JPH11297519A - 希土類磁石用合金の製造方法及び遠心鋳造法により鋳造された希土類磁石用合金 - Google Patents

希土類磁石用合金の製造方法及び遠心鋳造法により鋳造された希土類磁石用合金

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JPH11297519A
JPH11297519A JP10112772A JP11277298A JPH11297519A JP H11297519 A JPH11297519 A JP H11297519A JP 10112772 A JP10112772 A JP 10112772A JP 11277298 A JP11277298 A JP 11277298A JP H11297519 A JPH11297519 A JP H11297519A
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Yoichi Hirose
洋一 広瀬
Atsushi Otaki
篤史 大滝
Tatsuo Go
龍夫 郷
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    • H01F41/00—Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/02—Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SmCo磁石用合金を遠心鋳造し得られたイ
ンゴットを粉末冶金法で磁石化すると、保磁力は向上す
るものの残留磁化は劣化する傾向がある。この問題を解
決し箱型鋳型で得られるのと同等の特性をもつ磁石用合
金を遠心鋳造で製造する。 【解決手段】 遠心鋳造鋳型1の内面に2箇所以上の湯
溜り部10を形成する仕切りとなる環状の堰5を形成し
た鋳型を回転させながら、遠心鋳造を行うと、主相のS
m2 Co17の周囲にSm1 Co5 がネットワーク状に存
在し、主相のSm2 Co17の平均結晶粒径が100μm
以上である希土類磁石合金が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、希土類磁石製造用
の原料合金の製造方法に関し、特に、SmCo系磁石合
金、その中でもSm2 Co17系磁石合金の溶湯を遠心鋳
造鋳型に鋳造する方法に関する。さらに、本発明は遠心
鋳造により鋳造され、Sm2 Co17系磁石の製造に使用
される原料であるインゴットもしくはその破砕粉の形態
を呈する合金に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の希土類磁石用合金の鋳造方法とし
て、箱型等の鋳型に合金溶湯を鋳造する方法が採用され
ている。特に、現在望まれている冷却条件は、冷却速度
を適度に速める方向となっているので、従来の箱型等の
鋳型を用いた鋳造法で冷却速度を速める為には、特公平
5−38051号公報で提案されているように冷却パイ
プを鋳型に巻き付ける方法や、あるいはインゴットの厚
さが薄くなるように鋳型キャビティを狭く設定する方法
が行われている。大容量の溶湯を鋳造して薄型インゴッ
トを得るにはインゴットを薄くした分、主面の面積を大
きくする必要が生じる。しかし、鋳型間隔の狭い鋳型の
注湯部に多量の溶湯を注入すると、溶湯は鋳型に熱を奪
われて流れるためインゴットの場所により冷却状態が異
なる結果、組織も部分的に異なることとなり、偏析も生
じ易い。
【0003】一般に、箱型鋳型では、鋳型毎にインゴッ
トを取り出すための解体と組立作業を必要とする。ま
た、箱型鋳型は熱歪で変形し易く、鋳型の修理に要する
費用も高く、寿命も短い。さらに鋳型が大型になるほど
変形が大きくなり、再組立作業が困難となり、又湯洩れ
等のトラブルの発生頻度も高まる。特に、水冷方式の箱
型鋳型では、湯洩れが発生した場合水蒸気爆発等の災害
につながるので、細心の注意が必要である。
【0004】希土類磁石用合金を遠心鋳造する事は本出
願人による特開平9−111383号(特願平7−29
3617号)で公知となっている。この公報では、特殊
なタンディッシュを介して溶湯を小さい平均堆積速度で
回転円筒鋳型に堆積させ、一旦凝固した層上に次の溶湯
層が積み重なるような条件にて鋳造する事により、Sm
−Co合金の添加元素であるZrの偏析が少ない微細な
組織制御が得られ、磁石特性が向上することが謳われて
いる。しかし、この方法で採用されている条件で鋳造さ
れたインゴットを原料として用いて磁石を製造したとこ
ろ、保磁力は向上するものの残留磁化はむしろ劣化する
傾向が確認された。このように、従来の箱形鋳造で得ら
れるインゴットと磁石特性が同等以上の磁石が得られる
遠心鋳造の製造条件は解明されていない。
【0005】一般に、従来法の金型鋳造により得られた
Sm2 Co17系合金インゴットには例えば走査型電子顕
微鏡を用いて、反射電子線像にて観察すると、Sm2 C
o17主相の周囲にSm1 Co5 相がネットワーク状に存
在することが明瞭に確認できる。それに対し、前掲特開
平9−111383号の遠心鋳造法により得られたSm
2 Co17系合金インゴットの金属組織は図8に示すとお
り、冷却速度が速いため、両相の分離も微細となり不明
瞭となる。また偏光顕微鏡観察により求められるSm2
Co17主相の結晶粒径も100μm以下と小さくなる。
かかる組織の合金インゴットを粉砕すると、単結晶でな
いすなわち粉砕粒子の中に結晶粒界が存在する粒子の割
合が増えるため、磁場成型した時の配向度が低くなり、
結局、焼結熱処理後も残留磁化が低下していたと考えら
れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述のような
問題点を解決した希土類磁石用合金、特にSmCo系磁
石用合金の製造方法を提供する。すなわち、従来のよう
な作業性が悪く、コスト面、安全面でも不利な箱型鋳型
等を用いた金型鋳造法ではなく、遠心鋳造法により、鋳
型の形状と注湯方法の工夫により、箱型鋳型を用いたと
きと実質的に同じ冷却条件を実現できる鋳造方法を提供
するとともに、箱形鋳造合金と同等の性能の磁石を製造
することができる遠心鋳造合金を提供するものである。
本発明において希土類磁石用合金とは、そのまま粉末冶
金プロセス処理して磁石化する合金である。また、Sm
Co系磁石においてSm含有量が異なる2種以上の合金
粉末を混合して原料粉末とする場合もあるが、かかる1
種もしくは2種以上の合金粉末製造用合金も本発明にお
ける希土類磁石用合金に含まれる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、SmCo
系磁石用合金の水冷方式の箱形鋳型によるインゴットの
鋳造冷却条件とその組織の解析を行っているうち、遠心
鋳造鋳型の構造を修正すると驚くべきには鋳造組織が根
本的に変化し、箱形鋳造と実質的に同じ鋳造組織が得ら
れることが見出された。すなわち、本発明は、遠心鋳造
鋳型の内面に2箇所以上の湯溜り部を形成する仕切りと
なる環状の堰を形成した鋳型を回転させながら、湯溜り
部の上方に位置し、鋳型の回転軸方向に移動するノズル
から希土類磁石用合金の溶湯を該湯溜り部に注湯するこ
とを特徴とする希土類磁石用合金の製造方法を提供す
る。さらに、本発明は、Sm2 Co17系希土類磁石の製
造に用いられるインゴットもしくはその破砕粉であっ
て、かつ主相のSm2 Co17の周囲にSm1 Co5 がネ
ットワーク状に存在し、主相のSm2 Co17の平均結晶
粒径が100μm以上であることを特徴とする遠心鋳造
法により鋳造される希土類磁石用合金を提供する。以
下、本発明を詳しく説明する。
【0008】本発明では、従来法と同じように、まず、
希土類元素含有合金の原料となる純金属、母合金等を真
空中あるいはアルゴンガス等の不活性雰囲気中で溶解す
る。次に、この溶解後鋳造する際、遠心鋳造を行う。こ
の際、使用する遠心鋳造設備は、回転駆動機構と円筒状
鋳型より構成される。本発明では得られる合金の凝固冷
却条件が重要であり、通常の薄型インゴット鋳造用鋳型
での凝固冷却条件とほぼ同じ条件とするため、円筒状の
鋳型の内面に、回転軸方向に適切な間隔でかつ適当な高
さになるような複数の環状の堰を設けたことを特徴とす
る。そして、希土類磁石合金用溶湯はタンディッシュと
それに設けられたノズルを介して、隣合った堰の間に形
成される湯溜り部に鋳造される。溶湯が湯溜り部に適当
な厚さになるまで溜まったら、タンディッシュの位置を
移動させることにより、次の湯溜り部に順次注湯する。
そして、各湯溜り部に注湯された溶湯は、遠心力で湯溜
り部の壁面に押しつけられた状態で、凝固が進行する。
【0009】さらに、湯溜り部を完全に満たした鋳込み
直後の鋳造金属を、ほとんど全量液相状態のままに保つ
鋳造条件を選択することが好ましい。これは、基本的に
は、インゴット厚さ、鋳型形状(具体的には鋳型比)及
び鋳込み速度(具体的には溶湯注湯速度)等の鋳造条件
の選択により行い、さらに、冷却速度に影響を与える因
子である鋳型材料、鋳型冷却方式、鋳型径、回転速度
(遠心加速度)、不活性雰囲気等を適当に選ぶことによ
り調整を行う。なお、溶解規模が小さいとキャビティに
溶湯の鋳造が終了するまでに「ほとんど液相状態のま
ま」に容易に保つことができ、溶湯の流動が鎮静化した
後に、凝固を開始させることができる。そして、その時
のインゴットの厚さは15〜70mmの範囲が望ましい
ことが知られている。上述の本発明によれば、熱が奪わ
れる鋳型との接触は片側のみであり、そのため箱形鋳型
の場合のほぼ半分の厚さのインゴットとなるように鋳造
することにより、従来の小規模溶解の時の箱形鋳型に鋳
造したのとほぼ同じ条件で凝固冷却させること可能とな
る。
【0010】本発明では得られるインゴットの組織が重
要でありインゴット自体の外形は問題とならない。鋳型
の形状は次のようにして決められる。すなわち溶解鋳造
量とインゴット厚さにより必要な鋳型総面積が決り、鋳
型の内径と長軸方向の長さは、主に鋳造後のインゴット
の取り出し易さ等の作業性から決めることができる。こ
こで鋳型内径は300mm以上、さらに作業性の向上を
考慮し400mm以上とすることが望ましい。鋳型長さ
は、鋳造後のインゴットの取り出し易さを考慮し、鋳型
径の3倍以下さらに望ましくは2倍以下とすることが望
ましい。
【0011】本発明における好ましい鋳造条件を定める
鋳型比は、図1において、Mの重量/Aの重量で表され
る。Mは堰から外れた部分における鋳型断片、AはMと
同じ底面積のインゴット断片であり、インゴット厚さに
対して、鋳型径は十分大きく、曲率は無視できるため、
Mの重量=鋳型厚さ×M部の底面積×鋳型密度であり、
Aの重量=インゴット厚さ×M部の底面積×インゴット
密度である。従って、鋳型比はMの重量/Aの重量=
(底鋳型厚さ×鋳型密度)/(インゴット厚さ×インゴ
ット密度)となる。鋳型比は1〜10の範囲であること
が好ましい。鋳型比が1未満では冷却が遅くなり過ぎ、
特にチャンバー外に取り出しても酸化が問題にならない
温度まで降温するのに長時間を要し、生産性を挙げるこ
とができない。一方10を超えると、冷却が速くなり過
ぎ、また鋳型重量も重くなり、鋳型及び回転駆動装置と
も高価になり、経済的ではない。鋳型比はさらに望まし
くは1〜5の範囲とする。
【0012】堰を設ける間隔は30mm以上でかつ30
0mm以下が望ましい。この間隔が30mm以下である
と、円周方向だけでなく軸方向の伝熱が無視できないほ
ど大きくなる。一方堰を設ける間隔が300mm以上で
は溶湯が鋳型の長手方向に流れる距離が大きくなり、ま
た湯溜り部に溶湯が十分に溜まる前に凝固が開始し易く
なるので、従来の箱形鋳型のような冷却条件を実現し難
くなる。堰を設ける間隔はさらに望ましくは50mm以
上でかつ200mm以下である。円周方向に設けられ溶
湯の仕切りとなる堰の高さは、合金組成が同じ場合、従
来箱型鋳型で鋳造していた最適な鋳型キャビティ間隙の
半分を目安として決めることができる。具体的な数値と
しては5mmから50mmの範囲内とし、さらに望まし
くは8mmから35mmの範囲内から選択する。
【0013】鋳造時ノズルから放出される溶湯流量は個
々の溶湯溜り部での平均溶湯堆積速度が0.1cm/秒
以上となるようにして鋳造することが望ましい。ここ
で、平均溶湯堆積速度は単位時間当りの溶湯注湯量(体
積)を個々の湯溜り部の底部面積で除した数値を言う。
[0012]で記述した堰間隔範囲の上限側では湯溜り
部への注湯が終了する前に凝固がかなり進行する傾向が
現れる。この傾向を打消すには平均溶湯堆積速度を上述
のように制御することが有利である。
【0014】本発明においては、一つの湯溜り部には通
常一つのノズルから注湯する。注湯位置を次の湯溜り部
に注湯できるようにノズルを移動させることが望まし
い。具体的には、タンディッシュに設けた注湯ノズルの
位置を複数の湯溜り部上方に移動させるためタンディッ
シュを鋳型の軸方向に移動させる。その際、ノズルが湯
溜り部上方で一端停止し、次に堰を越えて移動し、再び
次の湯溜り部上方で停止する間欠移動を繰り返すことが
連続的移動より望ましい。ここで、長手方向の各インゴ
ットの厚さを揃えるために、また堰の全周を越えて溶湯
がオーバーフローするのを防ぐために、堰の上部で隣合
う湯溜りに溶湯が流れるように、切欠部を設けることも
できる。なお、仕切となる堰に切欠部を設ける場合は、
湯溜りの底面から切欠の底部までの高さを前述の堰の高
さと同じになるようにする。
【0015】溶解鋳造量が多い場合は、例えば図2に示
すように回転軸に平行に移動するタンディッシュ2の2
箇所にノズル7を設けることにより、同時に2箇所か
ら、それぞれの下方に位置する湯溜り部に鋳造すること
ができる。そのような鋳造装置を用いることにより、ル
ツボからの単位時間あたりの注湯量を増やすことがで
き、固定タンディッシュ3、移動タンディッシュ2上で
の溶湯の温度低下を防ぎ安定した鋳造を可能とし、また
タンディッシュ2上の残留メタルを減らすことができ、
収率を挙げることも可能となる。また、そのようにする
ことにより、ノズルが1個の場合に比較して、固定タン
ディッシュ3の移動距離を半分に減らすことができ、真
空チャンバー2のスペース上の制約も軽減することがで
きる。すなわち、移動タンディッシュ2をチャンバー内
に納めるために、チャンバーを大きくするといった必要
性が無くなり、経済的な設備とすることが可能となる。
なお、ノズル7の数は、ルツボからの単位時間当たりの
注湯速度を増やすことにより、それぞれの湯溜り部への
平均堆積速度を0.1cm/s以上に保てる範囲内で、
等間隔で3個以上設けることも可能である。
【0016】鋳型の回転速度は、実用上は溶湯が鋳型の
上部に達した時に、落下しないよう少なくとも遠心力加
速度が1G以上となるような回転速度が必要である。さ
らに遠心力を大きくすることにより、溶湯の加速が不十
分なため雨降り状に溶湯が落下するいわゆる「レインニ
ング現象」を回避し、また鋳造された溶湯に及ぼす周期
的な重力による加速度の変動による影響を小さくするこ
とができる。このため、好ましくは3G以上となるよう
に鋳型の回転速度を設定する。堰を設けた鋳型による遠
心鋳造においては、鋳込み後の収縮ではインゴットと鋳
型の間には十分の隙間ができないのでインゴットの取り
出しができなくなるが、SmCo系磁石合金は脆いた
め、鋳型に留まっている状態のインゴットをハンマーな
どで破砕すると容易に取り出すことができる。
【0017】続いて、本発明に係る希土類磁石用鋳造合
金の組織について説明する。本発明による合金組織は遠
心鋳造合金であるにも拘らず箱型鋳型鋳造合金のものと
基本的に同じである。具体的に述べると、まず、50〜
1000倍程度のSEM(反射電子線)顕微鏡にて網状
(ネットワーク)組織が観察される。この組織ではSm
2 Co17結晶相の周囲にSmCo5 相が網状に分布した
組織である。一方、従来の特開平9−111383号の
遠心鋳造法による合金は鋳造組織が微細でありかつ主相
Sm2 Co17相の結晶粒径も小さく、かかる組織の合金
インゴットを粉砕すると、単結晶でないすなわち粉砕粒
子の中に結晶粒界が存在する粒子の割合が増えるため、
磁場成型した時の配向度が低くなり、結局、焼結熱処理
後も残留磁化が低下していたと考えられる。これに対し
て、本発明の組織をもつインゴットの破砕粉は結晶粒径
が適度に大きいため、上記のような欠点を免れることが
できる。鋳造合金の結晶粒径は偏光顕微鏡により測定を
行う。本発明の鋳造合金の結晶粒径は一般に120〜3
00μmの範囲であり、従来の遠心鋳造合金に比較して
粗粒になっている。本発明のSm2 Co17系磁石の合金
組成は一般的なものであって、重量百分率で、Sm24
〜27%,Fe10〜22%,Cu4.5〜9%,Zr
1.5〜3.5%,Co残のものを好ましく使用するこ
とができる。さらに、これらの成分を部分的に代替する
各種元素を使用してもよい。例えば、Smを代替するC
eなど、Zrを代替するTi,Nb,Hfなどである。
【0018】
【作用】工業的に使用されるSmCo系磁石合金には、
Fe,Cu,Zr等が添加されており、また種々の結晶
相が存在し、しかも高温域と低温域とで存在する結晶相
も変化するため、鋳造条件によって、得られる合金の組
織、粉砕性等の機械的性質、磁性等の物理的性質が微妙
に変化する。そのため、単にZrの偏析を防止する鋳造
条件では磁石製造のための粉末化工程での粉砕後の粒度
分布や、磁場成型時の配向度等が必ずしも良好にはなら
なかった。このような点を考慮し、本発明では、遠心鋳
造の採用に加えて鋳型の構造を修正し、場合によりさら
に溶湯の鋳造条件を規定して、従来の箱型金型での鋳造
と同様の冷却条件を作り出すことが可能である。さら
に、遠心鋳造の採用により、従来の箱型鋳型の熱歪によ
る変形、湯洩れ、耐久性の悪さ、作業性の悪さと種々の
問題点を解決することが可能となる。以下、実施例によ
り本発明を説明する。
【0019】
【実施例】実施例1 図2に示すような真空誘導溶解炉と遠心鋳造装置を組み
合わせた装置を準備した。図2において1は鋳型、2は
移動タンディッシュ、3は固定タンディッシュ、4は溶
解ルツボ、5は堰、7は2個のノズルである。使用した
鋼製鋳型の内径は450mmφであり、図3に鋳型の断
面図を示すように鋳型厚さ30mm、湯溜り部の幅85
mm、堰の高さ20mm、切欠部底部までの湯溜り底部
からの高さ(h)は15mmとした。鋳型1は回転機構
6(図2)により駆動回転される。溶湯41を溶解ルツ
ボ4から固定タンディッシュ3及び移動タンディッシュ
2を通してノズル7より鋳型1の湯溜り部10に注湯
し、鋳型内面にインゴットを生成させた。移動タンディ
ッシュ2は湯溜り部10に所定の厚さまで溶湯が鋳造さ
れたら、ノズル7が隣接する湯溜り部10の上部に位置
するよう順次移動させる。 図2のアルミナ製溶解ルツ
ボ4を用いて、アルゴンガス雰囲気中にて、鋳造後のイ
ンゴットの組成でSm25wt%、Fe16wt%、C
u5wt%、Zr3wt%、残部Coの組成となるよう
に各元素の溶解収率を考慮して原料を配合し、70kg
の溶湯を生成し、その後上述の方法で鋳造した。平均溶
湯堆積速度は0.23〜0.29cm/sであり、イン
ゴットの厚さは15mm〜18mmの範囲内であった。
鋳型比は1.8であった。
【0020】このインゴットの厚さ方向断面のSEMに
よる反射電子線像写真を図5に示す。Sm2 Co17合金
インゴットでは主に2−17相(反射電子線像でより黒
く見える相)の周囲を1−5相(反射電子線像でより白
く見える相)が網状に取り囲んだ組織となっている。こ
の組織は後述するように、従来法の箱形鋳型に鋳造され
たインゴットの組織と同等である。なお、偏光顕微鏡で
観察しSm2 Co17の結晶粒径を調べた結果、140〜
270μmの範囲内にあり、やはり従来法の箱形鋳型に
鋳造した時のインゴット組織と同等であることが分っ
た。得られたインゴットを粉砕して、常法により焼結磁
石を作製して磁気特性を評価した。その結果は表1に示
すように、従来法の箱形鋳型に鋳造したインゴットを粉
砕して作製した焼結磁石と同等の磁気特性であり、組成
から予想される十分な特性を得ることができた。さら
に、同じ鋳型を用いて100回繰り返し鋳造を行った結
果、鋳型の変形、溶損等は認められず、鋳型の耐久性が
極めて優れていることが確認できた。また、鋳型の組立
て、インゴット取り出しのための、鋳型の解体等の作業
を行う必要がないため、作業性が著しく改善された。
【0021】実施例2 実施例1と同様な装置を用いて、同じ組成の合金インゴ
ットを溶解規模を拡大して溶製した。すなわち、溶解量
は140kgとした。これに伴い、鋳型の内径は900
mmとしたが、湯溜り部の断面形状は実施例1と同じで
あった。平均溶湯堆積速度は0.30〜0.41cm/
sであり、インゴットの厚さは15mm〜19mmの範
囲内であった。得られたインゴットの厚さ方向断面のS
EMによる反射電子線像写真を図6に示す。溶解規模を
拡大したにもかかわらず、凝固冷却条件を同じに制御す
ることにより、図5に示す実施例1の組織と同等の組織
が得られた。また、Sm2 Co17の結晶粒径も135〜
280μmの範囲内であり、実施例1の場合とほとんど
同じであった。得られたインゴットを粉砕して、常法に
より焼結磁石を作製して磁気特性を評価した。その結果
は表1に示すように、組成から予想される十分な磁気特
性を得ることができた。また、同じ鋳型を用いて50回
繰り返し鋳造を行った結果、溶解規模を拡大したにもか
かわらず、鋳型の変形、溶損等は認められず、耐久性が
極めて優れていることが確認できた。また、鋳型の組立
て、インゴット取り出しのための、鋳型の解体等の作業
を行う必要がないため、作業性が著しく改善された。
【0022】比較例1 板厚が15mmの銅板をボルトにて箱型に組立てて鋳型
を製作した。鋳型キャビティの寸法は、間隙22mm、
長さ740mm、深さ520mmであった。さらに、鋳
型の背面には水冷ジャケットを取付けた。合金インゴッ
トの組成が実施例1と同じになるように配合した70k
gの原料をアルゴン雰囲気中でアルミナ坩堝内で高周波
溶解炉で溶解した。続いて溶湯をインゴットに鋳造し
た。得られたインゴットの厚さ方向断面のSEMによる
反射電子線像写真を図7に示す。偏光顕微鏡による観察
で求めたSm2 Co17の結晶粒径は150〜290μm
の範囲内であった。得られたインゴットを粉砕して常法
により焼結磁石を作製して磁気特性を評価した。その結
果は表1に示すように、組成から予想される十分な磁気
特性を得ることができた。しかし、10回程度鋳造した
だけでも鋳型の変形が目立つようになり、30回鋳造を
繰り返した時の、鋳型中央部の間隙は変形により使用開
始時の間隙より18mmも大きくなっており、また、周
囲固定部の隙間もあき始め湯洩れの危険性も懸念された
ため、プレス矯正による金型の修理が必要となった。ま
た、金型の組立て、解体作業が必要であり、変形によ
り、ボルト穴の位置がずれるため組立てにくくなり時間
が余計にかかり作業性も悪かった。
【0023】比較例2 溶解量を140kgに増量して比較例1と同様の溶解を
行った。溶解規模の拡大に伴って鋳型キャビティは間隙
が22mm、長さ1400mm、深さ560mmとし
た。偏光顕微鏡による観察で求めたSm2 Co17の結晶
粒径は75〜320μmの範囲内であり、インゴットの
場所によるバラツキが極めて大きかった。得られたイン
ゴットを粉砕して、常法により焼結磁石を作製して磁気
特性を評価した。その結果は表1に示すように、残留磁
化、保磁力ともに組成から予想されるよりも低く、不十
分な特性であった。また、5回繰り返し使用しただけ
で、変形が著しく、鋳型中央部の間隙は使用開始時の間
隙より24mmも大きくなっており、プレス矯正による
金型の修理が必要となった。
【0024】比較例3 図4に示すような前掲特開平9−111383号(特願
平7−293617号)における遠心鋳造装置を準備し
た。使用した鋼製円筒状回転鋳型の内径は500mmφ
であり、鋳型厚さは30mmである。合金インゴットの
組成が実施例1と同じになるように配合した70kgの
原料を、アルミナ製溶解ルツボを用いて、アルゴンガス
雰囲気中にて溶解し、続いて上記装置を用いて平均溶湯
堆積速度が0.02cm/sとなるようにして鋳造し
た。この鋳造法では、複数のノズルを有している往復動
タンディッシュ21を介して、鋳型内の全面に同時に溶
湯が注がれるため、平均溶湯堆積速度を小さく制御する
ことが可能であった。そのため、鋳型が1回転する間
に、注がれた溶湯は凝固が終了し、凝固層の上に次の溶
湯が凝固積層しながらインゴットが形成された。得られ
たインゴットの厚さは7mm〜10mmの範囲内であっ
た。このインゴットの厚さ方向断面のSEMによる反射
電子像組織を図8に示す。この図より、鋳造組織が非常
に細かくなっており、速い冷却速度に対応していること
が分かる。得られたインゴットを粉砕して、常法により
焼結磁石を作製して磁気特性を評価した。その結果は表
1に示すように、保磁力は増加したものの残留磁化は低
く、不十分な特性であった。
【0025】
【表1】 Br iHc (BH)max 結晶粒径 鋳型耐久性 (kG) (kOe) (MGOe) μm 及び作業性 実施例1 10.89 16.33 28.83 140〜270 ◎ 実施例2 10.84 16.20 28.75 135〜280 ◎ 比較例1 10.82 16.12 28.59 150〜290 △ 比較例2 10.30 15.23 26.89 75〜320 × 比較例3 10.28 17.25 27.06 50〜 95 ◎ 鋳型耐久性及び作業性: ◎最高、○良好、△不良、×最悪
【図面の簡単な説明】
【図1】 鋳型比の説明図である。
【図2】 本発明の実施例で使用した遠心鋳造装置であ
る。
【図3】 鋳型の断面図である。
【図4】 比較例3の遠心鋳型鋳造装置の概念図であ
る。
【図5】 実施例1のインゴット厚さ方向断面のSEM
による反射電子線像である。
【図6】 実施例2のインゴット厚さ方向断面のSEM
による反射電子線像である。
【図7】 比較例1のインゴット厚さ方向断面のSEM
による反射電子線像である。
【図8】 比較例3のインゴット厚さ方向断面のSEM
による反射電子線像である。
【符号の説明】
1 鋳型 2 移動タンディッシュ 3 固定タンディッシュ 4 溶解ルツボ 5 堰 6 回転駆動機構 7 ノズル 10 湯溜り部 21 往復動タンディッシュ 41 溶湯

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遠心鋳造鋳型の内面に2箇所以上の湯溜
    り部を形成する仕切りとなる環状の堰を形成した鋳型を
    回転させながら、前記湯溜り部上方に位置し、鋳型の回
    転軸方向に移動するノズルから希土類磁石用合金の溶湯
    を順次該湯溜り部に注湯することを特徴とする希土類磁
    石用合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記湯溜り部での平均溶湯堆積速度を
    0.1cm/秒以上として注湯することを特徴とする請
    求項1記載の希土類磁石用合金の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記環状の堰の上部横断方向に堰の高さ
    の1/2以下の深さの切欠部を設けた遠心鋳造鋳型を回
    転させながら、前記ノズルを複数の湯溜り部上方を移動
    させ、また隣合う湯溜りに溶湯を切欠部を経て流動させ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の希土類磁石用
    合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 Sm2 Co17系希土類磁石の製造に用い
    られるインゴットもしくはその破砕粉の形態を呈し、か
    つ主相のSm2 Co17の周囲にSm1 Co5がネットワ
    ーク状に存在し、主相のSm2 Co17の平均結晶粒径が
    100μm以上であることを特徴とする遠心鋳造法によ
    り鋳造された希土類磁石合金。
JP10112772A 1998-04-08 1998-04-08 希土類磁石用合金の製造方法及び遠心鋳造法により鋳造された希土類磁石用合金 Pending JPH11297519A (ja)

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