JPH11278952A - 酸化物超電導体接合体及びその製造方法並びに超電導磁気シールド材 - Google Patents

酸化物超電導体接合体及びその製造方法並びに超電導磁気シールド材

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JPH11278952A
JPH11278952A JP10081938A JP8193898A JPH11278952A JP H11278952 A JPH11278952 A JP H11278952A JP 10081938 A JP10081938 A JP 10081938A JP 8193898 A JP8193898 A JP 8193898A JP H11278952 A JPH11278952 A JP H11278952A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の特性を維持しつつ所望の大きさに形成
できる酸化物超電導体接合体及びその製造方法並びに超
電導磁気シールド材を提供する。 【解決手段】 Bi(Pb)SrCaCu
系酸化物超電導体の特性のよい部分を板状に切り出して
形成した複数の超電導体素片1,1,…の互いの接合部
分に、Bi(Pb)SrCaCuの超電導
ペーストを塗布して接合し、焼成処理を行うことによっ
て、臨界電流密度が温度77Kで外部磁場が0ガウスの
条件下で1500A/cm以上である超電導体接合体
2を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に、磁気共鳴断
層撮影装置(MRI)、リニアモーターカー、超電導マ
グネット等磁場を発生する機器に利用することのできる
酸化物超電導体接合体及びその製造方法並びに磁気シー
ルド材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気シールド材として、例えばパ
ーマロイ、フェライトのような透磁率の高い強磁性材料
を用いることは公知であるが、これらのシールド材は強
い引力を発生するので、これを防ぐために全体の構造を
強固にかつ大がかりなものにしなければならず、さらに
50〜500ガウスのような強い磁場をシールドするた
めには、材料を積層させて厚さを増し、全体としての重
量がかなり重くなってしまうという問題があった。
【0003】また、酸化物超電導材料を用いた磁気シー
ルド材は、酸化物超電導材料自体が反磁性(マイスナー
効果)を示す物質であるため、単独で磁気シールド材と
して用いられていた。しかしながら、外部磁場強度がH
c1(下部臨界磁場)以上になると磁場は量子化された
量子磁束となり超電導体中に侵入し、これを通過してし
まうために、数百ガウスの磁場中では磁気シールド材と
して使用できなかった。ここで、試料の臨界電流密度が
十分高ければ、侵入してこようとする磁束にうち勝っ
て、シールド効果が得られるのであるが、焼結法で作製
されたYBaCuO系の超電導体で約200A/c
、BiPbSrCaCuO系の超電導体で約100
0A/cm(77K、0ガウス)の臨界電流密度をも
った超電導体では、500ガウスのような強い磁場をシ
ールドすることは非常に難しい問題であった。
【0004】溶融法で作製されるYBaCuO系の超電
導体では約数万A/cmの臨界電流密度が得られ、実
際に50〜500ガウスのような強い磁場を磁気シール
ド可能なことが確認されているが、溶融法で得られる試
料は実用化の際に最も重要である大型化において問題が
あり、最大でも30mm×30mmのサイズである。さ
らに製造コストが焼結法で作製するものに比べて極めて
高く、実用的とはいえない。
【0005】これらの諸問題を解決できる可能性のある
手段としては、先に本発明者等が提案した高い臨界電流
密度を持ち、その結果として100〜1000ガウスの
磁場中での磁気シールドが可能な酸化物超電導体がある
(特願平9−293030参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、真の意味での
実用化に近づくためには、サイズの大型化技術が不可欠
である。従来の一体成形では、せいぜい大きくとも10
0mm×100mmの面積を持つものが上限であった。
また、大型化技術として、接合による大型化が試みられ
てはいるものの、その接合部での超電導特性が、どうし
ても超電導素片の特性に比べて劣るために、例えば磁気
シールド応用の場合では、接合部からの顕著な磁束密度
の漏洩として観測される。超電導接合部を間に挟んでの
超電導特性が、超電導素片に比べて著しく劣ってしまう
ので、接合による大型化は達成されていなかった。
【0007】本発明は、上述の背景のもとでなされたも
のであり、特性のよい超電導体素片を複数接合すること
によって所望の特性を維持しつつ所望の大きさに形成で
きる酸化物超電導体接合体及びその製造方法並びに超電
導磁気シールド材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めの手段として、本発明にかかる酸化物超電導体接合体
は、 (構成1) BiPbSrCaCu系酸
化物超電導体の複数の素片を互いに超電導的に接合した
酸化物超電導体接合体であって、臨界電流密度が温度7
7Kで外部磁場が0ガウスの条件下で1500A/cm
以上であることを特徴とし、この構成1の態様とし
て、 (構成2) 構成1の酸化物超電導体接合体において、
臨界電流密度が温度77Kで外部磁場が0ガウスの条件
下で1500A/cm以上であると同時に、50〜5
00ガウスの磁場中での磁気シールドが可能な特性を有
することを特徴とし、構成1又は2の態様として、 (構成3) 構成1又は2の酸化物超電導体接合体にお
いて、前記接合体を構成する各超電導体素片及び接合部
分の結晶粒界に、CuO、CuO、CaPbO
うち少なくとも1つが存在することを特徴とする。
【0009】また、本発明にかかる酸化物超電導体接合
体の製造方法は、 (構成4) BiPbSrCaCu系酸
化物超電導体の素片を複数個作製し、次に、これらの互
いに接合すべき接合面に超電導ペーストを塗布して接合
し、次に、この接合体に焼成処理を施すことによって、
請求項1ないし3のいずれかに記載の酸化物超電導体接
合体を得ることを特徴とし、この構成4の態様として、 (構成5) 構成4の酸化物超電導体接合体の接合方法
において、前記焼成処理には、少なくとも一回の加熱処
理と少なくとも一回のCIP(冷間静水圧プレス)処理
とを含むものであることを特徴とし、この構成5の態様
として、 (構成6) 構成5の酸化物超電導体接合体の接合方法
において、前記焼成処理における加熱処理とCIP(冷
間静水圧プレス)処理とは交互に行うものであることを
特徴とし、構成4ないし6のいずれかの態様として、 (構成7) 構成4ないし6のいずれかの酸化物超電導
体接合体の製造方法において、前記焼成処理後におい
て、接合された酸化物超電導体の素片および接合部分の
結晶粒界に、Bi、Pb、Sr、Ca、Cu、Oを含む
膜状の非超電導相が存在する場合に、この膜状非超電導
相を消失させる熱処理を施すことを特徴とし、構成7の
態様として、 (構成8) 構成7の酸化物超電導体接合体の製造方法
において、前記熱処理は、大気中において810℃〜8
30℃の温度で2時間〜50時間の熱処理であることを
特徴とし、構成7又は8の態様として、 (構成9) 構成7又は8の酸化物超電導体接合体の製
造方法において、前記熱処理は、前記焼成処理において
最終の加熱処理が終了して炉内温度を下げてくる途中に
おいて行うことを特徴とする。
【0010】また、本発明にかかる超電導磁気シールド
材は、 (構成10) 構成1ないし3のいずれかの酸化物超電
導体接合体、又は、構成4ないし8のいずれかの製造方
法で製造された酸化物超電導体接合体からなることを特
徴とする。
【0011】上述の構成によれば、BiPbSr
CaCu系酸化物超電導体の複数の素片を互い
に超電導的に接合する構成としたことによって、特性の
よい超電導体素片を複数接合して所望の特性を維持しつ
つ所望の大きさに形成できる酸化物超電導体接合体を得
ることが可能になった。また、これにより、十分な特性
を有する超電導磁気シールド材を得ることも可能になっ
た。なお、ここで、yは0.2〜0.4であることが望
ましく、0.3が最も好ましい。
【0012】酸化物超電導体接合体の製造にあたって
は、超電導ペーストによる接合後における焼成処理が特
性を大きく左右する。この焼成処理は、840℃〜85
0℃で30〜70時間の熱処理と、2ton/cm
上、例えば3ton/cmのCIP(冷間静水圧プレ
ス)処理と、を交互に行うことが望ましい。この場合、
上記840℃〜850℃での熱処理は、通常はこの範囲
内の特定の一定の温度で30〜70時間保持する処理で
あり、温度保持精度は±1℃以内に維持することが望ま
しい。なお、超電導ペーストとしては、主成分が母材と
同じであるものを用いることが望ましい。
【0013】また、この焼成処理の後にさらに熱処理を
施すとより特性を向上できる。ここでこの熱処理は、8
10℃〜830℃のいずれかの温度で2〜50時間保持
する処理である。この範囲に限定したのは、温度が81
0℃以下または830℃以上であると超電導接合部を間
に挟んだ状態での超電導特性(臨界電流密度)が未処理
のものに比べて低くなってしまうこと、また時間が2時
間以下、50時間以上であっても同様の結果が得られる
ことによる。また、この熱処理は、焼成処理が終了した
後、その焼成処理の炉内温度が完全に下がってから開始
してもよいが、炉内温度を下げてくる途中で熱処理温度
に達した時点からその温度に保持する(±1℃以内に維
持するのが望ましい)ようにしてもよい。また、上記8
10℃〜830℃での熱処理の温度保持精度は±1℃以
内であることが望ましい。
【0014】また、上記の熱処理条件において作製する
と、超電導接合部を間に挟んだ状態での超電導特性(臨
界電流密度)が熱処理前のそれに比べて3〜4倍に改善
されることがわかった。これは、素片の超電導体中のみ
ならず、接合部分における超電導体中の、結晶粒どうし
が接触する界面(粒界)における電気的な結合状態が改
善された結果であると推測される。
【0015】更に詳しく述べると、熱処理前の結晶粒界
には主にBi、Pb、Sr、Ca、Cu、Oの組成で構
成された膜状の非超電導相が部分的に形成されている場
合があり、その場合には電流の流れ得る実質的な面積が
減少し、輸送電流が大幅に制限される状況になっていた
(図8、図13(模式図)参照)。ところが熱処理を施
すことにより、上記膜状の非超電導相が超電導相に変化
し、その際過剰となった成分がCuO、CuO、Ca
2PbOといった析出物(粒径が大旨1.0μm以
下)として粒界に存在することになる(図10、図14
(模式図)参照)。
【0016】これによって、輸送電流の障害となる膜状
物質がなくなり、電流の流れうる実質的な面積が増大す
るので、臨界電流密度は大幅に向上することになる。8
10℃〜830℃の温度で2時間〜50時間の熱処理を
施すことにより、素片の超電導体中のみならず、接合部
分における超電導体中の、結晶粒どうしが接触する界面
(粒界)における電気的な結合状態が改善され、臨界電
流密度が熱処理前のそれに比べて3〜4倍に改善された
磁気シールド特性を得ることが可能となり、其の結果5
0〜500ガウスの磁場中での磁気シールドに適する超
電導磁気シールド材としての使用も可能になった。
【0017】また、溶融法の試料に比べても、製造コス
ト、製品の安定性において大きなアドバンテージがあ
る。さらに溶融法では困難を極めている大型化において
も、合成粉を圧粉して焼成した超電導部材を、上記のよ
うに接合することにより大型化を図っているので、いく
らでも大きくすることが可能である。大きさから言え
ば、一体成形で作製するものよりも、さらに大きなもの
を作製することが可能となる。(溶融法は、結晶の起点
を与えるための種付け作業、結晶を表面全体に成長させ
るための微妙な温度コントロールなどがあり、大型化は
容易ではない。)
【0018】
【発明の実施の形態】(実施例1)Bi(Pb)Sr
CaCu(Bi2223相)の超電導合成粉
を40mm×40mmの金型に充填し、一軸プレス機を
用いて全圧30tonで成形する。試料の厚さは1mm
である。これを電気炉を用いて850℃に±1℃以内の
精度で50時間保持する焼成を行う。この後、冷間静水
圧プレス(CIP:Cold Isostatic Press)装置を用い
て3ton/cmの圧力で中間圧縮を行う。
【0019】再度、電気炉を用いて850℃に±1℃以
内の精度で50時間保持する焼成を行う。この後、CI
P装置を用いて3ton/cmの圧力で二度目の中間
圧縮を行う。最後に電気炉を用いて850℃に±1℃以
内の精度で50時間保持する焼成を行う。これによって
得られた試料はほぼ厚さ方向にc軸が向くように強く配
向されたものである。
【0020】こうして得られた40mm×40mm×1
mmの超電導体をダイヤモンドカッターを用いて20m
m×10mm×1mmの計8枚の超電導体片に切断す
る。このうちの任意の3枚を用い、Bi(Pb)Sr
CaCu(Bi2223相)からなる超電導
ペーストで図1のように接着する。これを乾燥器の中で
一昼夜乾燥させた後、電気炉を用いて850℃に±1℃
以内の精度で40時間保持する焼成を行う。これを試料
とする。
【0021】試料をCIP装置を用いて3ton/c
の圧力で中間圧縮を行い、再度電気炉を用いて85
0℃に±1℃以内の精度で40時間保持する焼成を行
う。これを試料とする。
【0022】試料をCIP装置を用いて3ton/c
の圧力で中間圧縮を行い、再度電気炉を用いて85
0℃に±1℃以内の精度で40時間保持する焼成を行
う。これを試料とする。
【0023】試料をCIP装置を用いて3ton/c
の圧力で中間圧縮を行い、再度電気炉を用いて85
0℃に±1℃以内の精度で40時間保持する焼成を行
う。これを試料とする。
【0024】試料をCIP装置を用いて3ton/c
の圧力で中間圧縮を行い、再度電気炉を用いて85
0℃に±1℃以内の精度で40時間保持する焼成を行
う。これを試料とする。
【0025】試料〜をダイヤモンドカッターを用い
て、図2の様に切断して臨界電流密度測定用の試料とし
た。
【0026】それらを820℃に±1℃以内の精度で8
時間維持する熱処理を行い、臨界電流密度の測定を行っ
た結果を以下に示す。測定は、直流4端子法を用い、7
7K、外部磁場0ガウスで行った。また、臨界電流密度
を算出するときの有効断面積は2mm×0.5mmとし
た。なお、上記熱処理は、各試料の最終焼成処理におけ
る炉内温度が完全に下がってから開始してもよいが、炉
内温度を下げてくる途中で炉内温度が820℃になった
時点からその温度に±1℃以内の精度で8時間保持する
ことにより行ってもよい。
【0027】 臨界電流値 臨界電流密度 試料 6.4A 640A/cm 試料 14.3A 1430A/cm 試料 31.9A 3190A/cm 試料 54.0A 5400A/cm 試料 52.4A 5240A/cm (実施例2)Bi(Pb)SrCaCu
(Bi2223相)の超電導合成粉を40mm×40
mmの金型に充填し、一軸プレス機を用いて全圧30t
onで成形する。試料の厚さは1mmである。これを電
気炉を用いて実施例1と同様の850℃、50時間焼成
(以下、焼成及び熱処理は、その温度でその時間保持す
る処理を意味する)を行う。この後、冷間静水圧プレス
(CIP:Cold IsostaticPress)装置を用いて3to
n/cmの圧力で中間圧縮を行う。
【0028】再度、電気炉を用いて850℃、50時間
焼成を行う。この後、CIP装置を用いて3ton/c
の圧力で二度目の中間圧縮を行う。最後に電気炉を
用いて850℃、50時間焼成を行う。これによって得
られた試料はほぼ厚さ方向にc軸が向くように強く配向
されたものである。
【0029】こうして得られた40mm×40mm×1
mmの超電導体をダイヤモンドカッターを用いて20m
m×10mm×1mmの超電導体計8枚に切断する。こ
のうちの任意の3枚を用い、Bi(Pb)SrCa
Cu(Bi2223相)からなる超電導ペース
トで図1のように接着する。これを乾燥器の中で一昼夜
乾燥させた後、電気炉を用いて850℃、40時間焼成
を行う。これを試料とする。
【0030】試料をCIP装置を用いて3ton/c
の圧力で中間圧縮を行い、再度電気炉を用いて85
0℃、40時間の焼成を行う。これを試料とする。
【0031】試料をCIP装置を用いて3ton/c
の圧力で中間圧縮を行い、再度電気炉を用いて85
0℃、40時間の焼成を行う。これを試料とする。
【0032】試料をCIP装置を用いて3ton/c
の圧力で中間圧縮を行い、再度電気炉を用いて85
0℃、40時間の焼成を行う。これを試料とする。
【0033】このようにして得られた試料を、ダイヤ
モンドカッターを用いて、図2の様に切断して臨界電流
密度測定用の試料とした。
【0034】それらをを温度が810℃〜830℃、時
間を2〜50Hの様々な条件で熱処理を行い、臨界電流
密度の測定を行った結果を図3に示す。測定は、直流4
端子法を用い、77K、外部磁場0ガウスで行った。ま
た、臨界電流密度を算出するときの有効断面積は2mm
×0.5mmとした。基本的な測定方法は実施例1の場
合と同じである。
【0035】820℃、8時間の時に、もっとも高い値
である5400A/cmが得られた。温度範囲が81
0℃〜830℃、時間が2〜50時間であると、臨界電
流密度が未処理のものに比べて高くなり、熱処理の効果
が現れていることがわかる。比較のために未処理の試料
の値(約1500A/cm)も示す。
【0036】(実施例3)Bi(Pb)SrCa
Cu(Bi2223相)の超電導合成粉を40m
m×40mmの金型に充填し、一軸プレス機を用いて全
圧30tonで成形する。試料の厚さは1mmである。
これを電気炉を用いて850℃、50時間焼成を行う。
この後、冷間静水圧プレス(CIP:Cold Isostatic P
ress)装置を用いて3ton/cmの圧力で中間圧縮
を行う。
【0037】再度、電気炉を用いて850℃、50時間
焼成を行う。この後、CIP装置を用いて3ton/c
の圧力で二度目の中間圧縮を行う。最後に電気炉を
用いて850℃、50時間焼成を行う。
【0038】こうして得られた40mm×40mm×1
mmの超電導体をダイヤモンドカッターを用いて20m
m×10mm×1mmの超電導体計8枚に切断する。こ
のうちの任意の4枚を用い、Bi(Pb)SrCa
Cu(Bi2223相)からなる超電導ペース
トで図4のように接着する。これを乾燥器の中で一昼夜
乾燥させた後、電気炉を用いて850℃、40時間焼成
を行う。これを試料とする。
【0039】試料をCIP装置を用いて3ton/c
の圧力で中間圧縮を行い、再度電気炉を用いて85
0℃、40時間の焼成を行う。これを試料とする。
【0040】試料をCIP装置を用いて3ton/c
の圧力で中間圧縮を行い、再度電気炉を用いて85
0℃、40時間の焼成を行う。これを試料とする。
【0041】試料をCIP装置を用いて3ton/c
の圧力で中間圧縮を行い、再度電気炉を用いて85
0℃、40時間の焼成を行う。これを試料とする。
【0042】このようにして得られた試料〜を、8
20℃、8時間の条件で熱処理を行った後、磁気シール
ド効果の測定を行った。液体窒素温度において、外部磁
場50ガウスを試料表面に垂直方向に印加し、超電導体
に侵入してくる磁束密度分布をホール素子を用いて検出
した。ホール素子は図5に示すような接合線に沿って移
動させた。実験結果を図6に示す。
【0043】CIPを3回施した試料においては、接
合部分からの磁束の漏洩が観測されず、ほぼ理想的なシ
ールド効果が得られた。この試料は実施例1で行ったJ
c=5240A/cmに対応している。試料〜で
はそれぞれの臨界電流密度の大きさに対応して磁束の漏
洩がみられた。(臨界電流密度の低下、つまりは超電導
特性の低下にともなって、磁束が侵入してくる。) また、試料に対して、印加する磁場の大きさを変えて
同様の測定を行った結果を図7に示す。150ガウスく
らいから中心部における磁束密度の侵入が見られはする
ものの、外部の磁場強度に比べるとその強度は小さく、
磁気シールド効果が確認できる。また、500ガウスの
外部磁場をかけても、中心部で約300ガウスまで減衰
させることが可能であることがわかった。
【0044】次に、上述の各実施例で得られた以下の試
料の粒界部分の透過型電子顕微鏡(TEM)写真観察を
おこなった。
【0045】試料1…通常焼成のもの。
【0046】試料2…通常焼成後、820℃、8時間の
熱処理を施したもの。
【0047】試料1の結晶粒界には主にBi、Pb、S
r、Ca、Cu、Oの組成で構成された、膜状の非超電
導層が部分的に形成されており、これによって輸送電流
が大幅に制限される状況になっていることがわかる(図
8、図12(模式図)参照)。
【0048】図9は、図8中の膜状物質のEDS(エネ
ルギー分散型X線分光装置)スペクトルを例示したもの
であって、Bi、Pb、Sr、Ca、Cu、およびO元
素のすべてのピークが検出されていることがわかる。た
だ、超電導体の場合に比べてCuのピークが強く出てい
ることが確認される。
【0049】試料2においては、上記膜状の非超電導層
がみられず、その代わり全体的に結晶粒が成長してお
り、CuO、CuO、CaPbOといった析出物
が結晶粒界に存在している(図9A、図11(模式
図))。これらは過剰成分の析出物である、粒径が1.
0μm以下のCuO、CuOおよび粒径が1.0μm
以下のCaPbOは局所的な析出なので、電気的な
結合状態を阻害しないものである。たとえば図10およ
び図11は、図9の析出物のEDSスペクトルを例示し
たものであって、図9BではCuのピークが弱く、C
a、Pbのピークが目立って強いことから、析出物はC
PbOであると推定され、また図9CではCuの
ピークとOのピークが強いことから、析出物はCuOで
あると推定される。臨界電流密度を測定したところ、試
料1は約1500A/cm、試料2は約5400A/
cmであった。
【0050】以上により、上記熱処理によって臨界電流
密度が大幅に改善された理由が、膜状の非超電導層が超
電導層へと変化することにより、結晶粒どうしが接触す
る界面(粒界)における電気的な結合状態が改善される
ことによる。言いかえれば、熱処理によって膜状物質が
なくなった結果、電流の流れうる実質的な面積が増大
し、臨界電流密度が大幅に向上したといえる。その結果
として50〜500ガウスのような高い磁場中において
も、良好な磁気シールド特性を得ることが可能になった
と思われる。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、Bi
(Pb)SrCaCu系酸化物超電導体の複
数の素片を互いに超電導的に接合した酸化物超電導体接
合体であって、臨界電流密度が温度77Kで外部磁場が
0ガウスの条件下で1500A/cm以上であり、ま
た、50〜500ガウスの磁場中での磁気シールドが可
能な特性を有するものであることを特徴とするものであ
って、所望の特性を維持しつつ所望の大きさに形成でき
る酸化物超電導体接合体及びその製造方法並びに超電導
磁気シールド材を得ることを可能にし、磁気シールドシ
ステムの大幅な軽量化、コンパクト化が実現して実用化
に大きく貢献できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における酸化物超電導体素片の接合手
順の説明図である。
【図2】臨界電流密度測定用試料作製手順の説明図であ
【図3】臨界電流密度の測定結果を示すグラフである。
【図4】実施例3における酸化物超電導体素片の接合手
順の説明図である。
【図5】磁気シールド効果測定方法の説明図である。
【図6】磁気シールド効果測定結果を示すグラフであ
る。
【図7】印加磁場を変化させた場合の磁気シールド効果
測定結果を示すグラフである。
【図8】通常焼成処理のみの場合に結晶粒界に存在する
非超電導相の透過型電子顕微鏡(TEM)写真及びその
模写図を示す図である。
【図9】通常焼成処理のみの場合の膜状物質のEDS
(エネルギー分散型X線分光装置)スペクトルの測定結
果チャートを示す図である。
【図10】通常焼成処理の後に熱処理を施した場合に結
晶粒界に存在する非超電導相の透過型電子顕微鏡(TE
M)写真及びその模写図を示す図である。
【図11】通常焼成処理の後に熱処理を施した場合の膜
状物質のEDSスペクトルの測定結果チャートを示す図
である。
【図12】通常焼成処理の後に熱処理を施した場合の膜
状物質のEDSスペクトルの測定結果チャートを示す図
である。
【図13】通常焼成処理のみの場合における結晶粒界に
存在する膜状物質を模式的に示した図である。
【図14】通常焼成処理の後に熱処理を施した場合に結
晶粒界に存在する析出物を模式的に示した図である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 BiPbSrCaCu
    酸化物超電導体の複数の素片を互いに超電導的に接合し
    た酸化物超電導体接合体であって、臨界電流密度が温度
    77Kで外部磁場が0ガウスの条件下で1500A/c
    以上であることを特徴とする酸化物超電導体接合
    体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の酸化物超電導体接合体
    において、 臨界電流密度が温度77Kで外部磁場が0ガウスの条件
    下で1500A/cm以上であると同時に、50〜5
    00ガウスの磁場中での磁気シールドが可能な特性を有
    することを特徴とする酸化物超電導体接合体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の酸化物超電導体
    接合体において、 前記接合体を構成する各超電導体素片及び接合部分の結
    晶粒界に、CuO、CuO、CaPbOのうち少
    なくとも1つが存在することを特徴とする酸化物超電導
    体接合体。
  4. 【請求項4】 BiPbSrCaCu
    酸化物超電導体の素片を複数個作製し、次に、これらの
    互いに接合すべき接合面に超電導ペーストを塗布して接
    合し、次に、この接合体に焼成処理を施すことによっ
    て、請求項1ないし3のいずれかに記載の酸化物超電導
    体接合体を得ることを特徴とする酸化物超電導体接合体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の酸化物超電導体接合体
    の接合方法において、 前記焼成処理には、少なくとも一回の加熱処理と少なく
    とも一回のCIP(冷間静水圧プレス)処理とを含むも
    のであることを特徴とする酸化物超電導体接合体の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の酸化物超電導体接合体
    の接合方法において、 前記焼成処理における加熱処理とCIP(冷間静水圧プ
    レス)処理とは交互に行うものであることを特徴とする
    酸化物超電導体接合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項4ないし6のいずれかに記載の酸
    化物超電導体接合体の製造方法において、 前記焼成処理後において、接合された酸化物超電導体の
    素片および接合部分の結晶粒界に、Bi、Pb、Sr、
    Ca、Cu、Oを含む膜状の非超電導相が存在する場合
    に、この膜状非超電導相を消失させる熱処理を施すこと
    を特徴とする酸化物超電導体接合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の酸化物超電導体接合体
    の製造方法において、 前記熱処理は、大気中において810℃〜830℃の温
    度で2時間〜50時間の熱処理であることを特徴とする
    酸化物超電導体接合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8に記載の酸化物超電導体
    接合体の製造方法において、 前記熱処理は、前記焼成処理において最終の加熱処理が
    終了して炉内温度を下げてくる途中において行うことを
    特徴とする酸化物超電導体接合体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし3のいずれかの酸化物
    超電導体接合体、又は、請求項4ないし8のいずれかの
    製造方法で製造された酸化物超電導体接合体からなる超
    電導磁気シールド材。
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