JPH11191632A - 薄膜太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

薄膜太陽電池およびその製造方法

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JPH11191632A
JPH11191632A JP10005543A JP554398A JPH11191632A JP H11191632 A JPH11191632 A JP H11191632A JP 10005543 A JP10005543 A JP 10005543A JP 554398 A JP554398 A JP 554398A JP H11191632 A JPH11191632 A JP H11191632A
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light
thin
solar cell
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JP10005543A
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English (en)
Inventor
Yasue Nagano
尉絵 長野
Hiroshi Taniguchi
浩 谷口
Hitoshi Sannomiya
仁 三宮
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光の有効利用が可能な薄膜太陽電池を高温処理
を用いず、低コストで製造する。 【解決手段】透光性絶縁基板4上に、凹凸10を有する
透光性樹脂層6を形成したのち、透光性樹脂層6上に、
透明導電膜7、非晶質導体層8、および裏面電極層9を
順次積層形成してなる薄膜太陽電池の製造方法であっ
て、転写凹凸22が形成された形状転写体21の転写凹
凸形成面を透光性樹脂フィルム20に当接させて凹凸1
0を形成したのち、透光性樹脂フィルム20を透光性絶
縁基板4に貼着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜太陽電池およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜太陽電池は、100℃〜200℃の
比較的低温で形成することが可能であるという特徴をも
ち、―般的に、ガラス等の透光性基板上に透明導電膜が
形成され、その上に、非晶質半導体層のp層、i層、n
層、裏面電極層が形成された構造のものと、基板上に裏
面電極層が形成され、その上に、非晶質半導体層のn
層、i層、p層、透明導電膜が形成されたものとがあ
る。
【0003】このような構成を備えた太陽電池において
は、光吸収層(前記i層)の膜厚を例えば400〜50
0nmといったごく薄いものにしたときに、変換効率が
最大となるという特徴がある。そのため、変換効率を向
上させるうえでは、400〜500nmの膜厚を有する
光吸収層における光吸収量を増加させることが重要なポ
イントとなる。
【0004】そのため、特に、透光性基板/透明導電膜
/非晶質半導体層/裏面電極層を順次積層した構造(透
光性基板側から光を入射する構成)の場合、透光性基板
上に凹凸のある透明導電膜を形成するという方法が一般
的に行われている。このように構成すれば、透光性基板
側から入射した光は、透明導電膜と非晶質半導体層との
界面で散乱を起こし、非晶質半導体層での光の光路長が
増加することになる。光吸収層である層中で光路長を増
加させると、表面に凹凸の無い平坦な状態で薄膜太陽電
池を形成した場合と比較して、30%以上短絡電流が向
上することが確認されている。
【0005】従来から、透光性基板上に凹凸のある透明
導電膜を形成する一般的な方法として、透明導電膜であ
るSnO2膜を常圧CVD法で形成することが行われて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、透光性
基板上に凹凸のある透明導電膜(SnO2)を常圧CV
D法により成膜する方法には、次のような課題があっ
た。
【0007】すなわち、常圧CVD法は、凹凸を有する
透明導電膜を比較的簡単に形成することができる方法で
はあるものの、成膜温度として500℃以上の高温を必
要とするため、耐熱温度の低いフレキシブル性を持つフ
ィルム等の基板上への成膜は不可能であった。
【0008】また、透光性基板としては一般にガラス基
板が用いられるが、太陽電池のモジュールは、屋外に設
置するために雹等の衝撃に耐える必要があり、ガラス基
板としては、少なくとも表面に強化ガラスを使用しなけ
ればならなかった。しかしながら、強化ガラスは、30
0℃以上の温度では強化がなまってしまうため、強化ガ
ラス上に直接常圧CVD法で透明導電膜を成膜すること
はできない。そのため、通常のガラス基板上に常圧CV
D法で透明導電膜を形成したのち、ガラス基板に強化ガ
ラスを張り合わせるという、二重構造としなければなら
なかった。しかしながら、これでは、ガラス基板がが二
重構造となるため、全体としての質量が重くなると同時
に製造コストが増加してしまった。
【0009】また、常圧CVD法で凹凸形状を持つ透明
導電膜(SnO2)を成膜するためには、1μm程度の
膜厚が必要であり、これでは、成膜時間がかかるととも
に、材料費もかさみ、このことも製造コストを上昇させ
る要因になっていた。
【0010】本発明は、上述のような技術的課題に鑑み
て為されたものであり、薄膜太陽電池の非晶質半導体層
中の光の光路長を増加させ、光の有効利用が可能な凹凸
を、高温処理を用いず、低コストで提供すると同時に、
効率の高い集積構造の形成が可能な薄膜太陽電池を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の発明は、透光性絶縁基板上に、凹凸を有する透光性樹
脂層を形成したのち、この透光性樹脂層上に、透明導電
膜、非晶質半導体層、および裏面電極層を順次積層形成
してなる薄膜太陽電池の製造方法であって、転写凹凸が
形成された形状転写体を用意し、この形状転写体の転写
凹凸形成面を透光性樹脂フィルムに当接させて、透光性
樹脂フィルムに前記凹凸を形成する工程と、前記凹凸が
形成された透光性樹脂フィルムを前記透光性絶縁基板上
に貼着して前記透光性樹脂層を形成する工程とを含むこ
とに特徴を有しており、これにより次のような作用を有
する。すなわち、形状転写体の転写凹凸形成面を透光性
樹脂フィルムに当接させることで凹凸を転写形成するの
で、凹凸を常温でしかも簡単な工程で形成することがで
きる。また、凹凸を転写する透光性樹脂フィルムは比較
的安価で軽量な材料であるので、材料費も安くなるう
え、薄膜太陽電池の重量も軽くなる。
【0012】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項
1に係る薄膜太陽電池の製造方法であって、前記形状転
写体の転写凹凸の表面にさらに微細転写凹凸を形成した
うえで、この形状転写体の転写凹凸形成面を透光性樹脂
フィルムに当接させて、透光性樹脂フィルムに前記凹凸
および微細凹凸を形成することに特徴を有しており、こ
れにより次のような作用を有する。すなわち、この製法
により形成された薄膜太陽電池の透光性樹脂層の表面
に、簡単に微細凹凸を形成することができる。透光性樹
脂層に微細凹凸が形成されると、微細凹凸により光の散
乱が起こり非晶質半導体層中での光路長が伸びる。
【0013】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項
2に係る薄膜太陽電池の製造方法であって、前記微細転
写凹凸として、可視光領域の光の波長の半分程度のもの
を前記形状転写体上の転写凹凸表面に形成したうえで、
この形状転写体を用いて透光性樹脂フィルムに前記凹凸
および微細凹凸を形成することに特徴を有しており、こ
れにより次のような作用を有する。すなわち、山と谷の
高低差が、非晶質半導体層の光吸収層の膜厚より(結果
として)小さくなるために、非晶質半導体層の亀裂が生
じにくくなる。
【0014】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項
2に係る薄膜太陽電池の製造方法であって、前記微細転
写凹凸を、前記形状転写体をブラスト処理することで形
成することに特徴を有しており、これにより次のような
作用を有する。すなわち、微細転写凹凸を大きさを揃え
た状態で簡単に形成することができる。
【0015】本発明の請求項5に記載に発明は、凹凸が
形成された透光性樹脂層を透光性絶縁基板上に形成した
のち、この透光性樹脂層上に、透明導電膜、非晶質半導
体層、および裏面電極層を順次積層形成してなる薄膜太
陽電池の製造方法であって、少なくとも表面部位に微粒
子が混入された透光性樹脂フィルム材を用いてフィルム
表面に微細転写凹凸を有する透光性樹脂フィルムを形成
する工程と、形状転写体を用意し、この形状転写体に転
写凹凸を形成したうえで、この形状転写体の転写凹凸形
成面を前記透光性樹脂フィルムに当接させて、透光性樹
脂フィルムに前記凹凸および微細凹凸を形成する工程
と、前記凹凸が形成された透光性樹脂フィルムを前記透
光性絶縁基板上に貼着して前記透光性樹脂層を形成する
工程とを含むことに特徴を有しており、これにより次の
ような作用を有する。すなわち、この製法により形成さ
れた薄膜太陽電池の透光性樹脂層の表面には微細凹凸が
形成されるが、透光性樹脂層に微細凹凸が形成される
と、微細凹凸により光の散乱が起こり非晶質半導体層中
での光路長が伸びる。また、透光性樹脂フィルムに微粒
子を混入させるだけで、透光性樹脂フィルムに微細凹凸
を形成できるので、微細凹凸を簡単に形成できるうえ、
微細凹凸の大きさの調整を、混入させる微粒子の大きさ
や量により容易に調整することができる。
【0016】本発明の請求項6に記載の発明は、請求項
1または5に係る薄膜太陽電池の製造方法であって、前
記形状転写体として、円筒体を用いることに特徴を有し
ており、これにより次のような作用を有する。すなわ
ち、円筒体を透光性樹脂フィルム上で転動させるという
簡単な動作で、凹凸を精度よく転写することができる。
【0017】本発明の請求項7に記載の発明は、請求項
1または5に係る薄膜太陽電池の製造方法であって、前
記転写凹凸として、山と谷の高低差が10〜50μmと
なった転写凹凸を前記形状転写体に形成したうえで、こ
の形状転写体を用いて透光性樹脂フィルムに前記凹凸を
形成することに特徴を有しており、これにより次のよう
な作用を有する。すなわち、凹凸の山と谷の高低差は、
非晶質半導体層の光吸収層の膜厚と同程度か、それより
も大きいときに、反射光を再入射させる効果が大きくな
る。しかしながら、光吸収層の厚みより若干大きい程度
の高低差を備えた凹凸では、非晶質半導体層に亀裂を生
じさせて短絡の原因となりやすいという不都合がある。
一方、光吸収層の厚みより十分大きい程度の高低差を備
えた凹凸では、非晶質半導体層に亀裂がはいりにくくな
って短絡の原因とはならないものの、均一な成膜が困難
になるという不都合がある。このような理由により、転
写凹凸の山と谷の高低差を次のように設定することで、
形成する凹凸の高低差を設定した。すなわち、光吸収層
の膜厚をその変換効率からみて400nm程度が適当で
あるとすると、転写凹凸(凹凸)の山と谷の高低差は、
10〜50μm程度が望ましい。
【0018】本発明の請求項8に記載の発明は、請求項
1または5に係る薄膜太陽電池の製造方法であって、前
記形状転写体に、一定間隔を開けて平坦領域を線状に形
成したうえで、この形状転写体を前記透光性樹脂フィル
ムに当接させて、透光性樹脂フィルムに前記凹凸および
平坦領域を形成することに特徴を有しており、これによ
り次のような作用を有する。すなわち、薄膜太陽電池の
各ユニットセルを分離するためにレーザ光で薄膜太陽電
池を分断する加工を施す場合、平坦領域を分断線に沿っ
て形成すれば、レーザ光を焦点精度よく薄膜太陽電池上
で集光させることができる。
【0019】本発明の請求項9に記載の発明は、請求項
8に係る薄膜太陽電池の製造方法であって、前記転写凹
凸として、互いに平行となった線状の転写凹凸を前記形
状転写体に形成するとともに、この転写凹凸と直交する
線状とした前記平坦領域を前記形状転写体に形成し、こ
の形状転写体を透光性樹脂フィルムに当接させて、透光
性樹脂フィルムの表面に互いに平行となった線状の凹
凸、およびこれら凹凸と直交する平坦領域を形成するこ
とに特徴を有しており、これにより次のような作用を有
する。すなわち、薄膜太陽電池のユニットセル内を直列
接続する配線を平坦領域に沿って形成すれば、太陽電池
の各ユニットセル内に形成される電流経路を凹凸の凹凸
形状を横切ることなく、溝状凹凸に沿って直線状に形成
することができ、電流経路がほぼ最短となる。
【0020】本発明の請求項10に記載の発明は、請求
項9に係る薄膜太陽電池の製造方法であって、前記形状
転写体として、前記転写用平坦領域と前記転写凹凸との
間の境界部位に、転写凹凸から転写用平坦領域表面に至
る転写用斜面領域を有するものを用意し、この形状転写
体を透光性樹脂フィルムに当接させて、透光性樹脂フィ
ルムの線状の凹凸と平坦領域との間の境界部位に斜面領
域を形成することに特徴を有しており、これにより、次
のような作用を有する。すなわち、凹凸と平坦領域との
境界領域においては、境界端面を切り立ったものにする
と、透光性樹脂層上に形成される非晶質半導体層等の膜
厚が薄くなる恐れるがあるが、本発明のように、この境
界領域に斜面領域を形成することで、非晶質半導体層等
の膜厚が薄くなることを防ぐことができる。
【0021】本発明の請求項11に記載の発明は、透光
性絶縁基板上に、凹凸が形成された透光性樹脂層と、透
明導電膜と、非晶質半導体層と、裏面電極層とを順次積
層形成してなる薄膜太陽電池であって、前記透光性樹脂
層には線状の平坦領域が形成されていることに特徴を有
しており、これにより次のような作用を有する。すなわ
ち、薄膜太陽電池上の各ユニットセルを分離するために
レーザ光で薄膜太陽電池を分断する加工を施す場合、平
坦領域を分断線に沿って形成すれば、レーザ光を焦点精
度よく薄膜太陽電池上で集光させることができる。
【0022】本発明の請求項12に記載の発明は、請求
項11に係る薄膜太陽電池であって、前記凹凸は、互い
に平行な線状に配設されており、前記平坦領域は、前記
凹凸と直交して配設されていることに特徴を有してお
り、これにより次のような作用を有する。すなわち、太
陽電池どうしを直列に接続する配線を平坦領域に沿って
形成すれば、薄膜太陽電池のユニットセル内に形成され
る電流経路を凹凸の凹凸形状を横切ることなく、凹凸に
沿って直線状に形成することができ、電流経路がほぼ最
短となる。
【0023】本発明の請求項13に記載の発明は、請求
項12に係る薄膜太陽電池であって、前記凹凸と前記平
坦領域との間の境界部位に、凹凸から平坦領域表面に至
る斜面領域が形成されていることに特徴を有しており、
これにより、次のような作用を有する。すなわち、凹凸
と平坦領域との境界領域においては、境界端面を切り立
ったものにすると、透光性樹脂層上に形成される非晶質
半導体層等の膜厚が薄くなる恐れるがあるが、本発明の
ように、この境界領域に斜面領域を形成することで、非
晶質半導体層等の膜厚が薄くなることを防ぐことができ
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、実施例によって本発明を具
体的に説明する。
【0025】[実施の形態1]本発明の実施の形態1の
薄膜太陽電池及びその製造方法について述べる。まず、
本発明の薄膜大陽電地の概略構造を図1の断面図を参照
して説明する。この薄膜大陽電地は、光入射側から、透
光性絶縁基板4と、透光性接着樹脂層5と、透光性樹脂
層6と、透明導電膜7と、非晶質半導体層8と、裏面電
極層9とを順次積層して構成されている。
【0026】透光性絶縁基板4は、フィルムやガラス基
板等を用いることができるが、本実施の形態では、例と
して強化ガラス基板を用いている。透光性樹脂層6は、
光硬化性樹脂や熱可塑性樹脂からなっており、シリコン
樹脂等からなる透光性接着樹脂層5により透光性絶縁基
板4上に貼着されている。透光性樹脂層6の表面には凹
凸10が形成されている。凹凸10は、互いに平行にか
つ近接した線状に配置された複数のV字型の溝10aか
ら構成されており、その山と谷の高低差は10〜50μ
mとなっている。そして、凹凸10が形成された透光性
樹脂層6の表面には微細凹凸11が無数に形成されてい
る。微細凹凸11の山と谷の高低差は200〜400n
mとなっている。凹凸10および微細凹凸11の高低差
をこのように設定している理由を説明する。
【0027】透光性絶縁基板4上に上述した複数のV字
型溝10aからなる凹凸10を形成することで、反射光
を再入射させて光吸収層(非晶質半導体層8のi層)に
戻す効果が得られる。ここで、凹凸10における山と谷
の高低差を非晶質半導体層8のi層(光吸収層)の膜厚
と同程度か、それよりも十分大きいときに、その効果が
大きい。しかしながら、i層の膜厚を400nm程度
(この程度の膜厚が最も変換効率が高い)とした場合、
凹凸10の高低差を400nm〜数μmとすると、非晶
質半導体層8に亀裂が生じて短絡の原因となりやすい。
そのため、数μm以上の高低差を凹凸10に与える必要
があるが、高低差が大きすぎると、非晶質半導体層8を
含んだ各層を均一膜厚にできなくなるという問題点が発
生する。このような理由により、凹凸10における山と
谷の高低差は、10〜50μm程度が望ましい。
【0028】また、微細凹凸11における山と谷の高低
差を可視光領域の波長の半分程度の大きさにすると、膜
中で光を散乱させる効果があり、特に、屈折率の差が大
きい透明導電膜7と非晶質半導体層8のp層との界面で
は、光を大きく散乱させることができる。一方、微細凹
凸11の山と谷の高低差を非晶質半導体層8の膜厚以上
にすると、非晶質半導体層8に亀裂が入りやすくなり、
透明導電漠7と裏面電極層9とが接触することによる短
絡を起こしやすくなる。以上の理由により、非晶質半導
体層8のi層の膜厚を400nmとした場合には、微細
凹凸11における山と谷の高低差は200〜400nm
程度の凹凸の大きさが望ましい。このように、可視光領
域の波長の半分程度にするのが、光を散乱させ非晶質半
導体層8内での光路長を伸ばすという効果を短絡を起こ
すことなく最大限に発揮するうえで望ましい。
【0029】透明導電膜7は、ITO,SnO2,Zn
O等のいずれかから構成されており、透光性樹脂層6上
に、その表面形状(凹凸10)に沿って形成されてい
る。非晶質半導体層8は、p層,i層、n層からなって
おり、それぞれ順に、20nm,400nm,30nm
程度の膜厚となるように形成されている。非晶質半導体
層8も透光性樹脂層6の表面形状に沿って透明導電膜7
上に形成されている。裏面電極層9は、膜厚50nm程
度のZnOから構成されており、透光性樹脂層6の表面
形状に沿って非晶質半導体層8上に形成されている。
【0030】次に、この薄膜太陽電池の製造方法を説明
する。まず、透光性樹脂層6となる透光性樹脂フィルム
20の製造方法について説明する。図2に示すように、
金属円筒体からなる転写ロール21を用意し、この転写
ロール21の表面に、前記凹凸10の転写型となる転写
凹凸22を形成する。転写凹凸22は、図3の断面図に
示すように、V字型転写凸条22aを互いに平行にかつ
連続して形成して構成されている。このような形状の転
写凹凸22を形成した転写ロール21の表面にさらに、
微細転写凹凸23を形成する。微細転写凹凸23の形成
方法としては、ショットブラスト法、サンドブラスト法
といったブラスト処理法やメッキ法等があげられる。本
実施の形態においては、ブラスト処理法で微細転写凹凸
23を形成している。転写ロール21にショットブラス
ト処理を行う場合、転写ロール21の材質としては、加
工処理の容易なCu等が望ましい。吹き付けるショット
(粒)としては、カーボランダム、アルミナ、ホワイト
アルミナ、コランダム等の粒や砂が適当である。このよ
うなショットを転写ロール21に吹き付けることで、転
写ロール22に微細転写凹凸23を形成する。転写ロー
ル21に微細転写凹凸23を形成したのち、転写ロール
21の表面形状を整え、さらに、透光性樹脂フィルムと
の剥離性をあげるために転写ロール21の表面にCr等
のメッキを行う。
【0031】一方、透光性樹脂フィルム20としては、
一般的に耐熱性の高いポリイミドフィルムを用いること
ができるが、本実施の形態においては、より安価なPE
Tとアクリル樹脂の2層構造複合材料を使用している。
すなわち、図4に示すように、基材であるPET(ポリ
エチレンテレフタレート)フィルム20aに、光硬化性
樹脂であるアクリル樹脂フィルム20bを積層して透光
性樹脂フィルム20を構成している。
【0032】このように構成される透光性樹脂フィルム
20に転写凹凸22の形状を次のようにして転写する。
すなわち、図5に示すように、光硬化前のアクリル樹脂
材24をPETフィルム20a上に塗布したのち、アク
リル樹脂材24に転写ロール21を当接させる。そし
て、転写ロール21をアクリル樹脂材24に沿って転動
させつつ、転写ロール21の当接部位に光を照射する。
これにより、アクリル樹脂材24の表面には、転写ロー
ル21の表面(転写凹凸22や微細転写凹凸23)の形
状が転写される。そして、転写ロール21の形状が転写
された直後に光照射によってアクリル樹脂材24は硬化
して、アクリル樹脂フィルム20bとなり、これにより
透光性樹脂フィルム20が完成する。
【0033】次に、強化ガラス基板からなる透光性絶縁
基板4の表面に透光性接着樹脂層5を塗布した後、透光
性樹脂フィルム20を貼着して透光性樹脂層6を形成す
る。透光性接着樹脂5としては、透光性が高いシリコー
ン樹脂が適当である。
【0034】透光性樹脂層6を貼着したのち、スパッタ
リング法により、透光性樹脂層6上に、透明導電膜7を
形成する。透明導電膜7を形成する方法としては、蒸着
法やCVD法を用いてもよい。また、透明導電膜7とし
ては、ITO、SnO2、ZnOを使用することができ
る。これらの透明導電膜6の形成方法では、透光性絶縁
基板4(強化ガラス)の強度を劣化させるほど処理温度
が高くならない。そのため、透明導電膜6を形成したの
ちも、透光性絶縁基板4の強化ガラスとしての強度は維
持される。
【0035】その後、プラズマCVD装置で透明導電膜
7上に非晶質半導体層8を形成する。非晶質半導体層8
は、p層、i層、n層から形成されており、それぞれの
膜は、20nm、400nm、30nmとする。このよ
うな各層の形成条件の一例を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】プラスマCVD装置で非晶質半導体層8を
形成する際には、透光性絶縁基板4は170℃程度まで
上昇するが、このような比較的低温の処理温度で必要十
分な特性を備えた非晶質半導体層8を得ることができ
る。
【0038】次に、スパッタリング法により、非晶質半
導体層8上に、ZnOを膜厚約50nmで成膜した後、
同じく、スパッタリング法により、Agを膜厚約500
nmの設定で成膜することで裏面電極層9を形成して薄
膜太陽電池が完成する。
【0039】非晶質半導体層8や裏面電極層9の形成時
の処理温度は、170℃程度〜180℃程度と比較的低
温であって、透光性絶縁基板4(強化ガラス)の強度を
劣化させるほど高くならない。そのため、非晶質半導体
層8や裏面電極層9を形成したのちも、透光性絶縁基板
4の強化ガラスとしての強度は維持される。
【0040】本実施の形態の製造方法で製造した薄膜太
陽電池の特性を比較するために、本実施の形態品およ
び、次の比較例を製造した。すなわち、上述した実施の
形態の製造方法で製造した薄膜太陽電池S1、透光性樹
脂フィルム6を有せず基板に凹凸10や微細凹凸11が
存在しない薄膜太陽電池S2、V字型溝10aからなる
凹凸10のみ形成して微細凹凸11は存在しない透光性
樹脂フィルム6’を有する薄膜太陽電池S3をそれぞれ
製造した。なお、V字型溝10aとしては、山と谷との
高低差を20μmとし、かつ溝の角度を60度とした。
また、微細凹凸11の高低差を約300nmとした。
【0041】このように構成されたそれぞれの薄膜太陽
電池S1,S2,S3を、面積1cm2となるように形
成して、AM1.5における特性を測定した。その測定
結果を表2に示す。また、各薄膜太陽電池S1,S2,
S3の光入射側から光をあてて測定を行った薄膜太陽電
池セルの反射率の測定結果を図6に示す。なお、図6
中、横軸は波長を示し、縦軸は反射率を示している。
【0042】
【表2】
【0043】表2と図4の測定結果より明らかなよう
に、透光性樹脂基板上にV字型溝10aからなる凹凸1
0を形成することにより、反射光を非晶質半導体層8に
再入射させることが可能になり、結果として、薄膜太陽
電池のセルの反射率は低減され、短絡電流(Isc)は大
きくなり、光電変換効率(η)はあがっている。また、
凹凸10に微細凹凸11を形成することにより、光の散
乱がおこり、非晶質半導体層8中での光路長が伸びるた
め、長波長領域の光を非晶質半導体層8中で吸収するこ
とが可能になり、セルの長波長側の反射率(外部に放出
される率)が低減することになり、結果として、短絡電
流(Isc)の値はさらに大きくなり、光電変換効率があ
がっている。
【0044】[実施の形態2]本発明の実施の形態2で
ある薄膜太陽電池及びその製造方法について述べる。
【0045】本実施の形態の製造方法では、透光性樹指
フィルムとして透明性微粒子が混入された透光性樹脂フ
ィルム30を用いることで、透光性樹脂フィルム30の
表面に微細凹凸11’を形成する点に特徴がある。以
下、本実施の形態の製造方法を説明する。
【0046】まず、金属円筒体からなる転写ロール2
1’を用意し、この転写ロール21’の表面に、凹凸1
0の転写型となる転写凹凸22’を形成する。転写凹凸
22’は、実施の形態1の転写凹凸22と同様、図3の
断面図に示すように、V字型転写凸部22aを互いに平
行にかつ連続して形成して構成されている。しかしなが
ら、この転写凹凸22’には、微細転写凹凸を形成しな
い。
【0047】一方、光硬化前のアクリル樹脂材31に透
明性微粒子31aを混入する。使用する透明性微粒子3
1aとしては、SiO2、TiO2、Al23、ITO等
が例としてあげられる。このとき、アクリル樹脂材31
中において、混入させた透明性微粒子31aで2次凝集
が発生する。2次凝集は、透明性微粒子31aの粒径が
小さいほど起こりやすく、そのため、粒径100nm以
下の透明性微粒子31aを混入させると、微細凹凸1
1’が大きくなりすぎ、製造する薄膜太陽電池において
短絡を発生させる原因となる。反対には、粒径が300
nm以上の透明性微粒子31aを混入させると、透明性
微粒子31a自体の大きさが大きすぎることにより、形
成される微細凹凸11’の大きさも大きくなりすぎ、こ
れもまた、製造する薄膜太陽電池において短絡を発生さ
せる原因となる。このような理由により、透明性微粒子
31aの粒経は100〜300nm程度が望ましい。本
実施の形態では、粒径200nmのSiO2からなる透
明性微粒子31aを重量比20%でアクリル樹脂材31
に混入する。
【0048】図7に示すように、透明性微粒子31aを
混入させたアクリル樹脂材31をPETフィルム20a
上に塗布する。そして、そのうえで、アクリル樹脂材3
1に転写ロール21’を当接させる。そして、転写ロー
ル21’の当接部位に光を照射しつつ、転写ロール2
1’をアクリル樹脂材31に沿って転動させる。これに
より、アクリル樹脂材31の表面には、転写ロール21
の表面(転写凹凸22’)の形状を有する凹凸10’が
転写形成される。そして、転写ロール21’の形状が転
写された直後に光照射によってアクリル樹脂材31は硬
化して、アクリル樹脂フィルム20b’となる。このと
き、アクリル樹脂フィルム20b’の表面には、アクリ
ル樹脂材料31中に透明性微粒子を混入させたことによ
り、微細凹凸11’が形成される。以上により、透光性
樹脂フィルム30が完成する。
【0049】その後、この透光性樹脂フィルム31を用
いて、実施の形態1で述べた方法と同様の方法により、
薄膜太陽電池を作製する。
【0050】このような方法で作製した面積1cm2
薄膜太陽電池のAM1.5における特性を測定したとこ
ろ、短絡電流Isc=16,5mA/cm2、開放電圧Vo
c=0.91V、フィル・ファクター(F.F)=0.
75、出力電力Pmax=11.3mW/cm2、光電変換
効率η=11.3%が得られた。つまり、実施の形態1
の製造方法で製造した薄膜太陽電池と比較して、遜色の
ない特性が得られた。
【0051】[実施の形態3]本発明の実施の形態3の
薄膜太陽電池、及びその作製方法について述べる。薄膜
太陽電池は、集積化を行うことにより、同―の面積で
も、電流値、電圧値を比較的自由に設計できるという利
点を持っている。薄膜太陽電池の集積化セルを作製する
ためには、透光性絶縁基板上に成膜されたセルをユニッ
トセルに分離した後、各ユニットセル間での直列接続を
形成する必要がある。この際、集積による面積ロスを最
小限に抑えることを目的として、レーザー加工法によ
り、ユニットセルの間に切れ目を入れて分離するととも
に、その切れ目に接続配線を形成する方法および構造が
有力視されている。
【0052】このようなレーザー加工においては、加工
箇所の高低差がレーザ加工深度(焦点深度)を越えると
加工不良箇所が発生してしまう。ところが、反射光を再
入射させるためには、凹凸10に十分な山と谷の高低差
を与える必要があり、これでは、レーザーの加工深度よ
り凹凸10の高低差が大きくなって、レーザースクライ
ブができなくなる。
【0053】このような点に鑑み、本実施の形態では、
図8に示すように、透光性樹脂層6の表面に凹凸10を
形成するとともに、ユニットセルUの幅Hで凹凸10が
形成されていない平坦領域41を線状に形成しており、
これにより、透明電極膜7,非晶質半導体層8,裏面電
極層9に、平坦領域が形成されることになる。したがっ
て、この平坦領域内でレーザ加工を行えば、精度よくユ
ニットセルの分離と直列接続を行うことができる。な
お、平坦領域41の表面高さは、特に限定されることは
なく、例えば、図8に示すように、凹凸10の山の高さ
位置と略同一としてもよいし、谷の深さ位置と略同一と
してもよい。さらには、他の高さ位置としてもよいのは
いうまでもない。
【0054】このような平坦領域41は、図9に示すよ
うに、転写ロール43の表面に、転写凹凸22の他に、
平坦領域41と同様の転写用平坦領域44を形成するだ
けで、実施の形態1,2と同様の製造方法で製造するこ
とができる。また、形成する平坦領域41の幅は約50
0μmが適当である。
【0055】本実施の形態の構成(平坦領域41、およ
び平坦領域41に形成されたレーザー加工部42)を備
えた薄膜太陽電池の特性を測定した。ここでは、凹凸1
0の山と谷の高低差を20μm、V字型10aの溝角度
を60度、ユニットセルUの幅を4mm、平坦領域41
の幅を500μmとした本実施の形態の薄膜太陽電池
(微細凹凸11はなし)を、10cm×10cmの集積
セルにした状態で、AM1.5における特性を測定し
た。結果は以下の通りである。すなわち、フィル・ファ
クターF.F=0.65、光電変換効率η=10.8%
の特性が得られた。
【0056】[実施の形態4]実施の形態3の薄膜太陽
電池の構造では、図8に示すように、平坦領域41が凹
凸10と平行(凸の稜線方向に沿った方向)に形成され
ている。そのため、平坦領域41に形成された直列接続
部(図示省略)を介して各ユニットセルUに形成される
電流経路Jが凹凸10の山谷形状を横切って経路が形成
されるために、電流経路Jは、ユニットセルUの幅Hの
倍近い長さとなる。ユニットセルUの幅Hが4mmとす
ると、電流経路Jは8mm近くなる。これでは、抵抗成
分が増加して、特性に影響するので、都合が悪い。ま
た、凹凸10の山と谷の部分を横切って電流経路Jを形
成する場合には、山と谷の部分では他の部分に比べて、
電流経路Jの膜厚が薄くなる可能性が高く、このように
なっても、抵抗成分が増加して特性に影響すると考えら
れる。この点を改善したのが本実施の形態である。
【0057】本実施の形態では、図10に示すように、
凹凸10と直交する方向(凸の稜線方向と直交する方
向)に沿って線状に平坦領域50を形成するとともに、
この平坦領域50にレーザ加工を行い、直列接続部を形
成することで、各ユニットセルUの電流経路Jが長くな
ったり、電流経路Jの各部分での厚みが変動することを
防いでいる。なお、図10では、薄膜太陽電池の外観を
主として示しているために、一見したところ裏面電極層
9だけに平坦領域50が設けられているように見える
が、裏面電極層9の下層にある透光性樹脂層6に平坦領
域50が設けられているのはもちろんである。
【0058】このような平坦領域50は、図11に示す
ように、転写ロール52の表面に、転写凹凸22の他
に、平坦領域50と同様、転写凹凸22と直交する転写
用平坦領域53を形成するだけで、実施の形態1,2と
同様の製造方法で製造することができる。
【0059】本実施の形態の構成(凹凸10と直交する
平坦領域50、および平坦領域50に形成したレーザ加
工部51)を備えた薄膜太陽電池の特性を測定した。こ
こでは、実施の形態3と同様、凹凸10の山と谷の高低
差を20μm、V字型10aの溝角度を60度、ユニッ
トセルUの幅を4mm、平坦領域50の幅を500μm
とした本実施の形態の薄膜太陽電池を、10cm×10
cmの集積セルにした状態で、AM1.5における特性
を測定した。
【0060】まず、凹凸10のみを形成して、凹凸10
には微細凹凸11を形成しない場合の特性は次の通りで
ある。すなわち、フィル・ファクターF.F=0.7
0、光電変換効率η=11.6%の特性が得られた。
【0061】次に、本実施の形態の構造にさらに、実施
の形態1の手法(ブラスト処理法)を用いて凹凸10に
微細凹凸11を形成した薄膜太陽電池の特性を同様に測
定した結果は次の通りである。すなわち、フィル・ファ
クターF.F=0.70、光電変換効率η=12.8%
の特性が得られた。また、短絡電流が上昇したことも確
認できた。
【0062】次に、本実施の形態の構造にさらに、実施
の形態2の手法(透明性微粒子31aをアクリル樹脂材
31に混入する手法)を用いて、凹凸10に微細凹凸1
1’を形成した薄膜太陽電池の特性を同様に測定した結
果は次の通りである。すなわち、フィル・ファクター
F.F=0.70、光電変換効率η=12.7%の特性
が得られた。また、短絡電流の値が上昇したことも確認
できた。
【0063】[実施の形態5]実施の形態4では、透光
性樹脂層6が有する平坦領域50と凹凸10との間の境
界部位の構造については何ら言及していない。そのた
め、前記境界部位を切り立った垂直面とした場合には、
透光性樹脂層6上に形成される透明導電膜7,非晶質半
導体層8,裏面電極層9の膜厚が前記境界部位の上方位
置において局所的に薄くなってしまい、この薄い膜厚部
位で透明導電膜7,非晶質半導体層8,裏面電極層9に
短絡等の不都合が生じやすくなってしまう。この点を考
慮して改善したのが本実施の形態である。
【0064】本実施の形態では、図12,図13に示す
ように、透光性樹脂層6には、その表面に形成した平坦
領域50と凹凸10との間の境界部位に斜面領域60を
形成している。本実施の形態では、平坦領域50の高さ
位置を凹凸の山の高さ位置と略同一としたものを例にし
ているので、斜面領域60は平坦領域50の表面と凹凸
10の谷部とを結んで形成している。このような斜面領
域60を透光性樹脂層6に形成することにより、図14
に示すように、透光性樹脂層6上に形成される透明導電
膜7,非晶質半導体層8,裏面電極層9の膜厚は、平坦
領域50と凹凸10との間の境界部位の上方位置におい
て局所的に薄くなることなく均一化し、これにより短絡
等の不都合を生じにくくしている。
【0065】なお、図12、図13は、透明導電膜7,
非晶質半導体層8,裏面電極9を形成していない透光性
樹脂層6の表面形状を示しており、図12は透光性樹脂
層6の平面図であり、図13は図12のA−A線断面図
である。また、図13は、透光性樹脂層6の形成途中を
示しており、薄膜太陽電池の完成状態を示す図14とは
図の上下が逆になっている。
【0066】このようにして形成される斜面領域60の
長さ寸法Kは、次のようにするのが望ましい。すなわ
ち、ユニットセルUの幅Hを4mmとし、凹凸10の山
と谷の高低差20μm、谷の角度60度とした場合に
は、長さ寸法Kは10〜200μmとするのが望まし
い。本実施の形態では斜面領域60の長さ寸法Kを40
μmにしている。斜面領域60の長さ寸法Kをこのよう
に規定しているのは、次のような理由によっている。す
なわち、長さ寸法Kが短すぎる(10μm未満となる)
と、非晶質半導体層8等に起きる局所的な薄膜化に対す
る防止効果を十分に享受できなくなる一方、長さ寸法K
が長すぎる(200μmを越える)と、凹凸10を設け
たことによる光の散乱効果を十分に享受できなくなる。
【0067】このような斜面領域60は、基本的には、
実施の形態4と同様の製法で作製できる。すなわち、図
15に示すように、光硬化前のアクリル樹脂材24をP
ETフィルム20a上に塗布したのち、転写ロール61
をアクリル樹脂材24に当接させて転動させつつ、転写
ロール61の当接部位に光を照射する。これにより、硬
化したアクリル樹脂フィルム20bの表面、すなわち、
透光性樹脂層6の表面に転写ロール61の表面形状を転
写する。
【0068】本実施の形態では、次の点で、実施の形態
4における製法と異なっている。すなわち、用いる転写
ロール61には、転写凹凸22と転写用平坦領域53と
の間の境界部位に、図16に示すように転写用斜面領域
62を形成する。転写用斜面領域62は転写用平坦領域
53の表面と転写凹凸22の山部との間にわたって形成
する。このような転写用斜面領域62を有する転写ロー
ル61を用いて実施の形態4と同様の製造方法を実施す
ることで、透光性樹脂層6の表面に、斜面領域60を形
成する。
【0069】本実施の形態の構成(凹凸10、平坦領域
50、および斜面領域60)を備えた薄膜太陽電池の特
性を測定した。ここでは、実施の形態4と同様、凹凸1
0の山と谷の高低差を20μm、V字型10aの溝角度
を60度、ユニットセルUの幅を4mm、平坦領域50
の幅を500μmとした本実施の形態の薄膜太陽電池
を、10cm×10cmの集積セルにした状態で、AM
1.5における特性を測定した。以下のデータは集積セ
ルのサンプル20枚の平均値である。
【0070】まず、凹凸10、平坦領域50、および斜
面領域60のみを形成して、凹凸10には微細凹凸11
を形成しない場合の特性は次の通りである。すなわち、
フィル・ファクターF.F=0.70、光電変換効率η
の値=11.6%の特性が得られた。また、フィル・フ
ァクターの値の分布は、0.69〜0.71であり、光
電変換効率ηの値の分布は11.3〜11.8%であ
り、測定結果の分布も分散することなく安定していた
さらには、凹凸10と平坦領域50との間の境界部位に
おいて短絡が発生したのは、1つの集積セルだけであっ
た。
【0071】次に、本実施の形態の構造にさらに、実施
の形態1の手法(ブラスト処理法)もしくは実施の形態
2の手法(透明性微粒子混入法)を用いて凹凸10に微
細凹凸11(11’)を形成した薄膜太陽電池の特性を
同様に測定した結果は次の通りである。すなわち、フィ
ル・ファクターF.F=0.70、光電変換効率η=1
2.7%の特性が得られた。また、凹凸10と平坦領域
50との間の境界部位において短絡が発生したものは、
皆無であった。
【0072】なお、上記した各実施の形態では、透光性
絶縁基板4として、強化ガラス基板を用いていたが、フ
レキシブル性を持つフィルム基板からなる透光性絶縁基
板を用いた薄膜太陽電池にも実施できるのはいうまでも
ない。
【0073】
【発明の効果】本発明の請求項1によれば、形状転写体
の転写凹凸形成面を透光性樹脂フィルムに当接させるこ
とで凹凸を転写形成するので、凹凸を常温でしかも簡単
な工程で形成することができる。また、凹凸を転写する
透光性樹脂フィルムは比較的安価でかつ軽量な材料であ
る。このような理由により、特性が優れ、かつ軽量な薄
膜太陽電池を安価に製造することができるようになっ
た。
【0074】本発明の請求項2によれば、薄膜太陽電池
の透光性樹脂層の表面には微細凹凸が形成されることに
なる。透光性樹脂層に微細凹凸が形成されると、微細凹
凸により光の散乱が起こり非晶質半導体層中での光路長
が伸び、薄膜太陽電池の特性がさらに向上することにな
る。
【0075】本発明の請求項3によれば、山と谷の高低
差が、非晶質半導体層の光吸収層の膜厚より(結果とし
て)小さくなるために、非晶質半導体層の亀裂が生じに
くくなり、その分、歩留まりが向上して、製造コストが
さらに安価になる。
【0076】本発明の請求項4によれば、微細転写凹凸
を大きさを揃えた状態で簡単に形成することができるよ
うになり、その分、さらに製造コストを下げることがで
きる。
【0077】本発明の請求項5によれば、薄膜太陽電池
の透光性樹脂層の表面には微細凹凸が形成されることに
なる。透光性樹脂層に微細凹凸が形成されると、微細凹
凸により光の散乱が起こり非晶質半導体層中での光路長
が伸び、薄膜太陽電池の特性がさらに向上することにな
る。また、透光性樹脂フィルムに微粒子を混入させるだ
けで、透光性樹脂フィルムに微細凹凸を形成できるの
で、微細凹凸を簡単に形成できるうえ、微細凹凸の大き
さの調整を、混入させる微粒子の大きさや量により容易
に調整することができるようになり、その分、製品精度
が上昇するうえに、製造コストを下げることもできる。
【0078】本発明の請求項6によれば、円筒体を透光
性樹脂フィルム上で転動させるという簡単な動作で、凹
凸を精度よく転写することができるので、その分、製造
コストを下げることができる。
【0079】本発明の請求項7によれば、非晶質半導体
層に亀裂を生じさせることなく、しかも、均一な成膜を
容易にしたうえで、凹凸を形成することができるように
なる。
【0080】本発明の請求項8によれば、薄膜太陽電池
の各ユニットセルを分離するためにレーザ光で薄膜太陽
電池を分断する加工を施す場合、平坦領域を分断線に沿
って形成すれば、レーザ光を焦点精度よく薄膜太陽電池
上で集光させることができるようになり、その分、製造
精度が上がり、歩留まりが向上する。
【0081】本発明の請求項9によれば、薄膜太陽電池
内のユニットセルどうしを直列する接続する配線を平坦
領域に沿って形成すれば、太陽電池の各ユニットセル内
に形成される電流経路を凹凸の凹凸形状を横切ることな
く、凹凸に沿って直線状に形成することができ、電流経
路がほぼ最短となるので、その分、薄膜太陽電池の特性
が向上する。
【0082】本発明の請求項10によれば、透光性樹脂
層に斜面領域を形成することが可能となるので、非晶質
半導体層等の膜厚が局所的に薄くなることに起因する短
絡を防止することができ、その分、太陽電池の歩留まり
の向上と特性の安定化を図ることができる。
【0083】本発明の請求項11によれば、薄膜太陽電
池上の各ユニットセルを分離するためにレーザ光で薄膜
太陽電池を分断する加工を施す場合、平坦領域を分断線
に沿って形成すれば、レーザ光を焦点精度よく薄膜太陽
電池上で集光させることができるようになり、その分、
製造精度が上がり、歩留まりが向上する。
【0084】本発明の請求項12によれば、太陽電池ど
うしを直列接続する配線を平坦領域に沿って形成すれ
ば、薄膜太陽電池のユニットセル内に形成される電流経
路を溝状凹凸の凹凸形状を横切ることなく、溝状凹凸に
沿って直線状に形成することができ、電流経路がほぼ最
短となるので、その分、薄膜太陽電池の特性が向上す
る。
【0085】本発明の請求項13によれば、透光性樹脂
層に斜面領域を設けることで、非晶質半導体層等の膜厚
が局所的に薄くなることに起因する短絡を防止すること
ができ、その分、太陽電池の歩留まりの向上と、特性の
安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図l】本発明の実施の形態1の薄膜太陽電池の構造を
示す断面図である。
【図2】実施の形態1の薄膜太陽電池の製造方法に用い
られる転写ロールの構成を示す斜視図である。
【図3】転写ロールの要部拡大断面図である。
【図4】実施の形態1の薄膜太陽電池の製造方法で用い
られる透光性樹脂フィルムの構成を示す斜視図である。
【図5】実施の形態1の薄膜太陽電池の製造方法におけ
る製造途中の状態を示す斜視図である。
【図6】実施の形態1の薄膜太陽電池および比較例の各
波長における反射率を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2の薄膜太陽電池の製造方
法における製造途中の状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態3の薄膜太陽電池の構造を
示す断面図である。
【図9】実施の形態3の薄膜太陽電池の製造方法に用い
られる転写ロールの構造を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態4の薄膜太陽電池の構造
を示す斜視図である。
【図11】実施の形態4の薄膜太陽電池の製造方法に用
いられる転写ロールの構造を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態5の薄膜太陽電池の要部
を示す図である。
【図13】図12のA−A線断面図である。
【図14】本発明の実施の形態5の薄膜太陽電池の要部
を示す断面図である。
【図15】本発明の実施の形態5の薄膜太陽電池の製造
方法における特徴となる行程を示す斜視図である。
【図16】実施の形態5の製造方法で用いられる転写ロ
ールの要部拡大図である。
【符号の説明】 4 透光性絶縁基板 5 透光性
接着樹脂層 6 透光性樹脂層 7 透明導
電膜 8 非晶質半導体層 9 裏面電
極層 10 凹凸 10a V字
型溝 11 微細凹凸 20 透光
性樹脂フィルム 20a PETフィルム 20b アク
リル樹脂フィルム 24 アクリル樹脂材 21 転写
ロール 22 転写凹凸 22a V字
型転写凸条 23 微細転写凹凸 30 透光
性樹脂フィルム 11’ 微細凹凸 31 アク
リル樹脂材 21’ 転写ロール 22’ 転写
凹凸 20b’ アクリル樹脂フィルム 10’ 凹凸 41 平坦領域 42 レー
ザ加工部 U ユニットセル 43 転写ロ
ール 44 転写用平坦領域 50 平坦
領域 51 レーザ加工部 52 転写
ロール 53 転写用平坦領域 60 斜面
領域 61 転写ロール 62 転写
用斜面領域

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性絶縁基板上に、凹凸を有する透光
    性樹脂層を形成したのち、この透光性樹脂層上に、透明
    導電膜、非晶質半導体層、および裏面電極層を順次積層
    形成してなる薄膜太陽電池の製造方法であって、 転写凹凸が形成された形状転写体を用意し、この形状転
    写体の転写凹凸形成面を透光性樹脂フィルムに当接させ
    て、透光性樹脂フィルムに前記凹凸を形成する工程と、 前記凹凸が形成された透光性樹脂フィルムを前記透光性
    絶縁基板上に貼着して前記透光性樹脂層を形成する工程
    とを含むことを特徴する薄膜太陽電池の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の薄膜太陽電池の製造方法
    であって、 前記形状転写体の転写凹凸の表面にさらに微細転写凹凸
    を形成したうえで、この形状転写体の転写凹凸形成面を
    透光性樹脂フィルムに当接させて、透光性樹脂フィルム
    に前記凹凸および微細凹凸を形成することを特徴とする
    薄膜太陽電池の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の薄膜太陽電池の製造方法
    であって、 前記微細転写凹凸として、山と谷の高低差が可視光領域
    の光の波長の半分程度のものを前記形状転写体上の転写
    凹凸表面に形成したうえで、この形状転写体を用いて透
    光性樹脂フィルムに前記凹凸および微細凹凸を形成する
    ことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の薄膜太陽電池の製造方法
    であって、 前記微細転写凹凸を、前記形状転写体をブラスト処理す
    ることで形成することを特徴とする薄膜太陽電池の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 凹凸が形成された透光性樹脂層を透光性
    絶縁基板上に形成したのち、この透光性樹脂層上に、透
    明導電膜、非晶質半導体層、および裏面電極層を順次積
    層形成してなる薄膜太陽電池の製造方法であって、 少なくとも表面部位に微粒子が混入された透光性樹脂フ
    ィルム材を用いてフィルム表面に微細転写凹凸を有する
    透光性樹脂フィルムを形成する工程と、 形状転写体を用意し、この形状転写体に転写凹凸を形成
    したうえで、この形状転写体の転写凹凸形成面を前記透
    光性樹脂フィルムに当接させて、透光性樹脂フィルムに
    前記凹凸および微細凹凸を形成する工程と、 前記凹凸が形成された透光性樹脂フィルムを前記透光性
    絶縁基板上に貼着して前記透光性樹脂層を形成する工程
    とを含むことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1または5記載の薄膜太陽電池の
    製造方法であって、 前記形状転写体として、円筒体を用いることを特徴とす
    る薄膜太陽電池の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または5記載の薄膜太陽電池の
    製造方法であって、 前記転写凹凸として、山と谷の高低差が10〜50μm
    となった転写凹凸を前記形状転写体に形成したうえで、
    この形状転写体を用いて透光性樹脂フィルムに前記凹凸
    を形成することを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1または5記載の薄膜太陽電池の
    製造方法であって、 前記形状転写体に、一定間隔を開けて転写用平坦領域を
    線状に形成したうえで、この形状転写体を前記透光性樹
    脂フィルムに当接させて、透光性樹脂フィルムに前記凹
    凸および平坦領域を形成することを特徴とする薄膜太陽
    電池の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の薄膜太陽電池の製造方法
    であって、 前記転写凹凸として、互いに平行となった線状の転写凹
    凸を前記形状転写体に形成するとともに、この転写凹凸
    と直交する線状とした前記転写用平坦領域を前記形状転
    写体に形成し、この形状転写体を透光性樹脂フィルムに
    当接させて、透光性樹脂フィルムに互いに平行となった
    線状の凹凸、およびこれら凹凸と直交する平坦領域を形
    成することを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の薄膜太陽電池の製造方
    法であって、 前記形状転写体として、前記転写用平坦領域と前記転写
    凹凸との間の境界部位に、転写凹凸から転写用平坦領域
    表面に至る転写用斜面領域を有するものを用意し、この
    形状転写体を透光性樹脂フィルムに当接させて、透光性
    樹脂フィルムの線状の凹凸と平坦領域との間の境界部位
    に斜面領域を形成することを特徴とする薄膜太陽電池の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 透光性絶縁基板上に、凹凸が形成され
    た透光性樹脂層と、透明導電膜と、非晶質半導体層と、
    裏面電極層とを順次積層してなる薄膜太陽電池であっ
    て、 前記透光性樹脂層には線状の平坦領域が形成されている
    ことを特徴とする薄膜太陽電池。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の薄膜太陽電池であっ
    て、 前記凹凸は、互いに平行な線状に配設されており、前記
    平坦領域は、前記凹凸と直交して配設されていることを
    特徴とする薄膜太陽電池。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の薄膜太陽電池であっ
    て、 前記凹凸と前記平坦領域との間の境界部位に、凹凸から
    平坦領域表面に至る斜面領域が形成されていることを特
    徴とする薄膜太陽電池。
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