JPH11207776A - 樹脂の多層成形方法および多層成形装置 - Google Patents

樹脂の多層成形方法および多層成形装置

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JPH11207776A
JPH11207776A JP1183798A JP1183798A JPH11207776A JP H11207776 A JPH11207776 A JP H11207776A JP 1183798 A JP1183798 A JP 1183798A JP 1183798 A JP1183798 A JP 1183798A JP H11207776 A JPH11207776 A JP H11207776A
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mold clamping
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ソフト感やクッション性と同時に手触り感や
質感等を持った表面加飾性能に優れた高品質の樹脂の多
層成形部品を、効率良く安定して得ることができる樹脂
の多層成形方法および多層成形装置を提供すること。 【解決手段】 予め設定した第1の型締状態で、可動金
型と固定金型で形成される金型空間内にコア材となる第
1層溶融樹脂を射出充填した後、該両金型を相対的に離
間させて所定の型開量設定値に保持して、第1層充填物
と該金型との間に表皮材を介在させ、引き続き予め設定
した第2の型締状態で、第1層充填物と表皮材とで形成
される空間内に中間材となる第2層溶融樹脂を射出充填
した後、予め設定した表皮材加飾層のゴム状弾性を示す
温度領域内の設定温度に温度モニタ値が到達した時点
で、表皮材と金型との間に表皮材加飾層の厚さに応じた
隙間を設けて、設定時間保持した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金型内に第1層コ
ア材溶融樹脂を射出充填させて第1層コア材充填物を得
た後、第2層中間材溶融樹脂を該第1層コア材充填物の
表面に積層させると同時に、第2層中間材の表面に加飾
性表皮材を融着一体化させた樹脂の多層成形方法および
多層成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、家電、建材等に使用され
る樹脂成形部品には、益々付加価値が求められている。
ソフト感やクッション性と同時に手触り感や質感等の付
加価値付与の要求とともに、成形工程の省工程化による
コストダウンの要求も大きくなってきている。これらに
対応するため、従来は下記のような多層成形が実施され
ている。すなわち、 金型内に表皮材(加飾材)をインサート・セットし
て、型締あるいは型開保持状態でコア材を射出充填した
後、射出保圧力あるいは型締力を負荷するとともにコア
材を冷却する。冷却の完了を待って、型開の上成形品を
取り出すことにより、コア材樹脂成形品の表面に表皮材
(加飾材)が融着一体化された表面加飾成形品を得てい
る(表皮材インサート成形)。 金型内に第1層樹脂(コア材)射出充填し、金型の
一部あるいは全面を後退または型締力を低下させた状態
で、第2層樹脂(加飾材)を射出充填した後、射出保圧
力あるいは型締力を負荷するとともに充填樹脂を冷却す
る。冷却の完了を待って、型開の上成形品を取り出すこ
とにより、コア材樹脂の表面に加飾材樹脂が積層一体化
された表面加飾成形品を得ている(サンドイッチ成
形)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の方法では、下記に示すような問題があった。 (1)表皮材インサート成形の場合は、ソフト感やクッ
ション性を持たせるために、裏面(コア材樹脂側)に発
泡層をラミネートした表皮材を使用するが、射出充填時
に高温・高圧のコア材樹脂により発泡層は容易に溶損し
て、ソフト感やクッション性が消失してしまう。この対
策として、発泡層の裏面に耐熱・耐圧性を有する保護層
をラミネートした表皮材を使用しているが、表皮材のコ
ストアップを招くとともに、完全な発泡層の保護は困難
であった。また、手触り感や質感を持たせるためには起
毛布や織布等の表皮材を使用するが、成形中の高温・高
圧のコア材樹脂の負荷により、表皮材は損傷を受け(例
えば、起毛布では毛倒れによる風合いの低下)、成形後
においても表皮材本来の風合い(手触り感、質感)を維
持することは困難であった。 (2)サンドイッチ成形においても、手触り感や質感を
要求される場合も多くなってきているが、成形用樹脂の
みでは手触り感や質感を持たせることはできない。手触
り感や質感を持たせる方法としては加飾材として起毛布
や織布が理想的であり、従来のサンドイッチ成形では対
応はできなかった。ソフト感やクッション性と手触り感
や質感が同時に要求される場合は従来の成形方法では対
応は困難であった。 (3)今後、需要の増大が予測されている多機能表現の
成形品の一つとして、ソフト感やクッション性と手触り
感や質感を兼ね備えた高品質の多層成形品に対しては、
現状の成形方法では対応は極めて困難である。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決
して、樹脂の多層成形品を簡単な制御で高品質に安定し
て得るために、本発明においては、第1の発明では、対
向する一対の金型間にあって表面に加飾層を有する表皮
材を介在させて型締した後、該表皮材と該両金金型とで
形成される金型キャビティ空間内にコア材となる溶融樹
脂を多層に射出充填して、該表皮材と該コア材とを一体
成形する樹脂の多層成形方法において、表皮材の加飾層
は、ガラス転移点が第2層中間材樹脂の射出時の温度よ
り低い材質を選定し、予め設定した第1の型締状態で、
該金型キャビティ空間内にコア材となる第1層コア材溶
融樹脂を射出充填して第1層充填物を形成した後、該両
金型を相対的に離間させて所定の型開量設定値に保持し
て、該第1層充填物と該金型との間に表皮材を介在さ
せ、引き続き予め設定した第2の型締状態で、該第1層
充填物と表皮材とで形成される空間内に中間材となる前
記第2層中間材溶融樹脂を射出充填した後、予め設定し
た表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域内の設定温
度に温度モニタ値が到達した時点で、表皮材と金型との
間に表皮材加飾層の厚さに応じた隙間を設けて、設定時
間保持することとした。
【0005】また、第2の発明では、第1の型締状態
は、充填された第1層コア材溶融樹脂の樹脂圧で該金型
が開くことのない型締力を、射出充填完了まで該金型に
負荷・保持することとした。第3の発明では、第1の型
締状態は、射出充填中は充填された第1層コア材溶融樹
脂の樹脂圧で該金型が開くことを許容する第1型締力を
該金型に負荷して、その後は第1層コア材樹脂の賦形を
目的とした第2型締力を該金型に負荷させることとし
た。
【0006】そして、第4の発明においては、第1の型
締状態は、射出充填中は所定の型開量設定値に該両金型
を離間させて保持し、その後は第1層コア材樹脂の賦形
を目的とした型締力を該金型に負荷させることとした。
さらに、第5の発明では、第2の型締状態は、充填され
た第2層中間材溶融樹脂の樹脂圧で該金型が開くことの
ない型締力を射出充填完了まで該金型に負荷・保持する
こととした。
【0007】第6の発明では、第2の型締状態は、充填
された第2層中間材溶融樹脂の樹脂圧で該金型が開くこ
とを許容する第1型締力を該金型に負荷させ、その後は
第2層中間材樹脂の賦形と表皮材および第1層コア材お
よび第2層中間材の融着一体化を目的とした第2型締力
を該金型に負荷させることとした。第7の発明では、第
2の型締状態は、射出充填中は所定の型開量設定値に該
両金型を相対的に離間させて保持し、その後は第2層中
間材樹脂の賦形と表皮材および第1層コア材および第2
層中間材の融着一体化を目的とした型締力を該金型に負
荷させることとした。
【0008】第8の発明では、第1の発明での該温度モ
ニタ値を、成形中の表皮材加飾層の表面温度とした。第
9の発明では、第1の発明での該温度モニタ値を、成形
中の第2層中間材樹脂の表面温度とした。
【0009】第10の発明では、第1層コア材および第
2層中間材溶融樹脂を可動金型と固定金型で形成される
金型キャビティ空間内に射出充填する多層射出機構と、
表皮材を該金型内に介在させるとともに多層成形品を該
金型外へ搬出する搬出入機構と、第1層コア材および第
2層中間材溶融樹脂を射出充填する際の第1および第2
型締状態の型締力を多段あるいは型開量設定値を多段に
設定するとともに、表皮材を該金型内に介在させる際の
第1型開量設定値と、該表皮材加飾層の厚さに応じた該
表皮材と該金型との隙間の第2型開量設定値と、を設定
入力する型締条件設定部と、該表皮材加飾層のゴム状弾
性を示す温度領域内で型締制御状態を切り替える温度を
設定入力する温度条件入力部と、成形中の表皮材加飾層
表面温度あるいは第2層中間材樹脂表面温度をモニタす
る温度モニタ部と、温度モニタ部の信号と温度条件入力
部の設定値とを比較して型締制御部へ第2型締状態から
第2型開量設定値の型締状態へ切り替えるタイミング信
号を発する比較制御部と、型開量を検出する型開量検出
部と型締力を検出する圧力検出部と、比較制御部および
型締条件設定部の信号に基づいて型締機構を制御する型
締制御部とを有する構成とした。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明においては、表皮材の加飾
層は、ガラス転移点が第2層樹脂(中間層)の射出時の
温度よりも低い材質を選定し、第1層樹脂(コア層)を
射出充填した後、一旦型開状態にして表皮材(加飾層)
を金型内にインサート・セットした状状態で型締する。
引き続き、第2層樹脂(中間層)を射出充填した後、型
締力を負荷するとともに温度モニタ値の表皮材加飾層の
検出温度が、表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域
内の設定温度に達した時点で表皮材加飾層への負荷力を
除去するとともに、損傷した加飾層が弾性回復できるス
ペースを確保した隙間を金型に与えて、この状態で規定
時間保持する。こうすることにより、成形中の外力(高
温・高圧の中間層樹脂の負荷)で損傷を受けた表皮材加
飾層は弾性力により回復し、表皮材本来の風合いが確保
される。コア層・中間層樹脂の冷却の完了を待って、型
開の上成形品を取り出すことにより、コア層・中間層・
表面加飾層を一体融着し、かつ、表皮材本来の風合いを
維持した高品質の多層成形品を効率よく、安定して得る
ことができる。
【0011】また、本発明においては、成形品に要求さ
れる品質や機能に応じて各層の材質を選択することがで
き、これらの組合せにより表面加飾性能を自由自在に付
与することが可能となる。例えば、コア層に硬質材樹脂
(成形品の形状保持と強度の付与)、中間層に発泡樹脂
や軟質樹脂(ソフト感やクッション性の付与)、表皮加
飾層に起毛布や織布(手触り感や質感の付与)を選択す
ることにより、従来の耐熱・耐圧保護層のラミネート処
理等をしないでもソフト感やクッション性と手触り感や
質感を同時に付与することができ、従来の成形方法では
不可能であった表皮加飾成形品を効率よく安定して供給
することができる。
【0012】第1層樹脂および第2層樹脂の射出充填時
に型締力もしくは型開量を必要に応じて多段に制御する
ことにより、射出充填時の樹脂の流動速度や樹脂圧力を
低く抑えることができ、型内圧の低圧化と射出充填時間
を短縮することができる。これにより、成形中の表皮材
の損傷を低く抑えることができるので加飾層の損傷回復
工程での所要時間を短くできるとともに、型締側からの
保圧により、金型内の樹脂圧力が均一化されて、変形や
反りのない成形品ができ、表面加飾性能に優れた高品質
の成形品を得ることができる。
【0013】温度モニタ値を第2層中間材樹脂の温度と
した場合は、たとえ表皮材加飾層の温度がガラス転移点
以下に冷却されていたとしても、第2層中間材樹脂の保
有している熱量および金型に設けた隙間による表皮材か
ら金型への伝熱遮断効果によって、表皮材加飾層はガラ
ス転移点以上のゴム状弾性を示す温度領域まで再加熱さ
れる。これにより、表皮材加飾層のゴム状弾性力により
損傷箇所は自己回復することができる。この場合は、第
1層コア材樹脂と第2層中間材樹脂と表皮材の融着一体
化と賦形を目的とした型締力の負荷をより長く継続でき
るので、変形、反りや偏肉が極めて少なく、優れた表面
加飾性能を有する高品質の成形品を効率よく安定して得
ることができる。
【0014】
【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例の詳細に
ついて説明する。図1〜図4は本発明の実施例に係り、
図1は樹脂の多層成形装置の全体構成図、図2と図3は
樹脂の多層成形工程のフローチャート、図4は多層成形
の成形動作を説明するための動作説明図である。
【0015】図1に示すように、本発明における多層成
形装置100は、金型装置10と型締装置20と射出装
置30と制御装置60と図示しない表皮材や成形品の搬
出入装置とで構成される。金型装置10は、固定盤1に
取り付けられた固定金型3と可動盤2に取り付けられた
可動金型4とからなり、可動盤2および可動金型4は型
締装置20の型締シリンダ22で前後進できるよう構成
される。なお、本実施例では横型締方式であるが、堅型
締方式でも可能である。型締装置20は、金型装置10
の両金型3、4の型開、型閉を作動する型締シリンダ2
2を備えており、可動金型4が固定金型3に対して図示
しないタイバーに案内されて前後進する。
【0016】射出装置30は、キャビティ5内に第1層
コア材溶融樹脂を供給する第1射出ユニット30Aとキ
ャビティ5内に第2層中間材溶融樹脂を供給する第2射
出ユニット30Bとからなり、それぞれ固定金型3の側
方および下方よりキャビティ5内に接続される経路を介
して溶融樹脂を供給できるようになっている。また、各
経路には樹脂流路を遮断・連通させるためのシャットオ
フバルブ31A、31Bが設けられている。
【0017】次に、制御装置60について述べる。制御
装置60は、図1に示すように、型締条件設定部61、
型締制御部62、射出制御部63、温度条件入力部6
4、比較制御部65、温度モニタ部66、温度センサ6
7、型開量検出部68、金型位置センサ69、圧力検出
部70、樹脂圧センサ71、油圧制御弁80、油圧供給
源90等から構成されている。固定金型3に配置された
樹脂圧センサ71で計測された圧力情報と両金型3、4
間の型開量を検知する金型位置センサ69の位置情報と
を型締制御部62に入力し、型締装置20の型締シリン
ダ22に油圧制御弁80Aを経由して操作信号を与え
る。なお、90は油圧供給源である。温度センサ67で
計測された表皮材加飾層温度情報(なお中間材樹脂温度
情報を検知する場合は、中間材樹脂側に温度センサ67
が配置される)は温度モニタ部66を経由して、温度条
件入力部64と比較制御部65を経由して型締制御部6
2に接続されている。
【0018】図2と図3は樹脂の多層成形工程のフロー
チャートを示したものであり、以下にその概要を説明す
る。第1の型締状態は、下記の3つのパターンがあり、
この内の1つを選択する。
【0019】パターンAは第1層樹脂の射出充填時にバ
リが発生しない型締力で型締して、この状態を射出充填
完了まで保持する方法である。第1層樹脂として高流動
樹脂を採用する場合や流動が容易な金型形状の場合等に
は、このパターンAを選択する。パターンBは第1層樹
脂の射出充填時に金型が適度に開く程度の小さな型締力
で型締した状態で射出充填する。射出充填中の任意の時
点もしくは射出充填完了時に型締力を大きくして第1層
樹脂の賦形を行なう方法である。第1層樹脂として低流
動樹脂を採用する場合や流動が困難な金型形状や薄肉形
状の場合等には、このパターンBを選択する。なお、型
締力の負荷により第1層樹脂の賦形を行なう圧力制御の
他に、圧縮(賦形)作用を与える程度の型締位置設定値
に保持させる手段(位置制御)でも同様の賦形効果を得
ることができる。パターンCは所定の型開量位置で型締
保持した状態で、第1層樹脂を射出充填する。射出充填
中の任意の時点もしくは射出充填完了時に型締力を負荷
して第1層樹脂の賦形を行なう方法である。第1層樹脂
として特に低流動性の樹脂を採用する場合には、このパ
ターンCを選択する。なお、この場合においてもパター
ンBと同様に位置制御による第1層樹脂の賦形が可能と
なる。
【0020】パターンBやパターンCを選択すると、射
出充填時に金型が少し開くため、金型内の樹脂流路が拡
大して流れやすくなるとともに、金型内の空気やガスの
抜けが良くなり、樹脂の充填挙動がスムーズになる。し
たがって、射出充填圧力が低くなるとともに、射出時間
も短くなり、充填中の樹脂温度の低下が少なくなるとと
もに、成形サイクルも短縮できる。
【0021】第2の型締状態は、下記の3つのパターン
があり、この内の1つを選択する。パターンDは第2層
樹脂の射出充填時にバリが発生しない型締力で型締し
て、この状態を射出充填完了まで保持する方法である。
第2層樹脂として高流動樹脂を採用する場合や流動が容
易な金型形状の場合等には、このパターンDを選択す
る。パターンEは第2層樹脂の射出充填時に金型が適度
に開く程度の小さな型締力で型締した状態で射出充填す
る。射出充填中の任意の時点もしくは射出充填完了時に
型締力を大きくして第2層樹脂の賦形と表皮材・中間材
・コア材の融着一体化を行なう方法である。射出充填時
に金型が少し開くため、金型内の樹脂流路が拡大して流
れやすくなり、樹脂圧力を低く抑えることができ、表皮
材へ負荷される熱的・圧力的な外力が低減する。したが
って、第2層樹脂の射出充填中の表皮材の損傷を少なく
することができる。パターンFは所定の型開量位置で型
締保持した状態で、第2層樹脂を射出充填する。射出充
填中の任意の時点もしくは射出充填完了時に型締力を負
荷して第2層樹脂の賦形と表皮材・中間材・コア材の融
着一体化を行なう方法である。パターンDよりも表皮材
の損傷防止効果が高く、特に、射出充填中のゲート部付
近の表皮材の損傷防止効果が大きい。なお、パターン
E、FにおいてもパターンBと同様に位置制御による方
法でも第2層樹脂の賦形と表皮材・中間材・コア材の融
着一体化は可能である。
【0022】パターンC、Fにおける射出充填中の適性
な型開量はゲート形状、金型構造、表皮材の種類や射出
条件より異なるとともに、金型が開いてもキャビティ内
の溶融樹脂が漏れないような金型構造が必要である。以
上のことをもとに、第1層コア材樹脂として成形品の形
状保持や強度付与を目的とした硬質樹脂材の中から流動
性の悪い樹脂(例えばABS樹脂)、第2層中間材樹脂
としてソフト感やクッション性付与を目的とした軟質樹
脂材の中からエラストマ、加飾層として手触り感や高級
感の付与を目的とした加飾材の中から起毛層を持ったP
ET製表皮材からなる積層成形品を例にとって、実操業
の成形運転について説明する。なお、本発明にとって最
も重要なことは表皮材加飾層の材質選定にある。すなわ
ち、弾性力による加飾層の損傷回復現象を利用するた
め、加飾層のガラス転移点温度(PETの場合Tg =7
0〜80℃)が中間材樹脂の射出時の温度(エラストマ
の場合、通常200〜220℃程度に加熱)より低いこ
とが選定基準となる。流動性の悪い樹脂をコア材として
使用しているので、第1の型締状態としてはパターンC
を選択する。加飾層として起毛層を持ったPET製表皮
材を使用しており、ゲート部付近の表皮材の溶損を防止
するため、第2の型締状態としてはパターンFを選択す
る。
【0023】第1層コア材樹脂の射出条件と第2層中間
材樹脂の射出条件等の射出条件、第1の型締状態である
パターンCでの型開量設定値(Q1)と型締位置制御か
ら型締力制御への切替タイミング(R2)と設定型締力
(P4)、表皮材を金型内にインサートする時の型開量
である型開量設定値(Q2)と第2の型締状態であるパ
ターンFでの型開量設定値(Q3)と型締位置制御から
型締力制御への切替タイミング(R4)と設定型締力
(P8)等の型締条件、表皮材加飾層の損傷回復工程で
の型開量設定値(Q4)等の型締条件、第1層コア材樹
脂の冷却保持時間等の冷却保持条件を入力し、設定す
る。
【0024】以上のようにして、初期条件の設定が完了
した後、実操業の成形運転に入るが、その手順は、図2
と図3および図4に示すように、下記の手順により行な
う。 (a)型締条件設定部61で設定した型開量設定値(Q
1)に対応して型締動作が行われる。型開量センサ69
の検出信号が設定値に達した後は設定値(Q1)を保持
するように型締シリンダ22の油圧を制御して位置保持
制御を行なう。 (b)第1射出ユニット30Aのシャットオフバルブ3
1Aを開いて、コア材となる第1層の溶融樹脂を金型キ
ャビティ内に射出充填する。このとき、型開状態で射出
充填を行っているので、金型キャビティ内の樹脂の圧力
偏差が解消されて、残留歪の少ないかつ、変形・反りの
ない高品質のコア成形体が得られるとともに、金型キャ
ビティ内の樹脂圧の低圧化によって、高速射出充填が可
能となり、その結果、樹脂の温度低下が少ない状態で射
出充填されて、コア成形体の高品質化が助長される。型
締条件設定部61で設定したタイミング信号(R2)に
より型締動作を開始して、設定型締力(P4)負荷によ
る第1層樹脂の賦形を行なう。なお、タイミング信号
(R2)は射出充填動作中の任意の時点で、射出開始か
らの経過時間や射出シリンダのストローク等で設定され
ており、本実施例では射出充填完了時点とした。従っ
て、設定型締力(P4)の負荷に際しては第1射出ユニ
ット30Aのシャットオフバルブ31Aは閉じることと
した(充填した樹脂の逆流防止のため)。
【0025】(c)先に型締条件設定部61で設定した
型締条件基づいて型開動作を行なう。なお、型開動作
は、第1層溶融樹脂の冷却固化状態に応じて、第2層中
間材樹脂との接着性を考慮して、充填完了直後から、任
意の時間で設定された冷却保持時間経過後に行われる。
この冷却保持時間が短すぎると、第1層コア樹脂の賦形
が不十分なものとなる。また、長すぎると、第1層コア
樹脂と第2層中間材樹脂との融着状態が不十分となり強
度低下を招く。型締条件設定部61で設定した型開量設
定値(Q2)に対応して型開動作が行われる。型開量セ
ンサ69の検出信号が設定値に達した後は設定値(Q
2)を保持するように型締シリンダ22の油圧を制御し
て位置保持制御を行なう。次に、型開状態にある可動金
型と第1層コア樹脂成形体との間に 図示しない表皮材
搬入装置により、表皮材をインサート・セットする。な
お、表皮材の形態はシート状や金型形状に概略予備成形
したものを用いる。また、金型へのセット方法は真空吸
引、針刺し、コア押え等の中から適したものを用いる。
表皮材をインサート・セットした後、型締条件設定部6
1で設定した型開量設定値(Q3)に対応して型締動作
が行われる。型開量センサ69の検出信号が設定値(Q
3)に達した後は、設定値(Q3)を保持するように型
締シリンダ22の油圧を制御して位置保持制御を行な
う。
【0026】(d)第2射出ユニット30Bのシャット
オフバルブ31Bを開いて、中間材となる第2層溶融樹
脂を、コア成形体と可動金型・表皮材とで形成された2
次空間部内に射出充填する。ここで、型開量Q3で型開
保持された状態で第2層中間材樹脂を射出充填するの
で、金型キャビティ内の樹脂圧の低圧化とともに、ゲー
ト部での樹脂圧は低く抑えられており、ゲート部付近の
表皮材の溶損を防止することができる。
【0027】(e)型締条件設定部61で設定したタイ
ミング信号(R4)により、型締動作を開始して設定型
締力(P8)を負荷する。なお、タイミング信号(R
4)はR2と同様に射出充填中の任意の時点で設定でき
るが、本実施例では射出充填完了時点とした。従って、
この場合においても、第2射出ユニット30Bのシャッ
トオフバルブ31Bは閉じている。ここでの設定型締力
(P8)の負荷は第2層溶融樹脂(中間材)の賦形と表
皮材・中間材・コア材の融着一体化を目的として行なう
(多層成形体の賦形工程)。中間材樹脂の射出充填と同
時に表皮材は中間材樹脂の熱量により加熱され、更に、
型締力(P8)の負荷の開始と同時に表皮材は高温・高
圧の中間材樹脂の負荷により損傷を受ける。この型締力
保持時間が長ければ多層成形体の賦形性は向上するが、
表皮材加飾層の損傷度は大きくなる。逆に、この保持時
間を短くすると表皮材加飾層の損傷は少なくなるが、多
層成形体の賦形性は悪くなる。すなわち、表皮材の損傷
防止と多層成形体の賦形性向上とは相反する制御対象で
あり、このバランスを取ることは極めて困難とされてい
た。
【0028】本発明においては、表皮材の加飾層として
ガラス転移点が第2層中間材樹脂の射出時の温度より低
い材質を選定して、かつ、設定型締力(P8)の負荷の
開始と同時に表皮材加飾層温度を温度センサ67でモニ
タし、多層成形体の賦形工程中の表皮材加飾層がゴム状
弾性を示す温度(ガラス転移点以上の温度)領域内に設
定した温度Mにモニタ温度が到達した時点で前述の型締
力を除去するとともに、設定型開量(Q4)で設定時間
(T)保持することにより、成形中に損傷を受けた表皮
材加飾層は弾性力により回復し、表皮材本来の風合いを
確保する成形制御方法の採用により、多層成形体の賦形
性と表皮材の損傷防止とのバランスを取っている。ここ
で設定温度(M)は中間材樹脂の冷却固化と表皮材・中
間材・コア材の融着一体化(すなわち、多層成形体の賦
形性)は十分進行し、かつ、表皮材加飾層がゴム状弾性
を示す温度領域内で、成形中に受けた表皮材加飾層の損
傷を回復させる温度条件として設定する。また、設定型
開量(Q4)は、表皮材加飾層を含む表皮材の厚さと同
等かそれ以上に金型と表皮材の隙間を設け、表皮材加飾
層の弾性力による回復スペースの確保と、金型と加飾層
の伝熱遮断によるゴム状弾性を示す温度保持時間の確保
を目的として設定する。設定時間(T)は、弾性力によ
る回復時間(すなわち、設定温度(M)からガラス転移
点Tg までの冷却時間の範囲内)で、通常の成形におけ
る中間材(またはコア材)の冷却過程の設定時間の範囲
内で収まることを実験で確認していることから、中間材
樹脂の冷却時間と同じとした。なお、温度モニタ値が中
間材樹脂温度の場合は、たとえ、表皮材加飾層温度がT
g 以下に冷却されていたとしても、設定型開量(Q4)
による伝熱遮断効果と中間材樹脂の熱量により、表皮材
加飾層はTg 以上に再加熱され、ゴム状弾性による回復
状態が達成される。この場合は、設定型締力(P8)の
負荷時間を長く継続できるので、多層成形体の賦形性が
大幅にアップする。
【0029】(f)設定時間(T)経過後型開を行い、
図示しない成形品取出装置により成形品をとりだして、
1成形サイクルを完了する。以上記載した以外にも、設
定温度(M)を検知して設定型開量(Q4)への型締条
件切替タイミングの指令も、例えば、中間材樹脂の射出
開始から設定温度(M)への到達時間を数回の成形トラ
イで計測し、この計測結果の経過時間を切替タイミング
指令として利用することもでき、この場合は制御の簡素
化が図れる。また、コア材樹脂の賦形および多層成形体
の賦形を型締側からの型締力の負荷で行ってきたが(パ
ターンB、CおよびパターンE、F)、射出側からの保
圧力の負荷との併用あるいは、射出側の保圧力のみとし
ても同様の効果は得られる。但し、この場合は型締側か
らの全面均一な保圧作用による効果は期待できない。
【0030】更に、例えば、第2層中間材樹脂として、
発泡性樹脂を使用する場合は第2の型締状態に多段の型
開量設定値による位置制御や微少型締力設定による型開
制御を採用することにより、発泡倍率の制御を行うこと
ができる。この場合は、第2層中間材樹脂の射出充填開
始時の型開量に対する充填完了時の型開量を制御するこ
とにより、第2層中間材樹脂(発泡性樹脂)の占める体
積を制御でき、これによって発泡倍率の制御が可能とな
る。また、表皮材としては、印刷フィルムやレザー調の
シート等を使用することもできる。表皮材を両面あるい
は全面に貼り付けてもよい。コア材と中間材の2層樹脂
の他に別の樹脂層を設けてもよい。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、本発明においては、
下記のような優れた効果を発揮することができる。 (1)第1層コア材樹脂、第2層中間材樹脂、加飾表皮
材の各層の材質選択と組合せにより、自由自在に表面加
飾の表現が可能となり、従来の多層成形方法では対応で
きなかったソフト感・クッション性と手触り感・質感を
兼ね備えた多層成形品の生産が可能となった。 (2)ゴム状弾性による回復挙動の利用と型締力、型開
量の多段制御および成形樹脂と表皮材に適した成形条件
の選択により、表皮材の損傷のない高品質な表面を加飾
した付加価値の高い成形品を効率よく安定して得ること
ができる。 (3)型締側からの金型キャビティ内全面に渡る均一な
保圧作用と十分な型締力の負荷により、変形・反りのな
い、完全にコア材樹脂・中間材樹脂・表皮材の多層融着
一体化された極めて良好な表皮材インサート成型品を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る樹脂の多層成形装置の全
体構成図である。
【図2】本発明の実施例に係る樹脂の多層成形工程前半
のフローチャートである。
【図3】本発明の実施例に係る樹脂の多層成形工程後半
のフローチャートである。
【図4】本発明の実施例に係る成形動作を説明するため
の動作説明図である。
【符号の説明】
1 固定盤 2 可動盤 3 固定金型 4 可動金型 5 キャビティ 10 金型装置 20 型締装置 22 型締シリンダ 30 射出装置 30A 第1射出ユニット 30B 第2射出ユニット 31A シャットオフバルブ(第1射出ユニット) 31B シャットオフバルブ(第2射出ユニット) 60 制御装置 61 型締条件設定部 62 型締制御部 63 射出制御部 64 温度条件入力部 65 比較制御部 66 温度モニタ部 67 温度センサ 68 型開量検出部 69 金型位置センサ 70 圧力検出部 71 樹脂圧センサ 80A、80B、80C 油圧制御弁 90A、90B、90C 油圧供給源 100 多層成形装置 M 設定温度 P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8 型
締力設定値 Q1、Q2、Q3、Q4 型開量設定値 R1、R2、R3、R4 タイミング設定値 T 設定時間

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する一対の金型間にあって表面に加
    飾層を有する表皮材を介在させて型締した後、該表皮材
    と該両金型とで形成される金型キャビティ空間内にコア
    材となる溶融樹脂を多層に射出充填して、該表皮材と該
    コア材とを一体成形する樹脂の多層成形方法において、 表皮材の加飾層は、ガラス転移点が第2層中間材樹脂の
    射出時の温度より低い材質を選定し、 予め設定した第1の型締状態で、該金型キャビティ空間
    内にコア材となる第1層コア材溶融樹脂を射出充填して
    第1層充填物を形成した後、 該両金型を相対的に離間させて所定の型開量設定値に保
    持して、該第1層充填物と該金型との間に表皮材を介在
    させ、 引き続き予め設定した第2の型締状態で、該第1層充填
    物と表皮材とで形成される空間内に中間材となる前記第
    2層中間材溶融樹脂を射出充填した後、 予め設定した表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域
    内の設定温度に温度モニタ値が到達した時点で、表皮材
    と金型との間に表皮材加飾層の厚さに応じた隙間を設け
    て、設定時間保持したことを特徴とする樹脂の多層成形
    方法。
  2. 【請求項2】 第1の型締状態は、充填された第1層コ
    ア材溶融樹脂の樹脂圧で該金型が開くことのない型締力
    を、射出充填完了まで該金型に負荷・保持した請求項1
    記載の樹脂の多層成形方法。
  3. 【請求項3】 第1の型締状態は、射出充填中は充填さ
    れた第1層コア材溶融樹脂の樹脂圧で該金型が開くこと
    を許容する第1型締力を該金型に負荷して、その後は第
    1層コア材樹脂の賦形を目的とした第2型締力を該金型
    に負荷させた請求項1記載の樹脂の多層成形方法。
  4. 【請求項4】 第1の型締状態は、射出充填中は所定の
    型開量設定値に該両金型を離間させて保持し、その後は
    第1層コア材樹脂の賦形を目的とした型締力を該金型に
    負荷させた請求項1記載の樹脂の多層成形方法。
  5. 【請求項5】 第2の型締状態は、充填された第2層中
    間材溶融樹脂の樹脂圧で該金型が開くことのない型締力
    を射出充填完了まで該金型に負荷・保持した請求項1記
    載の樹脂の多層成形方法。
  6. 【請求項6】 第2の型締状態は、充填された第2層中
    間材溶融樹脂の樹脂圧で該金型が開くことを許容する第
    1型締力を該金型に負荷させ、その後は第2層中間材樹
    脂の賦形と表皮材および第1層コア材および第2層中間
    材の融着一体化を目的とした第2型締力を該金型に負荷
    させた請求項1記載の樹脂の多層成形方法。
  7. 【請求項7】 第2の型締状態は、射出充填中は所定の
    型開量設定値に該両金型を相対的に離間させて保持し、
    その後は第2層中間材樹脂の賦形と表皮材および第1層
    コア材および第2層中間材の融着一体化を目的とした型
    締力を該金型に負荷させた請求項1記載の樹脂の多層成
    形方法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の該温度モニタ値は、成形
    中の表皮材加飾層の表面温度としたことを特徴とする請
    求項1記載の樹脂の多層成形方法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の該温度モニタ値は、成形
    中の第2層中間材樹脂の表面温度とした請求項1記載の
    樹脂の多層成形方法。
  10. 【請求項10】 第1層コア材および第2層中間材溶融
    樹脂を可動金型と固定金型で形成される金型キャビティ
    空間内に射出充填する多層射出機構と、 表皮材を該金型内に介在させるとともに多層成形品を該
    金型外へ搬出する搬出入機構と、 第1層コア材および第2層中間材溶融樹脂を射出充填す
    る際の第1および第2型締状態の型締力を多段あるいは
    型開量設定値を多段に設定するとともに、表皮材を該金
    型内に介在させる際の第1型開量設定値と、該表皮材加
    飾層の厚さに応じた該表皮材と該金型との隙間とする第
    2型開量設定値とを設定入力する型締条件設定部と、 該表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域内で型締制
    御状態を切り替える温度を設定入力する温度条件入力部
    と、成形中の表皮材加飾層表面温度あるいは第2層中間
    材樹脂表面温度をモニタする温度モニタ部と、温度モニ
    タ部の信号と温度条件入力部の設定値とを比較して型締
    制御部へ第2型締状態から第2型開量設定値の型締状態
    へ切り替えるタイミング信号を発する比較制御部と、 型開量を検出する型開量検出部と型締力を検出する圧力
    検出部と、 比較制御部および型締条件設定部の信号に基づいて型締
    機構を制御する型締制御部とを有した樹脂の多層成形装
    置。
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