JPH11240765A - 窒化珪素焼結体及びその製造方法 - Google Patents

窒化珪素焼結体及びその製造方法

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JPH11240765A
JPH11240765A JP10359214A JP35921498A JPH11240765A JP H11240765 A JPH11240765 A JP H11240765A JP 10359214 A JP10359214 A JP 10359214A JP 35921498 A JP35921498 A JP 35921498A JP H11240765 A JPH11240765 A JP H11240765A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性等の優れた性質を有する窒化珪素焼
結体及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 β−Si3N4を主体とする焼結体であっ
て、該焼結体中の酸素量が、1.2〜1.5重量%であ
る窒化珪素焼結体。この窒化珪素焼結体を製造する場合
には、主成分が窒化珪素であり且つ理論酸素量が2.0
〜2.3重量%となるような配合物に、有機バインダを
添加し、加熱して有機バインダを除去した後に、酸素含
有ガスを導入して炭素量が0.1〜0.6重量%になる
ように設定し、その後、これを窒素雰囲気中で焼結し
て、焼結体中の酸素量を1.2〜1.5重量%とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば切削工具
や、ベアリング及びボール等の耐摩部品など使用される
窒化珪素焼結体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば切削工具や耐摩部品な
どには、優れた強度を有する窒化珪素を主成分とする窒
化珪素焼結体が用いられている。また、近年では、例え
ば窒化珪素を切削工具として用いる場合には、耐摩耗性
を向上させるために、主成分に添加する焼結助剤(ある
種の酸化物)を低減する技術が提案されている(特表平
8−503664号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、添加す
る焼結助剤を極端に低減した場合には、焼結性が必要以
上に低下してしまい、かえって、耐摩耗性が低下した
り、耐欠損性が低下するという問題があった。
【0004】本発明は上記の問題点を鑑みて提案された
もので、耐摩耗性等の優れた性質を有する窒化珪素焼結
体及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の請求項1の発明は、β−Si3N4を主体とする焼結体
であって、焼結体中の酸素量が、1.2〜1.5重量%
であることを特徴とする窒化珪素焼結体を要旨とする。
【0006】本発明の窒化珪素焼結体は、多結晶の焼結
体であり、焼結体中の酸素量が、1.2〜1.5重量%
と適切に設定されているので、後の実験例にて明かな様
に、緻密な組織を有し、その硬度が高く、耐摩耗性及び
耐欠損性に優れている。また、窒化珪素中の酸素は、主
に粒界相(ガラス質)に含まれており、ガラスはSi3
N4に比べて融点が低いので、酸素量が多いと、例えば
切削工具の刃先温度上昇により、Si3N4粒子の拘束力
が低下し、耐摩耗性が低下する。よって、本発明の程度
に酸素量を減らすことは、例えば刃先温度が上昇する切
削工具において大きな意味(工具の性能の向上)があ
る。
【0007】請求項2の発明は、前記焼結体中の酸素の
一部が、III属元素のシリケート又はシリコンオキシナ
イトライドの結晶相として存在していることを特徴とす
る前記請求項1に記載の窒化珪素焼結体を要旨とする。
【0008】特に、本発明では、ガラス質中に含まれる
酸素の一部を結晶化させることにより、耐摩耗性を改善
することができる。この理由は、酸素が粒界結晶中に取
り込まれることにより、ガラス質粒界相が減少して、硬
度が向上し、耐摩耗性が向上するからである。
【0009】請求項3の発明は、X線回折による前記β
−Si3N4の最大ピークに対する前記結晶相の最大ピー
クの高さの比が、0.7以下であることを特徴とする前
記請求項2に記載の窒化珪素焼結体を要旨とする。
【0010】ここで、β−Si3N4の最大ピーク(Iβ
-Si3N4、max)に対する結晶相の最大ピーク(Icr、max)
の高さの比Rとは、(Icr、max/Iβ-Si3N4、max)であ
る。本発明は、β−Si3N4と結晶相との割合を、β−
Si3N4の最大ピークに対する結晶相の最大ピークの高
さの比Rで示している。この高さの比Rが0.7以下の
場合には、粒界結晶相とガラス質粒界相の量がバランス
され、Si3N4粒子の拘束と結晶相による高硬度化によ
り、後の実験例で示す様に、優れた切削性能を発揮す
る。
【0011】請求項4の発明は、主成分が窒化珪素であ
り且つ理論酸素量が2.0〜2.3重量%となるような
配合物に、有機バインダを添加し、加熱して有機バイン
ダを除去した後に(例えば仮焼体の形成)、酸素含有ガ
スを導入して炭素量が0.1〜0.6重量%になるよう
に設定し(例えば仮焼体の冷却)、その後、これを窒素
雰囲気中で焼結して(例えば1次焼結及び2次焼結の実
施による焼結)、焼結体中の酸素量を1.2〜1.5重
量%とすることを特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法
を要旨とする。
【0012】本発明では、焼結助剤を焼結可能な最低限
量添加して、組織を緻密化し、粒界相(ガラス相)と成
形体中に残留する炭素を反応させて、粒界相量減少させ
る。具体的には、図1に模式的に示す様に、所定量の炭
素を含ませた例えば仮焼体を、例えば1次焼結及び2次
焼結することにより、その焼結途中にて、炭素と酸素を
化合させて二酸化炭素及び一酸化炭素として除去し、緻
密な焼結を行うものである。つまり、上述した過程で、
緻密化と粒界相の低減とが同時に達成できるので、緻密
で耐摩耗性等に優れた窒化珪素焼結体が得られる。
【0013】ここで、前記各量の数値限定の理由を説明
する。 理論酸素量;2.0〜2.3重量% この理論酸素量は、焼結助剤量に関したものであり、理
論酸素量が2.0重量%を下回ると、緻密化が困難であ
るからである。また、理論酸素量が2.3重量%を上回
ると、粒界相が多すぎ、耐摩耗性が低減するからであ
る。
【0014】炭素量;0.1〜0.6重量% 炭素量が0.1重量%を下回ると、粒界相低減反応が少
なく、粒界相量が多く、耐摩耗性が低下するからであ
る。また、炭素量が0.6重量%を上回ると、耐摩耗性
が低減するからである。
【0015】酸素量;1.2〜1.5重量% 酸素量が1.2重量%を下回ると、生成する粒界相が少
な過ぎ、十分に緻密化できないからである。また、酸素
量が1.5重量%を上回ると、耐摩耗性が低減するから
である。
【0016】尚、本発明は、前記請求項1〜3のいずれ
かに記載の窒化珪素焼結体の製造方法として好適であ
る。請求項5の発明は、窒素雰囲気中の焼結を、加圧し
た状態で行なうことを特徴とする請求項4に記載の窒化
珪素焼結体の製造方法を要旨とする。
【0017】本発明は、窒素雰囲気中の焼結の際の条件
を例示したものである。例えば数気圧程度に加圧した状
態で、例えば1次焼結を行なう場合には、窒化珪素の分
解を抑制できるので、高い温度での焼結が可能になる。
しかも、この高い温度での焼結により、後の例えばHI
P(熱間静水圧プレス)による2次焼結の際に、ポアを
効果的に塞ぐことができる。
【0018】請求項6の発明は、有機バインダとして、
マイクロワックス系有機バインダを用いることを特徴と
する請求項4又は5に記載の窒化珪素焼結体の製造方法
を要旨とする。本発明は、有機バインダの種類を例示し
たものであり、有機バインダとして、マイクロワックス
系有機バインダを用いることができる。そして、この有
機バインダを用いると、粉末の流動性やプレス体の強度
が向上する利点がある。
【0019】請求項7の発明は、酸素含有ガスの導入
を、加熱により有機バインダを除去した後の冷却時に行
うことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の窒
化珪素焼結体の製造方法を要旨とする。本発明は、酸素
含有ガスの導入のタイミングを例示したものであり、酸
素含有ガスを導入を、加熱により有機バインダを除去し
た後の冷却時に行うと、酸素含有ガスの導入と例えば仮
焼後の冷却とを同時に行うことができ、作業工程を簡易
化できる。また、冷却時に酸素含有ガスの導入を行うこ
とにより、仮焼体に効率よく炭素を含ませることができ
る。更に、導入する酸素含有ガスの状態(例えばその流
量)を調節することにより、含ませる炭素量を調節する
ことも容易である。
【0020】請求項8の発明は、酸素含有ガスとして、
大気を用いることを特徴とする請求項4〜7のいずれか
に記載の窒化珪素焼結体の製造方法を要旨とする。本発
明は、酸素含有ガスの種類を例示したものであり、大気
を用いることによって、製造工程を簡易化できる。
【0021】請求項9の発明は、2次焼結後の1200
℃までの冷却速度を、平均20℃/min以下とするこ
とを特徴とする前記請求項4〜8のいずれかに記載の窒
化珪素焼結体の製造方法を要旨とする。
【0022】本発明の様に、比較的ゆっくりと冷却する
ことで、結晶化を促進することができる。これにより、
焼結体の耐摩耗性が向上する。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の窒化珪素焼結体及びその
製造方法の実施の形態の例(実施例)について説明す
る。 a)まず、本実施例の窒化珪素焼結体の製造方法につい
て説明する。
【0024】平均粒径1.0μm以下の主成分のα−S
i3N4(酸素含有量1.3重量%)と、平均粒径1.0
μm以下の焼結助剤のMgO、Al2O3、Yb2O3、Y
2O3、Er2O3、CeO2とを、下記表1に示す割合に
秤量する。つまり、秤量した配合物中の理論酸素量が
2.0〜2.3重量%となるように、材料の割合を設定
する。
【0025】次に、この秤量した材料を、Si3N4製ボ
ール、Si3N4製内壁ポットを用いて、エタノール溶媒
にて、96時間混合してスラリーとする。次に、このス
ラリーを325メッシュの篩を通し、エタノール溶解し
たマイクロワックス系の有機バインダを、5.0重量%
添加し、スプレードライする。
【0026】次に、得られた造粒粉末を、ISO規格;
SNGN120408形状にプレス成形した後に、加熱
装置内に配置して仮焼する。この仮焼は、1気圧に設定
された窒素雰囲気中で、600℃で60分加熱して、脱
ワックスを行うものである。更に、この仮焼の冷却時
に、脱ワックスを行った成形体中の炭素量が0.1〜
0.6重量%となるように、加熱装置内に、下記表1に
示す様に、3〜60L/minの空気を導入する。
【0027】次に、1次焼結を行う。この1次焼結は、
3気圧に設定された窒素雰囲気中で、1800〜190
0℃で240分加熱して、1次焼結を行うものである。
次に、HIPにより2次焼結を行って、窒化珪素焼結体
を完成する。この2次焼結は、1000気圧に設定され
た窒素雰囲気中で、1600〜1700℃で120分加
熱して、2次焼結を行うものである。
【0028】この2次焼結後に、1200℃までの冷却
速度を、平均20℃/min以下(例えば10℃/mi
n)とすることにより、結晶化を促進させる。そして、
上述した1次焼結及び2次焼結により、焼結体中の酸素
量を1.2〜1.5重量%とする。
【0029】尚、原料のα−Si3N4は、この焼結によ
り、β−Si3N4になっていることを、X線回折で確認
した。この様にして得られた本実施例の窒化珪素焼結体
は、β−Si3N4を主体とする多結晶焼結体であって、
この窒化珪素焼結体中の酸素量が、1.2〜1.5重量
%である。また、この焼結体中には、III族酸化物(例
えばY2O3)とSiO2,NとからなるIII族酸化物のシ
リケートやシリコンオキシナイトライドを結晶相に含ん
でいる。
【0030】従って、本実施例の窒化珪素焼結体は、後
述する様に、緻密な組織を有し、高い硬度、高い破壊靱
性、及び高い耐摩耗性等の優れた性質を有するものであ
る。 b)次に、本実施例の窒化珪素焼結体の効果を確認する
ために行った実験例について説明する。
【0031】上述した製造方法によって得られた窒化珪
素焼結体を、ISO;SNGN120408形状に研磨
加工し、試料No.1〜8とした。また、比較例として、
下記表1に示す組成及び条件にて、窒化珪素焼結体を製
造し、同様に加工して、試料No.9,10とした。尚、
試料No.9,10は、炭素量(残炭素)及び酸素量が、
本発明の範囲外である。
【0032】そして、前記試料No.1〜10に対して、
下記〜の測定や評価を行った。 <仮焼後の炭素量(残炭素量)の測定> 仮焼体を、φ1[mm]以下に粉砕し、適量を秤量し、
JIS−Z2615に従い、酸素気流中燃焼−赤外線吸
収法により定量した。
【0033】<焼結体の酸素量の測定> 焼結体を、φ1[mm]以下に粉砕し、不活性ガス中
で、加熱融解し、非分散赤外線吸収法により定量した。 <物理特性> ・(有孔度) 試料断面を、鏡面研磨し、金属顕微鏡で観察し、超硬工
具協会規格;CIS−006B−1983に従って、有
孔度(マイクロポア)分類を行った。
【0034】・(ビッカース硬度Hv) 圧子押込荷重;30kg、押込時間;15secで、測
定を行った。 ・(破壊靱性Kc) JIS R1607に示されるIF法で、測定を行っ
た。
【0035】<切削性能の評価> 下記条件に従って、円筒型鋳鉄被削材の端面を、乾式で
連続切削し、20分間加工した後の工具刃先におけるフ
ランク摩耗量VB(図2参照)のうち、その最大摩耗量
(VBmax)を測定した。
【0036】被削材材質;JIS FC200 被削材形状;外径φ240mm×内径φ180mm 切削速度 ;V=300m/min 送り量 ;f=0.34mm/rev 切込み ;d=0.2mm <X線回折によるβ−Si3N4の最大ピークに対する
結晶相の最大ピークの高さの比Rの算出> 試料の上面にて、回折角度20゜〜70゜でX線回折を
行う。得られたX線チャート上で、β−Si3N4の最大
のピーク高さIβ-Si3N4、maxと、β−Si3N4のピーク
以外の結晶相(焼結助剤として添加されたIII族酸化物
とSiO2,NとからなるIII族酸化物のシリケート及び
/又はシリコンオキシナイトライド)の最大ピーク高さ
(Icr、max)を測定し、その比R(=Icr、max/Iβ-S
i3N4、max)を算出する。
【0037】具体的には、代表例として、下記の測定を
行う。 (1)Y2O3添加の場合 ・シリケート :Y2SiO5(21-1456,21-1458) :Y4Si3O12(21-1462) :Y2Si2O7(19-1450,20-1416,21-1457,21-1460,22-
1103)など ・シリコンオキシナイトライド :Y20N4Si12O48(30-1462) :Y8Si4N4O14(30-1451)など (2)Yb2O3添加の場合 ・シリケート:Yb2Si2O7(25-1345,37-0458-,37-0
458,30-1440,30-1439,30-1438,21-1440)など (3)CeO2添加の場合 ・シリケート:Ce2Si2O7(23-0318)など (4)Er2O3添加の場合 ・シリケート :Er2Si2O7(25-1416,24-62) :Er2SiO5(18-493) ・シリコンオキシナイトライド :Er4Si2N2O7(31-505) :Er4Si3N4O3(31-506)など そして、上述した〜の測定結果を、仮焼の条件(有
機バインダを除去するための加熱条件)、仮焼の冷却条
件(仮焼体を冷却するために供給する空気流量の条
件)、1次焼結の条件(1次焼結の温度条件)及び2次
焼結の条件(HIPの際の加熱条件)とともに、下記表
2及び下記表3に示した。尚、下記表1でR.Oとは希
土類元素酸化物成分を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】この表1〜表3から明かな様に、本発明の
範囲の試料No.1〜8は、主成分の窒化珪素に焼結助剤
を添加して理論酸素量が2.0〜2.3重量%の配合物
を調製し、その配合物にマイクロワックス系有機バイン
ダを添加して成形品を作成し、その成形品を加熱して有
機バインダを除去し(仮焼)、炭素量が0.1〜0.6
重量%になるように大気を導入して冷却し、これを窒素
雰囲気中で加圧した状態で焼結して(1次焼結)、焼結
体中の酸素量を1.2〜1.5重量%とし、その後HI
Pにより2次焼成して製造したものである。
【0042】よって、この試料No.1〜8の窒化珪素焼
結体は、マイクロポアがA2であり、十分に緻密であ
る。また、その硬度Hvは、1550以上と高く、その
破壊靱性Kcは、6.7以上と高い。更に、切削性能に
関しても、VBmax摩耗量が0.52mm以下と少な
く、十分に耐摩耗性に優れている。また、X線回折のピ
ークの比Rは0.7以下であり、粒界結晶相とガラス質
粒界相の量がバランスされ、Si3N4粒子の拘束と結晶
相による高硬度化の点で優れている。
【0043】それに対して、比較例の試料No.9は、空
気流量がなく、残炭素量が1.58重量%と多く、よっ
て、窒化珪素焼結体中の酸素量が1.16重量%と少な
いので、マイクロポアがA8と緻密性は十分ではない。
また、その硬度Hvは、1340と低い。更に、切削時
には、欠け(チッピング)が生じ、好ましくない。
【0044】比較例の試料No.10は、空気流量が10
0L/minと多く、残炭素量が0.98重量%と少な
く、よって、窒化珪素焼結体中の酸素量が1.54重量
%と多いので、その硬度Hvは、1430と低い。更
に、切削性能に関しては、VBmax摩耗量が0.94
mmと多く、耐摩耗性は十分ではない。
【0045】尚、本発明は前記実施例になんら限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各
種の態様で実施できるのは勿論である。
【0046】
【発明の効果】以上詳述した様に、請求項1の発明で
は、焼結体中の酸素量が、1.2〜1.5重量%と適切
に設定されているので、緻密な組織を有し、その硬度が
高く、耐摩耗性及び耐欠損性に優れている。
【0047】請求項2の発明では、焼結体中の酸素の一
部が、III属元素のシリケート又はシリコンオキシナイ
トライドの結晶相として存在しているので、耐摩耗性に
優れている。請求項3の発明では、X線回折によるβ−
Si3N4の最大ピークに対する結晶相の最大ピークの高
さの比が、0.7以下であるので、一層耐摩耗性に優れ
ている。
【0048】請求項4の発明では、理論酸素量が2.0
〜2.3重量%の配合物に、有機バインダを添加し、加
熱して有機バインダを除去した後に、酸素含有ガスを導
入して炭素量が0.1〜0.6重量%になるように設定
し、その後、これを窒素雰囲気中で加圧した状態で焼結
して、焼結体中の酸素量を1.2〜1.5重量%とする
ので、緻密化と粒界相の低減とが同時に達成できる。こ
れにより、緻密で耐摩耗性や耐欠損性等に優れた窒化珪
素焼結体が得られる。
【0049】請求項5の発明では、窒素雰囲気中の焼結
を、加圧した状態で行なうので、例えば1次焼結を行な
う場合には、窒化珪素の分解を抑制でき、そのため、高
い温度での焼結が可能になる。しかも、この高い温度で
の焼結により、後の例えばHIPによる2次焼結の際
に、ポアを効果的に塞ぐことができる。
【0050】請求項6の発明では、有機バインダとし
て、マイクロワックス系有機バインダを用いることがで
き、それにより、粉末の流動性やプレス体強度が向上
し、プレス成形性が優れるという利点がある。請求項7
の発明では、酸素含有ガスを導入を、加熱により有機バ
インダを除去した後の冷却時に行うので、酸素含有ガス
の導入と例えば仮焼後の冷却とを同時に行うことがで
き、作業工程を簡易化できる。また、冷却時に酸素含有
ガスの導入を行うことにより、仮焼体に効率よく炭素を
含ませることができる。更に、導入する酸素含有ガスの
状態を調節することにより、含ませる炭素量を調節する
ことも容易である。
【0051】請求項8の発明では、酸素含有ガスとし
て、大気を用いることができ、それにより、製造工程を
簡易化できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 焼成過程等における組織の変化を示す説明図
である。
【図2】 摩耗の状態を示す説明図である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β−Si3N4を主体とする焼結体であっ
    て、 該焼結体中の酸素量が、1.2〜1.5重量%であるこ
    とを特徴とする窒化珪素焼結体。
  2. 【請求項2】 前記焼結体中の酸素の一部が、III属元
    素のシリケート又はシリコンオキシナイトライドの結晶
    相として存在していることを特徴とする前記請求項1に
    記載の窒化珪素焼結体。
  3. 【請求項3】 X線回折による前記β−Si3N4の最大
    ピークの高さに対する前記結晶相の最大ピークの比が、
    0.7以下であることを特徴とする前記請求項2に記載
    の窒化珪素焼結体。
  4. 【請求項4】 主成分が窒化珪素であり且つその理論酸
    素量が2.0〜2.3重量%となるような配合物に、有
    機バインダを添加し、加熱して有機バインダを除去した
    後に、酸素含有ガスを導入して炭素量が0.1〜0.6
    重量%になるように設定し、その後、これを窒素雰囲気
    中で焼結して、焼結体中の酸素量を1.2〜1.5重量
    %とすることを特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記窒素雰囲気中の焼結を、加圧した状
    態で行なうことを特徴とする請求項4に記載の窒化珪素
    焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記有機バインダとして、マイクロワッ
    クス系有機バインダを用いることを特徴とする前記請求
    項4又は5に記載の窒化珪素焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記酸素含有ガスの導入を、前記加熱に
    より有機バインダを除去した後の冷却時に行うことを特
    徴とする前記請求項4〜6のいずれかに記載の窒化珪素
    焼結体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記酸素含有ガスとして、大気を用いる
    ことを特徴とする前記請求項4〜7のいずれかに記載の
    窒化珪素焼結体の製造方法。
  9. 【請求項9】 2次焼結後の1200℃までの冷却速度
    を、平均20℃/min以下とすることを特徴とする前
    記請求項4〜8のいずれかに記載の窒化珪素焼結体の製
    造方法。
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