JPH11322946A - セルローストリアセテート溶液の調製方法、セルローストリアセテートフィルムの製造方法及びセルローストリアセテートフィルム - Google Patents

セルローストリアセテート溶液の調製方法、セルローストリアセテートフィルムの製造方法及びセルローストリアセテートフィルム

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JPH11322946A
JPH11322946A JP13199998A JP13199998A JPH11322946A JP H11322946 A JPH11322946 A JP H11322946A JP 13199998 A JP13199998 A JP 13199998A JP 13199998 A JP13199998 A JP 13199998A JP H11322946 A JPH11322946 A JP H11322946A
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孝敏 矢島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルローストリアセテートの溶媒としてのメ
チレンクロライドのような塩素系有機溶媒を使用せず、
しかも冷却溶解方法にもよらず、出来るだけ常温に近い
状態でセルローストリアセテート溶液を調製し、セルロ
ーストリアセテートフィルムを作製する方法及びそれに
より作られたセルローストリアセテートフィルムを提供
する。 【解決手段】 平均酢化度が58.0〜62.5%のセ
ルローストリアセテートを含み、炭素原子数3〜12の
エステル、炭素原子数4〜12のケトン及び炭素原子数
3〜12のエーテルから選ばれる少なくとも一つの非塩
素系有機溶媒を主成分とする有機溶媒とを含む混合物
を、10〜5000kgf/cm2の圧力下で処理する
工程と、処理した混合物を0.1〜10kgf/cm2
圧力下で処理する工程を経ることを特徴とするセルロ
ーストリアセテート溶液の調製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化銀写真感
光材料や液晶画像表示装置等に有用なフィルムに用いる
セルローストリアセテート溶液の調製方法、セルロース
トリアセテートフィルムの製造方法及びセルローストリ
アセテートフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ハロゲン化銀写真感光材料や液晶
画像表示装置に使用されるセルローストリアセテートフ
ィルムを製造する際に使用されるセルローストリアセテ
ート溶液の有機溶媒にメチレンクロライドのようなハロ
ゲン化炭化水素が使用されている。メチレンクロライド
(沸点41℃)は従来からセルローストリアセテートの
良溶媒として用いられ、製造工程の製膜及び乾燥工程に
おいて沸点が低いため乾燥させ易いという利点から好ま
しく使用されている。逆にメチレンクロライドは沸点の
低さから揮散しやすく、密閉設備からのもれも若干あり
回収にも限界があり、完全に大気中への散逸を防ぎきれ
ないという問題もある。最近、地球環境保護が重要視さ
れはじめ、この種のハロゲン化炭化水素の使用が規制さ
れて来ており、メチレンクロライドの使用も制限されは
じめて来ており、これらの問題により、当業者はメチレ
ンクロライド以外のセルローストリアセテートの溶媒の
開発が要望されている。
【0003】セルロースアセテートに対して溶解性を示
す有機溶媒として知られているものには、アセトン(沸
点:56℃)、酢酸メチル(沸点:56.3℃)、テト
ラヒドロフラン(沸点:65.4℃)、1,3−ジオキ
ソラン(沸点:75℃)、ニトロメタン(沸点:101
℃)、1,4−ジオキサン(沸点:101℃)、エピク
ロルヒドリン(沸点:116℃)、N−メチルピロリド
ン(沸点:202℃)などがある。これらの有機溶媒は
実際に溶解試験を行ってみると必ずしも良溶媒とは言い
難いものもあり、また爆発などの懸念のあるもの、沸点
が高いもの等実用に供し得るものはほとんどなかった。
【0004】上記有機溶媒の中で、沸点の低いアセトン
は通常の方法ではセルローストリアセテートを膨潤させ
るだけで、溶解させるまでには至らなかったが、近年、
セルローストリアセテートをアセトンに溶解させて繊維
やフィルムを作る試みがなされるようになって来た。
【0005】J.M.G.Cowie等はMakrom
ol.chem.、143巻、105頁(1971)に
おいてセルローストリアセテート(酢化度60.1〜6
1.3%)をアセトン中−80〜−70℃に冷却した
後、加温することによって0.5〜5重量%に溶解して
いる希薄溶液が得られたと報告している。このような低
温で溶解する方法を冷却溶解方法という。また、上出健
二等は繊維機械学会誌、34巻、57−61頁(198
1)の「三酢酸セルロースのアセトン溶液からの乾式紡
糸」の中で冷却溶解方法を用いて紡糸技術について述べ
ている。
【0006】また、特開平9−95544号及び同9−
95557号公報では、上記の技術を背景に、アセトン
と他の有機溶媒を用いて冷却溶解方法をフィルム製造に
適用することを提案している。
【0007】特開平9−95538号公報にはアセトン
以外のエーテル類、ケトン類あるいはエステルから選ば
れる有機溶媒を用いた冷却溶解方法によりセルロースト
リアセテートフィルムを溶解し、フィルムを作製してお
り、これらの有機溶媒としては2−メトキシエチルアセ
テート、シクロヘキサノン、ギ酸エチル及び酢酸メチル
が好ましいとしている。この方法ではまた、セルロース
トリアセテートの低重合度部分を前もって取り除かない
と、調製されたセルローストリアセテート溶液の透明性
や安定性の再現性に乏しいとしている。
【0008】これら上記の冷却溶解方法では、セルロー
ストリアセテートと有機溶媒との混合物を−70℃程度
に冷却する必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、セルローストリアセテートの溶媒としてのメチレン
クロライドのような塩素系有機溶媒の使用をしかも冷却
溶解方法にもよらない出来るだけ常温に近い状態でセル
ローストリアセテート溶液を調製し、セルローストリア
セテートフィルムを作製する方法及びそれにより作られ
たセルローストリアセテートフィルムを提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記の(1)の高圧溶解方法によりセルローストリアセテ
ート溶液を調製することにより達成される。
【0011】(1)平均酢化度が58.0〜62.5%
のセルローストリアセテートを含み、炭素原子数3〜1
2のエステル、炭素原子数4〜12のケトン及び炭素原
子数3〜12のエーテルから選ばれる少なくとも一つの
非塩素系有機溶媒を主成分とする有機溶媒とを含む混合
物を、10〜5000kgf/cm2の圧力下で処理す
る工程と、処理した混合物を0.1〜10kgf/cm
2圧力下で処理する工程を経ることを特徴とするセルロ
ーストリアセテート溶液の調製方法。
【0012】(2)非塩素系有機溶媒が酢酸メチルであ
ることを特徴とする(1)に記載のセルローストリアセ
テート溶液の調製方法。
【0013】(3)有機溶媒が炭素原子数1〜6のアル
コールを含有することを特徴とする(1)または(2)
に記載のセルローストリアセテート溶液の調製方法。
【0014】(4)前記圧力を静水圧法により付加する
ことを特徴とする(1)乃至(3)の何れか1項に記載
のセルローストリアセテート溶液の調製方法。
【0015】(5)セルローストリアセテートの粘度平
均重合度が220〜550であることを特徴とする
(1)乃至(4)の何れか1項に記載のセルローストリ
アセテート溶液の調製方法。
【0016】(6)セルローストリアセテート溶液中の
セルローストリアセテートの濃度が15〜35重量%で
あることを特徴とする(1)乃至(5)の何れか1項に
記載のセルローストリアセテート溶液の調製方法。
【0017】(7)可塑剤をセルローストリアセテート
に対して5〜30重量%添加することを特徴とする
(1)乃至(6)の何れか1項に記載のセルローストリ
アセテート溶液の調製方法。
【0018】(8)(1)乃至(7)の何れか1項に記
載のセルローストリアセテート溶液を用いて、溶液流延
製膜方法により製膜することを特徴とするセルロースト
リアセテートフィルムの製造方法。
【0019】(9)(8)に記載の方法により製膜され
たセルローストリアセテートフィルム。
【0020】以下、本発明を詳述する。
【0021】本発明に使用するセルローストリアセテー
トは59.0〜62.5%の酢化度を有するものであ
る。酢化度はセルロースの水酸基に酢酸が反応した酢酸
(CH3COOH)の重量を%で表したもので、最高に
反応した場合が62.5%である。酢化度の測定はAS
TMのD−817−91のセルロースアセテート等の試
験方法に記載されている方法によって測定できる。
【0022】本発明に使用されるセルローストリアセテ
ートの重合度(粘度平均)は220以上550以下のも
のが好ましい。一般に使用されているセルローストリア
セテートの粘度平均重合度は大凡200〜600のもの
である。粘度平均重合度はオストワルド粘度計で測定す
ることができ、測定されたセルローストリアセテートの
固有粘度[η]から下記の式により求められる。
【0023】DP=[η]/Km 式中:DPは粘度平均重合度、Kmは定数6×10-4 セルローストリアセテートから作られるフィルム、繊維
又は成型品は、機械的強度がタフであることが要求され
るため、機械的強度が安定的に得られる粘度平均重合度
は200以上あることが必要とされており、祖父江寛、
右田伸彦編「セルロースハンドブック」朝倉書房(19
58)や、丸沢廣、宇田和夫編「プラスチック材料講座
17」日刊工業新聞社(1970)に同様なことが記載
されている。
【0024】本発明に用いられるセルローストリアセテ
ートは写真用グレードのものが好ましく、市販の写真用
グレードのものは粘度平均重合度、酢化度、低分子量成
分量等の品質を満足して入手することが出来る。写真用
グレードのセルローストリアセテートメーカーとしては
ダイセル(株)、コートルズ社、ヘキスト社、イースト
マンコダック社等があり、いずれもの写真グレードのセ
ルローストリアセテートも使用出来る。
【0025】本発明の非塩素系有機溶媒とは、メチレン
クロライドのような塩素系の有機溶媒を実質的に含まな
い有機溶媒であって、その主成分が炭素原子数3〜12
のエステル、炭素原子数4〜12のケトン及び炭素原子
数3〜12のエーテルから選ばれる少なくとも一つの非
塩素系有機溶媒である。塩素系有機溶媒を実質的に含ま
ないとは全有機溶媒中の含有率が混合溶媒中5重量%以
下(好ましくは2重量%以下)であることを意味するも
のである。炭素原子数が3〜12のエステル類として
は、例えば、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ペンチ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチ
ル、酢酸ペンチル及び2−エトキシ−エチルアセテート
等を挙げることが出来、炭素原子数が4〜12のケトン
類としては、例えば、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチ
ルシクロヘキサノン等を挙げることが出来、また、炭素
原子数が3〜12のエーテル類としては、例えば、ジイ
ソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエ
タン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テ
トラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等を挙
げることが出来る。
【0026】また、本発明の有機溶媒には、炭素原子数
が1〜6のアルコール類を添加するのが好ましい。これ
らのアルコール類を上記非塩素系有機溶媒に混合したセ
ルローストリアセテート溶液(以降、セルローストリア
セテート溶液をドープと呼ぶことがある)は、製膜時に
溶液流延製膜装置の支持体上に流延された後、有機溶媒
が蒸発しはじめるとドープが流動性を失い、実質的に製
膜速度を早くさせたり、平面性等品質のよいフィルムを
作るのに適している。炭素原子数1〜6のアルコール類
としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、イソ−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタ
ノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メトキシエ
タノール、2−ブトキシエタノール及びシクロヘキサノ
ール等を挙げることが出来る。これら2種以上を併用し
てもよい。
【0027】このような効果のある有機溶媒としては、
炭素原子数が5から8までの環状炭化水素類があり、こ
れらもアルコール類と同様に、好ましく用いることが出
来る。例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、
シクロヘプタン及びシクロオクタン等を挙げることが出
来る。
【0028】本発明に用いるドープには、上記本発明の
有機溶媒以外に、フルオロアルコールを本発明の全有機
溶媒量の10重量%以下含有させることもフィルムの透
明性を向上させたり、溶解性を早めたりする上で好まし
い。フルオロアルコールとしては沸点が165℃以下の
ものがよく、好ましくは111℃以下がよく、更に80
℃以下が好ましい。フルオロアルコールは炭素原子数が
2から10程度、好ましくは2から8程度のものがよ
い。また、フルオロアルコールはフッ素原子含有脂肪族
アルコールで、置換基があってもなくてもよい。置換基
としてはフッ素原子含有或いはなしの脂肪族置換基、芳
香族置換基などがよい。このようなフルオロアルコール
は例えば、(以下括弧内は沸点である)2−フルオロエ
タノール(103℃)、2,2,2−トリフルオロエタ
ノール(80℃)、2,2,3,3−テトラフルオロ−
1−プロパノール(109℃)、1,3−ジフルオロ−
2−プロパノール(55℃)、1,1,1,3,3,3
−ヘキサ−2−メチル−2−プロパノール(62℃)、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパ
ノール(59℃)、2,2,3,3,3−ペンタフルオ
ロ−1−プロパノール(80℃)、2,2,3,4,
4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール(114
℃)、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−
1−ブタノール(97℃)、パーフルオロ−tert−
ブタノール(45℃)、2,2,3,3,4,4,5,
5−オクトフルオロ−1−ペンタノール(142℃)、
2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペ
ンタンジオール(111.5℃)、3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオ
ロ−1−オクタノール(95℃)、2,2,3,3,
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタ
デカフルオロ−1−オクタノール(165℃)、1−
(ペンタフルオロフェニル)エタノール(82℃)、
2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルアルコー
ル(115℃)、などが含まれる。これらのフルオロア
ルコールは一種又は二種以上使用してもよい。
【0029】本発明の非塩素系有機溶媒を主成分とする
有機溶媒にセルローストリアセテートを加圧溶解する高
圧溶解方法について述べる。まず加圧容器中の非塩素系
有機溶媒を主成分とする有機溶媒にセルローストリアセ
テートを加え混合物に、10〜5000kg/cm2
加圧を行い処理し、次に0.1〜10kgf/cm2
圧力を低下させ、好ましくは常圧に戻すことによってセ
ルローストリアセテートを溶解しドープを調製すること
が出来る。
【0030】本発明の高圧溶解方法の加圧方法及び加圧
装置としては、加圧出来る装置で行う方法であれば特に
制限はないが、加圧処理装置としては、ドープを取り出
すことが容易で、かつ10〜5000kg/cm2の圧
力を加えることの出来る装置であればよい。本発明の高
圧溶解方法の加圧圧力は10〜5000kg/cm2
範囲であるが、好ましくは50〜4000kg/cm2
で、さらに好ましくは100〜2000kg/cm2
ある。本発明に適した加圧方法及び加圧装置は他業界で
使用されている方法及び装置が使用出来、例えばセラミ
ックの成型などに用いられる静水圧加圧法(Cold
Isosatatic Press、略してCIP、あ
るいはラバープレス法もこれに含まれる)が安全に高圧
を加えることが可能な方法及び設備として好ましい。こ
の静水圧による加圧方法及び装置はセルローストリアセ
テートと有機溶媒の混合物に対して均一に全方向から静
水圧を加えることが出来、優れた溶解状態のセルロース
トリアセテート溶液が得られるので好ましいものであ
る。静水圧加圧法において混合物を封入する容器の材質
にはゴムや圧力で容易に変形し得る金属、例えばアルミ
ニウム容器を用いてもよい。またゴムのような変形し易
い密閉容器中に混合物を封じ込み、静水圧を加えながら
密閉容器中を移動し移送する方法により断続的に調製す
る方法もとることが出来る。また、上下にスライド可能
な蓋を有する容器の中に混合物を入れ、蓋を押し込むこ
とにより混合物を圧縮する手段も取ることが出来る。ま
た加圧型押出機を用いて、混合物を混練して押し出して
もよい。本発明のセルローストリアセテート溶液の調製
中に加圧処理を断続的に行ってもよく、加圧処理とそれ
よりの減圧(好ましくは常圧処理)とを繰り返すことに
よって溶解速度を増すことも出来る。加圧装置には撹拌
装置が装備されていても、なくてもよい。
【0031】本発明において、セルローストリアセテー
トと有機溶媒との混合物を溶解するに当たり、加圧する
前に混合物を放置して、例えば、1昼夜、膨潤状態にし
ておいてから加圧処理しても、混合直後に加圧処理して
もかまわないが、加圧溶解装置に余裕がある場合には後
者が好ましい。
【0032】本発明のセルローストリアセテート溶液の
調製に係わる加圧処理時間については圧力が高ければ1
分以上あれば溶解するのに問題はなく、また120時間
より多い時間では本発明の目的は損なわないものの、時
間が長すぎて作業性が悪く好ましくないので120時間
以下が好ましいが、更に好ましくは10〜15時間、特
に好ましくは30〜8時間である。
【0033】本発明に係わる溶液を調製する温度につい
ては特に制限ないが、常温付近で十分に本発明の目的を
達成できる。
【0034】本発明のドープ中のセルローストリアセテ
ートの濃度は10〜40重量%となるように調製され
る。好ましくは15〜35重量%である。溶解段階で
は、1〜10重量%であってもよく、その後流延するド
ープの粘度まで、濃縮してもよい。濃縮方法について
は、特に制限はないが、例えば、低濃度溶液を、筒とそ
の内部の円周方向に回転する回転羽根の外周との回転軌
跡との間に導くと共に、溶液との間に温度差を与えて有
機溶媒を蒸発させながら高濃度溶液を得る方法(例え
ば、特開平4−259511号公報)、加熱した低濃度
溶液をノズルから容器内に吹き込み、溶液をノズルから
容器内壁に当たるまでの間で有機溶媒をフラッシュ蒸発
させると共に、有機溶媒を容器から抜き出し、高濃度溶
液を容器の底から抜き出す方法(例えば、米国特許第
2,541,012号、同2,858,229号、同
4,414,341号、同4,504,355号等明細
書)などに記載の方法で実施出来る。このように、低濃
度で高圧溶解するドープの経時安定性を向上することが
出来るし、未溶解物等の異物を効率よく除去することが
出来る。
【0035】本発明のセルローストリアセテート溶液に
は各調製工程において用途に応じた種々の添加剤を加え
ることができる。またその添加する時期はドープ調製工
程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程
の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加え
て行ってもよい。ハロゲン化銀写真感光材料用のセルロ
ースアシレートフィルムには機械的性質の向上或いは耐
水性を付与するために可塑剤やライトパイピング防止用
の着色剤或いは紫外線防止剤が、また液晶画面表示装置
用には耐熱耐湿性を付与する酸化防止剤などを添加する
ことが好ましい。
【0036】可塑剤としては、リン酸エステル、カルボ
ン酸エステル、グリコール酸エステルなどが好ましく用
いられる。リン酸エステルの例としては、トリフェニル
ホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジ
フェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェー
ト、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチル
ホスフェート、トリブチルホスフェートなどがあり、カ
ルボン酸エステルの例としては、ジメチルフタレート、
ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチル
フタレート、ジエチルヘキシルフタレート、クエン酸ア
セチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、オレ
イン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン
酸ジブチル、トリメリット酸エステルなどがあり、グリ
コール酸エステルの例としては、トリアセチン、トリブ
チリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフ
タリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリ
コレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどがあ
る。中でもトリフェニルホスフェート、トリクレジルホ
スフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリブ
チルホスフェート、ジメチルフタレート、ジエチルフタ
レート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、
ジエチルヘキシルフタレート、トリアセチン、エチルフ
タリルエチルグリコレートが好ましい。特にトリフェニ
ルホスフェート、ジエチルフタレート、エチルフタリル
エチルグリコレートが好ましい。これらの可塑剤は1種
でもよいし2種以上併用してもよい。可塑剤の添加量は
セルロースアシレートに対して5〜30重量%以下、特
に8〜16重量%以下が好ましい。これらの化合物は、
セルロースアシレート溶液の調製の際に、セルロースア
シレートや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や
調製後に添加してもよい。
【0037】更に下記一般式(I)(II)又は(III)
で示される化合物を添加してもよい。
【0038】
【化1】
【0039】一般式(I)、(II)、(III)の式中、
Rは、それぞれ炭素原子数が1以上4以下のアルキル基
である。上記一般式(I)、(II)又は(III)で示さ
れる化合物の例としては、リン酸2,2′−メチレンビ
ス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウ
ム(アデカスタブNA−10、旭電化(株)製)及びビ
ス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール(NC−
4、三井東圧化学(株)製)が含まれる。
【0040】酸化防止剤としては、下記一般式(IV)で
表されるものが用いられる。
【0041】
【化2】
【0042】一般式(IV)のR1はアルキル基を表し、
2、R3及びXは、それぞれ水素原子、アルキル基、ア
ルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、
アルケノキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、
アルケニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環オキシ
基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルバモイル基、スルフ
ァモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ
カルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ア
シル基、アシルオキシ基を表す。mは0〜2の整数を表
す。R2、R3及びXは互いに同一でもよいし異なってい
てもよい。上記アルキル基は、例えば、メチル、エチ
ル、プロピル、iso−プロピル、tert−ブチル、
シクロヘキシル、tert−ヘキシル、tert−オク
チル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジ
ルなどの直鎖、分岐、又は環状のアルキル基を表し、上
記アルケニル基は、例えば、ビニル、アリル、2−ペン
テニル、シクロヘキセニル、ヘキセニル、ドデセニル、
オクタデセニルなどの直鎖、分岐、又は環状のアルケニ
ル基を表し、上記アリール基は、例えば、フェニル、ナ
フチル、アントラニルなどのベンゼン単環や縮合多環の
アリール基を表し、上記ヘテロ環基は、例えば、フリ
ル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、プリニル、ク
ロマニル、ピロリジル、モルホリニルなどの窒素原子、
硫黄原子、酸素原子の少なくとも一つを含む5〜7員環
からなる基を表す。中でもヒンダードフェノール系の化
合物が好ましく、2,6−ジ−tert−ブチル−p−
クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビ
ス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサ
ンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,
4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,
3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス
〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒ
ドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,
6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシア
ヌレイトなどが挙げられる。特に2,6−ジ−tert
−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テト
ラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレング
リコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が最
も好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニル〕ヒドラジンなどのヒドラジン系の金属不
活性剤やトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)フォスファイトなどの燐系加工安定剤を併用しても
よい。これらの化合物の添加量は、セルロースアシレー
トに対して重量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、
10〜1000ppmが更に好ましい。
【0043】ライトパイピング防止用の着色剤としては
下記一般式(V)、(VI)に示す化合物が挙げられる。
【0044】
【化3】
【0045】一般式(V)、(VI)の式中、Xは酸素原
子、又は、NR23を表す。R1〜R8、R12〜R23は、そ
れぞれ水素原子、水酸基、脂肪族基、芳香族基、複素環
基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、COR9、C
OOR9、NR910、NR10COR11、NR10SO2
11、CONR910、SO2NR910、COR11、SO2
11、OCOR11、NR9CONR1011、CONHS
211、又はSO2NHCOR11を表し、R9、R10
それぞれ水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表
し、R11は脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。
【0046】R1〜R23で表される脂肪族基は、炭素数
1〜20のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−
ブチル、イソプロピル、2−エチルヘキシル、n−デシ
ル、n−オクタデシル)、炭素数1〜20のシクロアル
キル基(例えば、シクロベンジル、シクロヘキシル)又
はアリル基を表し、これらは更に置換基(例えば、ハロ
ゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボン酸
基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数0〜20のア
ミノ基、炭素数1〜20のアミド基、炭素数1〜20の
カルバモイル基、炭素数2〜20のエステル基、炭素数
1〜20のアルコキシ基又はアリーロキシ基、炭素数1
〜20のスルホンアミド基、炭素数0〜20のスルファ
モイル基、5又は6員の複素環を有していてもよい。R
1〜R23で表される芳香族基は炭素数6〜10のフェニ
ル、ナフチルなどのアリール基を表し、前記に挙げた置
換基及び炭素数1〜20のメチル、エチル、n−ブチ
ル、tert−ブチル、オクチルなどのアルキル基から
なる置換基を有していてもよい。R1〜R11で表される
複素環基は、5又は6員の複素環を表し、前記の置換基
を有していてもよい。以下化4〜化9に一般式(V)、
(VI)で表される化合物の好ましい例(V−1)〜(V
−25)、及び(VI−1)〜(VI−4)を示す。
【0047】
【化4】
【0048】
【化5】
【0049】
【化6】
【0050】
【化7】
【0051】
【化8】
【0052】
【化9】
【0053】着色剤の含有量は、セルロースアシレート
に対する重量割合で10〜1000ppmが好ましく、
50〜500ppmが更に好ましい。この様に着色剤を
含有させることにより、セルロースアシレートフィルム
のライトパイピングが減少でき、黄色味を改良すること
ができる。これらの化合物は、セルロースアシレート溶
液の調製の際に、セルロースアシレートや溶媒と共に添
加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよ
い。
【0054】また、本発明のセルロースアシレート溶液
には、必要に応じて更に種々の添加剤を溶液の調製前か
ら調製後のいずれの段階で添加してもよい。添加剤とし
ては、紫外線吸収剤、カオリン、タルク、ケイソウ土、
石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ア
ルミナなどの無機微粒子、カルシウム、マグネシウムな
どのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤、帯電防止
剤、難燃剤、滑剤、油剤などである。
【0055】本発明のドープを用いたセルローストリア
セテートフィルムの製膜方法について述べる。
【0056】本発明のセルローストリアセテートフィル
ムを製造する設備としては従来セルローストリアセテー
トフィルムの製造に用いられている溶液流延製膜法のも
のが利用できる。その設備と製造方法の概略を述べる
と、前述の調製装置で調製されたドープは、例えば回転
数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポン
プを通して加圧型ダイに送られる。精密ギヤポンプから
加圧ダイに送り込まれたドープは加圧型ダイの口金(ス
リット)からエンドレスに回転している支持体の上に均
一に流延され、支持体がほぼ一周したところで、生乾き
のフィルム(ウェブ)として支持体から、回転している
ロール群に通されながら乾燥され、乾燥されたフィルム
は搬送後巻き取り機で所定の長さに巻き取られる。
【0057】本発明に有用な流延方法としては、調製さ
れたドープを加圧ダイから支持体上に均一に押し出す方
法、一旦支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚
を調節するドクターブレードによる方法、或いは逆回転
するロールで調節するリバースロールコーターによる方
法等の流延装置があるが、加圧ダイによる方法が好まし
い。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ
等があるが何れも好ましく用いることができる。また、
ここで挙げた方法以外にも従来知られているセルロース
トリアセテート溶液からセルローストリアセテートを流
延製膜する種々の方法(例えば特開昭61−94724
号、同61−148013号、特開平4−85011
号、同4−286611号、同5−185443号、同
5−185445号、同6−278149号、同8−2
07210号公報などに記載の方法)を好ましく用いる
ことができ、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条
件を設定することによりそれぞれの公報に記載の内容と
同様の効果が得られる。
【0058】本発明のセルローストリアセテートフィル
ムを製造するのに使用されるエンドレスに走行する支持
体としては、表面がクロムメッキによって鏡面仕上げさ
れたドラムや表面研磨によって鏡面仕上げされたステン
レスベルト(バンドといってもよい)が用いられる。
【0059】本発明のセルローストリアセテートフィル
ムの製造に用いられる加圧ダイの支持体上への配置は1
基或いは2基以上の設置でもよい。好ましくは1基又は
2基である。2基以上設置する場合には流延するドープ
量をそれぞれのダイスに種々な割合にわけてもよく、複
数の精密定量ギヤポンプからそれぞれの割合でダイにド
ープを送液する。
【0060】本発明のセルローストリアセテートフィル
ムの製造に係わる支持体上におけるドープの乾燥は、一
般的にはドラム或いはベルトの表面側、つまり支持体上
にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム或い
はベルトの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロー
ルした液体をベルトやドラムのドープ流延面の反対側の
裏面から接触させて、伝熱によりドラム或いはベルトを
加熱し表面温度をコントロールする液体伝熱方法などが
あるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。
【0061】流延される前の支持体の表面温度はドープ
に用いられている溶媒の沸点以下であれば何度でもよ
い。しかし乾燥を促進するためには、また支持体上での
流動性を失わせるためには、使用される溶媒の内の最も
沸点の低い溶媒の沸点より1から10℃低い温度に設定
することが好ましい。
【0062】セルローストリアセテートフィルムを製造
する速度はベルトの長さ、乾燥方法、ドープ溶媒組成等
によっても変化するが、ウェブをベルトから剥離する時
点での残留溶媒の量によって殆ど決まってしまう。つま
り、ドープ膜の厚み方向でのベルト表面付近での溶媒濃
度が高すぎる場合には、剥離した時、ベルトにドープが
残ってしまい、次の流延に支障を来すため、剥離残りは
絶対あってはならないし、更に剥離する力に耐えるだけ
のウェブ強度が必要であるからである。剥離時点での残
留溶媒量は、ベルトやドラム上での乾燥方法によっても
異なり、ドープ表面から風を当てて乾燥する方法より
は、ベルト或いはドラム裏面から伝熱する方法のほうが
効果的に残留溶媒量を低減することができるのである。
【0063】本発明のセルローストリアセテートフィル
ムの製造に係わるウェブ(ここで、ウェブとは剥離され
たドープ膜から乾燥されてフィルムに至るまでをウェブ
と呼ぶことにするが、それらの境界は定かではない)乾
燥方法について述べる。支持体が1周する直前の剥離位
置で剥離されたウェブは、千鳥状に配置されたロール群
に交互に通して搬送する方法や剥離されたウェブの両端
をクリップで把持させて非接触的に搬送する方法などに
より搬送しつつ、搬送中のウェブ両面に所定の温度の風
を当てる方法やマイクロウェーブなどの加熱手段などを
用いる方法によって乾燥が行われる。急速な乾燥はウェ
ブの平面性を損なう虞があるので、乾燥の初期段階で
は、溶媒が発泡しない程度の温度で乾燥し、乾燥が進ん
でから高温で乾燥を行うのが好ましい。
【0064】支持体から剥離後の乾燥工程では、溶媒の
蒸発によってウェブは幅方向に収縮しようとする。高温
度で乾燥するほど収縮が大きくなる。この収縮は可能な
限り抑制しながら乾燥することが、出来上がったフィル
ムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例
えば、特開昭62−46625号公報に示されているよ
うな乾燥全工程或いは一部の工程を幅方向にクリップで
ウェブの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法(テンタ
ー方式)が好ましい。
【0065】更には、積極的に幅方向に延伸する方法も
あり、本発明では、例えば、特開昭62−115035
号、特開平4−152125号、同4−284211
号、同4−298310号等の公報に記載の延伸方法も
使用し得る。
【0066】本発明のセルローストリアセテートフィル
ムの乾燥工程における乾燥温度は40から250℃、特
に70から180℃が好ましい。使用する溶媒によって
乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の
種類、組合せに応じて適宜選べばよい。最終仕上がりフ
ィルムの残留溶媒量は2重量%以下、更に0.4重量%
以下であることが、寸度安定性が良好なフィルムを得る
上で好ましい。
【0067】これら流延から後乾燥までの工程は、空気
雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下
でもよい。
【0068】本発明のセルローストリアセテートフィル
ムの製造に係わる巻き取り機は一般的に使用されている
ものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテ
ンション法、内部応力一定のプログラムテンションコン
トロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができ
る。
【0069】本発明の出来上がり(乾燥後)のセルロー
ストリアセテートフィルムの厚さは、使用目的によって
異なるが、通常5〜500μmの範囲であり、更に40
〜250μmの範囲が好ましく、特に60〜125μm
の範囲が最も好ましい。フィルム厚さの調整は、所望の
厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダ
イの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、支
持体速度等を調節すればよい。
【0070】ここで、酢化度及び粘度平均重合度の測定
方法について述べる。
【0071】1)セルローストリアセテートの酢化度
(%) 酢化度は、ASTMD817−91に準じて行い、ケン
化法によって測定するものとする。乾燥したセルロース
トリアセテートを精秤し、アセトンとジメチルスルホキ
シドとの混合溶媒(容量比4:1)に溶解した後、所定
の1N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、25℃で2時
間ケン化する。フェノールフタレインを指示薬として添
加し、1N硫酸(濃度ファクター;F)で過剰の水酸化
ナトリウムを滴定する。また、上記と同様な方法によ
り、ブランクテストを行う。そして、下記に従って酢化
度(%)を算出する。
【0072】 酢化度(%)={6.005×(B−A)×F}/W 式中、Aは試料の滴定に要する1N硫酸量(ml)、B
はブランクテストに要する1N硫酸量(ml)、Fは1
N硫酸のファクター、Wは試料重量を示す。
【0073】2)セルローストリアセテートの粘度平均
重合度(DP) 絶乾したセルローストリアセテート約0.2gを精秤
し、メチレンクロライドとエタノールの混合溶媒(重量
比9:1)100mlに溶解する。これをオストワルド
粘度計にて、25℃で落下秒数を測定し、重合度を以下
の式によって求める。
【0074】ηrel=T/Ts [η]=(lnηrel)/C DP=[η]/Km ここで、T :測定試料の落下秒数 Ts:溶媒の落下秒数 C :濃度(g/l) Km:6×10-4
【0075】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0076】フィルムの残留溶媒量は次のように測定し
た。
【0077】試験フィルム或いはウェブ(U)を秤量ビ
ンに入れ精秤し、次に前記フィルム或いはウェブを15
0℃で3時間加熱した後、水分を吸わないように室温ま
で冷却し秤量する。絶乾フィルム或いはウェブの重量
(D)として、 残留溶媒量(%)={(U−D)/D}×100 で求めた。
【0078】実施例中のドープについては透明性と経時
安定性、それにドープの粘度を、またフィルムについて
は、ヘイズ、引裂強度、引張強度、弾性率及び耐折度
を、各測定及び評価方法は以下の方法で行った。なお、
ここでフィルムとはセルロースアシレートフィルム製造
工程の最終段階の巻き取り工程で巻き取り後切り出した
乾燥されたフィルムをいう。
【0079】〈ドープの透明性及び経時安定性〉ドープ
(セルロースアシレート溶液)を透明な容器に入れ、目
視で作製直後、72時間後及び168時間後の透明性を
観察し、同時に容器を逆さまにして溶液の流動性の変化
を観察し、次の基準で評価しランク付けした。
【0080】A:透明で均一なドープで、容器を逆さに
するとスムーズにドープが移動した B:僅かに濁りはあるが、透明性はある。容器を逆さま
にすると流動性はあるが、移動する界面に若干つぶつぶ
状のものが認められる C:濁りがあり、不溶解物が認められ、容器を逆さまに
するとドープは不均一に移動する D:著しく濁り、不溶解物が多く、相分離しており、又
は、容器を逆さまにしても流動性がなくゲル状になって
いる。
【0081】〈ヘイズ〉JIS K−6714に従っ
て、ヘイズメーター(1001DP型、日本電色工業
(株)製)を用いて測定した。
【0082】〈引裂強度〉フィルムを温度23℃、相対
湿度55%RHに調湿された部屋で4時間調湿した後、
試料寸法50mm×64mmに切り出し、ISO 63
83/2−1983に従い測定して求めた。
【0083】〈引張強度と弾性率〉フィルムを温度23
℃、相対湿度55%RHに調湿された部屋で4時間調湿
した後、試料巾10mm、長さ200mmに切断し、チ
ャック間距離100mmにして引っ張り速度100mm
/分で引っ張り試験を行い求めた。
【0084】〈耐折度〉フィルムを温度23℃、相対湿
度55%RHに調湿された部屋で4時間調湿した後、試
料長さ120mmに切り出し、ISO 8776/2−
1988に従い、折り曲げによって切断するまでの折り
曲げ回数を測定した。
【0085】[実施例1]酢化度61.0%及び粘度平
均重合度300のセルローストリアセテート100重量
部、酢酸メチル475重量部、エタノール25重量部及
びトリフェニルホスフェート(TPP)10重量部を蓋
付の容器に入れ混合した。混合物を肉厚100μmのア
ルミニウム製容器(内容積1000cc)に満たし、空
気が残らないようにしてアルミニウム箔で蓋をし、かし
めるように密封した。この密閉された容器をゴム製の袋
に詰め、軽く脱気後ゴム袋を封入する。このゴム袋をセ
ラミック成型用ゴム製静水圧加圧装置(神戸製鋼製)に
セットし、25℃で1000kgf/cm2の圧力で2
時間加圧した。加圧後、大気圧に戻しゴム袋からアルミ
ニウム容器を取り出し、アルミニウム容器の蓋をとり、
ガラス容器に移し、溶解状態を目視観察を行ったとこ
ろ、セルローストリアセテートが全て有機溶媒中に溶解
しており、透明な均一なドープが得られた。得られたド
ープを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用
して濾過し、溶液流延製膜方法及び装置により、膜厚1
20μmのセルローストリアセテートフィルムを得た。
フィルムの残留溶媒量は0.9重量%であった。
【0086】[実施例2]酢酸メチルを380重量部、
エタノールの代わりにアセトンを20重量部に変更した
以外は実施例1と同様にして膜厚120μmのセルロー
ストリアセテートフィルムを得た。フィルムの残留溶媒
量は0.8重量%であった。
【0087】[実施例3]酢化度を59.5%及び粘度
平均重合度を400のセルローストリアセテートを10
0部に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚120
μmのセルローストリアセテートフィルムを得た。フィ
ルムの残留溶媒量は0.9重量%であった。
【0088】[実施例4]酢化度を61.5%及び粘度
平均重合度を290のセルローストリアセテートを10
0部に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚120
μmのセルローストリアセテートフィルムを得た。フィ
ルムの残留溶媒量は0.9重量%であった。
【0089】[比較例1]外側にジャケットの付いてい
る容器に、酢化度61.0%及び粘度平均重合度300
のセルローストリアセテート100重量部と酢酸メチル
を475重量部及びTPP10重量部を混合し混合物と
した。混合物をゆっくり撹拌しながら、外側のジャケッ
トに−75℃の冷媒(HFE−7100、住友スリーエ
ム(株)製)を導入し、容器内の混合物を−70℃に冷
却した。混合物を30分間冷却を続け、次にジャケット
から、冷媒を除き、代わりに30℃の温水をジャケット
に導入し、撹拌しながら40分で混合物を30℃にし、
更に20分撹拌した。この冷却及び加温の工程を3回繰
り返し、ドープを得た。得られたドープを安積濾紙
(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、溶
液流延製膜方法及び装置により、膜厚120μmのセル
ローストリアセテートフィルムを得た。フィルムの残留
溶媒量は1.0重量%であった。
【0090】[比較例2]酢酸メチルの代わりにアセト
ン400重量部に変更した以外は比較例1と同様にして
膜厚120μmのセルローストリアセテートフィルムを
得た。フィルムの残留溶媒量は0.9重量%であった。
【0091】以上の結果を表1に示した。
【0092】
【表1】
【0093】(結果)表1から明らかなように、本発明
のドープは、比較例1及び2の冷却溶解方法により調製
したドープと比較して、透明性及び経時安定性が良好で
あり、更に、本発明のセルローストリアセテートフィル
ムは、透明性、フィルム機械的性質も強く良好であっ
た。
【0094】
【発明の効果】本発明により、塩素系有機溶媒を用い
ず、しかも冷却溶解方法を使用せず、透明性及び経時安
定性の優れたセルローストリアセテート溶液を高圧溶解
方法により得ることが出来、またこの溶液を用いること
により、透明性、機械的性質の優れたセルローストリア
セテートフィルムを得ることが出来、高級のハロゲン化
銀写真感光材料及び液晶画像表示装置用の支持体をうる
ことが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 7:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均酢化度が58.0〜62.5%のセ
    ルローストリアセテートを含み、炭素原子数3〜12の
    エステル、炭素原子数4〜12のケトン及び炭素原子数
    3〜12のエーテルから選ばれる少なくとも一つの非塩
    素系有機溶媒を主成分とする有機溶媒とを含む混合物
    を、10〜5000kgf/cm2の圧力下で処理する
    工程と、処理した混合物を0.1〜10kgf/cm2
    圧力下で処理する工程を経ることを特徴とするセルロー
    ストリアセテート溶液の調製方法。
  2. 【請求項2】 非塩素系有機溶媒が酢酸メチルであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のセルローストリアセテ
    ート溶液の調製方法。
  3. 【請求項3】 有機溶媒が炭素原子数1〜6のアルコー
    ルを含有することを特徴とする請求項1または2に記載
    のセルローストリアセテート溶液の調製方法。
  4. 【請求項4】 前記圧力を静水圧法により付加すること
    を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のセル
    ローストリアセテート溶液の調製方法。
  5. 【請求項5】 セルローストリアセテートの粘度平均重
    合度が220〜550であることを特徴とする請求項1
    乃至4の何れか1項に記載のセルローストリアセテート
    溶液の調製方法。
  6. 【請求項6】 セルローストリアセテート溶液中のセル
    ローストリアセテートの濃度が15〜35重量%である
    ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の
    セルローストリアセテート溶液の調製方法。
  7. 【請求項7】 可塑剤をセルローストリアセテートに対
    して5〜30重量%添加することを特徴とする請求項1
    乃至6の何れか1項に記載のセルローストリアセテート
    溶液の調製方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7の何れか1項に記載のセ
    ルローストリアセテート溶液を用いて、溶液流延製膜方
    法により製膜することを特徴とするセルローストリアセ
    テートフィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の方法により製膜された
    セルローストリアセテートフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007528449A (ja) * 2003-12-30 2007-10-11 キム,ハグ−ヨン 繊維形成能に優れたナノ繊維の製造方法
EP2105767A1 (en) 2008-03-28 2009-09-30 Fujifilm Corporation Transparent support, optical film, polarizing plate and image display device

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