JPH11191439A - 廃乾電池より二酸化マンガンと塩化亜鉛を分離回収する方法 - Google Patents

廃乾電池より二酸化マンガンと塩化亜鉛を分離回収する方法

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JPH11191439A
JPH11191439A JP37019897A JP37019897A JPH11191439A JP H11191439 A JPH11191439 A JP H11191439A JP 37019897 A JP37019897 A JP 37019897A JP 37019897 A JP37019897 A JP 37019897A JP H11191439 A JPH11191439 A JP H11191439A
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zinc
manganese
manganese dioxide
chloride
dry battery
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JP37019897A
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English (en)
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Takamasa Iwasaki
隆昌 岩崎
Minoru Mogi
実 茂木
Takashi Kanemaru
敞 兼丸
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NOMURA KOSAN KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃乾電池の中からマンガンと亜鉛を多く含む
材料を取り出し、マンガン化合物を二酸化マンガンと
し、金属亜鉛および亜鉛化合物を塩化亜鉛として、それ
ぞれを低コストで分離回収することを特徴とする廃乾電
池の処理方法。 【解決手段】 廃乾電池のマンガン電池およびアルカリ
マンガン電池の中から、マンガンと亜鉛を多く含む材料
を取り出し原料とする。原料を水洗したのち亜鉛缶の小
片を加えて塩酸に溶解し、浄液により不純物成分を除い
てから、過塩素酸を用いた酸化反応を行い二酸化マンガ
ンと塩化亜鉛の混合物を得、次に混合物を水に溶解して
濾過することにより、不溶性の二酸化マンガンと水溶性
の塩化亜鉛を分離回収する。得られた二酸化マンガンは
洗浄により不純物を除き、塩化亜鉛溶液は濃縮固化した
のち有機溶剤に溶解し、不純物を濾過または遠心分離に
より除去し、有機溶剤を留去して塩化亜鉛の精製物を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃乾電池の処理方
法において、マンガン乾電池およびアルカリマンガン乾
電池の中のマンガン化合物から二酸化マンガンを製造
し、金属亜鉛および亜鉛化合物から塩化亜鉛を製造し
て、それぞれを分離回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気製品の小型化や軽量化が進
み、携帯用電気製品が増えるに伴い乾電池の使用量が増
大している。乾電池のなかで一次電池として使用される
主要なものはマンガン電池とアルカリマンガン電池であ
り、これらのものは使用済みとなり不用になるとごみと
して捨てられる。そして、これらの使用済み乾電池は自
治体などにより、一般ごみとともに焼却処理されるケー
スと、廃乾電池として別個に分別収集されたのち回収業
者によって処理・処分されるケースがある。
【0003】この分別収集した廃乾電池の処理について
は、最近、環境保全および資源活用の見地から、処理・
処分することを更に発展させた資源リサイクリングが要
望されている。廃乾電池の構成素材の中で資源リサイク
ルの対象となるものとしては、マンガン、亜鉛、鉄と水
銀があるが、この中でわが国で現に資源リサイクルされ
ているのは水銀と鉄であり、マンガンと亜鉛については
試行されてはいるものの、持続的に実行している例は少
なかった。
【0004】廃乾電池から有価物を分離回収することを
提起している方法としては、例えば特開昭49−106
419号、特公昭同52−9560号、同53−181
63号、同53−25288号がある。これは、廃マン
ガン乾電池の正極合剤部分を塩酸に溶解した中に、アン
モニアと電解二酸化マンガンを加えることにより、溶液
中の塩化マンガンをマンガン酸化物の形で固形化して取
り出し、亜鉛と分離する方法である。しかし、この方法
は得られた有価物の付加価値に比して、反応に用いる薬
剤コストの方が相対的に高く、経済性の原理から資源リ
サイクル技術として利用することは難しくなっている。
【0005】また、別の方法としては、特公昭52−7
813号、特公平3−6208号がある。これは、廃乾
電池を焙焼して得られた非磁性粉体を硫酸に溶解し、硫
酸亜鉛と硫酸マンガンの溶液を電解により二酸化マンガ
ンと亜鉛を分離回収する技術である。しかし、廃乾電池
に含まれるアルカリ金属その他の不純物が多く含まれる
と電解効率が低下し、提起した技術を利用することが難
しくなる。結局、技術的に利用可能とするには、アルカ
リ金属を主とした不純物除去のコストを更に要し、経済
性の観点から利用困難となってくる。
【0006】従って、廃乾電池の資源リサイクリングの
実施を可能とするには、リサイクルによる「環境保全上
のメリット」プラス「資源活用のメリット」より「リサ
イクルに要する消費エネルギーが少ないこと」または
「リサイクルに要するコストが低いこと」が必須条件と
なる。換言すれば、環境保全および資源活用の見地から
は、廃乾電池からコストをできるだけ要しないで、しか
も付加価値の高いものを得るリサイクル方法が望まれて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、廃乾電池の
中からマンガン乾電池およびアルカリマンガン乾電池を
選別し、乾電池のマンガンと亜鉛を多く含む材料を原料
として、省エネルギーでかつ低コストでマンガンと亜鉛
を分離回収し、不純物はできるだけ少なくして付加価値
の高い二酸化マンガンおよび塩化亜鉛を製造する廃乾電
池の処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(5)の本発明により達成される。 (1) 廃乾電池の中からマンガンと亜鉛を多く含む材
料を、必要により水洗したのち、塩酸に溶解して水溶液
とする。この水溶液を浄液により不純物成分を除去した
のち加熱濃縮する。濃縮物に過塩素酸を加えて加熱する
と二酸化マンガンと塩化亜鉛の固形混合物を得る。固形
混合物を水に溶解して濾過することにより、廃乾電池か
ら二酸化マンガンと塩化亜鉛を分離回収する。 (2) 廃乾電池の中からマンガンと亜鉛を多く含む材
料を塩酸に溶解する際、マンガン乾電池を破砕したのち
篩分けをしてアンダーサイズ部分より得た「亜鉛缶」の
小片を加えることにより、塩素ガスの発生を抑制してマ
ンガン化合物の易溶化を図る。 (3) 塩化マンガンと塩化亜鉛の混合濃縮物を過塩素
酸により酸化して、塩化マンガンを二酸化マンガンとす
る反応において、外部加熱温度を200〜350℃、加
熱時間を1〜5時間とし、水酸化亜鉛または酸化亜鉛の
いずれかを加えることにより、塩素ガスの発生を抑え二
酸化マンガンの分解を防ぐ。 (4) マンガンから分離して得られた塩化亜鉛を有機
溶剤に溶かし、混在していた不溶性のアルカリ金属塩類
を濾過または遠心分離により除去したのち、有機溶剤を
留去することにより塩化亜鉛を精製する。この工程によ
り、アルカリ電池に多く含まれる塩化カリウムが、塩化
亜鉛から低コストで排除することが可能となる。 (5) 廃乾電池の中からマンガンと亜鉛を多く含む材
料を得る方法として、マンガン乾電池を破砕したのち篩
分けをしてアンダーサイズ品より得た「合剤」、アルカ
リマンガン乾電池を破砕したのち篩分けをしてアンダー
サイズ品より得た「アルカリ合剤」、および廃乾電池に
含有する水銀を焙焼により回収した残りの焙焼滓から得
た「亜鉛滓」の中から単独または組み合わせたものを選
択することができ、不純物の多い材料でも使用すること
が可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。本発明の廃乾電池より二酸
化マンガンと塩化亜鉛を分離回収する方法に用いる材
料、すなわち、「合剤」、「亜鉛缶」、「アルカリ合
剤」および「亜鉛滓」はそれぞれ次の工程によって得る
ことができる。 (1) 図2に示したように、廃乾電池の中からマンガ
ン乾電池を選別し、これをハンマークラッシャーなどの
破砕機により砕いたのち、篩分けてアンダーサイズ品を
取る。オーバーサイズ品は再破砕と篩分けを繰り返し、
アンダーサイズ品の歩留まりを上げると、主成分として
マンガンと亜鉛の混合した「合剤」を得る。 (2) (1)の操作によって得たオーバーサイズ品を
乾燥したのち、風力選別により紙と廃プラスチックを除
き、次に磁力選別により鉄スクラップを除き、最後に解
砕と篩分けにより炭素棒を除くと、金属亜鉛を主成分と
する「亜鉛缶」を得る。「亜鉛缶」は形状が不揃いであ
るので、小片に切断するか粒状亜鉛に加工して使用に備
える。 (3) 図3に示したように、廃乾電池の中からアルカ
リマンガン乾電池を選別し、これをハンマークラッシャ
ーなどの破砕機により砕いたのち、篩分けてアンダーサ
イズ品を取る。オーバーサイズ品は再破砕と篩分けを繰
り返し、アンダーサイズ品の歩留まりを上げると、マン
ガン主成分の合剤および金属亜鉛を主成分とした亜鉛粒
の混合物である「アルカリ合剤」を得る。 (4) 図4に示したように、マンガン乾電池とアルカ
リマンガン乾電池の混合物を600〜800℃の温度で
40〜50分焙焼し、含有する水銀を回収除去した残り
の焙焼滓から、磁力選別により鉄スクラップを、解砕と
篩分けにより炭素棒を除くと、亜鉛とマンガンを主成分
とする「亜鉛滓」を得る。
【0010】次に、上記(1)から(4)までの中から
単独または組み合わせた原料を用いて、マンガンと亜鉛
を分離回収する方法を、図1に示した工程に従い説明す
る。
【0011】(1) 上記材料の中から、「合剤」、
「亜鉛滓」または「アルカリ合剤」を水洗する工程。本
操作により原料に含まれるアルカリ金属化合物およびア
ルカリ土類金属化合物の含有量を低下させることができ
る。なお、「合剤」、「亜鉛滓」と「アルカリ合剤」
は、水洗液のpHが異なるので個別に行うことが望まし
い。
【0012】(2) 前記「合剤」または「亜鉛滓」の
水洗水をアルカリ水溶液により中和する。生成した亜鉛
を主とした金属水酸化物を濾過により集め、水洗浄して
から前記(1)の水洗材料と一緒にする。なお、中和に
使用するアルカリ水溶液は、「アルカリ合剤」を洗浄し
た水溶液に水酸化カリウムを含むので、これを利用する
ことができる。 (3) 前記(1)の水洗材料と(2)の水洗金属水酸
化物を一緒にしたものと「亜鉛缶」の組み合わせた原料
を塩酸に溶解する工程。原料に含まれるマンガン酸化物
は「亜鉛缶」を併用することにより溶解が促進される。
塩酸に不溶の炭素は濾過により除去する。マンガン酸化
物が金属亜鉛により塩酸に溶け易くなるのは、次式によ
ると考えられる。
【化1】
【化2】 化1式においてマンガン酸化度{MnO1+nにおける
(1+n)}は、本発明に使用する材料である「合剤」
および「アルカリ合剤」では1<n<0.5であるが、
「亜鉛滓」では0.2<n)<0.05の値をとること
が一般的である。マンガン高酸化物は金属亜鉛により還
元され、酸化マンガン(II)となり化2式により塩酸
に溶解する。
【0014】(4) 前記塩酸溶解液を2段階の浄液工
程により、原料に含まれる鉄、鉛、カドミウム、ニッケ
ル、銅、水銀などの金属化合物および硫酸イオンやシリ
カなどの不純物の含有量を低下させる。浄液工程と
には、セメンテーション、水酸化第二鉄共沈操作および
バリウム水溶液添加操作があるが、操作順序は前後を入
れ替えてもよい。
【0015】(5) 浄液した塩酸溶解液に過塩素酸を
加えて濃縮し、更に200〜350℃で1〜5時間加熱
することにより、塩化マンガンを酸化して二酸化マンガ
ンとする工程。この時、生成した塩化水素と過剰の過塩
素酸は回収する。過塩素酸による酸化反応の際、必要に
より酸化亜鉛または水酸化亜鉛を加えると、溶液のpH
低下を抑え、塩素ガスの発生防止と生成した二酸化マン
ガンの分解反応を防ぐことができる。水酸化亜鉛は本発
明によって得た塩化亜鉛と「アルカリ合剤」に含まれる
水酸化カリウムからつくり、また、酸化亜鉛は「亜鉛
缶」の焙焼により得られ、これを利用することができ
る。ただし、この際利用する水酸化亜鉛および酸化亜鉛
は不純物の少ないものが望ましい。なお、マンガンの酸
化は次式により進行すると考えられる。
【0016】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】 化3式の右辺で生成する二酸化マンガンと塩化水素は、
化4式により塩素ガスを発生しながら、元の塩化マンガ
ンに戻る反応も起きるので、生成した塩化水素を系外に
取り出すことが必要になる。その方法として塩化水素を
高温で気化して除くほかに、水酸化亜鉛や酸化亜鉛を添
加すると、化5式と化6式により生成した塩化水素を打
ち消す方向に働き、結果として二酸化マンガンの収率を
上げることができる。二酸化マンガンの分解程度、すな
わちマンガンの酸化度低下は共存時塩酸の量により決め
られるので、結局、化3式のmは反応系のpHに左右さ
れる数値である。無水条件ならm<4であるが、本発明
はmができるだけ小さい中性に近い条件で行うことが得
策になる。
【0017】(6) 前記二酸化マンガンと塩化亜鉛の
混合物に、水を加えて塩化亜鉛を溶解すると固形の二酸
化マンガンが懸濁した塩化亜鉛溶解液が得られる。この
懸濁液を濾過により、固形の二酸化マンガンと水溶性の
塩化亜鉛に分離する。分離した二酸化マンガンは希塩酸
洗浄、次に水洗浄したのち乾燥して精製する。塩化亜鉛
は濃縮したのち、蒸留や有機溶剤溶解などの手段により
精製する。有機溶剤による精製は、アルコール類または
ケトン類の有機溶剤に溶解し、有機溶剤に不溶性のアル
カリ金属塩類を濾過または遠心分離することにより除去
し、そののち有機溶剤を留去する。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を記述する。 (1) 材料準備工程 廃乾電池100kgを形状選別、重量選別を組み合わせ
て処理したところ、単1型(R20)と単2型(R1
4)を合わせたマンガン電池44kg、単1型と単2型
を合わせたアルカリマンガン電池10kgを得た。マン
ガン電池44kgをハンマークラッシャー型破砕機を用
いて破砕したのち篩分けを行なった。この破砕と篩分け
をオーバーサイズのものに対して2回繰り返した。この
ようにして最終的にアンダーサイズの「合剤」を主体と
する粉末26kgを得た。
【0019】一方、篩分けオーバーサイズのもの18k
gを乾燥してから、風力選別で紙とプラスチックを除
き、磁力選別により鉄スクラップを除く。次に、ハンマ
ークラッシャー型破砕機を用いて解砕し、篩分けにより
オーバーサイズを取ると「亜鉛缶」を主とした固形物
5.2kgを得る。「亜鉛缶」は使用に備え小片に切断
する。
【0020】前記廃乾電池100kgから選別して得た
アルカリマンガン電池10kgをハンマークラッシャー
型破砕機を用いて破砕し篩分けを行った。この破砕と篩
分けをオーバーサイズのものに対して2回繰り返した。
このようにして最終的に篩分けアンダーサイズの「アル
カリ合剤」を主体とする粉末6.6kgを得る。
【0021】(2) 水洗工程 先に廃乾電池から得た「合剤」100gをビーカーにと
る。次に200〜400mlの水とかき混ぜ濾過する。
不溶解固形物を50〜100mlの水で再洗浄して次の
工程に移す。濾過により得た水溶液は弱酸性を呈するの
で、水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和しpHを9.
0〜9.5とする。中和に用いるアルカリ剤は0.5〜
0.8gと少量であり、水酸化ナトリウム水溶液の代わ
りに、アルカリマンガン電池から得た「アルカリ合剤」
の水洗液を利用することも可能である。生じた金属水酸
化物沈殿を濾過して取り、沈殿を水で洗浄し先の洗浄済
みの不溶解固形物と一緒にして次の工程に移す。
【0022】廃乾電池から得た材料として「合剤」の代
わりに「亜鉛滓」用いても同様操作を行う。「アルカリ
合剤」100gを原料とした場合も、前記同様水洗操作
を行い、不溶解固形物を次の工程に移す。「アルカリ合
剤」の水洗掖は前記「合剤」または「亜鉛滓」の弱酸性
水洗液の中和に利用する。 (3) 塩酸溶解工程
【0023】前記の洗浄済み不溶解固形物と洗浄済み金
属水酸化物沈殿をビーカーに取り、等量の水で希釈した
塩酸450〜500mlの一部を加えると、発熱して溶
解が始まる。溶解が盛んになると塩素ガスが発生し始め
るので、前記「亜鉛缶」から得た小片亜鉛または粒状亜
鉛10〜20gの一部を加えると、塩素ガスの発生を押
さえて溶解することができる。残りの塩酸と小片亜鉛ま
たは粒状亜鉛は、交互に液温が50〜55℃を維持する
ようにして加えていく。塩酸を全部加えてから80〜9
0℃に2時間加熱して塩酸溶解を終了する。溶解液は放
冷してから濾紙を用いて吸引濾過する。不溶解残渣はカ
ーボンを主とした不純物が主であり、別途廃棄処理を行
う。なお、残渣に添加した「亜鉛缶」の小片亜鉛が残っ
ている場合はこれを回収する。
【0024】(4) 浄液工程 前記の塩酸溶解濾過液をセメンテーション(亜鉛還元)
による浄液を行う。混合溶液550〜600mlに、先
に「亜鉛缶」から用意した小片亜鉛または粒状亜鉛1.
0〜2.5gを加え3〜6時間撹拌する。一晩放置した
のち吸引濾過し、末反応亜鉛を含む析出沈殿を取り除
き、濾過残渣は少量の水で洗う。
【0025】(5) 浄液工程 次に、浄液工程の終了した混合溶掖を水酸化第二鉄共
沈による浄液を行う。すなわち、混合溶液を撹拌しなが
ら3%過酸化水素水10〜20ml、酸化亜鉛粉末また
は水酸化亜鉛粉末1〜3gを交互に少量ずつ加えてpH
を3.8〜4.3としたのち、加熱濃縮して全量を20
0〜250mlの液量とする。次に、水酸化バリウム
[Ba(OH)・8HO]1.0〜1.5gを少量
の水に溶かした液を加えて一晩放置する。 酸化亜鉛粉
末または水酸化亜鉛粉末はpHを上げるために加える
が、この亜鉛化合物は、後述の本発明で製造した塩化亜
鉛と「アルカリ合剤」洗浄水との中和反応により得られ
る水酸化亜鉛、または「亜鉛缶」を酸化雰囲気で焙焼し
て得られる酸化亜鉛を用いる。水酸化バリウムは硫酸イ
オンの沈殿化と中和目的に使用する。過酸化水素水は第
一鉄イオンを酸化する目的であるが、塩素ガスの吹き込
みまたは電解二酸化マンガンを添加して加熱することで
も目的は達せられる。次に放置した溶液を濾紙を用いて
吸引▲ろ▼過する。濾紙残渣を少量の水で洗うと、濾過
洗浄液には鉄、鉛、シリカ、硫酸イオンなどの不純物を
除いた、塩化マンガンと塩化亜鉛の混合溶液230〜2
80mlを得る。不純物を除いた混合溶液は、次のマン
ガン酸化工程に移る。
【0026】(6) マンガン酸化工程 250ml磁製るつぼに前記浄液工程の終了した溶液を
2〜3回に分けて入れながら加熱濃縮する。るつぼに6
0%過塩素酸25〜30gを加えかき混ぜたものをマッ
フル炉に入れて加熱する。るつぼには発生する塩化水素
や塩素ガスを炉の外部に導き、ガスを吸収する装置に接
続する。炉が200℃に達したなら、徐々に温度を上げ
結晶水がなくなる頃に、るつぼの内容物は淡いピンク色
から黒色に変化する。0. 5〜3時間加熱してるつぼ
を一旦取り出して放冷する。るつぼに60%過塩素酸5
〜10gと、不純物のできるだけ少ない塩化亜鉛と「ア
ルカリ合剤」洗浄水との中和反応によって得た水酸化亜
鉛2〜4gを加えて内容物をかき混ぜてから加熱を再開
し、250〜350℃に0. 5〜2時間加熱して酸化
反応を終了する。
【0027】(7) マンガンと亜鉛の分離工程 放冷したるつぼの内容物は黒色固形物となっていて、水
150〜200mlを加えると発熱して塩化亜鉛が溶解
する。放冷したのち黒色の二酸化マンガン沈殿物を吸引
濾過してとる。
【0028】(8) 二酸化マンガンの精製工程 二酸化マンガンは少量の希塩酸で洗浄したのち、水を用
いて洗浄し、乾燥機に入れ乾燥すると黒色の二酸化マン
ガンを得る。
【0029】(9) 塩化亜鉛の精製工程 二酸化マンガン沈殿物を除いた濾過液を250ml磁製
るつぼに入れて加熱濃縮し、塩化亜鉛の結晶が出始めた
なら、塩酸1〜3mlを少しずつ加えながらガラス棒で
かき混ぜて加熱する。放冷すると白色粉状固形物の塩化
亜鉛が得られる。
【0030】得られた白色粉状固形物の塩化亜鉛を同量
の有機溶剤に溶解する。有機溶剤としてはメチルアルコ
ール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン
などが適している。有機溶剤溶解液を遠心分離器にかけ
て不溶性の不純物を除き、次に有機溶剤を留去するとア
ルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、特にカリウム塩の
含有量を低下させた塩化亜鉛結晶を得ることができる。
【0031】実施例1 マンガン電池の解体により得た「合剤」100gと「亜
鉛缶」小片21g及び水酸化亜鉛8gを材料にして、前
記工程に従ってマンガンと亜鉛を化学的に分離すると、
精製した二酸化マンガン結晶43gと白色粉状固形物の
塩化亜鉛87gを得る。得られた二酸化マンガンの純度
は94.0wt%であり、不純物はZn;0.33wt
%、Fe;0.0010wt%、Cd;0.0001w
t%、Cu;0.0005wt%以下、pb;0.00
2wt%以下、KO;0.0020wt%、Na
O;0.0085wt%、SO;0.033wt
%、SiO;0.031wt%であった。図5に示し
たように、得られた二酸化マンガンをX線回折によって
調べたところβ−MnOであった。
【0032】得られた塩化亜鉛の純度は97.0wt%
であり、不純物はMn;0.061wt%、Fe;0.
0008wt%、Cd;0.0012wt%、Cu;
0.0002wt%以下、pb;0.0001wt%、
SO;0.006wt%以下、不溶分;0.01wt
%以下、アルカリ土類・アルカリ金属(硫酸塩とし
て);0.13wt%であった。
【0033】実施例2 「アルカリ合剤」100gと前記「亜鉛缶」小片10g
及び水酸化亜鉛7gを材料にして、前記工程に従ってマ
ンガンと亜鉛を化学的に分離すると、精製した二酸化マ
ンガン結晶48gと白色粉状固形物の塩化亜鉛91gを
得る。得られた二酸化マンガンの純度は92.3wt%
であり、不純物はZn;0.41wt%、Fe;0.0
014wt%、Cd;0.0001wt%、Cu;0.
0005wt%以下、pb;0.002wt%以下、K
O;0.046wt%、NaO;0.011wt
%、SO;0.029wt%、SiO;0.011
wt%であった。
【0034】得られた塩化亜鉛の純度は96.8wt%
であり、不純物はMn;0.043wt%、Fe;0.
0001wt%、Cd;0.00002wt%以下、C
u;0.00002wt%、pb;0.0001wt
%、SO;0.006wt%以下、不溶分;0.01
wt%以下、アルカリ土類・アルカリ金属(硫酸塩とし
て);0.060wt%であった。
【0035】実施例3 マンガン乾電池とアルカリマンガン乾電池の混合物を6
00〜800℃の温度で40〜50分焙焼し、含有する
水銀を除去した焙焼滓を解砕したのち篩分けにより炭素
棒を、磁選機により鉄スクラップを除去すると「亜鉛
滓」が得られる。最初の乾電池重量に対して、得られる
「亜鉛滓」重量は44〜47%である。
【0036】「亜鉛滓」100gと前記「亜鉛缶」小片
7gおよび水酸化亜鉛6gを材料にして、前記工程に従
ってマンガンと亜鉛を化学的に分離すると、精製した二
酸化マンガン結晶40gと白色粉状固形物の塩化亜鉛1
04gを得る。得られた二酸化マンガンの純度は95.
8wt%であり、不純物はZn;0.37wt%、F
e;0.021wt%、Cd;0.0002wt%以
下、Cu;0.0005wt以下、Pb;0.002w
t%以下、KO;0.0037wt%、NaO;
0.0042wt%、SO;0.039wt%、Si
;0.057wt%であった。
【0037】得られた塩化亜鉛の純度は96.3wt%
であり、不純物はMn;0. 18wt%、Fe;0.
0019wt%、Cd;0.0001wt%、Cu;
0.0002wt%以下、pb;0.0005wt%、
SO;0.006wt%以下、不溶分;0.01wt
%以下、アルカリ土類・アルカリ金属(硫酸塩とし
て);0.26wt%であった。
【0038】乾電池の試作と放電テスト 実施例1〜3において得た、それぞれの二酸化マンガン
および塩化亜鉛を用いてマンガン電池の合剤をつくる。
つくり方は、本発明により得た塩化亜鉛10.0部、塩
化アンモニウム1.0部と酸化亜鉛0.3部を混合して
から水27.5部を加えて溶解液とする。別に、本発明
により得た二酸化マンガンをめのう乳鉢により粉砕した
のち、篩分けをして330メッシュ以下とする。330
メッシュ以下の二酸化マンガン52.5部と酸化亜鉛
0.2部を混合してから、アセチレンブラック8.5部
を加え混合する。これに先の溶解液を加えながらかき混
ぜると合剤ができる。
【0039】市販単3型(R6)黒タイプの乾電池を丁
寧に解体して、充填してあった合剤を取り出す。厚さ
0.12mmクラフト紙を用いてセパレータをつくり亜
鉛缶中にセットする。先の調合した合剤を充填して炭素
棒をセットし、つば紙、封口、絶縁リング、キャップ板
などを元のとおりに納め、最後に外装缶を被せて固定し
乾電池ができあがる。
【0040】ペン型ライト(1.1V、0.22Aニッ
プル球付き)に試作電池をセットして連続放電試験を行
い、終止電圧900mVになるまでの時間を測定する。
【0041】試作乾電池の連続放電試験で、実施例1〜
3において得た二酸化マンガンおよび塩化マンガンを材
料とした乾電池は、終止電圧900mVになるまでの時
間は2.5〜2.6時間であった。一方、試薬として購
入したCMD(ケミカル二酸化マンガン)と試薬塩化亜
鉛を材料にした試作乾電池の終止電圧900mVになる
までの時間は2.5時間であり、試薬として購入したE
MD(電解二酸化マンガン)と試薬塩化亜鉛を材料にし
た試作乾電池の終止電圧900mVになるまでの時間は
3.4時間であった。従って本発明により得た二酸化マ
ンガンはCMDと同等の実用レベルにあり、本発明によ
り得た塩化亜鉛も合剤に使用できることが確認された。
【0042】
【発明の効果】前記の工程を経ることにより、廃乾電池
より二酸化マンガンと塩化亜鉛を分離回収するが、本発
明のポイントは塩化マンガンを二酸化マンガンとするこ
とにあり、使用する酸化剤の過塩素酸は少量で済み、全
体の工程を通じて使用薬剤が少ないことから、コスト的
にも安価にできる利点が本発明の最大の特徴である。
【0043】得られた二酸化マンガンと塩化亜鉛は、新
しいマンガン乾電池を製造する際の正極活物質に利用す
ることが可能である。マンガン乾電池合剤の製造に有害
な不純物は、前記工程で除去されて極めて微量であるた
め、乾電池にした場合の自己放電ならびに負極を侵食す
る危険が少ない。更に、得られた二酸化マンガンはタッ
ピングかさ比重が1.8〜2.2g/mlであり、限定
された容積である乾電池に充填する二酸化マンガン量を
大きくすることができる。このことは電池の放電容量を
大とすることが可能で、一般的な化学的二酸化マンガン
(CMD)では問題とされる欠点の一つを解決するもの
である。
【0044】また、前記二酸化マンガンはマンガン乾電
池の正極活物質に利用するほかに、リチウム電池の正極
活物質原料およびソフトフェライトのような磁性体材料
の原料に利用することができる。リチウム電池の正極活
物質としては不純物と水分が少なく、熱力学的に安定な
β−MnOの条件を満たしている。
【0045】塩化亜鉛は前記マンガン乾電池の電解液に
利用するほかに、木材防腐剤、活性炭賦活剤、脱臭剤、
ハンダ用ペーストに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】廃乾液電池の処理工程から得たマンガンと亜鉛
を含む材料から、二酸化マンガンと塩化亜鉛を分離回収
する工程図である。
【図2】廃乾電池を処理して、マンガン電池から亜鉛の
多い「亜鉛缶」とマンガンの多い「合剤」を取り出す工
程図である。
【図3】廃乾電池を処理して、アルカリマンガン電池か
ら亜鉛とマンガンを主成分とする「アルカリ合剤」を取
り出す工程図である。
【図4】廃乾電池から水銀を回収するために焙焼処理し
て、亜鉛とマンガンを含む「亜鉛滓」を取り出し、排ガ
スを処理する工程図である。
【図5】実施例1で得た二酸化マンガンのX線回折図で
ある。
【符号の説明】
浄液工程 セメンテーションによる浄液工程 浄液工程 水酸化第二鉄共沈およびバリウム水溶液
添加による浄液工程
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年2月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 廃乾電池より二酸化マンガンと塩化亜
鉛を分離回収する方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃乾電池の処理方
法において、マンガン乾電池およびアルカリマンガン乾
電池の中のマンガン化合物から二酸化マンガンを製造
し、金属亜鉛および亜鉛化合物から塩化亜鉛を製造し
て、それぞれを分離回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気製品の小型化や軽量化が進
み、携帯用電気製品が増えるに伴い乾電池の使用量が増
大している。乾電池のなかで一次電池として使用される
主要なものはマンガン電池とアルカリマンガン電池であ
り、これらのものは使用済みとなり不用になるとごみと
して捨てられる。そして、これらの使用済み乾電池は自
治体などにより、一般ごみとともに焼却処理されるケー
スと、廃乾電池として別個に分別収集されたのち回収業
者によって処理・処分されるケースがある。
【0003】この分別収集した廃乾電池の処理について
は、最近、環境保全および資源活用の見地から、処理・
処分することを更に発展させた資源リサイクリングが要
望されている。廃乾電池の構成素材の中で資源リサイク
ルの対象となるものとしては、マンガン、亜鉛、鉄と水
銀があるが、この中でわが国で現に資源リサイクルされ
ているのは水銀と鉄であり、マンガンと亜鉛については
試行されてはいるものの、持続的に実行している例は少
なかった。
【0004】廃乾電池から有価物を分離回収することを
提起している方法としては、例えば特開昭49−106
419号、特公昭同52−9560号、同53−181
63号、同53−25288号がある。これは、廃マン
ガン乾電池の正極合剤部分を塩酸に溶解した中に、アン
モニアと電解二酸化マンガンを加えることにより、溶液
中の塩化マンガンをマンガン酸化物の形で固形化して取
り出し、亜鉛と分離する方法である。しかし、この方法
は得られた有価物の付加価値に比して、反応に用いる薬
剤コストの方が相対的に高く、経済性の原理から資源リ
サイクル技術として利用することは難しくなっている。
【0005】また、別の方法としては、特公昭52−7
813号、特公平3−6208号がある。これは、廃乾
電池を焙焼して得られた非磁性粉体を硫酸に溶解し、硫
酸亜鉛と硫酸マンガンの溶液を電解により二酸化マンガ
ンと亜鉛を分離回収する技術である。しかし、廃乾電池
にアルカリ金属その他の不純物が多く含まれると電解効
率が低下すること、また、陰イオンとして塩素を含むと
電極に使用するアルミニウムが腐食することなどの現象
が知られており、提起した技術を利用することが難しく
なる。結局、技術的に利用可能とするには、アルカリ金
や塩素などの不純物を除去するコストを要し、経済性
の観点から利用困難となっている。
【0006】従って、廃乾電池の資源リサイクリングの
実施を可能とするには、リサイクルによる「環境保全上
のメリット」プラス「資源活用のメリット」より「リサ
イクルに要する消費エネルギーが少ないこと」または
「リサイクルに要するコストが低いこと」が必須条件と
なる。換言すれば、環境保全および資源活用の見地から
は、廃乾電池からコストをできるだけ要しないで、しか
も付加価値の高いものを得るリサイクル方法が望まれて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、廃乾電池の
中からマンガン乾電池およびアルカリマンガン乾電池を
選別し、乾電池のマンガンと亜鉛を多く含む材料を原料
として、省エネルギーでかつ低コストでマンガンと亜鉛
を分離回収し、不純物はできるだけ少なくして付加価値
の高い二酸化マンガンおよび塩化亜鉛を製造する廃乾電
池の処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(5)の本発明により達成される。 (1) 廃乾電池の中からマンガンと亜鉛を多く含む材
料を、必要により水洗したのち、塩酸に溶解して水溶液
とする。この水溶液を浄液により不純物成分を除去した
のち加熱濃縮する。濃縮物に過塩素酸を加えて加熱する
と二酸化マンガンと塩化亜鉛の固形混合物を得る。固形
混合物を水に溶解して濾過することにより、廃乾電池か
ら二酸化マンガンと塩化亜鉛を分離回収する。 (2) 廃乾電池の中からマンガンと亜鉛を多く含む材
料を塩酸に溶解する際、マンガン乾電池を破砕したのち
篩分けをしてアンダーサイズ部分より得た「亜鉛缶」の
小片を加えることにより、塩素ガスの発生を抑制してマ
ンガン化合物の易溶化を図る。 (3) 塩化マンガンと塩化亜鉛の混合濃縮物を過塩素
酸により酸化して、塩化マンガンを二酸化マンガンとす
る反応において、外部加熱温度を200〜350℃、加
熱時間を1〜5時間とし、水酸化亜鉛または酸化亜鉛の
いずれかを加えることにより、塩素ガスの発生を抑え二
酸化マンガンの分解を防ぐ。 (4) マンガンから分離して得られた塩化亜鉛を有機
溶剤に溶かし、混在していた不溶性のアルカリ金属塩類
を濾過または遠心分離により除去したのち、有機溶剤を
留去することにより塩化亜鉛を精製する。この工程によ
り、アルカリ電池に多く含まれる塩化カリウムが、塩化
亜鉛から低コストで排除することが可能となる。 (5) 廃乾電池の中からマンガンと亜鉛を多く含む材
料を得る方法として、マンガン乾電池を破砕したのち篩
分けをしてアンダーサイズ品より得た「合剤」、アルカ
リマンガン乾電池を破砕したのち篩分けをしてアンダー
サイズ品より得た「アルカリ合剤」、および廃乾電池に
含有する水銀を焙焼により回収した残りの焙焼滓から得
た「亜鉛滓」の中から単独または組み合わせたものを選
択することができ、不純物の多い材料でも使用すること
が可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。本発明の廃乾電池より二酸
化マンガンと塩化亜鉛を分離回収する方法に用いる材
料、すなわち、「合剤」、「亜鉛缶」、「アルカリ合
剤」および「亜鉛滓」はそれぞれ次の工程によって得る
ことができる。 (1) 図2に示したように、廃乾電池の中からマンガ
ン乾電池を選別し、これをハンマークラッシャーなどの
破砕機により砕いたのち、篩分けてアンダーサイズ品を
取る。オーバーサイズ品は再破砕と篩分けを繰り返し、
アンダーサイズ品の歩留まりを上げると、主成分として
マンガンと亜鉛の混合した「合剤」を得る (2) (1)の操作によって得たオーバーサイズ品を
乾燥したのち、風力選別により紙と廃プラスチックを除
き、次に磁力選別により鉄スクラップを除き、最後に解
砕と篩分けにより炭素棒を除くと、金属亜鉛を主成分と
する「亜鉛缶」を得る。「亜鉛缶」は形状が不揃いであ
るので、小片に切断するか粒状亜鉛に加工して使用に備
える。 (3) 図3に示したように、廃乾電池の中からアルカ
リマンガン乾電池を選別し、これをハンマークラッシャ
ーなどの破砕機により砕いたのち、篩分けてアンダーサ
イズ品を取る。オーバーサイズ品は再破砕と篩分けを繰
り返し、アンダーサイズ品の歩留まりを上げると、マン
ガン主成分の合剤および金属亜鉛を主成分とした亜鉛粒
の混合物である「アルカリ合剤」を得る。 (4) 図4に示したように、マンガン乾電池とアルカ
リマンガン乾電池の混合物を600〜800℃の温度で
40〜50分焙焼し、含有する水銀を回収除去した残り
の焙焼滓から、磁力選別により鉄スクラップを、解砕と
篩分けにより炭素棒を除くと、亜鉛とマンガンを主成分
とする「亜鉛滓」を得る。
【0010】次に、上記(1)から(4)までの中から
単独または組み合わせた原料を用いて、マンガンと亜鉛
を分離回収する方法を、図1に示した工程に従い説明す
る。
【0011】(1) 上記材料の中から、「合剤」、
「亜鉛滓」または「アルカリ合剤」を水洗する工程。本
操作により原料に含まれるアルカリ金属化合物およびア
ルカリ土類金属化合物の含有量を低下させることができ
る。なお、「合剤」、「亜鉛滓」と「アルカリ合剤」
は、水洗液のpHが異なるので個別に行うことが望まし
い。
【0012】(2) 前記「合剤」または「亜鉛滓」の
水洗水をアルカリ水溶液により中和する。生成した亜鉛
を主とした金属水酸化物を濾過により集め、水洗浄して
から前記(1)の水洗材料と一緒にする。なお、中和に
使用するアルカリ水溶液は、「アルカリ合剤」を洗浄し
た水溶液に水酸化カリウムを含むので、これを利用する
ことができる。 (3) 前記(1)の水洗材料と(2)の水洗金属水酸
化物を一緒にしたものと「亜鉛缶」の組み合わせた原料
を塩酸に溶解する工程。原料に含まれるマンガン酸化物
は「亜鉛缶」を併用することにより溶解が促進される。
炭素などの塩酸不溶解物を濾過により除去すると、塩化
マンガンと塩化亜鉛の溶液を得る。マンガン酸化物が金
属亜鉛により塩酸に溶け易くなるのは、次式によると考
えられる。
【0013】
【化1】
【化2】 化1式においてマンガン酸化度{MnO1+ における
(1+)}は、本発明に使用する材料である「合剤」
では2<(1+n)<1.5、「アルカリ合剤」では2
<(1+n)<1であり、「亜鉛滓」では1.2<(1
+n)<1.05の値をとることが一般的である。化1
式は固体と固体の反応であるが、2価鉄イオンが存在す
るとマンガンを還元して3価鉄になる。3価鉄イオンは
金属亜鉛に還元されて2価鉄に戻るというように、乾電
池中に含まれる鉄イオンがマンガンを還元する触媒作用
の働きをしている。このようにマンガン高酸化物は還元
され一酸化マンガンとなり、化2式により塩酸に溶解す
る。
【0014】(4) 前記塩酸溶解液を2段階の浄液工
程により、原料に含まれる鉄、鉛、カドミウム、ニッケ
ル、銅、水銀などの金属化合物および硫酸イオンやシリ
カなどの不純物の含有量を低下させる。浄液工程と
には、セメンテーション、水酸化第二鉄共沈操作および
バリウム水溶液添加操作があるが、操作順序は前後を入
れ替えてもよい。
【0015】(5) 浄液した塩酸溶解液に過塩素酸を
加えて濃縮し、更に200〜350℃で1〜5時間加熱
することにより、塩化マンガンを酸化して二酸化マンガ
ンとする工程。この時、生成した塩化水素と過剰の過塩
素酸は回収する。過塩素酸による酸化反応の際、必要に
より酸化亜鉛または水酸化亜鉛を加えると、溶液のpH
低下を抑え、塩素ガスの発生防止と生成した二酸化マン
ガンの分解反応を防ぐことができる。水酸化亜鉛は本発
明によって得た塩化亜鉛と「アルカリ合剤」に含まれる
水酸化カリウムからつくり、また、酸化亜鉛は「亜鉛
缶」の焙焼により得られ、これを利用することができ
る。ただし、この際利用する水酸化亜鉛および酸化亜鉛
は不純物の少ないものが望ましい。なお、マンガンの酸
化は次式により進行すると考えられる。
【0016】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】 化3式の右辺で生成する二酸化マンガンと塩化水素は、
化4式により塩素ガスを発生しながら、元の塩化マンガ
ンに戻る反応も起きるので、生成した塩化水素を系外に
取り出すことが必要になる。その方法として塩化水素を
高温で気化して除くほかに、水酸化亜鉛や酸化亜鉛を添
加すると、化5式と化6式により生成した塩化水素を打
ち消す方向に働き、結果として二酸化マンガンの収率を
上げることができる。本発明は、化3式のmができるだ
け小さくなるような条件で反応を行うことが得策であ
る。
【0017】(6) 前記二酸化マンガンと塩化亜鉛の
混合物に、水を加えて塩化亜鉛を溶解すると固形の二酸
化マンガンが懸濁した塩化亜鉛溶解液が得られる。この
懸濁液を濾過により、固形の二酸化マンガンと水溶性の
塩化亜鉛に分離する。分離した二酸化マンガンは希塩酸
洗浄、次に水洗浄したのち乾燥して精製する。塩化亜鉛
は濃縮したのち、蒸留や有機溶剤溶解などの手段により
精製する。有機溶剤による精製は、アルコール類または
ケトン類の有機溶剤に溶解し、有機溶剤に不溶性のアル
カリ金属塩類を濾過または遠心分離することにより除去
し、そののち有機溶剤を留去する。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を記述する。 (1) 材料準備工程 廃乾電池100kgを形状選別、重量選別を組み合わせ
て処理したところ、単1型(R20)と単2型(R1
4)を合わせたマンガン電池44kg、単1型と単2型
を合わせたアルカリマンガン電池10kgを得た。マン
ガン電池44kgをハンマークラッシャー型破砕機を用
いて破砕したのち篩分けを行なった。この破砕と篩分け
をオーバーサイズのものに対して2回繰り返した。この
ようにして最終的にアンダーサイズの「合剤」を主体と
する粉末26kgを得た。
【0019】一方、篩分けオーバーサイズのもの18k
gを乾燥してから、風力選別で紙とプラスチックを除
き、磁力選別により鉄スクラップを除く。次に、ハンマ
ークラッシャー型破砕機を用いて解砕し、篩分けにより
オーバーサイズを取ると「亜鉛缶」を主とした固形物
5.2kgを得る。「亜鉛缶」は使用に備え小片に切断
する。
【0020】前記廃乾電池100kgから選別して得た
アルカリマンガン電池10kgをハンマークラッシャー
型破砕機を用いて破砕し篩分けを行った。この破砕と篩
分けをオーバーサイズのものに対して2回繰り返した。
このようにして最終的に篩分けアンダーサイズの「アル
カリ合剤」を主体とする粉末6.6kgを得る。
【0021】(2) 水洗工程 先に廃乾電池から得た「合剤」100gをビーカーにと
る。次に200〜400mlの水とかき混ぜ濾過する。
不溶解固形物を50〜100mlの水で再洗浄して次の
工程に移す。濾過により得た水溶液は弱酸性を呈するの
で、水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和しpHを9.
0〜9.5とする。中和に用いるアルカリ剤は0.5〜
0.8gと少量であり、水酸化ナトリウム水溶液の代わ
りに、アルカリマンガン電池から得た「アルカリ合剤」
の水洗液を利用することも可能である。生じた金属水酸
化物沈殿を濾過して取り、沈殿を水で洗浄し先の洗浄済
みの不溶解固形物と一緒にして次の工程に移す。
【0022】廃乾電池から得た材料として「合剤」の代
わりに「亜鉛滓」用いても同様操作を行う。「アルカリ
合剤」100gを原料とした場合も、前記同様水洗操作
を行い、不溶解固形物を次の工程に移す。「アルカリ合
剤」の水洗液は前記「合剤」または「亜鉛滓」の弱酸性
水洗液の中和に利用する。 (3) 塩酸溶解工程
【0023】前記の洗浄済み不溶解固形物と洗浄済み金
属水酸化物沈殿をビーカーに取り、等量の水で希釈した
塩酸450〜500mlの一部を加えると、発熱して溶
解が始まる。溶解が盛んになると塩素ガスが発生し始め
るので、前記「亜鉛缶」から得た小片亜鉛または粒状亜
鉛10〜20gの一部を加えると、塩素ガスの発生を押
さえて溶解することができる。残りの塩酸と小片亜鉛ま
たは粒状亜鉛は、交互に液温が50〜55℃を維持する
ようにして加えていく。塩酸を全部加えてから80〜9
0℃に2時間加熱して塩酸溶解を終了する。溶解液は放
冷してから濾紙を用いて吸引濾過する。不溶解残渣はカ
ーボンを主とした不純物が主であり、別途廃棄処理を行
う。なお、残渣に添加した「亜鉛缶」の小片亜鉛が残っ
ている場合はこれを回収する。
【0024】(4) 浄液工程 前記の塩酸溶解濾過液をセメンテーション(亜鉛還元)
による浄液を行う。混合溶液550〜600mlに、先
に「亜鉛缶」から用意した小片亜鉛または粒状亜鉛1.
0〜2.5gを加え3〜6時間撹拌する。一晩放置した
のち吸引濾過し、未反応亜鉛を含む析出沈殿を取り除
き、濾過残渣は少量の水で洗う。
【0025】(5) 浄液工程 次に、浄液工程の終了した混合溶液を水酸化第二鉄共
沈による浄液を行う。すなわち、混合溶液を撹拌しなが
ら3%過酸化水素水10〜20ml、酸化亜鉛粉末また
は水酸化亜鉛粉末1〜3gを交互に少量ずつ加えてpH
を3.8〜4.3としたのち、加熱濃縮して全量を20
0〜250mlの液量とする。次に、水酸化バリウム
[Ba(OH)・8HO]1.0〜1.5gを少量
の水に溶かした液を加えて一晩放置する。 酸化亜鉛粉
末または水酸化亜鉛粉末はpHを上げるために加える
が、この亜鉛化合物は、後述の本発明で製造した塩化亜
鉛と「アルカリ合剤」洗浄水との中和反応により得られ
る水酸化亜鉛、または「亜鉛缶」を酸化雰囲気で焙焼し
て得られる酸化亜鉛を用いる。水酸化バリウムは硫酸イ
オンの沈殿化と中和目的に使用する。過酸化水素水は第
一鉄イオンを酸化する目的であるが、塩素ガスの吹き込
みまたは電解二酸化マンガンを添加して加熱することで
も目的は達せられる。次に放置した溶液を濾紙を用いて
吸引枦過する。濾紙残渣を少量の水で洗うと、濾過洗浄
液には鉄、鉛、シリカ、硫酸イオンなどの不純物を除い
た、塩化マンガンと塩化亜鉛の混合溶液230〜280
mlを得る。不純物を除いた混合溶液は、次のマンガン
酸化工程に移る。
【0026】(6) マンガン酸化工程 250ml磁製るつぼに前記浄液工程の終了した溶液を
2〜3回に分けて入れながら加熱濃縮する。るつぼに6
0%過塩素酸25〜30gを加えかき混ぜたものをマッ
フル炉に入れて加熱する。るつぼには発生する塩化水素
や塩素ガスを炉の外部に導き、ガスを水に吸収する装置
に接続する。炉が200℃に達したなら、徐々に温度を
上げ結晶水がなくなる頃に、るつぼの内容物は淡いピン
ク色から黒色に変化する。0.5〜3時間加熱してるつ
ぼを一旦取り出して放冷する。るつぼに60%過塩素酸
5〜10gと、不純物のできるだけ少ない塩化亜鉛と
「アルカリ合剤」洗浄水との中和反応によって得た水酸
化亜鉛2〜4gを加えて内容物をかき混ぜてから加熱を
再開し、250〜350℃に0.5〜2時間加熱して酸
化反応を終了する。回収した塩化水素や塩素ガスを含む
水は前記塩酸溶解工程に利用する。
【0027】(7) マンガンと亜鉛の分離工程 放冷したるつぼの内容物は黒色固形物となっていて、水
150〜200mlを加えると発熱して塩化亜鉛が溶解
する。放冷したのち黒色の二酸化マンガン沈殿物を吸引
濾過してとる。
【0028】(8) 二酸化マンガンの精製工程 二酸化マンガンは少量の希塩酸で洗浄したのち、水を用
いて洗浄し、乾燥機に入れ乾燥すると黒色の二酸化マン
ガンを得る。
【0029】(9) 塩化亜鉛の精製工程 二酸化マンガン沈殿物を除いた濾過液を250ml磁製
るつぼに入れて加熱濃縮し、塩化亜鉛の結晶が出始めた
なら、塩酸1〜3mlを少しずつ加えながらガラス棒で
かき混ぜて加熱する。放冷すると白色粉状固形物の塩化
亜鉛が得られる。
【0030】得られた白色粉状固形物の塩化亜鉛を同量
の有機溶剤に溶解する。有機溶剤としてはメチルアルコ
ール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン
などが適している。有機溶剤溶解液を遠心分離器にかけ
て不溶性の不純物を除き、次に有機溶剤を留去するとア
ルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、特にカリウム塩の
含有量を低下させた塩化亜鉛結晶を得ることができる。
【0031】実施例1 マンガン電池の解体により得た「合剤」100gと「亜
鉛缶」小片21g及び水酸化亜鉛8gを材料にして、前
記工程に従ってマンガンと亜鉛を化学的に分離すると、
精製した二酸化マンガン結晶43gと白色粉状固形物の
塩化亜鉛87gを得る。得られた二酸化マンガンの純度
は94.0wt%であり、不純物はZn;0.33wt
%、Fe;0.0010wt%、Cd;0.0001w
t%、Cu;0.0005wt%以下、pb;0.00
2wt%以下、KO;0.0020wt%、Na
O;0.0085wt%、SO;0.033wt
%、SiO;0.031wt%であった。図5に示し
たように、得られた二酸化マンガンをX線回折によって
調べたところβ−MnOであった。
【0032】得られた塩化亜鉛の純度は97.0wt%
であり、不純物はMn;0.061wt%、Fe;0.
0008wt%、Cd;0.0012wt%、Cu;
0.0002wt%以下、pb;0.0001wt%、
SO;0.006wt%以下、不溶分;0.01wt
%以下、アルカリ土類・アルカリ金属(硫酸塩とし
て);0.13wt%であり、品質は日本工業規格JI
S K 1428−1958の1号に相当するものであ
った。
【0033】実施例2 「アルカリ合剤」100gと前記「亜鉛缶」小片10g
及び水酸化亜鉛7gを材料にして、前記工程に従ってマ
ンガンと亜鉛を化学的に分離すると、精製した二酸化マ
ンガン結晶48gと白色粉状固形物の塩化亜鉛91gを
得る。得られた二酸化マンガンの純度は92.3wt%
であり、不純物はZn;0.41wt%、Fe;0.0
014wt%、Cd;0.0001wt%、Cu;0.
0005wt%以下、pb;0.002wt%以下、K
O;0.046wt%、NaO;0.011wt
%、SO;0.029wt%、SiO;0.011
wt%であった。
【0034】得られた塩化亜鉛の純度は96.8wt%
であり、不純物はMn;0.043wt%、Fe;0.
0001wt%、Cd;0.00002wt%以下、C
u;0.00002wt%、pb;0.0001wt
%、SO;0.006wt%以下、不溶分;0.01
wt%以下、アルカリ土類・アルカリ金属(硫酸塩とし
て);0.060wt%であり、品質は日本工業規格J
IS K 1428−1958の1号に相当するもので
あった。
【0035】実施例3 マンガン乾電池とアルカリマンガン乾電池の混合物を6
00〜800℃の温度で40〜50分焙焼し、含有する
水銀を除去した焙焼滓を解砕したのち篩分けにより炭素
棒を、磁選機により鉄スクラップを除去すると「亜鉛
滓」が得られる。最初の乾電池重量に対して、得られる
「亜鉛滓」重量は44〜47%である。
【0036】「亜鉛滓」100gと前記「亜鉛缶」小片
7gおよび水酸化亜鉛6gを材料にして、前記工程に従
ってマンガンと亜鉛を化学的に分離すると、精製した二
酸化マンガン結晶40gと白色粉状固形物の塩化亜鉛1
04gを得る。得られた二酸化マンガンの純度は95.
8wt%であり、不純物はZn;0.37wt%、F
e;0.021wt%、Cd;0.0002wt%以
下、Cu;0.0005wt以下、Pb;0.002w
t%以下、KO;0.0037wt%、NaO;
0.0042wt%、SO;0.039wt%、Si
;0.057wt%であった。
【0037】得られた塩化亜鉛の純度は96.3wt%
であり、不純物はMn;0.18wt%、Fe;0.0
019wt%、Cd;0.0001wt%、Cu;0.
0002wt%以下、pb;0.0005wt%、SO
;0.006wt%以下、不溶分;0.01wt%以
下、アルカリ土類・アルカリ金属(硫酸塩として);
0.26wt%であり、品質は日本工業規格JIS K
1428−1958の1号に相当するものであった。
【0038】乾電池の試作と放電テスト 実施例1〜3において得た、それぞれの二酸化マンガン
および塩化亜鉛を用いてマンガン電池の合剤をつくる。
つくり方は、本発明により得た塩化亜鉛10.0部、塩
化アンモニウム1.0部と酸化亜鉛0.3部を混合して
から水27.5部を加えて溶解液とする。別に、本発明
により得た二酸化マンガンをめのう乳鉢により粉砕した
のち、篩分けをして330メッシュ以下とする。330
メッシュ以下の二酸化マンガン52.5部と酸化亜鉛
0.2部を混合してから、アセチレンブラック8.5部
を加え混合する。これに先の溶解液を加えながらかき混
ぜると合剤ができる。
【0039】市販単3型(R6)黒タイプの乾電池を丁
寧に解体して、充填してあった合剤を取り出す。厚さ
0.12mmのクラフト紙を用いてセパレータをつくり
亜鉛缶中にセットする。先の調合した合剤を充填して炭
素棒をセットし、つば紙、封口、絶縁リング、キャップ
板などを元のとおりに納め、最後に外装缶を被せて固定
し乾電池ができあがる。
【0040】ペン型ライト(1.1V.0.22Aニッ
プル球付き)に試作電池をセットして連続放電試験を行
い、終止電圧900mVになるまでの時間を測定する。
【0041】試作乾電池の連続放電試験で、実施例1〜
3において得た二酸化マンガンおよび塩化マンガンを材
料とした乾電池は、終止電圧900mVになるまでの時
間は2.5〜2.6時間であった。一方、試薬として購
入したCMD(ケミカル二酸化マンガン)と試薬塩化亜
鉛を材料にした試作乾電池の終止電圧900mVになる
までの時間は2.5時間であり、試薬として購入したE
MD(電解二酸化マンガン)と試薬塩化亜鉛を材料にし
た試作乾電池の終止電圧900mVになるまでの時間は
3.4時間であった。従って本発明により得た二酸化マ
ンガンはCMDと同等の実用レベルにあり、本発明によ
り得た塩化亜鉛も合剤に使用できることが確認された。
【0042】
【発明の効果】前記の工程を経ることにより、廃乾電池
より二酸化マンガンと塩化亜鉛を分離回収するが、本発
明のポイントは塩化マンガンを二酸化マンガンとするこ
とにあり、使用する酸化剤の過塩素酸は少量で済み、全
体の工程を通じて使用薬剤が少ないことから、コスト的
にも安価にできる利点が本発明の最大の特徴である。
【0043】得られた二酸化マンガンと塩化亜鉛は、新
しいマンガン乾電池を製造する際の正極活物質に利用す
ることが可能である。マンガン乾電池合剤の製造に有害
な不純物は、前記工程で除去されて極めて微量であるた
め、乾電池にした場合の自己放電ならびに負極を侵食す
る危険が少ない。更に、得られた二酸化マンガンはタッ
ピングかさ比重が1.8〜2.2g/mlであり、限定
された容積である乾電池に充填する二酸化マンガン量を
大きくすることができる。このことは電池の放電容量を
大とすることが可能で、一般的な化学的二酸化マンガン
(CMD)では間題とされる欠点の一つを解決するもの
である。
【0044】また、前記二酸化マンガンはマンガン乾電
池の正極活物質に利用するほかに、リチウム電池の正極
活物質原料およびソフトフェライトのような磁性体材料
の原料に利用することができる。リチウム電池の正極活
物質としては不純物と水分が少なく、熱力学的に安定な
β−MnOの条件を満たしている。
【0045】塩化亜鉛は前記マンガン乾電池の電解液に
利用するほかに、木材防腐剤、活性炭賦活剤、脱臭剤、
ハンダ用ペーストに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】廃乾電池の処理工程から得たマンガンと亜鉛を
含む材料から、二酸化マンガンと塩化亜鉛を分離回収す
る工程図である。
【図2】廃乾電池を処理して、マンガン電池から亜鉛の
多い「亜鉛缶」とマンガンの多い「合剤」を取り出す工
程図である。
【図3】廃乾電池を処理して、アルカリマンガン電池か
ら亜鉛とマンガンを主成分とする「アルカリ合剤」を取
り出す工程図である。
【図4】廃乾電池から水銀を回収するために焙焼処理し
て、亜鉛とマンガンを含む「亜鉛滓」を取り出し、排ガ
スを処理する工程図である。
【図5】実施例1で得た二酸化マンガンのX線回折図で
ある。
【符号の説明】 浄液工程 セメンテーションによる浄液工程 浄液工程 水酸化第二鉄共沈およびバリウム水溶液添
加による浄液工程

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃乾電池の中からマンガンと亜鉛を多く
    含む材料を得、これを必要により水洗したのち塩酸に溶
    解し、その溶液を浄液により不純物成分を除去したのち
    加熱濃縮し、その濃縮物に過塩素酸を加えて加熱し、二
    酸化マンガンと塩化亜鉛の固形混合物を得、固形混合物
    を水に溶解して濾過することを特徴とする、廃乾電池よ
    り二酸化マンガンと塩化亜鉛を分離回収する方法。
  2. 【請求項2】 廃乾電池の中からマンガンと亜鉛を多く
    含む材料を塩酸に溶解する際、マンガン乾電池を破砕し
    たのち篩分けをしてオーバーサイズ部分より得た負極作
    用物質(以下「亜鉛缶」と称する)の小片を加えること
    により、塩素ガスの発生を抑制して、マンガン化合物を
    易溶化することを特徴とする、請求項1に記載の廃乾電
    池より二酸化マンガンと塩化亜鉛を分離回収する方法。
  3. 【請求項3】 塩化マンガンと塩化亜鉛の混合濃縮物を
    過塩素酸により酸化して、塩化マンガンを二酸化マンガ
    ンとする反応において、外部加熱温度200〜350
    ℃、加熱時間を1〜5時間とし、水酸化亜鉛または酸化
    亜鉛のいずれかを加えることにより、塩素ガスの発生を
    押さえ二酸化マンガンの酸化度低下を防ぐことを特徴と
    する、請求項1に記載の廃乾電池より二酸化マンガンと
    塩化亜鉛を分離回収する方法。
  4. 【請求項4】 マンガンから分離して得られた塩化亜鉛
    を有機溶剤に溶かして、混在していた不溶性のアルカリ
    金属塩類を濾過または遠心分離により除去したのち、有
    機溶剤を留去することにより塩化亜鉛を精製することを
    特徴とする、請求項1に記載の廃乾電池より二酸化マン
    ガンと塩化亜鉛を分離回収する方法。
  5. 【請求項5】 廃乾電池の中からマンガンと亜鉛を多く
    含む材料として、マンガン乾電池を破砕したのち篩分け
    をしてアンダーサイズ品より得た正極作用物質(以下
    「合剤」と称する)、アルカリマンガン乾電池を破砕し
    たのち篩分けをしてアンダーサイズ品より得た正極作用
    物質(以下「アルカリ合剤」と称する)、および廃乾電
    池に含有する水銀を焙焼により回収した残りの焙焼滓か
    ら磁性物と炭素棒を除いて得た非磁性粉体(以下「亜鉛
    滓」と称する)の中から単独または組み合わせたものを
    選択して使用する、請求項1ないし4に記載の廃乾電池
    より二酸化マンガンと塩化亜鉛を分離回収する方法。
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