JPH11310855A - 耐食性に優れた油井用マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法 - Google Patents
耐食性に優れた油井用マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法Info
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- JPH11310855A JPH11310855A JP11657398A JP11657398A JPH11310855A JP H11310855 A JPH11310855 A JP H11310855A JP 11657398 A JP11657398 A JP 11657398A JP 11657398 A JP11657398 A JP 11657398A JP H11310855 A JPH11310855 A JP H11310855A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】塩化物イオン、炭酸ガスおよび硫化水素ガスの
共存環境下で十分な耐食性(耐硫化物応力腐食割れ性)
を発揮するマルテンサイト系ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】重量%で、C:0.05%以下、Cr:7
〜15%を含有し、かつ固溶状態のCu含有量が0.2
5〜5%からなるマルテンサイト系ステンレス鋼。この
鋼は、Feの一部に代えて、適量のSi、Mn、Al、
Ni、Mo、W、Ca、Mg、La、Ce、Ti、Zr
およびNbのうちから選ばれた1種または2種以上を含
むことができ、不純物中のP、S、NおよびOは特定値
以下に抑制することが望ましい。また、この鋼は、熱間
塑性加工の仕上げ工程後、直ちに、または一旦オーステ
ナイト域の温度に再加熱後、空冷または急冷(水冷)す
るのみで得られる。
共存環境下で十分な耐食性(耐硫化物応力腐食割れ性)
を発揮するマルテンサイト系ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】重量%で、C:0.05%以下、Cr:7
〜15%を含有し、かつ固溶状態のCu含有量が0.2
5〜5%からなるマルテンサイト系ステンレス鋼。この
鋼は、Feの一部に代えて、適量のSi、Mn、Al、
Ni、Mo、W、Ca、Mg、La、Ce、Ti、Zr
およびNbのうちから選ばれた1種または2種以上を含
むことができ、不純物中のP、S、NおよびOは特定値
以下に抑制することが望ましい。また、この鋼は、熱間
塑性加工の仕上げ工程後、直ちに、または一旦オーステ
ナイト域の温度に再加熱後、空冷または急冷(水冷)す
るのみで得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油井あるいはガス井
(以下、単に「油井」という)に使用されるマルテンサ
イト系ステンレス鋼に関し、特に炭酸ガス、硫化水素、
塩素イオンなどの腐食性不純物を多く含む過酷な腐食環
境下での使用に適した耐食性に優れた油井用マルテンサ
イト系ステンレス鋼とその製造方法に関する。
(以下、単に「油井」という)に使用されるマルテンサ
イト系ステンレス鋼に関し、特に炭酸ガス、硫化水素、
塩素イオンなどの腐食性不純物を多く含む過酷な腐食環
境下での使用に適した耐食性に優れた油井用マルテンサ
イト系ステンレス鋼とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、石油または天然ガスを採取するた
めの井戸の環境がますます苛酷なものになっており、深
さの増加に加えて炭酸ガス、硫化水素を含む油井が増
え、それにつれて腐食などによる材料の脆化が大きな問
題となっている。
めの井戸の環境がますます苛酷なものになっており、深
さの増加に加えて炭酸ガス、硫化水素を含む油井が増
え、それにつれて腐食などによる材料の脆化が大きな問
題となっている。
【0003】従来、一般の油井用鋼材の一つである油井
管には、炭素鋼や低合金鋼を使用するのが通常であった
が、使用する油井の環境が苛酷になるにつれて、合金を
増加させた鋼が用いられるようになってきている。
管には、炭素鋼や低合金鋼を使用するのが通常であった
が、使用する油井の環境が苛酷になるにつれて、合金を
増加させた鋼が用いられるようになってきている。
【0004】例えば、炭酸ガスを多く含有する油井で
は、Crの添加が耐食性を著しく向上させることが知ら
れており、9%程度のCrを含有する9%Cr−1%M
o鋼や、13%程度のCrを含有するSUS420に代
表されるマルテンサイト系ステンレス鋼が多く用いられ
ている。
は、Crの添加が耐食性を著しく向上させることが知ら
れており、9%程度のCrを含有する9%Cr−1%M
o鋼や、13%程度のCrを含有するSUS420に代
表されるマルテンサイト系ステンレス鋼が多く用いられ
ている。
【0005】ところが、Crを多量添加した鋼は、ステ
ンレス鋼にもかかわらず、硫化水素に対する耐食性が芳
しくなく、前述のような炭酸ガスだけでなく硫化水素を
も同時に含むような環境下では硫化物応力腐食割れ(S
SC)が発生しやすいので、その使用が制限されている
のが実状である。
ンレス鋼にもかかわらず、硫化水素に対する耐食性が芳
しくなく、前述のような炭酸ガスだけでなく硫化水素を
も同時に含むような環境下では硫化物応力腐食割れ(S
SC)が発生しやすいので、その使用が制限されている
のが実状である。
【0006】このような炭酸ガスと硫化水素とを含む油
井環境では、現状ではさらに合金元素を高めた2相ステ
ンレス鋼やオーステナイト系ステンレス鋼を用いざるを
得ないが、合金元素の添加が多くなるので製品の製造コ
スト上昇が著しい。
井環境では、現状ではさらに合金元素を高めた2相ステ
ンレス鋼やオーステナイト系ステンレス鋼を用いざるを
得ないが、合金元素の添加が多くなるので製品の製造コ
スト上昇が著しい。
【0007】そこで、特開平7−62499号公報に
は、上述のSUS420鋼をベースとし、これに特定量
のNi、Moを添加する一方、C含有量を0.02〜
0.05%に制限することにより、100〜150℃の
高温腐食環境中での耐全面腐食、耐応力腐食割れ性を確
保するようにしたマルテンサイト系ステンレス鋼が示さ
れている。
は、上述のSUS420鋼をベースとし、これに特定量
のNi、Moを添加する一方、C含有量を0.02〜
0.05%に制限することにより、100〜150℃の
高温腐食環境中での耐全面腐食、耐応力腐食割れ性を確
保するようにしたマルテンサイト系ステンレス鋼が示さ
れている。
【0008】また、特開平8−246107号公報に
は、上記と同様に、SUS420鋼をベースとし、C含
有量を0.005〜0.05%に制限する一方、1〜3
%のCuと、2〜3%のMoを添加することにより、耐
炭酸ガス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性(耐SS
C性)を改善したマルテンサイト系ステンレス鋼が示さ
れている。そして、この公報には、CuおよびNiの作
用として、高温の炭酸ガス環境下における腐食速度の低
減に有効であり、耐硫化物応力腐食割れ性にはMoある
いはWの添加が有効であるとしている。
は、上記と同様に、SUS420鋼をベースとし、C含
有量を0.005〜0.05%に制限する一方、1〜3
%のCuと、2〜3%のMoを添加することにより、耐
炭酸ガス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性(耐SS
C性)を改善したマルテンサイト系ステンレス鋼が示さ
れている。そして、この公報には、CuおよびNiの作
用として、高温の炭酸ガス環境下における腐食速度の低
減に有効であり、耐硫化物応力腐食割れ性にはMoある
いはWの添加が有効であるとしている。
【0009】さらに、特開平8−260041号公報に
は、このような低Cのマルテンサイト系ステンレス鋼の
製造方法として、熱間製管後に焼入れ焼戻しの熱処理を
施す方法が開示されている。
は、このような低Cのマルテンサイト系ステンレス鋼の
製造方法として、熱間製管後に焼入れ焼戻しの熱処理を
施す方法が開示されている。
【0010】すなわち、これらの公報に示されているC
u添加のマルテンサイト系ステンレス鋼は、強度コント
ロールのために、焼入れ後に必ず焼き戻し処理を施すこ
とが前提となっているので、その製品にはCuが析出し
ている。
u添加のマルテンサイト系ステンレス鋼は、強度コント
ロールのために、焼入れ後に必ず焼き戻し処理を施すこ
とが前提となっているので、その製品にはCuが析出し
ている。
【0011】しかし、近年の油井開発においては、炭酸
ガスや硫化水素などの腐食性ガスを多く含む苛酷な環境
下での開発が進められており、そのような苛酷な環境下
での高耐食な油井管の要望が強い。
ガスや硫化水素などの腐食性ガスを多く含む苛酷な環境
下での開発が進められており、そのような苛酷な環境下
での高耐食な油井管の要望が強い。
【0012】従来、炭素鋼では、硫化物応力腐食割れ感
受性を低減させるためには、引張強度の低減、すなわち
硬度の低下が有効であることが知られている。そこで、
上述の特開平07−62499号公報や特開平8−24
6107号公報および特開平8−260041号公報に
おいては、焼入れた後に焼き戻し処理を施して鋼を軟化
させて強度を低位にコントロールするようにしているの
である。
受性を低減させるためには、引張強度の低減、すなわち
硬度の低下が有効であることが知られている。そこで、
上述の特開平07−62499号公報や特開平8−24
6107号公報および特開平8−260041号公報に
おいては、焼入れた後に焼き戻し処理を施して鋼を軟化
させて強度を低位にコントロールするようにしているの
である。
【0013】このため、プロセスとしては、焼入れ焼き
戻し処理の2段階以上の熱処理工程をとる必要があり、
製造面では工程が複雑となり、より単純なプロセスでの
製造が可能な鋼の開発が必要とされている。
戻し処理の2段階以上の熱処理工程をとる必要があり、
製造面では工程が複雑となり、より単純なプロセスでの
製造が可能な鋼の開発が必要とされている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、硫化
水素と炭酸ガスの両方を多く含む過酷な環境下で優れた
耐食性、具体的には耐硫化物応力腐食割れ性を発揮し、
かつ実際の工業的生産への適用に際して、単純なプロセ
スでの製造が可能なマルテンサイト系ステンレス鋼とそ
の製造方法を提供することにある。
水素と炭酸ガスの両方を多く含む過酷な環境下で優れた
耐食性、具体的には耐硫化物応力腐食割れ性を発揮し、
かつ実際の工業的生産への適用に際して、単純なプロセ
スでの製造が可能なマルテンサイト系ステンレス鋼とそ
の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)の耐食性に優れた油井用マルテンサイト系ステン
レス鋼および下記(2)の耐食性に優れた油井用マルテ
ンサイト系ステンレス鋼の製造方法にある。
(1)の耐食性に優れた油井用マルテンサイト系ステン
レス鋼および下記(2)の耐食性に優れた油井用マルテ
ンサイト系ステンレス鋼の製造方法にある。
【0016】(1)重量%で、C:0.05%以下、C
r:7〜15%を含有し、かつ固溶状態のCu含有量が
0.25〜5%である耐食性に優れた油井用マルテンサ
イト系ステンレス鋼。
r:7〜15%を含有し、かつ固溶状態のCu含有量が
0.25〜5%である耐食性に優れた油井用マルテンサ
イト系ステンレス鋼。
【0017】(2)重量%で、C:0.05%以下、C
r:7〜15%、Cu:0.25〜5%を含有するマル
テンサイト系ステンレス鋼をオーステナイト温度域に加
熱保持した後、空冷または急冷する固溶化熱処理を施
し、そのまま製品とする上記(1)に記載の耐食性に優
れた油井用マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法。
r:7〜15%、Cu:0.25〜5%を含有するマル
テンサイト系ステンレス鋼をオーステナイト温度域に加
熱保持した後、空冷または急冷する固溶化熱処理を施
し、そのまま製品とする上記(1)に記載の耐食性に優
れた油井用マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法。
【0018】本発明になる上記(1)の鋼は、上記の化
学成分以外に、そのFeの一部に代えて、特定量のS
i、Mn、Al、Ni、Mo、W、Ca、Mg、La、
Ce、Ti、ZrおよびNbのうちから選ばれた1種ま
たは2種以上を含むものであってもよい。また、不純物
中のP、S、NおよびOは特定値以下に抑制したもので
あること望ましい。さらに、上記(2)の方法において
は、固溶化熱処理後に強度調整のための熱処理をCuの
析出温度以下の温度域で施こしてもよい。
学成分以外に、そのFeの一部に代えて、特定量のS
i、Mn、Al、Ni、Mo、W、Ca、Mg、La、
Ce、Ti、ZrおよびNbのうちから選ばれた1種ま
たは2種以上を含むものであってもよい。また、不純物
中のP、S、NおよびOは特定値以下に抑制したもので
あること望ましい。さらに、上記(2)の方法において
は、固溶化熱処理後に強度調整のための熱処理をCuの
析出温度以下の温度域で施こしてもよい。
【0019】上記の本発明は、以下に述べる知見をもと
に完成させた。すなわち、本発明者らは、鋭意実験研究
の結果、以下のことを知見した 低C−Cr−Fe系のマルテンサイト系ステンレス鋼
においては、所定量、具体的には0.25〜5重量%の
固溶状態のCuが存在する場合に硫化水素を含有する環
境下における耐硫化物応力腐食割れ性が著しく向上す
る。
に完成させた。すなわち、本発明者らは、鋭意実験研究
の結果、以下のことを知見した 低C−Cr−Fe系のマルテンサイト系ステンレス鋼
においては、所定量、具体的には0.25〜5重量%の
固溶状態のCuが存在する場合に硫化水素を含有する環
境下における耐硫化物応力腐食割れ性が著しく向上す
る。
【0020】Cu添加は、熱間加工性を悪化させる
が、特に熱間加工性の改善が要求される場合には、8%
以下の範囲内で下式を満たす量のNiを添加含有させる
ことにより、熱間加工性が向上する。 Ni≧0.64×Cu−0.15 ここで、元素記号は鋼中のそれぞれの元素の含有量(重
量%)を表す。
が、特に熱間加工性の改善が要求される場合には、8%
以下の範囲内で下式を満たす量のNiを添加含有させる
ことにより、熱間加工性が向上する。 Ni≧0.64×Cu−0.15 ここで、元素記号は鋼中のそれぞれの元素の含有量(重
量%)を表す。
【0021】耐硫化物応力腐食割れ性の改善に有効な
固溶状態のCuは、例えば、熱間製管工程の仕上げ圧延
後、直ちに、または一旦オーステナイト域まで再加熱し
た後に空冷または急冷する溶体化熱処理(焼入れ)を施
すことにより、鋼中に含まれるCuの全量が固溶し、容
易に確保できる。
固溶状態のCuは、例えば、熱間製管工程の仕上げ圧延
後、直ちに、または一旦オーステナイト域まで再加熱し
た後に空冷または急冷する溶体化熱処理(焼入れ)を施
すことにより、鋼中に含まれるCuの全量が固溶し、容
易に確保できる。
【0022】この場合、強度コントロールのための焼き
戻し処理が不要であるために、単純なプロセスでの製造
が可能で、製品の製造コスト低減が図れる。また、降伏
比(YR)は、上記の溶体化熱処理後にCuの析出温度
(450℃)以下で熱処理することによって安定化で
き、何らの問題もない。
戻し処理が不要であるために、単純なプロセスでの製造
が可能で、製品の製造コスト低減が図れる。また、降伏
比(YR)は、上記の溶体化熱処理後にCuの析出温度
(450℃)以下で熱処理することによって安定化で
き、何らの問題もない。
【0023】本発明の鋼は、基本的に溶体化熱処理の
ままで使用されるが、C含有量などの調整により、55
0〜860MPaの降伏強度の確保が可能である。
ままで使用されるが、C含有量などの調整により、55
0〜860MPaの降伏強度の確保が可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、各成分の限定理由について
説明する。なお、以下において、「%」は「重量%」を
意味する。
説明する。なお、以下において、「%」は「重量%」を
意味する。
【0025】C:0.05%以下 Cは、鋼中に不可避的に含まれる元素であり、一般的に
はその含有量が多いと強度が高くなりすぎて、耐硫化物
応力腐食割れ性が劣化する。特に、本発明の鋼は焼き戻
しせず、または低温焼き戻しのままでの使用が前提であ
るので、オーステナイト域での溶体化処理のままで強度
が高くなりすぎないように、上限を0.05%とした。
なお、耐食性の面からは、Cは少なければ少ないほどよ
く、好ましくは0.025%以下、より好ましくは0.
01%以下である。
はその含有量が多いと強度が高くなりすぎて、耐硫化物
応力腐食割れ性が劣化する。特に、本発明の鋼は焼き戻
しせず、または低温焼き戻しのままでの使用が前提であ
るので、オーステナイト域での溶体化処理のままで強度
が高くなりすぎないように、上限を0.05%とした。
なお、耐食性の面からは、Cは少なければ少ないほどよ
く、好ましくは0.025%以下、より好ましくは0.
01%以下である。
【0026】Cr:7〜15% Crは、本発明に関わるマルテンサイト系ステンレス鋼
の耐食性を確保するための主要な必須成分であり、油井
環境中での実用上問題のない耐食性を確保する観点から
は7%以上の含有量が必要である。しかし、その含有量
が15%を超えると耐食性の向上以上にコスト上昇が著
しく経済的でない。また、必要により添加する後述のM
oとの相乗効果によってδフェライト相の生成を招き、
耐食性が低下するのみならず熱間加工性も低下する。よ
って、Cr含有量は7〜15%とした。好ましい範囲は
9〜14%である。
の耐食性を確保するための主要な必須成分であり、油井
環境中での実用上問題のない耐食性を確保する観点から
は7%以上の含有量が必要である。しかし、その含有量
が15%を超えると耐食性の向上以上にコスト上昇が著
しく経済的でない。また、必要により添加する後述のM
oとの相乗効果によってδフェライト相の生成を招き、
耐食性が低下するのみならず熱間加工性も低下する。よ
って、Cr含有量は7〜15%とした。好ましい範囲は
9〜14%である。
【0027】Cu:固溶状態で0.25〜5% Cuは、本発明における鋼の炭酸ガスおよび硫化水素を
含有した環境中における耐食性確保のための最も重要な
元素であり、前述したように、鋼中に固溶状態で存在す
ることが必須である。その理由は、詳細には不明である
が、硫化水素の若干存在する環境下においた場合、Cu
が固溶状態で存在するC−Cr−Fe系のマルテンサイ
トステンレス鋼の表面には、速やかにCu硫化物の皮膜
が形成され、この皮膜が防食皮膜として作用することに
よるものと推定される。
含有した環境中における耐食性確保のための最も重要な
元素であり、前述したように、鋼中に固溶状態で存在す
ることが必須である。その理由は、詳細には不明である
が、硫化水素の若干存在する環境下においた場合、Cu
が固溶状態で存在するC−Cr−Fe系のマルテンサイ
トステンレス鋼の表面には、速やかにCu硫化物の皮膜
が形成され、この皮膜が防食皮膜として作用することに
よるものと推定される。
【0028】しかし、固溶状態のCu含有量が0.25
%未満では、上記のような耐食性改善効果は得られな
い。一方、5%を超えるとその効果が飽和するばかりで
なく、熱間加工性が著しく悪化する。よって、Cu含有
量は、固溶状態で0.25〜5%とした。
%未満では、上記のような耐食性改善効果は得られな
い。一方、5%を超えるとその効果が飽和するばかりで
なく、熱間加工性が著しく悪化する。よって、Cu含有
量は、固溶状態で0.25〜5%とした。
【0029】Si:1%以下 Siは、必ずしも添加する必要はないが、通常、製鋼過
程で脱酸剤として用いられる元素であり、この目的で添
加することができる。しかし、その含有量が1%を超え
る靭性が著しく低下するので、その含有量は1%とする
のが望ましい。好ましい上限は、0.75%である。
程で脱酸剤として用いられる元素であり、この目的で添
加することができる。しかし、その含有量が1%を超え
る靭性が著しく低下するので、その含有量は1%とする
のが望ましい。好ましい上限は、0.75%である。
【0030】Mn:5%以下 Mnは、必ずしも添加する必要はないが、製鋼過程で脱
酸剤として用いて有効な一方、熱間加工性を改善する作
用を有する元素であり、これらの効果を得たい場合に添
加することができる。しかし、5%を超えると残留オー
ステナイトが生成しやすくなってマルテンサイト単相の
確保が難しくなるので、その含有量は5%以下とするの
が望ましい。好ましい上限は1%であり、この場には耐
孔食性が向上する。
酸剤として用いて有効な一方、熱間加工性を改善する作
用を有する元素であり、これらの効果を得たい場合に添
加することができる。しかし、5%を超えると残留オー
ステナイトが生成しやすくなってマルテンサイト単相の
確保が難しくなるので、その含有量は5%以下とするの
が望ましい。好ましい上限は1%であり、この場には耐
孔食性が向上する。
【0031】Al:0.001〜0.1% Alは、必ずしも添加する必要はないが、上記のSiと
同様に、通常、製鋼工程での脱酸剤として用いられる元
素であり、この目的で添加することができる。しかし、
その含有量が0.001%未満では所望の脱酸効果が得
られず、0.1%を超えると非金属介在物が多くなって
耐食性が劣化する。よって、添加する場合のAl含有量
は、0.001〜0.1%とするのが望ましい。好まし
い範囲は、0.003〜0.05%である。
同様に、通常、製鋼工程での脱酸剤として用いられる元
素であり、この目的で添加することができる。しかし、
その含有量が0.001%未満では所望の脱酸効果が得
られず、0.1%を超えると非金属介在物が多くなって
耐食性が劣化する。よって、添加する場合のAl含有量
は、0.001〜0.1%とするのが望ましい。好まし
い範囲は、0.003〜0.05%である。
【0032】Ni:8%以下で、かつ(0.64×[%
Cu]−0.15)以上 Niは、必ずしも添加しなくてもよいが、Cu添加によ
る熱間加工性の劣化防止、強度と耐食性の向上、および
マルテンサイト単相を確保するのに有効な元素であり、
これらの効果を得たい場合に添加することができる。し
かし、その含有量が8%を超えると、残留オーステナイ
トが多くなって耐食性が低下する。また、その含有量が
下式で求められる値未満では、熱間加工性が改善されな
い。よって、添加する場合のNi含有量は、8%以下
で、かつ(0.64×[%Cu]−0.15)以上とす
るのが望ましい。好ましい上限は、7%である。
Cu]−0.15)以上 Niは、必ずしも添加しなくてもよいが、Cu添加によ
る熱間加工性の劣化防止、強度と耐食性の向上、および
マルテンサイト単相を確保するのに有効な元素であり、
これらの効果を得たい場合に添加することができる。し
かし、その含有量が8%を超えると、残留オーステナイ
トが多くなって耐食性が低下する。また、その含有量が
下式で求められる値未満では、熱間加工性が改善されな
い。よって、添加する場合のNi含有量は、8%以下
で、かつ(0.64×[%Cu]−0.15)以上とす
るのが望ましい。好ましい上限は、7%である。
【0033】P:0.04%以下 Pは、鋼中に不可避的に含まれる不純物元素であり、そ
の含有量が0.04%を超えると耐硫化物応力腐食割れ
性が著しく劣化するので、その上限は0.04%とする
のが望ましい。好ましい上限は0.02%、より好まし
い上限は0.01%である。
の含有量が0.04%を超えると耐硫化物応力腐食割れ
性が著しく劣化するので、その上限は0.04%とする
のが望ましい。好ましい上限は0.02%、より好まし
い上限は0.01%である。
【0034】S:0.005%以下 Sは、上記のPと同様に、鋼中に不可避的に含まれる不
純物であり、耐硫化物応力腐食割れ性、熱間加工性を劣
化させる元素であるので、耐食性および熱間加工性の観
点からは少なければ少ない方がよい。しかし、過度の低
減は脱硫コストがかさみ、経済的でなく、その低減効果
は0.005%で飽和するので、その上限は0.005
%とするのが望ましい。好ましい上限は0.0008
%、より好ましい上限は0.0003%であり、この場
合には、硫化物系の非金属介在物が生成するのを抑制で
き、製管時に硫化物系の非金属介在物を起点として生じ
る疵の発生を防止することができる。
純物であり、耐硫化物応力腐食割れ性、熱間加工性を劣
化させる元素であるので、耐食性および熱間加工性の観
点からは少なければ少ない方がよい。しかし、過度の低
減は脱硫コストがかさみ、経済的でなく、その低減効果
は0.005%で飽和するので、その上限は0.005
%とするのが望ましい。好ましい上限は0.0008
%、より好ましい上限は0.0003%であり、この場
合には、硫化物系の非金属介在物が生成するのを抑制で
き、製管時に硫化物系の非金属介在物を起点として生じ
る疵の発生を防止することができる。
【0035】N:0.05%以下 Nは、上記のP、Sと同様に、鋼中に不可避的に含まれ
る不純物で、強度を高めて硫化物応力腐食割れ感受性を
高める元素であり、その含有量が0.05%を超える
と、強度が上昇しすぎて耐硫化物応力腐食割れ性が著し
く劣化するので、その上限は0.05%とするのが望ま
しい。好ましい上限は、0.02%である。
る不純物で、強度を高めて硫化物応力腐食割れ感受性を
高める元素であり、その含有量が0.05%を超える
と、強度が上昇しすぎて耐硫化物応力腐食割れ性が著し
く劣化するので、その上限は0.05%とするのが望ま
しい。好ましい上限は、0.02%である。
【0036】O(酸素):0.005%以下 Oは、上記のP、SおよびNと同様に、鋼中に不可避的
に含まれる不純物元素であり、熱間加工性を劣化させる
ので低ければ低いほどよい。しかし、過度の低減は、脱
酸コストがかさみ、経済的でなく、その含有量が0.0
05%以下であればを所望の熱間加工性が得られるの
で、その上限は0.005%とするのが望ましい。好ま
しい上限は、0.004%である。
に含まれる不純物元素であり、熱間加工性を劣化させる
ので低ければ低いほどよい。しかし、過度の低減は、脱
酸コストがかさみ、経済的でなく、その含有量が0.0
05%以下であればを所望の熱間加工性が得られるの
で、その上限は0.005%とするのが望ましい。好ま
しい上限は、0.004%である。
【0037】Mo、W、(Mo+0.5W):0.2〜
5% MoとWは、添加しなくてもよいが、Crの共存下で炭
酸ガス環境での耐局部腐食性を改善する作用を有する元
素であり、これらの効果を得たい場合にいずれか一方ま
たは両方を添加することができる。しかし、その含有量
が(Mo+0.5W)で0.2%未満では上記の効果が
得られず、5%を超えると効果が飽和するだけでなく、
Crとの相乗作用によりδフェライト相の生成を招いて
耐食性および熱間加工性が低下する。よって、添加する
場合のMoまたは/およびWの含有量は、(Mo+0.
5W)で0.2〜5%とするのが望ましい。好ましい範
囲は、0.5〜3%である。
5% MoとWは、添加しなくてもよいが、Crの共存下で炭
酸ガス環境での耐局部腐食性を改善する作用を有する元
素であり、これらの効果を得たい場合にいずれか一方ま
たは両方を添加することができる。しかし、その含有量
が(Mo+0.5W)で0.2%未満では上記の効果が
得られず、5%を超えると効果が飽和するだけでなく、
Crとの相乗作用によりδフェライト相の生成を招いて
耐食性および熱間加工性が低下する。よって、添加する
場合のMoまたは/およびWの含有量は、(Mo+0.
5W)で0.2〜5%とするのが望ましい。好ましい範
囲は、0.5〜3%である。
【0038】Ca、Mg、La、およびCe:いずれも
0.001〜0.05% これらの元素は、必ずしも添加含有させる必要はない
が、いずれの元素も鋼の熱間加工性を向上させるのに有
効であり、その効果を得たい場合にこれらのうちから選
ばれた1種または2種以上を添加することができる。し
かし、いずれの元素もその含有量が0.001%未満で
は上記の効果が得られず、0.05%を超えると粗大な
酸化物が生成し、耐食性が低下する。よって、添加する
場合の含有量は、いずれの元素も0.001〜0.05
%とするのが望ましい。好ましい範囲は、いずれの元素
も0.005〜0.03%である。
0.001〜0.05% これらの元素は、必ずしも添加含有させる必要はない
が、いずれの元素も鋼の熱間加工性を向上させるのに有
効であり、その効果を得たい場合にこれらのうちから選
ばれた1種または2種以上を添加することができる。し
かし、いずれの元素もその含有量が0.001%未満で
は上記の効果が得られず、0.05%を超えると粗大な
酸化物が生成し、耐食性が低下する。よって、添加する
場合の含有量は、いずれの元素も0.001〜0.05
%とするのが望ましい。好ましい範囲は、いずれの元素
も0.005〜0.03%である。
【0039】Ti、ZrおよびNb:いずれも0.01
〜0.5% これらの元素は、必ずしも添加する必要はないが、いず
れの元素もオーステナイト域での溶体化処理のままでの
強度を低下させるのに有効で、結果として耐硫化物応力
腐食割れ性を向上させる作用を有するので、この効果を
得たい場合にこれらのうちから選ばれた1種または2種
以上を添加することができる。しかし、いずれの元素も
その含有量が0.01%未満では、上記の効果が得られ
ず、0.5%を超えて添加してもその効果は飽和する。
よって、添加する場合の含有量は、いずれの元素も0.
01〜0.05%とするのが望ましい。好ましい範囲
は、いずれの元素も0.02〜0.35%である。
〜0.5% これらの元素は、必ずしも添加する必要はないが、いず
れの元素もオーステナイト域での溶体化処理のままでの
強度を低下させるのに有効で、結果として耐硫化物応力
腐食割れ性を向上させる作用を有するので、この効果を
得たい場合にこれらのうちから選ばれた1種または2種
以上を添加することができる。しかし、いずれの元素も
その含有量が0.01%未満では、上記の効果が得られ
ず、0.5%を超えて添加してもその効果は飽和する。
よって、添加する場合の含有量は、いずれの元素も0.
01〜0.05%とするのが望ましい。好ましい範囲
は、いずれの元素も0.02〜0.35%である。
【0040】上記の化学組成からなる本発明のマルテン
サイト系ステンレス鋼は、常法にしたがって溶製、鋳造
して得られた鋼片を素材とし、この素材に常法にしたが
って熱間塑性加工を加えて所定の製品形状に形成し、熱
間塑性加工の仕上げ工程後、直ちに、または一旦オース
テナイト域まで再加熱した後に空冷または急冷する溶体
化熱処理(焼入れ)を施すことによって製造する。
サイト系ステンレス鋼は、常法にしたがって溶製、鋳造
して得られた鋼片を素材とし、この素材に常法にしたが
って熱間塑性加工を加えて所定の製品形状に形成し、熱
間塑性加工の仕上げ工程後、直ちに、または一旦オース
テナイト域まで再加熱した後に空冷または急冷する溶体
化熱処理(焼入れ)を施すことによって製造する。
【0041】具体的には、製品が継目無鋼管で、例えば
マンネスマン−マンドレルミル方式により製造する場合
には、ストレッチレデューサーやサイザーなどの仕上げ
圧延機による仕上げ圧延後、直ちに、または一旦オース
テナイト域まで再加熱した後に空冷または急冷する溶体
化熱処理(焼入れ)を施して製造する。
マンネスマン−マンドレルミル方式により製造する場合
には、ストレッチレデューサーやサイザーなどの仕上げ
圧延機による仕上げ圧延後、直ちに、または一旦オース
テナイト域まで再加熱した後に空冷または急冷する溶体
化熱処理(焼入れ)を施して製造する。
【0042】また、上記の溶体化熱処理後、Cuの析出
温度(450℃)以下の温度域で熱処理すれば、Cuを
析出させずに最終製品の強度を調整することが可能であ
る。
温度(450℃)以下の温度域で熱処理すれば、Cuを
析出させずに最終製品の強度を調整することが可能であ
る。
【0043】
【実施例】表1に示す化学組成を有する10種類の鋼を
溶製し、一辺50mmの断面矩形のインゴットを製造し
た。これらのインゴットを1200℃に加熱後、熱間鍛
造と熱間圧延を施して厚さ10mmの板材に成形した。
溶製し、一辺50mmの断面矩形のインゴットを製造し
た。これらのインゴットを1200℃に加熱後、熱間鍛
造と熱間圧延を施して厚さ10mmの板材に成形した。
【0044】
【表1】
【0045】その後、得られた各板材を1000℃に1
5分間加熱保持後、水冷する溶体化処理(焼入れ)を施
して供試材とした。そのうち、No. 11の鋼からなる板
材については、比較のために、上記の溶体化処理(焼入
れ)後に、600℃に30分間加熱保持後に空冷する焼
戻し処理を施して供試材とした。
5分間加熱保持後、水冷する溶体化処理(焼入れ)を施
して供試材とした。そのうち、No. 11の鋼からなる板
材については、比較のために、上記の溶体化処理(焼入
れ)後に、600℃に30分間加熱保持後に空冷する焼
戻し処理を施して供試材とした。
【0046】そして、これら各鋼からなる供試材の耐硫
化物応力腐食割れ性を次に述べる方法により調べた。な
お、No. 11の鋼の固溶状態のCu含有量は、サーモカ
ルクにより求めた計算状態図から求めた。
化物応力腐食割れ性を次に述べる方法により調べた。な
お、No. 11の鋼の固溶状態のCu含有量は、サーモカ
ルクにより求めた計算状態図から求めた。
【0047】《耐硫化物応力腐食割れ性試験》上記の各
供試板材から、図1に示す形状、寸法の試験片1をそれ
ぞれ2個づつ採取し、この試験片1を図2の(a)に示
す曲げ付与治具3にセットして所定の曲げ量yを付与し
た状態で、温度が25℃の雰囲気が「0.003atm
H2 S−30atmCO2 」で5%NaClの腐食水溶
液中に336時間浸漬する。
供試板材から、図1に示す形状、寸法の試験片1をそれ
ぞれ2個づつ採取し、この試験片1を図2の(a)に示
す曲げ付与治具3にセットして所定の曲げ量yを付与し
た状態で、温度が25℃の雰囲気が「0.003atm
H2 S−30atmCO2 」で5%NaClの腐食水溶
液中に336時間浸漬する。
【0048】その後、試験片1を取り出し、その外観観
察と試験片断面の光学顕微鏡観察によって割れの発生の
有無を調査し、割れが認められなかったものを「○」、
割れが認められたものを「×」として評価した。
察と試験片断面の光学顕微鏡観察によって割れの発生の
有無を調査し、割れが認められなかったものを「○」、
割れが認められたものを「×」として評価した。
【0049】なお、試験片1には、図2の(b)に示す
各部の寸法に基づいて、下式で表される曲げ応力σが、
各供試鋼の0.2%耐力になるように曲げ量yを付与し
た。
各部の寸法に基づいて、下式で表される曲げ応力σが、
各供試鋼の0.2%耐力になるように曲げ量yを付与し
た。
【0050】σ=Ety{(2/3)L1 2+L1×L2+
(1/4)L2 2}-1 ここで、 E :ヤング率(kg/mm2)、 y :曲げ量(mm)、 L1 、L2:曲げ支点間距離(mm)、 t :試験片厚さ(mm) 以上の結果を、表1に併記して示した。
(1/4)L2 2}-1 ここで、 E :ヤング率(kg/mm2)、 y :曲げ量(mm)、 L1 、L2:曲げ支点間距離(mm)、 t :試験片厚さ(mm) 以上の結果を、表1に併記して示した。
【0051】表1に示す結果から明らかなように、本発
明例の鋼(No. 1〜7)は、耐硫化物応力腐食割れ性が
良好であった。
明例の鋼(No. 1〜7)は、耐硫化物応力腐食割れ性が
良好であった。
【0052】これに対し、比較例の鋼のうち、添加Cu
量が少なく、固溶Cu量が0.18%と少なく本発明で
規定する範囲を外れる鋼(No. 8)は、硫化物応力腐食
割れが発生した。
量が少なく、固溶Cu量が0.18%と少なく本発明で
規定する範囲を外れる鋼(No. 8)は、硫化物応力腐食
割れが発生した。
【0053】また、固溶Cu量は本発明で規定する範囲
内であるが、Cr含有量が6.8%と少なく本発明で規
定する範囲を外れる鋼(No. 9)は耐食性が十分でない
ために、C含有量が0.061%と高く本発明で規定す
る範囲を外れる鋼(No. 10)は強度が高すぎるため
に、いずれも硫化物応力腐食割れが発生した。
内であるが、Cr含有量が6.8%と少なく本発明で規
定する範囲を外れる鋼(No. 9)は耐食性が十分でない
ために、C含有量が0.061%と高く本発明で規定す
る範囲を外れる鋼(No. 10)は強度が高すぎるため
に、いずれも硫化物応力腐食割れが発生した。
【0054】さらに、添加Cu量は多いが、600℃で
焼き戻し処理を施したために添加Cuのほぼ全量が析出
してしまい、固溶Cu量が0.1%で本発明で規定する
範囲を外れる鋼(No. 11)は、硫化物応力腐食割れ性
が発生した。
焼き戻し処理を施したために添加Cuのほぼ全量が析出
してしまい、固溶Cu量が0.1%で本発明で規定する
範囲を外れる鋼(No. 11)は、硫化物応力腐食割れ性
が発生した。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、塩化物イオン、炭酸ガ
スおよび硫化水素ガスが共存する苛酷な環境中で十分な
耐食性、特に耐硫化物応力腐食割れ性を発揮するマルテ
ンサイト系ステンレス鋼が提供できる。また、マルテン
サイト系ステンレス鋼は、溶体化熱処理、すなわち焼入
れ処理のみで製造することが可能で、熱処理工程の簡略
化が図れるので、製品の製造コスト低減が図れる。
スおよび硫化水素ガスが共存する苛酷な環境中で十分な
耐食性、特に耐硫化物応力腐食割れ性を発揮するマルテ
ンサイト系ステンレス鋼が提供できる。また、マルテン
サイト系ステンレス鋼は、溶体化熱処理、すなわち焼入
れ処理のみで製造することが可能で、熱処理工程の簡略
化が図れるので、製品の製造コスト低減が図れる。
【図1】実施例で用いた切欠き付き4点曲げ試験片の形
状、寸法を示す模式図で、同図(a)は側面図、同図
(b)は平面図、同図(c)は切欠き部の拡大側面図で
ある。
状、寸法を示す模式図で、同図(a)は側面図、同図
(b)は平面図、同図(c)は切欠き部の拡大側面図で
ある。
【図2】曲げ付与治具と試験片との関係を示す図で、同
図(a)はセット状態を示す正面図、同図(b)は曲げ
付与状態を示す図である。
図(a)はセット状態を示す正面図、同図(b)は曲げ
付与状態を示す図である。
1:試験片、 2:切欠き、 3:曲げ付与治具。
Claims (8)
- 【請求項1】重量%で、C:0.05%以下、Cr:7
〜15%を含有し、かつ固溶状態のCu含有量が0.2
5〜5%であることを特徴とする耐食性に優れた油井用
マルテンサイト系ステンレス鋼。 - 【請求項2】さらに、重量%で、Si:1%以下、M
n:5%以下、Al:0.001〜0.1%および8%
以下の範囲内で下式を満たす量のNiを含有することを
特徴とする請求項1に記載の耐食性に優れた油井用マル
テンサイト系ステンレス鋼。 Ni≧0.64×Cu−0.15 ここで、元素記号は鋼中のそれぞれの元素の含有量(重
量%)を表す。 - 【請求項3】鋼中の不純物中のP、S、NおよびOが、
それぞれ0.04%以下、0.005%以下、0.05
%以下、0.005%以下であることを特徴とする請求
項1または2に記載の耐食性に優れた油井用マルテンサ
イト系ステンレス鋼。 - 【請求項4】さらに、重量%で、Mo+0.5W:0.
2〜5%を満たすMoおよび/またはWを含有すること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐食性に
優れた油井用マルテンサイト系ステンレス鋼。 - 【請求項5】さらに、重量%で、Ca:0.001〜
0.05%、Mg:0.001〜0.05%、La:
0.001〜0.05%およびCe:0.001〜0.
05%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有す
ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐
食性に優れた油井用マルテンサイト系ステンレス鋼。 - 【請求項6】さらに、重量%で、Ti:0.01〜0.
5%、Zr:0.01〜0.5%およびNb:0.01
〜0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
記載の耐食性に優れた油井用マルテンサイト系ステンレ
ス鋼。 - 【請求項7】重量%で、C:0.05%以下、Cr:7
〜15%、Cu:0.25〜5%を含有するマルテンサ
イト系ステンレス鋼をオーステナイト温度域に加熱保持
した後、空冷または急冷する固溶化熱処理を施し、その
まま製品とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれ
かに記載の耐食性に優れた油井用マルテンサイト系ステ
ンレス鋼の製造方法。 - 【請求項8】上記の固溶化熱処理後に、強度調整のため
の熱処理をCuの析出温度以下の温度域で施すことを特
徴とする請求項7に記載の耐食性に優れた油井用マルテ
ンサイト系ステンレス鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11657398A JPH11310855A (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 耐食性に優れた油井用マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11657398A JPH11310855A (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 耐食性に優れた油井用マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11310855A true JPH11310855A (ja) | 1999-11-09 |
Family
ID=14690467
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11657398A Pending JPH11310855A (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 耐食性に優れた油井用マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH11310855A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1514950A4 (en) * | 2002-06-19 | 2005-07-20 | Jfe Steel Corp | STAINLESS STEEL PIPE FOR OIL WELLS AND PROCESS FOR PRODUCING THE PIPE |
| US7767039B2 (en) | 2003-07-22 | 2010-08-03 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Martensitic stainless steel |
| JP2015094004A (ja) * | 2013-11-12 | 2015-05-18 | 新日鐵住金株式会社 | マルテンサイト系Cr含有鋼材 |
| WO2018181404A1 (ja) | 2017-03-28 | 2018-10-04 | 新日鐵住金株式会社 | マルテンサイトステンレス鋼材 |
| WO2020067247A1 (ja) | 2018-09-27 | 2020-04-02 | 日本製鉄株式会社 | マルテンサイトステンレス鋼材 |
-
1998
- 1998-04-27 JP JP11657398A patent/JPH11310855A/ja active Pending
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1514950A4 (en) * | 2002-06-19 | 2005-07-20 | Jfe Steel Corp | STAINLESS STEEL PIPE FOR OIL WELLS AND PROCESS FOR PRODUCING THE PIPE |
| US7842141B2 (en) | 2002-06-19 | 2010-11-30 | Jfe Steel Corporation | Stainless-steel pipe for oil well and process for producing the same |
| US7767039B2 (en) | 2003-07-22 | 2010-08-03 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Martensitic stainless steel |
| JP2015094004A (ja) * | 2013-11-12 | 2015-05-18 | 新日鐵住金株式会社 | マルテンサイト系Cr含有鋼材 |
| WO2018181404A1 (ja) | 2017-03-28 | 2018-10-04 | 新日鐵住金株式会社 | マルテンサイトステンレス鋼材 |
| WO2020067247A1 (ja) | 2018-09-27 | 2020-04-02 | 日本製鉄株式会社 | マルテンサイトステンレス鋼材 |
| US11834725B2 (en) | 2018-09-27 | 2023-12-05 | Nippon Steel Corporation | Martensitic stainless steel material |
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