JPH11274526A - Cis系カルコパイライト構造半導体薄膜及びその製造方法並びにcis系カルコパイライト構造半導体薄膜を有する太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

Cis系カルコパイライト構造半導体薄膜及びその製造方法並びにcis系カルコパイライト構造半導体薄膜を有する太陽電池及びその製造方法

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JPH11274526A
JPH11274526A JP10074229A JP7422998A JPH11274526A JP H11274526 A JPH11274526 A JP H11274526A JP 10074229 A JP10074229 A JP 10074229A JP 7422998 A JP7422998 A JP 7422998A JP H11274526 A JPH11274526 A JP H11274526A
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cis
semiconductor thin
thin film
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Takeshi Iketani
剛 池谷
Takeshi Kamiya
武志 神谷
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Yazaki Corp
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Yazaki Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 グレーデッドバンドギャップ構造を再現性よ
く且つ低コストで形成することができるCIS系カルコ
パイライト構造半導体薄膜及びその製造方法並びにCI
S系カルコパイライト構造半導体薄膜を有する太陽電池
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 基板に近い方でバンドギャップエネルギ
ーが大きく且つn型半導体と接触することになる膜表面
付近でバンドギャップエネルギーが小さいCIS系カル
コパイライト構造半導体薄膜において、基板付近の原子
数比Al/(In+Al)がその膜表面の原子数比Al
/(In+Al)よりも小さくなるようにAl及びIn
の組成を連続的に変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CIS系カルコパ
イライト構造半導体薄膜及びその製造方法並びにCIS
系カルコパイライト構造半導体薄膜を有する太陽電池及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周期律表のIb族元素、IIIb族元素
及びVIb族元素からなる化合物半導体薄膜は、CIS
系カルコパイライト構造を有する化合物半導体薄膜とし
て斯界で知られている。このような化合物半導体薄膜
は、例えば、CuInSe2 、CuInS2、Cu(I
1-xGax)Se2、CuIn(SxSe1-x2 、Cu
(In1-xGax)(SySe1-Y2 等の化合物で構成さ
れている。これらの化合物により構成される化合物半導
体薄膜は、CIS系化合物半導体薄膜とよばれ、薄膜太
陽電池の光吸収層として用いられている。
【0003】このようなCIS系化合物半導体薄膜の製
造方法は、特開昭61−237476号公報に開示され
ている。このCIS系化合物半導体薄膜の製造方法によ
れば、まず、基板の表面に裏面電極として厚み1.0〜
1.5mμのMo薄膜をスパッタリングにより成膜す
る。このMo薄膜を形成した基板の上に厚み約3000
のCuを含む層を電着により形成し、続いて、このCu
を含む層の上に厚み約3000 のInを含む層を電着
により形成する。このようにして得られた積層体を拡散
炉の中に入れて約400℃で十分に加熱する。
【0004】図6は、ここで用いられる拡散炉の説明図
である。図6において、20は、拡散炉である。拡散炉
20は、第1の室21及び第2の室22からなり、これ
らの室の間には、バッフル23が設けられている。第2
の室22では、サンプル(前記積層体)24が多数加熱
される。この加熱工程において、Arガスが第1の室2
1から第2の室に送られる。25は、個体Seを入れた
容器である。個体Seは、約200℃に加熱されて気化
される。そのために、SeがArガスと共に第2の室2
2に送られる。
【0005】前記積層体を拡散炉の中に入れて約400
℃に加熱すると、Cu及びInはそれらを含む層間で急
速に拡散するが、裏面電極のMo薄膜は変化しない。ま
た、Cuを含む層及びInを含む層は、第2の室22に
おいて反応性Seを有する雰囲気にさらされるので、反
応性Seが、Cuを含む層及びInを含む層に拡散して
ゆき、Cu及びInと反応することになる。それ故、C
uを含む層及びInを含む層は、反応が進むと、1〜3
μmのCuInSe2 の均質な層となる。このように、
CuInSe2 の均質な層の厚さが当初のCuを含む層
及びInを含む層の合計厚さ(約3000Å+約300
0Å)より厚くなるのは、反応性Seが最終半導体物質
の約50原子%を含む程度に添加されるからである。
【0006】このようなCuInSe2 よりなる半導体
は、バンドギャップエネルギーが1.04eVと低いた
めに、Gaを添加することにより、バンドギャップエネ
ルギーを太陽電池として最適な1.4〜1.50eVま
で大きくする試みがなされている。例えば、1994年
12月5〜9日に開催された1st WCPEC でMiguel A.Con
treras らが発表した“HIGH EFFICIENCY Cu(In,Ga)Se2
-BASED SOLAR CELLS:PROCESSING OF NOVEL ABSORBER ST
RUCTURERS”の第68〜75頁には、基板に近い方でバ
ンドギャップエネルギーが大きく、且つ、n型半導体と
接触することになる表面付近でバンドギャップエネルギ
ーが小さくなるような、Cu(In,Ga)Se2 より
なるカルコパイライト構造半導体薄膜とするために、該
カルコパイライト構造半導体薄膜に含有されるGa及び
Inの組成を変化させることが示されている。このよう
なバンドギャップ構造は、グレーデッドバンドギャップ
構造といわれ、バンド構造の伝導体に傾斜をつけること
によりキャリヤの再結合を少なくし、電流を有効に取り
出そうと試みるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】CIS系の化合物半導
体においてバンドギャップエネルギーを大きくしようと
する従来の試みは、CuInxGa1-xSe2 (例えば、
CuInSe2 及びCuGaSe2 の固溶体)よりなる
半導体がほとんどである。しかしながら、このようなC
uInxGa1-xSe2 よりなる半導体薄膜の製造におい
ては、Gaが反応中に基板側に移行する傾向があるの
で、Gaの傾斜組成の制御が難しく、そのために、グレ
ーデッドバンドギャップ構造を再現性よく形成すること
が難しいという問題がある。また、Gaは比較的高価な
金属であるので、グレーデッドバンドギャップ構造を形
成することができるCuInxGa1-xSe2 よりなる半
導体薄膜を太陽電池の光吸収層として用いると、太陽電
池の製造コストを高くするという問題がある。
【0008】本発明は、かかる問題を解決することを目
的としている。即ち、本発明は、グレーデッドバンドギ
ャップ構造を再現性よく且つ低コストで形成することが
できるCIS系カルコパイライト構造半導体薄膜及びそ
の製造方法並びにCIS系カルコパイライト構造半導体
薄膜を有する太陽電池及びその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
【0010】本発明者は、CIS系カルコパイライト構
造半導体薄膜において、Alが従来用いられていたGa
のように反応中に基板側に移行する傾向がないために傾
斜組成の制御をし易いことを見出して本願発明を完成す
るに至った。
【0011】即ち、本第1発明は、上記目的を達成する
ために、基板に近い方でバンドギャップエネルギーが大
きく且つn型半導体と接触することになる膜表面付近で
バンドギャップエネルギーが小さいCIS系カルコパイ
ライト構造半導体薄膜において、基板付近の原子数比A
l/(In+Al)がその膜表面の原子数比Al/(I
n+Al)よりも小さくなるようにAl及びInの組成
を連続的に変化させたことを特徴とするCIS系カルコ
パイライト構造半導体薄膜である。
【0012】本第2発明は、(イ) 基板上にAlSey
(0≦y≦1.5)膜を成膜した後InSex (0≦x
≦1.5)膜を成膜するか、又は、基板上にAlaInb
Sec (0≦c/(a+b)≦1.5)膜を成膜する工
程、(ロ) 前記(イ) 工程で成膜した膜上に、膜中の原子数
比が1.0≦Cu/(In+Al)≦1.2となるよう
に、金属Cu膜をCu単独で成膜するか、又は、金属C
u膜をSeの存在下に成膜する工程、(ハ) 前記(ロ) 工程
を経て得た積層膜をセレン雰囲気中において400〜5
50℃の温度で加熱して、Cu過剰のCuInzAl1-z
Se2(0<z<1)膜を形成する工程、(ニ) 前記(ハ)
工程を経て得たCu過剰のCuInzAl1-zSe2 (0
<z<1)膜上に、膜中の原子数比が0.8≦Cu/
(In+Al)≦1.0となるように、AlSex (0
≦x≦1.5)膜を成膜する工程、(ホ) 前記(ニ) 工程を
経て得た積層膜を再度セレン雰囲気中において400〜
550℃の温度で加熱する工程、を具備することを特徴
とするCIS系カルコパイライト構造半導体薄膜の製造
方法である。
【0013】本第3発明は、第2発明において、AlS
y (0≦y≦1.5)膜及びInSex (0≦x≦
1.5)膜よりなる積層膜、又は、AlaInbSec
(0≦c/(a+b)≦1.5)膜がアモルファスであ
ることを特徴とするものである(但し、x=0、y=
0、c/(a+b)=0の場合を除く)。
【0014】本第4発明は、第2又は3発明において、
AlSey (0≦y≦1.5)膜及びInSex (0≦
x≦1.5)膜よりなる積層膜、又は、AlaInbSe
c (0≦c/(a+b)≦1.5)膜を成膜する際に、
基板を室温〜250℃に保持することを特徴とするもの
である。
【0015】本第5発明は、第1,2又は3発明におい
て、AlaInbSec (0≦c/(a+b)≦1.5)
膜を、その基板付近の原子数比Al/(In+Al)が
その膜表面の原子数比Al/(In+Al)よりも小さ
くなるように、成膜することを特徴とするものである。
【0016】本第6発明は、第2,3,4又は5発明に
おいて、CIS系カルコパイライト構造半導体薄膜を同
一の真空系内で製造することを特徴とするものである。
【0017】本第7発明は、第2,3、4,5又は6発
明において、セレン雰囲気をセレン単体からセレンを蒸
発させることによりつくることを特徴とするものであ
る。
【0018】本第8発明は、基板に近い方でバンドギャ
ップエネルギーが大きく且つn型半導体と接触すること
になる膜表面付近でバンドギャップエネルギーが小さい
CIS系カルコパイライト構造半導体薄膜であって、基
板付近の原子数比Al/(In+Al)がその膜表面の
原子数比Al/(In+Al)よりも小さくなるように
Al及びInの組成を連続的に変化させたCIS系カル
コパイライト構造半導体薄膜を有することを特徴とする
太陽電池である。
【0019】本第9発明は、本第2〜7発明のいずれか
1つの発明により得られたCIS系カルコパイライト構
造半導体薄膜上に溶液成長法又は真空蒸着法により硫化
カドミウム層を成膜し、さらに、その上にスパッタ法に
より酸化亜鉛層を成膜することを特徴とする太陽電池の
製造方法である。
【発明の実施の形態】
【0020】本発明において用いられる基板は、例え
ば、ソーダライムガラスであるが、本発明の目的に反し
ないかぎり、従来太陽電池の製造において用いられてい
るセラミック基板等の耐熱性の基板をも用いることがで
きる。
【0021】本発明によって製造された化合物半導体を
太陽電池とするには、例えば、化合物半導体のCIS薄
膜層上に溶液成長法又は真空蒸着法によりN型半導体と
して硫化カドミウム層を30〜500nmの膜厚に形成
し、さらに、その上にスパッタ法により透明導電膜とし
て酸化亜鉛層を0.5〜2.0μmの膜厚に形成する。
しかし、本発明の目的に反しないかぎり、太陽電池の製
造において用いられている公知の硫化カドミウム層及び
硫化カドミウム層の形成手段をそれぞれ用いることがで
きる。
【0022】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明の実施例
を説明する。図1は、本発明の一実施例を説明するため
のCIS系カルコパイライト構造半導体薄膜の製造工程
の説明図である。図2は、本発明の他の一実施例を説明
するためのCIS系カルコパイライト構造半導体薄膜の
製造工程の説明図である。図3は、本発明の一実施例を
説明するための太陽電池の製造工程の説明図である。
【0023】(実施例1)本実施例を図1に基づいて説
明する。Moを1μm程度の厚さにスパッタリングによ
り成膜したソーダライムガラスを基板1として準備し
た。Moは、太陽電池を作成した場合、p型伝導のCI
S系カルコパイライト半導体薄膜とオーミック接触を得
ることができ、さらに、Seと反応し難いために、この
ように予めMoをソーダライムガラス上に成膜しておい
た。この基板1上にAlSe膜2を真空蒸着法によりA
l及びSeの2元ソースから基板加熱温度200℃で蒸
着させた。このAlSe膜2上にInSe膜3を同じく
真空蒸着法によりAl及びSeの2元ソースから基板加
熱温度200℃で蒸着させた。これら2層の合計膜厚
は、1μmであった。次に、このAlSe膜3上にCu
膜4を基板加熱なしで真空蒸着法により成膜した。[図
1(a)]
【0024】このようにして形成された積層膜をSe雰
囲気中において500℃で1時間加熱処理してCu過剰
なCuIn1-zAlzSe2 膜5を形成した。加熱処理後
の膜の原子組成(原子%)を蛍光X線分析により測定し
たところ、Cu:In:Al:Se=24.4:17.
3:2.3:58.0であった。このCu過剰なCu z
Al1-zSe2膜上に真空蒸着法によりAlSe膜6を成
膜した。[図1(b)]
【0025】このように形成された積層膜を再度Se雰
囲気中において500℃で1時間加熱処理してCIS系
カルコパイライト構造半導体薄膜7を形成した。[図1
(c)]
【0026】このCIS系カルコパイライト構造半導体
薄膜7の原子組成(原子%)を蛍光X線分析により測定
したところ、Cu:In:Al:Se=23.2:2
1.8:3.0:52.0であった。また、前記CIS
系カルコパイライト構造半導体薄膜7をオージェ電子分
析(AES)したところ、図4に示されるような結果と
なった。さらに、前記CIS系カルコパイライト構造半
導体薄膜7の原子数比Al/(In+Al)の深さ方向
の変化を測定したところ、図5に示されるような結果と
なった。また、図5から、表面付近でAl含有量が多
く、膜内部で一端下がり、さらにMo界面に行くにつれ
てだんだんAl含有量が多くなっていくような伝導帯が
V字状構造になるような原子組成変化となっていること
がわかった。
【0027】(実施例2)本実施例を図2に基づいて説
明する。Moを1μm程度の厚さにスパッタリングによ
り成膜したソーダライムガラスを基板8として準備し
た。この基板8上にIn1-xAlxSe膜9を真空蒸着法
によりIn、Al及びSeの3元ソースから基板加熱温
度150℃で蒸着させた。この際、Mo膜付近でAlが
多く、表面付近でInが多くなるように蒸着源の加熱温
度をコントロールして成膜した。このIn1-xAlxSe
膜9の膜厚は、1μmであった。次に、このIn1-x
xSe膜9上にCu膜10を基板加熱なしで真空蒸着
法により1μm厚に成膜した。[図2(a)]
【0028】このようにして形成された積層膜をSe雰
囲気中において450℃で30分間加熱処理してCu過
剰なCuIn1-zAlzSe2 膜11を形成した。加熱処
理後の膜の原子組成(原子%)を蛍光X線分析により測
定したところ、Cu:In:Al:Se=21.6:1
7.4:2.2:58.8であった。このCu過剰なC
uIn1-zAlzSe2 膜11の上に真空蒸着法によりA
lSe膜12を成膜した。[図2(b)]
【0029】このように形成された積層膜を再度Se雰
囲気中において530℃で1時間加熱処理してCIS系
カルコパイライト構造半導体薄膜13を形成した。[図
2(c)]
【0030】このCIS系カルコパイライト構造半導体
薄膜13の原子組成(原子%)を蛍光X線分析により測
定したところ、Cu:In:Al:Se=23.4:2
2.3:2.8:51.5であった。また、前記CIS
系カルコパイライト構造半導体薄膜7をオージェ電子分
析(AES)したところ、前記実施例1に係わる図4に
示した結果とほとんど同じ結果が得られた。
【0031】(実施例3)本実施例を図3に基づいて説
明する。前記実施例1で得られたCIS系カルコパイラ
イト構造半導体薄膜7の上にCdS膜14を真空蒸着法
により基板加熱温度200℃で0.3μm厚に成膜し
た。このCdS膜14の上にZnO膜15をスパッタリ
ングにより0.3μm厚に成膜し、続いて、Alドーピ
ングZnO膜16をスパッタリングにより0.8μm厚
に成膜して太陽電池とした。この太陽電池をソーラーシ
ミュレータによる0.1W/cm2 の光照射下で太陽電
池のエネルギー変換率を測定したところ、その測定結果
は、開放電圧;530mV、短絡電流密度;32mA/
cm2 、フィルファクター;52%、及び、エネルギー
変換率;8.8%であった。
【0032】(比較例1)ソーダライムガラス基板上に
電極としてMo膜を1μm厚に成膜し、その上にIn-
Ga-Se膜をIn、Ga及びSeの3元ソースから同
時蒸着法で成膜し、さらにその上にCu膜をスパッタリ
ングにより成膜した。このように成膜した積層膜をSe
雰囲気中において500℃で1時間加熱処理してCuI
1-xGaxSe2 薄膜を形成した。その膜厚は、2μm
であった。このCuIn1-xGaxSe 2 薄膜の上にCd
S膜を真空蒸着法により0.3μm厚に成膜した。次
に、このCdS膜の上にZnO膜15をスパッタリング
により0.3μm厚に成膜し、続いて、Alドーピング
ZnO膜をスパッタリングにより0.8μm厚に成膜し
て太陽電池とした。この従来の太陽電池をソーラーシミ
ュレータによる0.1W/cm2 の光照射下で太陽電池
のエネルギー変換率を測定したところ、その測定結果
は、開放電圧;520mV、短絡電流密度;31.5m
A/cm2 、フィルファクター;50%、及び、エネル
ギー変換率;8.2%であった。
【0033】以下、本発明の作用を記載すると次のとお
りとなう。 (1)本第1発明について 基板に近い方でバンドギャップエネルギーが大きく且つ
n型半導体と接触することになる膜表面付近でバンドギ
ャップエネルギーが小さいCIS系カルコパイライト構
造半導体薄膜において、基板付近の原子数比Al/(I
n+Al)がその膜表面の原子数比Al/(In+A
l)よりも小さくなるようにAl及びInの組成を連続
的に変化させたことにより、グレーデッドバンドギャッ
プ構造を再現性よく且つ低コストで形成することができ
る。その理由は、ここで用いられるAlは、従来用いら
れていたGaのように、反応中に基板側に移行する傾向
がなく、そのために、傾斜組成の制御がし易く、しか
も、比較的低価格な金属であるであるからである。
【0034】(2)本第2発明について (イ)工程でAlを基板付近に多く存在させるとCuA
lSe2 が生成する。CuAlSe2 は、従来のCuA
lSe2 よりもバンドギャップエネルギーが大きいため
に、本第1発明では、その伝導帯がグレーデッドバンド
ギャップ構造となる。
【0035】 さらに(ニ)工程及び(ホ)工程でAlを表
面付近に多く存在させることにより、前記Miguel A. Co
ntreras らが発表した“HIGH EFFICIENCY Cu(In,Ga)Se
2 -BASED SOLAR CELLS:PROCESSING OF NOVEL ABSORBER
STRUCTURERS”に述べられているような、V字状の伝導
体が形成される。このように伝導体をV字状の構造に形
成すると、1100−1200nmのような長波長域で
の分光感度がよくなり、短絡電流が改善され、さらに、
バンドギャップエネルギーが理想の値に近づくため開放
電圧を向上させることもできる。
【0036】 (ロ)工程で膜中の原子数比を1.0≦C
u/(In+Al)≦1.2としてCu過剰にすると、
(ホ)工程で加熱している最中に過剰のCu−Seが液相
となり、これが結晶成長の際にフラックスとして働くの
で、結晶性が良くなる。また、1.2以下とするのは、
これ以上とすると、Alが比較的多い CuAl1-zSe
2 (0<z<1)が表面付近にかなり多く形成されてし
まうため、この薄膜を太陽電池の光吸収帯として使用し
た場合に開放電圧特性は良くなるが、キャリヤがV字状
伝導体の一部で長い間トラップされてしまうため、キャ
リヤの再結合が多くなり、結果として、電流が多く取り
出せないことになってしまうからである。
【0037】(イ)工程及び(ホ)工程で加熱温度を400
〜550℃とするのは、400℃より低い温度である
と、完全なカルコパイライトの結晶構造が形成されず、
In−Se、Al−Se、Cu−Se等の異相が残って
しまうことがあるためである。また、550℃より低い
温度とするのは次のような理由からである。この種のカ
ルコパイライト構造半導体薄膜は、太陽電池の光吸収層
として使用されることが多いのであるが、この太陽電池
の基板としてソーダライムガラスを使用することがほと
んどである。これは、基板加熱時にソーダライムガラス
から供給されるNa、K等のアルカリ金属が光り吸収層
にドーピングされ、キャリヤ濃度が上がって主に太陽電
池の解法電圧特性が改善されエネルギー変換率が良くな
るためであると考えられる。ソーダライムガラスの軟化
点は570℃付近であるが、ソーダライムガラス上に裏
面電極として成膜される膜の応力によっては、これより
若干低い温度で基板に反りが生じてしまうことがある。
本発明者のこれまでの経験からすると、550℃までの
温度であれば基板の変形がなく、しかも、結晶性の良い
CIS系カルコパイライト構造半導体薄膜が得られるこ
とがわかっている。
【0038】(3)本第3発明について AlSey 、AlSex 及びAlaInbSec におい
て、x、y、c/(a+b)が0〜1.5としたのは、
基本的にこの種の化合物は1.5を越える組成のものが
存在しないからである。本発明においては、この値は、
好ましくは、0.8〜1.3にした方がよい。0.8よ
り小さくすると、Cuを加え、高温で反応させる時に膜
の膨張率が大きくなり、密着性のよい膜ができない。ま
た、1.3を越えると今度はSe量が多すぎるため、生
成する膜の結晶性が悪くなってしまう。
【0039】(4)本第4発明について 基板を室温〜250℃に保持するのは、250℃を越え
ると結晶性の膜が形成されてしまうからである。
【0040】(5)本第5発明について AlaInbSec (0≦c/(a+b)≦1.5)膜
を、その基板付近の原子数比Al/(In+Al)がそ
の膜表面の原子数比Al/(In+Al)よりも小さく
なるように、成膜することによって、グレーデッドバン
ドキャップを形成することができる。
【0041】(6)本第6発明について CIS系カルコパイライト構造半導体薄膜を同一の真空
系内で製造する製造コストを下げることができる。
【0042】(7)本第7発明について セレン雰囲気をセレン単体からセレンを蒸発させること
によりつくるので、取り扱い上安全である。
【0043】(8)本第8発明について 基板に近い方でバンドギャップエネルギーが大きく且つ
n型半導体と接触することになる膜表面付近でバンドギ
ャップエネルギーが小さいCIS系カルコパイライト構
造半導体薄膜であって、基板付近の原子数比Al/(I
n+Al)がその膜表面の原子数比Al/(In+A
l)よりも小さくなるようにAl及びInの組成を連続
的に変化させたCIS系カルコパイライト構造半導体薄
膜を光吸収層として有することによって、エネルギー変
換効率を向上させた太陽電池を低コストで提供すること
ができる。
【0044】(9)本第9発明について 本第1〜6発明のいずれか1つの発明により得られたC
IS系カルコパイライト構造半導体薄膜上に溶液成長法
又は真空蒸着法により硫化カドミウム層を成膜し、さら
に、その上にスパッタ法により酸化亜鉛層を成膜するこ
とによって、エネルギー変換効率の向上させた太陽電池
を提供することができる。
【0045】
【発明の効果】グレーデッドバンドギャップ構造を再現
性よく且つ低コストで形成することができるCIS系カ
ルコパイライト構造半導体薄膜及びその製造方法並びに
CIS系カルコパイライト構造半導体薄膜を有する太陽
電池及びの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明するためのCIS系カ
ルコパイライト構造半導体薄膜の製造工程の説明図であ
る。
【図2】本発明の他の一実施例を説明するためのCIS
系カルコパイライト構造半導体薄膜の製造工程の説明図
である。
【図3】本発明の一実施例を説明するための太陽電池の
製造工程の説明図である。
【図4】本発明の一実施例により製造されたCIS系カ
ルコパイライト構造半導体薄膜のオージェ電子分析(A
ES)結果を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施例により製造されたCIS系カ
ルコパイライト構造半導体薄膜の原子数比Al/(In
+Al)の深さ方向の変化を測定したグラフである。
【図6】従来のCIS系化合物半導体薄膜の製造おいて
用いられる拡散炉の説明図である。
【符号の説明】
1、8 基板 2,6,12 AlSe膜 3 InSe膜 4,10 Cu膜 5,11 CuIn1-zAlzSe2 膜 7,13 CIS系カルコパイライト構造半導体薄膜 9 In1-zAlzSe2 膜 14 CdS膜 15 ZnO膜 16 AlドーピングZnO膜

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に近い方でバンドギャップエネルギ
    ーが大きく且つn型半導体と接触することになる膜表面
    付近でバンドギャップエネルギーが小さいCIS系カル
    コパイライト構造半導体薄膜において、基板付近の原子
    数比Al/(In+Al)がその膜表面の原子数比Al
    /(In+Al)よりも小さくなるようにAl及びIn
    の組成を連続的に変化させたことを特徴とするCIS系
    カルコパイライト構造半導体薄膜。
  2. 【請求項2】 (イ) 基板上にAlSey (0≦y≦1.
    5)膜を成膜した後InSex (0≦x≦1.5)膜を
    成膜するか、又は、基板上にAlaInbSe c (0≦c
    /(a+b)≦1.5)膜を成膜する工程、 (ロ) 前記(イ) 工程で成膜した膜上に、膜中の原子数比が
    1.0≦Cu/(In+Al)≦1.2となるように、
    金属Cu膜をCu単独で成膜するか、又は、金属Cu膜
    をSeの存在下に成膜する工程、 (ハ) 前記(ロ) 工程を経て得た積層膜をセレン雰囲気中に
    おいて400〜550℃の温度で加熱して、Cu過剰の
    InzCuAl1-zSe2 (0<z<1)膜を形成する工
    程、 (ニ) 前記(ハ) 工程を経て得たCu過剰のCuInzAl
    1-zSe2 (0<z<1)膜上に、膜中の原子数比が
    0.8≦Cu/(In+Al)≦1.0となるように、
    AlSex (0≦x≦1.5)膜を成膜する工程、 (ホ) 前記(ニ) 工程を経て得た積層膜を再度セレン雰囲気
    中において400〜550℃の温度で加熱する工程、 を具備することを特徴とするCIS系カルコパイライト
    構造半導体薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 AlSey (0≦y≦1.5)膜及びI
    nSex (0≦x≦1.5)膜よりなる積層膜、又は、
    AlaInbSec (0≦c/(a+b)≦1.5)膜が
    アモルファスであることを特徴とする請求項2記載のC
    IS系カルコパイライト構造半導体薄膜の製造方法(但
    し、x=0、y=0、c/(a+b)=0の場合を除
    く)。
  4. 【請求項4】 AlSey (0≦y≦1.5)膜及びI
    nSex (0≦x≦1.5)膜よりなる積層膜、又は、
    AlaInbSec (0≦c/(a+b)≦1.5)膜を
    成膜する際に、基板を室温〜250℃に保持することを
    特徴とする請求項2又は3記載のCIS系カルコパイラ
    イト構造半導体薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 AlaInbSec (0≦c/(a+b)
    ≦1.5)膜を、その基板付近の原子数比Al/(In
    +Al)がその膜表面の原子数比Al/(In+Al)
    よりも小さくなるように、成膜することを特徴とする請
    求項2、3又は4記載のCIS系カルコパイライト構造
    半導体薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 CIS系カルコパイライト構造半導体薄
    膜を同一の真空系内で製造することを特徴とする請求項
    2,3、4又は5記載のCIS系カルコパイライト構造
    半導体薄膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 セレン雰囲気をセレン単体からセレンを
    蒸発させることによりつくることを特徴とする請求項
    2,3,4,5又は6記載のCIS系カルコパイライト
    構造半導体薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 基板に近い方でバンドギャップエネルギ
    ーが大きく且つn型半導体と接触することになる膜表面
    付近でバンドギャップエネルギーが小さいCIS系カル
    コパイライト構造半導体薄膜であって、基板付近の原子
    数比Al/(In+Al)がその膜表面の原子数比Al
    /(In+Al)よりも小さくなるようにAl及びIn
    の組成を連続的に変化させたCIS系カルコパイライト
    構造半導体薄膜を有することを特徴とする太陽電池。
  9. 【請求項9】 請求項2〜7のいずれか1つに記載の製
    造方法により得られたCIS系カルコパイライト構造半
    導体薄膜上に溶液成長法又は真空蒸着法により硫化カド
    ミウム層を成膜し、さらに、その上にスパッタ法により
    酸化亜鉛層を成膜することを特徴とする太陽電池の製造
    方法。
JP10074229A 1998-03-23 1998-03-23 Cis系カルコパイライト構造半導体薄膜及びその製造方法並びにcis系カルコパイライト構造半導体薄膜を有する太陽電池及びその製造方法 Withdrawn JPH11274526A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004090995A1 (ja) * 2003-04-09 2004-10-21 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 太陽電池
JP2007335792A (ja) * 2006-06-19 2007-12-27 Matsushita Electric Ind Co Ltd 薄膜太陽電池
JP2011119478A (ja) * 2009-12-03 2011-06-16 Kaneka Corp 化合物半導体太陽電池
JP5174248B2 (ja) * 2009-10-27 2013-04-03 京セラ株式会社 カルコゲン化合物半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法

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