JPH11292773A - 肝油、精製方法および用途 - Google Patents

肝油、精製方法および用途

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JPH11292773A
JPH11292773A JP10099558A JP9955898A JPH11292773A JP H11292773 A JPH11292773 A JP H11292773A JP 10099558 A JP10099558 A JP 10099558A JP 9955898 A JP9955898 A JP 9955898A JP H11292773 A JPH11292773 A JP H11292773A
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peroxide
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Abstract

(57)【要約】 【課題】肝油特有の臭気の発生源となる過酸化物を除去
し、更に効率よく精製して化粧品、医薬部外品及び医薬
品の皮膚外用剤等の用途に優れた肝油の精製方法の提
供。 【解決手段】(イ)脱過酸化物処理工程、(ロ)抗酸化
剤を添加する工程および(ハ)薄膜蒸留による脱臭工程
からなることを特徴とする肝油の精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肝油、その肝油と
ビタミンAまたはその脂肪酸エステルとの配合物、肝油
の精製方法、さらには、該精製肝油を含有してなる皮膚
外用剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、水産動物であるマダラ、スケ
トウダラ及びサメ等の肝臓や幽門垂より抽出される肝油
は、ビタミンAを多く含むことから、夜盲症、角・結膜
乾燥症、角膜軟化症などのビタミンA欠乏症の治療及び
予防に用いられてきた。さらに栄養補助剤として、食用
あるいは封入された軟カプセルとしても利用されてき
た。また、ビタミンAを植物油又は動物油で高濃度に希
釈したビタミンA油も同様の目的で利用されている(第
13改正日本薬局方解説書1996D−249、D−8
74)。一方、合成ビタミンAの脂肪酸エステルの一つ
であるパルミチン酸レチノールは、角化性皮膚疾患でビ
タミンAの欠乏又は代謝障害の関与する場合に、皮膚外
用剤の成分として用いられている(第13改正日本薬局
方解説書1996D−249、D−874)。
【0003】肝油は、ビタミンAを多く含んでいるにも
関わらず、医薬部外品あるいは外用剤等の皮膚を対象と
した剤型にほとんど使用されていない。この理由として
は、肝油中に含有される高度不飽和脂肪酸、ビタミンA
およびその脂肪酸エステルが酸化され易いため、生成し
た酸化物がさらに分解して生じる酸化二次生成物である
アルデヒド及びケトン類が肝油特有の臭気を有すること
が原因の一つとして挙げられる。また、生成したアルデ
ヒド及びケトン類は皮膚に対する刺激物となることも外
用剤等に使用されてこなかった原因であろうと推定され
る。
【0004】肝油の製造方法は、「養魚と飼料脂質」
(水産学シリーズ22、恒星社厚生閣第123〜134
頁)に記載されているが、原料となるタラ等の内臓及び
肝臓を破砕後アルカリ消化法または酵素消化法により油
を遊離させた後、遠心分離により粗肝油を得る。この粗
肝油から脱ガム工程で蛋白質やリン脂質等を除去し、そ
の後ウエストフエリアと呼ばれる装置により脱酸(アル
カリ処理)、湯洗い、脱水を行いアルカリ精製肝油を得
る。さらに遠心式分子蒸留機により脱ガス・脱臭を行
い、その後ビタミンAと抗酸化剤の添加を経て食用に適
した肝油を製造している。しかしながら、このようにし
て得れらた肝油は、前記の脱ガム工程や脱酸工程で温度
60〜80℃で長時間加熱されるために酸化劣化が生
じ、過酸化物含量が高く、さらに特有の臭いを有してい
る。この臭いの原因は、肝油中の不飽和脂肪酸及びビタ
ミンAまたはその脂肪酸エステルの酸化二次生成物であ
るアルデヒド及びケトン類であるが、特にアルデヒドの
方が不快な臭いとして感じられる。
【0005】臭気の少ない肝油を得るための技術として
は以下の技術が開示されている。タラ等の内蔵及び肝臓
から油分を分離させる際に、この工程の加熱温度を低く
したり、処理時間を短くして酸化を防ぐことが検討され
た。例えば、特開昭52−91006号公報には、無臭
性肝油の製造方法としてサメ肝臓を40℃に加熱して抽
出した油分をろ過した後、冷却して臭いの原因となる不
純物を凝集させ、この不純物を除去して肝油を得る方法
が開示されているが、処理温度を若干低下させたのみで
あり過酸化物及び臭いを十分には除去できない問題があ
る。また、無臭性肝油というものの、臭いについての定
量的な評価はされておらず、無臭の程度を技術的に具体
化して、その達成手段を開示するまでには至っていな
い。特開昭63−290823号公報及び特公平1−2
5550号公報には、工程中の加熱を避けるために冷凍
処理及び低温操作により無臭性の肝油を得る方法が開示
されている。しかしながら、解凍時の静置時間に多くの
時間を要するためその間の酸化は免れない。また、冷凍
装置等の大型の装置が必要であり、また、処理量の問題
もあり、工業的に大量かつ安定に製造するには問題があ
る。特開平9−87655号公報には、原料の肝臓を超
微粒子化し短時間のろ過工程により油分と残査分を分離
することにより、臭いの少ない高単位のビタミンAを含
有する肝油の製造方法が開示されている。しかしこの方
法では微粒子化工程で蛋白質の一部あるいは分解物が混
入し、混入した蛋白質やその分解物の経時的な変性によ
り新たな臭気が発生するという問題があった。無臭性肝
油を製造するためには、臭いの成分であるアルデヒドそ
のものを除去する事は勿論、臭いを発生する原因となる
過酸化物を除去しさらには過酸化物を生成させないため
の酸化防止を含めた技術が必要である。
【0006】肝油は魚から得られる魚油とほぼ同様の構
造を有しているが、魚油の一般的な製造方法は、「IL
SI(イルシー)魚の油−その栄養と健康−」(日本国
際生命科学協会ライフサイエンス研究委員会編第42〜
49頁)に記載されている方法が公知である。それによ
れば、精製魚油の製造工程は、魚を煮熟して圧搾の後、
油分と水分の層からデカンテーションにより油を分離
し、この油分を粗製油とし、脱ガム、脱酸、脱色、脱臭
の各工程を経て精製魚油とするものである。これらの脱
色工程では白土が使用されており、着色成分が吸着され
て除去される。また、脱臭工程では、高温水蒸気が使用
され減圧下に水蒸気を吹き込むことによりアルデヒドの
ような低沸点物質が留去される。上記の魚油の製造方法
において、ある程度の過酸化物は白土処理にて吸着除去
され、臭いは水蒸気とともに除去されるが、脱臭工程
で、170〜250℃の高温度に長時間さらされるた
め、残存していた過酸化物の分解や縮合がおこったり、
油中の高度不飽和脂肪酸の二重結合部分の異性化が生じ
る。この様な工程を経たものは一時的に臭いは少なくな
るものの、分解物や縮合物あるいは異性化物の二次酸化
物に由来する戻り臭として知られる特異な臭いが発生す
るので皮膚外用等の空気と接する用途には適さない。肝
油の場合は熱に弱いビタミンAが含まれているために、
前記の魚油の精製に用いられる高温度での水蒸気脱臭は
用いられない。また白土処理についても、ビタミンAが
白土に吸着されて除去されるためにあまり行われていな
い。一方、過酸化物の量を測定する方法は公知であり、
日本油化学会制定の基準油脂分析試験法に過酸化物価と
して定められている。また油中の臭気の原因であるアル
デヒド量を測定する方法も同様にアニシジン価として定
められている。しかしながら、アニシジン価はアルデヒ
ドとアニシジンとを反応させて生成する着色物質を分光
光度計で測定する方法であり、ビタミンAを含む肝油で
はビタミンAと着色物質の測定波長領域が重なるために
アルデヒドの量を正確には測定できないという問題があ
った。このために無臭性肝油という従前の技術では臭気
の尺度であるアルデヒド量を低減させ、かつ一定限度以
下に安定に保つという点では定量性に乏しく、技術的に
は不十分であった。魚油や肝油については、BHT等の
抗酸化剤を添加することにより酸化をある程度防止でき
ることは公知であるが、抗酸化剤の添加により新たに生
成する過酸化物含量の上昇は抑制されるものの、抗酸化
剤を添加してもあらかじめ生成している過酸化物の分解
により発生する臭いを防ぐことは困難であった。
【0007】以上に述べたように、これまでの肝油の製
造方法及び一般的な油脂の精製法を用いても、過酸化物
含量が少なく肝油特有の臭気を効率よく除去し、かつ経
時的に臭気の発生が抑制された酸化安定性に優れた肝油
を製造することは困難であった。皮膚外用剤として用い
る肝油及びビタミンA油としては不快な臭いを発生させ
ないもの、すなわち、過酸化物価及び臭気の原因となる
アルデヒド含量が低く、かつ経時的に臭いを発生させな
い酸化安定性の高いものが望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、特定の物性の精製肝油を提供することにある。本発
明の第2の目的は、前記の精製した肝油と、ビタミンA
またはその脂肪酸エステルとからなる配合物を提供する
ことにある。本発明の第3の目的は、肝油特有の臭気の
発生源となる過酸化物を除去し、さらに肝油を効率よく
精製して、化粧品、医薬部外品及び医薬品の皮膚外用剤
等に用いる臭気の少ない酸化安定性の高い肝油の精製方
法を提供することにある。本発明の第4の目的は、前記
の精製した肝油を配合してなる皮膚外用剤組成物を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、過酸化物を除去した
後、抗酸化剤の存在下にアルデヒドを除去することによ
り、精製された肝油の過酸化物価及びアルデヒド価を一
定量以下に低減でき、臭いの発生が少ない安定性に優れ
た肝油を工業的に提供できることを見出し、本発明を完
成した。すなわち、本発明は、次の(1)〜(5)であ
る。 (1)過酸化物価が5meq/kg以下であり、アルデ
ヒド価が0.020mmol/g以下である肝油。 (2)前記の肝油と、ビタミンAまたはその脂肪酸エス
テルを、肝油1gに対して、1000ビタミンA単位/
g以上配合してなる肝油の配合物。 (3)(イ)脱過酸化物処理工程、(ロ)抗酸化剤を添
加する工程および(ハ)薄膜蒸留器による脱臭工程から
なることを特徴とする肝油の精製方法。 (4)(イ)の脱過酸化物処理工程が、活性白土による
吸着処理工程であり、(ロ)の抗酸化剤を添加する工程
がジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニ
ソール、クエン酸、アスコルビン酸、およびそれらのエ
ステルの群から選択される1種以上の抗酸化剤を肝油1
00重量部に対して、0.01〜1重量部用い、(ハ)
の薄膜蒸留器による脱臭工程条件が脱臭温度80〜12
0℃、真空度2mmHg以下である前記の肝油の精製方
法。 (5)A成分として前記の肝油40〜70重量%、B成
分としてブフェキサマックを60〜30重量%、C成分
としてビタミンAまたはその脂肪酸エステルをA成分と
B成分の合計量1gに対して2000〜100000単
位/gを配合してなる皮膚外用剤組成物。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いる原料の肝油として
は、タラ及びサメ等の内蔵、肝臓及び幽門垂から得た脂
肪油が挙げられる。また、マダラ又はスケトウダラから
得られる日本薬局方記載の肝油も使用することができ
る。通常、日本薬局方の肝油では、肝油1gにつきビタ
ミンAまたはその脂肪酸エステルを2000〜5000
ビタミンA単位/gを含むものである。また、本発明で
用いる原料の肝油としては、前記の粗肝油、アルカリ精
製肝油及び精製途中の肝油も使用することができる。精
製途中の肝油はタラ及びサメ等の内蔵、肝臓及び幽門垂
より得られた油分であればどの様な方法で得られたもの
でかまわない。
【0011】本発明の精製方法における(イ)の脱過酸
化物処理工程では、酸性白土、活性白土、合成ゼオライ
ト、モレキュラーシーブ及び活性炭等を使用して吸着処
理することで目的を達成できる。これらの中で活性白
土、酸性白土、合成ゼオライトのいずれかを使用するこ
とが好ましく、化学組成の構成元素としてマグネシウム
を含有していることが必須である。特に好ましくは、活
性白土及び酸性白土を用いることが好ましい。吸着剤の
粒径は100μm〜1mmのものが脱過酸化物効率が良
く、100μm以下であると、ろ過効率が極端に悪くな
り作業性が悪くなるため好ましくない。また、活性白土
または酸性白土の粒径が1mm以上大きくなるとろ過が
容易であるが、脱過酸化物効率が悪くなり好ましくな
い。ろ過時には、ろ過効率を良くするために、ろ過助剤
を添加しても良い。ろ過助剤の添加量に特に制限はない
が、吸着処理剤に対して50〜100重量%添加することが好
ましい。ろ過助剤を入れることにより、脱過酸化物処理
工程になんら影響はない。吸着剤の物性として、吸着剤
を水に分散させた時(5%スラリー)のpHは3〜9の
範囲が好ましい。また、酸度として表した場合は、0〜
5KOH・mg/gであることが好ましく、より好まし
くは0〜3KOH・mg/gである。これらの吸着処理
剤の添加量は、肝油100重量部に対して0.1〜20
重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。また、
処理剤の添加量が20重量部より多くてもその効果は変
わらないが、添加量が多くなると肝油の収率が低下する
ので好ましくない。また、これらの処理剤の添加量が、
肝油100重量部に対して0.1重量部より少ないとそ
の吸着除去の効果が十分発揮されないので好ましくな
い。
【0012】本発明の精製方法における(ロ)の抗酸化
剤を添加する工程について説明する。抗酸化剤(抗酸化
剤1と略す)としては、例えば、ジブチルヒドロキシト
ルエン(=BHTと略す、2,6−ジ−t−ブチル−p
−クレゾールまたは2,6−ジ−t−ブチル−4−メチ
ルフェノールともいう)、ブチルヒドロキシアニソール
(=BHA)、天然ビタミンE(ビタミンE抽出物、α
−トコフェロール、β−トコフェロール、δ−トコフェ
ロール等)、合成ビタミンE(dl−α−トコフェロー
ル、酢酸dl−α−トコフェロール)、アスコルビン
酸、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステ
アレート、クエン酸などを挙げることができる。なかで
も、BHT、BHA、δ−トコフェロール、アスコルビ
ン酸、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ス
テアレート、クエン酸等を好ましく挙げられる。
【0013】本発明で用いる抗酸化剤1の添加量は、肝
油100重量部に対して0.01〜1重量部添加するこ
とが好ましい。さらに好ましくは、肝油100重量部に
対して0.05〜0.5重量部である。抗酸化剤1を脱
臭工程中の過酸化反応を防止するために薄膜蒸留による
脱臭工程の前に添加するが、全添加量の60重量%以上
を脱臭前に添加し、脱臭後に残りの量を添加して最終的
に所定量の添加量を加えてもよい。
【0014】前記の(ハ)で用いる薄膜蒸留による脱臭
工程とは、真空条件下で加熱された伝熱面に肝油を薄膜
状にして通過させることにより、肝油中の低揮発分であ
る臭いの成分のみを蒸発させ、除去する(分子蒸留とも
言われている)工程である。この工程は、肝油が加熱さ
れた伝熱面を通過する時間が非常に短いため、肝油中の
不飽和脂肪酸及びビタミンAまたは脂肪酸エステルは熱
変性しにくく、さらに抗酸化剤をあらかじめ添加するこ
とにより工程中の過酸化反応が抑制されるので、肝油中
から臭いの成分のみを取り除くのに好適である。薄膜蒸
留器の加熱温度は80〜120℃であることが好まし
い。より好ましくは85〜115℃である。薄膜蒸留器
の加熱温度が80℃より低い温度では、臭いの成分を十
分に除去することができない。また、120℃より高い
温度では、肝油中のビタミンAの劣化や高度不飽和脂肪
酸の劣化が促進されてしまい、ビタミンAや高度不飽和
脂肪酸の異性化、分解が起こり、分解生成物が新たな臭
いの発生源となりやすいので好ましくない。薄膜蒸留器
を運転する際の真空度は、2mmHg以下、0.001
〜2mmHgであることが好ましく、より好ましくは、
0.01〜1mmHgである。薄膜蒸留器による脱臭工
程で、肝油の滞留時間は、およそ1〜120秒であり好
ましくは、2〜20秒である。予め添加した酸化防止剤
の作用により過酸化反応が防止でき、さらに低温、短時
間の処理のためにビタミンAや高度不飽和脂肪酸の熱変
性が受けにくく、好ましい品質を得ることができる。本
発明に用いる薄膜蒸留器は、液を真空下で加熱面上を薄
膜状で通過させることができるものなら特に制限はな
く、流下型薄膜蒸留器、遠心式分子蒸留器などを用いる
ことができる。
【0015】本発明における過酸化物価(POVと略
す)とは、日本油化学会制定の基準油脂分析法または
J.O.A.Sに詳細に記載されている試験法を用いる
ことができる。本発明で得られる肝油のPOVは5me
q/kg以下である。肝油のPOVが5meq/kgよ
り大きいと、経時的な過酸化物の分解による臭気の発生
の程度が大きくなり好ましくない。
【0016】本発明におけるアルデヒド価(以下、Al
Vと略す)は、アルデヒドと4−アミノ−3−ペンテン
−オンを選択的に反応させて、ビタミンAの吸収と重な
らない蛍光光度法を用いる後述の方法で、アルデヒド価
として定量を行うものである。本発明で得られる肝油の
アルデヒド価は0.020mmol/g以下である。さ
らに好ましくは、0.018mmol/g以下である。
アルデヒド価が0.020mmol/g以下であると臭
いはほとんど感じられない。肝油のAlVが0.020
mmol/gより大きいと高度不飽和脂肪酸やビタミン
A、あるいはそのビタミンAの脂肪酸エステルの酸化由
来のアルデヒドが多いため、臭気が強く好ましくない。
【0017】本発明において、肝油を脱過酸化物処理
し、抗酸化剤の添加後の薄膜蒸留による脱臭という工程
により、酸化安定性の高い肝油を製造することができ
る。抗酸化剤1は薄膜蒸留による脱臭の前に添加する
が、前記のように特に熱安定性の悪いアスコルビン酸な
どの抗酸化剤を使用する場合は、熱安定性の高い抗酸化
剤を脱臭工程前に全添加量の60重量%以上添加し、脱
臭後に残りを添加して最終的に所定量に調整することが
好ましい。
【0018】本発明の肝油とビタミンAまたはその脂肪
酸エステルの配合物は、肝油1gに対して、ビタミンA
またはその脂肪酸エステルを1000ビタミンA単位/
g以上配合してなる混合物である。ビタミンAまたはそ
の脂肪酸エステルの配合量は好ましくは、10000〜
1500000ビタミンA単位/gである。より好まし
くは、30000〜1000000ビタミンA単位/g
である。ビタミンAおよびその脂肪酸エステルについて
は、後述する。
【0019】また、本発明の皮膚外用剤組成物は、主と
してA成分の肝油とB成分のブフェキサマックからな
り、その配合比は、A成分として、前記の精製肝油40
〜70重量%、B成分としてブフェキサマック60〜3
0重量%であり、さらにC成分としてビタミンAまたは
その脂肪酸エステルをA成分とB成分の合計量1gに対
して2000〜100000単位/g配合してなる組成
物である。A成分として精製肝油の配合量は、A成分と
B成分の合計量に対する比率で40〜70重量%であ
り、肝油の配合量が40重量%より少ないと皮膚疾患の
治療効果が少なく、70重量%より多いと皮膚疾患に対
し治療効果の著しい向上が認められないので好ましくな
い。
【0020】また、B成分としてのブフェキサマック
は、2−(p−ブトキシフェニル)アセトヒドロキサミ
ックアシッド〔=2-(p-butoxyphenyl)aceto hydoroxam
ic acid〕である。市販品を用いることができる。B成
分としてのブフェキサマックの配合量は、A成分とB成
分の合計量に対する比率で60〜30重量%であり、ブ
フェキサマックの配合量が、30重量%より少ないとブ
フェキサマックの抗炎症効果が少なく、60重量%より
多くしても皮膚疾患に対し治療効果の著しい向上が認め
られないので好ましくない。
【0021】C成分としてのビタミンAは、別名レチノ
ールと呼ばれる。その構造は、all-trans体もしくは13-
cis-体であり、これを使用することが好ましい。また、
両者の混合物でもかまわない。化学的に合成されたも
の、動植物より抽出されたものなどその起源は問わな
い。市販品をそのまま用いてもよい。また、ビタミンA
の脂肪酸エステルとしては、前記のビタミンAのアルコ
ール型に炭素数2の酢酸〜炭素数18のステアリン酸や
オレイン酸をエステル化して合成したものが挙げられ
る。好ましくは、炭素数16のパルミチン酸のエステル
が挙げられる。また、C成分としては、既に天然に含ま
れるビタミンAとさらにその脂肪酸エステルを添加して
配合する混合型で用いてもよい。また、前記のようにビ
タミンA油として、既に配合物としたものを用いてもよ
い。ビタミンAまたはその脂肪酸エステルの配合量は、
A成分の肝油1gに対して、2000〜100000ビ
タミンA単位/gであり、より好ましくは、10000
〜60000ビタミンA単位/g、更に好ましくは、2
0000〜40000ビタミンA単位/gである。ビタ
ミンAまたはその脂肪酸エステルの配合量が、2000
ビタミンA単位/gより少ないと皮膚炎の治療に対する
十分な効果は得られず、100000ビタミンA単位/
gより多く配合しても皮膚炎の治療の効果に飛躍的な向
上は認められないので好ましくない。
【0022】本発明の皮膚外用剤組成物は前記のA成
分、B成分およびC成分以外にさらにD成分として、抗
酸化剤(抗酸化剤2と略す)を含むことが望ましい。例
えば具体的にはD成分として、ビタミンC、ジブチルヒ
ドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソ
ール(BHA)およびクエン酸が好ましく挙げられる。
なかでも好ましくは、BHTである。抗酸化剤2の配合
量は、A成分とB成分の合計量100重量部に対して、
0.01〜1重量部である。好ましくは、0.01〜
0.1重量部である。抗酸化剤2の配合量が、A成分と
B成分の合計量100重量部に対して、0.01重量部
より少ないと抗酸化剤としての十分な効果は得られず、
1重量部より多く配合しても抗酸化剤としての効果に飛
躍的な向上は認められない。
【0023】本発明の皮膚外用剤組成物は、肌荒れ、ひ
び、あかぎれ、皮膚炎、しもやけ、湿疹、かゆみ、かぶ
れ、ただれ、あせも、むしさされ、アトピー性皮膚炎等
の治療用に適する。
【0024】次に一例として軟膏の配合品の処方、製造
方法について述べる。例えば油性成分として白色ワセリ
ン、ステアリルアルコール、ポリオキシエチレン(60
モル付加体)硬化ひまし油を容器に採り、70℃に加温
し、かき混ぜて均一化する。ここにあらかじめBHT、
BHAなどの抗酸化剤を添加して前記の方法で得た肝油
及びビタミンAまたはその脂肪酸エステルを加える。さ
らにブフェキサマック原末を添加する。一方、プロピレ
ングリコールを70℃で加温したところにパラオキシ安
息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等の防腐剤
を添加混合する。ここに、精製水を添加し、混合してホ
モミキサーで乳液とする。なお、ビタミンCまたはクエ
ン酸などの水溶性の抗酸化剤を用いる場合は、予め、こ
の精製水に溶解して用いる。この乳液と先に調製した肝
油・白色ワセリン混合物を混合し、この両者をパドルミ
キサーでかき混ぜながら乳化した後、冷却し、固まるま
でよくかき混ぜることによって、軟膏を製造することが
できる。
【0025】本発明で用いる皮膚外用剤組成物は、その
他に通常の皮膚外用基材を用いて適当な剤形にすること
ができる。すなわち、剤形としては、液状、ゲル状、ペ
ースト状、クリーム状あるいは粉末状、固状などものが
挙げられる。また、一般的に用いられる外用基材、界面
活性剤、油脂類、保湿剤、安定剤、防腐剤、増粘剤、色
素や香料、清涼剤などの成分を配合できる。外用基材と
しては、白色ワセリン、セタノール、流動パラフィン、
スクワレン、スクワラン、ラノリン、中鎖脂肪酸トリグ
リセリドなどが挙げられる。界面活性剤としては、グリ
セリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビ
タン脂肪酸エステル、レシチン、ポリオキシエチレン硬
化ひまし油、ラウリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
安定剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDT
A)の4または2アルカリ塩、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。防腐剤として
は、パラオキシ安息香酸エステル、ソルビン酸、フェノ
ール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。香料や清
涼剤としては、ハッカ油、ユーカリ油、メントール、ロ
ーズ油、ラベンダー油、オレンジ油、バニラフレーバ
ー、フルーツフレーバー、バニリンなどが挙げられる。
増粘剤としては、アラビアガム、グアガム、カラギーナ
ン、カルボキシメチルセルロース、酢酸ビニル樹脂エマ
ルション、ポリアクリル酸塩などが挙げられる。
【0026】軟膏の使用方法としては、例えば通常の使
用方法として、患者の患部の全体を覆うように広げて症
状により可能で有れば軽く刷り込む。軽く刷り込むこと
が不可能な場合は、およそ1〜3回/日患部の症状に応
じて必要量の軟膏を塗ったガーゼ等を患部にテープ等で
とめるなどして使用することが好ましい。
【0027】
【発明の効果】また、本発明の肝油は、POV、AlV
が低く、臭いが極めて少ないので各種の原料として有用
である。また、本発明の肝油とビタミンAまたはその脂
肪酸エステルの配合物は、POV、AlVが低く、安定
性が優れており、日本薬局方で使用されるビタミンA油
として使用できる。本発明の肝油の精製方法は、肝油の
脱過酸化物処理及び抗酸化剤の添加後の薄膜蒸留による
脱臭により、ビタミンAを損なうことなく肝油特有の臭
気を効率よく除去し、臭気を発生させない極めて安定性
の高い肝油を大量に効率よく製造することが可能であ
る。なおまた、本発明の精製方法により得られた肝油
は、POV、AlVが低く、安定性が優れているので、
A成分として肝油40〜70重量%、B成分としてブフ
ェキサマック60〜30重量%、C成分としてビタミン
Aまたはその脂肪酸エステルをA成分とB成分の合計1
gに対して1000〜50000ビタミンA単位/g、
D成分として抗酸化剤をA成分とB成分の合計100重
量部に対して0.01〜1重量部配合してなる皮膚外用
剤組成物として有用である。特に、皮膚外用剤組成物
は、肝油、ブフェキサマック、ビタミンAおよび抗酸化
剤を含有するので、皮膚炎症の治療効果が著しく、ま
た、炎症によるかゆみ止め、紫外線の影響を少なくする
ことができる。さらに、抗酸化剤により、長期にわたり
製品の安定性があり、酸化により生じる過酸化脂質由来
の臭気成分の発生に対して、好ましい結果を得ることが
できる。
【0028】
【実施例】実施例に基づいて本発明を更に詳しく説明す
る。なお、過酸化物価(POV)、ビタミンAまたはそ
の脂肪酸エステルおよびアルデヒド価(AlV)測定
は、次の方法に従って行った。 1.過酸化物価(POV)の測定 POVの測定は日本油化学会が制定した基準油脂分析試
験法(2.5.2.1−1996)に従って測定した。
【0029】2.ビタミンAおよびその脂肪酸エステル
の測定 ビタミンAおよびその脂肪酸エステルの含量は、第13
改正日本薬局方ビタミンA定量法第2法に基づいて行っ
た。試料をけん化し、不けん化物をエーテル抽出し、エ
ーテル抽出液を水洗、脱水したのち、エーテルを窒素気
流下で減圧留去し、残留物をイソプロパノールに溶解し
て試料溶液を調整して、吸光光度法により測定した。
【0030】3.アルデヒド価(AlV)の測定 本発明におけるアルデヒド価の測定法について説明す
る。 (予備試料溶液の調整)試料1gをとり酢酸エチルで正
確に10mlとする。 (反応試液の調整)4−アミノ−3−ペンテン−2−オ
ン(Fluoral−P)40mgをとり酢酸エチルで
正確に10mlとする。 (予備標準溶液の調製)標準物質、2−ヘキセナール
0.1gをとり酢酸エチルで正確に10mlとする。 (方法)予備試料溶液1ml、反応試液1ml、酢酸5
mlを10ml共栓付試験管にとり、試料溶液とする。
窒素を10ml/分の流量で1分間バブリングし、次い
で液上方の空隙部分を30ml/分の流量の窒素で1分
間置換しキャップをして密栓する。試験管を60℃の水
浴中で1時間反応させ、反応終了後、氷浴に浸し反応を
止め、測定直前に液を室温に戻す。層長、1cm×1c
mの石英セルに室温に戻した試料溶液を入れ、蛍光光度
分光計で励起波長410nm、蛍光波長500nmで試
料溶液の蛍光強度(FT)を測定する。別に、予備標準
溶液1ml、反応試液1ml、酢酸5mlを10ml共
栓付試験管にとり標準溶液として、同様の操作で測定を
行い、標準溶液の蛍光強度(FS)を測定する。対照と
して、反応試液1ml、酢酸エチル1ml、酢酸5ml
からなる蛍光ブランク溶液、また、予備試料溶液1m
l、酢酸エチル1ml、酢酸5mlからなる試料ブラン
ク溶液、および予備標準溶液1ml、酢酸エチル1m
l、酢酸5mlからなる標準物質ブランク溶液を各々調
製して同様の操作を行い、蛍光ブランク溶液、試料ブラ
ンク溶液および標準物質ブランク溶液の蛍光強度(F
B、FTBおよびFSB)を測定する。測定結果から、次式
の計算式により算出した。 アルデヒド価(mmol/g)={(FT−FTB−FB)
/(FS−FSB−FB)}×{(WS)/(WT)}×10
×0.1018 ここで FT:試料溶液の蛍光強度(500nm) FS:標準溶液の蛍光強度(500nm) FB:蛍光ブランク溶液の蛍光強度(500nm) FTB:試料ブランク溶液の蛍光強度(500nm) FSB:標準物質ブランク溶液の蛍光強度(500nm) WS:標準物質採取量(g) WT:試料採取量(g) とする。
【0031】4.酸化安定性試験の方法 酸化安定性試験の方法は、大気下、試料の肝油それぞれ
10gを20ml容サンプル瓶にとり、40℃の油浴内
で24時間マグネチックスターラーでかき混ぜた。12
時間後、24時間後に過酸化物価、アルデヒド価、ビタ
ミンA含量をそれぞれ測定した。
【0032】また、臭気の判定は、次の官能評価により
行った。 5.1.臭気の官能評価1 試料を50mlのフタ付のサンプル瓶に10g入れ、4
0℃で10分間加温した後、フタを開け臭いを5人に嗅
いでもらい、その評価方法を以下に示した。評価基準臭
気の程度:4点:臭いはない、3点:少し臭う、2点:
臭う、1点:かなり臭う 臭気の判定:5人の平均点で示し、以下の基準で判定し
た。 ○:3点以上〜4点以下、△:2点以上〜3点未満、
×:1点以上〜2点未満。 5.2.臭気の官能評価2 被験者の右腕に約10平方cmになるように皮膚外用剤
組成物を塗布し、12及び24時間後の臭いを評価し
た。臭いは軟膏を塗布した皮膚から1cmの高さに鼻を
直接接近させて臭いを嗅いだ。5人に臭いを嗅いでもら
い、以下の基準で評価した結果を表4に示した。 臭気の程度:4点:臭いはない、3点:少し臭う、2
点:臭う、1点:かなり臭う 臭気の判定:5人の平均点で示し、以下の基準で判定し
た。 ○:3点以上〜4点以下、△:2点以上〜3点未満、
×:1点以上〜2点未満。
【0033】実施例1;標準的な精製 日本薬局方の肝油(過酸化物価8.5meq/kg、ア
ルデヒド価0.036mmol/g、ビタミンA含量3
000ビタミンA単位/g)500gに、活性白土(和
光純薬工業製)10gを加え窒素ガス気流下、室温で2
時間かき混ぜ、その後ろ過助剤を5g使用してろ過を行
い、480gの油(過酸化物価0.1meq/kg、ア
ルデヒド価0.035mmol/g、臭気評価1.6、
ビタミンA含量2500ビタミンA単位/g)を得た。
さらに、このうち96gを採取してBHTを0.1重量
%になるように0.096gを加え攪拌均一化した後、
薄膜蒸留器を用い、ジャケット温度100℃、真空度
0.1mmHg、流下速度1ml/minの条件で脱臭
処理を行った。残査画分を採取し、精製肝油93gを得
た。処理前、脱過酸化物処理後、脱臭処理後の肝油につ
いて、過酸化物価、アルデヒド価、臭気及びビタミンA
含量を測定した。脱臭処理後の結果は、過酸化物価0.
2meq/kg、アルデヒド価0.016mmol/
g、臭気評価3.6、ビタミンA含量2500ビタミン
A単位/gであった。結果を表1に示した。
【0034】実施例2;粗肝油から精製 タラ肝臓を破砕後、アルカリ消化法を行い、遠心分離し
て得られた粗肝油(過酸化物価12.4meq/kg、
アルデヒド価0.042mmol/g、ビタミンA含量
1400ビタミンA単位/g)100gに、ガレオンア
ースV2R(水沢化学工業製、活性白土)4gを加え窒
素ガス気流下、室温で2時間かき混ぜ、その後ろ過助剤
を1g使用してろ過を行い、95gの精製肝油(過酸化
物価0.2meq/kg、アルデヒド価0.042mm
ol/g、ビタミンA含量1,000ビタミンA単位/
g)を得た。さらに、この95gにジブチルヒドロキシ
トルエン(BHT)を肝油に対して0.1重量%になる
ように0.095gを加えて、薄膜蒸留器を用い、ジャ
ケット温度110℃、真空度0.05mmHg、流下速
度1ml/minの条件で脱臭処理を行った。残査画分
を採取し、精製肝油93gを得た。処理前、脱過酸化物
処理後、脱臭処理後の肝油について、過酸化物価、アル
デヒド価、臭気及びビタミンA含量を測定した。脱臭処
理後の結果は、過酸化物価0.2meq/kg、アルデ
ヒド価0.019mmol/g、臭気評価3.4、ビタ
ミンA含量1000ビタミンA単位/gであった。結果
を表1に示した。
【0035】実施例3;抗酸化剤の添加方法 実施例1の脱過酸化物処理工程で得られた肝油96g
に、BHT0.0576gを添加したものを薄膜蒸留器
で、ジャケット温度100℃、真空度0.1mmHg、
流下速度1ml/minの条件で脱臭処理を行った。得
られた肝油に対してアスコルビン酸を0.0354gを
加え、精製肝油93gを得た。処理前、脱過酸化物処理
後、脱臭処理後の肝油について、過酸化物価、アルデヒ
ド価、臭い及びビタミンA含量を測定した。脱臭処理後
の結果は、過酸化物価0.1meq/kg、アルデヒド
価0.016mmol/g、臭気評価3.8、ビタミン
A含量2500ビタミンA単位/gであった。結果を表
1に示した。
【0036】比較例1;脱臭処理なし 実施例1の脱過酸化物処理工程で得られた肝油96g
に、BHTを0.096gを加え油に対して0.1重量
%になるように調整した。前記と同様にして各物性を測
定した。結果は、過酸化物価0.1meq/kg、アル
デヒド価0.035mmol/g、臭気評価1.6、ビ
タミンA含量2500ビタミンA単位/gであった。結
果を表1に示した。
【0037】比較例2;脱POV処理なし 日本薬局方の肝油(過酸化物価8.5meq/kg、ア
ルデヒド価0.036mmol/g、ビタミンA含量3
000ビタミンA単位/g)100gにBHTを0.1
重量%になるように0.1gを加え、薄膜蒸留器を用
い、ジャケット温度100℃、真空度0.1mmHg、
流下速度1ml/minの条件で脱臭処理を行った。残
査画分を採取し、肝油93gを得た。処理前、脱臭処理
後の肝油について、過酸化物価、アルデヒド価、ビタミ
ンA含量を測定した。脱臭後の結果は、過酸化物価8.
6meq/kg、アルデヒド価0.019mmol/
g、臭気評価3.4、ビタミンA含量2980ビタミン
A単位/gであった。結果を表1に示した。
【0038】比較例3;抗酸化剤なし 実施例1の脱過酸化物処理工程で得られた肝油(過酸化
物価0.1meq/kg、アルデヒド価0.035mm
ol/g、ビタミンA含量2,500ビタミンA単位/
g)96gを、薄膜蒸留器を用い、ジャケット温度10
0℃、真空度0.1mmHg、流下速度1ml/min
の条件で脱臭処理を行った。残査画分を採取し、精製肝
油を93g得た。(過酸化物価0.3meq/kg、ア
ルデヒド価0.018mmol/g、臭気評価3.4、
ビタミンA含量2,500ビタミンA単位/g)。結果
を表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】実施例4;ビタミンAと精製肝油の配合 実施例1の脱過酸化物処理工程の後、抗酸化剤添加して
薄膜蒸留による脱臭工程で得られた残査画分93gに、
ビタミンAのパルミチン酸エステルを2.106g添加
し、ビタミンAと肝油の配合物を得た。なお、用いた肝
油の過酸化物価0.2meq/kg、アルデヒド価0.
017mmol/g、臭気評価3.6、ビタミンA含量
40000ビタミンA単位/gであった。結果を表2に
示した。
【0041】
【表2】
【0042】参考例1〜5;肝油の安定性比較 参考例1は未処理の肝油(日本薬局方肝油)を用い、参
考例2は実施例1の肝油、参考例3〜5は比較例1〜3
の肝油を用いて、前記の酸化安定性試験の方法にしたが
って酸化安定性試験を行った。結果を表3に示した。
【0043】
【表3】
【0044】実施例5;皮膚外用剤組成物の配合 軟膏基材である流動パラフィン100g、セタノール1
00g、乳化剤であるミリスチン酸イソプロピル50
g、オレイルアルコール30g、懸濁剤であるステアリ
ン酸ポリオキシエチレン(40モル付加)グリコールモ
ノエステルを10g、ショ糖脂肪酸エステル10g、防
腐剤であるパラオキシ安息香酸メチル1g、パラオキシ
安息香酸プロピル1gをとり、70℃で加温溶解した。
ここに実施例1で得られた肝油70g、ブフェキサマッ
ク30gを添加し、さらにビタミンAパルミチン酸エス
テル2.21g加えた。この混合物を予め精製水547
gに濃グリセリン50gを混和したものに加え、パドル
ミキサーを用いて50rpmでかき混ぜながら冷却して
軟膏1000gを得た。
【0045】比較例4;皮膚外用剤組成物の比較例 軟膏基材である流動パラフィン100g、セタノール1
00g、乳化剤であるミリスチン酸イソプロピル50
g、オレイルアルコール30g、懸濁剤であるステアリ
ン酸ポリオキシル40を10g、ショ糖脂肪酸エステル
10g、防腐剤であるパラオキシ安息香酸メチル1g、
パラオキシ安息香酸プロピル1gをとり、70℃で加温
溶解した。ここに日本薬局方肝油70gに、BHT0.
07gを加え、油に対して0.1重量%となるように調
整し、さらに、ブフェキサマック30g及びビタミンA
のパルミチン酸エステル2.18gを添加した。この混
合物を予め精製水547gに濃グリセリン50gを混和
したものに加え、パドルミキサーを用いて50rpmで
攪拌しながら冷却して軟膏1000gを得た。以上の実
施例5及び比較例4の配合処方を表4に示した。
【0046】実施例5と比較例4で得られた軟膏100
mgを用いて前記に示した臭気の官能試験2の方法で評
価した。結果を表5に示した。
【0047】
【表4】 注;単位 *1はA成分とB成分のみの合計量100重量%とした
ときの重量%。 *2はA成分とB成分の合計量1gに対しての添加量で
国際単位の活性を示す。 *3はA成分の精製肝油100重量部に対しての添加量
で重量部を示す。 *4はA、B、CおよびD成分以外の配合物でA成分と
B成分の合計量100重量部に対しての添加量を重量部
で示した。
【0048】
【表5】
【0049】参考例2:軟膏の保存安定性 実施例5及び比較例4の試料を用いて保存安定性の試験
を行った。 試験方法;ラミネートチューブに試料25gを充填し、
40℃で30日間保存した。保存前の試料及び30日間
保存後の試料について、臭気、ビタミンA含量を測定し
た。なお、臭気の測定は前記の試験方法2の方法準じて
行い、ビタミンA含量の測定は前記の方法に準じて行っ
た。結果を表6に示した。
【0050】
【表6】
【0051】試験例1〜8 肌荒れ、乾癬症の皮膚疾患を有する各々被験者80名を
パネルとしてそれぞれ8群に分け、(1群10名)、実
施例5及び比較例4の配合処方で製造した軟膏の未加熱
のもの、及び40℃×30日間加熱保存したものについ
て、被試験者の患部約3cm四方に軟膏2回/1日塗り
で8週間連続塗布した。8週間後に、使用前後の肌荒
れ、乾癬症の症状の改善度を肉眼で観察して判定した。
結果を表7及び8に示した。症状の改善度の判定は、患
部を肉眼で観察して、次の判定基準により判定した。 ───────────────────────── 評価 ;判定基準 ───────────────────────── かなり改善;使用前より症状が良くなり正常な皮膚の状
態に近くなった場合 やや改善 ;使用前より症状が軽くなった場合 変化なし ;使用前と症状が変わらなかった場合 悪化 ;使用前より症状が悪くなった場合及び症状
悪化に伴い使用を中止した場合 ─────────────────────────
【0052】
【表7】
【0053】
【表8】
【0054】以上の結果から、次のことが分かる。 (1)本発明の実施例1、2および3は脱臭を行わなか
った比較例1、脱過酸化物除去を行わなかった比較例
2、抗酸化剤を添加せずに脱臭した比較例3に比べて、
加熱試験で過酸化物価、アルデヒド価が上昇せず、臭気
の発生もない安定したものであることがわかる。これら
の結果より、脱過酸化物処理工程、抗酸化剤添加工程、
脱臭工程の各工程すべてを経由しなければ臭気のない品
質の安定した肝油を得ることは困難である。 (2)本発明の精製肝油を用いてビタミンAの脂肪酸エ
ステルを配合した実施例4は精製していない肝油を用い
た比較例4に比べて、臭気に優れ、また品質の安定性が
優れ、ビタミンA油として有用であることがわかる。 (3)本発明の精製肝油を用いて配合した実施例5の皮
膚外用剤組成物は、精製していない肝油を用いた比較例
4に比べて、臭気に優れ、また品質の安定性が優れ、皮
膚外用剤組成物として皮膚炎や乾癬症に対して有効であ
ることがわかる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】過酸化物価が5meq/kg以下であり、
    アルデヒド価が0.020mmol/g以下である肝
    油。
  2. 【請求項2】前記の請求項1記載の肝油と、ビタミンA
    またはその脂肪酸エステルを、肝油1gに対して、10
    00ビタミンA単位/g以上配合してなる肝油の配合
    物。
  3. 【請求項3】(イ)脱過酸化物処理工程、(ロ)抗酸化
    剤を添加する工程および(ハ)薄膜蒸留器による脱臭工
    程からなることを特徴とする肝油の精製方法。
  4. 【請求項4】(イ)の脱過酸化物処理工程が活性白土に
    よる吸着処理工程であり、(ロ)の抗酸化剤を添加する
    工程がジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシ
    アニソール、クエン酸、アスコルビン酸およびそれらの
    エステルの群から選択される1種以上の抗酸化剤を肝油
    100重量部に対して、0.01〜1重量部用いる工程
    であり、(ハ)の薄膜蒸留器による脱臭工程の条件が脱
    臭温度80〜120℃、真空度2mmHg以下である請
    求項3記載の肝油の精製方法。
  5. 【請求項5】A成分として前記の請求項1記載の肝油4
    0〜70重量%、B成分としてブフェキサマック60〜
    30重量%、C成分としてビタミンAまたはその脂肪酸
    エステルをA成分とB成分の合計量1gに対して200
    0〜100000ビタミンA単位/gを配合してなる皮
    膚外用剤組成物。
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