JPH11214219A - 薄膜磁石およびその製造方法 - Google Patents

薄膜磁石およびその製造方法

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JPH11214219A
JPH11214219A JP2910198A JP2910198A JPH11214219A JP H11214219 A JPH11214219 A JP H11214219A JP 2910198 A JP2910198 A JP 2910198A JP 2910198 A JP2910198 A JP 2910198A JP H11214219 A JPH11214219 A JP H11214219A
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thin film
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magnet
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Tetsuya Hidaka
徹也 日高
Akira Fukuno
亮 福野
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TDK Corp
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    • H01—ELECTRIC ELEMENTS
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    • H—ELECTRICITY
    • H01—ELECTRIC ELEMENTS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で、しかも磁石特性の高い薄膜磁石を提
供する。 【解決手段】 希土類元素を含有する硬質磁性相と、F
eおよび/またはCoを含有する軟質磁性相とを含み、
膜面内方向において互いに隣接する硬質磁性相と軟質磁
性相とが存在し、スパッタ法などの物理的気相堆積法に
より形成されたものである交換スプリング薄膜磁石。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極小サイズのモー
タなどに適用される薄膜磁石と、その製造方法とに関す
る。
【0002】
【従来の技術】最近、加工技術の向上や、ミリサイズ以
下のマイクロマシンの需要の高まりから、極めて小さな
サイズのモータなどが必要とされるようになってきてい
る。モータを小型化するためには、厚さが薄く、かつ単
位体積あたりの性能が優れた磁石が必要とされる。
【0003】薄い磁石の作製方法としては、例えば、焼
結磁石を研削加工する方法、ゴム磁石をロールなどによ
り圧延加工する方法などが挙げられる。しかし、焼結磁
石を研削する場合、機械的強度の低下、酸化や加工歪み
による特性劣化などの問題が生じるため、300μm程
度以下の厚さとすることは困難である。一方、ゴム磁石
は、磁石粉末をゴムや樹脂の中に分散した構成であり、
磁石粉末の体積占有率が低いため、高特性が得られな
い。したがって、薄型化すると磁石特性の低下が著し
く、実用に耐えなくなる。
【0004】これに対し、特開平9−266113号公
報では、従来の希土類磁石を上回る磁石特性が得られる
交換スプリング磁石を、薄膜磁石に適用することを提案
している。一般に交換スプリング磁石とは、磁化の大き
い軟質磁性相と保磁力の大きい硬質磁性相とが、交換相
互作用により磁気的に結合することで、高エネルギー積
が得られる磁石である。同公報では、このような交換ス
プリング磁石を薄膜化するために、それぞれ厚さ1〜7
00nmの硬磁性層と軟磁性層とをスパッタ法により積層
し、両者を交換結合させた複合構造としている。このよ
うに薄膜磁石を交換スプリング構造とすることにより、
焼結磁石の研削による薄膜磁石や薄型ゴム磁石などに比
べて磁石特性を高くすることができる。例えば、同公報
の実施例2では、硬磁性層をSm(Co,Fe,Cu,
Zr)7とし、軟磁性層をFe−Coとして、保磁力iH
c=120kA/m(1.5kOe)、最大エネルギー積(BH)ma
x=155kJ/m3(19.5MGOe)の磁石が得られてお
り、実施例3では、硬磁性層をSm2Fe17N3とし、軟
磁性層をFeとして、保磁力iHc=530kA/m(6.6
kOe)、最大エネルギー積(BH)max=250.7kJ/m
3(31.3MGOe)の磁石が得られており、実施例6の
試料No.5では、硬磁性層をNd−Fe−Co−Al−
Ga−B系組成とし、軟磁性層を Fe−Coとして、
保磁力iHc=1070.8kA/m(13.4kOe)、最大
エネルギー積(BH)max=207.5kJ/m3(25.9MGO
e)の磁石が得られている。また、このように薄膜磁石
の製造にスパッタ法を利用すれば、磁石を組み込む装置
との一体化を接着などの手法を用いずに行えるため、工
程の簡素化が可能である。
【0005】しかし、軟磁性層と硬磁性層とをスパッタ
法により積層することで交換スプリング磁石を実現する
方法では、複数のターゲットを交互にスパッタする必要
があるので、ターゲットの枚数が多くなり、また、スパ
ッタ装置が高価になってしまうという問題がある。ま
た、この方法では、軟磁性層と硬磁性層との界面の構造
を制御することが難しいので、高性能の薄膜磁石を安定
して生産することが困難であるという問題もある。
【0006】ところで、特開平4−99010号公報に
も、スパッタ法により希土類合金薄膜磁石を形成する方
法が記載されているが、同公報には交換スプリング磁石
についての記載はない。同公報の実施例において作製さ
れている薄膜磁石は、Nd−Fe−B系およびPr−F
e−B系の希土類合金磁石である。この実施例において
最も高い最大エネルギー積(BH)maxは14MGOeであり、
そのときの希土類元素(R)含有率は18原子%であ
る。一方、この実施例においてR含有率の最も低い値は
9原子%であるが、このときの(BH)maxは8MGOeにすぎ
ない。R2Fe14B中に占めるRの比率、すなわち化学
量論組成におけるRの含有率は11.76原子%なの
で、同公報の実施例で作製されている希土類合金薄膜磁
石では、R2Fe14Bに加え、これよりもRリッチな相
が存在するときに(BH)maxが高くなり、これよりもRプ
アな相が存在するときに(BH)maxが低くなると考えられ
る。交換スプリング磁石では、硬質磁性相であるR2F
e14Bのほかにα−Fe相などからなる軟質磁性相が比
較的多量に存在するので、磁石全体の組成は化学量論組
成に比べRプアとなるが、そのときの磁石特性はRリッ
チの場合よりも高くなる。したがって、同公報の実施例
で作製している薄膜磁石は、交換スプリング構造とはな
っていないことが明らかである。なお、同公報の実施例
におけるR含有率が9原子%の薄膜磁石は、組成からみ
てα−Fe相が存在する可能性もあるが、それにもかか
わらず交換スプリング磁石となっていないのは、硬質磁
性相および軟質磁性相の少なくとも一方の結晶粒径が大
きすぎるためと考えられる。
【0007】上記特開平4−99010号公報に記載さ
れた方法では、積層膜とする必要がないため、スパッタ
ターゲットの枚数が少なくて済み、スパッタ装置も単純
な構造のものを使用できる。しかし、交換スプリング磁
石ではないので、高磁気特性を得るためにはR含有率を
高くしなければならず、原料コストが高くなってしま
う。また、交換スプリング構造の薄膜磁石に比べ、理論
的に期待される磁石特性も低い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、安価
で、しかも磁石特性の高い薄膜磁石を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(14)のいずれかの構成により達成される。 (1) 希土類元素を含有する硬質磁性相と、Feおよ
び/またはCoを含有する軟質磁性相とを含み、膜面内
方向において互いに隣接する硬質磁性相と軟質磁性相と
が存在し、物理的気相堆積法により形成されたものであ
る薄膜磁石。 (2) 硬質磁性相の平均結晶粒径が5〜500nmであ
り、軟質磁性相の平均結晶粒径が5〜60nmである上記
(1)の薄膜磁石。 (3) 厚さが0.01〜300μmである上記(1)
または(2)の薄膜磁石。 (4) 硬質磁性相の磁化容易軸が配向している上記
(1)〜(3)のいずれかの薄膜磁石。 (5) 保磁力が3kOe以上である上記(1)〜(4)
のいずれかの薄膜磁石。 (6) 最大エネルギー積が12MGOe以上である上記
(1)〜(5)のいずれかの薄膜磁石。 (7) 硬質磁性相がR(Rは、Yを含む希土類元素の
少なくとも1種である)、T(Tは、Fe、またはFe
およびCoである)およびBを含有し、軟質磁性相がT
を含有する上記(1)〜(6)のいずれかの薄膜磁石。 (8) 硬質磁性相がR(Rは、希土類元素の1種以上
であり、Smを必ず含む)、T(Tは、Fe、またはF
eおよびCoである)およびNを含有し、軟質磁性相が
Tを含有する上記(1)〜(6)のいずれかの薄膜磁
石。 (9) 硬質磁性相がR(Rは、希土類元素の1種以上
である)およびCoを含有し、軟質磁性相がCoを含有
する上記(1)〜(6)のいずれかの薄膜磁石。 (10) 表面に保護膜を有する上記(1)〜(9)の
いずれかの薄膜磁石。 (11) 上記(1)〜(10)のいずれかの薄膜磁石
を製造する方法であって、物理的気相堆積法を利用し、
硬質磁性相構成元素と軟質磁性相構成元素とを同時に基
板上に堆積させる工程を有する薄膜磁石の製造方法。 (12) 前記物理的気相堆積法がスパッタ法である上
記(11)の薄膜磁石の製造方法。 (13) 前記スパッタ法において、表面に薄膜磁石が
形成される基板の温度を300〜800℃とする上記
(12)の薄膜磁石の製造方法。 (14) 硬質磁性相構成元素と軟質磁性相構成元素と
を同時に基板上に堆積させた後、300〜800℃で熱
処理を施す上記(11)〜(13)のいずれかの薄膜磁
石の製造方法。
【0010】
【作用および効果】前記特開平9−266113号公報
記載の硬磁性薄膜は、硬磁性層と軟磁性層とをスパッタ
法により交互に積層して交換スプリング構造とする。す
なわち、同公報記載の硬磁性薄膜は、膜面に垂直な方向
においてだけ硬質磁性相と軟質磁性相とが隣接する構造
となる。
【0011】これに対し本発明では、交換スプリング構
造の薄膜磁石を製造するに際し、硬質磁性相構成元素と
軟質磁性相構成元素とを、基板上に同時に堆積させる。
この方法を利用して得られる薄膜磁石の最終的な組織構
造は、硬質磁性相と軟質磁性相とが膜内にほぼ均一に分
散したものとなる。すなわち、膜面内方向において互い
に隣接する硬質磁性相と軟質磁性相とが存在することに
なる。このような組織構造により交換スプリング磁石と
しての特性が発現するので、上記特開平4−99010
号公報記載の薄膜磁石よりも希土類元素使用量が少ない
にもかかわらず、同等以上の磁石特性が得られる。
【0012】また、本発明では、前記特開平9−266
113号公報に記載されたような積層構造とする必要が
ないので、例えばスパッタ法を利用する場合、ターゲッ
ト数が少なくて済み、また、複数のターゲットを使用す
る場合でも交互にスパッタする必要がないので、スパッ
タ装置の構成が単純で済み、製造コストが低くなる。ま
た、本発明では、スパッタ膜形成後の熱処理あるいはス
パッタ時の基板加熱により、硬質磁性相と軟質磁性相と
からなる複合組織を形成するため、両相の界面が滑らか
となる。これに対し、前記特開平9−266113号公
報に記載されている方法、すなわち、軟質磁性相からな
る層と硬質磁性相からなる層とをスパッタ法により積層
する方法では、両相の界面を滑らかに形成するための条
件が厳しいため、高磁石特性が得られるとしても、それ
を安定して得ることは難しい。
【0013】
【発明の実施の形態】薄膜磁石 本発明の薄膜磁石は、希土類元素を含有する硬質磁性相
と、Feおよび/またはCoを含有する軟質磁性相とを
含む希土類交換スプリング磁石である。
【0014】高保磁力を得るためには、軟質磁性相の平
均結晶粒径を好ましくは5〜60nm、より好ましくは5
〜40nmとする。磁石中には結晶磁気異方性が高い硬質
磁性相と飽和磁化が高い軟質磁性相とが存在し、軟質磁
性相が微細であるため両相の界面が多くなって交換相互
作用の効果が大きくなり、高保磁力が得られると考えら
れる。軟質磁性相の平均結晶粒径が小さすぎると飽和磁
化が低くなってしまい、大きすぎると保磁力および角形
性が低くなってしまう。
【0015】軟質磁性相と硬質磁性相との区別および各
相の組成は、透過型電子顕微鏡による部分組成分析(T
EM−EDX)により調べることができる。なお、軟質
磁性相は一般に不定形である。
【0016】軟質磁性相の平均結晶粒径は、画像解析に
より算出する。まず、エッチング等を利用して測定用磁
石片を作製し、その測定対象領域中に含まれている軟質
磁性相について、結晶粒の数nおよび各結晶粒の断面積
の合計Sを、画像解析により算出する。そして、軟質磁
性相の結晶粒1個あたりの平均断面積S/nを算出し、
面積がS/nである円の直径Dを平均結晶粒径とする。
すなわち、平均結晶粒径Dは、 式 π(D/2)2=S/n から求める。なお、測定対象領域は、nが50以上とな
るように設定することが好ましい。
【0017】薄膜磁石中における軟質磁性相の割合は、
好ましくは10〜90体積%、より好ましくは10〜8
0体積%である。軟質磁性相の割合が低すぎても高すぎ
ても良好な磁石特性が得られにくくなり、特に最大エネ
ルギー積が低くなりやすい。軟質磁性相の割合は、磁石
断面の透過型電子顕微鏡写真を用いて、いわゆる面積分
析法により求める。この場合、断面積比が体積比とな
る。
【0018】硬質磁性相の平均結晶粒径は、好ましくは
5〜500nm、より好ましくは5〜100nmである。硬
質磁性相の平均結晶粒径が小さすぎる場合には結晶性が
不十分であり、高保磁力が得られにくい。一方、硬質磁
性相の平均結晶粒径が大きすぎると、軟質磁性相との界
面の面積が減少することにより交換相互作用が小さくな
るので、残留磁束密度が小さくなり、また、角形比(H
k/HcJ)が低くなる。また、硬質磁性相の平均結晶粒
径が大きすぎると、後述する希土類窒化磁石に本発明を
適用する場合には窒化処理に要する時間が長くなるとい
う問題が生じる。硬質磁性相の平均結晶粒径は、軟質磁
性相の平均結晶粒径と同様にして算出する。
【0019】なお、上記Hkは、磁気ヒステリシスルー
プの第2象限において磁束密度が残留磁束密度の90%
になるときの外部磁界強度である。Hkが低いと高い最
大エネルギー積が得られない。Hk/HcJは、磁石性能
の指標となるものであり、磁気ヒステリシスループの第
2象限における角張りの度合いを表わす。固有保磁力H
cJが同等であってもHk/HcJが大きいほど磁石中のミ
クロ的な保磁力の分布がシャープとなるため、着磁が容
易となり、かつ着磁ばらつきも少なくなり、また、最大
エネルギー積が高くなる。そして、磁石使用時の外部か
らの減磁界や自己減磁界の変化に対する磁化の安定性が
良好となり、磁石を含む磁気回路の性能が安定したもの
となる。
【0020】硬質磁性相は、磁化容易軸が配向している
ものであることが好ましい。
【0021】磁石中には、上記した硬質磁性相および軟
質磁性相に加え、他の相が含まれていてもよい。ただ
し、磁性をもたない異相の比率は、磁石全体の5体積%
以下であることが好ましい。
【0022】磁石の厚さは、好ましくは300μm以
下、より好ましくは100μm以下とする。磁石が厚す
ぎると、適用する機器の小型化が難しくなる。磁石厚さ
の下限は特になく、交換スプリング磁石としての機能が
阻害されない程度の厚さを確保すればよいが、通常、
0.01μm以上の厚さとする。
【0023】薄膜磁石の形状は特に限定されず、断面が
直線状または弧状の板状体や、円筒等の筒状体などのい
ずれであってもよい。なお、筒状の薄膜磁石は、円柱状
等の柱状体を回転させながらスパッタや蒸着を行うこと
により、形成することができる。
【0024】本発明の薄膜磁石では、適切な組成を選択
し、かつ組織構造を上記のように制御することにより、
3kOe以上の保磁力と、12MGOe以上の最大エネルギー
積とを得ることができる。また、磁気的に異方性化する
ことにより、さらに高い磁石特性を得ることも可能であ
る。
【0025】次に、本発明の薄膜磁石の組成について、
説明する。
【0026】本発明の薄膜磁石において、硬質磁性相お
よび軟質磁性相の各組成は特に限定されないが、通常、
硬質磁性相は、少なくともRおよびCo(Rは希土類元
素である)または少なくともRおよびFeを主成分とす
ることが好ましく、軟質磁性相は、α−Fe、Fe−C
o、Fe−BまたはFe−Nを主成分とすることが好ま
しい。
【0027】両磁性相の好ましい組み合わせとしては、
例えば以下に説明するものが挙げられる。
【0028】(1)硬質磁性相がR(Rは、Yを含む希
土類元素の少なくとも1種である)、T(Tは、Fe、
またはFeおよびCoである)およびBを含有し、軟質
磁性相がTを含有する薄膜磁石 この薄膜磁石は、R2T14B系の交換スプリング磁石で
ある。R2T14B系焼結磁石では、Rリッチ相が液相と
なって流動することにより焼結反応が進行するため、全
体組成が一般にR2T14BよりもRリッチとなるが、本
発明の薄膜磁石では、硬質磁性相が実質的にR2T14B
から構成され、かつ、軟質磁性相が実質的にTから構成
されるため、全体組成はR2T14BよりもRプアとな
る。
【0029】この薄膜磁石における各元素の好ましい含
有量は、 R:4〜10原子%、 B:5〜25原子% であり、残部が実質的にTである。
【0030】Rとしては、Nd、Pr、Tbのうち少な
くとも1種、特にNdが好ましく、さらにDyを含むこ
とが好ましいが、これらに加え、La、Ce、Gd、E
r、Ho、Eu、Pm、Tm、Yb、Yのうち1種以上
を含んでもよい。希土類元素の原料としては、ミッシュ
メタル等の混合物を用いることもできる。R含有量が少
なすぎると硬質磁性相が少なくなって高保磁力が得られ
にくくなる。一方、R含有量が多すぎると、高残留磁束
密度が得られにくくなるほか、コストアップを招く。
【0031】T中のCo量は30原子%以下とすること
が好ましい。
【0032】B含有量が少なすぎると高保磁力が得られ
なくなり、B含有量が多すぎると高残留磁束密度が得ら
れなくなる。
【0033】保磁力を改善するために、元素MI(M
Iは、Al、Cr、Mn、Mg、Si、Cu、C、N
b、Sn、W、V、Zr、Ti、MoおよびGaの1種
以上である)を添加してもよいが、元素MIの添加量が
10原子%を超えると、磁化の低下が問題となる。
【0034】なお、軟質磁性相は、bcc構造のT相で
ある。具体的には、実質的にα−Fe相であるか、α−
Fe相のFeの一部がCo、B、R等で置換されたも
の、例えばFe3B、Fe2B等のFe−B系化合物など
であるか、これらの混相であると考えられる。
【0035】(2)硬質磁性相がR(Rは、希土類元素
の1種以上であり、Smを必ず含む)、T(Tは、F
e、またはFeおよびCoである)およびNを含有し、
軟質磁性相がTを含有する薄膜磁石 この薄膜磁石は、希土類窒化磁石である。この薄膜磁石
には、R、TおよびNのほか、さらに元素MII(M
IIは、Zr、Ti、V、Cr、Nb、Hf、Ta、M
o、W、Al、C、PおよびGaから選択される少なく
とも1種の元素である)を含有することが好ましい。
【0036】硬質磁性相はR、TおよびNを主体とし、
六方晶系のTbCu7型結晶構造および/またはTh2Z
n17型結晶構造をもち、これらの結晶構造に窒素が侵入
した構造である。TbCu7型結晶構造では、Rは主と
してTbサイトに、Tは主としてCuサイトに存在す
る。MIIは、元素によっても異なるが、主としてTbサ
イトに存在し、Cuサイトに存在する場合もある。ま
た、MIIは、軟質磁性相であるbcc構造T相に固溶す
ることもあるが、MIIとTとで別の化合物を形成するこ
ともある。Th2Zn17型結晶構造では、Rは主として
Thサイトに、Tは主としてZnサイトに存在する。M
IIが置換するサイトは、MIIの種類によって異なると考
えられる。
【0037】軟質磁性相はbcc構造のT相および/ま
たはNを含有するT相である。bcc構造T相は、実質
的にα−Fe相であるか、α−Fe相のFeの一部がC
o、MII、R等で置換されたものであるか、これらの混
相であると考えられる。また、Nを含有するT相は、窒
素の固溶体および/またはTの窒化物などから構成され
ると考えられる。
【0038】なお、磁石中には、上記した硬質磁性相お
よび軟質磁性相以外の結晶相として、Fe3Zr相など
が含まれることがある。
【0039】Rの含有量は好ましくは4〜9原子%、よ
り好ましくは5〜7.5原子%である。Nの含有量は好
ましくは10〜20原子%、より好ましくは12〜18
原子%、さらに好ましくは13〜18原子%、最も好ま
しくは13.5〜18原子%である。MIIの含有量は好
ましくは1〜10原子%、より好ましくは2.5〜5原
子%である。そして、残部が実質的にTである。
【0040】Rの含有量が少なすぎると、保磁力が低く
なる。一方、Rの含有量が多すぎるとbcc構造T相の
量が少なくなって磁石特性が低くなり、また、高価なR
を多量に使用することになるため、安価な磁石が得られ
なくなる。Sm以外のRとしては、Y、La、Ce、P
r、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb、Lu等の1種以上を用いることが好ましい。
硬質磁性相はTbCu7型やTh2Zn17型の結晶構造に
窒素が侵入した構成であり、このような硬質磁性相では
RがSmであるときに最も高い結晶磁気異方性を示す。
Smの比率が低いと結晶磁気異方性が低下し保磁力も低
下するため、R中のSm比率は、好ましくは50原子%
以上、より好ましくは70原子%以上とする。
【0041】N含有量が少なすぎると、キュリー温度の
上昇、保磁力の向上、角形比の向上、飽和磁化の向上お
よび最大エネルギー積の向上が不十分となり、N含有量
が多すぎると、残留磁束密度が低下する傾向を示すと共
に角形比が低くなって最大エネルギー積も低くなる。N
含有量はガス分析法などにより測定することができる。
【0042】元素MIIが含まれないと、成膜時あるいは
結晶化のための熱処理時に軟質磁性相の粗大な結晶粒が
析出しやすくなる。これを均質で微細な組織構造とする
ためには、適当な条件で熱処理を施せばよいが、このと
きに許容される条件の幅が狭いため、元素MIIは基本的
に含有されることが好ましい。また、元素MIIを添加す
ることにより保磁力も向上する。ただし、MIIの含有量
が多すぎると、残留磁束密度が低くなってしまう。
【0043】上記各元素を除いた残部が実質的にTであ
る。Tは、Feであるか、あるいはFeおよびCoであ
る。Coの添加は特性を向上させるが、T中のCoの比
率は50原子%以下であることが好ましい。Coの比率
が50原子%を超えると残留磁束密度が低くなってしま
う。
【0044】(3)硬質磁性相がR(Rは、希土類元素
の1種以上である)およびCoを含有し、軟質磁性相が
Coを含有する薄膜磁石 この薄膜磁石における好ましい組成は、 R:6〜15原子% であり、残部が実質的にCoである。なお、Coの一部
をFeやCu等の他の遷移元素で置換してもよいが、磁
気特性の低下を抑えるためには、これらの元素によるC
oの置換率を50原子%以下とすることが好ましい。
【0045】Rとしては、Sm、Y、La、Ce、P
r、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb、Lu等の1種以上が好ましく、少なくともS
mが含まれることがより好ましい。
【0046】硬質磁性相は、実質的にR2Co17、RC
o7またはRCo5から構成されるか、これらの少なくと
も2種を含む混相であり、軟質磁性相は、実質的にCo
から構成される。なお、各相においてCoの一部が、上
記したような他の元素で置換されていてもよい。
【0047】なお、上記(1)〜(3)に示す薄膜磁石
中には、上記した各元素のほか、微量添加物ないし不可
避的不純物として、例えば酸素、炭素、水素などが含ま
れていてもよい。
【0048】保護膜 希土類磁石は酸化されやすいので、薄膜磁石の表面には
保護膜を設けることが好ましい。
【0049】保護膜の構成は特に限定されず、磁石組成
に応じて適切な組成を選択し、十分な保護効果が得られ
るように厚さを決定すればよい。保護膜の具体例として
は、金属膜、例えば、Ti、Ta、Cr、Mo、Ni等
からなる膜;無機化合物膜、例えば、TiN、FeN、
CrN等の遷移金属窒化物膜や、NiO、FeO等の遷
移金属酸化物膜;有機化合物膜、例えば、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリエステル等か
らなる樹脂膜などが挙げられる。保護膜を金属や無機化
合物から構成する場合、厚さは0.01〜10μm程度
とすることが好ましく、保護膜を有機化合物から構成す
る場合、厚さは3〜10μmとすることが好ましい。
【0050】基板 本発明の薄膜磁石は、後述するように、スパッタ法など
の物理的気相堆積法を用いて基板上に形成される。基板
としては、ガラスや非磁性セラミックスなどの非磁性体
や、Fe等の磁性体などのいずれを用いてもよい。例え
ば、磁気回路を構成するヨークを基板として利用するこ
とも可能である。
【0051】下地層 薄膜磁石と基板との間には、必要に応じ下地層を設けて
もよい。磁石組成に応じた適当な下地層を設けることに
より、後述するスパッタ時の基板加熱による薄膜磁石の
磁気的な異方性化を促進することが可能である。下地層
構成元素としては、例えばTi、Mo、Cr、Ta、S
i、Wなどが好ましく、薄膜磁石の組成に応じ、格子定
数のマッチングなどを考慮して適宜選択すればよい。下
地層の厚さは、10〜100nm程度とすることが好まし
い。
【0052】製造方法 次に、本発明の薄膜磁石の製造方法を説明する。
【0053】本発明の薄膜磁石を製造するに際しては、
物理的気相堆積法を利用し、硬質磁性相構成元素と軟質
磁性相構成元素とを同時に基板上に堆積させる。
【0054】物理的気相堆積法としては、スパッタ法、
蒸着法またはイオンプレーティング法が好ましく、特
に、スパッタ法が好ましい。
【0055】スパッタ法における条件は特に限定され
ず、Ar等の希ガス雰囲気中において、硬質磁性相構成
元素と軟質磁性相構成元素とを含有するターゲットを用
いて、あるいはこれら元素の少なくとも1種を含有する
複数のターゲットを用いて、スパッタを行えばよい。な
お、前述したR、TおよびNを含有する薄膜磁石を製造
する際には、スパッタ雰囲気中に窒素を導入して反応性
スパッタを行い、窒化物薄膜を直接形成することも可能
であるが、通常は、スパッタにより合金薄膜を形成した
後、後述する窒化処理を施す構成とする。
【0056】スパッタ法における基板温度は特に限定さ
れないが、基板温度を制御することにより薄膜磁石の結
晶性および結晶配向を制御することが可能である。例え
ば、基板温度を室温付近にした場合には、ほぼ均質なア
モルファス状の薄膜が得られるため、結晶化および相分
離のための熱処理が必須であるが、基板加熱を行った場
合には、硬質磁性相と軟質磁性相とが分離した薄膜を形
成することができる。結晶化のためには、基板温度を好
ましくは300℃以上、より好ましくは400℃以上と
する。ただし、基板温度が高すぎると、結晶相の成長に
より交換相互作用が働きにくくなって高保磁力が得られ
にくくなるので、基板温度は好ましくは800℃以下、
より好ましくは750℃以下とする。また、基板温度を
このような範囲内において制御することにより、硬質磁
性相の磁化容易軸を配向させることも可能である。
【0057】基板加熱により硬質磁性相の磁化容易軸を
配向させる方法は、前述したR2T1 4B系組成およびR
−T−N系組成に適用することが好ましい。この方法に
おける配向方向は磁石組成によって異なり、また、配向
条件(下地層の種類、基板温度等)の影響も受けるが、
通常、R2T14B系組成では薄膜磁石主面にほぼ垂直と
なり、R−T−N系組成では薄膜磁石の面内方向とな
る。
【0058】また、前述したR−Co系組成では、基板
加熱ではなく成膜時の配向用磁場印加により磁化容易軸
を配向させることが好ましい。この場合の配向方向は、
通常、印加した磁場の方向となる。
【0059】アモルファス状の薄膜を形成した後、結晶
化のための熱処理を施す。この熱処理の条件は、所望の
結晶組織が得られるように、組成に応じて適宜決定すれ
ばよいが、通常、処理温度は好ましくは300〜800
℃、より好ましくは400〜750℃とし、処理時間は
好ましくは0.01〜10時間、より好ましくは0.0
5〜5時間とする。熱処理は、薄膜の酸化を防ぐために
Ar、He等の不活性ガス雰囲気中や真空中で行うこと
が好ましい。この熱処理により、硬質磁性相または窒化
により硬質磁性相となる相と、軟質磁性相とが析出す
る。熱処理温度が低すぎると、結晶化および相分離が不
十分となりやすい。一方、熱処理温度が高すぎると、軟
質磁性相が成長しすぎて保磁力が低下しやすくなり、ま
た、組成によっては異相が生じやすくなる。
【0060】なお、スパッタ法により形成した薄膜が結
晶化している場合でも、必要に応じ熱処理を施してもよ
い。例えば、熱処理を施すことにより、異相を削減ない
し消去することが可能である。このような結晶組織制御
のための熱処理は、上記した結晶化のための熱処理と同
様な条件で行えばよい。
【0061】前述したR、TおよびNを含有する薄膜磁
石を作製する場合には、通常、結晶化のための熱処理後
に、窒化処理を施す。なお、結晶組織制御のための熱処
理を行う場合には、この熱処理の後に窒化処理を施す。
窒化処理は、窒素ガス雰囲気中で薄膜に熱処理を施すこ
とにより行う。この窒化処理により、TbCu7型結晶
等の結晶相中に窒素原子が侵入して侵入型の固溶体が形
成され、硬質磁性相となる。窒化処理の際の処理温度
は、好ましくは350〜700℃、より好ましくは35
0〜600℃であり、処理時間は、好ましくは0.1〜
300時間である。窒素ガスの圧力は、0.1気圧程度
以上とすることが好ましい。なお、窒化処理に高圧窒素
ガスを用いたり、窒素ガス+水素ガスを用いたり、アン
モニアガスを用いたりすることもできる。
【0062】用途 本発明の薄膜磁石の用途は特に限定されず、小型化が要
求される各種機器に適用することができる。例えば、超
小型モータのステータや、永久磁石バイアス型のMRヘ
ッド(磁気抵抗効果型ヘッド)のバイアス磁界印加用磁
石、小型アクチュエータ、磁気センサなどに好適であ
る。モータのステータに適用する場合には、膜面に垂直
に磁化容易軸を配向させたものが好ましく、バイアス磁
界印加用薄膜に適用する場合には、膜の面内方向に磁化
容易軸を配向させたものが好ましい。
【0063】
【実施例】実施例1 下記表1に示される薄膜磁石サンプルを、RFマグネト
ロンスパッタ法を利用して作製した。まず、真空槽内を
6×10-6Torr以下まで減圧し、次に、プレスパッタを
15分間行ってターゲット表面の酸化物を除去した後、
合金薄膜を形成した。なお、ターゲットは、アーク溶解
により製造した合金インゴットを粉砕した後、ホットプ
レスすることにより製造した。基板にはガラスを用い
た。基板の加熱は行わなかった。スパッタ雰囲気は5mT
orrのArガスとし、投入電力は250Wとした。
【0064】このようにして得られた合金薄膜は、厚さ
1μmであり、すべてアモルファス状態であった。
【0065】次に、各合金薄膜に、結晶化のための熱処
理を施し、薄膜磁石サンプルとした。表1に、熱処理の
最適条件、すなわち、最も高い最大エネルギー積が得ら
れたときの条件を示す。各サンプルの組成(全体組成)
を表1に示す。組成は、ICPにより調べた。
【0066】これらのサンプルの残留磁化(σr)、保
磁力(HcJ)、最大エネルギー積[(BH)max]を、VS
Mにより測定した。測定方向は膜面に平行な方向とし
た。結果を表1に示す。なお、表1に示す磁気特性は、
熱処理を最適条件で行った場合のものである。
【0067】各サンプルをX線(Cu−Kα線)回折お
よびTEM−EDSにより調べたところ、硬質磁性相
(Nd2Fe14B型結晶相)と軟質磁性相(bcc構造
α−Fe相)とを含む多結晶複合組織となっており、ア
モルファス相は実質的に消失していた。TEM−EDX
により求めた軟質磁性相の平均結晶粒径およびサンプル
中の軟質磁性相の存在比率を、表1に示す。なお、各サ
ンプルの硬質磁性相の平均結晶粒径は、20〜50nmの
範囲にあった。
【0068】
【表1】
【0069】表1から、単層のスパッタ膜において高特
性の交換スプリング磁石が実現することがわかる。
【0070】実施例2 下記表2に示される薄膜磁石サンプルを作製した。
【0071】まず、ターゲットの組成を変更したほかは
実施例1と同条件で合金薄膜を形成した。得られた合金
薄膜は、厚さ1μmであり、すべてアモルファス状態で
あった。
【0072】次に、各合金薄膜に、結晶化のための熱処
理を施した。表2に、熱処理条件を示す。この熱処理条
件は、表1と同様に最適条件である。
【0073】次に、各薄膜に窒化処理を施し、薄膜磁石
サンプルとした。窒化処理は、窒素ガス雰囲気中におい
て400℃で10時間加熱することにより行った。各サ
ンプルの組成を表2に示す。組成は、ICPにより調べ
た。ただし、N量はガス分析により求めた。
【0074】各サンプルをX線(Cu−Kα線)回折お
よびTEM−EDSにより調べたところ、硬質磁性相
(TbCu7型結晶相またはTh2Zn17型結晶相)と軟
質磁性相(bcc構造α−Fe相)とを含む多結晶複合
組織となっており、アモルファス相は実質的に消失して
いた。なお、硬質磁性相がTh2Zn17型結晶相であっ
たのは、サンプルNo.206だけであった。TEM−E
DXにより求めた軟質磁性相の平均結晶粒径およびサン
プル中の軟質磁性相の存在比率を、表2に示す。なお、
各サンプルの硬質磁性相の平均結晶粒径は、20〜50
nmの範囲にあった。
【0075】これらのサンプルの磁気特性を実施例1と
同様にして測定した。結果を表2に示す。なお、表2に
示す磁気特性は、熱処理を最適条件で行った場合のもの
である。
【0076】
【表2】
【0077】表2から、この組成系においても、単層の
スパッタ膜において高特性の交換スプリング磁石が実現
することがわかる。
【0078】実施例3 下記表3に示される薄膜磁石サンプルを作製した。
【0079】まず、ターゲットの組成を変更したほかは
実施例1と同条件で合金薄膜を形成した。得られた合金
薄膜は、厚さ1μmであり、すべてアモルファス状態で
あった。
【0080】次に、各合金薄膜に、結晶化のための熱処
理を施し、薄膜磁石サンプルとした。表3に、熱処理条
件を示す。この熱処理条件は、表1と同様に最適条件で
ある。各サンプルの組成を表3に示す。組成は、ICP
により調べた。
【0081】各サンプルをX線(Cu−Kα線)回折お
よびTEM−EDSにより調べたところ、硬質磁性相
(Sm2Co17型結晶相および/またはSmCo7型結晶
相)と軟質磁性相(Fe相、Co相、Fe−Co相)と
を含む多結晶複合組織となっており、アモルファス相は
実質的に消失していた。TEM−EDXにより求めた軟
質磁性相の平均結晶粒径およびサンプル中の軟質磁性相
の存在比率を、表3に示す。なお、各サンプルの硬質磁
性相の平均結晶粒径は、20〜60nmの範囲にあった。
【0082】これらのサンプルの磁気特性を実施例1と
同様にして測定した。結果を表3に示す。なお、表3に
示す磁気特性は、熱処理を最適条件で行った場合のもの
である。
【0083】
【表3】
【0084】表3から、この組成系においても、単層の
スパッタ膜において高特性の交換スプリング磁石が実現
することがわかる。
【0085】なお、スパッタの際に基板を550℃に加
熱したほかは上記実施例1および実施例2と同様にして
薄膜磁石サンプルを作製したところ、硬質磁性相の磁化
容易軸の配向が認められた。配向の方向は、実施例1の
組成のサンプルでは膜面に垂直な方向であり、実施例2
の組成のサンプルでは、膜の面内方向であった。また、
スパッタの際に基板の面内方向に3kOeの磁場を印加し
たほかは上記実施例3と同様にして薄膜磁石サンプルを
作製したところ、面内方向に磁化容易軸の配向が認めら
れた。
【0086】以上の実施例から、本発明の効果が明らか
である。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類元素を含有する硬質磁性相と、F
    eおよび/またはCoを含有する軟質磁性相とを含み、
    膜面内方向において互いに隣接する硬質磁性相と軟質磁
    性相とが存在し、物理的気相堆積法により形成されたも
    のである薄膜磁石。
  2. 【請求項2】 硬質磁性相の平均結晶粒径が5〜500
    nmであり、軟質磁性相の平均結晶粒径が5〜60nmであ
    る請求項1の薄膜磁石。
  3. 【請求項3】 厚さが0.01〜300μmである請求
    項1または2の薄膜磁石。
  4. 【請求項4】 硬質磁性相の磁化容易軸が配向している
    請求項1〜3のいずれかの薄膜磁石。
  5. 【請求項5】 保磁力が3kOe以上である請求項1〜4
    のいずれかの薄膜磁石。
  6. 【請求項6】 最大エネルギー積が12MGOe以上である
    請求項1〜5のいずれかの薄膜磁石。
  7. 【請求項7】 硬質磁性相がR(Rは、Yを含む希土類
    元素の少なくとも1種である)、T(Tは、Fe、また
    はFeおよびCoである)およびBを含有し、軟質磁性
    相がTを含有する請求項1〜6のいずれかの薄膜磁石。
  8. 【請求項8】 硬質磁性相がR(Rは、希土類元素の1
    種以上であり、Smを必ず含む)、T(Tは、Fe、ま
    たはFeおよびCoである)およびNを含有し、軟質磁
    性相がTを含有する請求項1〜6のいずれかの薄膜磁
    石。
  9. 【請求項9】 硬質磁性相がR(Rは、希土類元素の1
    種以上である)およびCoを含有し、軟質磁性相がCo
    を含有する請求項1〜6のいずれかの薄膜磁石。
  10. 【請求項10】 表面に保護膜を有する請求項1〜9の
    いずれかの薄膜磁石。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかの薄膜磁石
    を製造する方法であって、物理的気相堆積法を利用し、
    硬質磁性相構成元素と軟質磁性相構成元素とを同時に基
    板上に堆積させる工程を有する薄膜磁石の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記物理的気相堆積法がスパッタ法で
    ある請求項11の薄膜磁石の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記スパッタ法において、表面に薄膜
    磁石が形成される基板の温度を300〜800℃とする
    請求項12の薄膜磁石の製造方法。
  14. 【請求項14】 硬質磁性相構成元素と軟質磁性相構成
    元素とを同時に基板上に堆積させた後、300〜800
    ℃で熱処理を施す請求項11〜13のいずれかの薄膜磁
    石の製造方法。
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