JPH1129876A - クロム酸化物被覆部品およびその製造方法 - Google Patents
クロム酸化物被覆部品およびその製造方法Info
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- JPH1129876A JPH1129876A JP18281097A JP18281097A JPH1129876A JP H1129876 A JPH1129876 A JP H1129876A JP 18281097 A JP18281097 A JP 18281097A JP 18281097 A JP18281097 A JP 18281097A JP H1129876 A JPH1129876 A JP H1129876A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】金属母材表面にクロム酸化物を主成分とする被
覆層を有する被覆部品について、その良好な耐摩耗性,
摺動特性,平滑性,耐食性,耐熱性,絶縁性,密着強度
などの特性を損うことなく極めて短時間に製造すること
が可能な安価なクロム酸化物被覆部品およびその製造方
法を提供する。 【解決手段】金属母材4表面にクロム酸化物を主成分と
する被覆層5が形成されているクロム酸化物被覆部品に
おいて、上記金属母材4表面の表面粗さが中心線平均粗
さ(Ra)基準で0.1〜0.3μmであるとともに、
上記クロム酸化物を主成分とする被覆層5の厚さが1〜
2μmであることを特徴とする。
覆層を有する被覆部品について、その良好な耐摩耗性,
摺動特性,平滑性,耐食性,耐熱性,絶縁性,密着強度
などの特性を損うことなく極めて短時間に製造すること
が可能な安価なクロム酸化物被覆部品およびその製造方
法を提供する。 【解決手段】金属母材4表面にクロム酸化物を主成分と
する被覆層5が形成されているクロム酸化物被覆部品に
おいて、上記金属母材4表面の表面粗さが中心線平均粗
さ(Ra)基準で0.1〜0.3μmであるとともに、
上記クロム酸化物を主成分とする被覆層5の厚さが1〜
2μmであることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属母材表面にクロ
ム酸化物を主成分とする被覆層を形成したクロム酸化物
被覆部品およびその製造方法に係り、特に良好な耐摩耗
性,耐食性,絶縁性などの諸特性を損うことなく極めて
短時間に製造することが可能な安価なクロム酸化物被覆
部品およびその製造方法に関する。
ム酸化物を主成分とする被覆層を形成したクロム酸化物
被覆部品およびその製造方法に係り、特に良好な耐摩耗
性,耐食性,絶縁性などの諸特性を損うことなく極めて
短時間に製造することが可能な安価なクロム酸化物被覆
部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】耐摩耗性や耐熱性に優れたセラミックス
材料を各種機械部品等に応用することが従来から試行さ
れている。しかしながら、セラミックス材料は本来的に
脆性を有し、衝撃力に対して信頼性が乏しいことから、
部品全体をセラミックス材料で形成した部品の用途は、
衝撃作用が少ない狭い用途に限定されている。
材料を各種機械部品等に応用することが従来から試行さ
れている。しかしながら、セラミックス材料は本来的に
脆性を有し、衝撃力に対して信頼性が乏しいことから、
部品全体をセラミックス材料で形成した部品の用途は、
衝撃作用が少ない狭い用途に限定されている。
【0003】そこで高い構造強度や靭性を有する金属母
材表面に、部品の使用用途に応じた耐摩耗性,耐食性な
どの特性を付与するためにセラミックス材料や別種の金
属材料から成る被覆層を形成し表面改質を行った被覆部
品が多くの分野で使用されている。例えば、ピストン,
バルブ,ロッカーアーム,プッシュロッドなどのエンジ
ン部品や自動車用部品においては、耐熱性,耐摩耗性,
断熱性を付与するために金属母材表面にSi3 N4 (窒
化けい素),Cr2 O3 (クロミア),ZrO2 (ジル
コニア),TiO2 (チタニア)などのセラミックス材
料から成る被覆層をコーティング処理等によって形成し
た被覆部品が採用される傾向にある。
材表面に、部品の使用用途に応じた耐摩耗性,耐食性な
どの特性を付与するためにセラミックス材料や別種の金
属材料から成る被覆層を形成し表面改質を行った被覆部
品が多くの分野で使用されている。例えば、ピストン,
バルブ,ロッカーアーム,プッシュロッドなどのエンジ
ン部品や自動車用部品においては、耐熱性,耐摩耗性,
断熱性を付与するために金属母材表面にSi3 N4 (窒
化けい素),Cr2 O3 (クロミア),ZrO2 (ジル
コニア),TiO2 (チタニア)などのセラミックス材
料から成る被覆層をコーティング処理等によって形成し
た被覆部品が採用される傾向にある。
【0004】また、ポンプのプランジャー、シリンダ
ー,スリーブ,インペラなどのポンプ部品、軸受スライ
ド部品においても、金属母材表面に各種セラミックス材
料から成る被覆層を形成した被覆部品が普及しつつあ
る。
ー,スリーブ,インペラなどのポンプ部品、軸受スライ
ド部品においても、金属母材表面に各種セラミックス材
料から成る被覆層を形成した被覆部品が普及しつつあ
る。
【0005】さらに繊維ガイド部品などの繊維取扱い部
品では、糸が高速度で摺動するため部品の摩耗が激しい
一方で、製糸時に酸やアルカリが糸に付着しており部品
が腐食され易い使用環境であるため、特に耐摩耗性,耐
食性が優れた硬質クロムめっき層を被覆層として形成し
た被覆部品が使用されている。
品では、糸が高速度で摺動するため部品の摩耗が激しい
一方で、製糸時に酸やアルカリが糸に付着しており部品
が腐食され易い使用環境であるため、特に耐摩耗性,耐
食性が優れた硬質クロムめっき層を被覆層として形成し
た被覆部品が使用されている。
【0006】上記各種材料から成る被覆層の中でも、特
にCr2 O3 などのクロム酸化物を主成分とする被覆層
は600〜1000℃程度までの高温度に耐える耐熱性
を有するとともに、熱衝撃サイクルを付加した場合でも
剥離を起こさないなどの優れた耐熱衝撃性と、各種薬品
化合物に対する優れた耐食性とを併せ持っているため、
広く採用されている。
にCr2 O3 などのクロム酸化物を主成分とする被覆層
は600〜1000℃程度までの高温度に耐える耐熱性
を有するとともに、熱衝撃サイクルを付加した場合でも
剥離を起こさないなどの優れた耐熱衝撃性と、各種薬品
化合物に対する優れた耐食性とを併せ持っているため、
広く採用されている。
【0007】上記のようなクロム酸化物を主成分とする
被覆層を形成した従来の被覆部品は、例えば以下のよう
な処理手順で製造されていた。すなわち、所定形状に成
形した金属母材を低濃度のクロム酸(CrO3 )水溶液
中に浸漬したり、または金属母材表面に上記クロム酸水
溶液を塗布する工程と、このクロム水溶液を塗布した金
属母材を温度500〜600℃で10分〜1時間加熱し
て焼成する工程とを15〜20回程度に亘って繰り返す
ことによってクロム酸化物(Cr2 O3 )などから成る
厚さ3〜5μm程度の被覆層を有する被覆部品が製造さ
れる。
被覆層を形成した従来の被覆部品は、例えば以下のよう
な処理手順で製造されていた。すなわち、所定形状に成
形した金属母材を低濃度のクロム酸(CrO3 )水溶液
中に浸漬したり、または金属母材表面に上記クロム酸水
溶液を塗布する工程と、このクロム水溶液を塗布した金
属母材を温度500〜600℃で10分〜1時間加熱し
て焼成する工程とを15〜20回程度に亘って繰り返す
ことによってクロム酸化物(Cr2 O3 )などから成る
厚さ3〜5μm程度の被覆層を有する被覆部品が製造さ
れる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなクロム酸化物を主成分とする被覆層を形成した従
来のクロム酸化物被覆部品においては、金属母材の表面
粗さの影響については考慮されておらず、概して粗い表
面状態のままで被覆層が成形されていたため、被覆層形
成後においても部品表面の平滑性が悪く摺動特性が不良
となったり、耐摩耗性が不十分になる問題点があった。
また、金属母材と被覆層との密着強度が低くいため、被
覆層の剥離が生じ易く被覆部品としての耐久性が劣る欠
点もあった。
ようなクロム酸化物を主成分とする被覆層を形成した従
来のクロム酸化物被覆部品においては、金属母材の表面
粗さの影響については考慮されておらず、概して粗い表
面状態のままで被覆層が成形されていたため、被覆層形
成後においても部品表面の平滑性が悪く摺動特性が不良
となったり、耐摩耗性が不十分になる問題点があった。
また、金属母材と被覆層との密着強度が低くいため、被
覆層の剥離が生じ易く被覆部品としての耐久性が劣る欠
点もあった。
【0009】さらに上記金属母材の表面状態の影響を緩
和するために被覆層を3〜10μmと厚く形成する必要
があった。加えて、上記被覆層を形成するための原料ク
ロム酸水溶液としては、常温常圧条件下で調製した比較
的に低濃度のクロム酸水溶液を使用していたため、この
水溶液の1回の塗布・焼成操作によって形成できる被覆
層の厚さは極めて小さい。したがって、厚さが3〜10
μmと厚い被覆層を有する被覆部品を製造するために
は、上記クロム酸水溶液を金属母材に塗布・焼成する操
作を15〜20回と多数回繰り返して製造されていた。
そのため、被覆部品の製造工数が膨大になり、製造原価
が大幅に増加する問題点があった。
和するために被覆層を3〜10μmと厚く形成する必要
があった。加えて、上記被覆層を形成するための原料ク
ロム酸水溶液としては、常温常圧条件下で調製した比較
的に低濃度のクロム酸水溶液を使用していたため、この
水溶液の1回の塗布・焼成操作によって形成できる被覆
層の厚さは極めて小さい。したがって、厚さが3〜10
μmと厚い被覆層を有する被覆部品を製造するために
は、上記クロム酸水溶液を金属母材に塗布・焼成する操
作を15〜20回と多数回繰り返して製造されていた。
そのため、被覆部品の製造工数が膨大になり、製造原価
が大幅に増加する問題点があった。
【0010】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、金属母材表面にクロム酸化物を主成分
とする被覆層を有する被覆部品について、その良好な耐
摩耗性,摺動特性,平滑性,耐食性,耐熱性,絶縁性,
密着強度などの特性を損うことなく極めて短時間に製造
することが可能な安価なクロム酸化物被覆部品およびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
れたものであり、金属母材表面にクロム酸化物を主成分
とする被覆層を有する被覆部品について、その良好な耐
摩耗性,摺動特性,平滑性,耐食性,耐熱性,絶縁性,
密着強度などの特性を損うことなく極めて短時間に製造
することが可能な安価なクロム酸化物被覆部品およびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本願発明者らは、特に金属母材の表面粗さや被覆層の厚
さが被覆部品の諸特性に及ぼす影響について実験により
比較調査した。その結果、特に金属母材の表面粗さを所
定の範囲に規定したときに、耐摩耗性などの特性を損う
ことなく、極めて短時間に被覆部品を製造できるという
知見を得た。すなわち、金属母材の表面粗さを中心線平
均粗さ(Ra)基準で0.1〜0.3μmと正確に制御
することにより、クロム酸化物を主体とする被覆層の厚
さを1〜2μmと極めて薄くした場合においても表面の
摺動特性,耐摩耗性,平滑性および被覆層の密着強度な
どの特性が低下しないクロム酸化物被覆部品が初めて得
られるという知見を得た。
本願発明者らは、特に金属母材の表面粗さや被覆層の厚
さが被覆部品の諸特性に及ぼす影響について実験により
比較調査した。その結果、特に金属母材の表面粗さを所
定の範囲に規定したときに、耐摩耗性などの特性を損う
ことなく、極めて短時間に被覆部品を製造できるという
知見を得た。すなわち、金属母材の表面粗さを中心線平
均粗さ(Ra)基準で0.1〜0.3μmと正確に制御
することにより、クロム酸化物を主体とする被覆層の厚
さを1〜2μmと極めて薄くした場合においても表面の
摺動特性,耐摩耗性,平滑性および被覆層の密着強度な
どの特性が低下しないクロム酸化物被覆部品が初めて得
られるという知見を得た。
【0012】また、被覆層の原料となるクロム酸水溶液
として、特に常温常圧下におけるクロム酸飽和水溶液よ
り高いクロム酸濃度を有するクロム酸水溶液を使用する
ことにより、クロム酸水溶液の1回あたりの塗布・焼成
によって形成されるクロム酸化物被覆層の厚さを大幅に
増加させることが可能となり、所定厚さの被覆層を形成
するために必要な塗布・焼成の繰返し回数を3回以下に
低減できることが判明した。
として、特に常温常圧下におけるクロム酸飽和水溶液よ
り高いクロム酸濃度を有するクロム酸水溶液を使用する
ことにより、クロム酸水溶液の1回あたりの塗布・焼成
によって形成されるクロム酸化物被覆層の厚さを大幅に
増加させることが可能となり、所定厚さの被覆層を形成
するために必要な塗布・焼成の繰返し回数を3回以下に
低減できることが判明した。
【0013】また上記のような高濃度のクロム酸水溶液
を金属母材表面に塗布・焼成した場合においても、耐摩
耗性などの特性が優れた被覆部品が効率的に得られると
いう知見を得た。本発明は上記知見に基づいて完成され
たものである。
を金属母材表面に塗布・焼成した場合においても、耐摩
耗性などの特性が優れた被覆部品が効率的に得られると
いう知見を得た。本発明は上記知見に基づいて完成され
たものである。
【0014】すなわち、本発明に係るクロム酸化物被覆
部品は、金属母材表面にクロム酸化物を主成分とする被
覆層が形成されているクロム酸化物被覆部品において、
上記金属母材表面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)
基準で0.1〜0.3μmであるとともに、上記クロム
酸化物を主成分とする被覆層の厚さが1〜2μmである
ことを特徴する。
部品は、金属母材表面にクロム酸化物を主成分とする被
覆層が形成されているクロム酸化物被覆部品において、
上記金属母材表面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)
基準で0.1〜0.3μmであるとともに、上記クロム
酸化物を主成分とする被覆層の厚さが1〜2μmである
ことを特徴する。
【0015】また、上記クロム酸化物被覆部品は繊維取
扱い部品として好適である。
扱い部品として好適である。
【0016】さらに、本発明に係るクロム酸化物被覆部
品の製造方法は、金属母材の表面粗さが中心線平均粗さ
(Ra)基準で0.1〜0.3μmとなるように研磨調
整した後に、上記金属母材の表面にクロム酸水溶液を塗
布する工程とクロム酸水溶液を塗布した金属母材を焼成
する工程とを複数回繰り返すことにより、クロム酸化物
を主成分とする厚さ1〜2μmの被覆層を形成すること
を特徴とする。
品の製造方法は、金属母材の表面粗さが中心線平均粗さ
(Ra)基準で0.1〜0.3μmとなるように研磨調
整した後に、上記金属母材の表面にクロム酸水溶液を塗
布する工程とクロム酸水溶液を塗布した金属母材を焼成
する工程とを複数回繰り返すことにより、クロム酸化物
を主成分とする厚さ1〜2μmの被覆層を形成すること
を特徴とする。
【0017】さらに上記クロム酸化水溶液が、常温,常
圧下におけるクロム酸飽和水溶液より高いクロム酸濃度
を有することが好ましい。特に、クロム酸化水溶液が、
40℃常圧下におけるクロム酸飽和水溶液より高いクロ
ム酸濃度を有することが、さらに好ましい。
圧下におけるクロム酸飽和水溶液より高いクロム酸濃度
を有することが好ましい。特に、クロム酸化水溶液が、
40℃常圧下におけるクロム酸飽和水溶液より高いクロ
ム酸濃度を有することが、さらに好ましい。
【0018】そして、上記のような高濃度のクロム酸水
溶液を使用することにより、所定厚さの被覆層を形成す
る工程で、金属母材の表面にクロム酸水溶液を塗布する
工程とクロム酸水溶液を塗布した金属母材を焼成する工
程との繰返し回数を3回以下に低減することができる。
溶液を使用することにより、所定厚さの被覆層を形成す
る工程で、金属母材の表面にクロム酸水溶液を塗布する
工程とクロム酸水溶液を塗布した金属母材を焼成する工
程との繰返し回数を3回以下に低減することができる。
【0019】ここで上記金属母材としては、特に限定さ
れず、汎用の構造用鋼材やステンレス鋼などの耐食耐熱
鋼や各種鉄系合金,炭素鋼,チタン合金,アルミニウム
合金,インコネル等が使用できる。また金属母材の形状
は部品の用途に対応して決定される。
れず、汎用の構造用鋼材やステンレス鋼などの耐食耐熱
鋼や各種鉄系合金,炭素鋼,チタン合金,アルミニウム
合金,インコネル等が使用できる。また金属母材の形状
は部品の用途に対応して決定される。
【0020】また上記クロム酸化物は、平均粒径が0.
1〜1.0μmの酸化第二クロム(Cr2 O3 )微粒子
である。このクロム酸化物を主成分とする被覆層は深い
暗緑色を呈している。
1〜1.0μmの酸化第二クロム(Cr2 O3 )微粒子
である。このクロム酸化物を主成分とする被覆層は深い
暗緑色を呈している。
【0021】さらに被覆層を構成するクロム酸化物の平
均粒径は上記のように0.1〜1.0μmと微細である
ため、被覆層は、表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)基
準で0.1〜0.3μmの範囲である金属母材表面に形
成することが好ましい。具体的には、被覆層を形成する
前に、金属母材表面を研磨後にバレル処理やバフ仕上げ
を行うことによりRa基準で0.1〜0.3μmとなる
ように調整し、この後に被覆層を形成する。このように
金属母材表面をRa基準で0.1〜0.3μmの範囲に
調整することにより、被覆層の厚さが1〜2μmと薄い
場合でも、摺動特性や耐摩耗性が良好であり、また被覆
層との接合強度を高めると同時に、被覆層形成後のクロ
ム酸化物被覆部品の表面粗さをも低減し、平滑性を改善
することができる。但し、Ra基準での表面粗さが0.
3μmを超えると被覆層を均一に形成しにくくなるた
め、0.3μm以下であることが好ましい。
均粒径は上記のように0.1〜1.0μmと微細である
ため、被覆層は、表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)基
準で0.1〜0.3μmの範囲である金属母材表面に形
成することが好ましい。具体的には、被覆層を形成する
前に、金属母材表面を研磨後にバレル処理やバフ仕上げ
を行うことによりRa基準で0.1〜0.3μmとなる
ように調整し、この後に被覆層を形成する。このように
金属母材表面をRa基準で0.1〜0.3μmの範囲に
調整することにより、被覆層の厚さが1〜2μmと薄い
場合でも、摺動特性や耐摩耗性が良好であり、また被覆
層との接合強度を高めると同時に、被覆層形成後のクロ
ム酸化物被覆部品の表面粗さをも低減し、平滑性を改善
することができる。但し、Ra基準での表面粗さが0.
3μmを超えると被覆層を均一に形成しにくくなるた
め、0.3μm以下であることが好ましい。
【0022】ここで詳細には、金属母材が鉄系金属であ
る場合、金属母材とクロム酸化物を主成分とする被覆層
との間に、鉄化合物とクロム酸化物との反応層を形成す
ることが好ましい。この反応層の形成により、クロム酸
化物を主成分とする被覆層と金属母材との接合強度をさ
らに強固なものとすることができる。なお、本発明での
“金属母材表面にクロム酸化物を主成分とする被覆層が
形成されている”とは、この反応層を介して形成されて
いても本発明の範囲内であることは言うまでもない。ま
た金属母材表面には、界面が明確か否かは別として実質
的には上記反応層と、クロム酸化物を主成分とする被覆
層との二層の被覆層が形成されていることになる。
る場合、金属母材とクロム酸化物を主成分とする被覆層
との間に、鉄化合物とクロム酸化物との反応層を形成す
ることが好ましい。この反応層の形成により、クロム酸
化物を主成分とする被覆層と金属母材との接合強度をさ
らに強固なものとすることができる。なお、本発明での
“金属母材表面にクロム酸化物を主成分とする被覆層が
形成されている”とは、この反応層を介して形成されて
いても本発明の範囲内であることは言うまでもない。ま
た金属母材表面には、界面が明確か否かは別として実質
的には上記反応層と、クロム酸化物を主成分とする被覆
層との二層の被覆層が形成されていることになる。
【0023】また、上記クロム酸化物を主成分とする被
覆層は、例えば以下のような手順で形成することができ
る。すなわち、まず、濃度50〜90重量%のクロム酸
(CrO3 )水溶液を調製する。このクロム酸水溶液と
しては、常温,常圧下におけるクロム酸飽和水溶液より
高いクロム酸濃度、特に、40℃常圧下におけるクロム
酸飽和水溶液より高いクロム酸濃度を有する高濃度のク
ロム酸水溶液を使用することが好ましい。
覆層は、例えば以下のような手順で形成することができ
る。すなわち、まず、濃度50〜90重量%のクロム酸
(CrO3 )水溶液を調製する。このクロム酸水溶液と
しては、常温,常圧下におけるクロム酸飽和水溶液より
高いクロム酸濃度、特に、40℃常圧下におけるクロム
酸飽和水溶液より高いクロム酸濃度を有する高濃度のク
ロム酸水溶液を使用することが好ましい。
【0024】すなわち、常圧で温度40℃における飽和
クロム酸濃度は、常温(25℃)常圧下における飽和ク
ロム酸濃度と比較して1.5倍以上となる。そして、こ
のような高濃度のクロム酸水溶液を使用することによ
り、1回のクロム酸水溶液の塗布・焼成操作によって形
成されるクロム酸化物被覆層の厚さを大きくすることが
可能になる。そのために、所定厚さのクロム酸化物被覆
層を形成するために必要とされるクロム酸水溶液の塗布
・焼成操作の繰返し回数を大幅に低減することが可能に
なる。
クロム酸濃度は、常温(25℃)常圧下における飽和ク
ロム酸濃度と比較して1.5倍以上となる。そして、こ
のような高濃度のクロム酸水溶液を使用することによ
り、1回のクロム酸水溶液の塗布・焼成操作によって形
成されるクロム酸化物被覆層の厚さを大きくすることが
可能になる。そのために、所定厚さのクロム酸化物被覆
層を形成するために必要とされるクロム酸水溶液の塗布
・焼成操作の繰返し回数を大幅に低減することが可能に
なる。
【0025】ちなみに上記のような高濃度のクロム酸水
溶液を使用して本願発明で規定する厚さの被覆層を形成
する場合においては、金属母材の表面にクロム酸水溶液
を塗布する工程とクロム酸水溶液を塗布した金属母材を
焼成する工程との繰返し回数を3回以下に低減でき、被
覆部品の製造工数(製造コスト)を大幅に低減すること
ができる。
溶液を使用して本願発明で規定する厚さの被覆層を形成
する場合においては、金属母材の表面にクロム酸水溶液
を塗布する工程とクロム酸水溶液を塗布した金属母材を
焼成する工程との繰返し回数を3回以下に低減でき、被
覆部品の製造工数(製造コスト)を大幅に低減すること
ができる。
【0026】次に上記のように調製したクロム酸(Cr
O3 )水溶液を予め表面粗さを調整した鉄系金属等の金
属母材表面に塗布したり、浸漬したりすることによって
金属母材表面にクロム酸水溶液を付着または含浸させ
る。次に400〜600℃程度の低温度で加熱焼成する
ことにより水分が蒸発すると同時に、酸化クロムと金属
母材の表層とが化学反応して生成した反応層が形成さ
れ、また平均粒径が0.1〜1.0μmの微粒子からな
るクロム酸化物(酸化第二クロム:Cr2 O3 )を主成
分とする被覆層が形成される。上記付着含浸操作と加熱
焼成操作とを複数回繰り返すことにより所定厚さの被覆
層が形成され、表面部が緻密で平滑な被覆層を有するク
ロム酸化物被覆部品が得られる。
O3 )水溶液を予め表面粗さを調整した鉄系金属等の金
属母材表面に塗布したり、浸漬したりすることによって
金属母材表面にクロム酸水溶液を付着または含浸させ
る。次に400〜600℃程度の低温度で加熱焼成する
ことにより水分が蒸発すると同時に、酸化クロムと金属
母材の表層とが化学反応して生成した反応層が形成さ
れ、また平均粒径が0.1〜1.0μmの微粒子からな
るクロム酸化物(酸化第二クロム:Cr2 O3 )を主成
分とする被覆層が形成される。上記付着含浸操作と加熱
焼成操作とを複数回繰り返すことにより所定厚さの被覆
層が形成され、表面部が緻密で平滑な被覆層を有するク
ロム酸化物被覆部品が得られる。
【0027】上記被覆層の厚さが1μm未満では、耐摩
耗性,摺動特性,平滑性,接合強度を向上させる効果に
乏しく、一方2μmを超えるとクロム酸水溶液の塗布・
含浸操作およびその焼成操作の繰返し回数が多くなり、
被覆部品の製造工数が急激に増大するため経済的ではな
い。
耗性,摺動特性,平滑性,接合強度を向上させる効果に
乏しく、一方2μmを超えるとクロム酸水溶液の塗布・
含浸操作およびその焼成操作の繰返し回数が多くなり、
被覆部品の製造工数が急激に増大するため経済的ではな
い。
【0028】なお、上記クロム酸水溶液の塗布・含浸操
作および焼結操作が1回のみである場合には被覆層内に
微小な気孔が残存し易いため、通常は上記水溶液の塗布
・含浸操作および焼成操作を複数回繰り返すとよい。被
覆層の厚さは上記塗布・含浸操作および焼成操作の繰り
返し回数を制御することによって調整できる。
作および焼結操作が1回のみである場合には被覆層内に
微小な気孔が残存し易いため、通常は上記水溶液の塗布
・含浸操作および焼成操作を複数回繰り返すとよい。被
覆層の厚さは上記塗布・含浸操作および焼成操作の繰り
返し回数を制御することによって調整できる。
【0029】上記のように形成した被覆層は、金属母材
に対して高い接合強度を有し、高硬度,無気孔で耐摩耗
性,低摩擦性(摺動特性),耐熱性,平滑性,耐食性,
絶縁性などに優れている。ちなみにステンレス鋼を金属
母材とした場合の表面硬さは、1500〜2000Hv
(0.1)と高く、超硬合金と同程度の硬度が得られ
る。
に対して高い接合強度を有し、高硬度,無気孔で耐摩耗
性,低摩擦性(摺動特性),耐熱性,平滑性,耐食性,
絶縁性などに優れている。ちなみにステンレス鋼を金属
母材とした場合の表面硬さは、1500〜2000Hv
(0.1)と高く、超硬合金と同程度の硬度が得られ
る。
【0030】また特に鉄系の金属母材を使用した場合に
は、被覆層と金属母材との境界に、酸化クロムと金属
(鉄)とが化学反応して反応層が生成され、この反応層
の存在によって両者の接合強度が700kgf/cm2 (68
MPa)以上となる。
は、被覆層と金属母材との境界に、酸化クロムと金属
(鉄)とが化学反応して反応層が生成され、この反応層
の存在によって両者の接合強度が700kgf/cm2 (68
MPa)以上となる。
【0031】さらに被覆層を構成するクロム酸化物(C
r2 O3 )微粒子の平均粒径が0.1〜0.5μm程度
と超微細であるため、固体潤滑剤としての作用が強い。
そのため、部品表面の摩擦係数が小さくなり摺動特性を
高める効果も顕著である。特に水溶液から析出させて被
覆層を形成しているため、構成粒子が超微細であり、従
来の溶射法よって形成した多孔質セラミックス被膜と異
なり耐食性や耐摩耗性が不足することはない。
r2 O3 )微粒子の平均粒径が0.1〜0.5μm程度
と超微細であるため、固体潤滑剤としての作用が強い。
そのため、部品表面の摩擦係数が小さくなり摺動特性を
高める効果も顕著である。特に水溶液から析出させて被
覆層を形成しているため、構成粒子が超微細であり、従
来の溶射法よって形成した多孔質セラミックス被膜と異
なり耐食性や耐摩耗性が不足することはない。
【0032】また被覆層全体が緻密に形成されるため耐
熱性および耐熱衝撃性に優れ、繰り返しの熱サイクルが
クロム酸化物被覆部品に作用した場合においても、被覆
層の剥離を引き起こすことが少なく、剥離による発塵も
少ない。
熱性および耐熱衝撃性に優れ、繰り返しの熱サイクルが
クロム酸化物被覆部品に作用した場合においても、被覆
層の剥離を引き起こすことが少なく、剥離による発塵も
少ない。
【0033】さらに被覆層は、硫酸などの酸性溶液、ア
ンモニア水などの塩基性溶液およびアルコール,アセト
ン,ガソリンなどの有機溶剤に対しても優れた耐食性を
有しており、過酷な雰囲気下においても優れた耐久性を
有している。本発明に係るクロム酸化物被覆部品は、化
学薬品等が付着した繊維と長期間に亘って摺接するヘル
ドなどの繊維取扱い部品に適用した場合に優れた耐久性
を発揮する。
ンモニア水などの塩基性溶液およびアルコール,アセト
ン,ガソリンなどの有機溶剤に対しても優れた耐食性を
有しており、過酷な雰囲気下においても優れた耐久性を
有している。本発明に係るクロム酸化物被覆部品は、化
学薬品等が付着した繊維と長期間に亘って摺接するヘル
ドなどの繊維取扱い部品に適用した場合に優れた耐久性
を発揮する。
【0034】また、被覆層を形成することにより、金属
母材の機能を大幅に高めることができ、このクロム酸化
物被覆部品を、特にダイボンダ装置の吸着筒やワイヤー
ボンディング装置のリードフレーム押え等の半導体部品
固定治具の構成材として使用した場合においても優れた
効果が発揮される。
母材の機能を大幅に高めることができ、このクロム酸化
物被覆部品を、特にダイボンダ装置の吸着筒やワイヤー
ボンディング装置のリードフレーム押え等の半導体部品
固定治具の構成材として使用した場合においても優れた
効果が発揮される。
【0035】また被覆層は暗緑色を呈しているため、こ
のクロム酸化物被覆部品を、例えばダイボンダ装置の吸
着筒として使用した場合には、半導体素子と、その背景
部となる吸着筒とのコントラストが高くなり、TVカメ
ラなどのモニタ装置によって半導体素子の形状および位
置が明瞭に認識される。したがって、モニタ装置による
半導体素子の認識ミスが減少し、半導体部品を高い精度
で組み立てることができる。
のクロム酸化物被覆部品を、例えばダイボンダ装置の吸
着筒として使用した場合には、半導体素子と、その背景
部となる吸着筒とのコントラストが高くなり、TVカメ
ラなどのモニタ装置によって半導体素子の形状および位
置が明瞭に認識される。したがって、モニタ装置による
半導体素子の認識ミスが減少し、半導体部品を高い精度
で組み立てることができる。
【0036】上記構成に係るクロム酸化物被覆部品によ
れば、金属母材の表面粗さを中心線平均粗さ(Ra)基
準で0.1〜0.3μmに調整しているため、クロム酸
化物を主体とする被覆層の厚さを1〜2μmと極めて薄
くした場合においても表面の摺動特性,耐摩耗性,平滑
性および被覆層の密着強度などの特性が低下しないクロ
ム酸化物被覆部品が短時間で得られる。
れば、金属母材の表面粗さを中心線平均粗さ(Ra)基
準で0.1〜0.3μmに調整しているため、クロム酸
化物を主体とする被覆層の厚さを1〜2μmと極めて薄
くした場合においても表面の摺動特性,耐摩耗性,平滑
性および被覆層の密着強度などの特性が低下しないクロ
ム酸化物被覆部品が短時間で得られる。
【0037】また、被覆層の原料となるクロム酸水溶液
として、特に常温常圧下におけるクロム酸飽和水溶液よ
り高いクロム酸濃度を有するクロム酸水溶液を使用する
ことにより、クロム酸水溶液の1回あたりの塗布・焼成
によって形成されるクロム酸化物被覆層の厚さを大幅に
増加させることが可能となり、所定厚さの被覆層を形成
するために必要な塗布・焼成の繰返し回数を3回以下に
低減でき、被覆部品の製造工数が大幅に低減され、製造
コストが低い安価な被覆部品を量産することができる。
として、特に常温常圧下におけるクロム酸飽和水溶液よ
り高いクロム酸濃度を有するクロム酸水溶液を使用する
ことにより、クロム酸水溶液の1回あたりの塗布・焼成
によって形成されるクロム酸化物被覆層の厚さを大幅に
増加させることが可能となり、所定厚さの被覆層を形成
するために必要な塗布・焼成の繰返し回数を3回以下に
低減でき、被覆部品の製造工数が大幅に低減され、製造
コストが低い安価な被覆部品を量産することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】次に本発明に係るクロム酸化物被
覆部品の実施形態について添付図面を参照して説明す
る。特にクロム酸化物被覆部品を織機に用いるヘルドに
適用した実施例について説明する。
覆部品の実施形態について添付図面を参照して説明す
る。特にクロム酸化物被覆部品を織機に用いるヘルドに
適用した実施例について説明する。
【0039】ここで織機に用いるヘルド1は、一般に図
1に示すように中央部に経糸(たて糸)を挿通するため
の通称目孔と呼ばれる糸挿通孔2を設ける一方、両端部
には枠体を取り付けるヘルドバーを挿通するための取付
孔3,3をそれぞれ設けて構成される。
1に示すように中央部に経糸(たて糸)を挿通するため
の通称目孔と呼ばれる糸挿通孔2を設ける一方、両端部
には枠体を取り付けるヘルドバーを挿通するための取付
孔3,3をそれぞれ設けて構成される。
【0040】そして上記ヘルド1はフレームに対して多
数平行に並べてヘルドバーを介して取り付けられ、上記
フレームの上下動によりヘルド1を一体に動作して前記
糸挿通孔2に通した経糸に上下振動を与える。この時、
ヘルド1の両端部に設けた取付孔3,3が金属製のヘル
ドバーと摺接する一方、中央部に設けた糸挿通孔2が経
糸と摺接する。このため、ヘルド1の取付孔3,3部は
ヘルドバーとの摩擦によって著しく摩耗し、ついては破
断してしまい、ヘルドバーからヘルドが脱落することも
ある。
数平行に並べてヘルドバーを介して取り付けられ、上記
フレームの上下動によりヘルド1を一体に動作して前記
糸挿通孔2に通した経糸に上下振動を与える。この時、
ヘルド1の両端部に設けた取付孔3,3が金属製のヘル
ドバーと摺接する一方、中央部に設けた糸挿通孔2が経
糸と摺接する。このため、ヘルド1の取付孔3,3部は
ヘルドバーとの摩擦によって著しく摩耗し、ついては破
断してしまい、ヘルドバーからヘルドが脱落することも
ある。
【0041】また、ヘルド1の糸挿通部2部は、ここを
通る経糸との摩擦により表面に傷がつき、この傷によっ
てたて糸に“けば立ち”が発生して織布の風合いを低下
させる場合もある。さらに、ヘルド1の表面には、よこ
糸を動かすために採用されているウォータジェット方式
に用いる水の飛沫が付着し、この水に含まれる異物がヘ
ルド1を構成する金属材と反応してヘルド表面に異物層
として付着し易い。そして、この異物層は異物の付着の
増大により厚肉となり、隣接する他のヘルドの異物層と
接触し、ヘルドの動作を阻害する原因となっていた。
通る経糸との摩擦により表面に傷がつき、この傷によっ
てたて糸に“けば立ち”が発生して織布の風合いを低下
させる場合もある。さらに、ヘルド1の表面には、よこ
糸を動かすために採用されているウォータジェット方式
に用いる水の飛沫が付着し、この水に含まれる異物がヘ
ルド1を構成する金属材と反応してヘルド表面に異物層
として付着し易い。そして、この異物層は異物の付着の
増大により厚肉となり、隣接する他のヘルドの異物層と
接触し、ヘルドの動作を阻害する原因となっていた。
【0042】そこで、従来は鉄系金属母材表面に、めっ
き法,PVD(物理蒸着)法,CVD(化学蒸着)法,
溶射法などを利用して被覆層を一体に形成したヘルドが
多用されていたが、耐久性や製造コストにおいて十分に
満足できるものは得られていなかった。
き法,PVD(物理蒸着)法,CVD(化学蒸着)法,
溶射法などを利用して被覆層を一体に形成したヘルドが
多用されていたが、耐久性や製造コストにおいて十分に
満足できるものは得られていなかった。
【0043】本発明に係るクロム酸化物被覆部品をヘル
ドに応用した例を以下の実施例について具体的に説明す
る。
ドに応用した例を以下の実施例について具体的に説明す
る。
【0044】実施例1〜6 所定量のクロム酸(CrO3 )を秤量し、水に配合した
後に撹拌溶解処理を実施し、それぞれ表1に示す濃度を
有するクロム酸水溶液をそれぞれ調製した。
後に撹拌溶解処理を実施し、それぞれ表1に示す濃度を
有するクロム酸水溶液をそれぞれ調製した。
【0045】一方、図1に示すような、長302mm,幅
2mm,厚さ0.3mmのステンレス鋼を金属母材とするヘ
ルド本体を多数用意し、ヘルド本体表面を研磨加工した
後にバフ仕上げ加工を行い表面粗さを表1に示すように
調整した。次にヘルド本体表面に浸漬法により、前記の
各クロム酸水溶液を付着せしめた後に、温度550℃で
焼成を行った。そして上記クロム酸水溶液の付着工程お
よび焼成工程を1サイクルとする付着・焼成処理を表1
に示す回数だけ実施することにより、表1に示す厚さを
有する被覆層を一体に形成し、それぞれ実施例1〜6に
係るクロム酸化物被覆部品としてのヘルドを製造した。
2mm,厚さ0.3mmのステンレス鋼を金属母材とするヘ
ルド本体を多数用意し、ヘルド本体表面を研磨加工した
後にバフ仕上げ加工を行い表面粗さを表1に示すように
調整した。次にヘルド本体表面に浸漬法により、前記の
各クロム酸水溶液を付着せしめた後に、温度550℃で
焼成を行った。そして上記クロム酸水溶液の付着工程お
よび焼成工程を1サイクルとする付着・焼成処理を表1
に示す回数だけ実施することにより、表1に示す厚さを
有する被覆層を一体に形成し、それぞれ実施例1〜6に
係るクロム酸化物被覆部品としてのヘルドを製造した。
【0046】各実施例に係るヘルド1の表面部は、図2
に示すように金属母材4表面に被覆層5が一体に形成さ
れて成り、被覆層5は平均粒径が0.1〜0.5μmと
微細な酸化クロム(Cr2 O3 )粒子から成るクロム酸
化物層6と、酸化クロムと金属母材4の鉄成分とが化学
反応して生成した反応層7とから構成されていた。
に示すように金属母材4表面に被覆層5が一体に形成さ
れて成り、被覆層5は平均粒径が0.1〜0.5μmと
微細な酸化クロム(Cr2 O3 )粒子から成るクロム酸
化物層6と、酸化クロムと金属母材4の鉄成分とが化学
反応して生成した反応層7とから構成されていた。
【0047】比較例1 一方、ヘルド本体の表面粗さを従来のように中心線平均
粗さ(Ra)基準で3μmと粗大にする一方、低濃度の
クロム酸水溶液を使用して塗布・焼成処理を表1に示す
ように多数回繰り返して厚い被覆層を形成した点以外
は、前記実施例1〜6と同一条件でスラリーの付着・焼
成処理を繰り返すことにより、比較例1に係るヘルドを
調製した。
粗さ(Ra)基準で3μmと粗大にする一方、低濃度の
クロム酸水溶液を使用して塗布・焼成処理を表1に示す
ように多数回繰り返して厚い被覆層を形成した点以外
は、前記実施例1〜6と同一条件でスラリーの付着・焼
成処理を繰り返すことにより、比較例1に係るヘルドを
調製した。
【0048】比較例2〜5 また、ステンレス鋼を金属母材とするヘルド本体表面
に、表1に示す厚さを有するCrめっき層(比較例
2),Niめっき層(比較例3),Zrめっき層(比較
例4),およびZnめっき層(比較例5)をそれぞれ形
成することにより、比較例2〜5に係る被覆部品として
のヘルドを調製した。
に、表1に示す厚さを有するCrめっき層(比較例
2),Niめっき層(比較例3),Zrめっき層(比較
例4),およびZnめっき層(比較例5)をそれぞれ形
成することにより、比較例2〜5に係る被覆部品として
のヘルドを調製した。
【0049】こうして調製した各実施例および比較例の
各ヘルドについて、その被覆層の接合強度(ピール強
度)を測定するとともに、これらのヘルドの取付孔にヘ
ルドバーを通して枠体に取り付け、この枠体を実際に織
機に装着し、織機を延べ2000時間運転した後におけ
る各ヘルドの孔部の摩耗量を測定した。また、上記運転
時間中にヘルドの摩耗によって発生した織布の不良発生
率を測定した。また各ヘルドについて被覆層の構成材の
準備段階から被覆層を一体に形成する完成段階までに要
する製造工数を測定して、下記表1に示す結果を得た。
なお上記製造工数は比較例1の場合を基準値(100)
として相対的に表示した。
各ヘルドについて、その被覆層の接合強度(ピール強
度)を測定するとともに、これらのヘルドの取付孔にヘ
ルドバーを通して枠体に取り付け、この枠体を実際に織
機に装着し、織機を延べ2000時間運転した後におけ
る各ヘルドの孔部の摩耗量を測定した。また、上記運転
時間中にヘルドの摩耗によって発生した織布の不良発生
率を測定した。また各ヘルドについて被覆層の構成材の
準備段階から被覆層を一体に形成する完成段階までに要
する製造工数を測定して、下記表1に示す結果を得た。
なお上記製造工数は比較例1の場合を基準値(100)
として相対的に表示した。
【0050】
【表1】
【0051】上記表1に示す結果から明らかなように、
各実施例に係るヘルドによれば、金属母材の表面粗さを
中心線平均粗さ(Ra)基準で0.1〜0.3μmに調
整しているため、クロム酸化物を主体とする被覆層の厚
さを1〜2μmと極めて薄くした場合においても表面の
摺動特性,耐摩耗性,平滑性および被覆層の密着強度な
どの特性が低下しないヘルドが得られている。
各実施例に係るヘルドによれば、金属母材の表面粗さを
中心線平均粗さ(Ra)基準で0.1〜0.3μmに調
整しているため、クロム酸化物を主体とする被覆層の厚
さを1〜2μmと極めて薄くした場合においても表面の
摺動特性,耐摩耗性,平滑性および被覆層の密着強度な
どの特性が低下しないヘルドが得られている。
【0052】また、被覆層の原料となるクロム酸水溶液
として、特に高濃度のクロム酸水溶液を使用することに
より、クロム酸水溶液の1回あたりの塗布・焼成によっ
て形成されるクロム酸化物被覆層の厚さを大幅に増加さ
せることが可能となり、所定厚さの被覆層を形成するた
めに必要な塗布・焼成の繰返し回数を3回以下に低減で
きるため、クロム酸化物(Cr2 O3 )を主成分とする
被覆層を容易迅速に形成することが可能であり、ヘルド
の製造コストを大幅に削減できることが判明した。
として、特に高濃度のクロム酸水溶液を使用することに
より、クロム酸水溶液の1回あたりの塗布・焼成によっ
て形成されるクロム酸化物被覆層の厚さを大幅に増加さ
せることが可能となり、所定厚さの被覆層を形成するた
めに必要な塗布・焼成の繰返し回数を3回以下に低減で
きるため、クロム酸化物(Cr2 O3 )を主成分とする
被覆層を容易迅速に形成することが可能であり、ヘルド
の製造コストを大幅に削減できることが判明した。
【0053】また各実施例に係るヘルドの被覆層は、微
細なクロム酸化物(Cr2 O3 )が入り込んだ緻密な構
造を有するため、被覆層自体の構造強度も高く、ピール
強度にも優れており、耐久性が良好であることが判明し
た。
細なクロム酸化物(Cr2 O3 )が入り込んだ緻密な構
造を有するため、被覆層自体の構造強度も高く、ピール
強度にも優れており、耐久性が良好であることが判明し
た。
【0054】一方、従来の比較例1のようにヘルド本体
(金属母材)の表面粗さを粗大にしたものは、所定の耐
摩耗性や摺動性を得るためには厚い被覆層が必要とな
り、クロム酸水溶液の塗布・焼成の繰返し回数が大きく
なるため、製造コストが高騰することが改めて確認でき
た。
(金属母材)の表面粗さを粗大にしたものは、所定の耐
摩耗性や摺動性を得るためには厚い被覆層が必要とな
り、クロム酸水溶液の塗布・焼成の繰返し回数が大きく
なるため、製造コストが高騰することが改めて確認でき
た。
【0055】また、各実施例に係るヘルドによれば、比
較例2〜5に示す従来のヘルドと比較して、経糸のけば
の発生率が格段に減少し、織物の品位が良好になり、歩
留りが向上した。さらに各実施例のヘルドは、耐摩耗性
に優れており、製造時に設定した平滑さを長期間維持で
きるとともに、異物の付着を効果的に防止できることも
判明した。
較例2〜5に示す従来のヘルドと比較して、経糸のけば
の発生率が格段に減少し、織物の品位が良好になり、歩
留りが向上した。さらに各実施例のヘルドは、耐摩耗性
に優れており、製造時に設定した平滑さを長期間維持で
きるとともに、異物の付着を効果的に防止できることも
判明した。
【0056】さらに各実施例のヘルドに用いた被覆層
は、金属母材との密着性が良好であり、ヘルドの運動に
よって割れや剥離を発生することが少なかった。また、
被覆層は極めて薄いために金属母材の剛性を損うことが
なく、織り上った織布の品位は従来のものと同等以上で
あった。
は、金属母材との密着性が良好であり、ヘルドの運動に
よって割れや剥離を発生することが少なかった。また、
被覆層は極めて薄いために金属母材の剛性を損うことが
なく、織り上った織布の品位は従来のものと同等以上で
あった。
【0057】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係るクロム酸
化物被覆部品によれば、金属母材の表面粗さを中心線平
均粗さ(Ra)基準で0.1〜0.3μmに調整してい
るため、クロム酸化物を主体とする被覆層の厚さを1〜
2μmと極めて薄くした場合においても表面の摺動特
性,耐摩耗性,平滑性および被覆層の密着強度などの特
性が低下しないクロム酸化物被覆部品が短時間で得られ
る。
化物被覆部品によれば、金属母材の表面粗さを中心線平
均粗さ(Ra)基準で0.1〜0.3μmに調整してい
るため、クロム酸化物を主体とする被覆層の厚さを1〜
2μmと極めて薄くした場合においても表面の摺動特
性,耐摩耗性,平滑性および被覆層の密着強度などの特
性が低下しないクロム酸化物被覆部品が短時間で得られ
る。
【0058】また、被覆層の原料となるクロム酸水溶液
として、特に常温常圧下におけるクロム酸飽和水溶液よ
り高いクロム酸濃度を有するクロム酸水溶液を使用する
ことにより、クロム酸水溶液の1回あたりの塗布・焼成
によって形成されるクロム酸化物被覆層の厚さを大幅に
増加させることが可能となり、所定厚さの被覆層を形成
するために必要な塗布・焼成の繰返し回数を3回以下に
低減でき、被覆部品の製造工数が大幅に低減され、製造
コストが低い安価な被覆部品を量産することができる。
として、特に常温常圧下におけるクロム酸飽和水溶液よ
り高いクロム酸濃度を有するクロム酸水溶液を使用する
ことにより、クロム酸水溶液の1回あたりの塗布・焼成
によって形成されるクロム酸化物被覆層の厚さを大幅に
増加させることが可能となり、所定厚さの被覆層を形成
するために必要な塗布・焼成の繰返し回数を3回以下に
低減でき、被覆部品の製造工数が大幅に低減され、製造
コストが低い安価な被覆部品を量産することができる。
【図1】本発明に係るクロム酸化物被覆部品の一実施例
であり、製織機械のヘルドに適用した例を示す正面図。
であり、製織機械のヘルドに適用した例を示す正面図。
【図2】図1におけるII部の拡大断面図。
1 クロム酸化物被覆部品(ヘルド) 2 糸挿通孔 3 取付孔 4 金属母材(ステンレス鋼) 5 被覆層 6 クロム酸化物層 7 反応層
Claims (6)
- 【請求項1】 金属母材表面にクロム酸化物を主成分と
する被覆層が形成されているクロム酸化物被覆部品にお
いて、上記金属母材表面の表面粗さが中心線平均粗さ
(Ra)基準で0.1〜0.3μmであるとともに、上
記クロム酸化物を主成分とする被覆層の厚さが1〜2μ
mであることを特徴するクロム酸化物被覆部品。 - 【請求項2】 クロム酸化物被覆部品が繊維取扱い部品
であることを特徴とする請求項1記載のクロム酸化物被
覆部品。 - 【請求項3】 金属母材の表面粗さが中心線平均粗さ
(Ra)基準で0.1〜0.3μmとなるように研磨調
整した後に、上記金属母材の表面にクロム酸水溶液を塗
布する工程とクロム酸水溶液を塗布した金属母材を焼成
する工程とを複数回繰り返すことにより、クロム酸化物
を主成分とする厚さ1〜2μmの被覆層を形成すること
を特徴とするクロム酸化物被覆部品の製造方法。 - 【請求項4】 クロム酸化水溶液が、常温,常圧下にお
けるクロム酸飽和水溶液より高いクロム酸濃度を有する
ことを特徴とする請求項3記載のクロム酸化物被覆部品
の製造方法。 - 【請求項5】 クロム酸化水溶液が、40℃常圧下にお
けるクロム酸飽和水溶液より高いクロム酸濃度を有する
ことを特徴とする請求項3記載のクロム酸化物被覆部品
の製造方法。 - 【請求項6】 金属母材の表面にクロム酸水溶液を塗布
する工程とクロム酸水溶液を塗布した金属母材を焼成す
る工程との繰返し回数が3回以下であることを特徴とす
る請求項3記載のクロム酸化物被覆部品の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP18281097A JPH1129876A (ja) | 1997-07-08 | 1997-07-08 | クロム酸化物被覆部品およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP18281097A JPH1129876A (ja) | 1997-07-08 | 1997-07-08 | クロム酸化物被覆部品およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1129876A true JPH1129876A (ja) | 1999-02-02 |
Family
ID=16124844
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP18281097A Pending JPH1129876A (ja) | 1997-07-08 | 1997-07-08 | クロム酸化物被覆部品およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH1129876A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US9810298B2 (en) * | 2015-05-14 | 2017-11-07 | Microtecnica S.R.L. | Rotary seals |
-
1997
- 1997-07-08 JP JP18281097A patent/JPH1129876A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US9810298B2 (en) * | 2015-05-14 | 2017-11-07 | Microtecnica S.R.L. | Rotary seals |
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