JPH11199321A - セラミック物品及びその製造方法 - Google Patents

セラミック物品及びその製造方法

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JPH11199321A
JPH11199321A JP10284172A JP28417298A JPH11199321A JP H11199321 A JPH11199321 A JP H11199321A JP 10284172 A JP10284172 A JP 10284172A JP 28417298 A JP28417298 A JP 28417298A JP H11199321 A JPH11199321 A JP H11199321A
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zirconia
sintering
ceramic article
crystal structure
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Dilip K Chatterjee
クマール チャタージー ディリップ
Debasis Majumdar
マジャンダー ドゥベイシス
Thomas N Blanton
ネルソン ブラントン トーマス
Syamal K Ghosh
クマール ゴーシュ シャマール
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬い硬化層と強靱なコア部を有するセラミッ
ク物品の提供。 【解決手段】 Zrと、Oと、そしてMg、Ca、Y、
Sc、Ce及び希土類元素からなる群より選ばれた少な
くとも一種の元素とを含む元素組成を有する、コア部と
ケーシング部とを含む焼結されたセラミック物品であっ
て、前記ケーシング部は前記コア部の外部にあり且つ前
記コア部と連続しており、前記コア部は、実質的に正方
晶系のジルコニア型結晶構造を有する焼結粒子を主要部
とし、そして前記ケーシング部は、単斜晶系のジルコニ
ア型結晶構造とジルコン型結晶構造との混合物を有する
焼結粒子を主要部とするセラミック物品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、傾斜機能性セラミ
ック物品及びこのような物品の製造方法に、より詳細に
は、セラミック物品、工具並びにセラミック物品を製造
するための方法及び焼結方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ジルコニア(ZrO2 )は、その正方晶
系結晶構造において、強靱であるが、比較的軟質である
という欠点をもつセラミック材料である。このことは、
正方晶系結晶構造のジルコニアが他の結晶構造のジルコ
ニアほど硬質ではないことを意味している。ジルコニア
は立方晶系及び単斜晶系の結晶構造でも存在することが
でき、どちらも正方晶系結晶構造の場合よりも硬質とな
るが、脆さが高くなる。純粋なジルコニアを特定のドー
パントで適切に合金化することによって、十分に安定化
された準安定正方晶系ジルコニアを得ることができる。
ジルコニアの立方晶相及び単斜晶相の形成には、熱的処
理、熱的−機械的処理又は何らの合金化処理が必要であ
る。工具、特にバイトに適用するためには、当該工具材
料の使用面が硬質であり且つそのコア部が強靱であるこ
とが望まれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、セラ
ミック物品及び工具並びにセラミック物品の製造方法及
び焼結方法を改良することであって、実質的に正方晶系
のジルコニアを含有する強靱なコア部の上に、実質的に
単斜晶系のジルコニア及びジルコンを含有する硬い硬化
層を設けることにある。本発明のセラミック物品の製造
方法の上位概念として、第一酸化物と第二酸化物とを含
む粒状体を圧縮して未処理ブランクを形成する工程を含
むセラミック物品の製造方法が提供される。第一酸化物
はZrO2である。第二酸化物はMgO、CaO、Y2
3 、Sc2 3 及び希土類酸化物並びにこれらの混合
物からなる群より選ばれる。未処理ブランクに、適当な
いずれかの手段、例えば、回転塗布法、浸漬塗布法、等
で、スメクタイト粘土、具体的には水和マグネシウムリ
チウムシリケート又はフルオロシリケート、を含有する
ゾルを層状に塗布し、その後これを焼結する。このよう
に製造されたジルコニア合金系セラミック物品焼結体
は、実質的に単斜晶系のジルコニア相及びジルコン(ジ
ルコニアシリケート:化学式ZrSiO4 )を含有する
硬化層と、正方晶系のジルコニア相を含有するコア部と
を有する。この硬化層は、その相の性質により極めて硬
質であり且つ、コア部は強靱である。その上、当該物品
の内部においてこれらの相が傾斜して存在する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、Zrと、O
と、そしてMg、Ca、Y、Sc、Ce及び希土類元素
からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素とを含む
元素組成を有する焼結セラミック物品に関する。当該セ
ラミック物品はコア部とケーシング部とを含む。当該ケ
ーシング部は当該コア部の外部にあり且つ当該コア部と
連続している。当該コア部は、実質的に正方晶系のジル
コニア型結晶構造を有する焼結粒子を主要部とし、そし
て当該ケーシング部は、単斜晶系のジルコニア型結晶構
造とジルコン型結晶構造との混合物を有する焼結粒子を
主要部とする。
【0005】本発明は、第一酸化物と第二酸化物との粒
状合金を圧縮してブランクを形成する工程を含む、セラ
ミック物品の製造方法にも関する。当該第一酸化物はジ
ルコニウム酸化物であり、そして当該第二酸化物はMg
O、CaO、Y2 3 、Sc 2 3 、CeO2 及び希土
類酸化物並びにこれらの混合物の中から選ばれる。当該
ブランクはスメクタイト含有ゾルと接触させた状態で焼
結する。
【0006】本発明を、その他の利点及び性能と共にさ
らによく理解できるよう、図面との関連で以下の詳細な
説明を参照する。本発明では、粒状ジルコニア系合金を
圧縮して得られた「未処理(green) 」の物品に、合成ス
メクタイト粘土を含有するゾルをコーティングし、その
後これを焼結する。得られる本発明のセラミック物品
は、実質的に単斜晶系のジルコニア(ZrO2 )及びジ
ルコン(ZrSiO4 )を含有する硬化層(case)と、実
質的に正方晶系のジルコニア(ZrO2 )を含有するコ
ア部とを有する。当該物品の硬化層からコア部への遷移
は、特に当該遷移層の結晶構造に関して漸進的であり、
機能的に傾斜した構造となっている。バイト及び使用面
の機能によって硬質の外表面が必要であるが、コア部が
強靱でないと当該物品は破壊してしまう。さらに、コア
部から表面部への遷移が漸進的でないと、当該工具に亀
裂が生じて割れてしまう恐れがある。
【0007】本発明の方法では、ZrO2 と、MgO、
CaO、Y2 3 、Sc2 3 及びCeO2 並びに希土
類酸化物の中から選ばれたさらに別の酸化物(本明細書
では「Mg−Ca−Y−Sc−Ce−希土類系酸化物」
と称する場合もある)とを含む粒状合金を使用する。本
発明の方法において有用なジルコニア合金は、得られる
当該セラミック物品の使用温度、使用圧力において十分
に安定化されている正方晶系結晶構造を有する。例え
ば、温度が約200℃以下であり且つ圧力が約1000
MPa以下である場合に、Mg−Ca−Y−Sc−Ce
−希土類系酸化物を約2〜約20モル%含有するジルコ
ニア合金は正方晶構造を示す。ジルコニアとの合金化に
好適な酸化物は、Y2 3 、MgO、CaO、CeO2
及びこれらの混合物である。ジルコニア合金が2〜5モ
ル%のMg−Ca−Y−Sc−Ce−希土類系酸化物を
含むことが好ましい。図1の工程Aは、当該合金化プロ
セスを示すものである。ジルコニア粉末100を一種以
上の第二酸化物粉末102と混合してジルコニア合金粉
末104を得る。ジルコニア粉末は純度が高いこと、す
なわち約99.9%よりも高純度であることが好まし
い。ジルコニア合金の調製法は当業者には周知事項であ
り、またジルコニア合金は市販もされている。例えば、
2 3 を3モル%含有する粒状ジルコニア合金が、HA
NWHA Advanced Ceramics, PTY Ltd.(HWA-ZY 3Pとして)
、Zirconia Sales Corporation of America (HSY-3SD
として) 及びTOSHO Corporation (3YBとして) のような
いくつかの販売業者から市販されている。
【0008】ジルコニア合金における結晶粒及び凝集塊
の大きさ及び分布、含水量並びにバインダーの使用は、
当業者には周知の方法によって選ばれる。「結晶粒(gra
in)」は、隣接する結晶粒とは区別される空間配向を有
する個々の結晶として定義され、粒子の内部に存在し得
る。「凝集塊」は、個々の粒子が凝集したものとして定
義され、それぞれが複数の結晶粒を含み得る。本発明の
個別具体的な実施態様について有用な結晶粒及び凝集塊
の大きさ及び分布の一例を以下に挙げる。結晶粒の大き
さは約0.1μm〜約0.6μmの範囲にある。結晶粒
の大きさの平均値は0.3μmである。結晶粒の大きさ
の分布は、0.1μm未満が5〜15%、0.3μm未
満が40〜60%、そして0.6μm未満が85〜95
%である。個々の結晶粒の表面積は約10〜約15m2
/gの範囲にあり、好ましくは14m2 /gである。凝
集塊の大きさは約30〜約60μmの範囲にあり、凝集
塊の大きさの平均値は40〜60μmである。当該粉末
の含水量は、ブランクに対して約0.2〜1.0体積%
の範囲にあり、好ましくは0.5体積%である。当該合
金粉末の圧縮は、ゼラチン又はポリビニルイオノマー、
より好ましくはポリビニルアルコールのようなバインダ
ーの存在下で行われる。当該バインダーは、粉末を圧縮
装置に入れる前に、例えばスプレー法又はボールミル粉
砕法により、当該粉末に添加されて混合される。
【0009】本発明の方法において有用な合金の具体例
として、約2〜約5モル%、より好ましくは約3モル%
のY2 3 を有する正方晶構造のジルコニア合金が挙げ
られる。本発明の方法において有用な正方晶構造のジル
コニア合金の例が、米国特許第5,336,282号明
細書に記載されており、本明細書ではこれを参照するこ
とにより明細書の一部とする。上記米国特許明細書で
は、当該合金が、「ネットシェイプ」セラミック物品が
得られるように選択されている。「ネットシェイプ」と
は、焼結後の寸法が当てになるため、所期の使用環境で
使用する前にさらに機械加工することが必要でないセラ
ミック物品、と上記米国特許明細書において定義されて
いる。換言すれば、焼結中の収縮量が予測可能であるた
め、所定の形状、寸法に一致するセラミック部品が得ら
れる。粒状ジルコニア合金は実質的に均一である。当該
合金の純度は99.9〜99.99%に十分に制御され
ている。すなわち、不純物は約0.1〜0.01%以下
である。結晶粒の大きさは約0.1μm〜約0.6μm
の範囲にある。結晶粒の大きさの平均値は0.3μmで
ある。結晶粒の大きさの分布は、0.1μm未満が10
%、0.3μm未満が50%、そして0.6μm未満が
90%である。個々の結晶粒の表面積は約10〜約15
2 /gの範囲にあり、好ましくは14m2 /gであ
る。凝集塊の大きさは約30〜約60μmの範囲にあ
る。凝集塊の大きさの平均値は50μmである。当該粉
末の含水量は、ブランクに対して約0.2〜1.0体積
%の範囲にあり、好ましくは0.5体積%である。
【0010】粒状ジルコニア合金粉末104は、ダイ
中、プレスを用いて圧縮され、「未処理」ブランク10
6が形成される。「未処理」ブランクの形成は、常温又
は乾式プレス及び射出成形法をはじめとする当該技術分
野で周知のいくつかの方法により可能である。
【0011】圧縮工程に加え、ジルコニア合金粉末10
4を焼結が起こる温度に加熱する。焼結工程は、物品を
一定温度範囲内で一定時間維持した後に冷却する工程で
ある。以下、詳細に説明するように、焼結工程の全体又
は一部において、ジルコニア合金粉末の「未処理」圧縮
体106をドーパントと接触させる。本明細書では、図
1中の「B」及び「C」が示すように、圧縮工程と焼結
工程を二つの連続操作として一般的に説明しているが、
本発明は圧縮工程と焼結工程の特定の順序に限定される
ものではない。例えば、圧縮工程と焼結工程を単一操作
で同時に行うことや、部分圧縮に続いて焼結工程及びさ
らなる圧縮工程を行うことも可能である。圧縮工程及び
焼結工程による中間生成物を本明細書では「ブランク」
と称し、図1中、要素106として表す。ブランク10
6は、少なくとも部分的には圧縮されており、そして未
焼結状態又は不完全焼結状態のいずれかにある。圧縮工
程と焼結工程が完結すると、セラミック物品の完成品1
08が得られる。この完成品は、実質的に単斜晶系のジ
ルコニア及びジルコン相の硬化層110と、実質的に正
方晶系のジルコニア相のコア部112とを含む。このよ
うなタイプの物品を傾斜機能性セラミック物品と定義す
る。
【0012】ジルコニア合金粉末104を圧縮する具体
的な方法は問題ではない。本発明の好ましい実施態様で
は、粒状ジルコニア合金を低温圧縮して未焼結ブランク
を得る。この未焼結ブランクを本明細書では「未処理」
プレフォームとも称する。用語「低温圧縮」とは、バイ
ンダーのガラス転移温度又は分解温度よりも低い温度で
粒状合金を圧縮することをさす。未処理プレフォーム
は、低温一軸圧縮法、低温等方圧縮法、射出成形法又は
低温押出法のような方法で製造することができる。密度
が均一なブランク106を得るために、合金粉末に均一
な圧縮力をかけることが好ましい。
【0013】均一な圧縮力を達成する好適な圧縮装置
は、米国特許第5,336,282号明細書に記載され
ており且つ図2に示したような浮動式金型ダイプレス1
0である。ダイプレスは、支柱16にプラットフォーム
12を固定し且つ可動式プラットフォーム14を搭載し
た構成となっている。可動式プラットフォーム14は液
圧手段(図示なし)で駆動され且つ金型とダイの組立体
18を支持する。さらに図3に組立体18を記載する。
組立体18はプレート20、22を含み、これらはロッ
ド24にスライド可能に取り付けられている。中央定盤
30がプレート22上のスペーサープレート32によっ
て取り付けられており、ダイセット26、28と一緒に
それらの間にキャビティ34を画定する。ジルコニア合
金粉末104に予めバインダーを混合したものを、まず
キャビティ34内に配置することによって圧縮する。次
いで、プラットフォーム14を図3中の矢印の方向に移
動させることで上記範囲の液圧でプレート20をプラッ
トフォーム12(図2)に接触させ、プレート22をプ
レート20に対し押しつけることによって粉末を圧縮
し、ブランク又は未処理プレフォームを形成する。プレ
ート20、22はそれぞれ自由にロッド24上で移動す
るので、粉末にかかる圧縮力は実質的に均一となり、密
度が均一なブランクが得られることになる。
【0014】金型とダイの組立体18は、完成したセラ
ミック物品の使用面を焼成後に機械加工する必要を最小
限に止める又はなくすべく、寸法的に密接した許容差を
有するべきである。例えば、各ダイセット26、28の
圧縮面44、46は、設計上の平行からのずれの最大幅
が±0.00127mm(0.00005インチ)とな
るような平行であることができる。中央定盤30の圧縮
面48、50は圧縮面44、46に垂直であることがで
き且つ設計上の垂直方向からのずれの最大幅として±
0.00127mm(0.00005インチ)を示すこ
とができる。焼結後に最終的に望まれる寸法を有するセ
ラミックをもたらす所望の寸法を有するブランクを得る
ための充填比を確立しなければならない。「充填比」と
は、プラットフォーム14が最初の最下位にある場合の
キャビティ34のプラットフォーム14の移動軸に沿っ
た高さの、キャビティ34内の粉末の圧縮軸に沿ってキ
ャビティ34内で形成される未処理部品の高さに対する
比率をさす。換言すれば、この未処理プレフォームの高
さは、圧縮位置の終点における金型とダイの組立体18
の圧縮面44、46間の距離にも等しい。
【0015】本発明の好ましい方法では、合金粉末を低
温圧縮して正方晶構造のジルコニアの最終的な焼結後密
度よりも実質的に低い「未処理」密度とする。すなわ
ち、未処理プレフォーム106の密度は、焼結後にその
未処理プレフォーム106から得られる傾斜機能セラミ
ック物品108の密度よりも実質的に低い。完全に正方
晶構造のセラミック物品の最終焼結後密度と本発明のセ
ラミック物品108の最終焼結後密度とは、本発明の方
法により得られる物品108は実質的に単斜晶系のジル
コニア及びジルコン構造の硬化層110と実質的に正方
晶系のジルコニア構造のコア部112とを有するという
点で若干異なる。非常に小さな物品108である場合を
除いて、この差は無視することができ、最終焼結後密度
は焼結後に本発明の方法により得られる物品108の密
度とみなすことができる。未処理密度が正方晶構造のジ
ルコニアの最終密度の約40〜約65%、より好ましく
は約60%であることが好ましい。本発明の好ましい実
施態様からの一例として、Y 2 3 を3モル%含有する
ジルコニア合金から得られた物品108の最終焼結後密
度が6.08g/cm3 、好適な未処理密度の範囲が約
2.5〜約4.0g/cm3 、より好ましくは約3.6
5g/cm3 、であるものが挙げられる。
【0016】具体的な粉末の分布については、未処理密
度は圧縮の圧力及び充填比に大きく依存する。本発明の
方法における好適な圧縮圧は約10,000〜30,0
00psi(69〜207MPa)である。より好適な
圧縮圧は約15,000psi(約100MPa)であ
る。充填比は約2.5:1〜約3.5:1に維持され
る。好適な充填比は約3.0:1である。圧縮時間は、
選定した圧縮圧に応じて作業員が容易に決定することが
できる。例えば、圧縮圧が約12,000psi〜約1
8,000psi(約83〜124MPa)の範囲にあ
る場合には、圧縮時間は対応して約60秒〜約10秒の
範囲とすることができる。圧縮圧が15,000psi
(100MPa)である場合、圧縮時間は30秒とする
ことができる。作業員が選定する圧縮圧及び圧縮時間が
完成部品108の大きさに依存し得ることは周知であ
る。一般に、部品の大きさが大きくなるにつれ、圧縮時
間は長くなる。
【0017】「未処理」部品をコーティングする際に用
いられるゾルは、構造と組成が天然粘土の鉱物ヘクトラ
イトに非常に似ている市販の合成スメクタイト粘土を含
有する。ヘクトライトは比較的希少な天然膨潤性粘土で
あって、石英のような除去するのが困難で且つコストの
かかる他の鉱物で汚染された状態で存在している。合成
スメクタイトは、天然不純物を含まず、制御された条件
下で調製される。このような合成スメクタイトの一種が
英国のLaporte Industries社及びその米国子会社のSout
hern Clay Products社(Texas) より商品名Laponiteとし
て市販されている。本発明で使用される具体的なスメク
タイト粘土は、Southern Clay Products社より供給され
ているLaponite Sのような層状水和マグネシウムリチウ
ムシリケート又はフルオロシリケートであり、その典型
的な化学組成を以下に示す。 SiO 50〜52重量% MgO 22〜24重量% Li2 O 1.1〜1.4重量% Na2 O 6.0〜8.0重量% P2 5 3.3〜5.5重量% F 4.7〜5.2重量% 強熱減量 8.5〜9.0重量%
【0018】Laponite製品の中には、分散を迅速化する
ためにピロリン酸四ナトリウムのようなポリリン酸塩系
解こう剤を含有するものもあり、その代わりに、同じ目
的のために後に適当な解こう剤をLaponiteに導入するこ
ともできる。
【0019】粘土型構造を有しているため、Laponiteは
脱イオン水分散液中で分離して横寸法25〜50nm、
厚さ1〜5nmの通常ゾルと呼ばれる小さな板状体とな
る。ゾル中のLaponiteの典型的な濃度は0.1%〜30
%の範囲をとり得るが、好適な濃度は20%である。脱
イオン水中に分散している間、当該粘土小板状体の周囲
に電気二重層が形成されるので、板状体間に反発が生
じ、構造が構築されることがない。しかしながら、電解
質が存在すると、電気二重層が減少して小板状体間に引
力が働き、「ハウス・オブ・カード」型構造が形成され
て粘度が著しく増加することになる。ゾル中の電解質濃
度を調整することによってゾルの粘度は慎重に制御する
ことができる。本発明ではこの特徴的なレオロジー特性
の利点を、硬い硬化層の厚さを変化させる場合に利用す
る。
【0020】上記の合成スメクタイト粘土を含有するゾ
ルを「未処理」ジルコニアセラミック物品106の表面
にコーティングすることは、回転塗布法、浸漬塗布法、
スプレー塗布法、等のようないずれの常用技法によって
も行うことができる。コーティング時、「未処理」物品
は元来多孔質であるため、合成スメクタイト粘土を含有
するゾルが「未処理」ジルコニアセラミック物品106
の塗布表面から内部へ一定の深さまで浸透していく。こ
の浸透の深さが、焼結後の、セラミック物品108の硬
化層の厚さを決定する。合成スメクタイト粘土を含有す
るゾルが「未処理」セラミック物品106中に浸透して
いく深さはゾルの粘度に依存するため、この浸透深さ
は、ゾル中の電解質濃度の調整により又はその他の手段
により容易に制御することができる。このように、本発
明については、ゾルの粘度を制御することによって、セ
ラミックケーシングの厚さを容易に調節することができ
る。このことは米国特許第5,385,913号明細書
(参照により本明細書の一部とする)の教示よりも顕著
に有利である。すなわち、上記米国特許明細書では、同
様の硬い「硬化層」の厚さは酸化物の固相の熱拡散特性
によって固定され、制御することができないからであ
る。
【0021】焼結により「完全な」密度、すなわちほぼ
理論密度を有するセラミック物品108が得られること
が好ましい。さらには、セラミック物品108の密度が
理論密度の約99.5〜約99.9%の範囲にあること
が好ましい。本発明の具体的な態様の一例として、Y2
3 を3モル%含有するジルコニア合金から得られた物
品が、最終焼結後密度6.05〜6.08g/cm3
び粒径1μm未満、好ましくは0.5μm未満を示すも
のが挙げられる。
【0022】焼結工程は空気中又は含酸素雰囲気中で行
われる。本発明の方法は何らかの特定の焼結圧力及び温
度条件に制限されるものではない。焼結工程は周囲圧に
おいて実施することができるが、代わりに焼結工程の全
部又は一部で一段と高い圧力を適用することにより多孔
度を低下させることができる。焼結工程は、物品の硬化
層が焼結されて熱力学的に平衡な組成及び構造に到達す
るのに十分な時間継続される。合成スメクタイト粘土の
存在しないコア部は正方晶系の平衡構造をとり続ける。
焼結圧を高めた場合の有用な範囲の一例は、約69MP
a〜約207MPa、より好ましくは約100〜103
MPaである。焼結温度の有用な範囲の一例は、約13
00℃〜約1600℃、より好ましくは約1500℃で
ある。焼結時間の有用な範囲の一例は、約1時間〜約3
時間、より好ましくは約2時間である。本発明の方法の
特別な実施態様では、焼結ピーク温度を1500℃と
し、当該温度を約2時間維持する。
【0023】望ましくない寸法変化や亀裂の発生を防ぐ
ためにも、焼結されるブランクは焼結温度にまで徐々に
加熱され且つ徐々に冷却されることが好ましい。好適な
焼結温度1500℃を使用する本発明の一実施態様で
は、加熱期間中の好適な昇温法として、室温から約30
0℃までは約0.3℃/分、約300℃から約400℃
までは約0.1℃/分、約400℃から約600℃まで
は約0.4℃/分、そして約600から約1500℃ま
では約1.5℃/分を採用する。冷却期間中の好適な降
温法として、約1500℃から約800℃までは約2℃
/分及び約800℃から室温までは約1.6℃/分が挙
げられる。
【0024】本発明の方法は、様々な物品の製造に応用
できるが、強靱なコア部を覆う硬い硬化層が使用面であ
ると使用寿命が長くなる工具が多いことから、特にバイ
トや耐減摩性、耐磨耗性の部品の製造に適用することが
できる。工具の例として、ハロゲン化銀、磁性粒子、等
のような研磨性材料を被覆した布、厚紙、金属、高分子
材料及び紙のためのスリッターナイフ、パンチ及びダイ
が挙げられる。図4に、取り付け用シャンク42に取り
付けられた刃先40を有するセラミック孔あけ機38を
例示する。孔あけ機は、典型的なあらゆるパンチ組立
体、例えば、複数のパンチ36が取り付けられているロ
ータリー式パンチ又は往復式パンチに、シャンク42に
よって取り付けられることができる。孔あけ機38の硬
化層は、刃先40に限定されてもよいし、また、孔あけ
機の外側全体を包含してもよい。本発明の方法により製
造された物品のジルコニアシリケートを含む単斜晶系ジ
ルコニア硬化層の典型的な硬度は15〜17GPaであ
る。この値は、正方晶系ジルコニアの硬度典型値12〜
13GPaとは対照的である。本発明の方法により製造
される物品の形状は常温圧縮及び焼結の要件、例えば、
金型の大きさや形状及び焼結炉の大きさや形状、によっ
て制限されるが、他の制限を受けることは考えられな
い。本発明の方法及び物品は独立したセラミック製品に
制限されるものではないので、本明細書中の用語「ブラ
ンク」、「セラミック物品」、等は比較的大きな製品の
部分をさす場合もある。
【0025】
【実施例】以下の実施例及び比較例は、本発明のさらな
る理解のために提示するものである。当業者であれば、
本発明の範囲を逸脱することなくその他の変形を実施す
ることは可能であるものと理解される。実施例及び比較
例の結果は、焼結後の物品の硬化層、界面領域及びコア
部に存在する結晶相を検出することによって評価した。
【0026】Y2 3 を3モル%含有するジルコニア合
金は、HANWHA Advanced Ceramics,PTY 社の調製済合金
粉末HWA-ZY 3P として入手した。当該合金粉末の凝集塊
の大きさは30μm〜60μm、凝集塊の大きさの平均
値は50μm、粒径は0.1μm〜0.6μm、粒径の
平均値は0.3μm、そして含水率は0.5体積%であ
った。このセラミック粉末に未処理部品の4体積%の量
のポリビニルアルコールをバインダーとして添加し、そ
してボールミル粉砕法で徹底的に混合した。この粉末
を、上記の浮動式金型ダイプレスにおいて、圧縮圧1
5,000psi(100MPa)で30秒間、充填比
を約3:1として圧縮し、粉末をブランクにした。この
ブランクを、焼結工程の間ジルコニア板上に配置し、そ
して未処理部品を室温から300℃までは0.3℃/
分、300℃から400℃までは0.1℃/分、400
℃から600℃までは0.4℃/分、600から150
0℃までは1.5℃/分で順次加熱し、次いでそのプレ
フォームを1500℃で120分間維持し、その後当該
部品を1500℃から800℃までは2℃/分、800
℃から室温までは1.6℃/分で順次冷却することによ
って焼結した。寸法収縮率はセラミック物品の全体にわ
たり均一であり0.001%以内であった。
【0027】上記の手順に従い上記と同様の「未処理」
ブランクをいくつか調製した。これらのブランクに、La
ponite RDS 10%、Laponite S 10%、Laponite JS 10% 、
Montmorillonite SC PX 2.37%(以上、Southern Clay Pr
oductsより供給) 、Ludox 10% 、Ludox 30%(以上、DuPo
ntより供給) からなる群のゾルの一種を回転塗布した。
上記ゾルの「未処理」セラミックブランクへの回転塗布
は600〜2000rpmで0.25〜1分間行った。
粘土ゾルの粘度は、ゾルに異なる濃度の電解質を添加す
ることによって変更した。ゾルの粘度に差をつけること
で、多孔質の「未処理」セラミックブランクにおけるゾ
ルの浸透性に差をつけることができた。
【0028】次いで、回転塗布後の「未処理」セラミッ
クブランクを約75℃〜150℃の炉内で約0.5〜1
時間乾燥させてからジルコニア板上に配置し、そして上
記のスケジュールにそって焼結した。X線回折分析を日
本国のRigaku社製の型式RU 300のX線回折計を用いて行
った。コア部に存在する相の検出には連結角回折(coupl
ed angle diffraction) を使用した。硬化層における相
の検出には視斜角回折を使用した。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】上記実施例及び比較例について表1に示し
た結果から、実施例2及び実施例3は、焼結後のセラミ
ック物品について、硬化層の結晶構造が実質的に単斜晶
系のZrO2 及びジルコン(ZrSiO4 )からなり、
界面の結晶構造が実質的に正方晶系のZrO2 及び少量
乃至微量のジルコン(ZrSiO4 )からなり、そして
コア部の結晶構造が実質的に正方晶系のZrO2 からな
り微量の単斜晶系のZrO2 を含むことを示している。
【0031】比較例1、4、5、6及び7は、焼結後の
セラミック物品の硬化層、界面及びコア部の各結晶構造
が、実質的に正方晶系のZrO2 からなり微量の単斜晶
系のZrO2 を含むことを示している。ジルコニア合金
及びその複合材料は耐腐食性に優れていることが知られ
ている。単斜晶系のZrO2 は正方晶系のZrO2 より
も実質的に硬質である。ジルコン(ZrSiO4 )は正
方晶系ジルコニアよりも耐磨耗性が高い。単斜晶系Zr
2 もまた非常に高い耐磨耗性を有することが知られて
いる。一方、正方晶系のZrO2 は高い破壊靱性を有す
る。(バイトのような)セラミック物品として下部に強
靱なコア部を有すると同時に硬質の使用面又は硬化層を
有することは、写真乳剤、磁性粒子、等の存否に関わら
ず、紙又は高分子のウェブのスリッティング、孔あけ、
切断のような多くの用途に対して理想的なことである。
【0032】以下、好ましい態様を項分け記載する。 〔1〕Zrと、Oと、そしてMg、Ca、Y、Sc、C
e及び希土類元素からなる群より選ばれた少なくとも一
種の元素とを含む元素組成を有する、コア部とケーシン
グ部とを含む焼結されたセラミック物品であって、前記
ケーシング部は前記コア部の外部にあり且つ前記コア部
と連続しており、前記コア部は、実質的に正方晶系のジ
ルコニア型結晶構造を有する焼結粒子を主要部とし、そ
して前記ケーシング部は、単斜晶系のジルコニア型結晶
構造とジルコン型結晶構造との混合物を有する焼結粒子
を主要部とするセラミック物品。 〔2〕前記コア部及び前記ケーシング部の前記粒子が、
焼結前に、約0.1〜約0.6μmの粒径及び約30〜
約60μmの凝集塊の大きさを有する、〔1〕項に記載
の焼結されたセラミック物品。 〔3〕前記セラミック物品の密度が6.05〜6.08
g/cm3 である、〔1〕項に記載の焼結されたセラミ
ック物品。 〔4〕前記ケーシング部の約75〜約90%が単斜晶系
ジルコニア型結晶構造であり且つ約5〜約20%がジル
コン型結晶構造である、〔1〕項に記載の焼結されたセ
ラミック物品。
【0033】〔5〕ジルコニウム酸化物を含む第一酸化
物と、MgO、CaO、Y2 3 、Sc2 3 、CeO
2 及び希土類酸化物並びにこれらの混合物からなる群よ
り選ばれた第二酸化物とを含む粒状合金を圧縮してブラ
ンクを形成する工程、並びに前記ブランクをスメクタイ
ト含有ゾルと接触させた状態で焼結する工程を含んでな
る、セラミック物品の製造方法。 〔6〕前記焼結工程を1300℃〜1600℃の温度で
行う、〔5〕項に記載の方法。 〔7〕前記焼結工程を1500℃の温度で行う、〔5〕
項に記載の方法。 〔8〕前記ゾルが0.1〜30%の濃度のスメクタイト
を有する、〔5〕項に記載の方法。
〔9〕前記スメクタイトが層状水和マグネシウムシリケ
ートを含む、〔5〕項に記載の方法。 〔10〕前記粒状合金が前記第一酸化物及び第二酸化物
の合計に対して2〜20モル%の濃度の第二酸化物を含
む、〔5〕項に記載の方法。
【0034】本発明を特定の好ましい実施態様を特に参
照しながら詳細に説明してきたが、本発明の精神及び範
囲内の改変、変更が可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の概略図である。
【図2】本発明の方法に有用なダイプレスの横断面図で
ある。
【図3】ダイプレスの金型及びダイの組立体の拡大横断
面図である。
【図4】本発明によるセラミック孔あけ機用パンチの拡
大概略図である。
【符号の説明】
10…金型ダイプレス 12…固定プラットフォーム 14…可動式プラットフォーム 16…支柱 18…金型とダイの組立体 20、22…プレート 24…ロッド 26、28…ダイセット 30…中央定盤 32…スペーサープレート 34…キャビティ 36…パンチ 38…孔あけ機 40…刃先 42…シャンク 44、46、48、50…圧縮面 100…ジルコニア粉末 102…第二酸化物粉末 104…ジルコニア合金粉末 106…未処理ブランク 108…セラミックス物品 110…硬化層 112…コア部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 トーマス ネルソン ブラントン アメリカ合衆国,ニューヨーク 14612, ロチェスター,コンスタンス ウェイ イ ースト 85 (72)発明者 シャマール クマール ゴーシュ アメリカ合衆国,ニューヨーク 14616, ロチェスター,クレイトン レーン 43

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Zrと、Oと、そしてMg、Ca、Y、
    Sc、Ce及び希土類元素からなる群より選ばれた少な
    くとも一種の元素とを含む元素組成を有する、コア部と
    ケーシング部とを含む焼結されたセラミック物品であっ
    て、前記ケーシング部は前記コア部の外部にあり且つ前
    記コア部と連続しており、前記コア部は、実質的に正方
    晶系のジルコニア型結晶構造を有する焼結粒子を主要部
    とし、そして前記ケーシング部は、単斜晶系のジルコニ
    ア型結晶構造とジルコン型結晶構造との混合物を有する
    焼結粒子を主要部とするセラミック物品。
  2. 【請求項2】 ジルコニウム酸化物を含む第一酸化物
    と、MgO、CaO、Y2 3 、Sc2 3 、CeO2
    及び希土類酸化物並びにこれらの混合物からなる群より
    選ばれた第二酸化物とを含む粒状合金を圧縮してブラン
    クを形成する工程、並びに前記ブランクをスメクタイト
    含有ゾルと接触させた状態で焼結する工程を含んでな
    る、セラミック物品の製造方法。
JP10284172A 1997-10-07 1998-10-06 セラミック物品及びその製造方法 Pending JPH11199321A (ja)

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