JPH11218491A - 光導波路表面上にしみ出したエバネッセント光の強度分布を測定する方法 - Google Patents

光導波路表面上にしみ出したエバネッセント光の強度分布を測定する方法

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JPH11218491A
JPH11218491A JP2204998A JP2204998A JPH11218491A JP H11218491 A JPH11218491 A JP H11218491A JP 2204998 A JP2204998 A JP 2204998A JP 2204998 A JP2204998 A JP 2204998A JP H11218491 A JPH11218491 A JP H11218491A
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optical waveguide
fluorescence
light
fluorescent substance
film
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JP2204998A
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Toshinori Hayashi
俊典 林
Toru Enoshima
徹 榎島
Norihiko Ishiguro
敬彦 石黒
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Tosoh Corp
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Tosoh Corp
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  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】エバネッセント光を利用して光導波路の表面上
に直接又は間接的に拘束された蛍光物質の定量や定性を
行う蛍光分析装置において、光導波路や励起光等に応じ
て決定される、励起光や蛍光物質からの蛍光が光導波路
を伝搬する際のエバネッセント光のしみ出し距離を測定
する方法を提供する。 【解決手段】エバネッセント光を利用する光導波路表面
上の蛍光分析装置における、光導波路表面上にしみ出し
たエバネッセント光の強度分布を測定する方法であり、
(1)該光導波路の該表面に、該光導波路を構成する材
料よりも小さい屈折率を有し、かつ、励起光及び蛍光を
透過し得る均一な厚さの膜を形成し、該膜の外側表面に
分析対象である蛍光物質を均一に付着させることで該蛍
光物質と光導波路表面間の物理的な距離を制御し、
(2)前記蛍光物質からの蛍光強度を測定し、(3)前
記膜の厚さのみを変更して蛍光強度を測定し、膜の厚さ
に従って蛍光強度が変化する様子を求める、という各操
作を含む方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エバネッセント光を利
用して光導波路表面上に直接又は間接的に拘束された蛍
光物質の定量や定性を行う蛍光分析方法で使用される蛍
光分析装置における、該光導波路表面上にしみ出したエ
バネッセント光の強度分布を測定する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】光導波路を使用し、その表面上に直接又
は間接的に拘束された蛍光物質を測定するための蛍光分
析装置は、既にいくつか提案されている。例えば、光導
波路の端面から励起光を照射し、励起光が光導波路内部
で全反射するときに光導波路外にしみ出す光(エバネッ
セント光)を使って、光導波路表面に直接又は間接的に
拘束された蛍光物質を蛍光励起し、蛍光物質からの蛍光
を検出することにより検査溶液中の特定成分の量を求め
る装置として図4に示したようなものが知られている。
【0003】図4に示した装置では、プリズム(48)
の一表面をひとつの区画面とする反応槽(47)を設
け、プリズムの上記一表面を特定成分を吸着し得る物質
でコーティングしておき、この反応槽内部に蛍光物質を
結合した特定成分を含む試料溶液(49)を注入する。
こうすることによって、試料溶液中の特定成分の濃度に
対応する量の蛍光物質がプリズムのコーティング領域に
吸着する。この蛍光物質に対し、励起光(43)をプリ
ズムの上記コーティング領域とは別の面から、そのコー
ティング表面と溶液の界面において臨界角以上の角度と
なるように入射させると、励起光はプリズムのコーティ
ング領域において一回だけ全反射し、他の面から出射す
る。この全反射時に一部の光がエバネッセント光として
試料溶液中にしみ出すのである。
【0004】しみ出す距離dp(その電解強度が1/e
となる距離、ただしeは自然対数の底(定数)である)
は下記式に従っており、一般には100nm前後である
ため、プリズムのコーティング領域から一定範囲内に拘
束され又は存在する蛍光物質を選択的に励起することが
できる。
【0005】
【化1】
【0006】なお、上記式において、λは光の波長、n
1はプリズムの光屈折率、n2は溶液の光屈折率、θは
プリズムと溶液の界面に入射する光の入射角である。こ
うして励起光が照射されることにより蛍光物質から出さ
れた蛍光(44)をプリズムのコーティング領域に対向
する方向から検出し、コーティング領域に拘束された蛍
光物質の物理量、更には試料溶液中の特定成分の濃度に
対応する物理量を算出するのである。
【0007】また具体的に例えば、図5に示したような
装置も提案されている。この装置では、スラブ型の光導
波路(52)の一表面をひとつの区画面とする反応槽を
設け、スラブ型光導波路の上記一表面に抗体や抗原を固
定しておき、この反応槽の内部に試料溶液と蛍光物質を
結合した標識抗体又は標識抗原を注入して免疫反応を生
じさせる。こうすることにより、試料溶液中の抗原又は
抗体の濃度に対応する量の蛍光物質がスラブ型光導波路
のコーティング領域に免疫複合体の形態で拘束される。
蛍光物質に対して励起光(43)をスラブ型光導波路の
一端面から入射させると光導波路の表面で全反射を繰り
返しながら伝播していくが、その全反射時に試料溶液中
にしみ出すエバネッセント光を使って、コーティング表
面に拘束された蛍光物質を励起することができるのであ
る。
【0008】この装置の場合、コーティング領域におい
て複数回の全反射が起こるため、図4に示したようなプ
リズム表面における一回の全反射を利用する場合と比較
してエバネッセント光が多く発生し、これにより照射さ
れる蛍光物質量が増えるため蛍光量が多く、試料溶液中
の抗原又は抗体に対して高感度な測定が可能であるとい
う利点がある。
【0009】更に例えば、図6に示したようなファイバ
ー型の光導波路(53)を反応槽(51)に浸たした装
置も提案されている。ファイバー型光導波路の表面に抗
体や抗原を固定しておき、このファイバー型光導波路を
浸した反応槽の内部に試料溶液(49)と蛍光物質を結
合した標識抗体又は標識抗原を注入して免疫反応を生じ
させる。こうすることにより、試料溶液中の抗原又は抗
体の濃度に対応する量の蛍光物質がファイバー型光導波
路のコーティング領域に免疫複合体の形態で拘束され
る。蛍光物質に対して励起光(43)をファイバー型光
導波路の一端面から入射させると光導波路の内面で全反
射を繰り返しながら伝播していくが、その全反射時に試
料溶液中にしみ出すエバネッセント光を使って、コーテ
ィング領域に拘束された蛍光物質を励起することができ
るのである。
【0010】このような装置の場合も、コーティング領
域において複数回の全反射が起こるため、前記と同様の
理由により図4に示したようなプリズム表面における一
回の全反射を利用する場合と比較して蛍光量が多く、試
料溶液中の抗原又は抗体に対して高感度な測定が可能で
あるという利点がある。
【0011】なお、図5や図6に示した装置において、
標識抗体や標識抗原の標識物質を酵素とし、その酵素の
作用によって蛍光物質が生じるように、蛍光物質に変換
される酵素基質(蛍光物質前駆物質)を注入すれば、光
導波路表面に免疫複合体の形態で拘束された酵素の作用
によって生成する蛍光物質は、光導波路表面近傍に一時
的に存在することになるため、光導波路からしみ出すエ
バネッセント光を使って蛍光励起することができる。従
って、光導波路の表面に間接的に拘束された酵素や試料
溶液中の抗原又は抗体の定量が可能となる。
【0012】光導波路の表面からしみ出したエバネッセ
ント光は、再び光導波路の内部に入射し伝播していくこ
とが知られているが、この現象はエバネッセント光によ
って誘起された蛍光についても同様である。すなわち、
エバネッセント光がしみ出す範囲で発生し光導波路の内
部に侵入した蛍光は、光導波路で反射する場合に臨界角
以上の角度を持つ成分を有しており、このような蛍光は
全反射を繰り返しながら光導波路を伝播していく。従っ
て、スラブ型かファイバー型か否かに限らず、光導波路
の端面から励起光を入射してその表面における多重反射
を利用する場合には、その蛍光を検出する方向におい
て、光導波路のコーティング領域に対向する方向から検
出する方法、励起光が出射する端面の側において検出す
る方法、そして励起光が入射する端面の側において検出
する方法の3通りの方法が考えられる。最近では、図5
及び図6に示したような、励起光を入射する端面の側に
おいて検出する方法が多く採用されているが、その意図
するところは光導波路の表面における蛍光物質の蛍光励
起効率の向上と励起光バックグラウンドの除去にある。
【0013】なお、図5及び図6から明らかなように、
スラブ型光導波路における光の封じ込めは一次元である
のに対し、ファイバー型光導波路の場合は二次元である
ため、光導波路における蛍光の伝播は、ファイバー型光
導波路の方がより効率的である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記のような蛍光分析
装置において、しみ出すエバネッセント光が光導波路の
表面から遠くまで届きすぎる場合、光導波路の表面上に
直接又は間接的に拘束されていない蛍光物質まで蛍光励
起されることになる。従って、エバネッセント光のしみ
出す範囲(到達範囲)が大きくなると広い範囲で蛍光物
質を照射し得る(励起効率が向上する)という利点があ
る反面、光導波路表面上に拘束されていない蛍光物質ま
で蛍光励起されてしまうため、蛍光分析における正確性
が低下する可能性がある。このため、エバネッセント光
のしみ出す範囲はこれらを勘案して決定し、制御する必
要がある。
【0015】ところが従来装置においては、エバネッセ
ント光が光導波路の表面からしみ出す距離dpは前記し
たような式を使って計算されるのみである。即ち、従来
から多くのエバネッセント光を利用する蛍光分析装置が
提案されているにもかかわらず、これら装置における励
起効率や正確性に深く関係するエバネッセント光のしみ
出す距離は実験的に求められるのではなく、前記計算式
に頼っているのが現状である。この結果、種々の課題が
生じている。
【0016】第1に、実際に使用する励起光や蛍光の波
長λは特定の幅を有しているため、波長λの分布に伴っ
て実際のエバネッセント光がしみ出す距離も一定の範囲
に分布しており、前記式のように単波長を前提とした計
算では実状を把握することができない。
【0017】第2に、実際に使用する励起光や蛍光で
は、光導波路から試料溶液との界面に入射する光の入射
角θが特定の幅を有しているため、光導波路と試料溶液
の界面に入射する光の入射角θの分布に伴って実際のエ
バネッセント光のしみ出し距離も一定の範囲に分布して
おり、前記式のように単一の入射角θを前提とした計算
では実状を把握することができない。
【0018】第3に、エバネッセント光以外の励起光が
試料溶液中へ侵入する問題や、エバネッセント光以外の
蛍光が光導波路へ侵入する問題がある。光導波路を伝播
する励起光は、全反射を繰返してエバネッセント光とし
て表面から試料溶液中に侵入する光だけでなく、全反射
角より小さい角度であっても減衰しながら伝播して試料
溶液中に透過する光や、光導波路表面の微細な凹凸によ
り散乱して試料溶液中に侵入する光も存在する。このよ
うな光は試料溶液中に深く(遠くまで)到達するため、
正確性を悪化させる。
【0019】また、光導波路を伝搬する蛍光にも、エバ
ネッセント光のしみ出す範囲の表面近傍で放射され、ト
ンネル効果で光導波路内に侵入した後、全反射伝搬する
蛍光成分(エバネッセントコレクション蛍光;以下、E
VC蛍光という)と、それ以外の蛍光成分(非エバネッ
セントコレクション蛍光;以下、非EVC蛍光という)
がある。光導波路表面から遠く離れた場所で放射された
蛍光は、光導波路内において全反射条件を満たすことが
できず、その多くは光導波路外に出射する。しかし、全
反射角より小さい角度であっても減衰しながら伝搬する
蛍光や、光導波路表面の微細な凸凹により散乱すること
で結果として全反射条件を満たす蛍光等が存在し、非E
VC蛍光を形成する。これら非EVC蛍光も、前記正確
性を悪化させる。
【0020】前記のような式では、これらエバネッセン
ト光以外の励起光や蛍光の影響を見積ることができな
い。
【0021】以上の通り、前記式を用いて蛍光分析装置
におけるエバネッセント光がしみ出す距離を求めても正
確な値を知ることはできない。そこで本発明は、エバネ
ッセント光を利用して光導波路の表面上に直接又は間接
的に拘束された蛍光物質の定量や定性を行う蛍光分析装
置において、光導波路や励起光等に応じて決定される、
励起光や蛍光物質からの蛍光が光導波路を伝搬する際の
エバネッセント光のしみ出し距離を測定する方法を提供
しようとするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めなされた請求項1の方法は、エバネッセント光を利用
する光導波路表面上の蛍光分析装置における、光導波路
表面上にしみ出したエバネッセント光の強度分布を測定
する方法であり、(1)該光導波路の該表面に、該光導
波路を構成する材料よりも小さい屈折率を有し、かつ、
励起光及び蛍光を透過し得る均一な厚さの膜を形成し、
該膜の外側表面に分析対象である蛍光物質を均一に付着
させることで該蛍光物質と光導波路表面間の物理的な距
離を制御し、(2)前記蛍光物質からの蛍光強度を測定
し、(3)前記膜の厚さのみを変更して蛍光強度を測定
し、膜の厚さに従って蛍光強度が変化する様子を求め
る、という各操作を含むことを特徴とする方法である。
特に本発明は、表面上に膜を形成した光導波路を、該膜
と光屈折率が同程度となるように調製した蛍光物質の溶
液中に浸し、これにより該蛍光物質と光導波路表面間の
物理的な距離を制御することを特徴とする、前記のよう
な光導波路表面上にしみ出したエバネッセント光の強度
分布を測定する方法である。以下、本発明を図面に基づ
き詳細に説明する。
【0023】図1及び2は、本発明の方法を実施するた
めの蛍光分析装置の一例を説明するための図である。図
1の装置は、蛍光物質からの蛍光に対して透明な物質を
材料とする光導波路(1)と、蛍光物質を励起する励起
光(7)に対して透明な物質を材料とし内部に該光導波
路及び蛍光物質を含む試料溶液(9)を収容するように
した収納容器(3)と、蛍光物質を蛍光励起し得る波長
の励起光(7)を放射できる放射光源であって収納容器
に収容された光導波路の表面に対向する側から該面を照
射するように配置された光放射源(4)と、光導波路の
端面から出射する光について、該蛍光物質から放射され
た蛍光波長を選択する光学系(5)を介して該光を検出
するように配置された、光導波路に侵入して光導波路を
伝搬する蛍光(8)を検出する光センサー(6)から構
成されている。
【0024】図2の蛍光分析装置は、蛍光物質の励起光
に対して透明な物質を材料とする光導波路(1)と、蛍
光物質からの蛍光(8)に対して透明な物質を材料とし
内部に該光導波路及び蛍光物質を含む試料溶液(9)を
収容するようにした収納容器(3)と、蛍光物質を蛍光
励起し得る波長の励起光(7)を放射できる放射光源で
あって収納容器に収容された光導波路の端面から励起光
を光導波路に照射するように配置された光放射源(4)
と、光導波路の表面からしみ出た励起光のエバネッセン
ト光により励起された蛍光物質が放射した蛍光波長を選
択する光学系(5)を介して該光を検出するように配置
された、光導波路の表面に対向して配置された光センサ
ー(6)から構成されている。
【0025】図3の蛍光分析装置は、蛍光物質の励起光
(7)及び蛍光物質からの蛍光(8)に対して透明な物
質を材料とする光導波路(1)と、光導波路及び蛍光物
質を含む試料溶液(9)を収容するようにした収納容器
(3)と、蛍光物質を蛍光励起し得る波長の励起光
(7)を放射できる放射光源であって収納容器に収容さ
れた光導波路の端面から励起光を光導波路に照射するよ
うに配置された光放射源(4)と、光導波路の表面から
しみ出た励起光のエバネッセント光により励起された蛍
光物質が放射した蛍光波長を選択する光学系(5)を介
して該光を検出するように配置された、光導波路に侵入
して光導波路を伝搬する蛍光(8)を検出する光センサ
ー(6)から構成されている。
【0026】本発明の方法は、図1〜図3に示したよう
な装置でのみ実施可能なものではなく、例えば図4〜図
6に示したような従来から使用されている蛍光分析装置
におけるエバネッセント光のしみ出し距離を測定する場
合にも実施可能である。
【0027】本発明の方法では、光導波路の表面上に、
光導波路を構成する材料よりも小さい屈折率を有する膜
(2)を均一な厚さに形成する。ここで、図1のような
装置で本発明の方法を実施するためには該膜を蛍光物質
からの蛍光によるエバネッセント光を透過し得る材料
で、図2のような装置で本発明の方法を実施するために
は該膜を励起光によるエバネッセント光が透過し得る材
料で、そして図3のような装置で本発明の方法を実施す
るためには該膜を励起光及び蛍光によるエバネッセント
光が透過し得る材料で形成する。また、該膜の厚みは膜
を透過させるエバネッセント光(蛍光物質からの蛍光を
も透過させる場合には、エバネッセント光及び該蛍光)
の波長よりも小さくする。このように形成した膜によ
り、蛍光物質を含む試料溶液中に光導波路を浸す等した
場合に、少なくとも該膜を形成した光導波路の表面を試
料溶液と接触させた場合に、光導波路の表面と蛍光物質
間の物理的な距離を制御する。
【0028】蛍光物質を含む試料溶液の光屈折率は、光
導波路の表面に形成した前記膜と同程度の光屈折率にす
ることが好ましい。これにより、蛍光信号が前記膜と試
料溶液の界面において受ける乱れ(屈折や反射)を無視
することが可能となる。
【0029】図1〜図3に記載した装置の例では、表面
に膜を形成した光導波路を蛍光物質を含む試料溶液中に
浸したのみであるが、光導波路の膜上には、蛍光物質を
直接又は間接的に拘束するためのコーティングを施して
も良い。ここで、蛍光物質を直接吸着し得るコーティン
グは、例えば従来から知られている免疫分析を行う装置
のように抗体や抗原であっても良い。例えば抗体をコー
ティングした場合には、試料溶液中に該抗体に結合可能
な抗原と該抗原に対する蛍光物質で標識された他の抗体
を注入すれば、蛍光物質は免疫複合体の形態で間接的に
拘束されることになる。またこのように免疫反応を利用
する場合、標識には酵素等を用いることもできる。試料
溶液中に酵素作用により蛍光物質に変換される前駆体を
注入すれば、一時的にせよ蛍光物質が前記のような免疫
複合体の近傍、即ちコーティング領域近傍に存在するこ
とになる。
【0030】以上のような状況下で励起光を光導波路の
表面に対向する側から又は光導波路の端面から照射し、
蛍光物質からの蛍光を光導波路の表面に対向する側又は
光導波路の端面で検出する。図1の装置においては、エ
バネッセント光のしみ出す範囲の表面近傍で放射され、
トンネル効果で光導波路内に侵入した後、全反射伝搬す
るEVC蛍光が検出されることになる。また図2の装置
では、光導波路内を伝搬した励起光によるエバネッセン
ト光で励起された結果生じた蛍光が検出されることにな
る。そして図3の装置では、導波路を伝搬した励起光に
よるエバネッセント光で励起された結果生じた蛍光のう
ち、トンネル効果により光導波路内に侵入した後、全反
射伝搬するEVC蛍光が検出されることになる。これら
の蛍光は、各蛍光分析装置におけるエバネッセント光が
しみ出す範囲内に存在する蛍光物質から放射されること
になるが、前記のように光導波路の表面上に膜を形成し
て光導波路の表面と蛍光物質間の距離を物理的に制御し
てやることで、膜の厚みを増加するに従って蛍光強度は
指数関数的に減少する。
【0031】そこで本発明の方法では、前記膜の厚みの
みを変更して蛍光強度を測定することにより、光導波路
から離れるに従って減少するエバネッセント光の光強
度、即ちエバネッセント光の強度分布を測定することが
可能となるのである。また更には、前記膜を形成しなか
った場合に得られる蛍光強度をiとし、本発明により強
度分布を測定して例えば該強度がi/e2となる膜の厚
みをエバネッセント光がしみ出す距離とすることもでき
る。即ち図1の装置においては、EVC蛍光のしみ出す
距離を、図2の装置では光導波路内を伝搬した励起光に
よるエバネッセント光のしみ出す距離を、そして図3の
装置では導波路を伝搬した励起光によるエバネッセント
光及びEVC蛍光の両者が混合した光のしみ出す距離
を、本発明の結果、即ちエバネッセント光の光強度分布
からそれぞれ求めることができる。
【0032】蛍光強度がi/e2となる膜の厚みを求め
るために、当初厚い膜を形成しておき、後に薄い膜を形
成して蛍光強度が増加する様子を求めることもできる
が、通常はまず薄い膜を形成しておき、後に厚い膜を形
成して蛍光強度が減少する様子を求める方が簡便であり
好ましい。ここで例えば、複数の光導波路を準備し、そ
れぞれに異なる厚みの膜を形成し、これらを同一の試料
溶液収納容器中に浸して本発明の方法を実施すれば、迅
速にエバネッセント光の強度分布やエバネッセント光が
しみ出す距離を求めることが可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
るために実施例を記載するが、本発明はこれら実施例に
限定されるものではない。
【0034】図7に記載した装置を用い、EVC蛍光の
強度分布を測定した。図7の装置は、EVC蛍光を利用
して光導波路の表面上に直接又は間接的に拘束された蛍
光物質からの蛍光信号を検出する蛍光分析装置であり、
誘起光を光導波路の表面に対向する側から照射し、光導
波路の端面で蛍光物質から放射され光導波路を伝搬した
蛍光の強度を検出するものである。
【0035】この装置では、光導波路(1)として光学
顕微鏡用スライドグラス(幅26mm、長さ76mm、
高さ0.9mm、光屈折率1.52)を使用した。蛍光
信号を検出するための上端面(縦0.9mm、横26m
mの長方形の面の一方)、及び蛍光物質からの蛍光をス
ライドガラスに侵入させるための、表面(縦26mm、
横76mmの長方形の面)及び該表面に対向する面(縦
26mm、横76mmの長方形の面の他方)を除き、他
の三つの面(縦0.9mm、横26mmの長方形の面の
他方、縦0.9mm、横76mmの長方形の二つの面)
に光吸収用の黒色ゴムを塗布した。
【0036】前記表面にのみ、真空蒸着により光屈折率
1.36の四弗化エチレン(PTFE)の膜を0〜40
0nmの範囲となるように形成し、合計13種類の異な
る厚さのPTFE膜を有する光導波路を作製した。
【0037】この光導波路を上部に2箇所のテーパ部を
有する組立部品(21)に吊持させ、内部に濃度5μM
の蛍光物質(Eu3+キレート)の溶液(光屈折率;1.
35)(9)を注入した内径φ28×外径φ30×高さ
60mmのガラス製ビーカー内に設置した。ガラス製ビ
ーカーは、Z軸ステージのテーブル上に設置した後、Z
軸ステージの操作により組立部品(21)のテーパ部と
テーブル(23b)の上面を接続部品(24)に接する
ように移動して、吊持されたスライドガラス(1)と光
放射源(4a、4b、4c)の光学的位置関係及びスラ
イドガラス(1)と光センサー(6)の光学的位置関係
が互いに垂直となるように調整した。
【0038】蛍光物質の蛍光を誘起する波長の光(励起
光)を放射する光放射源(4a)としてはキセノンフラ
ッシュランプを、蛍光信号を検出する光センサー(6)
として光電子増倍管を使用した。なお、キセノンフラッ
シュランプから出射された励起光は、光学フィルター
(4b)によって370プラスマイナス17nmの波長
光のみが選択され,光学レンズ(4c)によって光束調
整された後、スライドガラスの前記表面上に照射され
る。その照射範囲に存在する蛍光物質(Eu3+キレー
ト)からの蛍光は、スライドガラス(1)に侵入して伝
播し、その上端面から出射し、光学レンズ(5a)、光
学フィルター(5b)により615nmプラスマイナス
30nmの波長範囲の光が選択されたあと、光電子倍増
管(6)で検出された。なお光センサーの出力信号は、
計測系ノイズ、スライドガラス自体の蛍光、励起散乱光
の影響を軽減するため、励起光照射後400〜800μ
秒の範囲の信号を時間分解計測により積算した。
【0039】なお本例では、光放射源として紫外域から
可視域に至る幅広い波長の光を四方に放射するキセノン
フラッシュランプを用いたため、光学フィルターと光学
レンズを用いて波長選択と光束の調整を行ったが、レー
ザー等を用いれば波長選択や光束の調整は不要である。
また、スライドガラスとキセノンフラッシュランプの光
学的位置関係、スライドガラスと光センサーの光学的位
置関係の決定手段については、コネクタを利用する等し
ても良い。また更には、本例では単に蛍光物質(Eu3+
キレート)の溶液を用いるのみで光導波路(スライドガ
ラス)の表面に形成した膜上にEu3+キレートを直接又
は間接的に拘束する手段は使用していないが、スライド
ガラスを取り囲む試料溶液中のEu3+キレートの濃度は
均一であり、本発明の方法を実施する際の支障とはなら
ない。
【0040】以上の装置において検出された蛍光強度と
PTFE膜の厚さの関係を図8に示す。図8における横
軸(PTFE膜厚)の値は、蒸着装置内部に設置された
水晶膜厚振動子のモニター値をエリプソメータで更正し
た値である。
【0041】図8のように、検出された蛍光強度はPT
FE膜が厚くなるに従って指数関数的に減少する。本例
において検出される蛍光には、光導波路表面上であって
エバネッセント光がしみ出す範囲で放射され、トンネル
効果で光導波路内に侵入した後、全反射伝搬したEVC
蛍光と、それ以外の経路で伝搬した非EVC蛍光の混ざ
った光であるが、EVC蛍光の強度はPTFE膜の厚さ
に依存するのに対し、非EVC蛍光はPTFE膜の厚さ
に依存しない。従って、図8における実測値の近似曲線
が漸近する値、即ち22000カウントが非EVC蛍光
の蛍光強度であり、残りがEVC蛍光である。
【0042】EVC蛍光と考えられる部分を抽出し、自
然対数に変換した後、近似曲線を求めた。その結果を図
9に示す。エバネッセント光の電界強度Eは光導波路の
表面からの距離dにしたがって減衰し、式2であらわさ
れる。また、光の強度Iは電界強度Eと式3の関係にあ
る。従って、本発明の方法で得られた蛍光強度とPTF
E膜の厚さの関係のうち、蛍光強度を自然対数に変換
し、その曲線の傾き(slope)からエバネッセント
光のしみ出す距離dpを式4で求めることができる。
【0043】
【化2】
【0044】
【化3】
【0045】
【化4】
【0046】本例では光導波路内における光の表面入射
角は全反射の臨界角から90°の範囲で分布しており、
自然対数に変換後の近似曲線はこれらの合成として表現
されるため、単一の傾きを持った直線とはならない。し
かし、図9における近似曲線の傾きの最小値と最大値
が、それぞれEVC蛍光のしみ出す距離の最小値と最大
値に対応することから、その値を式4に従って求める
と、それぞれ約50nmと約340nmという値が得ら
れる。結果の妥当性は図10に示した理論値とほぼ一致
していることから明らかである。すなわち、検出された
全蛍光強度のうち、22000カウントが非EVC蛍光
であり、全蛍光強度から22000カウントを差し引い
た残りの部分がEVC蛍光である。
【0047】以上の結果、EVC蛍光のしみ出す距離は
約50nm〜約340nmの範囲に分布しており、それ
らを合成した、本例の測定系におけるEVC蛍光のしみ
出し距離は、図8において蛍光強度が指数関数的に減少
する部分においてi/e2にとなるときの膜の厚さ、す
なわち、約240nmである。
【0048】
【発明の効果】本発明の方法を用いてエバネッセント光
を利用する蛍光分析装置におけるエバネッセント光の強
度分布や実際のエバネッセント光のしみ出し距離を求め
れば、前述した従来技術の課題を解決し、以下のような
効果を達成することができる。第1に、実際に使用する
励起光や蛍光の波長λが特定の幅を有している場合に
も、実際の強度分布やしみ出し距離を求めることができ
る。しかもこの値は、単に数式を用いて算出したもので
はなく、実測値に基づくものであることから、実状を反
映した正確な値を得ることができるという効果がある。
【0049】第2に、実際に使用する励起光や蛍光にお
いて、光導波路側から試料溶液との界面に入射する光の
入射角θが特定の幅を有している場合にも、実際の強度
分布やしみ出し距離を求めることができ、実状を反映し
た正確な値を得ることができる。
【0050】第3に、エバネッセント光以外の励起光の
溶液中への侵入やエバネッセント光以外の蛍光の光導波
路への侵入がある場合にも、実施例に示したように非E
VCの値を求めて検出された全蛍光強度から除くこと
で、実状を反映した正確な強度分布やしみ出し距離を得
ることができる。更には、非EVC蛍光のしめる割合を
求めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を説明するための図である。
【図2】本発明の方法を説明するための図である。
【図3】本発明の方法を説明するための図である。
【図4】従来の蛍光分析装置の概略図である。
【図5】従来の蛍光分析装置の概略図である。
【図6】従来の蛍光分析装置の概略図である。
【図7】実施例において用いた蛍光分析装置の組立図で
ある。
【図8】エバネッセント光の強度分布の測定結果であ
る。
【図9】エバネッセント光の強度分布の測定結果であ
る。
【図10】エバネッセント光のしみ出し距離の計算結果
を示す図である。
【符号の説明】
1 光導波路 2 膜 3 収納容器 4 光放射源 4a キセノンフラッシュランプ 4b 光学フィルター 4c 光学レンズ 5 光学手段 5a 光学レンズ 5b 光学フィルター 6 受光センサー 7 蛍光を誘起する光、励起光 8 蛍光 21 組立部品 22 Z軸ステージ 23a,23b Z軸ステージ上のテーブル 24 接続部品

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エバネッセント光を利用する光導波路表面
    上の蛍光分析装置における、光導波路表面上にしみ出し
    たエバネッセント光の強度分布を測定する方法であり、
    (1)該光導波路の該表面に、該光導波路を構成する材
    料よりも小さい屈折率を有し、かつ、励起光及び蛍光を
    透過し得る均一な厚さの膜を形成し、該膜の外側表面に
    分析対象である蛍光物質を均一に付着させることで該蛍
    光物質と光導波路表面間の物理的な距離を制御し、
    (2)前記蛍光物質からの蛍光強度を測定し、(3)前
    記膜の厚さのみを変更して蛍光強度を測定し、膜の厚さ
    に従って蛍光強度が変化する様子を求める、という各操
    作を含むことを特徴とする、前記方法。
  2. 【請求項2】表面上に膜を形成した光導波路を、該膜と
    光屈折率が同程度となるように調製した蛍光物質の溶液
    中に浸し、これにより該蛍光物質と光導波路表面間の物
    理的な距離を制御することを特徴とする、請求項1項記
    載の光導波路表面上にしみ出したエバネッセント光の強
    度分布を測定する方法。
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