JPH11258417A - 熱線遮蔽膜形成用塗布液及び熱線遮蔽膜 - Google Patents

熱線遮蔽膜形成用塗布液及び熱線遮蔽膜

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JPH11258417A
JPH11258417A JP6490898A JP6490898A JPH11258417A JP H11258417 A JPH11258417 A JP H11258417A JP 6490898 A JP6490898 A JP 6490898A JP 6490898 A JP6490898 A JP 6490898A JP H11258417 A JPH11258417 A JP H11258417A
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JP
Japan
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heat ray
ray shielding
shielding film
film
fine particles
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Application number
JP6490898A
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English (en)
Inventor
Hiroko Kuno
裕子 久野
Hiromitsu Takeda
広充 武田
Kenji Adachi
健治 足立
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光領域の光の透過率が高くて反射率が低
く、近赤外領域の光の透過率が低くて反射率が高く、膜
の導電性が概ね106Ω/□以上に制御可能な膜を、高
コストの物理成膜法を用いずに簡便な塗布法で成膜でき
る塗布液と、これを用いた熱線遮蔽膜を提供する。 【解決手段】 Ti、V、Zr、Hf、Nb、Ta、
W、および、Bの群から選択される1種または2種以上
の金属の炭化物からなる平均粒径100nm以下の微粒
子が分散された熱線遮蔽膜用塗布液。また、更に、平均
粒径100nm以下の酸化ルテニウム微粒子か酸化イリ
ジウム微粒子のうち少なくとも1種とを含有する熱線遮
蔽膜用塗布液。また、上記いずれかの塗布液を基材に塗
布後加熱して得た熱線遮蔽膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両、ビル、事務
所、一般住宅などの窓、電話ボックス、ショーウインド
ー、照明用ランプなど、ガラス、プラスチックスその他
の各種熱線遮蔽機能を必要とする透明もしくは半透明基
材に塗布して熱線遮蔽膜とするための塗布液、及び、こ
れにより得られる熱線遮蔽膜に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、太陽光や電球などの外部光源から
熱成分を除去・減少する方法として、ガラス表面に可視
・赤外域の波長を反射する材料を利用して熱線反射ガラ
スとすることが行なわれていた。そして、熱線反射のた
めの材料には、FeOX、CoOX、CrOX、TiOX
の金属酸化物や、Ag、Au、Cu、Ni、Alなどの
自由電子を多量にもつ金属材料が選択されてきた。
【0003】しかし、これらの材料では熱効果に大きく
寄与する近赤外線以外に、可視光領域の光も同時に反射
もしくは吸収する性質があり、可視光透過率が低下して
しまう欠点があった。建材、乗り物、電話ボックスなど
に用いられる透明基材では、可視光領域の高い透過率が
必要とされ、これらの材料を利用する場合は可視光透過
率を高くするため膜厚を非常に薄くしなければならず、
従ってスプレー焼き付けやCVD法、或いはスパッタ法
や真空蒸着法などの物理成膜法を用いて10nmレベル
の極めて薄い薄膜に成膜して用いられることが通常行な
われてきた。
【0004】これらの成膜方法は大がかりな装置や真空
設備を必要とし、生産性、大面積化に問題があり、ま
た、膜の製造コストが高かった。
【0005】また、これらの膜は膜厚を薄くして透過率
を高くしようとすると熱線遮蔽特性が低下し、逆に膜厚
を厚くして熱線遮蔽特性を高くすると膜が暗くなってし
まう。さらに、これらの材料熱線遮蔽特性を高くしよう
とすると可視光領域の反射率も同時に高くなってしまう
傾向があり、鏡のようなギラギラした外観を与えて美観
を損ねてしまった。
【0006】さらに、これらの材料では膜の導電性が高
くなるものが多い。膜の導電性が高いと携帯電話やT
V、ラジオなどの電波を反射して受信不能になったり、
周辺地域に電波障害を引き起こすなどの欠点があった。
【0007】上記従来の欠点を改善するためには、膜の
物理特性として、可視光領域の光の反射率が低く、近赤
外領域の光の反射率が高く、かつ、膜の導電性が概ね1
6Ω/□以上に制御可能な膜を形成する必要があっ
た。しかしながら従来このような膜、或いはこのような
膜を形成する材料は知られていなかった。
【0008】可視光透過率が高く、かつ熱線遮蔽機能を
もつ材料としては、アンチモン含有酸化錫(ATO)
や、錫含有酸化インジウム(ITO)が知られている。
これらの材料は可視光反射率が比較的低く、ギラギラし
た外観を与えることはないが、プラズマ波長が近赤外域
の比較的長波長側にあり、可視光に近い近赤外域におけ
るこれらの膜の反射・吸収効果は十分でなかった。ま
た、物理成膜法でこれらの膜を形成した場合には、膜の
導電性が上がって電波を反射してしまう欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解決し、可視光領域の光の透過率が高くて
反射率が低く、近赤外領域の光の透過率が低くて反射率
が高く、膜の導電性が概ね106Ω/□以上に制御可能
な膜を、高コストの物理成膜法を用いずに簡便な塗布法
で成膜できる塗布液と、これを用いた熱線遮蔽膜とを提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは、材料そのものの特性として自由電子
を多量に保有する炭化物に着目し、種々検討の結果、こ
れを超微粒子化し、かつ高度に分散した膜を得ることに
より、可視光領域に透過率の極大をもつとともに、可視
光領域に近い近赤外域に強いプラズマ反射を発現して透
過率の極小をもつようになるという現象を見出し、本発
明を完成した。
【0011】すなわち、本発明の熱線遮蔽膜用塗布液
は、Ti、V、Zr、Hf、Nb、Ta、W、および、
Bの群から選択される1種または2種以上の金属の炭化
物からなる平均粒径100nm以下の微粒子が分散され
たことを特徴とする。
【0012】また、本発明の他の熱線遮蔽膜形成用塗布
液は、Ti、V、Zr、Hf、Nb、Ta、W、およ
び、Bの群から選択される1種または2種以上の金属の
炭化物からなる平均粒径100nm以下の微粒子と、平
均粒径100nm以下の酸化ルテニウム微粒子、もしく
は、平均粒径100nm以下の酸化イリジウム微粒子の
うち少なくとも1種とを含有することを特徴とする。
【0013】また、本発明の他の熱線遮蔽膜形成用塗布
液は、上記いずれかの構成で更に、珪素、ジルコニウ
ム、チタン、もしくは、アルミニウムの金属アルコキシ
ド、または、金属アルコキシドの部分加水分解重合物の
うちの1種または2種以上を含有することを特徴とす
る。
【0014】上記いずれかの構成の熱線遮蔽膜形成用塗
布液は、樹脂バインダーを含有していても良い。
【0015】また、本発明の熱線遮蔽膜は、上記いずれ
かの熱線遮蔽膜形成用塗布液を基材に塗布後加熱して得
た微粒子分散膜であって、熱線遮蔽特性を示す主成分
が、Ti、V、Zr、Hf、Nb、Ta、W、および、
Bのうちの1種または2種以上の金属の炭化物微粒子で
あり、該微粒子が樹脂バインダー中、または、珪素、ジ
ルコニウム、チタン、および、アルミニウムの金属酸化
物のうちの1種または2種以上を含有する酸化物のバイ
ンダー中に分散されたことを特徴とする。
【0016】また、上記熱線遮蔽膜上に更に、珪素、ジ
ルコニウム、チタン、および、アルミニウムのいずれか
の金属酸化物のうちの1種または2種以上を含有する酸
化物膜を被膜して、または、上記熱線遮蔽膜上に更に、
樹脂膜を被膜して多層熱線遮蔽膜としてもよい。
【0017】上記いずれかの熱線遮蔽膜は、透過率が、
波長400〜700nmに極大値を、波長700〜18
00nmに極小値をもち、かつ、極大値と極小値との差
が百分率で15ポイント以上であることを特徴とし、ま
た、表面抵抗値が106Ω/□以上であることを特徴と
する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に使用される炭化物微粒子
としては、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム
(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウ
ム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(T
aC)、炭化タングステン(WC)、炭化硼素(B
4C)などの微粒子がその代表的なものとして挙げられ
る。また、本発明に使用される炭化物微粒子は、その表
面が酸化していないことが好ましいが、通常は僅かに酸
化していることが多く、また微粒子の分散工程で表面の
酸化が起こることはある程度避けられない。しかしその
場合でも熱線遮蔽効果を発現する有効性に変わりはな
い。またこれらの炭化物微粒子は、結晶としての完全性
が高いほど大きい熱線遮蔽効果が得られるが、結晶性が
低くX線回折で極めてブロードな回折ピークを生じるよ
うなものであっても、微粒子内部の基本的な結合が各金
属と炭素の結合から成り立っているものであるならば熱
線遮蔽効果を発現する。
【0019】また、本発明に使用される酸化ルテニウム
または酸化イリジウムの微粒子としては、二酸化ルテニ
ウム(RuO2)、ルテニウム酸鉛(Pb2Ru
26.5)、ルテニウム酸ビスマス(Bi2Ru27)、
二酸化イリジウム(IrO2)、イリジウム酸ビスマス
(Bi2Ir27)、イリジウム酸鉛(Pb2Ir
26.5)などの微粒子がその代表的な例として挙げられ
る。これらの微粒子は酸化物として安定であり、また多
量の自由電子を保持しており極めて有効な熱線遮蔽機能
をもっている。
【0020】これらの炭化物微粒子、酸化ルテニウム微
粒子、酸化イリジウム微粒子は灰黒色、茶黒色、緑黒色
などに着色した粉末であるが、粒径が可視光波長に比べ
て十分小さく、薄膜中に分散された状態においては膜に
可視光透過性が生じる。しかし、赤外光遮蔽能は十分強
く保持できる。
【0021】この理由は詳細には理解されていないが、
これら微粒子中の自由電子の量が多く、微粒子内部及び
表面の自由電子プラズモンによるプラズマ周波数がちょ
うど、可視〜近赤外の付近にあるために、この波長領域
の熱線が選択的に反射・吸収されると考えられる。実験
によれば、これら微粒子を十分細かくかつ均一に分散さ
れた膜では、透過率が波長400〜700nmに極大値
をもち、かつ、波長700〜1800nmに極小値をも
ち、さらに透過率の極大値と極小値との差が百分率で1
5ポイント以上であることが観察される。可視光波長が
380〜780nmであり、視感度が550nm付近を
ピークとする釣鐘型であることを考慮すると、このよう
な膜では可視光を有効に透過し、それ以外の熱線を有効
に反射・吸収することが理解できる。
【0022】本発明において、塗布液中の炭化物微粒
子、酸化ルテニウム微粒子、酸化イリジウム微粒子の平
均粒径は、100nm以下が好ましい。粒子径が100
nmよりも大きくなると、上に述べたような特有の透過
率プロファイル、すなわち透過率が波長400〜700
nmに極大値をもち、かつ、波長700〜1800nm
に極小値をもち、かつ、極大値と極小値との差が百分率
で15ポイント以上であるようなプロファイルが得られ
ず、単調に透過率の減少した灰色っぽい膜になる。
【0023】また、粒子径が100nmよりも大きい場
合には、分散液中の微粒子同士の凝集傾向が強くなり、
微粒子の沈降原因となる。さらに100nm以上の微粒
子もしくはそれらの凝集した粗大粒子は光散乱源となっ
て膜に曇り(ヘイズ)を生じたり、可視光透過率が減少
する原因となる。従って、上記無機微粒子の平均粒径は
100nm以下とする必要がある。なお、経済的に入手
可能な最低の粒径は2nm程度であるが、下限をこれに
限定するものではない。
【0024】塗布液中の微粒子の分散媒は特に限定され
るものではなく、塗布条件や塗布環境、塗布液中のアル
コキシド、合成樹脂バインダーなどに合わせて選択可能
であり、例えば、水や、アルコール、エーテル、エステ
ル、ケトンなどの有機溶媒の各種が使用可能であり、ま
た必要に応じて酸やアルカリを添加してpHを調整して
も良い。更に塗布液中微粒子の分散安定性を一層向上さ
せるために、各種の界面活性剤、カップリング剤などを
添加することも可能である。そのときのそれぞれの添加
量は、無機微粒子に対して30重量%以下、好ましくは
5重量%以下である。
【0025】この塗布液を用いて膜としたときの膜の導
電性は、微粒子の接触箇所を経由した導電パスに沿って
行われるため、例えば界面活性剤やカップリング剤の量
を加減することで導電パスを部分的に切断することがで
き、106Ω/□以上の表面抵抗値へ膜の導電性を低下
させることは容易に可能である。また、珪素、ジルコニ
ウム、チタン、アルミニウムの金属アルコキシド、もし
くは、これら金属の部分加水分解重合物、または合成樹
脂バインダーの含有量を加減することによっても導電性
のコントロールが可能である。
【0026】上記微粒子の分散方法は、微粒子が均一に
溶液中に分散する方法であれば任意に選択できるが、例
としては、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音
波分散などの方法を挙げることができる。
【0027】本発明における熱線遮蔽膜は、基材上に上
記微粒子が高密度に堆積し膜を形成するものであり、塗
布液中に含まれる珪素、ジルコニウム、チタン、アルミ
ニウムの金属アルコキシド、もしくはこれら金属の部分
加水分解重合物、または合成樹脂バインダーは、塗布、
硬化後、微粒子の基材への結着性を向上させ、更に膜の
硬度を向上させる効果がある。またこのようにして得ら
れた膜上に、さらに珪素、ジルコニウム、チタン、アル
ミニウムなどの金属アルコキシドまたはこれら金属アル
コキシドの加水分解重合物または合成樹脂を含有する被
膜を第2層として被着することで、微粒子を主成分とす
る膜の基材への結着力や、膜の硬度及び耐候性を一層向
上させることも可能となる。
【0028】塗布液中に珪素、ジルコニウム、チタン、
アルミニウムの金属アルコキシド、もしくはこれら金属
の加水分解重合物、または合成樹脂バインダーを含まな
い場合、この塗布液を基材に塗布後に得られる膜は、基
材上に上記微粒子のみが堆積した膜構造になる。このま
までも熱線遮蔽効果を示すが、この膜に上記と同様に更
に珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムの金属ア
ルコキシド、もしくはこれら金属の加水分解重合物、ま
たは合成樹脂バインダーを含む塗布液を塗布して被膜を
形成し多層膜とすることにより、塗布液成分が第1層の
微粒子の堆積した間隙を埋めて成膜されるため、膜のヘ
イズが低減し可視光透過率が向上し、また微粒子の基材
への結着性が向上する。
【0029】上記微粒子を主成分とする膜を、珪素、ジ
ルコニウム、チタン、もしくはアルミニウムの金属アル
コキシド、またはこれら金属の加水分解重合物からなる
被膜で結着する方法としては、スパッタ法や蒸着法も可
能であるが、成膜工程の容易さやコストが低いなどの利
点から塗布法が有効である。この被膜用塗布液は、水や
アルコール中に珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニ
ウムの金属アルコキシド、またはこれら金属の加水分解
重合物を1種もしくは2種以上含むものであり、その含
有液は加熱後に得られる酸化物換算で全溶液中の40重
量%以下が好ましい。また必要に応じて酸やアルカリを
添加してpHを調整することも可能である。このような
液を上記微粒子を主成分とする膜上に更に第2層として
塗布し加熱することで、珪素、ジルコニウム、チタン、
アルミニウムなどの酸化物被膜を容易に作製することが
可能である。
【0030】塗布液及び被膜用の塗布液の塗布方法とし
ては特に限定されるものではなく、スピンコート法、ス
プレーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷
法、ロールコート法、流し塗りなど、処理液を平坦かつ
薄く均一に塗布できる方法であれば如何なる方法でも適
宜採用することができる。
【0031】上記金属アルコキシド及びその加水分解重
合物を含む塗布液の塗布後の基材加熱温度は、100℃
未満では塗膜中に含まれるアルコキシドまたはその加水
分解重合物の重合反応が未完結で残る場合が多く、また
水や有機溶媒が膜中に残留し、加熱後の膜の可視光透過
率が低減する原因となるので、100℃以上が好まし
く、更に好ましくは塗布液中の溶媒の沸点以上で加熱を
実施する。
【0032】また合成樹脂バインダーを使用した場合
は、それぞれの硬化方法に従って硬化させれば良く、例
えば紫外線硬化樹脂であれば紫外線を適宜照射すれば良
く、また常温硬化樹脂であれば塗布後そのまま放置して
おけばよいため、既存の窓ガラスなどへの現場での塗布
が可能であり、汎用性が広がる。
【0033】本発明の塗布液に使用するバインダー成分
として、或いはオーバーコート用の塗布液としては、オ
ルガノシラザン溶液を用いても良い。オルガノシザラン
溶液としては、側鎖基の修正や酸化触媒の添加で重合硬
化温度が100℃以下のものも市販されており、これら
を用いることによって成膜温度をかなり低くすることが
できる。常温硬化性バインダーとしては、市販のシリケ
ート系のものを用いることも可能である。どちらも硬化
後はSiO2の無機膜を形成し、耐候性や膜強度におい
て樹脂膜よりも優れている。
【0034】本発明の膜では上記超微粒子が分散された
膜であるために、物理成膜法により製造された酸化物薄
膜のように結晶が緻密に膜内を埋めた鏡面状表面をもつ
膜に比べると、可視光領域での反射が少なく、ギラギラ
した外観を呈することが回避できる。その一方で、上記
のように可視〜近赤外域にプラズマ周波数をもつため
に、これに伴うプラズマ反射が近赤外域で大きくなる、
という非常に好ましい特性をもっている。また可視光領
域の反射をさらに抑制したい場合は、本微粒子分散膜の
上に、SiO2やMgFのような低屈折率の膜を成膜す
ることにより、容易に視感反射率1%以下の多層膜が製
造可能である。
【0035】本発明の塗布液には、透過率を向上させる
ために、さらにATOやITOやアルミニウム添加酸化
亜鉛などの超微粒子を混合することも可能である。これ
らの透明超微粒子は添加量を増すと可視光に近い近赤外
線領域での吸収が増加するため、可視光透過率の高い熱
線遮蔽膜とすることが可能である。また逆にATOやI
TOやアルミニウム添加酸化亜鉛などの超微粒子を分散
した液に本発明の塗布液を添加して、膜に着色すると同
時にその熱線遮蔽効果を補助することも可能である。こ
の場合、主体となるITOなどに対してほんの僅かの添
加量で熱線遮蔽効果を補助できるため、ITOの必要量
の大幅な減少が可能となり、液のコストを下げられると
いう利点がある。
【0036】本発明の塗布液には、また、膜になったと
きの赤外線の遮蔽能と同時に、人体に有害な紫外線の遮
蔽機能を向上させるために、無機系の酸化チタンや酸化
亜鉛、酸化セリウムなどの微粒子や、有機系のベンゾフ
ェノンやベンゾトリアゾールなどの1種または2種以上
を添加することも可能である。
【0037】本発明による塗布液は、上記無機微粒子を
分散したものであり、焼成時の熱による塗布成分の分解
或いは化学反応を利用して目的の熱線遮蔽膜を形成する
ものではないため、特性の安定した均一な膜厚の透過膜
を形成することができる。
【0038】本発明における微粒子分散膜は、基材上に
微粒子が高密度に堆積し膜を形成するものであり、塗布
液中に含まれる珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニ
ウムの金属アルコキシドまたはこれらの加水分解重合
物、または合成樹脂バインダーは、塗膜の硬化後、微粒
子の基材上への結着性を向上させ、さらに膜の強度を向
上させる効果がある。
【0039】このように本発明によれば上記無機微粒子
の材料を適当に混合することで、熱線遮蔽効果を有する
膜の製造が可能であるが、これらの微粒子材料は無機材
料であるので、有機材料と比べて耐候性は非常に高く、
例えば太陽光線(紫外線)の当たる部位に使用しても、
色や諸機能の劣化はほとんど生じない。
【0040】
【実施例】以下本発明の実施例を比較例と共に説明す
る。
【0041】(実施例1) 平均粒径72nmのTaC
微粒子8g、ジアセトンアルコール(DAA)80g、
水及び分散剤適量を混合し、直径4mmのジルコニアボ
ールを用いて100時間ボールミル混合して、TaC分
散液100gを作製した。これをA液とする。平均重合
度で4〜5量体である多摩化学工業株式会社製エチルシ
リケート40を6g、エタノール31g、5%塩酸水溶
液8g、水5gで調製したエチルシリケート溶液50g
と、水800g、及びエタノール300gを良く混合・
攪拌して、エチルシリケート混合液1150gを調製し
た。これをB液とする。
【0042】A液とB液を、TaC濃度が1.0%、T
aC/SiO2比が4:1となるような割合で混合・攪
拌し、塗布液を作製した。これをC液とする。この溶液
15gを145rpmで回転する200×200×3m
mのソーダライム板ガラス基板上にビーカから滴下し、
そのまま3分間振り切った後、回転を止めた。これを1
80℃の電気炉に入れて30分間加熱し目的とする膜を
得た。
【0043】形成された膜の分光特性は日立製作所製の
分光光度計を用いて測定した。TaC微粒子を用いた本
実施例の膜の透過プロファイルを図1に示す。透過率の
極大値が497nm、極小値が864nmにあり、極大
値と極小値の差が27ポイントと十分大きく、またJI
S−R−3106に基づいて、膜正味の値として可視光
透過率53.5%が得られた。
【0044】本実施例による膜の透過色は美しい青紫色
であった。また可視光反射率は4.6%と低く、市販の
熱線反射ガラスのような膜面のギラツキ感はまったく感
じられなかった。
【0045】更にこの膜の表面抵抗値を、三菱化学製の
表面抵抗計を用いて測定したところ2.7×1013Ω/
□が得られ、膜抵抗値が十分高いために電波透過性には
全く問題がないことが分かった。
【0046】(比較例1) 塗布法に比べて高コストの
物理成膜法により作製された市販の熱線反射ブロンズガ
ラスについて、340〜1800nmの分光透過率を測
定し、JIS−R−3106に従って可視光透過率を求
めたところ、38.8%となった。また可視光反射率は
34.2%と非常に高く、外観もギラギラしたミラー状
の外観を呈していた。また膜面の表面抵抗値は83Ω/
□と低く、電波透過性及び反射性には問題があることが
明らかである。
【0047】(実施例2) 実施例1で作製したC液を
板ガラスの1層目としてスピンコートした後、そのまま
3分間回転を続け、続いてB液をSiO2固形分換算で
0.9%になるようにエタノールで希釈したシリケート
液15gを板ガラス上にビーカから滴下してさらに回転
を3分間続けた後、回転を止めた。このようにして塗布
した2層膜のガラス基板を180℃の電気炉に入れ、3
0分間加熱して目的とする2層膜を得た。
【0048】形成された膜の分光特性を実施例1と同様
にして評価した。可視光透過率は57.6%と上昇した
反面、可視光反射率は2.8%となって反射光がさらに
抑えられた。さらに裏面に黒テープを貼って裏面からの
反射を無くして測定すると可視光反射率は0.6%とな
り、無反射ガラスに近い外観になった。この膜の透過率
の極大・極小値の位置は、実施例1での単層膜とほぼ同
じであり、同様の熱線遮蔽効果をもつことは明らかであ
る。
【0049】以下の実施例3〜13及び比較例2〜3に
おいて成膜された膜の可視光透過率と透過率の極大・極
小値、及び表面抵抗値は、実施例1に述べたと同様な方
法で評価し、実施例1、2の結果も含めてまとめて表1
に示した。
【0050】(実施例3) 平均粒径72nmのTaC
微粒子8g、イソホロン80g、水及び分散剤適量を混
合し、ジルコニアボールを用いて100時間ボールミル
混合して、TaCイソホロン分散液100gを作製し
た。これえをD液とする。バインダーとして、エポキシ
樹脂50重量%をイソホロンに溶解して、エポキシ樹脂
バインダー溶液を作製した。これをE液とする。D液と
E液とエタノールを強力に混合・攪拌して、TaCとエ
ポキシ樹脂の固形分が全体の1.4重量%、TaCとエ
ポキシ樹脂の重量比が70:30となるようにして、塗
布液を作製し、実施例1と同様にして塗布液を作製し、
成膜・加熱して膜を得た。
【0051】(実施例4) バインダーとして、信越シ
リコーン製常温硬化型シリケート液X−40−9740
をB液の代わりに用いて、実施例1と同様にして塗布液
を作製し、成膜して膜を得た。ただし加熱はせずに、2
5℃の室温内2日間放置で乾燥膜となったものを評価し
た。
【0052】(実施例5) バインダーとして、NEケ
ムキャット(株)製低温硬化型ポリペルヒドロシラザン
溶液をE液の代わりに用いて、実施例3に示したTaC
イソホロン分散液(D液)及びキシレンを混合・攪拌し
て、TaC濃度が1.0%、TaC/SiO2比が4:
1となるようにして、これを塗布液とした。これを用い
て実施例1と同様にして成膜し、80℃の電気炉で加熱
して膜を得た。
【0053】(実施例6) A液調製において、TaC
の代わりに平均粒径81nmのWC微粒子を用いた他
は、実施例1と全く同様にして塗布液を調製し、これを
成膜・加熱して目的の膜を得た。
【0054】(実施例7) A液調製において、TaC
の代わりに平均粒径64nmのTiC微粒子を用いた他
は、実施例1と全く同様にして塗布液を調製し、これを
成膜・加熱して目的の膜を得た。
【0055】(実施例8) A液調製において、TaC
の代わりに平均粒径53nmのZrC微粒子を用いた他
は、実施例1と全く同様にして塗布液を調製し、これを
成膜・加熱して目的の膜を得た。
【0056】(実施例9) A液調製において、TaC
の代わりに平均粒径70nmのHfC微粒子を用いた他
は、実施例1と全く同様にして塗布液を調製し、これを
成膜・加熱して目的の膜を得た。
【0057】(実施例10) A液調製において、Ta
Cの代わりに平均粒径82nmのNbC微粒子を用いた
他は、実施例1と全く同様にして塗布液を調製し、これ
を成膜・加熱して目的の膜を得た。
【0058】(実施例11) A液調製において、Ta
Cの代わりに平均粒径54nmのVC微粒子を用いた他
は、実施例1と全く同様にして塗布液を調製し、これを
成膜・加熱して目的の膜を得た。
【0059】(実施例12) 平均粒径30nmの酸化
ルテニウム(RuO2)微粒子15g、N−メチル−2
−ピロリドン(NMP)23g、ジアセトンアルコール
(DAA)57g、水及び分散剤適量を混合し、直径4
mmのジルコニアボールを用いて100時間ボールミル
混合して、RuO2分散液100gを作製した。このR
uO2分散液に、RuO2濃度が1%、RuO2:SiO2
=4:1となるようにB液のシリケート液を混合・攪拌
してRuO2分散シリケート液とした。これをF液とす
る。F液に、RuO2:TaC=1.0:1.0の重量
比になるようにA液を混合して十分攪拌し、塗布液を調
製した。この塗布液を用いて、実施例1と全く同様にし
て成膜・加熱して目的の膜を得た。
【0060】(実施例13) 平均粒径28nmのIr
2微粒子を用いた他は、実施例11と全く同様にし
て、IrO2:TaC=1:1の混合分散シリケート塗
布液を作製し、これを成膜・加熱して目的の膜を得た。
【0061】以上の実施例1〜13では全ての膜につい
て、透過率の極大が波長400〜700nmの間にあ
り、極小値が波長700〜1800nmの間にあってか
つ極大値と極小値との差が百分率で15ポイント以上で
あることが観測され、これらの膜が熱線遮蔽膜として有
用であることが確認された。また全ての膜は可視光領域
での反射率が8%以下であってミラー状のギラツキが無
く、さらに表面抵抗値が6×1011Ω/□以上であって
電波透過性において問題のないことが確かめられた。
【0062】(比較例2) 平均粒径157nmのTa
Cを用いた他は、実施例1と全く同様にして、TaC分
散シリケート塗布液を作製し、これを成膜・加熱して目
的の膜を得た。しかしこの膜は微粒子径が大きすぎるた
めに、曇りが大きくて(ヘイズ値23%)透明性に欠
き、またやや緑みを帯びた灰色となり、さらに極大値と
極小値の差が8%と小さく、熱線遮蔽膜として実用に供
することは困難と判断された。
【0063】(比較例3) 平均粒径22nmのITO
超微粒子を用いた他は、実施例1と全く同様にして、I
TO分散シリケート塗布液を作製し、これを成膜・加熱
して目的の膜を得た。しかしこの膜は透過率が、可視光
域から1500nmの赤外域に至るまで90%以上であ
り、近赤外線を遮蔽するという目的にはこの濃度(1
%)では使用できないことが分かった。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】以上の実施例に示されるように、本発明
によれば、可視光領域の光の透過率が高くて反射率が低
く、近赤外領域の光の透過率が低くて反射率が高く、膜
の導電性が概ね106Ω/□以上に制御可能な膜を、高
コストの物理成膜法を用いずに簡便な塗布法で成膜でき
る塗布液と、これを用いた熱線遮蔽膜とが提供できた。
本発明の膜は、従来膜に比べて表面のギラツキ感が無
く、また電波透過性にも優れた熱線遮蔽膜である。また
本発明の塗布液を用いることにより、コスト面や大面積
膜の面から工業的有用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1、比較例2の透過率を示すグ
ラフである。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ti、V、Zr、Hf、Nb、Ta、
    W、および、Bの群から選択される1種または2種以上
    の金属の炭化物からなる平均粒径100nm以下の微粒
    子が分散された熱線遮蔽膜形成用塗布液。
  2. 【請求項2】 Ti、V、Zr、Hf、Nb、Ta、
    W、および、Bの群から選択される1種または2種以上
    の金属の炭化物からなる平均粒径100nm以下の微粒
    子と、平均粒径100nm以下の酸化ルテニウム微粒
    子、もしくは、平均粒径100nm以下の酸化イリジウ
    ム微粒子のうち少なくとも1種とを含有する熱線遮蔽膜
    形成用塗布液。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の熱線遮
    蔽膜形成用塗布液であって、更に、珪素、ジルコニウ
    ム、チタン、もしくは、アルミニウムの金属アルコキシ
    ド、または、金属アルコキシドの部分加水分解重合物の
    うちの1種または2種以上を含有する熱線遮蔽膜形成用
    塗布液。
  4. 【請求項4】 樹脂バインダーを含有する請求項1〜請
    求項3いずれかに記載の熱線遮蔽膜形成用塗布液。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4いずれかに記載の熱
    線遮蔽膜形成用塗布液を基材に塗布後加熱して得た微粒
    子分散膜であって、熱線遮蔽特性を示す主成分が、T
    i、V、Zr、Hf、Nb、Ta、W、および、Bのう
    ちの1種または2種以上の金属の炭化物微粒子であり、
    該微粒子が樹脂バインダー中、または、珪素、ジルコニ
    ウム、チタン、および、アルミニウムの金属酸化物のう
    ちの1種または2種以上を含有する酸化物のバインダー
    中に分散された熱線遮蔽膜。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項4いずれかに記載の熱
    線遮蔽膜形成用塗布液を基材に塗布後加熱して得た熱線
    遮蔽膜の上に、更に、珪素、ジルコニウム、チタン、お
    よび、アルミニウムのいずれかの金属酸化物のうちの1
    種または2種以上を含有する酸化物膜が被膜された多層
    熱線遮蔽膜。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項4いずれかに記載の熱
    線遮蔽膜形成用塗布液を基材に塗布後加熱して得た熱線
    遮蔽膜の上に、更に、樹脂膜が被膜された多層熱線遮蔽
    膜。
  8. 【請求項8】 透過率が、波長400〜700nmに極
    大値を、波長700〜1800nmに極小値をもち、か
    つ、極大値と極小値との差が百分率で15ポイント以上
    である請求項5〜請求項7いずれかに記載の熱線遮蔽
    膜。
  9. 【請求項9】 表面抵抗値が106Ω/□以上である請
    求項5〜請求項8いずれかに記載の熱線遮蔽膜。
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