JPH11267780A - ドラム付き軸部材の製造方法とドラム付き軸部材 - Google Patents

ドラム付き軸部材の製造方法とドラム付き軸部材

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JPH11267780A
JPH11267780A JP10071579A JP7157998A JPH11267780A JP H11267780 A JPH11267780 A JP H11267780A JP 10071579 A JP10071579 A JP 10071579A JP 7157998 A JP7157998 A JP 7157998A JP H11267780 A JPH11267780 A JP H11267780A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低廉な製造コストと、高い製品品質の確保
と、歯の傾き防止と、ドラムの軸心ズレの防止を達成し
ながら、高精度と高強度を両立させたドラムを一体に有
するドラム付き軸部材の製造方法とドラム付き軸部材を
提供すること。 【解決手段】 軸部1とドラム部2’が一体の機械加工
済素材の表面全体に浸炭硬化層6を形成する浸炭焼き入
れ工程と、焼き入れ済素材のうち回転塑性加工が施され
るドラム部2’のみを加熱焼鈍して回転塑性加工が可能
な硬度とする加熱焼鈍工程と、加熱焼鈍されたドラム部
2’に金型7を設定し、金型7と共に素材を回転させ、
ドラム部2’に対するフォーミングローラ8の押圧を保
ったまま金型7に沿ってフォーミングローラ8を相対移
動させることで内歯5を有するドラム2を成形する冷間
の回転塑性加工工程とを備えている製造方法と、その方
法により製造されるドラム付き軸部材Aとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機のイン
プットシャフトとクラッチドラム等のように軸部材に内
歯を有するドラムが固定されたドラム付き軸部材の製造
方法とその方法により製造されたドラム付き軸部材の技
術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来、インプットシャフト等に代表され
る自動車用トランスミッション部品(ドラム付き軸部
材)は、図5に示すように、油穴やスプライン歯等を有
する軸物部品は、浸炭熱処理品もしくは高周波焼き入れ
部品を使用し、外周部のクラッチドラム部品は、板金プ
レス部品を使用し、軸物部品とクラッチドラム部品とを
電子ビーム溶接にて接合することで製造されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の自動車用トランスミッション部品の製造方法にあっ
ては、互いに独立した軸物部品とクラッチドラム部品と
を別々に製造し、両部品を電子ビーム溶接接合すること
で、ドラム付き軸部材を製造するようにしているため、
下記に列挙する問題がある。
【0004】(1) 軸物部品の機械加工(油穴やスプライ
ン歯)及び熱処理と、クラッチドラム部品のプレス成形
加工及び機械加工(穴や溝や仕上げ)と、両部品を位置
合わせしながらの電子ビーム溶接作業と、をそれぞれ行
なわなければならないため、製造時間が多大となるし、
製造コストも高価となってしまう。
【0005】(2) 軸物部品を浸炭熱処理した場合、溶接
部の浸炭防止不良を原因とし、電子ビーム溶接時にブロ
ーホールやピンホールあるいは、割れ等が生じてしま
い、所望の溶接強度が得られない。
【0006】(3) 溶接品質の確認作業としては切断調査
に頼らざるを得なく、現実に製品による全数溶接品質の
確認ができない。よって、高い溶接品質を保つには溶接
作業時に細心の注意を払いながら時間をかけて作業する
必要がある。
【0007】(4) 軸物部品とクラッチドラム部品と電子
ビーム溶接するため、溶接に伴う材料加熱で生じる溶接
歪みを避けることができず、溶接歪みによりスプライン
歯が傾くと共に、軸物部品とクラッチドラム部品との軸
心ズレによりクラッチプレートとの嵌合隙間を一定に保
つことができない。
【0008】(5) 別体のクラッチドラムの高強度化を図
るため、クラッチドラムのみ軟窒化処理を施す必要があ
る。
【0009】上記従来の製造方法では、プレス成形によ
りクラッチドラム部品を製造する方法を説明したが、特
開平7−51781号公報に記載されているように、ク
ラッチドラム部品を冷間の回転塑性加工であるフローフ
ォーミングにより加工する方法が知られている。このフ
ローフォーミングとは、金型に素材を設定し、金型と共
に素材を回転させ、ドラム部に対するフォーミングロー
ラの押圧を保ったまま金型に沿ってフォーミングローラ
を相対移動させ、ローラによるしごきで押し出された材
料を金型に流し込み、内歯を有するドラムを成形する冷
間の回転塑性加工をいう。
【0010】よって、このフローフォーミングをドラム
製造に採用すると、プレス成形のような弾性変形領域で
のスプリングバックがなくてスプライン内歯を機械加工
精度並みの高精度で成形できるし、また、冷間の塑性加
工のために加工硬化が大きく、さらに、金属組織の結晶
が地滑りや微細化する等のファイバーフロー現象が生か
されるので機械的性質(引張強さ・靭性・疲労強度)が
素材強度より高まるというメリットがある。
【0011】しかしながら、フローフォーミングで製造
されたドラムと軸物部品とを溶接してドラム付き軸部材
を製造するを製造することには変わりがないため、上記
問題点の(1) 〜(4) については何ら解決されない。
【0012】本発明が解決しようとする課題は、低廉な
製造コストと、高い製品品質の確保と、歯の傾き防止
と、ドラムの軸心ズレの防止を達成しながら、高精度と
高強度を両立させたドラムを一体に有するドラム付き軸
部材の製造方法とドラム付き軸部材を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】(解決手段1)上記課題
の解決手段1(請求項1)は、軸部材と円板状のドラム
部を有する単一の素材を用い、その軸部材に油穴やスプ
ライン歯を加工すると共にドラム部を鍛造により伸ばし
回転塑性加工のプリフォーム形状にする機械加工工程
と、機械加工済素材の表面全体に浸炭硬化層を形成する
浸炭焼き入れ工程と、焼き入れ済素材のうち回転塑性加
工が施されるドラム部のみを加熱焼鈍して回転塑性加工
が可能な硬度とする加熱焼鈍工程と、加熱焼鈍されたド
ラム部に金型を設定し、ドラム部に対するフォーミング
ローラの押圧を保ったまま金型に沿ってフォーミングロ
ーラを相対移動させることで内歯を有するドラムを成形
する冷間の回転塑性加工工程と、を備えていることを特
徴とする。
【0014】なお、この場合、金型と共に素材を回転さ
せることが望ましい。金型と共に素材を回転させること
で、回転塑性加工工程の制御が容易となり、また内歯の
精度を向上させることができる。
【0015】(解決手段2)上記課題の解決手段2(請
求項2)は、請求項1記載のドラム付き軸部材の製造方
法において、前記加熱焼鈍工程を、真空中または窒素等
の不活性ガス中にて加熱焼鈍を行なう工程としたことを
特徴とする。
【0016】(解決手段3)上記課題の解決手段3(請
求項3)は、請求項1または請求項2記載のドラム付き
軸部材の製造方法において、前記加熱焼鈍工程を、設定
した焼鈍温度レベルまでワーク温度を上げ、加熱保持に
より焼鈍部の硬度分布を均一にさせ得る時間まで上げた
ワーク温度を維持する工程としたことを特徴とする。
【0017】(解決手段4)上記課題の解決手段4(請
求項4)は、請求項1ないし請求項3記載のドラム付き
軸部材の製造方法において、前記加熱焼鈍工程を、焼鈍
後のビッカース硬度をHV100〜150とし、かつ、
回転塑性加工後のビッカース硬度がHV230以上を確
保することが可能な焼鈍条件としたことを特徴とする。
【0018】(解決手段5)上記課題の解決手段5(請
求項5)は、油穴やスプライン歯等を有する軸部材に内
歯を有するドラムが固定されたドラム付き軸部材におい
て、前記軸部材とドラムを、単一の素材による一体品と
すると共に、前記軸部材は、表面に浸炭硬化層を形成し
た部材とし、前記ドラムは、回転塑性加工による内歯を
有する部材としたことを特徴とする。
【0019】(解決手段6)上記課題の解決手段6(請
求項6)は、請求項5記載のドラム付き軸部材におい
て、前記軸部材は自動変速機内に設けられた動力を伝達
するシャフトであり、前記ドラムはシャフトと一体に回
転し、内歯にクラッチプレートが摺動可能に嵌合される
クラッチドラムであることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)実施の形態1は
請求項1〜4に記載の発明に対応するドラム付き軸部材
の製造方法と請求項5,6に記載の発明に対応するドラ
ム付き軸部材である。
【0021】[ドラム付き軸部材の製造方法について]
図1は実施の形態1のドラム付き軸部材の製造方法を示
す工程説明図で、図1において、1は軸部材、2はドラ
ム、2’はドラム部、3aは第1軸心油穴、3bは第2
軸心油穴、4はスプライン歯、5はスプライン内歯、6
は浸炭硬化層、7は金型、8はフォーミングローラであ
る。そして、実施の形態1のドラム付き軸部材の製造方
法は、機械加工工程と、浸炭焼き入れ工程と、加熱焼鈍
工程と、回転塑性加工工程によるもので、以下、各工程
について説明する。
【0022】機械加工工程では、図1(イ) に示すよう
に、軸部材1と円板状のドラム部2’を有する単一の素
材を用い、図1(ロ) に示すように、その軸部材1に第1
軸心油穴3aや第2軸心油穴3bやスプライン歯4を加
工すると共にドラム部2’を揺動鍛造により伸ばし、フ
ローフォーミング(回転塑性加工の一例)のプリフォー
ム形状にする。
【0023】浸炭焼き入れ工程では、図1(ハ) に示すよ
うに、機械加工済の素材に浸炭焼き入れを施し、表面全
体に浸炭硬化層6を形成する。
【0024】加熱焼鈍工程では、図1(ニ) に示すよう
に、焼き入れ済素材のうちフローフォーミングが施され
るドラム部2’のみを高周波加熱(基本的には高周波加
熱を行なうが代替えとしてレーザー加熱でも可能)によ
り焼鈍してフローフォーミングが可能な硬度(ビッカー
ス硬度をHV100〜150)とする。尚、この加熱焼
鈍工程では、図1(ニ) の1点鎖線より下の軸部材1の部
分は、熱影響を遮断する熱シールド状態にしておく。ま
た、ドラム部2’のどこまでの部分を加熱焼鈍するかに
ついては、フローフォーミングによってしごく部分より
所定の余裕代をとった部分とする。
【0025】回転塑性加工工程では、図1(ホ) に示すよ
うに、加熱焼鈍されたドラム部2’に金型7を設定し、
金型7と共に素材を回転させ、ドラム部2’に対するフ
ォーミングローラ8の押圧を保ったまま金型7に沿って
フォーミングローラ8を相対移動(金型7と素材を軸方
向に移動)させることでスプライン内歯5を有するドラ
ム2を成形する冷間の回転塑性加工を行なう。尚、熱延
または冷延帯鋼を材料としてフローフォーミングを行な
うフローフォーミング装置に比べ、被加工物の初期硬度
が高い材料を成形することになるため、使用するフロー
フォーミング装置は、金型7の強度(耐摩耗,耐疲労,
耐衝撃)と設備を含めた剛性アップを図った全体装置構
成とする。
【0026】[加熱焼鈍工程について]上記加熱焼鈍工
程では、下記の加熱焼鈍条件を与える。
【0027】(1) 加熱焼鈍工程は、酸化スケールの付着
を防止するために、真空中または窒素等の不活性ガス中
にて加熱焼鈍を行なう。
【0028】(2) 加熱焼鈍工程は、硬度分布を均一にさ
せるため、加熱保持時間を長くとる。すなわち、パルシ
ング加熱を採用する。また、本パルシング加熱により、
浸炭焼き入れ組織をフェライト+パーライト組織にし、
パーライト組織中のセメンタイトを可能な限り疑似球状
化させ、後工程での回転塑性加工性を容易にさせる。具
体的には、設定した焼鈍温度レベル(450℃〜950
℃)までワーク温度を上げ、図2の点線特性のように直
ちにワーク温度を下げるのではなく、図2の実線特性に
示すように、上げたワーク温度を所定時間維持する。
【0029】(3) 加熱焼鈍工程は、焼鈍後のビッカース
硬度をHV100〜150の回転塑性加工可能な硬度と
し、かつ、回転塑性加工後のビッカース硬度がHV23
0以上を確保することが可能な焼鈍条件とする。
【0030】[ドラム付き軸部材について]図3は実施
の形態1のドラム付き軸部材Aを示す断面図で、図3に
おいて、1は軸部材、2はドラム、3aは第1軸心油
穴、3bは第2軸心油穴、3cは第1径方向油穴、3d
は第2径方向油穴、4はスプライン歯、5はスプライン
内歯、6は浸炭硬化層である。
【0031】上記製造方法により製造されるドラム付き
軸部材Aは、図3に示すように、油穴3a,3b,3
c,3dやスプライン歯4等を有する軸部材1にスプラ
イン内歯5を有するドラム2が固定された部材で、軸部
材1とドラム2は、単一の素材による一体品であると共
に、軸部材1は、表面に浸炭硬化層6を形成した部材で
あり、ドラム2は、回転塑性加工による高精度なスプラ
イン内歯5を有する部材である。
【0032】[ドラム付き軸部材が適用される自動変速
機について]図4は実施の形態1の製造方法により製造
されたドラム付き軸部材Aが適用された自動変速機の動
力伝達機構を示す断面図である。
【0033】図4において、10はインプットシャフト
(ドラム付き軸部材)、11はトルクコンバータ、12
はコンバータハウジング、13はオイルポンプ、14は
リバースクラッチ、15はブレーキバンド、16はハイ
クラッチ、17はフロントプラネタリーギヤ、18はロ
ーワンウェイクラッチ、19はリヤプラネタリギヤ、2
0はフォワードクラッチ、21はオーバーランクラッ
チ、22はロー&リバースブレーキ、23はアウトプッ
トシャフト、24はアウトプットギヤ、25はアイドラ
ーギヤ、26はフォワードワンウェイクラッチ、27は
ピニオンリダクションギヤ、28はファイナルギヤ、2
9ディファレンシャルである。
【0034】この自動変速機では、2組のプラネタリー
ギヤ17,19を使用し、4組のクラッチ14,16,
20,21、2組のブレーキ15,22、2組のワンウ
ェイクラッチ18,26の組み合わせにより、前進4段
・後退1段の変速が行なわれる。
【0035】前記インプットシャフト10は、トルクコ
ンバータ11を経過して入力されるエンジン動力を伝達
するシャフトであり、このインプットシャフト10に一
体に設けられ一体に回転するハイクラッチドラムは、そ
のスプライン内歯にクラッチプレートが摺動可能に嵌合
される。
【0036】次に、作用効果を説明する。
【0037】[製造コストについて]ドラム付き軸部材
Aの製造コストは、別体品を一体品に置き換え、フロー
フォーミングにより一体成形品として製造することで低
廉となる。つまり、品質や精度の確保のために丁寧な作
業が要求される溶接工程を省略することで、製造コスト
が低減されることになる。
【0038】また、一体成形品とする場合の全体焼き入
れ手法として浸炭焼き入れ手法を採用することで、高周
波焼き入れ手法を採用する場合に比べ、コスト低減とな
る。なぜなら、高周波焼き入れ手法を採用した場合、軸
部の焼き入れ工程が2ステーション必要となり、製造工
程が煩雑かつ高コストとなってしまう。
【0039】[製品品質について]従来の別部品溶接に
よる製造方法の場合、軸物部品の溶接部の浸炭防止不良
を原因とし、電子ビーム溶接時にブローホールやピンホ
ールや割れ等が生じてしまい、所望の溶接強度が得られ
ないとか、溶接品質の確認作業としては切断調査に頼ら
ざるを得なく、現実に溶接品質の確認ができないという
問題があり、大量に生産した場合、バラツキのない安定
した高い製品品質を望むことができない。
【0040】これに対し、ドラム付き軸部材Aは溶接レ
スの一体品であるため、電子ビーム溶接時にブローホー
ルやピンホールや割れ等が皆無となるし、また、溶接品
質を確認しなくても品質を絶対的に保証され、バラツキ
のない安定した高い製品品質が確保される。
【0041】[製品精度について]従来の別部品溶接に
よる製造方法の場合、軸物部品とクラッチドラム部品と
電子ビーム溶接するため、溶接に伴う材料加熱で生じる
溶接歪みを避けることができなく、溶接歪みによりスプ
ライン歯が傾くし、軸物部品とクラッチドラム部品との
軸心ズレによりクラッチプレートとの嵌合隙間を一定に
保つことができない。
【0042】これに対し、ドラム付き軸部材Aは軸部材
1とドラム2が一体であるし、ドラム2はフローフォー
ミングにより成形されるため、溶接に伴う歪みや軸心ズ
レがなく、歯の傾きが防止されるし、軸部材1とドラム
2の軸心ズレが防止される。しかも、金型7と共に回転
させながら行なわれるフローフォーミングでは、ドラム
2のスプライン内歯5の加工精度が機械加工並みに高
く、しかも、軸部材1との軸心一致性も高く、歯ブレ品
質が絶対的に向上する。
【0043】実施の形態1の製造方法では、フローフォ
ーミングより先に浸炭熱処理を行なうようにしたが、こ
れは、仮に、後工程にて浸炭熱処理をすると、クラッチ
ドラムが熱処理歪みで変形してしまい、要求される寸法
精度を満たすことができないという理由による。
【0044】[製品強度について]従来の別部品溶接に
よる製造方法の場合、高強度化を図るため、別体のクラ
ッチドラムのみ軟窒化処理をしていた。
【0045】これに対し、実施の形態1では、浸炭焼き
入れ後、ドラム部2’のみの加熱焼鈍工程を設けること
により、ドラム2の必要硬度ひいては必要強度を自由に
選択できるようにしている。加えて、フローフォーミン
グによりドラム2を成形することで、冷間塑性加工によ
る加工硬化の増大と、ファイバーフローによる素材強度
の向上というメリットも享受できる。
【0046】よって、高周波焼き入れにより軸部1の高
強度化を図ることができると共に、軟窒化処理を行なう
ことなくドラム2の高強度化を図ることができる。
【0047】尚、全体焼き入れ手法として高周波焼き入
れ手法を採用した場合、軸部の芯部硬度の向上が図れ
ず、高強度化への対応には、非常に厳しい結果にならざ
るを得ない。
【0048】(その他の実施の形態)実施の形態1で
は、自動変速機のインプットシャフトへの適用例を示し
たが、軸部材とドラムが一体に設けられるような部品で
あれば本発明の製造方法を適用することができる。
【0049】
【発明の効果】請求項1記載のドラム付き軸部材の製造
方法にあっては、軸部材と円板状のドラム部を有する単
一の素材を用い、その軸部材に油穴やスプライン歯を加
工すると共にドラム部を鍛造により伸ばし回転塑性加工
のプリフォーム形状にする機械加工工程と、機械加工済
素材の表面全体に浸炭硬化層を形成する浸炭焼き入れ工
程と、焼き入れ済素材のうち回転塑性加工が施されるド
ラム部のみを加熱焼鈍して回転塑性加工が可能な硬度と
する加熱焼鈍工程と、加熱焼鈍されたドラム部に金型を
設定し、ドラム部に対するフォーミングローラの押圧を
保ったまま金型に沿ってフォーミングローラを相対移動
させることで内歯を有するドラムを成形する冷間の回転
塑性加工工程と、を備えているため、低廉な製造コスト
と、高い製品品質の確保と、歯の傾き防止と、ドラムの
軸心ズレの防止を達成しながら、高精度と高強度を両立
させたドラムを一体に有するドラム付き軸部材の製造方
法を提供することができる。
【0050】なお、回転塑性加工工程において、金型と
共に素材を回転させた場合、加工制御が容易となり、ま
た、内歯の精度を向上させることができる。
【0051】請求項2記載の発明にあっては、請求項1
記載のドラム付き軸部材の製造方法において、加熱焼鈍
工程を、真空中または窒素等の不活性ガス中にて加熱焼
鈍を行なう工程としたため、請求項1記載の発明の効果
に加え、加熱焼鈍時の酸化スケールの付着を防止するこ
とができる。
【0052】請求項3記載の発明にあっては、請求項1
または請求項2記載のドラム付き軸部材の製造方法にお
いて、加熱焼鈍工程を、設定した焼鈍温度レベルまでワ
ーク温度を上げ、加熱保持により焼鈍部の硬度分布を均
一にさせ得る時間まで上げたワーク温度を維持する工程
としたため、請求項1または請求項2記載の発明の効果
に加え、後工程の回転塑性加工工程を容易にさせること
ができる。
【0053】請求項4記載の発明にあっては、請求項1
ないし請求項3記載のドラム付き軸部材の製造方法にお
いて、加熱焼鈍工程を、焼鈍後のビッカース硬度をHV
100〜150とし、かつ、回転塑性加工後のビッカー
ス硬度がHV230以上を確保することが可能な焼鈍条
件としたため、請求項1ないし請求項3記載の発明の効
果に加え、回転塑性加工が可能な硬度を確保しながら、
製品としての高いドラム硬度を確保することができる。
【0054】請求項5記載の発明にあっては、油穴やス
プライン歯等を有する軸部材に内歯を有するドラムが固
定されたドラム付き軸部材において、軸部材とドラム
を、単一の素材による一体品とすると共に、軸部材は、
表面に浸炭硬化層を形成した部材とし、ドラムは、回転
塑性加工による内歯を有する部材としたため、低廉な製
造コストと、高い製品品質の確保と、歯の傾き防止と、
ドラムの軸心ズレの防止を達成しながら、高精度と高強
度を両立させたドラムを一体に有するドラム付き軸部材
を提供することができる。
【0055】請求項6記載の発明にあっては、請求項5
記載のドラム付き軸部材において、軸部材は自動変速機
内に設けられた動力を伝達するシャフトであり、ドラム
はシャフトと一体に回転し、内歯にクラッチプレートが
摺動可能に嵌合されるクラッチドラムであるため、請求
項5記載の発明の効果に加え、クラッチの締結・解放時
に内歯に沿ってクラッチプレートがスムーズに移動で
き、クラッチ引き摺りやプレート偏摩耗が防止され、ク
ラッチの耐久信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のドラム付き軸部材の製造方法を
示す工程図である。
【図2】実施の形態1のドラム付き軸部材の製造方法の
加熱焼鈍工程でのワーク温度特性図である。
【図3】実施の形態1のドラム付き軸部材を示す断面図
である。
【図4】実施の形態1の製造方法により製造されたドラ
ム付き軸部材が適用された自動変速機の動力伝達機構を
示す断面図である。
【図5】従来のドラム付き軸部材を示す断面図である。
【符号の説明】
A ドラム付き軸部材 1 軸部材 2 ドラム 2’ ドラム部 3a 第1軸心油穴 3b 第2軸心油穴 3c 第1径方向油穴 3d 第2径方向油穴 4 スプライン歯 5 スプライン内歯 6 浸炭硬化層 7 金型 8 フォーミングローラ 10 インプットシャフト(ドラム付き軸部材)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸部材と円板状のドラム部を有する単一
    の素材を用い、その軸部材に油穴やスプライン歯を加工
    すると共にドラム部を鍛造により伸ばし回転塑性加工の
    プリフォーム形状にする機械加工工程と、 機械加工済素材の表面全体に浸炭硬化層を形成する浸炭
    焼き入れ工程と、 焼き入れ済素材のうち回転塑性加工が施されるドラム部
    のみを加熱焼鈍して回転塑性加工が可能な硬度とする加
    熱焼鈍工程と、 加熱焼鈍されたドラム部に金型を設定し、ドラム部に対
    するフォーミングローラの押圧を保ったまま金型に沿っ
    てフォーミングローラを相対移動させることで内歯を有
    するドラムを成形する冷間の回転塑性加工工程と、 を備えていることを特徴とするドラム付き軸部材の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のドラム付き軸部材の製造
    方法において、 前記加熱焼鈍工程を、真空中または窒素等の不活性ガス
    中にて加熱焼鈍を行なう工程としたことを特徴とするド
    ラム付き軸部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載のドラム付
    き軸部材の製造方法において、 前記加熱焼鈍工程を、設定した焼鈍温度レベルまでワー
    ク温度を上げ、加熱保持により焼鈍部の硬度分布を均一
    にさせ得る時間まで上げたワーク温度を維持する工程と
    したことを特徴とするドラム付き軸部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3記載のドラム付
    き軸部材の製造方法において、 前記加熱焼鈍工程を、焼鈍後のビッカース硬度をHV1
    00〜150とし、かつ、回転塑性加工後のビッカース
    硬度がHV230以上を確保することが可能な焼鈍条件
    としたことを特徴とするドラム付き軸部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 油穴やスプライン歯等を有する軸部材に
    内歯を有するドラムが固定されたドラム付き軸部材にお
    いて、 前記軸部材とドラムを、単一の素材による一体品とする
    と共に、 前記軸部材は、表面に浸炭硬化層を形成した部材とし、 前記ドラムは、回転塑性加工による内歯を有する部材と
    したことを特徴とするドラム付き軸部材。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のドラム付き軸部材におい
    て、 前記軸部材は自動変速機内に設けられた動力を伝達する
    シャフトであり、 前記ドラムはシャフトと一体に回転し、内歯にクラッチ
    プレートが摺動可能に嵌合されるクラッチドラムである
    ことを特徴とするドラムドラム付き軸部材。
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