JPH11286738A - 黒鉛と燐化鉄を有するハイス系鋳鉄材 - Google Patents

黒鉛と燐化鉄を有するハイス系鋳鉄材

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JPH11286738A
JPH11286738A JP9303698A JP9303698A JPH11286738A JP H11286738 A JPH11286738 A JP H11286738A JP 9303698 A JP9303698 A JP 9303698A JP 9303698 A JP9303698 A JP 9303698A JP H11286738 A JPH11286738 A JP H11286738A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定の耐摩耗性を確保しつつ、低摩擦で耐焼
付性にすぐれる熱間圧延用複合ロールの外層材を提供す
る。 【解決手段】 重量%にて、C:2.2〜3.6%、S
i:1.0〜2.8%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.
25〜0.9%、Ni:0.5〜10.0%、Cr:2.0
〜10.0%、Mo:0.1〜10.0%、W:0.1〜1
0.0%、V、Nbの一種又は二種を合計量で1.5〜1
0.0%、残部実質的にFeからなり、組織中に黒鉛と
燐化鉄を有している。必要に応じて、前記合金成分の他
に、Co:0.5〜10.0%、又はAl:0.01〜0.
50%、Ti:0.01〜0.50%、Zr:0.01〜
0.50%のうちの一種若しくは二種以上、又はB:0.
01〜0.50%を含有することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延用複合ロ
ールの外層材として好適なハイス系鋳鉄材に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延用ロールとして、圧延使用層で
ある外層を耐焼付性及び耐摩耗性にすぐれたハイス系鋳
鉄材で形成し、内層を強靭性にすぐれる鉄鋼材で形成し
た複合ロールが広く使用されている。この外層材とし
て、出願人は、黒鉛を有するハイス系鋳鉄材を以前に提
案した(特開平6−256889号公報等)。この鋳鉄
材は、黒鉛とMC型炭化物を有しており、黒鉛による自
己潤滑性によって低摩擦と耐焼付性を確保し、MC型炭
化物の存在によりすぐれた耐摩耗性を具備している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年の操業条件の苛酷
化に伴ない、熱間圧延用ロールは、所定の耐摩耗性を確
保しつつ、低摩擦と耐焼付性についてより一層の改善が
要請されている。前記ハイス系鋳鉄材において、低摩擦
と耐焼付性を向上させるには黒鉛量を増やすことが有効
であるが、黒鉛量が増えると、圧延使用時、ロール表面
において黒鉛のミクロ的な欠け落ちの影響が大きくなる
ため、黒鉛を起点とする摩耗が顕著になり、たとえ高硬
度を有していても耐摩耗性の劣化を招く不都合がある。
【0004】本発明の目的は、黒鉛量を増やすことな
く、所定の耐摩耗性を確保しつつ、摩擦係数が小さく、
耐焼付性にすぐれる圧延用複合ロールの外層材を提供す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明のハイス系鋳鉄材は、重量%にて、C:2.
2〜3.6%、Si:1.0〜2.8%、Mn:0.1〜
2.0%、P:0.25〜0.9%、Ni:0.5〜10.
0%、Cr:2.0〜10.0%、Mo:0.1〜10.0
%、W:0.1〜10.0%、V、Nbの一種又は二種を
合計量で1.5〜10.0%、残部実質的にFeからな
り、組織中に黒鉛と燐共晶の燐化鉄(Fe3P)を有する
ようにしたものである。本発明のハイス系鋳鉄材は、必
要に応じて、前記合金成分の他に、Co:0.5〜10.
0%、又はAl:0.01〜0.50%、Ti:0.01
〜0.50%、Zr:0.01〜0.50%のうちの一種
若しくは二種以上、又はB:0.01〜0.50%を含有
することができる。
【0006】組織中における黒鉛の面積率は、摩擦係数
の低減化及び耐焼付性について所望の効果を得るため
に、1.5〜5.0%が望ましい。なお、黒鉛のミクロ的
な欠け落ち量を実質的に影響を受けない程度にとどめ、
黒鉛を起点とする耐摩耗性の劣化を防ぐ見地からは、
1.5〜3.0%にすることがより望ましい。
【0007】組織中における燐化鉄の面積率は、摩擦係
数の低減化と耐焼付性の向上を図るために、0.2〜4.
0%が望ましい。なお、燐化鉄が多くなると硬度が低下
する傾向にあり、鋳鉄基地の強度低下を招くため、0.
2〜3.0%にすることがより望ましい。
【0008】
【作用】本発明のハイス系鋳鉄材は、Cr、Mo、W、
Nb、V、Fe及びCが相互に結合した高硬度の複合炭
化物が基地中に存在するため、すぐれた耐摩耗性を具え
ている。また、組織中に黒鉛の他に燐共晶の燐化鉄を有
しており、この燐化鉄は結晶粒界に晶出し、融点が低く
軟らかいため、熱間圧延中にロール表面からミクロ的に
離脱して自己潤滑に寄与し、低摩擦と耐焼付性が改善さ
れる。黒鉛では、黒鉛のミクロ的な欠け落ちにより、黒
鉛を起点とした摩耗が認められるのに対し、燐化鉄では
そのような傾向はないから、適量の黒鉛と燐化鉄を組織
中に共存させることにより、耐摩耗性を損なうことな
く、所望の低摩擦係数と耐焼付性を確保することができ
る。
【0009】
【成分限定理由の説明】C:2.2〜3.6% Cは、主としてFe及びCrと結合してM73型の高硬
度複合炭化物を形成すると共に、V、Nbと結合してM
C型炭化物、Fe、Cr、Mo、Wなどと結合してM6
C型、M2C型或はM3C型の炭化物を形成する。このう
ち、MC型炭化物は特に硬く、耐摩耗性に大きく寄与す
る。また、後述の黒鉛化促進元素であるSiの作用によ
り、凝固中に黒鉛となって晶出したり、熱処理中に微細
黒鉛となって組織中に析出する。2.2%に満たないと
炭化物量が不足し、また好適な黒鉛量が得られなくな
り、一方含有量が3.6%を超えると炭化物量と黒鉛量
が過多となり、材質が脆くなる。このため、Cの含有量
は、2.2〜3.6%に規定する。
【0010】Si:1.0〜2.8% Siは、湯流れ性の確保と、黒鉛の晶出と析出のために
必要な元素である。含有量が1.0%に満たないと、所
望の効果が得られない。一方、Siは焼入れ熱処理にお
いて焼入れ性を減じる元素でもあり、本発明のように黒
鉛と燐共晶の燐化鉄とにより低摩擦と耐焼付性を確保す
る材料では2.8%で十分である。
【0011】Mn:0.1〜2.0% Mnは、硬化能を増す働きがある。また、Sと結合して
MnSを生成し、Sによる脆化を防止するのに有効な元
素である。一方、含有量が多くなりすぎると靭性の低下
を招くため、含有量は0.1〜2.0%に規定する。
【0012】P:0.25〜0.9% Pは、一般に材質の機械的性質を劣化させる元素として
知られているが、本発明のハイス系鋳鉄材にあっては、
Pを積極的に含有させることによって、主としてFeと
結合して燐共晶の燐化鉄(Fe3P)を生成させる。この
燐共晶の燐化鉄が熱間圧延中にロール表面から離脱し
て、ロールと圧延材の間の摩擦特性を改善する。含有量
が0.25%より少ないとこの効果を発揮できない。一
方、含有量が0.9%を超えると脆くなり、熱間圧延ロ
ール材てして適さなくなる。このため、Pの含有量は、
0.25〜0.9%とする。
【0013】Ni:0.5〜10.0% Niは基地組織の改良と、黒鉛を晶出・析出させる目的
で添加する。0.5%未満では黒鉛量が過少であり、一
方10.0%を超えるとSiの場合と同様黒鉛が過多と
なり、また残留オーステナイトが増加し、後の熱処理に
よっても強靱組織にすることが難しくなり、耐摩耗性が
劣化する。このため、含有量は0.5〜10.0%に規定
する。
【0014】Cr:2.0〜10.0% Crは、Fe、Mo、V、Nb、Wと共にCと結合し
て、高硬度複合炭化物を形成し高温における耐摩耗性の
向上に寄与する。また、一部は基地中に固溶して焼入れ
性及び耐摩耗性を改善する。含有量が2.0%に満たな
いとその効果が少なく、一方10.0%を超えると靭性
の劣化をきたす。このため、含有量は2.0〜10.0%
に規定する。
【0015】Mo:0.1〜10.0% Moは、Fe、Cr、V、Nb、Wと共にCと結合し
て、主としてM73型、M6C型、M2C型の複合炭化物
を形成し、常温及び高温硬度を高めて耐摩耗性の向上に
寄与する。また、MoはWに比較して少量添加でその効
果を発揮する。しかし、0.1%未満ではその効果を十
分に得られず、一方、10.0%を超えると靭性の低下
をきたし、好ましくない。このため、含有量は、0.1
〜10.0%に規定する。
【0016】W:0.1〜10.0% Wも同様に、Fe、Cr、Mo、V、Nbと共にCと結
合して、複合炭化物を形成し、常温及び高温硬度を高め
て耐摩耗性の向上に寄与する。このため、少なくとも
0.1%以上含有させる。一方、あまりに多く含有する
と、靭性の低下をきたし、耐ヒートクラック性を悪化さ
せる。また、遠心力鋳造の際、マクロ偏析が生成し易く
なる。このため、上限は10.0%に規定する。
【0017】V、Nb:一種又は二種を合計量で1.5
〜10.0% VとNbは、Fe、Cr、Mo、Wと共にCと容易に結
合して、主としてMC型の複合炭化物を形成し、常温及
び高温硬度を高めて耐摩耗性の向上に寄与する。また、
このMC型炭化物は、厚さ方向に枝状に生成するから、
基地の塑性変形を抑制し、機械的性質、さらには耐クラ
ック性の向上にも寄与する。このため、V及び/又はN
bを合計量で1.5%以上含有させる。一方、あまりに
多く含有すると、靭性の低下を招くと共に、遠心力鋳造
の際、マクロ偏析を生成し易くなる。このため、V及び
/又はNbの合計量の上限は10.0%に規定する。
【0018】本発明にかかるハイス系鋳鉄材は、上記の
合金成分のほか、残部はFe、及び不可避的に混入する
不純物からなる。例えば、Sは原料より不可避的に混入
するが、材質を脆くするので少ない程好ましく、S:
0.1%以下にするのがよい。本発明の鋳鉄材は、前記
合金成分の他に、必要に応じて、Co:0.5〜10.0
%、又はAl:0.01〜0.50%、Ti:0.01〜
0.50%、Zr:0.01〜0.50%のうちの一種若
しくは二種以上、又はB:0.01〜0.50%を含有す
ることができる。
【0019】Co:0.5〜10.0% Coは、基地を改善する上で大きな効果がある。また、
CoはCの拡散を抑制する特殊な作用があり、炭化物形
成には無関係に基地に固溶して強靱性を増すと共に、高
温硬度を高めて耐摩耗性の向上に寄与する。さらに、C
oは炭化物生成元素のオーステナイト中への固溶量を増
大させるため、基地の硬度と焼戻し抵抗が増大する。こ
れらの効果を期待するには0.5%以上の含有が必要で
あるが、10.0%を超えて含有してもその効果は飽和
し、経済的に不利である。このため、上限は10.0%
とする。なお、高合金の鋳鉄材料を遠心力鋳造によって
鋳造し、複合ロールを製作する場合、炭化物の分布が不
均一になり易いため、鋳造条件の適正化が必要である
が、本発明のCoを含有する高合金材料の場合、Coは
上述のように炭化物の形成には無関係に基地に固溶する
ため、炭化物の不均一性を大きくすることなく、上述の
優れた効果を期待できる。
【0020】Al、Ti、Zr:各々0.01〜0.50
% Al、Ti、Zrは、溶湯中で酸化物を生成して、溶湯
中の酸素含有量を低下させ、製品の健全性を向上させる
と共に、生成した酸化物が結晶核として作用するために
凝固組織の微細化に効果がある。0.01%未満ではこ
の効果は十分でなく、一方、0.50%を超えて含有す
ると介在物となって残留し、好ましくない。尚、Al、
Ti、Zrは、本発明では主として鋳造組織の微細化に
よる耐摩耗性改善のために添加されるものであり、単に
脱ガスを目的として添加されるものではない。
【0021】B:0.01〜0.50% Bは溶湯中の酸素と結合して、脱酸効果を示す。その
他、生成した酸化物を核とする凝固組織の微細化効果、
および基地中に溶け込んだBによる焼入れ性の増大効果
を有する。圧延ロールのような大質量の鋳物の場合、冷
却温度を速くすることが困難な場合があるが、焼入れ性
の増大によって、焼入れ組織を得易くなる。0.01%
未満ではこのような効果が十分ではなく、一方0.50
%を超えると材質が脆くなり好ましくない。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の鋳鉄材は、外層と中実状
内層または円筒状内層とが溶着された二層複合ロール、
あるいは外層と内層との間に中間層を鋳造した三層複合
ロールの外層材として好適に使用される。
【0023】内層材としては、高級鋳鉄、ダクタイル鋳
鉄、黒鉛鋼、鋳鋼等の強靱性を有する鋳鋼材が使用され
る。特に、黒鉛晶出材である前三者が好適である。外層
の黒鉛の存在と相まって熱伝導性ひいては放熱性に優
れ、圧延時のロールの熱変形を防止することができるか
らである。また、これらの黒鉛晶出鉄鋼材は、ヤング率
が約19000kg/mm2以下であるため、過負荷時にロー
ルの偏平化によって負荷を吸収し、耐事故性を向上する
ことができる。また、低温歪取り焼鈍によって、外層熱
処理時の残留応力を容易に軽減することができる。ま
た、良好な靱性を有するため、衝撃的な圧延トルクに対
しても耐えることができる。
【0024】高級鋳鉄の好適な組成例として、C:2.
5〜4.0%(重量%、以下同じ)、Si:0.8〜2.5
%、Mn:0.2〜1.5%、P:0.2%以下、S:0.
2%以下、Ni:3.0%以下、Cr:2.0%以下、M
o:2.0%以下、W、V、Nbを総計で4%以下、残
部実質的にFeからなるものを示すことができる。ダク
タイル鋳鉄の好適な組成例として、C:2.5〜4.0%
(重量%、以下同じ)、Si:1.3〜3.5%、Mn:
0.2〜1.5%、P:0.2%以下、S:0.2%以下、
Ni:3.0%以下、Cr:2.0%以下、Mo:2.0
%以下、W、V、Nbを総計で4%以下、Mg:0.0
2〜0.1%、残部実質的にFeからなるものを示すこ
とができる。黒鉛鋼の好適な組成例として、C:1.0
〜2.3%(重量%、以下同じ)、Si:0.5〜3.0
%、Mn:0.2〜1.5%、P:0.2%以下、S:0.
2%以下、Ni:3.0%以下、Cr:2.0%以下、M
o:2.0%以下、W、V、Nbを総計で4%以下、残
部実質的にFeからなるものを示すことができる。
【0025】中間層は、外層の合金成分が内層に混入す
るのを軽減することを目的の一つとして形成されるが、
それ自体も30kg/mm2程度以上の強度が必要である。強
度が不足すると、外層と中間層との境界部が破断し、外
層が剥離する。従って、中間層には外層から多量の合金
成分が混入しても高強度な材質とする必要がある。かか
る理由から、中間層材としてアダマイト材を使用するこ
とが望ましい。アダマイト材の好適な組成例として、
C:1.0〜2.5%(重量%、以下同じ)、Si:0.2
〜3.0%、Mn:0.2〜1.5%、P:0.2%以下、
S:0.2%以下、Ni:4.0%以下、Cr:4.0%
以下、Mo4.0%以下、W、V、Nbを総計で12%
以下、残部実質的にFeからなるものを示すことができ
る。
【0026】本発明のハイス系鋳鉄材を外層に用いた複
合ロールの場合、鋳造後、外層に所定の熱処理が施され
る。例えば、オーステナイト化温度から650〜400
℃までの温度域を100℃/Hr以上の冷却速度で急冷
し、良好な焼入れ組織を得た後、450〜600℃の温
度で1回乃至数回の焼戻しが行なわれる。
【0027】外層の加熱方法としては、ロール全体を加
熱炉に入れて加熱する方法、外層外周面の回りに誘導加
熱コイルや多数のガスバーナを配置しておき、これらに
よって外層のみを急速加熱する方法がある。前者は昇温
に時間がかかり、外層表面に厚い酸化膜ができ、外層の
歩留りが低下する。更に、鋳鉄材質の内層の溶損を回避
して加熱するには1100℃(望ましくは1000℃)以
下の加熱に止めなければならず、このため炭化物を基地
中に十分固溶させることが難しく、以後の熱処理によっ
ても十分な硬度を得難いという問題がある。これに対し
て、外層のみの加熱方法によれば、中間層の形成と相ま
って、外層を1100℃以上に、内層を1100℃未満
に確実に止めることができるので、内層の部分溶融や、
結晶粒の粗大化による強度低下を防止することができ
る。また、内層(軸芯部)の中心に向かうほど低温となる
ため、オーステナイト化温度に加熱後、外層の熱を内部
へ逃がすことができ、焼入れの際、外層深部の冷却速度
を大きくすることができる。
【0028】
【実施例】次に本発明の具体的実施例を掲げる。内径1
20mm、深さ120mmの砂型の中で、表1に記載した鋳
鉄材を1425℃の温度で鋳込んだ。なお、表1中、N
o.1〜No.9は黒鉛と燐化鉄を有する発明例、No.10は
黒鉛と燐化鉄の両方を有しない比較例、No.11〜No.1
4は黒鉛のみを有する比較例である。
【0029】
【表1】
【0030】各試料より組織観察試験片を採取し、ミク
ロ組織を顕微鏡観察し、晶出した黒鉛と燐共晶の燐化鉄
(Fe3P)の面積率を測定した。その結果を表2に示
す。
【0031】次に、各試料を1100℃で1時間保持
後、強制空冷により焼入れし、その後500℃で10時
間の熱処理を3回繰り返した。ロックウエル硬度計によ
り、各試料の表面硬度を測定した結果を表2に併せて示
す。
【0032】さらに、各試料から摩擦試験片を採取し、
ファレックス試験により摩擦係数を測定した。ファレッ
クス試験とは、試験片を回転させながら一対のVブロッ
クで挟持押圧して、回転トルクの大きさ、変動により摩
擦係数を調べるものである。使用したブロックの材質は
S45Cである。摩擦係数の測定結果を表2に併せて示
す。
【0033】
【表2】
【0034】表2の結果を考察する。黒鉛と燐化鉄の両
方を晶出していない比較例のNo.10は、摩擦係数が0.
35もある。摩擦係数が大きいと、圧延中、被圧延材と
の間で摩擦を起こし、焼付を生じ易くなる。なお、この
摩擦係数は少なくとも0.30以下であることが好まし
い。発明例のNo.1と比較例のNo.14、発明例のNo.4
と比較例のNo.12、発明例のNo.7と比較例のNo.13
をそれぞれ比較すると、黒鉛面積率がほぼ同じであって
も、燐化鉄を含む本発明の供試材は摩擦係数が小さくな
っており、燐化鉄の存在による低摩擦化の効果が認めら
れる。また、発明例のNo.1、No.3及びNo.8は、黒鉛
面積率が1.8〜3.0%、燐化鉄面積率が2.0〜3.0
%であり、硬度はHRC59.0〜59.9であり、摩擦係
数は0.24〜0.26である。一方、比較例のNo.1
1、No.12及びNo.13は、黒鉛の面積率が4.4〜5.
0%であり、硬度はHRC60.0〜63.0であり、摩擦
係数は0.24〜0.26である。これらの発明例と比較
例を対照すると、組織中に燐化鉄を晶出させることによ
り、約0.25程度の摩擦係数を得るのに必要な黒鉛量
を約40〜60%低減できることがわかる。なお、燐化
鉄の晶出は、硬度の低下を招く不利があるが、熱間圧延
では被圧延材は高温状態にあり、未だ硬化していないか
ら、冷間圧延の場合ほどロールの高硬度は必要とされ
ず、HRC約56以上あれば十分であると考えられる。
【0035】
【発明の効果】このように、組織中に黒鉛と燐化鉄を有
する本発明のハイス系鋳鉄材は、黒鉛量を増やすことな
く、低摩擦化を達成することができるので、黒鉛増量に
よる悪影響、即ち、黒鉛の欠け落ち部分から摩耗が進展
するという不都合を大幅に回避することができる。ま
た、所定の硬度を具備しているから、低摩擦と耐焼付性
が特に重要視される熱間圧延条件下で使用される圧延用
複合ロールの外層材として好適である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%にて、C:2.2〜3.6%、S
    i:1.0〜2.8%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.
    25〜0.9%、Ni:0.5〜10.0%、Cr:2.0
    〜10.0%、Mo:0.1〜10.0%、W:0.1〜1
    0.0%、V、Nbの一種又は二種を合計量で1.5〜1
    0.0%、残部実質的にFeからなり、組織中に黒鉛と
    燐化鉄を有することを特徴とするハイス系鋳鉄材。
  2. 【請求項2】 Coを0.5〜10.0%含有している請
    求項1に記載のハイス系鋳鉄材。
  3. 【請求項3】 Al:0.01〜0.50%、Ti:0.
    01〜0.50%、Zr:0.01〜0.50%のうち、
    一種又は二種以上を含有している請求項1又は2に記載
    のハイス系鋳鉄材。
  4. 【請求項4】 Bを0.01〜0.50%含有している請
    求項1乃至3のいづれかに記載のハイス系鋳鉄材。
  5. 【請求項5】 黒鉛の面積率は1.5〜5.0%、燐化鉄
    の面積率は0.2〜4.0%である請求項1乃至4の何れ
    かに記載のハイス系鋳鉄材。
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JP2005232519A (ja) * 2004-02-18 2005-09-02 Jfe Steel Kk 熱間圧延用ロール外層材および熱間圧延用複合ロール
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CN111334705A (zh) * 2020-04-07 2020-06-26 中原内配集团股份有限公司 一种高强度珠光体减磨铸铁及其制备方法和应用

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