JPH11302744A - 線状または棒状鋼、および機械部品 - Google Patents

線状または棒状鋼、および機械部品

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JPH11302744A
JPH11302744A JP11113198A JP11113198A JPH11302744A JP H11302744 A JPH11302744 A JP H11302744A JP 11113198 A JP11113198 A JP 11113198A JP 11113198 A JP11113198 A JP 11113198A JP H11302744 A JPH11302744 A JP H11302744A
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less
linear
deformation resistance
present
shaped steel
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JP11113198A
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English (en)
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Hiroshi Momozaki
寛 百▲崎▼
Hideo Hatake
英雄 畠
Toyofumi Hasegawa
豊文 長谷川
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 球状化焼鈍処理を省略したとしても熱間圧延
のままで冷間加工性に優れた線状または棒状鋼を提供す
る。 【解決手段】 圧延材の中心〜直径/8の範囲にあるフ
ェライト組織中に、平均で5個以上/0.353μm2
の窒化物が存在する線状または棒状鋼である。この様な
窒化物を析出させることにより、冷間加工時において、
加工発熱によって生じる温度上昇域における変形抵抗を
小さくすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷間加工性に優れ
た線状または棒状鋼(以下、鋼と略記する場合があ
る)、及び該鋼を用いて得られる機械部品に関し、詳細
には、冷間鍛造、冷間圧造、冷間転造等の冷間加工によ
ってボルトやナット等の機械部品を製造するに当たり、
熱処理を施すことなく熱間圧延のままでも優れた冷間加
工性を有する線状または棒状鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】冷間加工は、熱間加工や機械切削加工に
比較して生産性が高いうえに鋼材の歩留まりも良好なこ
とから、ボルトやナット、その他の機械部品を効率よく
製造する為の方法として汎用されている。
【0003】従って、この様な冷間加工に使用される鋼
は、本質的に冷間加工性に優れていることが要求され
る。具体的には、冷間加工時の変形抵抗が低く、且つ延
性(伸び、絞り)が高いことが必要である。鋼の変形抵
抗が高いと冷間加工に使用する工具の寿命が低下してし
まい、一方、延性が低いと冷間加工時に割れが発生し易
くなり、不良品発生の原因になる。
【0004】そこで鋼の変形抵抗を低下して延性を高め
る為に、通常、冷間加工前に球状化焼鈍処理がなされて
おり、それにより鋼材を軟化し、且つ延性を高めた状態
で冷間加工するという方法が従来より採用されている。
【0005】ところが球状化焼鈍には長時間の処理(1
0〜20時間)を要することから、生産性の向上や省エ
ネルギー対策、ひいてはコストの低減化を目的として、
球状化焼鈍処理の省略が可能な、冷間加工性に優れた線
状または棒状鋼の開発が切望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着
目してなされたものであり、その目的は、球状化焼鈍処
理を省略したとしても熱間圧延のままで冷間加工性に優
れた線状または棒状鋼、および該線状または棒状鋼を用
いて得られるボルトやナットなどの機械部品を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本
発明の冷間加工性に優れた線材または棒状鋼とは、圧延
材の中心〜直径/8の範囲にあるフェライト組織中に、
平均で5個以上/0.353μm2 の窒化物が存在する
ものであるところに要旨を有する。この様な窒化物を析
出させることにより、冷間加工時において、加工発熱に
よって生じる温度上昇時の温度域(概ね100〜350
℃)における変形抵抗を小さくすることができる点で極
めて有用である。
【0008】上記線材または棒状鋼は、基本的に、 C :0.001〜0.5%(質量%、以下同じ) Al:0.1%以下 (0%を含まない), N :0.015%以下 (0%を含まない) を含有するものであり、更に、 Cr:1.2%以下 (0%を含まない), Ti:0.2%以下 (0%を含まない), B :0.01%以下(0%を含まない), Nb:0.15%以下(0%を含まない), V :0.2%以下 (0%を含まない), Zr:0.1%以下 (0%を含まない) の少なくとも1種、及び/又は Mn:0.035〜2%, Si:0.5%以下 (0%を含まない), S :0.02%以下(0%を含まない) を含有することが好ましい。他に微量成分或は不可避不
純物が含まれる場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
尚、上記の線状または棒状鋼を用いて得られる機械部品
も本発明の範囲内に包含される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、熱間圧延のままで
冷間加工性に優れた鋼を提供すべく、冷間加工性のなか
でも変形抵抗を支配している固溶Nに着目して詳細に検
討してきた。その結果、初期強度が同一であったとして
も、線状または棒状鋼の内部組織を構成しているフェラ
イト・パーライト組織のなかでもフェライト粒内に窒化
物を微細に所定個数以上析出させることにより固溶Nを
窒化物として固定化することができ、動的歪み時効を抑
制し得る結果、変形抵抗を低減することが可能であるこ
と;この様な構成とすることにより、冷間加工の初期の
みならず、加工が進み温度が300℃付近に達した場合
においても変形抵抗を低く抑えられることを見出し、本
発明を完成した。
【0010】尚、本発明と同様、固溶Nに着目し、球状
化焼鈍処理を省略したとしても冷間加工性に優れた鋼を
製造する方法は、これまでにも提案されている。
【0011】例えば特公昭61−35249には、圧
延条件や冷却条件を制御することにより固溶C及び固溶
Nを少なくし、歪時効に起因する加工硬化を抑制して変
形抵抗を小さくする方法が開示されている。
【0012】その他、特開昭56−158841およ
び同57−39002は、固溶Nを固定化すれば硬度
の低下や加工硬化率の低減が得られるという知見に基づ
き、前者では、窒化物生成元素としてTiまたはBを使
用することにより、後者ではAl/Nを制御することに
より、ダイス寿命の優れた熱延線材を製造する方法が開
示されている。
【0013】また、特開昭57−63635には、A
c1変態点以下、Ac1変態点より50℃を下回らない温度
に5時間以上保持することによりセメンタイトを充分凝
集させると共に、Al量を制御して固溶Nを固定するこ
とにより、加工工具寿命の高められた冷間鍛造用棒鋼の
製造方法が開示されている。
【0014】しかしながら、上記〜の方法はいずれ
も、変形抵抗の低減に悪影響を及ぼす固溶Cや固溶Nを
固定化すべく、鋼中の化学成分を制御したり、圧延条件
や冷却条件を制御するというものであり、上記公報を精
査しても、フェライト粒内に窒化物を所定個数以上析出
させることが固溶Nの低減化に極めて有効であること;
これにより冷間加工の初期のみならず加工後期の100
〜350℃付近に達した場合においても変形抵抗を低く
抑えられることについては開示も示唆もされていない。
ちなみに上記〜には、加工後期における変形抵抗の
低減については全く留意されていない。この様に、フェ
ライト組織中にある窒化物の個数と変形抵抗の関係につ
いて着目し検討されたものは従来全くなく、本発明者ら
によって始めて見出された知見であり、この点に本発明
の技術的意義が存在するものである。以下、本発明を特
定する各要件について説明する。
【0015】上述した様に本発明の線状または棒状鋼
は、圧延材の中心〜直径/8の範囲にあるフェライト組
織中に、平均で5個以上/0.353μm2 の窒化物が
存在するものであるところに特徴を有する。この様に所
定個数以上の窒化物をフェライト組織中に析出させるこ
とにより、変形抵抗に悪影響を及ぼす固溶Nを固定化す
ることができ、加工初期のみならず加工後期300℃付
近に達した場合でも変形抵抗を低減することができると
いう優れた効果が得られる。
【0016】ここで、上記窒化物とは、Al,Cr,T
i,B,Nb,V,Zr等の窒化物生成元素が1種若し
くは2種以上、固溶Cと結合し、窒化物として析出して
いる状態のものを意味する。以下、上記窒化個数の設定
理由につき、図1を用いて説明する。
【0017】この図1は、後記する実施例に記載のNo.
1及び3の試験片を用い、25℃(常温),78℃,1
50℃,220℃,330℃,350℃,424℃に昇
温したときの変形抵抗をグラフ化したものである。図
中、●(No.1)は、本発明で規定する所定数の窒化物
を有する本発明例(24個)であり、◆(No.3)は、
所定数の窒化物を有しない比較例(5個)である。
【0018】同図より、本発明の要件を満足しないNo.
3は、温度が高くなるにつれて変形抵抗が高くなり、3
00℃付近で変形抵抗が極大になることが分かる。これ
は、固溶Cと固溶Nによる動的歪時効が顕著に発生した
からである。これに対して本発明の要件を満足するNo.
1では、フェライト中に所定数の窒化物が形成されてい
る為、上記動的歪時効が抑えられる結果、加工による温
度が300℃付近に達したとしても変形抵抗の上昇を有
効に抑えることができる。
【0019】この様にフェライト組織中に所定個数の窒
化物を形成させることにより300℃付近の変形抵抗を
著しく低く抑えることができた理由としては以下の様に
考えられる。一般にフェライト中の固溶N量が多くなる
と、歪時効に起因する加工硬化が大きくなり、変形抵抗
が高くなるが、本発明では、この変形抵抗に悪影響を及
ぼす固溶NをAlなどの窒化物生成元素と結合せしめ、
窒化物をうまく形成させることにより変形抵抗を低く抑
えることができたものと考えられる。
【0020】この様な窒化物の形成による変形抵抗低減
作用を有効に発揮させる為には、圧延材の中心〜直径/
8の範囲にあるフェライト組織中に、平均で5個以上/
0.353μm2 の窒化物が存在することが必要であ
る。
【0021】この様な窒化物の形成による変形抵抗低減
作用を有効に発揮させる為には、圧延材の中心〜直径/
8の範囲にあるフェライト組織中に、平均で5個以上/
0.353μm2 存在することが必要である。この個数
は、窒化物の平均直径等と密接に関連し、例えば冷却速
度が小さくなり、窒化物の平均粒径が大きくなると小さ
くなる。従って、上記窒化物の個数は、厳密には、該窒
化物の平均直径との関係で決定されるべきであるが、一
般的には、窒化物の平均直径が1〜10nmの場合は平
均で15個以上/0.353μm2 (より好ましくは2
0個以上/0.353μm2 、更により好ましくは25
個以上/0.353μm2 )存在することが推奨され
る。また、窒化物の平均直径が10〜50nmの場合
は、平均で5個以上/0.353μm2 (より好ましく
は10個以上/0.353μm2 、更により好ましくは
15個以上/0.353μm2 )存在することが推奨さ
れる。
【0022】本発明に係る鋼の熱間圧延後の金属組織
は、上述した窒化物を有する組織が主体となるものであ
り、具体的には、金属組織中に占めるフェライト面積率
は20%以上であることが好ましい。本発明では、フェ
ライト分率が同じであっても変形抵抗を低く抑えること
を意図しており、上述した析出物の作用を有効に発揮さ
せる為には、金属組織中に占めるフェライト面積率を2
0%以上(より好ましくは25%以上)とすることが推
奨されるのである。次に、本発明鋼中の化学成分につい
て説明する。
【0023】上述した様に本発明の最重要ポイントは、
フェライト組織中に所定個数の窒化物を存在させたもの
である。従って、所定の窒化物が得られる様、C,A
l,Nを特定すると共に、更に種々の窒化物生成元素な
どを添加することが推奨される。
【0024】C :0.001〜0.5% Cは、鋼材の必要強度を付与するために必須の元素であ
る。0.001%未満では所望の強度が得られず、ま
た、この様な低濃度に制御しようとすると工業的にコス
トが高くつき経済的でない。好ましくは0.003%以
上、より好ましくは0.005%以上である。一方、
0.5%を超えるとフェライト分率が低くなり、所望の
効果が得られない。好ましくは0.48%以下である。
【0025】Al:0.1%以下(0%を含まない) Alは脱酸の為に有用であり、固溶Nを固定して窒化物
(AlN)を生成させる為に添加する。その為には0.
005%以上添加することが好ましい。但し、0.1%
を超えて添加したとしても上記作用が飽和してしまい、
経済的に無駄である。より好ましくは0.08%以下で
ある。
【0026】N:0.015%以下(0%を含まない) Nは、固溶Nが変形抵抗の低下に悪影響を及ぼすことを
考慮すれば不要な元素と言えるが、本発明では、AlN
等の窒化物を核としてセメンタイト等の炭化物をうまく
析出させる為に、或る程度の添加は必要である。好まし
くは0.001%以上である。一方、0.015%を超
えると、所定の窒化物を析出させる為に添加される合金
元素の量が増加する為、コストが増加してしまう。好ま
しくは0.01%以下である。
【0027】本発明では上記成分を基本的に含有するも
のであり、残部:鉄及び不可避的不純物であるが、その
他に、以下の元素を積極的に添加することができる。
【0028】Cr:1.2%以下,Ti:0.2%以
下,B:0.01%以下,Nb:0.15%以下,V:
0.2%以下,及びZr:0.1%以下よりなる群から
選択される少なくとも1種(いずれの元素も0%を含ま
ない) このうちBを除く元素(Cr,Ti,Nb,V,Zr)
は炭化物及び/又は窒化物生成元素であり、BはAlと
同様、窒化物生成元素であり、これら元素の添加によ
り、変形抵抗に悪影響を及ぼす固溶C及び固溶Nを低減
することが可能になる。この様な作用を有効に発揮させ
る為には、Cr:0.02%以上,Ti:0.01%以
上,B:0.0003%以上,Nb:0.005%以
上,V:0.01%以上,Zr:0.005%以上添加
することが推奨される。但し、上記範囲を超えて添加し
ても効果が飽和してしまい、経済的に無駄である。好ま
しくはCr:1%以下,Ti:0.15%以下,B:
0.008%以下,Nb:0.1%以下,V:0.15
%以下,Zr:0.08%以下である。尚、これらの元
素は1種または2種以上使用することができる。更に、
以下の元素を積極的に添加することもできる。
【0029】Mn:0.035〜2% Mn量が0.035%未満では、Sを完全にMnSとす
ることができず、加工性が劣化する。より好ましくは
0.05%以上である。一方、2%を超えると圧延荷重
が高過ぎて工具寿命が低下してしまう。より好ましくは
1.8%以下である。
【0030】Si:0.5%以下(0%を含まない) Siは脱酸剤の一つであり、この様な作用を有効に発揮
させる為には0.005%以上添加することが好まし
い。より好ましくは0.008%以上である。一方、
0.5%を超えて添加しても効果が飽和してしまう他、
変形抵抗も増加してしまう。より好ましくは0.45%
以下である。
【0031】S:0.02%以下(0%を含まない) Sの含有量が0.02%を超えると、冷間加工時に割れ
が発生し易くなる。より好ましくは0.018%以下で
ある。
【0032】次に、本発明に係る線材または棒材を製造
する方法について説明する。本発明で目的とする所定個
数の窒化物を得る為には、鋼片を900〜1050℃の
範囲まで加熱し、725〜1000℃の範囲で所定の線
径まで圧延した後、水流によって600〜6000℃/
分の冷却速度で725〜950℃まで冷却し、引き続
き、3〜600℃/分の冷却速度で400℃まで冷却す
ることが必要である。以下、各要件について説明する。
【0033】鋼片の加熱温度:850〜1050℃ この加熱温度は、AlN等の窒化物を一部固溶させ、圧
延後には微細に析出させる為に設定されたものである。
1050℃を超えて加熱すると、析出している窒化物が
完全に固溶して固溶Nが生成されてしまい、それ以降の
製造工程を如何に制御したとしても、窒化物を析出させ
ることが困難となる。好ましくは1025℃以下、より
好ましくは1000℃以下である。一方、加熱温度が8
50℃未満になると、AlN等の窒化物が全く固溶しな
くなり、炭化物の析出核として作用しなくなる。好まし
くは870℃以上、より好ましくは890℃以上であ
る。
【0034】圧延温度:725〜1000℃ この温度は、圧延時においても上記鋼片時と同様、窒化
物の固溶を防止する為に設定したものであり、併せて、
鋼中の組織に転位を付与することで、固溶しているNを
フェライト中に窒化物として微細に再析出させるべく設
定したものである。但し、圧延ロールの負荷増大、寸法
精度の低下、表面疵の発生等を防止するという観点から
すれば、実用上は750〜1000℃程度の圧延温度と
することが推奨される。好ましくは775℃以上、97
5℃以下である。
【0035】巻取り温度:725〜950℃ 具体的には、最終圧延後に、主に水を媒体として600
〜6000℃/分の冷却速度で725〜950℃まで冷
却する。950℃よりも高くなると、窒化物の析出が遅
くなり、固溶C及び固溶Nの低減化に支障が生じる。実
操業レベルでは900℃以下が好ましい。一方、725
℃よりも低くなると、表層部にマルテンサイト組織が生
成され、硬くて脆い鋼になる為、冷間加工用には適さな
い。実商業レベルで好ましいのは750℃以上である。
【0036】冷却速度:3〜600℃/分(400℃ま
で) 固溶Nを窒化物として析出させる為には、冷却速度を遅
くする程好ましいが、遅くなり過ぎるとパーライト(フ
ェライトとセメンタイトの層状組織)中のラメラー間隔
が広くなり、延性に乏しい組織となる恐れがある。実用
上は6℃/分以上、500℃/分以下が好ましい。
【0037】尚、本発明によれば熱間圧延ままの線材や
棒鋼でも優れた冷間加工性が得られるが、この線材また
は棒鋼に、更に酸(塩酸、硫酸等)を添加したり機械的
に歪みを付与する等してスケールを除去した後、燐酸亜
鉛皮膜、燐酸カルシウム皮膜、石灰、金属石鹸などを潤
滑剤として伸線,冷間圧延などを施した鋼線において
も、同様の優れた冷間加工性が得られる。
【0038】以下実施例に基づいて本発明を詳述する。
ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、
前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは
全て本発明の技術範囲に包含される。
【0039】
【実施例】表1に記載の成分組成からなる供試鋼(表中
の単位は質量%)用い、表2に示す種々の製造条件にて
φ12mmの線材に圧延した。この線材を用い、下記項
目について夫々測定した。
【0040】[線材中に析出した窒化物の平均個数の測
定]熱間圧延による脱炭の影響を回避する為、図2に示
す如く圧延材の中心〜直径/8の範囲にあるフェライト
組織中の5点における析出物数をカウントした。具体的
には、該析出物を抽出レプリカ法による透過型電子顕微
鏡(FE−TEM)観察結果を写真撮影(15万倍)し
た後、肉眼で目視にてカウントし、その平均値を算出し
た。尚、図3は、フェライト組織中に析出している窒化
物の測定例(No.1)を示す図である。
【0041】[析出物の組成確認]上記析出物が窒化物
(AlN)であることの確認は、抽出レプリカ・電子顕
微鏡による方法で行った。この方法は、例えば「鉄鋼便
覧IV:鉄鋼材料、試験・分析」(第3版,昭和56
年,丸善発行,第395〜399頁)に記載されてい
る。
【0042】具体的には、透過型電子顕微鏡(FE−T
EM)のEDX分析により該析出物の組成を調べた。図
4は、No.2の試験片(本発明例)について、析出物組
成の分析結果を示す写真である。尚、図4には、Alお
よびN以外にCuのピークも見られるが、試験片のステ
ージに反応しているので無視して良い。
【0043】[変形抵抗の測定]この変形抵抗は冷間加
工性の指標となるものであり、以下の要領でプレスによ
る据込み試験を実施することにより測定した。まず、日
本塑性加工学会が推奨する形状(鍛造、塑性加工技術シ
リーズ4,p55,コロナ社)にすべく上記線材をφ1
0×15mmの大きさに切削し、これを据込み加工用円
柱試験片とした後、据込み圧延として同心円溝付きの拘
束型厚板を使用して据込み加工を行った。試験条件は圧
縮率:60%とし、このときにかかる最大荷重を測定
し、下記計算式により変形抵抗を算出した。 変形抵抗(kgf/mm2 )=荷重(kgf)/A/f 式中、A:試験片の断面積(mm2 ) f:拘束係数 上記式において、例えばφ=10mmの場合A=78.
5mm2 であり、60%圧縮の場合f=2.77とな
る。
【0044】尚、据込み加工試験片の変形抵抗を測定す
るに当たっては、実操業では冷間多段加工(歪速度2〜
100/秒)の際、加熱により被加工材が数百℃にまで
達成することを想定して、常温(25℃)の他150
℃、220℃、320℃、350℃、460℃にまで夫
々昇温したときの変形抵抗を夫々測定した。更に、変形
抵抗に及ぼす動的歪時効の影響を調べる為に、下記式に
基づき、動的歪時効による変形抵抗の増加量(kgf/
mm2 )を算出した。 変形抵抗の増加量=[320 ℃の変形抵抗(σ320 )]−
[常温時(25℃)の変形抵抗(σ25)] これらの結果を表2に併記する。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】表より以下の様に考察することができる。
まず、表2に示すNo.1,2,5,7〜22は、フェラ
イト組織中に所定個数以上の窒化物が形成された本発明
例であり、動的歪時効による変形抵抗の増加量を低く抑
えることができた。尚、図4の結果より、フェライト組
織中に析出した窒化物の組成はAlNであることが確認
できた。
【0048】これに対してNo.3,4,6は、製造条件
が本発明の要件を満足しない為、所定の窒化物が形成さ
れない比較例であり、いずれも変形抵抗の増加量が高く
なっている。
【0049】
【発明の効果】本発明は上記の様に構成されているの
で、球状化焼鈍処理を省略したとしても熱間圧延のまま
で冷間加工性に優れた線状または棒状鋼を効率よく提供
することができた。特に本発明の線状または棒状鋼は、
冷間加工時において、加工発熱によって生じる温度上昇
域(100〜350℃付近)における変形抵抗を小さく
することができる点で極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験温度と変形抵抗の関係を調べたグラフであ
る。
【図2】析出物数の測定方法を示す概略説明図である。
【図3】フェライト組織中に析出している窒化物の様子
を示す電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明例について、EDX分析による化合物組
成の分析結果を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年5月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 線状または棒状鋼、および機械部品
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷間加工時におい
て、加工発熱によって生じる温度上昇域における変形抵
抗が抑制された線状または棒状鋼(以下、鋼と略記する
場合がある)、及び該鋼を用いて得られる機械部品に関
する。本発明によれば、冷間鍛造、冷間圧造、冷間転造
等の冷間加工によってボルトやナット等の機械部品を製
造するに当たり、熱処理を施すことなく熱間圧延のまま
でも、加工発熱温度上昇域における変形抵抗が抑制され
た線状または棒状鋼を提供できるので極めて有用であ
る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】ところが球状化焼鈍には長時間の処理(1
0〜20時間)を要することから、生産性の向上や省エ
ネルギー対策、ひいてはコストの低減化を目的として、
球状化焼鈍処理の省略が可能であり、且つ冷間加工時に
おいて、加工発熱によって生じる温度上昇域における変
形抵抗が抑制された線状または棒状鋼の開発が切望され
ている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】本発明は上記事情に着目してなされたもの
であり、その目的は、球状化焼鈍処理を省略したとして
も熱間圧延のままで、冷間加工時において、加工発熱に
よって生じる温度上昇域における変形抵抗が抑制された
線状または棒状鋼、および該線状または棒状鋼を用いて
得られるボルトやナットなどの機械部品を提供すること
にある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】上記課題を解決し得た本発明の線材または
棒状鋼とは、圧延材の中心〜直径/8の範囲にあるフェ
ライト組織中に、平均で5個以上/0.353μm2
窒化物を析出させることにより、冷間加工時において、
加工発熱によって生じる温度上昇時の温度域(概ね10
0〜350℃)における変形抵抗が抑制されたものであ
るところに要旨を有する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】ここで、上記窒化物とは、Al,Cr,T
i,B,Nb,V,Zr等の窒化物生成元素が1種若し
くは2種以上、固溶Nと結合し、窒化物として析出して
いる状態のものを意味する。以下、上記窒化個数の設定
理由につき、図1を用いて説明する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】この様な窒化物の形成による変形抵抗低減
作用を有効に発揮させる為には、圧延材の中心〜直径/
8の範囲にあるフェライト組織中に、平均で5個以上/
0.353μm2の窒化物が存在することが必要であ
る。ここで、「圧延材の中心〜直径/8の範囲にあるフ
ェライト組織」の観察位置としては、例えば図2に示す
組織観察位置を参照することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】本発明では、上記「圧延材の中心〜直径/
8の範囲にあるフェライト組織」中に、平均5個以上/
0.353μm2存在することが必要である。この個数
は、窒化物の平均直径等と密接に関連し、例えば冷却速
度が小さくなり、窒化物の平均粒径が大きくなると小さ
くなる。従って、上記窒化物の個数は、厳密には、該窒
化物の平均直径との関係で決定されるべきであるが、一
般的には、窒化物の平均直径が1〜10nmの場合は平
均で15個以上/0.353μm2(より好ましくは2
0個以上/0.353μm2、更により好ましくは25
個以上/0.353μm2)存在することが推奨され
る。また、窒化物の平均直径が10〜50nmの場合
は、平均で5個以上/0.353μm2(より好ましく
は10個以上/0.353μm2、更により好ましくは
15個以上/0.353μm2)存在することが推奨さ
れる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】次に、本発明に係る線材または棒材を製造
する方法について説明する。本発明で目的とする所定個
数の窒化物を得る為には、鋼片を850〜1050℃の
範囲まで加熱し、725〜1000℃の範囲で所定の線
径まで圧延した後、水流によって600〜6000℃/
分の冷却速度で725〜950℃まで冷却し、引き続
き、3〜600℃/分の冷却速度で400℃まで冷却す
ることが必要である。以下、各要件について説明する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】
【実施例】表1に記載の成分組成からなる供試鋼(表中
の単位は質量%)を用い、表2に示す種々の製造条件に
てφ12mmの線材に圧延した。この線材を用い、下記
項目について夫々測定した。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】
【表1】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】
【表2】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】まず、表2に示すNo.1,2,5,7〜1
8は、フェライト組織中に所定個数以上の窒化物が形成
された本発明例であり、動的歪時効による変形抵抗の増
加量を低く抑えることができた。尚、図4の結果より、
フェライト組織中に析出した窒化物の組成はAlNであ
ることが確認できた。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】
【発明の効果】本発明は上記の様に構成されているの
で、球状化焼鈍処理を省略したとしても熱間圧延のまま
で、冷間加工時において、加工発熱によって生じる温度
上昇域(100〜350℃付近)における変形抵抗が抑
制された線状または棒状鋼を効率よく提供することがで
きた。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延材の中心〜直径/8の範囲にあるフ
    ェライト組織中に、平均で5個以上/0.353μm2
    の窒化物が存在するものであることを特徴とする冷間加
    工性に優れた線状または棒状鋼。
  2. 【請求項2】 冷間加工時において、加工発熱によって
    生じる温度上昇域における変形抵抗が小さいものである
    請求項1に記載の線状または棒状鋼。
  3. 【請求項3】C :0.001〜0.5%(質量%、以
    下同じ), Al:0.1%以下 (0%を含まない), N :0.015%以下(0%を含まない) を含有するものである請求項1または2に記載の線状ま
    たは棒状鋼。
  4. 【請求項4】 更に、 Cr:1.2%以下 (0%を含まない), Ti:0.2%以下 (0%を含まない), B :0.01%以下(0%を含まない), Nb:0.15%以下(0%を含まない), V :0.2%以下 (0%を含まない), Zr:0.1%以下 (0%を含まない) の少なくとも1種を含有するものである請求項3に記載
    の線状または棒状鋼。
  5. 【請求項5】 更に、 Mn:0.035〜2%, Si:0.5%以下 (0%を含まない), S :0.02%以下(0%を含まない) を含有するものである請求項3または4に記載の線状ま
    たは棒状鋼。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の線状ま
    たは棒状鋼を用いて得られる機械部品。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009242886A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Kobe Steel Ltd 軟磁性鋼材およびその製造方法
JP2011074456A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Kobe Steel Ltd 熱間加工性、冷間加工性、および冷間加工後の硬さに優れた機械構造用鋼
KR20200072353A (ko) * 2018-12-12 2020-06-22 주식회사 포스코 고강도 내진용 중탄소강 및 그 제조방법
JP2025517816A (ja) * 2022-05-27 2025-06-10 ポスコ カンパニー リミテッド 切削性及び衝撃靭性が優秀な非調質線材並びにその製造方法

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