下作用は被験物投与前に
おける自発的心拍数を30%減少する物質の濃度(EC30)で
比較した。結果、本発明実施例化合物は良好な心拍数低
下作用を示した。
【0033】2.If電流阻害作用試験 <心筋単離>重量約200〜350gの雄性ハートレー系モル
モットを頭打により気絶させた後、頸動脈の切断により
放血させながら速やかに心臓を摘出した。95%酸素+5%炭
酸ガスの混合ガスを十分に通気したTyrode液中に心臓を
移し洞房結節(ペースメーカー)部位(約3x5 mm)を切り
出した。切り出した洞房結節をコラゲナーゼ(ヤクルト
社製)を含む(1.5 mg/ ml)Ca2+除去Tyrode液中で37℃、
30分間の酵素処理した。その後、K+ rich solution ("
KB recovery solution")中で4℃、1時間以上静置した。
処理が終わった洞房結節部位を注射針でミンスし、さら
にピペッティングを行うことで単離心筋細胞を得た。 <電流測定>得られた単離心筋を専用チャンバーに撒
き、自発収縮を行っている紡錘形の細胞に対してパッチ
クランプ法(whole cell mode)を適用した。保持電位を-
40 mVとし、この電位から-10, -20, -30,・・・, -80 m
Vまで順次過分極パルス(1秒間)を与えることでIf電
流を惹起した。-80 mVの過分極パルスによるIf電流が
最も大きかったことから、薬効評価は-80 mVのパルスに
より惹起されたIf電流に対する被検化合物の作用を評
価する。 <薬効評価>被検化合物を含む細胞外液(Tyrode液)を灌
流し始め、5秒間隔で-80 mVの過分極パルスによりIf
電流を惹起し、100パルス目(約8分)まで記録した。薬物
の作用は90パルス以上で飽和状態に達することが確認さ
れた。被検化合物のIf電流阻害作用は薬液灌流前およ
び90パルス以後で得られたIf電流をそれぞれ測定しI
f電流を50%阻害する物質の濃度(IC50)で比較する。
【0034】本発明化合物又はその塩の一種又は二種以
上を含有する医薬組成物は、通常の製薬学的に許容され
る担体を用いて調製される。本発明における医薬組成物
の投与は経口投与、又は注射剤、坐剤、経皮剤、吸入剤
若しくは膀胱内注入等による非経口投与のいずれの形態
であってもよい。投与量は症状、投与対象の年令、性別
等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定されるが、通
常経口投与の場合成人1日当たり0.1mg/kg乃至
100mg/kg程度であり、これを一回で、あるいは
2〜4回に分けて投与する。また、症状によって静脈投
与される場合は、通常成人1回当たり,0.01mg/
kg乃至10mg/kgの範囲で1日に1回乃至複数回
投与される。
【0035】製剤用の担体としては、固体又は液体状の
非毒性医薬用物質が挙げられる。本発明による経口投与
のための固体組成物としては、錠剤、丸剤、カプセル
剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成
物においては、ひとつ又はそれ以上の活性物質が、少な
くともひとつの不活性な希釈剤、例えば乳糖などと混合
される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外
の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤
滑剤や繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、
ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸又はアスパ
ラギン酸のような溶解補助剤を含有していてもよい。錠
剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロースフタレートなどの糖衣又は胃
溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
【0036】経口投与のための液体組成物は、薬剤的に
許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリ
キシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈
剤、例えば精製水、エタノールを含む。この組成物は不
活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘
味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非
水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液
剤、懸濁剤としては、例えば注射剤用蒸留水及び生理食
塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤としては、
例えばエチレングリコール、カカオバターのような植物
油、エタノールのようなアルコール類、アラビアゴム、
ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成
物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散
剤、安定化剤、溶解又は溶解補助剤のような添加剤を含
んでもよい。これらは例えばバクテリア保管フィルター
を通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化され
る。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、使用前に
無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解して使用することも
できる。
【0037】
【実施例】次に実施例により本発明の目的化合物及び製
造方法を更に説明するが、本発明はこれら実施例によっ
て何ら限定されるべきものではない。
【0038】参考例1 6,7-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン
塩酸塩11.5gのテトラヒドロフラン-ジメチルホルムアミ
ド混合懸濁液 (200ml) と3-ピリジル酢酸 塩酸塩8.68g
を用いて常法のアミド化反応を行うことにより、6,7-ジ
メトキシ-2-[2-(3-ピリジル)アセチル]-1,2,3,4-テトラ
ヒドロイソキノリン15.5gを淡黄色油状物として得た。 参考例1−a〜1−d 参考例1と同様にして参考例1−a〜1−dの化合物を
得た。 参考例2 6,7-ジメトキシ-2-[(3-ピリジル)アセチル]-1,2,3,4-テ
トラヒドロイソキノリン15.5gより常法の還元反応を行
うことにより、6,7-ジメトキシ-2-[(3-ピペリジル)アセ
チル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 塩酸塩14.7
gを無色結晶として得た。 参考例2−a〜2−d 参考例2と同様にして参考例2−a〜2−dの化合物を
得た。
【0039】参考例3 3-アミノ-1-ベンジルピペリジン951mgのテトラヒドロフ
ラン(15ml)と、4-ニトロフェニル クロロホルメート1.
11g、6,7-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリ
ン 塩酸塩1.38gを用いて常法のウレア化反応を行うこ
とにより、2-{[(1-ベンジル-3-ピペリジル)アミノ]カル
ボニル}-6,7-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキ
ノリン2.12gを淡黄色油状物として得た。 参考例4 2-{[(1-ベンジル-3-ピペリジル)アミノ]カルボニル}-6,
7-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン2.10g
よりベンジル基を除去することにより、2-{[(3-ピペリ
ジル)アミノ]カルボニル}-6,7-ジメトキシ-1,2,3,4-テ
トラヒドロイソキノリン 塩酸塩1.35gを無色結晶とし
て得た。
【0040】参考例5 ピペリジン-3-酢酸エチルエステル3.0gのアセトニトリ
ル(30ml)溶液に1-(3-ブロモプロポキシ)-3,4-メチレン
ジオキシベンゼン5.0g、炭酸カリウム2.66gを加え付加
反応を行うことにより、{1-[3-(1,3-メチレンジオキシ
ベンゼン-5-イルオキシ)プロピル]-3-ピペリジル}酢酸
エチルエステル4.23gを黄色油状物として得た。 参考例6 {1-[3-(1,3-メチレンジオキシベンゼン-5-イルオキシ)
プロピル]-3-ピペリジル}酢酸エチルエステル4.23gから
常法の加水分解により、{1-[3-(1,3-メチレンジオキシ
ベンゼン-5-イルオキシ)プロピル]-3-ピペリジル}酢酸
3.50gを無色非晶性固体として得た。
【0041】参考例7 セサモール 13.8g 、1,3-ジブロモプロパン 60gを用い
て常法の付加反応を行うことにより、1-(3-ブロモプロ
ポキシ)-3,4-メチレンジオキシベンゼン 17.7gを白色結
晶として得た。 参考例7−a〜7−t 参考例7と同様にして、参考例7−a〜7−tの化合物
を得た。
【0042】実施例1 6,7-ジメトキシ-2-[(3-ピペリジル)アセチル]-1,2,3,4-
テトラヒドロイソキノリン 塩酸塩248mgのアセトニト
リル懸濁液 (6ml) に1-(ブロモプロポキシ)-3,4-メチレ
ンジオキシベンゼン190mgと炭酸カリウム203mgを加え、
80℃で6時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、得られた残
査をクロロホルムに溶解して水酸化ナトリウム水溶液お
よび飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。
溶媒を留去して得られた残査をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(クロロホルム:メタノール=24:1) で精製
し、6,7-ジメトキシ-2-({1-[3-(3,4-メチレンジオキシ
フェノキシ)プロピル]-3-ピペリジル}アセチル)-1,2,3,
4-テトラヒドロイソキノリン478mgを無色油状物として
得た。更にシュウ酸を加えてシュウ酸塩とし、酢酸エチ
ル-アセトニトリルの混液から結晶化させることによっ
てシュウ酸塩296mgを無色結晶として得た。 実施例1−a〜1−z 実施例1と同様にして実施例1−a〜1−zの化合物を
得た。
【0043】実施例2 6,7-ジメトキシ-2-メトキシカルボニル-1,2,3,4-テトラ
ヒドロイソキノリン251mgのトルエン溶液に、3-ヒドロ
キシ-1-[3-(3,4-メチレンジオキシフェノキシ)プロピ
ル]ピペリジン419mgおよび60%水素化ナトリウム20mgを
加え、加熱環流下、7時間攪拌した。室温にて冷却後、
水を加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を
硫酸ナトリウムで乾燥した後溶媒を留去した。得られた
残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホ
ルム:メタノール=49:1) で精製し、6,7-ジメトキシ-2-
({1-[3-(3,4-メチレンジオキシフェノキシ)プロピル]-3
-ピペリジロキシ}カルボニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイ
ソキノリン246mgを淡黄色油状物として得た。更にシュ
ウ酸を加えてシュウ酸塩とし、酢酸エチル-メタノール
の混液から結晶化させることによってシュウ酸塩171mg
を無色結晶として得た。
【0044】実施例3 {1-[3-(1,3-メチレンジオキシベンゼン-5-イルオキシ)
プロピル]ピペリジン-3-イル}酢酸720mgと6,7-メチレン
ジオキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン360mg、WS
C430mg、HOBT140mgのジクロロエタン溶液(20ml)を室
温下6時間攪拌した後1規定水酸化ナトリウム水で洗浄
した。有機層を硫酸マグネシウム上乾燥した後、溶媒を
減圧留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1)で精製
し、6,7-メチレンジオキシ-2-({1-[3-(3,4-メチレンジ
オキシフェノキシ)プロピル]-3-ピペリジル}アセチル)-
1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン740mgを無色油状物
として得た。これをシュウ酸塩にすることにより無色結
晶400mgを得た。
【0045】以下表1〜5に参考例1、1a〜1d、
2、2a〜2d、3〜7、7−a〜7−tの化学構造式
及び物理化学的性状を、表6に実施例1、1a〜1z、
2及び3の化学構造式及び物理化学的性状を示す。
【0046】表中の記号は以下の意味を有する。 Rf.:参考例番号 Ex.:実施例番号 sal.:塩 Pos.:結合位置(窒素原子に対して、3はメタ位結合、4は
パラ位結合を意味する) DATA:物理化学的性状 mp:融点 NMR:核磁気共鳴スペクトル[TMSを内部標準とし、溶媒は
CDCl3を用いた。] Me : メチル Et : エチル Ph : フェニル Indole : インドール Naph : ナフチル OMe : メトキシ OEt : エトキシ diOMe : ジメトキシ triOMe : トリメトキシ CO2Me : メトキシカルボニル
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07D 401/12 211 C07D 401/12 211 401/14 209 401/14 209 405/14 211 405/14 211 (72)発明者 増田 典之 茨城県つくば市御幸が丘 21 山之内製薬 株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式で示される(I)で2−(ピ
    ペリジルアルキルカルボニル)−1,2,3,4−テト
    ラヒドロイソキノリン誘導体又はその塩。 【化1】 (上記式中の記号は、それぞれ以下の意味を有する。 R,R:同一又は異なって水素原子若しくは-O-低
    級アルキル、又はRとRは一体となって-O-低級ア
    ルキレン-O-、 X:O又はS、 A:低級アルキレン、-O-又は-NH-、 A:低級アルキレン、 B:置換されていてもよい炭化水素環又は置換されてい
    てもよくベンゼン環で縮合されていてもよいヘテロ環)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の2−(ピペリジルアルキ
    ルカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキ
    ノリン誘導体又はその塩を有効成分とする医薬。
JP36021297A 1997-12-26 1997-12-26 2−(ピペリジルアルキルカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体又はその塩 Pending JPH11189593A (ja)

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