JPH11204854A - 磁気装置および磁性体素子 - Google Patents

磁気装置および磁性体素子

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JPH11204854A
JPH11204854A JP10058244A JP5824498A JPH11204854A JP H11204854 A JPH11204854 A JP H11204854A JP 10058244 A JP10058244 A JP 10058244A JP 5824498 A JP5824498 A JP 5824498A JP H11204854 A JPH11204854 A JP H11204854A
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film
tunnel junction
mos transistor
electrode
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Abstract

(57)【要約】 【課題】読出し速度の速い磁気メモリを実現すること。 【解決手段】メモリセルとして、MOSトランジスタ2
と、このMOSトランジスタ2のゲートに接続された磁
性体トンネル接合素子1とから構成されたものを用い
る。そして、MOSトランジスタ2のゲートを磁性体ト
ンネル接合素子1を介して定電圧源に接続する。また、
ゲート抵抗4の一端をゲートに接続し、他端を接地す
る。また、MOSトランジスタ2のソースをゲート抵抗
4よりも低抵抗の比較抵抗3に直列に接続し、MOSト
ランジスタ2のドレインを接地する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッドや磁気
メモリなどの磁気装置および電極として磁性体電極を用
いた磁性体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の高密度化および高速化は、磁
気記録媒体の改良と並んで、磁気記録装置の進歩、なか
でも磁気記録の書込みおよび読出しに用いられる磁気ヘ
ッドの進歩に負うところが多い。
【0003】近年、磁気記録媒体の小型や大容量化が進
んでいる。このような小型や大容量化に伴って、磁気記
録媒体と読み出し用磁気ヘッドとの相対速度が小さくな
り、磁束密度の時間変化率(出力)が小さくなってきて
いる。
【0004】その場合でも、大きな出力が取り出せる新
しいタイプの読出し用磁気へッドとして、巨大磁気抵抗
効果ヘッド(GMRヘッド)の開発が進められている。
GMRヘッドは、従来のMRヘッドよりも、磁気抵抗比
(MR比)が大きいという優れた特性を持っている。
【0005】このようなGMRヘッドとしては、例え
ば、図26に示すように、ベース層が磁性積層膜で構成
され、ベース層への電子の注入がトンネル接合を介して
行なわれるトンネル注入型のホットエレクトロン・トラ
ンジスタを用いたものが急速に注目を集めている。
【0006】また、さらに桁違いに大きい(数100
%)のMR比を示すGMRヘッドとしては、例えば、図
27に示すように、ベースが磁性積層膜で構成され、ベ
ース層への電子の注入がショットキー接合を介して行な
われるショットキー注入型のホットエレクトロン・トラ
ンジスタを用いたものも報告されている。
【0007】GMRヘッド等の磁気ヘッドにより磁気記
録媒体から読み出された情報は、コンピュータ内の半導
体メモリ(例えばDRAM、SRAM)に読み込まれた
後に利用される。
【0008】半導体メモリは多くの優れた特性を持って
いるが、情報保持のために大量の電力を消費するという
大きな欠点も持っている。近年、情報保持のための電力
が不要な半導体メモリとして、フラッシュメモリやFR
AMなどの開発が進められているが、いずれも書き換え
回数が限定されるという大きな欠点を持っている。
【0009】一方、実質的に書き換えが無限回可能な磁
気メモリ(MRAM)の開発も始められている。その実
現のためには大きなMR比を示す材料や素子の開発が必
要である。
【0010】スピンバルク膜(積層数が2の磁性積層
膜)よりも大きなMR比を示す素子としては、磁性体ト
ンネル接合素子や、上述したベース層が磁性積層膜で構
成されたホットエレクトロン・トランジスタが注目され
ている。
【0011】また、近年、磁性体トンネル接合素子また
はホットエレクトロン・トランジスタを単独で用いて磁
気ヘッドや磁気メモリを形成する他に、それらとMOS
型トランジスタとを組み合わせて磁気ヘッドや磁気メモ
リを形成する試みが始められている。その理由は、磁性
体トンネル接合素子やホットエレクトロン・トランジス
タなどの大きなMR比を示す素子(GMR素子)は電力
利得を持たないからである。
【0012】しかしながら、GMR素子とMOS型トラ
ンジスタとを組み合わせて構成した磁気ヘッドや磁気メ
モリには以下のような問題がある。この問題を磁気メモ
リを例にあげて具体的に説明する。
【0013】図28に、従来の磁性体トンネル接合素子
とMOSトランジスタとからなる磁気メモリセルを示
す。この磁気メモリセルは、通常のDRAMセルのキャ
パシタを磁性体トンネル接合素子で置き換えた構成にな
っている。
【0014】図中、81は磁性体トンネル接合素子、8
2はMOSトランジスタ、83は比較抵抗、BLはビッ
ト線、WLはワード線、C1はビット線による浮遊容量
を示している。また、ワード線WLは図示しない定電圧
源に接続されている。この定電圧源のレベルは、MOS
トランジスタ82のしきい値電圧よりも高い値が選ばれ
ている。
【0015】情報(1,0)の書込みは、図示しない磁
化手段により、磁性体トンネル接合素子81の磁化を平
行または反平行にすることにより行なう。
【0016】また、情報の読出しは、磁性体トンネル接
合素子81の磁気抵抗が磁化が平行か反平行によって変
わることを利用する。磁化が反平行のときのほうが磁気
抵抗は高くなる。比較抵抗83の値には磁化が反平行の
ときの磁気抵抗の値が選ばれている。
【0017】したがって、磁化が反平行の場合には磁気
抵抗は大きく、センスアンプで検出される比較抵抗83
による電圧降下は大きいものとなる。逆に磁化が平行の
場合には磁気抵抗は小さく、センスアンプで検出される
比較抵抗83による電圧降下は小いものとなる。このよ
うにしてセンスアンプで検出される比較抵抗83による
電圧降下の大小で情報の読出しを行なうことが可能とな
る。
【0018】ところで、ビット線BLによる浮遊容量C
1は300fF程度である。このため、CR時定数を小
さくして、nsec以下程度の時間で読出しを行なうた
めには、比較抵抗83の値は約3kΩ以下でなければな
らない。
【0019】この抵抗値は、磁性体トンネル接合素子8
1のトンネル接合の大きさを1μm×1μmとすると、
単位面積当たり30μΩcm2 に相当し、極めて小さい
値である。
【0020】ここで、トンネル絶縁膜を薄くすることに
より、単位面積当たり30μΩcm2 のトンネル接合を
形成することは可能であるが、以下の問題がある。
【0021】センスアンプによる読出しには数100m
Vの電圧変化が必要なので、トンネル接合は数100m
Vの耐圧を持たなければならない。
【0022】しかし、単位面積当たり30μΩcm2
トンネル接合は、トンネル絶縁膜が薄いので、絶縁破壊
が発生し易く、数100mVの耐圧を持たせることは困
難である。
【0023】したがって、従来の磁気メモリは、読出し
速度を速くすることが困難であるという問題があった。
このような問題は接合サイズがサブミクロンになるとさ
らに顕著になる。なお、ワード線による浮遊容量(〜3
00fF)もは存在するが、ワード線には比較抵抗83
のような大きな抵抗が接続されていないので問題はな
い。
【0024】ところで、従来の磁性体トンネル接合素子
は、数10mV以下の低電圧領域では30%を越える大
きなMR比を示すが、数100mV以上の実用電圧領域
ではトンネル電子のスピンフリップ現象によって、MR
比が数%以下に低下してしまうという問題を抱えてい
た。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、磁性体ト
ンネル接合素子とMOSトランジスタとからなる従来の
磁気メモリセルを用いた磁気メモリでは、ビット線に接
続された比較抵抗の値として、磁化が反平行のときの磁
性体トンネル接合素子の抵抗値が選ばれていた。
【0026】読出し速度を速くするためには、比較抵抗
の値を小さくしてCR時定数を小さくする必要がある。
そのためには、磁性体トンネル接合素子のトンネル絶縁
膜を薄くする必要がある。
【0027】しかしながら、トンネル絶縁膜を薄くする
と、絶縁破壊が発生し易くなり、センスアンプによる読
出しに必要な電圧変化に耐えることができくなる。この
ため、従来の磁気メモリは、読出し速度を速くすること
が困難であるという問題があった。
【0028】また、従来の磁性体トンネル接合素子は、
数100mV以上の実用電圧領域ではトンネル電子のス
ピンフリップ現象によって、十分なMR比が得られない
という問題があった。
【0029】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、その目的とするところは、読出し速度の速い、G
MR素子を用いた磁気装置を提供することにある。
【0030】また、本発明の他の目的は、実用電圧領域
における電子のスピンフリップ現象に起因する特性劣化
を抑制できる磁性体素子を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】[構成]上記目的を達成
するために、本発明に係る磁気装置(磁気ヘッド)は、
MOSトランジスタと、このMOSトランジスタのゲー
トに接続され、磁気ヘッド本体としてのGMR素子とを
備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0032】また、本発明に係る他の磁気装置(磁気メ
モリ)は、MOSトランジスタと、このMOSトランジ
スタのゲートに接続され、メモリセル本体としてのGM
R素子とからなるメモリセルがマトリクス状に配列形成
されていることを特徴とする(請求項2)ここで、上記
磁気メモリに、GMR素子の磁化の方向を制御する磁化
制御手段を追加することにより、RAMを実現すること
ができる(請求項3)。
【0033】ここで、MOSトランジスタのゲートはG
MR素子を介して定電圧源に接続され、かつ第1の抵抗
を介して接地され、前記MOSトランジスタのソースは
第2の抵抗に直列に接続され、MOSトランジスタのド
レインは接地されていることが好ましい(請求項4)。
【0034】また、GMR素子は、磁性トンネル接合素
子であるか、またはベース層が磁性積層膜で形成された
ホットエレクトロン・トランジスタであることが好まし
い(請求項5)。
【0035】この場合、磁性トンネル接合素子の電極
は、磁性膜、または磁性膜と絶縁膜との積層膜で形成さ
れていることが好ましい(請求項6)。ここで、磁性膜
は膜厚が5nm以下の磁性体超薄膜であることが好まし
い。
【0036】また、ホットエレクトロン・トランジスタ
のエミッタ層は、Nbがドープされたチタン酸ストロン
チウム膜で形成されていることが好ましい(請求項
7)。
【0037】また、本発明(請求項8)に係る磁性体素
子は、磁性体超薄膜を含む磁性体電極と、この磁性体電
極から、電子に対してのポテンシャル障壁を介して、ス
ピン偏極した電子電流が注入される半導体領域または常
磁性金属領域からなる被注入領域とを備えていることを
特徴とする。
【0038】ここで、磁性体超薄膜の膜厚は、0.5n
m以上5nm以下(請求項9)が好ましく、0.6nm
以上2nm以下がより好ましい。
【0039】また、被注入領域が半導体領域の場合に
は、ポテンシャル障壁として、トンネル接合、ショット
キー接合またはMIS接合を用いると良い。(請求項1
0)また、被注入領域が常磁性金属領域の場合には、ポ
テンシャル障壁として、トンネル接合を用いると良い。
(請求項11)また、磁性体電極としては、磁性体超薄
膜と、電子に対してのバリア膜との積層膜からなるもの
を用いても良い(請求項12)。バリア膜としては、バ
リアとして働くものであればその膜種には制限はなく、
例えば絶縁膜、半導体膜、半金属膜、異種金属膜を用い
ることができる。
【0040】[作用]本発明(請求項1〜7)によれ
ば、遅延時間の原因となるCR時定数は、GMR素子の
抵抗とゲート容量とにより決定される。このゲート容量
はビット線などの配線容量に比べて十分に小さい。
【0041】したがって、本発明(請求項1〜7)によ
れば、遅延時間の原因となるCR時定数が従来のそれよ
りも十分に小さくなるので、読出し速度の速い磁気装置
を実現できるようになる。
【0042】また、本発明者の研究によれば、磁性体超
薄膜(膜厚:0.5〜5nm)には以下のような特徴が
あることが分かった。すなわち、磁性体超薄膜を用いて
トンネル結合やショットキー結合やMIS接合などの電
子に対してのポテンシャル障壁を形成すると、磁性体超
薄膜中のs電子は離散的なエネルギー準位に量子化され
る。このとき、そのエネルギー準位はアップスピン電子
とダウンスピン電子で異なり、しかもそのエネルギー差
は1eV程度という極めて大きい値にできることが分か
った。
【0043】このため、磁性体超薄膜に電圧を印加し、
この磁性体超薄膜から、ポテンシャル障壁を介して、半
導体領域または常磁性体領域の被注入領域に電子を注入
する場合には、磁性体超薄膜に数mV以上の実用電圧領
域の電圧を印加しても、電子のスピンが揃った電子群、
つまりスピン偏極した電子電流を被注入領域に注入する
ことができる。
【0044】したがって、このような知見に基づいた本
発明(請求項8〜12)によれば、実用電圧領域におけ
る電子のスピンフリップ現象に起因する特性劣化を抑制
できる磁性体素子を実現できるようになる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態(以下、実施形態という)を説明する。
【0046】(第1の実施形態)図1に、本発明の第1
の実施形態に係る磁性体トンネル接合素子とMOSトラ
ンジスタとからなる磁気メモリセルを示す。
【0047】図中、1は磁性体トンネル接合素子、2は
MOSトランジスタ、3は比較抵抗、4はゲート電圧発
生用の抵抗(ゲート抵抗)を示している。また、BLは
ビット線、WLはワード線、C1はビット線による浮遊
容量、C2はMOSトランジスタ2の入力キャパシタン
スを示している。
【0048】ワード線WLは図示しない定電圧源に接続
され、この定電圧源のレベルは、MOSトランジスタ2
のしきい値電圧よりも高い値が選ばれている。また、ゲ
ート抵抗4の値には磁性体トンネル接合素子1の磁化が
平行のときの磁気抵抗の値が選ばれている。磁性体トン
ネル接合素子1の磁化は図示しない磁化手段(例えば配
線に電流を流して磁場を発生させるもの)により行なわ
れる。
【0049】本実施形態の磁気メモリセルが、図16に
示した従来の磁気メモリセルと主として異なる点は、磁
性体トンネル接合素子1の一端がMOSトランジスタ2
のゲートに接続され、他端がワード線WLに接続されて
いることにある。
【0050】MOSトランジスタ2の入力キャパシタン
スC2は1fF程度なので、磁化が平行のときの磁性体
トンネル接合素子1の磁気抵抗が1MΩ程度であって
も、入力キャパシタンスC2と磁性体トンネル接合素子
1との時定数で決まる情報の読出しの遅延時問はnse
c程度となる。
【0051】一方、比較抵抗3は、従来の比較抵抗83
のように磁性体トンネル接合素子81と接続していない
ので、MOSトランジスタ2のオン抵抗より大きければ
任意に小さくできる。このため、浮遊容量C1の値が3
00fFであっても、浮遊容量C1と比較抵抗3との時
定数で決まる情報の読出しの遅延時間はnsec程度と
なる。
【0052】かくして本実施形態によれば、情報の読出
しの遅延時間をnsec程度に抑制できるので、高速な
情報の読出しが可能なGMR素子を用いた磁気メモリセ
ルを実現できるようになる。また、このような磁気メモ
リセルをマトリクス状に配列形成することにより、ns
ec程度の時間で情報を読み出せる高速の磁気メモリ装
置(RAM)を実現できるようになる。なお、ROMの
場合には磁化手段は不要である。
【0053】ところで、現在報告されている磁性体トン
ネル接合素子のMR比は室温で20%程度であるが、M
OSトランジスタのしきい値電圧や利得にはばらつきが
存在するので、メモリセルの情報内容を正しく判別する
ためには、MR比の大きいGMR素子を用いることが望
ましい。
【0054】MR比が大きなGMR素子として、近年、
LaSrMnO3 などの酸化物磁性体からなる磁性体電
極を用いた磁性体トンネル接合素子が注目されている。
これらの酸化物磁性体中では伝導電子がほぼ100%ス
ピン分極しているため大きなMR比が得られる。
【0055】しかし、この種の磁性体トンネル接合素子
は、低温でしか動作しないこと、磁化反転のために大き
な磁場が必要であることなどの理由のために実用化が懸
念されている。
【0056】このような状況のなか発明者等の研究によ
れば、磁性体電極として、数nm以下の磁性体超薄膜、
または磁性体超薄膜と絶縁膜との積層膜を用いることに
よって、MR比が増大することを見出した。以下にその
原理について述べる。
【0057】Fe、Co,Niなどの強磁性金属中で
は、図2に示すように、局在性の強いdバンドと自由電
子に近いsバンドの電子が共存している。図2から分か
るように、dバンドの電子は100%に近いスピン分極
をしているが、sバンドの電子の分極率は低い。
【0058】これから、強磁性金属からなる磁性体電極
を用いた磁性トンネル接合素子のMR比が20%程度と
小さい理由は、分極率の小さいs電子のトンネル電流へ
の寄与が大きいためと考えられている。したがって、何
らかの方法でs電子のトンネル電流への寄与を減少させ
ることにより、MR比を増大させることができると考え
られる。
【0059】ところで、厚さ数nmの超薄膜中では、よ
く知られているように、膜厚方向(z方向)の電子の運
動が量子化され、そのエネルギーは、
【数1】
【0060】となり、状態密度は図3に示すように階段
状になる。なお、式(1)において、lは膜厚をしめし
ている。一方、トンネル電流の角度依存性
【数2】
【0061】を考慮すると、絶縁膜をトンネルする電子
の波数ベクトルは図4に示すようにトンネル接合面にほ
ぼ垂直(θc 〜10゜)であり、図3の状態のうち斜線
を施した部分の電子のみがトンネル電流に寄与すること
が分かる。なお、式(2)において、sはトンネル障壁
の厚さを示している。
【0062】ここで、斜線を施した部分のエネルギー幅
は約100meVであり、l=4nmの場合、フェルミ
エネルギーEF を5eV程度とすると、フェルミエネル
ギーEF 近くでの斜線を施した部分のエネルギー間隔は
約1.0eVと大きい。すなわち、磁性体超薄膜中のs
電子はトンネル接合においてあたかも絶縁膜中の電子の
ように振る舞い、トンネル電流には寄与しない。
【0063】なお、ここでは、磁性体超薄膜の膜厚を4
nmとしたが、一般には5nm以下とすれば、トンネル
電流を少なくできる。要はフェルミエネルギーEF 近く
での斜線を施した部分のエネルギー間隔が大きくなり、
s電子がトンネル電流に寄与しなくなる薄い厚さを選べ
ば良い。
【0064】しかしながら、磁性体超薄膜のみを電極に
用いるとシート抵抗が増大してしまうので、図5に示す
ように、磁性体電極を磁性体超薄膜8と十分な厚さをも
った導電性のバックアップ膜6とで構成することが好ま
しい。
【0065】その際、磁性体超薄膜8の2次元性(2D
EG)を損なわないためには、磁性体超薄膜8とバック
アップ膜6との間に絶縁物からなるバリア膜7を設ける
ことが必要になるが、そのバリア膜7の厚さはトンネル
絶縁膜のそれよりも十分に薄くなければならない。な
お、図中、5はSi基板を示している。
【0066】また、これまでの説明から分かるように、
磁性体超薄膜を一層だけでなく、図6に示すように、磁
性体超薄膜8の積層膜を用いることも可能である。その
場合にもバリア膜7の厚さはトンネル絶縁膜のそれより
も十分薄いことが必要である。
【0067】磁性体トンネル接合素子1としては、例え
ば図7に示すように、Co/AlOx/Coトンネル接
合を有するものがあげられる。
【0068】これを製造工程に従って説明すると、ま
ず、Si(100)基板10の表面に厚さ5nmのSi
2 膜11を熱酸化法により形成する。
【0069】次にSiO2 膜11上に下部電極としての
厚さ50nm、幅0.2mmのCo膜12を真空蒸着法
により形成する。ここで、真空蒸着の際の真空度、基板
温度はそれぞれ1×10-8torr、77Kに設定す
る。さらに、500Oeの外部磁場を印加し、磁気容易
軸が一方向に揃うようにする。
【0070】次にCo膜12上に厚さ1.2nmのAl
膜を真空蒸着法により形成した後、基板温度を室温に戻
し、続いて酸素雰囲気中でのグロー放電により上記A1
膜を酸化し、Alx Oからなるトンネル絶縁膜13を形
成する。真空蒸着の際の真空度、基板温度は前と同じで
ある。
【0071】次に再び基板温度を77Kに設定し、トン
ネル絶縁膜13上に上部電極としての厚さ4nm、幅
0.2nmのCo超薄膜14を真空蒸着法により形成す
る。真空蒸着の際の真空度は前と同じである。
【0072】次に基板温度を室温に戻した後、Co超薄
膜14の表面を1×10-3torrの酸素雰囲気中に1
分間曝すことにより、Co超薄膜14の表面にバリア膜
15を形成する。
【0073】最後に、バリア膜15上にAuからなる厚
さ50nmのバックアップ膜16を形成する。
【0074】このようにして作成された磁性体トンネル
接合素子の磁気抵抗効果を測定してみた。この測定は、
交流ブリッジを用い、トンネル接合面内に外部磁場を印
加して行なった。
【0075】図8に、その測定結果を示す。磁化曲線を
反映した磁気抵抗特性が見られ、MR比は約26%であ
る。また、飽和磁場の下での接合抵抗の絶対値は約20
Ωであった。
【0076】図9に、他のCo/AlOx/Coトンネ
ル接合からなる磁性体トンネル接合素子の断面図を示
す。なお、図7の磁性体トンネル接合素子と対応する部
分には図7と同一符号を付してあり、詳細な説明は省略
する。
【0077】図7の磁性体トンネル接合素子と異なる点
は、上部電極だけではなく、下部電極にもCo超薄膜1
4を用い、さらに下部電極側にもバックアップ膜17お
よびバリア膜18を形成したことにある。バックアップ
膜17としては、厚さ50nmのCu膜を用いている。
このようにして下部電極側にもトンネル接合が形成され
る。
【0078】バックアップ膜17であるCu膜は基板温
度を77Kにして真空蒸着法により形成し、バリア膜1
8はバックアップ膜17の形成後に基板温度を室温に戻
して、バックアップ膜17を1×10-3torrの酸素
雰囲気中に1分晒すことにより形成する。その他の膜の
形成方法は図7の素子の場合と同じである。
【0079】図7の磁性体トンネル接合素子の場合と同
様な方法で本素子の磁気抵抗効果を測定したところ、飽
和磁場下の接合抵抗は22Ωであったが、MR比は35
%に増大していた。
【0080】また、比較例として、図7の磁性体トンネ
ル接合素子において、上部電極である厚さ4nmのCo
超薄膜を厚さ50nmのCo膜に置き換えた磁性体トン
ネル接合素子を形成した。その形成は図7の磁性体トン
ネル接合素子のそれに準じる。
【0081】図7の磁性体トンネル接合素子と同様な方
法で本素子の磁気抵抗効果を測定したところ、飽和磁場
下の接合抵抗は18Ωであったが、MR比は15%であ
り、図7、図8の素子のMR比よりも小さかった。
【0082】(第2の実施形態)図10に、本発明の第
2の実施形態に係る磁気メモリセルを示す。なお、図1
の磁気メモリセルと対応する部分には図1と同一符号を
付してあり、詳細な説明は省略する。
【0083】本実施形態は、GMR素子としては、ホッ
トエレクトロン・トランジスタを用いた例である。ホッ
トエレクトロン・トランジスタは、磁性体トンネル接合
素子よりも大きなMR比を示すGMR素子である。ホッ
トエレクトロン・トランジスタのMR比は200%を越
える。したがって、メモリセルの情報を正しく読出すこ
とがより容易になり、読取りエラーを少なくできる。
【0084】しかし、ホットエレクトロン・トランジス
タの電流利得は小さく、ベース接地の場合、コレクタ電
流がエミッタ電流より1桁以上減少してしまう。
【0085】このため、ns程度の高速動作をさせるた
めには、磁性体トンネル接合素子の場合と同様に、図1
0に示すように、ホットエレクトロン・トランジスタ9
(のコレクタ)はMOSトランジスタ2のゲートに接続
することが好ましい。
【0086】ところで、ベース接地での電流利得は高々
0.1程度と推定されるので、高速動作のためにはエミ
ッタ電流を大きくすること好ましい。
【0087】大きなエミッタ電流を流すには、図26の
トンネル注入型のホットエレクトロン・トランジスタよ
りも、図27のショットキー注入型のホットエレクトロ
ン・トランジスタのほうが好ましい。
【0088】図26のホットエレクトロン・トランジス
タを形成する場合、MOS型トランジスタと同一基板上
に形成するので、コレクタ層の材料にはSiを用いるこ
とになる。コレクタ層としてはSi層で良いが、エミッ
タ層としては以下の条件を満足する半導体層であること
が好ましい。すなわち、バンドギャップが広く、かつ成
膜温度が低い半導体層が好ましい。
【0089】成膜温度が低いことが好ましい理由は、エ
ミッタ層はベース層の後に形成するため、成膜温度が高
いと、ベース層である磁性積層膜の特性が劣化する恐れ
があるからである。
【0090】また、バンドギャップが広いことが好まし
い理由は、エネルギーの高い電子を用いることにより、
ベース/コレクタ界面の量子力学的反射を低減できるか
らである。
【0091】このような2つの条件を満たす半導体層と
しては、Nbがドープされたn型のチタン酸ストロンチ
ュウム(STO)層(Nbドープn型STO層)が最も
適している。
【0092】図11に、エミッタ層としてNbドープn
型STO層を用いた場合のエミッタ電流(IE )のコレ
クタ・ベース間電圧(VEB)の依存性を示す。
【0093】図から、0.9V程度の電圧をコレクタ・
ベース間に印加することにより、103 A/cm2 程度
のエミッタ電流が流れることが分かる。この場合、電流
利得が0.1であるとすると読出し時間は0.1nsと
なり、また、電流利得が0.01であっても読出し時間
1nsとなる。
【0094】(第3の実施形態)図12に、本発明の第
3の実施形態に係る磁気ヘッドを示す。なお、図1の磁
気メモリセルと対応する部分には図1と同一符号を付し
てあり、詳細な説明は省略する。
【0095】本実施形態の磁気ヘッドは、図1の磁気メ
モリセルからビット線BL、ワード線WL、磁化手段を
取り除いた構成になっている。
【0096】磁性体トンネル接合素子1の磁気抵抗は、
磁気記録媒体上を走査する際に変化し、これに対応した
電圧変化をセンスアンプで検出することにより、磁気記
録媒体に書き込まれた情報を読み出すことができる。
【0097】本実施形態の磁気ヘッドも、第1の実施形
態の磁気メモリの場合と同様の理由により、高速な読出
しが可能となる。
【0098】(第4の実施形態)図13に、本発明の第
4の実施形態に係る磁気ヘッドを示す。なお、図10の
磁気メモリセルと対応する部分には図10と同一符号を
付してあり、詳細な説明は省略する。
【0099】本実施形態の磁気ヘッドは、図10の磁気
メモリセルからビット線BL、ワード線WL、磁化手段
を取り除いた構成になっている。
【0100】ホットエレクトロン・トランジスタ9の磁
気抵抗は、磁気記録媒体上を走査する際に変化し、これ
に対応した電圧変化をセンスアンプで検出することによ
り、磁気記録媒体に書き込まれた情報を読出すことがで
きる。
【0101】本実施形態の磁気ヘッドも、第2の実施形
態の磁気メモリの場合と同様の理由により、高速な読出
しが可能となる。また、磁性体トンネル接合素子よりも
大きなMR比が得られるので、読取りエラーを少なくで
きる。
【0102】(第5の実施形態)ところで、本発明者の
研究によれば、磁性体電極として、数nm以下の磁性体
超薄膜、または磁性体超薄膜と異種金属膜等のバリア膜
との積層膜を用いることによって、MR比が増大するこ
とを見出した。
【0103】先に説明したように、Fe、Co,Niな
どの強磁性金属中では、局在性の強いdバンドと自由電
子に近いsバンドの電子が共存しているが、トンネル電
流は主としてs電子によって担われている。
【0104】磁性体トンネル接合のMR比が実用電圧領
域で著しく低下する原因は、電子のスピンが反転するこ
と、つまり電子のスピンフリップ現象によるものと考え
られる。したがって、実用電圧領域で大きなMR比を示
すトンネル接合を得るためには、何らかの方法でこのス
ピンフリップ現象を抑制することが必要である。
【0105】ここで、図3に示したように、磁性体超薄
膜中のs電子はトンネル接合において離散的なエネルギ
ー準位に量子化されるが、本発明者は、そのエネルギー
準位がアップスピン電子とダウンスピン電子とで異なっ
ていることを今回初めて見出した。
【0106】例えば、磁性体超薄膜として厚さ1nmの
Fe超薄膜を用いた場合、アップスピン電子とダウンス
ピン電子とのエネルギー準位の差は1eV程度という極
めて大きな値となる。
【0107】このように磁性体超薄膜からなる電極を用
いた磁性体トンネル接合では、トンネル電子がスピン反
転するためには、1eV程度のエネルギーが関与した非
弾性散乱を受けなければならないため、スピンフリップ
現象の起こる確率は著しく低くなる。
【0108】このようなスピンフリップ現象の発生確率
の低減化により、実用電圧領域で10%を越える大きな
MR比を示す磁性体トンネル接合素子を実現することが
可能となる。
【0109】なお、磁性体超薄膜のみを電極に用いると
シート抵抗が増大してしまうので、図5に示したよう
に、磁性体電極を磁性体超薄膜8と十分な厚さをもった
導電性のバックアップ膜6とで構成することが好まし
い。
【0110】この場合も、先に説明したように、磁性体
超薄膜8の2次元性(2DEG)を損なわないために
は、薄いバリア膜7を設けると良い。また、図6に示し
たように、磁性体超薄膜8の積層膜を用いることも可能
であり、その場合にも薄いバリア膜7を設けると良い。
【0111】以下、本実施形態のGMR素子(トンネル
注入型のホットエレクトロン・トランジスタ)について
具体的に説明する。
【0112】本GMR素子は、図14に示すように、n
型Siからなるコレクタ21(半導体領域)と、Au膜
(膜厚:1.5nm)/Fe膜(膜厚:1.5nm)/
Al膜(膜厚:10nm)の積層膜からなるベース22
と、AlOx 膜(トンネル絶縁膜)/Fe膜の積層膜か
らなるエミッタ23(磁性体電極)と、Au膜(膜厚:
100nm)からなるバックアップ膜(不図示)が順次
接合した構成になっている。
【0113】このGMR素子のMR比を調べたところ、
その大きさはエミッタ23のFe膜の膜厚に大きく依存
することが分かった。本発明者は、エミッタ23のFe
膜の膜厚dが異なる3種類のGMR素子(d=0.8n
m、1nm、2nm)を作成し、そのMR比のエミッタ
電圧依存性を調べた。
【0114】図15にその結果を示す。測定は温度77
Kの環境で行った。また、図14に示すように、エミッ
タ23にはコレクタ21に対して負のエミッタ電圧を印
加した。図15から、同じエミッタ電圧でも、エミッタ
23のFe膜の膜厚dが薄いほどMR比は大きいことが
分かる。
【0115】また、本発明者は、MR比のエミッタ23
のFe膜の膜厚依存性を調べた。図16にその結果を示
す。なお、エミッタ電圧は1Vである。また、図には、
これまでに報告されているベース中の伝導パラメータを
利用してMR比から求めたスピン偏極度も示してある。
【0116】図16から、エミッタ(Fe)膜厚が5n
mでもMR比は得られるが、2nmを下ると、MR比は
急激に増加し、例えば0.8nmでは2倍(100%)
を越え、そして0.6nmでMR比が急激に低下し、
0.5nmを下るとMR比が得られなくなる。
【0117】また、図から、3nmを越えるとスピン偏
極度は0.05(5%)未満になり、一方、2nmを下
るとスピン偏極度は急激に増加し、例えば0.8nmで
は0.4(40%)を越えることが分かる。
【0118】0.8nmにおける結果は、これまでに報
告されている数mVの低電圧領域で測定されたトンネル
電子のスピン偏極度にほぼ等しい。すなわち、エミッタ
23のFe膜の膜厚を1nm以下にすると、1V程度の
高い電圧を印加しても電子はほとんどスピンフリップせ
ずにトンネルリングするため、スピン偏極した電子電流
を流すことができる。
【0119】以上の結果から、エミッタ(Fe)膜厚
は、0.5nm以上5nm以下が好ましく、0.6nm
以上2nm以下がより好ましいかくして本実施形態によ
れば、エミッタ23のFe膜を薄膜化することによっ
て、1V程度の高い電圧、つまり実用電圧領域の電圧を
エミッタ23に印加しても、十分に大きなMR比を示す
GMR素子を実現できるようになる。
【0120】(第6の実施形態)図17は、本発明の第
6の実施形態に係る磁性体トンネル接合素子を示す断面
図である。
【0121】これを製造工程に従って説明すると、ま
ず、Si(100)基板31(半導体領域)上に厚さ5
nmのSiO2 膜32を形成する。次に基板温度を77
Kに設定し、SiO2 膜32上にCuからなるバックア
ップ膜33を形成する。この後、室温に戻して1×11
-6Torrの酸素雰囲気中での1分間の酸化により、
バックアップ膜33の表面にバリア膜34を形成する。
【0122】次にバリア膜34上に下部電極としての厚
さ0.8nmのCo超薄膜35を真空蒸着により形成す
る。このとき、500eの外部磁場を印加し、磁気容易
軸が一方向に揃うようにする。また、真空蒸着の際の真
空度、基板温度はそれぞれ1×10-8torr、77K
である。
【0123】次にCu超薄膜35上に厚さ1.2nmの
Al膜(不図示)を形成した後、基板温度を室温に戻
し、続いて酸素雰囲気中でのグロー放電により上記A1
膜を酸化し、Alx Oからなるトンネル絶縁膜36を形
成する。真空蒸着の際の真空度、基板温度は前と同じで
ある。
【0124】次に再び基板温度を77Kに設定し、トン
ネル絶縁膜36上に上部電極としての厚さ1nmのCo
超薄膜37を真空蒸着法により形成する。真空蒸着の際
の真空度、基板温度は前と同じである。
【0125】次に基板温度を室温に戻した後、Co超薄
膜37の表面を1×10-6torrの酸素雰囲気中に1
分間曝すことにより、Co超薄膜37の表面にバリア膜
38を形成する。
【0126】最後に、バリア膜38上にAuからなる厚
さ50nmのバックアップ膜39を形成する。
【0127】このようにして作成された磁性体トンネル
接合素子の磁気抵抗効果を測定してみた。この測定は、
交流ブリッジを用い、トンネル接合面内に外部磁場を印
加して行なった。
【0128】その結果、磁化曲線を反映した磁気抵抗特
性が見られ、MR比は約30%である。また、飽和磁場
の下での接合抵抗の絶対値は約20Ωであった。
【0129】また、比較例として、本実施形態の磁性体
トンネル接合素子の上部電極および下部電極35,37
を厚さ50nmのCo膜に置き換えたものを形成した。
その形成は本実施形態のそれに準じる。
【0130】同様な方法で比較例の磁気抵抗効果を評価
したところ、飽和磁場下の接合抵抗は18Ωであった
が、MR比は5%であり、本実施形態の磁性体トンネル
接合素子のMR比よりもはるかに小さかった。
【0131】(第7の実施形態)図18は、本発明の第
7の実施形態に係る磁性体素子を示す断面図である。
【0132】図中、41は半導体基板(半導体領域)を
示しており、この半導体基板41の一端側には磁性体超
薄膜からなる第1の磁性体電極42が設けられ、他端側
には磁性体超薄膜からなる第2の磁性体電極43が設け
られている。半導体基板としては、例えばSi基板、磁
性体超薄膜としては、例えばFe超薄膜を用いる。
【0133】半導体基板41と第1の磁性体電極42は
ショットキー接合を形成し、同様に半導体基板41と第
2の磁性体電極43もショットキー接合を形成する。ま
た、第1および第2の磁性体電極42,43の膜厚は、
0.5nm以上(好ましくは0.6以上)5nm以下
(好ましくは2nm以下)である。
【0134】このように構成された磁性体素子によれ
ば、第1の磁性体電極42に第2の磁性体電極43に対
して負の電圧を印加すると、スピンフリップ現象を招か
ずに、第1の磁性体電極42からショットキー接合を介
して半導体基板41に電子を注入できる。
【0135】したがって、本実施形態によれば、第1の
磁性体電極42から第2の磁性体電極43に向かってス
ピン偏極した電子電流Ieを半導体基板41内に流すこ
とができるようになる。
【0136】図19に、本実施形態の変形例を示す。こ
れは上下方向に電子電流Ieを流す場合の構造を示して
いる。また、本実施形態では、磁性体電極42,43と
して磁性体超薄膜の単層膜を用いたが、例えば磁性体超
薄膜と電子に対してのバリア膜との積層膜を用いても良
い。バリア膜としては、バリアとして働くものであれば
その膜種には制限はなく、例えば絶縁膜、半導体膜、半
金属膜、異種金属膜を用いることができる。
【0137】(第8の実施形態)図20は、本発明の第
8の実施形態に係る磁性体素子を示す断面図である。な
お、図18の磁性体素子と対応する部分には図18と同
一符号を付してあり、詳細な説明は省略する(以下の他
の実施形態についても同様)。
【0138】本実施形態は、第1の磁性体電極(ソース
電極)42と第2の磁性体電極(ドレイン電極)43と
の間の半導体基板41の表面にゲート電極44を設け、
FETを構成したことにある。半導体基板41とゲート
電極44とはショットキー接合を形成する。
【0139】本実施形態によれば、スピン偏極した電子
電流Ieをゲート電圧で制御することができるので、ア
ップスピン電子とダウンスピン電子が混在した電子電流
を制御する場合に比べて、相互コンダクタンスgm の大
きなFETを実現できるようになる。
【0140】なお、半導体基板41上にゲート絶縁膜を
形成し、その上に第1の磁性体電極(ソース電極)4
2、第2の磁性体電極(ドレイン電極)43、ゲート電
極44を形成しても良い。
【0141】(第9の実施形態)図21は、本発明の第
9の実施形態に係る磁性体素子を示す断面図である。
【0142】本実施形態は本発明をLEDに適用した例
であり、第1の磁性体電極42からアンドープの半導体
基板41にスピン偏極した電子電流Ieを注入し、第2
の磁性体電極43から半導体基板41にスピン偏極した
正孔電流Ihを注入する。これにより、電子と正孔との
再結合が起こり、発光が生じる。
【0143】本実施形態によれば、スピン偏極した電子
電流Ieと正孔電流Ihとで再結合を起こすことができ
るので、アップスピン電子とダウンスピン電子が混在し
た電子電流と正孔電流とで再結合を起こす場合に比べ
て、発光に必要な電圧が低くて済む。
【0144】なお、図中、45をアンドープの半導体層
を示している。この半導体層45の印加電圧で再結合速
度を制御することができる。
【0145】(第10の実施形態)図22は、本発明の
第10の実施形態に係る磁性体素子を示す断面図であ
る。本実施形態も本発明をLEDに適用した例である。
【0146】本実施形態が第9の実施形態と異なる点
は、不純物ドープ半導体を用いてLEDを構成したこと
にある。第1の磁性体電極42はp型半導体層45pを
介してn型半導体基板41に接合している。また、アン
ドープの半導体層45の代わりに、p型半導体層45p
を用いている。本実施形態でも第9の実施形態と同様な
効果が得られる。
【0147】(第11の実施形態)図23は、本発明の
第11の実施形態に係る磁性体素子を示す断面図であ
る。本実施形態は本発明をレーザに適用した例である。
図中、46pはp型半導体層(半導体領域)、46iは
i型半導体層(半導体領域)、46nはn型半導体層
(半導体領域)を示している。
【0148】本実施形態によれば、スピン偏極した電子
電流Ieと正孔電流Ipとで反転分布を形成することが
できるので、アップスピン電子とダウンスピン電子が混
在した電子電流と正孔電流とで反転分布を形成する場合
に比べて、レーザ発振に必要な電圧(しきい値電圧)が
低くなる。
【0149】(第12の実施形態)図24は、本発明の
第12の実施形態に係る磁性体素子を示す断面図であ
る。本実施形態は本発明をスピン・トランジスタに適用
した例である。図中、47はトンネル絶縁膜、48は常
磁性体層(磁性体領域)を示している。常磁性体層48
は接地されている。
【0150】本実施形態によれば、第1の磁性体電極4
2からスピン偏極した電子電流Ieを常磁性体層48に
注入できるので、アップスピン電子とダウンスピン電子
が混在した電子電流を注入する場合に比べて、第2の磁
性体電極43と常磁性体層48との間により大きな電圧
差を発生させることができる。
【0151】(第13の実施形態)図25は、本発明の
第13の実施形態に係る磁性体素子を示す断面図であ
る。本実施形態は本発明をホットエレクトロン・トラン
ジスタに適用した例である。図中、49は強磁性体層、
50は半導体層(半導体領域)を示している。
【0152】本実施形態によれば、第1の磁性体電極4
2からスピン偏極した電子電流Ieをトンネル絶縁膜4
7を介して半導体層50に注入できるので、アップスピ
ン電子とダウンスピン電子が混在した電子電流を注入す
る場合に比べて、より大きなMR比が得られる。
【0153】
【発明の効果】以上詳述したように本発明(請求項1〜
7)によれば、遅延時間の原因となるCR時定数を小さ
くできるので、読出し速度の速い磁気装置を実現できる
ようになる。
【0154】また、本発明(請求項8〜12)によれ
ば、磁性体電極として磁性体超薄膜を用いることによ
り、実用電圧領域における電子のスピンフリップ現象に
起因する特性劣化を抑制できる磁性体素子を実現できる
ようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る磁性体トンネル
接合素子とMOSトランジスタとからなる磁気メモリセ
ルを示す図
【図2】磁性体の状態密度のスピン依存性を示す図
【図3】超薄膜の状態密度を示す図
【図4】絶縁膜をトンネルする電子の波数ベクトルを示
す図
【図5】磁性体電極を示す断面図
【図6】他の磁性体電極を示す断面図
【図7】磁性体トンネル接合素子を示す断面図
【図8】図7の磁性体トンネル接合素子の磁気抵抗効果
の測定結果を示す図
【図9】他の磁性体トンネル接合素子を示す断面図
【図10】本発明の第2の実施形態に係る磁気メモリセ
ルを示す図
【図11】エミッタ層としてNbドープn型STO層を
用いた場合のエミッタ電流のコレクタ・ベース間電圧の
依存性を示す図
【図12】本発明の第3の実施形態に係る磁気ヘッドを
示す図
【図13】本発明の第4の実施形態に係る磁気ヘッドを
示す図
【図14】本発明の第5の実施形態に係る磁性体素子を
示す断面図
【図15】MR比のエミッタ電圧依存性を示す図
【図16】MR比のエミッタ中のFe膜の膜厚依存性を
示す図
【図17】本発明の第6の実施形態に係る磁性体素子を
示す断面図
【図18】本発明の第7の実施形態に係る磁性体素子を
示す断面図
【図19】図7の磁性体素子の変形例を示す断面図
【図20】本発明の第8の実施形態に係る磁性体素子を
示す断面図
【図21】本発明の第9の実施形態に係る磁性体素子を
示す断面図
【図22】本発明の第10の実施形態に係る磁性体素子
を示す断面図
【図23】本発明の第11の実施形態に係る磁性体素子
を示す断面図
【図24】本発明の第12の実施形態に係る磁性体素子
を示す断面図
【図25】本発明の第13の実施形態に係る磁性体素子
を示す断面図
【図26】従来のトンネル注入型のホットエレクトロン
・トランジスタを示す図
【図27】従来のショットキー注入型のホットエレクト
ロン・トランジスタを示す図
【図28】従来の磁性体トンネル接合素子とMOSトラ
ンジスタとからなる磁気メモリセルを示す図
【符号の説明】
1…磁性体トンネル接合素子(メモリセル本体,磁気ヘ
ッド本体) 2…MOSトランジスタ 3…比較抵抗(第2の抵抗) 4…ゲート抵抗(第1の抵抗) 5…Si基板 6…バックアップ膜 7…バリア膜 8…磁性体超薄膜 9…ホットエレクトロン・トランジスタ(メモリセル本
体,磁気ヘッド本体) 10…Si基板 11…SiO2 膜 12…Co膜(下部電極) 13…トンネル絶縁膜 14…Co超薄膜(上部電極) 15…バリア膜 16,17…バックアップ膜 18…バリア膜 21…コレクタ(半導体領域) 22…ベース 23…エミッタ(磁性体電極) 31…Si基板(半導体領域) 32…SiO2 膜 33,39…バックアップ膜 34,38…バリア膜 35,37…Co超薄膜(磁性体電極) 36…トンネル絶縁膜 41…半導体基板(半導体領域) 41n…n型半導体基板(半導体領域) 42,43…磁性体電極 44…ゲート電極 45…半導体層(アンドープ) 46p…p型半導体層(半導体領域) 46n…n型半導体層(半導体領域) 46i…i型半導体層(半導体領域) 47…トンネル絶縁膜 48…磁性体層(磁性体領域) 49…強磁性体層 50…半導体層(半導体領域) C1…浮遊容量 C2…入力キャパシタンス BL…ビット線 WL…ワード線

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】MOSトランジスタと、 このMOSトランジスタのゲートに接続され、磁気ヘッ
    ド本体としてのGMR素子とを具備してなることを特徴
    とする磁気装置。
  2. 【請求項2】MOSトランジスタと、このMOSトラン
    ジスタのゲートに接続され、メモリセル本体としてのG
    MR素子とからなるメモリセルがマトリクス状に配列形
    成されていることを特徴とする磁気装置。
  3. 【請求項3】前記GMR素子の磁化の方向を制御する磁
    化制御手段をさらに有することを特徴とする請求項2に
    記載の磁気装置。
  4. 【請求項4】前記MOSトランジスタのゲートは前記G
    MR素子を介して定電圧源に接続され、かつ第1の抵抗
    を介して接地され、前記MOSトランジスタのソースは
    前記第1の抵抗よりも低抵抗の第2の抵抗に直列に接続
    され、前記MOSトランジスタのドレインは接地されて
    いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
    磁気装置。
  5. 【請求項5】前記GMR素子は、磁性トンネル接合素子
    であるか、またはベース層が磁性積層膜で形成されたホ
    ットエレクトロン・トランジスタであることを特徴とす
    る請求項1または請求項2に記載の磁気装置。
  6. 【請求項6】前記磁性トンネル接合素子の電極は、磁性
    膜、または磁性膜と絶縁膜との積層膜で形成されている
    ことを特徴とする請求項5に記載の磁気装置。
  7. 【請求項7】前記ホットエレクトロン・トランジスタの
    エミッタ層は、Nbがドープされたチタン酸ストロンチ
    ウム膜で形成されていることを特徴とする請求項5に記
    載の磁気装置。
  8. 【請求項8】磁性体超薄膜を含む磁性体電極と、 この磁性体電極から、電子に対してのポテンシャル障壁
    を介して、スピン偏極した電子電流が注入される半導体
    領域または常磁性金属領域からなる被注入領域とを具備
    してなることを特徴とする磁性体素子。
  9. 【請求項9】前記磁性体超薄膜の膜厚は、0.5nm以
    上5nm以下であることを特徴とする請求項8に記載の
    磁性体素子。
  10. 【請求項10】前記被注入領域が半導体領域の場合に、
    前記ポテンシャル障壁として、トンネル接合、ショット
    キー接合またはMIS接合を用いることを特徴とする請
    求項8に記載の磁性体素子。
  11. 【請求項11】前記被注入領域が常磁性金属領域の場合
    に、前記ポテンシャル障壁として、トンネル接合を用い
    ることを特徴とする請求項8に記載の磁性体素子。
  12. 【請求項12】前記磁性体電極は、前記磁性体超薄膜
    と、電子に対してのバリア膜との積層膜からなることを
    特徴とする請求項8に記載の磁性体素子。
JP05824498A 1997-11-12 1998-03-10 磁気装置 Expired - Fee Related JP3566531B2 (ja)

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